JP2020153421A - ギヤ軸及びギヤ軸の製造方法 - Google Patents

ギヤ軸及びギヤ軸の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ギヤ軸の加工精度を維持しつつ、蓋部材に不要な突起が生じ難いギヤ軸の提供。【解決手段】筒状部71は、軸方向第1側L1に向けて開口する開口部76と、内部空間Sを囲む筒状内周面F0と、を備え、筒状内周面F0は、蓋部材75の外縁部が接する接触内周面部F5と、接触内周面部F5より大径の拡径内周面部F3と、を備え、開口部76には、軸方向第1側L1に向かうに従って径方向外側R1に向かうように傾斜した円錐台面状の面取り部F2が形成され、拡径内周面部F3は、面取り部F2と接触内周面部F5との間に配置され、接触内周面部F5と拡径内周面部F3との境界部分には、径方向Rの段差部F4が形成され、段差部F4の径方向内側R2の端縁が、径方向内側に凸となる円弧状の断面を有する円環状に形成されている。【選択図】図4

Description

本発明は、筒状部を備えた軸本体と、前記軸本体の外周部に設けられたギヤ部と、前記筒状部の内部空間に配置された蓋部材と、を備えたギヤ軸、及び、そのギヤ軸の製造方法に関する。
このようなギヤ軸として、例えば、特開2013−204754号公報(特許文献1)に記載されたものが知られている。以下、背景技術の説明において、かっこ書きの符号又は名称は、先行技術文献における符号又は名称とする。この特許文献1に記載のギヤ軸(カウンタシャフト40)の筒状部は、軸本体の軸方向第1側の端部において軸方向第1側に向けて開口する開口部(開口401)と、筒状部の内部空間(中空部400)を囲む接触内周面部と、を備えている。そして、開口部には、軸方向第1側に向かうに従って径方向外側に向かうように傾斜した円錐台面状の面取り部(面取り加工部401t)が形成されている。接触内周面部は、蓋部材(プラグ50)の外縁部が接する内周面部であり、筒状部の内部空間は油が流れる空間として利用されると共に蓋部材によって油の流れが制限されている。
特開2013−204754号公報
上述のようなギヤ軸を製造する場合、ギヤ軸が筒状に形成されて内部空間を備えていると、ギヤ部(ドライブピニオンギヤ28c)を形成する際における径方向外側から荷重によって軸本体が変形する可能性がある。そのため、ギヤ軸を製造する場合に、先に大きな内部空間を形成することなく面取り部を形成し、この面取り部を基準として芯出しを行った状態でギヤ部を形成し、その後、軸本体に内部空間を形成するように切削加工する、という順序で加工を行う場合がある。
上述のように、面取り部と内部空間を囲む接触内周面部とを別の加工工程で加工した場合、これらの境界部分が滑らかに繋がっていない状態となり易い。そのため、蓋部材を開口部から挿入して内部空間に設置する場合に、蓋部材が面取り部と接触内周面部との境界部分の角部によって削られ、バリや切片等の不要な突起として蓋部材に残る場合がある。このように蓋部材に残った不要な突起が、ギヤ軸の使用中に蓋部材から外れた場合には、異物として装置に悪影響を与える可能性がある。
そこで、面取り部を基準としてギヤ部を形成した後に、軸本体に内部空間を形成すると共に、この内部空間を囲む接触内周面部の形成と連続するように面取り部を削る切削加工を行って新たな面取り部を形成することで、接触内周面部と新たに形成した面取り部との境界部分を滑らかに繋げることが可能である。しかし、このように新たな面取り部を形成する場合、各部を加工する場合の基準となる面取り部の位置が、当該面取り部の切削加工の前後で変化することになるため、ギヤ軸の加工精度が低下する可能性がある。
そこで、ギヤ軸の加工精度を維持しつつ、蓋部材を設置する際に当該蓋部材に不要な突起が生じ難いギヤ軸、及び、そのようなギヤ軸の製造方法の実現が望まれる。
上記に鑑みた、ギヤ軸の特徴構成は、筒状部を備えた軸本体と、前記軸本体の外周部に設けられたギヤ部と、前記筒状部の内部空間に配置された蓋部材と、を備え、
前記軸本体の軸方向の一方側を軸方向第1側として、前記筒状部は、前記軸本体の前記軸方向第1側の端部において前記軸方向第1側に向けて開口する開口部と、前記筒状部の前記内部空間を囲む筒状内周面と、を備え、前記筒状内周面は、前記蓋部材の外縁部が接する内周面部である接触内周面部と、前記接触内周面部より大径の内周面部である拡径内周面部と、を備え、前記開口部には、前記軸方向第1側に向かうに従って径方向外側に向かうように傾斜した円錐台面状の面取り部が形成され、前記拡径内周面部は、前記軸方向における前記面取り部と前記接触内周面部との間に配置され、前記接触内周面部と前記拡径内周面部との境界部分には、径方向の段差部が形成され、前記段差部の径方向内側の端縁が、径方向内側に凸となる円弧状の断面を有する円環状に形成されている点にある。
この特徴構成によれば、段差部の径方向内側の端縁が円弧状の断面を有する円環状に形成されていることで、接触内周面部とこの接触内周面部に対して軸方向第1側に隣接する拡径内周面部との境界部分を滑らかに繋げることができる。そのため、蓋部材を開口部から挿入して内部空間に設置する際に、蓋部材が接触内周面部と拡径内周面部との境界部分の段差部によって削られることを回避でき、蓋部材にバリや切片等の不要な突起が生じる可能性を低減できる。
また、本構成によれば、軸方向における面取り部と接触内周面部との間に拡径内周面部が形成されていることにより、面取り部の径方向内側の端縁の径を蓋部材よりも大きくすることが可能となっている。そのため、蓋部材を開口部から挿入して内部空間に設置する際に、蓋部材が面取り部の径方向内側の端縁によって削られることを回避できる。従って、面取り部の径方向内側の端縁を滑らかな形状に加工する必要をなくすことができ、面取り部に対して追加の加工を行うことを回避できる。これにより、複数の加工工程を通して同一の面取り部を基準面として使用できるようになるため、加工精度の維持が可能となっている。
以上のように、本構成によれば、ギヤ軸の加工精度を維持しつつ蓋部材を設置する際に当該蓋部材に不要な突起が生じ難いギヤ軸を提供することができる。
上記に鑑みた、ギヤ軸の製造方法の特徴構成は、筒状部を備えた軸本体と、前記軸本体の外周部に設けられたギヤ部と、前記筒状部の内部空間に配置された蓋部材と、を備え、前記軸本体の軸方向の一方側を軸方向第1側として、前記筒状部が、前記軸本体の前記軸方向第1側の端部において前記軸方向第1側に向けて開口する開口部と、前記筒状部の前記内部空間を囲む筒状内周面と、を備えたギヤ軸の製造方法であって、
前記開口部に、前記軸方向第1側に向かうに従って径方向外側に向かうように傾斜した円錐台面状の面取り部を形成する面取り形成工程と、
前記面取り形成工程の後、前記面取り部を基準として位置決めを行った状態で前記ギヤ部を形成するギヤ形成工程と、
前記ギヤ形成工程の後、前記筒状内周面として、前記蓋部材の外縁部が接する内周面部である接触内周面部と、前記接触内周面部より大径の内周面部である拡径内周面部と、を形成する内周形成工程と、
