JP2020164895A - 接合材及び接合方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い接合強度を有し、ボイドが十分に低減された金属接合層を有する接合体を形成可能な接合材を提供すること。【解決手段】金属ナノ粒子及び溶剤を含む接合材であって、該接合材を窒素雰囲気中で3℃/分の昇温速度で40℃から700℃まで昇温したときの加熱減量L700を100%としたときに、100℃における加熱減量L100が75%以下であり、150℃における加熱減量L150が90%以上であり、200℃における加熱減量L200が98%以上である、接合材。【選択図】なし

Description

本発明は、接合材及び接合方法に関する。
従来、銅基板などの金属基板上に半導体チップなどの電子部品を搭載した半導体装置では、電子部品が半田により基板上に固定されていたが、近年では、人体や環境などへの負荷を考慮して、従来の鉛を含む半田から鉛フリー半田への移行がなされている。
また、このような半導体装置において、基板上への実装密度を大きくするために電子部品が小型化されていることから、これらを駆動する電流密度は大きくなる傾向にある。その結果として、電子部品の稼働時の発熱も大きくなる。また、半導体素子として、広く使用されていたSi素子よりも低損失で優れた特性のSiC素子を使用することが検討されている。このSiC素子を基板上に搭載した半導体装置では、動作温度が200℃を超える場合もある。このような高温環境にさらされ得る半導体装置の製造においては、電子部品を基板上に固定する半田として、融点が高い高温半田を使用する必要があるが、このような高温半田は鉛フリー化が困難である。
一方、近年、銀などの金属からなる(微)粒子及び溶剤を含む金属ペーストを接合材として使用し、被接合部材間に接合材を介在させ、これを所定時間加熱して、接合材中の金属を焼結させて、金属接合層により被接合部材同士を接合して接合体となすことが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような金属ペーストから形成される金属接合層は、通常の半田より融点が高いため、半田の代わりに使用して、基板上に電子部品を固定する試みがなされている。
なお特許文献2の比較例4には、銀微粒子1gと、1−デカノール0.3gと、オレイン酸0.1gとを混合して接合用組成物を調製したことが記載されている。
特開2011−80147号公報 WO2016/121296号パンフレット
被接合部材同士を金属接合層で接合した接合体について、これら部材を強固に接合できているかについては、接合強度が評価指標となる。更に、接合体には、信頼性や熱伝導性等の特性も求められる。発明者の検討によると、接合体が高い接合強度を達成していても、金属接合層中にボイドが存在している場合があることを知見した。このようなボイドが存在する接合体は、前記の信頼性や熱伝導性などの点で不十分である。
そこで本発明は、高い接合強度を有し、ボイドが十分に低減された金属接合層を有する接合体を形成可能な接合材を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した。
接合材は代表的には、金属粒子以外に溶剤やその他の非金属成分を含んでいる。この接合材を一方の被接合部材に塗布して塗膜を形成し、その上に他方の被接合部材を載置し、200℃以上の温度で加熱して塗膜を焼結させることで、接合を実施する。前記の加熱は、まず常温から焼結させる際の温度(焼結温度)まで昇温し、そしてその温度で保持することで実施される。これら塗膜の形成及び昇温過程において、以下のような事象が起きているものと考えられる。
すなわち前記一方の被接合部材に接合材を塗布して塗膜形成し、塗膜上に他方の被接合部材を載置すると、金属粒子が双方の被接合部材に付着する。そして焼結させるべく、塗膜を(100℃付近に)昇温していくと、被接合部材が膨張し、一方塗膜からは溶剤が徐々に揮発していくため塗膜は収縮する。このような反対方向の動きにより、被接合部材に付着した金属粒子が外れてこれらの接点が減り、焼結の際に金属粒子の被接合部材との一体化(原子拡散等)が十分に行われなくなり、接合強度の低下を引き起こすものと考えられる。
一方その後(150℃程度に)昇温していく中で非金属成分が所定量以上残存していると、非金属成分のうち溶剤(室温では一般にはある程度の粘性を有し、金属粒子をその中に分散させている)は粘度が低下して金属粒子をその中に分散させることが困難となる。また溶剤以外の非金属成分の多くは温度に関わらず金属粒子をその中に分散させる機能を有していない。この結果、金属粒子と非金属成分の分離が生じるものと考えられる。このような分離が生じたまま焼結に移行すると、形成される金属接合層中に非金属成分由来のボイドが形成されると考えられる。
前記の150℃程度の段階での非金属成分の残存量がそれほど多くなく、前記分離が生じなかったとしても、さらに昇温が進行して焼結温度ないしその温度付近(200℃程度)に達した時点で、非金属成分が所定量以上残存していると、金属粒子の焼結においてそれらの成分が十分に揮発せずに残存し、形成される金属接合層中にボイドが生じると考えられる。
