以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
図1(a)は、第1実施形態の光電変換装置DEVのいくつかの層の構成を示す平面図である。光電変換装置DEVは、受光画素領域1、遮光画素領域(OB画素領域)2、周辺回路領域3を含みうる。受光画素領域1は、複数の光電変換部(第1光電変換部)11eが複数の行および複数の列を構成するように配置された領域である。換言すると、受光画素領域1は、複数の画素(第1画素)が複数の行および複数の列を構成するように配置された領域である。受光画素領域1の各列の第1光電変換部(第1画素)11eの信号は、列信号線を通して出力される。遮光画素領域2は、遮光された複数の光電変換部(第2光電変換部)11obが複数の行および複数の列を構成するように配置された領域である。換言すると、遮光画素領域2は、遮光された複数の画素(第2画素)が配置された領域である。遮光された複数の画素は、黒レベルを検出するために使用され、オプティカルブラック(OB)画素と呼ばれうる。受光画素領域1と遮光画素領域2との間には、例えば、画素構造を含む緩衝領域が含まれてもよい。受光画素領域1の画素および遮光画素領域2の画素は、光電変換部の他に、光電変換部で発生した電荷に応じた信号を画素外に出力するための回路素子を含みうる。
周辺回路領域3は、例えば、行選択回路と、読出回路と、列選択回路とを含みうる。受光画素領域1に配置された複数の光電変換部11eと遮光画素領域2に配置された複数の光電変換部11bは、その全体で、複数の行および複数の列からなる光電変換アレイを構成するように配置されうる。以下では、相互に区別する必要がない場合には、光電変換部11a、11bを光電変換部11と記載する。行選択回路は、光電変換アレイにおける行を選択し、選択した行の光電変換部を駆動しうる。行選択回路によって選択された行の光電変換部の信号は、列信号線を通して読出回路に出力されうる。読出回路は、各列信号線に出力された信号を読み出しうる。列選択回路は、複数の列信号線から読出回路によって読み出された複数の信号を順に選択し出力しうる。
図1(b)は、図1(a)の光電変換装置DEVの模式的な断面図である。この明細書では、N型およびP型を相互に区別するために第1導電型および第2導電型という用語を用いる。第1導電型がN型である場合、第2導電型はP型であり、第1導電型がP型である場合、第2導電型はN型である。光電変換装置DEVは、半導体層10を備えうる。半導体層10は、例えば、第1導電型(例えばP型)の半導体領域でありうる。半導体層10には、第1導電型の半導体領域および第2導電型の半導体領域が配置されうる。複数の光電変換部11は、フォトダイオードの一部を構成する第2導電型の半導体領域を含みうる。半導体層10は、互いに反対側の第1面F1および第2面F2を有する。第1面F1および第2面F2は、半導体層10の2つの面を相互に区別するための便宜的な表現に過ぎない。この明細書では、第2面F2を主面として考える。
図1(b)には、裏面照射型として構成された光電変換装置DEVが記載されているが、光電変換装置DEVは、表面照射型として構成されてもよい。光電変換装置DEVは、第1面F1の側に配置された配線構造20と、第2面F2の側(換言すると、第2面F2または主面の上)に配置された区画構造30とを備えうる。第1面F1は、例えば、半導体層10を構成する半導体と配線構造20の一部を構成する絶縁体との界面でありうる。第2面F2は、例えば、半導体層10を構成する半導体と区画構造30の一部を構成する絶縁体との界面でありうる。配線構造20は、例えば、トランジスタのゲート電極GE、および、配線層WLを含みうる。区画構造30は、遮光性を有する遮光体によって絶縁膜33が複数の領域に区画された構造を有しうる。
光電変換装置DEVは、更に、第2面F2の側(換言すると、第2面F2または主面の上)に配置されたカラーフィルタ層70、および/または、第2面F2の側に配置された複数のマイクロレンズ80(オンチップレンズ)を備えうる。ここで、図1(b)に模式的に示されるように、複数のマイクロレンズ80と第2面F2との間にカラーフィルタ層70が配置されうる。光電変換装置DEVは、第2面F2とカラーフィルタ層70との間に配置された複数の層内レンズ(層内レンズ)を更に備えてもよい。光は、マイクロレンズ80、カラーフィルタ層70、区画構造30および第2面F2を介して複数の光電変換部11eに入射しうる。他の観点において、光は、マイクロレンズ80、カラーフィルタ層70および区画構造30を介して第2面F2に入射しうる。
区画構造30は、遮光壁60と、遮光膜50と、絶縁膜33とを備えうる。区画構造30は、例えば、遮光壁60および遮光膜50が絶縁膜33の中に埋め込まれた構造を有しうる。遮光壁60および遮光膜50を構成しうる。遮光壁60は、半導体層10の第2面F2の側(換言すると、第2面F2または主面の上)に配置され、受光画素領域1の複数の第1光電変換部11eにそれぞれ対応する複数の開口65を規定しうる。他の観点において、遮光壁60は、受光画素領域1の複数の第1光電変換部11eにそれぞれ対応する複数の開口51を有する。
遮光壁60は、遮光画素領域2にも配置されてもよく、遮光壁60のうち遮光画素領域2に配置された部分602は、遮光壁60のうち受光画素領域1に配置された部分601と同様の構造を有しうる。例えば、遮光壁60のうち遮光画素領域2に配置された部分602の厚さ(第2面F2に平行な方向における厚さ)は、遮光壁60のうち受光画素領域1に配置された部分601の厚さS2(第2面F2に平行な方向における厚さ)と同じでありうる。また、遮光壁60のうち遮光画素領域2に配置された部分602における開口65の配列ピッチは、遮光壁60のうち受光画素領域1に配置された部分601における開口65の配列ピッチと同じでありうる。遮光壁60の厚さS2は、遮光壁60の壁面(遮光壁60が開口65に対面する面)に対して垂直な方向における厚さとして表現されてもよい。遮光壁60は、格子(例えば、矩形格子)を構成するように配置されうる。遮光壁60は、周辺回路領域3にも設けられてもよいし、周辺回路領域3に設けられなくてもよい。
遮光壁60は、第2面F2に対する正射影(「平面視」ということもできる。)において、複数の第1光電変換部11eのうち遮光画素領域2に最も近い位置に配置された第1光電変換部11eと、複数の第2光電変換部11obのうち受光画素領域1に最も近い位置に配置された第2光電変換部11obとの間に配置された部分を含みうる。該部分は、遮光画素領域2の絶縁膜33に入射した光が受光画素領域1の第1光電変換部11eに入射することを防止するために効果的である。
遮光膜50は、半導体層10の第2面F2の側(換言すると、第2面F2または主面の上)に配置される。より詳しくは、遮光膜50は、半導体層10の第2面F2と遮光壁60と間に配置されうる。遮光膜50は、遮光画素領域2の複数の第2光電変換部を覆うように第2面F2に平行に延在するように配置された遮光部(これを第1部分とも言う)501を含みうる。遮光膜50は、受光画素領域1の複数の第1光電変換部11eにそれぞれ対応する複数の開口51を規定する遮光部502を含んでもよいし、そのような遮光部502を含まなくてもよい。
第2面F2に垂直な方向における遮光部501の厚さS1は、第2面F2に垂直な方向における遮光部502の厚さと同じでありうる。換言すると、第2面F2に垂直な方向における遮光膜50の厚さは、受光画素領域1および遮光画素領域2において同じでありうる。受光画素領域1の遮光部502と遮光画素領域2の遮光部501とは同時に形成されうる。黒レベルの変動を抑えるために遮光画素領域2の遮光部501の厚さを大きくすると、受光画素領域1の遮光部502の厚さも大きくなるため、光電変換部11eの感度が低下しうる。遮光部502と遮光壁60とは、互いに重なり合って配置されうる。遮光部501と遮光壁60とは、互いに重なり合って配置されうる。あるいは、遮光部502が設けられる代わりに、遮光壁60のうち受光画素領域1に配置された部分601の下端が延長されてもよい。
受光画素領域1において、光は、開口65および開口51の中に存在する絶縁膜33を通して第1光電変換部11eに入射する。遮光画素領域2において、光は、遮光膜50(遮光部501)によって遮断あるいは減衰される。つまり、遮光画素領域2の第2光電変換部11obは、遮光膜50(遮光部501)によって遮光される。なお、遮光は、対象物に向かってくる光を完全に遮断することの他、該光を減衰させることを意味しうる。
遮光壁60は、第2面F2側の面(これを遮光壁60の下面と定義する)と、該下面の反対側の面(これを遮光壁60の上面と定義する)とを有する。遮光膜50は、第2面F2側の面(これを遮光膜50の下面と定義する)と、該下面の反対側の面(これを遮光膜50の上面と定義する)とを有する。遮光壁60の下面と第2面F2との距離は、遮光膜50の上面と第2面F2との距離以上でありうる。あるいは、遮光膜50の上面に凹部が形成され、該凹部に遮光壁60の一部が配置されてもよい。遮光壁60は、半導体層10からの距離が、遮光膜50の上面と第2面(主面)F2との距離より大きい部分(これを第2部分とも言う)を有しうる。第2部分は、部分601の全部または一部でありうる。また、第2部分は、部分602の全部または一部を含んでもよい。
遮光壁60および遮光膜50は、光透過性が低く、加工が容易な材料で構成されうる。遮光壁60および遮光膜50は、例えば、金属材料で構成されうる。遮光壁60および遮光膜50は、同一の金属材料で構成されてもよいし、互いに異なる金属材料で構成されてもよい。遮光壁60は、例えば、タングステン、アルミニウム、チタン、タンタルまたは銅で構成され、遮光膜50は、例えば、タングステン、アルミニウム、チタン、タンタルまたは銅で構成されうる。一例において、遮光壁60および遮光膜50は、タングステンで構成されうる。
遮光膜50と半導体層10とは、接続部52によって電気的に接続されうる。あるいは、半導体層10は、所定の導電型の半導体領域55を含み、遮光膜50と半導体領域55とは、接続部52によって電気的に接続されうる。半導体領域55および遮光膜50は、一定の電位に維持されうる。半導体領域55は、受光画素領域1および遮光画素領域2とは別の領域、例えば、周辺回路領域3に配置されうる。換言すると、遮光膜50と半導体領域55とは、遮光画素領域2とは異なる領域で電気的に接続されうる。更に、遮光壁60および遮光膜50も、相互に電気的に接続されうる。
遮光膜50と絶縁膜33との間には、バリア膜53が配置されうる。バリア膜53は、遮光膜50の下面に接するように配置されうる。バリア膜53は、接続部52と半導体層10との間にも配置されうる。バリア膜53は、例えば、シリコン化合物層と、該シリコン化合物層と半導体層10との間に位置する金属化合物層とを含みうる。該金属化合物層は、アルミニウム、チタン、タンタル、ハフニウム、ジルコニウム、マグネシウムの酸化物、窒化物、炭化物の少なくとも1つを含みうる。あるいは、バリア膜53は、例えば、チタンやタンタルなどの金属膜および/または窒化チタンや窒化タンタルなどの金属化合物膜で構成されうる。遮光膜50の上面の上には、反射防止膜54が配置されうる。反射防止膜54は、受光画素領域1への迷光を低減しうる。反射防止膜54は、例えば、窒化シリコン膜および/または酸窒化シリコン膜などの誘電体膜で構成されうる。
