JP2020186369A - ワニス、光学フィルム及び光学フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ワニスの状態で長期保管後にポリイミド系高分子フィルムを製造した場合であっても、該フィルムの黄変を有効に防止することができるワニスを提供する。【解決手段】波長275nmにおける光線透過率が88%以上であるか、又は、ポリエチレングリコールを固定相とするキャピラリーガスクロマトグラフィー分析において、カラム温度を120℃で保持した状態でサンプル注入後、温度を120℃で1分保持した後に、10℃/分で240℃まで昇温した後、240℃で7分保持した場合に、γ−ブチロラクトンのピークを基準とした相対リテンションタイムが1.05〜1.50に検出される成分の面積比が260ppm以下である、γ−ブチロラクトンを含む溶媒、及び、ポリイミド系高分子を含む、ワニス。【選択図】なし
Description
本発明はγ−ブチロラクトン(以下、GBLと略すことがある)及びポリイミド系高分子を含むワニス、該ワニスから形成される光学フィルム、並びに、該光学フィルムの製造方法に関する。
現在、液晶表示装置や有機EL表示装置等の画像表示装置は、テレビのみならず、携帯電話やスマートウォッチといった種々の用途で広く活用されている。こうした用途の拡大に伴い、フレキシブル特性を有する画像表示装置(フレキシブルディスプレイ)が求められている。画像表示装置は、液晶表示素子又は有機EL表示素子等の表示素子の他、偏光板や位相差板及び前面板等の構成部材から構成される。フレキシブルディスプレイを達成するためには、これら全ての構成部材が柔軟性を有する必要がある。
これまで前面板としてはガラスが用いられている。ガラスは、透明度が高く、ガラスの種類によっては高硬度を発現できる反面、非常に剛直であり、割れやすいため、フレキシブルディスプレイの前面板材料としての利用は難しい。そのため、ガラスに代わる材料の一つとして、ポリイミド系樹脂があり、該ポリイミド系樹脂を用いた光学フィルムが検討されている(例えば特許文献1)。
このような光学フィルムは、例えば、ポリイミド系高分子を溶媒に溶解させて調製したワニスとも称される樹脂組成物を支持体に塗布した後、乾燥等させる、キャスト法により製造される。特に画像表示装置等の前面板として使用されるような光学フィルムを製造する場合、ポリイミド系高分子との相溶性が良好であり、得られる光学フィルムの光学特性を高めやすい観点から、GBLを含有するワニスが好ましいことを本発明者は見出した。
ここで、キャスト法により光学フィルムを製造する際、ワニスに含まれる溶媒自体は乾燥により留去される成分であり、得られる光学フィルム中にはほとんど残存しない。そのため、ワニスを調製後すぐに、ワニスを製膜及び乾燥して光学フィルムを製造する場合には、光学フィルムの黄色度の指標であるYI値の低下等の現象は見られない。しかし、ポリイミド系高分子を含むワニスの溶媒の少なくとも一部としてGBLを使用する場合、溶媒に溶解した状態で反応性が高まっていると考えられるワニス中のポリイミド系高分子と、γ−ブチロラクトン中の不純物との反応が起こり、その結果、ワニスの状態での保管時間が長くなるにつれて、得られる光学フィルムのYI値が上昇し、光学特性が低下する場合があることがわかった。
従って、本発明は、GBLにポリイミド系高分子を溶解させたワニスであって、ワニスの状態で長期保管後にポリイミド系高分子フィルムを製造した場合であっても、該フィルムの黄変を有効に防止することができるワニスを提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、波長275nmにおける光線透過率が88%以上である、及び/又は、所定の条件下でのガスクロマトグラフィー分析において、GBLのピークを基準とした相対リテンションタイムが所定の範囲に検出される成分の面積比が所定の値以下であるGBLを含む溶媒、及び、ポリイミド系高分子を少なくとも含むワニスを用いることにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の好適な態様を含む。
〔1〕波長275nmにおける光線透過率が88%以上であるγ−ブチロラクトンを含む溶媒、及び、ポリイミド系高分子を含む、ワニス。
〔2〕ポリエチレングリコールを固定相とするキャピラリーガスクロマトグラフィー分析において、カラム温度を120℃で保持した状態でサンプル注入後、温度を120℃で1分保持した後に、10℃/分で240℃まで昇温した後、240℃で7分保持した場合に、γ−ブチロラクトンのピークを基準とした相対リテンションタイムが1.05〜1.50に検出される成分の面積比が260ppm以下であるγ−ブチロラクトンを含む溶媒、及び、ポリイミド系高分子を少なくとも含む、ワニス。
〔3〕前記キャピラリーガスクロマトグラフィー分析におけるカラムが、Agilent Technologies製DB−WAX(30m×0.32mm I.D.、df0.50μm)である、前記〔2〕に記載のワニス。
〔4〕γ−ブチロラクトンの含有量は、ワニスに含まれる溶媒の総量に基づいて30〜100質量%である、前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のワニス。
〔5〕溶媒の含有量は、ワニスの総量に基づいて75〜99質量%である、前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のワニス。
〔6〕ポリイミド系高分子の含有量は、ワニスの総量に基づいて1〜25質量%である、前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のワニス。
〔7〕L*a*b*表色系に基づく色差測定において、L*≧80、−10≦a*≦10、及び−10≦b*≦10を満たす、前記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載のワニス。
〔8〕ポリイミド系高分子のポリスチレン換算重量平均分子量は200,000以上である、前記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載のワニス。
〔9〕ポリイミド系高分子はポリアミドイミドである前記〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載のワニス。
〔10〕前記〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載のワニスから形成された、光学フィルム。
〔11〕(a)前記〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載のワニスを支持体上に塗布し、塗膜を形成させる工程、及び、
(b)塗膜を100℃以上240℃以下の温度で乾燥させて、光学フィルムを得る工程
を少なくとも含む、光学フィルムの製造方法。
〔12〕〔10〕に記載の光学フィルムを備える、フレキシブル表示装置。
〔13〕さらに、タッチセンサを備える、〔12〕に記載のフレキシブル表示装置。
〔14〕さらに、偏光板を備える、〔12〕又は〔13〕に記載のフレキシブル表示装置。
〔1〕波長275nmにおける光線透過率が88%以上であるγ−ブチロラクトンを含む溶媒、及び、ポリイミド系高分子を含む、ワニス。
〔2〕ポリエチレングリコールを固定相とするキャピラリーガスクロマトグラフィー分析において、カラム温度を120℃で保持した状態でサンプル注入後、温度を120℃で1分保持した後に、10℃/分で240℃まで昇温した後、240℃で7分保持した場合に、γ−ブチロラクトンのピークを基準とした相対リテンションタイムが1.05〜1.50に検出される成分の面積比が260ppm以下であるγ−ブチロラクトンを含む溶媒、及び、ポリイミド系高分子を少なくとも含む、ワニス。
〔3〕前記キャピラリーガスクロマトグラフィー分析におけるカラムが、Agilent Technologies製DB−WAX(30m×0.32mm I.D.、df0.50μm)である、前記〔2〕に記載のワニス。
〔4〕γ−ブチロラクトンの含有量は、ワニスに含まれる溶媒の総量に基づいて30〜100質量%である、前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のワニス。
〔5〕溶媒の含有量は、ワニスの総量に基づいて75〜99質量%である、前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のワニス。
〔6〕ポリイミド系高分子の含有量は、ワニスの総量に基づいて1〜25質量%である、前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のワニス。
〔7〕L*a*b*表色系に基づく色差測定において、L*≧80、−10≦a*≦10、及び−10≦b*≦10を満たす、前記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載のワニス。
〔8〕ポリイミド系高分子のポリスチレン換算重量平均分子量は200,000以上である、前記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載のワニス。
〔9〕ポリイミド系高分子はポリアミドイミドである前記〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載のワニス。
〔10〕前記〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載のワニスから形成された、光学フィルム。
〔11〕(a)前記〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載のワニスを支持体上に塗布し、塗膜を形成させる工程、及び、
(b)塗膜を100℃以上240℃以下の温度で乾燥させて、光学フィルムを得る工程
を少なくとも含む、光学フィルムの製造方法。
〔12〕〔10〕に記載の光学フィルムを備える、フレキシブル表示装置。
〔13〕さらに、タッチセンサを備える、〔12〕に記載のフレキシブル表示装置。
〔14〕さらに、偏光板を備える、〔12〕又は〔13〕に記載のフレキシブル表示装置。
本発明によれば、ワニスの状態で長期保管後にポリイミド系高分子フィルムを製造した場合であっても、該フィルムの黄変を有効に防止することができるワニスを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明の範囲はここで説明する実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更をすることができる。
本発明のワニスは、波長275nmにおける光線透過率が88%以上である、及び/又は、ポリエチレングリコールを固定相とするキャピラリーガスクロマトグラフィー分析において、カラム温度を120℃で保持した状態でサンプル注入後、温度を120℃で1分保持した後に、10℃/分で240℃まで昇温した後、240℃で7分保持した場合に、GBLのピークを基準とした相対リテンションタイムが所定の範囲(1.02〜1.50、又は、1.05〜1.50)に検出される成分の面積比が所定の値以下(300ppm以下又は260ppm以下)であるGBLを含む溶媒、並びに、ポリイミド系高分子を含む。前記キャピラリーガスクロマトグラフィー分析におけるカラムは、固定相がポリエチレングリコールであり、好ましいカラムとして、Agilent Technologies製DB−WAX、Analitical Columns製Heliflex AT−WAX、GL Sciences製TC−WAXが挙げられ、より好ましくはAgilent Technologies製DB−WAX(30m×0.32mm I.D.、df0.50μm)が挙げられる。なお上記以外のカラムを用いる場合、目的とする成分を定量できるように、予め、測定条件を調整することにより、同様に実施できる。
ポリイミド系高分子を溶媒に溶解させてワニスを調製する際、得られる光学フィルムの光学特性を高めやすい観点から、ポリイミド系高分子に対する相溶性が高いGBLを使用することが好ましいと考えられる。しかし、GBLを少なくとも一部の溶媒として使用する場合、GBLに溶解した状態のポリイミド系高分子は反応性が高くなること、及び、溶媒として使用するGBLに不純物がわずかに含まれ得ることに起因して、これらが反応しやすくなると考えられる。特に工業生産スケールで光学フィルムを製造する場合には、調製したワニスを一時的に保管した後、該ワニスを支持体に塗布して光学フィルムを製造することがある。しかし、長期保管後のワニスから得た光学フィルムは、YI値が高く、光学特性が低下する場合があることがわかった。本発明のワニスは、例えば表示装置の前面板に使用されるような光学フィルムを製造するために使用されるワニスであり、上記特定の特徴を有するGBLを溶媒として含むことにより、ワニスの状態で長期保管後にポリイミド系高分子フィルムを製造した場合であっても、該フィルムの黄変を有効に防止することができる。
上記特定の特徴を有するGBLを含む溶媒を用いることにより、得られる光学フィルムの黄変を抑制することができる理由は明らかではないが、波長275nmに吸収を有する成分、及び、GBLのピークを基準とした相対リテンションタイムが1.02〜1.50に検出される成分、及び/又は、GBLのピークを基準とした相対リテンションタイムが1.05〜1.50に検出される成分と、GBL中に溶解した状態のポリイミド系高分子との間に何らかの相互作用が生じ、ワニスが経時的に黄変すると考えられる。そのため、これらの成分の量を低減することにより、ワニスに溶解した状態のポリイミド系樹脂の黄変を抑制し、ワニスの状態で長期保管後にポリイミド系高分子フィルムを製造する場合であっても、該フィルムの黄変を防止できると考えられる。以下において、波長275nmにおける光線透過率が88%以上であるGBLをGBL(A)とも称し、GBLのピークを基準とした相対リテンションタイムが1.02〜1.50に検出される成分B1の面積比が300ppm以下であるGBLをGBL(B1)とも称する。さらにGBL(B1)のうち、GBLのピークを基準とした相対リテンションタイムが1.05〜1.50に検出される成分B2の面積比が260ppm以下であるGBLをGBL(B2)とも称する。GBL(B2)はGBL(B1)に含まれており、これらを合せてGBL(B)とも称する。
本発明のワニスに溶媒として含まれるGBLは、GBL(A)に相当する溶媒であってもよいし、及び/又はGBL(B)に相当する溶媒であってもよいし、GBL(A)及びGBL(B)の両方に相当する溶媒であってもよい。本発明のワニスは、GBL以外の溶媒をさらに含んでいてもよい。本発明のワニスに溶媒として含まれる上記GBLの割合は、ワニスに含まれる溶媒の総量に対し、好ましくは30〜100質量%、より好ましくは50〜100質量%、さらに好ましくは60〜100質量%、さらにより好ましくは70〜100質量%、とりわけ好ましくは80〜100質量%、とりわけより好ましくは90〜100質量%である。GBLの含有量が上記の範囲内であると、ワニスの状態で長期保管後にポリイミド系高分子フィルムを製造した場合であっても、得られるフィルムの黄変を防止しやすく、また、ワニスをキャスト製膜するに最適な粘度になりやすいため、ハンドリング性が良好となると共に、得られる光学フィルムの視認性を高めやすい。なお、上記の割合は、ワニスを製造する際に使用する溶媒の仕込み比であってよい。ここで、本発明のワニスの製造に使用するGBLは、GBL(A)、GBL(B1)及びGBL(B2)の少なくともいずれかに該当する溶媒であればよく、GBL(A)とGBL(B)の両方に該当する溶媒であってもよい。
GBLの波長275nmにおける光線透過率は、ワニスの長期保管時の変色を抑制しやすい観点から、好ましくは89%以上、より好ましくは93%以上、さらに好ましくは95%以上である。
上記の相対リテンションタイムが1.02〜1.50に検出される成分の面積比は、ワニスの長期保管時の変色を抑制しやすい観点から、好ましくは270ppm以下、より好ましくは260ppm以下、さらに好ましくは200ppm以下、とりわけ好ましくは100ppm以下である。
上記の相対リテンションタイムが1.05〜1.50に検出される成分の面積比は、ワニスの長期保管時の変色を抑制しやすい観点から、好ましくは250ppm以下、より好ましくは210ppm以下、さらに好ましくは150ppm以下、特に好ましくは100ppm以下、最も好ましくは50ppm以下である。
GBLにおいて波長275nmにおける光線透過率を88%以上とする方法、及び、GBLにおいて、上記の条件のガスクロマトグラフィー分析における相対リテンションタイムが所定の範囲(1.02〜1.50、又は、1.05〜1.50)に検出される成分の面積比を所定の範囲とする方法は、上記特徴を有するGBL(A)又はGBL(B)が得られる限り特に限定されないが、例えば蒸留塔を用いてGBLを精製する方法、金属イオン吸着法等の吸着法によりGBLを精製する方法、酸性イオン交換樹脂と接触させてから蒸留する方法、液−液抽出と蒸留とを組合せる方法等が挙げられる。
蒸留塔を用いて、上記の特徴を有するGBLを製造する場合、その操作条件は上記特徴を有するGBLが得られる限り特に限定されない。塔頂温度は、例えば50〜150℃、好ましくは60〜140℃、より好ましくは70〜130℃、さらに好ましくは75〜120℃である。また、塔底温度は、例えば70〜170℃、好ましくは80〜160℃、より好ましくは90〜150℃、さらに好ましくは100〜140℃である。塔底温度は、塔頂温度よりも5〜50℃程度高い温度であることが好ましい。塔頂温度及び塔底温度を上記の範囲に制御することにより、GBLの波長275nmにおける光線透過率を88%以上にしやすく、また、上記の条件のガスクロマトグラフィー分析における相対リテンションタイムが所定の範囲に検出される成分の面積比を、上記の範囲としやすい。蒸留時の圧力は、塔頂温度が上記の範囲となるように設定すればよい。
蒸留塔の種類としては、規則充填塔、不規則充填塔、棚段塔、オルダーショウ型蒸留塔、ウイッドマー精留器を備えた蒸留器等が挙げられる。段数は、通常1〜100段、好ましくは5〜90段、より好ましくは10〜80段である。環流比は、通常0.1〜100、好ましくは0.5〜80、より好ましくは1〜60の範囲である。本発明のワニスに使用するGBLの抜き出し温度は特に限定されないが、上記特徴を有するGBLを得やすい観点から、好ましくは90〜140℃、より好ましくは100〜130℃である。また、得られるGBLの波長275nmにおける光線透過率又はガスクロマトグラフィー分析の結果を見ながら、抜き出し温度を調整してもよい。蒸留は連続式であっても、回分式であってもよい。
例えばオルダーショウ型蒸留塔を用いる場合、塔頂温度、塔底温度及び抜き出し温度の組合せとしては、例えば塔頂温度を100℃とし、塔底温度を112℃とし、抜き出し温度を108℃とする条件、塔頂温度を75℃とし、塔底温度を120℃とし、抜き出し温度を112℃とする条件、塔頂温度を110℃とし、塔底温度を131℃とし、抜き出し温度を125℃とする条件などが挙げられる。
上記特徴を有する、GBL(A)又はGBL(B)は、例えば特許第4154897号公報、特許第4348890号公報、特許第5392937号公報等に記載される方法によって、GBLを、蒸留塔を用いて蒸留し、上記特徴を満たすGBLが得られるように抜き出し温度を設定することによって製造してもよい。
なお、GBLを精製する際に、エポキシ化合物等を添加することも知られているが、当該方法により得たGBLを用いてポリイミド系高分子を含むワニスを製造する場合には、光学フィルムの光学特性を十分に高めることができない場合がある。そのため、当該方法は本発明のワニスを得るためのGBLの製法として適さないと考えられる。
本発明のワニスにおける溶媒の含有量は、ワニスの総量に対して、好ましくは75〜99質量%、より好ましくは78〜95質量%、さらに好ましくは80〜90質量%である。溶媒の含有量が上記の範囲内であると、ワニスの状態で長期保管後にポリイミド系高分子フィルムを製造した場合であっても、得られるフィルムの黄変を防止しやすく、また、ワニスをキャスト製膜するに最適な粘度になりやすいため、ハンドリング性が良好となると共に、得られる光学フィルムの視認性を高めやすい。
本発明のワニスにおけるポリイミド系高分子の含有量は、ワニスの総量に基づいて、好ましくは1〜25質量%、より好ましくは5〜22質量%、さらに好ましくは10〜20質量%である。ポリイミド系高分子の含有量が上記の範囲内であると、ワニスの状態で長期保管後にポリイミド系高分子フィルムを製造した場合であっても、得られるフィルムの黄変を防止しやすく、また、ワニスをキャスト製膜するに最適な粘度になりやすいため、ハンドリング性が良好となると共に、得られる光学フィルムの視認性を高めやすい。
本発明のワニスは、L*a*b*表色系に基づく色差測定において、L*≧80、−10≦a*≦10、及び−10≦b*≦10を満たすことが好ましい。上記色差測定におけるL*は、最終的に得られる高分子材料の透明性、視認性を高めやすい観点から、好ましくは90以上、より好ましくは93以上、さらに好ましくは95以上である。L*の上限は特に限定されず、100以下であればよい。上記色差測定におけるa*は、赤みの指標を表し、最終的に得られる高分子材料の視認性を高めやすい観点から、好ましくは−10以上10以下、より好ましくは−7以上7以下、さらに好ましくは−5以上5以下である。上記色差測定におけるb*は、青みの指標を表し、最終的に得られる高分子材料の視認性を高めやすい観点から、好ましくは−10以上10以下、より好ましくは−5以上10以下、さらに好ましくは−3以上7以下である。上記色差は、色差計を用いて測定することができ、例えば実施例に記載する方法により測定することができる。
<ポリイミド系樹脂>
本発明のワニスに含まれるポリイミド系樹脂は、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂又はポリイミド樹脂及びポリアミドイミド樹脂の前駆体であるポリアミック酸樹脂である。本発明のワニスは、1種類のポリイミド系樹脂を含有していてもよいし、2種以上のポリイミド系樹脂を含有していてもよい。ポリイミド系樹脂は、製膜性の観点から、好ましくはポリイミド樹脂又はポリアミドイミド樹脂であり、より好ましくはポリアミドイミド樹脂である。
本発明のワニスに含まれるポリイミド系樹脂は、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂又はポリイミド樹脂及びポリアミドイミド樹脂の前駆体であるポリアミック酸樹脂である。本発明のワニスは、1種類のポリイミド系樹脂を含有していてもよいし、2種以上のポリイミド系樹脂を含有していてもよい。ポリイミド系樹脂は、製膜性の観点から、好ましくはポリイミド樹脂又はポリアミドイミド樹脂であり、より好ましくはポリアミドイミド樹脂である。
本発明のワニスに含まれるポリイミド系樹脂のポリスチレン換算重量平均分子量は、好ましくは200,000以上、より好ましくは250,000以上、さらに好ましくは300,000以上である。ポリイミド系樹脂のポリスチレン換算重量平均分子量は、ワニスの製造しやすさや、高分子材料を製造する際の成膜性の観点からは、好ましくは800,000以下、より好ましくは600,000以下、さらに好ましくは500,000以下、さらにより好ましくは450,000以下である。上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により測定される。測定条件としては、実施例に記載する条件を使用してよい。
本発明の一実施形態において、ポリイミド系樹脂は、式(1)で表される構成単位を有するポリイミド樹脂であるか、又は、式(1)で表される構成単位及び式(2)で表される構成単位を有するポリアミドイミド樹脂であることが好ましい。ポリイミド系樹脂は、透明性や屈曲性の観点から、式(1)で表される構成単位及び式(2)で表される構成単位を有するポリアミドイミド樹脂であることがより好ましい。以下において式(1)及び式(2)について説明するが、式(1)についての説明は、ポリイミド樹脂及びポリアミドイミド樹脂の両方に関し、式(2)についての説明は、ポリアミドイミド樹脂に関する。
式(1)で表される構成単位は、テトラカルボン酸化合物とジアミン化合物とが反応して形成される構成単位であり、式(2)で表される構成単位は、ジカルボン酸化合物とジアミン化合物とが反応して形成される構成単位である。
ポリイミド系樹脂が、式(1)で表される構成単位を有するポリイミド樹脂であるか、又は、式(1)で表される構成単位及び式(2)で表される構成単位を有するポリアミドイミド樹脂である本発明の一態様において、式(1)中のYは、互いに独立に、4価の有機基を表し、好ましくは炭素数4〜40の4価の有機基を表す。前記有機基は、有機基中の水素原子が炭化水素基又はフッ素置換された炭化水素基で置換されていてもよい有機基であり、その場合、炭化水素基及びフッ素置換された炭化水素基の炭素数は好ましくは1〜8である。本発明の一実施態様である上記ポリイミド系樹脂は、複数種のYを含み得、複数種のYは、互いに同一であっても、異なっていてもよい。Yとしては、式(20)、式(21)、式(22)、式(23)、式(24)、式(25)、式(26)、式(27)、式(28)又は式(29)で表される基;それらの式(20)〜式(29)で表される基中の水素原子がメチル基、フルオロ基、クロロ基又はトリフルオロメチル基で置換された基;ならびに4価の炭素数6以下の鎖式炭化水素基が例示される。
[式(20)〜式(29)中、
*は結合手を表し、
W1は、単結合、−O−、−CH2−、−CH2−CH2−、−CH(CH3)−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−Ar−、−SO2−、−CO−、−O−Ar−O−、−Ar−O−Ar−、−Ar−CH2−Ar−、−Ar−C(CH3)2−Ar−又は−Ar−SO2−Ar−を表す。Arは、水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリーレン基を表し、具体例としてはフェニレン基が挙げられる。]
*は結合手を表し、
W1は、単結合、−O−、−CH2−、−CH2−CH2−、−CH(CH3)−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−Ar−、−SO2−、−CO−、−O−Ar−O−、−Ar−O−Ar−、−Ar−CH2−Ar−、−Ar−C(CH3)2−Ar−又は−Ar−SO2−Ar−を表す。Arは、水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリーレン基を表し、具体例としてはフェニレン基が挙げられる。]
式(20)、式(21)、式(22)、式(23)、式(24)、式(25)、式(26)、式(27)、式(28)及び式(29)で表される基の中でも、該ポリイミド系樹脂を含んでなる光学部材の表面硬度及び柔軟性の観点から、式(26)、式(28)又は式(29)で表される基が好ましく、式(26)で表される基がより好ましい。また、W1は、該ポリイミド系樹脂を含んでなる光学部材の表面硬度及び柔軟性の観点から、互いに独立に、単結合、−O−、−CH2−、−CH2−CH2−、−CH(CH3)−、−C(CH3)2−又は−C(CF3)2−であることが好ましく、単結合、−O−、−CH2−、−CH(CH3)−、−C(CH3)2−又は−C(CF3)2−であることがより好ましく、単結合、−O−、−C(CH3)2−又は−C(CF3)2−であることがさらに好ましく、−O−又は−C(CF3)2−であることがことさら好ましい。
