JP2020163620A - リコート用化粧シート - Google Patents

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Abstract

【課題】基材及びリコート層に熱溶着不可能な材料を用いる場合であっても、基材とリコート層との密着性が良好であるリコート用化粧シートを提供する。【解決手段】紙繊維を含有する基材10と、基材10の少なくとも一方の面側に設けられ、ガラス転移温度Tgが−60℃以上90℃以下であるバインダー成分Aを含有する絵柄インキ層20と、絵柄インキ層20の基材10とは反対の面側に設けられ、セルロース繊維を含有し、セルロース繊維間に空隙を有するリコート層30とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、リコート用化粧シートに関する。
家具、建築内装材及び家電製品等の表面仕上げ用として、基材に木目絵柄等が設けられた化粧シートを上記製品の表面にラミネート等の手段で積層することが行われている。化粧シートには、既に着色されているものと、着色が施されておらず後からステイン(stain)等の塗料を塗工するものとがあり、後者は再塗工(リコート)用化粧シートと呼ばれている。ここで、ステインとは、木材表面を着色するための塗料で、液体状、ジェル状、スプレー等の形態で顔料、染料をアマニ油及び樹脂等に添加したものである。水性のものと油性のものとがあり、オイルステイン、ステインニス及び水性ステイン等と呼ばれている。リコート用化粧シートが表面仕上げ用として積層された材料を用いて製品を組立てた後に、ステイン等の塗料を製品表面の化粧シートに塗工し着色を施すことで、製品を任意の色に着色することが容易に行える。
従来のリコート用化粧シートとしては、基材に印刷インキを用いて絵柄印刷を施した上に、上塗り塗料を塗布してなるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、従来のリコート用化粧シートは、表面が平滑に形成されているため、ステイン等を厚く塗工しようとしても垂れてしまい、肉持ち感に優れた表面を得ることは困難であった。
そこで、ステイン等を厚く塗工した際に肉持ち感に優れた表面を得るために、基材に印刷インキを用いて絵柄印刷を施した上に、表面に位置するリコート層に不織布を用いるリコート用化粧シートが提案されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2で提案されているリコート用化粧シートは、ステイン等の着色剤を不織布の空隙で確実に保持し、該塗料が化粧シートの表面から垂れ落ちるのを防ぎ、肉持ち感に優れた塗工を行うことができる。
特開昭60−149457号公報 特開平9−262934号公報
しかしながら、特許文献2で提案されているリコート用化粧シートにおいては、基材とリコート層との密着性を得るために、基材又はリコート層において熱溶着可能な材料を選定する必要があり、基材及びリコート層を自由に選択することができないという課題がある。さらに、従来であれば熱溶着可能な材料として、ポリ塩化ビニル(PVC)及びフタル酸エステル等を含む材料を選定することが可能であったが、現在では環境問題を考慮してこれら材料の使用が敬遠され、基材又はリコート層の材料の選定が困難となっている。
また、基材及びリコート層に熱溶着不可能な材料を用いる場合には、基材とリコート層との間に接着層を設ける必要がある等、設計面、製造面及びコスト面において課題がある。
本発明は、上記問題に鑑み、基材及びリコート層に熱溶着不可能な材料を用いる場合であっても、基材とリコート層との密着性が良好であるリコート用化粧シートを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意研究した結果、基材とリコート層との間に特定のガラス転移温度を有するバインダー成分を含む絵柄インキ層を備えることにより、上記課題を解決することを見出した。すなわち、本発明は、以下の[1]〜[5]を提供する。
[1]紙繊維を含有する基材と、前記基材の少なくとも一方の面側に設けられ、ガラス転移温度が−60℃以上90℃以下であるバインダー成分Aを含有する絵柄インキ層と、前記絵柄インキ層の前記基材とは反対の面側に設けられ、セルロース繊維を含有し、前記セルロース繊維間に空隙を有するリコート層とを備える、リコート用化粧シート。
