JP2020184531A - マイクロ波熟成装置およびマイクロ波熟成方法 - Google Patents

マイクロ波熟成装置およびマイクロ波熟成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】食品を安全かつ高速に熟成させることができるマイクロ波熟成装置およびマイクロ波熟成方法を提供する。【解決手段】食品を収納する熟成室33と、熟成室33内に照射されるマイクロ波を発振するマイクロ波発振部20と、熟成室33内の空気を冷却する冷却器11と、ユーザが指示を入力する操作部40と、操作部40に入力された指示に基づいて、マイクロ波発振部20および冷却器11の動作を制御する制御部50と、を備えるマイクロ波熟成装置であって、制御部50は、マイクロ波照射時に、食品の表面温度が凍結温度よりも低くなるように、マイクロ波発振部20および冷却器11の動作を制御するマイクロ波熟成装置。【選択図】図3

Description

本発明は、マイクロ波を照射して食品を熟成させる、マイクロ波熟成装置およびマイクロ波熟成方法に関する。
近年、牛肉を一定期間熟成させることで牛肉の旨みなどを増大させた、いわゆる熟成肉が広く知られるようになり、その需要が増大している。牛肉を熟成させる場合には、本来40℃程度で熟成することが旨みなどを引き出す点から好ましいが、菌の増殖による腐敗を抑制するために、通常は、1℃などの低温で熟成が行われている(特許文献1参照)。
特開2015−123057
従来技術では、低温で熟成を行うため、熟成が完成するまでに長時間(長い場合には90〜180日)を要してしまうという問題があった。また、熟成期間が長くなるほど、低温でも菌による腐敗が表面から進み、その分、表面をそぎ落とすトリミングの量が多くなり、歩留まりが悪くなるという問題があった。
本発明は、食品を安全かつ高速に熟成させることができる、マイクロ波熟成装置およびマイクロ波熟成方法を提供することを課題とする。
本発明の第1の観点に係るマイクロ波熟成装置は、食品を収納する熟成室と、前記熟成室内に照射されるマイクロ波を発振するマイクロ波発振部と、前記熟成室内の空気を冷却する冷却器と、ユーザが指示を入力する操作部と、前記操作部に入力された指示に基づいて、前記マイクロ波発振部および前記冷却器の動作を制御する制御部と、を備えるマイクロ波熟成装置であって、前記制御部は、マイクロ波照射時に、食品の表面温度が凍結温度よりも低くなるように、前記マイクロ波発振部および前記冷却器の動作を制御する。
上記第1の観点に係るマイクロ波熟成装置において、前記制御部は、マイクロ波照射時の食品の表面温度が−2℃よりも低い温度となるように、前記マイクロ波発振部および前記冷却器の動作を制御するように構成することができる。
上記第1の観点に係るマイクロ波熟成装置において、前記制御部は、マイクロ波照射時の食品の内部温度が8℃以上となるように、前記マイクロ波発振部および前記冷却器の動作を制御するように構成することができる。
上記第1の観点に係るマイクロ波熟成装置において、前記制御部は、マイクロ波照射時の食品の内部温度が5℃以上、10℃以下となるように、前記マイクロ波発振部および前記冷却器の動作を制御するように構成することができる。
上記第1の観点に係るマイクロ波熟成装置において、前記制御部は、食品の表面温度と内部温度との温度差が10℃以上となるように、前記マイクロ波発振部および前記冷却器の動作を制御するように構成することができる。
上記第1の観点に係るマイクロ波熟成装置は、ドライエイジングおよびウェットエイジングが可能であり、ウェットエイジング時において食品を載置するための網皿をさらに有するように構成することができる。
本発明の第2の観点に係るマイクロ波熟成装置は、食品を収納する熟成室と、前記熟成室内に照射されるマイクロ波を発振させるマイクロ波発振部と、前記熟成室内の空気を冷却する冷却器と、前記マイクロ波発振部および前記冷却器の動作を制御する制御部と、を備えるマイクロ波熟成装置であって、前記制御部は、マイクロ波照射時に、食品の内部温度が15℃以上となり、食品の表面温度と内部温度との温度差が10℃以上となるように、前記マイクロ波発振部および前記冷却器の動作を制御する。
上記第2の観点に係るマイクロ波熟成装置において、マイクロ波照射時の食品の表面温度が0℃以上となるように、前記マイクロ波発振部および前記冷却器の動作を制御するように構成することができる。
上記第1または第2の観点に係るマイクロ波熟成装置において、前記マイクロ波発振部は、熟成時に、マイクロ波を1時間以上照射するように構成することができる。
上記第1または第2の観点に係るマイクロ波熟成装置において、前記制御部は、熟成時に、前記マイクロ波発振部にマイクロ波を一定時間照射することとマイクロ波の照射を一定時間停止することとを繰り返させるように構成することができる。
本発明の第1の観点に係るマイクロ波熟成方法は、マイクロ波を用いて食品を熟成させるマイクロ波熟成方法であって、マイクロ波照射時の食品の表面温度が凍結温度よりも低くなるように、マイクロ波の照射および前記熟成室の冷却を行うことで、食品の熟成を行うマイクロ波熟成方法。
上記第1の観点に係るマイクロ波熟成方法において、食品の内部温度が5℃以上となり、食品の表面温度が−2℃よりも低くなるように、マイクロ波の照射および前記熟成室の冷却を行うように構成することができる。
本発明の第2の観点に係るマイクロ波熟成方法は、マイクロ波を用いて食品を熟成させるマイクロ波熟成方法であって、食品の内部温度が15℃以上となり、食品の表面温度と内部温度との温度差が10℃以上となるように、マイクロ波の照射および前記熟成室の冷却を行う。
上記第1または第2の観点に係るマイクロ波熟成方法において、前記食品が肉類、魚介類、乳製品、豆類、野菜類、果物類、麺類、パン類、酒類または発酵食品であるように構成することができる。
通常、腐敗は食品の表面から進行することが多く、おおよそ40℃以下であれば温度が高いほど腐敗の進行は早くなる。しかしながら、本発明によれば、熟成中に、食品の表面温度を凍結温度よりも低くすることで、内部温度を高くしても、食品表面における菌の増殖を抑制することができ、食品を安全かつ高速に熟成させることができる。
第1実施形態に係るマイクロ波熟成装置の構成図である。 超低温熟成モードのウェットエイジングで使用される網皿の一例を示す図である。 試験例2における各サンプルの熟成条件を説明するための図である。 試験例2における官能試験の結果を示す表である。 試験例3における遊離L−グルタミン酸の濃度の経時変化を示すグラフである。 試験例4における牛モモ肉の外観を示す写真である。 試験例5における官能試験の結果を示す表である。 試験例7における官能試験の結果を示す表である。 試験例8における豚ロース肉の官能試験の結果を示す表である。 試験例8における豚モモ肉の官能試験の結果を示す表である。 試験例9における豚ロース肉の官能試験の結果を示す表である。 試験例9における豚モモ肉の官能試験の結果を示す表である。 試験例10における官能試験の結果を示す表である。 (A)は熟成前後のゴーダチーズの断面を示す写真であり、(B)は試験例11における官能試験の結果を示す表である。 第2実施形態に係るマイクロ波熟成装置の構成図である。 第3実施形態に係るマイクロ波熟成装置の構成図である。 第3実施形態に係るキャビティの構成図である。