そこで本発明者らは、昇温の比較的初期には一定量以上の溶剤を主とする非金属成分が残存し、そしてその後の昇温の所定の段階では溶剤を含んだ非金属成分が十分に揮発するように、接合材の組成を調整すれば、接合力に優れるとともに、ボイドが十分に低減された金属接合層を有する接合体を形成できるものと考えた。そしてそのような接合材を調製し、実際に、接合力に優れ、ボイドの低減された金属接合層を有する接合体を形成することができた。
以上のようにして、本発明者らは本発明を完成した。
すなわち本発明は、以下の通りである。
[1]金属ナノ粒子及び溶剤を含む接合材であって、該接合材を窒素雰囲気中で3℃/分の昇温速度で40℃から700℃まで昇温したときの加熱減量L700を100%としたときに、100℃における加熱減量L100が75%以下であり、150℃における加熱減量L150が90%以上であり、200℃における加熱減量L200が98%以上である、接合材。
[2]前記加熱減量L200が99.9%以下である、[1]に記載の接合材。
[3]前記接合材における金属成分と溶剤の含有量の合計が、97.5〜100質量%である、[1]又は[2]に記載の接合材。
[4]前記接合材中の溶剤の含有量が、前記接合材中の全非金属成分の質量のうち92〜100%を占める量である、[1]〜[3]のいずれかに記載の接合材。
[5]前記加熱減量L150が97%以下である、[1]〜[4]のいずれかに記載の接合材。
[6]前記接合材中の、沸点が230℃以上300℃未満である非金属成分の含有量が、前記接合材中の全非金属成分の質量のうち50%以上を占める量である、[1]〜[5]のいずれかに記載の接合材。
[7]前記接合材中の、沸点が300℃以上である非金属成分の含有量が、前記接合材中の全非金属成分の質量のうち35%以下を占める量である、[1]〜[6]のいずれかに記載の接合材。
[8]前記接合材中の、沸点が400℃以上である非金属成分の含有量が、前記接合材中の全非金属成分の質量のうち6%以下を占める量である、[1]〜[7]のいずれかに記載の接合材。
[9]前記接合材中の、沸点が400℃以上である非金属成分の含有量が、前記接合材中の全非金属成分の質量のうち3.0%以上を占める量である、[8]に記載の接合材。
[10]前記金属ナノ粒子の平均一次粒子径が10〜500nmである、[1]〜[9]のいずれかに記載の接合材。
[11]一次粒子径が500nmを超える金属粗大粒子を含む、[1]〜[10]のいずれかに記載の接合材。
[12]前記金属粗大粒子の一次粒子径が550〜1000nmである、[11]に記載の接合材。
[13]前記接合材中の金属成分の含有量が、85〜98質量%である、[1]〜[12]のいずれかに記載の接合材。
[14][1]〜[13]のいずれかに記載の接合材に樹脂を混合してなる、樹脂配合型接合材。
[15]2つの被接合部材を接合する接合方法であって、一方の前記被接合部材に[1]〜[13]のいずれかに記載の接合材を塗布して塗膜を形成する工程と、該塗膜上に他方の前記被接合部材を載置する工程と、前記他方の被接合部材が載置された塗膜を1.5℃/分〜10℃/分の昇温速度で200〜350℃の焼結温度まで昇温し、該焼結温度で1分〜2時間保持して前記塗膜から金属接合層を形成する焼結工程とを有する、接合方法。
[16]前記焼結工程における昇温速度を2℃/分〜6℃/分とする、[15]に記載の接合方法。
[17]前記一方の被接合部材が基板であり、前記他方の被接合部材が半導体素子である、[15]又は[16]に記載の接合方法。
[18]前記半導体素子の被接合面の面積が9mm以上である、[17]に記載の接合方法。
本発明によれば、高い接合強度を有し、ボイドが十分に低減された金属接合層を有する接合体を形成可能な接合材が提供される。
SOLPLUS D540の熱重量測定チャートを示す図である。 実施例におけるシア強度の評価方法を説明する概略図である。 実施例1〜5の接合材を使用して得られた接合体のSi素子−銀接合層−銅基板の接合部を、マイクロフォーカスX線透視装置で撮影した結果を示す(図は画像処理後のもの)。 比較例1〜4の接合材を使用して得られた接合体のSi素子−銀接合層−銅基板の接合部を、マイクロフォーカスX線透視装置で撮影した結果を示す(図は画像処理後のもの)。 比較例5〜7の接合材を使用して得られた接合体のSi素子−銀接合層−銅基板の接合部を、マイクロフォーカスX線透視装置で撮影した結果を示す(図は画像処理後のもの)。
以下、本発明の接合材及び接合方法の実施の形態について説明する。
[接合材]
本発明の接合材の実施の形態は、金属ナノ粒子及び溶剤を含み、下記で説明する特定の加熱減量の条件を満足することを特徴としている。なお、接合材中の金属成分と溶剤の合計量は、接合強度や信頼性に優れた接合体を形成する観点から好ましくは97.5〜100質量%であり、より好ましくは98.5〜99.9質量%である。金属成分の含有量は、接合材中の金属ナノ粒子、そして後述する金属粗大粒子の含有量の合計の指標となるものである。
接合強度や信頼性に優れた接合体を形成する観点から、接合材中の溶剤の含有量は、接合材中の全非金属成分の質量のうち92〜100%を占める量であることが好ましく、95〜99%を占める量であることがより好ましい。
