JP2020184984A - 農業用フィルムの硫黄吸収抑制能の改善方法 - Google Patents

農業用フィルムの硫黄吸収抑制能の改善方法 Download PDF

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Abstract

【課題】長期耐候性および透明性に優れた農業用フィルムを提供する。【解決手段】本発明の農業用フィルムは、所定のヒンダードアミン系光安定剤と、所定のベンゾエート化合物から選択される一または二以上を含む相乗剤と、を含む層を備え、硫黄取り込み量をΔW、当該農業用フィルムの厚みをH1、前記層の厚みをH2としたとき、(ΔW×(H2/H1))/H2が、2.80ppm/μm以上4.70ppm/μm以下であり、290nmの光線透過率をT290、340nmの光線透過率をT340としたとき、T290/T340が0.76以上1.00以下を満たすものである。【選択図】図1

Description

本発明は、農業用フィルム、農業用フィルム形成用樹脂組成物、農業用フィルムの硫黄吸収抑制能の改善方法、及び植物の育成方法に関する。
これまで農業用フィルムについて様々な開発がなされてきた。この種の技術として、例えば、特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1には、ヒンダートアミン系光安定剤を含む農業用フィルムが記載されている(特許文献1の請求項4など)。
特開2015−198579号公報
しかしながら、本発明者が検討した結果、上記特許文献1に記載の農業用フィルムにおいて、長期耐候性および透明性の点で改善の余地があることが判明した。
農作業において、植物(農作物)の病気を予防する目的で、硫黄燻蒸方法や、硫黄フロアブル剤等の硫黄を含む薬液の散布方法等の育成方法が採用されることがある。
しかしながら、燻蒸や薬液中に含まれる硫黄が、農業用フィルムの耐候性を低下させる恐れがある。
このような事情を踏まえて鋭意検討した結果、本発明者は、所定のヒンダートアミン系光安定剤と、その相乗剤として、所定のベンゾエート化合物とを併用することによって、これらを含む層を備える農業用フィルムにおいて耐候性の低下が抑制されることが見出された。詳細なメカニズムは定かではないが、相乗剤が、硫黄とヒンダートアミン系光安定剤との塩形成を抑制するため、農業用フィルム中に硫黄が取り込まれる、吸収されることを抑制できる、と考えられる。
本発明者は、農業用フィルムの耐候性層中に硫黄が吸収されにくくなる特性に着目し、検討を重ねた結果、農業用フィルムにおける硫黄の吸収し難さ度合い(すなわち、硫黄取り込み量)を指標とすることによって、農業用フィルムの安定的に長期耐光性を評価できることが分かった。そして、硫黄取り込み量の指標として、硫黄取り込み量をΔW、農業用フィルムの厚みをH1、耐候性層の厚みをH2としたとき、(ΔW×(H2/H1))/H2を採用し、かかる指標の上限・下限を適切な範囲内とすることで、長期耐候性および透明性を向上できることが分かった。
また、このような農業用フィルムにおいて、290nmの光線透過率をT290、340nmの光線透過率をT340としたとき、T290/T340を所定値以上とすることによって、植物育成能に優れた農業用フィルムを提供できることが分かった。
以上により、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、
下記の化学式A1で表される化合物、および下記の化学式A2で表される化合物の少なくとも一方から選択されたヒンダードアミン系光安定剤と、
下記の一般式(B)で表されるベンゾエート化合物から選択される一または二以上を含む相乗剤と、
を含む層を備える、農業用フィルムであって、
Figure 2020184984
Figure 2020184984
Figure 2020184984
(上記一般式(B)中、R及びRは各々独立に炭素原子数1〜8のアルキル基を、Rは炭素原子数1〜30のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、または、炭素原子数7〜30のアルキルアリール基を示す。)
当該農業用フィルムにおいて、
下記の手順Aに従って測定される硫黄取り込み量をΔW、当該農業用フィルムの厚みをH1、前記層の厚みをH2としたとき、(ΔW×(H2/H1))/H2が、2.80ppm/μm以上4.70ppm/μm以下であり、
下記の手順Bに従って測定される、290nmの光線透過率をT290、340nmの光線透過率をT340としたとき、T290/T340が0.76以上1.00以下である、
農業用フィルムが提供される。
<手順A>
手順A1:当該農業用フィルムを用いて、下記の(1)、(2)、(4)、及び(5)の順番に従って、硫黄燻蒸処理前における当該農業用フィルム中の硫黄元素の含有量(ppm)を測定し、この測定値をSとする。
手順A2:手順A1で測定対象とする当該農業用フィルムを用いて、下記の(1)、(2)、(3)、(4)、及び(5)の順番に従って、硫黄燻蒸処理後における当該農業用フィルム中の硫黄元素の含有量(ppm)を測定し、この測定値をSとする。ただし、Sは、4つの測定値の平均値とする。
手順A3:上記の手順A1で得られたSおよび手順A2で得られたSを用いて、以下の式(I)に基づいて、当該農業用フィルムの硫黄取り込み量(ppm)を算出する。
|S−S| ・・・式(I)
(1):試験片の準備
当該農業用フィルムを切出し、縦幅13cm×横幅2.5cmの短冊状フィルムの試験片Aを作製する。
(2):洗浄処理
前記試験片Aを、液温25℃の蒸留水に浸漬し、蒸留水から取り出し後、乾燥させる。
(3):硫黄燻蒸処理
縦幅50cm×横幅56cm×高さ60cmの略直方体形状の閉鎖空間を備えるビニールハウスを準備する。続いて、前記ビニールハウスの内部の天面に攪拌機を設置し、その内部の底面に加熱装置を設置し、前記加熱装置上にアルミニウム箔製のトレイを配置する。前記ビニールハウスの内部に吊り下げた状態で4枚の前記試験片Aを設置する。
その後、次の硫黄燻蒸操作を、繰り返し4回行う。
(硫黄燻蒸操作)
120mgのパウダー状の硫黄を前記トレイ内に投入する。続いて、前記攪拌機の回転数を180rpmに設定し、前記トレイを、190℃で4時間加熱する。
(4):表面処理
下記の条件で光照射を前記試験片Aに対して102分間行い、続いて、下記の条件で光照射とともに水のスプレーを前記試験片Aに対して18分間行う。この合計120分の操作を1サイクルとして、合計60サイクル行い、合計120時間の表面処理を前記試験片Aに対して行う。
(光照射の条件)
前記試験片Aに対して、温度65℃、相対湿度50%の条件下で、照射強度60W/mのキセノンランプを照射する。
(5):硫黄元素含有量の測定
5gの硝酸中に、前記試験片Aを板厚方向に切断して得られた200mgのサンプルを加えて硝酸溶液を得る。この硝酸溶液に対して、マイクロ波湿式分解法を用いて、前記サンプルを液化する前処理を行うことにより測定溶液を得る。得られた前記測定溶液中の硫黄元素の含有量について、ICP発光分析装置を用いて測定する。
<手順B>
手順B1:上記の手順Aで測定対象とする当該農業用フィルムを用い、そのフィルムを切出して、縦幅10cm×横幅5cmの短冊状フィルムの試験片Bを作製する。続いて、前記試験片Bを流動パラフィンに浸漬させ、取り出した前記試験片Bを30分間、吊した状態で保持することにより、前記試験片Bについて前処理を行う。
手順B2:上記の手順B1で前処理した前記試験片Bを分光光度計に設置して、波長200nm〜700nmまでの光線透過率(%)を測定する。得られた測定値を、400nmにおける光線透過率が85%となるように規格化する。規格化後における波長Xnmにおける光線透過率をTx(%)と表す。
また本発明によれば、上記農業用フィルムを形成するために用いる、農業用フィルム形成用樹脂組成物が提供される。
また本発明によれば、
ヒンダードアミン系光安定剤に、その相乗剤としてベンゾエート化合物を添加することで、農業用フィルムにおいて硫黄吸収抑制能を向上させる、農業用フィルムの硫黄吸収抑制能の改善方法が提供される。
また本発明によれば、
グリーンハウスに、上記の農業用フィルムを配置する工程と、
前記グリーンハウス内に植物を配置する工程と、
前記グリーンハウス内で、硫黄燻蒸する工程と、を含む、
植物の育成方法が提供される。
本発明によれば、長期耐候性および透明性に優れた農業用フィルム、それを形成するための農業用フィルム形成用樹脂組成物、農業用フィルムの硫黄吸収抑制能の改善方法、及び、それを用いた植物の育成方法が提供される。
本実施形態の農業用フィルムの構成の一例を示す断面図である。 硫黄燻蒸処理のために使用する燻蒸設備の概要を説明するための図である。 光線透過率の測定対象となる試験片の前処理の手順を説明する図である。 分光光度計を用いた試験片の光線透過率の測定原理の概要を説明するための図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。また、図は概略図であり、実際の寸法比率とは一致していない。
