本発明は、下記一般式(1)で表される高分子化合物を含有するトナーである。
上記一般式(1)中、Aは重合性基を有するアゾベンゼン誘導体に由来する構造単位を含む重合体ブロックであり、Bはアゾベンゼン基を有さない熱可塑性樹脂である重合体ブロックである。
このようなアゾベンゼン誘導体に由来する構造単位を含むブロック共重合体を含む本発明のトナーは、光照射による軟化速度が向上し、画像の定着性に優れる。
なぜ、本発明のトナーにより上記効果が得られるのか、詳細は不明であるが、下記のようなメカニズムが考えられる。なお、下記のメカニズムは推測によるものであり、本発明は下記メカニズムに何ら制限されるものではない。以下の説明では、上記一般式(1)で表される高分子化合物を、単に「本発明の高分子化合物」とも称する。
アゾベンゼン化合物は、光を吸収し固体状態から軟化(光相転移)する材料であることが知られており、アゾベンゼン化合物の光相転移は、シス−トランス異性化により生じていると考えられる。アゾベンゼン化合物のシス−トランス異性化反応を利用して可逆的に固体状態から軟化・溶融する材料がいくつか知られている。上記特許文献1および2では、それらの材料を含有して光照射によりトナーを軟化させるシステムが記載されているが、含有されるアゾベンゼン化合物が低分子量の材料であるため、用紙に定着される固体状態となっても、定着画像の強度が低いという課題があった。
本発明では、アゾベンゼン誘導体成分と熱可塑性樹脂成分とをブロック共重合体構造となるように高分子化し、トナーに含有させる。高分子化することでアゾベンゼン基が光吸収して、光励起・失活過程で放出される熱エネルギーが、結合する繰り返しユニット(構造単位)に伝わること(光熱変換)により軟化し、トナー像を溶融または軟化させる。また、ブロック共重合体を形成することで、アゾベンゼン誘導体がトナー内でドメインを形成しやすくなり、軟化・溶融を効率的に誘起すると考えられる。また、熱可塑性樹脂成分を同一高分子内に含むため、軟化溶融が効果的に伝達され、トナー全体として大きな軟化溶融現象を誘起することが可能になると考えられる。さらに、アゾベンゼン誘導体が高分子化され、熱可塑性樹脂成分も含有しているため靭性も向上し、優れた画像強度を得ることができると考えられる。
以下、本発明の好ましい実施形態を説明する。なお、本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、本明細書において、特記しない限り、操作および物性等の測定は、室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%RHの条件で行う。
[トナーの構成]
本発明のトナーは、重合性基を有するアゾベンゼン誘導体に由来する構造単位を含む重合体ブロック(A)と、アゾベンゼン基を有さない熱可塑性樹脂の重合体ブロックBとを含み、下記の2〜5ブロック共重合体構造のうちいずれかを有する高分子化合物(ブロック共重合体)を含む。
上記のブロック共重合体構造のうち、軟化溶融のしやすさと画像強度の観点から、A−B−AまたはB−A−Bのブロック共重合体構造であることが好ましく、A−B−Aのブロック共重合体構造であることがより好ましい。
<重合性基を有するアゾベンゼン誘導体に由来する構造単位を含む重合体ブロック(A)>
重合性基を有するアゾベンゼン誘導体に由来する構造単位を含む重合体ブロック(A)は、重合性基を有するアゾベンゼン誘導体(a)に由来する構造単位を含む。重合体ブロック(A)は、重合性基を有するアゾベンゼン誘導体(a)(アゾベンゼン誘導体モノマー)を重合させて得られる重合体ブロックである。
重合性基を有するアゾベンゼン誘導体(a)の1分子中に含まれる重合性基の数は、1つであってもよいし、2以上であってもよい。中でも、低い光照射エネルギー量であっても、溶融しやすい重合体が得られやすい観点では、重合性基を有するアゾベンゼン誘導体(a)の1分子中に含まれる重合性基の数は1つであること、すなわち単官能の重合性単量体であることが好ましい。
重合性基としては、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、ビニル基が挙げられるが、(メタ)アクリロイル基またはビニル基であることが好ましい。ブロック共重合体の合成法として、アニオン重合、カチオン重合、リビングラジカル重合が知られている。その中でも簡便な合成方法としては、ATRP法やRAFT法といったリビングラジカル重合法が挙げられる。重合性基が(メタ)アクリロイル基またはビニル基であればATRP法やRAFT法といったリビングラジカル重合法を用いることができるため好ましい。中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。なお、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基およびメタクリロイル基を意味する。
すなわち、重合性基を有するアゾベンゼン誘導体(a)は、重合性基を有する基として、下記式(i)〜(iii)のいずれかで表される基を有することが好ましい。以下の重合性基を有する基を含むとリビングラジカル重合法によるブロック共重合体の合成に好適であるため好ましい。なかでも、軟化溶融のしやすさの観点から、(ii)または(iii)の重合性基を有する基を含むことが好ましく、(iii)の重合性基を有する基を含むことがさらに好ましい。
式(i)〜(iii)中、R1は、それぞれ独立して水素原子またはメチル基である。R2は、それぞれ独立して炭素原子数1〜18のアルキレン基である。炭素原子数1〜18のアルキレン基は、炭素原子数3〜10のアルキレン基であることが好ましい。アルキレン基は、直鎖状であってもよいし、分岐状であってもよく、好ましくは直鎖状である。アルキレン基の一部は、置換基で置換されていてもよい。置換基の例としては、ハロゲン基、ニトロ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基などが挙げられる。
