以下、添付図面に示す被開示主題について詳細に説明する。本件開示について具体的に図示及び記述するためある特定の実施形態及びその具体的諸特徴を参照することにする。本願記載の諸実施形態については限定ではなく例証と採られたい。本件技術分野に習熟した者(いわゆる当業者)には、本件開示の神髄及び技術的範囲から離隔することなく形態及び細部に様々な変更及び修正を施せることを、容易にご理解頂けるはずである。
図1〜図5を通じ、本件開示の1個又は複数個の実施形態に従い検査システムにおける偽カウントを低減するシステム及び方法を示す。本件開示の諸実施形態は、高エネルギ粒子(例.ミューオン)によって生成される偽カウントが少ない偽カウント緩和能付検査システムを目指している。更なる諸実施形態では、更なる輻射源(例.α粒子、β粒子、中性子、ミューオン及びγ線)によって生成される偽カウントが少ない偽カウント緩和能付ウェハ検査システムを目指している。本件開示の目的を踏まえ、語「輻射のビーム」及び「輻射ビーム」を、所定の経路に沿い伝搬する輻射粒子及び/又は光子の形態を採った輻射エネルギとして定義する。更に、本件開示の目的を踏まえ、語「粒子輻射」をサンプル以外の源泉に係る輻射が含まれるよう定義し、例えばα粒子、β粒子、中性子、ミューオン、γ線等をこれに含めることにする。
ご認識頂けるように、検査システムとのからみでの偽カウントは、注目サンプルに関わりのない背景輻射の検出によって発生しうる。これもご認識頂けるように、電磁波照明例えば紫外(UV)波長又は可視波長の検出向けに構成された半導体式検出器の多くは背景輻射にも敏感であり、例えば輻射束、検出器のデザイン及び検出器の動作条件を含め複数の要因がその感度に関係してくる。一例としては、輻射源に対する電荷結合デバイス(CCD)の感度は、部分的に、自デバイスの電荷電圧変換利得、即ち事象の検出に応じた電子の生成により誘起される電圧を表す利得の関数である。この場合、CCDの変換利得を高くすると、所望の信号及び背景ノイズ信号の双方を孕む事象(例.輻射検出事象)を含め、あらゆる照明検出事象に対するそのデバイスの感度が高まる。
用途によっては、照明信号に対するウェハ検査システムの分解能及び感度を最大化するため、検出器を高感度で動作させることが望まれる。一例としては、未パターニングウェハ検査システム内の検出器を高感度で動作させることで、欠陥領域に係る照明信号と非欠陥領域に係る照明信号との間の僅かな差異を検出できよう。しかしながら、検出器を高感度で動作させると、それに対応して、サンプルに関わりのない輻射源からのノイズの影響が強まり偽カウントにつながる。
図1に、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係る輻射誘起性偽カウント緩和能付検査システム100を示す。ある実施形態に係るシステム100は、照明ビーム102を生成するよう構成された照明源101を有する。照明源101は、例えば紫外(UV)、極端紫外(EUV)、深紫外(DUV)、真空紫外(VUV)、可視又は赤外(IR)波長の光をはじめ、指定波長又は指定波長域を含有する照明ビーム102を生成するよう構成される。例えば、約100nm〜450nmの域内で照明発光可能な任意の源泉を照明源101に組み込むとよい。例えば狭帯域光源(例.レーザ光源)、広帯域光源(例.レーザ維持プラズマ(LSP)光源、放電ランプ等)等を、照明源に組み込んでもよい。一例としては、その出射波長が266nmのUVレーザ(例.エキシマレーザ等)を照明源とすることができる。
ある実施形態に係るシステム100は、照明ビーム102の少なくとも一部分をサンプル106に差し向けるための照明路103を有する。照明路103には、照明源101の出力からサンプル106の表面へと照明ビーム102を送給するのに適した任意個数、任意種類の光学素子を組み込むことができる。例えば、照明路103に、1個又は複数個のレンズ104、1個又は複数個のビームスプリッタ112、1個又は複数個の平行光化素子(図示せず)、1個又は複数個のフィルタ(図示せず)、1個又は複数個の偏光素子(図示せず)、1個又は複数個の集束素子110等を組み込み、照明源101により発せられた照明をそれらにより指向、集束その他、処理させることができる。
