JP2020167163A - アルカリ二次電池用表面処理板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、特許文献1や特許文献2には、負極の集電体の材料として銅とスズの合金を用いることにより水素過電圧を高くして、上記のような水素ガス発生の問題を解決しようとしている。
特許文献1や2に記載のような銅と錫の合金では、銅単体に比べれば耐食性は改善するものの、上記したような高濃度の電解液環境下では溶解することには変わりなく、また、放電反応時にはさらに溶解が促進されてしまうため、実用には耐えない。
その結果、表面処理板を、特定の構成とすることにより、上記した複数の課題を両立させることが可能であることを見出し、本発明に想到したものである。
なお本発明においては、電解液に対する溶解耐性を、「耐食性」、「耐溶解性」、「耐電解液性」等とも称するものとする。
また、上記した(1)又は(2)に記載のアルカリ二次電池用表面処理板においては、(3)前記第1領域が前記金属層中における最表面に位置していてもよい。
≪第1実施形態≫
以下、本発明を実施するための実施形態について説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
なお、本発明のアルカリ二次電池用表面処理板は、アルカリ二次電池の集電体、タブ・リードや外装に好適に用いられ、さらには、アルカリ二次電池の負極の集電体材料として好適に用いられる。
図1に示すように、本実施形態に係るアルカリ二次電池用表面処理板100は、基材10と、基材10の少なくとも片面に形成される金属層20を有する。
例えば、鋼板、アルミニウム板、アルミニウム合金板、銅板、銅合金板、鉄板、鉄合金板、ステンレス鋼板、ニッケル板、ニッケル合金板などをあげることができる。なお、これらの基材には公知の表面処理がなされていてもよい。
なお図1に示されるように、本実施形態においては、金属層20に含まれるが、合金層20Mには含まれない領域(合金化されていない金属の領域)が存在していてもよい。すなわち、金属層20中には、Ni層やZn層が存在していてもよい。
また、本実施形態において合金層20M中のNi−Zn合金の組成としては、固溶体、共析・共晶、化合物(金属間化合物)のいずれであってもよいし、それらが共存していてもよい。
なお、これらの金属層20及び合金層20Mの製造方法について、詳細は後述する。
これらの構成を有することにより、本発明の課題である、ガス発生の抑制、及び耐電解液性を両立させることが可能となる。
すなわち上述したように、アルカリ二次電池の実用化への課題の一つとして、水素ガス発生の問題がある。水素ガスは例えば、電池の内部において異種金属間で局部電池が形成されることに起因して、電池反応以外の化学反応(自己放電)が起こる条件において、水素ガス発生の反応条件が満たされた場合に生じる。例えばニッケル亜鉛電池においては、充電時には亜鉛または酸化亜鉛の状態で亜鉛が析出し、放電時には当該亜鉛が溶解するが、亜鉛は水系電池に使用される金属の中でも電位が最も低い金属の一つであるため、電池に使用される他の金属との間で局部電池状態となったときの放電量が多く、水素ガス発生条件を満たしやすい。
このようなガス発生は、水素過電圧の高い材料を適用することにより解決され、水素過電圧の高い材料として亜鉛や、銅−錫合金が知られている。
試行錯誤の実験の結果、Niの割合が60%未満である状態では、ガス発生は抑制できるがアルカリ電解液への耐性が低下し、基材上の合金層が溶解することが分かった。合金層が溶解した結果、合金層の下層や基材に電解液が到達してしまい、基材が鋼板などの場合には基材が溶解するおそれがある。
より好ましくは0.2〜3.0μmであり、さらに好ましくは0.2〜2.0μmである。
本実施形態に示すように第1領域20Aを有する場合は、電解液からの亜鉛の析出を均一に析出させることが可能であり、また、析出した亜鉛の密着性も良い。
出することができる。
その結果、本実施形態の表面処理板を二次電池に使用した場合には、充放電サイクルを繰り返しても好ましい電池性能を維持することが可能となる。
次に、本発明を実施するための第2実施形態について説明する。なお、上述した第1実施形態と共通する箇所については説明を省略し、主として相違する点について説明する。
