JP2020170608A - 非水電解質二次電池の抵抗特性回復方法 - Google Patents

非水電解質二次電池の抵抗特性回復方法 Download PDF

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Abstract

【課題】非水電解質二次電池の低下した抵抗特性を効果的に回復することができる方法を提供する。【解決手段】ここに開示される非水電解質二次電池の抵抗特性回復方法において、前記非水電解質二次電池は、正極と、負極と、非水電解質とを備える。前記非水電解質は、LiPF6と、LiPO2F2とを含有する。前記負極の表面には、被膜が形成されている。ここに開示される非水電解質二次電池の抵抗特性回復方法は、前記非水電解質二次電池の前記被膜中のP成分量と、前記被膜中のLi量との相関を取得する工程と、抵抗特性が低下した非水電解質二次電池に対し、前記被膜中のLi量に対するP成分量が、前記相関から定められた基準に達した場合に、LiPO2F2を非水電解質に添加する工程と、を包含する。前記基準は、前記相関において、P成分量がLi量に対して線形近似を示さない範囲において定められる。【選択図】図8

Description

本発明は、非水電解質二次電池の抵抗特性回復方法に関する。
近年、リチウム二次電池等の非水電解質二次電池は、パソコン、携帯端末等のポータブル電源や、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)等の車両駆動用電源などに好適に用いられている。
非水電解質二次電池を製造する際に、非水電解質に支持塩としてのLiPFと、添加剤としてのLiPOとを用いることにより、負極表面に被膜が形成され、抵抗特性等を改善できることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、性能が低下した非水電解質二次電池の非水電解質に、フルオロリン酸アニオンを含む化合物を添加することにより、性能を回復できることが知られている(例えば、特許文献2および3参照)。
特開2015−018802号公報 国際公開第2015/163279号公報 特開2017−152259号公報
従来技術である上記特許文献2および3では、非水電解質二次電池の低下した容量を回復させることについては実際に検討がなされているものの、抵抗特性を回復させることについては実際に検討がなされていない。そこで、本発明者がこの点について鋭意検討した結果、これらの従来技術には、抵抗特性を回復させるという点において改善の余地があることを見出した。
そこで本発明は、非水電解質二次電池の低下した抵抗特性を効果的に回復することができる方法を提供することを目的とする。
ここに開示される非水電解質二次電池の抵抗特性回復方法において、前記非水電解質二次電池は、正極と、負極と、非水電解質とを備える。前記非水電解質は、LiPFと、LiPOとを含有する。前記負極の表面には、被膜が形成されている。ここに開示される非水電解質二次電池の抵抗特性回復方法は、前記非水電解質二次電池の前記被膜中のP成分量と、前記被膜中のLi量との相関を取得する工程と、抵抗特性が低下した非水電解質二次電池に対し、前記被膜中のLi量に対するP成分量が、前記相関から定められた基準に達した場合に、LiPOを非水電解質に添加する工程と、を包含する。前記基準は、前記相関において、P成分量がLi量に対して線形近似を示さない範囲において定められる。
このような構成によれば、非水電解質二次電池の低下した抵抗特性を効果的に回復することができる。
本発明の一実施形態に係る抵抗特性回復方法に用いられるリチウム二次電池の内部構造を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る抵抗特性回復方法に用いられるリチウム二次電池の捲回電極体の構成を示す模式図である。 劣化前のリチウム二次電池の負極の表面の被膜を模式的に示す図である。 劣化が進んだリチウム二次電池の負極の表面の被膜を模式的に示す図である。 劣化が進んだ後にLiPOが添加されたリチウム二次電池の負極の表面の被膜を模式的に示す図である。 実施例での検討で得られた保存日数とLi量との関係を示すグラフである。 実施例での検討で得られた保存日数とP成分量との関係を示すグラフである。 実施例での検討について、Li量を横軸に、P成分量を縦軸にしてプロットしたグラフである
