JP2020186412A - 熱可塑性樹脂組成物およびこれから得られる成形体 - Google Patents
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Abstract
Description
[1]下記要件(A−a)および(A−b)を満たす4−メチル−1−ペンテン重合体(A)10〜90質量部と、プロピレン重合体(B)90〜10質量部(ただし、(A)および(B)の合計を100質量部とする)に対して、
下記要件(C−a)〜(C−e)を同時に満たす4−メチル−1−ペンテン系共重合体(C)を1〜50質量部を含んでなる4−メチル−1−ペンテン共重合体組成物。
(A−a)4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位[i] 100〜90モル%と、
炭素原子数2〜20のα−オレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く)から導かれる構成単位[ii] 0〜10モル%からなる(ただし、構成単位[i]と構成単位[ii]の合計は100モル%である)。
(A−b)DSCで測定した融点(Tm)が200〜250℃の範囲にある。
(C−a)4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位[i] 92〜60モル%と、
炭素原子数2〜20のα−オレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く)から導かれる構成単位[ii] 8〜40モル%からなる(ただし、構成単位[i]と構成単位[ii]の合計は100モル%である)。
(C−b)135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が1.0〜4.0dl/gの範囲にある。
(C−c)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜3.5の範囲にある。
(C−d)密度が825〜860kg/m3の範囲にある。
(C−e)DSCで測定した融点(Tm)が観測されないか、又は160℃未満の範囲にある。
[2]4−メチル−1−ペンテン系共重合体(C)中の、炭素数2〜20のオレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く)から導かれる構成単位[ii]が、プロピレンから導かれる構成単位[ii’]である[1]に記載の4−メチル−1−ペンテン共重合体組成物。
[3]4−メチル−1−ペンテン系共重合体(C)が、下記要件(C−f)と(C−g)を共に満たす[1]または[2]に記載の4−メチル−1−ペンテン共重合体組成物。
(C−f)4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位[i]が80〜60モル%であり、
炭素原子数2〜20のα−オレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く)から導かれる構成単位[ii]が20〜40モル%である(ただし、構成単位[i]と構成単位[ii]の合計は100モル%である)。
(C−g)DSCで測定した融点(Tm)が観測されない。
[4]前記[1]〜[3]のいずれかに記載の4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物を含んでなる成形体。
[5]フィルムである前記[4]に記載の成形体。
[6]繊維である前記[4]に記載の成形体。
本発明の4−メチル−1−ペンテン共重合体組成物は、特定要件を満たす4−メチル−1−ペンテン重合体(A)10〜90質量部と、プロピレン重合体(B)90〜10質量部(ただし、(A)および(B)の合計を100質量部とする)に対して、特定要件を満たす4−メチル−1−ペンテン系共重合体(C)を1〜50質量部を含んでなる組成物である。以下、該組成物を構成する各成分(A)、(B)および(C)について説明する。
重合体(A)は、以下の要件(A−a)および(A−b)を満たす。
要件(A−a):重合体(A)における4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位[i]の含有率は90モル%以上100モル%以下、好ましくは95モル%以上100モル%以下であり、4−メチル−1−ペンテン以外の炭素原子数2〜20のα−オレフィンに由来する構成単位[ii]の含有率は0モル%以上10モル%以下、好ましくは0モル%以上5モル%以下である(ただし、構成単位[i]および構成単位[ii]含有率の合計を100モル%とする。)。