[2]前記リコート層は、少なくとも一部の空隙を維持しつつ、前記セルロース繊維の少なくとも一部の表面に樹脂塗膜を有する、[1]のリコート用化粧シート。
[3]前記バインダー成分Aの含有量は、前記絵柄インキ層を形成する絵柄インキ層形成用組成物中の全バインダー成分に対して、30質量%以上100質量%以下である、[1]又は[2]のリコート用化粧シート。
[4]前記バインダー成分Aは、アクリル樹脂、ウレタン樹脂及び塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む、[1]〜[3]のいずれかのリコート用化粧シート。
[5]前記リコート層は、空隙及び前記セルロース繊維の表面の少なくとも一部に着色剤を有する、[1]〜[4]のいずれかのリコート用化粧シート。
本発明によれば、基材及びリコート層に熱溶着不可能な材料を用いる場合であっても、基材とリコート層との密着性が良好であるリコート用化粧シートを提供することができる。
本発明の実施の形態に係るリコート用化粧シートの模式的断面図(その1)である。 本発明の実施の形態に係るリコート用化粧シートの模式的断面図(その2)である。
以下に図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分は同一又は類似の符号で表している。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
(実施の形態)
[リコート用化粧シート]
本発明の実施の形態に係るリコート用化粧シート1は、図1に示すように、紙繊維を含有する基材10と、基材10の少なくとも一方の面側に設けられ、ガラス転移温度Tgが−60℃以上90℃以下であるバインダー成分Aを含有する絵柄インキ層20と、絵柄インキ層20の基材10とは反対の面側に設けられ、セルロース繊維を含有し、セルロース繊維間に空隙を有するリコート層30とを備える。
<基材>
基材10としては、例えば、紙繊維を含有する紙基材を用いることができ、含浸紙、上質紙、薄葉紙、リンター紙、ラフト紙、紙間強化紙、樹脂含浸紙及び壁紙用裏打紙、或いはこれらの紙に難燃剤を混抄乃至含侵してなる難燃紙等を用いることができる。これらの材料は、単独で使用してもよいが、例えば、紙同士の積層体等のように、任意の組み合わせによる積層体であってもよい。
基材10は、必要に応じて難燃剤、無機質剤、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、着色剤、サイズ剤及び定着剤等の添加剤を適宜添加したものであってもよい。
基材10の坪量は、特に制限はないが、耐久性の観点から、20g/m以上であることが好ましく、30g/m以上であることがより好ましく、50g/m以上であることがさらに好ましい。また、基材10の坪量は、絵柄インキ層20に含有するバインダー成分Aの入り込みを容易にする観点から、150g/m以下であることが好ましく、120g/m以下であることがより好ましく、100g/m以下であることがさらに好ましい。
基材10の厚さは、特に制限はないが、リコート用化粧シート1の強度、質量、屈曲性等の物性を考慮して、50μm以上250μm以下であることが好ましく、80μm以上230μm以下であることがより好ましく、100μm以上200μm以下であることがさらに好ましい。
基材10の厚み方向の絵柄インキ層20が設けられた面側には、紙繊維の空隙の一部に絵柄インキ層20を構成するバインダー成分Aが充填してなる第1充填部(図示せず)を備える。第1充填部は、基材10と絵柄インキ層20との密着性を担保する。
<絵柄インキ層>
絵柄インキ層20の絵柄(模様)は、木目柄、石目柄、布目柄、皮シボ柄、幾何学模様等所望の意匠外観に応じて任意に選択できる。リコート用化粧シート1において、例えば、木目の意匠外観を表現する場合は絵柄インキ層20として木目柄を選択すればよい。
絵柄インキ層20は、リコート用化粧シート1の意匠性を高めることを目的として、基材10とリコート層30との間の任意の箇所に形成されていればよく、基材10の全面に形成されていてもよい。
絵柄インキ層20のリコート層30に対する面積率は、絵柄インキ層20とリコート層30との密着性を良好にする観点から、60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることがさらに好ましく、上限は100%以下であればよい。
絵柄インキ層20は、例えば、印刷により形成することができる。絵柄インキ層20は、単層であってもよいが、2以上の層から形成されるものであってもよい。
