JP2020169933A - 摩擦性能評価方法 - Google Patents

摩擦性能評価方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2020169933A
JP2020169933A JP2019072386A JP2019072386A JP2020169933A JP 2020169933 A JP2020169933 A JP 2020169933A JP 2019072386 A JP2019072386 A JP 2019072386A JP 2019072386 A JP2019072386 A JP 2019072386A JP 2020169933 A JP2020169933 A JP 2020169933A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
friction
road surface
rubber member
rubber
evaluation method
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2019072386A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7283189B2 (ja
Inventor
智史 川崎
Tomohito Kawasaki
智史 川崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Rubber Industries Ltd filed Critical Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority to JP2019072386A priority Critical patent/JP7283189B2/ja
Publication of JP2020169933A publication Critical patent/JP2020169933A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7283189B2 publication Critical patent/JP7283189B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Tires In General (AREA)

Abstract

【課題】ゴム部材の摩擦性能を精度よく評価するための方法の提供。【解決手段】この評価方法は、擬似路面を備えた摩擦試験装置と、ゴム部材とを準備する準備工程と、この摩擦試験装置を用いて、滑り速度2mm/秒以上で、ゴム部材の摩擦係数を測定する測定工程と、を有している。擬似路面がドライ路面であるときに得られる摩擦係数がμdとし、擬似路面がウェット路面であるときに得られる摩擦係数をμwとするとき、この評価方法では、差μd−μwを指標としてゴム部材の摩擦性能を評価する。好ましくは、この評価方法は、ゴム部材の凝着摩擦による摩擦性能を評価する。【選択図】図1