≪第1実施形態≫
図1は、第1実施形態に係るマイクロ波熟成装置の構成図である。本実施形態に係るマイクロ波熟成装置1は、図1に示すように、冷却部10、マイクロ波発振部20、マイクロ波熟成部30、制御部50、およびUVランプ60を備える。マイクロ波熟成装置1は、冷却部10の内部にマイクロ波熟成部30、操作部40、制御部50、およびUVランプ60を内蔵している。なお、本実施形態に係るマイクロ波熟成装置1において、熟成の対象となる食品は、肉類(ハムなどの加工肉食品を含む)、魚介類、チーズなどの乳製品、コーヒー豆などの豆類、野菜類、果物類、麺類、パン類、ワインなどの酒類、発酵食品(味噌や醤油などの発酵調味料を含む)などである。
冷却部10は、冷却部10の内部空間を冷却する装置である。冷却部10は、図1に示すように、冷却器11、第1ファン12、冷却室13、および不図示の冷却室扉14を有している。本実施形態では、冷却器11が外部との熱交換を行うことで冷気を発生させ、発生した冷気を第1ファン12により冷却部10の内部の冷却室13内に送風する。これにより、冷却室13内を低温とすることがきできる。なお、後述するように、熟成させる食品の表面温度が内部温度よりも低くなるように、制御部50により、マイクロ波発振部20等の動作や冷却室13内の温度が適宜制御されている。また、ユーザは、冷却室扉14を開くことで、冷却室13内に設置されているマイクロ波熟成部30に、熟成させる食品を出し入れすることができる。
マイクロ波発振部20は、食品Mに照射するためのマイクロ波を発振する。マイクロ波発振部20として、マグネトロンを使用した発振器を用いることもできるが、本実施形態では、マグネトロンと比べて高い周波数および出力安定度が得られる、半導体素子を用いたソリッドステート方式の発振器を用いる。マイクロ波発振部20は、周波数を2.4〜2.5GHzの間で連続的に変化させて、マイクロ波を発振する。マイクロ波発振部20で発振されたマイクロ波は、ケーブル21を介して、マイクロ波熟成部30の照射口31から照射される。なお、マイクロ波の周波数を2.4〜2.5GHzの間で連続的に変化させることでマイクロ波熟成部30での電磁界の分布が均一化されるため、食品Mにも均一な分布でマイクロ波が照射され、食品Mの均一加熱(均一熟成)を促進することができる。
マイクロ波熟成部30は、図1に示すように、照射口31、第2ファン32、熟成室33、および不図示の熟成室扉34を備える。ユーザは、熟成室扉34を開けることで、熟成を行う食品Mを熟成室33に出し入れすることができる。
熟成室33は、内面(内壁)の全ての面にマイクロ波を反射するための反射板が設置されたキャビティである。熟成室33の上部内面には、マイクロ波発振部20により発振されたマイクロ波を、熟成室33内に照射する照射口31が設置されている。本実施形態においては、照射口31に、小型で利得が高いパッチアンテナ(平面アンテナ)が取り付けられ、これによりマイクロ波発振部20により発振されたマイクロ波が熟成室33内に照射される。熟成室33には、テフロン(登録商標)やポリプロピレンなどのマイクロ波透過性材により構成された任意の形状の棚を設置してもよい。またステンレスなどの金属材料を使用する場合は、間隔が20mm以上の格子状の棚や、直径20mm以上の開口部を持つパンチングメタル形状の棚を設置しても良い。
第2ファン32は、冷却室13内の冷気を熟成室33に送風する。第2ファン32は、ドライエイジングに適した風量(たとえば0.5〜10.0m/秒)で送風を行うことができるものを採用することができる。なお、ウェットエイジングでは、第2ファン32を停止させることも可能である。本実施形態では、図1に示すように、第2ファン32が熟成室33の外側に取り付けられており、第2ファン32が取り付けられた熟成室33の側壁には、第1微小開口35が設けられている。第1微小開口35は、マイクロ波の波長よりも短い大きさで開口されており、たとえば本実施形態では、第1微小開口35の大きさを直径10mm以下としている。第1微小開口35により、熟成室33内に照射されたマイクロ波は遮断され、第2ファン32により送風された冷気のみが通過される。また、第1微小開口35と対向する熟成室33の側壁には、第1微小開口35と同様の径の、第2微小開口36が設けられている。第2微小開口36により、熟成室33に照射されたマイクロ波は遮断されるが、食品Mとの熱交換により温められた熟成室33内の空気が、第2微小開口36を通過して、冷却室13内へと排出される。第1微小開口35および第2微小開口36を、1または複数の側壁の大部分を占める面積に設け、通気性を高めてもよい。また、熟成室33を第1微小開口35および第2微小開口36が予め形成されたパンチングメタルを用いて構成することもでき、このようなパンチングメタルとして、φ10mmのステンレス板を用いることもできる。
制御部50には、熟成させる食品Mの表面温度および内部温度がそれぞれ所定の温度となるように温度制御を行うプログラムが組み込まれている。具体的には、制御部50は、マイクロ波発振部20、冷却器11、第1ファン12、第2ファン32の動作を制御することで、マイクロ波発振部20によるマイクロ波の出力、冷却器11による冷気の温度、第1ファン12および第2ファン32の風量を制御して温度制御を行う。たとえば、制御部50は、マイクロ波発振部20のマイクロ波の出力を高くすることで食品Mの内部温度を高くすることができ、また、冷却器11による冷気の温度を低くし、あるいは、第1ファン12および第2ファン32の風量を高くすることで食品Mの表面温度を低くすることができる。
また、制御部50は、マイクロ波発振部20によるマイクロ波の発振を制御することができる。たとえば、制御部50は、マイクロ波発振部20を一定の出力値および一定の周波数に固定して発振させる固定照射に加えて、短い周期(たとえば数ミリ秒周期)でマイクロ波発振部20に発振と停止とを繰り返させる間欠照射や、マイクロ波発振部20の周波数を経時的に変化させる掃引照射や、マイクロ波発振部20の出力値を経時的に変化させる連続照射を行わせることができる。また、制御部50は、食品Mを熟成させている間、マイクロ波を連続して照射する必要もなく、少なくとも1時間以上(好ましくは3時間以上、より好ましくは5時間以上)、マイクロ波の照射が行なわれる構成とすることができる。さらに、制御部50は、マイクロ波の照射のON−OFFを一定時間(たとえば数時間)ごとに切り替えるように(間欠照射の場合は、間欠照射を行う期間と間欠照射を行わない期間とを一定時間ごとに切り替えるように)、マイクロ波発振部20を制御する構成とすることもできる。たとえば、制御部50は、マイクロ波を3時間照射した後、マイクロ波の照射を3時間停止し、同様に、マイクロ波の照射と停止とを3時間ごとに、たとえば熟成期間である7日間ずっと繰り返すように、マイクロ波発振部20を制御することができる。