絵柄インキ層20の形成に用いられるインキとしては、バインダー成分に顔料、染料等の着色成分、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤等を適宜混合したものが使用される。
絵柄インキ層20は、ラミネート等により加熱されることによって、バインダー成分として含有するバインダー成分Aの流動性が高くなり、隣接して配置されている繊維等の流体受容物に入り込むことでアンカー効果を発揮する。絵柄インキ層20が基材10とリコート層30との間に配置された状態でラミネート等により加熱された場合は、基材10及びリコート層30に対してそれぞれアンカー効果を発揮し、基材10及びリコート層30に対する密着性を良好にする。また、絵柄インキ層20上にリコート層30が配置された状態でラミネート等により加熱された場合は、リコート層30に対してアンカー効果を発揮し、リコート層30に対する密着性を良好にする。
絵柄インキ層20は、アンカー効果によって密着性を良好にするために、ガラス転移温度Tgが−60℃以上90℃以下であるバインダー成分Aを含有する。ガラス転移温度Tgが−60℃未満のバインダー成分のみを絵柄インキ層20に含有する場合、絵柄(模様)の構成を維持することが困難となる問題及びブロッキング問題が生じる。また、ガラス転移温度Tgが90℃を超えるバインダー成分のみを絵柄インキ層20に含有する場合、密着性を得るために高温での作業が必要となり作業性が悪化し、作業温度が低い条件では十分な密着性を得ることができない。
バインダー成分Aのガラス転移温度Tgは、絵柄(模様)の構成容易性及び作業性の観点、並びに、基材10及びリコート層30に対する十分な密着性を得る観点から、−55℃以上85℃以下であることが好ましく、−50℃以上80℃以下であることがより好ましく、−45℃以上75℃以下であることがさらに好ましい。
バインダー成分Aの含有量は、絵柄(模様)の構成容易性及び作業性の観点、並びに、基材10とリコート層30との十分な密着性を得る観点から、絵柄インキ層を形成する絵柄インキ層形成用組成物中の全バインダー成分に対して、30質量%以上100質量%以下であることが好ましく、40質量%以上95質量%以下であることがより好ましく、50質量%以上90質量%以下であることがさらに好ましい。
バインダー成分としては、特に制限はなく、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン樹脂、ポリエステル樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アルキド樹脂、石油系樹脂、ケトン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、繊維素誘導体、ゴム系樹脂等が挙げられる。バインダー成分としてのこれらの樹脂は、単独又は2種以上を混合して使用できる。
バインダー成分Aとしては、上述したバインダー成分の中から選択することができ、絵柄インキ層20が所望の効果を奏するガラス転移温度Tgを有することから、アクリル樹脂、ウレタン樹脂及び塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1つを含むことが好ましい。
バインダー成分Aとしては、ガラス転移温度Tgの異なる2種以上を含む構成とすることができる。例えば、バインダー成分Aとして、ガラス転移温度Tgが−60℃以上−20℃以下である樹脂及びガラス転移温度Tgが60℃以上90℃以下である樹脂の2種の樹脂を含む構成とすることができる。バインダー成分Aをこのような構成とすることで、印刷工程でのインキ取られや工程間でのブロッキング等の工程面でのリスクを減らすことが可能になる。
また、バインダー成分としては、バインダー成分Aとその他のバインダー成分を含む構成とすることができる。例えば、バインダー成分Aとして、ガラス転移温度Tgが40℃以上80℃以下である樹脂を含み、その他のバインダー成分として、ガラス転移温度Tgが90℃以上である樹脂の2種を含む構成とすることができる。
着色成分としては、例えば、チタン白、鉛白、カーボンブラック、鉄黒、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料;キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、ニッケルアゾ錯体、フタロシアニンブルー等の有機顔料又は染料;アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料;二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料等の公知のものから適宜選択して用いることができる。
