JP2020158746A - 撥液層形成用樹脂組成物、並びに、それを用いた撥液性フィルム、撥液性積層体及び包装材 - Google Patents

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【課題】内容物が付着しにくく滑落しやすい優れた撥液性を有する撥液層を形成可能な樹脂組成物を提供すること。【解決手段】(A)ポリオレフィン樹脂、及び、(B)シリコーン・アクリル共重合体を含有し、(B)シリコーン・アクリル共重合体の含有量が、撥液層形成用樹脂組成物の固形分全量を基準として、0.5〜20質量%である、撥液層形成用樹脂組成物。【選択図】図1

Description

本発明は、撥液層形成用樹脂組成物、並びに、それを用いた撥液性フィルム、撥液性積層体及び包装材に関する。
従来、食品、飲料、医薬品、化学品等の多くの商品に対して、それぞれの内容物に応じた包装材が開発されている。特に、液体や半固体、ゲル状物質等の内容物の包装材としては、耐水性、耐油性、ガスバリア性、軽量性、フレキシブル性、意匠性などに優れるプラスチック材料が用いられている。
また、液体や半固体、ゲル状物質等の内容物の包装材としては、より高機能を提供する目的で、複数の種類のプラスチック基材を積層したプラスチック積層体や、紙、金属箔、無機材料等とプラスチック基材との複合積層体、更にはプラスチック基材に機能性組成物による処理を施した複合体などが提案されている。
上述の高機能の一つとして、例えば、液体や半固体、ゲル状物質等の内容物の包装材内面への付着、すなわち包装体内部への残存を抑制する機能が求められている。より具体的には、ヨーグルト、ゼリー、シロップ等の容器の蓋材、お粥、スープ、カレー、パスタソース等のレトルト食品包装材、化学品や医薬品等の液体、半固体、ゲル状物質等の保存容器用フィルム材料などには、その内面に内容物が付着し、内容物を全て使い切ることができずに無駄が生じることや、内容物の付着により汚れが生じること、内容物の排出作業に手間がかかることを抑制するために、その内面に内容物が付着しにくく滑落しやすい優れた撥液性を有することが求められている。
これらの要求に対して、例えば特許文献1には、表面に凹凸構造を有する撥水性フィルムであって、凹凸構造を有する面が所定の表面粗さRaであり、凹凸構造を有する面の水に対する接触角が所定の角度である、撥水性フィルムが提案されている。また、特許文献2には、ポリオレフィン及びシリコーン−オレフィン共重合体を含む樹脂シートであって、表面及び裏面の少なくとも一方の算術平均粗さRaが所定の範囲である樹脂シートが提案されている。
特開2015−025053号公報 特開2017−206587号公報
しかしながら、特許文献1に開示の技術のように、撥液層の表面粗さを規定するだけでは、十分な撥水性が得られない。また、特許文献2に開示の技術では、ポリオレフィンにシリコーン−オレフィン共重合体を添加するが、樹脂層でシリコーン−オレフィン共重合体の凝集し、樹脂層内にシリコーン−オレフィン共重合体が均一に分散しにくいために、十分な撥水性が得られない。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、内容物が付着しにくく滑落しやすい優れた撥液性を有する撥液層を形成可能な樹脂組成物、並びに、それを用いた撥液性フィルム、撥液性積層体及び包装材を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、(A)ポリオレフィン樹脂、及び、(B)シリコーン・アクリル共重合体を含有し、(B)シリコーン・アクリル共重合体の含有量が、撥液層形成用樹脂組成物の固形分全量を基準として、0.5〜20質量%である、撥液層形成用樹脂組成物を提供する。
上記撥液層形成用樹脂組成物によれば、(A)ポリオレフィン樹脂と、撥液層に撥液性を付与する成分である(B)シリコーン・アクリル共重合体とを併用するとともに、(B)シリコーン・アクリル共重合体の含有量が、撥液層形成用樹脂組成物の固形分全量を基準として、0.5〜20質量%であることにより上記効果が奏される理由について、本発明者らは以下のように推察する。(A)ポリオレフィン樹脂に対して(B)シリコーン・アクリル共重合体を添加すると、(B)シリコーン・アクリル共重合体のアクリル部位が(A)ポリオレフィン樹脂と相溶して優れた分散性が得られると共に、シリコーン部位が撥液層表面に偏在しやすく、得られる撥液層に優れた撥液性を付与することができる。また、(B)シリコーン・アクリル共重合体の含有量を上記範囲とすることで、撥液層を形成した際に、(B)シリコーン・アクリル共重合体同士が凝集することなく高分散しやすいため、得られる撥液層は、内容物が付着しにくく滑落しやすい優れた撥液性を有することとなる。
(B)シリコーン・アクリル共重合体の平均粒径が100〜500μmであってよい。(B)シリコーン・アクリル共重合体の平均粒径が上記範囲であることで、撥液層により効率的に表面凹凸を形成しやすく、撥液性をより向上させることができる。