接続部52、遮光膜50および遮光壁60は、次のような方法で構成されうる。まず、絶縁膜33の一部を構成する第1絶縁層が第2面F2を覆うように形成され、次いで、第1絶縁層のうち接続部52を形成すべき位置に開口が形成されうる。次いで、バリア膜53を形成するためのバリア膜材料が第1絶縁層を覆うように成膜され、更に、遮光膜材料および反射防止膜材料が第1絶縁層を覆うように成膜されうる。この際に、第1絶縁膜に形成された開口に遮光膜材料が充填されて接続部52が形成されうる。次いで、複数の開口51が形成されるように第1遮光膜材料および反射防止膜材料がパターニングされて遮光膜50および反射防止膜54が形成されうる。次いで、絶縁膜33の一部を構成する第2絶縁層が遮光膜50および第1絶縁層を覆うようにスパッタリング等によって成膜されうる。次いで、第2絶縁層がパターニングされ、遮光壁60を形成するための凹部が形成され、該凹部に遮光壁材料が充填されて、遮光壁60が形成されうる。
以下、図2を参照しながら光吸収係数および光透過率について説明する。ここでは、光が入射する対象物を物体Oとして説明する。遮光膜50の光吸収係数および光透過率を議論する際には、物体Oを遮光膜50で置き換えて考えればよい。また、遮光壁60の光吸収係数および光透過率を議論する際には、物体Oを遮光壁60で置き換えて考えればよい。
物体Oは、材料Mからなり、厚さS、材料Mの光吸収係数はαである。光Lは、物体Oの表面に垂直に入射するものとする。物体Oの表面では光の反射が起こる。物体Oの表面における光の反射率をRとする。物体Oの内部では光の吸収が起こる。物体Oの内部の光吸収率をAとする。
物体Oの表面に入射する光の強度をI0とするとき、物体Oの内部に到達する光の強度I1と物体Oの裏面を通過した光の強度I2は、それぞれ次式で表される。
I1=I0(1−R)
I2=I1(1−A)=I0(1−R)(1−A)
物体Oの裏面を通過した光の強度I2と物体Oの表面に入射する光の強度I0との比率は、透過率Tとして次式で表される。
T=I2/I0
ここで、タングステン(W)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)の反射率Rと光吸収率Aを以下に示す。
<反射率(R)>
W、Cu:0.5〜0.6
Al:0.7〜0.75
<光吸収率(A)(厚さ=0.2umのとき)>
W、Cu、Al:>0.99999
遮光画素領域2において要求される遮光性能は、光透過率で表した場合、例えば−200db以上である。反射のみで上記の遮光性能を達成することは困難であるので、光の吸収によって上記の遮光性能を達成する必要がある。光吸収率Aは、物体Oの厚さSと、物体Oを構成する材料Mの光吸収係数αとで決まり、次式で表すことができる。
A=exp[αS]
材料Mが決まっている場合、光吸収率Aは、物体Oの厚さSで決まる。図1に示された第1実施形態では、遮光画素領域2の遮光性能は、遮光膜50の光吸収率Aによって決まる。これは、遮光膜50が光電変換部11obを覆っていて、遮光膜50の上面に対して垂直な角度で遮光膜50に光が入射するためである。そこで、遮光膜50の厚さS1を大きくすることが、遮光膜50の吸収率を大きくする必要がある。
第2面F2と遮光壁60との距離は、第2面F2と遮光膜50との距離より大きく、また、遮光壁60の壁面(絶縁膜33に対面する面)に対する光の入射角は0度(壁面と光の入射方向が垂直)ではない。そのため、遮光壁60の厚さS2を大きくすることは、遮光性能の向上には寄与しにくい。また、受光画素領域1の全域において遮光壁60を均一に形成するためには、受光画素領域1および遮光画素領域2において遮光壁60の構造を同一するべきである。受光画素領域1および遮光画素領域2において遮光壁60の構造を異ならせた場合、受光画素領域1における外延付近における遮光壁60と受光画素領域1の中央部における遮光壁60との間に寸法差等が生じうる。この寸法差は、シェーディングを生じさせうる。このような観点において、遮光壁60の厚さS2を大きくすることは、受光画素領域1の光電変換部11eの感度の低下をもたらす。
以上より、遮光画素領域2における遮光性能の向上は、遮光膜50の厚さS1を大きくすることによって達成することが有利である。そこで、小さくするべき遮光壁60の厚さS2と、大きくするべき遮光膜50の厚さS1とを設計パラメータとして考慮し、S1>S2を満たすことが有利である。S1>S2を満たすことによって、遮光画素領域2の遮光性能の向上と受光画素領域1の光電変換部11a(画素)の感度低下の抑制とを両立することができる。ここで、遮光画素領域2の遮光性能の向上は、遮光画素領域2に配置された画素によって検出される黒レベルの安定化をもたらす。S1>S2を満たすことは、第2面F2に垂直な方向における遮光膜50の遮光部501の厚さが、第2面F2に平行な方向における遮光壁60の厚さより大きいことを意味する。
他の観点において、第2面F2に垂直な方向における遮光膜50の遮光部501の光透過率T1が、第2面F2に平行な方向における遮光壁60の光透過率T2より小さいこと、すなわち、T1<T2を満たすことが有利である。T1<T2を満たすことによっても、遮光画素領域2の遮光性能の向上と受光画素領域1の光電変換部11a(画素)の感度の低下抑制とを両立することができる。
更に他の観点において、遮光膜50を構成する材料の光吸収係数α1が遮光壁60を構成する材料の光吸収係数α2より大きいこと、すなわち、α1>α2を満たすことも有利である。α1>α2を満たすことも、遮光画素領域2の遮光性能の向上と受光画素領域1の光電変換部11a(画素)の感度の低下抑制とを両立するために効果的である。ただし、α1>α2を満たすために、遮光膜50を構成する材料と遮光壁60を構成する材料とを互いに異なるものにする必要がある。
以下、図3を参照しながら第2実施形態の光電変換装置DEVについて説明する。第2実施形態として言及しない事項は、第1実施形態に従いうる。図3(a)は、第2実施形態の光電変換装置DEVのいくつかの層の構成を示す平面図である。図3(b)は、図3(a)の光電変換装置DEVの模式的な断面図である。第2実施形態においても、S1>S2、T1<T2、α1>α2の少なくとも1つを満たすことが遮光画素領域2の遮光性能の向上と受光画素領域1の光電変換部11a(画素)の感度の低下抑制とを両立するために有利である。
第2実施形態の光電変換装置DEVでは、図3(b)に例示されるように、遮光壁60は、複数の開口65を有する第1遮光壁層61と、第1遮光壁層61に対して積層され、複数の開口66を有する第2遮光壁層62とを含みうる。遮光壁60は、更に多くの遮光壁層が積層して構成されてもよい。換言すると、遮光壁60は、積層された複数の遮光壁層で構成されうる。このような構成は、第2面F2に直交する方向における区画構造30の厚さが大きい場合に特に有利である。複数の遮光壁層は、例えば、受光画素領域1の一部分(例えば、受光画素領域1の周辺部)において、入射する光線の方向に応じて、第2面F2に平行な方向における開口65、66の位置が相互にずれるように配置されうる。このような構造は、感度の向上、および、迷光の低減に有利である。
第2実施形態の光電変換装置DEVは、複数のマイクロレンズ80と第2面F2との間に複数の層内レンズ(オンチップレンズ)31を含みうる。複数の層内レンズ31は、第1遮光壁層61と第2遮光壁層62との境界部分に配置されうる。第2面F2に直交する方向における第1遮光壁層61の互いに反対側の2つの端部のうち第2面F2から遠い方の端部(上端)は、層内レンズ31に設けられた凹部に配置されうる。第2面F2に直交する方向における第2遮光壁層62の互いに反対側の2つの端部のうち第2面F2に近い方の端部(下端)は、層内レンズ31に設けられた凹部に配置されうる。
複数の層内レンズ31は、受光画素領域1に配置されうる。受光画素領域1に複数の層内レンズ31を配置することによって混色を低減することができる。複数の層内レンズ31は、受光画素領域1に配置される他、遮光画素領域2にも配置されうる。複数の層内レンズ31を遮光画素領域2にも配置することによって、第1遮光壁層61(遮光壁60)に入射する光を低減し、遮光性能を向上させることができる。受光画素領域1および遮光画素領域2に層内レンズ31を配置することは、受光画素領域1の全域において層内レンズ31を均一に形成するために有利である。受光画素領域1および遮光画素領域2に層内レンズ31を配置することは、後に形成されうる第2遮光壁層62を受光画素領域1の全域において均一に形成するためにも有利である。
一方、マイクロレンズ80や層内レンズ31などのオンチップレンズを遮光膜50(遮光部502)上に配置することで、遮光膜50上でオンチップレンズに入射した光は集光される。よって、遮光膜50に入射する光の強度は、遮光膜50上にオンチップレンズがない場合に比べて高くなり、遮光膜50を透過する光量も大きくなりうる。そのため、遮光膜50上にオンチプレンズを配置する場合には、遮光膜50の遮光性能の向上がより効果的である。層内レンズ31の下面(第2面F2の側の面)およびその反対側の面である上面の少なくとも一方には、反射防止膜32が設けられうる。
遮光膜50の材料および遮光壁60の材料は、特に限定されるものではないが、一例において、遮光膜50はアルミニウムで構成され、遮光壁60はタングステンで構成されうる。アルミニウムの光吸収率は、タングステンの光吸収率の約2.5倍であるので、遮光膜50の厚さS1が同じあれば、アルミニウムで構成された遮光膜50は、タングステンで構成された遮光膜50の約2.5倍の遮光性能を有する。
遮光膜50と遮光壁60との間には、バリア膜63が配置されうる。遮光膜50がアルミニウムで構成され、遮光壁60がタングステンで構成された場合のように、遮光膜50と遮光壁60とが互いに異なる材料で構成される場合、バリア膜63は、遮光膜50と遮光壁60との接続を安定させるために有利である。遮光膜50がアルミニウムで構成され、遮光壁60がタングステンで構成された場合、バリア膜63は、例えば、TiNやTaNなどの金属化合物膜および/またはTiやTaなどの金属膜で構成されうる。バリア膜63を構成する材料は、遮光膜50を構成する材料と遮光壁60を構成する材料との組み合わせに応じて選択されうる。
以下、図4を参照しながら第3実施形態の光電変換装置DEVについて説明する。図4は、第3実施形態の光電変換装置DEVの模式的な断面図である。第3実施形態として言及しない事項は、第1または第2実施形態に従いうる。第3実施形態の光電変換装置DEVは、表面照射型として構成されている。半導体層10は、互いに反対側の第1面F1および第2面F2を有する。半導体層10の第2面F2の側には、配線構造25が配置されうる。
配線構造25は、例えば、トランジスタのゲート電極GE、および、配線層WLを含みうる。また、配線構造25は、前述の区画構造30に相当する構成を含みうる。配線構造25は、受光画素領域1の複数の光電変換部11eのそれぞれに対応する複数の導波路WGを含んでもよい。この場合において、配線構造25は、遮光画素領域2の複数の光電変換部11obのそれぞれに対応する導波路WGを含んでもよい。配線構造25は、受光画素領域1の複数の光電変換部11e、または、受光画素領域1の複数の導波路WGにそれぞれ対応する複数の層内レンズ31を含みうる。