重合性基を有するアゾベンゼン誘導体(a)は、下記式(2)で表される化合物であることが好ましい。
式(2)中、X1〜X3のいずれか1つは、重合性基を有する基であり、残りは、それぞれ水素原子である。重合性基を有する基は、前述の式(i)〜(iii)のいずれかで表される基であることが好ましく、式(iii)で表される基であることがより好ましい。
R3〜R5は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン基、ニトロ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子数1〜16のアルコキシ基、炭素原子数2〜16のアシル基、炭素原子数2〜16のアルコキシカルボニル基、または炭素原子数2〜16のアシルオキシ基である。ハロゲン基は、フルオロ基(−F)、クロロ基(−Cl)、ブロモ基(−Br)、またはヨード基(−I)を指す。炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子数1〜16のアルコキシ基、炭素原子数2〜16のアシル基、炭素原子数2〜16のアルコキシカルボニル基、または炭素原子数2〜16のアシルオキシ基は、それぞれ、炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数1〜12のアルコキシ基、炭素原子数2〜12のアシル基、炭素原子数2〜12のアルコキシカルボニル基、または炭素原子数2〜12のアシルオキシ基であることが好ましく、それぞれ、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数2〜8のアシル基、炭素原子数2〜8のアルコキシカルボニル基、または炭素原子数2〜8のアシルオキシ基であることがより好ましい。上記のアルキル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、またはアシルオキシ基の一部は、置換基で置換されていてもよい。置換基の例としては、ハロゲン基、ニトロ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基などが挙げられる。なお、上記のアルキル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、またはアシルオキシ基は、直鎖状であっても分岐していてもよいが、光相転移が生じやすい構造を構成する観点から直鎖状であることがより好ましい。
また、光異性化のしやすさの観点から、R3〜R5は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基または炭素原子数1〜8のアルコキシ基であることがさらに好ましい。このような化合物であれば、高い熱運動性を有しながら分子間相互作用が比較的弱い。そのため、光照射によるシス−トランス異性化がより進行しやすくなり、トナーの軟化速度および画像の定着性がさらに向上するものと考えられる。
中でも、光異性化を生じやすくすることで、より低エネルギーの光照射によってもトナー像を溶融または軟化しやすくする観点から、重合性基を有するアゾベンゼン誘導体(a)は、下記式(3)で表される化合物であることが好ましい。
式(2)中、X1およびR3は、式(2)中のX1およびR3とそれぞれ同義である。すなわち、X1は、前記重合性基を有する基であり、R3は、水素原子、ハロゲン基、ニトロ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子数1〜16のアルコキシ基、炭素原子数2〜16のアシル基、炭素原子数2〜16のアルコキシカルボニル基、または炭素原子数2〜16のアシルオキシ基である。
さらに、光異性化を生じやすくすることで、より低エネルギーの光照射によってもトナー像を溶融または軟化しやすくする観点から、重合性基を有するアゾベンゼン誘導体(a)は、下記式(4)で表される化合物であることが特に好ましい。
式(4)中、R1は、水素原子またはメチル基であり、R2は、炭素原子数1〜18のアルキレン基であり、R3は、水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、または炭素原子数1〜8のアルコキシ基である。
<重合性基を有するアゾベンゼン誘導体の調製方法>
重合性基を有するアゾベンゼン誘導体の調製方法は特に制限されない。例えば、はじめに所望のアゾベンゼン誘導体を準備し、得られたアゾベンゼン誘導体に重合性基を有する基を導入することで調製することができる。
アゾベンゼン誘導体は、特に制限されないが、例えば、第1段階として、アニリン誘導体と亜硝酸ナトリウムとを冷却下で反応させてジアゾニウム塩を生成し、これとフェノール類とを反応させて中間体(4−フェニルジアゼニル)フェノール化合物を得る。例えば上記式(4)の化合物を得る場合、パラ位にR3を有するアニリン誘導体とフェノールとを原料として用いて下記の中間体Aを得ることができる。
その後、第2段階として、上記中間体Aに対して重合性基を導入する。重合性基を有する基を導入する方法も特に制限されない。例えば、上記式(4)の化合物を得る場合、中間体Aに対してリンカー部R2を導入するために、R2のハロゲン化アルコール化合物であるX−R2−OHを作用させて下記の中間体Bを得る。
その後、第3段階として、中間体Bに、重合性基を有する基を構成するための化合物、例えば上記(4)の化合物を得る場合はアクリル酸塩またはメタクリル酸塩を反応させる。反応条件は特に限定されない。例えば公知の有機溶媒中で、トリエチルアミン、トリエタノールアミンなどの三級アミン類の存在下で反応を行うことが好ましい。好ましくは、上記中間体B、アミン類、および溶媒を含む混合液を0〜10℃に保ちながら、この混合液にアクリル酸塩またはメタクリル酸塩を滴下して混合する。その後、混合液を例えば室温で5〜10時間程度反応させて、重合性基を有するアゾベンゼン誘導体を得ることができる。