本発明はまた、上記本発明の撥液層形成用樹脂組成物を用いて形成された撥液層を備える撥液性フィルムを提供する。かかる撥液性フィルムによれば、上記本発明の撥液層形成用樹脂組成物を用いて形成された撥液層を備えることにより、撥液層への内容物の付着を十分に抑制することができる。また、上記撥液性フィルムによれば、水や油だけでなく、カレーやパスタソースなどの水中油分散型内容物に対しても良好な撥液性を発現することができる。
上記撥液性フィルムは、撥液層の算術平均粗さRaが0.1μm以上であってよい。撥液層の算術平均粗さRaが上記範囲であると、撥液層の表面は十分な粗さの凹凸を有することとなる。そのため、撥液層に内容物が接触した状態であっても内容物との接触面積を小さくでき、より優れた撥液性を得ることができる。
撥液層の静止摩擦係数が0.40以下であってよい。撥液層の静止摩擦係数が上記範囲であると、撥液層に接触した内容物が滑落しやすくなり、より優れた撥液性を得ることができる。
上記撥液性フィルムは、上記撥液層の一方の主面上に設けられた1層以上の樹脂層を更に備えていてもよい。撥液性フィルムを撥液層以外の樹脂層を備えた多層構造とすることにより、撥液性に加えて更なる機能性(耐熱性、耐衝撃性等)を付与することが可能となる。また、撥液層の薄膜化が可能となり、コストダウンも可能である。
撥液性フィルムが撥液層以外の樹脂層を備える場合、上記撥液層中の上記(A)ポリオレフィン樹脂の融点T(℃)と、上記1層以上の樹脂層のうち上記撥液層と接する樹脂層に含まれる樹脂の融点T(℃)とが、T<Tの関係を満たしていてもよい。上記関係を満たすことにより、結晶化度の観点から、撥液層中の(B)シリコーン・アクリル共重合体が第2の樹脂層に移行することを抑制でき、撥液層表面への(B)シリコーン・アクリル共重合体の偏在化又はブリードアウトの効率を向上させることができるため、撥液性をより向上できる傾向がある。
本発明はまた、基材と、該基材上に設けられた上記本発明の撥液性フィルムと、を備え、上記撥液層が少なくとも一方の最表面に配置されている、撥液性積層体を提供する。かかる撥液性積層体によれば、上記本発明の撥液性フィルムを備えることにより、撥液層に内容物が付着しにくく滑落しやすい。また、撥液性フィルムを所望の機能を有する基材と積層することにより、撥液性積層体に機械強度やバリア性、遮光性等の機能を付与することができる。
本発明はまた、上記本発明の撥液性積層体を用いて形成された包装材を提供する。かかる包装材によれば、上記本発明の撥液性積層体を用いて形成されているため、撥液層に内容物が付着しにくく滑落しやすい。
上記包装材は、80℃以上の加熱処理を施す用途に用いられるものであってもよい。本実施形態に係る包装材によれば、このような用途に用いられた場合であっても、加熱処理後も包装材内面に内容物が付着しにくく滑落しやすい。
本発明によれば、内容物が付着しにくく滑落しやすい優れた撥液性を有する撥液層を形成可能な樹脂組成物、並びに、それを用いた撥液性フィルム、撥液性積層体及び包装材を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る撥液性積層体の概略断面図である。 本発明の一実施形態に係る撥液性積層体の概略断面図である。 撥液性積層体の撥液性の評価方法を説明する模式図である。
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
本願明細書において撥液性とは、撥液層に液体をはじいて付着させない性質、及び、撥液層に付着した液体を速やかに滑落させ、その場に留まらせない(付着した状態を維持させない)性質を含める。
[撥液性積層体]
本実施形態に係る撥液性積層体は、基材と、該基材上に設けられた撥液性フィルムと、を備え、撥液層が少なくとも一方の最表面に配置された構造を有するものである。図1及び図2は、本実施形態に係る撥液性積層体の概略断面図である。本実施形態に係る撥液性積層体は、図1に示す撥液性積層体1のように、撥液層11からなる撥液性フィルム10と、基材14とが、接着剤13を介して積層された構造を有するものであってもよい。また、本実施形態に係る撥液性積層体は、図2に示す撥液性積層体2のように、撥液層11及び第2の樹脂層12からなる撥液性フィルム10と、基材14とが、接着剤13を介して積層された構造を有するものであってもよい。撥液性フィルム10が第2の樹脂層12を備える場合、撥液性フィルム10は、撥液層11が撥液性積層体2の最表面となるように、第2の樹脂層12が基材14と対向するように配置される。
<撥液層11>
撥液層11は撥液性を有する層である。撥液層11は、加熱によりヒートシール性を発現することができる層であってもよい。ここで、撥液性とは、撥水性及び撥油性の両特性を包含する概念であり、具体的には、液体状、半固体状、もしくはゲル状の水性又は油性材料に対し撥液する特性である。水性又は油性材料としては、水、油、ヨーグルト、ゼリー、プリン、シロップ、お粥、スープ、カレー、パスタソース等の食品、ハンドソープ、シャンプー等の洗剤、医薬品、化粧品、化学品などが挙げられる。また、ヒートシール性とは、一例として、100〜200℃、0.1〜0.3MPa、1〜3秒間の条件にてヒートシールが可能である性質をいう。ヒートシールの条件は、撥液性積層体のヒートシールに要する条件に応じて容易に変更することが可能である。