上記の第1乃至第3実施形態に代表される光電変換装置DEVは、光学像または光強度分布を電気的な画像信号をとして検出する撮像装置として構成されうる。以下、撮像装置として構成される光電変換装置DEVの応用例として、該撮像装置が組み込まれたカメラやスマートフォン、汎用コンピュータなどの電子機器、自動車などの輸送機器について例示的に説明する。ここで、カメラの概念には、撮影を主目的とする装置のみならず、撮影機能を補助的に備える装置(例えば、パーソナルコンピュータやタブレットのような携帯端末など)も含まれる。なお、撮像装置が組み込まれた機器は、複写機やスキャナ等の事務機器、放射線診断や内視鏡観察を行う医療機器、産業用ロボットなどの産業機器、電子顕微鏡等の分析機器であってもよい。
図5は、撮像装置ISとして構成される光電変換装置DEVを搭載した機器EQPの模式図である。機器EQPの一例は、カメラやスマートフォンなどの電子機器(情報機器)、自動車や船舶、飛行機などの輸送機器である。撮像装置ISは、半導体基板(半導体チップ)を含む半導体デバイスICの他に、半導体デバイスICを収容するパッケージPKGを含みうる。パッケージPKGは、半導体デバイスICが固定された基体と、半導体デバイスICに対向するガラス等の蓋体と、基体に設けられた端子と半導体デバイスICに設けられた端子とを接続するボンディングワイヤやバンプ等の接続部材と、を含みうる。機器EQPは、光学系OPT、制御装置CTRL、処理装置PRCS、表示装置DSPL、記憶装置MMRYの少なくともいずれかをさらに備え得る。光学系OPTは撮像装置ISに光学像を形成するものであり、例えばレンズやシャッタ、ミラーである。制御装置CTRLは撮像装置ISの動作を制御するものであり、例えばASICなどの半導体デバイスである。処理装置PRCSは撮像装置ISから出力された信号を処理するものであり、AFE(アナログフロントエンド)あるいはDFE(デジタルフロントエンド)を構成するための、CPUやASICなどの半導体デバイスである。表示装置DSPLは撮像装置ISで得られた情報(画像)を表示する、EL表示装置や液晶表示装置である。記憶装置MMRYは、撮像装置ISで得られた情報(画像)を記憶する、磁気デバイスや半導体デバイスである。記憶装置MMRYは、SRAMやDRAMなどの揮発性メモリ、あるいは、フラッシュメモリやハードディスクドライブなどの不揮発性メモリである。機械装置MCHNはモーターやエンジン等の可動部あるいは推進部を有する。カメラにおける機械装置MCHNはズーミングや合焦、シャッタ動作のために光学系OPTの部品を駆動することができる。機器EQPでは、撮像装置ISから出力された信号を表示装置DSPLに表示したり、機器EQPが備える通信装置(不図示)によって外部に送信したりする。そのために、機器EQPは、撮像装置ISが組み込まれうる制御/信号処理回路などに含まれる記憶回路部や演算回路部とは別に、記憶装置MMRYや処理装置PRCSを更に備えていてもよい。
上述したように、光電変換装置DEVは、遮光画素領域2の遮光性能の向上と受光画素領域1の光電変換部11a(画素)の感度の向上に有利である。したがって、光電変換装置DEVが組み込まれたカメラは、監視カメラや、自動車や鉄道車両などの輸送機器に搭載される車載カメラなどに好適である。ここでは、光電変換装置DEVが組み込まれたカメラを輸送機器に適用した例を説明する。輸送機器2100は、例えば、図6(a)、(b)に示す車載カメラシステム2101を備えた自動車でありうる。図6(a)は、輸送機器2100の外観と主な内部構造を模式的に示している。輸送機器2100は、光電変換装置2102、撮像システム用集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)2103、警報装置2112、制御装置2113を備える。
光電変換装置2102には、上述の光電変換装置DEVが用いられる。警報装置2112は、撮像システム、車両センサ、制御ユニットなどから異常を示す信号を受けたときに、運転手へ向けて警告を行う。制御装置2113は、撮像システム、車両センサ、制御ユニットなどの動作を統括的に制御する。なお、輸送機器2100が制御装置2113を備えていなくてもよい。この場合、撮像システム、車両センサ、制御ユニットが個別に通信インターフェースを有して、それぞれが通信ネットワークを介して制御信号の送受を行う(例えばCAN規格)。
図6(b)は、輸送機器2100のシステム構成を示すブロック図である。輸送機器2100は、第1の光電変換装置2102と第2の光電変換装置2102とを含む。つまり、本実施形態の車載カメラはステレオカメラである。光電変換装置2102には、光学部2114により被写体像が結像される。光電変換装置2102から出力された画素信号は、画像前処理部2115によって処理され、そして、撮像システム用集積回路2103に伝達される。画像前処理部2115は、S−N演算や、同期信号付加などの処理を行う。上述の信号処理部902は、画像前処理部2115および撮像システム用集積回路2103の少なくとも一部に相当する。
撮像システム用集積回路2103は、画像処理部2104、メモリ2105、光学測距部2106、視差演算部2107、物体認知部2108、異常検出部2109、および、外部インターフェース(I/F)部2116を備える。画像処理部2104は、光電変換装置2102のそれぞれの画素から出力される信号を処理して画像信号を生成する。また、画像処理部2104は、画像信号の補正や異常画素の補完を行う。メモリ2105は、画像信号を一時的に保持する。また、メモリ2105は、既知の光電変換装置2102の異常画素の位置を記憶していてもよい。光学測距部2106は、画像信号を用いて被写体の合焦または測距を行う。視差演算部2107は、視差画像の被写体照合(ステレオマッチング)を行う。物体認知部2108は、画像信号を解析して、輸送機器、人物、標識、道路などの被写体の認知を行う。異常検出部2109は、光電変換装置2102の故障、あるいは、誤動作を検知する。異常検出部2109は、故障や誤動作を検知した場合には、制御装置2113へ異常を検知したことを示す信号を送る。外部I/F部2116は、撮像システム用集積回路2103の各部と、制御装置2113あるいは種々の制御ユニット等との間での情報の授受を仲介する。
輸送機器2100は、車両情報取得部2110および運転支援部2111を含む。車両情報取得部2110は、速度・加速度センサ、角速度センサ、舵角センサ、測距レーダ、圧力センサなどの車両センサを含む。
運転支援部2111は、衝突判定部を含む。衝突判定部は、光学測距部2106、視差演算部2107、物体認知部2108からの情報に基づいて、物体との衝突可能性があるか否かを判定する。光学測距部2106や視差演算部2107は、対象物までの距離情報を取得する距離情報取得手段の一例である。すなわち、距離情報とは、視差、デフォーカス量、対象物までの距離等に関する情報である。衝突判定部はこれらの距離情報のいずれかを用いて、衝突可能性を判定してもよい。距離情報取得手段は、専用に設計されたハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアモジュールによって実現されてもよい。
運転支援部2111が他の物体と衝突しないように輸送機器2100を制御する例を説明したが、他の車両に追従して自動運転する制御や、車線からはみ出さないように自動運転する制御などにも適用可能である。
輸送機器2100は、さらに、エアバッグ、アクセル、ブレーキ、ステアリング、トランスミッション、エンジン、モーター、車輪、プロペラ等の、移動あるいはその補助に用いられる駆動装置を具備する。また、輸送機器2100は、それらの制御ユニットを含む。制御ユニットは、制御装置2113の制御信号に基づいて、対応する駆動装置を制御する。
本実施形態に用いられた撮像システムは、自動車や鉄道車両に限らず、例えば、船舶、航空機あるいは産業用ロボットなどの機器にも適用することができる。加えて、輸送機器に限らず、高度道路交通システム(ITS)など、広く物体認識を利用する機器に適用することができる。
本明細書において、AがBより高いとは、Aと半導体層の主面との間の距離がBと該主面との間の距離より大きいことを意味し、AがBより低いとは、Aと該主面との間の距離がBと該主面との間の距離より小さいことを意味する。本明細書において、Aの下端は、前記主面に対して垂直な方向におけるAの2つの端のうち前記半導体層の側の端を意味し、Aの上端は、前記主面に対して垂直な方向におけるAの2つの端のうち該下端との反対側の端を意味する。本明細書において、Aの下面は、前記主面に対して垂直な方向と交差(または直交)するAの2つの面のうち前記半導体層の側の面を意味し、Aの上面は、前記主面に対して垂直な方向と交差(または直交)するAの2つの面のうち該下面との反対側の面を意味する。
図7(a)は、本発明の第4実施形態の光電変換装置400の構成を示す平面図である。光電変換装置400は、受光画素領域401、遮光画素領域(OB画素領域)402、周辺回路領域403を含む。受光画素領域401は、複数の光電変換部(第1光電変換部)が複数の行および複数の列を構成するように配置された領域である。換言すると、受光画素領域401は、複数の画素(第1画素)が複数の行および複数の列を構成するように配置された領域である。受光画素領域401の各列の第1光電変換部(第1画素)の信号は、列信号線を通して出力される。遮光画素領域402は、遮光された複数の光電変換部(第2光電変換部)が複数の行および複数の列を構成するように配置された領域である。換言すると、遮光画素領域402は、遮光された複数の画素(第2画素)が配置された領域である。遮光された複数の画素は、オプティカルブラックレベルを提供するために使用され、オプティカルブラック(OB)画素と呼ばれうる。受光画素領域401と遮光画素領域402との間には、画素構造を含む緩衝領域が含まれてもよい。受光画素領域401の画素および遮光画素領域402の画素は、光電変換部の他に、光電変換部で発生した電荷に応じた信号を画素外に出力するための回路素子を含む。
周辺回路領域403は、例えば、行選択回路と、読出回路と、列選択回路とを含みうる。受光画素領域401に配置された複数の光電変換部と遮光画素領域402に配置された複数の光電変換部は、その全体で、複数の行および複数の列からなる光電変換アレイを構成するように配置されうる。行選択回路は、光電変換アレイにおける行を選択し、選択した行の光電変換部を駆動する。行選択回路によって選択された行の光電変換部の信号は、列信号線を通して読出回路に出力される。読出回路は、各列信号線に出力された信号を読み出し、列選択回路は、複数の列信号線から読出回路によって読み出された複数の信号を順に選択し出力する。
図7(b)は、図7(a)の光電変換装置400のA−A線における模式的な断面図である。以下では、N型およびP型を相互に区別するために第1導電型および第2導電型という用語を用いる。第1導電型がN型である場合、第2導電型はP型であり、第1導電型がP型である場合、第2導電型はN型である。光電変換装置400は、半導体層SLを備えうる。半導体層SLは、例えば、第1導電型(例えばN型)の半導体領域であり、例えば、エピタキシャル成長法で形成されうる。半導体層SLには、第1導電型の半導体領域(一部のみ図示)および第2導電型の半導体領域(一部のみ図示)が配置されうる。半導体層SLは、主面411を有する。主面411は、例えば、半導体層SLと半導体層SLの上に積層された絶縁膜(不図示)との界面でありうる。主面411を通って半導体層SLに光が入射する。図7(b)において、主として光が入射する方向が矢印Lで示されている。
