JP2020169739A - 加熱調理器 - Google Patents

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Abstract

【課題】ユーザが要望する家事時間内に、できるだけ多くの料理を手際良く作り上げることが可能な加熱調理器を提供する。【解決手段】本発明の加熱調理器は、被調理物を加熱する加熱手段と、複数の調理メニューの中から一乃至複数の調理メニューを選択するメニュー選択設定手段7Aと、選択された調理メニューに応じて、被調理物への加熱調理が行なわれるように、加熱手段を制御する制御手段51とを備えている。そして、メニュー選択設定手段7Aなどで選択できる複数の調理メニューの中には、被調理物として素材の加熱調理加工を合計で30分以内に行なうことが可能な、3種類以上の時短調理メニューとして、第1時短調理メニュー〜第4時短調理メニューを含んでいる。【選択図】図7

Description

本発明は、加熱手段で被調理物を加熱調理するオーブンレンジなどの加熱調理器に関する。
近年、この種の加熱調理器では、顧客であるユーザの作りたい調理メニューから、被調理物を早く簡単に加熱調理して作りたいという要望があった。また別な要望として、夫婦共働きなどの家事時間が制約されたライフスタイルに対応して、早くて美味しく、さらに健康に配慮した加熱調理の提供が求められていた。
加熱調理を短時間で効率よく行える加熱調理器の一例が、特許文献1に開示されている。ここでは、被調理物となる例えば茶わん蒸しを角皿に載置した状態で、これらを調理室に入れ、「茶わん蒸し」の調理メニューを選択してから調理の開始を指示すると、熱風ユニットによる予熱が完了した後に、蒸気供給装置からの水蒸気(スチーム)が加熱室に供給され、角皿よりも上方の加熱領域で蒸気が充満したら、マイクロ波加熱部から放射されるマイクロ波により、角皿の外底面に設けた高周波発熱体を発熱させて、被調理物の加熱を促進して、均一な加熱を行なう考えが示されている。
特開2014−88984号公報
上記特許文献1の加熱調理器では、調理室にスチームとマイクロ波を同時に供給することで、早くて美味しい加熱調理を実現している。しかし、そのためには高周波発熱体を有する特殊な角皿を必要とし、角皿を用いずにスチームだけで被調理物を加熱する場合には、被調理物の調理を短時間で仕上げることができない。
また、近年のライフスタイルでは、家事時間をできるだけ短縮軽減したいという要望があり、一つの料理を作り上げるのに加熱調理器が長時間占有されると、その分だけ別な料理を作る時間も遅くなって、すぐに食事を開始できない不満があった。
そこで、本発明は上記事情に鑑み、ユーザが要望する家事時間内に、できるだけ多くの料理を手際良く作り上げることが可能な加熱調理器を提供することを目的とする。
本発明の加熱調理器は、被調理物を加熱する加熱手段と、複数の調理メニューの中から一乃至複数の調理メニューを選択する選択手段と、前記選択された調理メニューに応じて前記被調理物への加熱調理が行なわれるように、前記加熱手段を制御する制御手段と、を備え、前記複数の調理メニューには、前記被調理物として素材の加熱調理加工を合計で30分以内に行なうことが可能な、3種類以上の時短調理メニューが含まれることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、複数の調理メニューの中で3種類以上の時短調理メニューを選択すると、その選択した時短調理メニューに基づいた被調理物への加熱調理が行われ、ユーザが要望する30分以内に被調理物に対する全ての加熱調理が完了する。したがって、ユーザが要望する家事時間内に、できるだけ多くの料理を手際良く作り上げることが可能になる。
請求項2の発明によれば、複数の調理メニューの中で、時短調理メニューの一つである早漬け調理メニューを選択すると、被調理物である漬け物の素材と漬け汁を、漬け汁が沸騰する前の第1温度に加熱した後に、当該加熱を停止して第2温度に低下させる手順が繰り返し行われる。このように、断続的なマイクロ波加熱により被調理物を高温と低温の状態に繰り返すことで、素材への漬け汁の浸透を促進させて、短時間に美味しい漬け物を作り上げることが可能になる。
請求項3の発明によれば、複数の調理メニューの中で、時短調理メニューの一つである茶わん蒸し時短調理メニューを選択すると、赤外線センサで検出される被調理物の検出温度が70℃となるように、被調理物への加熱量を適宜調整して、加熱開始から12分以内に加熱を停止して完了する手順が行われる。このように、被調理物にすや沸騰や固まらない状態が生じないように、赤外線センサの検出温度に基づいて被調理物への加熱量を適切に調整し、被調理物をマイクロ波加熱して、調理を12分以内に完了させることで、短時間に美味しい茶わん蒸しを作り上げることが可能になる。
請求項4の発明によれば、複数の調理メニューの中で、時短調理メニューの一つであるおつまみ時短調理メニューを選択すると、被調理物を第1出力で加熱した後に、第1出力とは異なる第2出力で引き続き加熱して、加熱開始から1分以内の加熱を停止して完了する手順が行われる。このように、被調理物を2段階の出力でマイクロ波加熱して、調理を1分以内に完了させることで、時間のない状況であっても、短時間に美味しいおつまみを作り上げることが可能になる。
本発明の一実施形態を示す加熱調理器の外観斜視図である。 同上、扉を開けた時の正面前方から見た図である。 同上、側面から見た縦断面図である。 同上、キャビネットを外した状態の本体の正面図である。 同上、本体の内部構造を示す概略図である。 同上、側面から見たマイクロ波発生装置とその周辺の要部縦断面図である。 同上、主な電気的構成を示すブロック図である。 茶わん蒸し調理について、素材の温度と仕上がり時間との関係を示すグラフである。 本実施形態の茶わん蒸し調理制御部において、時間の経過に伴うレンジ加熱の出力と、赤外線センサの検出温度との関係を示すグラフである。 茶わん蒸し調理について、従来の加熱調理器と本実施形態の加熱調理器との違いを比較した図である。 従来の加熱調理器と、本実施形態の加熱調理器と、従来のガスコンロと蒸し器とをそれぞれ利用したときに、茶わん蒸しを作り上げて食事を開始するまでの時間経過を示す図である。 本実施形態の早漬け調理制御部において、時間の経過に伴うレンジ加熱の出力と、赤外線センサの検出温度との関係を示すグラフである。 ピクルス調理について、従来の加熱調理器と本実施形態の加熱調理器との違いを比較した図である。 浅漬け調理について、従来の加熱調理器と本実施形態の加熱調理器との違いを比較した図である。 従来の加熱調理器と、本実施形態の加熱調理器と、従来の加熱調理器を使わずにカスコンロをそれぞれ利用したときに、ピクルスを作り上げて食事を開始するまでの時間経過を示す図である。 従来の加熱調理器と、本実施形態の加熱調理器と、従来の即席の素と、ぬか床をそれぞれ利用したときに、漬け物を作り上げて食事を開始するまでの時間経過を示す図である。 本実施形態のおつまみ調理制御部において、時間の経過に伴うレンジ加熱の出力を示すグラフである。 本実施形態の加熱調理器で、複数のおつまみを作り上げるまでの時間経過と、おつまみ調理制御部で加熱調理が可能なおつまみの品目とを示す図である。 一般的な夕食にかけている家事時間に対し、従来のオーブンレンジによる調理時間と、本実施形態のオーブンレンジによる調理時間との比較を示す図である。
以下、本発明における好ましい加熱調理器の実施形態について、添付図面を参照して説明する。なお、これらの全図面にわたり、共通する部分には共通する符号を付すものとする。