上記態様において、式(1)中の複数のYの少なくとも一部は、式(5)で表される構成単位であることが好ましい。式(1)中の複数のYの少なくとも一部が式(5)で表される基であると、得られる光学部材は、高い透明性を発現しやすい。また、高い屈曲性骨格に由来して、該ポリイミド系樹脂の溶媒への溶解性を向上し、ポリイミド系樹脂を含むワニスの粘度を低く抑制することができ、また光学部材の加工を容易にすることができる。
[式(5)中、R18〜R25は、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基を表し、R18〜R25に含まれる水素原子は、互いに独立に、ハロゲン原子で置換されていてもよく、
*は結合手を表す。]
*は結合手を表す。]
式(5)において、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25は、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基を表し、好ましくは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、より好ましくは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表す。炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基及び炭素数6〜12のアリール基としては、式(3)における炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基として後述するものが挙げられる。ここで、R18〜R25に含まれる水素原子は、互いに独立に、ハロゲン原子で置換されていてもよい。R18〜R25は、互いに独立に、該ポリイミド系樹脂を含んでなる光学部材の表面硬度及び柔軟性の観点から、さらに好ましくは水素原子、メチル基、フルオロ基、クロロ基又はトリフルオロメチル基であり、特に好ましくは水素原子又はトリフルオロメチル基である。
本発明の好適な実施態様においては、式(5)で表される構成単位は、式(5’)で表される基であり、すなわち、複数のYの少なくとも一部は、式(5’)で表される構成単位である。この場合、該ポリイミド系樹脂を含んでなる光学部材は、高い透明性を有することができる。
[式(5’)中、*は結合手を表す]
本発明の好適な実施態様において、上記ポリイミド系樹脂中のYの、好ましくは50モル%以上、より好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上が式(5)、特に式(5’)で表される。上記ポリイミド系樹脂における上記範囲内のYが式(5)、特に式(5’)で表されると、該ポリイミド系樹脂を含んでなる光学部材は高い透明性を有することができ、さらにフッ素元素を含有する骨格により該ポリイミド系樹脂の溶媒への溶解性を向上し、ポリイミド系樹脂を含むワニスの粘度を低く抑制することができ、また光学部材の製造が容易である。なお、好ましくは、上記ポリイミド系樹脂中のYの100モル%以下が式(5)、特に式(5’)で表される。上記ポリイミド系樹脂中のYは式(5)、特に式(5’)であってもよい。上記ポリイミド系樹脂中のYの式(5)で表される構成単位の含有率は、例えば1H−NMRを用いて測定することができ、又は原料の仕込み比から算出することもできる。
ポリイミド系樹脂が式(1)で表される構成単位及び式(2)で表される構成単位を有するポリアミドイミド樹脂である本発明の一態様において、式(2)中のZは、互いに独立に、2価の有機基を表す。本発明の一実施形態において、ポリアミドイミド樹脂は、複数種のZを含み得、複数種のZは、互いに同一であっても異なっていてもよい。前記2価の有機基は、好ましくは炭素数4〜40の2価の有機基を表す。前記有機基は、炭化水素基又はフッ素置換された炭化水素基で置換されていてもよく、その場合、炭化水素基及びフッ素置換された炭化水素基の炭素数は好ましくは1〜8である。Zの有機基としては、式(20)、式(21)、式(22)、式(23)、式(24)、式(25)、式(26)、式(27)、式(28)又は式(29)で表される基の結合手のうち、隣接しない2つが水素原子に置き換わった基並びに炭素数6以下の2価の鎖式炭化水素基が例示される。光学部材の光学特性を向上、例えばYI値を低減しやすい観点から、式(20)、式(21)、式(22)、式(23)、式(24)、式(25)、式(26)、式(27)、式(28)又は式(29)で表される基の結合手のうち、隣接しない2つが水素原子に置き換わった基で表される基が好ましい。本発明の一実施形態において、ポリアミドイミド樹脂は、Zとして1種類の有機基を含んでいてもよいし、2種類以上の有機基を含んでいてもよい。
Zの有機基としては、式(20’)、式(21’)、式(22’)、式(23’)、式(24’)、式(25’)、式(26’)、式(27’)、式(28’)及び式(29’):
[式(20’)〜式(29’)中、W1及び*は、式(20)〜式(29)において定義する通りである]
で表される2価の有機基がより好ましい。なお、式(20)〜式(29)及び式(20’)〜式(29’)における環上の水素原子は、炭素数1〜8の炭化水素基、フッ素置換された炭素数1〜8の炭化水素基、炭素数1〜6のアルコキシ基、フッ素置換された炭素数1〜6のアルコキシ基で置換されていてもよい。
で表される2価の有機基がより好ましい。なお、式(20)〜式(29)及び式(20’)〜式(29’)における環上の水素原子は、炭素数1〜8の炭化水素基、フッ素置換された炭素数1〜8の炭化水素基、炭素数1〜6のアルコキシ基、フッ素置換された炭素数1〜6のアルコキシ基で置換されていてもよい。
ポリアミドイミド樹脂が、式(2)中のZが上記の式(20’)〜式(29’)のいずれかで表される構成単位を有する場合、ポリアミドイミド樹脂は、該構成単位に加えて、次の式(d1):
[式(d1)中、R24は、互いに独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基を表し、R25は、R24又は−C(=O)−*を表し、*は結合手を表す]
で表されるカルボン酸由来の構成単位をさらに有することが、ワニスの粘度を低くしやすく、ワニスの成膜性を高めやすく、得られる光学フィルムの均一性を高めやすい観点から好ましい。
で表されるカルボン酸由来の構成単位をさらに有することが、ワニスの粘度を低くしやすく、ワニスの成膜性を高めやすく、得られる光学フィルムの均一性を高めやすい観点から好ましい。
R24において、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基及び炭素数6〜12のアリール基としては、それぞれ、後述する式(3)中のR1〜R8に関して例示のものが挙げられる。構成単位(d1)としては、具体的には、R24及びR25がいずれも水素原子である構成単位(ジカルボン酸化合物に由来する構成単位)、R24がいずれも水素原子であり、R25が−C(=O)−*を表す構成単位(トリカルボン酸化合物に由来する構成単位)等が挙げられる。
本発明の一実施形態において、ポリアミドイミド樹脂は、複数種のZを含み得、複数種のZは、互いに同一であっても異なっていてもよい。特に、得られるフィルムの表面硬度及び光学特性を向上させやすい観点から、Zの少なくとも一部が、式(3a):
[式(3a)中、Rg及びRhは、互いに独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、又は炭素数6〜12のアリール基を表し、Rg及びRhに含まれる水素原子は、互いに独立に、ハロゲン原子で置換されていてもよく、A、m及び*は式(3)中のA、m及び*と同じであり、t及びuは互いに独立に0〜4の整数である]
で表されることが好ましく、式(3):
[式(3)中、R1〜R8は、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、又は炭素数6〜12のアリール基を表し、R1〜R8に含まれる水素原子は、互いに独立に、ハロゲン原子で置換されていてもよく、
Aは、互いに独立に、単結合、−O−、−CH2−、−CH2−CH2−、−CH(CH3)−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−SO2−、−S−、−CO−又は−N(R9)−を表し、R9は水素原子、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜12の1価の炭化水素基を表し、
mは0〜4の整数であり、
*は結合手を表す]
で表されることがより好ましい。
で表されることが好ましく、式(3):
Aは、互いに独立に、単結合、−O−、−CH2−、−CH2−CH2−、−CH(CH3)−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−SO2−、−S−、−CO−又は−N(R9)−を表し、R9は水素原子、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜12の1価の炭化水素基を表し、
mは0〜4の整数であり、
*は結合手を表す]
で表されることがより好ましい。
式(3)及び式(3a)において、Aは、互いに独立に、単結合、−O−、−CH2−、−CH2−CH2−、−CH(CH3)−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−SO2−、−S−、−CO−又は−N(R9)−を表し、得られるフィルムの耐屈曲性の観点から、好ましくは−O−又は−S−を表し、より好ましくは−O−を表す。
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、又は炭素数6〜12のアリール基を表す。Rg及びRhは、互いに独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、又は炭素数6〜12のアリール基を表す。炭素数1〜6のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、2−メチル−ブチル基、3−メチルブチル基、2−エチル−プロピル基、n−ヘキシル基等が挙げられる。炭素数1〜6のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等が挙げられる。炭素数6〜12のアリール基としては、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基等が挙げられる。ワニスから得られるフィルムの表面硬度及び柔軟性の観点から、R1〜R8は、互いに独立に、好ましくは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、より好ましくは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、さらに好ましくは水素原子を表す。ここで、R1〜R8、Rg及びRhに含まれる水素原子は、互いに独立に、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
R9は水素原子、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜12の1価の炭化水素基を表す。炭素数1〜12の1価の炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、2−メチル−ブチル基、3−メチルブチル基、2−エチル−プロピル基、n−ヘキシル、n−ヘプチル基、n−オクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられ、これらはハロゲン原子で置換されていてもよい。前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。ポリイミド系樹脂は、複数種のAを含み得、複数種のAは、互いに同一でよく、異なっていてもよい。
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、又は炭素数6〜12のアリール基を表す。Rg及びRhは、互いに独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、又は炭素数6〜12のアリール基を表す。炭素数1〜6のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、2−メチル−ブチル基、3−メチルブチル基、2−エチル−プロピル基、n−ヘキシル基等が挙げられる。炭素数1〜6のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等が挙げられる。炭素数6〜12のアリール基としては、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基等が挙げられる。ワニスから得られるフィルムの表面硬度及び柔軟性の観点から、R1〜R8は、互いに独立に、好ましくは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、より好ましくは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、さらに好ましくは水素原子を表す。ここで、R1〜R8、Rg及びRhに含まれる水素原子は、互いに独立に、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
R9は水素原子、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜12の1価の炭化水素基を表す。炭素数1〜12の1価の炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、2−メチル−ブチル基、3−メチルブチル基、2−エチル−プロピル基、n−ヘキシル、n−ヘプチル基、n−オクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられ、これらはハロゲン原子で置換されていてもよい。前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。ポリイミド系樹脂は、複数種のAを含み得、複数種のAは、互いに同一でよく、異なっていてもよい。
式(3a)中のt及びuは、互いに独立に、0〜4の整数であり、好ましくは0〜2の整数、より好ましくは0又は1、さらにより好ましくは0である。
式(3)及び式(3a)において、mは、0〜4の範囲の整数であり、mがこの範囲内であると、ワニスの安定性、及び、ワニスから得られるフィルムの耐屈曲性や弾性率が良好になりやすい。また、式(3)及び式(3a)において、mは、好ましくは0〜3の範囲の整数、より好ましくは0〜2の範囲の整数、さらに好ましくは0又は1、さらにより好ましくは0である。mがこの範囲内であると、フィルムの耐屈曲性や弾性率を向上させやすい。また、Zは、式(3)又は式(3a)で表される構成単位を1種又は2種類以上含んでいてもよく、光学フィルムの弾性率及び耐屈曲性の向上、YI値低減の観点から、特にmの値が異なる2種類以上の構成単位、好ましくはmの値の異なる2種類又は3種類の構成単位を含んでいてもよい。その場合、ワニスから得られるフィルムの高い弾性率、耐屈曲性及び低いYI値を発現しやすい観点から、樹脂がZにおいて、mが0である式(3)又は式(3a)で表される構成単位を含有することが好ましく、該構成単位に加えてmが1である式(3)又は式(3a)で表される構成単位をさらに含有することがより好ましい。また、mが0である式(3)で表されるZを有する式(2)で表される構成単位に加えて、上記の式(d1)で表される構成単位をさらに有することも好ましい。
本発明の好ましい一実施形態において、樹脂は、式(3)で表される構成単位として、m=0であり、かつR5〜R8が水素原子である構成単位を有する。より好ましい本発明の一実施形態において、樹脂は、式(3)で表される構成単位として、m=0であり、かつR5〜R8が水素原子である構成単位と、式(3’):
で表される構成単位を有する。この場合、ワニスから得られるフィルムの表面硬度及び耐屈曲性を向上させやすく、YI値を低減しやすい。
本発明の好ましい一実施形態において、ポリアミドイミド樹脂の式(1)で表される構成単位及び式(2)で表される構成単位の合計を100モル%としたときに、式(3)又は式(3a)で表される構成単位の割合は、好ましくは20モル%以上、より好ましくは30モル%以上、さらに好ましくは40モル%以上、さらにより好ましくは50モル%以上、とりわけ好ましくは60モル%以上であり、好ましくは90モル%以下、より好ましくは85モル%以下、さらに好ましくは80モル%以下である。式(3)又は式(3a)で表される構成単位の割合が上記の下限以上であると、ワニスから得られるフィルムの表面硬度を高めやすく、かつ耐屈曲性や弾性率を高めやすい。式(3)又は式(3a)で表される構成単位の割合が上記の上限以下であると、式(3)又は式(3a)由来のアミド結合間水素結合による樹脂含有ワニスの粘度上昇を抑制し、フィルムの加工性を向上しやすい。
また、ポリアミドイミド樹脂がm=1〜4である式(3)又は式(3a)の構成単位を有する場合、ポリアミドイミド樹脂の式(1)で表される構成単位及び式(2)で表される構成単位の合計を100モル%としたときに、mが1〜4である式(3)又は式(3a)の構成単位の割合は、好ましくは2モル%以上、より好ましくは4モル%以上、さらに好ましくは6モル%以上、さらにより好ましくは8モル%以上であり、好ましくは70モル%以下、より好ましくは50モル%以下、さらに好ましくは30モル%以下、さらにより好ましくは15モル%以下、ことさら好ましくは12モル%以下である。mが1〜4である式(3)又は式(3a)の構成単位の割合が上記の下限以上であると、ワニスから得られるフィルムの表面硬度及び耐屈曲性を高めやすい。mが1〜4である式(3)又は式(3a)の構成単位の割合が上記の上限以下であると、式(3)又は式(3a)由来のアミド結合間水素結合による樹脂含有ワニスの粘度上昇を抑制し、フィルムの加工性を向上しやすい。なお、式(1)、式(2)、式(3)又は式(3a)で表される構成単位の含有量は、例えば1H−NMRを用いて測定することができ、又は原料の仕込み比から算出することもできる。
本発明の好ましい一実施形態において、上記ポリアミドイミド樹脂中のZの、好ましくは30モル%以上、より好ましくは40モル%以上、さらに好ましくは45モル%以上、さらにより好ましくは50モル%以上、とりわけ好ましくは70モル%以上が、mが0〜4である式(3)又は式(3a)で表される構成単位である。Zの上記の下限以上が、mが0〜4である式(3)又は式(3a)で表される構成単位であると、ワニスから得られるフィルムの表面硬度を高めやすいと共に、耐屈曲性及び弾性率も高めやすい。また、ポリアミドイミド樹脂中のZの100モル%以下が、mが0〜4である式(3)又は式(3a)で表される構成単位であればよい。なお、樹脂中の、mが0〜4である式(3)又は式(3a)で表される構成単位の割合は、例えば1H−NMRを用いて測定することができ、又は原料の仕込み比から算出することもできる。
本発明の好ましい一実施形態において、上記ポリアミドイミド樹脂中のZの、好ましくは5モル%以上、より好ましくは8モル%以上、さらに好ましくは10モル%以上、さらにより好ましくは12モル%以上が、mが1〜4である式(3)又は式(3a)で表される。ポリアミドイミド樹脂のZの上記の下限以上が、mが1〜4である式(3)又は式(3a)で表されると、ワニスから得られるフィルムの表面硬度を高めやすく、かつ耐屈曲性及び弾性率を高めやすい。また、Zの、好ましくは90モル%以下、より好ましくは70モル%以下、さらに好ましくは50モル%以下、さらにより好ましくは30モル%以下が、mが1〜4である式(3)又は式(3a)で表されることが好ましい。Zの上記の上限以下が、mが1〜4である式(3)又は式(3a)で表されると、mが1〜4である式(3)又は式(3a)由来のアミド結合間水素結合による樹脂含有ワニスの粘度上昇を抑制し、フィルムの加工性を向上しやすい。なお樹脂中のmが1〜4である式(3)又は式(3a)で表される構成単位の割合は、例えば1H−NMRを用いて測定することができ、又は原料の仕込み比から算出することもできる。
式(1)及び式(2)において、Xは、互いに独立に、2価の有機基を表し、好ましくは炭素数4〜40の2価の有機基、より好ましくは環状構造を有する炭素数4〜40の2価の有機基を表す。環状構造としては、脂環、芳香環、ヘテロ環構造が挙げられる。前記有機基は、有機基中の水素原子が炭化水素基又はフッ素置換された炭化水素基で置換されていてもよく、その場合、炭化水素基及びフッ素置換された炭化水素基の炭素数は好ましくは1〜8である。本発明の一実施形態において、ポリイミド樹脂又はポリアミドイミド樹脂は、複数種のXを含み得、複数種のXは、互いに同一であっても異なっていてもよい。Xとしては、式(10)、式(11)、式(12)、式(13)、式(14)、式(15)、式(16)、式(17)及び式(18)で表される基;それらの式(10)〜式(18)で表される基中の水素原子がメチル基、フルオロ基、クロロ基又はトリフルオロメチル基で置換された基;並びに炭素数6以下の鎖式炭化水素基が例示される。
式(10)〜式(18)中、*は結合手を表し、
V1、V2及びV3は、互いに独立に、単結合、−O−、−S−、−CH2−、−CH2−CH2−、−CH(CH3)−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−SO2−、−CO−又は−N(Q)−を表す。ここで、Qはハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜12の1価の炭化水素基を表す。炭素数1〜12の1価の炭化水素基としては、R9について上記に述べた基が挙げられる。
1つの例は、V1及びV3が単結合、−O−又は−S−であり、かつ、V2が−CH2−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−又は−SO2−である。V1とV2との各環に対する結合位置、及び、V2とV3との各環に対する結合位置は、互いに独立に、好ましくは各環に対してメタ位又はパラ位であり、より好ましくはパラ位である。
V1、V2及びV3は、互いに独立に、単結合、−O−、−S−、−CH2−、−CH2−CH2−、−CH(CH3)−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−SO2−、−CO−又は−N(Q)−を表す。ここで、Qはハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜12の1価の炭化水素基を表す。炭素数1〜12の1価の炭化水素基としては、R9について上記に述べた基が挙げられる。
1つの例は、V1及びV3が単結合、−O−又は−S−であり、かつ、V2が−CH2−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−又は−SO2−である。V1とV2との各環に対する結合位置、及び、V2とV3との各環に対する結合位置は、互いに独立に、好ましくは各環に対してメタ位又はパラ位であり、より好ましくはパラ位である。
式(10)〜式(18)で表される基の中でも、ワニスから得られるフィルムの表面硬度及び耐屈曲性を高めやすい観点から、式(13)、式(14)、式(15)、式(16)及び式(17)で表される基が好ましく、式(14)、式(15)及び式(16)で表される基がより好ましい。また、V1、V2及びV3は、本発明のワニスから得られるフィルムの表面硬度及び柔軟性を高めやすい観点から、互いに独立に、好ましくは単結合、−O−又は−S−、より好ましくは単結合又は−O−である。
本発明の好ましい一実施形態において、式(1)及び式(2)中の複数のXの少なくとも一部は、式(4):
[式(4)中、R10〜R17は、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基を表し、R10〜R17に含まれる水素原子は、互いに独立に、ハロゲン原子で置換されていてもよく、*は結合手を表す]
で表される構成単位である。式(1)及び式(2)中の複数のXの少なくとも一部が式(4)で表される基であると、ワニスから得られるフィルムの表面硬度及び透明性を高めやすい。
で表される構成単位である。式(1)及び式(2)中の複数のXの少なくとも一部が式(4)で表される基であると、ワニスから得られるフィルムの表面硬度及び透明性を高めやすい。
式(4)において、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16及びR17は、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基を表す。炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基としては、式(3)における炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基として例示のものが挙げられる。R10〜R17は、互いに独立に、好ましくは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、より好ましくは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、ここで、R10〜R17に含まれる水素原子は、互いに独立に、ハロゲン原子で置換されていてもよい。ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。R10〜R17は、互いに独立に、光学フィルムの表面硬度、透明性及び耐屈曲性の観点から、さらに好ましくは水素原子、メチル基、フルオロ基、クロロ基又はトリフルオロメチル基を表し、さらにより好ましくはR10、R12、R13、R14、R15及びR16が水素原子、R11及びR17が水素原子、メチル基、フルオロ基、クロロ基又はトリフルオロメチル基を表し、とりわけ好ましくはR11及びR17がメチル基又はトリフルオロメチル基を表す。
本発明の好ましい一実施形態において、式(4)で表される構成単位は式(4’):
で表される構成単位であり、すなわち、式(1)及び式(2)で表される複数の構成単位中の複数のXの少なくとも一部は、式(4’)で表される構成単位である。この場合、フッ素元素を含有する骨格によりポリイミド系樹脂の溶媒への溶解性を高めやすい。また、ワニスの粘度を低減しやすく、光学フィルムの加工性を向上しやすい。また、フッ素元素を含有する骨格により、ワニスから得られるフィルムの光学特性を向上しやすい。