なお、上記の第1段階において、使用する原料を他の化合物に変更することで、所望の置換基を有するアゾベンゼン誘導体を得ることができる。また、第2段階、第3段階で添加する化合物を変化させることで異なる構造の重合性基を有する基を導入することができる。当業者であれば、上記変更を適宜行い、適当な反応条件を選択することで、所望の重合性基を有する基を含むアゾベンゼン誘導体を合成することができる。
また、上記の第1段階において、使用する原料を適当に選択することで第2段階を行わずに中間体Aに重合性基を有する基を導入することもできる。
<アゾベンゼン基を有さない熱可塑性樹脂である重合体ブロックB>
重合体ブロックBは、加熱により軟化する熱可塑性樹脂であり、重合体ブロックBを構成する構造単位にアゾベンゼン基を含まないものであれば特に制限されない。
重合体ブロックBを構成する構造単位としては、ATRP法やRAFT法などのリビングラジカル重合法によるブロック共重合体の合成に適用する観点から、ビニル系の重合性基を有するものであることが好ましい。具体的には、例えば、スチレン誘導体、(メタ)アクリル酸誘導体、オレフィン誘導体、ビニルエステル誘導体、ビニルエーテル誘導体、ビニルケトン誘導体等が用いられ、スチレン誘導体、(メタ)アクリル酸誘導体、またはオレフィン誘導体であることが好ましい。すなわち、アゾベンゼン基を有さない熱可塑性樹脂である重合体ブロックBは、スチレン誘導体、(メタ)アクリル酸誘導体、またはオレフィン誘導体に由来する構造単位を少なくとも1つ含む重合体ブロックであることが好ましい。
スチレン誘導体としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンなどが挙げられる。
(メタ)アクリル酸誘導体としては、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
オレフィン誘導体としては、エチレン、プロピレン、n−ブチレン、イソブチレン、n−ペンテンなどが挙げられる。
ビニルエステル誘導体としては、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルなどが挙げられる。ビニルエーテル誘導体としては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテルなどが挙げられる。ビニルケトン誘導体としては、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトンなどが挙げられる。
本発明における一般式(1)で表される高分子化合物に含まれる重合体ブロックAの数平均分子量(合計の数平均分子量)は、特に制限されないが、好ましくは1000以上であり、より好ましくは1000〜100000であり、さらに好ましくは1000〜70000であり、さらにより好ましくは1000〜50000であり、特に好ましくは3000〜50000である。重合体ブロックAの合計の数平均分子量が1000以上であれば、定着性に優れるトナー像がより容易に得られるため好ましい。また、重合体ブロックAの合計の数平均分子量が100000以下であれば軟化溶融の効率が高くなるため好ましい。ここで、重合体ブロックAの合計の数平均分子量は、一般式(1)で表される高分子化合物が単一の重合体ブロックAを含む場合は当該重合体ブロックAの数平均分子量を指し、複数の重合体ブロックAを含む場合、各重合体ブロックAの数平均分子量の総和を意味する。
一般式(1)で表される高分子化合物に含まれる重合体ブロックBの数平均分子量(合計の数平均分子量)は、特に制限されないが、好ましくは1000以上であり、より好ましくは1000〜100000であり、さらに好ましくは1000〜70000であり、さらにより好ましくは1000〜50000であり、特に好ましくは3000〜50000である。重合体ブロックBの合計の数平均分子量が1000以上であれば、定着性に優れるトナー像がより容易に得られるため好ましい。また、重合体ブロックBの合計の数平均分子量が100000以下であれば軟化溶融の効率が高くなるため好ましい。ここで、重合体ブロックBの合計の数平均分子量は、一般式(1)で表される高分子化合物が単一の重合体ブロックBを含む場合は当該重合体ブロックBの数平均分子量を指し、複数の重合体ブロックBを含む場合、各重合体ブロックBの数平均分子量の総和を意味する。
また、一般式(1)で表される高分子化合物の全数平均分子量Mnは、好ましくは3500以上であり、より好ましくは3500〜100000であり、さらに好ましくは3500〜70000であり、さらにより好ましくは3500〜50000であり、特に好ましくは5000〜50000である。一般式(1)で表される高分子化合物の全数平均分子量が3500以上であれば、定着性に優れるトナー像がより容易に得られるため好ましい。また、全数平均分子量が100000以下であれば軟化溶融の効率が高くなるため好ましい。
したがって、本発明の好ましい一実施形態によれば、本発明のトナーにおいて、一般式(1)で表される高分子化合物に含まれる重合体ブロックAの合計の数平均分子量が1000以上であり、重合体ブロックBの合計の数平均分子量が1000以上であり、前記一般式(1)で表される高分子化合物の全数平均分子量Mnが3500以上である。
本発明の一般式(1)で表される高分子化合物において、重合体ブロックAの合計の数平均分子量と重合体Bの合計の数平均分子量との比は特に制限されないが、軟化溶融のしやすさおよび画像強度の観点から、重合体ブロックAの合計の数平均分子量:重合体ブロックBの合計の数平均分子量の比は、1:20〜20:1であることが好ましく、1:15〜15:1であることがより好ましい。