前記接触内周面部に前記蓋部材を配置する蓋配置工程と、を備え、
前記内周形成工程では、前記拡径内周面部が、前記軸方向における前記面取り部と前記接触内周面部との間に形成され、前記接触内周面部と前記拡径内周面部との境界部分に径方向の段差部が形成され、前記段差部の径方向内側の端縁が、径方向内側に凸となる円弧状の断面を備えた円環状となるように、前記接触内周面部と前記段差部と前記拡径内周面部とを連続する切削加工により形成する点にある。
この特徴構成によれば、内周形成工程において、段差部の径方向内側の端縁が円弧状の断面を有する円環状に形成されていることで、接触内周面部とこの接触内周面部に対して軸方向第1側に隣接する拡径内周面部との境界部分を滑らかに繋げることができる。そのため、蓋配置工程において蓋部材を開口部から挿入して内部空間に設置する際に、蓋部材が接触内周面部と拡径内周面部との境界部分の段差部によって削られることを回避でき、蓋部材にバリや切片等の不要な突起が生じる可能性を低減できる。
また、本構成によれば、内周形成工程において、軸方向における面取り部と接触内周面部との間に拡径内周面が形成されていることにより、面取り部の径方向内側の端縁の径を蓋部材よりも大きくすることが可能となっている。そのため、蓋部材を開口部から挿入して内部空間に設置する際に、蓋部材が面取り部の径方向内側の端縁によって削られることを回避できる。従って、面取り部の径方向内側の端縁を滑らかな形状に加工する必要をなくすことができ、面取り部に対して追加加工を行うことを回避できる。これにより、複数の加工工程を通して同一の面取り部を基準面として使用できるようになるため、加工精度の維持が可能となっている。
以上のように、本構成によれば、ギヤ軸の加工精度を維持しつつ蓋部材を設置する際に当該蓋部材に不要な突起が生じ難いギヤ軸の製造方法を提供することができる。
実施形態に係る車両用駆動伝達装置の軸方向に沿う断面図 実施形態に係る車両用駆動伝達装置の要部を示す軸方向に直交する断面図 実施形態に係るギヤ軸の軸方向に沿う断面図 実施形態に係るギヤ軸の軸方向第1側端部の断面図 実施形態に係る筒状部の内周面部の要部を示す断面図 実施形態に係るギヤ軸の製造工程を示す図 実施形態に係る第1準備工程におけるギヤ軸の軸方向第1側の端部を示す断面図 実施形態に係る面取り形成工程におけるギヤ軸の軸方向第1側の端部を示す断面図 実施形態に係るギヤ形成工程におけるギヤ軸の軸方向第1側の端部を示す断面図 実施形態に係る第2準備工程におけるギヤ軸の軸方向第1側の端部を示す断面図 実施形態に係る内周形成工程におけるギヤ軸の軸方向第1側の端部を示す断面図
1.実施形態
以下では、実施形態に係るギヤ軸及びギヤ軸の製造方法について図面を参照して説明する。ここでは、本実施形態に係るギヤ軸7を車両用駆動伝達装置100に備えた場合について説明する。車両用駆動伝達装置100は、例えば、内燃機関及び回転電機を複数の車輪の駆動力源とするハイブリッド自動車、又は回転電機を複数の車輪の駆動力源とする電気自動車に搭載される。
図1に示すように、車両用駆動伝達装置100は、駆動力源と一対の車輪との間で駆動力の伝達を行う。本実施形態では、回転電機MGが駆動力源として機能する。なお、本明細書において「回転電機」は、モータ(電動機)、ジェネレータ(発電機)、及び必要に応じてモータ及びジェネレータの双方の機能を果たすモータ・ジェネレータのいずれをも含む概念として用いている。
車両用駆動伝達装置100は、駆動力源と一対の車輪とを結ぶ動力伝達経路に設けられたギヤ機構1と、ギヤ機構1を収容するケース2と、を備えている。
本実施形態では、ギヤ機構1は、駆動力源に駆動連結された入力部材3と、カウンタギヤ機構4と、駆動力源の側から伝達される駆動力を一対の車輪に分配する差動歯車装置5と、を含む。入力部材3は、その回転軸心としての第1軸A1上に配置されている。本実施形態では、入力部材3に駆動連結された回転電機MGも、第1軸A1上に配置されている。また、カウンタギヤ機構4は、その回転軸心としての第2軸A2上に配置され、差動歯車装置5は、その回転軸心としての第3軸A3上に配置されている。第1軸A1、第2軸A2、及び第3軸A3は、互いに異なる仮想軸であり、互いに平行に配置されている。
以下の説明では、上記の軸A1〜A3に平行な方向を、車両用駆動伝達装置100の「軸方向L」とする。そして、軸方向Lにおいて、入力部材3に対して回転電機MGが配置される側を「軸方向第1側L1」とし、その反対側を「軸方向第2側L2」とする。また、上記の第1軸A1、第2軸A2、及び第3軸A3のそれぞれに直交する方向を、各軸を基準とした「径方向R」とする。なお、どの軸を基準とするかを区別する必要がない場合やどの軸を基準とするかが明らかである場合には、単に「径方向R」と記す場合がある。
ここで、本願において「駆動連結」とは、2つの回転要素が駆動力を伝達可能に連結された状態を指し、当該2つの回転要素が一体的に回転するように連結された状態、或いは当該2つの回転要素が1つ又は2つ以上の伝動部材を介して駆動力を伝達可能に連結された状態を含む。このような伝動部材としては、回転を同速で又は変速して伝達する各種の部材、例えば、軸、歯車機構、ベルト、チェーン等が含まれる。なお、伝動部材として、回転及び駆動力を選択的に伝達する係合装置、例えば、摩擦係合装置、噛み合い式係合装置等が含まれていても良い。ただし、差動歯車装置5において、各回転要素について「駆動連結」という場合には、当該装置が備える3つ以上の回転要素に関して互いに他の回転要素を介することなく駆動連結されている状態を指すものとする。
回転電機MGは、ステータStとロータRoと、を備えている。ステータStは、ケース2に支持されたステータコアStcと、当該ステータコアStcに巻装されたコイルCと、を有している。ロータRoは、ステータコアStcに対して回転可能なロータコアRocと、当該ロータコアRoc内に配置された永久磁石Mと、を有している。本実施形態では、ロータコアRocは、ステータコアStcに対して径方向Rの内側に配置されている。そして、ロータコアRocの内周面に、ロータ軸Rosが連結されている。
ロータ軸Rosは、軸方向Lに沿って延在する円筒状に形成されている。ロータ軸Rosは、ロータRoと一体的に、第1軸A1回りに回転する。ロータ軸Rosは入力部材3に連結されており、ロータ軸Rosと入力部材3とが一体的に回転する。
本実施形態では、ケース2は、回転電機MG、入力部材3、カウンタギヤ機構4、及び差動歯車装置5の径方向Rの外側を囲む周壁部21を有している。また、本実施形態では、ケース2は、径方向Rに沿って延在する、第1側壁部22及び第2側壁部23を有している。第1側壁部22は、入力部材3、及びカウンタギヤ機構4に対して、軸方向第2側L2に配置されている。第2側壁部23は、軸方向Lにおける、入力部材3及びカウンタギヤ機構4と回転電機MGとの間に配置されている。