したがって本実施形態のように、合金層20Mの製造条件により、第1領域20Aよりも電解液に近い表面にNi割合が低い第2領域20Bが存在したとしても、実用化に際しては差し支えない。そしてNi割合が低く、Zn割合が高い第2領域20Bを表面側に有することにより、耐塩害性に優れ、一次防錆機能に優れた表面処理板を得ることができる。
なお、本実施形態の場合、第2領域20Bの最表層は、図3(a)に示すように、合金層20Mの最表層と一致していなくともよいし、図3(b)に示すように、合金層20Mの最表層と一致していてもよい。
次に、本発明を実施するための第3実施形態について説明する。なお、上述した第1実施形態と共通する箇所については説明を省略し、主として相違する点について説明する。
耐電解液性をより向上させるという観点で、より好ましくは0.5μm〜5.0μmであり、さらに好ましくは0.8μm〜5.0μmである。
なお、本実施形態の場合、第3領域20Cの最下層(最も基材10に近い側)は、図4(a)に示すように、合金層20Mの最下層と一致していなくともよいし、図4(b)に示すように、合金層20Mの最下層と一致していてもよい。
本実施形態におけるアルカリ二次電池用表面処理板は、図5(a)に示すように、基材10の少なくとも片面に金属層20が存在し、金属層20中において、基材10から順に、第3領域20C、第1領域20A、第2領域20Bが存在していてもよい。なおこの場合は上述のように、第2領域20Bは電池に実装されてアルカリ性の電解液に接触した場合には溶解する可能性が高いが、その場合でも第1領域20Aが耐電解液性を有するため、集電体全体の溶解は回避可能である。
図5に示した形態の場合は上述のように、第2領域20Bは電池に実装されてアルカリ性の電解液に接触した場合には溶解する可能性が高い。その場合でも第1領域20Aが耐電解液性を有するため、集電体全体の溶解は回避可能である。また、第2領域20Bの存在により、耐塩害性に優れ、一次防錆機能に優れた表面処理板を実現することができる。
次に、本発明におけるアルカリ二次電池の一例として、図6及び以下の実施形態を用いて説明する。
本実施形態のアルカリ二次電池BAは、例えばニッケル亜鉛電池等を挙げることができ、正極PE、負極NE、及び電解質EL(電解液ES含む)を含む。正極PEとしては、ニッケルや水酸化ニッケルを挙げることができる。電解液ESはアルカリ性であり、電解液ES中に含まれる負極活物質としては酸化亜鉛や亜鉛が好ましい。そして例えば図6に示すような構成、負極NEの集電体材料として、本発明におけるアルカリ二次電池用表面処理板を用いることを特徴とするが、セパレータを適用するなど電池構成はこれに限定されない。
次に、本発明におけるアルカリ二次電池用表面処理板の製造方法について、以下の実施形態により説明する。しかしながら本発明のアルカリ二次電池用表面処理板の製造方法は、下記の実施形態に制限されるものではない。
なお本実施形態におけるアルカリ二次電池用表面処理板の製造方法において、Niめっき層とZnめっき層は、基材10の両面にそれぞれ形成されてもよい。
浴組成:公知のワット浴
硫酸ニッケル六水和物:200〜300g/L
塩化ニッケル六水和物:20〜60g/L
ほう酸:10〜50g/L
浴温:40〜70℃
pH:3.0〜5.0
撹拌:空気撹拌又は噴流撹拌
電流密度:5〜30A/dm2
なお、浴組成については、上記のワット浴の他、公知のスルファミン酸ニッケル浴やクエン酸浴を用いてもよい。また、合金層20M内において第1領域20Aが形成される限りにおいて、さらに公知の光沢剤などの添加物をめっき浴に添加して、光沢ニッケルめっき又は半光沢ニッケルめっきとしてもよい。
<ニッケル−コバルト合金めっき>
めっき浴の浴組成:硫酸ニッケル、塩化ニッケル、硫酸コバルトおよびホウ酸を、コバルト/ニッケルのモル比0.1〜1.0で含有
(硫酸ニッケル:10〜300g/L、塩化ニッケル:20〜60g/L、硫酸コバルト:10〜250g/L、ほう酸:10〜40g/Lの範囲で、コバルト/ニッケル比が上記範囲となるように、各成分を適宜調整してなるめっき浴を用いることができる。塩化コバルトを用いてもよい)
pH:1.5〜5.0
浴温:40〜80℃
電流密度:1〜40A/dm2
硫酸亜鉛七水和物:100〜400g/L
硫酸ナトリウム:10〜100g/L
浴温:30〜70℃
pH:0.5〜5.0
撹拌:空気撹拌又は噴流撹拌
電流密度:10〜60A/dm2