撥液層11の厚さは、0.1〜100μmであることが好ましく、1〜70μmであることがより好ましく、3〜50μmであることが更に好ましく、5〜30μmであることが特に好ましい。撥液層11の厚さが上記下限値以上であることにより良好な撥液性及びヒートシール性が得やすくなる傾向がある。一方、厚さが上記上限値以下であることにより、撥液性積層体全体の厚さを薄くすることができる。
撥液層11の算術平均粗さRaは、撥液層11の撥液性を一層向上させることから、0.1μm以上であることが好ましく、0.15μm以上であることがより好ましく、0.2μm以上であることが更に好ましい。撥液層11の算術平均粗さRaは、特に制限されないが、5.0μm以下であってよい。撥液層11の算術平均粗さRaは、非接触表面・断面形状測定システム Vert Scan(株式会社菱化システム社製、型番:R3300FL−Lite−AC)を用いて測定できる。
撥液層11の算術平均粗さRaは、撥液層11の表面に凹凸を形成することで、上記範囲に調整することができる。撥液層11に表面凹凸を形成する方法としては、賦形転写及びフィラー添加などの方法が挙げられる。また、後述するような所定の平均粒径を有する(B)シリコーン・アクリル共重合体を用いることによっても、撥液層の表面に適度な凹凸を形成することができ、撥液層11の算術平均粗さRaを上記範囲に調整することができる。
撥液層11の静止摩擦係数の上限値は、撥液層11の撥液性を一層向上させることから、0.40以下であることが好ましく、0.35以下であることがより好ましく、0.30以下であることが更に好ましい。撥液層11の静止摩擦係数の下限値は、特に制限されないが、例えば、0.20以上であってよい。撥液層11の静止摩擦係数は、摩擦測定器(株式会社東洋精機製作所製 型番TR−2)を用いて測定することができる。
撥液層11の算術平均粗さRaが、0.1μm以上である場合、撥液層11の静止摩擦係数の上限値は、0.40以下であることが好ましく、0.35以下であることがより好ましく、0.30以下であることが更に好ましい。このような場合、算術平均粗さRaが0.1μm以上であることにより、撥液層11と内容物との接触部分の面積を小さくすることができ、更に、静止摩擦係数が0.40以下であることにより、面積が小さくなった接触部分の滑落性を向上することができる。その結果、撥液層11は、より一層優れた撥液性を得ることができる。
撥液層11は、下記成分を含む撥液層形成用樹脂組成物を用いて形成することができる。以下、撥液層形成用樹脂組成物について説明する。
<撥液層形成用樹脂組成物>
本発明の一実施形態に係る撥液層形成用樹脂組成物は、(A)ポリオレフィン樹脂(以下、「(A)成分」ともいう)、(B)シリコーン・アクリル共重合体(以下、「(B)成分」ともいう)を含有し、(B)シリコーン・アクリル共重合体の含有量が、撥液層形成用樹脂組成物の固形分全量を基準として、0.5〜20質量%である。
((A)ポリオレフィン樹脂)
(A)成分としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリノルボルネン等が挙げられる。(A)成分は、シール性及び強度物性(引張強度、衝撃強度など)の観点から、線状ポリオレフィンであってもよく、線状ポリオレフィンは直鎖状でも分岐状でもよい。撥液性積層体をレトルト食品包装材のような湯煎等の加熱処理が施される包装材用途に用いる場合には、袋状の包装材が湯煎等の加熱処理によって破袋することを防止しやすくなることから、(A)成分は、ポリプロピレンであることが好ましい。(A)成分は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリエチレンとしては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体等が挙げられる。αオレフィン成分としては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテンなどを例示することができる。共重合体は、ランダム共重合体でもブロック共重合体でもよい。
ポリプロピレンとしては、例えば、ホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、変性ポリプロピレン、並びに、エチレン及びプロピレン以外のαオレフィンとプロピレンとの共重合体(プロピレン系共重合体)が挙げられる。(A)成分としてポリプロピレンを用いる場合、形成される撥液層の表面に(B)成分を偏在しやすく、撥液性が一層向上する観点から、ブロックポリプロピレン及びランダムポリプロピレンを組み合わせて用いることが好ましい。