また、ある実施形態に係るシステム100は、サンプル106を堅持及び位置決めするのに適したステージアセンブリ108を有する。ステージアセンブリ108は、本件技術分野で既知な任意のサンプルステージアーキテクチャを有するものとすることができる。一例としては、ステージアセンブリ108にリニアステージを組み込むことができる。別例としては、ステージアセンブリ108に回動ステージを組み込むことができる。サンプル106はウェハ、例えば未パターニング半導体ウェハ等を有するものとすることができる。
ある実施形態に係るシステム100は、サンプル106から検出器アセンブリ120へと照明を差し向けるよう構成された結像路113を有する。ある実施形態では、結像路113が対物レンズ110を有する。また、ある実施形態では結像路113がマルチレンズ結像システムを有する。一例としては、マルチレンズ結像システムを、サンプルから結像照明114を集光するよう構成された対物レンズ110と、検出器アセンブリ120上にそのサンプルの像を発生させるよう構成された1個又は複数個のレンズ116とを、有するものとすることができる。この形態によれば、対物レンズ110によって、サンプル上に照明ビーム102を集束させるのと同時にそのサンプルから結像照明114を集光することができる。ある実施形態では、照明路103の少なくとも一部分を結像路113に重ね合わせるためビームスプリッタ112が配置される。注記すべきことに、このビームスプリッタ112は限定を意図したものではなく、本件開示の全実施形態で存在必須なわけではない。また、ある実施形態では照明路103及び結像路113が非共線的とされ、相独立な光学素子を有する。
ある実施形態では、検出器アセンブリ120が、1個又は複数個のコントローラ126に可通信結合された1個又は複数個の検出器を有する。ある実施形態では、検出器アセンブリ120が、サンプル106から散乱又は反射されてくる照明114を検出するのに適した照明センサ122を有する。また、ある実施形態では、検出器アセンブリが更に、サンプル106以外の源泉からの輻射(例.ミューオン、α粒子、β粒子及び/又はγ線)を検出するのに適した1個又は複数個の輻射センサ124を有する。この形態によれば、1個又は複数個の輻射センサ124により検出されるのと同時に照明センサ122上で検出された輻射検出事象を、ノイズとして無視することができる。
図2A及び図2Bに、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り照明センサ122及びそれに近接した輻射センサ124を有する検出器アセンブリ120を示す。ある実施形態では1個又は複数個の輻射シールド118が照明センサ122の周りに配置され、輻射(例.輻射ビーム202及び204)が吸収又は方向転換されるよう、ひいてはその輻射がセンサ122に到達しないようその輻射シールドが構成される。この1個又は複数個の輻射シールドは、背景輻射が照明センサ122に達するのを妨げるのに適していて本件技術分野にて既知な任意の素材で形成することができる。一例としては、輻射シールド118を一種類又は複数種類の重元素で形成することができる。例えば、必須ではないが鉛、タングステン、アンチモン、スズ及びビスマスのうち少なくとも一種類で輻射シールド118を形成するとよい。注記すべきことに、この1個又は複数個の輻射シールドの厚みを素材特性に従い調整することで、輻射が照明センサ122に達することを阻止することができる。更に、1個又は複数個の輻射シールド118を検出器アセンブリ120内構造部材又は機能部材として構成することができる。例えば、照明センサ122が安定化又は位置決めされるよう1個又は複数個の輻射シールド118を構成することができる。また、ある実施形態では、照明センサ122を本システム100の他部材に取り付ける実装パッケージ(例.セラミクス製実装パッケージ)内に1個又は複数個の輻射シールド118が組み込まれる。更に、ある実施形態では、輻射シールド118が照明センサ122用ヒートシンクとしても構成される。