上記のように、Znめっきに用いるめっき浴としては、Znイオンの供給源として硫酸塩を用い、これにめっき液の導電性を高めるため硫酸アンモニウム、硫酸などの導電補助塩を適宜添加した浴を用いることができる。さらに公知の光沢剤などの添加物をめっき浴に添加して、光沢Znめっき又は半光沢Znめっきとしてもよい。
硫酸亜鉛七水和物 :100〜400g/L
硫酸コバルト七水和物: 10〜100g/L
硫酸アンモニウム : 0〜100g/L
硫酸ナトリウム : 0〜100g/L
浴温 :30〜60℃
pH :0.5〜5.0
撹拌 :空気撹拌又は噴流撹拌
電流密度 :10〜60A/dm2
付着量が22.0g/m2を超える場合には、電解めっきの操業性が低下するためコストが大幅に増大する観点、あるいは後の熱処理工程によりZnが蒸散し、製造ラインが汚染される可能性がある観点から好ましくない。付着量の上限は、より好ましくは11.0g/m2以下であり、さらに好ましくは5.5g/m2以下である。
コスト、耐電解液性の観点で、より好ましくは3.4g/m2〜27.0g/m2であり、さらに好ましくは5.1g/m2〜22.5g/m2である。
一方で、高温連続焼鈍の上記熱処理範囲より高温又は長時間の場合、目的とする第1領域20Aが得られないこと、合金層20M中のZnが蒸散してしまい熱処理ラインが汚染される可能性があること、あるいはコスト的な観点から、好ましくない。
一方で、上記熱処理範囲より高温又は長時間の場合、目的とする第1領域20Aが得られないこと、合金層20M中のZnが蒸散してしまい熱処理ラインが汚染される可能性があること、あるいはコスト的な観点から、好ましくない。なお、昇温工程および冷却工程を含めたトータルの熱処理時間は、5〜90時間が好ましい。
以下に、実施例を挙げて本発明について、より具体的に説明する。
<実施例1>
[表面処理板の製造]
まず基材10として下記に示す化学組成を有する低炭素アルミキルド鋼の冷間圧延板(厚さ250μm)を準備した。
C:0.04重量%、Mn:0.32重量%、Si:0.01重量%、P:0.012重量%、S:0.014重量%、残部:Feおよび不可避的不純物
なお、Niめっきの条件は、以下の通りとした。
(Niめっきの条件)
浴組成:ワット浴
硫酸ニッケル六水和物:250g/L
塩化ニッケル六水和物:45g/L
ほう酸:30g/L
浴温:60℃
pH:4.0〜5.0
撹拌:空気撹拌又は噴流撹拌
電流密度:10A/dm2
なお、Znめっきの条件は、以下の通りとした。
(Znめっきの条件)
浴組成 硫酸亜鉛七水和物:220g/L
硫酸ナトリウム:50g/L
浴温 :40℃
pH:1.0〜2.0
撹拌:空気撹拌又は噴流撹拌
電流密度 :10 A/dm2
得られたNiめっき層とZnめっき層の付着量を蛍光X線(XRF)測定により得た。蛍光X線装置は、リガク社製、ZSX100eを用いた。また、蛍光X線測定においては表面処理板の表面処理層に含まれる金属元素の検量線法による定量が可能であり、実施例8、12、13、14においてはCoがZnに対して0.1〜5wt%の割合で含有されていることを確認した。
得られた表面処理鋼板に対して、NiとZnの合計量に対するNiの割合が60%〜85%である領域の有無、及びその厚さをグロー放電発光表面分析(GDS)により得た。
また、表面処理板をアルカリ溶液中に浸漬させた上で電気化学測定システムを用いて通電させることで反応させ、反応前後の表面処理板の表面におけるNi及びZnの割合を走査型オージェ電子分光分析(AES)により得て、耐電解液性について評価した。
さらに、腐食電流測定を測定することにより、ガス発生抑制効果の有無について評価した。各々の測定・評価は以下のように行った。
表面処理鋼板の合金層における、NiとZnの合計量に対するNiの割合が60%〜85%である領域(第1領域)の有無、及びその厚さの測定は、グロー放電発光表面分析(GDS)によって行った。
同様に、NiとZnの合計量に対するNiの割合が0%〜60%未満である領域(第2領域)と、NiとZnの合計量に対するNiの割合が85%超〜100%である領域(第3領域)についても、同様に厚さの測定を行った。
・装置:高周波グロー放電発光分光分析装置(堀場製作所製 GD−Profiler2)
・検出機能:HDDモード
・アノード径:4mm
・励起モード:ノーマル
・光源圧力:600Pa
・光源出力:35W
・検出波長:Ni=352nm、Zn=481nm、Fe=371nm
なお実施例1ではCo及びMoは含まれていなかった。