図1〜図19は、本発明の加熱調理器をオーブンレンジに適用した一実施形態を示している。先ず図1〜図6に基づいて、オーブンレンジの全体構成を説明すると、1は略矩形箱状に構成される本体で、この本体1は、製品となるオーブンレンジの外郭を覆う部材として、金属製のキャビネット2を備えている。また3は、本体1の前面に設けられる開閉自在な扉である。
扉3の上部には、縦開きの扉3を開閉するときに手をかける開閉操作用のハンドル4を備えており、扉3の下部には、表示や報知や操作のための操作パネル部5を備えている。操作パネル部5は、調理の設定内容や進行状況などを表示する表示手段6の他に、加熱調理に関する各種の操作入力を可能にする操作手段7が配設される。扉3の内部で操作パネル部5の後側には、図示しないが、表示手段6や操作手段7などの制御を行なうために、操作パネルPC(印刷回路)板が配置される。
本体1の下部には、本体1の前面より着脱が可能な給水カセット8と水受け9が各々配設される。給水カセット8は、後述の蒸気供給装置33から発生する蒸気の供給源として、液体となる水を入れる有底状の容器である。また水受け9は、本体1からの食品カスや水滴、蒸気などを受ける別な有底状の容器である。
本体1の左右側面と上面を形成するキャビネット2は、本体1ひいては加熱調理器の底面を形成するオーブン底板11を覆うように、本体1の前面を形成するオーブン前板12と、本体1の後面を形成するオーブン後板13との間に設けられる。また本体1には、加熱調理すべき被調理物Sを内部に収容する調理室14と、調理室14内部の温度を検出する温度検出素子たるサーミスタ15が設けられる。調理室14の前面はオーブン前板12に達していて、被調理物Sを出し入れするのに開口しており、この開口を扉3で開閉する構成となっている。また、庫内温度検出手段となるサーミスタ15は、調理室14内部において、扉3の近傍に配置される。
調理室14を形成する周壁は、天井壁14aと、底壁14bと、左側壁14cと、右側壁14dと、奥壁14eとからなる。調理室14の奥壁14eは、その中央に吸込み口16を備えており、吸込み口16の周囲には複数の吹出し口17を備えている。また、調理室14の上壁面となるドーム状の天井壁14aに対向して、本体1の上部には、調理室14の上方から被調理物Sを輻射加熱する加熱手段としてのグリル用の上ヒータ18が設けられ、本体1の底部には、調理室14内に電波であるマイクロ波を供給するために、マグネトロンなどを含むマイクロ波発生装置19が設けられる。これにより、上ヒータ18への通電に伴う熱放射によって、調理室14内に収容した被調理物Sを上方向からグリル加熱し、またマイクロ波発生装置19への通電動作により、調理室14内に収容した被調理物Sにマイクロ波を放射して、被調理物Sをレンジ加熱すなわちマイクロ波加熱する構成となっている。
調理室14の左側壁14cと右側壁14dには、調理室14の内部に金属製の角皿21を吊設状態で収納保持するために、左右一対の棚支え22を上下二段に備えている。ここで使用する角皿21は、上面を開口した有底凹状で、その他は無孔に形成される収容部21Aと、収容部21Aの上端より外側水平方向に延設するフランジ部21Bとにより構成される。またフランジ部21Bには、角皿21を通して熱風の流通を可能にする通気孔21Cが開口形成される。図2では、調理室14の内部で下段の棚支え22に角皿21のフランジ部21Bを載せて、収容部21Aに被調理物Sを載せた状態を示しているが、調理に応じて角皿21を上段の棚支え22にだけ載せたり、2枚の角皿21を上段と下段の棚支え22に各々載せたりしてもよく、角皿21に代えて別な焼き網(図示せず)などの付属品を収納保持することもできる。また、上述のレンジ加熱では、調理室14の内部に角皿21や焼き網などを入れずに、調理室14の内部で被調理物Sをレンジ加熱の可能な容器(図示せず)に入れて加熱調理することができる。
24は、本体1の内部において、調理室14の室外後方から下方にかけて具備されるオーブン加熱用の熱風ユニットである。この熱風ユニット24は、被調理物Sの加熱手段として、奥壁14eに取付けられる凸状のケーシング26と、空気を加熱する熱風ヒータ27と、調理室14内に加熱した空気を送り込んで循環させる熱風ファン28と、熱風ファン28を所定方向に回転させる電動の熱風モータ29と、熱風モータ29からの駆動力を熱風ファン28に伝達する伝達機構30と、により概ね構成される。奥壁14eとケーシング26との間の内部空間として、調理室14の室外後方に形成された加熱室31には、熱風ヒータ27と熱風ファン28がそれぞれ配設される一方で、本体1の内部に形成された調理室14とオーブン底板11との間の下部空間32には、熱風モータ29が配設される。そして、熱風ユニット24全体を後側外方から覆うように、本体1の後部にオーブン後板13が配設される。
本実施形態の熱風ファン28は、軸方向に取り入れた空気を、回転時の遠心力によって、軸方向と直角な放射方向に吐き出すいわゆる遠心ファンとして設けられており、管状の熱風ヒータ27は熱風ファン28の放射方向を取り囲んで配置される。発熱部でもある熱風ヒータ27は、例えばシーズヒータ、マイカヒータ、石英管ヒータやハロゲンヒータなどを用いる。前述した吸込み口16や熱風吹出し口17は、調理室14と加熱室31との間を連通する通風部として機能するものである。
そして本実施形態では、熱風モータ29への通電に伴い熱風ファン28が回転駆動すると、調理室14の内部から吸込み口16を通して吸引された空気が、熱風ファン28の放射方向に吹出して、通電した熱風ヒータ27により加熱され、熱風吹出し口17を通過して調理室14内に熱風が供給される。これにより、調理室14の内外で熱風を循環させる経路が形成され、調理室14内の被調理物Sを熱風コンベクション加熱する構成となっている。
調理室14の左側壁14cには、蒸気供給装置33に連通する蒸気噴出孔34が設けられる。被調理物Sの加熱手段として、本体1の内部に設けられる蒸気供給装置33は、金属製で中空の蒸発容器35や、給水カセット8と蒸発容器35との間に連結する給水管36や、蒸発容器35に装着されるシーズヒータなどの蒸発用ヒータ37や、給水カセット8からの水を蒸発容器35内に導く給水ポンプ38や、蒸発容器35内の温度を検出する容器温度検出手段39などを備え、蒸発容器35内に連通して複数の蒸気噴出孔34を有している。そして本実施形態では、給水カセット8に水を収容した状態で給水ポンプ38が駆動されると、給水カセット8から送られてきた水が、蒸発用ヒータ37の通電により所定の温度に加熱された蒸発容器35の内部に導かれて蒸気化され、蒸気噴出孔34から調理室14の内部に飽和蒸気や過熱蒸気が供給される。これにより、調理室14内に入れられた被調理物Sのスチーム調理を行なう構成となっている。
続いて、被調理物Sを加熱する加熱手段として、マイクロ波加熱手段としてのマイクロ波発生装置19と、その周辺の細部構成について説明する。調理室14の底壁14bは、金属板材41に形成された凹状のアンテナ収納部42の上面開口を、セラミック板などのマイクロ波が透過可能な底板43で覆うことで構成される。マイクロ波が透過不能な金属板材41は、底壁14bの周囲部のみならず、左側壁14cや、右側壁14dや、奥壁14eを一体的に形成するもので、底板43を除く調理室14の内面は、全てマイクロ波が透過不能な材料で形成される。