また、制御部50は、食品Mの内部温度や表面温度を測定する温度センサ(例えば、マイクロ波環境下においても接触式で温度計測が可能な蛍光式光ファイバー温度計(安立計器株式会社製)や、非接触により赤外線や可視光線の強度を測定する放射型温度センサ)と接続し、温度センサの計測結果に基づいて、適宜温度制御を行う構成とすることもできる。
さらに、制御部50は、予め試験により、食品Mの重量および水分量と、食品Mの表面温度および内部温度を所定の温度とするための、マイクロ波発振部20のマイクロ波の出力、冷却器11による冷気の温度、第1ファン12および第2ファン32の風量との関係を記憶しておき、熟成室33内に設置された重量計や非接触式の水分計から得た食品Mの重量や水分量に応じて、マイクロ波発振部20のマイクロ波の出力、冷却器11による冷気の温度、第1ファン12および第2ファン32の風量を制御する構成とすることもできる。この場合、ユーザが操作ボタンやタッチパネル等の入力装置である操作部40を操作して、食品の種類(たとえば、牛肉、豚肉、鶏肉)や大きさなどの熟成対象食品情報を入力することで、制御部50は、食品の表面温度が凍結温度よりも低くなるような制御を自動で行うことができる。
ここで、マイクロ波は誘電加熱により食品内部まで加熱するため、マイクロ波熟成部30でマイクロ波を照射した場合、食品Mの表面に加えて食品Mの内部まで加熱することができる。食品Mの内部を温めることで食品Mの熟成を促進することができるが、食品Mの表面を温めることは食品Mの表面に付着した菌の増殖を促すこととなる。これに対して、本実施形態に係るマイクロ波熟成装置1では、冷却機構、すなわち、冷却部10および第2ファン32の動作により食品Mの表面を冷却することで、食品Mの表面に付着した菌の増殖を抑制することができる。
特に、本実施形態に係るマイクロ波熟成装置1では、加熱機構(マイクロ波発振部20およびマイクロ波熟成部30)による食品Mの加熱と、冷却機構(冷却部10および第2ファン32)による食品Mの表面の冷却とを同時に行うことで、食品Mの表面温度を低くしながらも、食品Mの内部温度を高くすることができる。具体的には、食品Mの表面温度よりも、食品Mの内部温度を高くすることができる。
また、本実施形態に係るマイクロ波熟成装置1は、ユーザが操作するための操作部40を備えており、ユーザは操作部40を操作することで、食品Mの凍結温度よりも低い温度条件下で食品Mを熟成させる超低温熟成モードや、通常の熟成温度よりも高い温度で熟成させる高温熟成モードを指示することができる。ユーザにより超低温熟成モードが指示された場合、制御部50は、食品Mの表面温度が食品Mの凍結温度よりも低い温度となるように、加熱機構および冷却機構の動作を制御する。また、ユーザにより高温熟成モードが指示された場合、制御部50は、食品Mの内部温度が15℃以上となり、食品Mの表面温度が5℃以下となるように(食品Mの表面温度と内部温度との差が10℃以上となるように)、加熱機構および冷却機構の動作を制御する。
たとえば、超低温熟成モードにおいて、ユーザが操作部40を操作して熟成させる食品Mの情報を入力することで、制御部50は、入力された食品Mの情報から食品Mの凍結温度を取得し、食品Mの表面温度が予め定めた食品Mの凍結温度よりも低い温度(たとえば−3℃未満、好ましくは−5〜−10℃)となるように、マイクロ波発振部20の出力、冷却器11による冷気の温度、第1ファン12および第2ファン32による風量を制御することができる。たとえば、牛肉は通常−2℃で凍結するため、制御部50は、牛肉を熟成させる場合には、牛肉の表面温度が予め定めた牛肉の凍結温度(−2℃)よりも低い温度となるように、加熱機構および冷却機構の動作を制御することができる。また、制御部50は、食品Mの種類に関わらず、食品Mの凍結温度を−2℃などと固定して、食品Mの表面温度が予め定めた凍結温度(−2℃など)よりも低くなるように、マイクロ波発振部20の出力、冷却器11による冷気の温度、第1ファン12および第2ファン32による風量を制御することもできる。
なお、通常、食品Mの表面温度を−2℃よりも低い温度または食品Mの凍結温度よりも低い温度とした場合、食品Mの内部も凍結してしまい、却って、熟成が進行しないこととなる。しかしながら、本実施形態では、マイクロ波発振部20により食品Mにマイクロ波を照射して食品Mの内部まで同時に加熱することで、食品Mの表面温度を−2℃よりも低い温度または食品Mの凍結温度よりも低い温度とした場合でも、食品Mの内部の温度を高くすることができ、熟成を進行させることができる。
さらに、本実施形態において、制御部50は、超低温熟成モードが指示されている場合、食品Mの内部温度が表面温度以上、好ましくは内部温度が0℃よりも高い温度、より好ましくは内部温度が5℃以上、10℃以下となるように、マイクロ波発振部20、冷却器11、第1ファン12、および第2ファン32の動作を制御する。また、超低温熟成モードにおいては、食品Mの種類に応じて衛生上許容される範囲において、食品Mの内部温度を10℃以上、または、内部温度を20℃以上とすることもできる。たとえば、食品Mが食肉である場合、制御部50は、食肉の表面温度が食肉の凍結温度よりも低い温度となり、かつ、食肉の内部温度が4℃以上、10℃以下となるように、加熱機構および冷却機構の動作を制御することができる。本実施形態では、食品Mの表面温度を凍結温度よりも低くすることができるため、内部温度を熟成が促進する高い温度としても、菌の繁殖を抑制することができる。また、食品Mの内部温度を高い温度として熟成させることで、食品Mを高速で熟成させることもできる。
また、制御部50は、高温熟成モードが指示されている場合、食品Mの内部温度が表面温度以上、好ましくは内部温度が10℃以上、より好ましくは内部温度が15℃以上、さらに好ましくは内部温度が20℃以上となるように、マイクロ波発振部20の出力、冷却器11による冷気の温度、並びに、第1ファン12および第2ファン32による風量を制御する。また、高温熟成モードにおいて、制御部50は、食品Mの表面温度と内部温度との温度差が10℃以上となるように、加熱機構および冷却機構の動作を制御する。これにより、内部温度を熟成が促進する10℃以上としても、菌の繁殖を抑制することができる。また、食品Mの内部温度を10℃以上にして熟成させることで、食品Mを高速で熟成させることもできる。たとえば、チーズを熟成させる場合には、高温熟成モードを用いてチーズを熟成させることが好適である。
UVランプ60は、紫外線を発生させる装置である。本実施形態では、冷却室13や熟成室33を循環する冷気に紫外線を照射することで、冷気中に浮遊する菌を殺菌することができ、食品Mの表面や冷却室13や熟成室33に存在する菌の増殖をより抑制することができる。また、熟成室33の一部(少なくともUVランプ60側の一部)の壁部において紫外線が通過する構成としたり、UVランプを熟成室33に直接設置したりすることもでき、その場合は、食品Mの熟成中に、UVランプ60で発生させた紫外線を、熟成室33内に置かれた食品Mの表面に直接照射することができる。このように、熟成中に、紫外線を食品Mの表面に照射することで、食品Mの表面に存在する菌の増殖をより抑制することができる。なお、制御部50は、UVランプ60の動作も制御することができる。たとえば、制御部50は、熟成を開始したタイミングまたは熟成室扉34を(開けた後に)閉じたタイミングから、一定時間(たとえば数時間)、UVランプ60に紫外線を照射させるように制御を行うことができる。