Description

本発明は、摩擦性能の評価方法に関する。詳細には、本発明は、ゴム部材の摩擦性能評価方法に関する。
タイヤが装着された車両が路面を走行するとき、タイヤの外表面が路面と接触する。タイヤの外表面を構成するゴム部材の摩擦性能は、タイヤのグリップ性能等に影響する。
ゴム部材の摩擦性能に関し、ヒステリシス摩擦及び凝着摩擦の寄与が知られている。ヒステリシス摩擦は、ゴム部材の周期的な変形及び復元に伴って生じるエネルギー損失として定義される。凝着摩擦とは、ゴム部材と路面との付着及び剪断により生じる摩擦を意味する。
これまで、車両が走行する路面(以下、実路面と称する)におけるゴム部材の摩擦性能には、ヒステリシス摩擦による寄与が特に大きいと考えられてきた。しかし、ヒステリシス摩擦のみに基づいた摩擦性能の評価結果は、必ずしも、実路面におけるタイヤのグリップ性能と相関するものではなかった。
また、ヒステリシス摩擦の増加により、タイヤのグリップ性能は向上するが、転がり抵抗(低燃費性)が低下することが知られている。総合的なタイヤ性能の向上を目的する場合、ヒステリシス摩擦の評価のみに基づいたゴムの配合設計には、限界があると考えられる。
従来、ゴム部材の摩擦性能を評価するための方法が、種々検討されている。特開2018−154748号公報(特許文献1)には、リニア型摩擦試験機を用いて、同一サンプルを連続的に(繰り返し)摩擦試験する評価方法が開示されている。特開2016−200563号公報(特許文献2)では、界面活性剤含有水を散水した路面上で摩擦試験をおこなって、粘着摩擦(凝着摩擦)を評価する方法が提案されている。
特開2018−154748号公報 特開2016−200563号公報
特許文献1が開示する方法によれば、ヒステリシス摩擦が寄与する摩擦性能を評価することはできるが、凝着摩擦を含む摩擦性能を評価することができない。特許文献2では、ウェット路面における摩擦係数が、試験速度3〜20km/hで測定されている。ウェット路面における凝着摩擦の寄与は小さい。大きな試験速度では、凝着摩擦の寄与はさらに小さくなる。特許文献2の方法で得られる凝着摩擦の測定精度には、改良の余地がある。凝着摩擦を含む摩擦性能を、精度よく簡便に評価する方法は、未だ提案されていない。
本発明の目的は、ゴム部材の摩擦性能を精度よく評価することができる評価方法の提供である。
本発明に係る摩擦性能評価方法は、
(1)疑似路面を備えた摩擦試験装置と、ゴム部材とを準備する準備工程
及び
(2)この摩擦試験装置を用いて、滑り速度2mm/秒以上で、このゴム部材の摩擦係数を測定する測定工程
を有している。この評価方法では、疑似路面がドライ路面であるときに得られる摩擦係数がμとされ、擬似路面がウェット路面であるときに得られる摩擦係数がμとされるとき、差μ−μを指標として、ゴム部材の摩擦性能が評価される。
好ましくは、この評価方法では、ゴム部材の凝着摩擦による摩擦性能が評価される。
好ましくは、この評価方法は、測定工程前に、ゴム部材の少なくとも一つの表面を摩擦処理する前処理工程を、さらに有している。
好ましくは、この疑似路面は、アスファルト路面である。
好ましくは、この測定工程における滑り速度は、2mm/秒以上100mm/秒以下である。
本発明に係る評価方法によれば、ゴム部材の摩擦性能を、精度よく簡便に評価することができる。この評価方法で得られる評価結果は、このゴム部材からなるタイヤを装着した実車走行試験結果と、高い精度で相関する。この評価方法は、タイヤ開発上有用である。
図1は、本発明の一実施形態に係る評価方法のフローチャートである。
以下、適宜図面を参照しつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明の詳細を説明するが、この説明に基づいて本発明が限定的に解釈されるものではない。
図1は、本発明の一実施形態に係る評価方法が示されたフローチャートである。この評価方法は、準備工程、前処理工程、測定工程及び評価工程を有している。
準備工程は、この評価方法に供するゴム部材と、疑似路面を備えた摩擦試験装置と、を準備する工程である。前処理工程は、準備したゴム部材の少なくとも一つの表面を摩擦処理する工程である。測定工程は、準備した摩擦試験装置を用いて、ゴム部材の摩擦係数を測定する工程である。評価工程は、測定工程で得た摩擦係数を指標として、ゴム部材の摩擦性能を評価する工程である。
本発明に係る評価方法では、測定工程において、2mm/秒以上の滑り速度で、ドライ路面における摩擦係数μ及びウェット路面における摩擦係数μを測定し、この摩擦係数μと摩擦係数μとの差μ−μを指標として、疑似路面におけるゴム部材の摩擦性能を評価する。
ドライ路面で得られる摩擦係数μには、凝着摩擦と、ヒステリシス摩擦とが、反映される。この試験条件において、凝着摩擦による寄与は、大きい。一方、ウェット路面で得られる摩擦係数μに対する凝着摩擦の寄与は、無視できる程度に小さい。この評価方法では、差μ−μを指標とすることにより、ゴム部材の擬似路面に対する凝着摩擦が十分に反映された評価結果が得られうる。この評価方法による評価結果は、このゴム部材からなるタイヤを装着した実車走行試験結果と、高い精度で相関する。
この実施形態に係る評価方法では、準備工程において、組成、形状及び大きさが同じゴム部材を、少なくとも二つ準備する。後述する測定工程において、一方のゴム部材を、ドライ路面における摩擦係数μの測定に供し、他方のゴム部材を、ウェット路面における摩擦係数μの測定に供する。
本発明に係る評価方法において、準備工程でゴム部材を準備する方法は特に限定されない。例えば、所定の組成に従って、基材ゴム及び各種添加剤をオープンロール、バンバリーミキサー等に投入して混練することにより未加硫ゴムとする。次いで、この未加硫ゴムを所定の形状の金型中で加熱及び加圧して、加硫ゴムからなるシートを作製し、このシートを切削加工等することによりゴム部材を準備してもよい。また、未加硫ゴムをトレッド等の形状に合わせて押出加工した後、他のタイヤ部材と併せて加硫機中で加熱及び加圧することによりタイヤを製造し、このタイヤ表面をなす加硫ゴムを所定形状に切り出すことにより、ゴム部材を準備してもよい。さらに、また、市販のタイヤのトレッドから採取した加硫ゴムを、ゴム部材として準備してもよい。