ある実施形態では、1個又は複数個の輻射シールド118が、結像照明114に関わりのない立体角のいずれからの輻射も阻止しうるよう配置される。図2Bに示すように、ある実施形態では、1個又は複数個の結像レンズ128により照明センサ122上にサンプル106の像が生成される。結像線114a、114b及び114cはこの結像システムの視野全体を基点として結像照明を表しており、そのうちの線114a及び114cが、結像照明114に係る照明センサ122の立体角をカバーする線を表している。ある実施形態では、1個又は複数個の輻射シールド118が、照明センサ122を巡り回転対称形態で配置される。この形態により例えば輻射ビーム202が阻止される。また、ある実施形態では、1個又は複数個の輻射シールドを照明センサ122の背後に配置することで、その照明センサ122から見てサンプル106とは逆の側から入射してくる輻射ビーム(例.輻射ビーム204)が阻止される。
注記すべきことに、輻射源の中には、輻射シールド118が存在していても照明センサ122と相互作用しうるものがある。一例としては、結像照明114に係る立体角内にその経路がある輻射ビームが、照明センサ122と相互作用する可能性がある。別例としては、ミューオン、γ線等の高エネルギ輻射源が1個又は複数個の輻射シールド118を貫き伝搬し、照明センサ122と相互作用する可能性がある。ある実施形態では、1個又は複数個の輻射センサ124が照明センサ122に対し近接配置され、照明センサ122と相互作用する輻射ビーム(例.輻射ビーム206)がそれにより検出される。
注記すべきことに、輻射センサ124は、粒子輻射を検出しうるよう構成されており本件技術分野で既知な任意種類のセンサを1個又は複数個有するもの、例えばシンチレーションセンサ、半導体デバイス、線量計等を有するものとすることができる。更に注記すべきことに、照明センサ122は、照明を検出しうるよう構成されており本件技術分野で既知な任意種類のセンサを1個又は複数個有するものとすることができる。一例としては、照明センサ122を、CCDデバイス、相補型金属酸化物半導体(CMOS)デバイス等をはじめとする複数画素センサを有するものとすることができる。別例としては、照明センサ122を、光電子増倍管(PMT)センサ、フォトダイオード、アバランシェフォトダイオード(APD)センサ等をはじめとする単一画素センサを有するものとすることができる。
ある実施形態では、輻射センサ124が、光電子増倍管(PMT)124bに結合されたシンチレーション素材124aを有するシンチレーションセンサとして構成される。この形態では、1個又は複数個の輻射検出事象の検出に応じシンチレーション素材124aによって放出された1個又は複数個の光子が、PMT124bによって検出される。また、ある実施形態では、シンチレーション素材124aが、そのシンチレーション素材124aによって放出された光子のうち少なくとも一部のものが内部全反射を媒介にPMT124bへと案内されるよう導波路として構成されている。
熟慮頂くべきことに、照明センサ122の照明検出事象と近くの輻射センサ124の輻射検出事象との間の相対タイミングを用いることで、輻射誘起性偽カウントの存在を判別することができる。ある実施形態では、1個又は複数個の輻射センサ124が照明センサ122に近接配置され、更にサンプル106からの照明が阻止されるよう配置される。照明センサ122及びそのそばにある輻射センサ124の双方と相互作用する輻射ビーム206により両センサ上で事象がトリガされることがあるが、サンプルからの照明が輻射センサに達しないのでそうした事象を偽カウントとして識別することができる。同様にして、照明センサ122上での検出事象のうち、1個又は複数個の輻射センサ124上での相応な輻射検出事象に関連付けられていないものを、有効として識別することができる。更に、輻射センサ124と相互作用するが照明センサ122とは相互作用しない輻射ビーム208は無視することができる。とはいえ、輻射ビーム208が輻射センサ124上に入射するのと同時に、サンプルからの照明に係る照明事象が照明センサ122上に入射することがありうる。この場合、有効な信号が無効と解されることになるので、そうした事象のことを偽一致事象と呼ぶことができる。注記すべきことに、偽一致事象の生起率は、1個又は複数個の輻射センサ124のサイズ、照明センサ122に対する1個又は複数個の輻射センサ124の位置等に依存しうる。