本発明の好ましい一実施形態において、上記ポリイミド系樹脂中のXの、好ましくは30モル%以上、より好ましくは50モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上が式(4)、とりわけ式(4’)で表される。ポリイミド系樹脂における上記範囲内のXが式(4)、とりわけ式(4’)で表されると、フッ素元素を含有する骨格によりポリイミド系樹脂の溶媒への溶解性を向上させやすい。また、ワニスの粘度を低減しやすく、ワニスから得られるフィルムの加工性を向上しやすい。さらに、フッ素元素を含有する骨格により、ワニスから得られるフィルムの光学特性も向上しやすい。なお、好ましくは、上記ポリイミド系樹脂中のXの100モル%以下が式(4)、とりわけ式(4’)で表される。上記ポリアミドイミド樹脂中のXは式(4)、とりわけ式(4’)であってもよい。上記樹脂中のXの式(4)で表される構成単位の割合は、例えば1H−NMRを用いて測定することができ、又は原料の仕込み比から算出することもできる。
ポリイミド系樹脂は、式(30)で表される構成単位及び/又は式(31)で表される構成単位を含むことができ、式(1)及び式(2)で表される構成単位に、式(30)で表される構成単位及び/又は式(31)で表される構成単位を含むものであってもよい。
式(30)において、Y1は、互いに独立に、4価の有機基であり、好ましくは有機基中の水素原子が炭化水素基又はフッ素置換された炭化水素基で置換されていてもよい有機基である。Y1としては、式(20)、式(21)、式(22)、式(23)、式(24)、式(25)、式(26)、式(27)、式(28)及び式(29)で表される基、それらの式(20)〜式(29)で表される基中の水素原子がメチル基、フルオロ基、クロロ基又はトリフルオロメチル基で置換された基、並びに4価の炭素数6以下の鎖式炭化水素基が例示される。本発明の一実施形態において、ポリイミド系樹脂は、複数種のY1を含み得、複数種のY1は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
式(31)において、Y2は3価の有機基であり、好ましくは有機基中の水素原子が炭化水素基又はフッ素置換された炭化水素基で置換されていてもよい有機基である。Y2としては、上記の式(20)、式(21)、式(22)、式(23)、式(24)、式(25)、式(26)、式(27)、式(28)及び式(29)で表される基の結合手のいずれか1つが水素原子に置き換わった基、及び3価の炭素数6以下の鎖式炭化水素基が例示される。本発明の一実施形態において、ポリイミド系樹脂は、複数種のY2を含み得、複数種のY2は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
式(30)及び式(31)において、X1及びX2は、互いに独立に、2価の有機基であり、好ましくは有機基中の水素原子が炭化水素基又はフッ素置換された炭化水素基で置換されていてもよい有機基である。X1及びX2としては、上記の式(10)、式(11)、式(12)、式(13)、式(14)、式(15)、式(16)、式(17)及び式(18)で表される基;それら式(10)〜式(18)で表される基中の水素原子がメチル基、フルオロ基、クロロ基又はトリフルオロメチル基で置換された基;並びに炭素数6以下の鎖式炭化水素基が例示される。
本発明の一実施形態において、ポリイミド系樹脂は、式(1)及び/又は式(2)で表される構成単位、並びに場合により式(30)及び/又は式(31)で表される構成単位からなる。また、ワニスから得られるフィルムの光学特性、表面硬度及び耐屈曲性の観点から、上記ポリイミド系樹脂において、式(1)及び式(2)で表される構成単位は、式(1)及び式(2)、並びに場合により式(30)及び式(31)で表される全構成単位に基づいて、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上である。なお、ポリイミド系樹脂において、式(1)及び式(2)で表される構成単位は、式(1)及び式(2)、並びに場合により式(30)及び/又は式(31)で表される全構成単位に基づいて、通常100%以下である。なお、上記割合は、例えば、1H−NMRを用いて測定することができ、又は原料の仕込み比から算出することもできる。
本発明の一実施形態において、ワニスから得られるフィルム中におけるポリイミド系樹脂の含有量は、該フィルム100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは30質量部以上、さらに好ましくは50質量部以上であり、好ましくは99.5質量部以下、より好ましくは95質量部以下である。ポリイミド系樹脂の含有量が上記範囲内であると、ワニスから得られるフィルムの光学特性及び弾性率を向上させやすい。
ポリアミドイミド樹脂において、式(2)で表される構成単位の含有量は、式(1)で表される構成単位1モルに対して、好ましくは0.1モル以上、より好ましくは0.5モル以上、さらに好ましくは1.0モル以上、さらにより好ましくは1.5モル以上であり、好ましくは6.0モル以下、より好ましくは5.0モル以下、さらに好ましくは4.5モル以下である。式(2)で表される構成単位の含有量が上記の下限以上であると、ワニスから得られるフィルムの表面硬度を高めやすい。また、式(2)で表される構成単位の含有量が上記の上限以下であると、式(2)中のアミド結合間の水素結合による増粘を抑制し、光学フィルムの加工性を向上させやすい。
本発明の好ましい一実施形態において、ポリイミド系樹脂は、例えば上記の含フッ素置換基等によって導入することができる、フッ素原子等のハロゲン原子を含んでよい。ポリイミド系樹脂がハロゲン原子を含む場合、該ポリイミド系樹脂を含むフィルムの弾性率を向上させ、かつYI値を低減させやすい。フィルムの弾性率が高いと、該フィルムを例えばフレキシブル表示装置において使用する際に、該フィルムにおける傷及びシワ等の発生を抑制しやすい。また、フィルムのYI値が低いと、該フィルムの透明性及び視認性を向上させやすくなる。ハロゲン原子は、好ましくはフッ素原子である。ポリイミド系樹脂にフッ素原子を含有させるために好ましい含フッ素置換基としては、例えばフルオロ基及びトリフルオロメチル基が挙げられる。
ポリイミド系樹脂におけるハロゲン原子の含有量は、ポリイミド系樹脂の質量を基準として、好ましくは1〜40質量%、より好ましくは5〜40質量%、さらに好ましくは5〜30質量%である。ハロゲン原子の含有量が上記の下限以上であると、該ポリイミド系樹脂を含むフィルムの弾性率をより向上させ、吸水率を下げ、YI値をより低減し、透明性及び視認性をより向上させやすい。ハロゲン原子の含有量が上記の上限以下であると、樹脂の合成がしやすくなる。
ポリイミド系樹脂のイミド化率は、好ましくは90%以上、より好ましくは93%以上、さらに好ましくは96%以上である。該ポリイミド系樹脂を含むフィルムの光学的均質性を高めやすい観点から、イミド化率が上記の下限以上であることが好ましい。また、イミド化率の上限は100%以下である。イミド化率は、ポリイミド系樹脂中のテトラカルボン酸化合物に由来する構成単位のモル量の2倍の値に対する、ポリイミド系樹脂中のイミド結合のモル量の割合を示す。なお、ポリイミド系樹脂がトリカルボン酸化合物を含む場合には、ポリイミド系樹脂中のテトラカルボン酸化合物に由来する構成単位のモル量の2倍の値と、トリカルボン酸化合物に由来する構成単位のモル量との合計に対する、ポリイミド樹脂及びポリアミドイミド樹脂中のイミド結合のモル量の割合を示す。また、イミド化率は、IR法、NMR法などにより求めることができ、例えば、NMR法においては、実施例に記載の方法により測定できる。
ポリイミド系樹脂は、市販品を使用してもよい。ポリイミド樹脂の市販品としては、例えば三菱瓦斯化学(株)製ネオプリム(登録商標)、河村産業(株)製KPI−MX300F等が挙げられる。
<ポリイミド系樹脂の製造方法>
ポリイミド樹脂は、例えば、テトラカルボン酸化合物及びジアミン化合物を主な原料として製造でき、ポリアミドイミド樹脂は、例えば、テトラカルボン酸化合物、ジカルボン酸化合物及びジアミン化合物を主な原料として製造できる。ここで、ジカルボン酸化合物は少なくとも式(3”)で表される化合物を含むことが好ましい。
[式(3”)中、R1〜R8は、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、又は炭素数6〜12のアリール基を表し、R1〜R8に含まれる水素原子は、互いに独立に、ハロゲン原子で置換されていてもよく、
Aは、単結合、−O−、−CH2−、−CH2−CH2−、−CH(CH3)−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−SO2−、−S−、−CO−又は−N(R9)−を表し、
R9は水素原子、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜12の1価の炭化水素基を表し、
mは0〜4の整数であり、
R31及びR32は、互いに独立に、ヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基又は塩素原子を表す。]
ポリイミド樹脂は、例えば、テトラカルボン酸化合物及びジアミン化合物を主な原料として製造でき、ポリアミドイミド樹脂は、例えば、テトラカルボン酸化合物、ジカルボン酸化合物及びジアミン化合物を主な原料として製造できる。ここで、ジカルボン酸化合物は少なくとも式(3”)で表される化合物を含むことが好ましい。
Aは、単結合、−O−、−CH2−、−CH2−CH2−、−CH(CH3)−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−SO2−、−S−、−CO−又は−N(R9)−を表し、
R9は水素原子、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜12の1価の炭化水素基を表し、
mは0〜4の整数であり、
R31及びR32は、互いに独立に、ヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基又は塩素原子を表す。]
本発明の好ましい一実施形態において、ジカルボン酸化合物は、mが0である、式(3”)で表される化合物である。ジカルボン酸化合物として、mが0である式(3”)で表される化合物に加えて、Aが酸素原子である式(3”)で表される化合物を使用することがより好ましい。また、別の好ましい一実施形態においては、ジカルボン酸化合物は、R31及びR32が塩素原子である、式(3”)で表される化合物である。また、ジアミン化合物に代えて、ジイソシアネート化合物を用いてもよい。
樹脂の製造に使用されるジアミン化合物としては、例えば、脂肪族ジアミン、芳香族ジアミン及びこれらの混合物が挙げられる。なお、本実施形態において「芳香族ジアミン」とは、アミノ基が芳香環に直接結合しているジアミンを表し、その構造の一部に脂肪族基又はその他の置換基を含んでいてもよい。この芳香環は単環でも縮合環でもよく、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環及びフルオレン環等が例示されるが、これらに限定されるわけではない。これらの中でも、好ましくはベンゼン環である。また「脂肪族ジアミン」とは、アミノ基が脂肪族基に直接結合しているジアミンを表し、その構造の一部に芳香環やその他の置換基を含んでいてもよい。
脂肪族ジアミンとしては、例えば、ヘキサメチレンジアミン等の非環式脂肪族ジアミン、並びに1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ノルボルナンジアミン及び4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン等の環式脂肪族ジアミン等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。
芳香族ジアミンとしては、例えばp−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,4−トルエンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン等の、芳香環を1つ有する芳香族ジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2’−ジメチルベンジジン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノジフェニル(TFMBと記載することがある)、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−クロロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−フルオロフェニル)フルオレン等の、芳香環を2つ以上有する芳香族ジアミンが挙げられる。これらは単独又は2種以上を組合せて使用できる。
芳香族ジアミンは、好ましくは4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2’−ジメチルベンジジン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノジフェニル(TFMB)、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニルであり、より好ましくは4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2’−ジメチルベンジジン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノジフェニル(TFMB)、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニルである。これらは単独又は2種以上を組合せて使用できる。
上記ジアミン化合物の中でも、光学フィルムの高表面硬度、高透明性、高柔軟性、高屈曲耐性及び低着色性の観点からは、ビフェニル構造を有する芳香族ジアミンからなる群から選ばれる1種以上を用いることが好ましい。2,2’−ジメチルベンジジン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル及び4,4’−ジアミノジフェニルエーテルからなる群から選ばれる1種以上を用いることがより好ましく、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノジフェニル(TFMB)を用いることがよりさらに好ましい。
樹脂の製造に用いられるテトラカルボン酸化合物としては、芳香族テトラカルボン酸二無水物等の芳香族テトラカルボン酸化合物;及び脂肪族テトラカルボン酸二無水物等の脂肪族テトラカルボン酸化合物等が挙げられる。テトラカルボン酸化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。テトラカルボン酸化合物は、二無水物の他、酸クロリド化合物等のテトラカルボン酸化合物類縁体であってもよい。
芳香族テトラカルボン酸二無水物の具体例としては、非縮合多環式の芳香族テトラカルボン酸二無水物、単環式の芳香族テトラカルボン酸二無水物及び縮合多環式の芳香族テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。非縮合多環式の芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば4,4’−オキシジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシフェニル)プロパン二無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物(6FDAと記載することがある)、1,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、4,4’−(p−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物、4,4’−(m−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物が挙げられる。また、単環式の芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物が挙げられ、縮合多環式の芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
これらの中でも、好ましくは4,4’−オキシジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシフェニル)プロパン二無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物(6FDA)、1,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、4,4’−(p−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物及び4,4’−(m−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物が挙げられ、より好ましくは4,4’−オキシジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物(6FDA)、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物及び4,4’−(p−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物が挙げられる。これらは単独又は2種以上を組合せて使用できる。
脂肪族テトラカルボン酸二無水物としては、環式又は非環式の脂肪族テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。環式脂肪族テトラカルボン酸二無水物とは、脂環式炭化水素構造を有するテトラカルボン酸二無水物であり、その具体例としては、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物等のシクロアルカンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物及びこれらの位置異性体が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。非環式脂肪族テトラカルボン酸二無水物の具体例としては、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、及び1,2,3,4−ペンタンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。また、環式脂肪族テトラカルボン酸二無水物及び非環式脂肪族テトラカルボン酸二無水物を組合せて用いてもよい。
上記テトラカルボン酸二無水物の中でも、光学フィルムの高表面硬度、高透明性、高柔軟性、高屈曲耐性、及び低着色性の観点から、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物、並びにこれらの混合物が好ましく、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物及び4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物、並びにこれらの混合物がより好ましく、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物(6FDA)がさらに好ましい。
樹脂の製造に用いられるジカルボン酸化合物としては、好ましくはテレフタル酸、4,4’−オキシビス安息香酸又はそれらの酸クロリド化合物が用いられる。テレフタル酸や4,4’−オキシビス安息香酸又はそれらの酸クロリド化合物に加えて、他のジカルボン酸化合物が用いられてもよい。他のジカルボン酸化合物としては、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸及びそれらの類縁の酸クロリド化合物、酸無水物等が挙げられ、2種以上を組合せて用いてもよい。具体例としては、イソフタル酸;ナフタレンジカルボン酸;4,4’−ビフェニルジカルボン酸;3,3’−ビフェニルジカルボン酸;炭素数8以下である鎖式炭化水素、のジカルボン酸化合物及び2つの安息香酸が単結合、−CH2−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−SO2−若しくはフェニレン基で連結された化合物並びに、それらの酸クロリド化合物が挙げられる。具体例としては、4,4’−オキシビス(ベンゾイルクロリド)、テレフタロイルクロリドが好ましく、4,4’−オキシビス(ベンゾイルクロリド)とテレフタロイルクロリドとを組合せて用いることがさらに好ましい。
なお、上記ポリイミド系樹脂は、光学部材の各種物性を損なわない範囲で、上記テトラカルボン酸化合物に加えて、テトラカルボン酸及びトリカルボン酸並びにそれらの無水物及び誘導体をさらに反応させたものであってもよい。
テトラカルボン酸としては、上記テトラカルボン酸化合物の無水物の水付加体が挙げられる。
トリカルボン酸化合物としては、芳香族トリカルボン酸、脂肪族トリカルボン酸及びそれらの類縁の酸クロリド化合物、酸無水物等が挙げられ、2種以上を組合せて用いてもよい。具体例としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸の無水物;1,3,5−ベンゼントリカルボン酸の酸クロリド化合物;2,3,6−ナフタレントリカルボン酸−2,3−無水物;フタル酸無水物と安息香酸とが単結合、−O−、−CH2−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−SO2−若しくはフェニレン基で連結された化合物が挙げられる。
樹脂の製造において、ジアミン化合物、テトラカルボン酸化合物及び/又はジカルボン酸化合物の使用量は、所望とするポリイミド系樹脂の各構成単位の比率に応じて適宜選択できる。
樹脂の製造において、ジアミン化合物、テトラカルボン酸化合物及びジカルボン酸化合物の反応温度は、特に限定されないが、例えば5〜350℃、好ましくは20〜200℃、より好ましくは25〜100℃である。反応時間も特に限定されないが、例えば30分〜10時間程度である。必要に応じて、不活性雰囲気又は減圧の条件下において反応を行ってよい。好ましい態様では、反応は、常圧及び/又は不活性ガス雰囲気下、撹拌しながら行う。また、反応は、反応に不活性な溶媒中で行うことが好ましい。溶媒としては、反応に影響を与えない限り特に限定されないが、例えば、水、メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−ブトキシエタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、GBL、γ−バレロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、乳酸エチル等のエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒;エチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒;アセトニトリル等のニトリル系溶媒;テトラヒドロフラン及びジメトキシエタン等のエーテル系溶媒;クロロホルム及びクロロベンゼン等の塩素含有溶媒;N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒;ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含硫黄系溶媒;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒;及びそれらの組合せなどが挙げられる。これらの中でも、溶解性の観点から、アミド系溶媒を好適に使用できる。
ポリイミド系樹脂の製造におけるイミド化工程では、イミド化触媒の存在下で、イミド化することができる。イミド化触媒としては、例えばトリプロピルアミン、ジブチルプロピルアミン、エチルジブチルアミン等の脂肪族アミン;N−エチルピペリジン、N−プロピルピペリジン、N−ブチルピロリジン、N−ブチルピペリジン、及びN−プロピルヘキサヒドロアゼピン等の脂環式アミン(単環式);アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、アザビシクロ[3.2.1]オクタン、アザビシクロ[2.2.2]オクタン、及びアザビシクロ[3.2.2]ノナン等の脂環式アミン(多環式);並びにピリジン、2−メチルピリジン(2−ピコリン)、3−メチルピリジン(3−ピコリン)、4−メチルピリジン(4−ピコリン)、2−エチルピリジン、3−エチルピリジン、4−エチルピリジン、2,4−ジメチルピリジン、2,4,6−トリメチルピリジン、3,4−シクロペンテノピリジン、5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリン、及びイソキノリン等の芳香族アミンが挙げられる。また、イミド化反応を促進しやすい観点から、イミド化触媒とともに、酸無水物を用いることが好ましい。酸無水物は、イミド化反応に用いられる慣用の酸無水物等が挙げられ、その具体例としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸等の脂肪族酸無水物、フタル酸等の芳香族酸無水物などが挙げられる。
ポリイミド系樹脂は、慣用の方法、例えば、濾過、濃縮、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段や、これらを組合せた分離手段により単離(分離精製)してもよく、好ましい態様では、透明ポリアミドイミド樹脂を含む反応液に、多量のメタノール等のアルコールを加え、樹脂を析出させ、濃縮、濾過、乾燥等を行うことにより単離することができる。
本発明は、本発明のワニスから形成された光学フィルムも提供する。本発明の光学フィルムは、本発明のワニスをキャスト製膜することにより製造することができる。該光学フィルムは、柔軟性、屈曲耐性及び表面硬度に優れるため、画像表示装置の前面板、特にフレキシブルディスプレイの前面板(ウィンドウフィルム)として適当である。光学フィルムは単層であってもよく、複層であってもよい。光学フィルムが複層である場合、各層は同一の組成であってよく、異なる組成であってもよい。
本発明のワニスをキャスト製膜することにより光学フィルムを得る場合、光学部材中におけるポリイミド系樹脂の含有率は、光学部材の全質量に対して、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、特に好ましくは80質量%以上、非常に好ましくは90質量%以上である。ポリイミド系樹脂の含有率が上記の下限以上であると、光学部材の屈曲耐性が良好である。なお、光学部材中におけるポリイミド系樹脂の含有率は、光学部材の全質量に対して、通常100質量%以下である。
(フィラー)