本発明の一般式(1)で表される高分子化合物の数平均分子量、一般式(1)で表される高分子化合物に含まれる重合体ブロックAおよびBの数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。具体的には、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
一般式(1)で表される高分子化合物のガラス転移温度(Tg)は耐熱保管性および光照射に伴う軟化・溶融を高効率に誘起する観点から、25〜100℃であることが好ましく、30〜80℃であることがより好ましい。上記一般式(1)で表される高分子化合物のガラス転移温度(Tg)は、アゾベンゼン誘導体を重合して得られる重合体ブロックAと熱可塑性樹脂の重合体ブロックBとの含有比率、熱可塑性樹脂の重合体ブロックBを構成する樹脂の種類、ブロック共重合体構造、および分子量などによって調整することができる。一般式(1)で表される高分子化合物のガラス転移温度は、実施例に記載の方法により測定することができる。
<ブロック共重合体の調製方法>
一般式(1)で表される高分子化合物(ブロック共重合体)の合成方法は特に制限されず、アニオン重合、カチオン重合、リビングラジカル重合などの公知の方法が用いられうる。中でも、簡便な合成方法として原子移動ラジカル重合法(ATRP法)やRAFT法といったリビングラジカル重合法が好適に用いられうる。
ATRP法を例にとれば、開始剤として、1官能、2官能、3官能、または4官能のハロゲン元素を含む化合物を出発物質にして、重合体ブロックAまたはBの構造単位となるモノマーを触媒下で重合させる、等の方法により行うことができる。
モノマーを重合する段階においては、例えば、開始剤、触媒および配位子の存在下で重合体ブロックAまたはBのいずれか一方(ブロック共重合体のコア部分となるブロック)の構造単位となるモノマーを重合してマクロ開始剤を製造する。
前記開始剤としては、例えば、2−ブロモイソ酪酸ブチル、エチレンビス(2−ブロモイソブチレート)、1,1,1−トリス(2−ブロモイソブチリルオキシメチル)エタン、ペンタエリスリトールテトラキス(2−ブロモイソブチレート)、α,α’−ジブロモ−p−キシレン、ブロモ酢酸エチル、2−ブロモイソブチリルブロミドまたはこれらの混合物などを例示することができるが、これに限定されるものではない。
触媒としては銅(I)触媒、鉄(II)触媒などがあり、例えば、Cu(I)Cl、Cu(I)Br、Fe(II)Cl、Fe(II)Brまたはこれらの混合物などを例示することができる。
配位子としては公知のものを使用することができるが、2,2’−ビビリジル、4,4’−ジメチル−2,2’−ビビリジル、4,4’−ジ−tert−ブチル−2,2’−ビビリジル、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、シクラム(1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン)、1,4,8,11−テトラメチルシクラム(1,4,8,11−テトラメチル−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン)、トリス[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミンなどからなる群より選ばれる1種類以上が好ましい。
上記触媒および配位子の使用量は特に制限されず、従来公知の知見を参照して適宜決定することができる。
次に、上記重合により得られたマクロ開始剤を単離して開始剤として用い、再び触媒および配位子の存在下で、重合体ブロックAまたはBの構造単位となるモノマーのうち、マクロ開始剤の合成で使用していない方のモノマーの重合を行う。もしくは、マクロ開始剤の合成でモノマーをほぼすべて消費した段階で、マクロ開始剤を単離せずそのまま、マクロ開始剤の合成で使用していない方のモノマーを追加して、重合を続けてもよい。これらの操作により目的とするブロック共重合体を得ることができる。
上記の各反応は、窒素、またはアルゴン等の希ガス類など不活性雰囲気で行うことが好ましい。上記の各反応は、例えば、25〜160℃、好ましくは35〜130℃の温度で実行することができる。また、上記の各反応は、溶媒を用いずに行ってもよく、有機溶媒などの溶媒中で行ってもよい。
なお、重合体ブロックAまたはBのいずれか一方の構造単位となるモノマーを重合してマクロ開始剤を得る反応と、該マクロ開始剤を他方の重合体ブロックの構造単位となるモノマーと反応させてブロック共重合体を得る反応において、使用する触媒や配位子の種類や使用量、反応時の温度などの条件は同一であっても異なるものであってもよい。
<結着樹脂>
本発明のトナーは、結着樹脂をさらに含んでもよい。
結着樹脂は、アゾベンゼン基を有しない樹脂であって、一般にトナーを構成する結着樹脂として用いられている樹脂を制限なく用いることができる。結着樹脂としては、たとえば、スチレン樹脂、アクリル樹脂、スチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、オレフィン樹脂、アミド樹脂、およびエポキシ樹脂などが用いられうる。これら結着樹脂は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
これらの中でも、溶融すると低粘度になり、かつ高いシャープメルト性を有するという観点から、結着樹脂は、スチレン樹脂、アクリル樹脂、スチレンアクリル樹脂、およびポリエステル樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、スチレンアクリル樹脂およびポリエステル樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含むことがより好ましい。