まず、上記実施例1と同様のめっき条件および厚さのNiめっき層及びZnめっき層を形成した後、熱拡散前の鋼板(調整用サンプルと称する)に対してサンプル表面において、GDSでスパッタリングでエッチングを行いながら、厚み方向のNi、Zn、Feそれぞれの強度を測定した。
Max(Ni)×A(Ni)=Max(Zn)×B(Zn)=Max(Fe)×C(Fe)
なお、「Max(Ni)」はNiの最大強度、「Max(Zn)」はZnの最大強度、「Max(Fe)」はFeの最大強度を示す。
また、得られた補正係数をNi、Zn、Feそれぞれの強度に掛けて補正データ(図7参照)を得た。
また、得られたエッチングレートにより、Ni:Zn=1:1の場合のエッチングレートをNiのエッチングレートとZnのエッチングレートの平均値とし、これをNi−Zn合金のエッチングレートと規定した。
Ni割合 = (Ni強度)/{(Ni強度)+(Zn強度)}×100
Ni割合が60%〜85%の範囲(図8(b)参照)より、Ni割合が60%〜85%のスパッタリング時間の範囲(単位:秒、図8(b)参照)を求めた。
なお、第1領域(Ni割合が60〜85%)は、上述のようにNi:Zn=1:1の場合のエッチングレートを用いて算出したが、第2領域(Ni割合が0〜60%未満)は表1におけるZnのエッチングレートを用いて厚さを算出した。
また、第3領域(Ni割合が85%超〜100%)は表1におけるNiのエッチングレートを用いて厚さを算出した。
得られた表面処理板について、アルカリ溶液に浸漬した場合の腐食電流密度を測定することにより、ガス発生抑制効果について評価した。
具体的には、析出Znとの局部電池を模す試験として、対極にZn板を用い、アルカリ溶液に浸漬して30秒経過時点での腐食電流密度を測定することにより、ガス発生のしやすさおよびガス発生量の多さの目安とした。
・装置:北斗電工製 HZ5000
・試験極:測定サンプル(測定径φ6mm)
・対極:Zn板(20×20mm、厚み0.5mm)
・測定方法:クロノクーロメトリ
次に、得られた表面処理板について、表面処理板表面のNiとZnの割合を、アルカリ溶液(30wt%水酸化カリウム溶液)を用いたアノード反応試験の前後で測定することにより、耐電解液性を評価した。
具体的には、溶解反応が進行しやすい放電時の負極集電板のアノード反応を想定し、放電時のアルカリ溶液中における耐溶解性(耐電解液性)を評価するために、電気化学測定法を用いて通電しアノード反応試験を行った。また、表面処理板のNiとZnの割合は、走査型オージェ電子分光分析(AES)により得た。得られた数値を表2に示す。
ここで、走査型オージェ電子分光分析におけるNiとZnの割合(at%)は、たとえば、次の方法により求めることができる。すなわち、まず、金属層20の表面について、走査型オージェ電子分光分析装置(AES)を用いて10nmエッチング後に測定を行い、金属層20の表面のNiとZnの割合(at%)を算出する。なお、本発明においては、走査型オージェ電子分光分析装置を用いた測定により得られたピークのうち、830〜860eVのピークをNiのピークとし、980〜1010eVのピークをZnのピークとし、Ni,Znの合計を100原子%として、NiおよびZnの割合(at%)を測定する。
・電気化学測定器:北斗電工製 HZ5000
・試験極:測定サンプル(20mm×20mm)
・対極:Cu板
・参照極:Ag/AgCl(KCl飽和)
・電解液:30wt%水酸化カリウム溶液
・電流密度:50mA/cm2
・測定方法:クロノポテンショメトリ
・電気量:21C/cm2
したがって、アルカリ溶液に表面が溶解し表面の組成割合が変わった結果Ni割合が85%を超えてしまうような材料は、初期のガス発生は見られずとも溶解後にガス発生が生じやすくなってしまうため適さないとして、×とした。
Niめっき層とZnめっき層の付着量、厚さを表2のとおりとし、熱処理の温度と時間を表2のとおりとした以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示した。
Niめっき層とZnめっき層の付着量、厚さを表2のとおりとし、熱処理の温度と時間を表2のとおりとした以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示した。