また、ケース2は、ギヤ機構1の各軸の軸受を支持する軸受支持部24を有している。本実施形態では、軸受支持部24は、第1入力軸受91及び第1カウンタ軸受93を支持する第1軸受支持部24Aと、第2入力軸受92及び第2カウンタ軸受94を支持する第2軸受支持部24Bと、を含む。第1軸受支持部24Aは第1側壁部22に形成され、第2軸受支持部24Bは第2側壁部23に形成されている。第1入力軸受91及び第2入力軸受92は、入力部材3を回転可能に支持する軸受である。第1カウンタ軸受93及び第2カウンタ軸受94は、カウンタギヤ機構4を回転可能に支持する軸受である。
入力部材3は、ギヤ機構1の入力要素である。入力部材3は、入力軸31と、入力ギヤ32とを有している。尚、入力軸31と入力ギヤ32等によりギヤ軸7が構成されている。本例ではギヤ軸7は単一の部材であり、例えば別体に形成されている後述するパーキングギヤ33は本例におけるギヤ軸7には含まない。
入力軸31は、軸方向Lに沿って延在する軸部材である。この入力軸31が、ギヤ軸7における軸本体72に相当する。本実施形態では、入力軸31の軸方向第1側L1の端部は、ロータ軸Rosの軸方向第2側L2の端部と連結されている。図示の例では、ロータ軸Rosの径方向Rの内側に入力軸31が位置するように、入力軸31の軸方向第1側L1の端部がロータ軸Rosの軸方向第2側L2の端部に挿入され、これらの端部同士がスプライン係合によって連結されている。このため、入力軸31における軸方向第1側L1の端部の外周面には、スプライン係合のための多数の溝(スプライン溝)が形成されている。本実施形態では、後述するように、このスプライン溝が、ギヤ軸7のギヤ部としての第1ギヤ部73となっている。
入力軸31は、第1入力軸受91及び第2入力軸受92を介して、ケース2に回転可能に支持されている。本実施形態では、入力軸31の軸方向第2側L2の端部が、第1入力軸受91を介して、ケース2の第1軸受支持部24Aに回転可能に支持されている。更に、入力軸31における、軸方向Lの中心部よりも軸方向第1側L1の部分であって、ロータ軸Rosとの連結部分よりも軸方向第2側L2の部分が、第2入力軸受92を介して、ケース2の第2軸受支持部24Bに回転可能に支持されている。
入力ギヤ32は、駆動力源からの駆動力をカウンタギヤ機構4に伝達するギヤである。入力ギヤ32は、入力軸31に連結されている。本実施形態では、入力ギヤ32は、入力軸31と一体的に形成されている。また、本実施形態では、入力ギヤ32は、第1入力軸受91と第2入力軸受92との間に配置されている。図示の例では、入力ギヤ32は、第1入力軸受91に対して軸方向第1側L1に隣接するように配置されている。
本実施形態では、入力軸31には、パーキングギヤ33が設けられている。パーキングギヤ33は、パーキングロック機構(図示を省略)によって、回転不能なロック状態と回転可能な非ロック状態とを切換え可能に構成されている。パーキングギヤ33は、入力軸31と一体的に回転するように、入力軸31に連結されている。本実施形態では、パーキングギヤ33は、スプライン係合によって入力軸31に連結されている。このため、入力軸31におけるパーキングギヤ33に対応する部分の外周面には、スプライン係合のための多数の溝(スプライン溝)が形成されている。本実施形態では、後述するように、このスプライン溝が第2ギヤ部74となっている。
カウンタギヤ機構4は、動力伝達経路において、入力部材3と差動歯車装置5との間に配置されている。カウンタギヤ機構4は、カウンタ軸41と、第1カウンタギヤ42と、第2カウンタギヤ43とを有している。
カウンタ軸41は、軸方向Lに沿って延在する軸部材である。カウンタ軸41は、第1カウンタ軸受93及び第2カウンタ軸受94を介して、ケース2に回転可能に支持されている。本実施形態では、カウンタ軸41の軸方向第2側L2の端部が、第1カウンタ軸受93を介して、ケース2の第1軸受支持部24Aに回転可能に支持され、カウンタ軸41の軸方向第1側L1の端部が、第2カウンタ軸受94を介して、ケース2の第2軸受支持部24Bに回転可能に支持されている。
第1カウンタギヤ42は、カウンタギヤ機構4の入力要素である。第1カウンタギヤ42は、入力部材3の入力ギヤ32と噛み合っている。第2カウンタギヤ43は、カウンタギヤ機構4の出力要素である。本実施形態では、第2カウンタギヤ43は、第1カウンタギヤ42よりも小径に形成されている。
差動歯車装置5は、駆動力源の側から伝達される駆動力を一対の車輪に分配する。本実施形態では、差動歯車装置5は、入力部材3及びカウンタギヤ機構4を介して伝達される回転電機MGからの駆動力を、一対の車輪のそれぞれに駆動連結されたドライブシャフトDSに分配する。差動歯車装置5は、差動入力ギヤ51と、差動ケース52と、ピニオンシャフト53と、一対のピニオンギヤ54と、一対のサイドギヤ55とを有している。本実施形態では、一対のピニオンギヤ54、及び一対のサイドギヤ55は、いずれも傘歯車である。
差動入力ギヤ51は、差動歯車装置5の入力要素である。差動入力ギヤ51は、カウンタギヤ機構4の第2カウンタギヤ43と噛み合っている。差動入力ギヤ51は、第3軸A3回りに回転する。差動入力ギヤ51は、差動ケース52と一体的に回転するように、差動ケース52に連結されている。
差動ケース52は、差動入力ギヤ51と一体的に、第3軸A3回りに回転する。差動ケース52の軸方向第2側L2の端部は、第1差動軸受95を介して、ケース2に対して回転可能に支持されている。差動ケース52の軸方向第1側L1の端部は、第2差動軸受96を介して、ケース2に対して回転可能に支持されている。差動ケース52は、中空の部材である。差動ケース52の内部には、ピニオンシャフト53、一対のピニオンギヤ54、及び一対のサイドギヤ55が収容されている。一対のサイドギヤ55は、それぞれドライブシャフトDSに連結される。
図2に示すように、ケース2の内部には、油Fが貯留される第1貯留部10Aと、第1貯留部10Aよりも上方に配置されて油Fが貯留される第2貯留部10Bと、が設けられている。
本実施形態では、第1貯留部10Aは、ケース2の下部において、ケース2の内面によって囲まれた空間である。第1貯留部10Aには、差動歯車装置5の差動入力ギヤ51によって掻き上げることができる程度の量の油Fが貯留されている。つまり、差動歯車装置5の作動中(車両走行中)における第1貯留部10Aに貯留された油Fの油面高さは、差動入力ギヤ51の下端よりも上方に設定されている。
第2貯留部10Bは、ケース2内の油Fの量を充分に確保しつつ、第1貯留部10Aに貯留された油Fの油面高さを下げるためのキャッチタンクとして機能する。つまり、第1貯留部10Aに貯留された油Fの油面高さは、第2貯留部10Bに貯留された油Fの量が多いほど低くなる。本実施形態では、第2貯留部10Bは、第1軸A1、第2軸A2、及び第3軸A3に対して上側に配置されている。
図1に示すように、第2貯留部10Bは、貯留部構成部材6を用いて構成されている。本実施形態では、貯留部構成部材6は、ケース2の油路形成部25に形成された接続油路25Aと第2貯留部10Bとを接続する接続部62を有している。油路形成部25は、ケース2における、油Fが流動する接続油路25Aが形成された部分である。
