JP2017137885A - ハブユニット軸受及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】玉が溝肩部に乗り上げるのを防止すると共に、密封性とエンコーダ出力とを確保したハブユニット軸受を、研削割れや研削戻りを防止して安価に実現する。【解決手段】溝肩部24aとスリンガ嵌合面20aとの間に、傾斜した段差面30を設け、段差面とスリンガ嵌合面との間に、断面が円弧形状で径方向内側に凹んだ逃げ部を設ける。内輪軌道5bとスリンガ嵌合面20aとは、総型の回転砥石26aにより同時に研削され、段差面30は、接触角、或は回転砥石26aの切り込み角よりも大きな傾斜角を有しており、砥石端面34の延長線は、逃げ部31の底部33よりもスリンガ嵌合面20a側で、逃げ部31と交差する。【選択図】図1
Description
本発明は、自動車の車輪を懸架装置に対して回転自在に支持するハブユニット軸受、及びその製造方法に関する。
図5,6(特許文献1)は、自動車の車輪を懸架装置に対して回転自在に支持する為のハブユニット軸受の従来構造の1例を示している。このハブユニット軸受1は、懸架装置に支持固定されて回転しない外輪2と、車輪を支持固定した状態で回転するハブ3とを、互いに同心に配置している。そして、外輪2の内周面に設けた、複列の外輪軌道4a,4bと、ハブ3の外周面に設けた、複列の内輪軌道5a,5bとの間に、転動体である玉6を、各列毎に複数個ずつ配置している。玉6は、それぞれ保持器7により、転動自在に保持されている。
ハブ3は、ハブ本体18と、ハブ本体18の軸方向内端部に外嵌固定した内輪19とから成る。そして、軸方向外側の内輪軌道5aはハブ本体18の軸方向中間部外周面に、軸方向内側の内輪軌道5bは内輪19の外周面に、それぞれ形成されている。ハブ本体18の外周面には、車輪を支持固定する為のハブフランジ17が設けられている、。尚、軸方向に関して「外」とは、自動車への組み付け状態で車両の幅方向外側を言い、各図の左側。反対に、車両の幅方向中央側となる、各図の右側を、軸方向に関して「内」と言う。
ハブ3は、ハブ本体18と、ハブ本体18の軸方向内端部に外嵌固定した内輪19とから成る。そして、軸方向外側の内輪軌道5aはハブ本体18の軸方向中間部外周面に、軸方向内側の内輪軌道5bは内輪19の外周面に、それぞれ形成されている。ハブ本体18の外周面には、車輪を支持固定する為のハブフランジ17が設けられている、。尚、軸方向に関して「外」とは、自動車への組み付け状態で車両の幅方向外側を言い、各図の左側。反対に、車両の幅方向中央側となる、各図の右側を、軸方向に関して「内」と言う。
外輪2の内周面とハブ3の外周面との間で、玉6を設置した内部空間8の両端開口は、シールリング9と組み合わせシールリング10とによって、それぞれ全周に亙り塞いでいる。これにより、内部空間8内に存在するグリースが外部空間に漏洩する事の防止と、外部空間に存在する水分や塵芥等の異物が内部空間8内に侵入する事の防止とを図っている。シールリング9は、弾性材製で円環状のシール部材11と、シール部材11を補強する円環状の芯金12とを備えている。芯金12を外輪2の軸方向外端部に締り嵌めで内嵌固定した状態で、シール部材11を構成する複数本のシールリップの先端縁をハブ本体18の軸方向中間部外周面に、全周に亙り摺接させている。
