JP2017166576A - 等速自在継手 - Google Patents

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【課題】スプラインの形状が単純形状で加工性に優れ、しかも、内側継手部材とシャフトとの間に円周方向ガタが生じにくく、内側継手部材及びシャフトの強度低下を招きにくい等速自在継手を提供する。【解決手段】内側継手部材の雌スプラインに、内側継手部材の薄肉部に対応する薄肉部対応部位と内側継手部材の厚肉部に対応する厚肉部対応部位とを有する。薄肉部対応部位のうち少なくとも最小薄肉部対応範囲のスプライン歯隙寸法を厚肉部対応部位乃至他の薄肉部対応部位のスプライン歯隙寸法を相違させる。最小薄肉部対応範囲のスプライン歯隙寸法を厚肉部対応部位乃至他の薄肉部対応部位のスプライン歯隙寸法よりも大きく設定した。【選択図】図1

Description

本発明は、自動車や各種産業機械などの動力伝達部に使用される等速自在継手に関する。
自動車のエンジンから車輪に回転力を等速で伝達するドライブシャフトやプロペラシャフト等に組み込まれる等速自在継手には、固定式等速自在継手と摺動式等速自在継手がある。自動車のエンジンから駆動車輪に動力を伝達するドライブシャフトは、デフと車輪との相対的な位置関係の変化による角度変位と軸方向変位に対応する必要があるため、一般的にデフ側(インボード側)に角度変位と軸方向変位に対応できる摺動式等速自在継手を用い、駆動車輪側(アウトボード側)に大きな作動角がとれる固定式等速自在継手を用いる。すなわち、ドライブシャフトは、両等速自在継手をシャフトで連結した構造を有する。
固定式等速自在継手は、例えば、内球面に複数のトラック溝が円周方向等間隔に軸方向に沿って形成された外側継手部材と、外球面に外側継手部材のトラック溝と対をなす複数のトラック溝が円周方向等間隔に軸方向に沿って形成された内側継手部材と、外側継手部材のトラック溝と内側継手部材のトラック溝との間に介在してトルクを伝達する複数のボールと、外側継手部材の内球面と内側継手部材の外球面との間に介在してボールを保持するケージとを備えている。
また、摺動式等速自在継手には、例えば、内周に軸線方向に延びる3本のトラック溝を設けると共に各トラック溝の内側壁に互いに対向するローラ案内面を設けた外側継手部材と、三本の脚軸を有する内側継手部材としてのトリポード部材と、前記脚軸に回転自在に支持されるとともに前記外側継手部材のトラック溝に転動自在に挿入されたローラとを備えたトリポードタイプがある。
そして、固定式等速自在継手であっても、摺動式等速自在継手であっても、内側継手部材の軸孔の内径面には雌スプラインが形成され、この内側継手部材の軸孔に、端部に雄スプラインが形成されたシャフトが嵌入されて、シャフトの雄スプラインと内側継手部材の雌スプラインとがスプライン嵌合する。
ところで、近年の自動車においては、騒音、振動等のNVH(Noise Vibration Harshness)対策として、また、自動車の走行応答性の観点から、動力伝達系の各結合部の円周方向ガタを詰めることが重要視されている。そのため、ドライブシャフトにおいては、等速自在継手の内側継手部材とシャフトのスプライン嵌合部は締め代とすることが望ましい。ところが、締め代が大きくなり過ぎると、スプライン嵌合時の圧入力の増大、スプライン部のむしれや過大な応力集中が発生し、シャフトあるいは内側継手部材の強度低下を招くおそれが生じる。
特に、トリポードタイプの内側継手部材であるトラニオン(トリポード部材)の場合、脚軸の形成部位における径方向の肉厚が厚く、脚軸間の円筒部位における径方向の肉厚が薄い。そのため、トリポード部材の熱処理において、焼入れ後の冷却過程で素材の収縮量がボス部の周方向で均一にならず、収縮量の大きい円筒部位の内径面が脚軸の形成部位の内径面より数十μm程度大きく内方に変形し、スプラインがおむすび形に変形する。それに捩れ角を付与したシャフトを嵌合させると、締め代が大きい部位と小さい部位とが発生し、その締め代が大きい部位は、トラニオンの薄肉部である。したがって、薄肉部に大きな締め代による応力集中が掛かりトラニオン強度低下を招く。