本発明の目的が達成される限り、ゴム部材をなす加硫ゴムの組成は、特に限定されない。例えば、基材ゴムとして、天然ゴム、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、ポリクロロプレン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体及びイソブチレン−イソプレン共重合体が挙げられる。添加剤としては、充填剤、レジン、オイル、ワックス、カルボン酸及び/又はその塩、酸化亜鉛、可塑剤、硫黄、加硫促進剤、老化防止剤等が例示される。好適には、タイヤ表面を構成する加硫ゴムの組成が用いられる。典型的には、トレッドゴム用の組成が適用される。
この評価方法において、ゴム部材の形状及び大きさにも特に制限はない。後述する摩擦試験機による測定が可能な形状及び大きさが、適宜選択される。好適には、所定の厚みを有する板状又はシート状のゴム部材が用いられる。取扱性及び測定精度の観点から、ゴム部材の厚みは、2mm以上が好ましく、3mm以上がより好ましい。ゴム部材の好ましい厚みは、20mm以下である。
好ましくは、ゴム部材は、摩擦係数を測定可能な測定面を、少なくとも一つ有している。ゴム部材が板状又はシート状の場合、その上面及び下面のいずれが測定面をされてもよい。測定精度の観点から、測定面の面積は100mm以上が好ましい。取扱性の観点から好ましい面積は6400mm以下である。
本発明の効果が得られる限り、測定面の平面視形状及び大きさも特に限定されない。例えば、平面視方形又は矩形の測定面を有するゴム部材が、好適に用いられ得る。測定面が平面視方形又は矩形に形成される場合、測定精度の観点から、その一辺の長さは、10mm以上が好ましく、12mm以上がより好ましい。取扱性の観点から、測定面の一辺の長さは、80mm以下が好ましい。
準備工程では、ゴム部材とともに、擬似路面を備えた摩擦試験装置を準備する。ドライ路面及びウェット路面における摩擦係数を、前述した滑り速度で測定することが可能な摩擦試験装置であれば、その種類等は特に限定されない。好ましくは、摩擦試験装置は、擬似路面の温度調節手段をさらに備えている。このような摩擦試験機の具体例としては、BULKER社製の摩擦試験機(商品名「UMT TriboLab」)が挙げられる。
擬似路面の材質は特に限定されず、各種アスファルト、コンクリート、砥石等から、適宜選択される。アスファルト路面が好適に用いられ得る。
前処理工程では、準備工程で準備したゴム部材の少なくとも一つの表面を摩擦処理する。この摩擦処理した表面を測定面として、後述する測定工程における摩擦試験に供することにより、得られる摩擦係数の測定精度が向上する。本発明の効果が得られる限り、前処理工程を実施せずに、測定工程に進んでもよい。
前処理工程において、ゴム部材を摩擦処理する方法は特に限定されない。例えば、既知の摩擦試験装置を用いてゴム部材の測定面を摩擦処理する方法が、好適に用いられ得る。ゴム部材を摩擦処理するための摩擦面(擬似路面)を有している限り、摩擦試験装置の種類は特に限定されない。このような摩擦試験装置として、HENTSCHEL社製のリニア型摩擦試験機(商品名「Portable friction tester」)が例示される。前処理工程で使用する摩擦試験装置の種類と、準備工程で準備した摩擦試験装置の種類とが、同じであってもよく、異なっていてもよい。
具体的には、摩擦試験装置の擬似路面に、ゴム部材の測定面を押しあてながら移動させることにより、この測定面を摩擦処理する。擬似路面の材質は、各種アスファルト、コンクリート、砥石等から適宜選択される。この擬似路面上で、ゴム部材を2回以上繰り返し移動させることにより、ゴム部材を摩擦処理してもよい。本発明の効果が阻害されない限り、ゴム部材の移動回数は、特に限定されない。
摩擦試験装置による摩擦処理条件は、ゴム部材の形状及び大きさ、ゴム部材をなす加硫ゴムの組成、擬似路面の材質等に応じて、適宜選択される。例えば、アスファルト路面にて摩擦処理をおこなう場合、処理効率の観点から、滑り速度は、1000mm/秒以上が好ましく、1200mm/秒以上がより好ましい。評価精度向上の観点から、滑り速度は5000mm/秒以下が好ましい。
処理効率の観点から、ゴム部材に対する接地圧は0.01MPa以上が好ましく、0.02MPa以上がより好ましい。変形抑制の観点から、好ましい接地圧は0.5MPa以下である。この接地圧は、測定面の面積とゴム部材にかける荷重によって調整される。
測定工程では、準備工程で準備した摩擦試験装置を用いて、ゴム部材の摩擦試験をおこなう。詳細には、この測定工程は、ドライ路面上で摩擦試験をおこなう第一ステップと、ウェット路面上で摩擦試験をおこなう第二ステップと、を含んでいる。第一ステップの摩擦試験により、ドライ路面における摩擦係数μが得られる。第二ステップの摩擦試験により、ウェット路面における摩擦係数μが得られる。
本発明に係る評価方法において、第一ステップ及び第二ステップの摩擦試験における滑り速度は、2mm/秒以上であり、好ましくは、2mm/秒以上100mm/秒以下である。この滑り速度は、ゴムの摩擦試験で一般的に採用される滑り速度と比べて、低速である。低速な滑り速度では、擬似路面とゴム部材との間で、凝着摩擦が大きく作用する。滑り速度を前述の範囲に設定することで、凝着摩擦を含む摩擦性能の評価精度が向上する。この観点から、滑り速度は90mm/秒以下がより好ましく、80mm/秒以下がさらに好ましい。
第一ステップ及び第二ステップにおける摩擦試験では、ゴム部材の測定面を擬似路面に押しあてながら、前述した滑り速度で、所定の距離(滑り距離)を移動させることにより、この擬似路面に対する動摩擦係数を計測する。詳細には、摩擦試験中に、擬似路面上を移動するゴム部材の位置(変位)と各位置における動摩擦係数とを計測し、所定の変位区間において計測された動摩擦係数を、摩擦係数μ又は摩擦係数μとして求める。