また、本実施形態に係るマイクロ波熟成装置1では、食品Mをそのまま熟成室33内に載置し表面を乾燥させながら熟成させるドライエイジングと、食品Mを真空包装するなどして乾燥させずに熟成させるウェットエイジングのいずれも行うことができる。また、本実施形態では、第2ファン32による送風を停止させたまま食品Mを熟成させることでウェットエイジングを行うこともできる。なお、後述するように、超低温熟成モードで食品Mをウェットエイジングさせる場合には、他の熟成方法と比べて、食品Mから排出される水分の量が多くなる傾向にある。そのため、超低温熟成モードでウェットエイジングを行う場合、たとえば図2に示すように、一定の高さの突起部を有する網皿に食品Mを載置し、食品Mを網皿に載せた状態で網皿ごと真空包装することで、食品Mと食品Mから排出された水分とを効率良く分離することが可能となる。また、食品Mを網皿に載せた状態で真空包装した場合、食品Mから排出された水分を分離するためのスペースが確保できない場合があるため、さらに、網皿の下にトレイを敷いて(または網皿とトレイとを一体とした部材を用いて)、食品M、網皿およびトレイごと真空包装した方が好ましい。なお、図2は、超低温熟成モードでウェットエイジングを行う際に使用される網皿の一例を示す図である。
次に、本発明に係るマイクロ波熟成装置の実施例について説明する。本発明に係るマイクロ波熟成装置による食品の熟成効果(高温熟成モードおよび超低温熟成モードでの熟成効果)を確認するために、第1実施形態に係るマイクロ波熟成装置1と同様の構成の試作機を製作し、以下の試験例1〜11に示す試験を行った。
(試験例1)
グリーンチーズ(未熟成のチーズ)を12℃で1ヶ月熟成したゴーダチーズを2つに等分し、それぞれを真空パックした。そして、1つは、本実施形態に係るマイクロ波熟成装置を用い、高温熟成モードで、庫内の温度が0℃となるように冷却器11の動作を制御しながら、チーズの内部温度が18℃となるようにマイクロ波の出力を50W以下で制御して、チーズを1ヶ月間熟成させた(実施例1)。もう1つは、12℃の低温インキュベータで、チーズを1ヶ月間熟成させた(すなわち、チーズの表面温度および内部温度を12℃として熟成させた)(比較例1)。
本実施形態に係るマイクロ波熟成装置を用いて高温熟成モードで熟成させた実施例1のチーズでは、低温インキュベータを用いて熟成させた比較例1のチーズと比べて、チーズの表面付近に分布する濃い黄色の領域が広くなった。これは、高温熟成モードで熟成させた実施例1のチーズでは熟成が進み、チーズの組織が硬く引き締まったためと考えられる。
また、試験例1では、1か月間熟成させた後の実施例1および比較例1の各チーズについて、遊離L−グルタミン酸の濃度を測定した。具体的には、チーズ約30gに蒸留水200mlを添加し、ミキサーでホモジナイズして、得られた懸濁液を遠心管に全量移し、8000rpmで15分間遠心分離を行った。遠心分離後、上清を取り出し、定容したものを試料液として、遊離L−グルタミン酸の濃度を測定した。なお、遊離L−グルタミン酸の濃度は、L−グルタミン酸測定キット「ヤマサ」NEO(ヤマサ醤油株式会社製)を使用して測定した。
L−グルタミン酸の測定手順は、
(1)調製した試料液、上記L−グルタミン酸測定キットに含まれるL−グルタミン酸標準液、蒸留水を各試験管に10μLずつ分注し、
(2)上記L−グルタミン酸測定キットに含まれるR1酵素試薬液を各試験管に450μLずつ分注して混和し、20℃〜30℃で20分間静置し、
(3)上記L−グルタミン酸測定キットに含まれるR2酵素試薬液を各試験管に450μLずつ分注して混和し、20℃〜30℃で20分間静置した後、蒸留水を対照にして555nmの吸光度を測定した。
(4)また、試料の色が吸光度に影響する場合があるため、試料色検体として試料10μLに蒸留水900μLを分注して混和し、20℃〜30℃で20分間静置した後、蒸留水を対照にして555nmの吸光度を測定した。
(5)測定した吸光度に基づいて、各試料の遊離L−グルタミン酸の濃度を下記式1に基づいて算出した。
L−グルタミン酸(mg/L)の濃度=(A−B−R)÷(S−R)×250×希釈倍率 …(1)
なお、上記式1において、Aは試料の吸光度、SはL−グルタミン酸標準液の吸光度、Rは蒸留水の吸光度、Bは試料色の吸光度である。
L−グルタミン酸の測定結果を下記表1に示す。下記表1に示すように、本実施形態に係るマイクロ波熟成装置を用いて熟成させた実施例1のチーズでは、低温インキュベータを用いて12℃で熟成させた比較例1のチーズと比べて、10%以上、遊離L−グルタミン酸の濃度が高くなることが分かった。
(試験例2)
また、試験例2では、本実施形態に係るマイクロ波照射装置を用いて超低温熟成モードでマイクロ波を連続照射してドライエイジングで5日間熟成させたホルスタイン牛モモ肉と、マイクロ波を照射せずに低温下においてドライエイジングで5日間熟成させたホルスタイン牛モモ肉とについて、官能試験を行った。図3は、試験例2における各サンプルの熟成条件を説明するための図であり、(A)は、超低温熟成モードでマイクロ波を連続照射して、冷却室の温度が−6℃、牛モモ肉の内部温度が10℃となるように温度制御して5日間熟成させた実施例2を示し、(B)は、マイクロ波を照射せずに、冷却室の温度が0℃、牛モモ肉の内部温度が0℃となるように温度制御して5日間熟成を行った比較例2を示し、(C)は、マイクロ波を照射せずに、冷却室の温度が10℃、牛モモ肉の内部温度が10℃となるように温度制御して熟成を行った比較例3を示す。
図4に、試験例2の官能試験の結果を示す。なお、官能試験は、一般社団法人食肉科学技術研究所において専門家3名により実施した(後述する試験例5,7〜9においても同様。)。また、官能試験においては、熟成させていない肉を基準(ゼロ点)とし、不快臭なし、異味なし、熟成風味、コク、旨み、ジューシーさ、軟らかさ、総合の各項目について、0点を含む−3点から+3点の7段階評価を行った(後述する試験例5,7〜9においても同様。)。さらに、官能試験における評価点は、3名の専門家(パネラー)の評価点の平均値を示している(後述する試験例5,7〜9においても同様。)。
試験例2の官能試験の結果、熟成をしていない牛モモ肉(基準)に比べて、超低温熟成モードでマイクロ波を連続照射して5日間熟成させた牛モモ肉(実施例2)、およびマイクロ波を照射せずに冷却室の温度と牛モモ肉の内部温度が0℃となるように温度制御して5日間熟成させた牛モモ肉(比較例2)では、熟成風味、コク、旨み、およびジューシーさの各項目が高くなり(ゼロ点よりも高い評価となり)、総合評価も高くなった。なお、マイクロ波を照射せずに冷却室の温度および牛モモ肉の内部温度が10℃となるように温度制御して5日間熟成させた牛モモ肉(比較例3)では、3日間で異臭が発生し官能試験は実施できなかったため、図4には記載していない。