ポリプロピレンとしてブロックポリプロピレン及びランダムポリプロピレンを組み合わせて用いる場合、ブロックポリプロピレンと、ランダムポリプロピレンとの質量比(ブロックポリプロピレン/ランダムポリプロピレン)は、20/80〜80/20であることが好ましく、40/60〜60/40であることが更に好ましい。質量比が上記下限値以上であることで、形成される撥液層の表面に(B)成分を偏在しやすく、撥液性が一層向上する。
変性ポリプロピレンは、例えば、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸の酸無水物、不飽和カルボン酸のエステル等から導かれる不飽和カルボン酸誘導体成分で、ポリプロピレンをグラフト変性することで得られる。また、ポリプロピレン樹脂として、水酸基変性ポリプロピレンやアクリル変性ポリプロピレン等の変性ポリプロピレンを使用することもできる。プロピレン系共重合体を得るために用いられるαオレフィン成分としては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテンなどを例示することができる。
ポリオレフィン樹脂の融点は、最終用途に応じて適宜調整することができる。例えば、レトルト食品包装材用途であれば、ポリオレフィン樹脂の融点は130〜170℃であることが好ましい。
((B)シリコーン・アクリル共重合体)
(B)成分は、撥液層11に撥液性を付与する成分である。シリコーン・アクリル共重合体は、アクリル部位とシリコーン部位とを有する。(B)成分は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
シリコーン・アクリル共重合体は、ブロック共重合体であってもよく、ランダム共重合体であってもよい。
(B)成分としては、例えば、シャリーヌ R−170、シャリーヌ M−175PP、シャリーヌ R−175S(いずれも日信化学工業株式会社製、商品名)、モディパー FS700(商品名、日油株式会社製)等の製品が挙げられる。
(B)成分の平均粒径は、(B)成分の分散性が一層向上し、形成される撥液層により効率的に撥液性を付与することができることから、10〜500μmであることが好ましい。平均粒径は、レーザー回折/散乱法により測定することができる。
(B)成分において、アクリル部位を構成する成分とシリコーン部位を構成する成分との共重合比(モル比)は、シリコーン部位による撥液性付与とアクリル部位による分散性付与の観点から、10:90〜70:30であることが好ましく、30:70〜50:50であることがより好ましい。
撥液層形成用樹脂組成物における(A)成分の含有量は、撥液層形成用樹脂組成物の固形分全量を基準として、80〜99.5質量%であることが好ましく、85〜97.5質量%であることがより好ましく、90〜95質量%であることが更に好ましい。(A)成分の含有量が上記下限値以上であると、良好なヒートシール性が得られやすい傾向がある。一方、(A)成分の含有量が上記上限値以下であると、相対的に(B)成分の含有量が増えるため、撥液性が向上し易い傾向がある。
撥液層形成用樹脂組成物における(B)成分の含有量は、撥液層形成用樹脂組成物の固形分全量を基準として、0.5〜20質量%であり、2.5〜15質量%であることが好ましく、5〜10質量%であることがより好ましい。(B)成分の含有量が上記下限値以上であると、撥液性が向上しやすい傾向がある。一方、(B)成分の含有量が上記上限値以下であると、撥液層を形成した際に、(B)成分同士が凝集しにくいため、撥液性が向上しやすい傾向がある。
撥液層形成用樹脂組成物は、撥液性を損なわない程度の範囲で、必要に応じてその他の添加剤を含んでいてもよい。その他の添加剤としては、例えば、難燃剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、光安定剤、粘着付与剤等が挙げられる。
撥液層11は、上記撥液層形成用樹脂組成物を製膜することで形成することができる。
<第2の樹脂層12>
第2の樹脂層12は、ヒートシール性、耐熱性及び耐衝撃性、酸素・水蒸気バリア性等を向上させるために撥液層11と基材14との間に設けられる層である。撥液性フィルムが第2の樹脂層を更に備えることで、撥液性に加えて更なる機能性(耐熱性、耐衝撃性等)を付与することが可能となる。また、撥液層の薄膜化が可能となり、撥液層に含まれる(B)成分の総量を減らすことができるので、コストダウンも可能である。第2の樹脂層12は、ヒートシール性を有する熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。
第2の樹脂層12に用いられる熱可塑性樹脂としては特に限定されないが、ポリオレフィン樹脂、エチレン−α,β不飽和カルボン酸共重合体もしくはそのエステル化物又はイオン架橋物、エチレン−酢酸ビニル共重合体又はそのケン化物、ポリ酢酸ビニル又はそのケン化物、ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ABS樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ乳酸樹脂、フラン樹脂、及びシリコーン樹脂等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