Niめっき層とZnめっき層の付着量、厚さを表2のとおりとし、熱処理の温度と時間を表2のとおりとした以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示した。
Niめっき層とZnめっき層の付着量、厚さを表2のとおりとし、熱処理の温度と時間を表2のとおりとした以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示した。
Niめっき層とZnめっき層の付着量、厚さを表2のとおりとし、熱処理の温度と時間を表2のとおりとした以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示した。
実施例6と同様の処理条件のサンプルを作成し、サンプル作成工程におけるNiめっき後、Znめっき後かつ熱処理前のサンプル、及び、熱処理後のサンプルにおいて、Zn付着量の測定を行った。測定は、島津製作所社製ICP発光分光分析装置ICPE−9000を用いて求めた。
熱処理前後でのZnの減少率、つまり熱処理前と熱処理後のZn付着量の差の、熱処理前のZn付着量に対する比率を算出したところ、減少率は8%であった。すなわち、Zn付着量の8%が熱処理により蒸散していると判断される。この結果は、Zn蒸散による熱処理ラインの汚染の問題や、コスト的な観点から見て、問題ないと判断できる。
Niめっき層とZnめっき層の付着量、厚さを表2のとおりとし、熱処理の温度と時間を表2のとおりとした以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示した。
実施例1のZnめっき層に替えて、Zn−Coめっき層を形成した。めっき条件は下記のとおりとした。
(Zn−Coめっきの条件)
浴組成 硫酸亜鉛七水和物:230g/L
硫酸コバルト七水和物: 30g/L
硫酸アンモニウム : 30g/L
浴温 :40℃
pH :2.5〜4.0
撹拌:噴流撹拌
電流密度 :20 A/dm2
Niめっき層の付着量、厚さを表2のとおりとし、熱処理の温度と時間を表2のとおりとした。それ以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示した。
Niめっき層とZnめっき層の付着量、厚さを表2のとおりとした。熱処理をバッチ焼鈍(箱型焼鈍)とし、熱処理の温度と時間を表2のとおりとした以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示した。
また、実施例9と同様の処理条件のサンプルを作成し、サンプル作成工程におけるNiめっき後、Znめっき後かつ熱処理前のサンプル、及び、熱処理後のサンプルにおいて、Zn付着量の測定を行った。測定は、島津製作所社製ICP発光分光分析装置ICPE−9000を用いて求めた。
熱処理前後でのZnの減少率、つまり熱処理前と熱処理後のZn付着量の差の、熱処理前のZn付着量に対する比率を算出したところ、減少率は3%であった。
Niめっき層とZnめっき層の付着量、厚さを表2のとおりとした。熱処理をバッチ焼鈍(箱型焼鈍)とし、熱処理の温度と時間を表2のとおりとした以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示した。
Niめっき層とZnめっき層の付着量、厚さを表2のとおりとした。熱処理をバッチ焼鈍(箱型焼鈍)とし、熱処理の温度と時間を表2のとおりとした以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示した。
電流密度を10A/dm2に変えた以外は実施例8と同様の条件でZnめっき層に替えてZn−Coめっき層を形成した。厚さは表2のとおりとした。またNiめっき層の付着量、厚さは表2のとおりとした。熱処理をバッチ焼鈍(箱型焼鈍)とし、熱処理の温度と時間を表2のとおりとした以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示した。
Niめっき層とZn−Coめっき層の付着量、厚さを表2のとおりとした。熱処理をバッチ焼鈍(箱型焼鈍)とし、熱処理の温度と時間を表2のとおりとした以外は実施例8と同様に行った。結果を表2に示した。
実施例8により得られた表面処理鋼板に対して、さらに表2に示す条件で連続焼鈍の後バッチ焼鈍(箱型焼鈍)を施した。結果を表2に示した。
