JP4184635B2 - 陽電子消滅γ線測定方法および装置 - Google Patents

陽電子消滅γ線測定方法および装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、陽電子消滅γ線のエネルギー分布や相対角分布や寿命分布から陽電子の対消滅相手の電子またはそれを含む材料の性質を調べるための、陽電子消滅γ線測定方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、放射性同位元素を陽電子源とする簡便な測定方式としては、以下に述べる第1の方式と、第2の方式がある。第1の方式は、薄膜状の陽電子源の片面を性質が安定であるアルミニウム材などのパッチで覆う方法であり、第2の方式は内部消滅が少ない薄膜状の陽電子源を測定対象物で挟む方法である。
【0003】
第1の方式は、パッチでの陽電子消滅成分がバックグランドとなり、S/Nが悪くパッチに依存した相対評価となる。また、パッチでの消滅成分と測定対象物での消滅成分の比率を一定に保つ必要があり、やはり測定対象物およびパッチ以外での陽電子消滅を避けるため測定対象物には充分な大きさが必要となる。
【0004】
第2の方式は、測定対象物以外での陽電子消滅を避けるため測定対象物に充分な大きさが必要であり、測定対象物で挟むため陽電子源に支持構造を設けることができず、薄膜状の陽電子源を直接取り扱う必要がある。
【0005】
以下、図3及び図4並びに図5を用いて、以上述べた従来の第1及び第2の方式について説明する。
【0006】
図3は、第1の方式(陽電子源の片面をパッチで覆う方式)を説明するための概略構成図であり、陽電子源1、アルミニウムパッチ2、陽電子源支持構造3、γ線検出器4、アンプ5、ADコンバータ6、マルチチャンネルメモリ7、およびデータ処理計算機8から構成され、測定時には陽電子源1に測定対象物9が当接するように設置される。
【0007】
このように構成された陽電子消滅γ線測定装置においては、陽電子源1で発生した陽電子の一部は陽電子源1の内部で消滅し、γ線検出器4の側へ放射(放出)された陽電子のすべてはアルミニウムパッチ2で消滅する。また、測定対象物9の側へ放射された陽電子の一部または全部が測定対象物9で消滅し、その他は空気中または他の構造物で消滅する。消滅した陽電子は、いずれも陽電子消滅γ線となり、発生場所により検出効率は異なるが、それらは弁別されずにγ線検出器4によって検出される。
【0008】
従って、陽電子源1の内部およびアルミニウムパッチ2からの陽電子消滅γ線が、検出された陽電子消滅γ線の半分以上を占め、測定対象物9からの陽電子消滅γ線は半分に満たない。
【0009】
しかし、一回の陽電子発生に対する陽電子源1の内部およびアルミニウムパッチ2での陽電子消滅割合は一定であり、そこで発生した陽電子消滅γ線に対するγ線検出器4の検出効率も一定ならば、γ線検出器4にこれらが検出される割合も一定となる。また、それらの大部分を占めるアルミニウムパッチ2からの陽電子消滅γ線のエネルギー分布は、アルミニウムの格子欠陥濃度が安定であるため、ほぼ一定となる。
【0010】
従って、測定対象物9が充分大きくかつ陽電子源1に密着するなどしていて、測定対象物9側へ放射された陽電子が測定対象物9で消滅する割合が100%であって、そこで発生した陽電子消滅γ線に対するγ線検出器4の検出効率も一定である場合には、検出される全陽電子消滅γ線に占める測定対象物9以外からの陽電子消滅γ線の比率とそのエネルギー分布はほぼ一定となり、それを含んで検出された全陽電子消滅γ線のエネルギー分布の変動は、すべて測定対象物9の性質変化に起因するものとして評価することが可能となる。
【0011】
γ線検出器4は、検出したγ線のエネルギーに比例した波高の電気パルス信号を出力し、アンプ5はこれを増幅し、ADコンバータ6はその波高をデジタル化し、マルチチャンネルメモリ7はデジタル化された波高値ごとに電気パルス信号の頻度を計数し記憶する。
【0012】
