JP2020153805A - ウェアラブル機器、電子時計、磁気センサのキャリブレーション方法及びプログラム - Google Patents

ウェアラブル機器、電子時計、磁気センサのキャリブレーション方法及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】自動キャリブレーションの失敗による消費電力を抑える。【解決手段】電子時計100は、磁気センサ131と、磁気センサ131のキャリブレーションを行い、2以上の機能モードを制御する制御部120と、ユーザの運動を感知する加速度センサ135と、を備える。制御部120は、加速度センサ135で感知された運動の状態が、磁気センサ131のキャリブレーションを行うことが可能なキャリブレーション可能状態であるか否かを判定し、2以上の機能モードのうち現在実行中の機能モードを判別し、加速度センサ135で感知された運動の状態が、キャリブレーション可能状態であり、かつ、機能モードが、ユーザの操作によって実行される機能モードである非デフォルトモードでない場合、磁気センサ131のキャリブレーションを行う。【選択図】図1

Description

本発明は、ウェアラブル機器、電子時計、磁気センサのキャリブレーション方法及びプログラムに関する。
従来から、磁気センサを備えることにより、地球の磁場を計測して電子コンパスとして利用可能な電子機器が存在している。磁気センサで地球の磁場を計測する際、近傍に磁石や帯磁した物体が存在すると、それらによる磁場と地球の磁場とが合成された磁場が計測される。つまり、本来の地球の磁場に近傍の磁場の影響によるオフセット磁場が加わったものが計測される。したがって、正確な地球の磁場を求めるには、このオフセット磁場の大きさを同定して、磁気センサの計測値から当該オフセット値に応じた補正を行うことにより、磁気センサのキャリブレーションを行う必要がある。
従来、磁気センサのキャリブレーションを行うには、キャリブレーションが成功するまで、ユーザが所定の動作(磁気センサを様々な方向に向けたり移動させたりする動作)をしなければならず、ユーザにかなり負担をかけることになっていた。これに対し、特許文献1には、着信時のバイブレータ動作をトリガーに磁気センサのキャリブレーションを行うことで、バイブレータ動作により携帯端末装置が回転することを利用して、自動的に磁気センサのキャリブレーションができる技術が記載されている。
特開2005−345389号公報
しかしながら、特許文献1に記載されている技術では、携帯端末装置の回転動作が継続して行われなかった等の場合に、必要なデータが取得できず、キャリブレーションが失敗してしまう場合があった。そういった場合に、キャリブレーションの動作が無駄になってしまうため、消費電力の観点で問題があった。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、自動キャリブレーションの失敗による消費電力を抑えることができるウェアラブル機器、電子時計、磁気センサのキャリブレーション方法及びプログラムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明のウェアラブル機器は、
磁気センサと、
前記磁気センサのキャリブレーションを行い、2以上の機能モードを制御する制御部と、
ユーザの運動を感知する運動感知部と、
を備え、
前記制御部は、
前記運動感知部で感知された運動の状態が前記磁気センサのキャリブレーションを行うことが可能なキャリブレーション可能状態であるか否かを判定し、前記2以上の機能モードのうち現在実行中の機能モードを判別し、
前記運動感知部で感知された運動の状態が、前記キャリブレーション可能状態であり、かつ、前記機能モードが、ユーザの操作によって実行される機能モードである非デフォルトモードでない場合、前記磁気センサのキャリブレーションを行い、
前記運動感知部で感知された運動の状態が前記キャリブレーション可能状態でない、又は、前記制御部により判別された機能モードが前記非デフォルトモードである場合、前記磁気センサのキャリブレーションを行わない。
本発明によれば、自動キャリブレーションの失敗による消費電力を抑えることができる。
実施形態1に係る電子時計の機能構成例を示す図である。 実施形態1に係る自動キャリブレーション処理のフローチャートである。 変形例1に係るキャリブレーション中止処理のフローチャートである。 変形例2に係る自動キャリブレーション処理のフローチャートである。 実施形態2に係る自動キャリブレーション処理のフローチャートである。 実施形態3に係る自動キャリブレーション処理のフローチャートである。 実施形態4に係る自動キャリブレーション処理のフローチャートである。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付す。
(実施形態1)
本発明の実施形態1に係るウェアラブル機器は、磁気センサを備える腕時計型の電子時計であり、バンドでユーザの腕に装着されるようになっている。
実施形態1に係る電子時計100は、図1に示すように、ハードウェア構成として、マイクロコントローラ110と、発振回路111と、磁気センサ131と、表示部132と、操作部133と、ROM(Read Only Memory)134と、加速度センサ135と、傾斜センサ136と、圧力センサ137と、温度センサ138と、を備える。
マイクロコントローラ110は、分周回路112と、計時回路113と、RAM(Random Access Memory)114と、制御部120と、を備える。なお、分周回路112、計時回路113及びRAM114は、マイクロコントローラ110の内部に限られず、マイクロコントローラ110の外部に設けられてもよい。また、発振回路111及びROM134は、マイクロコントローラ110の外部に限られず、マイクロコントローラ110の内部に設けられてもよい。
発振回路111は、水晶振動子等の振動子を発振させて、所定の周波数信号(クロック信号)を生成して出力する。
分周回路112は、発振回路111から入力された周波数信号を計時回路113や制御部120が利用する周波数の信号に分周して出力する。分周回路112が出力する信号の周波数は、制御部120による設定に基づいて変更されてもよい。
計時回路113は、分周回路112から入力された信号の振動回数を計数することによって現在時刻を計時する。なお、計時回路113は、所定の時間(例えば1秒)毎にRAM114に記憶させる値を変化させるソフトウェアにより構成されてもよいし、或いは、専用のハードウェアにより構成されてもよい。計時回路113が計時する時刻は、所定のタイミングからの累積時間、UTC(協定世界時:Coordinated Universal Time)、JST(日本標準時:Japan Standard Time)等の各地の標準時、又は予め設定された都市の時刻(地方時)等のうち何れであってもよい。また、この計時回路113が計時する時刻は、必ずしも年月日時分秒の形式でなくてもよい。なお、本実施形態において、発振回路111、分周回路112及び計時回路113により日時を計時する計時部が構成される。
RAM114は、SRAM(Static Random Access Memory)やDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性のメモリであり、ROM134とともに記憶部を構成する。RAM114は、ワークメモリとして、一時的なデータ、各種設定データ、表示部132に表示する画像データ等を記憶する。本実施形態において、画像データとは、例えば現在時刻、年月日、曜日、バッテリ残量等を表す画像データである。