そこで、従来には、トリポードタイプの摺動式等速自在継手において、トラニオンのボス部の円筒部の内径面に、一部に欠歯部を有する雌スプラインを設けたものがある(特許文献1)。この場合、トルク伝達時にこの部位に応力がかからないように設定し、耐久性の向上を図っている。
また、歯面にクラウニングが施されるスプラインを形成したものがある(特許文献2)。この場合、クラウニングトップをシャフトと内側継手部材との嵌合部位に回転トルクが付与された際に、応力が最小となる位置に設けるようにしている。これによって、スプライン歯の所定の部分に応力が集中することを抑制するようにしている。
さらには、トリポード部材が熱処理により変形した場合であっても、シャフトとトリポード部材との良好なスプライン嵌合が得られるようにしたものがある(特許文献3)。この場合、トリポード部材の軸孔は、熱処理により変形した内径形状を有し、シャフトのスプラインを軸孔の内径形状と合致した外径形状に成形するものである。
実開平5−1028号公報 特開2001−287122号公報 特開2007−24266号公報
前記特許文献1に記載のものでは、スプラインの歯数が減少するので、残りのスプライン歯の応力が上昇し、残りのスプライン歯に対する耐久性に問題が生じるおそれがある。また、特許文献2に記載のものでは、スプラインの歯の形状が複雑化して生産性に劣る。特に、特許文献3に記載のものでは、トラニオン(トリポード部材)の軸孔が熱処理変形により、おむすび形に変形した形状に合わせて、シャフトのスプライン外径形状も合致させるようにしているため、形状が複雑で加工が難しく生産性に劣る。
そこで、本発明は、スプラインの形状が単純形状で加工性に優れ、しかも、内側継手部材とシャフトとの間に円周方向ガタが生じにくく、内側継手部材及びシャフトの強度低下を招きにくい等速自在継手を提供する。
本発明の第1の等速自在継手は、外側継手部材と、内側継手部材と、外側継手部材と内側継手部材との間に介在されるトルク伝達部材とを備え、前記内側継手部材の軸孔の内径面には雌スプラインが形成され、この内側継手部材の軸孔に、端部に雄スプラインが形成されたシャフトが嵌入されて、シャフトの雄スプラインと内側継手部材の雌スプラインとがスプライン嵌合する等速自在継手であって、内側継手部材の雌スプラインが、内側継手部材の薄肉部に対応する薄肉部対応部位と内側継手部材の厚肉部に対応する厚肉部対応部位とを有し、薄肉部対応部位のうち少なくとも最小薄肉部対応範囲のスプライン歯隙寸法を厚肉部対応部位乃至他の薄肉部対応部位のスプライン歯隙寸法よりも大きく設定したものである。
本発明の等速自在継手によれば、最小薄肉部対応範囲のスプライン歯隙寸法を厚肉部対応部位乃至他の薄肉部対応部位のスプライン歯隙寸法よりも大きく設定したので、最弱部位の応力緩和を図れ、強度を確保することができる。
最小薄肉部対応範囲のスプライン歯隙寸法をL2とし、厚肉部対応部位乃至他の薄肉部対応部位のスプライン歯隙寸法をL1としたときに、L2−L1=10μm〜100μmに設定することができる。L2−L1がこの範囲よりも大きいと歯隙が大きい部位ではシャフトの歯と接触できず、トルク伝達する歯数が減って強度低下を招くことになる。逆に、L2−L1がこの範囲よりも小さいと、応力緩和効果が発揮されない。