本実施形態では、貯留部構成部材6に、第1供給孔63と第2供給孔64とが形成されている。第1供給孔63は、鉛直方向視で、入力部材3の入力ギヤ32と重複する位置に配置されている。第2供給孔64は、鉛直方向視で、パーキングギヤ33と重複する位置に配置されている。これにより、第1供給孔63を通して第2貯留部10Bから流出した油Fが落下して入力ギヤ32に供給される。また、第2供給孔64を通して第2貯留部10Bから流出した油Fが落下してパーキングギヤ33に供給される。
なお、本実施形態において、2つの要素の配置に関して、「特定方向視で重複する」とは、その視線方向に平行な仮想直線を当該仮想直線と直交する各方向に移動させた場合に、当該仮想直線が2つの要素の双方に交わる領域が少なくとも一部に存在することを指す。
油Fは、油循環機構によってケース2の内部において循環される。本実施形態では、差動歯車装置5の差動入力ギヤ51が油循環機構として機能する。すなわち、差動入力ギヤ51が回転することにより、第1貯留部10Aに貯留された油Fが差動入力ギヤ51によって掻き上げられる(図2参照)。このように掻き上げられた油Fの一部が、図2に破線で示すように、第2貯留部10Bに供給される。具体的には、第1貯留部10Aに貯留された油Fが差動入力ギヤ51によって掻き上げられ、このように掻き上げられた油Fの一部が第2貯留部10Bの上方まで達してから落下することで、第2貯留部10Bに油Fが供給される。
また、図1に示すように、本実施形態では、別の油循環機構として、油圧ポンプ8が設けられている。油圧ポンプ8は、動力伝達経路を伝わる駆動力により駆動される機械式の油圧ポンプである。本実施形態では、油圧ポンプ8は、カウンタギヤ機構4のカウンタ軸41と一体的に回転するように連結されたポンプ駆動軸81と、当該ポンプ駆動軸81にと一体的に回転するように連結されたポンプロータ82と、を有している。
油圧ポンプ8は、第1貯留部10Aに貯留された油Fを汲み上げ、汲み上げた油Fをケース2内の各部に供給する。本実施形態では、油圧ポンプ8から吐出された油Fの一部は、ポンプ駆動軸81を軸方向Lに貫通するように形成された油路を通って、カウンタ軸41を軸方向Lに貫通するように形成されたカウンタ軸油路41Aへ流動する。その後、カウンタ軸油路41Aを通った油Fは、カウンタ軸41の軸方向第1側L1の端部の開口から流出する。そして、カウンタ軸油路41Aから流出した油Fは、第2カウンタ軸受94、差動歯車装置5等を潤滑する。
一方、図1及び図3に示すように、油圧ポンプ8から吐出された油Fの別の一部は、ケース2の第1側壁部22の内部に形成された側壁内油路22Aへ流動する。側壁内油路22Aへ流動した油Fは、側壁内油路22Aから分岐した、分岐油路22B及び接続油路25Aのそれぞれを通って、ケース2内へ流入する。
分岐油路22Bを通った油Fは、入力部材3の入力軸31を軸方向Lに貫通するように形成された入力軸油路31Aへ流動する。入力軸油路31Aへ流動した油Fは、入力軸31に形成された油排出油路31Bから流出する。そして、油排出油路31Bから排出した油Fは、第2入力軸受92等を潤滑する。接続油路25Aを通った油Fは、接続部62を介して第2貯留部10Bに供給される。
次に、図3及び図4に基づいて、ギヤ軸7について説明する。以下の説明では、入力軸31を軸本体72と称して説明する。図3に示すように、ギヤ軸7は、筒状部71を備えた軸本体72と、軸本体72の外周部に設けられた第1ギヤ部73、第2ギヤ部74、及び入力ギヤ32と、筒状部71の内部空間Sに配置されたプラグ等の蓋部材75と、を備えている。ここでは、第1ギヤ部73、第2ギヤ部74、及び入力ギヤ32の少なくとも1つが「ギヤ部」に相当する。
本実施形態では、第1ギヤ部73及び第2ギヤ部74は、いずれもスプライン係合のために軸方向Lに沿って形成された多数の溝(スプライン溝)を有するギヤ部である。これらの第1ギヤ部73及び第2ギヤ部74は、入力軸31と一体的に形成されている。図1に示すように、第1ギヤ部73は、ロータ軸Rosの軸方向第2側L2の端部に挿入されて、このロータ軸Rosの軸方向第2側L2の端部の内周面に形成されたスプライン溝と係合する。第2ギヤ部74は、パーキングギヤ33に挿入されて、このパーキングギヤ33の内周面に形成されたスプライン溝と係合する。図3に示すように、本実施形態では、第1ギヤ部73は、軸本体72における軸方向Lの中央部より軸方向第1側L1に設けられている。より詳しくは、第1ギヤ部73は、軸本体72における軸方向第1側L1の端部に設けられている。入力ギヤ32は、軸本体72における軸方向Lの中央部より軸方向第2側L2に設けられている。第2ギヤ部74は、軸方向Lにおける第1ギヤ部73と入力ギヤ32との間に設けられている。
筒状部71は、軸本体72の軸方向第1側L1の端部において軸方向第1側L1に向けて開口する第1開口部76を備えている。本実施形態では、筒状部71は、第1開口部76に加えて、軸本体72の軸方向第2側L2の端部において軸方向第2側L2に向けて開口する第2開口部77を備えている。そして、筒状部71は、軸本体72を第1開口部76から第2開口部77に貫通する内部空間Sを備えている。このように、本実施形態に係る軸本体72は、全体が筒状に形成されており、軸方向Lの全域にわたって連続するように形成された内部空間Sを有している。つまり、本実施形態では、軸本体72の全体が筒状部71となっている。尚、第1開口部76が、「開口部」に相当する。
第1開口部76には、軸方向第1側L1に向かうに従って径方向外側R1に向かうように傾斜した円錐台面状の面取り部F2が形成されている。本実施形態では、第1開口部76には、面取り部F2に加えて、軸方向第1側L1に向かうに従って径方向外側R1に向かうように傾斜した円錐台面状の逃がし面部F1が形成されている。尚、円錐台面状とは、円錐台の側周面の形状であり、軸方向第1側L1に向かうに従って径が大きくなる(又は小さくなる)形状である。面取り部F2は、ギヤ軸7を加工する場合の基準面として用いられる。図示の例では、面取り部F2は軸方向Lに対して45°傾斜する方向に沿う面とされている。逃がし面部F1は、面取り部F2より軸方向第1側L1で且つ径方向外側R1に形成されている。そして、逃がし面部F1の軸方向Lに対する傾斜角度は、面取り部F2の軸方向Lに対する傾斜角度よりも大きい。この逃がし面部F1は、ギヤ軸7の軸方向第1側L1の端面Eに傷等が付いた場合であっても、加工のための基準面となる面取り部F2に影響を与えないようにするために設けられている。
逃がし面部F1は、軸本体72の端面Eから軸方向第2側L2へ向かうに従って径方向内側R2へ向かう方向に沿うように形成されている。面取り部F2は、逃がし面部F1における軸方向第2側L2の端部から軸方向第2側L2へ向かうに従って径方向内側R2へ向かう方向に沿うように形成されている。つまり、本例では、逃がし面部F1と面取り部F2とは連続する状態で形成されている。尚、第2開口部77にも、第1開口部76と同様に、逃がし面部F1及び面取り部F2が形成されている。