一方で、超低温熟成モードでマイクロ波を連続照射して5日間熟成させた牛モモ肉(実施例2)と、マイクロ波を照射せずに5日間熟成させた牛モモ肉(比較例2)とを比べると、図4に示すように、超低温熟成モードでマイクロ波を連続照射して5日間熟成させた牛モモ肉(実施例2)では、熟成風味、コク、旨み、軟らかさの各項目がより高く評価され、総合評価もより高くなった。特に、超低温熟成モードでマイクロ波を連続照射して5日間熟成させた牛モモ肉(実施例2)では、熟成をしていない牛モモ肉(基準)に比べて、熟成風味や旨み、軟らかさが、大幅に高い評価となった。
(試験例3)
さらに、試験例3では、上述した実施例2の牛モモ肉について、遊離L−グルタミン酸の濃度の7日間における経時変化を測定し、得られた結果を図5に示した。遊離L−グルタミン酸は、旨みに関連するアミノ酸であり、牛肉の旨みを示す指標ともなる。一方、図5に示すように、超低温熟成モードでマイクロ波を照射した実施例2の牛モモ肉では、マイクロ波を照射しない比較例2の牛モモ肉と比べて、遊離L−グルタミン酸の濃度は大幅に増加した。具体的には、超低温熟成モードでマイクロ波を照射した実施例2の牛モモ肉では、5日間の熟成で、遊離L−グルタミン酸の濃度が約1.8倍と大幅に増加した。また、超低温熟成モードでマイクロ波を照射した実施例2の牛モモ肉では、熟成期間が経つほど、遊離L−グルタミン酸の濃度(増加幅)が多くなる傾向にあることが分かった。なお、試験例3においては、L−グルタミン酸測定キット「ヤマサ」NEO(ヤマサ醤油株式会社製)を使用して遊離グルタミン酸濃度を測定した。
(試験例4)
また、試験例4として、ホルスタイン牛モモ肉をウェットエイジングで10日間熟成させて、ドリップなど牛モモ肉の外に排出された水分の量を測定した。具体的には、マイクロ波を照射して、冷却室の温度(牛モモ肉の表面温度)を0℃とし、牛モモ肉の内部温度を10℃として熟成させた牛モモ肉(比較例4)と、マイクロ波を照射せずに、冷却室の温度(牛モモ肉の表面温度)を0℃とし、牛モモ肉の内部温度も0℃として熟成させた牛モモ肉(比較例5)と、超低温熟成モードにより、冷却室の温度(牛モモ肉の表面温度)を−6℃とし、牛モモ肉の内部温度を10℃として熟成させた牛モモ肉(実施例3)とについて、それぞれ熟成後の牛モモ肉の外観を観察するとともに牛モモ肉から排出された水分の量を測定した。図6(A)は熟成後の比較例4の牛モモ肉の写真であり、図6(B)は超低温熟成モードで熟成させた実施例3の牛モモ肉の写真である。ウェットエイジングの場合、図6(A)に示すように、比較例4,5の牛モモ肉では変色は見られなかったが、図6(B)に示すように、実施例3の牛モモ肉ではドライエイジングと同様に変色が見られた。また、超低温熟成モードで熟成させた実施例3の牛モモ肉では、肉内部の水分が表面で氷となり、ウェットエイジングであるにも関わらず、肉の重量が減少した。具体的には10日間で10〜15%程度の水分が氷となって肉表面に排出された。これは、比較例4,5の牛モモ肉のウェットエイジングでは、10日間で2%程度のドリップが出たのと比べて、高い割合となった。また、超低温熟成モードで熟成させた実施例3の牛モモ肉において表面で氷として排出された水分は無色であることから、ドリップとは異なるものであると考えられ、超低温熟成モードでウェットエイジングすることで、ドリップのように旨味を損なうことなく水分を減らすことができ、旨味の凝縮した肉とすることができると考えられる。
(試験例5)
また、試験例5では、本実施形態に係るマイクロ波照射装置を用いて超低温熟成モードでマイクロ波を連続照射して10日間熟成させたホルスタイン牛モモ肉(実施例4)と、マイクロ波を照射せずに低温下で10日間熟成させたホルスタイン牛モモ肉(比較例6)とについて、官能試験を行った。具体的には、超低温熟成モードにおいてマイクロ波を連続照射して、冷却室の温度を−6℃、牛モモ肉の内部温度が10℃となるように温度制御して10日間熟成を行った実施例4と、マイクロ波を照射せずに、冷却室の温度が0℃、牛モモ肉の内部温度が0℃となるように温度制御して10日間熟成を行った比較例6とについて、官能試験を行った。図7に、試験例5の官能試験の結果を示す。なお、当該官能試験は、一般社団法人食肉科学技術研究所において専門家3名により実施した。また、当該官能試験においては、熟成させていない牛モモ肉を基準(ゼロ点)とし、不快臭なし、異味なし、熟成風味、コク、旨み、ジューシーさ、軟らかさ、総合の各項目について、0点を含む−3点から+3点の7段階評価を行った。なお、図7における評価点は、3名の専門家(パネラー)の評価点の平均値を示している。図7に示すように、実施例4の牛モモ肉は、比較例6と比べて、熟成風味、コク、旨み、軟らかさ、およびジューシーさの各項目が高くなり(ゼロ点よりも高い評価となり)、総合評価も高くなった。さらに、熟成前の牛モモ肉と比べて、実施例4の牛モモ肉は、軟らかく、ジューシーさと旨みが強く、コク(広がり)が非常に強かったとのコメントが得られた。
(試験例6)
また、試験例6では、上記試験例5で使用した実施例4の牛モモ肉と、比較例6の牛モモ肉とについて、10日熟成させた後の遊離L−グルタミン酸の濃度を測定した。なお、試験例6においては、一般社団法人食肉科学技術研究所のアミノ酸分析計を用いて、遊離L−グルタミン酸の濃度を測定した。
L−グルタミン酸の測定結果を下記表2に示す。表2に示すように、超低温熟成モードでマイクロ波を照射した実施例4の牛モモ肉では、比較例6の牛モモ肉と比べて、遊離L−グルタミン酸の濃度は大きく増加した。具体的には、超低温熟成モードでマイクロ波を照射した実施例4の牛モモ肉では、10日間の熟成で遊離L−グルタミン酸の濃度が約3倍と大きくに増加した。また、実施例4の牛モモ肉では、熟成期間が経つほど、遊離L−グルタミン酸の濃度(増加幅)が多くなる傾向にあることが分かった。
(試験例7)
また、試験例7では、本実施形態に係るマイクロ波照射装置を用いて超低温熟成モードでマイクロ波を連続照射しウェットエイジングで10日間熟成させた黒毛和牛ヒレ肉と、マイクロ波を照射せずに低温下においてウェットエイジングで10日間熟成させた黒毛和牛ヒレ肉とについて、官能試験を行った。図8は、試験例7における各サンプルの官能試験の結果を示す図であり、超低温熟成モードでマイクロ波を連続照射して、冷却室の温度が−5℃、牛ヒレ肉の内部温度が10℃となるように温度制御して10日間熟成させた黒毛和牛のヒレ肉(実施例5)と、マイクロ波を照射せずに冷却室の温度を0℃で10日間熟成を行った黒毛和牛のヒレ肉(比較例7)の官能試験の結果を示す。
