以下に説明する各実施形態及び変形例は、本開示の一例に過ぎず、本開示は、実施形態及び変形例に限定されない。この実施形態及び変形例以外であっても、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
(実施形態1)
(1)概要
本実施形態のスイッチ装置1について、図1A〜図7を参照して説明する。
本実施形態のスイッチ装置1は、図7に示すように移動体に用いられる。本実施形態では、移動体が自動車9である場合を例にして説明する。スイッチ装置1は、いわゆるパドルスイッチ(パドルシフト)であり、自動車9が備えるハンドル92(ステアリングホイール)に設けられる。
ハンドル92には、スイッチ装置1が左右に1つずつ設けられている。各スイッチ装置1は、例えばECU(Engine Control Unit)と電気的に接続されている。自動車9の運転手が、ハンドル92を握ったままの状態で、指でスイッチ装置1を操作することで変速機の変速段数を変化させることができる。例えば、自動車9の走行中において、運転手が、右手の指で右側のスイッチ装置1の操作部2を手前に引くことでシフトアップし、左手の指で左側のスイッチ装置1の操作部2を手前に引くことでシフトダウンする。
ハンドル92に設けられた2つのスイッチ装置1は、左右対称構造である。以下の説明では、右側のスイッチ装置1について説明する。
(2)構成
(2.1)スイッチ装置
以下に、スイッチ装置1の詳細な構成について、図1A〜図5Bを参照して説明する。
本実施形態のスイッチ装置1は、操作部2、筐体3、接点ユニット4、及びピン30(軸部)を備える。以下の説明では、操作部2と筐体3とが並ぶ方向を第1方向D1(図1Aでは左右方向)とする。第1方向D1と直交し、ピン30の軸方向と平行な方向を第2方向D2(図1Aでは上下方向)とする。第1方向D1及び第2方向D2と直交する方向を第3方向D3(図1Bでは上下方向)とする。
操作部2は、操作片21と、支持部22と、作用片23と、を備える。操作部2は、例えば樹脂製のレバーである。
操作片21は、略台形の板状に形成されている。操作片21は、ユーザ(運転手)がスイッチ装置1を操作する際に指を掛ける部位である。操作片21は、支持部22から第1方向D1の一方側に突出するように形成されている。
支持部22は、貫通孔221が形成されている。貫通孔221は、開口形状が円形であり、支持部22を第2方向D2に貫通するように形成されている。貫通孔221は、操作部2と筐体3とを連結するピン30が通される。ピン30は、円柱状に形成されている。
操作部2は、ピン30を回転軸として、第1位置と第2位置との間で回転移動が可能に構成されている。第1位置とは、ユーザ(運転手)が操作片21(操作部2)に対して力を加えていない定常状態の位置である。第2位置とは、ユーザ(運転手)が操作片21(操作部2)に対して引く方向に力を加え、操作部2を第1位置から回転移動させた位置である。図1A〜図1Cでは、スイッチ装置1において、操作部2の位置が第1位置(定常位置)である場合を記載している。図1Bにおいて、ユーザ(運転手)が操作片21に対して引く方向(図1Bの矢印方向)に力を加えると、操作部2がピン30を回転軸として時計回りに回転移動する。
作用片23は、支持部22から第1方向D1の他方側(操作片21と反対側)に突出するように形成されている。作用片23は、筐体3内において接点ユニット4と接触する。作用片23は、第3方向D3を厚さ方向とする矩形板状に形成されている。作用片23は、第3方向D3に対向する第1面231と第2面232とを有する(図4B、図5B参照)。第1面231及び第2面232は、第1方向D1を長手方向、第2方向D2を短手方向とする矩形状に形成されている。つまり、作用片23は、操作部2の回転半径に沿った方向に長い。作用片23は、第3方向D3に突出する突起233を有しており、突起233が接点ユニット4と接触する。突起233は、第1面231の先端部(支持部22と反対側の端部)に形成されている。突起233は、作用片23の短手方向である第2方向D2に沿って突出して形成されている。言い換えれば、突起233は、作用片23の長手方向(第1方向D1)と交差(直交)する方向(第2方向D2)に沿って形成されている。突起233の外周面は、湾曲している。また、作用片23は、第1面231及び第2面232から突出した複数のリブ234を有している。複数のリブ234により、作用片23の機械的強度が向上する。
操作部2が第1位置から第2位置に回転移動することによって、作用片23から接点ユニット4に作用させる圧力が増加し、接点ユニット4がオンする。接点ユニット4の詳細な説明は後述する。