データ処理計算機8は、図4に示すように、マルチチャンネルメモリ7で得られた陽電子消滅γ線測定データ31を、ピーク中心部領域32とピーク周辺部領域33に分け、ピーク中心部領域32およびピーク周辺部領域33に含まれる計数と、ピーク中心部領域32に含まれる計数の比を求め、測定対象物9の評価指標とする。これは、測定対象物9中の格子欠陥が増えると、陽電子消滅γ線に含まれるエネルギー分布幅の狭い成分の比率が増え、測定装置のエネルギー分解能が一定ならばピーク中心部領域32の計数割合が増加することを利用したものである。
【0013】
しかし、この第1の方式においては、測定対象物9以外からの陽電子消滅γ線の比率が半分以上を占めるため、それらの計数の統計的偶然誤差がS/N比を悪くする大きな要因となる。また、測定装置や陽電子源や測定対象物形状が異なるなどで、陽電子源1の内部およびアルミニウムパッチ2からの陽電子消滅γ線と、測定対象物9からの陽電子消滅γ線の検出割合が異なったり、測定対象物9以外からの陽電子消滅γ線のエネルギー分布が異なったりした測定データ間においては、評価結果の相互比較が不可能となる。
【0014】
図5は、第2の方式(陽電子源を測定対象物で挟む方式)を説明するための概略構成図であり、陽電子源1、γ線検出器4aおよび4b、アンプ5aおよび5b、コインシデンスゲート10、ADコンバータ11aおよび11b、2パラメータマルチチャンネルメモリ12、およびデータ処理計算機8から構成され、測定時には測定対象物9aおよび9bが設置される。
【0015】
このように構成された陽電子消滅γ線測定装置においては、陽電子源1で発生した陽電子の一部は陽電子源1の内部で消滅し、外部へ放射された陽電子の一部または全部が測定対象物9aあるいは9bで消滅し、その他は空気中または他の構造物で消滅する。
【0016】
消滅した陽電子は、いずれも陽電子消滅γ線となり、発生場所により検出効率は異なるが、それらは弁別されずにγ線検出器4aおよび4bによって検出される。陽電子源1が極めて薄く、測定対象物9aおよび9bが十分大きい場合、陽電子源1の内部で消滅する陽電子はわずかであり、陽電子源1から外部へ放射される陽電子のすべてが測定対象物9aあるいは9bで消滅するため、検出された全陽電子消滅γ線のエネルギー分布の変動は、ほぼすべてが測定対象物9aおよび9bの性質変化に起因するものとして評価することが可能となる。
【0017】
γ線検出器4aおよび4bは検出したγ線のエネルギーに比例した波高の電気パルス信号を出力し、アンプ5aおよび5bはそれを増幅するとともに、タイミング信号を発生する。
【0018】
コインシデンスゲート10は、アンプ4aおよび4bから出力されたタイミング信号が同時であると判断された場合のみ、ADコンバータ11aおよび11bがアンプ5aおよび5bで増幅されたパルス信号の波高のAD変換を許可する。2パラメータマルチチャンネルメモリ12は、デジタル化された2つの波高値の組み合わせごとに電気パルス信号の頻度を計数し記憶する。
【0019】
データ処理計算機8は、2パラメータマルチチャンネルメモリ12により計数された2次元のスペクトルデータから、目的にあった処理を行い、測定対象物9aおよび9bの評価を行う。陽電子消滅γ線は、ほとんどの場合ほぼ180°方向に2本同時に発生するため、それらを同時に検出した場合だけを有効なデータとすることで高いS/N比が得られる。また、それぞれのエネルギーを測定することにより2次元の情報を得ることができ、より詳細な評価が可能となる。
【0020】
しかし、この方法では陽電子源1が極めて薄いため破損しやすく、周囲への放射能汚染の危険があり、さらに陽電子源1を測定対象物9aおよび9bで支えるため、測定対象物9aおよび9bを設置するたびに破損しやすい陽電子源1を直に取扱わなければならない。
【0021】
また、測定対象物9aおよび9bには十分な大きさが必要であり、放射性に試料の場合などS/N比の悪化や放射線被爆なども問題となる。測定対象物9aおよび9bの大きさが不十分である場合には、漏洩した陽電子がγ線検出器4aまたは4bの方向へも飛んで行き、それらによる消滅γ線はγ線検出器4aまたは4bにより高効率で検出されることになる。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