組み合わせシールリング10は、スリンガ13とシールリング14とを組み合わせて成る。スリンガ13は、金属板を曲げ加工する事により断面L字形で全体を円環状に構成したもので、円筒部15と、円筒部15の軸方向内端縁から径方向外方に折れ曲がった円輪部16とから成る。この様なスリンガ13は、円筒部15を、内輪19の軸方向内端部外周面に設けた円筒状のスリンガ嵌合面20に締り嵌めで外嵌(圧入)する事により、内輪19に固定している。円輪部16の軸方向内側面には、車輪の回転速度を検出する為のエンコーダ27が固定されている。
シールリング14は、弾性材製で円環状のシール部材21と、シール部材21を補強する円環状の芯金22とを備えている。この様なシールリング14は、芯金22の外周縁部に設けた円筒部23を、外輪2の軸方向内端部内周面に締り嵌めで内嵌(圧入)する事により、外輪2に固定している。又、この状態で、シール部材21を構成する複数本のシールリップの先端縁をスリンガ13の表面に、全周に亙り摺接させている。
シールリング14は、弾性材製で円環状のシール部材21と、シール部材21を補強する円環状の芯金22とを備えている。この様なシールリング14は、芯金22の外周縁部に設けた円筒部23を、外輪2の軸方向内端部内周面に締り嵌めで内嵌(圧入)する事により、外輪2に固定している。又、この状態で、シール部材21を構成する複数本のシールリップの先端縁をスリンガ13の表面に、全周に亙り摺接させている。
自動車(懸架装置、タイヤ等)の性能向上に伴い、高速でカーブを曲がった場合等に、ハブユニット軸受は、大きな旋回荷重を支持する必要がある。この時、転動体である玉が軌道面の溝肩に乗り上げて、玉が損傷するのを防止する事が求められている。一方、シール装置の密封性向上や、エンコーダの出力向上(磁束密度の向上)も求められている。
図5,6に示した特許文献1は、内輪19の外径部を段付形状にして、大径側を溝肩部24とし、小径側をスリンガ嵌合面20とする事により、密封性能とエンコーダ27の大きさ(被検出面の面積)を確保した上で、溝肩の高さを大きくして乗り上げ防止する構成を開示している。更に、シール装置である組み合わせシールリング10は、他名番との共通化を可能として、コストダウンを実現している
図5,6に示した特許文献1は、内輪19の外径部を段付形状にして、大径側を溝肩部24とし、小径側をスリンガ嵌合面20とする事により、密封性能とエンコーダ27の大きさ(被検出面の面積)を確保した上で、溝肩の高さを大きくして乗り上げ防止する構成を開示している。更に、シール装置である組み合わせシールリング10は、他名番との共通化を可能として、コストダウンを実現している
上述した様なハブユニット軸受1を製造する場合、外輪2及びハブ3(ハブ本体18、内輪19)は、所定の形状及び寸法を得る為の旋削加工を施されてから、硬度や靱性を高める為の熱処理を施された後、外輪軌道4a,4b及び内輪軌道5a,5bやスリンガ嵌合面20の面精度や面粗さ等を整える為の研削加工を施されると言った様に、複数の工程を経て造られる。研削加工を効率良く行う方法として、図7に示す様に、軸方向内側の内輪軌道5bとスリンガ嵌合面20と小径側端面25とを、ダイヤモンドホイールで成形した総型の回転砥石26により同時に研削する方法が、特許文献2に記載されている。
ところが、図7に示した様な方法で研削加工を行うと、次の様な不具合を生じる可能性がある。即ち、回転砥石26は、概ね内輪軌道5bの接触角αの方向に切り込んで、研削加工されるが、この時、溝肩部24が高い内輪19を研削する場合、図7に示す様に、回転砥石26と溝肩部24とが干渉する為、スリンガ嵌合面20を必要な幅で研削することができない(スリンガ13との嵌合面の全面を研削できない)。従って、スリンガ嵌合面20の研削加工を別工程で施工する必要があり、コストが増加してしまう。或は、内輪軌道5bとスリンガ嵌合面20の同軸度が低下して、組み合わせシールリング10の耐久性に悪影響を及ぼす可能性がある。