筐体3は、操作片21が突出するように、支持部22及び作用片23を収納する。また、筐体3は、接点ユニット4を収納する。筐体3は、例えば樹脂製であり、ハンドル92(図7参照)にねじ等を用いて固定される。
筐体3は、筒状に形成されており、第1方向D1の一方側から操作部2が挿入され、第1方向D1の他方側から接点ユニット4が挿入される。筐体3には、一対の貫通孔311が形成されている。一対の貫通孔311は、開口形状が円形であり、筐体3を第2方向D2に貫通するように形成されている。操作部2の操作片21が突出するように支持部22及び作用片23が筐体3に収納された状態で、ピン30が、筐体3の一対の貫通孔311、及び操作部2の貫通孔221に通される。これにより、操作部2がピン30を回転軸として回転可能な状態で筐体3に取り付けられる。
接点ユニット4は、カバー41と、可動部材42と、ゴム接点43(面状弾性体)と、基板44と、一対の接続端子45と、を備える(図3参照)。
カバー41は、例えば樹脂製である。カバー41は、直方体状に形成されており、底部411、及び4つの側壁412〜415を有する。側壁412と側壁415とは第1方向D1に対向する。側壁412は、側壁415よりも操作部2側に位置する。側壁413と側壁415とは第2方向D2に対向する。カバー41は、底部411と第3方向D3に対向する面に矩形状の開口部416が形成されている。カバー41は、底部411、及び4つの側壁412〜415で囲まれる空間に、可動部材42、ゴム接点43、及び基板44を収納する。
側壁412には、矩形状の開口部417(第1開口部)が形成されている。開口部417は、開口部416と連続している。開口部417には、操作部2の作用片23が通される。作用片23は、開口部417に通された状態で移動する。
側壁412には、開口部417に対して底部411側に矩形状の開口部418が形成されている。開口部418は、開口部417と連続している。開口部418の第2方向D2の寸法は、開口部417の第2方向D2の寸法よりも小さい。開口部418には、基板44の一部(凸部442)が通される。
第2方向D2に対向する側壁413,415には、それぞれガイド溝461が形成されている。2つのガイド溝461は、それぞれ側壁413,415における第1方向D1の中央部において、第3方向D3に沿って直線状に形成されている。ガイド溝461は、断面形状が矩形状である。ガイド溝461は、可動部材42が第3方向D3に沿って直動移動するように、可動部材42の移動をガイドする。
また、カバー41は、底部411から開口部418と反対側に突出した突出部419を有する。突出部419は、直方体状に形成されている。突出部419には、第1方向D1に貫通する一対の端子孔450が形成されている。一対の端子孔450には、一対の接続端子45が通される。
可動部材42は、底部421と、3つの側壁422〜424と、を有する。側壁422と側壁424とは第2方向D2に対向する。可動部材42は、側壁422〜424が、それぞれカバー41の側壁413〜415と対向するように、カバー41に収納される。
可動部材42は、側壁423と第1方向D1と対向する面に矩形状の開口部425(第2開口部)が形成されている。可動部材42がカバー41に収納された状態において、開口部425はカバー41の開口部417と第1方向D1に連続する。開口部425には、操作部2の作用片23が通される。作用片23は、開口部425に通された状態で移動する。また、可動部材42は、底部421と第3方向D3に対向する面に矩形状の開口部426が形成されている。開口部426は、開口部425と連続している。
操作部2の作用片23が、第1方向D1の一方側から可動部材42の開口部425を通る。そして、可動部材42における底部421、及び3つの側壁422〜424で囲まれる空間に、操作部2における作用片23の先端部が位置する。作用片23の先端部に形成された突起233が、可動部材42の底部421に接触する。
第2方向D2に対向する側壁422,424には、それぞれガイド突部462が形成されている。2つのガイド突部462の一方は、側壁422におけるカバー41の側壁413と対向する面から突出し、2つのガイド突部462の他方は、側壁424におけるカバー41の側壁415と対向する面から突出している。2つのガイド突部462は、それぞれ側壁422,424における第1方向D1の中央部において、第3方向D3に沿って直線状に形成されている。ガイド突部462は、断面形状が矩形状である。2つのガイド突部462は、カバー41の2つのガイド溝461に嵌まる。これにより、可動部材42が第3方向D3に沿って直進移動するように規制される。