上述の第2の方式(陽電子源を測定対象物で挟む方式)においては、測定対象物9a,9bに充分な大きさが必要であるため、放射性の測定対象物9a,9bでは放射線量が高くなり、測定の妨害や作業の支障になったり、又薄膜状で破損しやすい陽電子源1を直接取り扱うデリケートな作業となるため産業への適用に問題があり、これを解決することが課題であった。
【0023】
また、上述の第1の方式(陽電子源1の片側をパッチで覆う方式)においては、全陽電子消滅γ線計数に対して陽電子源内部および主に測定対象物9とは逆方向に設置されたアルミニウムパッチ2で発生する陽電子消滅γ線計数の成分が半分以上を占め、S/N比が悪いばかりでなく、測定対象物9の形状などによりその成分割合が変化したり、構造物の性質変化により陽電子消滅γ線のエネルギー分布が変化したりするため、測定対象物9の性質のみを反映した測定結果を得ることが困難となったりする。又、従来の第2の方式と同様に、測定対象物に充分な大きさが必要であるため、放射性の測定対象物では放射線量が高くなり、測定の妨害や作業の支障になったりするため産業への適用に問題があり、これを解決することが課題であった。
【0024】
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものであり、測定される陽電子消滅γ線に含まれる、測定対象物以外で発生した陽電子消滅γ線の成分を除去することができ、測定対象物形状や測定装置の構造等に依存しない測定結果が得られる陽電子消滅γ線測定方法およびその装置を提供することを目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、請求項1に対応する発明は、測定対象物に対して対向配置され、陽電子を放射する陽電子源と、該陽電子源と該測定対象物の間を除く該陽電子源と該測定対象物の周囲に該陽電子源および該測定対象物において消滅しなかった陽電子を検出する陽電子検出手段を設置し、該陽電子源から放射された陽電子が消滅する際に発生するγ線を検出するγ線検出手段を設置した状態で、前記陽電子検出手段で検出された検出信号と前記γ線検出手段から出力された検出信号の同時性の有無を判定し、同時性が無いと判定された場合の該γ線検出手段から出力された検出信号を、又同時性が有ると判定された場合の該γ線検出手段から出力された検出信号と弁別して計測することを特徴とする陽電子消滅γ線測定方法である。
【0026】
前記目的を達成するため、請求項2に対応する発明は、測定対象物に対して対向配置され、陽電子を放射する陽電子源と、前記陽電子源と前記測定対象物の間を除く該陽電子源と該測定対象物の周囲に設置され、該陽電子源および該測定対象物において消滅しなかった陽電子を検出する陽電子検出手段と、前記陽電子源から放射された陽電子が消滅する際に発生するγ線を検出するγ線検出手段と、前記陽電子検出手段から出力される検出信号と前記γ線検出手段から出力される検出信号の同時性の有無を判定する同時判定手段と、前記同時判定手段により同時性が無いと判定された場合の前記γ線検出手段から出力された検出信号を、同時性が有ると判定された場合の該γ線検出手段から出力された検出信号と弁別して計測する弁別手段とを具備することを特徴とする陽電子消滅γ線測定装置である。
【0027】
請求項1又は2に対応する発明によれば、陽電子源から放射された陽電子のうち、陽電子源あるいは測定対象物で消滅しなかった陽電子を検出し、これと同期していない陽電子消滅γ線のみを計測することで、陽電子源および測定対象物以外での消滅成分を除去することができ、陽電子源内部での消滅成分が無視しうる場合に測定対象物での消滅成分のみを得ることができる。
【0028】
前記目的を達成するため、請求項3に対応する発明は、前記γ線検出手段から出力されるγ線検出信号データから、前記測定対象物を設置しないとき得られるγ線検出信号を減ずることを特徴とする請求項1に記載の陽電子消滅γ線測定方法である。
【0029】