本発明の第2の等速自在継手は、外側継手部材と、内側継手部材と、外側継手部材と内側継手部材との間に介在されるトルク伝達部材とを備え、前記内側継手部材の軸孔の内径面には雌スプラインが形成され、この内側継手部材の軸孔に、端部に雄スプラインが形成されたシャフトが嵌入されて、シャフトの雄スプラインと内側継手部材の雌スプラインとがスプライン嵌合する等速自在継手であって、シャフトの雄スプラインが、内側継手部材の薄肉部に対応する薄肉部対応部位と内側継手部材の厚肉部に対応する厚肉部対応部位とを有し、薄肉部対応部位のうち少なくとも最小薄肉部対応範囲のスプライン歯厚寸法を厚肉部対応部位乃至他の薄肉部対応部位のスプライン歯厚寸法よりも小さく設定したものである。
最小薄肉部対応範囲のスプライン歯厚寸法を厚肉部対応部位乃至他の薄肉部対応部位のスプライン歯厚寸法よりも小さく設定したので、最弱部位の応力緩和を図れ、強度を確保することができる。
最小薄肉部対応範囲のスプライン歯厚寸法をL5とし、厚肉部対応部位乃至他の薄肉部対応部位のスプライン歯厚寸法をL4としたときに、L4−L5=10μm〜100μmに設定することができる。L4−L5がこの範囲よりも大きいと歯隙が大きい部位ではシャフトの歯と接触できず、トルク伝達する歯数が減って強度低下を招くことになる。逆に、L4−L5がこの範囲よりも小さいと、応力緩和効果が発揮されない。
前記シャフトに捩れ角が付与されているのが好ましい。
等速自在継手として、前記内側継手部材が三本の脚軸を有するトリポード部材にて構成されるとともに、前記トルク伝達部材がトリポード部材の脚軸に回転自在に支持されるローラにて構成されるトリポードタイプの摺動式とすることができる。
この場合、前記内側継手部材を構成するトリポード部材は、内径面に雌スプラインが形成された円筒ボス部と、この円筒ボス部から外径方向に突出する前記脚軸を有し、前記内側継手部材の厚肉部がトリポード部材の脚軸配設部であり、前記内側継手部材薄肉部がトリポード部材の脚軸非配設部である。
前記トルク伝達部材がボールにて構成される固定式とすることができる。
この場合、内側継手部材の外径面にトラック溝が形成され、前記内側継手部材の厚肉部が、周方向に隣合うトラック溝間対応部位であり、前記内側継手部材薄肉部がトラック溝対応部位である。
本発明では、最弱部位の応力緩和を図れ、強度を確保することができ、長期にわたって安定した嵌合状態を維持でき、等速自在継手としても長寿命化を達成できる。
特に、シャフトに捩れ角を付与することによって、スプライン嵌合の周方向ガタを無くすことができ、安定したトルク伝達を行うことができる。
本発明のトリポードタイプの摺動式等速自在継手のトラニオン(トリポード部材)の正面図である。 図1に示すトリポード部材の要部拡大図である。 図1に示すトリポード部材を用いた摺動式等速自在継手の縦断面図である。 図3に示す摺動式等速自在継手の横断面図である。 図1に示すトリポード部材の雌スプラインに嵌合する雄スプラインが形成されたシャフトの要部拡大断面図である。 本発明のボールタイプの固定式等速自在継手の断面図である。 図6に示す固定式等速自在継手の内側継手部材の正面図である。 図6に示す内側継手部材の要部拡大図である。 図6に示す内側継手部材の雌スプラインに嵌合する雄スプラインが形成されたシャフトの要部拡大断面図である。 雄スプラインに薄肉部対応部位と厚肉部対応部位とを有するシャフトの断面図である。 図9に示すシャフトの要部拡大断面図である。 他のシャフトの要部拡大断面図である。
以下本発明の実施の形態を図1〜図11に基づいて説明する。図3と図4とは本発明に係る摺動式等速自在継手を示している。この摺動式等速自在継手はトリポードタイプであり、内周に軸線方向に延びる三本のトラック溝1を設けた外側継手部材2と、半径方向に突出した3つの脚軸3を備えた内側継手部材としてのトリポード部材4と、前記脚軸3に回転自在に支持されると共に外側継手部材のトラック溝1に転動自在に挿入されたトルク伝達手段としてのローラ5とを備える。