可動部材42は、操作部2が第1位置から第2位置に回転移動すると、作用片23に押され、カバー41の底部411に向かうように第3方向D3に沿って直動移動する。
ゴム接点43は、カバー41の底部411と可動部材42との間に配置される。ゴム接点43は、一対の接点部431と、連結部432と、を有する。一対の接点部431の各々は、ボタン部433と、可動接点434(図4B、図5B参照)と、保持部435と、を有する。
ボタン部433は、円柱状に形成されており、電気絶縁性を有するゴムで構成されている。ボタン部433は、第1面4331(受圧面)が可動部材42の底部421と第3方向D3に対向する。第1面4331は、可動部材42と接触しており、可動部材42からの圧力を受ける。ボタン部433における第1面4331と反対側の第2面4332には、可動接点434が配置されている。言い換えれば、可動接点434は、第1面4331に対して可動部材42と反対側に配置されている。
可動接点434は、円柱状に形成されている。可動接点434は、導電性を有するゴム(例えば導電フィラーを含有したゴム)で構成されている。可動接点434は、ゴム接点43とカバー41の底部411との間に配置された基板44と対向する。基板44は、一対の固定接点441を2組備えている。可動接点434は、基板44の一対の固定接点441と第3方向D3に対向する。
保持部435は、電気絶縁性を有するゴムで構成されている。保持部435は、ボタン部433と一体に構成されている。保持部435は、ボタン部433における第2面4332の周縁部からカバー41の底部411側に向かって外側に広がるようにテーパ状に形成されている。保持部435は、可動接点434が基板44の一対の固定接点441から離れるように弾性力を発生させる。したがって、ボタン部433に対して可動部材42からの圧力がかかっていない状態では、保持部435の弾性力によって可動接点434が一対の固定接点441から離れた位置で保持される。
操作部2が第1位置から第2位置に回転移動すると、可動部材42を介して接点部431が基板44に向かって押される。これにより、保持部435が弾性変形し、可動接点434が一対の固定接点441と接触する。つまり、操作部2が第1位置にある場合、可動接点434が一対の固定接点441から離れている。操作部2が第2位置にある場合、可動接点434が一対の固定接点441に接触する。
連結部432は、電気絶縁性を有するゴムで構成されており、2つの接点部431が第2方向D2に並ぶように連結している。連結部432は、2つの接点部431それぞれのボタン部433及び保持部435と一体に構成されている。連結部432は、平面視の外形が矩形状である。連結部432は、平面視におけるゴム接点43の中心430から2つの接点部431が離れるように、2つの接点部431を連結している。言い換えれば、2つの接点部431は、ゴム接点43の中心430から離れた位置に設けられている。本実施形態では、2つの接点部431は、それぞれゴム接点43の中心430から第2方向D2に離れた位置に設けられている。
基板44は、カバー41の底部411とゴム接点43との間に配置されている。基板44は、ゴム接点43の2つの可動接点434の各々と対向する部位に、一対の固定接点441が設けられている。ゴム接点43の可動接点434と一対の固定接点441とが接触すると、可動接点434を介して一対の固定接点441間が導通する。
また、基板44は、カバー41の開口部418を通る凸部442を有する。凸部442には、一対の接続端子45が実装されている。一対の接続端子45は、一対の接続端子45と電気的に接続されている。具体的には、2組の一対の接続端子45が、一対の接続端子45間に並列接続されている。したがって、ゴム接点43の2つの可動接点434のうち、少なくとも一方が一対の固定接点441に接触することにより、一対の接続端子45間が導通する。
一対の接続端子45は、それぞれL字状に形成されており、カバー41の一対の端子孔450を貫通する。一対の接続端子45は、基板44と反対側の端部が外部コネクタと電気的に接続され、外部コネクタを介して外部装置(例えばECU)と電気的に接続される。
一対の接続端子45と電気的に接続された外部装置において、一対の接続端子45間の電気的な接続状態(導通状態)を監視することによって、操作部2が第1位置にあるか第2位置にあるかを検知することができる。