前記目的を達成するため、請求項4に対応する発明は、前記γ線検出手段から出力されるγ線検出信号データから、前記測定対象物を設置しないとき得られるγ線検出信号を減ずる減算手段とを更に具備することを特徴とする請求項2に記載の陽電子消滅γ線測定装置である。
【0030】
請求項3又は4に対応する発明によれば、測定対象物を設置しないで計測することにより、陽電子源内部での消滅成分のみが得られるため、測定対象物を設置した計測で得られる陽電子源および測定対象物での消滅成分から陽電子源内部での消滅成分を減算することで、測定対象物での消滅成分のみを得ることができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0032】
図1は、本発明に係る陽電子消滅γ線測定方法および装置の第1の実施形態(主としてγ線エネルギーを測定するもの)を説明するための概略構成図である。
【0033】
図1において、陽電子源1は、陽電子を放射する放射性同位元素が封入されたフィルム状のものであって、この周囲は図示しないリング状の陽電子源ホルダに保持されており、放射性同位元素としては68Geあるいは22Naなどを使用している。
【0034】
陽電子源1の両側には、測定対象物9aおよび9bを設置するスペースを介して陽電子検出手段を構成する陽電子検出器13aおよび13bが配置され、さらに陽電子検出器13aおよび13bの両外側にはコリメータ14aおよび14bをそれぞれ介してγ線検出器4aおよび4bが配置されている。この場合、陽電子検出器13aおよび13bは、コリメータ14aおよび14bの陽電子源1側の開口部を塞いでいる。
【0035】
陽電子検出器13aおよび13bとしては、薄型のSSB(Silicon Surface Barrier)半導体検出器などを用い、またγ線検出手段を構成するγ線検出器4aおよび4bとしては分解能の高純度Ge半導体検出器などを用いる。
【0036】
γ線検出器4aおよび4bはそれぞれアンプ5aおよび5bに接続され、アンプ5aおよび5bからはγ線検出の度にタイミングパルス信号とγ線のエネルギーに比例した波高のパルス信号が出力される。陽電子検出器13aおよび13bはアンプ5cに夫々並列に接続され、アンプ5cからは陽電子検出の度にタイミングパルス信号が出力される。
【0037】
同時判定手段を構成するコインシデンスゲート10は、アンプ5aおよび5bから同時にタイミングパルス信号が出力された場合にのみ、それらに同期したタイミングパルス信号を出力し、アンチコインシデンスゲート15は、コインシデンスゲート10およびアンプ5cから同時にタイミングパルス信号が出力されなかった場合にのみ、コインシデンスゲート10から出力されたタイミングパルス信号に同期したタイミングパルス信号を出力する。
【0038】
アンチコインシデンスゲート15とADコンバータ11aおよび11bは、弁別手段を構成し、アンチコインシデンスゲート15からタイミングパルス信号が出力された場合にのみ、アンプ5aおよび5bから出力されたγ線のエネルギーに比例した波高のパルス信号をAD変換する。2パラメータマルチチャンネルメモリ12は、ADコンバータ11aおよび11bにより得られた二つのAD変換結果の組み合わせごとに頻度を計数し記憶する。
【0039】
データ処理計算機8は、測定対象物9aおよび9bを設置した測定による2パラメータマルチチャンネルメモリ12の計数データから、測定対象物9aおよび9bを取り除いた測定による2パラメータマルチチャンネルメモリ12の計数データを減算して得られた計数データから、目的にあった処理を行い、測定対象物9aおよび9bの評価を行う。
【0040】
この実施の形態において、測定対象物9aおよび9bを設置した測定では陽電子源1で発生した陽電子の一部は陽電子源1の内部で消滅し、陽電子源1の外部に放射されたものの一部は測定対象物9aまたは9bで消滅し、それ以外は陽電子源ホルダやコリメータ14aまたは14bの陽電子源1側端面などのγ線検出器4a,4bから見えない位置で消滅するか、陽電子検出器13aまたは13bに入射してから消滅する。
【0041】
