JP2020148283A - 等速自在継手用外側継手部材 - Google Patents

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昌矢 井上
Masaya Inoue
昌矢 井上
輝明 藤尾
Teruaki Fujio
輝明 藤尾
雅司 船橋
Masashi Funabashi
雅司 船橋
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Abstract

【課題】等速自在継手の電食を効果的に防止し得る外側継手部材を低コストに提供する。【解決手段】内径面に複数の案内溝21が設けられたカップ部5と、他部材をトルク伝達可能に連結するための連結要素23が設けられた軸部6とを備えた外側継手部材4において、カップ部5および軸部6を金属材料で一体に形成し、連結要素23を絶縁被膜Cで被覆する。【選択図】図2

Description

本発明は、例えば、自動車や各種産業機械などの動力伝達系に組み込んで使用され、駆動側と従動側の二軸間で回転動力を等速で伝達する等速自在継手の外側継手部材に関する。
周知のように、等速自在継手は、角度変位のみを許容する固定式等速自在継手と、角度変位および軸方向変位を許容する摺動式等速自在継手とに大別される。等速自在継手は、固定式であるか摺動式であるかに関わらず、カップ部および軸部を有し、カップ部の内径面に複数の案内溝が設けられた外側継手部材と、上記カップ部の内周に収容される内側継手部材やトルク伝達部材などの継手内部部品とを主要な構成部材として備える。
ところで、自動車や各種産業機械には多くの電気機器が装着されており、電源(バッテリー)や電気系統などから漏洩した電流が等速自在継手に流れ込んでくる可能性がある。例えば、図7に模式的に示すような電気自動車100、すなわち、バッテリー101から供給される電流Eによってモータ102が駆動され、その回転動力を受けて動力伝達装置としてのドライブシャフト103、さらには駆動輪(前輪)104が回転駆動される電気自動車100において、バッテリー101から供給される電流Eの一部がモータ102から漏洩すると、その漏洩電流E’は、図8に示すように、図示外の他部材(例えば、差動装置のサイドギヤ)を介してドライブシャフト103を構成する摺動式等速自在継手(図示例はトリポード型等速自在継手)110の外側継手部材111に流れ込み、以降、トルク伝達部材としてのローラ112→内側継手部材としてのトリポード部材113→中間シャフト115→固定式等速自在継手120の内側継手部材123→トルク伝達部材としてのボール122→外側継手部材121の順に流れていく。
また、図示は省略するが、例えば駆動輪に制動力を付与するためのブレーキに電動ブレーキが装着された自動車において、電動ブレーキに供給される電流の一部が漏洩すると、その漏洩電流が上記とは逆の経路を辿ってドライブシャフト内を流れるおそれがある。
上記のようにしてドライブシャフト内を漏洩電流(以下、単に「電流」という)が流れた場合には、例えば、外側継手部材と他部材との接触部や、外側継手部材(および内側継手部材)とトルク伝達部材との接触部等で発生するスパークによって電食が生じ、等速自在継手(ドライブシャフト)の耐久寿命が著しく低下するおそれがある。近年、自動車の電動化が急速に進展し、等速自在継手に電流が流れ込む可能性が増していることから、等速自在継手に適切な電食防止対策を講じることが急務となっている。
そこで、本発明者らは、等速自在継手のうち、継手外部からの電流の入力対象である外側継手部材で電流の流通を阻止するようにすれば、等速自在継手の電食を防止する上で有効であると考えた。なお、電流が外側継手部材を流通するのを阻止するための技術手段としては、例えば下記の特許文献1に開示されたものが公知である。すなわち、特許文献1には、外側継手部材に設けられる案内溝の表面を、絶縁材料としてのセラミックス材料で形成(案内溝をセラミックス被膜で被覆)することが記載されている。