本発明のワニスは、フィラーを含むことができる。フィラーとしては、例えば有機粒子、無機粒子などが挙げられ、好ましくは無機粒子が挙げられる。無機粒子としては、シリカ、ジルコニア、アルミナ、チタニア、酸化亜鉛、酸化ゲルマニウム、酸化インジウム、酸化スズ、インジウムスズ酸化物(ITO)、酸化アンチモン、酸化セリウム等の金属酸化物粒子、フッ化マグネシウム、フッ化ナトリウム等の金属フッ化物粒子などが挙げられ、これらの中でも、得られる光学フィルムの耐衝撃性を向上しやすい観点から、好ましくはシリカ粒子、ジルコニア粒子、アルミナ粒子が挙げられ、より好ましくはシリカ粒子が挙げられる。これらのフィラーは単独又は2種以上を組合せて使用できる。
本発明のワニスは、フィラーを含むことができる。フィラーとしては、例えば有機粒子、無機粒子などが挙げられ、好ましくは無機粒子が挙げられる。無機粒子としては、シリカ、ジルコニア、アルミナ、チタニア、酸化亜鉛、酸化ゲルマニウム、酸化インジウム、酸化スズ、インジウムスズ酸化物(ITO)、酸化アンチモン、酸化セリウム等の金属酸化物粒子、フッ化マグネシウム、フッ化ナトリウム等の金属フッ化物粒子などが挙げられ、これらの中でも、得られる光学フィルムの耐衝撃性を向上しやすい観点から、好ましくはシリカ粒子、ジルコニア粒子、アルミナ粒子が挙げられ、より好ましくはシリカ粒子が挙げられる。これらのフィラーは単独又は2種以上を組合せて使用できる。
フィラー、好ましくはシリカ粒子の平均一次粒子径は、好ましくは10nm以上、より好ましくは15nm以上、さらに好ましくは20nm以上であり、好ましくは100nm以下、より好ましくは90nm以下、さらに好ましくは80nm以下、よりさらに好ましくは70nm以下、とりわけ好ましくは60nm以下、とりわけより好ましくは50nm以下、とりわけさらに好ましくは40nm以下である。シリカ粒子の平均一次粒子径が上記範囲であると、シリカ粒子の凝集を抑制し、得られる光学フィルムの光学特性を向上しやすい。フィラーの平均一次粒子径は、BET法により測定できる。なお、透過型電子顕微鏡(TEM)や走査型電子顕微鏡(SEM)の画像解析により、一次粒子径(平均一次粒子径)を測定してもよい。
本発明のワニスがフィラー、好ましくはシリカ粒子を含有する場合、フィラー、好ましくはシリカ粒子の含有率は、ワニス中の固形分に対して、通常0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上、さらにより好ましくは20質量%以上、とりわけ好ましくは30質量%以上であり、好ましくは60質量%以下である。フィラーの含有量が上記の下限以上であると、得られる光学フィルムの弾性率を向上しやすい。また、フィラーの含有量が上記の上限以下であると、ワニスの保管安定性が向上され、得られる光学フィルムの光学特性を向上しやすい。
(紫外線吸収剤)
本発明のワニスは、1種又は2種以上の紫外線吸収剤を含有していてもよい。紫外線吸収剤は、樹脂材料の分野で紫外線吸収剤として通常用いられているものから、適宜選択することができる。紫外線吸収剤は、400nm以下の波長の光を吸収する化合物を含んでいてもよい。紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系化合物、サリシレート系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、及びトリアジン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。本発明のワニスから得られる光学部材が紫外線吸収剤を含有することにより、ポリイミド系樹脂の劣化が抑制されるため、光学部材の視認性を高めることができる。
なお、本明細書において、「系化合物」とは、当該「系化合物」が付される化合物の誘導体を指す。例えば、「ベンゾフェノン系化合物」とは、母体骨格としてのベンゾフェノンと、ベンゾフェノンに結合している置換基とを有する化合物を指す。
本発明のワニスは、1種又は2種以上の紫外線吸収剤を含有していてもよい。紫外線吸収剤は、樹脂材料の分野で紫外線吸収剤として通常用いられているものから、適宜選択することができる。紫外線吸収剤は、400nm以下の波長の光を吸収する化合物を含んでいてもよい。紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系化合物、サリシレート系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、及びトリアジン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。本発明のワニスから得られる光学部材が紫外線吸収剤を含有することにより、ポリイミド系樹脂の劣化が抑制されるため、光学部材の視認性を高めることができる。
なお、本明細書において、「系化合物」とは、当該「系化合物」が付される化合物の誘導体を指す。例えば、「ベンゾフェノン系化合物」とは、母体骨格としてのベンゾフェノンと、ベンゾフェノンに結合している置換基とを有する化合物を指す。
本発明のワニスが紫外線吸収剤を含有する場合、紫外線吸収剤の含有率は、ワニスの固形分に対して、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上であり、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、さらに好ましくは6質量%以下である。好適な含有率は用いる紫外線吸収剤により異なるが、400nmの光線透過率が20〜60%程度になるように紫外線吸収剤の含有率を調節すると、光学部材の耐光性が高められるとともに、透明性の高い光学部材を得ることができる。
(他の添加剤)
本発明のワニスは、さらに他の添加剤を含有していてもよい。他の成分としては、例えば、酸化防止剤、離型剤、安定剤、ブルーイング剤、難燃剤、pH調整剤、シリカ分散剤、滑剤、増粘剤、及びレベリング剤等が挙げられる。
本発明のワニスは、さらに他の添加剤を含有していてもよい。他の成分としては、例えば、酸化防止剤、離型剤、安定剤、ブルーイング剤、難燃剤、pH調整剤、シリカ分散剤、滑剤、増粘剤、及びレベリング剤等が挙げられる。
他の添加剤を含有する場合、その含有率は、ワニスの固形分に対して、好ましくは0.01質量%以上20質量%以下、より好ましくは0.01質量%以上10質量%以下である。
〔光学フィルム〕
本発明は、本発明のワニスから形成された光学フィルム、特に本発明のワニスをキャスト製膜して得られる光学フィルムも提供する。本発明の光学フィルムは、ワニスを長期保管後であってもポリイミド系樹脂の変性が有効に抑制又は防止されたワニスから形成されるため、高い全光線透過率、低いYI値及び低いヘーズ等の優れた光学特性を有することができる。なお、本明細書において、「光学特性」とは、例えば全光線透過率、YI値及びヘーズを含む光学的に評価し得る特性を示し、「光学特性が向上する」とは、全光線透過率が高くなること、YI値が低くなること、又はヘーズが低くなること等を示す。
本発明は、本発明のワニスから形成された光学フィルム、特に本発明のワニスをキャスト製膜して得られる光学フィルムも提供する。本発明の光学フィルムは、ワニスを長期保管後であってもポリイミド系樹脂の変性が有効に抑制又は防止されたワニスから形成されるため、高い全光線透過率、低いYI値及び低いヘーズ等の優れた光学特性を有することができる。なお、本明細書において、「光学特性」とは、例えば全光線透過率、YI値及びヘーズを含む光学的に評価し得る特性を示し、「光学特性が向上する」とは、全光線透過率が高くなること、YI値が低くなること、又はヘーズが低くなること等を示す。
本発明のワニスから得られる光学部材、特に光学フィルムの厚さは、用途に応じて適宜調整されるが、通常10〜1,000μm、好ましくは15〜500μm、より好ましくは20〜400μm、さらに好ましくは25〜300μmである。なお、本発明において、厚さは接触式のデジマチックインジケーターによって測定することができる。
本発明のワニスから得られる光学部材の全光線透過率Ttは、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは85%以上、さらにより好ましくは90%以上である。光学部材の全光線透過率Ttが上記の下限以上であると、光学部材を画像表示装置に組み込んだ際に、十分な視認性を確保しやすい。なお、光学部材の全光線透過率Ttの上限値は通常100%以下である。全光線透過率は、例えばJIS K 7361−1:1997に準拠してヘーズコンピュータを用いて測定できる。光学部材のヘーズ(Haze)は、好ましくは3.0%以下、より好ましくは2.0%以下、さらに好ましくは1.0%以下、さらにより好ましくは0.8%以下、とりわけ好ましくは0.5%以下、とりわけより好ましくは0.3%以下である。光学部材のヘーズが上記の上限以下であると、光学部材を画像表示装置等のフレキシブル電子デバイスに組み込んだ際に、十分な視認性を確保しやすい。なお、上記ヘーズの下限値は特に限定されず、0%以上であればよい。なお、ヘーズは、JIS K 7105:1981に準拠してヘーズコンピュータを用いて測定できる。
本発明のワニスから得られる光学フィルムのYI値は、好ましくは8以下、より好ましくは5以下、さらに好ましくは3以下、さらにより好ましくは2以下である。光学フィルムのYI値が上記の上限以下であると透明性が良好となり、例えば画像表示装置の前面板に使用した場合に、高い視認性に寄与することができる。またYI値は通常−5以上であり、好ましくは−2以上である。なお、YI値は紫外可視近赤外分光光度計を用いて300〜800nmの光に対する透過率測定を行い、3刺激値(X、Y、Z)を求め、YI=100×(1.2769X−1.0592Z)/Yの式に基づいて算出できる。例えば実施例に記載の方法により測定してよい。
なお、本発明のワニスから光学フィルムを製造する場合、ワニスを長時間保管した後であっても、優れた光学特性を発現できるため、前記全光線透過率、前記ヘーズ及び前記YI値は、保管後のワニスから形成された光学フィルムの全光線透過率、ヘーズ及びYI値であってもよい。
なお、本発明のワニスから光学フィルムを製造する場合、ワニスを長時間保管した後であっても、優れた光学特性を発現できるため、前記全光線透過率、前記ヘーズ及び前記YI値は、保管後のワニスから形成された光学フィルムの全光線透過率、ヘーズ及びYI値であってもよい。
(光学部材の製造方法)
本発明のワニスを用いて、上記のような光学部材、例えば光学フィルムを製造することができる。製造方法は特に限定されない。例えば以下の工程:
(a)本発明のワニスを支持体上に塗布して塗膜を形成する工程(塗布工程)、及び
(b)塗布された液(ポリイミド系樹脂のワニス)を乾燥させて光学部材、特に光学フィルム(ポリイミド系樹脂フィルム)を形成する工程(形成工程)
を含む製造方法によって光学部材を製造することができる。工程(a)及び(b)は、通常この順で行うことができる。
本発明のワニスを用いて、上記のような光学部材、例えば光学フィルムを製造することができる。製造方法は特に限定されない。例えば以下の工程:
(a)本発明のワニスを支持体上に塗布して塗膜を形成する工程(塗布工程)、及び
(b)塗布された液(ポリイミド系樹脂のワニス)を乾燥させて光学部材、特に光学フィルム(ポリイミド系樹脂フィルム)を形成する工程(形成工程)
を含む製造方法によって光学部材を製造することができる。工程(a)及び(b)は、通常この順で行うことができる。
塗布工程においては、ポリイミド系樹脂粉体を溶媒に溶解させ、必要に応じて上記紫外線吸収剤及び他の添加剤を添加し、撹拌することにより、本発明のワニスを調製する。
ワニスの調製に用いられる溶媒として、上記に述べたGBLに加えて、他の溶媒を併用してもよい。他の溶媒としては、例えばN,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒;γ−バレロラクトン等のラクトン系溶媒;ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含硫黄系溶媒;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒;及びそれらの組合せが挙げられる。これらの溶媒の中でも、アミド系溶媒又はラクトン系溶媒が好ましい。また、ワニスには水、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、非環状エステル系溶媒、エーテル系溶媒などが含まれてもよい。
次に、例えば公知のロール・ツー・ロールやバッチ方式により、樹脂基材、SUSベルト、又はガラス基材等の支持体上に、ポリイミド系樹脂のワニスを用いて、流涎成形等によって塗膜を形成することができる。
形成工程において、塗膜を乾燥し、基材から剥離することによって、光学部材を形成することができる。剥離後に更に光学部材を乾燥する乾燥工程を行ってもよい。塗膜の乾燥は、通常50〜350℃の温度にて行うことができる。必要に応じて、不活性雰囲気又は減圧の条件下において塗膜の乾燥を行ってよい。
光学部材の少なくとも一方の表面に、表面処理を施す表面処理工程を行ってもよい。表面処理としては、例えばUVオゾン処理、プラズマ処理、及びコロナ放電処理が挙げられる。
樹脂基材の例としては、SUS等の金属ベルト、PETフィルム、PENフィルム、ポリイミドフィルム、及びポリアミドイミドフィルム等が挙げられる。中でも、耐熱性に優れる観点から、PETフィルム、PENフィルム、ポリイミドフィルム、及び他のポリアミドイミドフィルムが好ましい。さらに、光学部材との密着性及びコストの観点から、PETフィルムがより好ましい。
YIが低減された光学部材(例えば光学フィルム)を製造しやすい観点からは、(a)本発明のワニスを支持体上に塗布し、塗膜を形成させる工程、及び、(b)塗膜を100℃以上240℃以下の温度で乾燥させて、光学フィルムを得る工程を少なくとも含む製造方法により、光学部材を製造することが好ましい。塗膜の乾燥温度は、好ましくは100〜240℃、より好ましくは120〜220℃、さらに好ましくは150〜220℃である。
本発明のワニスを用いて製造され得る光学部材は、高い弾性率と柔軟性を有する。本発明の好適な実施態様において、上記光学部材の弾性率は、好ましくは3.0GPa以上、より好ましくは4.0GPa以上、さらに好ましくは5.0GPa以上、特に好ましくは6.0GPa以上であり、好ましくは10.0GPa以下、より好ましくは8.0GPa以下、さらに好ましくは7.0GPa以下である。光学部材の弾性率が上記の上限以下であると、フレキシブルディスプレイが屈曲する際に、上記光学部材による他の部材の損傷を抑制することができる。弾性率は、例えば(株)島津製作所製オートグラフAG−ISを用いて、10mm幅の試験片をチャック間距離50mm、引張速度20mm/分の条件でS−S曲線を測定し、その傾きから測定することができる。
上記光学部材、特に光学フィルムは、優れた屈曲耐性を有する。本発明の好適な実施態様において、光学部材は、R=1mmで135°を加重0.75kgfで速度175cpmにて測定した際に破断するまでの往復折り曲げ回数が、好ましくは10,000回以上、より好ましくは20,000回以上、さらに好ましくは30,000回以上、さらにより好ましくは40,000回以上、とりわけ好ましくは50,000回以上である。
光学部材の往復折り曲げ回数が上記の下限以上であると、光学部材を屈曲した際に生じ得る織り皺をさらに抑制することができる。なお、光学部材の往復折り曲げ回数は制限されないが、通常1,000,000回の折り曲げが可能であれば十分実用的である。往復折り曲げ回数は、例えば(株)東洋精機製作所製MIT耐折疲労試験機(型式0530)で厚さ50μm、幅10mmの試験片(光学部材)を用いて求めることができる。
光学部材の往復折り曲げ回数が上記の下限以上であると、光学部材を屈曲した際に生じ得る織り皺をさらに抑制することができる。なお、光学部材の往復折り曲げ回数は制限されないが、通常1,000,000回の折り曲げが可能であれば十分実用的である。往復折り曲げ回数は、例えば(株)東洋精機製作所製MIT耐折疲労試験機(型式0530)で厚さ50μm、幅10mmの試験片(光学部材)を用いて求めることができる。
上記光学部材は、優れた透明性を発現することができる。そのため、上記光学部材は、画像表示装置、特にフレキシブルディスプレイの前面板(ウィンドウフィルム)として非常に有用である。本発明の好適な実施態様において、光学部材は、JIS K 7373:2006に準拠したYI値が、好ましくは5以下、より好ましくは3以下、さらに好ましくは2.5以下、さらにより好ましくは2.0以下である。YI値が上記の上限以下である光学部材は、表示装置等の高い視認性に寄与することができる。なお、上記光学部材のYI値は好ましくは0以上である。
〔光学積層体〕
本発明の光学フィルムは、少なくとも一方の面に1以上の機能層を積層して光学積層体を形成することもできる。機能層としては、例えば紫外線吸収層、ハードコート層、プライマー層、ガスバリア層、粘着層、色相調整層、屈折率調整層などが挙げられる。機能層は単独又は二種以上を組合せて使用できる。
本発明の光学フィルムは、少なくとも一方の面に1以上の機能層を積層して光学積層体を形成することもできる。機能層としては、例えば紫外線吸収層、ハードコート層、プライマー層、ガスバリア層、粘着層、色相調整層、屈折率調整層などが挙げられる。機能層は単独又は二種以上を組合せて使用できる。
紫外線吸収層は、紫外線吸収の機能を有する層であり、例えば、紫外線硬化型の透明樹脂、電子線硬化型の透明樹脂、及び熱硬化型の透明樹脂から選ばれる主材と、この主材に分散した紫外線吸収剤とから構成される。
本発明の光学フィルムの少なくとも一方の面には、ハードコート層が設けられていてもよい。ハードコート層の厚さは特に限定されず、例えば、2〜100μmであってもよい。前記ハードコート層の厚さが前記の範囲にあると、耐衝撃性を高めやすい。ハードコート層は、活性エネルギー線照射、或いは熱エネルギー付与により架橋構造を形成し得る反応性材料を含むハードコート組成物を硬化させて形成することができ、活性エネルギー線照射によるものが好ましい。活性エネルギー線は、活性種を発生する化合物を分解して活性種を発生させることができるエネルギー線と定義され、可視光、紫外線、赤外線、X線、α線、β線、γ線及び電子線などが挙げられ、好ましくは紫外線が挙げられる。前記ハードコート組成物は、ラジカル重合性化合物及びカチオン重合性化合物の少なくとも1種の重合物を含有する。
前記ラジカル重合性化合物は、ラジカル重合性基を有する化合物である。前記ラジカル重合性化合物が有するラジカル重合性基としては、ラジカル重合反応を生じ得る官能基であればよく、炭素‐炭素不飽和二重結合を含む基などが挙げられ、具体的には、ビニル基、(メタ)アクリロイル基などが挙げられる。なお、前記ラジカル重合性化合物が2個以上のラジカル重合性基を有する場合、これらのラジカル重合性基はそれぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。前記ラジカル重合性化合物が1分子中に有するラジカル重合性基の数は、ハードコート層の硬度を向上する点から、好ましくは2以上である。前記ラジカル重合性化合物としては、反応性の高さの点から、好ましくは(メタ)アクリロイル基を有する化合物が挙げられ、具体的には1分子中に2〜6個の(メタ)アクリロイル基を有する多官能アクリレートモノマーと称される化合物やエポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートと称される分子内に数個の(メタ)アクリロイル基を有する分子量が数百から数千のオリゴマーが挙げられ、好ましくはエポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート及びポリエステル(メタ)アクリレートから選択された1種以上が挙げられる。
前記カチオン重合性化合物は、エポキシ基、オキセタニル基、ビニルエーテル基等のカチオン重合性基を有する化合物である。前記カチオン重合性化合物が1分子中に有するカチオン重合性基の数は、ハードコート層の硬度を向上する点から、好ましくは2以上であり、より好ましくは3以上である。
また、前記カチオン重合性化合物としては、中でも、カチオン重合性基としてエポキシ基及びオキセタニル基の少なくとも1種を有する化合物が好ましい。エポキシ基、オキセタニル基等の環状エーテル基は、重合反応に伴う収縮が小さいという点から好ましい。また、環状エーテル基のうちエポキシ基を有する化合物は多様な構造の化合物が入手し易く、得られたハードコート層の耐久性に悪影響を与えず、ラジカル重合性化合物との相溶性もコントロールし易いという利点がある。また、環状エーテル基のうちオキセタニル基は、エポキシ基と比較して重合度が高くなりやすく、低毒性であり、得られたハードコート層のカチオン重合性化合物から得られるネットワーク形成速度を早め、ラジカル重合性化合物と混在する領域でも未反応のモノマーを膜中に残さずに独立したネットワークを形成する等の利点がある。
エポキシ基を有するカチオン重合性化合物としては、例えば、脂環族環を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテル又は、シクロヘキセン環、シクロペンテン環含有化合物を、過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化する事によって得られる脂環族エポキシ樹脂;脂肪族多価アルコール、又はそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル、グリシジル(メタ)アクリレートのホモポリマー、コポリマーなどの脂肪族エポキシ樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールFや水添ビスフェノールA等のビスフェノール類、又はそれらのアルキレンオキサイド付加体、カプロラクトン付加体等の誘導体と、エピクロルヒドリンとの反応によって製造されるグリシジルエーテル、及びノボラックエポキシ樹脂等でありビスフェノール類から誘導されるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂等が挙げられる。
また、前記カチオン重合性化合物としては、中でも、カチオン重合性基としてエポキシ基及びオキセタニル基の少なくとも1種を有する化合物が好ましい。エポキシ基、オキセタニル基等の環状エーテル基は、重合反応に伴う収縮が小さいという点から好ましい。また、環状エーテル基のうちエポキシ基を有する化合物は多様な構造の化合物が入手し易く、得られたハードコート層の耐久性に悪影響を与えず、ラジカル重合性化合物との相溶性もコントロールし易いという利点がある。また、環状エーテル基のうちオキセタニル基は、エポキシ基と比較して重合度が高くなりやすく、低毒性であり、得られたハードコート層のカチオン重合性化合物から得られるネットワーク形成速度を早め、ラジカル重合性化合物と混在する領域でも未反応のモノマーを膜中に残さずに独立したネットワークを形成する等の利点がある。
エポキシ基を有するカチオン重合性化合物としては、例えば、脂環族環を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテル又は、シクロヘキセン環、シクロペンテン環含有化合物を、過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化する事によって得られる脂環族エポキシ樹脂;脂肪族多価アルコール、又はそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル、グリシジル(メタ)アクリレートのホモポリマー、コポリマーなどの脂肪族エポキシ樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールFや水添ビスフェノールA等のビスフェノール類、又はそれらのアルキレンオキサイド付加体、カプロラクトン付加体等の誘導体と、エピクロルヒドリンとの反応によって製造されるグリシジルエーテル、及びノボラックエポキシ樹脂等でありビスフェノール類から誘導されるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂等が挙げられる。
前記ハードコート組成物は重合開始剤をさらに含むことができる。重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、ラジカル及びカチオン重合開始剤等が挙げられ、適宜選択して用いられる。これらの重合開始剤は、活性エネルギー線照射及び加熱の少なくとも一種により分解されて、ラジカル又はカチオンを発生してラジカル重合とカチオン重合を進行させるものである。
ラジカル重合開始剤は、活性エネルギー線照射及び加熱の少なくともいずれかによりラジカル重合を開始させる物質を放出することが可能であればよい。例えば、熱ラジカル重合開始剤としては、過酸化水素、過安息香酸等の有機過酸化物、アゾビスブチロニトリル等のアゾ化合物等があげられる。
活性エネルギー線ラジカル重合開始剤としては、分子の分解でラジカルが生成されるType1型ラジカル重合開始剤と、3級アミンと共存して水素引き抜き型反応でラジカルを生成するType2型ラジカル重合開始剤があり、それらは単独で又は併用して使用される。
カチオン重合開始剤は、活性エネルギー線照射及び加熱の少なくともいずれかによりカチオン重合を開始させる物質を放出することが可能であればよい。カチオン重合開始剤としては、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、シクロペンタジエニル鉄(II)錯体等が使用できる。これらは、構造の違いによって活性エネルギー線照射又は加熱のいずれかあるいはいずれでもカチオン重合を開始することができる。
ラジカル重合開始剤は、活性エネルギー線照射及び加熱の少なくともいずれかによりラジカル重合を開始させる物質を放出することが可能であればよい。例えば、熱ラジカル重合開始剤としては、過酸化水素、過安息香酸等の有機過酸化物、アゾビスブチロニトリル等のアゾ化合物等があげられる。
活性エネルギー線ラジカル重合開始剤としては、分子の分解でラジカルが生成されるType1型ラジカル重合開始剤と、3級アミンと共存して水素引き抜き型反応でラジカルを生成するType2型ラジカル重合開始剤があり、それらは単独で又は併用して使用される。
カチオン重合開始剤は、活性エネルギー線照射及び加熱の少なくともいずれかによりカチオン重合を開始させる物質を放出することが可能であればよい。カチオン重合開始剤としては、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、シクロペンタジエニル鉄(II)錯体等が使用できる。これらは、構造の違いによって活性エネルギー線照射又は加熱のいずれかあるいはいずれでもカチオン重合を開始することができる。
前記重合開始剤は、前記ハードコート組成物全体100質量%に対して好ましくは0.1〜10質量%を含むことができる。前記重合開始剤の含量が前記の範囲にあると、硬化を十分に進行させることができ、最終的に得られる塗膜の機械的物性や密着力を良好な範囲とすることができ、また、硬化収縮による接着力不良や割れ現象及びカール現象が発生し難くなる傾向がある。
前記ハードコート組成物は、溶剤及び添加剤からなる群から選択される一つ以上をさらに含むことができる。