マイクロ波発生装置19は、マイクロ波の供給源となるマグネトロン(図示せず)の他に、本体1内部の下部空間32において、マグネトロンで発振されたマイクロ波をアンテナ収納部42の直下に導く導波管45と、導波管45の下方に配設されるアンテナモータ46と、その下端部が導波管45の内部に配置され、アンテナモータ46の回転軸に取付け固定されるアンテナホルダ47と、アンテナホルダ47内に挿入固定される円柱状のケーブル軸48と、その中心にケーブル軸48の上端部が取付け固定され、アンテナ収納部42の内部で回動可能に設けられるアンテナ49と、により主に構成される。アンテナ収納部42の上面開口を底板43で塞いだ状態では、調理室14の底壁14Bを形成する平板状の底板43に対向して、アンテナ49の全体が底板43と平行に配置される。
図7は、オーブンレンジの主な電気的構成を示している。同図において、51はマイクロコンピュータにより構成される制御手段であり、この制御手段51は周知のように、演算処理手段としてのCPUや、記憶手段としてのメモリや、計時手段としてのタイマや、入出力デバイスなどを備えている。
制御手段51の入力ポートには、前述したキーやタッチパネルによる操作手段7や、蒸気供給装置33に組み込まれる容器温度検出手段39の他に、検出素子となる赤外線センサ53Aにスイング機構を装備して構成され、調理室14内全体の温度分布を検出することで、そこに収容された被調理物Sの表面温度を赤外センサ53Aで検出可能にする被調理物温度検出手段53と、調理室14内の温度を検出するサーミスタ15などの庫内温度検出手段54と、熱風モータ29の回転を検出する熱風モータ回転検出手段55と、扉3の開閉状態を検出する扉開閉検出手段56と、マイクロ波発生装置19を構成するアンテナの原点位置を検出するアンテナ位置検出手段57が、それぞれ電気的に接続される。
制御手段51の出力ポートには、前述した表示手段6の他に、マイクロ波発生装置19のマグネトロンやその駆動手段を含むマイクロ波加熱手段61と、グリル加熱用の上ヒータ18や、オーブン加熱用の熱風ヒータ27や、スチーム加熱用の蒸発用ヒータ37をそれぞれ通断電させるリレーなどのヒータ駆動手段62と、調理室14内にマイクロ波を放射するアンテナを回転駆動させるためのアンテナ駆動手段63と、熱風モータ29を回転駆動させるための熱風モータ駆動手段64と、蒸気発生装置33の給水ポンプ38を動作させるためのポンプ駆動手段65が、それぞれ電気的に接続される。
制御手段51は、操作手段7からの操作信号と、容器温度検出手段42や、被調理物温度検出手段53や、庫内温度検出手段54や、熱風モータ回転検出手段55や、扉開閉検出手段56や、アンテナ位置検出手段57からの各検出信号を受けて、計時手段からの計時に基づく所定のタイミングで、マイクロ波加熱手段61と、ヒータ駆動手段62と、アンテナ駆動手段63と、熱風モータ駆動手段64と、ポンプ駆動手段65に駆動用の制御信号を出力し、また表示手段6に表示用の制御信号を出力する機能を有する。こうした機能は、記憶媒体としての前記メモリに記録したプログラムを、制御手段51が読み取ることで実現するが、特に本実施形態では、制御手段51を加熱調理制御部67と、表示制御部68として機能させるプログラムを備えている。
加熱調理制御部67は、主に被調理物Sの加熱調理に係る各部の動作を制御するもので、操作手段7の操作に伴う操作信号を受け取ると、扉開閉検出手段56からの検出信号により、扉3が閉じていると判断した場合に、その操作信号に応じて、マイクロ波加熱手段61や、ヒータ駆動手段62や、アンテナ駆動手段63や、熱風モータ駆動手段64や、ポンプ駆動手段65に制御信号を送出して、調理室14内の被調理物Sに対する加熱調理を制御する。本実施形態では、加熱調理を実行するための被調理物Sの材料や加熱条件などを含む調理情報として、予め複数の調理メニューが前記メモリに記憶保持されており、加熱調理制御部67は操作手段7に組み込まれたメニュー選択設定手段7Aが適宜操作されると、その中から選択された一乃至複数の調理メニューを、これから加熱調理を行なう特定の調理メニューとして設定し、その調理のメニューに従う所定の手順で、被調理物Sを自動的に加熱調理する構成となっている。
特に本実施形態では、メモリに記憶される複数の調理メニューの中で、冷凍食品の解凍や温め、調理済み料理の温めではなく、被調理物Sとして素材の調理加工を合計で30分以内に加熱調理を行なうことが可能な、3種類以上の時短調理メニューが含まれている。ここでは時短調理メニューの例として、卵,出し汁,具材を混ぜ合わせた素材を加熱調理して茶わん蒸しを短時間に作る茶わん蒸し時短調理メニュー(以下、「第1時短調理メニュー」という)、漬け物の素材と酢を含んだ漬け汁を被調理物Sとし、漬け物の素材に漬け汁を浸透させてピクルスを短時間に作るピクルス時短調理メニュー(以下、「第2時短調理メニュー」という)、漬け物の素材と塩入りのヨーグルトを含んだ漬け汁を被調理物Sとして、漬け物の素材に漬け汁を浸透させて塩ヨーグルトの浅漬けを短時間に作る塩ヨーグルト浅漬け時短調理メニュー(以下、「第3時短調理メニュー」という)、および一乃至複数の素材を加熱調理しておつまみを短時間に作るおつまみ時短調理メニュー(以下、「第4時短調理メニュー」という)をそれぞれ備えている。
第1時短調理メニューによる茶わん蒸し作りの加熱開始から加熱終了までの時間、すなわち全調理時間は、12分に設定される。第2時短調理メニューによるピクルス作りの全調理時間は、4分に設定される。第3時短調理メニューによる塩ヨーグルトの浅漬け作りの全調理時間は、6分に設定される。第4時短調理メニューによるおつまみ作りの全調理時間は、1分に設定される。したがって、例えば第1時短調理メニュー〜第4時短調理メニューを一つずつ選択した場合、選択した4種類の時短調理メニューで各素材の加熱調理に要する時間の合計は、30分以内の23分となる。こうした時短調理メニューの選択手段は、前述したユーザからの手動操作が可能なメニュー選択手段7の他に、オーブンレンジに電源を投入したときに、デフォルトで加熱調理制御部67が自動的に特定の時短調理メニューを選択する機能を含んでもよい。
加熱調理制御部67は、複数の調理メニューに含まれる3種類以上の時短調理メニューに対応した時短調理制御手段として、茶わん蒸し調理制御部71と、早漬け調理制御部72と、おつまみ調理制御部73をそれぞれ備えている。
茶わん蒸し調理制御部71は、メニュー選択手段7Aなどで第1時短調理メニューが選択されると、被調理物Sとなる素材への加熱出力を加熱開始からの時間の経過に伴い増減させ、被調理物温度検出手段53の赤外線センサ53Aで検出される被調理物Sの検出温度が70℃となるように被調理物Sへの加熱量を調整して、加熱開始から12分以内に被調理物Sへの加熱を停止して完了するように、マイクロ波発生装置19を制御するものである。早漬け調理制御部72は、メニュー選択手段7Aなどで第2時短調理メニューや第3時短調理メニューが選択されると、赤外線センサ53Aで検出される素材と漬け汁を混ぜ合わせた被調理物Sの検出温度が、漬け汁が沸騰する前の沸騰温度よりも低い温度に達するように被調理物Sを加熱した後に、被調理物Sへの加熱を停止して、被調理物Sの温度を低下させる手順を繰り返すように、マイクロ波発生装置19を制御するものである。おつまみ調理制御部73は、メニュー選択手段7Aなどで第4時短調理メニューが選択されると、第1出力で被調理物Sとなる素材を加熱し、その後は加熱開始から第1時刻が経過すると、若しくは赤外線センサ53Aで検出される被調理物Sの検出温度が所定の温度に達すると、第1出力とは異なる第2出力で被調理物Sを加熱して、加熱開始から1分以内に被調理物Sへの加熱を停止して完了するように、マイクロ波発生装置19を制御するものである。
メニュー選択設定手段7Aは、具体的には表示手段6となるLED表示器の表面上に設けられ、LED表示器に表示される複数のメニューの中から、特定のメニューを選択可能にするタッチキーと、タッチキーの操作により特定のメニューを選択した状態で押動操作されると、その特定のメニューが加熱調理制御部67により設定記憶され、特定のメニューに従う所定の手順で、被調理物Sの加熱調理を開始させるスタートキーと、により構成される。但し、これはあくまでも一例であり、メニュー選択設定手段7Aをどのような構成とするのかは特に限定しない。