制御部120はCPU(Central Processing Unit)等で構成され、各種演算処理を行い、電子時計100の全体動作を統括制御する。制御部120は、ROM134に記憶されている制御プログラムを読み出し、RAM114をワークメモリとして用いながら、電子時計100の各種機能に係る演算制御、表示制御等を行う。また、制御部120はタイマー機能を備え、所定の時間が経過したか否かを計測することができる。そして、制御部120は、マルチスレッド機能に対応しており、複数のスレッド(異なる処理の流れ)を並行して実行することができる。
磁気センサ131は、磁場(磁界)の大きさ及び向きを3軸方向について計測するセンサである。磁場を感知する素子としては、例えば、磁気抵抗素子(MR素子)が用いられる。磁気センサ131は、計測した値をマイクロコントローラ110に出力する。
表示部132は、時刻や各種機能に係るデータを表示する。本実施形態において、表示部132は、時刻をデジタル表示する液晶パネルを備えるが、これに限られない。例えば、表示部132は、秒針、分針、時針等を備え、時刻や各種機能に係るデータをアナログ表示するものであってもよい。また、表示部132は、秒針、分針、時針等に加えて液晶パネルも備え、時刻を各針でアナログ表示し、さらに液晶パネルに日時や各種機能に係るデータを表示するものであってもよい。
操作部133は、ユーザからの入力操作を受け付けて、当該入力操作に応じた電気信号を入力信号としてマイクロコントローラ110に送る。操作部133は、例えば、押しボタンスイッチ、りゅうず、ベゼル等を含む。あるいは、操作部133として、タッチセンサが、表示部132の表示画面に重ねて設けられ、表示画面とともにタッチパネルを構成してもよい。この場合、タッチセンサは、当該タッチセンサへのユーザの接触動作に係る接触位置や接触態様を検知し、検知された接触位置や接触態様に応じた操作信号をマイクロコントローラ110に送る。
ROM134は、マスクROM、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリであり、RAM114とともに記憶部を構成する。ROM134は、制御プログラムや初期設定データが記憶されている。ROM134に記憶されている制御プログラムには、後述する自動キャリブレーション処理のためのプログラムが含まれている。
加速度センサ135は、3軸方向の加速度を計測するセンサである。加速度センサ135は、例えば圧電素子の加速度による変形を用いて、加速度を計測する。加速度センサ135は、計測した値をマイクロコントローラ110に出力する。加速度センサ135は、加速度を計測することにより、電子時計100及び電子時計100を装着したユーザの運動を感知することができるので、運動感知部として機能する。
傾斜センサ136は、電子時計100の傾きを測定するセンサである。傾斜センサ136は、例えば、地球の重力加速度を感知することにより、傾きを測定することができる。傾斜センサ136は、計測した値をマイクロコントローラ110に出力する。傾斜センサ136も、電子時計100を装着したユーザの運動を感知する運動感知部として機能する。また、傾斜センサ136は、電子時計100の傾きを感知する傾斜計測部としても機能する。
圧力センサ137は、大気の圧力を測定するセンサである。圧力センサ137は、例えば圧電素子により大気の圧力を感知することで、気圧を計測する。圧力センサ137は、計測した値をマイクロコントローラ110に出力する。
温度センサ138は、熱を検知するセンサである。本実施形態では、温度センサ138は電子時計100の周囲の気温を測定する。温度センサ138は、例えばサーミスタにより熱を感知することで、気温を計測する。温度センサ138は、計測した値をマイクロコントローラ110に出力する。
以上、実施形態1に係る電子時計100の機能構成について説明した。続いて、電子時計100の持つ機能モードについて説明する。
電子時計100は、機能モードとして、通常の時計表示を行う時刻モードだけでなく、気圧を計測する気圧計測モード、気温を計測する温度計測モード、方位を計測する方位計測モード、高度を計測する高度計測モード、日の出時刻や日の入り時刻を表示する日の出日の入りモード、時間を計測するストップウォッチモード、設定した時間を計測後に音を鳴らすタイマーモード、アラームを設定するアラーム設定モード、世界の各都市の時刻やUTCを表示するワールドタイムモード、等の種々の機能モードを持つ。
電子時計100は、ユーザが操作部133を操作することにより、各機能モードを実行する(該機能モードに遷移する)が、時刻モード、ストップウォッチモード、タイマーモード及びワールドタイムモード以外の機能モードを実行した場合は、その後ユーザが何も操作せずに規定時間(機能モードによって異なるが、例えば1分、1時間等)が経過すると、自動的に時刻モードに戻る。これらの機能モードの実行(選択)は、ユーザの操作部133への操作等に基づき、制御部120によって行われるため、制御部120は、現在実行中の機能モードを判別することができる。したがって、制御部120は、現在実行中の機能モードを判別する判別手段として機能する。
時刻モードは表示部132に現在時刻を表示する機能モードであり、電子時計100を普通の時計として用いる場合の通常の機能モードである。電子時計100は、起動されると、機能モードのデフォルト設定として、時刻モードで動作を開始する。
気圧計測モードは、圧力センサ137で気圧を計測して表示部132に表示する機能モードである。気圧計測モードでは電子時計100は、例えば1分毎に気圧を計測及び表示し、1時間経過すると時刻モードに戻る。
温度計測モードは、温度センサ138で気温を計測して表示部132に表示する機能モードである。温度計測モードでは電子時計100は、例えば1分毎に気温を計測及び表示し、1時間経過すると時刻モードに戻る。
方位計測モードは、磁気センサ131で地磁気を計測して表示部132にコンパスのように北方位を表示する機能モードである。方位計測モードでは電子時計100は、例えば1秒毎に方位計測及び北方位表示を行い、1分経過すると時刻モードに戻る。
高度計測モードは、圧力センサ137で気圧を計測して、気圧の変化量を現在値の高度に換算して、表示部132に高度を表示する機能モードである。高度計測モードでは電子時計100は、例えば1分毎に気圧を計測して高度を表示し、1時間経過すると時刻モードに戻る。
日の出日の入りモードは、特定の日付(年月日)と特定の場所(緯度及び経度)とに基づいて日の出時刻及び日の入り時刻を算出して、表示部132に表示する機能モードである。日の出日の入りモードでは電子時計100は、例えば日の出時刻と日の入り時刻を表示してから1分経過すると時刻モードに戻る。
ストップウォッチモードは、操作部133でスタートボタンが押されてからストップボタンが押されるまで1/100秒単位で時間を計測し、表示部132に表示する機能モードである。ストップウォッチモードでは、ユーザが長時間何も操作しなくても時刻モードに戻ることはなく、ストップウォッチモードのままである。
タイマーモードは、操作部133で計測時間が設定され、スタートボタンが押されると、設定された時間が経過するまで時間を計測して表示部132に残り時間を表示し、設定された時間になるとタイムアップを知らせる音を鳴らす機能モードである。タイマーモードでは、ユーザが長時間何も操作しなくても時刻モードに戻ることはなく、タイマーモードのままである。