筒状部71は、当該筒状部71の内部空間Sを囲む筒状内周面F0を備えている。筒状内周面F0は、蓋部材75の外縁部が接する内周面部である接触内周面部F5と、接触内周面部F5より大径の内周面部である拡径内周面部F3と、を備えている。拡径内周面部F3は、軸方向Lにおける面取り部F2と接触内周面部F5との間に配置されている。接触内周面部F5と拡径内周面部F3との境界部分には、径方向Rの段差部F4が形成されている。つまり、筒状内周面F0は、拡径内周面部F3と段差部F4と接触内周面部F5とを備えている。
接触内周面部F5及び拡径内周面部F3は、軸方向Lに対して平行に形成されている。段差部F4は、接触内周面部F5と拡径内周面部F3との径の差によって、これらの境界部分に生じる段差部分である。よって、段差部F4は、軸方向第1側L1を向く段差面を有している。本実施形態では、段差部F4は、軸方向第1側L1に向かうに従って径方向外側R1に向かうように傾斜した段差面を有している。そして、段差部F4の径方向内側R2の縁部F41が、径方向内側R2に凸となる円弧状の断面を備えた円環状に形成されている。更に、本実施形態では、縁部F41における接触内周面部F5と接続される部分は、接線が軸方向Lに対して平行となる形状に形成されていると共に接触内周面部F5と同じ径となっている。これにより、段差部F4と接触内周面部F5とが滑らかに繋がった形状となっている。本実施形態において「滑らかに繋がった形状」とは、表面に角ばった部分を有することなく連続的に面が形成された形状のことを指している。また、「円弧状の断面」は、厳密に円弧であることを要求するものではなく、円弧に近い形状の断面を全て含む意図である。また、円弧状の断面における円弧の径についても、任意に設定可能である。本実施形態では、段差部F4の段差面における、径方向内側R2の縁部F41以外の部分の全体が、軸方向第1側L1に向かうに従って径方向外側R1に向かうように傾斜した円錐台面状に形成されている。
拡径内周面部F3は、面取り部F2における軸方向第2側L2の端部に対して軸方向第2側L2に隣接する位置に形成されている。段差部F4は、拡径内周面部F3における軸方向第2側L2の端部に対して軸方向第2側L2に隣接する位置に形成されている。接触内周面部F5は、段差部F4における軸方向第2側L2の端部に対して軸方向第2側L2に隣接する位置に形成されている。つまり、拡径内周面部F3と段差部F4と接触内周面部F5とは連続する状態で形成されている。本実施形態では、拡径内周面部F3、段差部F4、及び接触内周面部F5の一部は、径方向視で第1ギヤ部73と重複する領域に形成されている。換言すると、第1ギヤ部73は、軸本体72における、径方向視で拡径内周面部F3、段差部F4、及び接触内周面部F5の一部と重複する領域に配置されている。
第1開口部76の面取り部F2及び逃がし面部F1も、筒状部71の内部空間Sを囲むように形成されており、この点で、面取り部F2及び逃がし面部F1も筒状部71の内部空間を囲む内周面となっている。従って、筒状部71の内部空間を囲む内周面は、軸方向第1側L1から軸方向第2側L2に向けて、逃がし面部F1、面取り部F2、拡径内周面部F3、段差部F4、接触内周面部F5が記載順に連続して形成されている。但し、本実施形態では、筒状内周面F0は、上述のように、拡径内周面部F3と段差部F4と接触内周面部F5とを含むが、逃がし面部F1と面取り部F2とは含まないものとして定義している。
軸本体72は、径方向Rに貫通する油排出部10を備えている。この油排出部10は、軸本体72の軸方向Lにおける第2開口部77と蓋部材75との間に形成されている。本実施形態では、蓋部材75は、その外周縁部の全体が接触内周面部F5に接触するように配置されている。また、本例では、蓋部材75は、軸方向Lに貫通する貫通孔や溝部等を有していない。よって、この蓋部材75は、内部空間Sにおいて油Fが蓋部材75に対して軸方向第2側L2から軸方向第1側L1に流れることを規制する機能を果たす。本実施形態では、蓋部材75は、径方向視で第1ギヤ部73と重複する位置に配置されている。
次に、ギヤ軸7の製造方法について説明する。特に、ギヤ軸7の軸方向第1側L1の端部の製造方法について説明する。図6に示すように、ギヤ軸7を製造する場合には、第1準備工程S1と、面取り形成工程S2と、ギヤ形成工程S3と、第2準備工程S4と、内周形成工程S5と、蓋配置工程S6と、を行う。これらの各工程は、記載の順に行われる。すなわち、面取り形成工程S2は、第1準備工程S1の後に行われる。ギヤ形成工程S3は、面取り形成工程S2の後に行われる。第2準備工程S4は、ギヤ形成工程S3の後に行われる。内周形成工程S5は、第2準備工程S4の後に行われる。蓋配置工程S6は、内周形成工程S5の後に行われる。
第1準備工程S1は、図7に示すように、軸本体72における軸方向第1側L1の端部から軸方向第2側L2に向けて、軸本体72における軸方向Lの一部の領域である規定領域D1に第1加工内周面部F6を形成する工程である。第1加工内周面部F6は、後で形成する接触内周面部F5(図4参照)よりも小径の内周面部である。本実施形態では、ギヤ軸7(詳しくは、ギヤ軸7となる材料)の軸方向第2側L2の端部をチャック(図示せず)によって保持した状態でギヤ軸7を軸心周りに回転させ、そのギヤ軸7の軸方向第1側L1の端部からドリル等の切削工具を押し付けて穴を形成することで、第1加工内周面部F6を形成する。
規定領域D1の軸方向第1側L1の端部は、ギヤ軸7の軸方向第1側L1の端面Eに設定されている。また、規定領域D1の軸方向第2側L2の端部は、ギヤ形成領域D2の軸方向Lの範囲内に設定されている。本実施形態では、軸方向Lにおける規定領域D1とギヤ形成領域D2とが重なる長さが、ギヤ形成領域D2の全体の軸方向Lの長さの1/3以下となるように、規定領域D1が設定されている。規定領域D1がこのように設定されることにより、軸方向Lにおいて、第1加工内周面部F6の軸方向第2側L2の端部が、第1ギヤ部73が形成されるギヤ形成領域D2(図4及び図7参照)内に位置するように、第1加工内周面部F6が形成されている。
面取り形成工程S2は、図8に示すように、第1開口部76に面取り部F2を形成する工程である。本実施形態では、面取り形成工程S2において面取り部F2と共に逃がし面部F1を形成する。面取り形成工程S2では、ギヤ軸7の軸方向第2側L2の端部を保持した状態でギヤ軸7を回転させ、第1加工内周面部F6の一部をバイト等の切削工具11によって削ることで、逃がし面部F1と面取り部F2とを一連の切削加工によって形成する。このとき、面取り部F2は第1加工内周面部F6と連続するように形成される。また本実施形態では、面取り形成工程S2において、第1開口部76と同様の加工を第2開口部77に対しても行い、第2開口部77に、逃がし面部F1と面取り部F2とを形成する。