前記溶剤は、前記重合性化合物及び重合開始剤を溶解又は分散させることができるもので、本技術分野のハードコート組成物の溶剤として知られている溶剤であれば、本発明の効果を阻害しない範囲で、使用することができる。
前記添加剤は、無機粒子、レベリング剤、安定剤、界面活性剤、帯電防止剤、潤滑剤、防汚剤などをさらに含むことができる。
前記溶剤は、前記重合性化合物及び重合開始剤を溶解又は分散させることができるもので、本技術分野のハードコート組成物の溶剤として知られている溶剤であれば、本発明の効果を阻害しない範囲で、使用することができる。
前記添加剤は、無機粒子、レベリング剤、安定剤、界面活性剤、帯電防止剤、潤滑剤、防汚剤などをさらに含むことができる。
粘着層は、粘着性の機能を有する層であり、光学フィルムを他の部材に接着させる機能を有する。粘着層の形成材料としては、通常知られたものを用いることができる。例えば、熱硬化性樹脂組成物又は光硬化性樹脂組成物を用いることができる。この場合、事後的にエネルギーを供給することで樹脂組成物を高分子化し硬化させることができる。
粘着層は、感圧型接着剤(Pressure Sensitive Adhesive、PSA)と呼ばれる、押圧により対象物に貼着される層であってもよい。感圧型接着剤は、「常温で粘着性を有し、軽い圧力で被着材に接着する物質」(JIS K6800)である粘着剤であってもよく、「特定成分を保護被膜(マイクロカプセル)に内容し、適当な手段(圧力、熱等)によって被膜を破壊するまでは安定性を保持できる接着剤」(JIS K6800)であるカプセル型接着剤であってもよい。
色相調整層は、色相調整の機能を有する層であり、光学積層体を目的の色相に調整することができる層である。色相調整層は、例えば、樹脂及び着色剤を含有する層である。この着色剤としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、弁柄、チタニウムオキサイド系焼成顔料、群青、アルミン酸コバルト、及びカーボンブラック等の無機顔料;アゾ系化合物、キナクリドン系化合物、アンスラキノン系化合物、ペリレン系化合物、イソインドリノン系化合物、フタロシアニン系化合物、キノフタロン系化合物、スレン系化合物、及びジケトピロロピロール系化合物等の有機顔料;硫酸バリウム、及び炭酸カルシウム等の体質顔料;並びに塩基性染料、酸性染料、及び媒染染料等の染料を挙げることができる。
屈折率調整層は、屈折率調整の機能を有する層であり、例えば光学フィルムとは異なる屈折率を有し、光学積層体に所定の屈折率を付与することができる層である。屈折率調整層は、例えば、適宜選択された樹脂、及び場合によりさらに顔料を含有する樹脂層であってもよいし、金属の薄膜であってもよい。屈折率を調整する顔料としては、例えば、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化錫、酸化チタン、酸化ジルコニウム及び酸化タンタルが挙げられる。該顔料の平均一次粒子径は、0.1μm以下であってもよい。顔料の平均一次粒子径を0.1μm以下とすることにより、屈折率調整層を透過する光の乱反射を防止し、透明度の低下を防止することができる。屈折率調整層に用いられる金属としては、例えば、酸化チタン、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化錫、酸化ケイ素、酸化インジウム、酸窒化チタン、窒化チタン、酸窒化ケイ素、窒化ケイ素等の金属酸化物又は金属窒化物が挙げられる。
光学積層体は、保護フィルムをさらに含んでいてもよい。保護フィルムは、光学フィルムの片面又は両面に積層されていてもよい。光学フィルムの片面に機能層を有する場合には、保護フィルムは、光学フィルム側の表面又は機能層側の表面に積層されていてもよく、光学フィルム側と機能層側の両方に積層されていてもよい。光学フィルムの両面に機能層を有する場合には、保護フィルムは、片方の機能層側の表面に積層されていてもよく、両方の機能層の表面に積層されていてもよい。保護フィルムは、光学フィルム又は機能層の表面を一時的に保護するためのフィルムであり、光学フィルム又は機能層の表面を保護できる剥離可能なフィルムである限り特に限定されない。保護フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂フィルム;ポリエチレン、ポリプロピレンフィルムなどのポリオレフィン系樹脂フィルム、アクリル系樹脂フィルム等が挙げられ、ポリオレフィン系樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム及びアクリル系樹脂フィルムからなる群から選択されることが好ましい。光学積層体が保護フィルムを2つ有する場合、各保護フィルムは同一又は異なっていてもよい。
保護フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、通常、10〜100μm、好ましくは10〜80μm、より好ましくは10〜50μmである。光学積層体が保護フィルムを2つ有する場合、各保護フィルムの厚さは同じであってもよく、異なっていてもよい。
本発明の一実施態様において、光学積層体は、巻芯にロール状に巻回された形態であってもよく、該形態を積層体フィルムロールと称する。巻芯を構成する材料としては、例えばポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂等の合成樹脂;アルミニウム等の金属;繊維強化プラスチック(FRP:ガラス繊維等の繊維をプラスチックに含有させて強度を向上させた複合材料)等が挙げられる。巻芯は円筒状又は円柱状等の形状をなし、その直径は、例えば80〜170mmである。また、積層体フィルムロールの直径(巻取り後の直径)は、特に限定されるものではないが、通常200〜800mmである。本発明の一実施態様において、積層体フィルムロールは、光学フィルムの製造工程において、光学フィルムから支持体を剥離せず、支持体、光学フィルム並びに任意に機能層及び保護フィルムを有する積層体が、巻芯にロール状に巻回された形態を有していてもよい。積層体フィルムロールは、連続的な製造において、スペースその他の制約から一旦フィルムロールの形で保管することが多く、積層体フィルムロールの形態では、積層体がより強く巻き締められているので、支持体上の白濁原因物質が光学フィルム上に転写されやすくなる。しかし、所定の対水接触角を有する支持体を用いると、支持体からの白濁物質が光学フィルムに転写されにくく、それが積層体フィルムロールで巻き締められても、白濁が生じにくい。
上記の光学部材は、紫外線吸収層、粘着層、色相調整層、屈折率調整層等の機能層、ハードコート層を備えてもよい。
本発明のワニスを用いて製造した光学部材(例えば光学フィルム)は、画像表示装置の前面板、中でもフレキシブルディスプレイの前面板、特にローラブルディスプレイやフォルダブルディスプレイの前面板(ウィンドウフィルム)として有用である。上記光学部材は、画像表示装置、特にフレキシブルディスプレイの視認側表面に前面板として配置することができる。この前面板は、フレキシブルディスプレイ内の画像表示素子を保護する機能を有する。上記光学部材を備える画像表示装置は、高い柔軟性及び屈曲耐性を有すると同時に、高い表面硬度を有するため、屈曲した際に他の部材を損傷することがなく、また光学部材自体にも折り皺が生じ難く、さらに表面の傷つきを有利に抑制できる。
〔画像表示装置〕
本発明の光学フィルムは、本発明のワニスから形成され、優れた光学特性を有するため、画像表示装置の前面版(ウィンドウフィルム)として好適に使用できる。本発明の光学フィルムは、画像表示装置、特にフレキシブルディスプレイの視認側表面に前面板として配置することができる。該前面板は、フレキシブルディスプレイ内の画像表示素子を保護する機能を有する。画像表示装置としては、テレビ、スマートフォン、携帯電話、カーナビゲーション、タブレットPC、携帯ゲーム機、電子ペーパー、インジケーター、掲示板、時計、及びスマートウォッチ等のウェアラブルデバイス等が挙げられる。フレキシブルディスプレイとしては、フレキシブル特性を有する画像表示装置、例えばテレビ、スマートフォン、携帯電話、スマートウォッチ等が挙げられる。
本発明の光学フィルムは、本発明のワニスから形成され、優れた光学特性を有するため、画像表示装置の前面版(ウィンドウフィルム)として好適に使用できる。本発明の光学フィルムは、画像表示装置、特にフレキシブルディスプレイの視認側表面に前面板として配置することができる。該前面板は、フレキシブルディスプレイ内の画像表示素子を保護する機能を有する。画像表示装置としては、テレビ、スマートフォン、携帯電話、カーナビゲーション、タブレットPC、携帯ゲーム機、電子ペーパー、インジケーター、掲示板、時計、及びスマートウォッチ等のウェアラブルデバイス等が挙げられる。フレキシブルディスプレイとしては、フレキシブル特性を有する画像表示装置、例えばテレビ、スマートフォン、携帯電話、スマートウォッチ等が挙げられる。
本発明の一実施態様において、画像表示装置は、本発明の光学フィルム、並びに、偏光板、タッチセンサ及び表示パネルからなる群から選択される少なくとも1つを含んでいてもよい。例えば、該光学フィルムの片面に、透明接着剤又は透明粘着剤を介するか、若しくは介さずに、偏光板、タッチセンサ及び表示パネルが積層された画像表示装置であってもよい。なお、本発明の光学フィルムは、上記光学積層体として画像表示装置に組み込まれていてもよく、以下、画像表示装置に含まれる光学フィルムは、上記光学積層体であってもよい。
本発明の一実施態様において、画像表示装置は、前記光学フィルム又は前記偏光板の少なくとも一面に、枠を取り囲んで印刷された有色の遮光パターンを具備することができ、該遮光パターンは単層又は複層の形態であってもよい。前記偏光板は前記非表示領域又はベゼル部にかけて連続的に延長することができ、ポリビニルアルコール系偏光子及び前記ポリビニルアルコール系偏光子の少なくとも一面に積層(又は貼合)された保護層を含む通常の偏光板であってもよい。
本発明の一実施態様では、前記光学フィルムの一面に偏光板及びタッチセンサが一体化された構造において、偏光板及びタッチセンサの配置順序は限定されず、光学フィルム、偏光板、タッチセンサ及び表示パネルの順に配置することもでき、光学フィルム、タッチセンサ、偏光板及び表示パネルの順に配置することもできる。光学フィルム、偏光板、タッチセンサ及び表示パネルの順に配置した場合は、画像表示装置を視認側から見た際にタッチセンサが偏光板の下側に存在するので、タッチセンサのパターンが視認されにくい長所がある。このような場合、タッチセンサの基板は正面位相差が±2.5nm以下であることが好ましい。該基板の素材としては無延伸フィルムとして、例えば、トリアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、シクロオレフィン、シクロオレフィン共重合体、ポリノルボルネン共重合体などの素材からなる群から選択された1以上の素材のフィルムであってもよい。一方、タッチセンサの基板なしにパターンのみ光学フィルム及び偏光板に転写した構造を有することができる。
前記偏光板及びタッチセンサは、透明粘着剤層又は透明接着剤層によって光学フィルムと表示パネルの間に配置することができるが、透明粘着剤層が好適である。光学フィルム、偏光板、タッチセンサ及び表示パネルの順に配置された場合は、光学フィルムと偏光板の間、タッチセンサと表示パネルの間に透明粘着層が位置することができる。光学フィルム、タッチセンサ、偏光板及び表示パネルの順に配置された場合は、光学フィルムとタッチセンサの間、タッチセンサと偏光板の間、偏光板と表示パネルの間に透明粘着剤層を配置することができる。
前記透明粘着層の厚さは特に限定されず、例えば1〜100μmであってもよい。該透明粘着剤層において、下部(表示パネル側)の透明粘着剤層の厚さが上部(光学フィルム側)の透明粘着剤層の厚さ以上であり、−20〜80℃で粘弾性が0.2MPa以下であることが好ましい。その場合、タッチセンサと表示パネル間の干渉によって発生するノイズを低減することができ、屈曲時の界面応力を緩和して上下部の部材の破壊を抑制することができる。透明粘着剤の凝集破壊を抑制すると同時に界面応力を緩和させるという面から、より好ましくは、前記粘弾性は0.01〜0.15MPaであってもよい。
<偏光板>
前記偏光板は、例えば、偏光子、並びに、必要に応じて、支持体、配向膜、位相差コーティング層、接着剤層、粘着剤層及び保護層から選択される少なくとも1つを含んでいてもよい。前記偏光板の厚さは特に限定されず、例えば100μm以下であってもよい。厚さが100μm以下であると柔軟性が低下しにくい。前記範囲内で、例えば5〜100μmであってもよい。
前記偏光板は、例えば、偏光子、並びに、必要に応じて、支持体、配向膜、位相差コーティング層、接着剤層、粘着剤層及び保護層から選択される少なくとも1つを含んでいてもよい。前記偏光板の厚さは特に限定されず、例えば100μm以下であってもよい。厚さが100μm以下であると柔軟性が低下しにくい。前記範囲内で、例えば5〜100μmであってもよい。
前記偏光子は、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤、染色、架橋、延伸、水洗、乾燥するなどの段階を含む工程によって製造された当分野で通常使用されるフィルム型偏光子であってもよく、重合性液晶及び二色性染料を含む偏光コーティング層形成組成物を塗布して形成される塗布型偏光子(偏光コーティング層という場合がある)であってもよい。前記偏光コーティング層(単に偏光層という場合がある)は、例えば、支持体上に配向膜形成組成物を塗布し、配向性を付与して配向膜を形成し、前記配向膜上に重合性液晶化合物及び二色性染料を含む偏光コーティング層形成組成物を塗布し、液晶コーティング層を形成することで製造することができる。このような偏光コーティング層は、フィルム型偏光子の両面に接着剤によって貼り付けられた保護層を含む偏光板に比べて厚さを薄く形成することができる。前記偏光コーティング層の厚さは0.5〜10μm、好ましくは2〜4μmであってもよい。前記支持体としては、保護フィルムとして上記に例示した高分子フィルムを使用することができる。
(配向膜)
前記配向膜は、配向膜形成組成物を塗布して形成することができる。配向膜形成組成物は、当該分野で通常使用される配向剤、光重合開始剤及び溶剤を含むことができる。前記配向剤としては、当該分野で通常使用される配向剤を特に制限なく使用することができる。例えば、ポリアクリレート系高分子、ポリアミック酸、ポリイミド系高分子又はシンナメート基を含む高分子を配向剤として使用することができ、光配向を適用する場合にはシンナメート基を含む高分子を使用することが好ましい。溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、GBL、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、乳酸エチル等のエステル溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶剤、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶剤、アセトニトリル等のニトリル溶剤、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル溶剤、及び、クロロホルム、クロロベンゼン等の塩素化炭化水素溶剤などが挙げられる。溶剤は、単独又は二種以上を組合せて使用できる。
前記配向膜は、配向膜形成組成物を塗布して形成することができる。配向膜形成組成物は、当該分野で通常使用される配向剤、光重合開始剤及び溶剤を含むことができる。前記配向剤としては、当該分野で通常使用される配向剤を特に制限なく使用することができる。例えば、ポリアクリレート系高分子、ポリアミック酸、ポリイミド系高分子又はシンナメート基を含む高分子を配向剤として使用することができ、光配向を適用する場合にはシンナメート基を含む高分子を使用することが好ましい。溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、GBL、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、乳酸エチル等のエステル溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶剤、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶剤、アセトニトリル等のニトリル溶剤、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル溶剤、及び、クロロホルム、クロロベンゼン等の塩素化炭化水素溶剤などが挙げられる。溶剤は、単独又は二種以上を組合せて使用できる。
前記配向膜形成組成物の塗布は、例えば、スピンコーティング法、押出成形法、ディップコーティング、フローコーティング、スプレーコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、マイクログラビアコーティングなどを挙げることができ、好ましくはインラインコーティング方式を使用する。前記配向膜形成組成物が塗布及び必要に応じて乾燥された後には配向処理を行う。前記配向処理は、当該分野において周知の多様な方法を制限なく採用することができ、好ましくは、光配向膜化を使用することができる。光配向膜は通常、光反応性基を有する重合体又は単量体と溶剤を含む光配向膜形成用組成物を支持体に塗布し、偏光(好ましくは、偏光UV)を照射することで得られる。光配向膜は照射する偏光の偏光方向を選択することで、配向規制力の方向を任意に制御できる点で、さらに好ましい。
前記光配向膜の厚さは、通常10〜10,000nm、好ましくは10〜1,000nm、より好ましくは10〜500nmである。光配向膜の厚さが前記範囲にあると、配向規制力が十分に発現される。
(偏光コーティング層)
前記偏光コーティング層は、偏光コーティング層形成組成物を塗布して形成することができる。具体的には、偏光コーティング層形成組成物は二色性色素に加えてホスト化合物となる1以上の重合性液晶(以下、重合性液晶(B)と呼ぶ場合がある)を含む重合性液晶組成物(以下、重合性液晶組成物Bと呼ぶ場合がある)である。
前記偏光コーティング層は、偏光コーティング層形成組成物を塗布して形成することができる。具体的には、偏光コーティング層形成組成物は二色性色素に加えてホスト化合物となる1以上の重合性液晶(以下、重合性液晶(B)と呼ぶ場合がある)を含む重合性液晶組成物(以下、重合性液晶組成物Bと呼ぶ場合がある)である。
「二色性色素」とは、分子の長軸方向における吸光度と短軸方向における吸光度が異なる性質を有する色素を意味する。このような性質を有するものであれば、二色性色素は制限がなく、染料でもよく、顔料でもよい。2種以上の染料を組合せて用いてもよく、2種以上の顔料を組合せて用いてもよく、染料と顔料を組合せて用いてもよい。
二色性色素は、300〜700nmの範囲に極大吸収波長(λMAX)を有することが好ましい。このような二色性色素としては、アクリジン色素、オキサジン色素、シアニン色素、ナフタレン色素、アゾ色素及びアントラキノン色素が挙げられ、好ましくはアゾ色素が挙げられる。アゾ色素としては、モノアゾ色素、ビスアゾ色素、トリスアゾ色素、テトラキスアゾ色素及びスチルベンアゾ色素が挙げられ、好ましくはビスアゾ色素及びトリスアゾ色素が挙げられる。
重合性液晶(B)が示す液晶状態は、スメクチック相であることが好ましく、配向秩序度がより高い偏光層を製造することができるという点で、高次スメクチック相であることがより好ましい。スメクチック相を示す重合性液晶(B)を重合性スメクチック液晶化合物という。重合性液晶(B)は単独、又は組合せて使用することができる。また、2種以上の重合性液晶を組合せる場合は、少なくとも1種が重合性液晶(B)であることが好ましく、2種以上が重合性液晶(B)であることがより好ましい。これらを組合せることで、液晶-結晶相転移温度以下の温度でも一時的に液晶性を保持することができる場合がある。重合性液晶(B)は、例えば、Lub et al.Recl.Trav.Chim.Pays−Bas,115,321−328(1996)又は日本特許第4719156号などに記載の公知の方法で製造される。重合性液晶組成物Bにおける二色性色素の含有量は、二色性色素の種類などに応じて適切に調節できるが、重合性液晶(B)100質量部に対して、好ましくは0.1〜50質量部、より好ましくは0.1〜20質量部、さらに好ましくは0.1〜10質量部である。二色性色素の含有量が前記範囲内であると、重合性液晶(B)の配向を乱すことなく、重合させることができ、また重合性液晶(B)の配向を阻害する傾向が小さい。
重合性液晶組成物Bは、好ましくは溶剤を含む。一般的に、スメクチック液晶化合物は粘度が高いため、溶剤を含む重合性液晶組成物は塗布が容易であり、結果として偏光膜の形成をしやすくする場合が多い。溶剤としては前述の配向性ポリマー組成物に含まれる溶剤と同様のものを挙げることができ、重合性液晶(B)及び二色性色素の溶解性に応じて適切に選択することができる。溶剤の含有量は、重合性液晶組成物Bの総量に対して、好ましくは50〜98質量%である。言い換えれば、重合性液晶組成物Bにおける固形分は、重合性液晶組成物Bの総量に対して、好ましくは2〜50質量%である。
重合性液晶組成物Bは、好ましくは1種以上のレベリング剤を含有する。レベリング剤は組成物Bの流動性を調整し、重合性液晶組成物Bを塗布することで得られる塗布膜をより平坦にする機能を有し、具体的には、界面活性剤を挙げることができる。重合性液晶組成物Bがレベリング剤を含有する場合、その含有量は重合性液晶100質量部に対して、好ましくは0.05〜0.05質量部、より好ましくは0.05〜3質量部である。レベリング剤の含有量が前記の範囲内であると、重合性液晶を水平配向させることが容易であり、また、得られる偏光層がより平滑になる傾向がある。重合性液晶に対するレベリング剤の含有量が前記の範囲内であると、得られる偏光層にむらがあまり生じない傾向がある。
重合性液晶組成物Bは、好ましくは1種以上の重合開始剤を含有する。重合開始剤は重合性液晶(B)の重合反応を開始できる化合物であり、より低温条件下で重合反応を開始することができるという点で光重合開始剤が好ましい。具体的には光の作用によって活性ラジカル又は酸を発生できる光重合開始剤を挙げることができ、その中でも光の作用によってラジカルを発生する光重合開始剤が好ましい。重合開始剤としては、ベンゾイン化合物、ベンゾフェノン化合物、アルキルフェノン化合物、アシルホスフィンオキシド化合物、トリアジン化合物、ヨードニウム塩及びスルホニウム塩を挙げることができる。
重合性液晶組成物Bが重合開始剤を含有する場合、その含有量は、その重合性液晶組成物に含有される重合性液晶の種類及びその量に応じて適切に調節できるが、重合性液晶100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部、より好ましくは0.5〜10質量部、さらに好ましくは0.5〜8質量部である。重合開始剤の含有量がこの範囲内にあると、重合性液晶(B)の配向を乱すことなく重合させることができる。重合性液晶組成物Bが光重合開始剤を含有する場合、前記重合性液晶組成物は光増減剤をさらに含有していてもよい。重合性液晶組成物Bが光重合開始剤及び光増減剤を含有する場合、その重合性液晶組成物に含有される重合性液晶の重合反応をより促進することができる。光増減剤の使用量は光重合開始剤及び重合性液晶の種類及びその量に応じて適切に調節できるが、重合性液晶100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部、より好ましくは0.5〜10質量部、さらに好ましくは0.5〜8質量部である。
重合性液晶の重合反応をより安定的に進行させるために、重合性液晶組成物Bは、適量の重合禁止剤を含有してもよく、これにより、重合性液晶の重合反応の進行程度を制御しやすくなる。重合性液晶組成物Bが重合禁止剤を含有する場合、その含有量は、重合性液晶の種類及びその量、及び光増減剤の使用量などに応じて適切に調節できるが、重合性液晶100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部、より好ましくは0.5〜10質量部、さらに好ましくは0.5〜8質量部である。重合禁止剤の含有量がこの範囲内にあると、重合性液晶の配向を乱すことなく重合させることができる。
偏光コーティング層は通常、偏光コーティング層形成組成物を配向処理が施された支持体上に塗布し、得られた塗布膜中の重合性液晶を重合させることで形成される。前記偏光コーティング層形成組成物を塗布する方法は限定されない。配向処理としては先に例示したものを挙げることができる。偏光コーティング層形成組成物を塗布し、得られた塗布膜中に含まれる重合性液晶が重合しない条件で溶剤を乾燥除去することで乾燥被膜が形成される。乾燥方法としては、自然乾燥法、通風乾燥法、加熱乾燥及び減圧乾燥法を挙げることができる。重合性液晶が重合性スメクチック液晶化合物である場合、乾燥被膜に含まれる重合性スメクチック液晶化合物の液晶状態をネマチック相(ネマチック液晶状態)にした後、スメクチック相に転移させることが好ましい。ネマチック相を経てスメクチック相を形成させるためには、例えば、乾燥被膜に含まれる重合性スメクチック液晶化合物がネマチック相の液晶状態に相転移する温度以上に乾燥被膜を加熱し、続いて、重合性スメクチック液晶化合物がスメクチック相の液晶状態を示す温度まで冷却するという方法が採用される。続いて、乾燥被膜中の重合性液晶の液晶状態をスメクチック相にした後、スメクチック相の液晶状態を保持したまま重合性液晶を光重合させる方法について説明する。光重合において、乾燥被膜に照射する光は、前記乾燥被膜に含まれる光重合開始剤の種類、重合性液晶の種類(特に、重合性液晶が有する光重合基の種類)及びその量に応じて適切に選択でき、その具体例としては、可視光、紫外光及びレーザー光からなる群から選択される活性エネルギー線を挙げることができる。これらのうち、重合反応の進行を制御しやすいという点や光重合装置として当分野で広範囲に用いられているものを使用することができるという点で紫外光が好ましい。光重合を行うことで、重合性液晶は、スメクチック相、好ましくは高次のスメクチック相の液晶状態を保持したまま重合して偏光層が形成される。
(位相差コーティング層)
前記偏光板は、位相差コーティング層(単に位相差層という場合がある)を含んでいてもよい。位相差コーティング層は、光学特性に応じて、λ/2層、λ/4層、ポジティブC層等と総称する。位相差コーティング層は、例えば、表面に配向膜が形成された支持体の配向膜上に液晶化合物を含む位相差コーティング層形成組成物を塗布して液晶コーティング層を形成した後、該液晶コーティング層を、接着層を介して偏光層と貼り付けてから支持体を剥離することで形成することができるが、この方法に制限されるものではない。支持体として、保護フィルムとして上記に例示した高分子フィルムを使用することができ、配向膜及び位相差層が形成される側の支持体面には、配向膜を形成する前に表面処理を施すこともできる。前記配向膜形成組成物及びその塗布及び乾燥方法などは、偏光コーティング層で説明したものと同様である。位相差コーティング層形成組成物の組成は、二色性染料を含んでいないことを除いては、前記偏光コーティング層で説明したものと同様である。また、位相差コーティング層形成組成物の塗布、乾燥及び硬化方法なども、前記偏光コーティング層で説明したものと同様である。