このように本発明の接合材の代表的な実施の形態は、その大部分が金属成分と溶剤で構成されている。以下、本発明の接合材の実施の形態の加熱減量に関して説明する。
<加熱減量>
本発明の接合材の実施の形態を窒素雰囲気中で3℃/分の昇温速度で40℃から700℃まで昇温したときの重量の減少(加熱減量L700)を100%としたとき、100℃における加熱減量L100、150℃における加熱減量L150、及び200℃における加熱減量L200が所定の範囲にある。
(加熱減量L700
前記加熱減量L100、L150、L200及びL700は、より詳細には以下のようにして求める。
SII社製TG/DTA(TG/DTA6300)を用いて、測定用アルミナパン(φ0.5mm)に接合材を10±1mmg計量し、200mL/分の窒素雰囲気下で40℃から700℃までを昇温速度3℃/分で昇温させ、TG(熱重量測定)データを得る。温度が100℃、150℃、200℃及び700℃になった時点での加熱減量を記録し、700℃になった時点での加熱減量分を100%とし、これに対する100℃、150℃及び200℃時点での加熱減量分の相対値(%)を求める。このとき、同様の測定方法が実施可能な場合は測定装置として他社製のものを用いてもよいが、使用する測定用アルミナパンとしてはφ0.5mmのものを使用する。
(加熱減量L100
本発明の接合材の実施の形態は、上記のようにして求めた加熱減量L700を100%としたとき、昇温して100℃になった時点での加熱減量L100が75%以下である。このように100℃の時点で溶剤等の非金属成分の一定量が残存することによって、昇温時の被接合部材の熱膨張と、接合材で形成された塗膜の収縮という反対方向の動きによる、金属ナノ粒子(及び接合材が含有する場合は後述の金属粗大粒子)と被接合部材との接点の減少が良好に防止されるものと考えられる。このような作用を良好に発揮する観点から、加熱減量L100は好ましくは65%以下であり、より好ましくは45%以下である。また、加熱減量L100は好ましくは15%以上である。
(加熱減量L150
本発明の接合材の実施の形態は、上記のようにして求めた加熱減量L700を100%としたとき、昇温して150℃になった時点での加熱減量L150が90%以上である。このように150℃の時点で接合材中の溶剤を含む非金属成分のほとんどが揮発して残存していないことによって、金属成分と非金属成分の分離が生じた状態で焼結が始まることが防止されるものと考えられる。このような作用を良好に発揮する観点から、加熱減量L150は92%以上であることが好ましい。なお、接合強度を高める観点からは、加熱減量L150は97%以下であることが好ましい。
(加熱減量L200
本発明の接合材の実施の形態は、上記のようにして求めた加熱減量L700を100%としたとき、昇温して200℃になった時点での加熱減量L200が98%以上である。このように200℃の時点で接合材中の非金属成分のほぼ全てが揮発して残存していないことによって、非金属成分が残存して金属接合層中にボイドが形成されることが有効に防止される。このような作用を良好に発揮する観点から、加熱減量L200は98.5%以上であることが好ましい。なお、200℃時点で有機成分が一切残存しなくなることは稀であり、加熱減量L200は通常99.9%以下である。
{本発明規定の各加熱減量を実現する接合材の組成}
以上説明した各種加熱減量を実現する接合材(すなわち本発明の接合材)の具体的な組成について、以下に説明する。なお上述の通り、本発明の接合材の代表的な実施の形態は、その大部分が金属成分(金属ナノ粒子と、含有する場合は金属粗大粒子)と溶剤とにより構成されている。溶剤はある程度の粘度を有し、金属成分をその中に分散させることができるものであることが好ましく、具体的には25℃で15.7s−1にて測定した粘度が5mPa・s〜100Pa・sであることが好ましい。
(加熱減量L100に関して)
上述の通り、本発明の接合材の代表的な実施の形態は、その大部分が金属成分と溶剤とにより構成されている。接合材について、加熱減量L100が75%以下となるためには、接合材中の非金属成分(溶剤を主とする)として、沸点がある程度高く、100℃ではあまり揮発しない成分を一定量以上含むことが好ましい。具体的には、沸点が230℃以上300℃未満である非金属成分Sを含むことが好ましい。その含有量は、接合材中の全非金属成分の質量のうち50%以上を占める量であることが好ましく、70%以上を占める量であることが好ましく、高い接合強度を達成し金属接合層中のボイドを低減する観点から、88〜99%を占める量であることがより好ましい。このように沸点がある程度高いが、高すぎはしない非金属成分Sを前記の量含有することによって、加熱減量L100を実現しつつ、またL150及びL200も実現しやすくすることができる。
なお本発明において沸点とは、メーカーカタログ等による公称値が有る場合はその数値を採用することができ、公称値が無い場合は熱重量測定(TG)により加熱減量L700等を求める場合と同様にして測定する。なお測定開始温度は25℃とする。25℃から3℃/分の速度で昇温させていき、熱減量が95%となったときの温度を、その物質の沸点とする。700℃まで昇温しても熱減量が95%に満たない場合は、その物質の沸点は便宜的に700℃とみなす。
