JP2020172408A - 表面処理アルミナ粉末の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
このような熱伝導性シリコーン組成物において、該組成物中に熱伝導性充填剤を高充填して熱伝導率を向上させるため、例えば、特許文献1には、オルガノポリシロキサン、加水分解性基含有メチルポリシロキサン、熱伝導性充填剤、および硬化剤からなる熱伝導性シリコーンゴム組成物が提案されており、また、特許文献2には、硬化性オルガノポリシロキサン、硬化剤、熱伝導性充填剤からなり、該充填剤の表面がケイ素原子結合アルコキシ基を有するオリゴシロキサンで処理されていることを特徴とする熱伝導性シリコーンゴム組成物が提案されている。
その解決手段して特許文献3には、2種類の表面処理材を使用することで組成物の取り扱い性や成形性の向上が提案されているが、成形物に気泡が入り易い欠点があった。
アルミナ粉末を下記一般式(1)の片末端加水分解性オルガノポリシロキサンで表面処理して表面処理アルミナ粉末を得る工程、
前記表面処理アルミナ粉末を150℃以上の温度で熱処理する工程、
を含む表面処理アルミナ粉末の製造方法を提供する。
前記アルミナ粉末の平均粒径が上記範囲内であると、取扱作業性がより良好である熱伝導性シリコーン組成物を与えることができる表面処理アルミナ粉末を製造できる。
平均粒径の異なる二種類以上のアルミナ粉末を用いると、取扱作業性がより良好である熱伝導性シリコーン組成物を与えることができる表面処理アルミナ粉末を製造できる。
前記表面処理アルミナ粉末の用途が上記のとおりであると、取扱作業性が良好である熱伝導性シリコーン組成物を与えることができる表面処理アルミナ粉末を製造できることになる。
即ち、特定の片末端加水分解性オルガノポリシロキサンで処理した後、150℃以上の温度で熱処理した表面処理アルミナ粉末は、熱伝導性シリコーン組成物の充填剤として用いられた場合、粘度が非常に下がる事から、取扱作業性が良好である熱伝導性シリコーン組成物が得られる事を見出した。
アルミナ粉末を下記一般式(1)の片末端加水分解性オルガノポリシロキサンで表面処理して表面処理アルミナ粉末を得る工程、
前記表面処理アルミナ粉末を150℃以上の温度で熱処理する工程、
を含む表面処理アルミナ粉末の製造方法である。
[アルミナ粉末]
本発明で使用されるアルミナ粉末の形状は特に制限されず、その平均粒径は好ましくは0.1〜200μmの範囲のもの、より好ましくは0.1〜100μmの範囲のもの、更に好ましくは0.1〜50μmの範囲のものが良い。また平均粒径の異なる二種類以上のアルミナ粉末が混合されていても良い。
本発明で用いられる片末端3官能基の加水分解性オルガノポリシロキサンは下記一般式(1)で表される。
上記一般式(1)中、R1は、例えばメチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基が挙げられるが、特にメチル基、エチル基が好ましい。R2は、互いに独立に炭素数1〜18、好ましくは1〜14の脂肪族不飽和結合を有しない非置換又は置換の1価炭化水素基である。その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、へキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基;これらの基の水素原子の一部又は全部がフッ素、塩素等のハロゲン原子で置換された3,3,3−トリフルオロプロピル基等が挙げられ、好ましくはアルキル基、アリール基、3,3,3−トリフルオロプロピル基であり、より好ましくはメチル基、フェニル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基である。
aは5〜120の整数であり、好ましくは10〜90の整数である。
また、上記一般式(1)のオルガノポリシロキサンの25℃における動粘度は5〜500mm2/sが好ましく、10〜300mm2/sがより好ましい。
上記一般式(1)のオルガノポリシロキサンでアルミナ粉末を表面処理(被覆処理)する方法としては、上記一般式(1)のオルガノポリシロキサンとアルミナ粉末とを混合する方法が一般的である。この方法には、無溶媒系で行う乾式方法と、溶媒中で行う湿式方法とがあり、表面処理を完全に行うには、水、アルコール等の溶媒中で行うことが最も好ましいが、溶媒を用いると乾燥時にアルミナに凝集が生じてしまい、この凝集が生じたアルミナ粉末で熱伝導性シリコーン組成物を調製すると、流動性などが低下するという問題が生じることがある。そのため、噴霧式処理乾燥装置などで処理及び乾燥することが好ましい。
この場合、上記一般式(1)のオルガノポリシロキサンの使用量は、アルミナ粉末100質量部に対し、0.1質量部以上だと十分な性能が発揮でき、30質量部もあれば十分であり、これを超えても不経済であるため、0.1〜30質量部が好ましい。より好ましくは1.0〜10.0質量部である。
また、表面(被覆)処理の温度は25〜120℃の範囲が好ましく、時間は10分〜3時間の範囲が好ましい。
本発明においては、このように上記一般式(1)のオルガノポリシロキサンで被覆処理したアルミナ粉末を熱処理し、加水分解によって生成した上記一般式(1)のオルガノポリシロキサンのシラノール基とアルミナ表面に存在する活性点とを反応させてアルミナ表面の活性点を消滅させる。