次に、スイッチ装置1の動作について図4A〜図5Bを参照して説明する。図4Aは、操作部2が第1位置にある場合におけるスイッチ装置1の断面図である。図5Aは、操作部2が第2位置にある場合におけるスイッチ装置1の断面図である。図5Aにおいて、操作部2が第1位置から第2位置に移動した向きを矢印で示している。
ユーザ(運転手)が操作部2の操作片21に対して力を加えていない状態では、操作部2の作用片23から可動部材42に対して圧力がかからない。したがって、接点ユニット4におけるゴム接点43の保持部435の弾性力が可動部材42を介して作用片23に作用して、操作部2が第1位置に位置する。この状態では、可動接点434が基板44の一対の固定接点441から離れているので、接点ユニット4がオフ状態となる。接点ユニット4のオフ状態とは、一対の接続端子45間が非導通である状態である。つまり、ユーザ(運転手)が操作部2の操作片21に対して力を加えていない状態では、操作部2が第1位置に位置し、接点ユニット4がオフ状態となる。
ユーザ(運転手)が操作部2の操作片21に対して引く方向(図5Aの矢印方向)に力を加えると、操作部2がピン30を回転軸として第1位置から第2位置に向かって回転移動し、操作部2の作用片23から可動部材42に対する圧力が増加する。これにより、可動部材42が、ゴム接点43の保持部435の弾性力に抗って、ゴム接点43に向かって移動する。このとき、可動部材42は、ガイド溝461により第3方向D3に沿って直進移動する。つまり、ガイド溝461により、操作部2の回転移動が、可動部材42の直進移動に変換される。これにより、可動部材42がゴム接点43に対して傾くことが抑制され、可動部材42がゴム接点43における接点部431の第1面4331に加える圧力の分布の均一化を図ることができる。
ゴム接点43では、可動部材42から受ける圧力によって応力が生じる。したがって、可動部材42がゴム接点43に向かって移動する際に、可動部材42からゴム接点43に対して圧力が加わり、ゴム接点43に応力が生じる。ゴム接点43の応力は、可動部材42から受ける圧力と比例関係にある。図6に、可動部材42の移動距離に対する、ゴム接点43の応力のグラフを示す。図6では、操作部2が第1位置にある状態において、可動部材42の移動距離、及びゴム接点43の応力をゼロとする。
可動部材42の移動距離がゼロから増加するに伴って、可動部材42がゴム接点43に加える圧力が増加し、ゴム接点43の応力が増加する。そして、ゴム接点43の応力の値が降伏点N1を超えると、保持部435が弾性変形し降伏点N1よりも小さい応力で可動部材42が移動して可動接点434が基板44(一対の固定接点441)に接触する(図5A,5B参照)。図6に示す例では、可動部材42の移動距離がS1のとき、ゴム接点43の応力が降伏点N1に達し、可動部材42の移動距離がS2(>S1)のとき、可動接点434が基板44(一対の固定接点441)に接触する。つまり、操作部2が第2位置に位置する状態では、接点ユニット4がオン状態となる。接点ユニット4のオン状態とは、一対の接続端子45間が導通した状態である。
降伏点N1の大きさは、保持部435の厚さ、長さ、角度等で調整可能である。なお、ゴム接点43は、弾性体で構成されているため、応力が降伏点N1に達する前においても僅かに弾性変形している。
このように、操作部2が第1位置から第2位置に移動する間において、作用片23が可動部材42を介してゴム接点43に作用させる圧力が一旦増加した後で低減するように変化する。これにより、ユーザが操作片21を引く途中で、負荷が一時的に軽くなるように変化し、クリック感が得られる。
操作部2が第2位置にある状態で、ユーザが操作片21に加えていた力を解除すると、ゴム接点43の保持部435の弾性力が可動部材42を介して作用片23に作用して、操作部2が第2位置から第1位置に移動する。つまり、ユーザが操作片21に加えていた力を解除すると、操作部2が第1位置に復帰し、接点ユニット4がオフ状態となる。
本実施形態のスイッチ装置1では、操作部2の作用片23に突起233が形成されており、突起233が可動部材42と接触する。これにより、作用片23が突起233を備えていない構成に比べて、作用片23と可動部材42との接触面積を低減することができ、作用片23と可動部材42との間の摩擦を低減することができる。したがって、操作部2を第1位置から第2位置に移動させる際の負荷を軽減できる。また、作用片23及び可動部材42の摩耗を抑制することができ、スイッチ装置1の長寿命化を図ることができる。なお、突起233の外周面は、曲面に限らず、平面であってもよい。
