JP2020157692A - 成形体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 大掛かりな装置を必要とすることなく効率的な孔開けが可能な表皮付きの成形体の製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】 金型内で表皮材を有する成形体の成形を行うとともに、成形体に孔開けを行う成形体の製造方法である。成形体の成形の際に、金型内において、表皮材とは反対側から突き出し部材を突き出し、孔開けを行う。成形の際には、分割された一対の金型を用い、一方の金型に突き出し部材を設けるとともに、他方の金型に前記突き出し部材の受けとなる開口部を形成する。突き出し部材の先端面は、後退した位置において、一方の金型の成形面の一部を構成する。【選択図】 図6

Description

本発明は、表皮材を有する成形体の製造方法に関するものであり、特に、金型内で孔開けを行うようにした新規な成形体の製造方法に関する。
従来、自動車内装部材等の成形体として一重壁構造の樹脂シートからなる成形体が用いられている。例えば、特許文献1では、樹脂シートを自動車用のドアトリムに用いている。
特許4297738号公報
ところで、一重壁構造の成形体に表皮シートを成形する場合があり、その場合、1枚の発泡樹脂シートと表皮シートを重ねて成形し、外周部分をコンプレッションした後、バリを切除するという方法が行われる。
ここで、成形体に孔開け加工が必要な場合があり、通常は、成形体を金型から取り出した後に後加工で孔開けを実施している。しなしながら、後加工での孔開けは、工数を増加する要因になり、生産性の点で好ましくない。また、後加工で孔開けを行うためには、孔開け用のプレス機等が別途必要になる等、設備投資も必要である。
また、特に表皮材を有する成形体においては、孔開けが容易ではなく、ナイフや打ち抜きによる孔開けの場合、カット面に内部層がむき出しになり、成形精度が低くなるという問題もある。
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、設備増や工数増を招くことなく効率的な孔開けが可能な成形体の製造方法を提供することを目的とする。
前述の目的を達成するために、本発明の成形体の製造方法は、金型内で表皮材を有する成形体の成形を行うとともに、前記成形体に孔開けを行う成形体の製造方法であって、成形体の成形の際に、金型内において、表皮材とは反対側から突き出し部材を突き出し、孔開けを行うことを特徴とする。
本発明は、金型内で孔開けを行うことを基本的な考えとするもので、突き出し部材を最適化することにより、効率的で精度の良い孔開けを実現するものである。
本発明によれば、表皮材を有する成形体について、別途設備を必要とすることなく効率的な孔開けが可能である。特に、本発明によれば、成形完了後の成形体の取り出し時には、孔開け加工が完結されていることになり、成形工程の大幅な合理化を実現することができる。
製造される成形体の一例を示す概略断面図である。 表皮シートと発泡樹脂シートを一体化した成形体を成形するための成形機の一例を示す図である。 成形体の成形工程を示す概略断面図であり、(A)は樹脂シート及び表皮シートの供給工程、(B)は型締め工程、(C)は真空吸引により樹脂シートをキャビティ形状に賦形する工程をそれぞれ示す。 表皮材を有する成形体のバリ切断位置近傍を拡大して示す図であり、(A)はバリ冷却工程を示す概略断面図、(B)は突き出し部材の突き出し工程を示す概略断面図である。 表皮材を有する成形体のバリ切断位置近傍を拡大して示す図であり、(A)は表皮材とは反対側の面からバリを冷却する工程を示す概略断面図、(B)は表皮材とは反対側の面から突き出し部材の突き出す工程を示す概略断面図である。 孔開け工程を示す図であり、(A)は樹脂シートの射出工程、(B)は型締め工程、(C)は賦形工程、(D)は孔開け工程、(E)は型開き工程を示す。 孔開け状態を示す写真であり、(A)及び(B)は表皮材側から突き出し部材を突き出して孔開けを行った場合、(C)及び(D)は樹脂シート側から突き出し部材を突き出して孔開けを行った場合である。 孔開け状態を模式的に示す図であり、(A)は表皮材側から突き出し部材を突き出して孔開けを行った場合、(B)は樹脂シート側から突き出し部材を突き出して孔開けを行った場合である。
以下、本発明を適用した成形体の製造方法の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