ある実施形態では、1個又は複数個の輻射センサ124が、照明センサ122を基準にして、その立体角を通りその照明センサ122上に輻射ビームが入射する立体角全てがカバーされるよう配置される。このようにすることで、照明センサ122上に入射しその照明センサにより検出される輻射ビームに係る偽カウントを、緩和することができる。注記すべきことに、照明センサ122の近くにある1個又は複数個の輻射センサ124の相対サイズ及び位置によって、照明センサ122を貫通した輻射ビームを1個又は複数個の輻射センサ124で検出できる度合が、決まることとなろう。仮に、照明センサ122上の全点について立体角が半球相当の2π以上であるなら、照明センサ122上にどの角度から入射する輻射ビームも1個又は複数個の輻射センサ124により検出することができる。
照明センサ122上のある一点から測った1個又は複数個の輻射センサ124の立体角は、照明センサ122の能動領域に比した1個又は複数個の輻射センサ124の能動領域のサイズを大きくすることによって、拡げることができる。照明センサ上のある一点から測った1個又は複数個の輻射センサ124の立体角を拡げうる他の方法としては、センサの個数を増やし照明センサ122と1個又は複数個の輻射センサ124との間の距離を縮める方法等がある。
更に注記すべきことに、宇宙線の副産物(例.ミューオン)に係る高エネルギ輻射の輻射束は均一ではなく、ゼニス(天頂)付近で最大となる。従って、宇宙線副産物に係る高エネルギ輻射の入射を減らすには、ゼニスに直交する平面に沿った照明センサ122の断面積を狭めればよい。更に注記すべきことに、照明センサ122の画素寸法を小さくすることによっても、そうした高エネルギ輻射の入射ひいては偽カウント率を抑えることができる。しかしながら、センサ画素ボリュームは装置性能特性例えば分解能、平均伝達関数、フルウェルポテンシャル、ダイナミックレンジ、速度及びコストにも影響するので、画素ボリュームの縮小による偽カウント率の低減はこれらの要因との兼ね合いになりうる。
図3A〜図3Dは、照明センサ122に対する1個又は複数個の輻射センサ124の配置について4個の非限定的実施形態を示す簡易模式図である。図3Aには、本件開示の1個又は複数個の実施形態に従い、照明センサの能動領域より広い能動領域を有する単一の輻射センサ124を配置することが、示されている。照明センサ122が鉛直配置されているのでゼニスからの高エネルギ輻射の入射を抑えることができる。図3Bには、本件開示の1個又は複数個の実施形態に従い照明センサ122の周りに複数個の輻射センサ124を配置することが示されている。図3Cには、本件開示の1個又は複数個の実施形態に従い照明センサ122に近接配置された湾曲型輻射センサ124が示されている。注記すべきことに、照明センサ122を通り抜けた輻射ビームを1個又は複数個の輻射センサ124が捕捉する能力は、その輻射センサ124のサイズ、輻射センサ124・照明センサ122間分離度等をはじめとする複数の要因に依存する。例えば、照明センサ122内を通る経路302で表されている輻射ビームは、図3B及び図3Cに示す実施形態では1個又は複数個の輻射センサ124により捕捉されるが図3Aに示す実施形態では捕捉されない。注記すべきことに、1個又は複数個の輻射センサ124はゼニスに対し任意角度で配置することができる。図3Dは、本件開示の1個又は複数個の実施形態に従い方向設定された水平配置センサ122及びその近くにある水平配置輻射センサ124を示す簡易模式図である。
ある実施形態に係るシステム100は、照明センサ122及びその近くにある輻射センサ124に可通信結合されたコントローラ126を有する。ある実施形態では、そのコントローラ126が1個又は複数個のプロセッサ125を有する。また、ある実施形態では、その1個又は複数個のプロセッサ125が、記憶媒体127又はメモリ内に保持されている一組のプログラム命令を実行するよう構成される。