第2の樹脂層12に用いられる上記熱可塑性樹脂は、ヒートシール性、耐熱性及び耐衝撃性が向上しやすいことから、ポリオレフィン樹脂を含むことが好ましい。ポリオレフィン樹脂としては、撥液層11に用いられる(A)成分と同様のものを用いることができる。
第2の樹脂層12が撥液層11と接している場合、撥液層11中の(A)成分の融点T(℃)と、第2の樹脂層12中の上記熱可塑性樹脂の融点T(℃)とは、T<Tの関係を満たすことが好ましい。上記関係を満たすことにより、結晶化度の観点から、撥液層11中の(B)成分が第2の樹脂層12に移行することを抑制でき、撥液層11表面への(B)成分の偏在化又はブリードアウトの効率を向上させることができるため、撥液性をより向上できる傾向がある。同じ観点から、融点Tは、融点Tよりも1℃以上高いことが好ましく、3℃以上高いことがより好ましい。
ここで、融点Tは、撥液層11を測定試料とした、撥液層11中で測定される(A)成分の融点である。同様に、融点Tは、第2の樹脂層12を測定試料とした、第2の樹脂層12中で測定される樹脂の融点である。融点Tは、撥液層11が(A)成分として融点の異なる2種類以上のポリオレフィン樹脂を含有している場合、撥液層11中で最も低温で融解するポリオレフィン樹脂の融点を示すが、他のポリオレフィン樹脂などの影響を受けるため、ポリオレフィン樹脂単独で測定される融点とは異なる。撥液層11中での(A)成分の融点T及び第2の樹脂層12中での樹脂の融点Tは、熱分析装置(例えば、株式会社日立ハイテクサイエンス製のTA7000)により測定することができる。
第2の樹脂層12の厚さは、本撥液層形成用樹脂組成物を用いた商材の最終用途に応じて適宜設定できる。第2の樹脂層12の厚さは、例えば、0.1〜300μmであることが好ましく、1〜200μmであることがより好ましく、5〜150μmであることが更に好ましく、10〜100μmであることが特に好ましい。
<撥液性フィルム10>
上述した撥液層11単層、又は、撥液層11及び第2の樹脂層12の2層により、撥液性を有する撥液性フィルム10が形成される。撥液性フィルム10は、基材14の表面の一部又は全部を覆うように形成されている。なお、撥液性フィルム10は、用途に応じて、基材14と積層せずに撥液性フィルム10単独で使用してもよい。
撥液性フィルム10は、撥液層11及び第2の樹脂層12以外の他の樹脂層を更に1層以上含んでいてもよい。他の樹脂層の組成は、第2の樹脂層12の組成と同様であってもよく、異なっていてもよい。
<基材14>
基材14は、支持体となる物であれば特に制限はなく、例えば紙、樹脂フィルム、金属箔等が挙げられる。紙としては、上質紙、特殊上質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙、模造紙、クラフト紙等が挙げられる。樹脂フィルムとしては、ポリオレフィン(例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等)、酸変性ポリオレフィン、ポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレート(PET)等)、ポリアミド(PA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、セルロースアセテート、セロファン樹脂の少なくとも一種を含むフィルムが挙げられる。このフィルムは延伸フィルムでもよいし、非延伸フィルムでもよい。金属箔としては、例えばアルミ箔、ニッケル箔等が挙げられる。基材14は、材質の異なる複数の基材を積層したものであってもよい。
基材14の厚さは特に限定されず、用途に応じて適宜調整することができるが、通常、1〜500μmであり、好ましくは10〜100μmである。
基材14と撥液性フィルム10との貼り合わせ方法としては、以下のような、接着剤によるラミネート方法、及び、熱処理によるラミネート方法などが挙げられるが、それらに限定されない。
(接着剤によるラミネート方法)
接着剤によるラミネート方法としては、ドライラミネート、ウェットラミネート、ノンソルベントラミネートなどの各種公知のラミネート方法を用いることができる。これらのラミネート方法に用いられる接着剤13としては以下のものが挙げられる。
<接着剤13>
接着剤13は、撥液性フィルム10と基材14とを接着するものである。接着剤13としては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、カーボネートポリオールなどの主剤に対し、2官能以上のイソシアネート化合物を作用させたポリウレタン樹脂等が挙げられる。上述した各種ポリオールは、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