前記偏光板は、位相差コーティング層(単に位相差層という場合がある)を含んでいてもよい。位相差コーティング層は、光学特性に応じて、λ/2層、λ/4層、ポジティブC層等と総称する。位相差コーティング層は、例えば、表面に配向膜が形成された支持体の配向膜上に液晶化合物を含む位相差コーティング層形成組成物を塗布して液晶コーティング層を形成した後、該液晶コーティング層を、接着層を介して偏光層と貼り付けてから支持体を剥離することで形成することができるが、この方法に制限されるものではない。支持体として、保護フィルムとして上記に例示した高分子フィルムを使用することができ、配向膜及び位相差層が形成される側の支持体面には、配向膜を形成する前に表面処理を施すこともできる。前記配向膜形成組成物及びその塗布及び乾燥方法などは、偏光コーティング層で説明したものと同様である。位相差コーティング層形成組成物の組成は、二色性染料を含んでいないことを除いては、前記偏光コーティング層で説明したものと同様である。また、位相差コーティング層形成組成物の塗布、乾燥及び硬化方法なども、前記偏光コーティング層で説明したものと同様である。
位相差コーティング層の厚さは、好ましくは0.5〜10μm、より好ましくは1〜4μmであってもよい。
本発明の一実施形態において、位相差コーティング層は、コーティング層の厚さ、重合性液晶化合物の配向状態などによって光学特性を調節することができる。位相差層の厚さを調節することで、所望の面内位相差を付与する位相差層を製作することができる。面内位相差値(面内リタデーション値、Re)は、数式(1)で定義される値であり、所望のReを得るためには、Δnと厚さ(d)を調節するとよい。
Re=d×Δn(λ)・・・数式(1)(ここでΔn=nx−ny)
(数式(1)中、Reは面内位相差値を表し、dはコーティング層の厚さを表し、Δnは複屈折率を表す。重合性液晶化合物の配向によって形成される屈折率楕円体を考慮する場合、3方向の屈折率、即ち、nx、ny及びnzを次のように定義する。nxは位相差層が形成する屈折率楕円体における該位相差層平面に対して平行な方向の主屈折率を表す。nyは位相差層が形成する屈折率楕円体における該位相差層平面に対して平行であり、nxの方向に対して直交する方向の屈折率を表す。nzは位相差層が形成する屈折率楕円体における該位相差層平面に対して垂直な方向の屈折率を表す。位相差層がλ/4層である場合、面内位相差値Re(550)の範囲は通常113〜163nm、好ましくは130〜150nmである。位相差層がλ/2層である場合、Re(550)の範囲は通常250〜300nm、好ましくは250〜300nmである)
Re=d×Δn(λ)・・・数式(1)(ここでΔn=nx−ny)
(数式(1)中、Reは面内位相差値を表し、dはコーティング層の厚さを表し、Δnは複屈折率を表す。重合性液晶化合物の配向によって形成される屈折率楕円体を考慮する場合、3方向の屈折率、即ち、nx、ny及びnzを次のように定義する。nxは位相差層が形成する屈折率楕円体における該位相差層平面に対して平行な方向の主屈折率を表す。nyは位相差層が形成する屈折率楕円体における該位相差層平面に対して平行であり、nxの方向に対して直交する方向の屈折率を表す。nzは位相差層が形成する屈折率楕円体における該位相差層平面に対して垂直な方向の屈折率を表す。位相差層がλ/4層である場合、面内位相差値Re(550)の範囲は通常113〜163nm、好ましくは130〜150nmである。位相差層がλ/2層である場合、Re(550)の範囲は通常250〜300nm、好ましくは250〜300nmである)
また、重合性液晶化合物の配向状態に応じて、厚さ方向の位相差を発現する位相差層を製作することができる。厚さ方向の位相差を発現するということは、数式(2)で厚さ方向の位相差値Rthが負となる特性を表すことである。
Rth=[(nx+ny)/2−nz]×d・・・数式(2)
(数式(2)中、nx、ny、nz及びdは、前述の定義と同じである)
ポジティブC層の面内位相差値Re(550)の範囲は通常0〜10nm、好ましくは0〜5nmであり、厚さ方向の位相差値Rthの範囲は通常−10〜−300nm、好ましくは−20〜−200nmである。偏光板は、2以上の位相差コーティング層を有していてもよく、位相差コーティング層を2層有する場合は、第1位相差コーティング層は円偏光を作るためのλ/4層であり、第2位相差コーティング層は斜めから見た色味を改善するためのポジティブC層であってもよい。また、第1位相差コーティング層は斜めから見た色味を改善するためのポジティブC層であり、第2位相差コーティング層は円偏光を作るためのλ/4層であってもよい。
Rth=[(nx+ny)/2−nz]×d・・・数式(2)
(数式(2)中、nx、ny、nz及びdは、前述の定義と同じである)
ポジティブC層の面内位相差値Re(550)の範囲は通常0〜10nm、好ましくは0〜5nmであり、厚さ方向の位相差値Rthの範囲は通常−10〜−300nm、好ましくは−20〜−200nmである。偏光板は、2以上の位相差コーティング層を有していてもよく、位相差コーティング層を2層有する場合は、第1位相差コーティング層は円偏光を作るためのλ/4層であり、第2位相差コーティング層は斜めから見た色味を改善するためのポジティブC層であってもよい。また、第1位相差コーティング層は斜めから見た色味を改善するためのポジティブC層であり、第2位相差コーティング層は円偏光を作るためのλ/4層であってもよい。
(接着剤層及び粘着剤層)
前記偏光板は接着剤層及び/又は粘着剤層を含んでいてもよい。本発明の一実施形態において、偏光コーティング層と第1位相差コーティング層、又は第1位相差コーティング層と第2位相差コーティング層は、粘着剤又は接着剤を介して貼合することができる。接着剤層を形成する接着剤としては、水系接着剤、活性エネルギー線硬化性接着剤又は熱硬化性接着剤を用いることができ、好ましくは水系接着剤、活性エネルギー線硬化性接着剤である。粘着剤層としては後述のものが使用できる。
前記偏光板は接着剤層及び/又は粘着剤層を含んでいてもよい。本発明の一実施形態において、偏光コーティング層と第1位相差コーティング層、又は第1位相差コーティング層と第2位相差コーティング層は、粘着剤又は接着剤を介して貼合することができる。接着剤層を形成する接着剤としては、水系接着剤、活性エネルギー線硬化性接着剤又は熱硬化性接着剤を用いることができ、好ましくは水系接着剤、活性エネルギー線硬化性接着剤である。粘着剤層としては後述のものが使用できる。
水系接着剤としては、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液からなる接着剤、水系二液型ウレタン系エマルジョン接着剤等が挙げられる。中でもポリビニルアルコール系樹脂水溶液からなる水系接着剤が好適に用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルをケン化処理して得られるビニルアルコールホモポリマーのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体をケン化処理して得られるポリビニルアルコール系共重合体、又はそれらの水酸基を部分的に変性した変性ポリビニルアルコール系重合体等を用いることができる。水系接着剤は、アルデヒド化合物(グリオキザール等)、エポキシ化合物、メラミン系化合物、メチロール化合物、イソシアネート化合物、アミン化合物、多価金属塩等の架橋剤を含むことができる。
水系接着剤を使用する場合は、コーティング層を貼合した後、水系接着剤中に含まれる水を除去するための乾燥工程を実施することが好ましい。
上記活性エネルギー線硬化性接着剤とは、紫外線、可視光、電子線、X線のような活性エネルギー線の照射によって硬化する硬化性化合物を含有する接着剤であり、好ましくは紫外線硬化性接着剤である。
上記硬化性化合物は、カチオン重合性の硬化性化合物やラジカル重合性の硬化性化合物であることができる。カチオン重合性の硬化性化合物としては、例えば、エポキシ系化合物(分子内に1個又は2個以上のエポキシ基を有する化合物)や、オキセタン系化合物(分子内に1個又は2個以上のオキセタン環を有する化合物)、又はこれらの組合せを挙げることができる。ラジカル重合性の硬化性化合物としては、例えば、(メタ)アクリル系化合物(分子内に1個又は2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物)や、ラジカル重合性の二重結合を有するその他のビニル系化合物、又はこれらの組合せを挙げることができる。カチオン重合性の硬化性化合物とラジカル重合性の硬化性化合物とを併用してもよい。活性エネルギー線硬化性接着剤は通常、上記硬化性化合物の硬化反応を開始させるためのカチオン重合開始剤及び/又はラジカル重合開始剤をさらに含む。
コーティング層を貼合するにあたっては、接着性を高めるために、接着する面の少なくともいずれか一方の貼合面に表面活性化処理を施してもよい。表面活性化処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、放電処理(グロー放電処理等)、火炎処理、オゾン処理、UVオゾン処理、電離活性線処理(紫外線処理、電子線処理等)のような乾式処理;水やアセトン等の溶媒を用いた超音波処理、ケン化処理、アンカーコート処理のような湿式処理を挙げることができる。これらの表面活性化処理は、単独で行ってもよいし、2つ以上を組合せてもよい。
前記接着層の厚さは、その接着力に応じて調節することができ、好ましくは0.1〜10μm、より好ましくは1〜5μmであってもよい。本発明の一実施形態において、前記接着層が複数個使用される構成の場合、同じ材料で又は異なる材料で製造することができ、同じ厚さ又は異なる厚さを有することができる。
粘着剤層は、(メタ)アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂のような樹脂を主成分とする粘着剤組成物で構成することができる。中でも、透明性、耐候性、耐熱性等に優れるポリエステル系樹脂又は(メタ)アクリル系樹脂をベースポリマーとする粘着剤組成物が好適である。粘着剤組成物は、活性エネルギー線硬化型、熱硬化型であってもよい。
本発明で使用する粘着剤樹脂としては、通常、重量平均分子量が30万〜400万であるものが用いられる。耐久性、特に耐熱性を考慮すれば、重量平均分子量は、好ましくは50万〜300万、より好ましくは65万〜200万である。重量平均分子量が30万よりも大きいと、耐熱性の点で好ましく、重量平均分子量が400万よりも小さいと貼り合せ性、接着力が低下する点でも好ましい。なお、重量平均分子量は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定し、ポリスチレン換算により算出された値をいう。
本発明で使用する粘着剤樹脂としては、通常、重量平均分子量が30万〜400万であるものが用いられる。耐久性、特に耐熱性を考慮すれば、重量平均分子量は、好ましくは50万〜300万、より好ましくは65万〜200万である。重量平均分子量が30万よりも大きいと、耐熱性の点で好ましく、重量平均分子量が400万よりも小さいと貼り合せ性、接着力が低下する点でも好ましい。なお、重量平均分子量は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定し、ポリスチレン換算により算出された値をいう。
さらに、粘着剤組成物には、架橋剤を含有することできる。架橋剤としては、有機系架橋剤や多官能性金属キレートを用いることができる。有機系架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、過酸化物系架橋剤、エポキシ系架橋剤、イミン系架橋剤などが挙げられる。多官能性金属キレートは、多価金属が有機化合物と共有結合又は配位結合しているものである。多価金属原子としては、Al、Cr、Zr、Co、Cu、Fe、Ni、V、Zn、In、Ca、Mg、Mn、Y、Ce、Sr、Ba、Mo、La、Sn、Ti等が挙げられる。共有結合又は配位結合する有機化合物中の原子としては酸素原子等が挙げられ、有機化合物としてはアルキルエステル、アルコール化合物、カルボン酸化合物、エーテル化合物、ケトン化合物等が挙げられる。
架橋剤を含有する場合、その使用量は、粘着剤樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01〜20質量部、より好ましくは0.03〜10質量部である。なお、架橋剤が0.01質量部を超えると、粘着剤層の凝集力が不足しない傾向があり、加熱時に発泡が生じるおそれが少なく、一方、20質量部より少ないと、耐湿性が十分であり、信頼性試験等で剥がれが生じにくくなる。
粘着剤組成物は、添加剤として、シランカップリング剤を配合することが好ましい。シランカップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ構造を有するケイ素化合物;3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ基含有ケイ素化合物;3−クロロプロピルトリメトキシシラン;アセトアセチル基含有トリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなどの(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤;3‐イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどのイソシアネート基含有シランカップリング剤などが挙げられる。シランカップリング剤は、耐久性、特に加湿環境下で剥がれを抑える効果を付与できる。シランカップリング剤の使用量は、粘着剤樹脂100質量部に対して、好ましくは1質量部以下、より好ましくは0.01〜1質量部、さらに好ましくは0.02〜0.6質量部である。
さらに、粘着剤組成物は、その他の公知の添加剤を含有していてもよく、たとえば、粘着剤組成物に、着色剤、顔料などの粉体、染料、界面活性剤、可塑剤、粘着性付与剤、表面潤滑剤、レベリング剤、軟化剤、酸化防止剤、老化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、無機又は有機の充填剤、金属粉、粒子状、箔状物などを、使用する用途に応じて適宜添加することができる。また、制御できる範囲内で、還元剤を加えてのレドックス系を採用してもよい。
粘着剤層の厚さは、特に制限されず、例えば、1〜100μm程度、好ましくは2〜50μm、より好ましくは3〜30μmである。
(保護層)
前記偏光板は、保護層を含んでいてもよい。本発明の一実施形態において、偏光板は少なくとも一以上の保護層を有する形態であってもよく、偏光板をなしている偏光子の一面、又は偏光子が位相差層を有する場合は、位相差層の偏光子と反対の面に位置することができる。
前記偏光板は、保護層を含んでいてもよい。本発明の一実施形態において、偏光板は少なくとも一以上の保護層を有する形態であってもよく、偏光板をなしている偏光子の一面、又は偏光子が位相差層を有する場合は、位相差層の偏光子と反対の面に位置することができる。
保護層としては、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、等方性などに優れたフィルムなら特に制限はない。具体的に、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系フィルム;ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロースなどのセルロース系フィルム;ポリカーボネート系フィルム;ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレートなどのアクリル系フィルム;ポリスチレン、アクリロニトリル-スチレン共重合体などのスチレン系フィルム;シクロオレフィン、シクロオレフィン共重合体、ポリノルボルネン、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレンプロピレン共重合体などのポリオレフィン系フィルム;塩化ビニル系フィルム;ナイロン、芳香族ポリアミドなどのポリアミド系フィルム;イミド系フィルム;スルホン系フィルム;ポリエーテルケトン系フィルム;硫化ポリフェニレン系フィルム;ビニルアルコール系フィルム;塩化ビニリデン系フィルム;ビニルブチラール系フィルム;アリレート系フィルム;ポリオキシメチレン系フィルム;ウレタン系フィルム;エポキシ系フィルム;シリコーン系フィルムなどを挙げることができる。これらの中でも特にアルカリなどによって鹸化された表面を有するセルロース系フィルムが偏光特性又は耐久性を考慮すると好ましい。また、保護層は位相差機能のような光学補償機能を兼ね備えたものであってもよい。
前記保護層は、前記偏光子又は前記位相差コーティング層と接着される面に接着力向上のための易接着処理が施されたものであってもよい。易接着処理は、接着力を向上させることができるものなら特に限定されず、例えば、プライマー処理、プラズマ処理、コロナ処理などのドライ処理;アルカリ処理(鹸化処理)などの化学処理;低圧UV処理などを挙げることができる。
<タッチセンサ>
前記画像表示装置は、タッチセンサを含んでいてもよい。タッチセンサは、支持体、支持体上に設けられた下部電極、下部電極に対向する上部電極、下部電極と上部電極とに挟持された絶縁層を有する。
前記画像表示装置は、タッチセンサを含んでいてもよい。タッチセンサは、支持体、支持体上に設けられた下部電極、下部電極に対向する上部電極、下部電極と上部電極とに挟持された絶縁層を有する。
支持体は、光透過性を有する可撓性の樹脂フィルムであれば、種々のものを採用することができる。支持体としては、例えば、保護層として上記に例示のフィルムが挙げられる。
下部電極は、例えば平面視で正方形状の複数の小電極を有する。複数の小電極は、マトリクス状に配列している。
また、複数の小電極は、小電極の一方の対角線方向に隣り合う小電極同士で接続され、複数の電極列を形成している。複数の電極列は、端部で相互に接続され、となり合う電極列間の電気容量を検出可能となっている。
上部電極は、例えば平面視で正方形状の複数の小電極を有する。複数の小電極は、平面視で下部電極が配置されていない位置に、相補的にマトリクス状に配列している。すなわち、上部電極と下部電極とは、平面視で隙間なく配置されている。
また、複数の小電極は、小電極の他方の対角線方向に隣り合う小電極同士で接続され、複数の電極列を形成している。複数の電極列は、端部で相互に接続され、となり合う電極列間の電気容量を検出可能となっている。
絶縁層は、下部電極と上部電極とを絶縁している。絶縁層の形成材料は、タッチセンサの絶縁層の材料として通常知られた材料を使用可能である。
なお、本実施形態においては、タッチセンサが、いわゆる投影型静電容量方式のタッチセンサであることとして説明したが、発明の効果を損なわない範囲において、膜抵抗方式など、他の方式のタッチセンサを採用することもできる。
[フレキシブル表示装置]
本発明は、本発明の光学フィルムを備えるフレキシブル表示装置も提供する。本発明の光学フィルムは、好ましくはフレキシブル表示装置において前面板として用いられ、該前面板はウィンドウフィルムと称されることがある。フレキシブル表示装置は、フレキシブル表示装置用積層体と、有機EL表示パネルとからなり、有機EL表示パネルに対して視認側にフレキシブル表示装置用積層体が配置され、折り曲げ可能に構成されている。フレキシブル表示装置用積層体は、本発明の光学フィルム(ウィンドウフィルム)、円偏光板、タッチセンサを含有していてもよく、それらの積層順は任意であるが、視認側からウィンドウフィルム、円偏光板、タッチセンサ又はウィンドウフィルム、タッチセンサ、円偏光板の順に積層されていることが好ましい。タッチセンサの視認側に円偏光板が存在すると、タッチセンサのパターンが視認されにくくなり表示画像の視認性が良くなるので好ましい。それぞれの部材は接着剤、粘着剤等を用いて積層することができる。また、ウィンドウフィルム、円偏光板、タッチセンサのいずれかの層の少なくとも一面に形成された遮光パターンを具備することができる。
本発明は、本発明の光学フィルムを備えるフレキシブル表示装置も提供する。本発明の光学フィルムは、好ましくはフレキシブル表示装置において前面板として用いられ、該前面板はウィンドウフィルムと称されることがある。フレキシブル表示装置は、フレキシブル表示装置用積層体と、有機EL表示パネルとからなり、有機EL表示パネルに対して視認側にフレキシブル表示装置用積層体が配置され、折り曲げ可能に構成されている。フレキシブル表示装置用積層体は、本発明の光学フィルム(ウィンドウフィルム)、円偏光板、タッチセンサを含有していてもよく、それらの積層順は任意であるが、視認側からウィンドウフィルム、円偏光板、タッチセンサ又はウィンドウフィルム、タッチセンサ、円偏光板の順に積層されていることが好ましい。タッチセンサの視認側に円偏光板が存在すると、タッチセンサのパターンが視認されにくくなり表示画像の視認性が良くなるので好ましい。それぞれの部材は接着剤、粘着剤等を用いて積層することができる。また、ウィンドウフィルム、円偏光板、タッチセンサのいずれかの層の少なくとも一面に形成された遮光パターンを具備することができる。
[偏光板]
本発明のフレキシブル表示装置は、偏光板、好ましくは円偏光板をさらに備えていてもよい。円偏光板は、直線偏光板にλ/4位相差板を積層することにより右円偏光成分若しくは左円偏光成分のみを透過させる機能を有する機能層である。たとえば外光を右円偏光に変換して有機ELパネルで反射されて左円偏光となった外光を遮断し、有機ELの発光成分のみを透過させることで反射光の影響を抑制して画像を見やすくするために用いられる。円偏光機能を達成するためには、直線偏光板の吸収軸とλ/4位相差板の遅相軸は理論上45°である必要があるが、実用的には45±10°である。直線偏光板とλ/4位相差板とは必ずしも隣接して積層される必要はなく、吸収軸と遅相軸の関係が前述の範囲を満足していればよい。全波長において完全な円偏光を達成することが好ましいが実用上は必ずしもその必要はないので本発明における円偏光板は楕円偏光板をも包含する。直線偏光板の視認側にさらにλ/4位相差フィルムを積層して、出射光を円偏光とすることで偏光サングラスをかけた状態での視認性を向上させることも好ましい。
本発明のフレキシブル表示装置は、偏光板、好ましくは円偏光板をさらに備えていてもよい。円偏光板は、直線偏光板にλ/4位相差板を積層することにより右円偏光成分若しくは左円偏光成分のみを透過させる機能を有する機能層である。たとえば外光を右円偏光に変換して有機ELパネルで反射されて左円偏光となった外光を遮断し、有機ELの発光成分のみを透過させることで反射光の影響を抑制して画像を見やすくするために用いられる。円偏光機能を達成するためには、直線偏光板の吸収軸とλ/4位相差板の遅相軸は理論上45°である必要があるが、実用的には45±10°である。直線偏光板とλ/4位相差板とは必ずしも隣接して積層される必要はなく、吸収軸と遅相軸の関係が前述の範囲を満足していればよい。全波長において完全な円偏光を達成することが好ましいが実用上は必ずしもその必要はないので本発明における円偏光板は楕円偏光板をも包含する。直線偏光板の視認側にさらにλ/4位相差フィルムを積層して、出射光を円偏光とすることで偏光サングラスをかけた状態での視認性を向上させることも好ましい。
直線偏光板は、透過軸方向に振動している光は通すが、それとは垂直な振動成分の偏光を遮断する機能を有する機能層である。前記直線偏光板は、直線偏光子単独又は直線偏光子及びその少なくとも一面に貼り付けられた保護フィルムを備えた構成であってもよい。前記直線偏光板の厚さは、200μm以下であってもよく、好ましくは0.5〜100μmである。厚さが前記の範囲にあると柔軟性が低下し難い傾向にある。
前記直線偏光子は、ポリビニルアルコール(PVA)系フィルムを染色、延伸することで製造されるフィルム型偏光子であってもよい。延伸によって配向したPVA系フィルムに、ヨウ素等の二色性色素が吸着、又はPVAに吸着した状態で延伸されることで二色性色素が配向し、偏光性能を発揮する。前記フィルム型偏光子の製造においては、他に膨潤、ホウ酸による架橋、水溶液による洗浄、乾燥等の工程を有していてもよい。延伸や染色工程はPVA系フィルム単独で行ってもよいし、ポリエチレンテレフタレートのような他のフィルムと積層された状態で行うこともできる。用いられるPVA系フィルムの厚さは好ましくは10〜100μmであり、延伸倍率は好ましくは2〜10倍である。
さらに前記偏光子の他の一例としては、液晶偏光組成物を塗布して形成する液晶塗布型偏光子であってもよい。前記液晶偏光組成物は、液晶性化合物及び二色性色素化合物を含むことができる。前記液晶性化合物は液晶状態を示す性質を有していればよく、特にスメクチック相等の高次の配向状態を有していると高い偏光性能を発揮することができるため好ましい。また、液晶性化合物は重合性官能基を有していることも好ましい。
前記直線偏光子は、ポリビニルアルコール(PVA)系フィルムを染色、延伸することで製造されるフィルム型偏光子であってもよい。延伸によって配向したPVA系フィルムに、ヨウ素等の二色性色素が吸着、又はPVAに吸着した状態で延伸されることで二色性色素が配向し、偏光性能を発揮する。前記フィルム型偏光子の製造においては、他に膨潤、ホウ酸による架橋、水溶液による洗浄、乾燥等の工程を有していてもよい。延伸や染色工程はPVA系フィルム単独で行ってもよいし、ポリエチレンテレフタレートのような他のフィルムと積層された状態で行うこともできる。用いられるPVA系フィルムの厚さは好ましくは10〜100μmであり、延伸倍率は好ましくは2〜10倍である。
さらに前記偏光子の他の一例としては、液晶偏光組成物を塗布して形成する液晶塗布型偏光子であってもよい。前記液晶偏光組成物は、液晶性化合物及び二色性色素化合物を含むことができる。前記液晶性化合物は液晶状態を示す性質を有していればよく、特にスメクチック相等の高次の配向状態を有していると高い偏光性能を発揮することができるため好ましい。また、液晶性化合物は重合性官能基を有していることも好ましい。
前記二色性色素は、前記液晶化合物とともに配向して二色性を示す色素であって、二色性色素自身が液晶性を有していてもよいし、重合性官能基を有していることもできる。液晶偏光組成物の中のいずれかの化合物は重合性官能基を有している。
前記液晶偏光組成物はさらに開始剤、溶剤、分散剤、レベリング剤、安定剤、界面活性剤、架橋剤、シランカップリング剤などを含むことができる。
前記液晶偏光層は、配向膜上に液晶偏光組成物を塗布して液晶偏光層を形成することにより製造される。
液晶偏光層は、フィルム型偏光子に比べて厚さを薄く形成することができる。前記液晶偏光層の厚さは、好ましくは0.5〜10μm、より好ましくは1〜5μmであってもよい。