また、操作部2の作用片23は、第1方向D1に沿ってカバー41及び可動部材42にそれぞれ形成された開口部417及び開口部425を通り、第1方向D1と直交する第3方向D3において可動部材42と接触している。これにより、操作部2が第1位置から第2位置に向かって回転移動した際に、可動部材42に圧力を作用させて移動させやすくなる。
また、ゴム接点43において、2つの接点部431は、ゴム接点43の中心430から離れた位置に設けられている。これにより、可動部材42がゴム接点43の2つの接点部431に加える圧力の均一化を図ることができる。
また、ガイド溝461は、カバー41の側壁413,415において、接点部431と最も近い位置に形成されている。これにより、可動部材42がゴム接点43に対して傾いて接点部431に加わる圧力が不均一となることが抑制される。
(2.2)移動体
本実施形態に係るスイッチ装置1は、図7に示すように、移動体としての自動車9(四輪車)に用いられる。
自動車9は、スイッチ装置1と、車体91とを備える。また、自動車9は、走行中の自動車9を操作するためのハンドル92を備えている。ハンドル92には、スイッチ装置1が左右に1つずつ設けられている。スイッチ装置1は、ハンドル92の裏側(運転手と反対側)に設けられている。
スイッチ装置1は、パドルスイッチ(パドルシフト)である。運転手がスイッチ装置1を操作(操作片21を引く)ことで、変速機の変速段数を変化させることができる。
なお、移動体は、自動車9(四輪車)に限らず、例えばフォークリフト、農耕トラクタ、ショベルカー等であってもよい。
(3)変形例
以下に、スイッチ装置1の変形例について説明する。以下の説明において、上述した実施形態に係るスイッチ装置1と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
(3.1)第1変形例
上述した例では、接点ユニット4は、2つの接点部431を備えていたが、接点部431の数は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。接点部431の数に応じて、操作部2を第1位置から第2位置に移動させる際の負荷の大きさを調整することができる。接点部431の数が大きくなるほど、操作部2を第1位置から第2位置に移動させる際の負荷が増加する。
図8に示す接点ユニット4Aは、4つの接点部431を備えている。接点ユニット4Aは、カバー41Aと、可動部材42Aと、2つのゴム接点43と、基板44Aと、一対の接続端子45と、を備える。
2つのゴム接点43の各々は、2つの接点部431を備えている。2つのゴム接点43は、第1方向D1に並ぶようにカバー41Aに収納される。
カバー41Aは、側壁413〜415の各々に、2つのガイド溝461が形成されている。つまり、カバー41Aは、6つのガイド溝461を有する。側壁414に形成された2つのガイド溝461は、開口部417を通る作用片23(図2参照)に対して、第1方向D1側に位置する。側壁413に形成された2つのガイド溝461、及び側壁415に形成された2つのガイド溝461は、開口部417を通る作用片23に対して、第2方向D2側に位置する。
また、可動部材42Aは、側壁422〜424の各々に、2つのガイド突部462が形成されている。6つのガイド突部462は、それぞれカバー41Aに形成された6つのガイド溝461に嵌まる。これにより、可動部材42Aが第3方向D3に沿って直進移動するように規制される。
本変形例では、カバー41Aは、作用片23に対して第1方向D1側と第2方向D2側との両方に形成された6つのガイド溝461を備えている。これにより、可動部材42Aが2つのゴム接点43に対して傾くことがより抑制され、可動部材42Aが2つのゴム接点43に加える圧力の分布の均一化を図ることができる。
また、本変形例では、可動部材42Aの底部421に、突起47が形成されている。突起47は、操作部2の作用片23(図2参照)と接触する。突起47は、第1方向D1における底部421の中央部に、第2方向D2に沿って突出して形成されている。突起47の外周面は、湾曲している。
突起47により、可動部材42Aが突起47を備えていない構成に比べて、作用片23と可動部材42Aとの接触面積を低減することができ、作用片23と可動部材42Aとの間の摩擦を低減することができる。したがって、操作部2を第1位置から第2位置に移動させる際の負荷を軽減できる。