以下、本発明による実施の形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、本発明を特徴付けない非水電解質二次電池の一般的な構成および製造プロセス)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
なお、本明細書において「二次電池」とは、繰り返し充放電可能な蓄電デバイス一般をいい、いわゆる蓄電池ならびに電気二重層キャパシタ等の蓄電素子を包含する用語である。
本実施形態に係る非水電解質二次電池の抵抗特性回復方法は、正極と、負極と、非水電解質とを備える非水電解質二次電池であって、当該非水電解質は、LiPFと、LiPOとを含有し、当該負極の表面には、被膜が形成されている非水電解質二次電池に適用されるものである。
本実施形態に係る非水電解質二次電池の抵抗特性回復方法は、この非水電解質二次電池の被膜中のP成分量と、被膜中のLi量との相関を取得する工程(以下、「相関取得工程」ともいう)と、抵抗特性が低下した非水電解質二次電池に対し、被膜中のLi量に対するP成分量が、前記相関から定められた基準に達した場合に、LiPOを非水電解質に添加する工程(以下、「添加工程」ともいう)と、を包含する。この基準は、上記相関において、P成分量がLi量に対して線形近似を示さない範囲において定められる。
以下、本実施形態に係る抵抗特性回復方法が適用される非水電解質二次電池が、リチウム二次電池である場合を例に挙げて説明するが、抵抗特性回復方法が適用される非水電解質二次電池は、リチウム二次電池に限定されるものではない。また、例として扁平形状の捲回電極体を備える角形のリチウム二次電池について説明する。しかしながら、リチウム二次電池は、積層型電極体を備えるリチウム二次電池であってよく、円筒形リチウム二次電池、ラミネート型リチウム二次電池であってよい。
図1は、本実施形態に係る抵抗特性回復復方法に用いられるリチウム二次電池100の内部構造を模式的に示す断面図である。図2は、本実施形態に係る抵抗特性回復方法に用いられるリチウム二次電池100の捲回電極体20の構成を示す模式図である。
図1に示すリチウム二次電池100は、扁平形状の捲回電極体20と非水電解質80とが扁平な角形の電池ケース(即ち外装容器)30に収容されることにより構築される密閉型電池である。電池ケース30には外部接続用の正極端子42および負極端子44と、電池ケース30の内圧が所定レベル以上に上昇した場合に該内圧を開放するように設定された薄肉の安全弁36が設けられている。また、電池ケース30には、非水電解質80を注入するための注入口(図示せず)が設けられている。正極端子42は、正極集電板42aと電気的に接続されている。負極端子44は、負極集電板44aと電気的に接続されている。電池ケース30の材質としては、例えば、アルミニウム等の軽量で熱伝導性の良い金属材料が用いられる。
捲回電極体20は、図1および図2に示すように、長尺状の正極集電体52の片面または両面(ここでは両面)に長手方向に沿って正極活物質層54が形成された正極シート50と、長尺状の負極集電体62の片面または両面(ここでは両面)に長手方向に沿って負極活物質層64が形成された負極シート60とが、2枚の長尺状のセパレータシート70を介して重ね合わされて長手方向に捲回された形態を有する。なお、捲回電極体20の捲回軸方向(即ち、上記長手方向に直交するシート幅方向)の両端から外方にはみ出すように形成された正極活物質層非形成部分52a(即ち、正極活物質層54が形成されずに正極集電体52が露出した部分)と負極活物質層非形成部分62a(即ち、負極活物質層64が形成されずに負極集電体62が露出した部分)には、それぞれ正極集電板42aおよび負極集電板44aが接合されている。
正極シート50および負極シート60には、従来のリチウム二次電池に用いられているものと同様のものを特に制限なく使用することができる。典型的な一態様を以下に示す。
正極シート50を構成する正極集電体52としては、例えばアルミニウム箔等が挙げられる。正極活物質層54に含まれる正極活物質としては、例えばリチウム遷移金属酸化物(例、LiNi1/3Co1/3Mn1/3、LiNiO、LiCoO、LiFeO、LiMn、LiNi0.5Mn1.5等)、リチウム遷移金属リン酸化合物(例、LiFePO等)等が挙げられる。正極活物質層54は、活物質以外の成分、例えば導電材やバインダ等を含み得る。導電材としては、例えばアセチレンブラック(AB)等のカーボンブラックやその他(例、グラファイト等)の炭素材料を好適に使用し得る。バインダとしては、例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)等を使用し得る。リチウム二次電池100は、通常使用電圧範囲が3.0V〜4.1Vであることが好ましい。そのため、正極活物質は、正極の通常使用上限電位がリチウム基準で4.2V以下になるものを選択することが好ましい。