本実施形態で成形される成形体1は、図1に示すように、発泡樹脂シート2の表面にいわゆるカーペットのような表皮シート3を積層一体化したものであり、表皮シート3側を意匠面として例えば車両のトリム材等として用いられるものである。
発泡樹脂シート2に使用する前記熱可塑性樹脂は任意であるが、例えばポリオレフィン等を挙げることができ、ポリオレフィンとしては、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体及びその混合物等が挙げられる。
発泡樹脂シート2は、単層の樹脂シートであるが、成形時に金型内を真空吸引することにより厚さが拡大され、それによって金型に接する形で成形され、その結果、表裏両面近傍が冷却されて中心部分に比べて緻密な(発泡倍率が低い)状態(表裏にスキン層を有する状態)となっている。このため、いわゆる2重壁構造に類似する構造となり、単層であっても高い剛性を有する。
表皮シート3は、前記の通り意匠面を構成するものであり、いわゆるカーペット材や、不織布等が用いられる。表皮シート3は、溶融状態の発泡樹脂シート2と重ねて成形され、熱溶着された状態で発泡樹脂シート2と一体化されている。
前述の成形体1は、例えば図2に示すような成形機により成形される。図2は、成形体1を成形するための成形機の一例を示すものであり、成形機10は、樹脂供給装置20と、Tダイ18と、金型30,40を備える。樹脂供給装置20は、ホッパー12と、押出機13と、インジェクタ16と、アキュームレータ17を備える。押出機13とアキュームレータ17は、連結管25を介して連結される。アキュームレータ17とTダイ18は、連結管27を介して連結される。
ホッパー12は、原料樹脂11を押出機13のシリンダ13a内に投入するために用いられる。原料樹脂11の形態は、特に限定されないが、通常は、ペレット状である。原料樹脂11は、ホッパー12からシリンダ13a内に投入された後、シリンダ13a内で加熱されることによって溶融されて溶融樹脂になる。また、シリンダ13a内に配置されたスクリューの回転によってシリンダ13aの先端に向けて搬送される。スクリューは、シリンダ13a内に配置され、その回転によって溶融樹脂を混練しながら搬送する。スクリューの基端にはギア装置が設けられており、ギア装置によってスクリューが回転駆動される。シリンダ13a内に配置されるスクリューの数は、1本でもよく、2本以上であってもよい。
シリンダ13aには、シリンダ13a内に発泡剤を注入するためのインジェクタ16が設けられる。原料樹脂11を発泡させない場合は、インジェクタ16は省略可能である。インジェクタ16から注入される発泡剤は、物理発泡剤、化学発泡剤、及びその混合物が挙げられるが、物理発泡剤が好ましい。物理発泡剤としては、空気、炭酸ガス、窒素ガス、水等の無機系物理発泡剤、およびブタン、ペンタン、ヘキサン、ジクロロメタン、ジクロロエタン等の有機系物理発泡剤、さらにはそれらの超臨界流体を用いることができる。超臨界流体としては、二酸化炭素、窒素などを用いて作ることが好ましく、窒素であれば臨界温度−149.1℃、臨界圧力3.4MPa以上、二酸化炭素であれば臨界温度31℃、臨界圧力7.4MPa以上とすることにより得られる。化学発泡剤としては、酸(例:クエン酸又はその塩)と塩基(例:重曹)との化学反応により炭酸ガスを発生させるものが挙げられる。化学発泡剤は、インジェクタ16から注入する代わりに、ホッパー12から投入してもよい。
発泡剤が添加されている又は添加されていない溶融樹脂11aは、シリンダ13aの樹脂押出口から押し出され、連結管25を通じてアキュームレータ17内に注入される。アキュームレータ17は、シリンダ17aとその内部で摺動可能なピストン17bを備えており、シリンダ17a内に溶融樹脂11aが貯留可能になっている。そして、シリンダ17a内に溶融樹脂11aが所定量貯留された後にピストン17bを移動させることによって、連結管27を通じて溶融樹脂11aをTダイ18内に設けられたスリットから押し出して垂下させて発泡樹脂シート2を形成する。
発泡樹脂シート2は、第1及び第2金型30,40間に導かれ、金型30,40によって成形される。金型30は、金型40に対向する面に凸部30aを有する。金型40は、金型30に対向する面に凹部40aを有する。凸部30aと凹部40aは互いに略相補形状になっている。金型30には、好ましくは、多数の減圧吸引孔が設けられており、発泡樹脂シート2を減圧吸引して金型30の表面に沿った形状に賦形することが可能になっている。金型40にも減圧吸引孔が設けられていてもよい。溶融樹脂が発泡剤を含有することで、発泡樹脂シート2は発泡樹脂シートとなり、成形体は発泡成形体となる。