なお、可動部材42Aが突起47を備えている場合、作用片23の突起233(図4B、図5B参照)が省略される。つまり、可動部材(42,42A)と作用片(23)とのいずれか一方が突起(233,47)を備えることにより、操作部2を第1位置から第2位置に移動させる際の負荷を軽減できる。
本変形例では、接点ユニット4Aは、2つのゴム接点43を備えており、各ゴム接点43は、2つの接点部431を備えているが、この構成に限らない。ゴム接点43は、1つ又は3つ以上の接点部431を備えていてもよい。例えば、接点ユニット4Aは、1つの接点部431を有するゴム接点43を複数備えていてもよい。
(3.2)その他の変形例
上述した例では、カバー41(41A)にガイド溝461が形成され、可動部材42(42A)にガイド突部462が形成されているが、この構成に限らない。例えば、可動部材42(42A)にガイド溝461が形成され、カバー41(41A)にガイド突部462が形成されていてもよい。この構成であっても、可動部材42(42A)は、第3方向D3に沿って直進移動するように規制される。また、カバー41(41A)と可動部材42(42A)との両方に、ガイド溝461とガイド突部462とが形成されていてもよい。
(実施形態2)
実施形態2に係るスイッチ装置1について図9〜図11を参照して説明する。
以下の説明において、上述した実施形態1に係るスイッチ装置1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態のスイッチ装置1は、弾性を有する緩衝部材5を備える点が、実施形態1のスイッチ装置1と相違する。
緩衝部材5は、例えばゴムで構成されている。緩衝部材5は、操作部2の作用片23に設けられており、作用片23と筐体3との衝突を抑制することにより、スイッチ装置1の操作時に発生する音を抑制する。
緩衝部材5は、本体部51と、フランジ部52と、有する。本体部51は、円柱状に形成されている。フランジ部52は、本体部51の一端から本体部51の径方向に延長するように形成されている。
緩衝部材5は、作用片23における、操作部2の回転半径に沿った方向の先端部に設けられている。つまり、緩衝部材5は、作用片23における支持部22と反対側にある端部に設けられている。
緩衝部材5は、作用片23の先端部に形成された収容凹部241に収容されている。収容凹部241は、作用片23の第2面232に形成されている。収容凹部241は、開口形状が略矩形状である。
作用片23は、収容凹部241の底面242から突出した凸部243を有する。凸部243は、収容凹部241の底面242の略中央に形成されている。凸部243は、円柱状に形成されている。
また、作用片23は、収容凹部241の内周面244から突出した爪部245を有する。本実施形態では、作用片23は、一対の爪部245を有する。爪部245は、収容凹部241の内周面244における開口側の端部から、収容凹部241の内側に向かって突出するように形成されている。爪部245は、矩形板状に形成されている。一対の爪部245は、作用片23の短手方向(第2方向D2)に対向する位置に形成されている。なお、一対の爪部245は、作用片23の長手方向に対向する位置に形成されていてもよい。また、作用片23は、3つ以上の爪部245を備えていてもよい。
緩衝部材5は、収容凹部241から一部(先端部512)が突出するように収容凹部241内に配置される。具体的には、本体部51は、円柱状の基部510と、基部510におけるフランジ部52と反対側の端部である先端部512を有する(図11参照)。緩衝部材5は、基部510及びフランジ部52が収容凹部241に収容され、先端部512が収容凹部241から突出するように、収容凹部241内に配置される。
緩衝部材5の本体部51は、凹部511を有する。凹部511は、本体部51におけるフランジ部52側の一端面の略中央部に形成されている。凹部511は、開口形状が円形に形成されている。
緩衝部材5は、凹部511に凸部243が嵌まるように、収容凹部241内に配置される。これにより、緩衝部材5は、収容凹部241内における位置ずれが抑制される。
また、緩衝部材5は、収容凹部241内に配置される際に、フランジ部52が爪部245を越えるためにフランジ部52が撓まされる。緩衝部材5は、弾性を有しているため、収容凹部241内に配置されている状態では、フランジ部52が元の形状に復元する。そのため、緩衝部材5は、収容凹部241内に配置された状態では、フランジ部52の一部が収容凹部241の底面242と爪部245との間に位置する。これにより、緩衝部材5は、収容凹部241からの抜け止めがなされる。