次に、上記構成のオーブンレンジについて、図8〜図19を参照しながらその作用を詳しく説明する。予め調理室14内に被調理物Sを入れた状態で、ハンドル4を手で握りながら扉3を閉め、メニュー選択設定手段7Aなどにより特定の調理メニューを選択操作した後に、被調理物Sの加熱調理開始を指示すると、制御手段51の記憶部に組み込まれた制御プログラムに従って、選択した調理メニューに対応して生成された制御信号が、制御手段51の出力ポートから所定のタイミングで出力され、被調理物Sが加熱調理される。
ここで、例えばオーブン加熱のメニューを選択した場合、加熱調理制御部67は庫内温度検出手段54からの検出信号を受けて、調理室14内が設定した温度に加熱されるように、ヒータ駆動手段62と熱風モータ駆動手段64に各々制御信号を送出し、熱風ヒータ27と熱風モータ29の通断電を制御する。これにより、熱風モータ29に発生した回転力が熱風ファン28に伝達し、熱風ファン28が加熱室31の内部で回転して、その速度は熱風モータ回転検出手段55により加熱調理制御部67に取り込まれると共に、調理室14から吸込み口16を通して加熱室31に吸込んだ空気を、通電した熱風ヒータ27側に送り出し、ここで加熱された空気が吹出し口17を通して調理室14に熱風として供給することで、調理室14内の被調理物Sが熱風コンベクション加熱される。
また、スチームを使った蒸し調理(スチーム調理)のメニューを選択した場合、加熱調理制御部67は容器温度検出手段39からの検出信号を受けて、蒸発容器35内が所定の温度となるように、少なくともヒータ駆動手段62とポンプ駆動手段65に各々制御信号を送出して、蒸気供給装置33に組み込まれた給水ポンプ38の動作と、蒸発用ヒータ37の通断電を制御する。これにより、蒸気噴出孔34から調理室14内に飽和蒸気や過熱蒸気を噴出させ、調理室14内の被調理物Sを蒸し上げる。
また、レンジ調理のメニューを選択した場合、加熱調理制御部67は被調理物温度検出手段53からの検出信号を受けて、被調理物Sが設定した温度に加熱されるように、アンテナ位置検出手段57からの検出信号で、アンテナの原点位置を確認しながら、マイクロ波加熱手段61とアンテナ駆動手段63に適切な制御信号をそれぞれ送出する。これにより、マイクロ波発生装置19のマグネトロンやアンテナが動作して、回転するアンテナの表面から発生したマイクロ波が調理室14内に供給され、調理室14内の被調理物Sが高周波加熱される。
さらに、グリル調理のメニューを選択した場合、加熱調理制御部67は庫内温度検出手段54からの検出信号を受けて、調理室14内が設定した温度に加熱されるように、上ヒータ18の通断電が制御され、調理室14内の被調理物Sが上方向からグリル加熱される。
こうした各種の加熱調理の他に、本実施形態では加熱調理制御部67に組み込まれた時短調理制御手段となる茶わん蒸し調理制御部71や、早漬け調理制御部72や、おつまみ調理制御部73の何れかを続けて動作させることにより、3品以上の被調理物Sとなる素材の加熱調理加工を、合計で30分以内に行なうことができる。以下、時短調理制御手段による加熱調理の一連の手順を詳しく説明する。
先ず、本実施形態の茶わん蒸し調理制御部71について説明する。図8は、前述した茶わん蒸しの素材を容器に入れ、これらを蒸板(図示せず)の上に載せて、所定の条件で蒸し調理をしたときに、素材の温度と仕上がり時間の関係を示したものである。またここでは、茶わん蒸しの仕上がり時の外観状態とゲルの硬さも示されている。図中、「85℃」「90℃」「95℃」「100℃」とあるのは、蒸板直上付近の温度を示し、この温度が高いほど高温で蒸し料理が行われたことを示す。
茶わん蒸しを短時間に美味しく調理するには、卵と出し汁を合わせた卵液が沸騰です(鬆)を生じたり、固まらなくなったりしないように、適切な温度で加熱して仕上げるのが重要である。卵液を固めるための卵液濃度は、一般的に20%〜25%が良いとされるので、本実施形態では、卵液ができるだけ早く固まるように、卵液濃度を従来よりも濃くして23%とする。なお、卵液濃度が25%以上の場合には、塩分濃度が薄くなると逆に固まりにくくなる。
また、卵液を早く固めるためには、茶わん蒸しの狙いの加熱温度を従来よりも5℃上げる。従来の低温蒸しによる調理法では、蒸板直上付近の温度が78〜85℃となるように加熱調理していたが、本実施形態のスピード茶わん蒸しによる調理法では、蒸板直上付近の温度が80〜90℃となるように加熱調理を行なう。図8に示すように、蒸板直上付近の温度が85℃となるように、素材を蒸し加熱した場合(符号「X1」を参照)には、極めて良好な外観が得られるものの、20分〜30分もの仕上がり時間が掛かって、短時間には調理を仕上げられない。一方、蒸板直上付近の温度を5℃上げて90℃となるように、素材を蒸し加熱した場合(符号「X2」を参照)には、外観を良好に保ちつつ、仕上がり時間を12分程度に短縮できる。なお、蒸板直上付近の温度が95℃や100℃となるように素材を蒸し加熱すると、短時間には仕上がるものの、外観がわるく美味しさが損なわれる。
さらに本実施形態では、卵液にすや沸騰を生じたり、固まらなくなったりするのを防止するために、被調理物検出手段53の赤外線センサ53Aで、被加熱物Sとなる素材への加熱量を制御する。
図9は、本実施形態の茶わん蒸し調理制御部71によるレンジ加熱の出力と、赤外線センサ53Aの検出温度との関係を時間の経過と共に示したものである。同図において、本実施形態の茶わん蒸し調理制御部71は、メニュー選択設定手段7Aなどで茶わん蒸し調理用の第1時短調理メニューが選択され、茶わん蒸しの調理開始が指示されると、オーブンレンジに搭載された加熱手段の中で、マイクロ波発生装置19だけを制御して、被調理物Sそのものの温度を検出する赤外線センサ53の検出温度が所定の温度T1(=70℃)となるように、最初に例えば600Wの第1出力W1で、次に例えば100Wの第2出力W2で、さらには例えば200Wの第3出力W3で、調理室14に入れられた被調理物Sを加熱調理する。ここでの所定の温度T1である70℃は、前述した蒸板直上付近が80〜90℃となる温度に相当する。また、第1出力W1によるレンジ加熱の時間P1と、第2出力W2によるレンジ加熱の時間P2と、第3出力W3によるレンジ加熱の時間P3を合計した時間、すなわち加熱の開始から加熱を停止して調理を完了するまでの全加熱時間(=P1+P2+P3)は、12分以内とする。こうした制御を茶わん蒸し調理制御部71が行なうことで、被調理物Sとなる卵汁と具材を、すや沸騰が生じないように、3段階の出力で適切にレンジ加熱し、最終的に12分以内の短時間に固めて、美味しい茶わん蒸しに仕上げることが可能になる。
茶わん蒸し調理制御部71は、第1条件として、上述したスタートキーの操作に伴う茶わん蒸しの調理加熱開始から、赤外線センサ53Aの検出温度が所定の温度T1に達するまで、あるいは予め設定した制限時間に達するまで、第1出力W1で連続して被調理物Sにマイクロ波を供給して、被調理物Sをレンジ加熱する。この第1条件を満たすと、第1出力W1によるレンジ加熱の行程、すなわち第1行程は時間P1で終了し、マイクロ波発生装置19による被調理物Sへのレンジ加熱を停止して、次に第2出力W2によるレンジ加熱の第2行程が開始する。