負極シート60を構成する負極集電体62としては、例えば銅箔等が挙げられる。負極活物質層64に含まれる負極活物質としては、例えば黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボン等の炭素材料を使用し得る。負極活物質層64は、活物質以外の成分、例えばバインダや増粘剤等を含み得る。バインダとしては、例えばスチレンブタジエンラバー(SBR)等を使用し得る。増粘剤としては、例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)等を使用し得る。
負極シート60の表面(特に、負極活物質層64に含まれる負極活物質の表面)には、被膜が形成されている。当該被膜には、LiPOに由来するP成分が含有されている。また、当該被膜中には、リチウムイオンが存在する。
セパレータ70としては、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル、セルロース、ポリアミド等の樹脂から成る多孔性シート(フィルム)が挙げられる。かかる多孔性シートは、単層構造であってもよく、二層以上の積層構造(例えば、PE層の両面にPP層が積層された三層構造)であってもよい。セパレータ70の表面には、耐熱層(HRL)が設けられていてもよい。
非水電解質80は、支持塩としてのLiPFと、添加剤とのLiPOとを含有する。非水電解質80は、またこれらを溶解可能な非水溶媒を含有する。なお、図1は、電池ケース30内に注入される非水電解質80の量を厳密に示すものではない。
非水溶媒としては、二次電池用非水電解液に用いられている公知の非水溶媒を特に制限なく用いることができ、具体的に例えば、カーボネート類、エーテル類、エステル類、ニトリル類、スルホン類、ラクトン類等を用いることができる。なかでも、カーボネート類が好ましい。カーボネート類の例としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
LiPFの非水電解質80中の濃度は、好適には、0.7mol/L以上1.3mol/L以下である。
LiPOの非水電解質80中の濃度は、特に制限はないが、好適には、0.05mol/L以上0.5mol/L以下である。
なお、非水電解質は、本発明の効果を著しく損なわない限りにおいて、例えば、ビフェニル(BP)、シクロヘキシルベンゼン(CHB)等のガス発生剤;分散剤;増粘剤等のその他の添加剤を含んでいてもよい。
本実施形態は、出荷される製品のように、同じリチウム二次電池100が複数(特に多数)ある場合に適用される方法である。
相関取得工程について説明する。当該工程においては、リチウム二次電池100の被膜中のP成分量と、被膜中のLi量との相関を取得する。
当該工程は、例えば、次のようにして実施することができる。
出荷前のリチウム二次電池100等の未使用のリチウム二次電池100の一部に対して、充放電サイクルの印加や高温下での保存等の負極60の表面の被膜量が増加する操作を実施する。この操作は、リチウム二次電池100を劣化させる操作に相当する。そして、負極60の表面の被膜中のP成分量とLi量とを分析する。例えば、Li量に対するP成分量をプロットすることで、被膜中のP成分量と、被膜中のLi量との相関を取得することができる。
なお、P成分とは、被膜中のLiPOに由来する成分のことを指す。
Li量は、例えば、リチウム二次電池100を解体して負極60を取り出し、その表面の被膜に対して、ICP発光分析を行うことにより、求めることができる。
また、P成分量は、例えば、リチウム二次電池100を解体して負極60を取り出し、その表面の被膜をイオンクロマトグラフィーにより、分析することで求めることができる。イオンクロマトグラフィーでは、P成分量は、Pを含有する成分(すなわちPO、POF、およびPO)の総量として求めることができる。また、例えば、ICP発光分析によって、P成分量を求めることもできる。
本発明者の検討によれば、後述の実施例での検討結果に示されるように、被膜中のLi量は、連続的に増加していくのに対し、被膜中のP成分量は、ある段階で飽和していくことを見出した。そして、被膜中のP成分量と、被膜中のLi量との相関において、P成分量は、最初は、Li量に対して線形的に増加する(すなわち、Li量とP成分量は線形近似できる)が、その後、P成分量の増加割合が減少して線形近似を示さなくなることを見出した。そして、線形近似を示さなくなった段階で、抵抗が増加することを見出した。