上記問題を回避する為に、例えば、図8に示す様に、溝肩部24の高さを低くすればスリンガ嵌合面20との同時研削が可能となるが、この場合も、以下の問題が発生する。即ち、スリンガ嵌合面20を研削する回転砥石26の周面(研削面)は回転砥石26の回転軸Xとの交角が大きくなり、硬く(目詰り傾向に)作用するので、スリンガ嵌合面20は、内輪軌道5bよりも研削割れや研削戻りを発生しやすい。更に、スリンガ嵌合面20を研削する砥石は台形形状の為、クーラントは砥石の大径側(スリンガ嵌合面20の軸方向内側)に移動しやすいのに加えて、回転砥石26と溝肩部24とが近接している為、溝肩部24の近傍にはクーラントが到達し難い。研削割れや研削戻りの発生を防止するには、回転砥石26の切り込み速度を落とす必要があり、その結果、サイクルタイムが長くなり、コストアップにつながる。
本発明は、玉が溝肩部に乗り上げるのを防止すると共に、密封性とエンコーダ出力とを確保したハブユニット軸受、及びその製造方法を、研削割れや研削戻りを防止して安価に実現する事を目的とする。
本発明のハブユニット軸受は、互いに同心に配置された外輪及び内輪と、前記外輪の内周面に設けられた外輪軌道と前記内輪の外周面に設けられた内輪軌道との間に、転動自在に設けられた複数個の転動体と、スリンガとを備えている。
前記スリンガは、全体が円環状で、前記内輪の外周面の一部に設けられたスリンガ嵌合面に外嵌固定される円筒部を有しており、前記内輪軌道に隣接する部分に、前記スリンガ嵌合面よりも大径である溝肩部を設けている。
前記スリンガは、全体が円環状で、前記内輪の外周面の一部に設けられたスリンガ嵌合面に外嵌固定される円筒部を有しており、前記内輪軌道に隣接する部分に、前記スリンガ嵌合面よりも大径である溝肩部を設けている。
特に、本発明のハブユニット軸受は、前記溝肩部と前記スリンガ嵌合面との間に、傾斜した段差面を設け、前記段差面と前記スリンガ嵌合面との間に、断面が円弧形状で径方向内側に凹んだ逃げ部を設けている。
又、本発明のハブユニット軸受を製造する場合には、前記内輪軌道と前記スリンガ嵌合面とは、総型の回転砥石により同時に研削され、前記段差面は、前記内輪軌道の接触角、或は前記回転砥石の切り込み角よりも大きな傾斜角を有しており、前記スリンガ嵌合面を研削する前記回転砥石の端面の延長線は、前記逃げ部の底部よりも前記スリンガ嵌合面側で、前記逃げ部と交差する。
又、本発明のハブユニット軸受を製造する場合には、前記内輪軌道と前記スリンガ嵌合面とは、総型の回転砥石により同時に研削され、前記段差面は、前記内輪軌道の接触角、或は前記回転砥石の切り込み角よりも大きな傾斜角を有しており、前記スリンガ嵌合面を研削する前記回転砥石の端面の延長線は、前記逃げ部の底部よりも前記スリンガ嵌合面側で、前記逃げ部と交差する。
上述の様に構成する、本発明のハブユニット軸受、及び本発明の製造方法によって造られたハブユニット軸受の場合、玉が溝肩部に乗り上げるのを防止すると共に、密封性とエンコーダ出力とを確保したハブユニット軸受を、研削割れや研削戻りを防止して安価に実現する事ができる。
即ち、溝肩部とスリンガ嵌合面との間の段差面を傾斜面とすると共に、傾斜面とスリンガ嵌合面との間に逃げ部を設けている。従って、総型の回転砥石により、内輪軌道とスリンガ嵌合面とを同時に研削する際に、スリンガ嵌合面の段差面近傍にクーラントが到達し易いので、研削割れや研削戻りの発生を抑制している。この結果、回転砥石の切り込み速度を落とす事無く、安定したスリンガ嵌合面の研削加工が可能となり、コストアップを防止する事ができる。