この場合、ローラ5は脚軸3の外径面に周方向に沿って配設される複数の針状ころ6を介して外嵌されている。脚軸3の外周面は針状ころ6の内側転動面を構成し、ローラ5の内周面は針状ころ6の外側転動面を構成している。複数の針状ころ6は、脚軸3の外周面とローラ5の内周面との間に総ころ状態で配設されている。
これら針状ころ6は、脚軸3の付け根部に外嵌されたインナワッシャ10と半径方向内側で接すると共に、脚軸3の先端部に外嵌されたアウタワッシャ11と半径方向外側で接している。このアウタワッシャ11は、脚軸3の先端部に形成された環状溝12に丸サークリップ等の止め輪13を嵌合させることにより抜け止めされている。
また、トリポード部材4は、ボス部7と、このボス部7から径方向に伸びる前記脚軸3とからなる。トリポード部材(トラニオン)4のボス部7の軸孔15には雌スプライン16が設けられている。そして、この軸孔15に、端部に雄スプライン17が形成されたシャフト18が嵌入され、雄スプライン17と雌スプライン16とが嵌合する。雄スプライン17の端部には周方向溝19が設けられ、この周方向溝19に止め輪20が装着されている。
ところで、外側継手部材2は一端にて開口したカップ状のマウス部21と、このマウス部の底壁から突設され軸部22とを有し、マウス部21の内周の円周方向三等分位置に軸方向に延びるトラック溝1が形成してある。マウス部21は、図4に示すように、横断面で見ると、大径部21aと小径部21bが交互に現れる非円筒形状である。すなわち、マウス部21は、大径部21aと小径部21bとを形成することによって、その内周面に、軸方向に延びる3本の前記トラック溝1が形成される。各トラック溝1の円周方向で向き合った側壁にローラ案内面(ローラ摺接面)1a,1bが形成される。
ところで、この内側継手部材(トリポード部材4)には、図1に示すように、薄肉部25と厚肉部26とが形成される。薄肉部25は図1に示すH1の範囲であり、厚肉部26は図1に示すH2の範囲である。すなわち、範囲H1(薄肉部25)がトリポード部材の脚軸非配設部であり、範囲H2(厚肉部26)がトリポード部材4の脚軸配設部であり、前記内側継手部材薄肉部がトリポード部材4の脚軸非配設部である。
そのため、トリポード部材4の雌スプライン16に、内側継手部材4の薄肉部25に対応する薄肉部対応部位27と内側継手部材4の厚肉部26に対応する厚肉部対応部位28とを有することになる。この場合、図2に示すように、脚軸3の付け根部3aと雌スプライン16までの部位の肉厚Bが一番小さい。そこで、薄肉部対応部位27において、この部位の対応する範囲H3(この場合、脚軸3が周方向に沿って120°ピッチで設けられるため、6か所に形成される)が最小薄肉部対応範囲となる。
そこで、図2に示すように、この最小薄肉部対応範囲H3におけるスプライン歯隙S2の歯隙寸法L2を、厚肉部対応部位28乃至他の薄肉部対応部位27のスプライン歯隙S1の歯隙寸法L1よりも大きく設定している。このため、この実施形態では、範囲H3外の薄肉部対応部位27であっても、スプライン歯隙S2の歯隙寸法をL1としている。なお、図2において、最小肉厚対応範囲H3に他の薄肉部対応部位の形状を破線で示し、L1とL2の大小関係を示している。
すなわち、雌スプライン16は、軸方向に延びる凹歯30と軸方向に延びる凸歯31とが交互に周方向に沿って形成されたものである。また、凹歯30と凸歯31とはそれぞれその断面形状が台形形状であり、前記スプライン歯隙とは、ピッチ(PCD)上のピッチ点P,P間の隙間をいう。なお、図2において、Cはピッチ円を示している。
この場合、トリポード部材4の熱処理変形量としては、数十ミクロン程度であるため、薄肉部対応部位27の内の最小薄肉部対応範囲H3のスプライン歯隙寸法をL2とし、厚肉部対応部位28乃至他の薄肉部対応部位27のスプライン歯隙寸法をL1としたときに、これらの差、つまり、(L2−L1)が数十ミクロン程度(0.1mm以下)とするのが好ましく、特に、L2−L1=10μm〜100μmに設定するのが好ましい。なお、この実施形態では、最小薄肉部対応範囲H3内に2つの凹歯30,30が入っている。