以上説明した非金属成分Sの具体例としては、1−デカノール(沸点(公称値):233℃)、3−メチルブタン−1,2,3−トリオール(イソプレントリオールA(IPTL−A))(沸点(公称値):255℃、日本テルペン化学株式会社製)、2−メチルブタン−1,3,4−トリオール(イソプレントリオールB(IPTL−B))(沸点(公称値):278℃、日本テルペン化学株式会社製)及びジエチレングリコール(沸点(公称値):245℃)が挙げられる。
(加熱減量L150に関して)
接合材について、加熱減量L150が90%以上となるためには、接合材中の上記非金属成分Sよりも揮発しにくい物質(溶剤やその他の添加剤)の含有量がある程度少ないことが望ましい。具体的には、前記接合材中の、沸点が300℃以上である非金属成分Sの含有量が、接合材中の全非金属成分の質量のうち35%以下を占める量であることが好ましい。高い接合強度を達成し金属接合層中のボイドを少なくする観点から、前記非金属成分Sの含有量は、接合材中の全非金属成分の質量のうち10%以下を占める量であることがより好ましく、7%以下を占める量であることが特に好ましい。
以上説明した非金属成分Sの具体例としては、テルソルブMTPH(沸点(公称値):308〜318℃、日本テルペン化学株式会社製)及びSOLPLUS D540(沸点:700℃(SOLPLUS D540の熱重量測定結果を図1に示す))が挙げられる。
(加熱減量L200に関して)
接合材について、加熱減量L200が98%以上となるためには、加熱減量L150に関して説明した非金属成分S以上に揮発しにくい物質の含有量が少ないことが望ましい。具体的には、接合材中の、沸点が400℃以上である非金属成分Sの含有量が、接合材中の全非金属成分の質量のうち6%以下を占める量であることが好ましい。金属接合層による高い接合強度を達成し金属接合層中のボイドを少なくする観点から、非金属成分Sの含有量は、接合材中の全非金属成分の質量のうち5%以下を占める量であることがより好ましい。なお非金属成分Sの存在は、加熱減量L150を大きくする方向にも作用する。上述の通り、接合強度を高める観点からは加熱減量L150は97%以下であることが好ましいが、これを達成するために、非金属成分Sの含有量が、接合材中の全非金属成分の質量のうち3.0%以上を占める量であることが好ましく、3.25%以上を占める量であることがより好ましい。
以上説明した非金属成分Sの具体例としては、分散剤であるSOLPLUS D540(沸点:700℃)が挙げられる。
<金属ナノ粒子>
以上説明した本発明の接合材の実施の形態は、金属ナノ粒子を含む。金属粒子の粒子径が小さくなるとその反応性が高まり、比較的低温での加熱によっても焼結させることができる。また金属粒子が数ミクロンサイズである接合材の塗膜を焼結させて被接合部材を基板に接合する際には、強い加圧が必要となり、被接合部材等にダメージを与えてしまう恐れがあるが、ナノメートルサイズの金属ナノ粒子であれば、加圧を弱くしても、あるいは加圧をしなくとも接合が可能であり、前記の恐れが無い、ないしは少ない。このような利点を享受するため、前記金属ナノ粒子の平均一次粒子径は10〜500nmであることが好ましく、10〜350nmであることがより好ましく、10〜250nmであることが更に好ましく、10〜150nmであることが特に好ましい。
なお本明細書において、平均一次粒子径とは、金属ナノ粒子の透過型電子顕微鏡写真(TEM像)又は走査型電子顕微鏡写真(SEM像)から求められる一次粒子径の平均値(個数基準の平均一次粒子径)をいう。更に具体的には、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子株式会社製のJEM−1011)又は走査型電子顕微鏡(SEM)(日立ハイテクノロジーズ株式会社製のS−4700)により金属ナノ粒子を所定の倍率で観察した画像(SEM像又はTEM像)上の100個以上の任意の金属ナノ粒子の一次粒子径(金属ナノ粒子と面積が同じ円(面積相当円)の直径)から算出することができる。面積相当円の直径の算出は、例えば、画像解析ソフト(旭化成エンジニアリング株式会社製のA像くん(登録商標))により行うことができる。
金属ナノ粒子は粒子径が小さく凝集し易い傾向にある。これを防止するため、金属ナノ粒子は有機化合物で被覆されているのが好ましい。なお、この有機化合物としては金属ナノ粒子を被覆可能な公知のものを特に制限なく使用可能である。前記有機化合物の例としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、チオール基及びジスルフィド基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する炭素数1〜18の有機化合物が挙げられる。この有機化合物は分岐を有してもよく、飽和であっても不飽和であってもよい。
低温(例えば160〜350℃)での焼成により十分に金属ナノ粒子から分離して金属ナノ粒子同士の焼結を阻害しないように、有機化合物としては炭素数12以下、好ましくは炭素数2〜8の飽和脂肪酸もしくは不飽和脂肪酸や飽和アミンもしくは不飽和アミンが好ましい。このような脂肪酸やアミンの例として、ヘキサン酸、ソルビン酸、ヘキシルアミン及びオクチルアミンが挙げられる。