また、発泡樹脂シート2に隣接した位置に発泡樹脂シート2に重なるように表皮シート3を配置し、表皮シート3と発泡樹脂シート2を金型30,40で挟むことによって、表皮シート3と発泡樹脂シート2(発泡樹脂シート2)を一体成形することができる。これによって、図1に示すように、発泡樹脂シート2に表皮シート3が一体成形された成形体1が得られる。
図3は成形体1の成形方法を説明するものであり、成形体1の成形において、発泡樹脂シート2と表皮シート3を一体に成形するには、先ず、図3(A)に示すように、金型30,40の間に発泡樹脂シート2と表皮シート3とを供給する。供給される発泡樹脂シート2の厚さは、金型30,40間の間隔よりも若干小さい。
次いで、図3(B)に示すように、金型30,40の型締めを行う。この段階では、発泡樹脂シート2の厚さは金型30,40の間隔よりも小さい。次いで、図3(C)に示すように、発泡樹脂シート2をキャビティ形状に賦形するとともに、発泡樹脂シート2と表皮シート3を溶着により接合一体化する。この時、前記の通り、金型30,40に設けた減圧吸引孔より真空吸引を行い、発泡樹脂シート2の厚さを拡大させ、金型30,40のキャビティ形状に賦形する。
金型30,40の両方によって発泡樹脂シート2を減圧吸引すると、発泡樹脂シート2の発泡が促進されて発泡樹脂シート2が膨張する。発泡樹脂シート2は厚さ方向の中央付近での粘度が最も低い(流動性が最も高い)ので、厚さ方向の中央付近での発泡が特に促進されて発泡樹脂シート2が膨張する。その結果、厚さ方向の中央付近の層(中央層)での平均気泡径が大きく、表面近傍の表面層の平均気泡径が小さいという構成の発泡樹脂シート2が得られる。このような発泡樹脂シート2は、平均気泡径が大きい中央層が、平均気泡径が小さい表面層で挟まれたサンドイッチ構造となっているために、軽量且つ高剛性である。
以上が成形体1の成形方法であるが、金型30,40の型締めで成形体1の成形を行う場合、成形体1の周囲にはバリが形成されることになる。本実施形態では、成形体1の周囲に形成されるバリを金型内で切断することとする。金型内でバリを切除することにより、バリ取りのための工程を別途設ける必要がなくなり、効率的なバリ取りが可能である。また、別途プレス機等を用意する必要がないので、大掛かりな設備が不要となり、設備投資上も有利である。
以下、成形体1の周囲に形成されたバリを切断するバリ取りについて説明する。
前記成形に用いられる金型30,40においては、成形体1に対応するキャビティの外周部分に互いに突き当てられるピンチ部31,41を有する。これらピンチ部31,41により発泡樹脂シート2や表皮シート3が押し潰され、この部分が成形体1のパーティングライン(PL)となる。ここで、前記ピンチ部31,41の外側に残存する発泡樹脂シート2や表皮シート3がバリBとなるが、本実施形態においては、このバリBを成形体1から分断する機構が金型30,40に設けられている。
先ず、金型30,40のピンチ部31,41の外側においては、金型30の金型面が後退されてバリBを収容する空間50が形成されている。図4(A)に示すように、ピンチ部31,41の外側に空間50が形成され、この空間50内にバリBが収容される形になる。
また、前記空間50は、前記ピンチ部31,41から所定の距離をもって形成されるピンチ部32,42によって反対側の端部が塞がれる形となっている。すなわち、前記空間50は、ピンチ部31,41を第1のピンチ部、ピンチ部32,42を第2のピンチ部とし、これらピンチ部間の空間として形成されている。このように空間50を閉鎖空間とすることで、後述のエアー吹き付け機構から吹き付けられるエアー(冷気)が空間50から逃げないような構造とされている。なお、エアー吹き付けの際に、これら空間50からエアーを逃がすために、空間50にエアー逃がし用のピンを挿入するようにしてもよいし、他のエアー逃がし機構を設けるようにしてもよい。
空間50には、エアー吹き付け機構及び突き出し部材が設けられ、これを用いてバリBの成形体1からの分断が行われる。具体的には、本実施形態の場合、図中、下側の金型40には、前記空間50に対応してエアー吹き付け用の吹き出し孔43が形成されている。このエアー吹き出し孔43からエアー(冷気)が吹き出され、バリBに冷気が吹き付けられる。