前記配向膜は、例えば基材上に配向膜形成組成物を塗布し、ラビング、偏光照射等により配向性を付与することで製造することができる。前記配向膜形成組成物は、配向剤の他に溶剤、架橋剤、開始剤、分散剤、レベリング剤、シランカップリング剤等を含んでいてもよい。前記配向剤としては、例えば、ポリビニルアルコール類、ポリアクリレート類、ポリアミック酸類、ポリイミド類を使用できる。光配向を適用する場合にはシンナメート基を含む配向剤を使用することが好ましい。前記配向剤として使用される高分子の重量平均分子量が10,000〜1,000,000程度であってもよい。前記配向膜の厚さは、配向規制力の観点から、好ましくは5〜10,000nm、より好ましは10〜500nmである。前記液晶偏光層は基材から剥離して転写して積層することもできるし、前記基材をそのまま積層することもできる。前記基材が、保護フィルムや位相差板、ウィンドウフィルムの透明基材としての役割を担うことも好ましい。
前記液晶偏光組成物はさらに開始剤、溶剤、分散剤、レベリング剤、安定剤、界面活性剤、架橋剤、シランカップリング剤などを含むことができる。
前記液晶偏光層は、配向膜上に液晶偏光組成物を塗布して液晶偏光層を形成することにより製造される。
液晶偏光層は、フィルム型偏光子に比べて厚さを薄く形成することができる。前記液晶偏光層の厚さは、好ましくは0.5〜10μm、より好ましくは1〜5μmであってもよい。
前記配向膜は、例えば基材上に配向膜形成組成物を塗布し、ラビング、偏光照射等により配向性を付与することで製造することができる。前記配向膜形成組成物は、配向剤の他に溶剤、架橋剤、開始剤、分散剤、レベリング剤、シランカップリング剤等を含んでいてもよい。前記配向剤としては、例えば、ポリビニルアルコール類、ポリアクリレート類、ポリアミック酸類、ポリイミド類を使用できる。光配向を適用する場合にはシンナメート基を含む配向剤を使用することが好ましい。前記配向剤として使用される高分子の重量平均分子量が10,000〜1,000,000程度であってもよい。前記配向膜の厚さは、配向規制力の観点から、好ましくは5〜10,000nm、より好ましは10〜500nmである。前記液晶偏光層は基材から剥離して転写して積層することもできるし、前記基材をそのまま積層することもできる。前記基材が、保護フィルムや位相差板、ウィンドウフィルムの透明基材としての役割を担うことも好ましい。
前記保護フィルムとしては、透明な高分子フィルムであればよく、具体的には、用いられる高分子フィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ノルボルネン又はシクロオレフィンを含む単量体の単位を有するシクロオレフィン系誘導体等のポリオレフィン類、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、プロピオニルセルロース等の(変性)セルロース類、メチルメタクリレート(共)重合体等のアクリル類、スチレン(共)重合体等のポリスチレン類、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体類、アクリロニトリル・スチレン共重合体類、エチレン‐酢酸ビニル共重合体類、ポリ塩化ビニル類、ポリ塩化ビニリデン類、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート等のポリエステル類、ナイロン等のポリアミド類、ポリイミド類、ポリアミドイミド類、ポリエーテルイミド類、ポリエーテルスルホン類、ポリスルホン類、ポリビニルアルコール類、ポリビニルアセタール類、ポリウレタン類、エポキシ樹脂類などのフィルムが挙げられ、透明性及び耐熱性に優れる点で、好ましくはポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエステル、オレフィン、アクリル又はセルロース系のフィルムが挙げられる。これらの高分子はそれぞれ単独又は2種以上混合して使用することができる。これらのフィルムは未延伸のまま、あるいは1軸又は2軸延伸したフィルムとして使用される。セルロース系フィルム、オレフィン系フィルム、アクリルフィルム、ポリエステル系フィルムが好ましい。エポキシ樹脂等のカチオン硬化組成物やアクリレート等のラジカル硬化組成物を塗布して硬化して得られるコーティング型の保護フィルムであってもよい。必要により可塑剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、顔料や染料のような着色剤、蛍光増白剤、分散剤、熱安定剤、光安定剤、帯電防止剤、酸化防止剤、滑剤、溶剤等を含んでいてもよい。前記保護フィルムの厚さは、200μm以下であってもよく、好ましくは1〜100μmである。前記保護フィルムの厚さが前記の範囲にあると、保護フィルムの柔軟性が低下し難い。
前記λ/4位相差板は、入射光の進行方向に直交する方向、言い換えるとフィルムの面内方向にλ/4の位相差を与えるフィルムである。前記λ/4位相差板は、セルロース系フィルム、オレフィン系フィルム、ポリカーボネート系フィルム等の高分子フィルムを延伸することで製造される延伸型位相差板であってもよい。必要により位相差調整剤、可塑剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、顔料や染料のような着色剤、蛍光増白剤、分散剤、熱安定剤、光安定剤、帯電防止剤、酸化防止剤、滑剤、溶剤等を含んでいてもよい。前記延伸型位相差板の厚さは、200μm以下であってもよく、好ましくは1〜100μmである。厚さが前記の範囲にあるとフィルムの柔軟性が低下し難い傾向にある。
さらに前記λ/4位相差板の他の一例としては、液晶組成物を塗布して形成する液晶塗布型位相差板であってもよい。前記液晶組成物は、ネマチック、コレステリック、スメクチック等の液晶状態を示す性質を有する液晶性化合物を含む。液晶組成物の中の液晶性化合物を含むいずれかの化合物は重合性官能基を有している。前記液晶塗布型位相差板はさらに開始剤、溶剤、分散剤、レベリング剤、安定剤、界面活性剤、架橋剤、シランカップリング剤などを含むことができる。前記液晶塗布型位相差板は、前記液晶偏光層での記載と同様に配向膜上に液晶組成物を塗布硬化して液晶位相差層を形成することで製造することができる。液晶塗布型位相差板は、延伸型位相差板に比べて厚さを薄く形成することができる。前記液晶偏光層の厚さは、通常0.5〜10μm、好ましくは1〜5μmであってもよい。前記液晶塗布型位相差板は基材から剥離して転写して積層することもできるし、前記基材をそのまま積層することもできる。前記基材が、保護フィルムや位相差板、ウィンドウフィルムの透明基材としての役割を担うことも好ましい。
さらに前記λ/4位相差板の他の一例としては、液晶組成物を塗布して形成する液晶塗布型位相差板であってもよい。前記液晶組成物は、ネマチック、コレステリック、スメクチック等の液晶状態を示す性質を有する液晶性化合物を含む。液晶組成物の中の液晶性化合物を含むいずれかの化合物は重合性官能基を有している。前記液晶塗布型位相差板はさらに開始剤、溶剤、分散剤、レベリング剤、安定剤、界面活性剤、架橋剤、シランカップリング剤などを含むことができる。前記液晶塗布型位相差板は、前記液晶偏光層での記載と同様に配向膜上に液晶組成物を塗布硬化して液晶位相差層を形成することで製造することができる。液晶塗布型位相差板は、延伸型位相差板に比べて厚さを薄く形成することができる。前記液晶偏光層の厚さは、通常0.5〜10μm、好ましくは1〜5μmであってもよい。前記液晶塗布型位相差板は基材から剥離して転写して積層することもできるし、前記基材をそのまま積層することもできる。前記基材が、保護フィルムや位相差板、ウィンドウフィルムの透明基材としての役割を担うことも好ましい。
一般的には、短波長ほど複屈折が大きく、長波長ほど小さな複屈折を示す材料が多い。この場合には全可視光領域でλ/4の位相差を達成することはできないので、視感度の高い560nm付近に対してλ/4となるような面内位相差、すなわち100〜180nm、好ましくは130〜150nmとなるように設計されることが多い。通常とは逆の複屈折率波長分散特性を有する材料を用いた逆分散λ/4位相差板を用いることは視認性をよくすることができるので好ましい。このような材料としては延伸型位相差板の場合は特開2007−232873号公報等、液晶塗布型位相差板の場合には特開2010−30979号公報に記載されているものを用いることも好ましい。
また、他の方法としてはλ/2位相差板と組合せることで広帯域λ/4位相差板を得る技術も知られている(特開平10−90521号公報)。λ/2位相差板もλ/4位相差板と同様の材料及び方法で製造される。延伸型位相差板と液晶塗布型位相差板との組合せは任意であるが、どちらも液晶塗布型位相差板を用いることは厚さを薄くすることができるので好ましい。
前記円偏光板には斜め方向の視認性を高めるために、正のCプレートを積層する方法も知られている(特開2014−224837号公報)。正のCプレートも液晶塗布型位相差板であっても延伸型位相差板であってもよい。厚さ方向の位相差は、通常−200〜−20nm、好ましくは−140〜−40nmである。
また、他の方法としてはλ/2位相差板と組合せることで広帯域λ/4位相差板を得る技術も知られている(特開平10−90521号公報)。λ/2位相差板もλ/4位相差板と同様の材料及び方法で製造される。延伸型位相差板と液晶塗布型位相差板との組合せは任意であるが、どちらも液晶塗布型位相差板を用いることは厚さを薄くすることができるので好ましい。
前記円偏光板には斜め方向の視認性を高めるために、正のCプレートを積層する方法も知られている(特開2014−224837号公報)。正のCプレートも液晶塗布型位相差板であっても延伸型位相差板であってもよい。厚さ方向の位相差は、通常−200〜−20nm、好ましくは−140〜−40nmである。
[タッチセンサ]
本発明のフレキシブル表示装置は、タッチセンサをさらに備えていてもよい。タッチセンサは入力手段として用いられる。タッチセンサとしては、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式、電磁誘導方式、静電容量方式等様々な様式が提案されており、いずれの方式でも構わない。中でも静電容量方式が好ましい。静電容量方式タッチセンサは活性領域及び前記活性領域の外郭部に位置する非活性領域に区分される。活性領域は表示パネルで画面が表示される領域(表示部)に対応する領域であって、使用者のタッチが感知される領域であり、非活性領域は表示装置で画面が表示されない領域(非表示部)に対応する領域である。タッチセンサはフレキシブルな特性を有する基板と;前記基板の活性領域に形成された感知パターンと;前記基板の非活性領域に形成され、前記感知パターンとパッド部を介して外部の駆動回路と接続するための各センシングラインを含むことができる。フレキシブルな特性を有する基板としては、前記高分子フィルムと同様の材料が使用できる。タッチセンサの基板は、その靱性が2,000MPa%以上であるものがタッチセンサのクラック抑制の面から好ましい。より好ましくは靱性が2,000〜30,000MPa%であってもよい。ここで、靭性は、高分子材料の引張実験を通じて得られる応力(MPa)−歪み(%)曲線(Stress-strain curve)で破壊点までの曲線の下部面積として定義される。
本発明のフレキシブル表示装置は、タッチセンサをさらに備えていてもよい。タッチセンサは入力手段として用いられる。タッチセンサとしては、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式、電磁誘導方式、静電容量方式等様々な様式が提案されており、いずれの方式でも構わない。中でも静電容量方式が好ましい。静電容量方式タッチセンサは活性領域及び前記活性領域の外郭部に位置する非活性領域に区分される。活性領域は表示パネルで画面が表示される領域(表示部)に対応する領域であって、使用者のタッチが感知される領域であり、非活性領域は表示装置で画面が表示されない領域(非表示部)に対応する領域である。タッチセンサはフレキシブルな特性を有する基板と;前記基板の活性領域に形成された感知パターンと;前記基板の非活性領域に形成され、前記感知パターンとパッド部を介して外部の駆動回路と接続するための各センシングラインを含むことができる。フレキシブルな特性を有する基板としては、前記高分子フィルムと同様の材料が使用できる。タッチセンサの基板は、その靱性が2,000MPa%以上であるものがタッチセンサのクラック抑制の面から好ましい。より好ましくは靱性が2,000〜30,000MPa%であってもよい。ここで、靭性は、高分子材料の引張実験を通じて得られる応力(MPa)−歪み(%)曲線(Stress-strain curve)で破壊点までの曲線の下部面積として定義される。
前記感知パターンは、第1方向に形成された第1パターン及び第2方向に形成された第2パターンを備えることができる。第1パターンと第2パターンは互いに異なる方向に配置される。第1パターン及び第2パターンは、同一層に形成され、タッチされる地点を感知するためには、それぞれのパターンが電気的に接続されなければならない。第1パターンは各単位パターンが継ぎ手を介して互いに接続された形態であるが、第2パターンは各単位パターンがアイランド形態に互いに分離された構造になっているので、第2パターンを電気的に接続するためには別途のブリッジ電極が必要である。感知パターンは周知の透明電極素材を適用することができる。例えば、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、亜鉛酸化物(ZnO)、インジウム亜鉛スズ酸化物(IZTO)、インジウムガリウム亜鉛酸化物(IGZO)、カドミウムスズ酸化物(CTO)、PEDOT(poly(3,4−ethylenedioxythiophene))、炭素ナノチューブ(CNT)、グラフェン、金属ワイヤなどを挙げることができ、これらは単独又は2種以上混合して使用することができる。好ましくはITOを使用することができる。金属ワイヤに使用される金属は特に限定されず、例えば、銀、金、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、チタン、セレニウム、クロムなどを挙げることができる。これらは単独又は2種以上混合して使用することができる。
ブリッジ電極は感知パターン上部に絶縁層を介して前記絶縁層上部に形成することができ、基板上にブリッジ電極が形成されており、その上に絶縁層及び感知パターンを形成することができる。前記ブリッジ電極は感知パターンと同じ素材で形成することもでき、モリブデン、銀、アルミニウム、銅、パラジウム、金、白金、亜鉛、スズ、チタン又はこれらのうちの2種以上の合金などの金属で形成することもできる。第1パターンと第2パターンは電気的に絶縁されなければならないので、感知パターンとブリッジ電極の間には絶縁層が形成される。絶縁層は第1パターンの継ぎ手とブリッジ電極の間にのみ形成することもでき、感知パターンを覆う層の構造に形成することもできる。後者の場合は、ブリッジ電極は絶縁層に形成されたコンタクトホールを介して第2パターンを接続することができる。前記タッチセンサはパターンが形成されたパターン領域と 、パターンが形成されていない非パターン領域間の透過率の差、具体的には、これらの領域における屈折率の差によって誘発される光透過率の差を適切に補償するための手段として基板と電極の間に光学調節層をさらに含むことができ、前記光学調節層は無機絶縁物質又は有機絶縁物質を含むことができる。光学調節層は光硬化性有機バインダー及び溶剤を含む光硬化組成物を基板上にコーティングして形成することができる。前記光硬化組成物は無機粒子をさらに含むことができる。前記無機粒子によって光学調節層の屈折率を上昇させることができる。
前記光硬化性有機バインダーは、例えば、アクリレート系単量体、スチレン系単量体、カルボン酸系単量体などの各単量体の共重合体を含むことができる。前記光硬化性有機バインダーは、例えば、エポキシ基含有繰り返し単位、アクリレート繰り返し単位、カルボン酸繰り返し単位などの互いに異なる各繰り返し単位を含む共重合体であってもよい。
前記無機粒子は、例えば、ジルコニア粒子、チタニア粒子、アルミナ粒子などを含むことができる。前記光硬化組成物は、光重合開始剤、重合性モノマー、硬化補助剤などの各添加剤をさらに含むこともできる。
前記光硬化性有機バインダーは、例えば、アクリレート系単量体、スチレン系単量体、カルボン酸系単量体などの各単量体の共重合体を含むことができる。前記光硬化性有機バインダーは、例えば、エポキシ基含有繰り返し単位、アクリレート繰り返し単位、カルボン酸繰り返し単位などの互いに異なる各繰り返し単位を含む共重合体であってもよい。
前記無機粒子は、例えば、ジルコニア粒子、チタニア粒子、アルミナ粒子などを含むことができる。前記光硬化組成物は、光重合開始剤、重合性モノマー、硬化補助剤などの各添加剤をさらに含むこともできる。
[接着層]
前記フレキシブル表示装置用積層体を形成する、ウィンドウフィルム、偏光板、タッチセンサなどの各層並びに各層を構成するフィルム部材(直線偏光板、λ/4位相差板等)は接着剤によって接着することができる。接着剤としては、水系接着剤、有機溶剤系接着剤、無溶剤系接着剤、固体接着剤、溶剤揮散型接着剤、湿気硬化型接着剤、加熱硬化型接着剤、嫌気硬化型接着剤、水系溶剤揮散型接着剤、活性エネルギー線硬化型接着剤、硬化剤混合型接着剤、熱溶融型接着剤、感圧型接着剤(粘着剤)、再湿型接着剤等、汎用に使用されているものが使用できる。中でも水系溶剤揮散型接着剤、活性エネルギー線硬化型接着剤、粘着剤がよく用いられる。接着層の厚さは、求められる接着力等に応じて適宜調節することができ、例えば0.01〜500μm、好ましくは0.1〜300μmである。接着層は、前記フレキシブル画像表示装置用積層体には複数存在してよいが、それぞれの厚さ及び用いられる接着剤の種類は同一であっても異なっていてもよい。
前記フレキシブル表示装置用積層体を形成する、ウィンドウフィルム、偏光板、タッチセンサなどの各層並びに各層を構成するフィルム部材(直線偏光板、λ/4位相差板等)は接着剤によって接着することができる。接着剤としては、水系接着剤、有機溶剤系接着剤、無溶剤系接着剤、固体接着剤、溶剤揮散型接着剤、湿気硬化型接着剤、加熱硬化型接着剤、嫌気硬化型接着剤、水系溶剤揮散型接着剤、活性エネルギー線硬化型接着剤、硬化剤混合型接着剤、熱溶融型接着剤、感圧型接着剤(粘着剤)、再湿型接着剤等、汎用に使用されているものが使用できる。中でも水系溶剤揮散型接着剤、活性エネルギー線硬化型接着剤、粘着剤がよく用いられる。接着層の厚さは、求められる接着力等に応じて適宜調節することができ、例えば0.01〜500μm、好ましくは0.1〜300μmである。接着層は、前記フレキシブル画像表示装置用積層体には複数存在してよいが、それぞれの厚さ及び用いられる接着剤の種類は同一であっても異なっていてもよい。
前記水系溶剤揮散型接着剤としてはポリビニルアルコール系ポリマー、でんぷん等の水溶性ポリマー、エチレン−酢酸ビニル系エマルジョン、スチレン−ブタジエン系エマルジョン等水分散状態のポリマーを主剤ポリマーとして使用することができる。水、前記主剤ポリマーに加えて、架橋剤、シラン系化合物、イオン性化合物、架橋触媒、酸化防止剤、染料、顔料、無機フィラー、有機溶剤等を配合してもよい。前記水系溶剤揮散型接着剤によって接着する場合、前記水系溶剤揮散型接着剤を被接着層間に注入して被着層を貼合した後、乾燥させることで接着性を付与することができる。前記水系溶剤揮散型接着剤を用いる場合の接着層の厚さは0.01〜10μm、好ましくは0.1〜1μmであってもよい。前記水系溶剤揮散型接着剤を複数層の形成に用いる場合、それぞれの層の厚さ及び前記接着剤の種類は同一であっても異なっていてもよい。
前記活性エネルギー線硬化型接着剤は、活性エネルギー線を照射して接着剤層を形成する反応性材料を含む活性エネルギー線硬化組成物の硬化により形成することができる。前記活性エネルギー線硬化組成物は、ハードコート組成物と同様のラジカル重合性化合物及びカチオン重合性化合物の少なくとも1種の重合物を含有することができる。前記ラジカル重合性化合物とは、ハードコート組成物と同様であり、ハードコート組成物と同様の種類のものが使用できる。接着層に用いられるラジカル重合性化合物としてはアクリロイル基を有する化合物が好ましい。接着剤組成物としての粘度を下げるために単官能の化合物を含むことも好ましい。
前記カチオン重合性化合物は、ハードコート組成物と同様であり、ハードコート組成物と同様の種類のものが使用できる。活性エネルギー線硬化組成物に用いられるカチオン重合性化合物としては、エポキシ化合物がとりわけ好ましい。接着剤組成物の粘度を下げるために単官能の化合物を反応性希釈剤として含むことも好ましい。
活性エネルギー線組成物には重合開始剤をさらに含むことができる。重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、ラジカル又はカチオン重合開始剤等であり、適宜選択して用いることができる。これらの重合開始剤は、活性エネルギー線照射及び加熱の少なくとも一種により分解されて、ラジカルもしくはカチオンを発生してラジカル重合とカチオン重合を進行させるものである。ハードコート組成物の記載の中で活性エネルギー線照射によりラジカル重合又はカチオン重合の内の少なくともいずれか開始することができる開始剤を使用することができる。
活性エネルギー線組成物には重合開始剤をさらに含むことができる。重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、ラジカル又はカチオン重合開始剤等であり、適宜選択して用いることができる。これらの重合開始剤は、活性エネルギー線照射及び加熱の少なくとも一種により分解されて、ラジカルもしくはカチオンを発生してラジカル重合とカチオン重合を進行させるものである。ハードコート組成物の記載の中で活性エネルギー線照射によりラジカル重合又はカチオン重合の内の少なくともいずれか開始することができる開始剤を使用することができる。
前記活性エネルギー線硬化組成物はさらに、イオン捕捉剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、密着付与剤、熱可塑性樹脂、充填剤、流動粘度調整剤、可塑剤、消泡剤溶剤、添加剤、溶剤を含むことができる。前記活性エネルギー線硬化型接着剤によって接着する場合、前記活性エネルギー線硬化組成物を被接着層のいずれか又は両方に塗布後貼合し、いずれかの被着層又は両方の被着層を通して活性エネルギー線を照射して硬化させることで接着することができる。前記活性エネルギー線硬化型接着剤を用いる場合の接着層の厚さは、通常0.01〜20μm、好ましくは0.1〜10μmであってもよい。前記活性エネルギー線硬化型接着剤を複数層の形成に用いる場合には、それぞれの層の厚さ及び用いられる接着剤の種類は同一であっても異なっていてもよい。
前記粘着剤としては、主剤ポリマーに応じて、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤等に分類され何れを使用することもできる。粘着剤には主剤ポリマーに加えて、架橋剤、シラン系化合物、イオン性化合物、架橋触媒、酸化防止剤、粘着付与剤、可塑剤、染料、顔料、無機フィラー等を配合してもよい。前記粘着剤を構成する各成分を溶剤に溶解・分散させて粘着剤組成物を得て、該粘着剤組成物を基材上に塗布した後に乾燥させることで、粘着層(接着層)が形成される。粘着層は直接形成されてもよいし、別途基材に形成したものを転写することもできる。接着前の粘着面をカバーするためには離型フィルムを使用することも好ましい。前記粘着剤を用いる場合の接着層の厚さは、通常1〜500μm、好ましくは2〜300μmであってもよい。前記粘着剤を複数層の形成に用いる場合、それぞれの層の厚さ及び用いられる粘着剤の種類は同一であっても異なっていてもよい。
<遮光パターン>
前記遮光パターンは光学フィルム又は光学フィルムが適用される表示装置のベゼル又はハウジングの少なくとも一部であってもよい。例えば、遮光パターンによって前記表示装置の各配線が隠されて使用者に視認されないことがある。遮光パターンのカラー及び/又は材質は特に制限されることはなく、黒色、白色、金色などの多様なカラーを有する樹脂物質で形成することができる。例えば、遮光パターンはカラーを具現するための顔料を混合しているアクリル系樹脂、エステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタン、シリコーンなどの樹脂物質で形成することができる。前記遮光パターンの材質及び厚さは光学フィルム又は表示装置の保護及びフレキシブル特性を考慮して決定することができる。また、これらの単独又は2種類以上の混合物で使用することもできる。前記遮光パターンは、印刷、リソグラフィ、インクジェットなど各種の方法にて形成することができる。遮光パターンの厚さは、通常1〜100μm、好ましくは2〜50μmである。また、遮光パターンの厚さ方向に傾斜等の形状を付与することも好ましい。
前記遮光パターンは光学フィルム又は光学フィルムが適用される表示装置のベゼル又はハウジングの少なくとも一部であってもよい。例えば、遮光パターンによって前記表示装置の各配線が隠されて使用者に視認されないことがある。遮光パターンのカラー及び/又は材質は特に制限されることはなく、黒色、白色、金色などの多様なカラーを有する樹脂物質で形成することができる。例えば、遮光パターンはカラーを具現するための顔料を混合しているアクリル系樹脂、エステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタン、シリコーンなどの樹脂物質で形成することができる。前記遮光パターンの材質及び厚さは光学フィルム又は表示装置の保護及びフレキシブル特性を考慮して決定することができる。また、これらの単独又は2種類以上の混合物で使用することもできる。前記遮光パターンは、印刷、リソグラフィ、インクジェットなど各種の方法にて形成することができる。遮光パターンの厚さは、通常1〜100μm、好ましくは2〜50μmである。また、遮光パターンの厚さ方向に傾斜等の形状を付与することも好ましい。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。例中の「%」及び「部」は、特記しない限り、質量%及び質量部を意味する。まず評価方法について説明する。
[ポリスチレン換算重量平均分子量の測定]
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定
(1)前処理方法
試料をGBLに溶かして20%溶液とした後、DMF溶離液にて100倍に希釈し、0.45μmメンブランフィルターろ過したものを測定溶液とした。
(2)測定条件
カラム:TSKgel SuperAWM−H×2+SuperAW2500×1(6.0mm I.D.×150mm×3本)
溶離液:10mmol/L臭化リチウムを含むDMF溶液
流量:0.6mL/分
検出器:RI検出器
カラム温度:40℃
注入量:20μL
分子量標準:標準ポリスチレン
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定
(1)前処理方法
試料をGBLに溶かして20%溶液とした後、DMF溶離液にて100倍に希釈し、0.45μmメンブランフィルターろ過したものを測定溶液とした。
(2)測定条件
カラム:TSKgel SuperAWM−H×2+SuperAW2500×1(6.0mm I.D.×150mm×3本)
溶離液:10mmol/L臭化リチウムを含むDMF溶液