アラーム設定モードは、アラーム時刻を設定する機能モードである。アラーム設定モードでは、ユーザが長時間(例えば5分間)何も操作しないでいると、時刻モードに戻る。
ワールドタイムモードは、世界の各都市の時刻やUTCを表示部132に表示する機能モードである。ユーザは、どの都市の時刻又はUTCを表示するかを、操作部133から入力することができる。ワールドタイムモードでは、ユーザが長時間何も操作しなくても時刻モードに戻ることはなく、ワールドタイムモードのままである。
以上説明したように、機能モードには、種々のモードがあるが、時刻モード以外はユーザが意図してその機能モードを実行(選択)しないとその機能モードに遷移しない。つまり、ユーザはその機能モードを使用したいからその機能モードを実行(選択)しているということが言える。逆に、時刻モードについては、(ユーザが意図的に時刻モードを実行(選択)することは可能だが)ユーザの意思とは無関係に(例えば、デフォルト設定、時間の経過、等により)実行される機能モードであると言える。そこで、時刻モードをデフォルトモード、時刻モード以外の機能モードをまとめて非デフォルトモードとも呼ぶことにする。
電子時計100は、上述の方位計測モードにおいて、磁気センサ131の計測値に基づいて北方位を表示部132に表示する。しかし、電子時計100の内部の部品が帯磁(磁化)していると、帯磁した部品の磁場と地球の磁場との和が磁気センサ131で計測されることになるため、北方位を正しく表示することができない。この場合、帯磁した部品の磁場は、磁気センサ131の3軸方向それぞれに対してかかるオフセット磁場となる。したがって、このオフセット磁場を計測して、磁気センサ131の計測値から当該オフセット磁場を差し引くことにより、地球の磁場を正しく計測できることになる。
オフセット磁場は、電子時計100の内部の固定された部品による磁場であるから、3軸方向それぞれに対して各々決まった大きさとなる。従って、地球の磁場の向きが電子時計100から見て3軸方向に対して異なる向きとなるように、電子時計100を様々な態勢にして磁気センサ131で地球の磁場を測定することにより、制御部120は、地球の磁場の平均的なずれの値からオフセット磁場を求めることができる。オフセット磁場を求めることを磁気センサ131のキャリブレーションと呼ぶ。磁気センサ131のキャリブレーションを行っている時、制御部120はキャリブレーション手段として機能する。
電子時計100は、ユーザが所定の操作(例えば方位計測モードにおいてりゅうずを引く操作)を行うことにより、磁気センサ131を手動でキャリブレーションするモード(手動キャリブレーションモード)になる。ユーザは、このモードで電子時計100を回転等させることにより、磁気センサ131を手動でキャリブレーションすることができる。しかし、この手動キャリブレーションは、ユーザにとって、手動キャリブレーションモードにする手間と、その後電子時計100を回転等させる手間とがあるため、ユーザによってはあまり行われない。その結果、手動キャリブレーションをあまり行わないユーザの電子時計100では、方位計測モードでの方位の計測が正しく行えないことがあった。
しかし、電子時計100を腕に装着しているユーザが歩行中であれば、ユーザの腕の振り等により、磁気センサ131は様々な方向で磁場を計測することができる。つまり、ユーザが歩行中であれば、電子時計100は、磁気センサ131のキャリブレーションを行うことができる。また、電子時計100は、加速度センサ135で運動を感知することにより、電子時計100を腕に装着しているユーザが現在歩行中であるか否かを判定することができる。したがって、ユーザの歩行を感知することにより、磁気センサ131のキャリブレーションを自動的に行うことが可能である。
この自動キャリブレーション処理について、図2を参照して説明する。自動キャリブレーション処理は、電子時計100が、磁気センサ131のキャリブレーションを自動的に行うための処理であり、電子時計100が起動すると、他の処理(例えば日時を計時する計時処理)と並行に実行が開始される。
まず、電子時計100の制御部120は、磁気センサ131の前回のキャリブレーション(手動キャリブレーションの場合も自動キャリブレーションの場合も含む)から24時間以上経過しているかを判定する(ステップS101)。ここで経過時間を24時間としているのは一例であり、磁気センサ131の正確さをできるだけ保ちたければもっと短い時間(例えば3時間)にしてもよいし、電子時計100の消費電力を抑えたければもっと長い時間(例えば72時間)にしてもよい。
24時間経過していないなら(ステップS101;No)、ステップS101に戻る。24時間経過していないなら、まだキャリブレーションは行わなくてよいと考えられるからである。24時間以上経過しているなら(ステップS101;Yes)、制御部120は、加速度センサ135で加速度を計測することにより、電子時計100を腕に装着しているユーザの歩行が検知されたか否かを判定する(ステップS102)。なお、加速度センサ135により歩行を検知するアルゴリズムは公知技術である。例えば加速度センサ135が計測した値から、周期的なピークの有無を検知し、歩行を検知することができる。ステップS102は、感知ステップとも呼ばれる。歩行が検知されないなら(ステップS102;No)、ステップS101に戻る。本実施形態では、歩行中の腕の振りに基づいてキャリブレーションを行うため、歩行中でなければ、自動キャリブレーションを行わないからである。
歩行が検知されたら(ステップS102;Yes)、制御部120は、検知した歩行の継続時間が歩行基準時間(例えば60秒)以上であるか否かを判定する(ステップS103)。歩行の継続時間が歩行基準時間未満なら(ステップS103;No)、ステップS101に戻る。継続時間が歩行基準時間未満の場合、今後も歩行が継続するかどうか不明であり、歩行が継続しなかった場合、自動キャリブレーションが途中で失敗するおそれがあるからである。ステップS103では、ステップS102で感知された運動(歩行)の状態が、磁気センサ131のキャリブレーションを行うことが可能なキャリブレーション可能状態であるか否かを判定しているので、ステップS103は判定ステップとも呼ばれる。
歩行の継続時間が歩行基準時間以上なら(ステップS103;Yes)、制御部120は、電子時計100の現在の機能モードが時刻モードであるか否かを判定する(ステップS104)。ステップS104は、判別ステップとも呼ばれる。時刻モードでないなら(ステップS104;No)、ステップS101に戻る。機能モードが時刻モードでないなら、ユーザが意図的に現在の機能モードにしていると考えられ、その場合に勝手に磁気センサ131のキャリブレーションが行われてしまうと、ユーザの利便性を損ねるおそれがあるからである。
電子時計100の現在の機能モードが時刻モードなら(ステップS104;Yes)、制御部120は、磁気センサ131をONにして、自動キャリブレーションを実行し(ステップS105)、ステップS101に戻る。ステップS105では、歩行している時のユーザの腕の振りによって、磁気センサ131の向きが様々な方向に変化することを利用してキャリブレーションを行う。ステップS105は、キャリブレーションステップとも呼ばれる。
以上、自動キャリブレーション処理について説明した。以上説明した自動キャリブレーション処理により、ユーザが手動でキャリブレーションを行わなくても、電子時計100はユーザの運動を感知し、該運動の状態が歩行状態であるなら、自動的にキャリブレーションを行う。したがって、電子時計100は、ユーザに負担をかけずに磁気センサ131のキャリブレーションを行うことができる。なお、歩行状態は、磁気センサ131のキャリブレーションが可能な状態であると言えるので、キャリブレーション可能状態とも呼ぶ。