緩衝部材5は、収容凹部241内に配置された状態において、本体部51におけるフランジ部52と反対側の先端部512が収容凹部241から突出している(図11参照)。緩衝部材5における収容凹部241から突出している寸法は、例えば5mmである。これにより、操作部2の作用片23が筐体3の内面31に衝突することが抑制される。具体的には、操作部2が第2位置(図5参照)にある状態で、ユーザが操作片21に加えていた力を解除したとする。この場合、ゴム接点43の保持部435の弾性力が可動部材42を介して作用片23に作用して、操作部2が第2位置から第1位置(図11参照)に移動する。このとき、緩衝部材5が収容凹部241から突出しているため、緩衝部材5が筐体3の内面31と接触する。これにより、作用片23が筐体3の内面31と接触することが抑制される。また、ゴム接点43の弾性力が比較的強い場合、あるいはユーザが操作片21に対して押す方向(つまり第2位置から第1位置に向かう方向)に力を加えたとする。この場合、緩衝部材5が筐体3の内面31に接触して弾性変形した後、作用片23が筐体3の内面31に接触する。これにより、作用片23が筐体3の内面31に接触した際の衝撃が和らげられる。
つまり、作用片23に設けられた緩衝部材5により、作用片23と筐体3との衝突を抑制することができ、スイッチ装置1の操作時に発生する音を抑制することができる。
また、緩衝部材5は、作用片23における第2面232の先端部に設けられている。また、作用片23における可動部材42と接触する突起233(接触部)は、作用片23における第1面231の先端部に設けられている。つまり、緩衝部材5は、作用片23における可動部材42と接触する突起233(接触部)に対して、可動部材42と反対側の位置に設けられている。したがって、緩衝部材5、突起233、可動部材42、及びゴム接点43が直線状に並んで配置される。したがって、緩衝部材5は、ゴム接点43からの弾性力を効率よく吸収することができ、作用片23と筐体3との衝突をより抑制することができる。
また、本実施形態のスイッチ装置1は、ばね32を更に備えている。ばね32は、コイルばねである。ばね32は、支持部22に形成された保持穴222に収容される。図10に示すように、保持穴222は、開口形状が円形の有底穴である。保持穴222は、貫通孔221と同軸であって、保持穴222の直径が貫通孔221の直径よりも大きい。つまり、保持穴222の底面の中央部に貫通孔221が形成されている。
操作部2は、保持穴222にばね32を収容した状態で支持部22が筐体3に挿入される。そして、ピン30が、筐体3の一対の貫通孔311、操作部2の貫通孔221及び保持穴222(ばね32)を貫通することにより、操作部2と筐体3とが連結される。このとき、ばね32は、保持穴222の底面と筐体3の内面との間で圧縮された状態で、筐体3に収容される。つまり、ばね32は、操作部2及び筐体3に弾性力を作用させる。これにより、ピン30の軸方向(第2方向D2)において、筐体3に対する操作部2のがたつきを抑制することができる。
また、本実施形態のスイッチ装置1では、接点ユニット4のカバー41は、枠部410を更に備えている。枠部410は、カバー41の底部411から突出するように形成されている。枠部410は、カバー41から突出した基板44の凸部442を囲うように形成されている。これにおり、基板44の凸部442を保護することができる。
次に、実施形態2の変形例に係るスイッチ装置1について図12を参照して説明する。
以下の説明において、上述した実施形態2に係るスイッチ装置1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
本変形例のスイッチ装置1は、緩衝部材5Aの構成が、実施形態2の緩衝部材5と相違する。
緩衝部材5Aは、本体部51Aと、フランジ部52Aと、を有する。本体部51Aは、円筒状に形成されている。フランジ部52Aは、本体部51Aの一端から本体部51Aの径方向に延長するように形成されている。また、フランジ部52Aは、略菱形状に形成されており、作用片23の短手方向の寸法が、作用片23の長手方向の寸法よりも長い。フランジ部52Aは、一対の挿通孔521が形成されている。一対の挿通孔521は、本体部51Aに対して、作用片23の短手方向の両側に形成されている。挿通孔521は、開口形状が円形であり、フランジ部52Aを貫通するように形成されている。
緩衝部材5Aは、作用片23の先端部に形成された収容凹部241A内に配置される。収容凹部241Aは、開口形状が略菱形状である。