Niめっき層とZnめっき層の付着量、厚さを表2のとおりとした。熱処理をバッチ焼鈍(箱型焼鈍)とし、熱処理の温度と時間を表2のとおりとした以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示した。
Niめっき層とZnめっき層の付着量、厚さを表2のとおりとした。熱処理をバッチ焼鈍(箱型焼鈍)とし、熱処理の温度と時間を表2のとおりとした以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示した。
Niめっき層とZnめっき層の付着量、厚さを表2のとおりとした。熱処理をバッチ焼鈍(箱型焼鈍)とし、熱処理の温度と時間を表2のとおりとした以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示した。
また、実施例17と同様の処理条件のサンプルを作成し、サンプル作成工程におけるNiめっき後、Znめっき後かつ熱処理前のサンプル、及び、熱処理後のサンプルにおいて、Zn付着量の測定を行った。測定は、島津製作所社製ICP発光分光分析装置ICPE−9000を用いて求めた。
熱処理前後でのZnの減少率、つまり熱処理前と熱処理後のZn付着量の差の、熱処理前のZn付着量に対する比率を算出したところ、減少率は20%であった。すなわち、Zn付着量の20%が熱処理により蒸散していると判断される。この結果は、Zn蒸散による熱処理ラインの汚染の問題や、コスト的な観点から見て、問題ないと判断できるが、実施例9と比較して、Zn付着量が増えることによって、蒸散量が増えることが確認された。
Niめっき層とZnめっき層の付着量、厚さを表2のとおりとした。熱処理をバッチ焼鈍(箱型焼鈍)とし、330℃で1.5時間焼鈍した後、連続的に390℃で1時間焼鈍を行った。なお温度変更時には、炉の解放・冷却は行わなかった。それ以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示した。
Niめっき層とZnめっき層の付着量、厚さを表2のとおりとした。熱処理をバッチ焼鈍(箱型焼鈍)とし、熱処理の温度と時間を表2のとおりとした以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示した。
Niめっき層とZnめっき層の付着量、厚さを表2のとおりとした。熱処理をバッチ焼鈍(箱型焼鈍)とし、熱処理の温度と時間を表2のとおりとした以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示した。
Niめっき層とZnめっき層の付着量、厚さを表2のとおりとした。熱処理は行わなかった。それ以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示した。
Niめっき層とZnめっき層の付着量、厚さを表2のとおりとし、熱処理の温度と時間を表2のとおりとした以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示した。
Niめっき層とZnめっき層の付着量、厚さを表2のとおりとし、熱処理の温度と時間を表2のとおりとした以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示した。
なお、比較例3のサンプルにおける熱処理前後でのZnの減少率の測定は行っていないが、アノード反応試験前のAESによる測定において、比較例5(ニッケル板)と同程度の割合であったため、90%以上の減少率であると考えられる。すなわち850℃という高温での処理ではZnが大量に蒸散してしまうため、Zn蒸散による熱処理ラインの汚染の可能性や、コスト的な観点から、好ましくないと判断できる。
Niめっき層とZnめっき層の付着量、厚さを表2のとおりとした。熱処理をバッチ焼鈍(箱型焼鈍)とし、熱処理の温度と時間を表2のとおりとした以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示した。
また、比較例4と同様の処理条件のサンプルを作成し、サンプル作成工程におけるNiめっき後、Znめっき後かつ熱処理前のサンプル、及び、熱処理後のサンプルにおいて、Zn付着量の測定を行った。測定は、島津製作所社製ICP発光分光分析装置ICPE−9000を用いて求めた。