好ましくは、ゴム部材を繰り返し移動させ、繰り返し毎に、ゴム部材の変位と各変位における動摩擦係数とを計測して、所定の変位区間において計測された動摩擦係数の平均値を、摩擦係数μ又は摩擦係数μとして求める。動摩擦係数は、ゴム部材の移動(変位)に伴って変動する。ゴム部材の移動を繰り返することにより、動摩擦係数の変動は減少する。動摩擦係数の変動が減少した後の、所定区間における動摩擦係数を求めることにより、測定精度が向上する。この観点から、摩擦試験における好ましい繰り返し回数は、少なくとも2回である。動摩擦係数の変動が減少した後、さらにゴム部材の移動を繰り返して、繰り返し毎に所定区間における動摩擦係数を計測し、その平均値を摩擦係数μ又は摩擦係数μとして求めることが、より好ましい。
第一ステップ及び第二ステップの摩擦試験において、ゴム部材に対する接地圧は、実車両での走行時の接地圧となるように、ゴム部材の形状及び測定面の大きさ等に応じて調整される。測定精度の観点から、ゴム部材に対する接地圧は0.01MPa以上が好ましく、0.02MPa以上がより好ましい。変形抑制の観点から、好ましい接地圧は0.5MPa以下である。この接地圧は、測定面の面積とゴム部材にかける荷重によって調整される。
第一ステップ及び第二ステップの摩擦試験において、擬似路面の温度(以下、路面温度)は特に限定されず、所望する温度での摩擦性能が評価できるように適宜選択される。好ましい路面温度は、0℃以上であり、より好ましくは10℃以上である。ゴム部材の変形抑制の観点から、好ましい路面温度は100℃以下である。
第一ステップ及び第二ステップにおける摩擦試験の他の測定条件は、ゴム部材の形状及び大きさ、ゴム部材をなす加硫ゴムの組成、擬似路面の材質等に応じて、適宜選択される。第一ステップにおける測定条件と、第二ステップにおける測定条件が同じであることが好ましい。
評価工程では、第一ステップで得られるドライ路面での摩擦係数μと、第二ステップで得られるウェット路面での摩擦係数μとの差μ−μを指標として、ゴム部材の摩擦性能を評価する。
この差μ−μには、主として、凝着摩擦の寄与が反映される。凝着摩擦の程度は、例えば、ゴム部材をなす加硫ゴムの組成の変更にともなって変動する。加硫ゴムの組成の変更にともなう差μ−μの変動は、従来提案されてきた他の指標と比べて、大きい。換言すれば、この差μ−μを指標として得られる評価結果には、加硫ゴムの組成による影響が、明瞭に反映される。
この評価方法を用いることにより、凝着摩擦の寄与が大きいゴム部材の組成を選択することができる。この組成のゴム部材をタイヤ部材とすることにより、例えば、転がり抵抗(低燃費性)を維持するために、ヒステリシス摩擦を大きくできない場合においても、グリップ性能に優れたタイヤを得ることが可能になる。この評価方法は、タイヤ開発上、有用である。
以下、より具体的な実施例を示して、本発明の効果を明らかにするが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるものではない。
[実施例]
(ゴム部材の作製)
下表1にAとして示された組成に従って、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を、容量1.7Lのバンバリーミキサー(神戸製鋼社製)に投入し、150℃で3分間、混練した。得られた混練物をバンバリーミキサーから取り出して、表1に示された量の硫黄及び加硫促進剤をそれぞれ添加した後、オープンロールを用いて、80℃で3分間混練することにより、未加硫ゴムを得た。得られた未加硫ゴムを、金型に投入して170℃で12分間プレス加硫することにより、加硫ゴムからなるゴムシート(厚み10mm)を得た。得られたゴムシートを切削加工することにより、測定面(幅25mm×長さ60mm)を有する同形状のゴム部材A1及びA2を作製した。
ゴムの組成を下表1のB及びCとして示されるものに変更した以外は同様にして、ゴム部材A1及びA2と同形状の、ゴム部材B1及びB2並びにゴム部材C1及びC2を作製した。
Figure 2020169933
表1に記載された化合物の詳細は、以下の通りである。
SBR:旭化成社製のスチレンブタジエンゴム、商品名「タフデン4850」
BR:旭化成ケミカルズ社製のブタジエンゴム、商品名「N103」
カーボンブラック:新日化カーボン社製の商品名「ニテロン#55S」
シリカ:デグッサ社製の商品名「ウルトラジルVN3」
カップリング剤:デグッサ社製のシランカップリング剤、商品名「Si69」
オイル:ジャパンエナジー社製のアロマオイル、商品名「プロセスX−260」
レジン:アリゾナケミカル社製の商品名「Sylvatraxx4401」
酢酸マグネシウム:キシダ化学社製
酸化亜鉛:三井金属鉱業製の商品名「亜鉛華2種」
老化防止剤:大内新興化学工業社製のN−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン、商品名「ノクラック6C」
ワックス:大内新興化学社製の商品名「サンノックN」
硫黄:鶴見化学工業社製の粉末硫黄
加硫促進剤1:大内新興化学工業製のN−t−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、商品名「ノクセラーNS」
加硫促進剤2:大内新興化学工業製のN,N’−ジフェニルグアニジン、商品名「ノクセラーD」
(前処理)
作製した各ゴム部材の測定面を、HENTSCHEL社製のリニア型摩擦試験機(商品名「Portable friction tester」)を用いて、下記の条件で摩擦処理した。
路面:アスファルト路面
路面状態:ドライ、35℃
滑り速度:2000mm/秒
荷重(接地圧):200N(0.13MPa)
滑り距離:620mm
繰り返し回数:10回
(摩擦試験1:第一ステップ)
次に、BULKER社製の摩擦試験機(商品名「UMT TriboLab」)を用いて、下記条件にて、ゴム部材A1、B1及びC1の摩擦試験をおこなった。