絵柄インキ層20の厚さは、特に制限はないが、絵柄による意匠性を良好に発揮する観点及び基材10とリコート層30との密着性を得る観点から、0.1μm以上10.0μm以下であることが好ましく、0.5μm以上7.5μm以下であることがより好ましく、1.0μm以上5.0μm以下であることがさらに好ましい。絵柄インキ層20が2以上の層から形成される場合、各絵柄インキ層20の厚みの合計が上記範囲であることが好ましい。
絵柄インキ層20中には、本発明の効果を阻害しない範囲で、酸化防止剤及び紫外線吸収剤等の添加剤を含有しても良い。
絵柄インキ層20を塗布する手段としては、グラビア印刷、シルクスクリーン印刷、グラビアオフセット印刷、フレキソ印刷及びインキジェット印刷等が好ましく、大ロットの場合はグラビア印刷、小ロットの場合はインキジェット印刷がより好ましい。
<リコート層>
リコート層30は、セルロース繊維を含有するものであり、セルロース繊維を主成分として構成されることが好ましく、セルロース繊維単体であることがより好ましい。ここで主成分とは、リコート層30を構成する成分の50質量%を超える成分をいい、60質量%を超える成分であることが好ましく、70質量%を超える成分であることがより好ましく、80質量%を超える成分であることがさらに好ましい。
リコート層30としては、絵柄インキ層20の絵柄を視認可能であるものが好ましく、透明紙及び半透明紙等の透明性を有するものであることが好ましい。リコート層30としての透明性としては、具体的には、JIS P8138:2000に準拠して測定した不透明度(この数値が小さい程透明性に優れる)が50%以下であることが好ましく、40%以下であることがより好ましく、30%以下であることがさらに好ましい。なお、不透明度の下限は10%程度である。リコート層30は、例えば、紙を濃硫酸で処理して透明化する方法、化学パルプを高度に叩解して抄紙する方法、原紙にワックス及び合成樹脂等の透明化剤を含浸する方法、合成繊維及び合成パルプ混抄紙を加熱加圧処理して透明化する方法等の周知の製造方法で得ることができ、いずれの製造方法で得られたものであってもよい。
リコート層30の坪量は、特に制限はないが、リコート層30の強度を得る観点から、5g/m以上であることが好ましく、10g/m以上であることがより好ましく、15g/m以上であることがさらに好ましい。また、リコート層30の坪量は、絵柄インキ層20に含有するバインダー成分Aの入り込みを容易にする観点から、40g/m以下であることが好ましく、35g/m以下であることがより好ましく、30g/m以下であることがさらに好ましい。
リコート層30の厚さは、特に制限はないが、ステイン等のリコート用塗料を確実に保持し、該塗料が垂れ落ちるのを防ぎ、肉持ち感に優れた塗工を行うことができる観点から、50μm以上120μm以下であることが好ましく、60μm以上110μm以下であることがより好ましく、70m以上100μm以下であることがさらに好ましい。
《樹脂塗膜》
リコート層30は、少なくとも一部の空隙を維持しつつ、セルロース繊維の少なくとも一部の表面に樹脂塗膜を有することが好ましい。樹脂塗膜は、ステイン塗料受容層としてのリコート層30の機能を向上させる。樹脂塗膜は、リコート層30のセルロース繊維の一部に存し、セルロース繊維の濡れ性を向上させることで、ステイン塗料が垂れ落ちるのを防ぎ、肉持ち感に優れた塗工とすることができる。
樹脂塗膜として用いる樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂及び電離放射線硬化性樹脂等が挙げられる。樹脂塗膜として用いる樹脂は、必要に応じて、架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤、溶剤、粘度調整剤、体質顔料などを添加して塗工組成物として用いることができる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、エチルセルロース、硝酸セルロース、酢酸セルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート等のセルロース誘導体、ポリスチレン、ポリα−メチルスチレン等のスチレン樹脂またはスチレン共重合体、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール等のビニル重合体、ロジン、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、重合ロジン等のロジンエステル樹脂、クマロン樹脂、ビニルトルエン樹脂、ポリアミド樹脂等の天然又は合成樹脂が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられる。