即ち、溝肩部とスリンガ嵌合面との間の段差面を傾斜面とすると共に、傾斜面とスリンガ嵌合面との間に逃げ部を設けている。従って、総型の回転砥石により、内輪軌道とスリンガ嵌合面とを同時に研削する際に、スリンガ嵌合面の段差面近傍にクーラントが到達し易いので、研削割れや研削戻りの発生を抑制している。この結果、回転砥石の切り込み速度を落とす事無く、安定したスリンガ嵌合面の研削加工が可能となり、コストアップを防止する事ができる。
[第1実施形態]
図1,2は、本発明の第1実施形態を示している。尚、本実施形態の特徴は、内輪19aの軸方向内端部外周面の形状と、この部分の加工方法とを工夫した点にある。その他の部分の構造及び作用は、前述の図5〜7に示した従来構造の場合と同様であるから、重複する図示並びに説明は省略若しくは簡略にし、以下、本実施形態の特徴部分を中心に説明する。
図1,2は、本発明の第1実施形態を示している。尚、本実施形態の特徴は、内輪19aの軸方向内端部外周面の形状と、この部分の加工方法とを工夫した点にある。その他の部分の構造及び作用は、前述の図5〜7に示した従来構造の場合と同様であるから、重複する図示並びに説明は省略若しくは簡略にし、以下、本実施形態の特徴部分を中心に説明する。
本実施形態の場合、内輪19aの外周面のうち、軸方向内端部に存在する円筒状のスリンガ嵌合面20a部分と、スリンガ嵌合部20aよりも大径であり軸方向内側の内輪軌道5bに隣接する溝肩部24aとの間に、軸方向内側に向かうに従い小径となる方向に傾斜(傾斜角θ)した段差面30を設けている。段差面30は、溝肩部24aの軸方向内側端との繋ぎ目部分を、断面形状に関して半径R1である円弧形状により連続させている。
更に、段差面30とスリンガ嵌合面20aとの間に、径方向内側に凹んだ逃げ部31を全周に亙り設けている。逃げ部31は、断面形状が半径R2の円弧形状に形成されており、その軸方向外端部の傾斜角度を段差面30と同じ(傾斜角θ)にする事により、段差面30と滑らかに連続している。
更に、段差面30とスリンガ嵌合面20aとの間に、径方向内側に凹んだ逃げ部31を全周に亙り設けている。逃げ部31は、断面形状が半径R2の円弧形状に形成されており、その軸方向外端部の傾斜角度を段差面30と同じ(傾斜角θ)にする事により、段差面30と滑らかに連続している。
スリンガ嵌合面20aの軸方向内端部から、内輪19aの軸方向内端面(大径側端面)までの部分は、軸方向内側に向かうに従い小径となる方向に傾斜した傾斜面であるガイド部32が設けられている。ガイド部32は、スリンガ13(図6参照)を内輪19aの軸方向内側からスリンガ嵌合面20aに圧入する際の乗り上げガイドとしての機能を有している。スリンガ嵌合面20aの軸方向内端部分とガイド部32の外径側部分(軸方向外側部分)の繋ぎ目部分は、断面に関して半径R3である円弧形状により互いに連続しており、これらの部分全体を、角部がなく滑らかに連続した研削面(平滑面)としている。
本実施形態の場合には、内輪19aの製造工程の仕上げ段階(所定の形状及び寸法を得る為の旋削加工と、硬度や靭性を高める為の熱処理とを、順次行った後の段階)で、内輪19aの表面のうち、軸方向外端面である小径側端面25部分と、内輪軌道5b部分(溝肩部24aの軸方向外側面を含む)と、スリンガ嵌合面20a部分と、ガイド部32部分と、スリンガ嵌合面20aとガイド部32との繋ぎ目部分とに、総型の回転砥石26aによって、同時に研削加工を施している。