路面:アスファルト路面
路面状態:ドライ、20℃
滑り速度:10mm/秒
荷重(接地圧):100N(0.07MPa)
滑り距離:20mm
繰り返し回数:10回
連続して10回測定したデータのうち、区間5mm−15mmにおける6−10回目の測定値の平均値を求め、ドライ路面上の摩擦係数μとした。
(摩擦試験2:第二ステップ)
続いて、測定条件を下記に変更した以外は摩擦試験1と同様にして、ゴム部材A2、B2及びC2の摩擦試験をおこなった。
路面:アスファルト路面
路面状態:ウェット、20℃
滑り速度:10mm/秒
荷重(接地圧):100N(0.07MPa)
滑り距離:20mm
繰り返し回数:10回
連続して10回測定したデータのうち、区間5mm−15mmにおける6−10回目の測定値の平均値を求め、ウェット路面上の摩擦係数μとした。
(摩擦性能評価)
ゴム部材A1、B1及びC1で得たドライ路面上の摩擦係数μと、ゴム部材A2、B2及びC2で得たウェット路面上の摩擦係数μとの差(μ−μ)を、それぞれ算出した。ゴム部材A1及びA2から算出した差(μ−μ)を100としたときの指数が、I(μ−μ)として、下表2に示されている。数値が大きいほど、凝着摩擦の寄与が大きいことを示している。
[比較例]
比較例では、摩擦処理後のゴム部材から得られる粘弾性特性値から、そのゴム部材の摩擦性能を予測する方法を実施した。
始めに、実施例と同様にして、表1にA−Cとして示された組成のゴムシート(厚み8mm)を得た。得られたゴムシートを切削加工して、測定面(60mm×60mm)を有するゴム部材A3、B3及びC3を作製した。次に、HENTSCHEL社製のリニア型摩擦試験機(商品名「Portable friction tester」)を用いて、各ゴム部材の測定面を、下記の条件で摩擦処理した。
路面:アスファルト路面
路面状態:ドライ、35℃
滑り速度:2000mm/秒
繰り返し回数:8回
摩擦処理後の各ゴム部材の測定面から、厚さ2mmの試験片を採取した後、粘弾性スペクトロメーター(Metravib社製の商品名「DMA+450」)を用いて、下記測定条件で貯蔵弾性率G’及び損失弾性率G”を測定した。得られた測定値を、温度−周波数換算則により換算して、貯蔵弾性率G’及び損失弾性率G”の周波数依存性を示すマスターカーブを作成した。
定応力:0.2MPa
周波数:1〜100Hz
変形モード:剪断
測定温度:−40℃〜80℃(10℃毎)
作成されたマスターカーブを用いて、Perssonの摩擦理論式を適用することにより、各ゴム部材の摩擦性能を予測した。ゴム部材A3の摩擦性能を100としたときの指数が、I(計算−μ)として下記表2に示されている。数値が大きいほど、グリップ性能に優れていることを示す。
[参考例1](実車試験)
実施例と同様にして、表1にAとして示された組成の未加硫ゴムを得た。得られた未加硫ゴムをトレッドの形状に押出加工し、他のタイヤ部材と組み合わせることにより、グリーンタイヤ(サイズ205/55R16)を得た。このグリーンタイヤを金型に設置して、170℃で12分間加硫することにより、試作タイヤAを製造した。
試作タイヤAを正規リムに組み込んだ後、内圧180kPaで空気を充填し、試験車両に装着した。この試験車両を、ドライ状態のアスファルト路面で、速度40km/hで走行させ、ブレーキをかけてから停止するまでの最大摩擦係数μmaxを測定した。同様に、表1にB及びCとして示された配合の加硫ゴムをトレッドとする試作タイヤB及びCを製造して、それぞれ、最大摩擦係数μmaxを測定した。試作タイヤAの測定値を100としたときの指数が、I(μmax)として下表2に示されている。数値が大きいほど、グリップ性能に優れていることを示す。
[参考例2]
実施例と同様にして、表1にA−Cとして示された組成のゴムシートを得た。得られた各ゴムシートから、それぞれ試験片を採取して、JIS K6394に記載の方法に準拠して、粘弾性試験をおこなった。測定装置には、粘弾性スペクトロメーター(上島製作所製)を使用し、下記条件にて損失正接(tanδ)を測定した。
温度:30℃
初期歪み:10%
動的歪み:2%
周波数:10Hz
組成Aの試験片について得られた損失正接(tanδ)を100としたときの指数が、I(tanδ)として、下表2に示されている。数値が小さいほど、転がり抵抗が小さく、低燃費性に優れることを示す。
Figure 2020169933
(まとめ)
(1)表2に示されるように、実施例の評価結果I(μ−μ)は、参考例1(実車試験)の評価結果I(μmax)と相関する。さらに、実施例では、組成の相違による指数の変化が、参考例1と比較して大きい。このことから、本発明に係る評価方法によって、実際にタイヤを製造することなく、実路面でのグリップ性能をより明瞭に評価することができることがわかる。一方、比較例の方法では、参考例1と相関する評価結果が得られなかった。
(2)組成Bでは、組成Aと比較して、I(μ−μ)及びI(tanδ)がともに増加した。I(μ−μ)の増加から、凝着摩擦の寄与により、得られるタイヤのグリップ性能が向上することが予想される。I(tanδ)の増加から、ヒステリシス摩擦も向上してグリップ性能がさらに向上するものの、低燃費性が阻害されることが予測される。
(3)組成Cでは、I(μ−μ)がさらに増加したが、I(tanδ)が低下した。I(μ−μ)の増加から、凝着摩擦の寄与によるグリップ性能の向上が予想される。I(tanδ)の低下から、ヒステリシス摩擦の寄与が小さく、得られるタイヤの低燃費性が阻害されないことが予想される。
このように、本発明に係る評価方法によれば、摩擦性能のうち、凝着摩擦による寄与を分離して評価することができる。この評価方法を用いることにより、グリップ性能及び低燃費性が両立するタイヤ部材を得るための、より精密なゴムの配合設計が可能になる。以上の評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
以上説明された方法は、種々のタイヤ部材の摩擦性能の評価にも適用されうる。