この場合の熱処理温度は150℃以上、好ましくは200〜1000℃、より好ましくは200〜600℃の範囲である。150℃未満の熱処理温度では、表面処理アルミナ粉末の十分な性能が発揮できない。処理時間は処理温度にもよるができるだけ長時間行うことが好ましく、具体的には2〜12時間であることが好ましく、4〜6時間程度であることがより好ましい。
本発明に使用される表面処理アルミナ粉末を25℃における動粘度が100〜100,000mm2/sのポリジメチルシロキサン中に60体積%混合した混合物の粘度(Pa・s)は、未処理のアルミナ粉末を前記ポリジメチルシロキサン中に60体積%混合した混合物の粘度(Pa・s)の90%以下になる事が好ましく、より好ましくは80%以下であり、更に好ましくは70%以下である。これは前記粘度が90%以下だと本発明の表面処理アルミナ粉末を使用して得られる熱伝導性シリコーン組成物の取り扱い性や成形性が確実に良くなるためである。
これら混合物の粘度測定は、回転粘度計であれば特に限定されないが、25℃にて(株)マルコムのマルコム粘度計(タイプPC−10AA)にて測定を行う事が好ましい。
R3 bSiO(4-b)/2 (2)
上記式(2)において、R3は、炭素数1〜18、好ましくは1〜14の脂肪族不飽和結合を有しない非置換又は置換の1価炭化水素基である。その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、へキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基;これらの基の水素原子の一部又は全部がフッ素、塩素等のハロゲン原子で置換された3,3,3−トリフルオロプロピル基等が挙げられ、好ましくはアルキル基、アリール基、3,3,3−トリフルオロプロピル基であり、より好ましくはメチル基、フェニル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基である。
本発明の表面処理アルミナ粉末は、熱伝導性シリコーン組成物の充填剤に使用する事が出来る。
熱伝導性シリコーン組成物は、本発明の表面処理アルミナ粉末、下記(A)成分、及び必要に応じて下記(B)成分を含有し、非硬化性であってもよく、また、さらには下記(C)硬化剤を含有することにより、ゲル状、あるいはゴム状の硬化物を形成する硬化性であってもよい。熱伝導性シリコーン組成物が硬化性を有する場合、その硬化機構は限定されず、例えば、ヒドロシリル化反応、および有機過酸化物によるフリーラジカル反応が挙げられ、速やかに硬化し、副生成物が発生しないことから、ヒドロシリル化反応であることが好ましい。
熱伝導性シリコーン組成物において、(B)成分の含有量は限定されないが、良好な熱伝導性を有するシリコーン組成物を形成するためには、熱伝導性シリコーン組成物中の50体積%以下であることが好ましく、より好ましくは40体積%以下であり、さらに好ましくは30体積%以下である。
熱伝導性シリコーン組成物がヒドロシリル化反応により硬化する場合には、(C)成分の硬化剤は、一分子中に平均2個以上のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノポリシロキサンと白金系触媒からなるものである。このオルガノポリシロキサン中のケイ素原子結合に結合している基としては、前記と同様の直鎖状アルキル基、分岐鎖状アルキル基、環状アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基が例示され、好ましくはアルキル基、アリール基であり、特に好ましくはメチル基、フェニル基である。また、このオルガノポリシロキサンの25℃における動粘度は限定されないが、好ましくは1〜100,000mm2/sの範囲内であり、特に好ましくは1〜5,000mm2/sの範囲内である。このオルガノポリシロキサンの分子構造は限定されず、例えば、直鎖状、分岐鎖状、一部分岐を有する直鎖状、環状、樹枝状(デンドリマー状)が挙げられる。このオルガノポリシロキサンは、例えば、これらの分子構造を有する単一重合体、これらの分子構造からなる共重合体、またはこれらの混合物であってもよい。
〔平均粒径測定〕
平均粒径は、日機装株式会社製の粒度分析計であるマイクロトラックMT3300EXにより測定した体積基準の累積平均径である。
粘度は、25℃にてマルコム社のマルコム粘度計(タイプPC−10AA)にて測定を行った。
成形前の熱伝導性シリコーン組成物を京都電子工業(株)製のTPS−2500Sにより、いずれも25℃において測定した。
熱伝導性シリコーン組成物を厚さ2mmとなるように0.2mm厚の四フッ化エチレン製フィルムの間に挟み込み、150℃で60分間加熱することにより硬化させた。その後、四フッ化エチレン製フィルムを剥がし取り、シリコーンゴムシートを成形できたかどうかを観察した。
均一なシリコーンゴムシートの場合;成形性良好(○)
シート状には成形できたももの、部分的に強度が弱い個所があったり、気泡がシート面に観察された場合;成形性やや良好(△)
シート状に成形できなかったり、成形できたとしても強度が弱い場合;成形性不良(×)
3リットルのボールミル中に平均粒径10μmの球状アルミナ1kgを入れて、下記式(4)の片末端加水分解性オルガノポリシロキサン(動粘度35mm2/s)50gを15分間混合した後、200℃で4時間熱処理を行って表面処理アルミナ粉Xを1kg得た。