ギヤ形成工程S3は、図9に示すように、面取り部F2を基準として位置決めを行った状態で第1ギヤ部73を形成する工程である。ギヤ形成工程S3では、まず、ギヤ軸7の軸方向第2側L2の端部をチャック(図示せず)によって保持した状態で、芯出し治具12の外面が第1開口部76の面取り部F2に接触するように、芯出し治具12をギヤ軸7に挿入して芯出しを行う。尚、このとき、第2開口部77の面取り部F2にも芯出し治具12を接触させて芯出しを行うようにしてもよい。ギヤ形成工程S3では、このようにギヤ軸7の芯出しを行った状態で第1ギヤ部73を形成する。本例では、ギヤ軸7を回転させながら転造ダイス13をギヤ軸7の外周部に押し当てて第1ギヤ部73を形成する、転造加工により第1ギヤ部73を形成している。また図示は省略するが、本実施形態では、ギヤ形成工程S3において、第2ギヤ部74の形成、及び、入力ギヤ32の形成も行う。
第2準備工程S4は、図10に示すように、規定領域D1以外の領域の一部又は全部に対して、接触内周面部F5よりも小径の第2加工内周面部F7を形成する工程である。本実施形態では、第2加工内周面部F7は、第1加工内周面部F6よりも大径としている。そして、本実施形態では、ギヤ軸7の軸方向第2側L2の端部をチャック(図示せず)によって保持した状態でギヤ軸7を軸心周りに回転させ、ギヤ軸7の軸方向第1側L1の端部からドリル等の切削工具を挿入することで、第2加工内周面部F7を形成する。本例では、この第2準備工程S4において、第1加工内周面部F6も切削工具で削ることで、規定領域D1にも第2加工内周面部F7を形成している。また本実施形態では、ギヤ軸7の軸方向Lの全域に切削工具を貫通させ、規定領域D1以外の領域の全部と規定領域D1の一部(第1加工内周面部F6が形成されている領域)とに対して、第2加工内周面部F7を形成している。
内周形成工程S5は、図11に示すように、拡径内周面部F3と段差部F4と接触内周面部F5とを形成する工程である。内周形成工程S5では、ギヤ軸7の軸方向第2側L2の端部を保持した状態でギヤ軸7を回転させ、第2加工内周面部F7の一部をバイト等の切削工具11によって削ることで、拡径内周面部F3と段差部F4と接触内周面部F5とを連続する切削加工により形成する。この際、接触内周面部F5と拡径内周面部F3との境界部分に形成された段差部F4の径方向内側R2の縁部F41が、径方向内側R2に凸となる円弧状の断面を備えた円環状となるように、段差部F4と接触内周面部F5とを連続する切削加工により形成する。これにより、段差部F4の縁部F41における接触内周面部F5と接続される部分は、接線が軸方向Lに対して平行となる形状に形成されていると共に接触内周面部F5と同じ径となる。従って、段差部F4と接触内周面部F5とが滑らかに繋がった形状となる。
蓋配置工程S6は、接触内周面部F5に蓋部材75を配置する工程である。蓋配置工程S6では、第1開口部76に蓋部材75を押し込み、蓋部材75の外縁部が接触内周面部F5に接触するように、接触内周面部F5に蓋部材75を配置する。本例では、図4に示すように、軸方向Lにおける油排出部10と段差部F4との間に蓋部材75を配置する。このように蓋部材75を内部空間Sに挿入する際、蓋部材75の外縁部は、段差部F4によって径方向内側R2に案内されながら軸方向第2側L2に移動し、接触内周面部F5に案内される。この際、段差部F4の径方向内側R2の縁部F41が、径方向内側R2に凸となる円弧状の断面を備えた円環状となっており、段差部F4と接触内周面部F5とが滑らかに繋がっているため、蓋部材75を配置する場合に蓋部材75に不要な突起が生じる可能性を低減できる。
2.その他の実施形態
次に、ギヤ軸及びギヤ軸の製造方法のその他の実施形態について説明する。
(1)上記の実施形態では、ギヤ軸7の製造方法において、第1準備工程S1と第2準備工程S4とを備える構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されない。例えば、ギヤ軸7の製造方法において、第1準備工程S1と第2準備工程S4との内の一方又は双方の工程を備えない構成としてもよい。
(2)上記の実施形態では、軸本体72に油排出部10を備える構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されず、軸本体72に油排出部10を備えない構成としてもよい。この場合において、例えば、蓋部材75を絞り部として用い、蓋部材75に対して軸方向第1側L1に油Fを排出する構成としてもよい。この場合、蓋部材75は、軸方向Lに貫通する貫通孔や溝部等を有する構成とされるとよい。
(3)上記の実施形態では、蓋部材75が、その外周縁部の全体が接触内周面部F5に接触すると共に、軸方向Lに貫通する貫通孔や溝部等を有していない形状とされた構成を例として説明したが、これには限定されない。例えば、蓋部材75の外縁部の一部が接触内周面部F5に接触すると共に、外縁部の残りの一部が接触内周面部F5から離れた状態で、蓋部材75が内部空間に配置されていてもよい。具体的には、接触内周面部F5の断面が円形である場合において、蓋部材75の外縁部の形状が円形状の外周縁の複数個所に凹部を有する形状等とされていてもよい。また、例えば、蓋部材75が、軸方向Lに貫通する貫通孔や溝部等を有していてもよい。
(4)上記の実施形態では、第1ギヤ部73が、径方向視で拡径内周面部F3、段差部F4、及び接触内周面部F5の一部と重複する領域に配置された構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されない。例えば、第1ギヤ部73が、径方向視で拡径内周面部F3及び段差部F4とは重複せず、接触内周面部F5の一部とのみ重複する領域に配置された構成としてもよい。
(5)上記の実施形態では、軸本体72の全体が筒状部71とされた構成を例として説明したが、これには限定されない。例えば、軸本体72における、軸方向第1側L1の端部を含む軸方向Lの一部の領域が内部空間Sを有する筒状部71とされ、それ以外の軸方向Lの領域が内部空間Sを有しない中実状とされていてもよい。この場合、軸本体72に第2開口部77は形成されない。
(6)上記の実施形態では、段差部F4が、軸方向第1側L1に向かうに従って径方向外側R1に向かうように傾斜した段差面を有している構成を例として説明したが、これには限定されない。例えば、段差部F4が、軸方向Lに直交する方向(径方向R)に沿う段差面を有する構成であってもよい。この場合においても、段差部F4の径方向内側R2の縁部F41は、径方向内側R2に凸となる円弧状の断面を備えた円環状に形成される。
(7)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
3.上記実施形態の概要
以下、上記において説明したギヤ軸及びギヤ軸の製造方法の概要について説明する。
ギヤ軸(7)は、筒状部(71)を備えた軸本体(72)と、前記軸本体(72)の外周部に設けられたギヤ部(73)と、前記筒状部(71)の内部空間(S)に配置された蓋部材(75)と、を備え、