Claims (5)

  1. 擬似路面を備えた摩擦試験装置と、ゴム部材とを準備する準備工程と、
    上記摩擦試験装置を用いて、滑り速度2mm/秒以上で、上記ゴム部材の摩擦係数を測定する測定工程と、を有しており、
    上記擬似路面がドライ路面であるときに得られる摩擦係数がμとされ、上記擬似路面がウェット路面であるときに得られる摩擦係数がμとされるとき、差μ−μを指標として、上記ゴム部材の摩擦性能を評価する摩擦性能評価方法。
  2. 上記ゴム部材の凝着摩擦による摩擦性能を評価する請求項1に記載の評価方法。
  3. 上記測定工程前に、上記ゴム部材の少なくとも一つの表面を摩擦処理する前処理工程を、さらに有している請求項1又は2に記載の評価方法。
  4. 上記擬似路面がアスファルト路面である請求項1から3のいずれかに記載の評価方法。
  5. 上記測定工程における滑り速度が、2mm/秒以上100mm/秒以下である請求項1から4のいずれかに記載の評価方法。
JP2019072386A 2019-04-05 2019-04-05 摩擦性能評価方法 Active JP7283189B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019072386A JP7283189B2 (ja) 2019-04-05 2019-04-05 摩擦性能評価方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019072386A JP7283189B2 (ja) 2019-04-05 2019-04-05 摩擦性能評価方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020169933A true JP2020169933A (ja) 2020-10-15
JP7283189B2 JP7283189B2 (ja) 2023-05-30