接着剤13には更に、接着促進を目的として、上述したポリウレタン樹脂に、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、エポキシ化合物、リン化合物、シランカップリング剤などを配合してもよい。
また、接着剤13に求められる性能に応じて、上述したポリウレタン樹脂に、その他の各種添加剤や安定剤を配合してもよい。
接着剤13の厚さは、特に限定されるものではないが、所望の接着強度、追随性、及び加工性等を得る観点から、例えば、1〜10μmが好ましく、3〜7μmがより好ましい。
(熱処理によるラミネート方法)
熱処理によるラミネート方法としては、大きく以下の方法が挙げられる。
(1)あらかじめ製膜した撥液性フィルム10を接着性樹脂と共に基材14上に押出ラミネートする方法。
(2)撥液性フィルム10を構成する樹脂層と接着性樹脂とを基材14上に押出ラミネートする方法。
(3)上記(1)もしくは(2)の方法で得られたラミネート基材を、更に熱ロールで加熱・加圧することにより接着させる方法。
(4)上記(1)もしくは(2)の方法で得られたラミネート基材を、更に高温雰囲気下で保管する、あるいは高温雰囲気下の乾燥・焼付け炉を通過させる方法。
熱処理によるラミネート方法で用いられる接着性樹脂としては、酸変性ポリオレフィンなどが挙げられる。また、上記の方法では押出ラミネートにより基材14と撥液性フィルム10とを積層しているが、押出ラミネートを行わずに、酸変性ポリオレフィン系コーティング剤(溶解型、分散型)をあらかじめ基材14上に塗工形成した後、撥液性フィルム10を熱処理により積層させることも可能である。
また、基材14には、接着性プライマー(アンカーコート)を設けることも可能であり、その材料として、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリアリルアミン系、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素−酢酸ビニル系などを用いることが可能であり、必要に応じて、接着剤13として使用可能な上記の各種硬化剤や添加剤を配合してもよい。
本実施形態に係る撥液性積層体は、撥液層が内面となるように袋状に形成した撥液性積層体内に、食用油を上記内面全体と接するように充填して密閉し、温度121℃、圧力0.2MPa、30分間の条件で水蒸気による加熱加圧処理を行った後の撥液性積層体の単位面積当たりの油膨潤量が、1.0mg/cm以下であることが好ましい。このようにして測定される油膨潤量が1.0mg/cm以下であることで、撥液性積層体はより優れた撥液性を有することができ、内容物を排出した後の残液量をより低減することができる。同様の観点から、上記油膨潤量は0.95mg/cm以下であることがより好ましい。一方、内容物の滑落性を高める観点から、撥液層は油脂により多少膨潤してもよく、上記油膨潤量は、0.5mg/cm以上であってもよい。
[包装材]
本実施形態に係る包装材は、上述した撥液性積層体を用いて形成されたものである。包装材として具体的には、ヨーグルト、ゼリー、シロップ等の容器の蓋材、お粥、スープ、カレー、パスタソース等のレトルト食品包装材(レトルトパウチ)などが挙げられる。包装材の内面(内容物側)に撥液層が配置されるように包装材を形成することで、液体や半固体、ゲル状物質等の内容物の包装材内面への付着や残存を抑制することができる。また、レトルト食品包装材のような袋状の包装材においては、包装材の最内層同士がブロッキングすることで内容物が排出され難くなる場合があるが、本実施形態に係る包装材によれば、最内層である撥液層同士がブロッキングし難く、内容物を効率的に排出することができる。
上記包装材は、80℃以上の加熱処理を施す用途に用いられるものであってもよい。具体的には、レトルト食品包装材のような湯煎等の加熱処理が施される包装材用途に用いられるものであってもよい。本実施形態に係る包装材によれば、このような用途に用いられた場合であっても、加熱処理後も包装材内面への内容物の付着や残存を抑制できる。
[容器]
本実施形態に係る容器は、上述した撥液層形成用樹脂組成物を用いて形成された撥液層を少なくとも内面(内容物側)に有する容器である。容器として具体的には、化学品や医薬品等の液体、半固体、ゲル状物質等の保存容器、ハンドソープやシャンプー等を収容するボトルなどが挙げられる。容器の内面(内容物側)に撥液層が配置されるように容器を形成することで、液体や半固体、ゲル状物質等の内容物の容器内面への付着や残存を抑制することができる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<撥液層形成用樹脂組成物の作製>
[実施例1〜30及び比較例1〜4]