陽電子源1の内部または測定対象物9aまたは9bで陽電子が消滅して発生する2本の消滅γ線をγ線検出器4aおよび4bで同時に検出した場合は、アンプ5aおよび5bから同時にタイミングパルス信号が出力され、コインシデンスゲート10からタイミングパルス信号が出力される。
【0042】
一方消滅前の当該陽電子は陽電子検出器13aおよび13bで検出されないため、コインシデンスゲート10から出力されるタイミングパルス信号と同期したタイミングパルス信号はアンプ5cから出力されず、アンチコインシデンスゲート15からはタイミングパルス信号が出力され、アンプ5aおよび5bから出力されたγ線のエネルギーに比例した波高のパルス信号は、ADコンバータ11aおよび11bによりデジタルに変換され、2パラメータマルチチャンネルメモリ12に計数記憶される。
【0043】
一方、γ線検出器4a,4bから見えない位置で陽電子が消滅した場合は、消滅γ線をγ線検出器4aまたは4bで検出しないため、2パラメータマルチチャンネルメモリ12に計数されず、陽電子検出器13aまたは13bに陽電子が入射してから消した場合は、ほぼ100%に近い効率で検出され、アンプ5cからタイミングパルス信号が出力されるため、当該陽電子が消滅して発生する2本の消滅γ線をγ線検出器4aおよび4bで同時に検出し、アンプ5cから出力されるタイミングパルス信号と同期したタイミングパルス信号がコインシデンスゲート10から出力されても、アンチコインシデンスゲート15からはタイミングパルス信号が出力されず、アンプ5aおよび5bから出力されたγ線のエネルギーに比例した波高のパルス信号は、ADコンバータ11aおよび11bによりAD変換されず、2パラメータマルチチャンネルメモリ12に計数記憶されない。
【0044】
従って、2パラメータマルチチャンネルメモリ12に計数記憶されるのは、陽電子源1の内部または測定対象物9aまたは9bで陽電子が消滅して発生する消滅γ線だけとなる。測定対象物9aおよび9bを取り除いた測定では、測定対象物9aまたは9bでの陽電子消滅はなくなり、2パラメータマルチチャンネルメモリ12に計数されるのは陽電子源1の内部で陽電子が消滅して発生する消滅γ線だけとなる。
【0045】
測定対象物9aおよび9bを設置した測定による2パラメータマルチチャンネルメモリ12の計数データから、測定対象物9aおよび9bを取り除いた測定による2パラメータマルチチャンネルメモリ12の計数データをデータ処理計算機8により減算することにより、測定対象物9aまたは9bで陽電子が消滅して発生する消滅γ線だけの計数データを得ることができる。
【0046】
以上述べた第1の実施の形態によれば、陽電子源1から放射された陽電子のうち、陽電子源1あるいは測定対象物9a,9bで消滅しなかった陽電子を陽電子検出器13a,13bにより検出し、これと同期していない陽電子消滅γ線のみを計測することで、陽電子源1および測定対象物9a,9b以外での消滅成分を除去することができ、陽電子源1内部での消滅成分が無視しうる場合に測定対象物9a,9bでの消滅成分のみを得ることができるという効果がある。
【0047】
次に、本発明に係る陽電子消滅γ線測定方法および装置の第2の実施の形態(主として陽電子の寿命を測定するもの)を図2を用いて説明する。
【0048】
図2は、その概略構成を示す図であり、陽電子源1は、陽電子を放射する放射性同位元素が封入されたフィルム状のものであって、この周囲は図示しないリング状の陽電子源ホルダに保持されており、放射性同位元素としては22Naなどを使用している。陽電子源1の上側は、測定対象物9を設置するスペースであり、陽電子源1の下側には陽電子検出器13が密着して配置され、さらに下側の2方向にはγ線検出器4aおよび4bが配置されている。
【0049】
陽電子検出器13には薄型のSSB(Silicon Surface Barrier)半導体検出器などを用い、γ線検出器4aおよび4bには応答の早いシンチレーション検出器などを用いる。γ線検出器4aおよび4bはそれぞれアンプ5aおよび5bに接続されるともに、応答の速いタイミングパルス信号がTAC(タイム トゥーアンプリチュード コンバータ)16にスタートおよびストップ信号入力として接続されている。アンプ6aおよび6bからはγ線検出の度にタイミングパルス信号が出力される。