また、この自動キャリブレーション処理によるキャリブレーションは電子時計100の現在の機能モードが時刻モード(デフォルトモード)の時しか行われないので、ユーザが他の機能(例えば機能A)を使用している時に自動的にキャリブレーションが行われることによって、機能Aが勝手に終了してしまうようなことを避けることができる。
また、電子時計100は、単に歩行を感知しただけでキャリブレーションを行うのではなく、ある程度の時間(歩行基準時間)歩行が継続していることを確認してからキャリブレーションを行うので、例えば家の中を少し歩いただけのような場合(すぐに歩行が終了してしまう場合)にキャリブレーションが行われるのを防ぐことができる。すぐに歩行が終了してしまうと、キャリブレーションが終了する前に腕の振りの動きがなくなり、キャリブレーションを完了させることができなかったり、キャリブレーションの精度が低くなってしまったりするが、電子時計100では、歩行継続時間が歩行基準時間以上であることを判定してからキャリブレーションを行うことにより、キャリブレーションが失敗したり精度が低くなったりする可能性を低くすることができる。これにより、キャリブレーションが失敗に終わることが少なくなり、消費電力を抑えることができる。
(変形例1)
実施形態1では、電子時計100の機能モードが時刻モード(デフォルトモード)の時にのみ自動キャリブレーション処理を実行する。これは、機能モードが非デフォルトモード(時刻モード以外の機能モード:例えば機能Aモード)であった場合は、ユーザは意図的に(機能Aモードを使いたいから)機能Aモードを実行していると考えられ、そのような場合にキャリブレーションを実行してしまうと、機能Aモードがユーザの意図に反して終了してしまうことになるからである。
一方、キャリブレーション中にユーザが非デフォルトモード(時刻モード以外の機能モード:例えば機能Aモード)を実行した場合、ユーザは機能Aモードで行われる表示を確認するために立ち止まって(歩行を中止して)表示部132を見ることが多いと考えられる。すると、腕の振りが止まってしまうので、この時行われているキャリブレーションは失敗してしまうことが予想される。失敗が予想されるキャリブレーションを続行するのは、消費電力の面でも望ましくない。そこで、キャリブレーション中にユーザが非デフォルトモード(時刻モード以外の機能モード)を実行した場合にキャリブレーションを中止する変形例1について説明する。
変形例1に係る電子時計100の機能構成は、実施形態1に係る電子時計100と同じであり、図1に示される。変形例1に係る電子時計100が実施形態1に係る電子時計100と異なる点は、変形例1では、自動キャリブレーション処理(図2)に加えて、キャリブレーション実行中に機能モードの変化を監視して、ユーザが非デフォルトモード(時刻モード以外の機能モード)を実行した場合にキャリブレーションを中止するための処理(キャリブレーション中止処理)を実行する点である。このキャリブレーション中止処理について、図3を参照して説明する。この処理は、変形例1に係る電子時計100が起動すると、他の処理(例えば計時処理)と並行に実行が開始される。
まず、電子時計101の制御部120は、磁気センサ131のキャリブレーションが開始されているか否かを判定する(ステップS151)。例えば、手動キャリブレーション時も自動キャリブレーション時も、キャリブレーションが開始されたら、キャリブレーション中であることを示すフラグ変数に1をセットし、キャリブレーションが終了したら、そのフラグ変数を0にするようにしておくことにより、制御部120は、そのフラグ変数を確認することによってキャリブレーションが開始されているか否かを判定できる。キャリブレーションが開始されていなければ(ステップS151;No)、ステップS151に戻る。
キャリブレーションが開始されていれば(ステップS151;Yes)、制御部120は、磁気センサ131のキャリブレーションが終了しているか否かを判定する(ステップS152)。この判定もステップS151と同様の処理で行うことができる。キャリブレーションが終了しているなら(ステップS152;Yes)、ステップS151に戻る。
キャリブレーションが終了していないなら(ステップS152;No)、制御部120は、非デフォルトモード(時刻モード以外の機能モード)が実行されたか否かを判定する(ステップS153)。この判定は、ユーザが操作部133を操作して、非デフォルトモード(時刻モード以外の機能モード)を実行したか否かを検知することにより行うことができる。非デフォルトモード(時刻モード以外の機能モード)が実行されていなければ(ステップS153;No)、ステップS152に戻る。
非デフォルトモード(時刻モード以外の機能モード)が実行されたら(ステップS153;Yes)、制御部120は、磁気センサ131をOFFにして、キャリブレーションを中止する(ステップS154)。そして、ステップS151に戻る。
上述のキャリブレーション中止処理(図3)により、ユーザが非デフォルトモード(時刻モード以外の機能モード)を実行した場合には、電子時計100は、磁気センサ131のキャリブレーションを中止するので、失敗する可能性が高いキャリブレーションを実行し続けるのを防ぎ、消費電力を低減することができる。
なお、上述のキャリブレーション中止処理(図3)は、変形例1に係る電子時計100が起動すると、他の処理(例えば計時処理)と並行に実行が開始されるとして説明したが、実行開始タイミングはこれに限られない。キャリブレーション(手動も自動も含む)を実行する時にキャリブレーション中止処理が実行されるようにしてもよい。その場合は、ステップS151の処理は省略でき、また、上述の図3の説明で「ステップS151に戻る。」としていた部分は「キャリブレーション中止処理を終了する。」に置き換えればよい。
(変形例2)
実施形態1では、前回のキャリブレーションから24時間経過後は、電子時計100はユーザが歩行しているか否かの判定をし続けるが、この判定には加速度センサ135を用いるので、加速度センサ135の動作に必要な電力を消費し続けてしまうという問題があった。ユーザが歩行等、何らかの運動をしていることは、加速度センサ135だけでなく、傾斜センサ136によっても感知可能である。そして、一般に傾斜センサ136は加速度センサ135よりも消費電力が小さい。そこで、傾斜センサ136が所定の傾斜を検知した後に加速度センサ135を用いる変形例2について説明する。
変形例2に係る電子時計100の機能構成は、実施形態1に係る電子時計100と同じであり、図1に示される。変形例2に係る電子時計100が実施形態1に係る電子時計100と異なる点は、変形例2では、自動キャリブレーション処理において、加速度センサ135で歩行を検知する前に、まず、傾斜センサでユーザが動いていることを検知する点である。この変形例2に係る自動キャリブレーション処理について、図4を参照して説明する。この処理は、変形例2に係る電子時計100が起動すると、他の処理(例えば計時処理)と並行に実行が開始される。
変形例2に係る自動キャリブレーション処理(図4)は、実施形態1に係る自動キャリブレーション処理(図2)のステップS101とステップS102の間にステップS111を追加した処理になっている。そこで、ステップS111について説明する。ステップS111では、制御部120は、傾斜センサ136で測定した傾きが前回測定した傾きから変化したか否かを判定する。変化していなければ(ステップS111;No)、ステップS101に戻る。変化していたら(ステップS111;Yes)、制御部120は、加速度センサ135により、電子時計100を腕に装着しているユーザの歩行が検知されたか否かを判定する(ステップS102)。