なお、本例では、成形体の周囲に第1のピンチ部(ピンチ部31,41)を設けるとともに、当該第1のピンチ部の外側に第2のピンチ部(ピンチ部32,42)を設け、これら第1のピンチ部と第2のピンチ部の間に形成される空間においてバリ取りを行うようにしたが、例えば隣接する2つの成形体のピンチ部の間に形成される空間においてバリ取りを行うようにすることも可能である。
一方、図中、上側の金型30には、ピンチ部31に近い位置に、またピンチ部31に沿って配列する形で突き出し部材である金型スライド機構60が設置されている。金型スライド機構60は、例えば直径20mm〜30mm程度の棒状部材であり、この金型スライド機構60を金型面から突き出すことでバリBを向かい合う金型40の金型面に向けてバリBを押し付ける。
前記金型スライド機構60の形態は任意であり、例えば断面円形の棒状体を用いてもよいし、先端面の中央に凹部60aを有し円環状の突出部を有する棒状体を用いてもよい。あるいは、先端に若干径の小さな凸部60bを有する棒状体等も使用可能である。
金型スライド機構60は、前記の通り、ピンチ部31,41に沿って配列されるが、その間隔が狭いほど切断性が向上する。したがって、金型スライド機構60の配列ピッチ(配列間隔)は例えば170mm以内とすることが好ましい。
また、金型スライド機構60の稼動手段としては、例えば油圧方式を採用することができ、各金型スライド機構60を独立に稼動させる方式としてもよいし、金型背板等を利用して同時に稼動する方式としてもよい。成形体の形状によっては、金型スライド機構60が当たるタイミングを可変とすることで、バリ処理が円滑に行われることも考えられるが、その場合には、各金型スライド機構60のストロークを調整することで適宜調整可能である。
金型内でのバリ取りに際しては、バリBをしっかりと冷却すること、金型スライド機構60の設定を最適化することが重要である。表皮材(表皮シート3)を有する成形体1の場合、発泡樹脂シート2側から打ち抜くと、表皮シート3が切断されず、型ないバリ取りが難しい。その要因としては、(1)バリBにおいて冷却ブローが表皮シート3側に当たり、冷却効率が落ちること、(2)パーティングライン(PL)において表皮シート3に力がうまく伝わらないこと、の2点が挙げられる。
そこで、本実施形態においては、図4(A),(B)に示すように、表皮シート3側から金型スライド機構60を突き出し、バリBを打ち抜くように構成している。すなわち、図4(A)に示すように、表皮易シート3と接する側の金型30に金型スライド機構60を内蔵する形とし、冷却ブローの後、図4(B)に示すように、金型スライド機構60を突き出してバリBを切断する。これにより、バリBが速やかに切断される。
表皮シート3側から金型スライド機構60を突き出し、バリBを打ち抜くように構成した場合、通気性のない発泡樹脂シート2側から冷却ブローが吹き付けられることになり、バリB(発泡樹脂シート2及び表皮シート3)が金型40に密着し、十分に冷却される。また、金型スライド機構60は表皮シート3に直接突き当たる形になり、金型スライド機構60の力が表皮シート3に確実に伝わり、円滑なバリ取りが実現される。
これに対して、図5(A)に示すように発泡樹脂シート2側の金型40に金型スライド機構60を設け、発泡樹脂シート2側から金型スライド機構60を突き出すようにした場合、図5(B)に示すように、表皮シート3を切断することができず、金型内バリ取りが成立しない。
発泡樹脂シート2側から金型スライド機構60を突き出すようにした場合、通気性を有する表皮シート3側から冷却ブローが吹き付けられることになり、通気性のない発泡樹脂シート2は金型30に密着する。一方、表皮シート3は冷却ブローによる押し付けが不十分となって、発泡樹脂シート2への密着が不十分となる。金型スライド機構60は発泡樹脂シート2に突き当たる形になるが、前記の通り表皮シート3の発泡樹脂シート2への密着も不十分であり、金型スライド機構60の力が表皮シート3に伝わり難く、表皮シート3を確実に切断することができない。
また、本実施形態では、成形体1に対して孔開け加工を行うが、この孔開けについても、先のバリ取りと同様、金型内で行う。従来、成形体1の孔開け加工は、製品(成形体1)の金型から取り出した後に実施しているが、型内で孔開けすることで、後加工工程を短縮することができ、コストダウンを達成することが可能である。
図6は型内での孔開け加工を説明する図である。前述の通り、金型30,40の間に発泡樹脂シート2及び表皮シート3を挟み込んで成形を行うが、一方の金型に孔開け加工用の金型スライド機構を設け、他方の金型の前記金型スライド機構と対向する位置に受け用の開口部を形成しておけば、金型スライド機構による打ち抜きで孔開け加工を行うことができる。