回転砥石26aの回転中心軸Xは、内輪軌道5bを転走する各玉6(図6参照)の接触角αの方向と直角な方向に配置し、且つ、回転砥石26aの切り込み送り方向は、接触角αの方向にほぼ一致させている。本実施形態では、段差面30の傾斜角θは、接触角α(砥石の切り込み角)より大きくして(θ>α)、スリンガ嵌合面20a部分を研削する回転砥石26aの砥石端面34と段差面30との間部分に、クーラントが通過可能な隙間を確保している。本構成により、図2の矢印Aが示す経路により、研削面であるスリンガ嵌合面20aの段差面30寄り部分に、クーラントが到達し易くしている。
又、逃げ部31の最小径部である底部33よりも軸方向内側(スリンガ嵌合面20a側)で、逃げ部31と砥石端面34の延長線とが交差するようにしている。
本構成により、段差面30と砥石端面34の間を通過したクーラント(図2の矢印A)、及び、遠心力により砥石端面34に沿って移動(図2の矢印B)した後に外周端から振り切られたクーラントは、逃げ部31の軸方向内半部(底部33よりもスリンガ嵌合面20a側の円弧部分)に付着する。そして、逃げ部31に付着したクーラントは、内輪19aの回転による遠心力により、逃げ部31の軸方向内半部の円弧面を外径側に移動して、研削面であるスリンガ嵌合面20aの段差面30寄り近傍部分に容易に到達する。この様に、スリンガ嵌合面20aの段差面30寄り部分に十分なクーラントが供給されるので、研削割れや研削戻りを防止することができる。従って、回転砥石26aの切り込み速度を落とすことなく、内輪19aの研削加工が可能である。
本構成により、段差面30と砥石端面34の間を通過したクーラント(図2の矢印A)、及び、遠心力により砥石端面34に沿って移動(図2の矢印B)した後に外周端から振り切られたクーラントは、逃げ部31の軸方向内半部(底部33よりもスリンガ嵌合面20a側の円弧部分)に付着する。そして、逃げ部31に付着したクーラントは、内輪19aの回転による遠心力により、逃げ部31の軸方向内半部の円弧面を外径側に移動して、研削面であるスリンガ嵌合面20aの段差面30寄り近傍部分に容易に到達する。この様に、スリンガ嵌合面20aの段差面30寄り部分に十分なクーラントが供給されるので、研削割れや研削戻りを防止することができる。従って、回転砥石26aの切り込み速度を落とすことなく、内輪19aの研削加工が可能である。
尚、溝肩部24aと段差面30との間には、半径R1である円弧形状の面取りを設けており、逃げ部31への開口面積を大きくしているので、段差面30と砥石端面34との間を直接通過するクーラントの量を増やす事ができる。本実施形態は、溝肩部24aとスリンガ嵌合面20aの径方向の寸法差が小さい、或いは溝肩部24aの軸方向の寸法に余裕があり、段差面30の傾斜角θと軸受の接触角α(砥石の切り込み角)との差を大きく取れる(傾斜角θを大きくしても溝肩部24aの径方向高さを確保できる)場合に特に有効である。言い換えれば、段差面30と砥石端面34の間を直接通過(矢印Aの経路)するクーラントが、逃げ部31に到達しやすい場合に適している。
上述の様に構成する本実施形態のハブユニット軸受及びその製造方法の場合、玉が溝肩部に乗り上げるのを防止すると共に、密封性とエンコーダ出力とを確保したハブユニット軸受を、研削割れや研削戻りを防止して安価に実現する事ができる。
即ち、内輪軌道5bの溝肩部24aを大径にしているので、玉6が溝肩部24aに乗り上げるのを抑制して、玉6が損傷を受ける事を防止する事ができる。又、スリンガ13の径方向寸法を大きくできるので、密封装置及びエンコーダを小型化する必要がなく、密封性及びエンコーダ出力を確保する事ができる。
更に、小径側端面25と内輪軌道5bとスリンガ嵌合面20aの全面とを、総型の回転砥石26aにより、切り込み速度を落とす(サイクルタイムを長くする)ことなく同時に研削可能であるので、安価に内輪19aを製造する事ができる。