要件(A−e):重合体(A)のJIS K7112(密度勾配管法)に準拠して測定される密度は、820〜850kg/m3であり、好ましくは825〜845kg/m3であり、より好ましくは830〜840kg/m3である。密度が前記範囲であることにより、前記範囲よりも小さい場合に比べて組成物の機械的な強度が高く、前記範囲よりも大きい場合に比べて組成物の衝撃強度が高くなる傾向がある。
重合体(A)は、アイソタクチック構造を有する重合体、シンジオタクチック構造を有する重合体のいずれであってもよいが、特にアイソタクチック構造を有する重合体が好ましく、また入手も容易である。さらに、重合体(A)は、組成物が所望の性能を発現する限り、立体規則性は特に制限されない。
本発明におけるポリプロピレン(B)はプロピレンを主体とする公知の重合体であり、そのような例としては、プロピレン単独重合体、プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとのプロピレン・α−オレフィン共重合体(ランダム共重合体、ブロック共重合体、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体、又はこれらの混合物)等を挙げることができる。プロピレン重合体(B)としてはアイソタクチックプロピレン重合体、シンジオタクチックプロピレン重合体が好適に用いられ、前者の立体規則性を示すアイソタクチックメソペンダッド分率(mmmm)または後者の立体規則性を示すシンジオタクチックメソペンダッド分率(rrrr)は90%以上であることが好ましく、92%以上であることがより好ましく、93%以上であることがさらに好ましい。立体規則性が高いと、樹脂の結晶性が向上し、高い熱安定性、機械特性を付与することができる。
共重合体(C)は、以下の要件(C−a)〜(C−e)を同時に満たす。
要件(C−a):共重合体(C)は、4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位[i]を60〜92モル%の割合で、及び4−メチル−1−ペンテン以外の炭素数2以上20以下のα−オレフィンに由来する構成単位[ii]を8〜40モル%の割合で有する。(ただし、構成単位[i]の含有率および構成単位[ii]の含有率の合計を100モル%とする。)
構成単位[i]の含有率は、好ましくは60〜90モル%であり、より好ましくは62〜85モル%であり、特に好ましくは65〜85モルである。
構成単位[i]の含有率が60モル%以上であることにより、組成物の応力緩和性が向上する。
また、上記α−オレフィンが上記好ましい範囲であると、得られる積層体の耐衝撃性も向上する。
測定装置:核磁気共鳴装置(ECP500型、日本電子(株)製)
観測核:13C(125MHz)
シーケンス:シングルパルスプロトンデカップリング
パルス幅:4.7μ秒(45°パルス)
繰り返し時間:5.5秒
積算回数:1万回以上
溶媒:オルトジクロロベンゼン/重水素化ベンゼン(容量比:80/20)混合溶媒
試料濃度:55mg/0.6mL
測定温度:120℃
ケミカルシフトの基準値:27.50ppm
要件(C−b):共重合体(C)の、デカリン溶媒中、135℃で測定される極限粘度
[η]は、1.0〜4.0dl/gであり、好ましくは1.1〜3.5dl/gであり、より好ましくは1.2〜3.5dl/gである。共重合体(C)の極限粘度[η]が上記範囲内であると、低分子量体が少ないため、組成物のべたつきが少なくなり、成形性が向上する。
共重合体(C)は上記要件(C−a)〜(C−e)に加えて、好ましくは下記要件(C−f)を満たす。
本発明の4−メチル−1−ペンテン共重合体組成物は、前記した各成分を前記した濃度範囲で公知の方法を用いてブレンド・混練することによって製造できる。公知の製造方法として、たとえば、多段重合法、プラストミル、ヘンシェルミキサー、V−ブレンダー、リボンブレンダー、タンブラブレンダー、ニーダールーダー等で混合する方法、あるいは混合後、一軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等で溶融混練後、造粒あるいは粉砕する方法を挙げることができる。
本発明の4−メチル−1−ペンテン共重合体組成物を含む成形体、は、例えば押出成形、射出成形、インフレーション成形、ブロー成形、押出ブロー成形、射出ブロー成形、プレス成形、スタンピング成形、真空成形、カレンダー成形、フィラメント成形、発泡成形、パウダースラッシュ成形などの公知の熱成形方法により得られる。また、本発明の成形体は、本発明に係る共重合体、共重合体組成物および変性体を適宜組み合せても製造できる。
成形体は、押出成形、射出成形、溶液流延等の一次成形で得た成形品を、さらにブロー成形、延伸などの方法で加工した成形品であることも好ましい。たとえば、成形品がフィルム状またはシート状である場合には、Tダイ押出成形法などによりシート状に成形して得た成形品を、さらに一軸延伸あるいは二軸延伸して得たものであることも好ましい。上記の用途としては、高い融点であることを生かしたフィルム用途が好ましい。
