JP2020148067A - 梁補強金具および梁補強構造 - Google Patents

Abstract

【課題】 梁に設けられた貫通孔に傾きなく溶接できる梁補強金具および梁補強構造を提供する。【解決手段】 梁補強金具１は、フランジ部５と、フランジ部５の一方の側に突出して貫通孔１７に挿入される筒状の本体部３とを有する。フランジ部５は、本体部３に向かって外径が縮径するテーパ形状を有する。梁補強構造１０では、梁補強金具１の本体部３が貫通孔１７に挿入されてウェブ１５の背面１５ｂ側に突出し、フランジ部５のテーパ形状が貫通孔１７の縁部と接触した状態で、フランジ部５がウェブ１５に溶接される。【選択図】図４

Description

本発明は、建築構造物を構成し、貫通孔を有する梁を補強するための梁補強金具および梁補強構造に関するものである。

従来、建築構造物の梁には配管や配線を通すために貫通孔が形成されることがある。この場合、貫通孔により、梁の曲げ耐力が低下する。この梁の曲げ耐力低下を防ぐため梁に梁補強金具を接合し、梁の補強を行っている。

このような梁補強金具としては、例えば、リング状の部材であって、梁に形成された貫通孔に接合する梁補強金具がある（例えば特許文献１、２）。

特開２００９−１６７６１５号公報 特開２０１６−１４２３４号公報

従来のリング状の梁補強金具では、貫通孔への挿入部（本体部）をテーパ形状とすることがある。挿入部をテーパ形状とする場合、挿入部とその一方の側に設けたフランジ部とで梁補強金具を構成したり、フランジを設けず挿入部のみで梁補強金具を構成したりする。このうち後者の梁補強金具では、貫通孔に固定する際に挿入部の外周面を貫通孔の縁部に接触させて位置決めを行う。そのため、貫通孔の軸方向に対して挿入部の軸方向が傾いた状態で梁補強金具の位置決めが成されて貫通孔に溶接される可能性がある。

本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、梁に設けられた貫通孔に傾きなく溶接できる梁補強金具および梁補強構造を提供することを目的とする。

前述した目的を達成するため、第１の発明は、ウェブに貫通孔が形成された梁を補強するための梁補強金具であって、フランジ部と、前記フランジ部の一方の側に突出して前記貫通孔に挿入される筒状の本体部と、を具備し、前記フランジ部は、前記本体部に向かって外径が縮径するテーパ形状を有することを特徴とする梁補強金具である。

第１の発明の梁補強金具は、フランジ部が本体部に向かって外径が縮径するテーパ形状を有するので、径が本体部の外径より大きくフランジ部の外径の最大部より小さい複数のサイズの貫通孔に適用可能である。

第２の発明は、第１の発明の梁補強金具を用いた梁補強構造であって、前記フランジ部のテーパ形状が前記貫通孔の縁部と接触した状態で、前記フランジ部が前記ウェブに溶接され、前記本体部は、前記ウェブの背面側に突出することを特徴とする梁補強構造である。

第２の発明によれば、本体部がウェブの背面側に突出するので、背面側から本体部を目視して貫通孔の軸方向に対する本体部の軸方向の傾きを確認することができる。また、必要に応じて本体部を工具や手で掴んで傾きを修正することができる。さらに、フランジ部のテーパ形状が貫通孔の縁部と接触した状態でフランジ部がウェブに溶接されるので、ウェブとテーパ形状との間を開先として溶接部を形成することができる。

本発明によれば、梁に設けられた貫通孔に傾きなく溶接できる梁補強金具および梁補強構造を提供することができる。

梁補強金具１を示す斜視図。 梁補強構造１０を示す斜視図であり、（ａ）は背面側を示す図、（ｂ）は正面側を示す図。 梁補強構造１０を示す正面図。 図３のＡ−Ａ線断面図。 溶接部１９の形成位置が異なる例を示す図。