実開平6−28351号公報
しかしながら、等速自在継手の運転時(外側継手部材と内側継手部材の間でのトルク伝達時)、トルク伝達部材と案内溝の表面は点接触となり、高い面圧が作用する。また、運転時にトルクは繰り返し負荷されるため、案内溝を被覆するセラミックス被膜は損傷・剥離等し易く、等速自在継手の電食を適切に防止することができない可能性がある。
上記の実情に鑑み、本発明の主な目的は、等速自在継手全体の電食を効果的に防止し得る外側継手部材を実現し、もって等速自在継手の耐久性および信頼性向上に寄与することにある。
上記の目的を達成するために創案された本願の第1発明は、内径面にトルク伝達部材の転動を案内する案内溝が複数設けられたカップ部と、カップ部の底部から軸方向外向きに延びた軸部とを備え、軸部に、他部材をトルク伝達可能に連結するための連結要素が設けられた等速自在継手用外側継手部材において、カップ部および軸部を金属材料で一体に形成し、連結要素を絶縁被膜で被覆したことを特徴とする。なお、ここでいう「連結要素」としては、軸方向に延びる凸部(歯)と凹部(歯底)が周方向に交互に形成されたスプラインやセレーションを挙げることができる。後述する本願の第2発明においても同様である。
上記のように、連結要素を絶縁被膜で被覆しておけば、他部材から外側継手部材への電流の入力を阻止することができる。これにより、外側継手部材からトルク伝達部材への電流伝達、さらにはトルク伝達部材から内側継手部材への電流伝達も当然に阻止することができるので、外側継手部材を含む等速自在継手全体の電食を効果的に防止することができる。なお、等速自在継手の運転時、連結要素には他部材から回転動力(トルク)が入力されるが、そのときの連結要素と他部材との接触は面接触となり、各部に作用する面圧は、外側継手部材と内側継手部材の間でのトルク伝達時に案内溝に作用する点接触による面圧ほど高くはならない。これにより、連結要素の変形量は、外側継手部材または内側継手部材の案内溝より大きくならないため、連結要素を被覆した絶縁被膜が剥離・損傷等する可能性は低い。このため、電流入力阻止機能を長期間に亘って安定的に維持することができる。また、上記の電食防止効果を享受可能とする絶縁被膜は、カップ部および軸部を一体に有する金属製の母材(外側継手部材)のうち、軸部に設けられる連結要素を被覆するように形成すれば足りるので、外側継手部材全体をセラミックス材料で形成するような電食防止対策を講じる場合に比べれば、電食防止対策を講じることによるコスト増を大幅に抑えることができる。
また、上記の目的を達成するために創案された本願の第2発明は、内径面にトルク伝達部材の転動を案内する案内溝が複数設けられたカップ部と、カップ部の底部から軸方向外向きに延びた軸部とを備え、軸部に、他部材をトルク伝達可能に連結するための連結要素が設けられた等速自在継手用外側継手部材において、絶縁材料で形成され、連結要素を有する軸状の第1部材と、金属材料で形成され、カップ部の筒状部を有する第2部材とが一体回転可能に連結されていることを特徴とする。なお、「カップ部の筒状部」とは、内径面に案内溝が設けられた部位である。
上記のように、連結要素を有する軸状の第1部材を絶縁材料で形成しておけば、他部材から外側継手部材への電流の入力を阻止することができる。これにより、外側継手部材からトルク伝達部材への電流伝達、さらにはトルク伝達部材から内側継手部材への電流伝達も当然に阻止することができるので、外側継手部材を含む等速自在継手全体の電食を効果的に防止することができる。また、外側継手部材を構成するカップ部の筒状部は、金属製の第2部材で構成されている関係上、上記の電食防止効果を享受可能とする第1部材は、外側継手部材の一部を構成するに過ぎないので、外側継手部材全体をセラミックス材料で形成するといった電食防止対策を講じる場合に比べ、電食防止対策を講じることによるコスト増を大幅に抑えることができる。