なお、本実施の形態では図示するように前後左右上下の方向を規定して説明する。しかし、これは構成要素の相対関係を簡単に説明するために便宜的に規定するものである。したがって、本発明を実施する製品の製造時や使用時の方向を限定するものではない。
本実施形態の農業用フィルムについて説明する。
本実施形態の農業用フィルムは、下記の化学式A1で表される化合物、および下記の化学式A2で表される化合物の少なくとも一方から選択されたヒンダードアミン系光安定剤と、下記の一般式(B)で表されるベンゾエート化合物から選択される一または二以上を含む相乗剤と、を含む層(以下、耐候性層と呼称する。)を備えるものである。
耐候性層は、下記の化学式A1または化学式A2で表されるヒンダードアミン系光安定剤の少なくとも一方を含むものであればよい。
Figure 2020184984
上記化学式A1中、nの数値は、0〜10でもよく、0〜6でもよい。ヒンダードアミン系光安定剤は、nが異なる化学式A1で表される化合物を複数含んでもよい。
Figure 2020184984
耐候性層は、相乗剤として、下記の一般式(B)で表されるベンゾエート化合物の少なくとも一種を含むものであればよい。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
Figure 2020184984
上記一般式(B)中、R及びRは各々独立に炭素原子数1〜8のアルキル基を、Rは炭素原子数1〜30のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、または、炭素原子数7〜30のアルキルアリール基を示す。
およびRの炭素原子数1〜8のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、ペンチル、第三ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、1,1,3,3−テトラメチルブチルなどが挙げられる。
の炭素原子数1〜30のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシルなどが挙げられる。
のアリール基としては、フェニルなどが挙げられる。
のアルキルアリール基としては、メチルフェニル、ブチルフェニル、2,4−ジ第三ブチルフェニル、2,4−ジ第三アミルフェニル、2,4−ジクミルフェニル、2,4−ジ第三ブチル−5−メチルフェニル等が挙げられる。アリールアルキル基としては、フェニルメチルが挙げられる。
なお、上記一般式(B)中のRは、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基でもよく、具体的には、フェニルメチル等のアリールアルキル基であってもよい。
一般式(B)で表されるベンゾエート化合物としては、例えば、以下の化合物No.7〜15などが挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ただし、以下の化合物に限定されるものではない。
Figure 2020184984
上記の中でも、一般式(B)で表されるベンゾエート化合物は、下記の化合物B1または化合物B2の少なくとも一方を含んでもよい。
Figure 2020184984
農業用フィルムの耐候性層は、熱可塑性樹脂を含んでもよい。
熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン等のα−オレフィン重合体またはエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体などのポリオレフィンおよびこれらの共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、塩化ゴム、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−シクロヘキシルマレイミド共重合体等の含ハロゲン樹脂、石油樹脂、クマロン樹脂、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、スチレン及び/又はα−メチルスチレンと他の単量体(例えば、無水マレイン酸、フェニルマレイミド、メタクリル酸メチル、ブタジエン、アクリロニトリル等)との共重合体(例えば、AS樹脂、ABS樹脂、MBS樹脂、耐熱ABS樹脂等)、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリエチレンテレフタレート及びポリテトラメチレンテレフタレート等の直鎖ポリエステル、ポリフェニレンオキサイド、ポリカプロラクタム及びポリヘキサメチレンアジパミド等のポリアミド、ポリカーボネート、分岐ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリウレタン、繊維素系樹脂等の熱可塑性樹脂、及びこれらの混合物、又は、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。この中でも、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体などのポリオレフィン系樹脂を用いてもよい。
また、熱可塑性樹脂として、α−オレフィン重合体、ポリエチレンと他のα−オレフィン重合体とのブレンド品または共重合体、ポリエチレン等のα−オレフィン重合体とエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体などのポリオレフィンとのブレンド品または共重合体を用いてもよい。
この中でも、熱可塑性樹脂は、直鎖状低密度ポリエチレンまたは低密度ポリエチレンの少なくとも一方を含んでもよい。
耐候性層中のヒンダードアミン系光安定剤および相乗剤(ベンゾエート化合物)の含有量の下限は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、例えば、0.01質量部以上、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは0.8質量部以上である。一方、その上限は、例えば、10質量部以下、好ましくは3質量部以下、より好ましくは1質量部以下である。このような範囲内とすることで、耐光性を向上できる。
耐候性層中のヒンダードアミン系光安定剤の含有量をAとし、相乗剤の含有量をBとする。
このとき、耐候性層中のA、Bが、例えば、0.2/0.8≦A/B≦0.95/0.05、好ましくは0.3/0.7≦A/B≦0.7/0.3、より好ましくは0.4/0.6≦A/B≦0.6/0.4を満たすように構成されてもよい。A/Bを上記上限値以下とすることで、長期耐光性を向上できる。A/Bを上記下限値以上とすることで、透明性や長期耐光性を向上できる。
耐候性層は、上記のヒンダートアミン系光安定剤、相乗剤としてのベンゾエート化合物、及び熱可塑性樹脂の他に、本発明の効果を損なわない範囲において、農業用フィルムに通常使用される他の添加剤を含んでもよい。この他の添加剤には、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、またはトリアジン系等の紫外線吸収剤を含まないように構成されてもよい。
農業用フィルム100の厚みは、特に限定されないが、例えば、10μm〜1mm、好ましくは30μm〜500μm、より好ましくは50μm〜300μmである。
図1は、本実施形態の農業用フィルムの構成の一例を示す断面図である。
図1(a)の農業用フィルム100は、上述のヒンダートアミン系光安定剤および相乗剤を含む層(耐候性層10)を少なくとも1層備える。農業用フィルム100は、厚み方向において内部に耐候性層10を単層または複数層備えてもよい。
また、農業用フィルム100は、図1(b)に示すように、耐候性層10の他に他の層(基層20)を1または2以上備えた多層フィルムで構成されてもよい。多層フィルムは、2層以上であればよく、例えば、3層、4層、5層以上、7層以上としてもよい。多層フィルムの積層数の上限は、特に限定されないが、例えば、10層以下としてもよい。
また、耐候性層10の一面に基層20が設けられてもよく、耐候性層10の一面と他面のそれぞれに、他の層として基層20、表層が設けられてもよい。他の層は、耐候性層10と異なり、上述のヒンダートアミン系光安定剤および相乗剤の両者を含まない構成を有していればよく、いずれか一方のみを含んでもよいが、両者を含まなくてもよい。
他の層は、上述の熱可塑性樹脂で構成されてもよく、必要に応じて、下記の他の添加剤を含んでもよい。他の層の熱可塑性樹脂として、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等を用いてもよい。
一般的な農業用フィルムは、グリーンハウスの形成材料などの、様々な場面に利用されている。
農作業において、植物(農作物)の病気を予防する目的で、グリーンハウス内で硫黄を燻蒸する方法や、植物に硫黄を含む薬液を散布する方法等の育成方法が採用されることがある。