半導体層SLは、受光画素領域401の複数の光電変換部(第1光電変換部)412aおよび遮光画素領域402の複数の光電変換部(第2光電変換部)412bを有しうる。光電変換部412a、412bは、フォトダイオードの一部を構成する第1導電型の半導体領域でありうる。光電変換によって発生した電荷が光電変換部412a、412bによって収集されうる。光電変換部412a、412bの上には、第2導電型の半導体領域413が配置されうる。半導体領域413は、半導体層410の主面411に接するように配されうる。半導体領域413は、第2導電型における多数キャリアと同一符号を有する電荷を有する領域であってもよい。
半導体層SLは、フローティングディフュージョン(以下、FD)414を含みうる。FD414は、第1導電型の半導体領域である。光電変換部412a、412bで発生した電荷はFD414に転送され、電圧に変換される。FD414は、不図示の増幅部の入力ノードに電気的に接続されうる。増幅部は、1又は複数の画素ごとに設けられうる。半導体層SLの上には、ゲート絶縁膜を介してゲート電極415が配置されうる。光電変換部412a、412bとFD414との間の領域の上に配されたゲート電極415は、光電変換部412からFD414への電荷の転送を制御する転送ゲート電極である。
半導体層SLおよびゲート電極415を覆うように保護膜420が配置されうる。半導体層SLまたは保護膜420の上には、絶縁膜421が配置されうる。絶縁膜421は、例えば、酸化シリコンで構成されうる。絶縁膜421の屈折率は、例えば、1.40〜1.60の範囲内である。半導体層SLの主面411の上には、第1配線層423、第2配線層424、第3配線層433が配置されうる。第1配線層423、第2配線層424、第3配線層433は、半導体層SLの主面411を基準として、互いに異なる高さに配置される。一例において、第1配線層423および第2配線層424の導電材料は銅であり、第3配線層433の導電材料はアルミニウムでありうる。一例において、第3配線層433は、パッドおよび周辺回路領域403の配線層を構成しうる。導電材料は、導電性を有する材料であればよく、銅またはアルミニウム以外の材料であってもよい。第1配線層423と第2配線層424とは、不図示のプラグによって電気的に接続されうる。第2配線層424と第3配線層433とは、不図示のプラグによって電気的に接続されうる。プラグによって電気的に接続される部分を除いて、第1配線層423の導電部材と第2配線層424の導電部材とは絶縁膜421によって互いに絶縁され、第2配線層424の導電部材と第3配線層433の導電部材とは絶縁膜421によって互いに絶縁される。絶縁膜421は、層間絶縁膜として機能しうる。配線層の数は3層に限定されるものではない。
光電変換装置400は、受光画素領域401の複数の第1光電変換部412aにそれぞれ入射する光の光路に配置された複数の導波路430と、複数の導波路430を相互に連結するように広がった連結部431とを備えうる。複数の導波路430および連結部431は、互いに同じ材料で構成されうる。一例において、複数の導波路430および連結部431は、窒化シリコンで構成されうる。複数の導波路430を構成する部材の屈折率は、絶縁膜421の屈折率よりも高い。複数の導波路430を構成する部材の屈折率は、1.60以上であることが好ましく、1.80〜2.40の範囲であることがより好ましい。導波路430は、遮光画素領域402の複数の第2光電変換部412aのそれぞれの上にも配置されうる。同様に、連結部431は、遮光画素領域402における複数の導波路430を相互に連結するように広がりうる。受光画素領域401の連結部431と遮光画素領域402の連結部431とは相互に連結されるように広がりうる。図1(b)の例では、周辺回路領域403に連結部431が配置されていないが、周辺回路領域403にも連結部431が配置されてもよい。
絶縁膜421、複数の導波路430および連結部431の上には、受光画素領域401および遮光画素領域402にわたって広がるように絶縁膜432が配置されうる。他の観点において、絶縁膜432は、受光画素領域401および遮光画素領域402にわたって広がるように半導体層SLの主面411の上に配置される。絶縁膜432は、例えば、酸化シリコンで構成されうる。絶縁膜432の上には、遮光画素領域402の複数の第2光電変換部412aを覆うように遮光膜434が配置されうる。遮光膜434は、例えば、金属材料で構成されうる。遮光膜434は、遮光画素領域102の複数の第2光電変換部412aに対する光の入射を遮断する目的で配置される。遮光膜434の下面は、遮光画素領域402に設けられた複数の光電変換部412bに対向するように半導体層SLの主面411に沿っている。一例において、第3配線層433と遮光膜434とは、同一の層に配置され、同一の材料で構成されうるが、第3配線層433と遮光膜434とは、互いに異なる層に配置されてもよいし、互いに異なる材料で構成されてもよい。
半導体層SLの主面411の上には、更に透光膜(絶縁体)440が配置されうる。透光膜440は、絶縁膜432、遮光膜434および第3配線層433を覆うように配置されうる。透光膜440は、受光画素領域401の複数の第1光電変換部412aに入射する光の光路にそれぞれ配置された複数の層内レンズ441を含みうる。層内レンズ441を有する透光膜440の上面および下面の少なくも一方は凸レンズ形状を有しうる。本例では、透光膜440の上面が凸レンズ形状を有し、透光膜440の下面は平坦である。ただし、層内レンズ441を設けない場合、透光膜440の上面および下面が平坦あってもよい。透光膜440は、遮光画素領域402においては、遮光膜434を覆うように配置されうる。遮光画素領域402に層内レンズ441が配置されると、遮光膜434の上の構造物の高さが高くなるので、遮光画素領域402には層内レンズ441が配置されないことが好ましい。透光膜440における少なくとも層内レンズ441の上には、層内レンズ441を覆うように平坦化用の絶縁膜(絶縁膜442)が配置されうる。絶縁膜442は、層内レンズ441と接触してもよいし、層内レンズ441と絶縁膜442との間には層内レンズ441に接触しつつ層内レンズ441を覆うように設けられた反射射防止コーティングが配されてもよい。
透光膜440は、シリコンおよび窒素を含む化合物で構成されたシリコン化合物膜であり、透光膜440は、窒素を含むシリコン化合物膜という点で、他の樹脂膜や酸化シリコン膜などの透光膜とは区別されうる。透光膜440は、各々がシリコンおよび窒素を含む化合物で構成された、複数のシリコン化合物層からなる複層構造を有することができる。透光膜440に含まれうるシリコン化合物層は、例えば、窒化シリコン層、酸窒化シリコン層、炭窒化シリコン層である。
層内レンズ441は、例えば窒化シリコン層で構成されるが、透光膜440に含まれる他の酸窒化シリコン層よりも窒素濃度が高い酸窒化シリコン層で構成されてもよい。層内レンズ441を構成する層を層内レンズ層と呼ぶことができる。上述の反射防止コーティングが、例えば酸窒化シリコン層などのシリコンおよび窒素を含む化合物で構成される場合、反射防止コーティングは、透光膜440の一部でありうる。上述した反射防止コーティングとしては、透光膜440の上に配される反射防止膜を用いることができる。
透光膜440の上の反射防止膜あるいは絶縁膜は、シリコンおよび酸素を含む化合物で構成されうる。一例において、層内レンズ441は、窒化シリコンで構成され、反射防止コーティングは酸化シリコンで構成されうる。他の例において、層内レンズ441は、酸窒化シリコンで構成され、反射防止コーティングは、酸化シリコンで構成されうる。他の例において、層内レンズ441は、窒化シリコンで構成され、反射防止コーティングは、酸窒化シリコンで構成されうる。一例において、絶縁膜442は酸化シリコンで構成され、他の例において絶縁膜442は樹脂で構成される。
受光画素領域401における半導体層SLの上には、複数の第1光電変換部412aにそれぞれ入射する光の光路を取り囲むように配置された遮光部443が配置されうる。遮光部443は、金属材料、例えばタングステンで構成されうる。透光膜(絶縁体)440の上には、絶縁膜442が配置され、遮光部443は、絶縁膜442に設けられた溝に配置されうる。絶縁膜442の上には、カラーフィルタ層445が配置され、カラーフィルタ層445の上には、マイクロレンズ450が配置されうる。遮光部443は、行方向および列方向に隣接する画素間で光が侵入しないように、格子状(例えば、矩形格子状)に配置されうる。
光電変換装置400においては、受光画素領域401のマイクロレンズ450に対して入射した斜め光線L’が遮光画素領域402の第2光電変換部412bに入射することを抑制することが重要である。これは、遮光画素領域402の第2光電変換部412bに光が入射すると、オプティカルブラックレベルを正しく検出することができないからである。そこで、遮光部443の上端は、遮光膜434の上面より高く、遮光部443の下端は、遮光膜434の上面より低いことが好ましい。あるいは、遮光部443の上端は、遮光膜434の上面より高く、遮光部443の下端は、遮光膜434の上面より低く、かつ、遮光膜434の下面より高いことが好ましい。
遮光部443は、遮光部443の下端から遮光部443の上端まで連続した構造を有することが好ましい。換言すると、遮光部443は、遮光部443の下端と遮光部443の上端との間には、光を透過する材料で構成された部分を含まないことが好ましい。遮光膜434は、遮光膜434の下面から遮光膜434の上面まで連続した構造を有することが好ましい。換言すると、遮光膜434は、遮光膜434の下面と遮光膜434の上面との間には、光を透過する材料で構成された部分を含まないことが好ましい。半導体層SLの主面411に直交する方向における遮光部443の厚さは、該方向における遮光膜434の厚さより大きいことが好ましい。半導体層SLの主面411に直交し複数の第1光電変換部412aの一部を切断する断面(図2の断面図)において、主面411に平行な方向における遮光部443の幅は、0.5μm以下であることが好ましい。これは、画素密度の向上に有利である。
受光画素領域401における透光膜440の最も薄い部分の上面は、遮光膜434の上面より低いことが好ましい。これは、遮光画素領域102の第2光電変換部412bへの光の入射を抑制するために有利である。受光画素領域401における複数の層内レンズ441の最上端(頂点)は、遮光膜434の上面より低いことが好ましい。これは、マイクロレンズ450が配置される高さを低くし、遮光画素領域402の第2光電変換部412bへの光の入射を抑制するために有利である。後述するように、受光画素領域401における透光膜440の最も薄い部分は、平坦な上面を有し、遮光部443の下端が該平坦な上面より低くてもよい。このような構成も、遮光画素領域402の第2光電変換部412bへの光の入射を抑制するために有利である。
以下、図8を参照しながら本発明の第5実施形態の光電変換装置400の構成を説明する。第5実施形態として言及しない事項は、第4実施形態に従いうる。第5実施形態の光電変換装置500は、裏面照射型CMOSセンサとして構成されている。半導体層SLの主面である第2面F2の上に配置された構造体(例えば、マイクロレンズ542)を介して複数の光電変換部504aに光が入射する。