ところで、前記したように、トリポード部材4の軸孔15に、端部に雄スプライン17が形成されたシャフト18が嵌入されるが、この場合の雄スプライン17は、図5に示すように、軸方向に延びる凹歯32と軸方向に延びる凸歯33とが交互に周方向に沿って形成されたものである。また、凹歯32と凸歯33とはそれぞれその断面形状が台形形状である。この場合、スプライン歯厚寸法(ピッチ点P,P間寸法)には、前記凸歯33において同一に設定されている。そして、スプライン嵌合の周方向ガタを無くすために、シャフト18に捩れ角が付与されている。
このため、前記等速自在継手によれば、最小薄肉部対応範囲H3におけるスプライン歯隙S2の歯隙寸法L2を、厚肉部対応部位28乃至他の薄肉部対応部位27のスプライン歯隙S1の歯隙寸法L1よりも大きく設定したので、最弱部位の応力緩和を図れ、強度を確保することができる。これによって、長期にわたって安定した嵌合状態を維持でき、等速自在継手としても長寿命化を達成できる。
シャフト18に捩れ角が付与されているので、スプライン嵌合の周方向ガタを無くすことができ、安定したトルク伝達を行うことができる。なお、この捩れ角としては、スプライン嵌合の周方向ガタを無くす程度の角度に設定でき、歯形状やピッチ等に応じて種々変更できる。
薄肉部対応部位27の内の最小薄肉部対応範囲H3のスプライン歯隙寸法をL2とし、厚肉部対応部位28乃至他の薄肉部対応部位27のスプライン歯隙寸法をL1としたときに、L2−L1=10μm〜100μmに設定しているので、応力緩和効果を発揮しつつ、トルク伝達する歯数が有効に確保できて強度低下を招くことがない。すなわち、L2−L1がこの範囲よりも大きいと歯隙が大きい部位ではシャフトの歯と接触できず、トルク伝達する歯数が減って強度低下を招くことになる。逆に、L2−L1がこの範囲よりも小さいと、応力緩和効果が発揮されない。
次に図6はトルク伝達部材としてボールを用いた固定式等速自在継手である。この等速自在継手は、内球面(内径面)41に複数のトラック溝42が円周方向等間隔に軸方向に沿って形成された外側継手部材43と、外球面(外径面)44に外側継手部材43のトラック溝42と対をなす複数のトラック溝45が円周方向等間隔に軸方向に沿って形成された内側継手部材46と、外側継手部材43のトラック溝42と内側継手部材46のトラック溝45との間に介在してトルクを伝達する複数のボール47と、外側継手部材43の内球面41と内側継手部材46の外球面44との間に介在してボール47を保持するケージ48とを備えている。ケージ48には、ボール47が収容されるポケット48aが周方向に沿って複数配設されている。
内側継手部材46はシャフト嵌入用孔部(軸孔)49が設けられ、この軸孔49の内径面に雌スプライン50が形成されている。内側継手部材46の軸孔49にシャフト55の雄スプライン51が嵌入され、この雄スプライン51が内側継手部材46の雌スプライン50に嵌合する。なお、雄スプライン51の端部には周方向溝52が設けられ、この周方向溝52に止め輪53が装着されている。
この雌スプライン50も図8に示すように、軸方向に延びる凹歯56と軸方向に延びる凸歯57とが交互に周方向に沿って形成されたものである。また、凹歯56と凸歯57とはそれぞれその断面形状が台形形状である。シャフト55の雄スプライン51は、図9に示すように、軸方向に延びる凹歯58と軸方向に延びる凸歯59とが交互に周方向に沿って形成されたものである。また、凹歯58と凸歯59とはそれぞれその断面形状が台形形状である。
この場合も、内側継手部材46には、図7に示すように、薄肉部60と厚肉部61とがある。薄肉部60は図7に示すH1の範囲であり、厚肉部61は図7に示すH2の範囲である。すなわち、範囲H1(薄肉部60)がトラック溝45に対応するトラック溝対応部位であり、範囲H2(厚肉部61)が周方向に隣り合うトラック溝45,45の間のトラック溝間対応部位である。