電離放射線硬化性樹脂としては、従来電離放射線硬化性の樹脂として慣用されている樹脂を用いることができ、例えば、電離放射線硬化性官能基である(メタ)アクリロイル基を有してなる(メタ)アクリレート系樹脂を用いることができる。なお、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。
(メタ)アクリレート系樹脂としては、ウレタン(メタ)アクリレート、アクリル(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート及びエポキシ(メタ)アクリレート等のモノマー、オリゴマー及びプレポリマーが挙げられる。これら(メタ)アクリレート系樹脂の中でも、ヒートシール層等との密着性及び塗膜強度のバランスの観点からは、ウレタンアクリレート、アクリルアクリレート、ポリエステルアクリレート及びエポキシアクリレート等のアクリロイル基を有するアクリレート系樹脂が好適であり、その中でもウレタン(メタ)アクリレートが好適である。
なお、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線等の電磁波、α線、イオン線等の荷電粒子線も使用可能である。
電離放射線硬化性樹脂が紫外線硬化性である場合には、電離放射線硬化性樹脂組成物は、光重合開始剤及び光重合促進剤等の添加剤を含むことが好ましい。
光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、α−ヒドロキシアルキルフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α−アシルオキシムエステル及びチオキサンソン類等から選ばれる1種以上が挙げられる。
また、光重合促進剤は、硬化時の空気による重合阻害を軽減させ硬化速度を速めることができるものであり、例えば、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル及びp−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等から選ばれる1種以上が挙げられる。
リコート層30の層内の厚み方向の絵柄インキ層20が設けられた面側には、セルロース繊維の空隙の一部に絵柄インキ層20を構成するバインダー成分Aが充填してなる第2充填部(図示せず)を備える。第2充填部は、絵柄インキ層20とリコート層30との密着性を担保する。
リコート層30の層内の厚み方向の絵柄インキ層20が設けられた面の反対面側には、セルロース繊維の空隙及び表面の少なくとも一部が存在する繊維部(図示せず)を備える。リコート層30の繊維部は、セルロース繊維の空隙及び表面にリコート用塗料を保持する着肉性を担保することで、セルロース繊維の空隙及び表面の少なくとも一部にリコート用塗料を有することができる。
《着色隠蔽層》
リコート用化粧シート1は、図2に示すように、絵柄インキ層20の一部として、基材10側に、着色隠蔽層40をさらに備える形態であることが好ましい。着色隠蔽層40は、ブロック層としての役割を果たし、絵柄インキ層20のバインダー成分Aがリコート層30のみに染み込んでいくため、絵柄インキ層20とリコート層30との密着性をより良好にすることができる。
着色隠蔽層40は、リコート用化粧シート1の意匠性を高め、基材10、絵柄インキ層20の密着性を向上させる目的で設ける。着色隠蔽層40は、基材10に色ムラがある場合等に、意図した色彩を与えて表面の色を整えることができる。着色隠蔽層40は、基材10を隠蔽する目的で、不透明色で形成することが多いが、着色透明色で形成し、基材10が持っている模様を活かすこともできる。
着色隠蔽層40の形成に用いられる着色隠蔽層形成用組成物としては、バインダー成分に顔料、染料等の着色成分、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤等を適宜混合したものが使用される。