即ち、内輪軌道5bの溝肩部24aを大径にしているので、玉6が溝肩部24aに乗り上げるのを抑制して、玉6が損傷を受ける事を防止する事ができる。又、スリンガ13の径方向寸法を大きくできるので、密封装置及びエンコーダを小型化する必要がなく、密封性及びエンコーダ出力を確保する事ができる。
更に、小径側端面25と内輪軌道5bとスリンガ嵌合面20aの全面とを、総型の回転砥石26aにより、切り込み速度を落とす(サイクルタイムを長くする)ことなく同時に研削可能であるので、安価に内輪19aを製造する事ができる。
[第2実施形態]
図3,4は、本発明の第2実施形態を示している。本実施形態の場合、シール嵌合面20aに対して溝肩部24bの径方向高さを大きく(径差を大きく)すると共に、溝肩部24bと段差面30aとの繋ぎ目(稜部)は、円弧形状ではなく、尖った角部に形成している。又、傾斜面である段差面30aの傾斜角θaは、第1実施形態の段差面30の傾斜角θよりも小さくしている(θa<θ、θa>α)。
更に、内輪19bの軸方向内端面の内径側部分に軸方向内側に突出した膨出部35を設ける事により、内輪19bの外周面は、大径側から順番に、溝肩部24b、スリンガ嵌合面20a、膨出部35とから成る3段の段付形状に形成されている。膨出部35は、図示しないCVJ(等速ジョイント)等と当接、或は、ハブ本体18の軸方向内端の加締部に当接(不図示)して、ハブユニット軸受に予圧を付与する軸力を支承する部位であり、軸力による内輪19bの膨張の影響を緩和(軸力を膨出部35の変形で吸収する)している。
図3,4は、本発明の第2実施形態を示している。本実施形態の場合、シール嵌合面20aに対して溝肩部24bの径方向高さを大きく(径差を大きく)すると共に、溝肩部24bと段差面30aとの繋ぎ目(稜部)は、円弧形状ではなく、尖った角部に形成している。又、傾斜面である段差面30aの傾斜角θaは、第1実施形態の段差面30の傾斜角θよりも小さくしている(θa<θ、θa>α)。
更に、内輪19bの軸方向内端面の内径側部分に軸方向内側に突出した膨出部35を設ける事により、内輪19bの外周面は、大径側から順番に、溝肩部24b、スリンガ嵌合面20a、膨出部35とから成る3段の段付形状に形成されている。膨出部35は、図示しないCVJ(等速ジョイント)等と当接、或は、ハブ本体18の軸方向内端の加締部に当接(不図示)して、ハブユニット軸受に予圧を付与する軸力を支承する部位であり、軸力による内輪19bの膨張の影響を緩和(軸力を膨出部35の変形で吸収する)している。
本実施形態の場合、逃げ部31に到達したクーラントのうち、底部33よりもスリンガ嵌合面20a側のクーラントは、内輪19bの回転による遠心力により、逃げ部31の軸方向内側の円弧面を外径側に移動して、スリンガ嵌合面20aの段差面30a寄り近傍に到達する。一方、底部33よりも段差面30a側のクーラントは、内輪19bの回転による遠心力で段差面30aに沿って外径側に移動した後、溝肩部24bと段差面30aとの尖った繋ぎ目(稜部)から外径側に振り切られる(図4の矢印C)。前記稜部から飛ばされたクーラントは、回転砥石26aの砥石端面34に付着し、回転砥石26aの遠心力により砥石端面34に沿って内輪19b側に移動した後(矢印B)、回転砥石26aの外周端から飛ばされて、再び逃げ部31に到達する。この様に、矢印Aにより逃げ部31に到達したクーラントの一部は、矢印C,Bの経路により還流する。