(スチレンアクリル樹脂)
本発明でいうスチレンアクリル樹脂とは、少なくとも、スチレン単量体に由来する構造単位と、(メタ)アクリル酸エステル単量体に由来する構造単位とを含む重合体である。ここで、スチレン単量体とは、CH2=CH−C6H5の構造式で表されるスチレンの他、スチレン構造中に公知の側鎖や官能基を有する構造のものも含まれる。
スチレン単量体の例としては、前述の高分子化合物を構成しうるスチレン単量体と同様のものが挙げられる。
また、(メタ)アクリル酸エステル単量体とは、エステル結合を有する官能基を側鎖に有するものである。具体的には、CH2=CHCOOR(Rはアルキル基)で表されるアクリル酸エステル単量体の他、CH2=C(CH3)COOR(Rはアルキル基)で表されるメタクリル酸エステル単量体などのビニル系エステル化合物が含まれる。なお、(メタ)アクリル酸エステル単量体における(メタ)アクリル酸は、アクリル酸およびメタクリル酸を意味する。
(メタ)アクリル酸エステル単量体の例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
スチレン単量体および(メタ)アクリル酸エステル単量体は、それぞれ単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
スチレンアクリル樹脂におけるスチレン単量体に由来する構造単位および(メタ)アクリル酸エステル単量体に由来する構造単位の含有量は、特に限定されず、結着樹脂の軟化点やガラス転移温度を制御する観点から適宜調整されうる。具体的には、スチレン単量体に由来する構造単位の含有量は、単量体の合計量に対して40〜95質量%であることが好ましく、50〜80質量%であることがより好ましい。また、(メタ)アクリル酸エステル単量体に由来する構造単位の含有量は、単量体の合計に対して5〜60質量%であることが好ましく、10〜50質量%であることがより好ましい。
スチレンアクリル樹脂は、必要に応じて、スチレン単量体および(メタ)アクリル酸エステル単量体以外の他の単量体に由来する構造単位をさらに含んでもよい。他の単量体の例としては、ビニル単量体が挙げられる。以下に、本発明でいうスチレンアクリル共重合体を形成する際に併用可能なビニル単量体を例示するが、併用可能なビニル単量体は以下に示すものに限定されるものではない。
(1)オレフィン類
エチレン、プロピレン、イソブチレンなど
(2)ビニルエステル類
プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルなど
(3)ビニルエーテル類
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテルなど
(4)ビニルケトン類
ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトンなど
(5)N−ビニル化合物類
N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなど
(6)その他
ビニルナフタレン、ビニルピリジンなどのビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどのアクリル酸あるいはメタクリル酸誘導体など。
また、多官能性ビニル単量体を使用して、架橋構造の樹脂を作製することも可能である。さらに、側鎖にイオン性解離基を有するビニル単量体を使用することも可能である。イオン性解離基の具体例としては、たとえば、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基などが挙げられる。以下に、これらイオン性解離基を有するビニル単量体の具体例を示す。
カルボキシル基を有するビニル単量体の具体例としては、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステルなどが挙げられる。
スチレンアクリル樹脂の形成方法は、特に制限されず、公知の油溶性あるいは水溶性の重合開始剤を使用して単量体を重合する方法が挙げられる。必要に応じてたとえば、n−オクチルメルカプタンなどの公知の連鎖移動剤を使用してもよい。
本発明に使用されるスチレンアクリル樹脂を形成する場合、スチレン単量体および(メタ)アクリル酸エステル単量体の含有量は特に限定されるものではなく、結着樹脂の軟化点温度やガラス転移温度を制御する観点から適宜調整することが可能である。具体的には、スチレン単量体の含有量は、単量体全体に対し40〜95質量%が好ましく、50〜80質量%がより好ましい。また、(メタ)アクリル酸エステル単量体の含有量は、単量体全体に対し5〜60質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。
スチレンアクリル樹脂の形成方法は、特に制限されず、公知の油溶性あるいは水溶性の重合開始剤を使用して単量体を重合する方法が挙げられる。油溶性の重合開始剤としては、たとえば、以下に示すアゾ系またはジアゾ系重合開始剤や過酸化物系重合開始剤が用いられる。
アゾ系またはジアゾ系重合開始剤としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルなどが挙げられる。
過酸化物系重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、2,2−ビス−(4,4−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス−(t−ブチルパーオキシ)トリアジンなどが挙げられる。