このため、内側継手部材46の雌スプライン50に、内側継手部材46の薄肉部60に対応する薄肉部対応部位62と内側継手部材46の厚肉部61に対応する厚肉部対応部位63とを有する構成としている。この場合、図8に示すように、トラック溝45の溝底から雌スプライン50までの部位の肉厚Bが一番小さい。このため、この部位に対応する範囲H3(この場合、6か所に形成される)が、薄肉部対応部位62が最小薄肉部対応範囲H3となる。このように、トラック溝45の溝底においては、肉厚がきわめて小さく設定される。このため、高作動角時ではこの部位を起点として破損するおそれがある。
そこで、この実施形態では図8に示すように、この最小薄肉部対応範囲H3の凹歯56のスプライン歯隙寸法L2を、厚肉部対応部位63乃至他の薄肉部対応部位62のスプライン歯隙寸法L1よりも大きく設定している。また、シャフト55における雄スプライン51も図5に示す前記シャフト18の雄スプライン17と同様、軸方向に延びる凹歯32と軸方向に延びる凸歯33とが交互に周方向に沿って形成されたものである。この場合も、スプライン歯厚寸法(ピッチ点P,P間寸法)には、前記凸歯33において同一に設定されている。そして、このシャフト18には、スプライン嵌合の周方向ガタを無くすために、シャフト18に捩れ角が付与されている。
そして、薄肉部対応部位62の最小薄肉部対応範囲H3のスプライン歯隙寸法をL2とし、厚肉部対応部位63乃至他の薄肉部対応部位62のスプライン歯隙寸法をL1としたときに、L2−L1=10μm〜100μmに設定するのが好ましい。なお、図8において、最小肉厚対応範囲H3に他の薄肉部対応部位の形状を破線で示し、L1とL2の大小関係を示している。
従って、この等速自在継手においても、最弱部位の応力緩和を図れ、強度を確保することができる。これによって、長期にわたって安定した嵌合状態を維持でき、等速自在継手としても長寿命化を達成できる。シャフト55に捩れ角が付与されているので、スプライン嵌合の周方向ガタを無くすことができ、安定したトルク伝達を行うことができる。
L2−L1=10μm〜100μmに設定することによって、応力緩和効果を発揮しつつ、トルク伝達する歯数が有効に確保できて強度低下を招くことがない。
ところで、図1に示すトリポードタイプの摺動式等速自在継手では、内側継手部材4の雌スプライン16において、最小薄肉部対応範囲H3におけるスプライン歯隙S2の歯隙寸法L2を、厚肉部対応部位28乃至他の薄肉部対応部位27のスプライン歯隙S1の歯隙寸法L1よりも大きく設定したものであった。
これに対して、図10及び図11に示すように、シャフト18の雄スプライン17において、内側継手部材4の薄肉部25に対応する薄肉部対応部位72と内側継手部材の厚肉部に対応する厚肉部対応部位73とを有し、薄肉部対応部位72のうち少なくとも最小薄肉部対応範囲H4のスプライン歯厚寸法を厚肉部対応部位73乃至他の薄肉部対応部位72のスプライン歯厚寸法を相違させるものであってもよい。この場合、最小薄肉部対応範囲H4のスプライン歯厚寸法を厚肉部対応部位73乃至他の薄肉部対応部位72のスプライン歯厚寸法よりも小さく設定する。
薄肉部対応部位72の最小薄肉部対応範囲H4のスプライン歯厚寸法をL5とし、厚肉部対応部位73乃至他の薄肉部対応部位72のスプライン歯厚寸法をL4としたときに、L4−L5=10μm〜100μmに設定するのが好ましい。なお、図11において、最小肉厚対応範囲H4に他の薄肉部対応部位の形状を破線で示し、L4とL5の大小関係を示している。
この場合、内側継手部材4において、各凹歯30のスプライン歯隙寸法(ピッチ点P,P間寸法)L6(図11参照)には、前記スプライン歯隙において同一に設定されている。また、スプライン嵌合の周方向ガタを無くすために、シャフト18に捩れ角が付与されている。