Family

ID=72747049

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019072386A Active JP7283189B2 (ja) 2019-04-05 2019-04-05 摩擦性能評価方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7283189B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113552060A (zh) * 2021-07-12 2021-10-26 中国铁道科学研究院集团有限公司铁道建筑研究所 沥青混凝土面路基与底座综合摩擦系数的测试方法及系统

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001192916A (ja) * 1999-12-28 2001-07-17 Sumitomo Rubber Ind Ltd 滑り止め加工手袋
JP2008082709A (ja) * 2006-09-25 2008-04-10 Sumitomo Rubber Ind Ltd タイヤ性能測定装置およびレース用タイヤの性能測定方法
JP2010204095A (ja) * 2009-02-06 2010-09-16 Yokohama Rubber Co Ltd:The 耐摩耗性能評価装置及び耐摩耗性能評価方法、並びに耐摩耗性能評価用コンピュータプログラム
KR20130067818A (ko) * 2011-12-14 2013-06-25 한국타이어 주식회사 최대 정지 마찰계수 웨트 시험을 위한 수심 제어 장치
JP2015127590A (ja) * 2013-11-29 2015-07-09 三ツ星ベルト株式会社 摩擦伝動ベルト及びその製造方法
JP2016170138A (ja) * 2015-03-16 2016-09-23 住友ゴム工業株式会社 タイヤ用ゴムの粘着力試験方法
JP2016200563A (ja) * 2015-04-14 2016-12-01 住友ゴム工業株式会社 ゴム材料の粘着摩擦評価方法
JP2017167066A (ja) * 2016-03-18 2017-09-21 住友ゴム工業株式会社 摩擦性能予測方法