また、乳化重合法でスチレンアクリル樹脂粒子を形成する場合は水溶性ラジカル重合開始剤が使用可能である。水溶性ラジカル重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、アゾビスアミノジプロパン酢酸塩、アゾビスシアノ吉草酸およびその塩、過酸化水素などが挙げられる。
重合温度は、用いる単量体や重合開始剤の種類によっても異なるが、50〜100℃であることが好ましく、55〜90℃であることがより好ましい。また、重合時間は、用いる単量体や重合開始剤の種類によっても異なるが、たとえば2〜12時間であることが好ましい。
乳化重合法により形成されるスチレンアクリル樹脂粒子は、組成の異なる樹脂よりなる2層以上の構成とすることもできる。この場合の製造方法としては、常法に従った乳化重合処理(第1段重合)により調製した樹脂粒子の分散液に、重合開始剤と重合性単量体とを添加し、この系を重合処理(第2段、第3段重合)する多段重合法を採用することができる。
(ポリエステル樹脂)
ポリエステル樹脂は、2価以上のカルボン酸(多価カルボン酸成分)と、2価以上のアルコール(多価アルコール成分)との重縮合反応によって得られるポリエステル樹脂である。なお、ポリエステル樹脂は、非晶性であってもよいし、結晶性であってもよい。
多価カルボン酸成分および多価アルコール成分の価数は、好ましくはそれぞれ2〜3であり、より好ましくはそれぞれ2である。すなわち、多価カルボン酸成分は、ジカルボン酸成分を含むことが好ましく、多価アルコール成分は、ジアルコール成分を含むことが好ましい。
ジカルボン酸成分としては、たとえば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸(ドデカン二酸)、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸などの飽和脂肪族ジカルボン酸;メチレンコハク酸、フマル酸、マレイン酸、3−ヘキセンジオイック酸、3−オクテンジオイック酸、ドデセニルコハク酸などの不飽和脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、テトラクロロフタル酸、クロロフタル酸、ニトロフタル酸、p−フェニレン二酢酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸などの不飽和芳香族ジカルボン酸;などが挙げられ、また、これらの低級アルキルエステルや酸無水物を用いることもできる。ジカルボン酸成分は、単独でもまたは2種以上混合して用いてもよい。
その他、トリメリット酸、ピロメリット酸などの3価以上の多価カルボン酸、およびその無水物、あるいは炭素数1〜3のアルキルエステルなども用いることができる。
ジオール成分としては、たとえば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオール、ネオペンチルグリコールなどの飽和脂肪族ジオール;2−ブテン−1,4−ジオール、3−ブテン−1,4−ジオール、2−ブチン−1,4−ジオール、3−ブチン−1,4−ジオール、9−オクタデセン−7,12−ジオールなどの不飽和脂肪族ジオール;ビスフェノールA、ビスフェノールFなどのビスフェノール類、およびこれらのエチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物などのビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などの芳香族ジオールが挙げられ、また、これらの誘導体を用いることもできる。ジオール成分は、単独でもまたは2種以上混合して用いてもよい。
ポリエステル樹脂の製造方法は特に制限されず、公知のエステル化触媒を利用して、上記多価カルボン酸成分および多価アルコール成分を重縮合する(エステル化する)ことによりを製造することができる。
ポリエステル樹脂の製造の際に使用可能な触媒としては、ナトリウム、リチウムなどのアルカリ金属化合物;マグネシウム、カルシウムなどの第2族元素を含む化合物;アルミニウム、亜鉛、マンガン、アンチモン、チタン、スズ、ジルコニウム、ゲルマニウムなどの金属の化合物;亜リン酸化合物;リン酸化合物;およびアミン化合物などが挙げられる。具体的には、スズ化合物としては、酸化ジブチルスズ(ジブチル錫オキサイド)、オクチル酸スズ、ジオクチル酸スズ、これらの塩などを挙げることができる。チタン化合物としては、テトラノルマルブチルチタネート(Ti(O−n−Bu)4)、テトライソプロピルチタネート、テトラメチルチタネート、テトラステアリルチタネートなどのチタンアルコキシド;ポリヒドロキシチタンステアレートなどのチタンアシレート;チタンテトラアセチルアセトナート、チタンラクテート、チタントリエタノールアミネートなどなどのチタンキレートなどを挙げることができる。ゲルマニウム化合物としては、二酸化ゲルマニウムなどを挙げることができる。さらにアルミニウム化合物としては、ポリ水酸化アルミニウム、アルミニウムアルコキシド、トリブチルアルミネートなどを挙げることができる。これらは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合温度は特に限定されるものではないが、70〜250℃であることが好ましい。また、重合時間も特に限定されるものではないが、0.5〜10時間であることが好ましい。重合中には、必要に応じて反応系内を減圧にしてもよい。
一般式(1)で表される高分子化合物と結着樹脂との含有比率は、特に限定されない。
トナーのガラス転移温度(Tg)は、定着性や耐熱保管性などの観点から、25〜100℃であることが好ましく、30〜80℃であることがより好ましい。トナーのガラス転移温度(Tg)は、上記一般式(1)の高分子化合物においてアゾベンゼン誘導体の重合体ブロックAと熱可塑性樹脂の重合体ブロックBとの含有比率、熱可塑性樹脂の重合体ブロックを構成する樹脂の種類、ブロック共重合体構造、および分子量などによって調整することができる。トナーが結着樹脂を含む場合は、さらに上記高分子化合物と結着樹脂との含有比率や、結着樹脂の種類、および分子量などによって調整することができる。トナーのガラス転移温度は、実施例に記載の方法により測定することができる。