(A)成分として、ランダムポリプロピレン樹脂(プロピレン−エチレンランダム共重合体、商品名「プライムポリプロ F744NP」、株式会社プライムポリマー製)及びブロックポリプロピレン樹脂(プロピレン−エチレンブロック共重合体、商品名「プライムポリプロ BC5FA」)と、(B)成分として、表1に示すように(B1)〜(B5)のいずれかと、を混合し、撥液層形成用樹脂組成物を調製した。ここで、各成分の含有量は、(A)成分中のランダムポリプロピレン樹脂とブロックポリプロピレン樹脂との質量比が50:50となり、且つ、(A)成分と(B)成分との組成が表1に示す割合となるように調整した。(B1)〜(B5)の詳細は下記のとおりである。
(B1):シリコーン・アクリル共重合体(商品名「モディパー FS700」、日油株式会社製)
(B2):シリコーン・アクリル共重合体(平均粒径350μm(カタログ値)、商品名「シャリーヌ R−170」、日信化学工業株式会社製)
(B3):フッ素化合物(平均粒径6μm、商品名「CERAFLOUR 996」、ビックケミー・ジャパン株式会社製)
(B4):シリル化ポリオレフィン樹脂(商品名「イクスフォーラ」、三井化学ファイン株式会社製)
(B5):シリコーン・アクリル共重合体(商品名「シャリーヌ M−175PP」、日信化学工業株式会社製)
(B5)は、シリコーン・アクリル共重合体とブロックポリプロピレン樹脂とからなるマスターバッチであり、(B5)全体に占めるシリコーン・アクリル共重合体の割合は、50質量%である。よって、(B5)を用いた実施例について、表1中、(B5)全体の配合量に加え、括弧内にシリコーン・アクリル共重合体のみの配合量(質量%)を示した。なお、マスターバッチを構成するポリプロピレン樹脂は、(A)成分に該当する。
<撥液性積層体の作製>
[実施例1〜10]
3層共押出し機を用いて、撥液層形成用樹脂組成物を押出し製膜し、厚さ60μmの撥液層からなる撥液性フィルムを得た。得られた撥液性フィルムと、基材である厚さ38μmのPETフィルム(商品名「エンブレット」、ユニチカ株式会社製)とを、ポリウレタン系接着剤(三井化学株式会社製)を用いてドライラミネートし、50℃で5日間エージングして、撥液性積層体を得た。
[実施例11〜20及び比較例1〜4]
ランダムポリプロピレン樹脂(プロピレン−エチレンランダム共重合体、商品名「プライムポリプロ F744NP」、株式会社プライムポリマー製)及びブロックポリプロピレン樹脂(プロピレン−エチレンブロック共重合体、商品名「プライムポリプロ BC5FA」)を、第2の樹脂層形成用樹脂組成物とした。ここで、ランダムポリプロピレン樹脂とブロックポリプロピレン樹脂との質量比が50:50となるように第2の樹脂層形成用樹脂組成物を調整した。3層共押出し機を用いて、撥液層形成用樹脂組成物と第2の樹脂層形成用樹脂組成物とを共押出し製膜し、厚さ15μmの撥液層と厚さ45μmの第2の樹脂層からなる撥液性フィルムを得た。得られた撥液性フィルムの第2の樹脂層と、基材である厚さ38μmのPETフィルム(商品名「エンブレット」、ユニチカ株式会社製)とを、ポリウレタン系接着剤(三井化学株式会社製)を用いてドライラミネートし、撥液性積層体を得た。
[実施例21〜30]
ブロックポリプロピレン樹脂(プロピレン−エチレンブロック共重合体、商品名「プライムポリプロ BC3HF」)を、第2の樹脂層形成用樹脂組成物としたこと以外は、実施例11〜20及び比較例1〜4と同様にして撥液性積層体の作製を行った。
<算術平均粗さRaの測定>
[実施例1〜30並びに比較例3及び4]
撥液層の算術平均粗さRaは、非接触表面・断面形状測定システム Vert Scan(株式会社菱化システム社製、型番:R3300FL−Lite−AC)を用いて測定した。測定条件は、対物レンズの倍率を5倍とし、モードをPhase、スキャンレンジを−10〜10μm、視野サイズを640×480μmとした。測定結果を表1に示した。
<静止摩擦係数の測定>
[実施例1〜30及び比較例1〜4]
撥液層の静止摩擦係数は、摩擦測定機(株式会社東洋精機製作所製 型番TR−2)を用いて測定した。各例で得られた撥液性積層体を縦100mm×横70mmにカットし、試験片を得た。得られた試験片を測定用錘に撥液層が外側になるように取り付けた。また、測定機本体側に取り付ける試験片として、各例で得られた撥液性積層体を縦160mm×横100mmにカットした。得られた試験片を測定機本体へ撥液層が外側になるように取り付けた。測定機本体へ取り付けた試験片の撥液層と、測定用錘に取り付けた試験片の撥液層が接するように錘を設置した。錘の重さを200g、測定速度を100mm/分で試験片同士を摩擦させて、静止摩擦係数を測定した。測定距離は60mmとし、ロードセルは20Nのものを用いた。
また、表1には、撥液層中で測定される(A)成分である樹脂の融点T(℃)と、第2の樹脂層に用いた(A)成分である樹脂の融点T(℃)との大小関係を示した。融点Tは、撥液層中でより低温で融解するランダムポリプロピレン樹脂の融点を示すが、ブロックポリプロピレン樹脂の影響を受けるため、ランダムポリプロピレン樹脂単独で測定される融点とは異なる。撥液層中での(A)成分の融点T及び第2の樹脂層中での樹脂の融点Tは、熱分析装置(株式会社日立ハイテクサイエンス製、TA7000)により測定した。