金属ナノ粒子の構成金属としては、銀、銅、金、白金、ニッケル、パラジウム、鉄、アルミニウム及びチタンが挙げられる。金属ナノ粒子はこれら金属のいずれか単体からなる粒子であってもよいし、これらの任意の組合せの合金からなる粒子であってもよい。コストや接合材から形成される金属接合層の導電性の観点から、これらの中でも銀、銅及びニッケルが好ましく、さらに導電性の観点から銀及び銅が特に好ましい。
<金属粗大粒子>
また接合材は、一次粒子径が500nmを超える金属粗大粒子を含んでいてもよい。金属粗大粒子における構成金属の例及び好ましいものは、金属ナノ粒子の場合と同様である。このような大きい金属粗大粒子を含んでいると、(金属粗大粒子を含まない場合に比べて)接合材の粘度を低下させることができ、接合材を印刷等により塗布し易くすることができる。このような塗布適性の観点から、金属粗大粒子の一次粒子径は、550〜1000nmであるのが好ましく、560〜900nmであるのがより好ましい。
<金属成分の含有量>
以上説明した通り、本発明の接合材の実施の形態は、金属ナノ粒子を含み、金属粗大粒子を含んでもよい。接合材中の金属成分の含有量はこれらの成分の合計含有量の指標とすることができ、金属成分の含有量は、接合強度が高く接合信頼性に優れた接合体を与える金属接合層を形成可能とする観点から、好ましくは81質量%以上であり、より好ましくは85〜98質量%であり、更に好ましくは88〜96質量%である。
接合材が金属粗大粒子を実質的に含まない場合(接合材を基板上に塗布し、真空乾燥して溶剤を除去して透過型電子顕微鏡(TEM)又は走査型電子顕微鏡(SEM)にて拡大倍率10000倍で観察したときに、視野中の一次粒子径が550nmを超える粒子の個数割合が2%以下である場合)、接合材中の金属ナノ粒子の含有量は、接合強度が高く接合信頼性に優れた接合体を与える金属接合層を形成可能とする観点から、好ましくは81質量%以上であり、より好ましくは85〜98質量%であり、更に好ましくは88〜96質量%である。
また接合材が金属粗大粒子を含む場合は、接合材中の金属ナノ粒子の含有量は、好ましくは10〜80質量%であり、より好ましくは15〜38質量%である。接合材中の金属粗大粒子の含有量は、好ましくは5〜88質量%であり、より好ましくは50〜81質量%である。また金属ナノ粒子及び金属粗大粒子の含有量の合計は、好ましくは85〜98質量%であり、より好ましくは88〜96質量%である。
<溶剤>
本発明の接合材の実施の形態は、溶剤を含む。この溶剤としては、金属ナノ粒子(及び接合材が含む場合は金属ナノ粒子に加えて金属粗大粒子)を分散させることができ(好ましくは25℃で15.7s−1にて測定した粘度が5mPa・s〜100Pa・sである)、接合材中の他の成分との反応性を実質的に有しないものを広く使用可能である。ただし、上記で説明した本発明における加熱減量L100、L150及びL200の条件を満たすように選択される。
接合材中の溶剤の含有量は、2〜15質量%であるのが好ましく、3.9〜11.9質量%であるのがより好ましい。この溶剤として、極性溶剤や非極性溶剤を使用することができるが、接合材中の他の成分との相溶性や環境負荷の観点から、極性溶剤を使用するのが好ましい。
極性溶剤の例としては、ターピネオール、テキサノール、フェノキシプロパノール、1−オクタノール、1−デカノール、1−ドデカノール、1−テトラデカノール、テルソルブMTPH(日本テルペン化学株式会社製)、ジヒドロターピニルオキシエタノール(日本テルペン化学株式会社製)、テルソルブTOE−100(日本テルペン化学株式会社製)、テルソルブDTO−210(日本テルペン化学株式会社製)、等のモノアルコール;
3−メチル−1,3−ブタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(オクタンジオール)、ヘキシルジグリコール、2−エチルヘキシルグリコール、ジブチルジグリコール、グリセリン、ジヒドロキシターピネオール、3−メチルブタン−1,2,3−トリオール(イソプレントリオールA(IPTL−A)、日本テルペン化学株式会社製)、2−メチルブタン−1,3,4−トリオール(イソプレントリオールB(IPTL−B)、日本テルペン化学株式会社製)等のポリオール;
ブチルカルビトール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ターピニルメチルエーテル(日本テルペン化学株式会社製)、ジヒドロターピニルメチルエーテル(日本テルペン化学株式会社製)等のエーテル化合物;
ブチルカルビトールアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールエーテルアセテート;
1−メチルピロリジノン、ピリジン等の含窒素環状化合物;
γ―ブチロラクトン、メトキシブチルアセテート、メトキシプロピルアセテート、乳酸エチル、3−ヒドロキシ−3−メチルブチルアセテート、ジヒドロターピニルアセテート、テルソルブIPG−2Ac(日本テルペン化学株式会社製)、テルソルブTHA−90(日本テルペン化学株式会社製)、テルソルブTHA−70(日本テルペン化学株式会社製)等のエステル化合物;