なお、本発明のトナーは、単層構造を有する粒子であってもよいし、コアシェル構造を有する粒子であってもよい。コアシェル構造のコア粒子およびシェル部に用いられる結着樹脂の種類は、特に制限されない。
<着色剤>
本発明に係るトナーは着色剤を含有してもよい。着色剤としては、一般に知られている染料および顔料を用いることができる。
黒色のトナーを得るための着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、鉄・チタン複合酸化物ブラックなどが挙げられ、カーボンブラックとしてはチャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックが含まれる。また、磁性体としてはフェライト、マグネタイトなどが挙げられる。
イエローのトナーを得るための着色剤としては、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162などの染料;C.I.ピグメントイエロー14、同17、同74、同93、同94、同138、同155、同180、同185などの顔料が挙げられる。
マゼンタのトナーを得るための着色剤としては、C.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122などの染料;C.I.ピグメントレッド5、同48:1、同53:1、同57:1、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同222などの顔料が挙げられる。
シアンのトナーを得るための着色剤としては、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95などの染料;C.I.ピグメントブルー1、同7、同15、同60、同62、同66、同76などの顔料が挙げられる。
各色のトナーを得るための着色剤は、各色について、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
着色剤の含有量は、トナー中0.5〜20質量%であることが好ましく、2〜10質量%であることがより好ましい。
<離型剤>
本発明に係るトナーは、離型剤を含有してもよい。使用される離型剤は、特に限定されるものではなく、公知の種々のワックスを用いることができる。ワックスとしては、低分子量ポリプロピレン、ポリエチレン、または酸化型の低分子量ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン、パラフィンワックス、合成エステルワックスなどが挙げられる。中でも、トナーの保存安定性を向上させる観点から、パラフィンワックスを用いることが好ましい。
離型剤の含有量は、トナー中1〜30質量%であることが好ましく、3〜15質量%であることがより好ましい。
<荷電制御剤>
本発明に係るトナーは、荷電制御剤を含有してもよい。使用される荷電制御剤は、摩擦帯電により正または負の帯電を与えることのできる物質であり、かつ無色のものであれば特に限定されず、公知の種々の正帯電性の荷電制御剤および負帯電性の荷電制御剤を用いることができる。
荷電制御剤の含有量は、トナー中0.01〜30質量%であることが好ましく、0.1〜10質量%であることがより好ましい。
<外添剤>
トナーの流動性、帯電性、クリーニング性等を改良するために、トナー粒子に、いわゆる後処理剤である流動化剤、クリーニング助剤等の外添剤を添加して本発明に係るトナーを構成してもよい。
外添剤としては、たとえば、シリカ粒子、アルミナ粒子、酸化チタン粒子などの無機酸化物粒子、ステアリン酸アルミニウム粒子、ステアリン酸亜鉛粒子などの無機ステアリン酸化合物粒子、チタン酸ストロンチウム粒子、チタン酸亜鉛粒子などの無機チタン酸化合物粒子などの無機粒子が挙げられる。これらは単独でもまたは2種以上を組み合わせても用いることができる。
これら無機粒子は、シランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイルなどによって、耐熱保管性や環境安定性の向上のために、表面処理が行われていてもよい。
これら外添剤の添加量は、トナー中0.05〜5質量%であることが好ましく、0.1〜3質量%であることがより好ましい。
<トナーの平均粒径>
トナーの平均粒径は、体積基準のメジアン径(D50)で4〜20μmであることが好ましく、5〜15μmであることがより好ましい。体積基準のメジアン径(D50)が上記範囲にあると、転写効率が高くなり、ハーフトーンの画質が向上し、細線やドット等の画質が向上する。
トナーの体積基準のメジアン径(D50)は、「コールターカウンター3」(ベックマン・コールター株式会社製)に、データ処理用ソフト「Software V3.51」を搭載したコンピューターシステム(ベックマン・コールター株式会社製)を接続した測定装置を用いて測定・算出することができる。
具体的には、測定試料(トナー)0.02gを、界面活性剤溶液20mL(トナー粒子の分散を目的として、たとえば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加して馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー分散液を調製する。このトナー分散液を、サンプルスタンド内の「ISOTONII」(ベックマン・コールター株式会社製)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が8%になるまでピペットにて注入する。