光電変換装置500は、受光画素領域552および遮光画素領域553を有する。半導体層SLの2つの面、即ち第1面F1および第2面F2のうち第1面F1の下には、ゲート電極および配線層を含む配線構造550が配置される。半導体層SLの第2面F2の上には、反射防止膜510が配置されうる。反射防止膜510は、例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウムまたは酸化タンタルで構成されうる。反射防止膜210の上には、絶縁膜211が設けられうる。絶縁膜519は、例えば、酸化シリコンで構成されうる。なお、本明細書において、「上」、「下」という表現は相対的な表現であり、したがって、「上」と「下」とを入れ替えて読むこともできる。
遮光画素領域553には、複数の第2光電変換部504bが配置される。遮光画素領域553には、遮光膜520が配置されうる。遮光膜520は、例えば、アルミニウムまたはタングステン等の金属材料で構成されうる。遮光膜520と半導体層SLの第2面F2との距離が近いほど、遮光画素領域553の光電変換部504bに対する光の入射を抑制することができるので、遮光膜520と半導体層SLの第2面F2との距離が近いことが望ましい。
絶縁膜519の上には、透光膜(絶縁体)522が配置されうる。透光膜522は、絶縁膜519および遮光膜520を覆うように配置されうる。透光膜522は、受光画素領域552の複数の第1光電変換部504aに入射する光の光路にそれぞれ配置された複数の層内レンズ521を含みうる。透光膜522は、遮光画素領域553においては、遮光膜520を覆うように配置されうる。
透光膜522における少なくとも層内レンズ521の上には、層内レンズ521と接触しつつ層内レンズ521を覆うように反射防止膜あるいは絶縁膜が配置されうる。透光膜522は、シリコンおよび窒素を含む化合物で構成され、反射防止膜あるいは絶縁膜は、シリコンおよび酸素を含む化合物で構成されうる。一例において、透光膜522は、窒化シリコンで構成され、反射防止膜あるいは絶縁膜は、酸化シリコンで構成されうる。他の例において、透光膜522は、酸窒化シリコンで構成され、反射防止膜あるいは絶縁膜は、酸化シリコンで構成されうる。
受光画素領域552における半導体層SLの上には、複数の第1光電変換部504aにそれぞれ入射する光の光路を取り囲むように配置された遮光部531が配置されうる。遮光部531は、金属材料、例えばタングステンで構成されうる。透光膜(絶縁体)522の上には、絶縁膜530が配置され、遮光部531は、絶縁膜530に設けられた溝に配置されうる。絶縁膜530の上には、カラーフィルタ層541が配置され、カラーフィルタ層541の上には、マイクロレンズ542が配置されうる。遮光部531は、行方向および列方向に隣接する画素間で光が侵入しないように、格子状(例えば、矩形格子状)に配置されうる。
遮光部531の上端は、遮光膜520の上面より高く、遮光部531の下端は、遮光膜520の上面より低いことが好ましい。あるいは、遮光部531の上端は、遮光膜520の上面より高く、遮光部531の下端は、遮光膜520の上面より低く遮光膜520の下面より高いことが好ましい。
遮光部531は、遮光部531の下端から遮光部531の上端まで連続した構造を有することが好ましい。換言すると、遮光部531は、遮光部531の下端と遮光部531の上端との間には、光を透過する材料で構成された部分を含まないことが好ましい。遮光膜520は、遮光膜520の下面から遮光膜520の上面まで連続した構造を有することが好ましい。換言すると、遮光膜520は、遮光膜520の下面と遮光膜520の上面との間には、光を透過する材料で構成された部分を含まないことが好ましい。遮光部531の厚さは、遮光膜520の厚さより大きいことが好ましい。半導体層SLの第2面F2に直交し複数の第1光電変換部504aの一部を切断する断面(図8の断面図)において、主面である第2面F2に平行な方向における遮光部531の幅は、0.5μm以下であることが好ましい。これは、画素密度の向上に有利である。
受光画素領域552における透光膜522の最も薄い部分の上面は、遮光膜520の上面より低いことが好ましい。これは、遮光画素領域553の第2光電変換部504bへの光の入射を抑制するために有利である。受光画素領域552における複数の層内レンズ521の最上端は、遮光膜520の上面より低いことが好ましい。これは、マイクロレンズ542が配置される高さを低くし、遮光画素領域553の第2光電変換部504bへの光の入射を抑制するために有利である。受光画素領域552における透光膜522の最も薄い部分は、平坦な上面を有し、遮光部531の下端が該平坦な上面より低くてもよい。このような構成も、遮光画素領域553の第2光電変換部504bへの光の入射を抑制するために有利である。
第4実施形態は第3実施形態と互換性がある。すなわち、第4実施形態の遮光部443は第3実施形態の遮光壁60の部分601に相当し、第4実施形態の遮光膜434は第3実施形態の遮光膜50の遮光部501に相当する。また、第5実施形態は第1、2実施形態と互換性がある。すなわち、第5実施形態の遮光部531は第1、2実施形態の遮光壁60の部分601に相当し、第5実施形態の遮光膜520は第1、2実施形態の遮光膜50の遮光部501に相当する。遮光部443、531をタングステンで構成する場合において、遮光膜434、520をアルミニウムで構成することで、遮光膜434、520の遮光性能を向上できる。図7に示すように、主面411に垂直な方向における遮光膜434の厚さが、主面411に平行な方向における遮光部443の厚さよりも大きいことで、遮光膜434の遮光性能を向上できる。図8に示すように、主面F2に垂直な方向における遮光膜520の厚さが、主面F2に平行な方向における遮光部531の厚さよりも大きいことで、遮光膜520の遮光性能を向上できる。遮光膜520の厚さが遮光部531の厚さよりも大きければ、遮光部443、531をタングステンで構成する場合において、遮光膜434、520をアルミニウムで構成しても、タングステンで構成してもよいが、アルミニウムで構成することが好ましい。
以下、本発明の第6乃至第11実施形態について図面を用いて説明する。各図面において、同一の機能を有する構成には符号を省略する場合がある。本発明は、以下に説明される実施形態に限定されない。例えば、以下のいずれかの実施形態の一部の構成を、他の実施形態に追加し、あるいは他の実施形態の一部の構成と置換してもよい。なお、以下では本発明の実施形態として積層型の光電変換装置に適用した例を説明するが、本発明は積層型の光電変換装置に限るものではない。また、以下では本発明の実施形態として裏面照射型の光電変換装置に適用した例を説明するが、本発明は表面照射型の光電変換装置などにも適用可能である。更には、以下では本発明の実施形態として信号電荷を電子として説明するが、信号電荷が正孔の場合にも本発明は適用可能である。また、各構成の導電型は適宜変更が可能である。
フォトダイオードが形成されたシリコン層の上に、負の固定電荷を有する絶縁層を設けた固体撮像装置が知られている。特開2011−35204号公報には、負の固定電荷を有する絶縁層の上に、原子層蒸着法または有機金属化学的気相成長法を用いて緻密な膜を形成することにより、負バイアス効果を低下させる物質(水素等)が侵入しないようブロックする技術が開示されている。特開2011−35204号公報に記載の技術では、光電変換素子を覆う絶縁層の上に緻密な膜を厚く形成する必要があるため、光電変換素子に入射する光の吸収が生じうる。そこで、第6乃至第11実施形態は、ノイズを低減しつつ、感度の低下を抑制することを可能にする技術を提供する。
図9(a)は、第6実施形態における光電変換装置の断面模式図である。図9(a)にて示された光電変換装置は、Z方向とX方向を含む面における断面構造を示したものである。ここでは、Z方向を上方向として説明する。図9(a)において、光電変換装置は、有効領域A1、OB領域A2、パッド領域A3を有する。有効領域A1は、光を検出し信号を生成する単位セルが配された領域である。OB領域A2は、オプティカルブラック領域であり、遮光された、基準信号を生成するための単位セルが配された領域である。パッド領域A3は、外部装置との接続のための外部端子が接続する領域である。単位セルは、少なくとも1つの光電変換素子を含み、画素とも称する。
光電変換装置は、少なくとも2つのチップC1、C2を含んで構成される積層型の光電変換装置である。チップC1は少なくとも光電変換素子PDを含む。チップC2は光電変換素子PDからの信号を読み出すための駆動回路や信号を処理するための処理回路を含む。チップC1とチップC2は面P5において接合されている。
まず、図9(a)のチップC1について説明する。光電変換装置は、光電変換素子PDを有する半導体層100を有する。半導体層100は、面P1と、面P1と反対側の面P2とを有する。面P1や面P2は半導体層100の主面である。後に説明する平面レイアウトや平面視とは、面P1への投影図であるとする。光電変換素子PDは、N型の半導体領域160と、半導体領域160と面P1との間に配されたP型の半導体領域161とを含む。光電変換素子PDは半導体層100も含みうる。有効領域A1の光電変換素子PDは光に応じた電荷を生成し、有効領域A1の光電変換素子PDにて生じた電荷は画像や光の検出信号として使用される。OB領域A2の光電変換素子PDは遮光されており、OB領域A2の光電変換素子PDにて生じた電荷は基準信号を生成するために使用される。半導体層100は、半導体材料からなり、例えば、シリコンの単結晶基板や、エピタキシャル成長をさせたシリコンなどである。
半導体層100の面P2の上には、膜101〜膜105が上方向に沿ってこの順に配されている。膜104と膜105の間には、レンズ部107を有する膜106が配されている。膜101と膜102は、半導体層100と膜106との間に配され、少なくとも光電変換素子PDが配された部分に配されている。膜101は、負の電荷を有し、負の固定電荷膜として機能しうる。つまり、膜101は、光電変換素子にて生じる電荷と同導電型の電荷を有する。膜101は、酸化ハフニウム膜、酸化アルミニウム膜、酸化ジルコニウム膜、酸化ニオブ膜、酸化チタン膜、酸化バナジウム膜などの金属酸化膜である。膜102は、酸化タンタル膜、酸化チタン膜などの金属酸化膜であり、反射防止膜として機能しうる。膜103〜膜105は、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸窒化シリコン膜、炭素含有酸化シリコン膜、フッ素含有酸化シリコン膜などの絶縁膜であり、層間絶縁膜として機能しうる。膜106は、窒化シリコンなどの絶縁膜であり、保護膜やレンズとして機能しうる。レンズ部107は、膜106と一体となっており、レンズ部107は平面視をした時に少なくとも1つの光電変換素子PDと重畳する。つまり、レンズ部107は、少なくとも1つの光電変換素子PDへ光を集光する。第6実施形態では、膜101は酸化アルミニウム膜であり、膜102は酸化チタン膜であり、膜103〜膜105は酸化シリコン膜であり、膜106は窒化シリコン膜であるものとする。これらの膜は、1つの材料からなる単層構成であってもよいし、複数の材料からなる多層構成であってもよい。