実施例における物性の測定条件等は、以下のとおりである。
4−メチル−1−ペンテン重合体(A)および4−メチル−1−ペンテン系共重合体(C)の4−メチル−1−ペンテンおよびプロピレン含量は、13C−NMRにより以下の装置および条件により測定した。日本電子(株)製ECP500型核磁気共鳴装置を用い、溶媒としてオルトジクロロベンゼン/重ベンゼン(80/20容量%)混合溶媒,試料濃度55mg/0.6mL、測定温度120℃、観測核は13C(125MHz)、シーケンスはシングルパルスプロトンデカップリング、パルス幅は4.7μ秒(45°パルス)、繰り返し時間は5.5秒、積算回数は1万回以上、27.50ppmをケミカルシフトの基準値として測定した。重合体(A)、(B)以外のポリマーについても、基本的には本方法に準じた13C−NMR法によって組成分析を行った。
ポリマーの密度は、ASTM D1505(水中置換法)に従って、ALFA MIRAGE社電子比重計MD−300Sを用い、水中と空気中で測定された各試料の重量から算出した。
ポリマーのDSC融点(Tm)は,セイコーインスツルメンツ社製DSC220C装置で示差走査熱量計(DSC)により測定した。試料7〜12mgをアルミニウムパン中に密封し、室温から10℃/分で200℃まで加熱した。その試料を、完全融解させるために200℃で5分間保持し、次いで10℃/分で−50℃まで冷却した。−50℃で5分間置いた後、その試料を10℃/分で200℃まで再度加熱した。この再度の(2度目の)加熱でのピーク温度を、DSC融点(Tm)として採用した。
ポリマーの極限粘度[η]は,デカリン溶媒を用いて135℃で測定した。
ポリマーの分子量は、液体クロマトグラフ:Waters製ALC/GPC 150−C plus型(示唆屈折計検出器一体型)を用い、カラムとして東ソー株式会社製GMH6−HT×2本およびGMH6−HTL×2本を直列接続し、移動相媒体としてo−ジクロロベンゼンを用い、流速1.0ml/分、140℃で測定した。
(試験片の作成方法)
実施例および比較例の各組成物を、リップ幅240mmのTダイを設置した20mmφの単軸押出機(単軸シート形成機、(株)田中鉄工所製)のホッパーに投入した。そして、シリンダー温度を270℃、ダイス温度を270℃に設定し、Tダイから溶融混練物を厚み50μmで押し出し、キャスト成形することにより、キャストフィルムを得た。
次いで、厚みが50μmのフィルムを、幅15mm×長さ100mmの短冊状に切断した試験片について、JIS K7127(1999)に準拠し、引張試験機(万能引張試験機3380、インストロン製)を用いて、チャック間距離50mm、引張速度200mm/min、及び温度23℃の条件で、試験片のMD方向、TD方向について、引張弾性率(YM)(単位:MPa)、及び引張破断伸び(EL)(単位:%)を測定した。
厚さ50μmに調整したフィルムを、23℃、55%RHの条件下で、MD方向、TD方向の両方向において、エレメンドルフ法の引き裂き荷重をJIS K 7128−1991に従い東洋精機(株)製の軽荷重引き裂き装置でエルメンドレフ引裂き強度を測定した。
厚さ50μmに調整したフィルムを気温23℃±2℃、湿度50%±10%の条件の下、24時間養生し、表面粗さ測定器(型式:SE−30KS−小坂研究所製)及び解析装置(型式:TDA−22−小坂研究所製)を用いてJISB0601−1994に準じて測定し、平均表面粗さ(Ra)および十点平均粗さ(Rz)を求めた。
厚さ50μmに調整したフィルムを用い、幅4mm×長さ10mmの試験片を作製し、JIS K7196に準拠し、窒素雰囲気下、昇温速度5℃/minの条件で、フィルム伸張モードで5gf(49mN)の荷重をかけて23℃〜250℃で測定した。TMA曲線から1.6mm変位した時の温度を読み取り、TMA 1.6mm変位温度(℃)とした。
厚さ50μmに調整したフィルムを用い、JIS Z8741に準拠して測定した。
実施例及び比較例に用いた配合材料は下記の通りである。
(A)4−メチル−1−ペンテン重合体
国際公開第2006/054613号や国際公開2014/050187号の実施例、比較例記載された方法に準じて、4−メチル−1−ペンテン、1−デセンおよび水素の仕込み割合を変更するなどして、共重合体(A−1)、(A−2)および(A−3)の三種の共重合体を得た。
得られた重合体(A)の各種物性の測定結果を表1に示す。
共重合体(A−1)中の4−メチル−1−ペンテンの含有率は98.0mol%であり、1−デセンの含有率は2.0mol%であった。密度は833kg/m3、極限粘度[η]は2.4dl/gであり、MFR(260℃、5kg荷重)は25g/10minであった。また、DSC融点(Tm)は232℃、TMA1.6mm変位温度は225℃であった。
共重合体(A−2)中の4−メチル−1−ペンテンの含有率は98.7mol%であり、1−デセンの含有率は1.3mol%であった。密度は832kg/m3、極限粘度[η]は2.4dl/gであり、MFR(260℃、5kg荷重)は25g/10minであった。また、DSC融点(Tm)は232℃、TMA1.6mm変位温度は225℃であった。