この現象は、次のように説明される。
劣化前のリチウム二次電池100の負極60には、図3に示すような被膜が形成される。すなわち、負極60(具体的には、負極活物質)の表面に、非水電解質の分解物等による層66Aと、LiPOに由来するP成分を含有する層66Bとを含む被膜66が形成される。一方で、非水電解質中においてリチウムイオン1は、溶媒2と溶媒和した形態で存在する。ここで、P成分を含有する層66Bは、被膜66の外表面側にあり、外表面に極性の高いP成分が存在することで、リチウムイオン1の脱溶媒和が促進される。したがって、負極活物質へのリチウムイオンの挿入反応が円滑に行われ、その結果、リチウム二次電池100の抵抗は低くなる。
劣化が進むと、リチウム二次電池100の負極60には、図4に示すような被膜が形成される。すなわち、非水電解質中のLiPOが枯渇するに伴い、被膜66の最表面側に、非水溶媒由来の有機成分を含有する層66Cが形成される。リチウムイオンは豊富にあるため、層66A〜66Cのすべてにリチウムイオンが存在し、被膜66全体では、P成分の割合が減少する。有機成分は極性がP成分に比べて低く、そのため、P成分によるリチウムイオン1の脱溶媒和促進効果が失われる。その結果、リチウム二次電池100の抵抗は高くなる(すなわち、抵抗特性が低下する)。
さらに、本発明者は、被膜中のP成分量と被膜中のLi量との相関において、上記の線形近似を示さなくなった段階において、非水電解質中にLiPOを添加することが、リチウム二次電池100の抵抗特性の回復に効果的であることを見出した。
具体的には、LiPOが枯渇した非水電解質中にLiPOが新たに供給されることにより、図5に示すように、被膜66の最表面側に、LiPOに由来するP成分を含有する層66Dが形成される。これにより、P成分によるリチウムイオン1の脱溶媒和促進効果が再び得られ、リチウム二次電池100の抵抗特性が小さくなる(すなわち、抵抗特性が回復する)。
従来技術では、被膜中のP成分量と被膜中のLi量との相関と、リチウム二次電池100の抵抗特性との関係は、把握されていなかった。そのため、LiPOが枯渇する前にLiPOを添加する場合には、LiPOが過剰に存在することによる副反応が起こりやすくなり、これにより抵抗特性が低下し得る。また、抵抗特性は、リチウムイオンの脱溶媒和が支配的であるが、LiPOが早い段階で添加されると被膜の厚さが大きくなりすぎて、リチウムイオンの被膜中の拡散による抵抗増加が起こる可能性もある。一方、LiPOの添加が遅すぎると、被膜中に、有機成分による公知抵抗の層が厚くなり過ぎる。
しかしながら、本実施形態に係る抵抗特性回復方法によれば、このような問題を解消することができる。
なお、被膜形成剤として、ビニレンカーボネート等が公知であるが、ビニレンカーボネートは、低抵抗化効果が小さいため、本実施形態では、LiPOが用いられる。
そこで、本実施形態に係る抵抗特性回復方法では、使用等によって抵抗特性が低下したリチウム二次電池100を用意する。なお、このリチウム二次電池100は、通常、相関取得工程で用いなかった残りのリチウム二次電池100であり、例えば、出荷され使用された電池である。このリチウム二次電池100に対して添加工程を行う。すなわち、抵抗特性が低下したリチウム二次電池100に対し、被膜中のLi量に対するP成分量が、前記相関から定められた基準に達した場合に、LiPOを非水電解質80に添加する。この基準は、上記相関において、P成分量がLi量に対して線形近似を示さない範囲において定められる。
具体的には、上述のように、P成分量は、最初は、Li量に対して線形的に増加し、式:y(P成分量)=αx(Li量)+β(式中、αおよびβは係数である)で表される直線で近似することができる。P成分量がLi量に対して線形近似を示さない範囲において、基準を定め、P成分量が、この基準に達した場合に、LiPOを非水電解質80に添加する。
この基準は、例えば、αx(Li量)+βの計算値よりも所定量小さな値として設定することができる。具体的に例えば、基準を、αx(Li量)+βの計算値より10%以上小さい値(すなわち計算値×0.9以下)とする。つまり、P成分量が、当該計算値よりも10%以上小さい値となった場合に、LiPOを非水電解質80に添加する。特に、P成分量が当該計算値よりも10%小さい値となった場合に、LiPOを非水電解質80に添加することが好ましい。