上記構成において、第1部材と第2部材を一体回転可能に連結するための技術手段としては、例えば、第2部材に非真円形状の孔部を設けると共に、第1部材に上記孔部に対して嵌合される非真円形状の嵌合部を設けることが考えられる。
第2発明に係る外側継手部材には、第1部材に設けた嵌合部の外径面および第2部材に設けた孔部の内壁面と軸方向で係合する係合部材をさらに設けることができる。このようにすれば、第1部材と第2部材の軸方向の相対移動を規制することができるので、等速自在継手の運転時等に外側継手部材に軸方向荷重が作用しても、第1部材と第2部材が分離する可能性を効果的に低減することができる。
以上で説明した本願の第1および第2発明は、摺動式等速自在継手の外側継手部材および固定式等速自在継手の外側継手部材の何れにも適用することができる。
以上から、本発明によれば、比較的低コストでありながら、等速自在継手の電食を効果的に防止し得る外側継手部材を実現することができる。これにより、耐久性および信頼性に富む等速自在継手を低コストに提供することが可能となる。
ドライブシャフトの一例を示す断面図である。 (a)図は、本願の第1発明の一実施形態に係る外側継手部材の正面図、(b)図は、同外側継手部材の縦断面図である。 第1発明の他の実施形態に係る外側継手部材の縦断面図である。 本願の第2発明の一実施形態に係る外側継手部材の縦断面図である。 図4に示す外側継手部材の分解斜視図である。 第2発明の他の実施形態に係る外側継手部材の縦断面図である。 電気自動車の概略図である。 従来のドライブシャフトに電流(漏洩電流)が流れる様子を説明するための図である。
以下、本発明の実施の形態を図面(図1〜図6)に基づいて説明する。
図1に、動力伝達装置の一種であるドライブシャフト1の一例を示す。このドライブシャフト1は、エンジンや電動モータ等の回転駆動源から出力される回転動力(トルク)を駆動輪に伝達するものであり、インボード側(図1の紙面右側)に配置される摺動式等速自在継手3と、アウトボード側(図1の紙面左側)に配置される固定式等速自在継手10と、両等速自在継手3,10をトルク伝達可能に連結する中間シャフト2とを備える。
図1に示す摺動式等速自在継手3はいわゆるトリポード型であり、カップ部5および軸部6を有する外側継手部材4と、カップ部5の内周に収容された内側継手部材としてのトリポード部材8と、トルク伝達部材としてのローラ7とを備える。トリポード部材8には径方向に延びる脚軸が周方向等間隔で3本設けられており、各脚軸の外周にローラ7が1個ずつ回転自在に嵌合されている。
図1に示す固定式等速自在継手10はいわゆるバーフィールド型であり、カップ部12および軸部13を有する外側継手部材11と、カップ部12の内周に収容された内側継手部材14と、カップ部12と内側継手部材14の間に複数個配置されたトルク伝達部材としてのボール15と、カップ部12の内径面と内側継手部材14の外径面の間に配置され、ボール15を保持する保持器16とを備える。この固定式等速自在継手10には、アンダーカットフリー型等、他の形式の固定式等速自在継手が用いられる場合もある。
中間シャフト2のインボード側およびアウトボード側の端部外周面には雄スプラインがそれぞれ設けられている。インボード側の雄スプライン(図示せず)は、摺動式等速自在継手3のトリポード部材8の孔部に設けられた雌スプライン(図示せず)に嵌合され、アウトボード側の雄スプラインは、固定式等速自在継手10の内側継手部材14の孔部に設けられた雌スプラインに嵌合されている。係る構成により、トリポード部材8と中間シャフト2の間、および中間シャフト2と内側継手部材14の間でトルクが伝達される。
両等速自在継手3,10の内部にはグリース等の潤滑剤が封入されている。潤滑剤の外部漏洩や継手外部からの異物侵入を防止するため、摺動式等速自在継手3の外側継手部材4と中間シャフト2の間、および固定式等速自在継手10の外側継手部材11と中間シャフト2の間には、筒状のブーツ9,17がそれぞれ装着されている。