などを使用することができる。これらは1種単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
<その他の成分(添加剤)>
本発明の接合材の実施の形態は、公知の添加剤を含んでいてもよい。ただし、上記で説明した本発明における加熱減量L100、L150及びL200の条件を満たすように選択される。
添加剤として具体的には、酸系分散剤やリン酸エステル系分散剤などの分散剤、ガラスフリットなどの焼結促進剤、酸化防止剤、粘度調整剤、有機バインダー(例えば樹脂バインダー)、無機バインダー、pH調整剤、緩衝剤、消泡剤、レベリング剤、揮発抑制剤が挙げられる。添加剤の接合材における含有量は、0.1質量%以下であることが好ましい。
[接合材の製造方法]
本発明の接合材の実施の形態は、金属ナノ粒子と溶剤、更に他の任意成分を公知の方法で混練することで、製造することができる。混練の方法は特に制限されるものではなく、例えば、各成分を個別に用意し、任意の順で、超音波分散、ディスパー、三本ロールミル、ボールミル、ビーズミル、二軸ニーダー、又は公転式攪拌機などで混練することによって、接合材を製造することができる。
[接合方法]
本発明の接合方法の実施の形態は、本発明の接合材の実施の形態を用いて2つの被接合部材を接合する方法であり、この方法により、接合強度が高くかつ金属接合層のボイド量が十分に低減された接合体を得ることができる。本発明の接合方法の実施の形態は、塗膜形成工程と、載置工程と、焼結工程とを有し、その他予備乾燥工程等を実施してもよい。以下、これら各工程について説明する。
<塗膜形成工程>
本工程では、一方の被接合部材に本発明の接合材の実施の形態を(印刷などにより)塗布して塗膜を形成する。前記一方の被接合部材の例としては、基板が挙げられる。基板としては、銅基板などの金属基板、銅と何らかの金属(例えばW(タングステン)やMo(モリブデン))との合金基板、銅板をSiN(窒化珪素)やAlN(窒化アルミニウム)などに挟んだセラミック基板、更にPET(ポリエチレンテレフタレート)基板などのプラスチック基板が挙げられる。さらにこれらを積層した積層基板も、本発明の接合方法において使用可能である。被接合部材の接合材が塗布される個所は、金属でメッキされていてもよい。塗膜中の金属成分との接合相性の観点からは、前記一方の被接合部材の金属メッキにおける金属の種類は、接合材における金属成分の構成金属と同様であることが好ましい。
<載置工程>
続いて、前記の一方の被接合部材上に形成された塗膜の上に、他方の被接合部材を載置する。この他方の被接合部材の例としては、SiチップやSiCチップなどの半導体素子、一方の被接合部材の例として挙げたのと同様の基板が挙げられる。
また、他方の被接合部材の塗膜と接する個所(被接合面)は、金属でメッキされていてもよい。塗膜中の金属成分との接合相性の観点からは、前記他方の被接合部材の金属メッキにおける金属の種類は、接合材における金属成分の構成金属と同様であることが好ましい。また塗膜上に被接合部材を載置する際には、2つの被接合部材の間に、(塗膜を圧縮する方向の)圧力をかけてもかけなくてもよい。
本発明の接合方法の実施の形態は、後述する通り2つの被接合部材を強固に、高い信頼性をもって接合することができることから、前記一方の被接合部材が基板であり、前記他方の被接合部材が半導体素子であることが好ましい。
また本発明の接合方法の実施の形態は、大面積の半導体素子の接合を実施することができる。特に半導体素子の被接合面(塗膜ないしこれから形成される金属接合層と接触する面。塗膜は通常半導体素子の底面全面をカバーするように形成される)の面積が9mm以上である場合に、本発明の接合方法の実施の形態が好適であり、被接合面の面積が25mm以上である場合により好適であり、特に被接合面の面積が36〜400mmである場合に好適である。
<予備乾燥工程>
他方の被接合部材が載置された塗膜を加熱して焼結する際に、形成される金属接合層中のボイドを低減するため、塗膜上に他方の被接合部材を載置する前又は後に(載置工程の前又は後に)、塗膜を予備乾燥する予備乾燥工程を実施してもよい。予備乾燥は塗膜から溶剤の一部を除去することを目的としており、溶剤が揮発し、かつ金属ナノ粒子が焼結を実質的に起こさないような条件で乾燥する。このため、予備乾燥は塗膜を60〜150℃で加熱することによって実施することが好ましい。この加熱による乾燥は大気圧下で行ってもよいし、減圧ないし真空下で行ってもよい。また、次に説明する焼結工程において、焼結温度までの昇温速度が7℃/分以下であれば、焼結温度までの昇温をもって予備乾燥工程を実施することができる。
<焼結工程>
載置工程を実施して必要に応じて予備乾燥工程を実施した後、2つの被接合部材にサンドイッチされた塗膜を1.5℃/分〜10℃/分の昇温速度で200〜350℃の焼結温度まで昇温し、その焼結温度で1分〜2時間保持して、前記塗膜から金属接合層を形成する。この金属接合層は、接合強度に優れ、またボイドが少ない。従ってこの焼結により、2つの被接合部材を強固に、高い信頼性をもって接合することができる。