上述の処理以外は、実施形態1に係る自動キャリブレーション処理(図2)と同じであるので、説明を省略する。変形例2に係る電子時計100では、加速度センサ135で歩行を検知する前に、傾斜センサ136でユーザが動いているか否かを確認するので、消費電力を軽減することができる。
(実施形態2)
実施形態1では、電子時計100は、ユーザの歩行を検知してキャリブレーションを行ったが、キャリブレーションを行うタイミングは、ユーザの歩行に限られない。電子時計を腕に装着しているユーザが腕にある電子時計を見る動作は、比較的頻繁に行われると考えられるが、この動作の後にユーザは通常、腕を振り下ろす動作をする。この、腕を振り下ろす動作は、歩行中の腕の振りと同様に、腕に装着された電子時計を、向きを変えながら移動させる動作になるので、この動作においてもキャリブレーションを行うことが可能である。そこで、電子時計の表示を見る動作をきっかけに自動的にキャリブレーションを行う実施形態2について説明する。
実施形態2に係る電子時計101の機能構成は、実施形態1に係る電子時計100と同じであり、図1に示される。また、実施形態2に係る電子時計101の持つ機能モードも実施形態1に係る電子時計100の持つ機能モードと同じであり、手動キャリブレーション機能も実施形態2に係る電子時計101と実施形態1に係る電子時計100とで特段異なる点はない。一方、実施形態2に係る電子時計101の自動キャリブレーション処理は、実施形態1に係る電子時計100の自動キャリブレーション処理(図2)と異なるので、電子時計101の自動キャリブレーション処理について、図5を参照して説明する。この自動キャリブレーション処理は、電子時計101が起動すると、他の処理(例えば計時処理)と並行に実行が開始される。
まず、電子時計101の制御部120は、磁気センサ131の前回のキャリブレーション(手動キャリブレーションの場合も自動キャリブレーションの場合も含む)から24時間以上経過しているかを判定する(ステップS201)。実施形態1と同様、ここで経過時間を24時間としているのは一例であり、磁気センサ131の正確さをできるだけ保ちたければもっと短い時間(例えば3時間)にしてもよいし、電子時計101の消費電力を抑えたければもっと長い時間(例えば72時間)にしてもよい。
24時間経過していないなら(ステップS201;No)、ステップS201に戻る。24時間経過していないなら、まだキャリブレーションは行わなくてよいと考えられるからである。24時間以上経過しているなら(ステップS201;Yes)、制御部120は、加速度センサ135による加速度の変化、又は、傾斜センサ136による電子時計101の傾き、又は、加速度センサ135による加速度の変化と傾斜センサ136による電子時計101の傾きの両方を用いて、電子時計101を腕に装着しているユーザが、電子時計101(表示部132)を見る動作を行ったか否かを判定する(ステップS202)。腕が自然に下に下がっている状態から、ユーザが電子時計101の表示部132を見る時の動作が行われる時の電子時計101装着部分の加速度変化や、ユーザが表示部132を見る時の電子時計101の傾き等から、ユーザが電子時計101(表示部132)を見る動作を行ったか否かを判定することが可能である。電子時計101(表示部132)を見る動作が行われていないなら(ステップS202;No)、ステップS201に戻る。本実施形態では、電子時計101(表示部132)を見る動作の後の腕の振りに基づいてキャリブレーションを行うため、電子時計101(表示部132)を見る動作が行われなければ、自動キャリブレーションを行わないからである。
電子時計101(表示部132)を見る動作が行われたら(ステップS202;Yes)、制御部120は、加速度センサ135により、電子時計101が静止している状態が継続しているか否かを判定する(ステップS203)。電子時計101が静止している状態が継続しているなら(ステップS203;Yes)、ステップS203に戻る。静止状態が継続している間はユーザが電子時計101(表示部132)を見続けていると考えられ、腕の振りの動きが始まっていないからである。
電子時計101が静止している状態が継続していないなら(ステップS203;No)、制御部120は、電子時計101の現在の機能モードが時刻モードであるか否かを判定する(ステップS204)。時刻モードでないなら(ステップS204;No)、ステップS201に戻る。機能モードが時刻モードでないなら、ユーザが意図的に現在の機能モードにしていると考えられ、その場合に勝手に磁気センサ131のキャリブレーションが行われてしまうと、ユーザの利便性を損ねるおそれがあるからである。
電子時計101の現在の機能モードが時刻モードなら(ステップS204;Yes)、制御部120は、磁気センサ131をONにして、自動キャリブレーションを実行し(ステップS205)、ステップS201に戻る。ステップS205では、ユーザが電子時計101(表示部132)を見るために上げていた腕を振り下ろす動作によって、磁気センサ131の向きが様々な方向に変化することを利用してキャリブレーションを行う。すなわち、電子時計101では、ユーザが電子時計101を見る動作を判定してからキャリブレーションを行う。これにより、その後ユーザが電子時計101を見るために上げていた腕を振り下ろして、磁気センサ131の向きが様々な方向に変化するタイミングを確実に利用できるため、キャリブレーションが失敗したり精度が低くなったりする可能性を低くすることができる。これにより、キャリブレーションが失敗に終わることが少なくなり、消費電力を抑えることができる。
以上、実施形態2に係る自動キャリブレーション処理について説明した。以上説明した自動キャリブレーション処理により、ユーザが手動でキャリブレーションを行わなくても、電子時計101はユーザの運動を感知し、該運動の状態が電子時計101を見る動作状態であるなら、自動的にキャリブレーションを行う。したがって、電子時計101は、ユーザに負担をかけずに磁気センサ131のキャリブレーションを行うことができる。なお、電子時計101を見る動作状態も、磁気センサ131のキャリブレーションが可能な状態であると言えるので、キャリブレーション可能状態とも呼ぶ。
また、このキャリブレーションは電子時計101の現在の機能モードが時刻モードの時しか行われないので、ユーザが他の機能(例えば機能A)を使用している時に自動的にキャリブレーションが行われることによって、機能Aが勝手に終了してしまうようなことを避けることができる。
(実施形態3)
キャリブレーションを行うタイミングとしては、他にも考えられる。例えば、電子時計が机の上などに置かれて静止している状態から、ユーザがその電子時計を取って、腕に装着する動作をするタイミングである。このタイミングでは、ユーザが電子時計を取って腕に装着するまでに電子時計は向きを変えながら移動することになるので、キャリブレーションを行うことが可能である。そこで、腕に装着するタイミングで自動的にキャリブレーションを行う実施形態3について説明する。