ただし、成形体1の孔開けにおいては、先のバリBを切断する場合とは逆に、発泡樹脂シート2と接する金型40に打ち抜き用の金型スライド機構70を設けるとともに、反対側の金型30に受け用の開口部80を形成し、発泡樹脂シート2側から金型スライド機構70を突出させ、孔開け加工を行う。発泡樹脂シート2が接する側の金型40に金型スライド機構70を設けることで、発泡樹脂シート2が金型スライド機構70と接触して冷却され、フラットなスキン層が形成される。これにより孔カット面精度の高い製品(成形体1)を得ることができる。
前記打ち抜き用の金型スライド機構70は、後退した位置において、前記一方の金型40の成形面の一部を構成する形になり、金型スライド機構70の先端面が発泡樹脂シート2と接触して冷却し、フラットなスキン層が形成される。
以下、成形体1の孔開け加工について説明すると、先ず、図6(A)に示すように、金型30に表皮シート3を保持した状態でTダイより溶融発泡樹脂を射出して発泡樹脂シート2を表皮シート3と重ね、図6(B)に示すように、対向する金型40を型締めする。
次いで、図6(C)に示すように、金型30,40に設けた減圧吸引孔より真空吸引を行い、発泡樹脂シート2の厚さを拡大させ、金型30,40のキャビティ形状に賦形する。その後、図6(D)に示すように、金型40に設けた金型スライド機構70を突き出すことで、成形体1の孔部のバリを喰い切り、これを成形体1から除去する。最後に、図6(E)に示すように型開きし、孔開けが行われた成形体1を取り出す。
図7は孔開け状態を示す写真であり、(A)及び(B)は表皮材側から突き出し部材を突き出して孔開けを行った場合、(C)及び(D)は樹脂シート側から突き出し部材を突き出して孔開けを行った場合である。図8は孔開け状態を模式的に示す図であり、(A)は表皮材側から突き出し部材を突き出して孔開けを行った場合、(B)は樹脂シート側から突き出し部材を突き出して孔開けを行った場合である。
表皮材側から突き出し部材(金型スライド機構70)を突き出して孔開けを行った場合、発泡樹脂シート2は孔開け位置において金型と接しないことになり、表皮シート3が断熱材として機能するので冷却が不十分になる。この状態で表皮シート3側から突き出し部材(金型スライド機構70)を突き出して孔開けを行うと、発泡樹脂シート2が押し潰され、表皮シート3を引きちぎるように孔開けが行われ、表皮シート3の端部にほつれ等も生じて、きれいに打ち抜くことができない。
これに対して、発泡樹脂シート2側から突き出し部材(金型スライド機構70)を突き出して孔開けを行った場合、発泡樹脂シート2は金型と接して十分に冷却され、十分に硬化した発泡樹脂シート2側から打ち抜きが行われるので、これに一体化した表皮シート3もきれいに打ち抜かれる。
以上、本発明を適用した実施形態について説明してきたが、本発明が前述の実施形態に限られるものでないことは言うまでもなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
例えば成形体の製造方法について言えば、先の実施形態では、発泡樹脂からなる樹脂シートを成形する場合を例に説明したが、円筒状のパリソンを金型でブロー成形する方法等、成形体の周囲にバリが形成される製造方法であれば、いずれにおいても本発明を適用することが可能である。樹脂シートについても、発泡樹脂シートに限らず、非発泡の樹脂シートであってもよい。
1 成形体
2 発泡樹脂シート
3 表皮シート
30,40 金型
31,32,41,42 ピンチ部
50 空間
60,70 金型スライド機構
80 開口部
B バリ

Claims (2)

  1. 金型内で表皮材を有する成形体の成形を行うとともに、前記成形体に孔開けを行う成形体の製造方法であって、
    成形体の成形の際に、金型内において、表皮材とは反対側から突き出し部材を突き出し、孔開けを行うことを特徴とする成形体の製造方法。
  2. 分割された一対の金型を用い、一方の金型に突き出し部材を設けるとともに、他方の金型に前記突き出し部材の受けとなる開口部を形成し、
    前記突き出し部材の先端面は、後退した位置において、前記一方の金型の成形面の一部を構成していることを特徴とする請求項1記載の成形体の製造方法。
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