共重合体(A−3)中の4−メチル−1−ペンテンの含有率は97.2mol%であり、1−デセンの含有率は2.8mol%であった。密度は832kg/m3、極限粘度[η]は1.2dl/gであり、MFR(260℃、5kg荷重)は180g/10minであった。また、DSC融点(Tm)は232℃、TMA1.6mm変位温度は225℃であった。
(株)プライムポリマー社製のプライムポリプロ(登録商標)F113Gを用いた。このプロピレン単独重合体の密度:910kg/m3、MFR(230℃、2.16kg荷重):3g/10分、TMA1.6mm変位温度は155℃であった。
[合成例1]共重合体(C−1)の合成
充分に窒素置換した容量1.5Lの攪拌翼付のSUS製オートクレーブに、300mlのn−ヘキサン(乾燥窒素雰囲気下、活性アルミナ上で乾燥したもの)、及び450mlの4−メチル−1−ペンテンを23℃で装入した。このオートクレーブに、トリイソブチルアルミニウム(TIBAL)の1.0mmol/mlトルエン溶液を0.75ml装入し、攪拌機を回した。
ン溶液0.34mlを、オートクレーブに窒素で圧入し、重合反応を開始させた。重合反応中は、オートクレーブの内温が60℃になるように温度調整した。
得られた共重合体(C−1)の各種物性の測定結果を表1に示す。
充分に窒素置換した容量1.5Lの攪拌翼付のSUS製オートクレーブに、300mlのn−ヘキサン(乾燥窒素雰囲気下、活性アルミナ上で乾燥したもの)、及び450mlの4−メチル−1−ペンテンを23℃で装入した。このオートクレーブに、トリイソブチルアルミニウム(TIBAL)の1.0mmol/mlトルエン溶液を0.75ml装入し、攪拌機を回した。
共重合体(C−2)中の4−メチル−1−ペンテンの含有率は84.1mol%であり、プロピレンの含有率は15.9mol%であった。また、共重合体A−1の密度は838kg/m3であった。共重合体(C−2)の極限粘度[η]は1.5dl/gであり、重量平均分子量(Mw)は340,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は2.1であり、メルトフローレート(MFR)は11g/10minであった。共重合体(C−2)のDSC融点(Tm)は132℃であった。
比較例で用いたブテン系共重合体(D)として、三井化学(株)製の1−ブテン・プロピレン共重合体を用いた。MFR(230℃、2.16kg荷重);12g/10分、ブテン起因骨格含量;75モル%、プロピレン起因骨格含量;25モル%、密度;890kg/cm3、極限粘度;1.5g/dl、分子量分布(Mw/Mn);4.8、DSC融点(Tm);75℃
4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体(A−1)50質量部と、(株)プライムポリマー社製ポリプロピレン(B)50質量部と、合成例1で得られた4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン系共重合体(C−1)5質量部を配合した。さらに、該組成物100質量部に対して、チバ・ジャパン(株)社製ヒンダードフェノール系酸化防止剤Irganox1010を1000ppm、リン系加工熱安定剤Irgafos168を1000ppm、日油(株)社製カルシウムステアレートを500ppm配合した。その後、リップ幅240mmのTダイを設置した20mmφの単軸押出機(単軸シート形成機、(株)田中鉄工所製)のホッパーに投入した。そして、シリンダー温度を270℃、ダイス温度を270℃に設定し、Tダイから溶融混練物を厚み50μmで押し出し、キャスト成形することによりの測定用試料とした。このフィルムの物性を測定した結果を表2に示す。
実施例1において、(A)4−メチル−1−ペンテン重合体、(B)プロピレン重合体、および(C)4−メチル−1−ペンテン系共重合体を表2または表3に示した種類および配合量用いた以外は実施例1と同様にして測定用試料を作成し、物性を測定した。各種測定結果を表2および表3に示した。
実施例1において、配合成分として(C)4−メチル−1−ペンテン系共重合体を用いなかったか、該成分(C)の代わりに(D)ブテン系共重合体を用いて、実施例1と同様にして測定用試料を作成し、物性を測定した。各種測定結果を表2または表3に示した。
この要因は、(C)4−メチル−1−ペンテン系共重合体が(A)4−メチル−1−ペンテン重合体と(B)ポリプロピレン用相溶化材的な役割を果たしており、フィルム中の各成分を均一に微分散させる効果があったものと推定している。