試験例7の官能試験の結果、図8に示すように、マイクロ波を連続照射しながらウェットエイジングで熟成させた黒毛和牛ヒレ肉(実施例5)では、マイクロ波を照射せずにウェットエイジングで熟成させた黒毛和牛ヒレ肉(比較例7)よりも、熟成風味、コク、旨みについて良好な評価が得られ、総合評価も高くなった。また、実施例5では、熟成前の黒毛和牛ヒレ肉と比べて、コクが強く、熟成風味がわずかに強くなったとの評価が得られた。さらに、遊離L−グルタミン酸濃度を測定したところ、実施例5では、比較例7と比べて、遊離L−グルタミン酸濃度が約3倍となった。
(試験例8)
試験例8では、本実施形態に係るマイクロ波照射装置を用いて超低温熟成モードでマイクロ波を連続照射しドライエイジングで7日間熟成させた豚ロース肉および豚モモ肉と、マイクロ波を照射せずに低温下においてドライエイジングで7日間熟成させた豚ロース肉および豚モモ肉とについて、官能試験を行った。図9および図10は、試験例8における各サンプルの官能試験の結果を示す図であり、図9は、超低温熟成モードでマイクロ波を連続照射して、冷却室の温度が−5℃、豚ロース肉の内部温度が10℃となるように温度制御して7日間熟成させた豚ロース肉(実施例6)と、マイクロ波を照射せずに冷却室の温度を0℃で7日間熟成を行った豚ロース肉(比較例8)の官能試験の結果を示す。また、図10は、超低温熟成モードでマイクロ波を連続照射して、冷却室の温度が−5℃、豚モモ肉の内部温度が10℃となるように温度制御して7日間熟成させた豚モモ肉(実施例7)と、マイクロ波を照射せずに冷却室の温度を0℃で7日間熟成を行った豚モモ肉(比較例9)の官能試験の結果を示す。
官能試験の結果、図9に示すように、マイクロ波を連続照射しながらドライエイジングで熟成させた豚ロース肉(実施例6)では、マイクロ波を照射せずにドライエイジングで熟成させた豚ロース肉(比較例8)よりも、熟成風味、コク、旨み、軟らかさについて良好な評価が得られ、総合評価も高くなった。また、実施例6では、熟成前の豚ロース肉と比べて、わずかに軟らかくなり、旨みと熟成風味がわずかに強く、コクは強くなったとのコメントが得られた。さらに、遊離L−グルタミン酸濃度を測定したところ、実施例6では、比較例8と比べて、遊離L−グルタミン酸濃度が約2倍となった。
さらに、図10に示すように、マイクロ波を連続照射しながらドライエイジングで熟成させた豚モモ肉(実施例7)では、マイクロ波を照射せずにドライエイジングで熟成させた豚モモ肉(比較例9)よりも、熟成風味、コク、旨み、ジューシーさ、軟らかさについて良好な評価が得られ、総合評価も高くなった。また、実施例7では、熟成前の豚モモ肉と比べて、わずかに軟らかく、旨み、コク、熟成風味がわずかに強くなったとのコメントが得られた。さらに、遊離L−グルタミン酸濃度を測定したところ、実施例7では、比較例9と比べて、遊離L−グルタミン酸濃度が約3倍となった。
(試験例9)
さらに、試験例9では、本実施形態に係るマイクロ波照射装置を用いて超低温熟成モードでマイクロ波を連続照射しウェットエイジングで熟成させた豚ロース肉および豚モモ肉と、マイクロ波を照射せずに低温下においてウェットエイジングで熟成させた豚ロース肉および豚モモ肉とについて、官能試験を行った。図11および図12は、試験例9における各サンプルの官能試験の結果を示す図であり、図11は、超低温熟成モードでマイクロ波を連続照射して、冷却室の温度が−5℃、豚ロース肉の内部温度が10℃となるように温度制御して17日間熟成させた豚ロース肉(実施例8)と、マイクロ波を照射せずに冷却室の温度を0℃で17日間熟成を行った豚ロース肉(比較例10)の官能試験の結果を示す。また、図12は、超低温熟成モードでマイクロ波を連続照射して、冷却室の温度が−5℃、豚モモ肉の内部温度が10℃となるように温度制御して5日間熟成させた豚モモ肉(実施例9)と、マイクロ波を照射せずに冷却室の温度を0℃で5日間熟成を行った豚モモ肉(比較例11)の官能試験の結果を示す。
官能試験の結果、図11に示すように、マイクロ波を連続照射しながらウェットエイジングで熟成させた豚ロース肉(実施例8)では、マイクロ波を照射せずにウェットエイジングで熟成させた豚ロース肉(比較例10)よりも、熟成風味、軟らかさについて良好な評価が得られ、総合評価も高くなった。また、実施例8では、熟成前の豚ロース肉と比べて、線維がほぐれやすく、旨みとコクがわずかに強くなり、熟成風味は強くなったとのコメントが得られた。さらに、遊離L−グルタミン酸濃度を測定したところ、実施例8では、比較例10と比べて、遊離L−グルタミン酸濃度が約1.8倍となった。
さらに、図12に示すように、マイクロ波を連続照射しながらウェットエイジングで熟成させた豚モモ肉(実施例9)では、マイクロ波を照射せずにウェットエイジングで熟成させた豚モモ肉(比較例11)よりも、熟成風味、ジューシーさ、軟らかさについて良好な評価が得られ、総合評価も高くなった。また、実施例9では、熟成前の豚モモ肉と比べて、軟らかく、ジューシーさが強かった、線維のきめの細かさを感じたとのコメントが得られた。さらに、遊離L−グルタミン酸濃度を測定したところ、実施例9では、比較例11と比べて、遊離L−グルタミン酸濃度が約1.2倍となった。
(試験例10)
試験例10では、本実施形態に係るマイクロ波照射装置を用いて超低温熟成モードでマイクロ波を連続照射しドライエイジングで4日間熟成させた皮付きのUS牛タンについて、官能試験を行った。図13は、試験例10における各サンプルの官能試験の結果を示す図であり、超低温熟成モードでマイクロ波を連続照射して、冷却室の温度が−5℃、タンの内部温度が10℃となるように温度制御して4日間熟成させたUS牛タン(実施例10)と、マイクロ波を照射せずに冷却室の温度を0℃で4日間熟成を行ったUS牛タン(比較例12)の官能試験の結果を示す。
官能試験の結果、図13に示すように、マイクロ波を連続照射しながらドライエイジングで熟成させたUS牛タン(実施例10)では、マイクロ波を照射せずにドライエイジングで熟成させたUS牛タン(比較例12)よりも、熟成風味、コク、旨み、ジューシーさ、軟らかさについて良好な評価が得られ、総合評価も高くなった。また、実施例10では、比較例12のUS牛タンと比べて、食感は同程度であったがコクは強かったとのコメントが得られた。さらに、遊離L−グルタミン酸濃度を測定したところ、実施例10では、比較例12と比べて、遊離L−グルタミン酸濃度が約1.3倍となった。
(試験例11)
さらに、試験例11では、本実施形態に係るマイクロ波照射装置を用いて高温熟成モードでマイクロ波を連続照射しウェットエイジングで熟成させたゴーダチーズについて官能試験を行った。ここで、図14(A)は熟成前のゴーダチーズの断面の写真を示す図であり、図14(B)は熟成後のゴーダチーズの断面の写真を示す図である。また、図14(C)は、試験例11の官能試験の結果を示す表である。試験例11では、セミハードタイプのゴーダチーズ2.0kgを、高温熟成モードでマイクロ波を連続照射し、冷却室の温度が8℃、ゴーダチーズの内部温度が18℃となるように温度制御して30日間熟成させた。また、本官能試験においては、ゴーダチーズのトリミングは行わなかった。