玉6の乗り上げ防止効果を高める、或いは密封性(エンコーダ出力)を高める為には、溝肩部24bとスリンガ嵌合面20aとの径差を大きくする必要がある。本実施形態は、段差面30aの傾斜角θaと軸受の接触角α(砥石の切り込み角)を大きく取れない(傾斜角度θaを大きくすると溝肩部24bの高さが確保できない)場合に特に有効である。即ち、段差面30aと砥石端面34との間の隙間が狭く且つ深い為に、この隙間を通過するクーラントの量が制限されている場合に、砥石端面34から飛ばされて逃げ部31に到達するクーラントを、極力有効に活用する事ができる。その他の構成及び作用効果は、前述した第1実施形態と同じである。
本発明のハブユニット軸受は、車輪の回転支持に好適に適用できる。
1 ハブユニット軸受
2 外輪
3 ハブ
4a,4b 外輪軌道
5a,5b 内輪軌道
6 玉
7 保持器
8 内部空間
9 シールリング
10 組み合わせシールリング
11 シール部材
12 芯金
13 スリンガ
14 シールリング
15 円筒部
16 円輪部
17 ハブフランジ
18 ハブ本体
19、19a、19b 内輪
20、20a スリンガ嵌合面
21 シール部材
22 芯金
23 円筒部
24、24a,24b 溝肩部
25 小径側端面
26,26a 回転砥石
27 エンコーダ
30,30a 段差面(傾斜面)
31 逃げ部
32 ガイド部
33 底部
34 砥石端面
35 膨出部
2 外輪
3 ハブ
4a,4b 外輪軌道
5a,5b 内輪軌道
6 玉
7 保持器
8 内部空間
9 シールリング
10 組み合わせシールリング
11 シール部材
12 芯金
13 スリンガ
14 シールリング
15 円筒部
16 円輪部
17 ハブフランジ
18 ハブ本体
19、19a、19b 内輪
20、20a スリンガ嵌合面
21 シール部材
22 芯金
23 円筒部
24、24a,24b 溝肩部
25 小径側端面
26,26a 回転砥石
27 エンコーダ
30,30a 段差面(傾斜面)
31 逃げ部
32 ガイド部
33 底部
34 砥石端面
35 膨出部
Claims (2)
- 互いに同心に配置された外輪及び内輪と、前記外輪の内周面に設けられた外輪軌道と前記内輪の外周面に設けられた内輪軌道との間に、転動自在に設けられた複数個の転動体と、スリンガとを備え、
前記スリンガは、全体が円環状で、前記内輪の外周面の一部に設けられたスリンガ嵌合面に外嵌固定される円筒部を有しており、
前記内輪軌道に隣接する部分に、前記スリンガ嵌合面よりも大径である溝肩部を設けているハブユニット軸受に於いて、
前記溝肩部と前記スリンガ嵌合面との間に、傾斜した段差面を設け、
前記段差面と前記スリンガ嵌合面との間に、断面が円弧形状で径方向内側に凹んだ逃げ部を設けている事を特徴とするハブユニット軸受。 - 前記内輪軌道と前記スリンガ嵌合面とは、総型の回転砥石により同時に研削され、
前記段差面は、前記内輪軌道の接触角、或は前記回転砥石の切り込み角よりも大きな傾斜角を有しており、
前記スリンガ嵌合面を研削する前記回転砥石の端面の延長線は、前記逃げ部の底部よりも前記スリンガ嵌合面側で、前記逃げ部と交差する事を特徴とする請求項1に記載したハブユニット軸受の製造方法。
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JP2020085125A (ja) * | 2018-11-26 | 2020-06-04 | トヨタ自動車株式会社 | 取付構造 |
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2016
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