焼結工程における焼結温度まで加熱する際の昇温速度は、高い接合強度を有し、ボイドの少ない金属接合層を有する接合体を形成する観点から、2℃/分〜6℃/分であることが好ましく、2.5℃/分〜4℃/分であることがより好ましい。またこのような昇温速度であれば、焼結温度までの昇温をもって予備乾燥工程を兼ねることができる。
焼結温度は、形成される金属接合層の接合強度やコストの観点から、220〜300℃であることが好ましい。
焼結温度で保持する時間は、形成される金属接合層の接合強度やコストの観点から、1〜90分であることが好ましい。
また、焼結温度までの昇温及びその焼結温度での保持の際に、被接合部材間に(塗膜を圧縮する方向の)圧力を加える必要はないが、5MPa以下(通常20Pa以上)の圧力を加えてもよい。
また、焼結工程は大気雰囲気中で実施しても窒素雰囲気などの不活性雰囲気中で実施してもよいが、酸化防止の観点から不活性雰囲気中で実施することが好ましく、更にコストの観点から、焼結工程を窒素雰囲気中で実施することがより好ましい。
[樹脂配合型接合材]
本発明の接合材に樹脂を混合して、樹脂配合型接合材としてもよい。樹脂を配合することで、金属粒子を接合材中により良好に分散させることができる。
樹脂の具体例としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、マレイン酸樹脂、無水マレイン酸樹脂、マレイミド樹脂、ジアリルフタレート樹脂、オキセタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリブタジエン樹脂、アルキド系樹脂、アミノ系樹脂、ポリ乳酸樹脂、オキサゾリン樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、シリコーン樹脂及びフッ素樹脂が挙げられる。
樹脂配合型接合材における樹脂の含有量は、0.1〜8質量%であることが好ましく、0.5〜6質量%であることがより好ましい。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
<接合材(実施例1〜5、比較例1〜7)の調製>
(銀ナノ粒子の調製)
5Lの反応槽に水3400gを入れ、この反応槽の下部に設けたノズルから3000mL/分の流量で窒素を反応槽内の水中に600秒間流して溶存酸素を除去した後、反応槽の上部から3000mL/分の流量で窒素を反応槽中に供給して反応槽内を窒素雰囲気にするとともに、反応槽内に設けた撹拌羽根付き撹拌棒により撹拌しながら、反応槽内の水の温度が60℃になるように調整した。この反応槽内の水に28質量%のアンモニアを含むアンモニア水7gを添加した後、1分間撹拌して均一な溶液にした。この反応槽内の溶液に有機化合物として飽和脂肪酸であるヘキサン酸(和光純薬工業株式会社製)45.5g(銀に対するモル比は1.98)を添加して4分間撹拌して溶解した後、還元剤として50質量%のヒドラジン水和物(大塚化学株式会社製)23.9g(銀に対して4.82当量)を添加して、還元剤溶液とした。
また、硝酸銀の結晶(和光純薬工業株式会社製)33.8gを水180gに溶解した硝酸銀水溶液を銀塩水溶液として用意し、この銀塩水溶液の温度が60℃になるように調整し、この銀塩水溶液に硝酸銅三水和物(和光純薬工業株式会社製)0.00008g(銀に対して銅換算で1ppm)を添加した。なお、硝酸銅三水和物の添加は、ある程度高濃度の硝酸銅三水和物の水溶液を希釈した水溶液を狙いの銅の添加量になるように添加することによって行った。
次に、上記の銀塩水溶液を上記の還元剤溶液に一挙に添加して混合して、攪拌しながら還元反応を開始させた。この還元反応の開始から約10秒で反応液であるスラリーの色の変化が終了し、攪拌しながら10分間熟成させた後、攪拌を終了し、吸引濾過による固液分離を行い、得られた固形物を純水で洗浄し、40℃で12時間真空乾燥して、(ヘキサン酸で被覆された)銀ナノ粒子の乾燥粉末を得た。なお、この銀ナノ粒子中の銀の割合は、加熱によりヘキサン酸を除去した後の重量から、97質量%であることが算出された。また、この銀ナノ粒子の平均一次粒子径を透過型電子顕微鏡(TEM)により求めたところ、17nmであった。
(銀粗大粒子の準備)
銀粗大粒子として、走査型電子顕微鏡により測定した平均一次粒子径が800nmの銀粒子であるAG−3−60(DOWAハイテック社製造、DOWAエレクトロニクス社販売)を用意した。
(接合材の調製)
下記表1に記載の金属成分及び非金属成分を表1に記載の配合割合(質量%)で混練して、実施例1〜5及び比較例1〜7の接合材を調製した。
<加熱減量の評価>
上記で調製した実施例1〜5及び比較例1〜7の各接合材を、SII社製TG/DTA(TG/DTA6300)を用いて熱重量測定した。測定条件は以下の通りである。専用のアルミナパン(φ0.5mm)に上記各接合材を10±1mmg計量し、200mL/分の流量で窒素を流した雰囲気下で40℃から700℃までを3℃/分の昇温速度で昇温させた。その時のTGデータを得た。700℃時点での加熱減量L700を100%とし、これに対する100℃、150℃及び200℃時点での加熱減量分の相対値(%)を求めた。