【0050】
陽電子検出器13はアンプ5cに接続され、アンプ5cからは陽電子検出の度にタイミングパルス信号が出力される。コインシデンスゲート10は、アンプ5aおよび5bから同時にタイミングパルス信号が出力された場合にのみ、それらに同期したタイミングパルス信号を出力し、アンチコインシデンスゲート15は、コインシデンスゲート10およびアンプ5cから同時にタイミングパルス信号が出力されなかった場合にのみ、コインシデンスゲート10から出力されたタイミングパルス信号に同期したタイミングパルス信号を出力する。
【0051】
TAC16は、γ線検出器4aおよび4bから出力される応答の速いタイミングパルス信号の時間差に比例した波高のパルス信号を出力し、ADコンバータ11は、アンチコインシデンスゲート15からタイミングパルス信号が出力された場合にのみ、TAC16から出力されるパルス信号をAD変換する。マルチチャンネルメモリ7は、ADコンバータ11により得られたAD変換結果ごとに頻度を計数し記憶する。データ処理計算機8は、測定対象物9を設置した測定によるマルチチャンネルメモリ7の計数データから、測定対象物9を取り除いた測定によるマルチチャンネルメモリ7の計数データを減算して得られた計数データから、目的にあった処理を行い、測定対象物9の評価を行う。
【0052】
この実施の形態において、測定対象物9を設置した測定では陽電子源1で発生した陽電子の一部は陽電子源1の内部で消滅し、陽電子源1の上側に放射されたものの一部は測定対象物9で消滅し、それ以外はγ線検出器4a,4bによる検出感度を無視しうるに十分な遠方にて消滅する。陽電子源1の下側に放射された陽電子は、陽電子検出器13に入射してから消滅する。
【0053】
陽電子と同時に発生するγ線、および陽電子源1の内部または測定対象物9で陽電子が消滅して発生する消滅γ線をγ線検出器4aおよび4bで同時に検出した場合は、γ線検出器4aおよび4bから陽電子の寿命に相当する微小な時間差を持ったタイミングパルス信号が出力され、TAC16により陽電子の寿命に比例した波高のパルス信号に変換される。
【0054】
また、アンプ5aおよび5bからは同時にタイミングパルス信号が出力され、コインシデンスゲート10からタイミングパルス信号が出力されるが、消滅前の当該陽電子は陽電子検出器13で検出されないため、コインシデンスゲート10から出力されるタイミングパルス信号と同期したタイミングパルス信号はアンプ5cから出力されず、アンチコインシデンスゲート15からはタイミングパルス信号が出力され、TAC16から出力された陽電子の寿命に比例した波高のパルス信号は、ADコンバータ11によりAD変換され、マルチチャンネルメモリ7において計数記憶される。
【0055】
一方、γ線検出器4aによる検出感度を無視しうるに十分な遠方で陽電子が消滅した場合は、消滅γ線をγ線検出器4aまたは4bで検出しないため、マルチチャンネルメモリ7に計数記憶されず、陽電子検出器13に陽電子が入射してから消滅した場合は、ほぼ100%に近い効率で検出され、アンプ5cからタイミングパルス信号が出力されるため、当該陽電子と同時に発生するγ線および当該陽電子が消滅して発生する消滅γ線をγ線検出器4aおよび4bで同時に検出し、アンプ6cから出力されるタイミングパルス信号と同期したタイミングパルス信号がコインシデンスゲート10から出力されても、アンチコインシデンスゲート15からはタイミングパルス信号が出力されず、TAC16から出力された陽電子の寿命に比例した波高のパルス信号は、ADコンバータ11によりデジタルに変換されず、マルチチャンネルメモリ7に計数記憶されない。
【0056】
従って、マルチチャンネルメモリ7に計数されるのは陽電子源1の内部、または測定対象物9で陽電子が消滅して発生する消滅γ線だけとなる。測定対象物9を取り除いた測定では、測定対象物9での陽電子消滅はなくなり、マルチチャンネルメモリ7に計数記憶されるのは陽電子源1の内部で陽電子が消滅して発生する消滅γ線だけとなる。
【0057】