前記軸本体(72)の軸方向(L)の一方側を軸方向第1側(L1)として、前記筒状部(71)は、前記軸本体(72)の前記軸方向第1側(L1)の端部において前記軸方向第1側(L1)に向けて開口する開口部(76)と、前記筒状部(71)の前記内部空間(S)を囲む筒状内周面(F0)と、を備え、前記筒状内周面(F0)は、前記蓋部材(75)の外縁部が接する内周面部である接触内周面部(F5)と、前記接触内周面部(F5)より大径の内周面部である拡径内周面部(F3)と、を備え、前記開口部(76)には、前記軸方向第1側(L1)に向かうに従って径方向外側(R1)に向かうように傾斜した円錐台面状の面取り部(F2)が形成され、前記拡径内周面部(F3)は、前記軸方向(L)における前記面取り部(F2)と前記接触内周面部(F5)との間に配置され、前記接触内周面部(F5)と前記拡径内周面部(F3)との境界部分には、径方向(R)の段差部(F4)が形成され、前記段差部(F4)の径方向内側(R2)の端縁(F41)が、径方向内側(R2)に凸となる円弧状の断面を備えた円環状に形成されている。
本構成によれば、段差部(F4)の径方向内側(R2)の端縁(F41)が円弧状の断面を有する円環状に形成されていることで、接触内周面部(F5)とこの接触内周面部(F5)に対して軸方向第1側(L1)に隣接する拡径内周面部(F3)との境界部分を滑らかに繋げることができる。そのため、蓋部材(75)を開口部(76)から挿入して内部空間(S)に設置する際に、蓋部材(75)が接触内周面部(F5)と拡径内周面部(F3)との境界部分の段差部(F4)によって削られることを回避でき、蓋部材(75)にバリや切片等の不要な突起が生じる可能性を低減できる。
また、本構成によれば、軸方向(L)における面取り部(F2)と接触内周面部(F5)との間に拡径内周面部(F3)が形成されていることにより、面取り部(F2)の径方向内側(R2)の端縁の径を蓋部材(75)よりも大きくすることが可能となっている。そのため、蓋部材(75)を開口部(76)から挿入して内部空間(S)に設置する際に、蓋部材(75)が面取り部(F2)の径方向内側(R2)の端縁によって削られることを回避できる。従って、面取り部(F2)の径方向内側(R2)の端縁を滑らかな形状に加工する必要をなくすことができ、面取り部(F2)に対して追加の加工を行うことを回避できる。これにより、複数の加工工程を通して同一の面取り部(F2)を基準面として使用できるようになるため、加工精度の維持が可能となっている。
以上のように、本構成によれば、ギヤ軸(7)の加工精度を維持しつつ蓋部材(75)を設置する際に当該蓋部材(75)に不要な突起が生じ難いギヤ軸(7)を提供することができる。
ここで、前記ギヤ部(73)は、前記軸本体(72)の外周面における、径方向(R)に沿う径方向視で前記接触内周面部(F5)と重複する領域に備えられていると好適である。
このような構成では、ギヤ部(73)を形成する加工の際に面取り部(F2)を基準として行うことが多いため、複数の加工工程を通して同一の面取り部(F2)を基準面として使用することができる上記の構成とすることが特に適している。
また、前記開口部(76)を第1開口部(76)とし、前記軸方向第1側(L1)とは反対側を軸方向第2側(L2)として、前記筒状部(71)は、前記軸方向第2側(L2)の端部において前記軸方向第2側(L2)に向けて開口する第2開口部(77)を備えて、前記軸本体(72)を前記第1開口部(76)から前記第2開口部(77)まで貫通する前記内部空間(S)を備え、前記軸本体(72)は、前記軸方向(L)における前記第2開口部(77)と前記蓋部材(75)との間に配置され、径方向(R)に貫通する油排出部(10)を備えていると好適である。
本構成によれば、内部空間(S)における蓋部材(75)に対して軸方向第2側(L2)の部分に供給された油(F)を、油排出部(10)から外部に排出することができる。そして、内部空間(S)に蓋部材(75)が配置されていることで、当該蓋部材(75)によって、内部空間(S)における蓋部材(75)に対して軸方向第1側(L1)の部分に供給される油(F)の量を調節可能となっている。これらにより、ギヤ軸を、当該ギヤ軸や他の部材へ適切に油を供給するための供給経路として用いることができる。そして、上記のとおり、蓋部材(75)に不要な突起が生じることを低く抑制できるため、蓋部材(75)から外れた不要な突起が油(F)とともに流動することを回避できる。
ギヤ軸の製造方法は、筒状部(71)を備えた軸本体(72)と、前記軸本体(72)の外周部に設けられたギヤ部(73)と、前記筒状部(71)の内部空間(S)に配置された蓋部材(75)と、を備え、前記軸本体(72)の軸方向(L)の一方側を軸方向第1側(L1)として、前記筒状部(71)が、前記軸本体(72)の前記軸方向第1側(L1)の端部において前記軸方向第1側(L1)に向けて開口する開口部(76)と、前記筒状部(71)の前記内部空間(S)を囲む筒状内周面(F0)と、を備えたギヤ軸(7)の製造方法であって、
前記開口部(76)に、前記軸方向第1側(L1)に向かうに従って径方向外側(R1)に向かうように傾斜した円錐台面状の面取り部(F2)を形成する面取り形成工程(S2)と、前記面取り形成工程(S2)の後、前記面取り部(F2)を基準として位置決めを行った状態で前記ギヤ部(73)を形成するギヤ形成工程(S3)と、前記ギヤ形成工程(S3)の後、前記筒状内周面(F0)として、前記蓋部材(75)の外縁部が接する内周面部である接触内周面部(F5)と、前記接触内周面部(F5)より大径の内周面部である拡径内周面部(F3)と、を形成する内周形成工程(S5)と、前記接触内周面部(F5)に前記蓋部材(75)を配置する蓋配置工程(S6)と、を備え、前記内周形成工程(S5)では、前記拡径内周面部(F3)が、前記軸方向(L)における前記面取り部(F2)と前記接触内周面部(F5)との間に形成され、前記接触内周面部(F5)と前記拡径内周面部(F3)との境界部分に径方向(R)の段差部(F4)が形成され、前記段差部(F4)の径方向内側(R2)の端縁(F41)が、径方向内側(R2)に凸となる円弧状の断面を備えた円環状となるように、前記接触内周面部(F5)と前記段差部(F4)と前記拡径内周面部(F3)とを連続する切削加工により形成する点にある。
本構成によれば、内周形成工程(S5)において、段差部(S4)の径方向内側(R2)の端縁(S41)が円弧状の断面を有する円環状に形成されていることで、接触内周面部(F5)とこの接触内周面部(F5)に対して軸方向第1側(L1)に隣接する拡径内周面部(S3)との境界部分を滑らかに繋げることができる。そのため、蓋配置工程(S6)において蓋部材(75)を開口部(76)から挿入して内部空間(S)に設置する際に、蓋部材(75)が接触内周面部(F5)と拡径内周面部(F3)との境界部分の段差部(F4)によって削られることを回避でき、蓋部材(75)にバリや切片等の不要な突起が生じる可能性を低減できる。