膜103〜105の間には、コンタクトプラグ111、配線層112、ビアプラグ113、ビアプラグ114が配されている。コンタクトプラグ111は、OB領域A2に配され、半導体層100と電気的に接続している。配線層112は、有効領域A1に配され、光電変換素子PDに対応した位置に開口を有し、光電変換素子PDの開口を規定しうる。配線層112は、OB領域A2に配され、光電変換素子PDに対応した位置を覆う遮光部として機能しうる。ビアプラグ113は、有効領域A1に配され、膜104の開口に配されている。また、ビアプラグ113は、膜106と膜101との間に配されている。ビアプラグ113は、光電変換素子PDの開口を規定する遮光部としても機能する。ビアプラグ114は、有効領域A1に配され、少なくとも膜105の開口に配され、ビアプラグ113と接し、光電変換素子PDの開口を規定する遮光部としても機能する。コンタクトプラグ111、配線層112、ビアプラグ113、ビアプラグ114は、複数の金属部分を含む。以下の説明において、配線層は複数の配線、すなわち導電体パターンを含むものとする。これらの金属部分の構成について、図9(b)を用いて詳細に説明する。
図9(b)は、図9(a)に示すコンタクトプラグ111、配線層112、ビアプラグ113、ビアプラグ114、膜103〜膜106の一部を拡大して示したものである。コンタクトプラグ111は、配線層112と一体に形成されている。コンタクトプラグ111は、部分111(a)と、部分111(b)を含む。配線層112は、部分112(a)と、部分112(b)と、部分112(c)とを含む。ビアプラグ113は、部分113(a)と、部分113(b)と、部分113(c)とを含む。ビアプラグ114は、部分114(a)と、部分114(b)と、部分114(c)とを含む。部分111(a)、部分112(a)、部分112(c)、部分113(a)、部分114(a)は、水素吸蔵効果を有する金属からなる金属部分である。水素吸蔵効果を有する金属としては、チタン、ジルコニア、パラジウム、マグネシウムがあげられる。第6実施形態では、これらの部分はチタンからなるものとする。部分111(b)、部分112(b)、部分113(c)、部分114(c)は、水素吸蔵効果を有する金属とは異なるタングステンやアルミニウムからなる金属部分であり、第6実施形態ではタングステンからなるものとする。部分113(b)と部分114(b)は、水素吸蔵効果を有する金属とは異なる材料からなり、例えば窒化チタンなどからなる部分である。第6実施形態では、チタン膜である部分113(a)の厚さd1、部分112(a)の厚さd2、部分112(c)の厚さd3、部分114(a)の厚さd4は、いずれも等しい値を有する。厚さd1、厚さd2、厚さd3、厚さd4は、例えば、5nm以上20nm以下であり、第6実施形態においては10nmである。部分113(b)と部分114(b)は、40nm以上60nm以下であり、第6実施形態においては50nmである。
第6実施形態のように、チタンからなる部分113(a)を有することで、外界から混入する水素や、膜103〜膜106に含有される水素を吸蔵することができるため、膜101への水素の供給を低減することができる。特に、膜106などが窒化シリコンからなる膜の場合、形成方法によっては酸化シリコンからなる膜に比べて水素含有量が多いことがある。よって、第6実施形態のように、保護膜やレンズとして窒化シリコンからなる膜を有する場合には、効果的である。このような構成によって、膜101の負バイアス効果の低減が抑制されるため、ノイズを低減することができる。また、部分113(a)は光電変換素子PDに対して開口を有するため、光電変換素子PDの感度の低下を抑制することができる。
同様に、チタンからなる部分114(a)を有することで、より水素の吸蔵量が増大するため、ノイズの増大を抑制することができる。また、部分114(a)は光電変換素子PDに対して開口を有するため、光電変換素子PDの感度の低下を抑制することができる。
同様に、コンタクトプラグ111と配線層112がチタンからなる部分111(a)、部分112(a)、部分112(c)を有するため、ノイズの増大を抑制することができる。有効領域A1に配される配線層112は、第1光電変換素子に対して開口を有するため、光電変換素子の感度の低下を抑制することができる。また、OB領域A2に配される配線層112は、チタンからなる部分112(a)、部分112(c)を有するため、OB領域A2においても膜101の負バイアス効果の低減を抑制することができる。
ここで、平面視においては、ビアプラグ113は、少なくとも1つの光電変換素子PDを囲む形状を有する。例えば、ビアプラグ113は平面視において格子状である。例えば、距離情報や位相差情報を得るために複数の光電変換素子PDに対して1つのマイクロレンズを有する構成においては、ビアプラグ113が複数の光電変換素子PDが配された1つの領域を囲むように設けられていてもよい。同様に、平面視において、有効領域A1に配された配線層112は、少なくとも1つの光電変換素子PDを囲む形状を有していてもよく、複数の光電変換素子PDが配された1つの領域を囲むように設けられていてもよい。更に、平面視において、ビアプラグ114は、少なくとも1つの光電変換素子PDを囲む形状を有していてもよく、複数の光電変換素子PDが配された1つの領域を囲むように設けられていてもよい。
図9(a)の膜105よりも上の構造について説明する。まず、膜105の上には膜120が配される。膜120は、窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、酸窒化シリコン膜などの無機材料や、アクリル系樹脂やポリイミド系樹脂などの有機材料からなる。膜120は、平坦化膜や保護膜としても機能しうる。膜120の上、且つ光電変換素子PDの上には、カラーフィルタ121が配される。カラーフィルタ121は、任意の波長の光を透過しうる。膜122は、膜120やカラーフィルタ121の上に配され、アクリル系樹脂やポリイミド系樹脂などの有機材料からなり、平坦化膜として機能しうる。マイクロレンズ123は、アクリル系樹脂やポリイミド系樹脂などの有機材料からなり、膜122の上、且つ光電変換素子PDの上に配される。マイクロレンズ123は、少なくとも1つの光電変換素子PDへ光を集光する。平面視においては、マイクロレンズ123は、少なくとも1つの光電変換素子PDに重畳する。膜122とマイクロレンズ123は1つの膜から形成された構造であってもよい。膜124は、マイクロレンズ123の上、更には膜122の上に配され、酸化シリコン膜などの無機材料やフッ素を含む有機材料などからなり、保護膜や反射防止膜として機能しうる。カラーフィルタ121やマイクロレンズ123は有効領域A1の他の単位セルに対してもそれぞれ設けられている。また、マイクロレンズ123やカラーフィルタ121は、平坦性の向上や迷光の防止のために、OB領域A2に配されていてもよい。
図9(a)の半導体層100の面P1側には、トランジスタなどの素子を構成するゲート電極131と、半導体領域と、素子分離部130等が配されている。ここで、図9(a)の有効領域A1とOB領域A2に示すゲート電極131は、例えば転送トランジスタを構成するゲート電極である。面P1側には、Z方向とは反対の下方に向かって、膜132、膜133、膜134、膜135がこの順に配されている。更に、膜132〜膜135の中には、コンタクトプラグ140、配線層141、ビアプラグ142、配線層143、ビアプラグ144、配線層145、ビアプラグ146、配線層147がZ方向とは反対の下方に向かってこの順に配されている。ここで、配線層147は、チップC2と接続する電極となりうる。このような配線構造によって、半導体層100の光電変換素子PDにて生じた電荷に基づく信号を、チップC2へと伝達する。なお、膜132〜膜135は、上述の膜103〜膜105にて示した材料から適宜選択されてなる絶縁膜であり、単層でも多層からなる膜であってもよい。コンタクトプラグ140は、例えば、チタンからなる部分と、窒化チタンからなる部分と、タングステンからなる部分とを含む。配線層141は、例えば、タンタルからなる部分と、銅を主成分とした部分とを含む。ビアプラグ142と配線層143、ビアプラグ144と配線層145、およびビアプラグ146と配線層147は、タンタルからなる部分と銅を主成分とした部分とを含み、一体に形成されたデュアルダマシン構造を有する。
次に、図9(a)のチップC2について説明する。チップC2は、半導体層200を有する。半導体層200は、面P3と、面P3と反対側の面P4とを有する。半導体層200には、トランジスタや容量などの素子を構成する半導体領域と、素子分離部201が設けられている。半導体層100と半導体層200との間に、複数の配線層が配されている。
面P3の上には、トランジスタを構成するゲート電極202、膜203、膜204、膜205、膜206が、Z方向にこの順に配されている。更に、膜203〜膜206の中には、コンタクトプラグ210、配線層211、ビアプラグ212、配線層213、ビアプラグ214、配線層215、ビアプラグ216、配線層217がZ方向にこの順に配されている。ここで、配線層217は、チップC1と接続する電極となりうる。このような配線構造によって、半導体層100の光電変換素子PDにて生じた電荷に基づく信号を受け、信号を処理し、データとして光電変換装置の外部へと出力することができる。膜203〜膜206は、上述の膜103〜膜105にて示した材料から適宜選択されてなる絶縁膜であり、単層でも多層からなる膜であってもよい。コンタクトプラグ210は、例えば、チタンからなる部分と、窒化チタンからなる部分と、タングステンからなる部分とを含む。配線層211は、例えば、タンタルからなる部分と、銅を主成分とした部分とを含む。ビアプラグ212と配線層213、およびビアプラグ216と配線層217は、タンタルからなる部分と銅を主成分とした部分とを含み、一体に形成されたデュアルダマシン構造を有する。ビアプラグ214は、例えば、窒化チタンからなる部分と、タングステンからなる部分とを含む。配線層215は、例えば、アルミニウムを主成分とする金属部分を有する。配線層215は、パッド領域A3において、外部端子と接続するパッドとなりうる。ここで、ビアプラグ214は、ビアプラグ113やビアプラグ114と同様に、タングステンからなる部分を有する。しかし、配線層213と配線層215とを接続するビアプラグ214に、チタンからなる部分は設けていない。しかし、第6実施形態では、固定電荷膜の上に位置する部分にチタンからなる部分を設けている。具体的には、コンタクトプラグ111、配線層112、ビアプラグ113、ビアプラグ114の少なくとも一部にはチタンからなる部分を設けている。このような構成によって、固定電荷膜の性能を低下させることを抑制することができる。
図9(a)のパッド領域A3においては、パッド部となる1つの配線層215を露出させる開口125が設けられている。開口125は、膜124、膜122、膜120、膜101〜膜106、半導体層100、膜132〜膜135、膜206に渡って設けられている。つまり、開口125はチップC1を貫通する。パッド領域A3において、コンタクトプラグ111、配線層112、ビアプラグ113、ビアプラグ114は、開口125の側面に沿ってすなわちZ方向に沿って配され、互いに接して配されている。これらは、膜101〜膜105へ開口125から金属や水分が混入することを低減するガードリングとして機能しうる。半導体層100には、開口125の側面に沿って分離領域136が配されている。分離領域136は例えば、半導体層100を貫通する溝に酸化シリコンなどの絶縁体を配した構成である。分離領域136は、有効領域A1やOB領域A2の半導体層100への開口125から金属や水分が混入することを低減するガードリングとして機能しうる。また、パッド領域A3において、コンタクトプラグ140、配線層141、ビアプラグ142、配線層143、ビアプラグ144、配線層145は、開口125の側面に沿って、すなわちZ方向に沿って配され、互いに接して配されている。これらは、膜132〜膜134へ開口125から金属や水分が混入することを低減するガードリングとして機能しうる。