第2行程では、直前の第1出力W1よりも被調理物Sへの加熱量を減らして(すなわち、W1>W2)、被調理物Sにすや沸騰が生じないように、第2条件として、赤外線センサ53Aの検出温度が所定の温度T1(=70℃)に低下したら、第2出力W2で被調理物Sへのレンジ加熱を開始させ、第3条件として、赤外線センサ53Aの検出温度が所定の温度T1(=70℃)に上昇したら、被調理物Sへのレンジ加熱を停止させて、調理室14に入れられた被調理物Sの温度を70℃付近に維持する。第2行程は時間P2で終了し、マイクロ波発生装置19による被調理物Sへのレンジ加熱を停止して、次に第3出力W3によるレンジ加熱の第3行程が開始する。
第3行程では、被調理物Sを茶わん蒸しに仕上げるために、直前の第2出力W2よりも被調理物Sへの加熱量を増やすものの、加熱開始直後の第1出力W1よりも被調理物Sへの加熱量を減らして(すなわち、W1>W3>W2)、引き続き被調理物Sにすや沸騰が生じないように、第2条件として、赤外線センサ53Aの検出温度が所定の温度T1(=70℃)に低下したら、出力W3で被調理物Sへのレンジ加熱を開始させ、第3条件として、赤外線センサ53Aの検出温度が所定の温度T1(=70℃)に上昇したら、被調理物Sへのレンジ加熱を停止させて、調理室14に入れられた被調理物Sの温度を70℃付近に維持する。第3行程は時間P3が経過すると終了し、そこで茶わん蒸し調理制御部71による被調理物Sを茶わん蒸しに仕上げる加熱調理が完了する。
なお、ここでは被調理物Sへのレンジ加熱を開始させる温度条件と、被調理物Sへのレンジ加熱を停止させる温度条件を、何れも同じ所定の温度T1である70℃に設定しているが、この温度条件はそれぞれ異なっていてもよい。
図10は、茶わん蒸し調理について、従来のオーブンレンジと本実施形態のオーブンレンジにおける加熱から出来上がりまでの全調理時間と、付属品や制御の違いを比較したものである。
同図において、従来のオーブンレンジは、庫内温度検出手段54で調理室14内部の温度を検出し、その検出温度が85℃になるように、蒸気供給装置33から供給される蒸気と、熱風ユニット24から供給される熱風により、被調理物Sを低温で蒸し上げる加熱調理が行われていた。この低温蒸しによるスチームを主体とした加熱では、全調理時間が25分となる。また、スチームを被調理物Sに向けて供給するために、調理室14内に角皿21を入れなければならず、給水カセット8への給水も必要となる。
一方、本実施形態のスチームレンジは、庫内温度検出手段54ではなく、被調理物検出手段53の赤外線センサ53Aで被調理物Sそのものの温度を検出して、赤外線センサ53Aの検出温度が70℃となるように、レンジ発生装置19によるレンジ加熱で、茶わん蒸し調理制御部71が被調理物Sへの温度制御を行っている。これにより、茶わん蒸しとしての仕上がりを損ねることなく、全調理時間を12分に短縮できる。また、レンジ加熱では角皿21などの付属品を使用しないので、従来のオーブンレンジのような付属品の洗い物が増える面倒さも解消される。
図11は、上述した従来のオーブンレンジと、本実施形態のオーブンレンジの他に、従来のガスコンロと蒸し器とを利用したときに、茶わん蒸しを作り上げて食事を開始するまでの時間経過をそれぞれ示したものである。同図において、近年のライフスタイルでは、家事時間となる食事の準備は40分以内に、またその中で調理前の準備と調理は30分以内で済ますことが望まれている。
従来のオーブンレンジでは、材料の準備時間を含めると、茶わんを作り上げて食事を開始するまでの時間が28分掛かる。また従来の蒸し器とガスコンロとを使った調理では、全調理時間そのものは12分で済むものの、準備や後片付けに時間が掛かり、食事を開始するまでの時間は23分も掛かる。したがって、望ましい家事時間内に、別な1品を作り上げる時間の余裕はない。
一方、本実施形態のオーブンレンジは、素材となる材料の準備時間(5分)を加えて、17分で茶わん蒸しを作り上げて食事を開始できる。これにより望ましい家事時間内に、別な1品を作り上げる時間が生まれ(時産)、家庭でゆっくり食事ができるなどのユーザメリットが得られる。また、家事時間を約30%軽減でき、ガスやお湯を使わずに安全である他、赤外線センサ53Aによる被調理部Sへの温度管理によって、失敗のない出来上がりが得られる。
次に、本実施形態の早漬け調理制御部72について説明する。従来のオーブンレンジでは、被調理物Sとして漬け物の素材と漬け汁を調理室14に入れ、上述した低温蒸しで、庫内温度検出手段54の検出温度が70℃となるように、被調理物Sを20分間加熱調理することで、例えば「きゅうりの四川漬け」や「オレンジ野菜のピクルス」を作り上げる調理メニューが搭載されていた。しかし、このような調理法では、加熱調理の後に漬け汁を素材に漬け込ませる時間が1時間以上必要となる。
そこで本願発明者は、従来のスチームや熱風コンベクション(またはグリル)加熱よりも、レンジ加熱では何故漬け物を早く作り上げることができるのかを、調理科学の理論から解明した。
漬け物の素材は加熱することで細胞膜の機能が低下し、味が早く浸み込み。つまり温度が高い方が、食材高分子の弛緩と味分子の食材中の拡散によって、味の浸み込みが速くなる。但し、素材によっては、例えばきゅうりのように70℃くらいになると煮えて変色するため、使用する素材によって、適切な加熱温度を設定する必要がある(きゅうりの場合は55℃〜75℃、好ましくは60℃)。また、調理科学の理論によれば、一般野菜の細胞壁の浸透圧は10気圧前後であるとされ、浸透速度は拡散の法則により、内外汁液の温度差が大きいほど、そして温度が高いほど速やかになる。さらに原料野菜の乾燥、加熱、切断、加圧などの操作により、素材への浸透は促進される。したがって、赤外線センサ53Aの検出温度により、被調理物Sそのものの温度を、素材が煮えない程度の加熱量で加減しつつ、レンジ加熱で被調理物Sの温度を上げてから冷ます制御が実現できれば、素材への漬け汁の浸み込みが良好になって、短時間に漬け物を作り上げらえると考えた。この考えに基づき、オーブレンジで素材となる野菜と、漬け汁となるピクルス液とを適切な制御の下でレンジ加熱すれば、短時間で美味しいインスタントピクルスを作り上げることができ、同様の手法で浅漬けを作ることも可能になる。
図12は、本実施形態の、早漬け調理制御部72によるレンジ加熱の出力と、赤外線センサ53Aの検出温度との関係を時間の経過と共に示したものである。同図において、本実施形態の早漬け調理制御部72は、メニュー選択設定手段7Aなどでスピードピクルス調理用の第2時短調理メニューや、塩ヨーグルトの浅漬け調理用の第3時短調理メニューが選択され、早漬けの調理開始が指示されると、オーブンレンジに搭載された加熱手段の中で、マイクロ波発生装置19だけを制御して、被調理物Sの温度を高く保ちつつ、ある温度は超えないように、被調理物Sそのものの温度を検出する赤外線センサ53Aの検出温度T11が、第2時短調理メニューを選択した場合には70℃となるように、また第3時短調理メニューを選択した場合には60℃となるように、調理室14に入れられた被調理物Sを加熱調理する。ここでいう70℃の温度条件は、スピードピクルス調理において、漬け汁に含まれる酢の酸味が飛ばない上限の温度であって、且つ漬け物の主たる素材であるにんじんに火が通り、煮えない上限の温度である。また60℃の温度条件は、塩ヨーグルトの浅漬け調理において、漬け汁に含まれるヨーグルトが、分離して酸味が出ない上限の温度であって、且つ漬け物の主たる素材であるきゅうりが、煮えて変色しない上限の温度である。