また、本構成によれば、内周形成工程(S5)において、軸方向(L)における面取り部(F2)と接触内周面部(F5)との間に拡径内周面(F4)が形成されていることにより、面取り部(F2)の径方向内側(R2)の端縁の径を蓋部材(75)よりも大きくすることが可能となっている。そのため、蓋部材(75)を開口部(76)から挿入して内部空間(S)に設置する際に、蓋部材(75)が面取り部(F2)の径方向内側(R2)の端縁によって削られることを回避できる。従って、面取り部(F2)の径方向内側(R2)の端縁を滑らかな形状に加工する必要をなくすことができ、面取り部(F2)に対して追加加工を行うことを回避できる。これにより、複数の加工工程を通して同一の面取り部(F2)を基準面として使用できるようになるため、加工精度の維持が可能となっている。
以上のように、本構成によれば、ギヤ軸(7)の加工精度を維持しつつ蓋部材(75)を設置する際に当該蓋部材(75)に不要な突起が生じ難いギヤ軸(7)の製造方法を提供することができる。
また、前記面取り形成工程(S2)より前の工程である第1準備工程(S1)を更に備え、前記軸方向第1側(L1)とは反対側を軸方向第2側(L2)として、前記第1準備工程(S1)では、前記軸本体(72)における前記軸方向第1側(L1)の端部から前記軸方向第2側(L2)に向けて、前記軸本体(72)における前記軸方向(L)の一部の領域である規定領域(D1)に、前記接触内周面部(F5)よりも小径の第1加工内周面部(F6)を形成し、前記面取り形成工程(S2)では、前記第1加工内周面部(F6)と連続するように前記面取り部(F2)を形成し、前記ギヤ形成工程(S3)の後、前記規定領域(D1)以外の領域の一部又は全部に対して、前記接触内周面部(F5)よりも小径の第2加工内周面部(F7)を形成する第2準備工程(S4)を更に備えると好適である。
本構成によれば、面取り形成工程(S2)より前の第1準備工程(S1)によって規定領域(D1)に第1加工内周面部(F6)が形成されているため、第1加工内周面部(F6)と連続するように面取り部(F2)を形成することができ、よって、面取り形成工程(S2)を容易に行うことが可能となっている。また、ギヤ形成工程(S3)を行う際には、既に面取り部(F2)が形成されているため、この面取り部(F2)を基準として芯出しを行った状態でギヤ部(73)を形成することができる。また、軸本体(72)における一部の領域である設定領域(D1)に第1加工内周面部(F6)を形成することで、軸本体(72)の設定領域(D1)の領域を中実状とすることができる。そのため、ギヤ形成工程S3においてギヤ部(73)を形成する場合に軸本体(72)を変形し難くできる。
本開示に係る技術は、筒状部を備えた軸本体と、前記軸本体の外周部に設けられたギヤ部と、前記筒状部の内部空間に配置された蓋部材と、を備えたギヤ軸、及び、そのギヤ軸の製造方法に利用することができる。
7:ギヤ軸
10:油排出部
71:筒状部
72:軸本体
73:第1ギヤ部(ギヤ部)
75:蓋部材
76:第1開口部(開口部)
77:第2開口部
D1:規定領域
F0:筒状内周面
F2:面取り部
F3:拡径内周面部
F4:段差部
F41:縁部
F5:接触内周面部
F6:第1加工内周面部
F7:第2加工内周面部
L:軸方向
L1:軸方向第1側
L2:軸方向第2側
S:内部空間
S1:第1準備工程
S2:面取り形成工程
S3:ギヤ形成工程
S4:第2準備工程
S5:内周形成工程
S6:蓋配置工程

Claims (5)

  1. 筒状部を備えた軸本体と、前記軸本体の外周部に設けられたギヤ部と、前記筒状部の内部空間に配置された蓋部材と、を備えたギヤ軸であって、
    前記軸本体の軸方向の一方側を軸方向第1側として、
    前記筒状部は、前記軸本体の前記軸方向第1側の端部において前記軸方向第1側に向けて開口する開口部と、前記筒状部の前記内部空間を囲む筒状内周面と、を備え、
    前記筒状内周面は、前記蓋部材の外縁部が接する内周面部である接触内周面部と、前記接触内周面部より大径の内周面部である拡径内周面部と、を備え、
    前記開口部には、前記軸方向第1側に向かうに従って径方向外側に向かうように傾斜した円錐台面状の面取り部が形成され、
    前記拡径内周面部は、前記軸方向における前記面取り部と前記接触内周面部との間に配置され、
    前記接触内周面部と前記拡径内周面部との境界部分には、径方向の段差部が形成され、
    前記段差部の径方向内側の端縁が、径方向内側に凸となる円弧状の断面を備えた円環状に形成されている、ギヤ軸。
  2. 前記ギヤ部は、前記軸本体の外周面における、径方向に沿う径方向視で前記接触内周面部と重複する領域に備えられている、請求項1に記載のギヤ軸。
  3. 前記開口部を第1開口部とし、前記軸方向第1側とは反対側を軸方向第2側として、
    前記筒状部は、前記軸方向第2側の端部において前記軸方向第2側に向けて開口する第2開口部を備えて、前記軸本体を前記第1開口部から前記第2開口部まで貫通する前記内部空間を備え、
    前記軸本体は、前記軸方向における前記第2開口部と前記蓋部材との間に配置され、径方向に貫通する油排出部を備えている、請求項1又は2に記載のギヤ軸。
  4. 筒状部を備えた軸本体と、前記軸本体の外周部に設けられたギヤ部と、前記筒状部の内部空間に配置された蓋部材と、を備え、前記軸本体の軸方向の一方側を軸方向第1側として、前記筒状部が、前記軸本体の前記軸方向第1側の端部において前記軸方向第1側に向けて開口する開口部と、前記筒状部の前記内部空間を囲む筒状内周面と、を備えたギヤ軸の製造方法であって、
    前記開口部に、前記軸方向第1側に向かうに従って径方向外側に向かうように傾斜した円錐台面状の面取り部を形成する面取り形成工程と、
    前記面取り形成工程の後、前記面取り部を基準として位置決めを行った状態で前記ギヤ部を形成するギヤ形成工程と、
    前記ギヤ形成工程の後、前記筒状内周面として、前記蓋部材の外縁部が接する内周面部である接触内周面部と、前記接触内周面部より大径の内周面部である拡径内周面部と、を形成する内周形成工程と、
    前記接触内周面部に前記蓋部材を配置する蓋配置工程と、を備え、
    前記内周形成工程では、前記拡径内周面部が、前記軸方向における前記面取り部と前記接触内周面部との間に形成され、前記接触内周面部と前記拡径内周面部との境界部分に径方向の段差部が形成され、前記段差部の径方向内側の端縁が、径方向内側に凸となる円弧状の断面を備えた円環状となるように、前記接触内周面部と前記段差部と前記拡径内周面部とを連続する切削加工により形成する、ギヤ軸の製造方法。
  5. 前記面取り形成工程より前の工程である第1準備工程を更に備え、
    前記軸方向第1側とは反対側を軸方向第2側として、
    前記第1準備工程では、前記軸本体における前記軸方向第1側の端部から前記軸方向第2側に向けて、前記軸本体における前記軸方向の一部の領域である規定領域に、前記接触内周面部よりも小径の第1加工内周面部を形成し、
    前記面取り形成工程では、前記第1加工内周面部と連続するように前記面取り部を形成し、
    前記ギヤ形成工程の後、前記規定領域以外の領域の一部又は全部に対して、前記接触内周面部よりも小径の第2加工内周面部を形成する第2準備工程を更に備える、請求項4に記載のギヤ軸の製造方法。
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