コントローラ126に備わる1個又は複数個のプロセッサ125は、本件技術分野で既知な任意の処理要素を有するものとすることができる。その意味で、この1個又は複数個のプロセッサ125は、アルゴリズム及び/又は命令を実行するよう構成された任意のマイクロプロセッサ型デバイスを有するものとすることができる。ある実施形態によれば、1個又は複数個のプロセッサ125を、デスクトップコンピュータ、メインフレームコンピュータシステム、ワークステーション、イメージコンピュータ、並列プロセッサ或いは他の任意のコンピュータシステム(例.ネットワーク接続されたコンピュータ)で構成すること、また本システム100を本件開示中で記載の如く動作させるべく構成されたプログラムを実行するようそのコンピュータシステムを構成することができる。更にご認識頂くべきことに、語「プロセッサ」は、非一時的記憶媒体127からのプログラム命令を実行する処理要素を1個又は複数個有する任意のデバイスが包括されるよう、広く定義することができる。従って、上掲の記述は本発明への限定として解されるべきではなく、単なる例証として解されるべきである。
記憶媒体127は、連携先の1個又は複数個のプロセッサ125により実行可能なプログラム命令を格納するのに適し本件技術分野で既知な、任意の格納媒体を有するものとすることができる。一例としては、非一時的記憶媒体を有する記憶媒体127があろう。別例としては、例えばリードオンリメモリ、ランダムアクセスメモリ、磁気又は光記憶デバイス(例.ディスク)、磁気テープ、固体ドライブ等を有する記憶媒体127があろう。更に注記すべきことに、メモリ127を1個又は複数個のプロセッサ125と共に共通のコントローラハウジング内に収容することができる。また、ある実施形態によれば、コントローラ126の1個又は複数個のプロセッサ125の物理的所在に対しリモートなところにメモリ127を配置することができる。例えば、ネットワーク(例.インターネット、イントラネット等)を介しアクセス可能なリモートメモリ(例.サーバ)に、コントローラ126に備わる1個又は複数個のプロセッサ125がアクセスするようにしてもよい。
ある実施形態では、サンプル106の少なくとも一部分を照明ビーム102で以て照明するよう照明源101が構成される。また、ある実施形態では、照明センサ122及び1個又は複数個の輻射センサ124を1個又は複数個のコントローラ126に可通信結合することで、その1個又は複数個のコントローラ126が、照明センサ122からの照明信号及び1個又は複数個の輻射センサ124からの輻射信号を受け取りうるよう構成される。また、ある実施形態では、1個又は複数個のコントローラ126が、照明信号に基づき照明検出事象の集合を識別するよう構成される。更に、ある実施形態では、1個又は複数個の輻射信号に基づき輻射検出事象の集合を識別するよう1個又は複数個のコントローラが構成される。また、ある実施形態では、照明検出事象集合と輻射検出事象集合の比較を踏まえ、同時的な照明検出事象及び輻射検出事象で構成される一致事象の集合を生成するよう、1個又は複数個のコントローラ126が構成される。更に、ある実施形態では、照明検出事象集合から一致事象集合を排除することでサンプル上の識別済フィーチャの集合を生成するよう1個又は複数個のコントローラ126が構成される。注記すべきことに、サンプル上の識別済フィーチャ集合にはそのサンプル上の欠陥サイト等を含めることができる。また、ある実施形態では、本願記載の諸ステップのうち1個又は複数個の出力が格納されるようメモリ127が構成される。
照明検出事象の集合及び/又は輻射検出事象の集合の特定は、しきい値判別技術等をはじめ本件技術分野で既知な任意の方法を用い実行することができる。一例としては、ある所定値を上回る輻射の検出に応じ輻射検出事象が生起するしきい値判別技術に基づき輻射検出事象の集合を形成することができる。注記すべきことに、輻射センサのしきい値を調整することで、いずれもサンプル種別、サンプル品質、局所輻射環境等に依存しうるところの、偽カウント拒絶事象に対する偽一致事象の比率を、最適化することができる。
ご認識頂くべきことに、本件開示中で記述されている諸ステップは、単一のコントローラ126でも或いは複数個のコントローラ126でも実行可能である。更に注記すべきことに、1個又は複数個のコントローラ126を共通のハウジング内に収容しても複数個のハウジング内に収容してもよい。この要領で、任意のコントローラ又はその任意な組合せを、完成済検査システム100への組み込みに適したモジュールとして個別パッケージングすることができる。一例としては、照明センサから受け取った照明信号に基づき照明検出事象の集合を識別するステップを実行するよう、第1コントローラを構成することができる。更に、1個又は複数個の輻射センサから受け取った1個又は複数個の輻射信号に基づき輻射検出事象の集合を識別するステップと、輻射検出事象集合を照明検出事象集合と比較することで一致事象の集合を生成するステップと、照明検出事象集合から一致事象集合を排除することでサンプル上の識別済フィーチャの集合を生成するステップとを実行するよう、もう1個又は複数個のコントローラを構成することができる。