図9(a)に示した光電変換装置の構造によって、金属部分が水素を吸蔵するため、固定電荷膜として機能する膜101への水素の供給量を低減することができるため、固定電荷膜としての特性の低下を抑制することができる。よって、光電変換装置のノイズが増大することを抑制することができる。また、水素を吸蔵することが可能な金属部分が光電変換素子に対応する開口を有することで、光が金属部分に吸収されることが低減される。よって、光電変換素子の感度の低下を抑制しつつ、ノイズ特性の良好な光電変換装置を提供することが可能である。
なお、OB領域A2に配された配線層112は、OB領域A2の光電変換素子への光の入射を低減する遮光膜として機能しうる。この配線層112の水素を吸蔵することが可能な金属部分を部分的に除去してもよい。それは、配線層112が膜104〜膜106からの水素が膜101へ到達することを低減させうるためである。
次に、図10(a)〜図14(b)を用いて、第6実施形態の光電変換装置の製造方法を説明する。以下、説明を簡易にするため加工前の部材と加工後の部材を同一の符号で説明する場合がある。
図10(a)では、チップC1を準備する。面P1と面P6を有する半導体層100に、素子分離部130と、半導体領域160、半導体領域161、トランジスタのソースドレインとなる半導体領域などを形成する。この時、分離領域136は、半導体層100をエッチングすることにより溝を形成し、絶縁膜を埋め込み、不要な絶縁膜を除去することによって形成される。分離領域136の深さは2〜5μm程度である。平面視において、分離領域136は、後に形成されるパッド部を取り囲むように配置される。半導体層100の面P1の上に、ゲート電極131を形成し、配線構造を形成する。配線構造は、膜132〜膜135、コンタクトプラグ140、配線層141、ビアプラグ142、配線層143、ビアプラグ144、配線層145、ビアプラグ146、配線層147を有する。各種素子、膜、配線構造などは、一般の半導体製造方法によって形成することができる。最終的に、チップC1は、面P6と面P7を有する。
図10(b)に示すように、チップC2を準備する。面P3と面P4を有する半導体層200に、素子分離部201と、トランジスタのソースドレインとなる半導体領域などを形成する。半導体層200の面P3の上に、ゲート電極202を形成し、配線構造を形成する。配線構造は、膜203〜膜206、コンタクトプラグ210、配線層211、ビアプラグ212、配線層213、ビアプラグ214、配線層215、ビアプラグ216、配線層217を有する。各種素子、膜、配線構造などは、一般の半導体製造方法によって形成することができる。最終的に、チップC2は、面P8と面P4を有する。
図11(a)では、チップC1とチップC2を接合し、チップC1の半導体層100を薄化する。チップC1の面P7とチップC2の面P8とを合わせ、配線層147と配線層217とが一体になるように接合する。ここで、面P5は、接合面である。その後、チップC1の半導体層100を機械研磨や化学機械研磨などで面P6から薄化する。半導体層100は面P2まで薄化される。分離領域136は面P2で露出される。
図11(b)では、面P2の上に、膜101、膜102、膜103をこの順に形成し、膜101〜膜103を貫通する開口511を形成する。膜101は、上述した材料の膜で、例えばALD(Atmic Layer Deposition)法によって形成することができる。膜102は、上述した材料の膜で、例えば、ALD法、PVD(Phisical Vaper Deposition)法やCVD(Chemical Vaper Deposition)法によって形成することができる。膜305は、PVD法やCVD法によって形成することができる。その後、膜101〜膜103に開口511を形成する。開口511は、エッチングによって形成することができる。
図12(a)では、開口511を埋め、膜103の上に渡って、金属膜612を形成する。金属膜612は、積層膜であり、次のように形成される。膜103の上面と、開口511の底面と側面に沿ってチタン膜を形成し、チタン膜の上にタングステン膜を形成し、その後、タングステン膜の上に再びチタン膜を形成する。次に、金属膜612をエッチングによりパターニングすることで、図12(b)に示すコンタクトプラグ111と配線層112が形成される。
図13(a)では、配線層112の上に膜104を形成し、膜104の中にビアプラグ113を形成する。膜104は、PVD法やCVD法によって形成することができる。ビアプラグ113は、次のように形成される。まず、膜104に開口を形成し、膜104の開口を埋め、且つ膜104の上面を覆う金属膜を形成する。膜104の上面に形成された金属膜をエッチングやCMP法によって除去することで、膜104の上面と一致した上面を有するビアプラグ113が形成される。ビアプラグ113を形成するための金属膜は、チタン膜と、チタン膜の上に形成された窒化チタン膜と、窒化チタン膜の上に形成されたタングステン膜の多層膜である。
図13(b)では、膜104とビアプラグ113を覆う部材を形成し、レンズ部107を有する膜106を形成する。膜106とレンズ部107は、レンズ形状のフォトレジストマスクを用いて部材の一部をエッチングすることで形成することができる。ここで、部材はCVD法によって形成することができる。
図14(a)では、図13(a)と同様に、膜105とビアプラグ114を形成する。そして、膜105とビアプラグ114を覆う膜120を形成する。膜120の上に、一般的な半導体製造方法によって、カラーフィルタ121と、膜122と、マイクロレンズ123と、膜124が形成され、図14(b)の構成が形成される。その後、パッド部となる配線層215を露出させる開口125を形成することで、図9(a)の構造を形成することができる。
コンタクトプラグ111、配線層112、ビアプラグ113、ビアプラグ114の材料としてチタン、窒化チタン、タングステンを用いた。これらは、いずれもCVD法やPVD法によって形成することができるため、同一装置での製造が可能となり、生産性よく製造することができる。また、ALD法によって形成される膜101を厚くする必要がないため、工数の削減が可能である。
第6実施形態では、ビアプラグ113、ビアプラグ114、配線層112の全てがチタン、ジルコニア、パラジウム、マグネシウムのうち少なくとも1つからなる金属部分を有する構成であった。しかし、少なくとも1か所にその部分が配されていれば、負バイアス効果の低減の抑制は可能である。
第6実施形態では、1つのマイクロレンズに対して1つの光電変換素子PDが配されている構成を示した。しかし、距離情報や位相差情報を得るための1つのマイクロレンズに対して複数の光電変換素子PDが配されている構成であってもよい。その場合には、平面視において、1つのマイクロレンズと複数の光電変換素子PDが重畳する構成となる。レンズ部107についても同様である。
図15は、第7実施形態における光電変換装置の一部を拡大した断面模式図である。第6実施形態の光電変換装置に対する第7実施形態の光電変換装置の差異は、金属部の厚さが異なる点である。図15は、図9(b)に対応するコンタクトプラグ111、配線層112、ビアプラグ113、ビアプラグ114、膜103〜106の一部を拡大して示したものである。第6実施形態では、部分113(a)の厚さd1、部分112(a)の厚さd2、部分112(c)の厚さd3、部分114(a)の厚さd4が等しい場合を示した。第7実施形態においては、厚さd2、厚さd3よりも厚さd1の方が大きく、厚さd2、厚さd3よりも厚さd4の方が大きい。
ここで、OB領域A2には配線層112が延在している。よって、膜101に水素が供給される量が有効領域A1よりも少ない場合が考えられる。このような場合において、本実施形態の構成によって、有効領域A1とOB領域A2の間における膜101に供給される水素量のバランスをとることができるため、ノイズのばらつきを低減することができる。
図16(a)は、第8実施形態における光電変換装置の断面模式図である。図16(a)は、図9(a)に対応した図面である。第6実施形態の光電変換装置に対する第8実施形態の光電変換装置の差異は、コンタクトプラグ111と配線層112の構造および材料が異なる点である。図16(b)を用いて詳細に説明する。
図16(b)は、図16(a)の一部を拡大した断面模式図であり、図9(b)に対応する。コンタクトプラグ111は、部分111(a)と、部分111(b)を含む。配線層112は、部分112(a)と、部分112(b)と、部分112(c)とを含む。部分111(a)は、チタン、ジルコニア、パラジウム、マグネシウムの水素吸蔵効果を有する金属の少なくとも1つからなる金属部分であり、第8実施形態ではチタンからなるものとする。部分111(b)は、水素吸蔵効果を有する金属とは異なるタングステンやアルミニウムからなる金属部分であり、第8実施形態ではタングステンからなるものとする。部分112(a)と部分112(c)は、水素吸蔵効果を有する金属とは異なる窒化チタンなどからなる部分である。部分112(b)は、水素吸蔵効果を有する金属とは異なるアルミニウムからなる部分である。第8実施形態に示すように、水素吸蔵効果を有する金属は適宜、設けることができる。本実施形態のような構成によって、有効領域A1とOB領域A2の間における膜101に供給される水素量のバランスをとることができるため、ノイズのばらつきを低減することができる。また、必要に応じて、部分112(a)や部分112(c)はチタン膜を含む積層膜にすることもでき、その配置は適宜、設定できる。
図17は、第9実施形態における光電変換装置の断面模式図である。図17は、図9(a)に対応した図面である。第6実施形態の光電変換装置に対する第9実施形態の光電変換装置の差異は、膜106のレンズ部107がない点である。このような構成においても、本発明は適用可能である。
図18は第10実施形態における撮像システムのブロック図である。撮像システムは、デジタルスチルカメラ、デジタルカムコーダ、カメラヘッド、監視用カメラ、複写機、ファックス、携帯端末、スマートフォン、車載カメラ、観測衛星、人口知能ロボットなどであり得る。第9実施形態における撮像装置1100は、第1〜第8実施形態の光電変換装置である。
図18に示す撮像システムは、バリア1101、レンズ1102、絞り1103、撮像装置1100、信号処理部1104を有する。更に、撮像システムは、メモリ部1105、外部I/F部1106、記録媒体制御I/F部1107、記録媒体1108、機械装置1109、制御部1110を備える。バリア1101はレンズ1102を保護し、レンズ1102は被写体の光学像を撮像装置1100に結像させる。絞り1103はレンズ1102を通った光量を可変する。撮像装置1100はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型の固体撮像装置であって、レンズ1102により結像された光学像を画像データに変換する。撮像装置1100は、画素回路、信号処理回路などが形成された半導体基板、半導体基板を格納するパッケージ、外部回路との接続端子などを含み得る。撮像装置1100の半導体基板にはAD(アナログ・デジタル)変換部が形成されている。信号処理部1104は撮像装置1100より出力された画像データにおいて階調補正、ノイズ除去などの画像処理を行う。