しかしながら、燻蒸や薬液中に含まれる硫黄が、農業用フィルムの耐候性を低下させる恐れがある。
詳細なメカニズムは定かではないが、農業用フィルムに付着または内部に移動した硫黄が、酸化されることで酸性化し、ヒンダートアミン系光安定剤と塩を形成して、その光安定剤の機能を失活させてしまうため、耐候性を維持できない、と考えられる。
また、このような耐候性の低下の現象は、グリーンハウス内で硫黄燻蒸したときに顕著に観察される。
このような事情を踏まえて鋭意検討した結果、本発明者は、所定のヒンダートアミン系光安定剤と、相乗剤としての所定のベンゾエート化合物とを併用することによって、これらを含む層を備える農業用フィルムにおいて耐候性の低下が抑制されることが見出された。このとき、農業用フィルムの内部に硫黄が吸収されにくくなる特性が発現することが分かった。
詳細なメカニズムは定かではないが、相乗剤が、硫黄とヒンダートアミン系光安定剤との塩形成を抑制するため、農業用フィルム中に硫黄が取り込まれる、吸収されることを抑制できる、と考えられる。
以上により、本発明者は、硫黄吸収抑制能という農業用フィルムの新たな特性を見出すに至った。
このような知見を踏まえ検討を重ねた結果、農業用フィルム100における硫黄の吸収し難さ度合い(すなわち、硫黄取り込み量)を指標とすることによって、農業用フィルム100の安定的に長期耐光性を評価できることが分かった。そして、硫黄取り込み量の指標として、下記の手順Aに従って測定される硫黄取り込み量をΔW、農業用フィルム100の厚みをH1、耐候性層10の厚みをH2としたとき、(ΔW×(H2/H1))/H2を採用し、かかる指標の上限・下限を適切な範囲内とすることで、長期耐候性および透明性を向上できることが分かった。
このような農業用フィルム100において、下記の手順Bに従って測定される、290nmの光線透過率をT290、340nmの光線透過率をT340としたとき、T290/T340を所定値以上とすることによって、農作物などの植物の育成に好適な農業用フィルムを実現できる。
以下、農業用フィルム100のΔW(硫黄取り込み量)を算出するための手順Aを説明する。
<手順A>
手順A1:農業用フィルム100を用いて、下記の(1)、(2)、(4)、及び(5)の順番に従って、硫黄燻蒸処理前における農業用フィルム100中の硫黄元素の含有量(ppm)を測定し、この測定値をSとする。
手順A2:手順A1で測定対象とする農業用フィルム100を用いて、下記の(1)、(2)、(3)、(4)、及び(5)の順番に従って、硫黄燻蒸処理後における農業用フィルム100中の硫黄元素の含有量(ppm)を測定し、この測定値をSとする。ただし、Sは、4つの測定値の平均値とする。
手順A3:上記の手順A1で得られたSおよび手順A2で得られたSを用いて、以下の式(I)に基づいて、農業用フィルム100の硫黄取り込み量(ppm)を算出する。
|S−S| ・・・式(I)
(1):試験片の準備
農業用フィルム100を切出し、縦幅13cm×横幅2.5cmの短冊状フィルムの試験片Aを作製する。
(2):洗浄処理
農業用フィルム100Aを、液温25℃の蒸留水に浸漬し、蒸留水から取り出し後、乾燥させる。
(3):硫黄燻蒸処理
縦幅50cm×横幅56cm×高さ60cmの略直方体形状の閉鎖空間を備えるビニールハウスを準備する。続いて、ビニールハウスの内部の天面に攪拌機を設置し、その内部の底面に加熱装置を設置し、加熱装置上にアルミニウム箔製のトレイを配置する。ビニールハウスの内部に吊り下げた状態で4枚の前記試験片Aを設置する。
その後、次の硫黄燻蒸操作を、繰り返し4回行う。
(硫黄燻蒸操作)
120mgのパウダー状の硫黄をトレイ内に投入する。続いて、攪拌機の回転数を180rpmに設定し、トレイを、190℃で4時間加熱する。
(4):表面処理
下記の条件で光照射を試験片Aに対して102分間行い、続いて、下記の条件で光照射とともに水のスプレーを試験片Aに対して18分間行う。この合計120分の操作を1サイクルとして、合計60サイクル行い、合計120時間の表面処理を試験片Aに対して行う。
(光照射の条件)
試験片Aに対して、温度65℃、相対湿度50%の条件下で、照射強度60W/mのキセノンランプを照射する。
本発明者の知見によれば、硫黄燻蒸後に適切な表面処理を行うことによって、フィルム中に含まれる硫黄元素の含有量の測定バラツキを低減できることが判明した。詳細なメカニズムは定かではないが、表面処理によってフィルム表面に付着した硫黄を適当に除去できるため、と考えられる。また、この表面処理として、光照射だけでなく、水散布を行うことが重要な要素であることが分かっている。
(5):硫黄元素含有量の測定
5gの硝酸中に、試験片Aを板厚方向に切断して得られた200mgのサンプルを加えて硝酸溶液を得る。この硝酸溶液に対して、マイクロ波湿式分解法を用いて、サンプルを液化する前処理を行うことにより測定溶液を得る。得られた測定溶液中の硫黄元素の含有量について、ICP発光分析装置を用いて測定する。この測定溶液中の硫黄元素の含有量を、農業用フィルム100中の硫黄元素の含有量(ppm)とする。
本発明者の知見によれば、硫黄燻蒸操作に複数回使用したビニールハウスは、適当なタイミングで新しいものを使用することで、硫黄元素含有量の測定のバラツキを低減できることが判明した。
以下、農業用フィルム100の光線透過率を測定するための手順Bを説明する。
<手順B>
手順B1:上記の手順Aで測定対象とする農業用フィルム100を用い、そのフィルムを切出して、縦幅10cm×横幅5cmの短冊状フィルムの試験片Bを作製する。続いて、試験片Bを流動パラフィンに浸漬させ、取り出した試験片Bを30分間、吊した状態で保持することにより、試験片Bについて前処理を行う。
手順B2:上記の手順B1で前処理した試験片Bを分光光度計に設置して、波長200nm〜700nmまでの光線透過率(%)を測定する。得られた測定値を、400nmにおける光線透過率が85%となるように規格化する。規格化後における波長Xnmにおける光線透過率をTx(%)と表す。
上記の手順Aに従って測定される硫黄取り込み量をΔW、農業用フィルム100の厚みをH1、ヒンダートアミン系光安定剤および相乗剤を含む層(耐候性層10)の厚みをH2とする。
このとき、農業用フィルム100は、(ΔW×(H2/H1))/H2が、2.80ppm/μm以上4.70ppm/μm以下、好ましくは2.81ppm/μm以上4.60ppm/μm以下、より好ましくは2.82ppm/μm以上4.50ppm/μm以下を満たすように構成される。
ここで、H2/H1により農業用フィルム100全体に含まれる耐候性層10中の膜厚比率を算出する。1/H2により耐候性層10中の単位厚み当たりの硫黄取り込み量を算出する。
(ΔW×(H2/H1))/H2の上限を上記上限値以下とすることで、長期耐候性を向上できる。具体的には、植物の育成時に硫黄燻蒸や硫黄散布を単数または複数回行った場合でも、農業用フィルム100の長期耐候性の低下を抑制できる。
一方(ΔW×(H2/H1))/H2の下を上記下限値以上とすることで、農業用フィルム100の透明性を向上できるため、グリーンハウスに好適な農業用フィルムを実現できる。また、長期耐候性も向上させることが可能である。
上記の手順Bに従って測定される、290nmの光線透過率をT290、340nmの光線透過率をT340とする。
このとき、農業用フィルム100は、T290/T340が0.76以上1.00以下、好ましくは0.80以上1.00以下、より好ましくは0.85以上0.99以下を満たすように構成される。一般的に、280nm〜315nmのUV−B領域は、農作物の生長、病害予防、害虫害発生予防等に必要な波長領域であるとされる。このため、T290/T340を上記下限値以上とすることで、農業用フィルム100による植物育成能を高められる。
また、農業用フィルム100における660nmの光線透過率T660は、例えば、80%以上、好ましく85%以上、より好ましくは86%以上である。よって、農業用フィルム100は、幅広い波長範囲において優れた光透過性を備えることが可能である。
本実施形態では、例えば農業用フィルム中に含まれる各成分の種類や配合量、農業用フィルムの調製方法等を適切に選択することにより、上記(ΔW×(H2/H1))/H2、光線透過率を制御することが可能である。これらの中でも、例えば、ヒンダートアミン系光安定剤、ベンゾエート化合物の種類や組成比を適切に選択すること、これらの添加方法等が、上記(ΔW×(H2/H1))/H2、光線透過率を所望の数値範囲とするための要素として挙げられる。
農業用フィルム100は、グリーンハウス等の各種の農園芸用設備の形成材料、土壌を保護する材料、または、土壌などの収容する収容材料などの様々な用途に利用できる。この中でも、グリーンハウスを形成するために用いることが好ましい。
次に、上記の農業用フィルム100を形成するために用いる、本実施形態の農業用フィルム形成用樹脂組成物について説明する。