実施形態3に係る電子時計102の機能構成は、実施形態1に係る電子時計100と同じであり、図1に示される。また、実施形態3に係る電子時計102の持つ機能モードも実施形態1に係る電子時計100の持つ機能モードと同じであり、手動キャリブレーション機能も実施形態3に係る電子時計102と実施形態1に係る電子時計100とで特段異なる点はない。一方、実施形態3に係る電子時計102の自動キャリブレーション処理は、実施形態1に係る電子時計100の自動キャリブレーション処理(図2)と異なるので、電子時計102の自動キャリブレーション処理について、図6を参照して説明する。この自動キャリブレーション処理は、電子時計102が起動すると、他の処理(例えば計時処理)と並行に実行が開始される。
まず、電子時計102の制御部120は、加速度センサ135による加速度の変化、若しくは、傾斜センサ136による傾きの変化、又は、加速度センサ135による加速度の変化と傾斜センサ136による傾きの変化の両方を用いて、電子時計102が静止し続けている時間(静止継続時間)が静止基準時間(例えば3時間)以上であるか否かを判定する(S301)。静止継続時間が静止基準時間未満なら(ステップS301;No)、ステップS301に戻る。
静止継続時間が静止基準時間以上なら(ステップS301;Yes)、制御部120は、加速度センサ135による加速度の変化、若しくは、傾斜センサ136による傾きの変化、又は、加速度センサ135による加速度の変化と傾斜センサ136による傾きの変化の両方を用いて、電子時計102が動いた(位置や向きが変化した)か否かを判定する(ステップS302)。電子時計102が動いて(位置や向きが変化して)いなければ(ステップS302;No)、ステップS301に戻る。
電子時計102が動いた(位置や向きが変化した)なら(ステップS302;Yes)、制御部120は、磁気センサ131の前回のキャリブレーション(手動キャリブレーションの場合も自動キャリブレーションの場合も含む)から24時間以上経過しているかを判定する(ステップS303)。実施形態1と同様、ここで経過時間を24時間としているのは一例であり、磁気センサ131の正確さをできるだけ保ちたければもっと短い時間(例えば3時間)にしてもよいし、電子時計102の消費電力を抑えたければもっと長い時間(例えば72時間)にしてもよい。
24時間経過していないなら(ステップS303;No)、ステップS301に戻る。24時間経過していないなら、まだキャリブレーションは行わなくてよいと考えられるからである。24時間以上経過しているなら(ステップS303;Yes)、制御部120は、電子時計102の現在の機能モードが時刻モードであるか否かを判定する(ステップS304)。時刻モードでないなら(ステップS304;No)、ステップS301に戻る。機能モードが時刻モードでないなら、ユーザが意図的に現在の機能モードにしていると考えられ、その場合に勝手に磁気センサ131のキャリブレーションが行われてしまうと、ユーザの利便性を損ねるおそれがあるからである。
電子時計102の現在の機能モードが時刻モードなら(ステップS304;Yes)、制御部120は、磁気センサ131をONにして、自動キャリブレーションを実行し(ステップS305)、ステップS301に戻る。ステップS305では、ユーザにより電子時計102が腕に装着される時の動きによって、磁気センサ131の向きが様々な方向に変化することを利用してキャリブレーションを行う。すなわち、電子時計102では、ユーザが電子時計102を腕に装着するために電子時計102を動かしたことを判定してからキャリブレーションを行う。これにより、その後ユーザが電子時計102を腕に装着するなどして、磁気センサ131の向きが様々な方向に変化するタイミングを確実に利用できるため、キャリブレーションが失敗したり精度が低くなったりする可能性を低くすることができる。これにより、キャリブレーションが失敗に終わることが少なくなり、消費電力を抑えることができる。
以上、実施形態3に係る自動キャリブレーション処理について説明した。以上説明した自動キャリブレーション処理により、ユーザが手動でキャリブレーションを行わなくても、電子時計102はユーザの運動を感知し、該運動の状態が電子時計102を腕に装着する動作状態であるなら、自動的にキャリブレーションを行う。したがって、電子時計102は、ユーザに負担をかけずに磁気センサ131のキャリブレーションを行うことができる。なお、電子時計102を腕に装着する動作状態も、磁気センサ131のキャリブレーションが可能な状態であると言えるので、キャリブレーション可能状態とも呼ぶ。
また、このキャリブレーションは電子時計102の現在の機能モードが時刻モードの時しか行われないので、ユーザが他の機能(例えば機能A)を使用している時に自動的にキャリブレーションが行われることによって、機能Aが勝手に終了してしまうようなことを避けることができる。
(実施形態4)
キャリブレーションを行うタイミングとしては、他にも考えられる。例えば、ユーザが電子時計のバンドを外すタイミングである。このタイミングでは、ユーザが電子時計のバンドを外し、電子時計を腕から外して机の上等に置くまでに電子時計は向きを変えながら移動することになるので、キャリブレーションを行うことが可能である。そこで、ユーザが電子時計のバンドを外す動作をきっかけに自動的にキャリブレーションを行う実施形態4について説明する。
実施形態4に係る電子時計103の機能構成は、実施形態1に係る電子時計100と同じであり、図1に示される。また、実施形態4に係る電子時計103の持つ機能モードも実施形態1に係る電子時計100の持つ機能モードと同じであり、手動キャリブレーション機能も実施形態4に係る電子時計103と実施形態1に係る電子時計100とで特段異なる点はない。一方、実施形態4に係る電子時計103の自動キャリブレーション処理は、実施形態1に係る電子時計100の自動キャリブレーション処理(図2)と異なるので、電子時計103の自動キャリブレーション処理について、図7を参照して説明する。この自動キャリブレーション処理は、電子時計103が起動すると、他の処理(例えば計時処理)と並行に実行が開始される。
まず、電子時計103の制御部120は、磁気センサ131の前回のキャリブレーション(手動キャリブレーションの場合も自動キャリブレーションの場合も含む)から24時間以上経過しているかを判定する(ステップS401)。実施形態1と同様、ここで経過時間を24時間としているのは一例であり、磁気センサ131の正確さをできるだけ保ちたければもっと短い時間(例えば3時間)にしてもよいし、電子時計103の消費電力を抑えたければもっと長い時間(例えば72時間)にしてもよい。
24時間経過していないなら(ステップS401;No)、ステップS401に戻る。24時間経過していないなら、まだキャリブレーションは行わなくてよいと考えられるからである。24時間以上経過しているなら(ステップS401;Yes)、制御部120は、加速度センサ135による加速度の変化、又は、傾斜センサ136による電子時計103の傾き、又は、加速度センサ135による加速度の変化と傾斜センサ136による電子時計103の傾きの両方を用いて、電子時計103を腕に装着しているユーザが、電子時計103のバンドを外す動作を行ったか否かを判定する(ステップS402)。
ユーザが電子時計103のバンドを外す際には、バンドを外す際に特有の、手首を回転させる動作を行うので、ステップS402では、制御部120は、この手首の動き等から、ユーザがバンドを外す動作を行ったか否かを判定することが可能である。また、電子時計103は、バンド部分にバンドの装着及び取り外しを感知できるバンド装着センサを備えてもよい。バンド装着センサを備えている電子時計103であれば、制御部120は、バンド装着センサによる感知結果によって、バンドが外されたか否かを判定することができる。