以下、本発明の実施の形態について説明する。図１は、本実施形態にかかる梁補強金具１を示す斜視図である。梁補強金具１は、本体部３、フランジ部５等から構成される。梁補強金具１は、ウェブに貫通孔が形成された梁を補強するための部材である。

梁補強金具１は、例えば鋼材やステンレス鋼などの金属製の部材である。梁補強金具１は、全体としてリング状の部材であり、配管等が貫通する配管孔を有している。本体部３は、フランジ部５の一方の側に突出して設けられる。本体部３は、後述する梁の貫通孔に挿入される筒状の部位である。

本体部３は、外径が一定である。フランジ部５は、本体部３に向かって外径が縮径するテーパ形状を有する。すなわち、フランジ部５は、本体部３との境界部では本体部３と同等の外径を有し、本体部３からの距離が大きくなるにつれて外径が大きくなる。

なお、本体部３及びフランジ部５の内径は略同一であり、内周面には凹凸は形成されない。

次に、梁補強金具１を用いた梁補強構造１０について説明する。図２（ａ）は、梁補強構造１０をウェブ１５の背面１５ｂ側から見た斜視図であり、図２（ｂ）は、梁補強構造１０をウェブ１５の正面１５ａ側から見た斜視図である。また、図３は、梁補強構造１０の正面図であり、図４は、図３のＡ−Ａ線断面図である。

梁１１は、ウェブ１５の上下にフランジ１３を有するＨ鋼である。ウェブ１５には、配管等を通すための貫通孔１７が形成される。梁補強金具１は貫通孔１７に配置される。前述したように、貫通孔１７には、梁補強金具１の本体部３が挿入される。本体部３のフランジ部５が設けられない側の端部は、ウェブ１５の背面１５ｂ側に突出する。貫通孔１７の径は、フランジ部５の外径の最小部より大きく且つ最大部より小さい。そのため、フランジ部５は、テーパ形状の外周部が貫通孔１７の縁部のウェブ１５に接触する。これにより、貫通孔１７の正面１５ａ側の縁のバリ等をフランジ部５で隠し、背面１５ｂ側の縁のバリ等を本体部３で隠すことができる。

梁補強金具１は、ウェブ１５に対して溶接によって接合される。本実施形態では、フランジ部５のテーパ形状の外周面が、ウェブ１５に対して全周にわたって溶接される。

ここで、図４（ａ）に示す例では、貫通孔１７の径がフランジ部５の外径の最小部よりもやや大きい。この場合、貫通孔１７の縁部が、フランジ部５のテーパ形状の外径が最小となる位置付近に接触する。溶接部１９は、フランジ部５のテーパ形状の外周面とウェブ１５の正面１５ａとの間に形成される。

図４（ｂ）に示す例では、貫通孔１７の径がフランジ部５の外径の最小部よりも最大部に近い大きさである。この場合、貫通孔１７の縁部が、フランジ部５のテーパ形状の外径が最大となる位置付近に接触する。溶接部１９は、フランジ部５のテーパ形状の外周面とウェブ１５に設けられた貫通孔１７の内周面２１との間に形成される。

次に、梁補強金具１を用いた梁補強方法（梁補強構造１０の施工方法）について説明する。図４（ａ）に示す例では、まず梁補強金具１の本体部３を、梁１１のウェブ１５の正面１５ａ側から、ウェブ１５に設けられた貫通孔１７に挿入する。この際、梁補強金具１のフランジ部５のテーパ形状の外径の最大部は、貫通孔１７の径よりも大きい。また、本体部３は、貫通孔１７の径よりも小さい外径を有している。このため、本体部３を貫通孔１７に挿入すると、フランジ部５のテーパ形状の外周面を貫通孔１７の縁部に接触させることができる。すなわち、フランジ部５は梁補強金具１を貫通孔１７に挿入する際、軸方向の位置決めに使われる。