なお、試験例11の官能試験は、専門家(パネラー)10名により評価した。また、当該官能試験においては、マイクロ波を照射せずにウェットエイジングで熟成させたゴーダチーズを基準(ゼロ点)とし、黄色み、香り、酸味、旨み、苦み、もろさ、好ましさの各項目について、0点を含む−2点から+2点の5段階評価を行った。なお、図14(C)における評価点は、10名の専門家(パネラー)の評価点の平均値を示している。また、評価項目における黄色みとは、実施例1で説明したように、チーズを熟成させた場合のチーズの黄色への変色の度合いを相対的に各パネラーが評価したものである。また、もろさ、苦み、酸味についても、マイクロ波を照射せずにウェットエイジングで熟成させたゴーダチーズを基準として、各パネラーが相対評価したものである。さらに、好ましさは、各パネラーの主観により味が好きか嫌いかを評価してもらった結果であり、好きと評価した人の割合に応じて−2〜+2点で評価した。たとえば好きと評価した人の割合が、マイクロ波を照射せずにウェットエイジングで熟成させたゴーダチーズと同じ場合は0となり、全員が好きと評価した場合には+2、全員が嫌いと評価した場合は−2となり、それ以外は、好きと評価した人の割合に応じた点数となる。
官能試験の結果、図14(C)に示すように、マイクロ波を連続照射しながらウェットエイジングで熟成させたゴーダチーズ(実施例10)では、マイクロ波を照射せずにウェットエイジングで熟成させたゴーダチーズ(基準のゼロ点)と比べて、好ましさ、旨み、香りについて良好な評価が得られた。特に、実施例10では、苦みも増しているが、旨みが強くなっており、苦みを打ち消しているとのコメントが得られた。さらに、遊離L−グルタミン酸濃度を測定したところ、実施例10では、約200mg/100gの含有量となり、マイクロ波を照射せずにウェットエイジングで熟成させたゴーダチーズと比べて、遊離L−グルタミン酸濃度が約2倍となった。
以上のように、本実施形態に係るマイクロ波熟成装置1では、マイクロ波発振部20から照射されたマイクロ波による食品内部の加熱と、冷却部10および第2ファン32による食品表面の冷却とを同時に行うことで、食品Mの表面に存在する菌の増殖を抑制しながら、食品Mの熟成を促進することができる。すなわち、従来では、食品Mを低温下(たとえば1℃)において熟成させることで、食品Mの表面に存在する菌の増殖を抑制しながら熟成を行っていたが、マイクロ波を照射していないため、食品Mの内部温度も表面温度と同じ温度となり、熟成に時間(たとえば30日〜180日程度の時間)がかかってしまうという問題があった、また、低温でも菌による腐敗が表面から進むため、熟成に時間がかかるとその分、表面をそぎ落とすトリミングの量が多くなり、歩留まりが悪くなるという問題があった。しかしながら、本実施形態に係るマイクロ波熟成装置1では、食品Mにマイクロ波を照射しながら熟成させることで、食品Mの内部を表面と同時に均一に加熱することができるため、マイクロ波発振部20による食品内部の加熱と、冷却部10および第2ファン32による食品表面の冷却とを同時に行うことで、食品Mの表面温度を低くしたまま、食品Mの内部温度だけを高くすることができる。これにより、従来と比べて、食品Mの表面に存在する菌の増殖を抑制することができるとともに、食品の熟成を促進することができる。
また、本実施形態に係るマイクロ波熟成装置1では、食品Mの表面温度を凍結温度よりも低くして、食品Mの熟成を行う。ここで、従来のマイクロ波を照射しない方法で、食品Mの表面温度を凍結温度よりも低くした場合には、食品M全体が凍結するために、食品Mを熟成させることはできなかった。これに対して、本実施形態に係るマイクロ波熟成装置1では、マイクロ波を照射することで食品Mを内部加熱することができるため、食品Mの表面温度を凍結温度よりも低くしても、食品Mを熟成させることができる。そして、食品Mの表面温度を凍結温度よりも低くすることで、食品Mの内部温度を、熟成がより促進する高い温度としても、食品Mの表面に存在する菌の増殖を抑制することができ、食品Mをより安全かつ高速に熟成させることができる。また、食品Mの熟成時間をより短くすることができるため、食品Mの表面をそぎ落とすトリミングの量をより減少させることができ、歩留まりをより改善する効果もより期待することができる。
さらに、チーズは熟成温度で生育する乳酸菌が異なるため、本実施形態に係るマイクロ波熟成装置1により、チーズの内部温度を15℃以上とし、食品の表面温度と内部温度との温度差を10℃以上とすることで、これまでにない特徴や風味を持ったチーズを得ることも期待できる。
≪第2実施形態≫
続いて、第2実施形態に係るマイクロ波熟成装置1aについて説明する。図15は、第2実施形態に係るマイクロ波熟成装置1aの一例を示す構成図である。第2実施形態に係るマイクロ波熟成装置1aでは、図15に示すように、熟成室33の熟成室扉34がチョーク構造を有し、外部から開閉可能となっていること以外は、第1実施形態に係るマイクロ波熟成装置1と同様である。第1実施形態と同じ構成については同じ符号を付し、説明を割愛する。
図15に示すように、第2実施形態に係るマイクロ波熟成装置1aでは、熟成室33の熟成室扉34が直接外部から開閉できるようになっている。また、第2実施形態では、マイクロ波が外部に漏洩することを防止するために、熟成室33の熟成室扉34は、チョーク構造を有している。なお、チョーク構造は公知の構造とすることができる。
このように、第2実施形態に係るマイクロ波熟成装置1aでは、外部から直接、熟成室33内に食品Mの出し入れを行うことができる。また、第2実施形態では、熟成室扉34にチョーク構造を備えることで、外部へのマイクロ波の漏洩を有効に防止することができる。
≪第3実施形態≫
続いて、第3実施形態に係るマイクロ波熟成装置1bについて説明する。図16は、第3実施形態に係るマイクロ波熟成装置1bの一例を示す斜視図であり、図17は、第3実施形態に係るマイクロ波熟成部30aの一例を示す斜視図である。図16に示すように、冷却部10は2つの冷却室13を有し、各冷却室13内にはマイクロ波熟成部30a(熟成室33)がそれぞれ設置されている。
マイクロ波熟成部30aは、図17(A)に示すように、網皿37により熟成室33が上下に分かれた二段構造となっており、食品Mを上下それぞれ載置することができる。また、第3実施形態に係るマイクロ波熟成部30aでは、図17(B)に示すように、各段の背面に第2ファン32が取り付けられており、第2ファン32の動作により冷却室13内の冷気が熟成室33内に送風される。また、マイクロ波熟成部30aの両側面の大部分には微小開口36が開けられており、冷却室13から熟成室33の内部に送風され食品Mと熱交換を行った空気が、微小開口36から冷却室13へと排出されることで、食品Mの表面温度を効率良く低くすることができる。
また、第3実施形態において、マイクロ波熟成部30aの前面は開口となっており、開口の縁部には、チョーク構造38が形成されている。図16に示すように、冷却室13の冷却室扉は、熟成室33の熟成室扉34と兼用されており、チョーク構造38によりマイクロ波が外部に漏洩することを有効に防止することができる。扉面をパンチングメタル板と透明な板の2重構造とする事で、マイクロ波の漏洩防止と断熱機能を有したまま、熟成室33内部の食品Mの熟成進行度等を、扉を開けずに確認できる構造にしても良い。透明な板の材質は特に制限はなく、例えばガラスやポリカーボネイト樹脂等が良い。また、透明な板を空気層ができるように、2枚重ねた構造にすることで断熱機能が向上した構造とすることができる。