バンドが外されていないなら(ステップS402;No)、ステップS401に戻る。本実施形態では、電子時計103を取り外してからの電子時計103の動きに基づいてキャリブレーションを行うため、電子時計103を取り外す動作が行われなければ、自動キャリブレーションを行わないからである。
バンドが外されたら(ステップS402;Yes)、制御部120は、電子時計103の現在の機能モードが時刻モードであるか否かを判定する(ステップS403)。時刻モードでないなら(ステップS403;No)、ステップS401に戻る。機能モードが時刻モードでないなら、ユーザが意図的に現在の機能モードにしていると考えられ、その場合に勝手に磁気センサ131のキャリブレーションが行われてしまうと、ユーザの利便性を損ねるおそれがあるからである。もっとも、バンドを外した後は、再度装着するまでの間、ユーザは電子時計103を使わないとも考えられるので、ステップS403の処理は省略されてもよい。
ステップS403の処理が省略されない場合には、ステップS403で電子時計103の現在の機能モードが時刻モードなら(ステップS403;Yes)、制御部120は、磁気センサ131をONにして、自動キャリブレーションを実行し(ステップS404)、ステップS401に戻る。ステップS404では、ユーザが電子時計103を腕から取り外して机の上等に置く動作によって、磁気センサ131の向きが様々な方向に変化することを利用してキャリブレーションを行う。すなわち、電子時計103では、電子時計103を腕から外したことを判定してからキャリブレーションを行う。これにより、ユーザが電子時計103を机の上等に置くなどして、磁気センサ131の向きが様々な方向に変化するタイミングを確実に利用できるため、キャリブレーションが失敗したり精度が低くなったりする可能性を低くすることができる。これにより、キャリブレーションが失敗に終わることが少なくなり、消費電力を抑えることができる。
以上、実施形態4に係る自動キャリブレーション処理について説明した。以上説明した自動キャリブレーション処理により、ユーザが手動でキャリブレーションを行わなくても、電子時計103はユーザの運動を感知し、該運動の状態が電子時計103を腕から外す動作状態であるなら、自動的にキャリブレーションを行う。したがって、電子時計103は、ユーザに負担をかけずに磁気センサ131のキャリブレーションを行うことができる。なお、電子時計103を腕から外す動作状態も、磁気センサ131のキャリブレーションが可能な状態であると言えるので、キャリブレーション可能状態とも呼ぶ。
なお、本発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、様々に組み合わせたり変更したりすることができる。例えば、上述の実施形態では、磁気センサを備えるウェアラブル機器の一例として電子時計を挙げて説明しているが、本発明は、電子時計に限られず、スマートウォッチ、活動量計等の、磁気センサを備える任意のウェアラブル機器に適用することができる。電子時計は日時を計時する計時部を備える必要があるが、本発明を、日時を計時しなくてもよいウェアラブル機器に適用する場合、該ウェアラブル機器は計時部を備えなくてもよい。
また、上述の各実施形態における自動キャリブレーション処理を組み合わせることにより、自動的に磁気センサのキャリブレーションを行うタイミングを増やすことができる。例えば、実施形態1と実施形態2とを組み合わせれば、ユーザが歩行している時だけでなく、表示部132を見る動作を行った時にも自動キャリブレーションが行われるので、磁気センサ131の精度をより向上させることができる。
また、例えば、実施形態2〜4と変形例1とを組み合わせることにより、実施形態2〜4に係る電子時計101,102,103においても、キャリブレーションの途中でユーザが機能モードを時刻モード以外(非デフォルトモード)に変更した場合にはキャリブレーションを中止することができ、無駄な電力消費を防ぐことができる。
なお、上述の各実施形態に係る電子時計100,101,102,103は、圧力センサ137を備えるものとして説明した。しかし、電子時計100,101,102,103が、圧力センサ137を必要する機能モード(気圧計測モード、高度計測モード等)を備える必要がないなら、電子時計100,101,102,103は、圧力センサ137を備えなくてもよい。
また、上述の各実施形態に係る電子時計100,101,102,103は、温度センサ138を備えるものとして説明した。しかし、電子時計100,101,102,103が、温度センサ138を要する機能モード(温度計測モード等)を備える必要がないなら、電子時計100,101,102,103は、温度センサ138を備えなくてもよい。
また、加速度センサ135により歩行を検知すると方法として、例えば加速度センサが計測した値から、周期的なピークの有無を検知し、歩行を検知することができると説明した。しかし、この方法に限らず、加速度センサ135の出力に基づいた歩行検知方法であれば任意の方法で歩行を検知してよい。
なお、電子時計100,101,102,103の各機能は、携帯可能なPC(Personal Computer)等のコンピュータによっても実施することができる。具体的には、上記実施形態では、電子時計100,101,102,103が行う自動キャリブレーション処理のプログラムが、ROM134に予め記憶されているものとして説明した。しかし、プログラムを、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)、MO(Magneto−Optical Disc)、メモリカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、そのプログラムをコンピュータに読み込んでインストールすることにより、上述の各機能を実現することができるコンピュータを構成してもよい。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明には、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲が含まれる。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
(付記1)
磁気センサと、
前記磁気センサのキャリブレーションを行い、2以上の機能モードを制御する制御部と、
ユーザの運動を感知する運動感知部と、
を備え、
前記制御部は、
前記運動感知部で感知された運動の状態が前記磁気センサのキャリブレーションを行うことが可能なキャリブレーション可能状態であるか否かを判定し、前記2以上の機能モードのうち現在実行中の機能モードを判別し、
前記運動感知部で感知された運動の状態が、前記キャリブレーション可能状態であり、かつ、前記機能モードが、ユーザの操作によって実行される機能モードである非デフォルトモードでない場合、前記磁気センサのキャリブレーションを行い、
前記運動感知部で感知された運動の状態が前記キャリブレーション可能状態でない、又は、前記制御部により判別された機能モードが前記非デフォルトモードである場合、前記磁気センサのキャリブレーションを行わない、
ウェアラブル機器。
(付記2)
前記キャリブレーション可能状態は、歩行状態である、
付記1に記載のウェアラブル機器。
(付記3)
前記制御部は、
前記歩行状態の継続時間が所定の歩行基準時間以上の場合、前記磁気センサのキャリブレーションを行い、