以下、本願の第1発明を適用した外側継手部材、ここでは、摺動式等速自在継手(トリポード型等速自在継手)3の外側継手部材4について詳細に説明する。
第1発明の一実施形態に係る外側継手部材4は、図2(b)に示すように、有底筒状のカップ部5と、カップ部5の底部から軸方向外向きに延びた中実の軸部6とを備え、カップ部5および軸部6は金属材料で一体に形成されている。上記金属材料としては、加工性や焼入性が良好な炭素含有量0.20〜0.60質量%の鋼材(浸炭鋼、中炭素鋼、合金鋼など)が好ましく使用される。すなわち、外側継手部材4は、上記の金属材料からなる棒材に鍛造等の塑性加工や切削等の機械加工を施すことによって完成品形状を有する素形材を得る素形材作製工程、特に高い機械的強度や硬度が必要とされる部位(カップ部5の内径面や軸部6の外径面)に焼入れ硬化処理等を施す熱処理工程、さらには後述する絶縁被膜Cを形成する表面処理工程を順に経ることによって得られる。
軸部6の自由端側の外径面には、図示しない他部材(例えば、差動装置のサイドギヤ)をトルク伝達可能に連結するための連結要素(ここでは雄スプライン)23が形成されている。
図2(a)に示すように、カップ部5の内径面には、ローラ7の転動を案内するための案内溝21が周方向に離間した三箇所に形成されている。各案内溝21は、互いに対向する一対のローラ案内面22,22を有し、ローラ案内面22,22も含めて軸方向に延びた直線状に形成されている。本実施形態のカップ部5は、断面非真円形状、より具体的には、大径部と小径部とを周方向で交互に三つずつ配して構成される花冠状とされ、各大径部の内径面で案内溝21の溝底面が構成されている。
外側継手部材4は、連結要素23を被覆する絶縁被膜Cをさらに有する。本実施形態では、絶縁被膜Cを、軸部6の外表面のうち、連結要素23の自由端側の端部から軸部6の肩面(大径部の端面)に至って連続的に設けている。絶縁被膜Cは、例えば、絶縁性に富むセラミックス粉末(セラミックスの微粒子)を軸部6に対して噴射する、といった表面処理を施すことにより形成することができる。このようにすれば、セラミックス粒子の集合体からなる絶縁被膜(実質的にセラミックスのみからなる絶縁被膜)Cを得ることができるので、高い絶縁性を確保することができる。なお、絶縁被膜Cは、上記以外の方法、例えば、セラミックス粉末を分散させた溶媒を軸部6に塗布・乾燥することによって形成することもできる。
上記のように、連結要素23を絶縁被膜Cで被覆しておけば、他部材から外側継手部材4への電流の入力を阻止することができる。これにより、外側継手部材4からローラ7(図1参照)への電流伝達、さらにはローラ7からトリポード部材8(図1参照)への電流伝達も当然に阻止することができるので、外側継手部材4を含む等速自在継手3全体の電食を効果的に防止することができる。等速自在継手3の運転時、連結要素23には他部材から回転動力(トルク)が入力されるが、そのときに他部材と面接触する連結要素23の各部の変形量は、外側継手部材4とトリポード部材8の間でのトルク伝達時に点接触する案内溝21ほど大きくはならないため、連結要素23を被覆した絶縁被膜Cが剥離・損傷等する可能性は低い。このため、電流入力阻止機能を長期間に亘って安定的に維持することができる。
その一方、上記の電食防止効果を享受可能とする絶縁被膜Cは、カップ部5および軸部6を一体に有する金属製の母材(外側継手部材4)のうち、軸部6に設けられる連結要素23を被覆するように形成すれば足りるので、例えば外側継手部材全体をセラミックス材料で形成するといった電食防止対策を講じる場合に比べ、電食防止対策を講じることによるコスト増を大幅に抑えることができる。従って、上記の外側継手部材4は、比較的低コストでありながら、等速自在継手3の電食を効果的に防止することができる。