このため、シャフト18の雄スプライン16において、薄肉部対応部位72の最小薄肉部対応範囲H4のスプライン歯厚寸法を厚肉部対応部位73乃至他の薄肉部対応部位72のスプライン歯厚寸法よりも小さく設定したものであっても、最弱部位の応力緩和を図れ、強度を確保することができる。これによって、長期にわたって安定した嵌合状態を維持でき、等速自在継手としても長寿命化を達成できる。
シャフト18に捩れ角が付与されているので、スプライン嵌合の周方向ガタを無くすことができ、安定したトルク伝達を行うことができる。特に、薄肉部対応部位72の最小薄肉部対応範囲H3のスプライン歯厚寸法をL5とし、厚肉部対応部位73乃至他の薄肉部対応部位72のスプライン歯厚寸法をL4としたときに、L4−L5=10μm〜100μmに設定することによって、応力緩和効果を発揮しつつ、トルク伝達する歯数が有効に確保できて強度低下を招くことがない。
また、図6に示す固定式等速自在継手であっても、シャフト55の雄スプライン51において、図12に示すように、内側継手部材46の薄肉部60(図7参照)に対応する薄肉部対応部位72と内側継手部材の厚肉部61(図7参照)に対応する厚肉部対応部位73とを有し、薄肉部対応部位72のうち少なくとも最小薄肉部対応範囲H4のスプライン歯厚寸法を厚肉部対応部位73乃至他の薄肉部対応部位72のスプライン歯厚寸法を相違させるものであってもよい。この場合、最小薄肉部対応範囲H4のスプライン歯厚寸法を厚肉部対応部位73乃至他の薄肉部対応部位72のスプライン歯厚寸法よりも小さく設定するようにしてもよい。
この場合も、薄肉部対応部位72の最小薄肉部対応範囲H4のスプライン歯厚寸法をL5とし、厚肉部対応部位73乃至他の薄肉部対応部位72のスプライン歯厚寸法をL4としたときに、L4−L5=10μm〜100μmに設定するのが好ましい。
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、スプラインの凸歯の形状として、台形形状以外の矩形形状や、すそ側が凹アールとされた台形形状等の種々の形状のものを採用でき、凸歯の数、周方向配設ピッチ等を任意に設定できる。また、図1では、スプライン歯隙寸法を大きくしているのが、一つ薄肉部対応部位に対して2個の凹歯であり、図6では、スプライン歯隙寸法を大きくしているのが、一つ薄肉部対応部位に対して1個の凹歯であったが、応力緩和効果を発揮しつつ、トルク伝達する歯数が有効に確保できて強度低下を招くことがない範囲で、その数の変更は任意である。また、図9及び図10では、スプライン歯厚寸法を小さくしているのが、一つの薄肉部対応部位に対して2個の凸歯であったが、この場合も、応力緩和効果を発揮しつつ、トルク伝達する歯数が有効に確保できて強度低下を招くことがない範囲で、その数の変更は任意である。
等速自在継手として、アンダーカットフリータイプやバーフィールドタイプの固定式等速自在継手であっても、トリポードタイプ(シングルローラ、ダブルローラ)、ダブルオフセットタイプ、クロスグルーブタイプ等の摺動式等速自在継手であってもよい。
2 外側継手部材
3 脚軸
4 トリポード部材(内側継手部材)
5 ローラ
15 軸孔
16 雌スプライン
17 雄スプライン
18 シャフト
19 周方向溝
25 薄肉部
26 厚肉部
27 薄肉部対応部位
28 厚肉部対応部位
42 トラック溝
43 外側継手部材
45 トラック溝
46 内側継手部材
47 ボール
49 軸孔
50 雌スプライン
51 雄スプライン
55 シャフト
60 薄肉部
61 厚肉部
62,72 薄肉部対応部位
63,73 厚肉部対応部位
H3、H4 最小薄肉部対応範囲
L1 スプライン歯隙寸法
L2 スプライン歯隙寸法