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001192916A (ja) * 1999-12-28 2001-07-17 Sumitomo Rubber Ind Ltd 滑り止め加工手袋
JP2008082709A (ja) * 2006-09-25 2008-04-10 Sumitomo Rubber Ind Ltd タイヤ性能測定装置およびレース用タイヤの性能測定方法
JP2010204095A (ja) * 2009-02-06 2010-09-16 Yokohama Rubber Co Ltd:The 耐摩耗性能評価装置及び耐摩耗性能評価方法、並びに耐摩耗性能評価用コンピュータプログラム
KR20130067818A (ko) * 2011-12-14 2013-06-25 한국타이어 주식회사 최대 정지 마찰계수 웨트 시험을 위한 수심 제어 장치
JP2015127590A (ja) * 2013-11-29 2015-07-09 三ツ星ベルト株式会社 摩擦伝動ベルト及びその製造方法
JP2016170138A (ja) * 2015-03-16 2016-09-23 住友ゴム工業株式会社 タイヤ用ゴムの粘着力試験方法
JP2016200563A (ja) * 2015-04-14 2016-12-01 住友ゴム工業株式会社 ゴム材料の粘着摩擦評価方法
JP2017167066A (ja) * 2016-03-18 2017-09-21 住友ゴム工業株式会社 摩擦性能予測方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113552060A (zh) * 2021-07-12 2021-10-26 中国铁道科学研究院集团有限公司铁道建筑研究所 沥青混凝土面路基与底座综合摩擦系数的测试方法及系统

Also Published As

Publication number Publication date
JP7283189B2 (ja) 2023-05-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP3231840B1 (en) Pneumatic tire
JP4803617B2 (ja) 変性天然ゴム、変性天然ゴムの製造方法、ゴム組成物およびタイヤ
JP6672921B2 (ja) 摩擦性能予測方法
GB1580797A (en) Pneumatic tyres
JP7283189B2 (ja) 摩擦性能評価方法
JP2007169500A (ja) スタッドレスタイヤ用ゴム組成物
US20140213706A1 (en) Unvulcanized rubber composition for calendaring and method for manufacturing topping rubber using the same
JP6401010B2 (ja) 破壊強度予測方法及びタイヤ用ゴム組成物
JP6852452B2 (ja) タイヤ表面のクラック評価方法
JP2016197067A (ja) ゴムの摩擦係数評価方法
JP2017187404A (ja) ゴムの歪み予測方法
JP5415813B2 (ja) ゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤ
JP2017129495A (ja) ゴム性能評価方法
JP6984378B2 (ja) タイヤ製造方法
JP2018077064A (ja) タイヤの摩擦特性予測方法
JP7331566B2 (ja) タイヤ部材の物性予測方法
CN112967768B (zh) 一种硫化橡胶组合物的湿地粘附摩擦系数的计算方法及在轮胎设计中应用
JP2022074632A (ja) ゴム組成物の評価方法
JP2021175767A (ja) タイヤ用ゴム組成物
CN112883320B (zh) 一种硫化橡胶组合物的湿地滞后摩擦系数的计算方法及在轮胎设计中应用
EP3321099B1 (en) Pneumatic tire
JP2019164047A (ja) ゴム性能評価方法
JP7062969B2 (ja) グリップ性能評価方法及びタイヤ用ゴム組成物
JP2013107464A (ja) 空気入りタイヤ
JPWO2008099763A1 (ja) タイヤトレッド用ゴム組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220215

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20221223

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230110

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230116

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230418

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230501

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7283189

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150