フランジ部５のテーパ形状を貫通孔１７の縁部に接触させる際、作業者は、梁補強金具１の本体部３をウェブ１５の背面１５ｂ側から見て、本体部３が水平かどうか、すなわち貫通孔１７の軸方向と本体部３の軸方向とが一致しているかどうかを確認する。本体部３はウェブ１５の背面１５ｂ側に突出しているため、作業者は本体部３の状態を確認しやすい。本体部３が傾いている場合は、ウェブ１５の背面１５ｂ側から本体部３を手または工具で掴むことで、傾きを容易に修正して位置決めを行うことができる。

梁補強金具１の位置が決まったら、ウェブ１５の正面１５ａ側からフランジ部５のテーパ形状の外周面とウェブ１５の正面１５ａとの間に溶接部１９を形成して、梁補強金具１をウェブ１５に固定する。溶接は例えば被覆アーク溶接で行われる。

図４（ｂ）に示す例では、梁補強金具１の位置が決まったら、ウェブ１５の背面１５ｂ側からフランジ部５のテーパ形状の外周面とウェブ１５に設けられた貫通孔１７の内周面２１との間に溶接部１９を形成して、梁補強金具１をウェブ１５に固定する。

なお、図４（ａ）に示す例では、フランジ部５のテーパ形状の外周面とウェブ１５の正面１５ａとの間に溶接部１９を形成したが、溶接部１９の形成位置はこれに限らない。

図５は、溶接部１９の形成位置が異なる例を示す図である。図５（ａ）に示すように、本体部３の外周面とウェブ１５の背面１５ｂとの間に溶接部１９を形成してもよい。また、図５（ｂ）に示すように、フランジ部５のテーパ形状の外周面とウェブ１５の正面１５ａとの間と、本体部３の外周面とウェブ１５の背面１５ｂとの間の２ケ所に溶接部１９を形成してもよい。

以上により、梁補強構造１０を得ることができる。梁補強金具１によって、梁１１の貫通孔１７の近傍における曲げ耐力を向上させることができる。

以上、本実施の形態の梁補強金具１は、フランジ部５が本体部３に向かって外径が縮径するテーパ形状を有するので、径が本体部３の外径より大きくフランジ部５の外径の最大部より小さい複数のサイズの貫通孔１７に適用可能である。

また、梁補強構造１０では、本体部３がウェブ１５の背面１５ｂ側に突出するので、背面１５ｂ側から本体部３を目視して本体部３の傾き具合を確認し、必要に応じて本体部３の傾きを修正してからフランジ部５をウェブ１５に溶接することができる。また、フランジ部５のテーパ形状の外周部が貫通孔１７の縁部と接触するので、フランジ部５のテーパ形状の外周部とウェブ１５との間を開先として溶接部１９を形成することができる。

以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。

例えば、梁補強金具の本体部３は円筒状に限らない。例えば貫通孔が角形である場合、角筒状の本体部３の端部にフランジ部５が形成された梁補強金具を用いてもよい。

１………梁補強金具
３………本体部
５………フランジ部
１０………梁補強構造
１１………梁
１３………フランジ
１５………ウェブ
１５ａ………正面
１５ｂ………背面
１７………貫通孔
１９………溶接部
２１………内周面

Claims (2)

1. ウェブに貫通孔が形成された梁を補強するための梁補強金具であって、
   フランジ部と、
   前記フランジ部の一方の側に突出して前記貫通孔に挿入される筒状の本体部と、
   を具備し、
   前記フランジ部は、前記本体部に向かって外径が縮径するテーパ形状を有することを特徴とする梁補強金具。
2. 請求項１に記載の梁補強金具を用いた梁補強構造であって、
   前記フランジ部のテーパ形状が前記貫通孔の縁部と接触した状態で、前記フランジ部が前記ウェブに溶接され、
   前記本体部は、前記ウェブの背面側に突出することを特徴とする梁補強構造。

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