農業用フィルム形成用樹脂組成物(以下、単に樹脂組成物という。)は、上述の化学式A1で表される化合物、および下記の化学式A2で表される化合物の少なくとも一方から選択されたヒンダードアミン系光安定剤と、上記の一般式(B)で表されるベンゾエート化合物から選択される一または二以上を含む相乗剤と、上述の熱可塑性樹脂と、を含む。
樹脂組成物中の上記成分の配合比率には、例えば、農業用フィルムで説明した耐光性層中の配合比率を採用してもよい。
樹脂組成物は、上記の成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲において、農業用フィルムに通常使用される他の添加剤を含んでもよい。
他の添加剤として、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、他のヒンダードアミン化合物、造核剤、加工性改良剤、充填剤、可塑剤、金属石鹸、赤外線吸収剤、帯電防止剤、防曇剤、防霧剤、及び防カビ剤などが挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、トリデシル・3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジルチオアセテート、チオジエチレンビス[(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,4’−チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2−オクチルチオ−4,6−ジ(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−s−トリアジン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、ビス[3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、4,4’−ブチリデンビス(2,6−ジ第三ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−第三ブチル−3−メチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、ビス[2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニル]テレフタレート、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス[(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ第三ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−アクリロイルオキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、3,9−ビス[2−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルヒドロシンナモイルオキシ)−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、トリエチレングリコールビス[β−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、トコフェノール等が挙げられる。
上記リン系酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,5−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノ、ジ混合ノニルフェニル)ホスファイト、ジフェニルアシッドホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、ジフェニルオクチルホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、ジブチルアシッドホスファイト、ジラウリルアシッドホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、ビス(ネオペンチルグリコール)・1,4−シクロヘキサンジメチルジホスファィト、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,5−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(C12−15混合アルキル)−4,4’−イソプロピリデンジフェニルホスファイト、ビス[2,2’−メチレンビス(4,6−ジアミルフェニル)]・イソプロピリデンジフェニルホスファイト、テトラトリデシル・4,4’−ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)・1,1,3−トリス(2−メチル−5−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン・トリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、トリス(2−〔(2,4,7,9−テトラキス第三ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ〕エチル)アミン、2−(1,1−ジメチルエチル)−6−メチル−4−[3−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−6−イル]オキシ]プロピル]フェノール、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、2−ブチル−2−エチルプロパンジオール・2,4,6−トリ第三ブチルフェノールモノホスファイト等が挙げられる。
上記イオウ系酸化防止剤としては、例えば、チオジプロピオン酸のジラウリル、ジミリスチル、ミリスチルステアリル、ジステアリルエステル等のジアルキルチオジプロピオネート類及びペンタエリスリトールテトラ(β−ドデシルメルカプトプロピオネート)等のポリオールのβ−アルキルメルカプトプロピオン酸エステル類が挙げられる。
上記他のヒンダードアミン化合物としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/ジブロモエタン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−第三オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イルアミノウンデカン、1,6(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イルアミノウンデカン等のヒンダードアミン化合物が挙げられる。
上記造核剤としては、例えば、p−t−ブチル安息香酸アルミニウム、安息香酸ナトリウムなどの芳香族カルボン酸金属塩;ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)リン酸ナトリウム、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)リン酸リチウム、ナトリウム−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)ホスフェート等の酸性リン酸エステル金属塩;ジベンジリデンソルビトール、ビス(メチルベンジリデン)ソルビトールなどの多価アルコール誘導体などが挙げられる。
上記加工性改良剤としては、公知の加工性改良剤の中から適宜選択することができるが、例えば、エチレンビスステアリン酸アミドやエルカ酸アミドなどを用いてもよい。
上記充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化亜鉛、炭酸亜鉛、硫化亜鉛、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、アルミナケイ酸ナトリウム、ハイドロカルマイト、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ゼオライト等のケイ酸金属塩、活性白土、タルク、クレイ、ベンガラ、アスベスト、三酸化アンチモン、シリカ、ガラスビーズ、マイカ、セリサイト、ガラスフレーク、アスベスト、ウオラストナイト、チタン酸カリウム、PMF(鉱物繊維)、石膏繊維、ゾノライト、MOS(Magnesium Hydroxide Sulfate Hydrate,繊維状マグネシウム化合物),ホスフェートファイバー、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、セルロースナノファイバー等が挙げられる。この中でも、無機フィラーを用いてよい。充填剤は樹脂との親和性を改善するためにチタン系、シラン系等の表面処理剤で表面処理されたものが好ましい。
上記可塑剤としては、例えば、フタル酸エステル、二塩基酸エステル、塩素化パラフィン、ポリエステル、エポキシ化エステル、リン酸エステル、トリメリット酸エステル等が挙げられる。