具体的には、早漬け調理制御部72は、第2時短調理メニューや第3時短調理メニューが選択された後に、スタートキーで調理の開始が指示されると、最初に例えば600Wの第1出力W11で、次に例えば400Wの第2出力W12で、調理室14に入れられた被調理物Sを加熱調理する。また、第1出力W11によるレンジ加熱の時間P11と、第2出力W12によるレンジ加熱の時間P12を合計した時間、すなわち加熱の開始から加熱を停止して調理を完了するまでの全加熱時間(=P11+P12)は、第2時短調理メニューが選択された場合に4分以内とし、第3時短調理メニューが選択された場合に6分以内とする。こうした制御を早漬け調理制御部72が行なうことで、被調理物Sとなる漬け物の素材と漬け汁を適切にレンジ加熱し、最終的にピクルスでは4分以内、浅漬けでは6分以内の短時間に完了させて、美味しいピクルスや浅漬けに作り上げることが可能になる。
早漬け調理制御部72は、第1条件として、前述したスタートキーの操作に伴うピクルスや浅漬けの調理加熱開始から、赤外線センサ53Aの検出温度が、所定の温度T11(ピクルスでは70℃、浅漬けでは60℃)に達するまで、あるいは予め設定した制限時間に達するまで、第1出力W11で連続して被調理物Sにマイクロ波を供給して、被調理物Sをレンジ加熱する。この第1条件を満たすと、第1出力W11によるレンジ加熱の行程、すなわち第1行程は時間P11で終了し、マイクロ波発生装置19による被調理物Sへのレンジ加熱を停止して、次に第2出力W12によるレンジ加熱の第2行程が開始する。
第2行程では、直前の第1出力W11よりも被調理物Sへの加熱量を減らして(すなわち、W11>W12)、第2条件として、赤外線センサ53Aの検出温度が所定の温度T11に低下したら、第2出力W12で被調理物Sへのレンジ加熱を開始させ、第3条件として、赤外線センサ53Aの検出温度が所定の温度T11に上昇したら、被調理物Sへのレンジ加熱を停止させて、調理室14に入れられた被調理物Sを所定の温度付近に維持する。これにより第2行程では、被調理物Sの検出温度が、所定の温度T11よりも高いものの、漬け汁が沸騰する前の沸騰温度よりも低い第1温度T21に達するように、被調理物Sを第1出力W11や第2出力W12の加熱量でレンジ加熱した後に、被調理物Sへのレンジ加熱を停止して、被調理物Sの検出温度を所定の温度T11よりも低い第2温度T22に低下させる手順が繰り返される。第2行程は時間P12が経過すると終了し、そこで早漬け調理制御部72による被調理物Sをピクルスや浅漬けに仕上げる加熱調理が完了する。
なお、ここでは被調理物Sへのレンジ加熱を開始させる温度条件と、被調理物Sへのレンジ加熱を停止させる温度条件を、何れも同じ所定の温度T11である70℃に設定しているが、この温度条件はそれぞれ異なっていてもよい。また、所定の温度T11は、75℃〜55℃の範囲としてもよい。
図13は、ピクルス調理について、従来のオーブンレンジと本実施形態のオーブンレンジにおける加熱から出来上がりまでの全調理時間と、付属品や制御の違いを比較したものである。
同図において、従来のオーブンレンジは、庫内温度検出手段54で調理室14内部の温度を検出し、その検出温度が70℃になるように、蒸気供給装置33から供給される蒸気と、熱風ユニット24から供給される熱風、若しくは上ヒータ18からの熱放射により、被調理物Sを低温で蒸し上げる加熱調理が行われていた。この低温蒸しによるスチームを主体とした加熱では、全調理時間が20分となり、その後に被調理物Sを冷やす時間を含めると、食事として出すまでには1時間20分かかる。また、スチームを被調理物Sに向けて供給するために、調理室14内に付属品となる角皿21と焼き網を入れなければならず、給水カセット8への給水も必要となる。
一方、本実施形態のスチームレンジは、赤外線センサ53Aの検出温度が70℃となるように、レンジ発生装置19によるレンジ加熱で、早漬け調理制御部72が被調理物Sへの温度制御を行っている。これにより、ピクルスとしての仕上がりを損ねることなく、全調理時間を4分に、またその後の被調理物Sを冷ます時間を含めて、食事として出すまでの時間を34分に短縮できる。さらに、レンジ加熱では角皿21や焼き網などの付属品を使用しないので、従来のオーブンレンジのような付属品の洗い物が増える面倒さも解消される。
図14は、浅漬け調理について、従来のオーブンレンジと本実施形態のオーブンレンジにおける加熱から出来上がりまでの全調理時間と、付属品や制御の違いを比較したものである。
同図において、従来のオーブンレンジは、前述のピクルスと同様の加熱調理により、全調理時間が20分の低温蒸しが行われ、その後に被調理物Sとして、漬け物の素材に漬け汁を漬け込む時間を含めて、食事として出すまでには2時間20分の時間を要する。また、調理室14内に付属品となる角皿21と焼き網を入れなければならず、給水カセット8への給水も必要となる。
一方、本実施形態のスチームレンジは、赤外線センサ53Aの検出温度が60℃となるように、レンジ発生装置19によるレンジ加熱で、早漬け調理制御部72が被調理物Sへの温度制御を行っている。これにより、浅漬けとしての仕上がりを損ねることなく、全調理時間を6分に、またその後の被調理物Sを冷ます時間を含めて、食事として出すまでの時間を36分に短縮できる。さらに、レンジ加熱では角皿21や焼き網などの付属品を使用しないので、従来のオーブンレンジのような付属品の洗い物が増える面倒さも解消される。
図15は、上述した従来のオーブンレンジと、本実施形態のオーブンレンジの他に、従来のオーブンレンジを使わずにガスコンロを利用したときに、ピクルスを作り上げて食事を開始するまでの時間経過をそれぞれ示したものである。前述のように、家事時間となる食事の準備は40分以内に、またその中で調理前の準備と調理は30分以内で済ますことが望まれている。
従来のオーブンレンジでは、材料の準備時間を含めると、ピクルスを作り上げるまでに25分の時間を要し、その後にピクルス液を冷やす時間を含めると、食事を開始するまでの時間が1時間25分も掛かる。また従来のガスコンロでピクルス液を加熱して素材を漬け込む調理法では、材料の準備からピクルス液を加熱し、その後にピクルス液を冷やすまでに45分の時間を要し、そこからさらに野菜を漬け込むのに1晩もの時間が掛かる。したがって、望ましい家事時間内に、別な1品を作り上げる時間の余裕はない。
一方、本実施形態のオーブンレンジは、素材となる材料の準備時間(5分)を加えて、9分でピクルスを作り上げることができ、その後にピクルス液を冷やす時間を含めても、39分で食事を開始できる。これにより望ましい家事時間内に、別な1品を作り上げる時間が生まれ(時産)、家庭でゆっくり食事ができるなどのユーザメリットが得られる。また、家事時間を約半減できる他、赤外線センサ53Aによる被調理部府Sへの温度管理によって、失敗のない出来上がりが得られ、オーブンレンジによる加熱調理の終了後には、すぐに食べられる利点もある。
図16は、上述した従来のオーブンレンジと、本実施形態のオーブンレンジの他に、従来のオーブンレンジを使わない調理法として、即席の素と、ぬか床を利用したときに、浅漬けやぬか漬けを作り上げて食事を開始するまでの時間経過をそれぞれ示したものである。
従来のオーブンレンジでは、材料の準備時間を含めると、浅漬けを作り上げるまでに25分の時間を要し、その後に素材に漬け込む時間を含めると、食事を開始するまでの時間が2時間25分も掛かる。また従来の即席の素(漬け汁)に素材を漬け込む調理法では、材料の準備から、その材料を袋に入れて即席の素と共に揉み、漬け込むまでに38分の時間を要し、別なぬか床を利用した調理方法では、材料の準備から素材に漬け込むのに3時間5分もの時間が掛かる。したがって、望ましい家事時間内に、別な1品を作り上げる時間の余裕はない。