着色隠蔽層40のバインダー成分としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂及び電離放射線硬化性樹脂等が挙げられ、中でも、ブロック層としての役割を果たす観点から、熱硬化性樹脂及び電離放射線硬化性樹脂であることが好ましい。
着色隠蔽層40の着色成分としては、リコート用化粧シート1の用途や絵柄層との色の相性等から適宜選択すればよく、絵柄インキ層20の着色成分と同じものを用いることができる。
[リコート用化粧シートの製造方法]
本発明のリコート用化粧シート1の製造方法について、本発明のリコート用化粧シートとして好ましい態様の一つである、図1に示すリコート用化粧シートを例にとって、その製造方法を説明する。
まず、基材10を用意し、基材10の上に、グラビア印刷法等の既知の印刷法で、絵柄インキ層形成用組成物を用いて絵柄インキ層20を配置する。
次いで、リコート層30を用意し、上記方法により配置された絵柄インキ層20上にリコート層30を配置する。
次いで、基材10、絵柄インキ層20、リコート層30を積層した積層体を熱ラミネートにより加熱することで、絵柄インキ層20に含有するバインダー成分Aの流動性が高くなり、基材10及びリコート層30に対してそれぞれアンカー効果を発揮するリコート用化粧シート1を製造する。
以上の工程により、基材10、絵柄インキ層20及びリコート層30を順に積層し、絵柄インキ層20を介して基材10とリコート層30との接着性が良好であるリコート用化粧シート1を製造することができる。
リコート用化粧シート1の製造方法としては、コート用化粧シート1のリコート層30の表面側から、上述した樹脂塗膜形成用組成物を塗布する工程をさらに含むことが好ましい。当該工程を含むことで、リコート層30の少なくとも一部の空隙を維持しつつ、セルロース繊維の少なくとも一部の表面に樹脂塗膜を有するリコート用化粧シート1を製造することができる。
以上、述べたとおり、本実施形態に係るリコート用化粧シート1によれば、基材10及びリコート層30に熱溶着不可能な材料を用いる場合であっても、基材10とリコート層30との密着性を良好にすることができる。
[リコート用化粧シートの着色方法]
本発明の実施の形態に係るリコート用化粧シート1の着色方法は、一般的な塗工方法によって、リコート用化粧シート1のリコート層30にリコート用塗料を塗工し、リコート層30を着色するものである。
リコート用化粧シート1のリコート層30は、塗工面側にセルロース繊維の空隙及び表面を維持する繊維部を有するので、セルロース繊維の空隙及び表面に水性ステイン塗料及び油性ステイン塗料等の着色剤を保持する着肉性を担保することができる。よって、本発明の実施の形態に係るリコート用化粧シート1は、ステイン等の着色剤をリコート層30に塗工し着色を施すことで、任意の色に着色することが容易に行える。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、この例によってなんら限定されるものではない。
[評価]
実施例及び比較例で得られたリコート用化粧シートについて、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
<密着性>
実施例及び比較例で作製したリコート用化粧シートを300mm×300mmの寸法で切断し、密着性試験の試験片とした。試験片の端部よりリコート層のみを引き剥がし、密着性を評価した。
A:リコート層と基材との間の密着力が極めて高く、剥がれない(材破する)
B:リコート層と基材との間の密着力が高く、ほぼ剥がれない
C:リコート層と基材との間の密着力が中程度で、剥がれにくい
D:リコート層と基材との間の密着力が低く、軽く剥がれた
<着色性>
実施例及び比較例で作製したリコート用化粧シートのリコート層側に油性ステイン塗料及び水性ステイン塗装で塗布し、着色性を評価した。
A:油性ステイン塗料及び水性ステイン塗装での着色が良好
B:油性ステイン塗料及び水性ステイン塗装での着色が可能
C:油性ステイン塗料及び水性ステイン塗装での着色が不可
(実施例1)
基材として坪量60g/m、厚さ61μmである含浸紙(KJ特殊紙株式会社製、製品名「GFN601」)を用意した。そして、基材の上に、ウレタン樹脂(ガラス転移温度Tg:−45℃)及びアクリル樹脂(ガラス転移温度Tg:90℃)の5:5質量比混合物をバインダー成分として含有する絵柄インキ層形成用組成物をグラビア印刷することにより、表面において厚さ4.0μmである絵柄インキ層を形成した。