別例としては、1個又は複数個の輻射センサから受け取った1個又は複数個の輻射信号に基づき輻射検出事象の集合を識別するステップを実行するよう、第1コントローラを構成することができる。照明検出事象の集合を識別するステップと、輻射検出事象集合を照明検出事象集合と比較することで一致事象の集合を生成するステップと、照明検出事象集合から一致事象集合を排除することでサンプル上の識別済フィーチャの集合を生成するステップとを実行するよう、もう1個又は複数個のコントローラを構成することができる。ある実施形態では、第1コントローラが、1個又は複数個の輻射センサから受け取った1個又は複数個の輻射信号に基づき輻射検出事象集合を識別するステップを実行するよう構成される。1個又は複数個のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を有し照明センサ122に装着される第2コントローラが、照明検出事象集合を識別するステップと、輻射検出事象集合を照明検出事象集合と比較することで一致事象集合を生成するステップと、照明検出事象集合から一致事象集合を排除することでサンプル上の識別済フィーチャの集合を生成するステップと、を実行するよう構成される。注記すべきことに、1個又は複数個のFPGAを有する1個又は複数個のコントローラを照明センサ122に係る電子回路内に組み込み、照明信号の前処理を実行するようにしてもよい。このように、輻射検出事象集合を前処理アルゴリズムへの入力とすることで、その前処理アルゴリズムの出力を、輻射誘起性偽カウントについての補正込みのサンプル上識別済フィーチャ集合とすることができる。
注記すべきことに、照明センサ122により計測された照明検出事象及び/又は1個又は複数個の輻射センサ124により計測された輻射検出事象にタイムスタンプを関連付け、背景輻射により生成された照明センサ122内偽カウントの識別に役立てることができる。ある実施形態では、サンプル106の少なくとも一部分が照明ビーム102で以て照明されるよう照明源101が構成される。また、ある実施形態では、照明センサ122及び1個又は複数個の輻射センサ124を有する検出器アセンブリ120に、コントローラ126が可通信結合される。更に、ある実施形態では、コントローラ126が、1個又は複数個の輻射センサ124からの1個又は複数個の輻射信号に基づき輻射検出事象の集合を識別するよう、更にはその輻射検出事象集合に係る輻射タイムスタンプの集合を生成するよう構成される。また、ある実施形態では、コントローラ126が、照明センサ122から受け取った照明信号に基づき照明検出事象の集合を識別するよう、更にはこの結像事象集合に係る照明検出事象タイムスタンプの集合を生成するよう構成される。更に、ある実施形態では、コントローラ126が、照明検出事象タイムスタンプ集合を上記輻射検出事象タイムスタンプ集合と比較することでそれら検出及び輻射タイムスタンプに基づく一致事象の集合を生成するよう構成される。また、ある実施形態では、コントローラ126が、その一致タイムスタンプ集合を排除することでサンプル106上の識別済フィーチャの集合、特にサンプル106上の識別済欠陥サイトに係るものを生成するよう構成される。
注記すべきことに、照明センサ122による照明検出事象は、その近くにある輻射センサ124により同時的な輻射検出事象が検出されている場合、偽カウントと見なすことができる。しかしながら、照明センサ122による照明検出事象と輻射センサによる輻射検出事象との間には、それら2センサ間の輻射ビーム伝搬時間にまつわる非ゼロの時間差があろう。加えて、例えばコントローラ126のクロック速度、照明センサ122の読み出し速度、輻射センサ124の読み出し速度等をはじめとする諸要因により、検出事象間の厳密な時間差を検出する能力が更に制限されうる。照明センサ122による照明検出事象と輻射センサ124による輻射検出事象とを同時であると見なせるのは、例えば、それら2事象間の時間差を本システム100により識別できない場合等である。注記すべきことに、この同時検出条件は限定を意図するものではない。例えば、同時事象の検出に係る時間分解能を調整することで本システム100の感度を調整することができる。一例としては、同時事象の検出に係る時間分解能が数十μ秒あれば、許容可能な偽カウント緩和率を実現するのに十分であろう。