一方、本実施形態のオーブンレンジは、素材となる材料の準備時間(5分)を加えて、11分で浅漬けを作り上げることができ、その後に漬け汁を冷やす時間を含めても、41分で食事を開始できる。これにより望ましい家事時間内に、別な1品を作り上げる時間が生まれ(時産)、家庭でゆっくり食事ができるなどのユーザメリットが得られる。また、家事時間を半減以下に早めることができる他、赤外線センサ53Aによる被調理部府Sへの温度管理によって、失敗のない出来上がりが得られ、減塩による健康へ訴求効果や、家にある余った野菜でもう一品料理ができる利点もある。
次に、本実施形態のおつまみ調理制御部73について説明する。図17は、おつまみ調理制御部73によるレンジ加熱の出力を、時間の経過と共に示したものである。同図において、本実施形態のおつまみ調理制御部73は、メニュー選択設定手段7Aなどでおつまみ調理用の第4時短調理メニューが選択された後に、おつまみの調理開始が指示されると、オーブンレンジに搭載された加熱手段の中で、マイクロ波発生装置19だけを制御して、最初に例えば1000Wの第1出力W21で、次に例えば600Wの第2出力W22で、調理室14に入れられた被調理物Sを加熱調理する。また、第1出力W21によるレンジ加熱の時間P21と、第2出力W22によるレンジ加熱の時間P22を合計した時間、すなわち加熱の開始から加熱を停止して調理を完了するまでの全加熱時間(=P21+P22)は、1分以内とする。こうした制御をおつまみ調理制御部73が行なうことで、被調理物Sとなるおつまみの素材を2段階の出力で適切にレンジ加熱し、最終的におつまみの料理を1分以内の短時間に完了させて、美味しいおつまみに作り上げることが可能になる。
おつまみ調理制御部73は、第1条件として、前述したスタートキーの操作に伴うおつまみの調理開始から、予め設定した制限時間(例えば20秒)に達するまで、第1出力W21で連続して被調理物Sにマイクロ波を供給して、被調理物Sをレンジ加熱する。この第1条件を満たすと、第1出力W11によるレンジ加熱の行程、すなわち第1行程は時間P21で終了し、次に第2出力W12によるレンジ加熱の第2行程が開始する。
第2行程では、直前の第1出力W21よりも被調理物Sへの加熱量を減らして(すなわち、W21>W22)、被調理物Sを引き続きレンジ加熱し、第2条件として、第2行程の開始から予め設定した制限時間(例えば40秒)に達したら、被調理物Sへのレンジ加熱を停止させる。第2行程は時間P22が経過すると終了し、そこでおつまみ調理制御部73による被調理物Sをおつまみ料理に仕上げる加熱調理が完了する。
なお、ここでのおつまみ調理制御部73は、第1行程から第2行程に切り替える第1条件と、第2行程を終了して調理加熱を完了させる第2条件を、何れも所定の制限時間が経過したか否かだけで判断しているが、赤外線センサ53Aで検出される被調理物Sの検出温度が所定の温度に達したら、所定の制限時間に優先して第1行程から第2行程に切り替えたり、第2行程を終了して加熱調理を完了させたりしてもよい。これにより、被調理物Sに対する過度なレンジ加熱を防止できる。
図18は、本実施形態のオーブンレンジで、複数のおつまみを作り上げるまでの時間経過と、おつまみ調理制御部73で加熱調理が可能なおつまみの品目とを示している。同図において、本実施形態のオーブンレンジでは、メニュー選択設定手段7Aなどでおつまみ調理用の第4時短調理メニューが選択された後に、おつまみの調理開始が指示されると、おつまみ調理制御部73により、調理室14に入れられた被調理物Sを1分以内にレンジ加熱して、おつまみ料理に仕上げることが可能になる。こうしたオーブンレンジによる加熱調理の前に、材料となる被調理物Sの準備に例えば2分掛かるとすれば、オーブンレンジで加熱調理を行っている最中に、次のおつまみ料理の準備に取り掛かれるため、おつまみ料理を2分毎に次々と作り上げることが可能となる。また、準備に殆ど時間を要しないものであれば、おつまみ料理を1分毎に次々と作り上げることが可能となる。
ここで、おつまみ調理制御部73により1分以内で加熱調理が可能なおつまみの品目としては、被調理物Sとしてトマト、チーズ、卵などを素材とした「トマトチーズのスクランブルルエッグ」や、にら、卵などを素材とした「にら玉」や、さばの缶詰から取り出したさば、キャベツ、カレー粉などを素材とした「さば缶とキャベツのカレー風味」や、ピーマン、ちりめんじゃこ、唐辛子、砂糖などを素材とした「ピーマンとじゃこの甘辛」や、えのき茸、ちくわ、バター、醤油などを素材とした「えのきバター醤油」や、厚揚げ、醤油、砂糖などを素材とした「おつまみ厚揚げ」などである。特にさばの缶詰は、EPA(エイコサペンタエン酸)を豊富に含んだ食材として、健康に良いと言われており、ユーザに美味しく、早くて健康なメニューを提案できる。
図19は、一般的な夕食にかけている時間に対し、従来のオーブンレンジによる調理時間と、本実施形態のオーブンレンジによる調理時間との比較を示したものである。
夕食にかけている時間、すなわち調理前の準備と調理にかける時間は、30分以内とするのが望まれている。渋滞のオーブンレンジでは、低温蒸しによるスチームを主体とした加熱で、茶わん蒸しを作り上げるのに25分の時間を要していた。これに対して、本実施例のオーブンレンジでは、赤外線センサ53Aの検出温度が70℃となるように、レンジ発生装置19によるレンジ加熱で、茶わん蒸し調理制御部71が被調理物Sへの温度制御を行なうことで、茶わん蒸しを作り上げる時間が12分に短縮された。この時間は、夕食にかけている望ましい時間の半分以下であり、残った時間を利用して別なおかずを作り上げる時間が生まれ(時産)、家族でゆっくりと食事をすることができる。
例えば、茶わん蒸し調理制御部71で茶わん蒸しを作り上げた後に、引き続きおつまみ調理制御部73で、夕食にかけている望ましい時間内に、1分メニューとなるおつまみ料理を何品も作り上げることが可能になる。これにより、茶わん蒸しの他に別なおかずを、時間内に食卓に並べて食事をする余裕ができる。また、残った時間で茶わん蒸しやおつまみだけでなく、早漬け調理制御部72によりピクルスや浅漬けを、合計で30分以内に美味しく調理することもできる。加熱調理器などのオーブンレンジで、ユーザが求めるニーズは、やはり調理の早さであり、冷凍食品の解凍や温め、調理済み料理の温め以外で、ピクルスや浅漬けが手軽に早く調理に使えることは、ちょっとしたイノベーション(技術革新)としてユーザに訴求できる。
以上のように、本実施形態の加熱調理器となるオーブンレンジは、被調理物Sを加熱する加熱手段と、複数の調理メニューの中から一乃至複数の調理メニューを選択する選択手段としての例えばメニュー選択設定手段7Aと、メニュー選択設定手段7Aなどで選択された調理メニューに応じて、調理室14に入れられた被調理物Sへの加熱調理が行なわれるように、加熱手段を制御する制御手段51とを備え、ここでは特に、メニュー選択設定手段7Aなどで選択できる複数の調理メニューの中に、冷凍食品の解凍や温め、調理済み料理の温めではなく、被調理物Sとして素材の加熱調理加工を合計で30分以内に行なうことが可能な、3種類以上の時短調理メニューとして、ここでは第1時短調理メニュー〜第4時短調理メニューを含んでいる。
この場合、複数の調理メニューの中で3種類以上の時短調理メニューを選択すると、その選択した時短調理メニューに基づいた被調理物Sへの加熱調理が行われ、ユーザが要望する30分以内に被調理物Sに対する全ての加熱調理が完了する。したがって、ユーザが要望する家事時間内に、できるだけ多くの料理を手際良く作り上げることが可能になる。