熱処理前後でのZnの減少率、つまり熱処理前と熱処理後のZn付着量の差の、熱処理前のZn付着量に対する比率を算出したところ、減少率は45%であった。すなわち、Zn付着量の45%が熱処理により蒸散していると判断される。やや高温である500℃で8時間という長時間の熱処理では、Znが多く蒸散しやすいため、Zn蒸散による熱処理ラインの汚染や、コスト的な観点から、好ましくないと判断できる。
Ni板を用いて腐食電流密度測定によるガス発生抑制評価を行った。
Zn板を用いて腐食電流密度測定によるガス発生抑制評価を行った。
Niめっき層とZnめっき層の付着量、厚さを表2のとおりとした。熱処理をバッチ焼鈍(箱型焼鈍)とし、熱処理の温度と時間を表2のとおりとした以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示した。
より詳細には、実施例6,7,9,10,12,19においてはガス発生抑制効果として腐食電流密度が10.0以下で十分であり、また、アノード反応試験前後でNiとZnの組成割合がいずれも60〜85%でほぼ変化なく、優れた耐電解液性をも有していることが確認された。
一方で比較例においては、第1領域を有していない、あるいは十分な厚みを有していないため、腐食電流密度が大きくガス発生のおそれがある、あるいは、耐電解液性が低く、アルカリ溶液反応によって表面が溶解し、Ni割合が85%を超えてしまうことが確認された。
また、上記した実施形態と実施例は主としてニッケル亜鉛電池用途を前提として説明したが、本発明はニッケル亜鉛電池用途に限られずその他の電池の用途にも適用が可能である。
10 基材
20 金属層
20M 合金層
20A 第1領域
20B 第2領域
20C 第3領域
Claims (12)
- 基材と、前記基材の少なくとも片面に形成される金属層を有するアルカリ二次電池用表面処理板であって、
前記基材が金属板であり、
前記金属層が、Ni及びZnを有する合金層を含み、
前記合金層は、NiとZnの合計量に対するNiの割合が60〜85%である第1領域を含み、
前記第1領域の厚さが0.15μm以上であることを特徴とする、
アルカリ二次電池用表面処理板。 - 前記金属層がCo又はFeをさらに含む、請求項1に記載のアルカリ二次電池用表面処理板。
- 前記第1領域が前記金属層中における最表面に位置する、請求項1又は2に記載のアルカリ二次電池用表面処理板。
- 前記金属層において、前記第1領域より表面側に、NiとZnの合計量に対するNiの割合が0〜60%未満である第2領域がさらに含まれる、請求項1又は請求項2に記載のアルカリ二次電池用表面処理板。
- 前記第2領域の厚さが0.0μm超〜4.0μm以下である、請求項4に記載のアルカリ二次電池用表面処理板。
- 前記基材と前記第1領域との間に、NiとZnの合計量に対するNiの割合が85%超〜100%である第3領域がさらに含まれる、請求項1〜5のいずれか一項に記載のアルカリ二次電池用表面処理板。
- 前記第3領域の厚さが0.2μm〜5.0μmである、請求項6に記載のアルカリ二次電池用表面処理板。
- 前記基材が鋼板、アルミニウム板、アルミニウム合金板、銅板、銅合金板、鉄板、鉄合金板、ステンレス鋼板、ニッケル板、ニッケル合金板のいずれかである、請求項1〜7のいずれか一項に記載のアルカリ二次電池用表面処理板。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載のアルカリ二次電池用表面処理板を用いた、アルカリ二次電池。
- 基材の少なくとも片面上に電解めっきによりNiめっき層を形成するNiめっき層形成工程と、
前記Niめっき層上に電解めっきによりZnめっき層を形成するZnめっき層形成工程と、
前記Niめっき層及び前記Znめっき層に対して熱処理を行う熱処理工程と、を有し、
前記熱処理工程が、
Ni及びZnを熱拡散させて合金層を形成する合金層形成工程と、
NiとZnの合計量に対するNiの割合が60%〜85%である第1領域を0.15μm以上の厚さで前記合金層中に形成する、第1領域形成工程と、を含むことを特徴とする、
アルカリ二次電池用表面処理板の製造方法。 - 前記Znめっき層におけるZn付着量が0.5g/m2〜22.0g/m2である、請求項9に記載のアルカリ二次電池用表面処理板の製造方法。
- 前記Niめっき層におけるNi付着量が1.7g/m2〜45.0g/m2である、請求項9又は請求項10に記載のアルカリ二次電池用表面処理板の製造方法。
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