次いで、リコート層として坪量16g/m、厚さ64.5μmであるセルロース単体材料を用意した。そして、基材上に配置された絵柄インキ層上に、リコート層を配置した。
次いで、基材、絵柄インキ層、リコート層を積層した積層体を押出しラミネート(サンドラミネート)により加熱することで、絵柄インキ層に含有するバインダー成分Aの流動性が高くなり、基材及びリコート層に対してそれぞれアンカー効果を発揮するリコート用化粧シートを製造した。
次いで、リコート層の表面側から、アクリルポリオール樹脂を含有する樹脂塗膜形成用組成物を塗布し、リコート層に樹脂塗膜を形成した。
得られたリコート用化粧シートについて、評価した結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1における絵柄インキ層形成用組成物を、アクリル樹脂(ガラス転移温度Tg:75℃)をバインダー成分として含有する絵柄インキ層形成用組成物とした以外は同様とし、実施例2のリコート用化粧シートを得た。得られたリコート用化粧シートについて、評価した結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1における絵柄インキ層形成用組成物を、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(ガラス転移温度Tg:65℃)及びアクリル樹脂(ガラス転移温度Tg:105℃)の5:5質量比混合物をバインダー成分として含有する絵柄インキ層形成用組成物とした以外は同様とし、実施例3のリコート用化粧シートを得た。得られたリコート用化粧シートについて、評価した結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1における絵柄インキ層形成用組成物を、硝化綿・アルキッド樹脂(ガラス転移温度Tg:170℃)をバインダー成分として含有する絵柄インキ層形成用組成物とした以外は同様とし、比較例1のリコート用化粧シートを得た。得られたリコート用化粧シートについて、評価した結果を表1に示す。
表1より、実施例1〜3では、密着性及び着色性の結果が良好であった。
一方、比較例1では、密着性及び着色性の結果が良くなかった。この結果は、比較例1では、バインダー成分として含有する絵柄インキ層形成用組成物のTgが高く、十分なアンカー効果が得られないためであると考えられる。
本発明のリコート用化粧シートは、不織布の触感を維持しつつ、紙基材と不織布とが十分に接着し、かつ、良好な着色性を有するものであり、壁、天井、床等の建築物の内裝材用又は外装用部材、窓枠、扉、手すり、幅木、廻り縁、モール等の建具乃至造作部材の他、厨房機器、家具又は弱電、OA機器等のキャビネットの表面化粧板、車両の内裝用又は外装用部材を構成する層として好適に用いられる。
1:リコート用化粧シート
10:紙基材
20:絵柄インキ層
30:リコート層
40:着色隠蔽層

Claims (5)

  1. 紙繊維を含有する基材と、
    前記基材の少なくとも一方の面側に設けられ、ガラス転移温度が−60℃以上90℃以下であるバインダー成分Aを含有する絵柄インキ層と、
    前記絵柄インキ層の前記基材とは反対の面側に設けられ、セルロース繊維を含有し、前記セルロース繊維間に空隙を有するリコート層とを備える、リコート用化粧シート。
  2. 前記リコート層は、少なくとも一部の空隙を維持しつつ、前記セルロース繊維の少なくとも一部の表面に樹脂塗膜を有する、請求項1に記載のリコート用化粧シート。
  3. 前記バインダー成分Aの含有量は、前記絵柄インキ層を形成する絵柄インキ層形成用組成物中の全バインダー成分に対して、30質量%以上100質量%以下である、請求項1又は2に記載のリコート用化粧シート。
  4. 前記バインダー成分Aは、アクリル樹脂、ウレタン樹脂及び塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のリコート用化粧シート。
  5. 前記リコート層は、空隙及び前記セルロース繊維の表面の少なくとも一部に着色剤を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のリコート用化粧シート。
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