上記金属石鹸としては、例えば、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、亜鉛などの金属と、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸などの飽和もしくは不飽和脂肪酸との塩が用いられる。含水率、融点、粒径、脂肪酸の組成、製造方法がアルカリ金属の脂肪酸塩と金属(水)酸化物の反応による複分解法であるか脂肪酸と金属(水)酸化物の溶媒存在下もしくは不存在下に中和反応する直接法であるかによらず、また、脂肪酸か金属のいずれかが過剰であっても用いられる。
赤外線吸収剤としては、例えば、ハイドロタルサイト類化合物、リチウムアルミニウム複合水酸化物が挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記ハイドロタルサイト類化合物としては、天然物でも合成品でもよく、リチウムなどのアルカリ金属で変性されたものでもよい。一般式:ZnxMgyAl(OH)(x+y+2)CO・nHO(式中、xは0〜3、yは1〜6、また、x+yは4〜6を示す。nは0〜10を示す)で表される組成のものが好ましく、結晶水の有無や表面処理の有無によらず用いることができる。
ハイドロタルサイト類化合物は、結晶水を脱水したものであってもよく、ステアリン酸等の高級脂肪酸、オレイン酸アルカリ金属塩等の高級脂肪酸金属塩、ドデシルベンゼンスルホン酸アルカリ金属塩等の有機スルホン酸金属塩、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステル又はワックス等で被覆されたものであってもよい。
ハイドロタルサイト類化合物の一例は、例えば、天然ハイドロタルサイトや商品名:DHT−4A(協和化学工業株式会社製)、マグクリア(戸田工業株式会社製)、マグセラー(協和化学工業株式会社製)、スタビエースHT−P(堺化学工業株式会社製)等が挙げられる
リチウムアルミニウム複合水酸化物の一例としては、例えば、OPTIMA−SS(戸田工業株式会社製)、ミズカラック(水澤化学工業株式会社製)等が挙げられる。
上記帯電防止剤としては、例えば、脂肪酸第四級アンモニウムイオン塩、ポリアミン四級塩等のカチオン系帯電防止剤;高級アルコールリン酸エステル塩、高級アルコールEO付加物、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、アニオン型のアルキルスルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキシド付加物硫酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキシド付加物リン酸エステル塩等のアニオン系帯電防止剤;多価アルコール脂肪酸エステル、ポリグリコールリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル等のノニオン系帯電防止剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等の両性型アルキルベタイン、イミダゾリン型両性活性剤等の両性帯電防止剤が挙げられる。
上記防曇剤としては、例えば、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノモンタネート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンジオレエート等のソルビタン脂肪酸エステル及びそのアルキレンオキサイド付加物等のソルビタン系界面活性剤、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、ジグリセリンジステアレート、トリグリセリンモノステアレート、テトラグリセリンジモンタネート、グリセリンモノオレエート、ジグリセリンモノオレエート、ジグリセリンセスキオレエート、テトラグリセリンモノオレエート、ヘキサグリセリンモノオレエート、ヘキサグリセリントリオレエート、テトラグリセリントリオレエート、テトラグリセリンモノラウレート、ヘキサグリセリンモノラウレート等のグリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレンオキサイド付加物等のグリセリン系界面活性剤、ポリエチレングリコールモノパルミテート、ポリエチレングリコールモノステアレート等のポリエチレングリコール系界面活性剤、アルキルフェノールのアルキレンオキシド付加物、ソルビタン/グリセリン縮合物と有機酸とのエステル、ポリオキシエチレン(2モル)ステアリルアミン、ポリオキシエチレン(4モル)ステアリルアミン、ポリオキシエチレン(2モル)ステアリルアミンモノステアレート、ポリオキシエチレン(4モル)ラウリルアミンモノステアレート等のポリオキシエチレンアルキルアミン及びその脂肪酸エステル等の非イオン性界面活性剤が挙げられる。
上記防霧剤としては、例えば、パーフルオロアルキル基、ω−ヒドロフルオロアルキル基等を有するフッ素化合物(特にフッ素系界面活性剤)、またアルキルシロキサン基を有するシリコーン系化合物(特にシリコーン系界面活性剤)等が挙げられる。
上記防カビ剤としては、例えば、含窒素含硫黄系、有機臭素系、含窒素系、砒素系等の有機系防黴剤、銀化合物等の無機系防黴剤等が挙げられる。
本実施形態の農業用フィルムの製造方法は、樹脂組成物をフィルム状に成形する成形工程を含む。
成形工程には、公知の方法が用いられるが、インフレーション法及びダイ法等の溶融押出成型法、溶液流延法、カレンダー法、インフレーション法及びダイ法等による共押出法、多層加工法、ラミネート法、内・外部加熱法等を用いてもよい。これにより、単層または複数層の農業用フィルムが得られる。
また、農業用フィルムの製造方法は、上記の成分を混合して樹脂組成物を得る混合工程をさらに含んでもよい。
混合工程には、タンブラーやヘンシェルミキサ−等の各種混合機を用い予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダー等で溶融混練する方法が挙げられる。
また各成分を予め混合せずに、又は一部の成分のみ予め混合して、フィーダーを用いて押出機に供給し溶融混練して、樹脂組成物を製造してもよい。更には、一部の成分を予め混合し押出機に供給して溶融混練することで得られる樹脂組成物をマスターバッチとし、再度、他の成分と混合し溶融混練することによって樹脂組成物を製造することもできる。
また、上記の混合・混練工程に用いる合成樹脂は、粉状、ペレット状等の所定形状、または繊維状を有するものであってもよい。
本実施形態によれば、農業用フィルムの硫黄吸収抑制能の改善方法を提供できる。農業用フィルムの硫黄吸収抑制能の改善方法は、ヒンダードアミン系光安定剤に、その相乗剤としてベンゾエート化合物を添加することで、農業用フィルム100において硫黄吸収抑制能を向上できる。
これらの所定のヒンダードアミン系光安定剤、及び所定のベンゾエート化合物には、農業用フィルムで説明したものが用いられる。
本実施形態によれば、農業用フィルム100を用いた植物の育成方法を提供できる。植物の育成方法は、農園芸用設備に、上記の農業用フィルム100を配置する工程と、農園芸用設備内に植物を配置する工程と、農園芸用設備内で、硫黄燻蒸する工程と、を含んでもよい。これによって、長期耐光性に優れた農園芸用設備を実現できる。農園芸用設備として、例えば、グリーンハウスが用いられる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
以下、本発明について実施例を参照して詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
<樹脂組成物の調製>
(試験例1)
熱可塑性樹脂(直鎖状低密度ポリエチレン)100質量部、下記の化学式A1で表されるヒンダードアミン系光安定剤0.2質量部、相乗剤として下記の化学式B1で表されるベンゾエート化合物0.8質量部、フェノール系酸化防止剤(ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)0.05質量部、リン系酸化防止剤(トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト)0.05質量部、及び金属石鹸(ステアリン酸カルシウム)0.05質量部を、ロッキングミキサー(愛知電機株式会社製)を用いて30分間混合後、二軸押出機(日鋼TPK商事株式会社製、TEX−28V)を用いて、押出温度190℃、スクリュー回転数150rpmの条件で造粒した。造粒したペレットを、熱風乾燥機(EYELA社製、WINDY OVEN WFO−1001SD)を用いて60℃、8時間乾燥させた。以上により、ペレット状の樹脂組成物を得た。
(試験例2〜14)
表1に示す配合比率に従って、熱可塑性樹脂、ヒンダートアミン系光安定剤およびベンゾエート化合物を用い、その他は試験例1と同様にして、混合および押出加工によってペレット状の樹脂組成物を得た。