あるいは、P成分量がLi量に対して線形近似を示さない範囲においては、P成分量の増加の割合が小さくなるように変化する。この変化は、式:y(P成分量)=αx(Li量)+β(式中、αおよびβは係数である)において、傾きを表す係数αの変化として現れる。すなわち、この式の微分値により把握することができる。
したがって、例えば、上記式の微分値が特定の数値以下となった場合を基準とすることもできる。
また、P成分量が、基準に達したかどうかは、必ずしもLi量とP成分量とを実際に測定しなくてもよい。電池容量等の容易に測定可能な他の特性と、基準との関係を把握しておき、基準に達したかどうかを判断可能である場合には、この他の特性を利用して判断してもよい。
LiPOの非水電解質80への添加に関し、LiPOをそのまま非水電解質80へ添加してもよいが、LiPOを非水電解質80に用いられている非水溶媒に溶解させた溶液を調製し、この溶液を非水電解質80へ添加することが好ましい。
LiPOの非水電解質80への添加量は、特に制限はないが、その後形成された被膜中のP成分量が、αx(Li量)+βの計算値からのずれが10%以内となる値(すなわち、計算値×0.9以上の値)となるように添加することが好ましく、当該ずれが5%以内となる値となるように添加することがより好ましい。
LiPOを非水電解質80に添加した後は、充電処理や高温下で放置するエージング処理等を行わなくてもよい。通常使用時の充電や高温下での静置によって、LiPOに由来するP成分を含有する層を被膜の表面に形成することができる。しかしながら、上記の処理を行うと、LiPOに由来するP成分を含有する層が均一に形成されるため、有利である。
以上のようにして、リチウム二次電池100の抵抗特性を回復させることができる。
抵抗特性が回復したリチウム二次電池100は、各種用途に利用可能であり、使用していた用途に再度利用してもよいし、別の用途に利用してもよい。好適な用途としては、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)等の車両に搭載される駆動用電源が挙げられる。リチウム二次電池100は、典型的には複数個を直列および/または並列に接続してなる組電池の形態でも使用され得る。
また、電力貯蔵用蓄電池としても用いることができる。
以下、本発明に関する実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
<リチウム二次電池の準備>
正極活物質粉末としてのLiNi1/3Co1/3Mn1/3(LNCM)と、導電材としてのアセチレンブラック(AB)と、バインダとしてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを、LNCM:AB:PVdF=87:10:3の質量比でN−メチルピロリドン(NMP)と混合し、正極活物質層形成用スラリーを調製した。このスラリーを、長尺状のアルミニウム箔の両面に帯状に塗布して乾燥した後、ロールプレスすることにより、正極シートを作製した。
負極活物質としての天然黒鉛(C)と、バインダとしてのスチレンブタジエンゴム(SBR)と、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)とを、C:SBR:CMC=98:1:1の質量比でイオン交換水と混合して、負極活物質層形成用スラリーを調製した。このスラリーを、長尺状の銅箔の両面に帯状に塗布して乾燥した後、ロールプレスすることにより、負極シートを作製した。
また、2枚のセパレータシート(多孔性ポリオレフィンシート)を用意した。
作製した正極シートと負極シートとを、セパレータシートを介して積層して電極体を作製した。
作製した電極体に集電体を取り付け、電解液と共に電池ケースに収容し、封止した。非水電解質には、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とジメチルカーボネート(DMC)とをEC:EMC:DMC=1:1:1の体積比で含む混合溶媒に、支持塩としてのLiPFを1.1mol/Lの濃度で溶解させ、かつLiPOを0.1mol/Lの濃度で溶解させたものを用いた。
次いで、これに対して活性化処理を行って、負極表面に被膜が形成されたリチウム二次電池を作製した。
<リチウム二次電池の劣化処理>
上記作製したリチウム二次電池をSOC100%の状態に調製し、60℃の環境下に保存して、意図的に劣化させた。なお、保存期間は最大で100日間とした。