<撥液性評価>
(レトルト処理後の残液評価)
実施例及び比較例で得られた撥液性積層体について、図3に示した方法により、レトルト処理後の撥液性の評価を行った。まず、撥液性積層体を縦150mm×横138mmにカットしたサンプル100を2枚用意した。2枚のサンプル100を、それぞれの撥液層が内側となるように重ね、縦方向端部の1辺と横方向両端部の2辺とを、ヒートシーラーで190℃、0.03MPa、2secの条件で10mm幅にわたって熱封緘してシール部51を形成し、縦方向端部の一辺が開口しているパウチを作製した(図3の(a)を参照)。次に、パウチの開口部から180gの水中油分散型液体54(商品名「ボンカレーゴールド 中辛」、脂質量7.0g/180g中、大塚食品社製)を注液した(図3の(b)を参照)。その後、開口部をヒートシーラーで190℃、0.03MPa、2secの条件で10mm幅にわたって熱封緘してシール部51を形成し、パウチを密閉した(図3の(c)を参照)。
密閉したパウチを高温高圧調理殺菌装置(日立キャピタル株式会社製)に投入後、高温の水蒸気で圧力0.2MPaの条件下、121℃で30分間レトルト処理を行い、更に密閉したパウチを100℃で5分間湯煎処理した。上記処理後、直ちに密閉したパウチの上部を切断して注ぎ口を形成した(図3の(d)を参照)。次いで、パウチを逆さにし、注ぎ口を水平面から45°傾けた状態で10秒間保持し、容器56に水中油分散型液体54を排出させて、秤57により排出量を秤量した(図3の(e)を参照)。秤量した排出量から、下記式により残液量(%)を求めた。
残液量(%)={(180−排出量)/180}×100
測定は3回行い、3回の平均残液量から下記評価基準により残液評価を行った。残液量及び残液評価の結果を表1に示す。
◎:平均残液量が6.5%未満
○:平均残液量が6.5%以上8.0%未満
△:平均残液量が8.0%以上10.0%未満
×:平均残液量が10.0%以上
(レトルト処理後の外観評価)
上記残液評価において、パウチ内から液体を排出した際の液体の排出挙動を目視にて観察し、下記評価基準により外観評価を行った。結果を表1に示す。
◎:液体を綺麗にはじく様子、及び/又は液体が綺麗に滑落する様子が見られ、フィルムへの付着がほぼない。
○:液体をはじく様子、及び/又は液体が滑落する様子が見られ、フィルムへの付着が少ない。
△:液体をはじく様子、及び/又は液体が滑落する様子は見られるが、フィルムに付着している。
×:液体をはじく様子、及び液体が滑落する様子がいずれも見られず、フィルムに多く付着している。
Figure 2020158746
表1に示した結果から明らかなように、実施例1〜30の撥液性積層体によれば、比較例1〜4の撥液性積層体と比較して、残液が少なく、また、パウチ内にて液体が滑落する様子が確認されたことから、撥液性を向上させることができることが確認された。
実施例11〜30の撥液性積層体は、第2の樹脂層を備えているために、耐熱性及び耐衝撃性に優れる。
1,2…撥液性積層体、10…撥液性フィルム、11…撥液層、12…第2の樹脂層、13…接着剤、14…基材、51…シール部、54…水中油分散型液体、56…容器、57…秤、100…撥液性積層体の評価用サンプル。

Claims (10)

  1. (A)ポリオレフィン樹脂、及び、(B)シリコーン・アクリル共重合体を含有し、
    前記(B)シリコーン・アクリル共重合体の含有量が、撥液層形成用樹脂組成物の固形分全量を基準として、0.5〜20質量%である、撥液層形成用樹脂組成物。
  2. 前記(B)シリコーン・アクリル共重合体の平均粒径が10〜500μmである、請求項1に記載の撥液層形成用樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の樹脂組成物を用いて形成された撥液層を備える撥液性フィルム。
  4. 前記撥液層の算術平均粗さRaが0.1μm以上である、請求項3に記載の撥液性フィルム。
  5. 前記撥液層の静止摩擦係数が0.40以下である、請求項3又は4に記載の撥液性フィルム。
  6. 前記撥液層の一方の主面上に設けられた1層以上の樹脂層を更に備える、請求項3〜5のいずれか一項に記載の撥液性フィルム。
  7. 前記撥液層中の前記(A)ポリオレフィン樹脂の融点T(℃)と、前記1層以上の樹脂層のうち前記撥液層と接する樹脂層に含まれる樹脂の融点T(℃)とが、T<Tの関係を満たす、請求項6に記載の撥液性フィルム。
  8. 基材と、該基材上に設けられた請求項3〜7のいずれか一項に記載の撥液性フィルムと、を備え、前記撥液層が少なくとも一方の最表面に配置されている、撥液性積層体。
  9. 請求項8に記載の撥液性積層体を用いて形成された包装材。
  10. 80℃以上の加熱処理を施す用途に用いられる、請求項9に記載の包装材。
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