4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体(A−3)50質量部と、(株)プライムポリマー社製ポリプロピレン(B)50質量部と、合成例2で得られた4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン系共重合体(C−2)5質量部を配合した。さらに、該組成物100質量部に対して、チバ・ジャパン(株)社製ヒンダードフェノール系酸化防止剤Irganox1010を1000ppm、リン系加工熱安定剤Irgafos168を1000ppm、日油(株)社製カルシウムステアレートを500ppm配合した。その後、ノズル径1mmを設置した東洋精機株式会社製キャピログラフを用いて、バレル温度260℃、ヘッドスピード5mm/minで押出し、巻取りスピード100mで巻き取ることで得たフィラメントサンプルを測定用試料とした。このフィラメントの物性を測定した結果を表4に示す。
実施例7において、配合成分として(C)4−メチル−1−ペンテン系共重合体を10質量部としたか、(C)成分を配合しなかった以外は、実施例7と同様にして測定用試料を作成し、物性を測定した。各種測定結果を表4に示した。
また実施例8と比較例5のフィラメント表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果および、フィラメント断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した結果を図1〜図
4に示す。
(C)4−メチル−1−ペンテン系共重合体を配合しない比較例5ではフィラメント表面が荒れており、また断面形態も(B)ポリプロピレン重合体に由来する島相の粒子径が1μmから数10μmまでと広く分散している。一方、(C)4−メチル−1−ペンテン系共重合体を配合した実施例8では、フィラメント表面が平滑となっており、また断面形態も(B)ポリプロピレン重合体に由来する島相の粒子径が数μm程度に揃い、均一に分散していることがわかる。
Claims (5)
- 下記要件(A−a)、(A−b)および(A−f)を満たす4−メチル−1−ペンテン重合体(A)10〜90質量部と、プロピレン重合体(B)90〜10質量部(ただし、(A)および(B)の合計を100質量部とする)に対して、
下記要件(C−a)〜(C−e)を同時に満たす4−メチル−1−ペンテン系共重合体(C)を1〜50質量部を含んでなる4−メチル−1−ペンテン共重合体組成物。
(A−a)4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位[i]100〜90モル%と、炭素原子数2〜20のα−オレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く)から導かれる構成単位[ii]0〜10モル%からなる(ただし、構成単位[i]と構成単位[ii]の合計は100モル%である)。
(A−b)DSCで測定した融点(Tm)が200〜250℃の範囲にある。
(A−f):ASTM D1238に準拠して260℃、5.0kg荷重にて測定されるメルトフローレート(MFR)が180g/10min〜200g/10minである。
(C−a)4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位[i]92〜60モル%と、プロピレンから導かれる構成単位[ii]8〜40モル%からなる(ただし、構成単位[i]と構成単位[ii]の合計は100モル%である)。
(C−b)135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が1.0〜4.0dl/gの範囲にある。
(C−c)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜3.5の範囲にある。
(C−d)密度が825〜860kg/m3の範囲にある。
(C−e)DSCで測定した融点(Tm)が観測されない、または160℃未満の範囲にある。 - 4−メチル−1−ペンテン系共重合体(C)が、下記要件(C−f)と(C−g)を共に満たすことを特徴とする請求項1に記載の4−メチル−1−ペンテン共重合体組成物。
(C−f)4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位[i]が80〜60モル%であり、プロピレンから導かれる構成単位[ii]が20〜40モル%である(ただし、構成単位[i]と構成単位[ii]の合計は100モル%である)。
(C−g)DSCで測定した融点(Tm)が観測されない。 - 請求項1または2に記載の4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物を含んでなる成形体。
- フィルムであることを特徴とする請求項3に記載の成形体。
- 繊維であることを特徴とする請求項3に記載の成形体。
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