注記すべきことに、輻射誘起性偽カウントの緩和がシステム100によって実時間実行される必要はない。図4に、本件開示の実施形態のうち、タイミングベースでの輻射誘起性偽カウント緩和が検査システム内で後処理として適用されるものを示す。ある実施形態では、サンプル106を検査するよう構成されているサンプル検査コントローラ402へと、サンプル106からの照明を検出して照明信号を送るよう照明センサ122が構成される。サンプル検査コントローラ402は、例えば撮像、欠陥検出等をはじめ本件技術分野で既知な任意種類のサンプル検査を実行するよう、構成することができる。また、ある実施形態では、照明センサ122及び1個又は複数個の輻射センサ124にタイミング分析コントローラ404が可通信結合される。更に、ある実施形態では、そのタイミング分析コントローラ404が、1個又は複数個の輻射センサ124から1個又は複数個の輻射信号を受け取るよう構成される。また、ある実施形態では、そのタイミング分析コントローラ404が更に、サンプル106に関係のない輻射の検出に係る輻射検出事象を識別し、その輻射検出事象に係るタイミング情報を後処理回路406に送るよう構成される。また、ある実施形態では、そのタイミング分析コントローラが更に、照明センサ122から同期信号を受け取り照明センサからの入力に係る輻射検出事象を補正するよう構成される。その同期信号には照明捕捉の開始及び終了時刻等を含めることができる。ある実施形態では、後処理コントローラ406が、輻射検出事象に係るタイミング情報をサンプル検査コントローラ402の出力に関連付けることで、照明センサ122により検出された輻射誘起性事象に係る偽カウントを除去する。また、ある実施形態では、タイミングコントローラ404により輻射検出事象のリストがビニング用に後処理回路406に供給される。注記すべきことに、コントローラ402、404及び406により実行される諸ステップを、それらに代え単一のコントローラ126により或いはコントローラの任意の組合せにより実行してもよい。更に注記すべきことに、任意のコントローラ又はその任意な組合せを共通のハウジング内に収容してもよいし、或いは複数個のハウジング内に収容してもよい。この形態によれば、タイミングベースの輻射誘起性偽カウント緩和サブシステムをモジュール化及びパッケージングし、既存の検査システムプラットフォームに組み込むことができる。従って、上掲の記述は限定ではなく例証として解されるべきである。
注記すべきことに、サンプル検査コントローラ402、タイミング分析コントローラ404及び後処理コントローラ406に係る個別的コントローラ群を利用することで、タイミングベースの輻射誘起性偽カウント緩和システムのモジュール化が可能になるので、既存のウェハ検査システムに係るハードウェア及び/又はソフトウェアにその緩和システムを統合するのが容易である。このように、輻射誘起性偽カウント緩和システムを付加することにより、本件技術分野で既知な任意の検査システムを改善することができる。更に注記すべきことに、本願中で上述の通り、1個又は複数個の輻射シールド118を組み込むことや、照明センサ122を鉛直にすることや、照明センサ122の画素ボリュームを減らすことにより、検査システムにおける輻射誘起性偽カウントの更なる低減を達成することができる。