測定対象物9を設置した測定によるマルチチャンネルメモリ7の計数データから、測定対象物9を取り除いた測定によるマルチチャンネルメモリ7の計数データを、データ処理計算機8により減算することにより、測定対象物9で陽電子が消滅して発生する消滅γ線だけの計数データを得ることができる。
【0058】
本発明は前述した実施形態に限定されず、陽電子検出手段、γ線検出手段、
同時判定手段、弁別手段等は、種々変形して実施できる。
【0059】
【発明の効果】
本発明によれば、測定される陽電子消滅γ線に含まれる、測定対象物以外で発生した陽電子消滅γ線の成分を除去することができ、測定対象物形状や測定装置の構造等に依存しない測定結果が得られる陽電子消滅γ線測定方法およびその装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の陽電子消滅γ線測定方法およびその装置に係る第1の実施の形態を説明するための概略構成図。
【図2】本発明の陽電子消滅γ線測定方法およびその装置に係る第2の実施の形態を説明するための概略構成図。
【図3】従来の陽電子消滅γ線測定装置の第1の例を説明するための概略構成図。
【図4】図3におけるγ線スペクトルデータ評価方法を説明するための図。
【図5】従来の陽電子消滅γ線測定装置の第2の例を説明するための概略構成図。
【符号の説明】
1…陽電子源
2…アルミニウムパッチ
3…陽電子源支持構造
4,4a,4b…γ線検出器
5,5a,5b,5c…アンプ
6…ADコンバータ
7…マルチチャンネルメモリ
8…データ処理計算機
9,9a,9b…測定対象物
10…コインシデンスゲート
11,11a,11b…ADコンバータ
12…2パラメータマルチチャンネルメモリ
13a,13b…陽電子検出器
14a,14b…コリメータ
15…アンチコインシデンスゲート
16…TAC(タイム トゥー アンプリチュード コンバータ)
31…陽電子消滅γ線測定データ
32…ピーク中心部領域
33…ピーク周辺部領域

Claims (4)

  1. 測定対象物に対して対向配置され、陽電子を放射する陽電子源と、該陽電子源と該測定対象物の間を除く該陽電子源と該測定対象物の周囲に該陽電子源および該測定対象物において消滅しなかった陽電子を検出する陽電子検出手段を設置し、該陽電子源から放射された陽電子が消滅する際に発生するγ線を検出するγ線検出手段を設置した状態で、
    前記陽電子検出手段で検出された検出信号と前記γ線検出手段から出力された検出信号の同時性の有無を判定し、同時性が無いと判定された場合の該γ線検出手段から出力された検出信号を、又同時性が有ると判定された場合の該γ線検出手段から出力された検出信号と弁別して計測することを特徴とする陽電子消滅γ線測定方法。
  2. 測定対象物に対して対向配置され、陽電子を放射する陽電子源と、
    前記陽電子源と前記測定対象物の間を除く該陽電子源と該測定対象物の周囲に設置され、該陽電子源および該測定対象物において消滅しなかった陽電子を検出する陽電子検出手段と、
    前記陽電子源から放射された陽電子が消滅する際に発生するγ線を検出するγ線検出手段と、
    前記陽電子検出手段から出力される検出信号と前記γ線検出手段から出力される検出信号の同時性の有無を判定する同時判定手段と、
    前記同時判定手段により同時性が無いと判定された場合の前記γ線検出手段から出力された検出信号を、同時性が有ると判定された場合の該γ線検出手段から出力された検出信号と弁別して計測する弁別手段と、
    を具備することを特徴とする陽電子消滅γ線測定装置。
  3. 前記γ線検出手段から出力されるγ線検出信号データから、前記測定対象物を設置しないとき得られるγ線検出信号を減ずることを特徴とする請求項1に記載の陽電子消滅γ線測定方法。
  4. 前記γ線検出手段から出力されるγ線検出信号データから、前記測定対象物を設置しないとき得られるγ線検出信号を減ずる減算手段と、
    を更に具備することを特徴とする請求項2に記載の陽電子消滅γ線測定装置。
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