以上で説明した本願の第1発明は、図3に示すような外側継手部材4、すなわち、カップ部5と一体に設けられる軸部6が中空状をなし、連結要素23が軸部6の内径面(中空部の内壁面)に設けられる外側継手部材4にも同様に適用することができる。
次に、本願の第2発明の実施形態に係る外側継手部材、ここでは、図1に示す摺動式等速自在継手3に組み込んで使用可能な外側継手部材4について、図4〜図6を参照しながら詳細に説明する。すなわち、第2発明の実施形態に係る外側継手部材4は、図2に示す外側継手部材4の代替品として使用可能である。
図4に示す第2発明の一実施形態に係る外側継手部材4は、内径面に複数(ここでは3つ)の案内溝21が設けられたカップ部5と、他部材をトルク伝達可能に連結するための連結要素23が設けられた軸部6とを備える点において図2(a)(b)に示す第1発明の実施形態に係る外側継手部材4と共通するが、複数部品のアセンブリからなる点において、第1発明の実施形態に係る外側継手部材4と構成を異にしている。
すなわち、図4に示す外側継手部材4は、絶縁材料で形成され、連結要素23を有する軸状の第1部材31と、金属材料で形成され、カップ部5の筒状部(内径面に案内溝21が形成された部分)を有する第2部材32とを一体回転(トルク伝達)可能に連結したものとされる。第1部材31を形成するための絶縁材料としては、高硬度で耐熱性や耐食性に優れたセラミックスが好ましく使用され、また、第2部材32を形成するための金属材料としては、例えば、加工性や焼入性が良好な炭素含有量0.20〜0.60質量%の鋼材(浸炭鋼、中炭素鋼、合金鋼など)が好ましく使用される。
より詳細に説明すると、第2部材32は、内径面に案内溝21が設けられた筒状部32aと、底部32bとを一体に有する有底筒状に形成され、底部32bにはその両端面に開口した孔部(貫通孔)32cが設けられている。図3に示すように、孔部32c(の輪郭線)は非真円形状(ここでは正六角形状)をなす。一方、第1部材31は、連結要素23が設けられた軸部6(に相当する部分)と、上記孔部32cの形状に対応し、カップ部5の底部の一部を構成する非真円形状の嵌合部31aとを一体に有し、嵌合部31aを第2部材32の孔部32cに嵌合することで第2部材32と一体回転可能に連結されている。なお、等速自在継手3の運転時に第1部材31と第2部材32が相対回転することによるトルク伝達性能の低下を防止するため、嵌合部31aを孔部32cに対して圧入するようにしても良いし、嵌合部31aの外径面と孔部32cの内壁面との間に接着剤を介在させるようにしても良い。
上記のように、連結要素23を有する軸状の第1部材31を絶縁材料で形成しておけば、他部材から外側継手部材4への電流の入力を阻止することができる。これにより、外側継手部材4からローラ7(図1参照)への電流伝達、さらにはローラ7からトリポード部材8(図1参照)への電流伝達も当然に阻止することができるので、外側継手部材4を含む等速自在継手3全体の電食を効果的に防止することができる。その一方、外側継手部材4を構成するカップ部5の筒状部は、金属製の第2部材32で構成されている関係上、上記の電食防止効果を享受可能とする第1部材31は、外側継手部材4の一部を構成するに過ぎない。そのため、外側継手部材全体をセラミックス材料で形成するといった電食防止対策を講じる場合に比べ、電食防止対策を講じることによるコスト増を大幅に抑えることができる。従って、本願の第2発明に係る外側継手部材4は、比較的低コストでありながら、等速自在継手3の電食を効果的に防止することができる。
図4および図5に示すように、本実施形態の外側継手部材4は、第1部材31および第2部材32と軸方向で係合した係合部材33をさらに有する。