また、本実施形態のオーブンレンジは、被調理物Sの温度を検出する赤外線センサ53Aをさらに備え、前記加熱手段は、被調理物Sをマイクロ波加熱するマイクロ波加熱手段としてマイクロ波加熱装置19を備え、前記時短調理メニューには、漬け物の素材と漬け汁を被調理物Sとして、素材に漬け汁を浸透させる早漬け調理メニュー、すなわち第2時短調理メニューと第3時短調理メニューが含まれており、制御手段51は、第2時短調理メニューまたは第3時短調理メニューが選択されると、赤外線センサ53Aで検出される被調理物Sの検出温度が、漬け汁が沸騰する前の第1温度T21に達するように被調理物Sをレンジ加熱した後に、当該レンジ加熱を停止して被調理物Sの温度を第2温度T22に低下させる手順を繰り返すように、マイクロ波加熱装置19を制御する早漬け調理制御手段72を備えている。
この場合、複数の調理メニューの中で、時短調理メニューの一つである早漬け調理メニュー、すなわち第2時短調理メニューや第3時短調理メニューを選択すると、被調理物Sである漬け物の素材と漬け汁を、漬け汁が沸騰する前の第1温度T21にレンジ加熱した後に、当該レンジ加熱を停止して第2温度T22に低下させる手順が繰り返し行われる。このように、断続的なマイクロ波加熱により被調理物Sを高温と低温の状態に繰り返すことで、素材への漬け汁の浸透を促進させて、短時間に美味しい漬け物を作り上げることが可能になる。
また、本実施形態のオーブンレンジは、被調理物Sの温度を検出する赤外線センサ53Aをさらに備え、前記加熱手段は、被調理物Sをマイクロ波加熱するマイクロ波加熱手段としてマイクロ波加熱装置19を備え、前記時短調理メニューには、素材を加熱調理して茶わん蒸しを作る茶わん蒸し時短調理メニュー、すなわち第1時短調理メニューが含まれており、制御手段51は、第1時短調理メニューが選択されると、被調理物Sへの加熱出力を加熱時間の経過に伴い、例えば第1出力W1から第2出力W2を経て第3出力W3に切り替えて増減させ、赤外線センサ53Aで検出される被調理物Sの検出温度が、所定の温度T1である70℃となるように、被調理物Sへの加熱量を調整して、加熱開始から12分以内に当該加熱を停止して完了するように、マイクロ波加熱装置19を制御する茶わん蒸し調理制御手段71を備えている。
この場合、複数の調理メニューの中で、時短調理メニューの一つである茶わん蒸し時短調理メニュー、すなわち第1時短調理メニューを選択すると、赤外線センサ53Aで検出される被調理物Sの検出温度が、所定の温度T1である70℃となるように、被調理物Sへの加熱量を適宜調整して、加熱開始から12分以内にレンジ加熱を停止して完了する手順が行われる。このように、被調理物Sにすや沸騰や固まらない状態が生じないように、赤外線センサ53Aの検出温度に基づいて被調理物Sへの加熱量を適切に調整し、被調理物Sをマイクロ波加熱すなわちレンジ加熱して、調理を12分以内に完了させることで、短時間に美味しい茶わん蒸しを作り上げることが可能になる。
また、本実施形態のオーブンレンジは、被調理物Sの温度を検出する赤外線センサ53Aをさらに備え、前記加熱手段は、被調理物Sをマイクロ波加熱するマイクロ波加熱手段としてマイクロ波加熱装置19を備え、前記時短調理メニューには、被調理物Sとしておつまみの素材を1分以内に加熱調理するおつまみ時短調理メニュー、すなわち第4時短調理メニューが含まれており、制御手段51は、第4時短調理メニューが選択されると、最初に第1出力W21で被調理物Sをレンジ加熱し、その後は加熱開始から第1時間P21が経過すると、若しくは赤外線センサ53Aで検出される被調理物Sの検出温度が所定の温度に達すると、第1出力W21とは異なる第2出力W22で引き続き被調理物Sをレンジ加熱して、加熱開始から1分以内に当該レンジ加熱を停止して完了するように、マイクロ波加熱装置19を制御するおつまみ調理制御手段73を備えている。
この場合、複数の調理メニューの中で、時短調理メニューの一つであるおつまみ時短調理メニュー、すなわち第4時短調理メニューを選択すると、被調理物Sを第1出力W21で加熱した後に、第1出力W21とは異なる第2出力W22で引き続き加熱して、加熱開始から1分以内のレンジ加熱を停止して完了する手順が行われる。このように、被調理物Sを2段階の出力でマイクロ波加熱して、調理を1分以内に完了させることで、時間のない状況であっても、短時間に美味しいおつまみを作り上げることが可能になる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更可能である。本実施形態では、何れも被調理物Sをレンジ加熱で茶わん蒸しや、ピクルスや、浅漬けや、おつまみを、合計で30分以内に作り上げる時短調理メニューが含まれているが、それ以外の料理で、同様に合計で30分以内に作り上げる時短調理メニューを含んでいてもよく、また加熱調理についてもマイクロ波加熱手段を利用したレンジ加熱に限定されない。
7A メニュー選択設定手段(選択手段)
19 マイクロ波発生装置(加熱手段、マイクロ波加熱手段)
51 制御手段
53A 赤外線センサ
71 茶わん蒸し調理制御部(茶わん蒸し調理制御手段)
72 早漬け調理制御部(早漬け調理制御手段)
73 おつまみ調理制御部(おつまみ調理制御手段)

Claims (4)

  1. 被調理物を加熱する加熱手段と、
    複数の調理メニューの中から一乃至複数の調理メニューを選択する選択手段と、
    前記選択された調理メニューに応じて前記被調理物への加熱調理が行なわれるように、前記加熱手段を制御する制御手段と、を備え、
    前記複数の調理メニューには、前記被調理物として素材の加熱調理加工を合計で30分以内に行なうことが可能な、3種類以上の時短調理メニューが含まれることを特徴とする加熱調理器。
  2. 前記加熱手段は、前記被調理物をマイクロ波加熱するマイクロ波加熱手段を備え、
    前記時短調理メニューには、漬け物の前記素材と漬け汁を前記被調理物として、前記素材に前記漬け汁を浸透させる早漬け調理メニューが含まれており、
    前記制御手段は、前記早漬け調理メニューが選択されると、前記漬け汁が沸騰する前の温度に前記被調理物を加熱した後に、当該加熱を停止して前記被調理物の温度を低下させる手順を繰り返すように、前記マイクロ波加熱手段を制御する早漬け調理制御手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の加熱調理器。
  3. 前記被調理物の温度を検出する赤外線センサをさらに備え、
    前記加熱手段は、前記被調理物をマイクロ波加熱するマイクロ波加熱手段を備え、
    前記時短調理メニューには、前記素材を加熱調理して茶わん蒸しを作る茶わん蒸し時短調理メニューが含まれており、
    前記制御手段は、前記茶わん蒸し時短調理メニューが選択されると、前記赤外線センサで検出される前記被調理物の検出温度が70℃となるように前記被調理物への加熱量を調整して、加熱開始から12分以内に当該加熱を停止して完了するように、前記マイクロ波加熱手段を制御する茶わん蒸し調理制御手段を備えたことを特徴とする請求項1または2記載の加熱調理器。
  4. 前記加熱手段は、前記被調理物をマイクロ波加熱するマイクロ波加熱手段を備え、
    前記時短調理メニューには、前記被調理物としておつまみの前記素材を1分以内に加熱調理するおつまみ時短調理メニューが含まれており、
    前記制御手段は、前記おつまみ時短調理メニューが選択されると、第1出力で前記被調理物を加熱し、その後は前記第1出力とは異なる第2出力で前記被調理物を加熱して、加熱開始から1分以内に当該加熱を停止して完了するように、前記マイクロ波加熱手段を制御するおつまみ調理制御手段を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の加熱調理器。


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