<リチウム二次電池の分析>
保存前および保存後のリチウム二次電池を解体し、負極を取り出した。
この負極の表面の被膜に対して、ICP発光分析を行うことにより、Li量を求めた。
また、イオンクロマトグラフィーにより、P系成分(すなわちPO、POF、およびPO)の総量(すなわち、P成分量)を求めた。
<保存日数、Li量、およびP成分量の関係>
上記の検討により得られた保存日数とLi量との関係を図6に、保存日数とP成分量との関係を図7に示す。
図6より、Li量は、保存日数の平方根に対して、線形的に増加するのがわかる。これに対し、図7より、P成分量は、保存日数の平方根に対して線形的な増加は示さず、その増加量が徐々に小さくなって飽和していくことがわかる。
以上のことから、保存日数が増加した場合に、P成分量の増加は、Li量の増加とは異なる挙動を示すことがわかる。
そこで、図8に、Li量を横軸に、P成分量を縦軸にしてプロットしたグラフを示す。このグラフより、Li量に対するP成分量の相関を把握することができる。図8より、Li量に対して、P成分量は、最初は直線Lで近似することができ、線形的に増加することがわかる。しかし、上述のようにP成分量の増加は、Li量の増加とは異なる挙動を示すため、Li量が一定以上大きくなると、矢印で示した点のように、直線Lを外れる。
<LiPOの添加検討>
ECとEMCとDMCとをEC:EMC:DMC=1:1:1の体積比で含む混合溶媒にLiPOを溶解させたLiPO添加液を準備した。
上記と同様にしてリチウム二次電池を複数作製し、P成分量がLi量に対して線形近似を示さない範囲になるまで、SOC100%の状態で60℃の環境下に保存した。その後、LiPO添加液を、各リチウム二次電池に注入した。このとき、Li量とP成分量の比率が変わるように、LiPO添加液の注入量を複数変化させた。また、注入量がゼロの(すなわち、LiPOが添加されなかった)電池も設けた。
その後、60℃の環境下で活性化処理を行った。
これらの電池について、インピーダンスによる−30℃での抵抗測定を実施した。LiPOを添加しなかった電池の抵抗値を100とした場合の、他の電池の抵抗値の比を求めた。結果を表1に示す。
また、これらの電池を解体し、Li量、およびP成分量を求めた。そして、求めたLi量において、P成分量が、図8の直線Lの値から逸脱している割合(%)を求めた。結果を表1に示す。
Figure 2020170608
表1の結果より、P成分量がLi量に対して線形近似を示さない範囲において、LiPOを非水電解質に添加することにより、被膜中のP成分量が増加してリチウム二次電池を低抵抗化できることがわかる。
したがって、ここに開示される抵抗特性回復方法によれば、非水電解質二次電池の低下した抵抗特性を、回復できることがわかる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
1 リチウムイオン
2 溶媒
20 捲回電極体
30 電池ケース
36 安全弁
42 正極端子
42a 正極集電板
44 負極端子
44a 負極集電板
50 正極シート(正極)
52 正極集電体
52a 正極活物質層非形成部分
54 正極活物質層
60 負極シート(負極)
62 負極集電体
62a 負極活物質層非形成部分
64 負極活物質層
66 被膜
66A 非水電解質の分解物等による層
66B LiPOに由来するP成分を含有する層
66C 非水溶媒由来の有機成分を含有する層
66D LiPOに由来するP成分を含有する層
70 セパレータシート(セパレータ)
80 非水電解質
100 リチウム二次電池

Claims (1)

  1. 非水電解質二次電池の抵抗特性回復方法であって、
    前記非水電解質二次電池は、正極と、負極と、非水電解質とを備え、
    前記非水電解質は、LiPFと、LiPOとを含有し、
    前記負極の表面には、被膜が形成されており、
    前記非水電解質二次電池の前記被膜中のP成分量と、前記被膜中のLi量との相関を取得する工程と、
    抵抗特性が低下した非水電解質二次電池に対し、前記被膜中のLi量に対するP成分量が、前記相関から定められた基準に達した場合に、LiPOを非水電解質に添加する工程と、
    を包含し、
    前記基準は、前記相関において、P成分量がLi量に対して線形近似を示さない範囲において定められる、
    非水電解質二次電池の抵抗特性回復方法。
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