流量:0.6mL/分
検出器:RI検出器
カラム温度:40℃
注入量:20μL
分子量標準:標準ポリスチレン
[GBLの波長275nmにおける光線透過率]
GBLを、紫外可視近赤外分光光度計(日本分光(株)製「V−670」)を用いて測定した。まずMilliQ水を光路長1cmの石英セルに詰め、この石英セルを紫外可視近赤外分光光度にセットして、ブランク測定を行った。続いて、GBLを光路長1cmの石英セルに詰め、この石英セルを前記分光光度にセットした。波長300〜800nmの白色光を照射して、透過率測定を行うことで、波長275nmの透過率を得た。
GBLを、紫外可視近赤外分光光度計(日本分光(株)製「V−670」)を用いて測定した。まずMilliQ水を光路長1cmの石英セルに詰め、この石英セルを紫外可視近赤外分光光度にセットして、ブランク測定を行った。続いて、GBLを光路長1cmの石英セルに詰め、この石英セルを前記分光光度にセットした。波長300〜800nmの白色光を照射して、透過率測定を行うことで、波長275nmの透過率を得た。
[GBLのガスクロマトグラフィー測定]
GBLに含まれる不純物のピークは、ガスクロマトグラフを用いて測定した。
(1)測定条件
装置:(株)島津製作所製GC−2025
カラム:Agilent Technologies DB−WAX(30m×0.32mm I.D.、df 0.50μm)
検出器:FID
H2 40mL/分、Air 400mL/分
メークアップガス(N2) 25mL/分
注入口温度:250℃
検出器温度:250℃
試料注入量:1μL
スプリット比:1:50
カラム温度条件:初期温度120℃(1分保持)10℃/分で240℃まで昇温、240℃(7分保持)
キャリアーガス:He
キャリアーガス流量:23.3cm/秒
(2)積分値の算出方法
上記のガスクロマトグラフィー分析における面積百分率、すなわち、ガスクロマトグラフの分析結果における全ピーク面積値に対する各不純物ピークの面積百分率を表した。また、各ピークの相対保持時間(Rrt)は、(ピークの保持時間)÷(GBLの保持時間)で算出した。
GBLに含まれる不純物のピークは、ガスクロマトグラフを用いて測定した。
(1)測定条件
装置:(株)島津製作所製GC−2025
カラム:Agilent Technologies DB−WAX(30m×0.32mm I.D.、df 0.50μm)
検出器:FID
H2 40mL/分、Air 400mL/分
メークアップガス(N2) 25mL/分
注入口温度:250℃
検出器温度:250℃
試料注入量:1μL
スプリット比:1:50
カラム温度条件:初期温度120℃(1分保持)10℃/分で240℃まで昇温、240℃(7分保持)
キャリアーガス:He
キャリアーガス流量:23.3cm/秒
(2)積分値の算出方法
上記のガスクロマトグラフィー分析における面積百分率、すなわち、ガスクロマトグラフの分析結果における全ピーク面積値に対する各不純物ピークの面積百分率を表した。また、各ピークの相対保持時間(Rrt)は、(ピークの保持時間)÷(GBLの保持時間)で算出した。
[厚さ測定]
ポリイミド系高分子フィルムの厚さは、デジマチック シックネスゲージ((株)ミツトヨ製「品番547−401」)を用いて測定した。
ポリイミド系高分子フィルムの厚さは、デジマチック シックネスゲージ((株)ミツトヨ製「品番547−401」)を用いて測定した。
[全光線透過率(Tt)及びHazeの測定]
実施例及び比較例で得られた透明ポリイミド系高分子フィルムの全光線透過率Ttを、JIS K 7105:1981に準拠して、ヘーズメーター(スガ試験機(株)製「全自動直読ヘーズコンピュータHGM−2DP」)により測定した。
実施例及び比較例で得られた透明ポリイミド系高分子フィルムの全光線透過率Ttを、JIS K 7105:1981に準拠して、ヘーズメーター(スガ試験機(株)製「全自動直読ヘーズコンピュータHGM−2DP」)により測定した。
[ワニスのL*、a*、b*の測定方法]
(1)ワニスの光学特性の測定
実施例及び比較例で得られた固形分濃度7.5質量%のワニスのL*、a*、b*を、紫外可視近赤外分光光度計(日本分光(株)製「V−670」)を用いて測定した。MilliQ水を光路長1cmの石英セルに詰め、この石英セルを前記分光光度にセットして、ブランク測定を行った。続いて、ワニスを光路長1cmの石英セルに詰め、この石英セルを前記分光光度にセットした。波長300〜800nmの白色光を照射して、透過率測定を行い、L*、a*、b*値を得た。また得られたb*を初期のb*(保管前のb*)とした。
(1)ワニスの光学特性の測定
実施例及び比較例で得られた固形分濃度7.5質量%のワニスのL*、a*、b*を、紫外可視近赤外分光光度計(日本分光(株)製「V−670」)を用いて測定した。MilliQ水を光路長1cmの石英セルに詰め、この石英セルを前記分光光度にセットして、ブランク測定を行った。続いて、ワニスを光路長1cmの石英セルに詰め、この石英セルを前記分光光度にセットした。波長300〜800nmの白色光を照射して、透過率測定を行い、L*、a*、b*値を得た。また得られたb*を初期のb*(保管前のb*)とした。
(2)ワニス保管試験:Δb*の算出
実施例1〜3及び比較例1〜2で得られたワニスを50℃で1週間保管した。保管したワニスのb*を測定し、保管後のb*を得た。初期のb*及び保管後のb*から、差(Δb*)を得た。
実施例1〜3及び比較例1〜2で得られたワニスを50℃で1週間保管した。保管したワニスのb*を測定し、保管後のb*を得た。初期のb*及び保管後のb*から、差(Δb*)を得た。
[フィルムのYIの測定方法]
(1)フィルムのYI値の算出
実施例及び比較例で得られた透明ポリイミド系高分子フィルムのそれぞれのYI値(Yellow Index)を、前記分光光度計(日本分光(株)製「V−670」)を用いて測定した。サンプルがない状態でバックグランド測定を行った後、ポリイミド系フィルムをサンプルホルダーにセットして、波長300〜800nmの光に対する透過率測定を行い、3刺激値(X、Y、Z)を求めた。3刺激値から下記の式に基づいてYI値を算出した。得られたYI値を初期のYI値(保管前のYI値)とした。
YI=100×(1.2769X−1.0592Z)/Y
(2)ワニス保管試験:ΔYI値の算出
実施例1〜3及び比較例1〜2で得られたワニスを50℃、1週間保管した。保管後のワニスを製膜して得られたフィルムのYI値を初期のYI値と同様の方法で測定し、保管後のYI値とした。初期のYI値及び保管後のYI値から、差(ΔYI)を得た。
(1)フィルムのYI値の算出
実施例及び比較例で得られた透明ポリイミド系高分子フィルムのそれぞれのYI値(Yellow Index)を、前記分光光度計(日本分光(株)製「V−670」)を用いて測定した。サンプルがない状態でバックグランド測定を行った後、ポリイミド系フィルムをサンプルホルダーにセットして、波長300〜800nmの光に対する透過率測定を行い、3刺激値(X、Y、Z)を求めた。3刺激値から下記の式に基づいてYI値を算出した。得られたYI値を初期のYI値(保管前のYI値)とした。
YI=100×(1.2769X−1.0592Z)/Y
(2)ワニス保管試験:ΔYI値の算出
実施例1〜3及び比較例1〜2で得られたワニスを50℃、1週間保管した。保管後のワニスを製膜して得られたフィルムのYI値を初期のYI値と同様の方法で測定し、保管後のYI値とした。初期のYI値及び保管後のYI値から、差(ΔYI)を得た。
[合成例1:ポリアミドイミド樹脂(1)の製造]
十分に乾燥させた撹拌機と温度計を備える反応容器に、窒素を導通させ、容器内を窒素で置換した。該反応容器に、ジメチルアセトアミド(DMAc) 3,815質量部を入れ、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB) 111.94質量部と4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物(6FDA) 46.82質量部を加えて反応させた。
次いで、4,4’−オキシビス(ベンゾイルクロリド)(OBBC) 10.37質量部とテレフタロイルクロリド(TPC) 42.82質量部を加えて反応させた。
次いで、無水酢酸 75.33質量部を加え、15分間撹拌した後、4−ピコリン 22.90質量部を加え、反応容器を70℃に昇温し、さらに3時間撹拌し、反応液を得た。
反応液を冷却し、メタノール 3794.5質量部を加え、次いでイオン交換水 2861質量部を滴下し、白色固体を析出させた。析出した白色固体を遠心ろ過により捕集し、メタノールで洗浄することにより、ポリアミドイミド樹脂を含むウェットケーキを得た。得られたウェットケーキを減圧下、78℃で乾燥させることによりポリアミドイミド樹脂の粉体を得た。得られたポリアミドイミド樹脂(1)の重量平均分子量は466,000であった。
十分に乾燥させた撹拌機と温度計を備える反応容器に、窒素を導通させ、容器内を窒素で置換した。該反応容器に、ジメチルアセトアミド(DMAc) 3,815質量部を入れ、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB) 111.94質量部と4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物(6FDA) 46.82質量部を加えて反応させた。
次いで、4,4’−オキシビス(ベンゾイルクロリド)(OBBC) 10.37質量部とテレフタロイルクロリド(TPC) 42.82質量部を加えて反応させた。
次いで、無水酢酸 75.33質量部を加え、15分間撹拌した後、4−ピコリン 22.90質量部を加え、反応容器を70℃に昇温し、さらに3時間撹拌し、反応液を得た。
反応液を冷却し、メタノール 3794.5質量部を加え、次いでイオン交換水 2861質量部を滴下し、白色固体を析出させた。析出した白色固体を遠心ろ過により捕集し、メタノールで洗浄することにより、ポリアミドイミド樹脂を含むウェットケーキを得た。得られたウェットケーキを減圧下、78℃で乾燥させることによりポリアミドイミド樹脂の粉体を得た。得られたポリアミドイミド樹脂(1)の重量平均分子量は466,000であった。
[合成例2:ポリアミドイミド樹脂(2)の製造]
十分に乾燥させた撹拌機と温度計を備える反応容器に、窒素を導通させ、容器内を窒素で置換した。該反応容器に、DMAc 276.2質量部を入れ、TFMB 14.64質量部を加え、1時間撹拌した。更に、6FDA 6.14質量部と3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA) 1.36質量部を加えて16時間反応させた。
次いでTPC 2.53質量部を加え15分撹拌し、更にTPC 2.53質量部を加え20分撹拌した。更にDMAc 250.0質量部を加え10分撹拌した後に、TPC 0.56質量部を加え、2時間撹拌した。
次いで、無水酢酸 13.21質量部を加え、15分間撹拌した後、4−ピコリン2.59 質量部を加え、反応容器を70℃に昇温し、さらに3時間撹拌し、反応液を得た。
反応液を冷却し、メタノール 890.4質量部を加え、次いでイオン交換水 344.6質量部を滴下し、白色固体を析出させた。析出した白色固体を遠心ろ過により捕集し、メタノールで洗浄することにより、ポリアミドイミド樹脂を含むウェットケーキを得た。得られたウェットケーキを減圧下、75℃で乾燥させることによりポリアミドイミド樹脂の粉体を得た。得られたポリアミドイミド樹脂(2)の重量平均分子量は241,000であった。
十分に乾燥させた撹拌機と温度計を備える反応容器に、窒素を導通させ、容器内を窒素で置換した。該反応容器に、DMAc 276.2質量部を入れ、TFMB 14.64質量部を加え、1時間撹拌した。更に、6FDA 6.14質量部と3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA) 1.36質量部を加えて16時間反応させた。
次いでTPC 2.53質量部を加え15分撹拌し、更にTPC 2.53質量部を加え20分撹拌した。更にDMAc 250.0質量部を加え10分撹拌した後に、TPC 0.56質量部を加え、2時間撹拌した。
次いで、無水酢酸 13.21質量部を加え、15分間撹拌した後、4−ピコリン2.59 質量部を加え、反応容器を70℃に昇温し、さらに3時間撹拌し、反応液を得た。
反応液を冷却し、メタノール 890.4質量部を加え、次いでイオン交換水 344.6質量部を滴下し、白色固体を析出させた。析出した白色固体を遠心ろ過により捕集し、メタノールで洗浄することにより、ポリアミドイミド樹脂を含むウェットケーキを得た。得られたウェットケーキを減圧下、75℃で乾燥させることによりポリアミドイミド樹脂の粉体を得た。得られたポリアミドイミド樹脂(2)の重量平均分子量は241,000であった。
[GBLの精製]
GBL(BASF社製)を原料とし、特許第4348890号公報に記載された方法にて蒸留を行い、精製GBL−2を得た。精製GBL-1は、BASF社製GBL(未精製)と精製GBL−2を質量比1:1で混合することにより得た。実際は蒸留条件を最適化することで、純度の異なるGBLを得ることができる。それぞれのGBLについて、λ=275nmにおける透過率測定と、ガスクロマトグラフィー分析を行い高沸成分(Rrt=1.02〜1.50及びRrt=1.05〜1.50に検出される成分)の面積百分率を算出した。得られた結果を表1に示す。
GBL(BASF社製)を原料とし、特許第4348890号公報に記載された方法にて蒸留を行い、精製GBL−2を得た。精製GBL-1は、BASF社製GBL(未精製)と精製GBL−2を質量比1:1で混合することにより得た。実際は蒸留条件を最適化することで、純度の異なるGBLを得ることができる。それぞれのGBLについて、λ=275nmにおける透過率測定と、ガスクロマトグラフィー分析を行い高沸成分(Rrt=1.02〜1.50及びRrt=1.05〜1.50に検出される成分)の面積百分率を算出した。得られた結果を表1に示す。
精製GBL−1及び精製GBL−2のλ=275nmにおける透過率は88%以上であった。一方、未精製のBASF社製GBLのλ=275nmにおける透過率は88%未満であった。
また、GC分析によりRrt=1.02〜1.50に検出された成分の量は、精製GBL−1、精製GBL−2のいずれも300ppm以下であった。一方、未精製のBASF社製GBLについて、上記リテンションタイムに検出された成分の量は455ppmであった。GC分析によりRrt=1.05〜1.50に検出された成分の量は、精製GBL−1、精製GBL−2のいずれも260ppm以下であった。一方、未精製のBASF社製GBLについて、上記リテンションタイムに検出された成分の量は、382ppmであった。
また、GC分析によりRrt=1.02〜1.50に検出された成分の量は、精製GBL−1、精製GBL−2のいずれも300ppm以下であった。一方、未精製のBASF社製GBLについて、上記リテンションタイムに検出された成分の量は455ppmであった。GC分析によりRrt=1.05〜1.50に検出された成分の量は、精製GBL−1、精製GBL−2のいずれも260ppm以下であった。一方、未精製のBASF社製GBLについて、上記リテンションタイムに検出された成分の量は、382ppmであった。
[比較例1]
(ワニスの製造)
ポリアミドイミド樹脂(1)の質量がワニスの質量に対して7.5質量%となるように、未精製のGBL(BASF社製)に溶解させ、ポリアミドイミドワニスを作製した。
(ワニスの製造)
ポリアミドイミド樹脂(1)の質量がワニスの質量に対して7.5質量%となるように、未精製のGBL(BASF社製)に溶解させ、ポリアミドイミドワニスを作製した。
(光学フィルムの製造)
ポリアミドイミドワニスをポリエステル基材(支持体)(東洋紡(株)製、商品名「A4100」)の平滑面上に自立膜の平均厚さが52μmとなるようにアプリケーターを用いて塗工し、50℃で30分間、次いで140℃で15分間乾燥し、自立膜を得た。自立膜をA4サイズの金枠に固定し、40分かけて200℃まで昇温し、200℃で20分間維持して乾燥し、厚さ50μmの光学フィルムを得た。
ポリアミドイミドワニスをポリエステル基材(支持体)(東洋紡(株)製、商品名「A4100」)の平滑面上に自立膜の平均厚さが52μmとなるようにアプリケーターを用いて塗工し、50℃で30分間、次いで140℃で15分間乾燥し、自立膜を得た。自立膜をA4サイズの金枠に固定し、40分かけて200℃まで昇温し、200℃で20分間維持して乾燥し、厚さ50μmの光学フィルムを得た。
[実施例1]
(ワニス及び光学フィルムの製造)
ポリアミドイミド樹脂(1)の質量がワニスの質量に対して7.5質量%となるように、精製GBL−1に溶解させ、ポリアミドイミドワニスを作製した。続いて、上記ポリアミドイミドワニスを用いて、比較例1と同様の操作を行い、厚さ50μmの光学フィルムを得た。
(ワニス及び光学フィルムの製造)
ポリアミドイミド樹脂(1)の質量がワニスの質量に対して7.5質量%となるように、精製GBL−1に溶解させ、ポリアミドイミドワニスを作製した。続いて、上記ポリアミドイミドワニスを用いて、比較例1と同様の操作を行い、厚さ50μmの光学フィルムを得た。
[実施例2]
(ワニス及び光学フィルムの製造)
ポリアミドイミド樹脂(1)の質量がワニスの質量に対して7.5質量%となるように、精製GBL−2に溶解させ、ポリアミドイミドワニスを作製した。続いて、上記ポリアミドイミドワニスを用いて、比較例1と同様の操作を行い、厚さ50μmの光学フィルムを得た。
(ワニス及び光学フィルムの製造)
ポリアミドイミド樹脂(1)の質量がワニスの質量に対して7.5質量%となるように、精製GBL−2に溶解させ、ポリアミドイミドワニスを作製した。続いて、上記ポリアミドイミドワニスを用いて、比較例1と同様の操作を行い、厚さ50μmの光学フィルムを得た。
[比較例2]
(ワニスの製造)
ポリアミドイミド樹脂(2)の質量がワニスの質量に対して7.5質量%となるように、未精製のBASF社製GBLに溶解させ、ポリアミドイミドワニス(1)を作製した。
(ワニスの製造)
ポリアミドイミド樹脂(2)の質量がワニスの質量に対して7.5質量%となるように、未精製のBASF社製GBLに溶解させ、ポリアミドイミドワニス(1)を作製した。
[比較例3]
(ワニスの製造)
ポリアミドイミド樹脂(2)の質量がワニスの質量に対して8.1質量%となるように、未精製のBASF社製GBLに溶解させ、ポリアミドイミドワニス(2)を作製した。
(ワニスの製造)
ポリアミドイミド樹脂(2)の質量がワニスの質量に対して8.1質量%となるように、未精製のBASF社製GBLに溶解させ、ポリアミドイミドワニス(2)を作製した。
(光学フィルムの製造)
上記ポリアミドイミドワニス(2)を用いて、ポリエステル基材(東洋紡(株)製、商品名「A4100」)の平滑面上に自立膜の平均厚さが52μmとなるようにアプリケーターを用いて塗工し、50℃で30分間、次いで140℃で15分間乾燥し、自立膜を得た。自立膜をA4サイズの金枠に固定し、40分かけて200℃まで昇温し、200℃で20分間維持して乾燥し、厚さ50μmの光学フィルムを得た。
上記ポリアミドイミドワニス(2)を用いて、ポリエステル基材(東洋紡(株)製、商品名「A4100」)の平滑面上に自立膜の平均厚さが52μmとなるようにアプリケーターを用いて塗工し、50℃で30分間、次いで140℃で15分間乾燥し、自立膜を得た。自立膜をA4サイズの金枠に固定し、40分かけて200℃まで昇温し、200℃で20分間維持して乾燥し、厚さ50μmの光学フィルムを得た。
[実施例3]
(ワニスの製造)
ポリアミドイミド樹脂(2)の質量がワニスの質量に対して7.5質量%となるように、精製GBL−2に溶解させ、ポリアミドイミドワニス(3)を作製した。
(ワニスの製造)
ポリアミドイミド樹脂(2)の質量がワニスの質量に対して7.5質量%となるように、精製GBL−2に溶解させ、ポリアミドイミドワニス(3)を作製した。
[実施例4]
(ワニスの製造)
ポリアミドイミド樹脂(2)の質量がワニスの質量に対して8.1質量%となるように、精製GBL−2に溶解させ、ポリアミドイミドワニス(4)を作製した。
(ワニスの製造)
ポリアミドイミド樹脂(2)の質量がワニスの質量に対して8.1質量%となるように、精製GBL−2に溶解させ、ポリアミドイミドワニス(4)を作製した。
(光学フィルムの製造)
上記ポリアミドイミドワニス(4)を用いて、比較例3と同様の操作を行い、厚さ50μmの光学フィルムを得た。
上記ポリアミドイミドワニス(4)を用いて、比較例3と同様の操作を行い、厚さ50μmの光学フィルムを得た。
上記のようにして得た実施例1〜3並びに比較例1及び2のワニスのL*、a*、b*を上記の方法に従い測定し、表2に示した。また、上記のようにして得た実施例1、2、4並びに比較例1及び3の光学フィルムの全光線透過率(Tt)、ヘーズ及びYIを、上記の方法に従い測定した。得られた結果を表3に示す。
(ワニス保管試験)
実施例1〜3並びに比較例1及び2で得た、樹脂の質量がワニスの質量に対して7.5質量%であるポリアミドイミドワニスを、50℃で1週間保管した。
保管後のワニス(全ての実施例及び比較例について、樹脂の質量がワニスの質量に対して7.5質量%)のb*の値を初期のb*と同様の方法で測定し、保管後のb*値とした。ワニスの保管後のb*から初期のb*を引いた値を、Δb*とした。
実施例1〜3並びに比較例1及び2で得た、樹脂の質量がワニスの質量に対して7.5質量%であるポリアミドイミドワニスを、50℃で1週間保管した。
保管後のワニス(全ての実施例及び比較例について、樹脂の質量がワニスの質量に対して7.5質量%)のb*の値を初期のb*と同様の方法で測定し、保管後のb*値とした。ワニスの保管後のb*から初期のb*を引いた値を、Δb*とした。
(ワニス保管試験後のフィルム評価)
実施例1、2、4、並びに比較例1及び3で得た、樹脂の質量がワニスの質量に対して8.1質量%であるポリアミドイミドワニスを、50℃で1週間保管した。保管後のワニス(実施例1及び2並びに比較例1については、樹脂の質量がワニスの質量に対して7.5質量%、実施例4及び比較例3については、樹脂の質量がワニスの質量に対して8.1質量%)を製膜して得られたフィルムのYI値を初期のYI値と同様の方法で測定し、保管後のYI値とした。保管後のYI値から初期のYI値を引いた値をΔYIとした。得られた結果を表3に示す。
実施例1、2、4、並びに比較例1及び3で得た、樹脂の質量がワニスの質量に対して8.1質量%であるポリアミドイミドワニスを、50℃で1週間保管した。保管後のワニス(実施例1及び2並びに比較例1については、樹脂の質量がワニスの質量に対して7.5質量%、実施例4及び比較例3については、樹脂の質量がワニスの質量に対して8.1質量%)を製膜して得られたフィルムのYI値を初期のYI値と同様の方法で測定し、保管後のYI値とした。保管後のYI値から初期のYI値を引いた値をΔYIとした。得られた結果を表3に示す。
実施例1〜4のワニスは透明ポリイミド系高分子と、GBLとを含んでいた。実施例1〜4に使用したGBLのλ=275nmにおける透過率は88%以上、GC分析によるRrt=1.02〜1.50に検出された不純物は300ppm未満、Rrt=1.05〜1.50に検出された不純物は260ppm未満であった。実施例1〜3のワニス(全ての実施例について、樹脂の質量がワニスの質量に対して7.5質量%)のΔb*は、いずれも0.27以下であった。
実施例1、2、4のワニス(実施例1及び2については、樹脂の質量がワニスの質量に対して7.5質量%、実施例4については、樹脂の質量がワニスの質量に対して8.1質量%)から作製したポリアミドイミドフィルムのΔYIは、0.1以下であった。
比較例1〜3のワニスは透明ポリイミド系高分子と、GBLとを含んでいた。比較例1〜3に使用したGBLのλ=275nmにおける透過率は88%未満、ガスクロマトグラフィー分析によるRrt=1.02〜1.50に検出された不純物は300ppm以上、Rrt=1.05〜1.50に検出された不純物は260ppm以上であった。比較例1〜2のワニス(全ての比較例について、樹脂の質量がワニスの質量に対して7.5質量%)のΔb*は、いずれも0.33以上であった。
比較例1並びに3のワニス(比較例1については、樹脂の質量がワニスの質量に対して7.5質量%、比較例3については、樹脂の質量がワニスの質量に対して8.1質量%)から作製したポリアミドイミドフィルムのΔYIは、0.5以上であった。
以上から、実施例1〜3のワニスは、比較例1〜2のワニスに比べ、Δb*が小さく、長期の保管によりワニスの変色が抑制され、透明性が高いことが明らかである。さらに、実施例1、2並びに4のワニスを使用して作成したフィルムのΔYIは、比較例1並びに3に比べ、ΔYIが小さいことから、長期保管後のワニスから得た光学フィルムであるにもかかわらず、YI値が低く、光学特性に優れることが明らかである。
Claims (14)
- 波長275nmにおける光線透過率が88%以上であるγ−ブチロラクトンを含む溶媒、及び、ポリイミド系高分子を含む、ワニス。
- ポリエチレングリコールを固定相とするキャピラリーガスクロマトグラフィー分析において、カラム温度を120℃で保持した状態でサンプル注入後、温度を120℃で1分保持した後に、10℃/分で240℃まで昇温した後、240℃で7分保持した場合に、γ−ブチロラクトンのピークを基準とした相対リテンションタイムが1.05〜1.50に検出される成分の面積比が260ppm以下であるγ−ブチロラクトンを含む溶媒、及び、ポリイミド系高分子を少なくとも含む、ワニス。
- 前記キャピラリーガスクロマトグラフィー分析におけるカラムが、Agilent Technologies製DB−WAX(30m×0.32mm I.D.、df0.50μm)である、請求項2に記載のワニス。
- γ−ブチロラクトンの含有量は、ワニスに含まれる溶媒の総量に基づいて30〜100質量%である、請求項1〜3のいずれかに記載のワニス。
- 溶媒の含有量は、ワニスの総量に基づいて75〜99質量%である、請求項1〜4のいずれかに記載のワニス。
- ポリイミド系高分子の含有量は、ワニスの総量に基づいて1〜25質量%である、請求項1〜5のいずれかに記載のワニス。
- L*a*b*表色系に基づく色差測定において、L*≧80、−10≦a*≦10、及び−10≦b*≦10を満たす、請求項1〜6のいずれかに記載のワニス。
- ポリイミド系高分子のポリスチレン換算重量平均分子量は200,000以上である、請求項1〜7のいずれかに記載のワニス。
- ポリイミド系高分子はポリアミドイミドである請求項1〜8のいずれかに記載のワニス。
- 請求項1〜9のいずれかに記載のワニスから形成された、光学フィルム。
- (a)請求項1〜9のいずれかに記載のワニスを支持体上に塗布し、塗膜を形成させる工程、及び、
(b)塗膜を100℃以上240℃以下の温度で乾燥させて、光学フィルムを得る工程
を少なくとも含む、光学フィルムの製造方法。 - 請求項10に記載の光学フィルムを備える、フレキシブル表示装置。
- さらに、タッチセンサを備える、請求項12に記載のフレキシブル表示装置。
- さらに、偏光板を備える、請求項12又は13に記載のフレキシブル表示装置。
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