なお、化合物A1は、乳鉢で粉砕し、デシケーター中でオーバーナイト(一晩放置)したものを使用した。化合物A2は、液添装置を用いて添加した。
以下、表1の原料情報を示す。
(熱可塑性樹脂)
・直鎖状低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製NF464N、密度:0.918kg/m
・低密度ポリエチレン(株式会社NUC社製NUC−8230、密度:0.928kg/m
・エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(東ソー株式会社製ウルトラセン630、密度:0.936kg/m
(ヒンダートアミン系光安定剤)
Figure 2020184984
Figure 2020184984
(ベンゾエート化合物)
Figure 2020184984
Figure 2020184984
Figure 2020184984
<農業用フィルムの作製>
試験例1〜14で得られたペレット状の樹脂組成物を用いて、インフレーション成形機を使用して、樹脂温度:190℃、トルク:50〜70N・m、押出量:1.5kg/hの条件で押出し、厚み:50μm、単層の農業用フィルム1〜14を作製した。このとき、農業用フィルムの厚みH1=50μm、ヒンダートアミン系光安定剤および相乗剤を含む層の厚みH2=50μmであった。厚みは、農業用フィルムを板厚方向に切断した切断面について、デジタル顕微鏡を用いて測定した。
ここで、詳細な農業用フィルムの作製条件を以下の通りとした。
得られたペレットを、φ20mm、L/D=25(フルフライトスクリュCR=2.0)の押出部を有する東洋精機社製LABO PLASTOMILL 4C150−01に直径25mm、スリット幅0.8mmのリングダイを用いたインフレーション成形により成膜して得られたフィルムはSUMTAK社製フィルム引取装置にて巻き取った。押出部の条件は、加工温度190℃、スクリュー回転数60rpmとし、巻き取り速度は膜厚が50μmの農業用フィルムになるように調整した。
得られた農業用フィルムについて、下記の手順に沿って、硫黄取り込み量および光線透過率を測定した。
<硫黄取り込み量の測定>
(手順A1)
得られた農業用フィルムを用いて、下記の(1)、(2)、(4)、及び(5)の順番に従って、硫黄燻蒸処理前における農業用フィルム中の硫黄元素の含有量(ppm)を測定した。この測定値をSとする。
(手順A2)
手順A1で硫黄燻蒸処理前における硫黄元素の含有量の測定対象とする農業用フィルムを用いて、下記の(1)、(2)、(3)、(4)、及び(5)の順番に従って、硫黄燻蒸処理後における農業用フィルム中の硫黄元素の含有量(ppm)を測定した。この測定値をSとする。ただし、Sは、4つの測定値の平均値とした。
(手順A3)
その後、上記の手順A1で得られたSおよび手順A2で得られたSを用いて、以下の式(I)に基づいて、農業用フィルムの硫黄取り込み量ΔW(ppm)を算出した。
ΔW(ppm)=|S−S| ・・・式(I)
(1):試験片の準備
農業用フィルムを切出し、縦幅13cm×横幅2.5cmの短冊状フィルムの試験片Aを作製した。
(2):洗浄処理
試験片A、液温25℃、3Lの蒸留水、及びスターラーチップを、直径18cmのビーカーに入れ、5分間スターラーで攪拌した。蒸留水に浸漬させた試験片Aを取り出し、その表面の水分をキムワイプで拭き取った。その後、試験片Aを吊した状態で30分間保持することで乾燥させた。
(3):硫黄燻蒸処理
図2には、硫黄燻蒸処理のために使用する燻蒸設備200の概要を示す。
まず、縦幅50cm×横幅56cm×高さ60cmの略直方体形状の閉鎖空間を備えるビニールハウス210(アズワン社製、ポータブルヒュームフード エコノフード)を準備した。
続いて、ビニールハウス210の内部の天面212に攪拌機220(新東科学社製、スリーワンモーター BL1200)を設置し、その内部の底面214に加熱装置(ホットプレート230)を設置した。そして、ホットプレート230(IKA製 C−mag ホットプレート HP4)上の中央にアルミニウム箔製のトレイ240(底面の面積:16cm、幅:4cm、奥行き:4cm、高さ:2cm)を配置した。一方、ビニールハウス210の内部に吊り下げた状態で4枚の試験片A(試験片250)を設置した。4つの試験片250を、互いに適度に離間し、いずれもビニールハウス210の約半分の高さに位置するように配置した。
その後、次の硫黄燻蒸操作を、繰り返し4回行った。
(硫黄燻蒸操作)
まず、120mgのパウダー状の硫黄260をトレイ250内に投入した。続いて、180rpmの回転速度で攪拌機220を回転させ、その状態のまま、ホットプレート230を用いてトレイ240を190℃で4時間加熱した。このとき、ホットプレート230は、約4分で20℃から190℃に昇温した。その後、ホットプレート230を停止して加熱を終了し、約30分間かけて、室温まで自然冷却した。
(4):表面処理
下記の条件で光照射を試験片Aに対して102分間行い、続いて、下記の条件で光照射とともに水のスプレーを試験片Aに対して18分間行った。この合計120分の操作を1サイクルとして、合計60サイクル行い、合計120時間の表面処理を試験片Aに対して行った。
(光照射の条件)
試験片Aに対して、キセノン耐候試験装置を用いて、ブラックパネル温度65℃、相対湿度50%、ボロシリケートフィルターを使用した条件で、UV照射強度60W/m、波長300〜400nmのキセノンランプを120時間照射した。
(5):硫黄元素含有量の測定
試験片Aを板厚方向に切断して得られたサンプル200mgを硝酸5gに加えて硝酸溶液を得た。この硝酸溶液に対して、マイクロ波湿式分解装置(Analytik jena社製、TOPwave)を用いて、温度230℃、圧力40Bar、1時間の条件下で、サンプルを液体化する前処理を行うことにより、測定溶液を得た。
得られた測定溶液中の硫黄元素の含有量について、ICP発光分析装置(SII Nano Technology社製、SPS3500)を用いて測定した。
<光線透過率の測定>
図3には、光線透過率の測定対象となる試験片の前処理の手順を説明する図を示す。図4には、試験片の透過率を測定する分光光度計の概要を示す。
(前処理)
まず、上記<硫黄取り込み量の測定>で測定対象とする農業用フィルムを用いて、そのフィルムを切出して、縦幅10cm×横幅5cmの短冊状フィルムの試験片B(試験片310)を作製した(図3(a))。
続いて、試験片310を流動パラフィン320(富士フイルム和光純薬社製)に浸漬させた(図3(b))。
その後、流動パラフィン320から取り出し、試験片310を30分間、大気中に吊した状態で保持した(図3(c))。
(測定手順)
前処理した試験片310を、図4に示す分光光度計300(日本分光社製、紫外可視近赤外分光光度計V−750)に設置した。この分光光度計300は、光源330と検出器340とを備える。
分光光度計300において、光源330と検出器340との間には、第1スリットに設けられた入射開口370、入射開口370を覆うように、光源330とは反対側の第1スリットに設置された試験片310、空のセルホルダ350、及び第2スリットに設けられた出口開口380が配置される。
光源330から照射された光線360は、入射開口370、試験片310、空のセルホルダ350、および出口開口380を通過して、検出器340に至る。
このような図4の分光光度計300を用いて、光線360の波長を200nm〜700nmまで変動させたときの、各波長における試験片310の光線透過率(%)を測定した。
その後、得られた測定値を400nmにおける光線透過率が85%となるように規格化した。
規格化後における波長Xnmにおける光線透過率をTx(%)としたとき、このTxの値を表1に示す。
(実施例1〜12、比較例1、2)
上記の硫黄取り込み量および光線透過率の測定結果を踏まえ、得られた農業用フィルム1〜14を、表2中の実施例1〜12の農業用フィルムとして使用し、得られた農業用フィルム13、14を、表2中の比較例1、2の農業用フィルムとして使用した。
各実施例・各比較例の農業用フィルムについて、下記の評価項目に基づいて評価を実施した。結果を表2に示す。
Figure 2020184984
(長期耐候性)
各実施例・各比較例の農業用フィルムについて、ISO4892−2に準じて、ブラックパネル温度65℃、相対湿度50%、ボロシリケートフィルターを使用した条件で、UV照射強度60W/m、波長300〜400nmのキセノンランプを120時間照射することで耐候促進試験を行った。この際、120分を1サイクルとし、1サイクルの照射時間中に102分の光のみの照射と18分間の光の照射とともに水のスプレーを行い、これを60サイクルの合計120h行った。
この耐候促進試験中、120h毎に、上記(3):硫黄燻蒸処理と同様にして(硫黄燻蒸操作)を1回行った。
そして、耐候促進試験の0h、840h、1200h、2040hにおいて、株式会社島津製作所社製AG−Xplusを用いて、JIS K7161−1に準じて、試験速度500mm/minで各フィルムの引張強度残率(%)を測定した。引張強度残率(%)とは、耐候促進試験前のフィルムの引張強度を100%としたときの、引張強度の低下率と定義した。