作用片23は、収容凹部241Aの底面242Aから突出した一対の突起246を有する。一対の突起246は、作用片23の短手方向に並ぶように形成されている。突起246は、円柱状に形成されている。
ここで、緩衝部材5Aが作用片23から取り外されている状態において、挿通孔521の開口寸法(直径)は、突起246の直径よりも僅かに小さい。緩衝部材5Aを作用片23に取り付ける際に、一対の突起246が緩衝部材5Aの一対の挿通孔521を貫通するように圧入される。緩衝部材5Aは、弾性を有しているため、挿通孔521に突起246が圧入されることにより、収容凹部241からの抜け止めがなされる。
なお、上述した例では、緩衝部材5(5A)は、ゴムで構成されていたが、これに限らず、エラストマー、スポンジ等であってもよい。
(まとめ)
第1態様に係るスイッチ装置(1)は、操作部(2)と、可動部材(42,42A)と、面状弾性体(ゴム接点43)と、筐体(3)と、緩衝部材(5,5A)と、を備える。操作部(2)は、軸部(ピン30)を回転軸として第1位置と第2位置との間で回転移動が可能である。可動部材(42,42A)は、操作部(2)の回転移動に応じて一方向に沿って移動する。面状弾性体は、接点部(431)を有し、可動部材(42,42A)と接触する。筐体(3)は、可動部材(42,42A)及び面状弾性体を収納する。緩衝部材(5,5A)は、弾性を有する。操作部(2)は、筐体(3)内において可動部材(42,42A)と接触し可動部材(42,42A)を移動させる作用片(23)を有する。緩衝部材(5,5A)は、作用片(23)に設けられ、作用片(23)における可動部材(42,42A)と反対側において、作用片(23)と筐体(3)の内面(31)との間に位置する。
この態様によれば、作用片(23)と筐体(3)との衝突を抑制することができるので、スイッチ装置(1)の操作時に発生する音を抑制することができる。
第2態様に係るスイッチ装置(1)では、第1態様において、緩衝部材(5,5A)は、作用片(23)における、操作部(2)の回転半径に沿った方向の先端部に設けられている。
この態様によれば、作用片(23)と筐体(3)との接触をより抑制することができる。
第3態様に係るスイッチ装置(1)では、第1又は第2態様において、緩衝部材(5,5A)は、作用片(23)における可動部材(42,42A)と接触する接触部(突起233)に対して、可動部材(42,42A)と反対側の位置に設けられている。
この態様によれば、緩衝部材(5,5A)は、面状弾性体の弾性力を効率よく吸収することができる。
第4態様に係るスイッチ装置(1)では、第1〜第3態様において、緩衝部材(5,5A)は、作用片(23)に形成された収容凹部(241,241A)に基部(510)が収容されており、先端部(512)が収容凹部(241,241A)から突出している。
この態様によれば、作用片(23)と筐体(3)との接触をより抑制することができる。
第5態様に係るスイッチ装置(1)では、第4態様において、作用片(23)は、収容凹部(241A)の内周面(244)から突出した爪部(245)を有する。緩衝部材(5)は、少なくとも一部が収容凹部(241)の底面(242)と爪部(245)との間に位置するフランジ部(52)を有する。
この態様によれば、収容凹部(241)から緩衝部材(5)が抜けることを抑制することができる。
第6態様に係るスイッチ装置(1)では、第4又は第5態様において、作用片(23)は、収容凹部(241)の底面(242)から突出した凸部(243)を有する。緩衝部材(5)は、凸部(243)が嵌まる凹部(511)を有する。
この態様によれば、収容凹部(241)内における緩衝部材(5)の位置ずれを抑制することができる。
第7態様に係るスイッチ装置(1)では、第4態様において、作用片(23)は、収容凹部(241A)の底面(242A)から突出した突起(246)を有する。緩衝部材(5A)は、突起(246)が貫通するように圧入される挿通孔(521)を有する。
この態様によれば、収容凹部(241A)から緩衝部材(5A)が抜けることを抑制することができる。
第8態様に係るスイッチ装置(1)では、第1〜第7態様のいずれかにおいて、緩衝部材(5,5A)は、ゴムで構成されている。
この態様によれば、緩衝部材(5,5A)は、面状弾性体の弾性力を効率よく吸収することができる。
第9態様に係る移動体は、第1〜第8態様のいずれかのスイッチ装置(1)と、スイッチ装置(1)が設けられているハンドルと、を備える。
この態様によれば、スイッチ装置(1)において、作用片(23)と筐体(3)との衝突を抑制することができるので、スイッチ装置(1)の操作時に発生する音を抑制することができる。