JPH0544402U - 工作機械の回転センタ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】工作物のセンタ穴あけと、研削時のセンタ保持
とを１つの装置で行うことができるものを得ることを目
的とする。 【構成】工作物の端面を心押し台側の止まりセンタで保
持するセンタ装置において、センタドリル兼回転センタ
を、心押し台側のチャックに、センタ穴あけ時には回転
を阻止し、工作物のバイトによる研削時には回転自在と
なるワンウェイクラッチを介して取つけてなる工作機械
の回転センタ装置。従来のようにセンタドリルと回転セ
ンタを取替えることによるセンタ保持の誤差が全くな
く、したがって精密加工を正確に行うことができる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、旋盤などの工作機械において、工作物のセンタ穴加工とセンタ保持 を交換なしで１つの装置で行うことができるようにした工作機械の回転センタ装 置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

一般に、旋盤作業などにおいて、比較的細長い工作物を削るときには、端面の 中心を止まりセンタで保持する。従来、このセンタ保持には第４図および第５図 に示す方法と、第２図および第３図に示す方法のおお凡そ２つの方法があった。

【０００３】 第１の方法は、第４図に示すように、まず、工作物５の左端部を、図示しない 回転側のチャックにて固定し、右端面１の中心にセンタドリル２をあてがい、工 作物５を図示矢印方向に回転してセンタ穴７をあける。ついで、心押し台９を離 して、センタドリル用チャック１２からセンタドリル２を外し、代りに、止まり センタ８を固定する。この止まりセンタ８を図５のように、工作物５の端面１に 近づけて、先にあけられたセンタ穴７に鎖線のようにあてがって工作物５を保持 する。この第１の方法では、止まりセンタ８と工作物５はセンタ穴７の部分で滑 って回転しているから摩擦熱を発生するので、常に潤滑油を与えなければならず 、作業性が悪い。 また、センタドリル２と止まりセンタ８とを取り換えなければならないので、 中心位置がずれて精密加工には利用できなかった。

【０００４】 これを改良する第２の方法として、図２に示すように、回転センタ８は、回転セ ンタ用チャック１３内で軸受などにより回転自在に設けておき、また、前記回転 センタ用チャック１３の先端には、センタドリル用チャック１２を着脱自在に嵌 合し、前記回転センタ８とセンタドリル２との中心線を正確に一致するようにし て取付ける。この状態で、まず、図２に示すように、センタドリル２でセンタ穴 ７をあける。ついで、工作物５から離してセンタドリル２をセンタドリル用チャ ック１２と一緒に、回転センタ用チャック１３から外す。そして再び、回転セン タ８を工作物５に近づけてセンタ穴７に、回転センタ８を嵌めこ込む。この状態 で、工作物５を回転してバイト１４で研削などを行う。このとき、回転センタ８ は、工作物５と一体に回転するので、第１の方法に比し、潤滑油などは必要なく 、作業性にすぐれているという特徴を有する。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

ところが、この第２の方法においても、工作物５の端面１の中心にセンタドリ ル２を用いてセンタ穴７をあけた後、センタドリル２をセンタドリル用チャック １２とともに、回転センタ用チャック１３から外し、再び、心押し台９を工作物 ５側へ近づけて回転センタ８をセンタ穴７に嵌め直さなければならない。センタ ドリル２と回転センタ８との中心線をいかに正確に一致せしめておいても、工作 物５から遠ざけたり、近づけたり、センタドリル用チャック１２を外したりする と、どうしても中心線に狂いが生じる。したがって、依然として中心線が不正確 になり、精密加工には向いていなかった。また、センタドリル用チャック１２の 着脱作業も面倒であるという問題があった。

【０００６】 本考案は、工作物のセンタ穴あけと、研削時のセンタ保持とを１つの装置で行 うことができるものを得ることを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

本考案は、工作物の端面を心押し台側の止まりセンタで保持するセンタ装置に おいて、センタドリル兼回転センタを、心押し台側のチャックに、センタ穴あけ 時には回転を阻止し、工作物のバイトによる研削時には回転自在となるワンウェ イクラッチを介して取つけてなる工作機械の回転センタ装置である。