L4 スプライン歯厚寸法
L5 スプライン歯厚寸法

Claims (9)

  1. 外側継手部材と、内側継手部材と、外側継手部材と内側継手部材との間に介在されるトルク伝達部材とを備え、前記内側継手部材の軸孔の内径面には雌スプラインが形成され、この内側継手部材の軸孔に、端部に雄スプラインが形成されたシャフトが嵌入されて、シャフトの雄スプラインと内側継手部材の雌スプラインとがスプライン嵌合する等速自在継手であって、
    内側継手部材の雌スプラインが、内側継手部材の薄肉部に対応する薄肉部対応部位と内側継手部材の厚肉部に対応する厚肉部対応部位とを有し、薄肉部対応部位のうち少なくとも最小薄肉部対応範囲のスプライン歯隙寸法を厚肉部対応部位乃至他の薄肉部対応部位のスプライン歯隙寸法よりも大きく設定したことを特徴とする等速自在継手。
  2. 最小薄肉部対応範囲のスプライン歯隙寸法をL2とし、厚肉部対応部位乃至他の薄肉部対応部位のスプライン歯隙寸法をL1としたときに、L2−L1=10μm〜100μmに設定したことを特徴とする請求項1に記載の等速自在継手。
  3. 外側継手部材と、内側継手部材と、外側継手部材と内側継手部材との間に介在されるトルク伝達部材とを備え、前記内側継手部材の軸孔の内径面には雌スプラインが形成され、この内側継手部材の軸孔に端部に雄スプラインが形成されたシャフトが嵌入されて、シャフトの雄スプラインと内側継手部材の雌スプラインとがスプライン嵌合する等速自在継手であって、
    シャフトの雄スプラインが、内側継手部材の薄肉部に対応する薄肉部対応部位と内側継手部材の厚肉部に対応する厚肉部対応部位とを有し、薄肉部対応部位のうち少なくとも最小薄肉部対応範囲のスプライン歯厚寸法を厚肉部対応部位乃至他の薄肉部対応部位のスプライン歯厚寸法よりも小さく設定したことを特徴とする等速自在継手。
  4. 最小薄肉部対応範囲のスプライン歯厚寸法をL5とし、厚肉部対応部位乃至他の薄肉部対応部位のスプライン歯厚寸法をL4としたときに、L4−L5=10μm〜100μmに設定したことを特徴とする請求項3に記載の等速自在継手。
  5. 前記シャフトに捩れ角が付与されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の等速自在継手。
  6. 前記内側継手部材が三本の脚軸を有するトリポード部材にて構成されるとともに、前記トルク伝達部材がトリポード部材の脚軸に回転自在に支持されるローラにて構成されるトリポードタイプの摺動式であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の等速自在継手。
  7. 前記内側継手部材を構成するトリポード部材は、内径面に雌スプラインが形成された円筒ボス部と、この円筒ボス部から外径方向に突出する前記脚軸を有し、前記内側継手部材の厚肉部がトリポード部材の脚軸配設部であり、前記内側継手部材薄肉部がトリポード部材の脚軸非配設部であることを特徴とする請求項6に記載の等速自在継手。
  8. 前記トルク伝達部材がボールにて構成される固定式であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の等速自在継手。
  9. 内側継手部材の外径面にトラック溝が形成され、前記内側継手部材の厚肉部が、周方向に隣合うトラック溝間対応部位であり、前記内側継手部材薄肉部がトラック溝対応部位であることを特徴とする請求項8に記載の等速自在継手。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023189289A1 (ja) * 2022-03-30 2023-10-05 Ntn株式会社 トリポード型等速自在継手

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