係合部材33は、周方向で有端のクリップ(いわゆるC型クリップ)で構成され、第1部材31の嵌合部31aの外径面に設けられた環状溝31bと、環状溝31bと対向するように第2部材32の孔部32cの内壁面に設けられた環状溝32dとで画成される環状の空隙に嵌合固定されている。外側継手部材4が上記の係合部材33をさらに備えていることにより、外側継手部材4の組立時に必要となる第1部材31と第2部材32の軸方向の位置決めを容易にかつ正確に行うことができ、また、外側継手部材4の組立完了後には、第1部材31と第2部材32が軸方向に相対移動するのを効果的に防止することができる。これにより、第1部材31と第2部材32を連結することで形成される外側継手部材4のトルク伝達性能を向上することができるので、等速自在継手3の信頼性を一層高めることができる。
以上で説明した本願の第2発明は、図6に示すような外側継手部材4、すなわち、軸部6が中空状をなし、連結要素23が軸部6の内径面(中空部の内壁面)に設けられる外側継手部材4にも同様に適用することができる。この場合、第1部材31は、軸部6が中空状に形成されるのに倣って中空軸状に形成される。
以上で説明した実施形態では、有底筒状をなす第2部材32の底部32bに貫通孔からなる孔部32cを設け、この孔部32に対して第1部材31に設けた嵌合部31aを嵌合するようにしたが、孔部32cは有底穴(凹状穴)に形成することも可能である。
以上では、摺動式等速自在継手3のうち、トリポード型等速自在継手の外側継手部材4に本発明(第1および第2発明)を適用した場合について説明したが、本発明は、他の形式の摺動式等速自在継手、例えばダブルオフセット型等速自在継手やクロスグルーブ型等速自在継手の外側継手部材に適用することも可能である。さらに、本発明は、摺動式等速自在継手の外側継手部材のみならず、固定式等速自在継手の外側継手部材(例えば、図1に示すバーフィールド型等速自在継手10の外側継手部材11や、アンダーカットフリー型等速自在継手の外側継手部材)に適用することも可能である。
本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得る。すなわち、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
3 摺動式等速自在継手
4 外側継手部材
5 カップ部
6 軸部
7 ローラ(トルク伝達部材)
10 固定式等速自在継手
11 外側継手部材
21 案内溝
23 連結要素
31 第1部材
31a 嵌合部
32 第2部材
32a 筒状部
32b 底部
32c 孔部
33 係合部材
C 絶縁被膜

Claims (4)

  1. 内径面にトルク伝達部材の転動を案内する案内溝が複数設けられたカップ部と、該カップ部の底部から軸方向外向きに延びた軸部とを備え、該軸部に、他部材をトルク伝達可能に連結するための連結要素が設けられた等速自在継手用外側継手部材において、
    前記カップ部および前記軸部を金属材料で一体に形成し、前記連結要素を絶縁被膜で被覆したことを特徴とする等速自在継手用外側継手部材。
  2. 内径面にトルク伝達部材の転動を案内する案内溝が複数設けられたカップ部と、該カップ部の底部から軸方向外向きに延びた軸部とを備え、該軸部に、他部材をトルク伝達可能に連結するための連結要素が設けられた等速自在継手用外側継手部材において、
    絶縁材料で形成され、前記連結要素を有する軸状の第1部材と、金属材料で形成され、前記カップ部の筒状部を有する第2部材とが一体回転可能に連結されていることを特徴とする等速自在継手用外側継手部材。
  3. 前記第2部材に非真円形状の孔部が設けられ、該孔部に対して前記第1部材に設けた非真円形状の嵌合部を嵌合することにより、前記第1部材と前記第2部材とが一体回転可能に連結されている請求項2に記載の等速自在継手用外側継手部材。
  4. 前記嵌合部の外径面および前記孔部の内壁面と軸方向で係合した係合部材をさらに備える請求項3に記載の等速自在継手用外側継手部材。
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