【０００８】

【作用】

工作物５を、研削方向Ｂとは逆のＡ方向に回転しながら、心押し台９に取付け られたセンタドリル兼回転センサ１５を、工作物５の右端面１の中心部に近づけ る。センタドリル兼回転センサ１５は、逆刃６であり、また、ワンウェイクラッ チ４によって、Ａ方向に対しては固定状態にある。 この状態で、工作物５の端面に、センタドリル兼回転センサ１５を押しつける と、逆刃６によってセンタ穴７があけられる。このセンタ穴７の深さが３〜５ｍ ｍになったら止める。

【０００９】 センタ穴７の穴あけ加工が終わったら、工作物５を今までの逆のＢ方向に回転 させる。すると、ワンウェイクラッチ４によってセンタドリル兼回転センサ１５ は回転フリーの状態であるから、工作物５とセンタドリル兼回転センサ１５は、 センタ保持をしたまま一体に回転する。この状態でバイト１４により切削、研削 などを行う。

【００１０】

【実施例】

以下、本考案の一実施例を図１に基づいて説明する。 １５は、センタドリル兼回転センタで、このセンタドリル兼回転センタ１５は 、チャック３の本体１６の中心穴１７に挿入され、締付けナット１８で締め付け られる。前記本体１６の基部外周は円柱形をなし、外筒体１９の内部に、軸受２ ０，２０とワンウェイクラッチ４によって支持され、一方向には回転自在で、他 方向には回転しないようになっている。さらに詳しくは、工作物５のバイト１４ による研削方向Ｂには、回転するが、センタドリル兼回転センタ１５による穴あ け方向Ａには回転しないような構成となっている。

【００１１】 まず、工作物５の左端部を回転側１０のチャック１１で保持する。 ついで、工作物５を、研削方向Ｂとは逆のＡ方向に回転しながら、心押し台９ に取付けられたセンタドリル兼回転センタ１５を、工作物５の右端面１の中心部 に近づける。センタドリル兼回転センタ１５は、逆刃６であり、また、ワンウェ イクラッチ４によって、Ａ方向に対しては固定状態にある。 この状態で、工作物５の端面にセンタドリル兼回転センタ１５を押しつけると 、逆刃６によってセンタ穴７があけられる。このセンタ穴７の深さが３〜５ｍｍ になったら止める。

【００１２】 センタ穴７の穴あけ加工が終わったら、工作物５を今までの逆のＢ方向に回転 刺せる。すると、ワンウェイクラッチ４によってセンタドリル兼回転センタ１５ は回転フリーの状態であるから、工作物５とセンタドリル兼回転センタ１５は、 センタ保持をしたまま一体に回転する。この状態でバイト１４により切削、研削 などを行う。

【００１３】

【考案の効果】

本考案は、上述のように、逆刃を切ったセンタドリル兼回転センタ１５を、チ ャックに、センタ穴あけ時には回転を阻止し、工作物を研削するときは回転自在 となるようなワンウェイクラッチを介してとりつけたもので、従来のようにセン タドリルと回転センタを取替えることによるセンタ保持の誤差が全くなく、した がって精密加工を正確に行うことができる。また、摩擦熱防止の潤滑油を注入す るようなこともなく、作業性が極めてすぐれている。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、本考案による工作機械の回転センタ装
置の一実施例を示す断面図である。

【図２】図２は、従来の第２の方法の回転センタを用い
たセンタ作業の説明図である。

【図３】図３は、図２のセンタ保持状態の説明図であ
る。

【図４】図４は、従来の第１方法のセンタ作業の説明図
である。

【図５】図５は、図４のセンタ保持状態の説明図であ
る。

【符号の説明】

１…右端面，２…センタドリル，３…チャック，４…ワ
ンウェイクラッチ，５…工作物，６…逆刃，７…センタ
穴，８…回転センタ，９…心押し台，１０…回転側，１
１…チャック，１２…センタドリル用チャック，１３…
回転センタ用チャック，１４…バイト，１５…センタド
リル兼回転センタ。１６…本体，１７…中心穴，１８…
締付けナット，１９…外筒体，２０…軸受。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】工作物の端面を心押し台側の止まりセンタ
   で保持するセンタ装置において、センタドリル兼回転セ
   ンタを、心押し台側のチャックに、センタ穴あけ時には
   回転を阻止し、工作物のバイトによる研削時には回転自
   在となるワンウェイクラッチを介して取つけてなる工作
   機械の回転センタ装置。