前記歩行状態の継続時間が前記歩行基準時間未満の場合、前記磁気センサのキャリブレーションを行わない、
付記2に記載のウェアラブル機器。
(付記4)
前記キャリブレーション可能状態は、前記ウェアラブル機器を見るために上げていた腕を振り下ろす動作、前記ウェアラブル機器を腕に装着する動作、及び、前記ウェアラブル機器を腕から外して置く動作のうちの少なくとも1つの動作を行う状態を含む、
付記1から3のいずれか1つに記載のウェアラブル機器。
(付記5)
前記制御部は、キャリブレーションを行っている間に、前記制御部により判別された機能モードが前記非デフォルトモードに変化した場合、該キャリブレーションを中止する、
付記1から4のいずれか1つに記載のウェアラブル機器。
(付記6)
さらに、前記ウェアラブル機器の傾きを計測する傾斜計測部を備え、
前記運動感知部は、
前記傾斜計測部で計測した傾きが変化していない間は前記ユーザの運動を感知せず、
前記傾斜計測部で計測した傾きが変化した場合に前記ユーザの運動を感知する、
付記1から5のいずれか1つに記載のウェアラブル機器。
(付記7)
付記1から6のいずれか1つに記載のウェアラブル機器を備える電子時計。
(付記8)
2以上の機能モードを有するウェアラブル機器の磁気センサのキャリブレーション方法であって、
ユーザの運動を感知する感知ステップと、
前記感知ステップで感知された運動の状態が前記磁気センサのキャリブレーションを行うことが可能なキャリブレーション可能状態であるか否かを判定する判定ステップと、
前記2以上の機能モードのうち現在実行中の機能モードを判別する判別ステップと、
前記判定ステップで判定された運動の状態が、前記キャリブレーション可能状態であり、かつ、前記判別ステップで判別された機能モードが、前記ユーザの操作によって実行される機能モードである非デフォルトモードでない場合、前記磁気センサのキャリブレーションを行うキャリブレーションステップと、
を備える磁気センサのキャリブレーション方法。
(付記9)
磁気センサと2以上の機能モードを有するウェアラブル機器のコンピュータに、
前記ウェアラブル機器の運動感知部にユーザの運動を感知する指示を出す感知ステップ、
前記感知ステップで感知された運動の状態が前記磁気センサのキャリブレーションを行うことが可能なキャリブレーション可能状態であるか否かを判定する判定ステップ、
前記2以上の機能モードのうち現在実行中の機能モードを判別する判別ステップ、及び、
前記判定ステップで判定された運動の状態が、前記キャリブレーション可能状態であり、かつ、前記判別ステップで判別された機能モードが、前記ユーザの操作によって実行される機能モードである非デフォルトモードでない場合、前記磁気センサのキャリブレーションを行うキャリブレーションステップ、
を実行させるためのプログラム。
100,101,102,103…電子時計、110…マイクロコントローラ、111…発振回路、112…分周回路、113…計時回路、114…RAM、120…制御部、131…磁気センサ、132…表示部、133…操作部、134…ROM、135…加速度センサ、136…傾斜センサ、137…圧力センサ、138…温度センサ

Claims (9)

  1. 磁気センサと、
    前記磁気センサのキャリブレーションを行い、2以上の機能モードを制御する制御部と、
    ユーザの運動を感知する運動感知部と、
    を備え、
    前記制御部は、
    前記運動感知部で感知された運動の状態が前記磁気センサのキャリブレーションを行うことが可能なキャリブレーション可能状態であるか否かを判定し、前記2以上の機能モードのうち現在実行中の機能モードを判別し、
    前記運動感知部で感知された運動の状態が、前記キャリブレーション可能状態であり、かつ、前記機能モードが、ユーザの操作によって実行される機能モードである非デフォルトモードでない場合、前記磁気センサのキャリブレーションを行い、
    前記運動感知部で感知された運動の状態が前記キャリブレーション可能状態でない、又は、前記制御部により判別された機能モードが前記非デフォルトモードである場合、前記磁気センサのキャリブレーションを行わない、
    ウェアラブル機器。
  2. 前記キャリブレーション可能状態は、歩行状態である、
    請求項1に記載のウェアラブル機器。
  3. 前記制御部は、
    前記歩行状態の継続時間が所定の歩行基準時間以上の場合、前記磁気センサのキャリブレーションを行い、
    前記歩行状態の継続時間が前記歩行基準時間未満の場合、前記磁気センサのキャリブレーションを行わない、
    請求項2に記載のウェアラブル機器。
  4. 前記キャリブレーション可能状態は、前記ウェアラブル機器を見るために上げていた腕を振り下ろす動作、前記ウェアラブル機器を腕に装着する動作、及び、前記ウェアラブル機器を腕から外して置く動作のうちの少なくとも1つの動作を行う状態を含む、
    請求項1から3のいずれか1項に記載のウェアラブル機器。
  5. 前記制御部は、キャリブレーションを行っている間に、前記制御部により判別された機能モードが前記非デフォルトモードに変化した場合、該キャリブレーションを中止する、
    請求項1から4のいずれか1項に記載のウェアラブル機器。
  6. さらに、前記ウェアラブル機器の傾きを計測する傾斜計測部を備え、
    前記運動感知部は、
    前記傾斜計測部で計測した傾きが変化していない間は前記ユーザの運動を感知せず、
    前記傾斜計測部で計測した傾きが変化した場合に前記ユーザの運動を感知する、
    請求項1から5のいずれか1項に記載のウェアラブル機器。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載のウェアラブル機器を備える電子時計。
  8. 2以上の機能モードを有するウェアラブル機器の磁気センサのキャリブレーション方法であって、
    ユーザの運動を感知する感知ステップと、
    前記感知ステップで感知された運動の状態が前記磁気センサのキャリブレーションを行うことが可能なキャリブレーション可能状態であるか否かを判定する判定ステップと、
    前記2以上の機能モードのうち現在実行中の機能モードを判別する判別ステップと、
    前記判定ステップで判定された運動の状態が、前記キャリブレーション可能状態であり、かつ、前記判別ステップで判別された機能モードが、前記ユーザの操作によって実行される機能モードである非デフォルトモードでない場合、前記磁気センサのキャリブレーションを行うキャリブレーションステップと、
    を備える磁気センサのキャリブレーション方法。
  9. 磁気センサと2以上の機能モードを有するウェアラブル機器のコンピュータに、
    前記ウェアラブル機器の運動感知部にユーザの運動を感知する指示を出す感知ステップ、
    前記感知ステップで感知された運動の状態が前記磁気センサのキャリブレーションを行うことが可能なキャリブレーション可能状態であるか否かを判定する判定ステップ、
    前記2以上の機能モードのうち現在実行中の機能モードを判別する判別ステップ、及び、
    前記判定ステップで判定された運動の状態が、前記キャリブレーション可能状態であり、かつ、前記判別ステップで判別された機能モードが、前記ユーザの操作によって実行される機能モードである非デフォルトモードでない場合、前記磁気センサのキャリブレーションを行うキャリブレーションステップ、
    を実行させるためのプログラム。
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