その結果、1200h時において、比較例1の引張強度残率が、実施例1〜12や比較例2と比べて小さい値を示し、2040時において、比較例1および比較例2の引張強度残率が、実施例1〜12と比べて低い値を示した。よって、実施例1〜12の農業用フィルムは、比較例1,2と比べて、長期耐候性が優れることが示された。
(透明性)
各実施例・各比較例の農業用フィルムについて、JIS K7136に準じてHaze(ヘイズ値:%)を測定した。実施例1〜12の農業用フィルム1〜12のヘイズ値は、実用上問題なく使用できる程度に低い値を示した。一方、比較例2の農業用フィルム14のヘイズ値は、各実施例のものよりも著しく高い数値であった(表1)。
また、実施例1〜12と比較例2との農業用フィルムについて表面観察を行った。その結果、実施例1〜12には表面にブルームが見られなかったが、比較例2には表面にブルームが観察された。
よって、比較例2の農業用フィルム14において、ヒンダートアミン系光安定剤および相乗剤を含む層からのブルームによって、ヘイズ値が上昇したものと推察される。
(比較例3)
熱可塑性樹脂(直鎖状低密度ポリエチレン)100質量部、上記化学式A1で表されるヒンダードアミン系光安定剤0.4質量部、上記化学式B1で表されるベンゾエート化合物0.1質量部、および紫外線吸収剤(トリアジン系UV吸収剤、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、サイテック インダストリー社製、サイアソーブ UV1164)0.05質量部を、ロッキングミキサー(愛知電機株式会社製)を用いて30分間混合後、二軸押出機(日鋼TPK商事株式会社製、TEX−28V)を用いて、押出温度190℃、スクリュー回転数150rpmの条件で造粒した。造粒したペレットを、熱風乾燥機(EYELA社製、WINDY OVEN WFO−1001SD)を用いて60℃、8時間乾燥させた。以上により、ペレット状の樹脂組成物を得た。
得られたペレット状の樹脂組成物を用いて、上記<農業用フィルムの作製>と同様にして、厚み50μmの農業用フィルム15を作製した。
農業用フィルム15について、上記(光線透過率)と同様にして、波長200nm〜700nmまでの光線透過率を測定した。得られた測定値を、400nmにおける光線透過率が85%となるように規格化した。
その結果、農業用フィルム15において、290nmの光線透過率T290:53.1%、340nmの光線透過率T340:71.2%、T290/T340:0.75であった。
実施例1〜12の農業用フィルムは、比較例1と比べて長期耐候性に優れており、比較例2と比べて透明性に優れることが示された。このような農業用フィルムは、農作物や植物の育成に用いられる部材に好適であり、とくにグリーンハウスの材料に用いることができる。
また、ヒンダードアミン系光安定剤とベンゾエート化合物と適当に配合することによって、農業用フィルムの硫黄吸収抑制能を向上できる。このため、実施例の農業用フィルムは、植物や農作物の育成時に行う硫黄燻蒸・硫黄散布等に好適に用いることができる。
10 耐候性層
20 基層
100 農業用フィルム
200 燻蒸設備
210 ビニールハウス
212 天面
214 底面
220 攪拌機
230 ホットプレート
240 トレイ
250 試験片
250 トレイ
260 硫黄
300 分光光度計
310 試験片
320 流動パラフィン
330 光源
340 検出器
350 セルホルダ
360 光線
370 入射開口
380 出口開口
本発明は、業用フィルムの硫黄吸収抑制能の改善方に関する。
本発明によれば、農業用フィルムにおいて硫黄吸収抑制能を向上できる農業用フィルムの硫黄吸収抑制能の改善方法が提供される。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
以下、参考形態の例を付記する。
1. 上記の化学式A1で表される化合物、および下記の化学式A2で表される化合物の少なくとも一方から選択されたヒンダードアミン系光安定剤と、
上記の一般式(B)で表されるベンゾエート化合物から選択される一または二以上を含む相乗剤と、
を含む層を備える、農業用フィルムであって、
(上記一般式(B)中、R 及びR は各々独立に炭素原子数1〜8のアルキル基を、R は炭素原子数1〜30のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、または、炭素原子数7〜30のアルキルアリール基を示す。)
当該農業用フィルムにおいて、
下記の手順Aに従って測定される硫黄取り込み量をΔW、当該農業用フィルムの厚みをH1、前記層の厚みをH2としたとき、(ΔW×(H2/H1))/H2が、2.80ppm/μm以上4.70ppm/μm以下であり、
下記の手順Bに従って測定される、290nmの光線透過率をT 290 、340nmの光線透過率をT 340 としたとき、T 290 /T 340 が0.76以上1.00以下である、
農業用フィルム。
<手順A>
手順A1:当該農業用フィルムを用いて、下記の(1)、(2)、(4)、及び(5)の順番に従って、硫黄燻蒸処理前における当該農業用フィルム中の硫黄元素の含有量(ppm)を測定し、この測定値をS とする。
手順A2:手順A1で測定対象とする当該農業用フィルムを用いて、下記の(1)、(2)、(3)、(4)、及び(5)の順番に従って、硫黄燻蒸処理後における当該農業用フィルム中の硫黄元素の含有量(ppm)を測定し、この測定値をS とする。ただし、S は、4つの測定値の平均値とする。
手順A3:上記の手順A1で得られたS および手順A2で得られたS を用いて、以下の式(I)に基づいて、当該農業用フィルムの硫黄取り込み量(ppm)を算出する。
|S −S | ・・・式(I)
(1):試験片の準備
当該農業用フィルムを切出し、縦幅13cm×横幅2.5cmの短冊状フィルムの試験片Aを作製する。
(2):洗浄処理
前記試験片Aを、液温25℃の蒸留水に浸漬し、蒸留水から取り出し後、乾燥させる。
(3):硫黄燻蒸処理
縦幅50cm×横幅56cm×高さ60cmの略直方体形状の閉鎖空間を備えるビニールハウスを準備する。続いて、前記ビニールハウスの内部の天面に攪拌機を設置し、その内部の底面に加熱装置を設置し、前記加熱装置上にアルミニウム箔製のトレイを配置する。前記ビニールハウスの内部に吊り下げた状態で4枚の前記試験片Aを設置する。
その後、次の硫黄燻蒸操作を、繰り返し4回行う。
(硫黄燻蒸操作)
120mgのパウダー状の硫黄を前記トレイ内に投入する。続いて、前記攪拌機の回転数を180rpmに設定し、前記トレイを、190℃で4時間加熱する。
(4):表面処理
下記の条件で光照射を前記試験片Aに対して102分間行い、続いて、下記の条件で光照射とともに水のスプレーを前記試験片Aに対して18分間行う。この合計120分の操作を1サイクルとして、合計60サイクル行い、合計120時間の表面処理を前記試験片Aに対して行う。
(光照射の条件)
前記試験片Aに対して、温度65℃、相対湿度50%の条件下で、照射強度60W/m のキセノンランプを照射する。
(5):硫黄元素含有量の測定
5gの硝酸中に、前記試験片Aを板厚方向に切断して得られた200mgのサンプルを加えて硝酸溶液を得る。この硝酸溶液に対して、マイクロ波湿式分解法を用いて、前記サンプルを液化する前処理を行うことにより測定溶液を得る。得られた前記測定溶液中の硫黄元素の含有量について、ICP発光分析装置を用いて測定する。
<手順B>
手順B1:上記の手順Aで測定対象とする当該農業用フィルムを用い、そのフィルムを切出して、縦幅10cm×横幅5cmの短冊状フィルムの試験片Bを作製する。続いて、前記試験片Bを流動パラフィンに浸漬させ、取り出した前記試験片Bを30分間、吊した状態で保持することにより、前記試験片Bについて前処理を行う。
手順B2:上記の手順B1で前処理した前記試験片Bを分光光度計に設置して、波長200nm〜700nmまでの光線透過率(%)を測定する。得られた測定値を、400nmにおける光線透過率が85%となるように規格化する。規格化後における波長Xnmにおける光線透過率をTx(%)と表す。
2. 1.に記載の農業用フィルムであって、
上記の手順Bに従って測定される、当該農業用フィルムにおける660nmの光線透過率T 660 が80%以上である、農業用フィルム。
3. 1.又は2.に記載の農業用フィルムであって、
前記ベンゾエート化合物が、上記の化合物B1または化合物B2を含む、農業用フィルム。
4. 1.〜3.のいずれか一つに記載の農業用フィルムであって、
前記層中の前記ヒンダードアミン系光安定剤の含有量をAとし、前記相乗剤の含有量をBとしたとき、A、Bが、0.2/0.8≦A/B≦0.95/0.05を満たす、
農業用フィルム。
5. 1.〜4.のいずれか一つに記載の農業用フィルムであって、
前記層が熱可塑性樹脂を含む、農業用フィルム。
6. 5.に記載の農業用フィルムであって、