メモリ部1105はダイナミックメモリなどの揮発性メモリ、またはフラッシュメモリなどの不揮発性メモリを備え、画像データを格納するフレームメモリとして機能する。外部I/F部1106は外部コンピュータ、ネットワーク、サーバ等と通信するための有線または無線のインターフェースである。記録媒体制御I/F部1107は記録媒体1108に画像データの記録または読み出しを行うためのインターフェースであり、記録媒体1108は画像データを格納するための半導体メモリを有するメモリカード等の着脱可能な記録媒体である。機械装置1109はレンズ1102、絞り1103などの光学機構の駆動装置、カメラヘッドの姿勢制御などを行う機構装置などを含み得る。制御部1110はCPU、ROM、RAMなどを備え、予め定められたプログラムに従い、撮像システム全体の制御を行う。また、制御部1110は、画像データにおける被写体の動きを検出し、所定の処理を実行することが可能である。図18において、信号処理部1104、メモリ部1105、制御部1110は撮像装置1100とは別に設けられているが、撮像装置1100と同一の半導体基板に形成されてもよい。
図19(a)、図19(b)は、第1〜第8実施形態における光電変換装置を車戴カメラに関する撮像システムに適用した例を示している。本実施形態において、撮像装置2010は第1〜第8実施形態の光電変換装置に相当する。
撮像システム2000は、撮像装置2010により取得された複数の画像データに対し、画像処理を行う画像処理部2030と、撮像システム2000により取得された複数の画像データから視差(視差画像の位相差)の算出を行う視差算出部2040を有する。また、撮像システム2000は、算出された視差に基づいて対象物までの距離を算出する距離計測部2050と、算出された距離に基づいて衝突可能性があるか否かを判定する衝突判定部2060とを有する。ここで、視差算出部2040、距離計測部2050は、対象物までの距離情報を取得する距離情報取得手段の一例である。すなわち、距離情報とは、視差、デフォーカス量、対象物までの距離等に関する情報である。衝突判定部2060はこれらの距離情報のいずれかを用いて、衝突可能性を判定してもよい。距離情報取得手段は、専用に設計されたハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアモジュールによって実現されてもよい。また、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)によって実現されてもよいし、これらの組合せによって実現されてもよい。
撮像システム2000は車両情報取得装置2310と接続されており、車速、ヨーレート、舵角などの車両情報を取得することができる。また、撮像システム2000は、衝突判定部2060での判定結果に基づいて、車両に対して制動力を発生させる制御信号を出力する制御装置である制御ECU2410が接続されている。また、撮像システム2000は、衝突判定部2060での判定結果に基づいて、ドライバーへ警報を発する警報装置2420とも接続されている。例えば、衝突判定部2060の判定結果として衝突可能性が高い場合、制御ECU2410はブレーキをかける、アクセルを戻す、エンジン出力を抑制するなどして衝突を回避、被害を軽減する車両制御を行う。警報装置2420は音等の警報を鳴らす、カーナビゲーションシステムなどの画面に警報情報を表示する、シートベルトまたはステアリングに振動を与えるなどしてユーザに警告を行う。撮像システム2000は上述のように車両を制御する動作の制御を行う制御手段として機能する。
第11実施形態では車両の周囲、例えば前方または後方を撮像システム2000で撮像する。図19(b)に、車両前方(撮像範囲2510)を撮像する場合の撮像システムを示す。撮像制御手段としての車両情報取得装置2310が、撮像システム2000ないしは撮像装置2010に指示を送る。このような構成により、測距の精度をより向上させることができる。
上述では、他の車両と衝突しないように制御する例を説明したが、他の車両に追従して自動運転する制御、車線からはみ出さないように自動運転する制御などにも適用可能である。さらに、撮像システムは、自車両等の車両に限らず、例えば、船舶、航空機あるいは産業用ロボットなどの移動体(移動装置)に適用することができる。加えて、移動体に限らず、高度道路交通システム(ITS)等、広く物体認識を利用する機器に適用することができる。
第6〜第11実施形態は第1、2、5実施形態と互換性がある。すなわち、第6〜11実施形態の配線層112は、第1、2実施形態の遮光膜50、あるいは、第5実施形態の遮光膜520に相当する。第6〜11実施形態のビアプラグ113は、第1実施形態の遮光壁60の部分601、第2実施形態の遮光壁60の部分601の第1遮光壁層61、あるいは、第5実施形態の遮光部531に相当する。第6〜11実施形態のビアプラグ114は、第2実施形態の遮光壁60の部分601の第2遮光壁層62に相当する。
以下、第6〜第11実施形態として例示的に説明された発明は、以下の観点を含みうる。
(観点1)
観点1としての光電変換装置は、
第1光電変換素子を有する半導体層と、
前記第1光電変換素子へ光を集光するためのマイクロレンズと、
前記マイクロレンズと前記第1光電変換素子との間に配された第1絶縁膜と、
前記第1光電変換素子と前記第1絶縁膜との間に配され、前記第1光電変換素子にて生じる電荷と同導電型の電荷を有する固定電荷膜と、を有する光電変換装置において、
前記第1絶縁膜と前記固定電荷膜との間に配され、前記第1光電変換素子に対応した開口を有し、チタン、ジルコニア、パラジウム、マグネシウムのうち少なくとも1つからなる第1金属部分を有する。
(観点2)
観点2としての光電変換装置は、観点1として特定された光電変換装置において、前記第1金属部分は、チタンからなる。
(観点3)
観点2としての光電変換装置は、観点1または観点2として特定された光電変換装置において、更に、
前記第1絶縁膜と前記固定電荷膜との間に配された第2絶縁膜と、
前記第2絶縁膜に配された第1プラグと、を有し、
前記第1金属部分は前記第1プラグを構成する。
(観点4)
観点4としての光電変換装置は、観点3として特定された光電変換装置において、更に、
前記第2絶縁膜と前記固定電荷膜との間に配された第3絶縁膜と、
前記第2絶縁膜と前記第3絶縁膜との間に配され、前記第1光電変換素子に対応した開口を有する第1配線と、を有し、
前記第1配線は、チタン、ジルコニア、パラジウム、マグネシウムのうち少なくとも1つからなる第2金属部分を有する。
(観点5)
観点2としての光電変換装置は、観点3または観点4として特定された光電変換装置において、
前記半導体層は、基準信号を生成するための第2光電変換素子を有し、
前記固定電荷膜と前記第1絶縁膜と前記第2絶縁膜は、前記第1光電変換素子が配された第1領域から前記第2光電変換素子が配された第2領域に渡って配され、
前記第2領域、且つ前記第2絶縁膜と前記固定電荷膜との間に配された第2配線を有し、
前記第2配線は、チタン、ジルコニア、パラジウム、マグネシウムとは異なる金属からなる第3金属部分を有する。
(観点6)
観点6としての光電変換装置は、観点5として特定された光電変換装置において、
前記第3金属部分は、タングステンまたはアルミニウムからなる。
(観点7)
観点7としての光電変換装置は、観点5または観点6として特定された光電変換装置において、
前記第2配線は、チタン、ジルコニア、パラジウム、マグネシウムのうち少なくとも1つからなる第4金属部分を有し、
前記第4金属部分の厚さは、前記第1金属部分の厚さよりも薄い。
(観点8)
観点8としての光電変換装置は、観点1または観点2として特定された光電変換装置において、更に、
前記第1絶縁膜と前記固定電荷膜との間に配された第2絶縁膜と、
前記第2絶縁膜と前記固定電荷膜との間に配された第3絶縁膜と、
前記第2絶縁膜と前記第3絶縁膜との間に配され、前記第1光電変換素子に対応した開口を有する第1配線と、を有し、
前記第1金属部分は、前記第1配線を構成する。
(観点9)
観点9としての光電変換装置は、観点1乃至観点8のいずれかとして特定された光電変換装置において、
前記半導体層は、第1面と、前記第1面とは反対側の第2面とを有し、
前記第2面は前記固定電荷膜と前記第1面との間に位置し、
前記第2面における平面視をした時に、前記第1金属部分が前記第1光電変換素子を囲む。
(観点10)
観点10としての光電変換装置は、観点9として特定された光電変換装置において、
前記半導体層は、第3光電変換素子を有し、
前記平面視をした時に、前記マイクロレンズは、前記第1光電変換素子と前記第3光電変換素子に重畳し、
前記第1金属部分は、前記第1光電変換素子と前記第3光電変換素子が配された領域を囲む。
(観点11)
観点11としての光電変換装置は、観点1乃至観点11のいずれかとして特定された光電変換装置において、 前記第1光電変換素子にて生じた電荷に基づく信号を伝達するための第3配線を有し、
前記半導体層は前記固定電荷膜と前記第3配線の間に位置する。
(観点12)
観点12としての光電変換装置は、観点11として特定された光電変換装置において、
第2半導体層と、第4配線と、を有し、
前記第3配線と前記第4配線は、前記第2半導体層と前記半導体層の間に位置する。
(観点13)
観点13としての光電変換装置は、観点1乃至観点12のいずれかとして特定された光電変換装置において、
前記第1絶縁膜は、窒化シリコン膜を含む。
(観点14)
観点14としての光電変換装置は、観点1乃至観点13のいずれかとして特定された光電変換装置において、
前記第1絶縁膜は、前記第1光電変換素子に集光するためのレンズ部を有する。
(観点15)
観点15としての光電変換装置は、観点1乃至観点14のいずれかとして特定された光電変換装置において、
前記固定電荷膜は、酸化ハフニウム膜、酸化アルミニウム膜、酸化ジルコニウム膜、酸化ニオブ膜、酸化チタン膜、酸化バナジウム膜から選ばれる材料からなる。
(観点16)
観点16としての撮像システムは、
観点1乃至観点15のいずれかとして特定された光電変換装置と、
前記光電変換装置からの信号を処理する処理回路と、を有する。
(観点17)
観点17としての移動体は、
観点1乃至観点15のいずれかとして特定された光電変換装置と、
前記光電変換装置からの信号に基づく視差画像から、対象物までの距離情報を取得する距離情報取得手段と、を有する移動体であって、
前記距離情報に基づいて前記移動体を制御する制御手段をさらに有する。
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。例えば複数の実施形態同士を組み合わせたり、或る実施形態を別の実施形態で置き換えたり、或る実施形態の一部の事項を削除してもよい。なお、本明細書の開示内容は、本明細書に記載したことのみならず、本明細書および本明細書に添付した図面から把握可能な全ての事項を含む。また本明細書の開示内容は、本明細書に記載した概念の補集合を含んでいる。すなわち、本明細書に例えば「AはBである」旨の記載があれば、本明細書に「AはBでない」旨の記載を省略したとしても、本明細書は「AはBでない」旨を開示しているものとする。なぜなら、「AはBである」旨を記載している場合には、発明者は「AはBでない」場合を検討していることが当然だからである。発明の範囲を公にするために請求項を添付する。