第3実施形態においては、マイクロ波熟成部30aの上面に、照射口31と照明部39とが配置されている。照射口31は、第1実施形態と同様に、熟成室33内にマイクロ波を照射する。また、照明部39は、熟成室33内を照明するLED光源を有し、たとえば熟成室扉34が開かれた場合に、熟成室33内を照明する。
以上のように、第3実施形態に係るマイクロ波熟成装置1bは、冷却室13および熟成室33をそれぞれ2つずつ有するため、一度に熟成できる食品Mの量を多くすることができる。また、熟成室33は上下二段に分かれており、各段について第2ファン32を備えることで、熟成させる食品Mの量が多い場合でも、食品Mの表面温度を適切に低くすることができる。さらに、第3実施形態では、市販の冷蔵庫を冷却部10として利用することができるため、製造コストを低減することもできる。
以上、本発明の好ましい実施形態例について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態の記載に限定されるものではない。上記実施形態例には様々な変更・改良を加えることが可能であり、そのような変更または改良を加えた形態のものも本発明の技術的範囲に含まれる。
たとえば、上述した実施形態に加えて、活性炭フィルターを熟成室33または冷却室13内にさらに備える構成とすることができる。活性炭フィルターにより熟成室33または冷却室13の臭いを除去することができる。
また、上述した実施形態に加えて、熟成室33に載置された食品Mの重量を測定する測定器を、熟成室33の下部に備える構成としてもよい。この場合、食品の重量変化に基づいて、食品の熟成度合を判断し、ユーザに提示する構成としてもよい。また、非接触式の水分計をさらに備え、食品の重量変化および食品の水分量変化に応じて、食品の熟成度合を判断する構成とすることもできる。
さらに、上述した実施形態では、マイクロ波の周波数を2.4〜2.5GHz(ISM周波数帯)とする構成を例示したが、この構成に限定されず、たとえば300MHz〜300GHzの範囲の周波数を用いることも可能である。
また、上述した実施形態では、超低温熟成モードでウェットエイジングを行う場合に、図2に示すように、網皿を用いる構成を例示したが、食品Mと食品Mから排出された水分とを分離できる部材であれば、網皿に限定されず、たとえばパンチングメタルや金網などを使用してもよい。
1,1a,1b…マイクロ波熟成装置
10…冷却部
11…冷却器
12…第1ファン
13…冷却室
20…マイクロ波発振部
21…ケーブル
30,30a…マイクロ波熟成部
31…照射口
32…第2ファン
33…熟成室
34…熟成室扉
35…第1微小開口
36…第2微小開口
37…網皿
38…チョーク構造
39…照明部
40…操作部
50…制御部
60…UVランプ

Claims (14)

  1. 食品を収納する熟成室と、
    前記熟成室内に照射されるマイクロ波を発振するマイクロ波発振部と、
    前記熟成室内の空気を冷却する冷却器と、
    ユーザが指示を入力する操作部と、
    前記操作部に入力された指示に基づいて、前記マイクロ波発振部および前記冷却器の動作を制御する制御部と、を備えるマイクロ波熟成装置であって、
    前記制御部は、マイクロ波照射時に、食品の表面温度が凍結温度よりも低くなるように、前記マイクロ波発振部および前記冷却器の動作を制御するマイクロ波熟成装置。
  2. 前記制御部は、マイクロ波照射時の食品の表面温度が−2℃よりも低い温度となるように、前記マイクロ波発振部および前記冷却器の動作を制御する、請求項1に記載のマイクロ波熟成装置。
  3. 前記制御部は、マイクロ波照射時の食品の内部温度が8℃以上となるように、前記マイクロ波発振部および前記冷却器の動作を制御する、請求項1または2に記載のマイクロ波熟成装置。
  4. 前記制御部は、マイクロ波照射時の食品の内部温度が5℃以上、10℃以下となるように、前記マイクロ波発振部および前記冷却器の動作を制御する、請求項1または2に記載のマイクロ波熟成装置。
  5. 前記制御部は、食品の表面温度と内部温度との温度差が10℃以上となるように、前記マイクロ波発振部および前記冷却器の動作を制御する請求項1ないし4のいずれかに記載のマイクロ波熟成装置。
  6. 前記マイクロ波熟成装置は、ドライエイジングおよびウェットエイジングが可能であり、
    ウェットエイジング時において食品を載置するための網皿をさらに有する、請求項1ないし5のいずれかに記載のマイクロ波熟成装置。
  7. 食品を収納する熟成室と、
    前記熟成室内に照射されるマイクロ波を発振するマイクロ波発振部と、
    前記熟成室内の空気を冷却する冷却器と、
    前記マイクロ波発振部および前記冷却器の動作を制御する制御部と、を備えるマイクロ波熟成装置であって、
    前記制御部は、マイクロ波照射時に、食品の内部温度が15℃以上となり、食品の表面温度と内部温度との温度差が10℃以上となるように、前記マイクロ波発振部および前記冷却器の動作を制御する、マイクロ波熟成装置。
  8. 前記制御部は、マイクロ波照射時の食品の表面温度が0℃以上となるように、前記マイクロ波発振部および前記冷却器の動作を制御する、請求項7に記載のマイクロ波熟成装置。
  9. 前記マイクロ波発振部は、熟成時に、マイクロ波を1時間以上照射する請求項1ないし8のいずれかに記載のマイクロ波熟成装置。
  10. 前記制御部は、熟成時に、前記マイクロ波発振部にマイクロ波を一定時間照射することとマイクロ波の照射を一定時間停止することとを繰り返させる請求項1ないし9のいずれかに記載のマイクロ波熟成装置。
  11. マイクロ波を用いて熟成室内に収納した食品を熟成させるマイクロ波熟成方法であって、
    マイクロ波照射時の食品の表面温度が凍結温度よりも低くなるように、マイクロ波の照射および前記熟成室の冷却を行うことで、食品の熟成を行うマイクロ波熟成方法。
  12. 食品の内部温度が5℃以上となり、食品の表面温度が−2℃よりも低くなるように、マイクロ波の照射および前記熟成室の冷却を行う、請求項11に記載のマイクロ波熟成方法。
  13. マイクロ波を用いて食品を熟成させるマイクロ波熟成方法であって、
    食品の内部温度が15℃以上となり、食品の表面温度と内部温度との温度差が10℃以上となるように、マイクロ波の照射および前記熟成室の冷却を行う、マイクロ波熟成方法。
  14. 前記食品が、肉類、魚介類、乳製品、豆類、野菜類、果物類、麺類、パン類、酒類、または発酵食品である請求項11ないし13のいずれかに記載のマイクロ波熟成方法。
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