前記熱可塑性樹脂が、直鎖状低密度ポリエチレンまたは低密度ポリエチレンを含む、農業用フィルム。
7. 5.又は6.に記載の農業用フィルムであって、
前記層中の前記ヒンダードアミン系光安定剤および前記相乗剤の含有量が、前記熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上10質量部以下である、農業用フィルム。
8. 1.〜7.のいずれか一つに記載の農業用フィルムであって、
グリーンハウスを形成するために用いる、農業用フィルム。
9. 1.〜8.のいずれか一つに記載の農業用フィルムを形成するために用いる、農業用フィルム形成用樹脂組成物。
10. ヒンダードアミン系光安定剤に、その相乗剤としてベンゾエート化合物を添加することで、農業用フィルムにおいて硫黄吸収抑制能を向上させる、農業用フィルムの硫黄吸収抑制能の改善方法。
11. グリーンハウスに、1.〜8.のいずれか一つに記載の農業用フィルムを配置する工程と、
前記グリーンハウス内に植物を配置する工程と、
前記グリーンハウス内で、硫黄燻蒸する工程と、を含む、
植物の育成方法。
発明によれば、
ヒンダードアミン系光安定剤に、その相乗剤としてベンゾエート化合物を添加することで、農業用フィルムにおいて硫黄吸収抑制能を向上させる、農業用フィルムの硫黄吸収抑制能の改善方法であって、
前記ヒンダードアミン系光安定剤が、下記の化学式A1で表される化合物、および下記の化学式A2で表される化合物の少なくとも一方を含み、
前記相乗剤が、下記の一般式(B)で表されるベンゾエート化合物から選択される一または二以上を含み、
前記ヒンダードアミン系光安定剤の質量換算の添加量をAとし、前記相乗剤の質量換算の添加量をBとしたとき、A、Bが、0.2/0.8≦A/B≦0.95/0.05を満たす、
農業用フィルムの硫黄吸収抑制能の改善方法が提供される。

Claims (11)

  1. 下記の化学式A1で表される化合物、および下記の化学式A2で表される化合物の少なくとも一方から選択されたヒンダードアミン系光安定剤と、
    下記の一般式(B)で表されるベンゾエート化合物から選択される一または二以上を含む相乗剤と、
    を含む層を備える、農業用フィルムであって、
    Figure 2020184984
    Figure 2020184984
    Figure 2020184984
    (上記一般式(B)中、R及びRは各々独立に炭素原子数1〜8のアルキル基を、Rは炭素原子数1〜30のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、または、炭素原子数7〜30のアルキルアリール基を示す。)
    当該農業用フィルムにおいて、
    下記の手順Aに従って測定される硫黄取り込み量をΔW、当該農業用フィルムの厚みをH1、前記層の厚みをH2としたとき、(ΔW×(H2/H1))/H2が、2.80ppm/μm以上4.70ppm/μm以下であり、
    下記の手順Bに従って測定される、290nmの光線透過率をT290、340nmの光線透過率をT340としたとき、T290/T340が0.76以上1.00以下である、
    農業用フィルム。
    <手順A>
    手順A1:当該農業用フィルムを用いて、下記の(1)、(2)、(4)、及び(5)の順番に従って、硫黄燻蒸処理前における当該農業用フィルム中の硫黄元素の含有量(ppm)を測定し、この測定値をSとする。
    手順A2:手順A1で測定対象とする当該農業用フィルムを用いて、下記の(1)、(2)、(3)、(4)、及び(5)の順番に従って、硫黄燻蒸処理後における当該農業用フィルム中の硫黄元素の含有量(ppm)を測定し、この測定値をSとする。ただし、Sは、4つの測定値の平均値とする。
    手順A3:上記の手順A1で得られたSおよび手順A2で得られたSを用いて、以下の式(I)に基づいて、当該農業用フィルムの硫黄取り込み量(ppm)を算出する。
    |S−S| ・・・式(I)
    (1):試験片の準備
    当該農業用フィルムを切出し、縦幅13cm×横幅2.5cmの短冊状フィルムの試験片Aを作製する。
    (2):洗浄処理
    前記試験片Aを、液温25℃の蒸留水に浸漬し、蒸留水から取り出し後、乾燥させる。
    (3):硫黄燻蒸処理
    縦幅50cm×横幅56cm×高さ60cmの略直方体形状の閉鎖空間を備えるビニールハウスを準備する。続いて、前記ビニールハウスの内部の天面に攪拌機を設置し、その内部の底面に加熱装置を設置し、前記加熱装置上にアルミニウム箔製のトレイを配置する。前記ビニールハウスの内部に吊り下げた状態で4枚の前記試験片Aを設置する。
    その後、次の硫黄燻蒸操作を、繰り返し4回行う。
    (硫黄燻蒸操作)
    120mgのパウダー状の硫黄を前記トレイ内に投入する。続いて、前記攪拌機の回転数を180rpmに設定し、前記トレイを、190℃で4時間加熱する。
    (4):表面処理
    下記の条件で光照射を前記試験片Aに対して102分間行い、続いて、下記の条件で光照射とともに水のスプレーを前記試験片Aに対して18分間行う。この合計120分の操作を1サイクルとして、合計60サイクル行い、合計120時間の表面処理を前記試験片Aに対して行う。
    (光照射の条件)
    前記試験片Aに対して、温度65℃、相対湿度50%の条件下で、照射強度60W/mのキセノンランプを照射する。
    (5):硫黄元素含有量の測定
    5gの硝酸中に、前記試験片Aを板厚方向に切断して得られた200mgのサンプルを加えて硝酸溶液を得る。この硝酸溶液に対して、マイクロ波湿式分解法を用いて、前記サンプルを液化する前処理を行うことにより測定溶液を得る。得られた前記測定溶液中の硫黄元素の含有量について、ICP発光分析装置を用いて測定する。
    <手順B>
    手順B1:上記の手順Aで測定対象とする当該農業用フィルムを用い、そのフィルムを切出して、縦幅10cm×横幅5cmの短冊状フィルムの試験片Bを作製する。続いて、前記試験片Bを流動パラフィンに浸漬させ、取り出した前記試験片Bを30分間、吊した状態で保持することにより、前記試験片Bについて前処理を行う。
    手順B2:上記の手順B1で前処理した前記試験片Bを分光光度計に設置して、波長200nm〜700nmまでの光線透過率(%)を測定する。得られた測定値を、400nmにおける光線透過率が85%となるように規格化する。規格化後における波長Xnmにおける光線透過率をTx(%)と表す。
  2. 請求項1に記載の農業用フィルムであって、
    上記の手順Bに従って測定される、当該農業用フィルムにおける660nmの光線透過率T660が80%以上である、農業用フィルム。
  3. 請求項1又は2に記載の農業用フィルムであって、
    前記ベンゾエート化合物が、下記の化合物B1または化合物B2を含む、農業用フィルム。
    Figure 2020184984
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の農業用フィルムであって、
    前記層中の前記ヒンダードアミン系光安定剤の含有量をAとし、前記相乗剤の含有量をBとしたとき、A、Bが、0.2/0.8≦A/B≦0.95/0.05を満たす、
    農業用フィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の農業用フィルムであって、
    前記層が熱可塑性樹脂を含む、農業用フィルム。
  6. 請求項5に記載の農業用フィルムであって、
    前記熱可塑性樹脂が、直鎖状低密度ポリエチレンまたは低密度ポリエチレンを含む、農業用フィルム。
  7. 請求項5又は6に記載の農業用フィルムであって、
    前記層中の前記ヒンダードアミン系光安定剤および前記相乗剤の含有量が、前記熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上10質量部以下である、農業用フィルム。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の農業用フィルムであって、
    グリーンハウスを形成するために用いる、農業用フィルム。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の農業用フィルムを形成するために用いる、農業用フィルム形成用樹脂組成物。
  10. ヒンダードアミン系光安定剤に、その相乗剤としてベンゾエート化合物を添加することで、農業用フィルムにおいて硫黄吸収抑制能を向上させる、農業用フィルムの硫黄吸収抑制能の改善方法。
  11. グリーンハウスに、請求項1〜8のいずれか一項に記載の農業用フィルムを配置する工程と、
    前記グリーンハウス内に植物を配置する工程と、
    前記グリーンハウス内で、硫黄燻蒸する工程と、を含む、
    植物の育成方法。
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