注記すべきことに、輻射誘起性偽カウント緩和システムを有していても検出器アセンブリ(例.120)で偽カウントが発生することがある。ある実施形態によれば、コントローラ126に2個以上の検出器アセンブリ120を可通信結合し、その検出器アセンブリ120を用いることで、検査システムにおける輻射誘起性偽カウントを更に低減することができる。ある実施形態では、各検出器アセンブリが照明センサ122を有する。また、ある実施形態では、各検出器アセンブリが、照明センサ122に近接した1個又は複数個の輻射センサ124を有する。検出器アセンブリのうち1個に係る偽カウントが別の検出器アセンブリでも生起することはほとんどあり得ない。複数個の検出器アセンブリを利用することによって、システム100内偽カウントの総数を更に低減することができる。ある実施形態では、複数通りの立体角で散乱及び/又は反射されてくる照明を検出しうる向きに複数個の検出器アセンブリが向けられる。注記すべきことに、1個又は複数個の検出器アセンブリ120により検出される複数通りの立体角での期待照明パターンに基づき多数の偽一致事象を除去しつつ既知種別の欠陥を捉えることが可能な指標又はフィルタを、開発・展開することが可能である。
図5は、本件開示のある実施形態に従い検査システム内の検出器上での輻射誘起性偽カウントを低減する方法を示すフロー図である。ある実施形態に係る方法は、照明ビームで以てサンプルの少なくとも一部分を照明するステップ502を有する。また、ある実施形態に係る方法は、照明センサから受け取った照明信号に基づき結像事象の集合を識別するステップ504を有する。更に、ある実施形態に係る方法は、結像事象集合に係る結像事象タイムスタンプの集合を生成するステップ506を有する。また、ある実施形態に係る方法は、1個又は複数個の輻射センサから受け取った1個又は複数個の輻射信号に基づき輻射検出事象の集合を識別するステップ508を有する。更に、ある実施形態に係る方法は、輻射事象集合に係る輻射検出事象タイムスタンプの集合を生成するステップ510を有する。また、ある実施形態に係る方法は、結像検出事象タイムスタンプ集合を輻射検出事象タイムスタンプ集合と比較することで一致事象の集合を生成するステップ512を有する。この形態における一致事象集合は、タイムスタンプがマッチングしている照明検出事象及び輻射検出事象で構成されるものである。更に、ある実施形態に係る方法は、結像事象集合から一致事象集合を排除することでサンプル上の識別済欠陥サイトの集合を生成するステップ514を有する。
注記すべきことに、上述され且つ図1〜図5に示されているシステム100の構成要素群は専ら例証のため提示されているので、限定事項として解されるべきではない。推認できる通り、本発明の技術範囲内で様々な等価的又は付加的構成を利用することができる。一例としては、ビームブロック、輻射シールド118等をはじめとする付加的要素を本システム100に組み込むことで、フォールスポジティブを発生させかねない不要信号が照明センサ122や1個又は複数個の輻射センサ124に到達することを、妨げることができる。例えば、十分な熱的及び/又は電気的特性を有する1個又は複数個の輻射シールド118をセンサパッケージ(例.セラミクス製センサパッケージ)に直に接合して空間的条件及び/又はコストを軽減することができる。
本願記載のいずれの方法も、それら方法実施形態の1個又は複数個のステップでの結果が格納媒体に格納される方法にすることができる。それら結果は、本願記載の任意の結果を含むものとすること及び本件技術分野で既知な任意の要領で格納することができる。その格納媒体には、本願記載の任意の格納媒体や、本件技術分野で既知で好適な他の任意の格納媒体を含めることができる。結果を格納し終えた後に、格納媒体内にあるそれら結果にアクセスし、それらを本願記載の任意の方法又はシステム実施形態で用いること、ユーザ向け表示に備えフォーマットすること、他のソフトウェアモジュール、方法又はシステムで用いること等々ができる。更に、それら結果の格納は「永久的」でも「半永久的」でも一時的でも或いはある程度の期間に亘るそれでもよい。例えば、格納媒体をランダムアクセスメモリ(RAM)とし、それら結果がその格納媒体内で必ずしも無限には保持されないようにしてもよい。
信ずるところによれば、本件開示及びそれに付随する長所の多くは上掲の記述により理解されるであろうし、被開示主題から離隔することなく又はその必須な長所を全て犠牲にすることなく諸部材の形態、構成及び配置に様々な変形を施せることが、明らかであろう。記述されている形態は単なる例示であり、後掲の特許請求の範囲ではそうした変形を包括及び包含することが意図されている。更に、本件開示が別記請求項により定義されることをご理解頂けよう。