<接合強度及びボイドの評価用接合体の作製>
上記で調製した実施例1〜5及び比較例1〜7の各接合材を10mm×10mm(厚さ1mm)の銅基板にメタルマスク(開口部2.5mm×2.5mm、厚さ70μm)で塗布した。銅基板上に形成された各接合材の塗膜上に、2mm×2mm(厚さ0.3mm)の、底面(被接合面)が正方形形状のSi素子を載置して、0.47Nの力を1秒かけた。これをN雰囲気中で、25℃から250℃まで3℃/分で昇温させ、250℃で60分間、焼成して銀接合層を形成し、接合体を得た。
<接合体のシア強度の評価>
SERIES4000(DAGE社製)を用い、図2に示すようにして、上記で得られた接合体のシア強度を測定した。具体的には、接合体は、銅基板3と、その上に形成された銀接合層2と、その上に形成され銀接合層2により銅基板3と接合しているSi素子1とからなる。このSi素子1の側面から、シアツール4で5mm/minに設定して銅基板3の水平方向に力をかけ、破断したときの力をSi素子1の底面の面積で割って、接合体のシア強度を求めた。
なお、銅基板3から高さ50μmの位置に、シアツール4の下端が当たるようにして上記試験を行った。
<ボイド評価>
各接合体のSi素子−銀接合層−銅基板の接合部を、マイクロフォーカスX線透視装置(SMX−16LT、島津製作所製)で、撮影した。得られた画像を画像処理ソフト(商品名:ペイントショップ)で2値化した後、ボイド率を決定した。黒い部位はボイドなしと判断し、白い部位はボイドありと判断した。画像処理後の接合部の写真を図3(実施例1〜5)、4(比較例1〜4)及び5(比較例5〜7)に示す。
以上の評価結果を下記表2にまとめる。また、実施例及び比較例の接合材の組成を表2中に再掲する。
1 Si素子
2 銀接合層
3 銅基板
4 シアツール


Claims (18)

  1. 金属ナノ粒子及び溶剤を含む接合材であって、
    該接合材を窒素雰囲気中で3℃/分の昇温速度で40℃から700℃まで昇温したときの加熱減量L700を100%としたときに、100℃における加熱減量L100が75%以下であり、150℃における加熱減量L150が90%以上であり、200℃における加熱減量L200が98%以上である、接合材。
  2. 前記加熱減量L200が99.9%以下である、請求項1に記載の接合材。
  3. 前記接合材における金属成分と溶剤の含有量の合計が、97.5〜100質量%である、請求項1又は2に記載の接合材。
  4. 前記接合材中の溶剤の含有量が、前記接合材中の全非金属成分の質量のうち92〜100%を占める量である、請求項1〜3のいずれかに記載の接合材。
  5. 前記加熱減量L150が97%以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の接合材。
  6. 前記接合材中の、沸点が230℃以上300℃未満である非金属成分の含有量が、前記接合材中の全非金属成分の質量のうち50%以上を占める量である、請求項1〜5のいずれかに記載の接合材。
  7. 前記接合材中の、沸点が300℃以上である非金属成分の含有量が、前記接合材中の全非金属成分の質量のうち35%以下を占める量である、請求項1〜6のいずれかに記載の接合材。
  8. 前記接合材中の、沸点が400℃以上である非金属成分の含有量が、前記接合材中の全非金属成分の質量のうち6%以下を占める量である、請求項1〜7のいずれかに記載の接合材。
  9. 前記接合材中の、沸点が400℃以上である非金属成分の含有量が、前記接合材中の全非金属成分の質量のうち3.0%以上を占める量である、請求項8に記載の接合材。
  10. 前記金属ナノ粒子の平均一次粒子径が10〜500nmである、請求項1〜9のいずれかに記載の接合材。
  11. 一次粒子径が500nmを超える金属粗大粒子を含む、請求項1〜10のいずれかに記載の接合材。
  12. 前記金属粗大粒子の一次粒子径が550〜1000nmである、請求項11に記載の接合材。
  13. 前記接合材中の金属成分の含有量が、85〜98質量%である、請求項1〜12のいずれかに記載の接合材。
  14. 請求項1〜13のいずれかに記載の接合材に樹脂を混合してなる、樹脂配合型接合材。
  15. 2つの被接合部材を接合する接合方法であって、
    一方の前記被接合部材に請求項1〜13のいずれかに記載の接合材を塗布して塗膜を形成する工程と、
    該塗膜上に他方の前記被接合部材を載置する工程と、
    前記他方の被接合部材が載置された塗膜を1.5℃/分〜10℃/分の昇温速度で200〜350℃の焼結温度まで昇温し、該焼結温度で1分〜2時間保持して前記塗膜から金属接合層を形成する焼結工程と
    を有する、接合方法。
  16. 前記焼結工程における昇温速度を2℃/分〜6℃/分とする、請求項15に記載の接合方法。
  17. 前記一方の被接合部材が基板であり、前記他方の被接合部材が半導体素子である、請求項15又は16に記載の接合方法。
  18. 前記半導体素子の被接合面の面積が9mm以上である、請求項17に記載の接合方法。
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