次に、上記表面処理アルミナ粉X856g(60体積%となる量)と、両末端がトリメチルシリル基を有する直鎖状の25℃おける動粘度が1,000mm2/sのジメチルポリシロキサン144g(40体積%になる量)をプラネタリーミキサーで30分混合した。その時の混合物の粘度は83Pa・sであった。尚、表面処理する前のアルミナ粉末を使用する以外は全て同様に混合した場合の混合物の粘度は120Pa・sであった。
この時の、(表面処理アルミナ粉末を用いた混合物の粘度)/(未処理アルミナ粉末を用いた混合物の粘度)の100分率は69%であった。
3リットルのボールミル中に平均粒径45μmの球状アルミナ1kgを入れて上記式(4)の片末端加水分解性オルガノポリシロキサン30gと水3.5g、酢酸0.3g、メタノール2gの混合溶液を添加し、15分混合した後、120℃で1時間、更に300℃で6時間熱処理を行って表面処理アルミナ粉Yを1kg得た。
次に、上記表面処理アルミナ粉Y856g(60体積%となる量)と、両末端がトリメチルシリル基を有する直鎖状の25℃おける動粘度が5,000mm2/sのジメチルポリシロキサン144g(40体積%になる量)をプラネタリーミキサーで30分混合した。その時の混合物の粘度は208Pa・sであった。尚、表面処理する前のアルミナ粉末を使用する以外は全て同様に混合した場合の混合物の粘度は320Pa・sであった。同様にこの時の100分率は65%であった。
3リットルのボールミル中に平均粒径10μmの球状アルミナ1kgを入れて、上記式(4)の片末端加水分解性オルガノポリシロキサン50gを15分間混合した後、100℃で4時間熱処理を行って表面処理アルミナ粉Zを1kg得た。
次に、上記表面処理アルミナ粉Zを、調整例1と同様に856gと、両末端がトリメチルシリル基を有する直鎖状の25℃おける動粘度が1,000mm2/sのジメチルポリシロキサン144gをプラネタリーミキサーで30分混合した。その時の混合物の粘度は95Pa・sであった。尚、表面処理する前のアルミナ粉末を使用する以外は全て同様に混合した場合の混合物の粘度は127Pa・sであった。同様にこの時の100分率は75%であった。
A−1:両末端がジメチルビニルシリル基で封鎖され、25℃における動粘度が600mm2/sのジメチルポリシロキサン
B−1:平均粒径が10μmの未処理のアルミナ粉末
C−1:下記式(5)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン
5リットルゲートーミキサー(井上製作所(株)製、商品名:5リットルプラネタリミキサー)に、上記成分A−1を100gと、表面処理アルミナ粉Xを1,200g仕込み、室温で30分撹拌混合を行った。次に1−エチニル−1−シクロヘキサノールの50質量%トルエン溶液を0.45g添加して室温で5分間混合し、引き続き白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のA−1溶液(白金原子として1質量%含有)を1.5g加えて室温で5分間混合した。更にその後上記成分C−1を11.7g添加して室温で15分間混合して熱伝導性シリコーン組成物を調整した。
実施例1の表面処理アルミナ粉末Xを、表面処理アルミナ粉末Yに変えた以外は全て同じにして、熱伝導性シリコーン組成物を調整した。
実施例1の表面処理アルミナXを800gにして、上記成分C−1を4.6g、上記成分C−2を6.6gにした以外は全て同じにして、熱伝導性シリコーン組成物を得た。
実施例1の表面処理アルミナ処理粉末X1,200gを、表面処理アルミナ粉末X800gと、表面処理アルミナ粉末Y400gのブレンドにした以外は全て同じにして、熱伝導性シリコーン組成物を調整した。
実施例1の表面処理アルミナ粉末Xを、表面処理アルミナ粉末Zに変えた以外は全て同じにして、熱伝導性シリコーン組成物を調整した。
実施例1の表面処理アルミナ粉末Xを、上記成分B−1のアルミナ粉末に変えた以外は全て同じにして、熱伝導性シリコーン組成物を調整した。
Claims (5)
- 前記アルミナ粉末の平均粒径が0.1〜200μmであることを特徴とする請求項1に記載の表面処理アルミナ粉末の製造方法。
- 前記アルミナ粉末として、平均粒径の異なるものが二種類以上混合されているものを用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の表面処理アルミナ粉末の製造方法。
- 前記表面処理アルミナ粉末を25℃における動粘度が100〜100,000mm2/sのポリジメチルシロキサン中に60体積%混合した混合物の粘度(Pa・s)は、未処理のアルミナ粉末を前記ポリジメチルシロキサン中に60体積%混合した混合物の粘度(Pa・s)の90%以下になることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のアルミナ粉末の製造方法。
- 前記表面処理アルミナ粉末は熱伝導性シリコーン組成物の充填剤用のものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の表面処理アルミナ粉末の製造方法。
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