ここで、表示濃度を上記範囲にすることで、再現性のある測定値を得ることができる。そして、測定装置において、測定粒子カウント数を25000個、アパーチャー径を50μmにし、測定範囲である1〜30μmの範囲を256分割して頻度値を算出し、体積積算分率の大きい方から50%の粒径を体積基準のメジアン径(D50)とする。
[トナーの製造方法]
本発明のトナーの製造方法は特に制限されない。例えば、上記の一般式(1)で表される高分子化合物のみでトナーとする場合は、一般式(1)で表される高分子化合物を、ハンマーミル、フェザーミル、カウンタージェットミルなどの装置を用いて粉砕した後、スピンエアーシーブ、クラッシール、マイクロンクラッシファイアーなどの乾式分級機を用いて所望の粒径になるように分級することを含む製造方法が好ましい。
一般式(1)で表される高分子化合物および着色剤を含み結着樹脂を含まないトナーを製造する場合は、一般式(1)で表される高分子化合物および着色剤がともに溶解する溶媒を用いて、一般式(1)で表される高分子化合物および着色剤を溶解させて溶液とした後、脱溶媒し、その後上記した方法と同様の方法で、粉砕・分級することを含む製造方法が好ましい。
一般式(1)で表される高分子化合物、結着樹脂および必要に応じて着色剤を含むトナーを製造する場合は、粒径および形状の制御が容易な乳化凝集法を利用した製造方法であることが好ましい。
かような製造方法は、
(1A)結着樹脂粒子の分散液を調製する結着樹脂粒子分散液調製工程
(1B)一般式(1)で表される高分子化合物の粒子の分散液を調製する高分子化合物粒子分散液調製工程
(1C)必要に応じて、着色剤粒子の分散液を調製する着色剤粒子分散液調製工程
(2)結着樹脂粒子、高分子化合物粒子、および必要に応じて着色剤粒子が存在している水系媒体中に、凝集剤を添加し、塩析を進行させると同時に凝集および融着を行い、会合粒子を形成する会合工程
(3)会合粒子の形状制御をすることによりトナー粒子を形成する熟成工程
(4)水系媒体からトナー粒子を濾別し、当該トナー粒子から界面活性剤等を除去する濾過、洗浄工程
(5)洗浄処理されたトナー粒子を乾燥する乾燥工程
(6)乾燥処理されたトナー粒子に外添剤を添加する外添剤添加工程
の各工程を含むことが好ましい。
以下、(1A)〜(1C)の工程について説明する。
(1A)結着樹脂粒子分散液調製工程
本工程では、従来公知の乳化重合などにより樹脂粒子を形成し、この樹脂粒子を凝集、融着させて結着樹脂粒子を形成する。一例として、結着樹脂を構成する重合性単量体を水系媒体中へ投入、分散させ、重合開始剤によりこれら重合性単量体を重合させることにより、結着樹脂粒子の分散液を作製する。
また、結着樹脂粒子分散液を得る方法として、上記の水系媒体中で重合開始剤により重合性単量体を重合させる方法の他に、たとえば、溶媒を用いることなく、水性媒体中において分散処理を行う方法、あるいは結晶性樹脂を酢酸エチルなどの溶媒に溶解させて溶液とし、分散機を用いて当該溶液を水性媒体中に乳化分散させた後、脱溶媒処理を行う方法などが挙げられる。
この際、必要に応じ、結着樹脂には離型剤を予め含有させておいてもよい。また、分散のために、適宜公知の界面活性剤(たとえば、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸などのアニオン系界面活性剤)の存在下で重合させることも好ましい。
分散液中の結着樹脂粒子の体積基準のメジアン径は、50〜300nmであることが好ましい。分散液中の結着樹脂粒子の体積基準のメジアン径は、「マイクロトラックUPA−150」(日機装株式会社製)を用いて動的光散乱法によって測定することができる。
(1B)高分子化合物粒子分散液調製工程
この高分子化合物粒子分散液調製工程は、一般式(1)で表される高分子化合物を、水系媒体中に微粒子状に分散させて、一般式(1)で表される高分子化合物の粒子の分散液を調製する工程である。
一般式(1)で表される高分子化合物の粒子の分散液を調製するにあたり、まず、前記高分子化合物の乳化液を調製する。前記高分子化合物の乳化液は、例えば有機溶媒に前記高分子化合物を溶解させた後、得られた溶液を水系媒体中で乳化させる方法が挙げられる。
前記高分子化合物を有機溶媒に溶解させる方法は、特に制限されず、たとえば、前記高分子化合物を有機溶媒に添加して、前記高分子化合物が溶解するように攪拌混合する方法が挙げられる。前記高分子化合物の添加量は、有機溶媒100質量部に対して、好ましくは5質量部以上100質量部以下、より好ましくは10質量部以上50質量部以下である。
次に、得られた前記高分子化合物の溶液と水系媒体とを混合し、ホモジナイザーなどの公知の分散機を用いて攪拌する。これにより、前記高分子化合物が液滴となって、水系媒体中に乳化され、前記高分子化合物の乳化液が調製される。
前記高分子化合物の溶液の添加量は、水系媒体100質量部に対して、好ましくは10質量部以上120質量部以下である。
前記高分子化合物の溶液と水系媒体との混合時における、前記高分子化合物の溶液および水系媒体の温度は、それぞれ有機溶媒の沸点未満となる温度範囲であって、好ましくは20℃以上80℃以下、より好ましくは30℃以上75℃以下である。前記高分子化合物の溶液と水系媒体の混合時における、前記高分子化合物の溶液の温度と水系媒体の温度とは、互いに同一であっても異なっていてもよく、好ましくは互いに同一である。
分散機の攪拌条件は、例えば攪拌容器の容量が1〜3Lである場合、回転数は7000rpm以上20000rpm以下であることが好ましく、攪拌時間は10分以上30分以下であることが好ましい。
前記高分子化合物の粒子の分散液は、前記高分子化合物の乳化液から有機溶媒を除去することによって調製される。前記高分子化合物の乳化液から有機溶媒を除去する方法としては、たとえば、送風、加熱、減圧、またはこれらの併用など、公知の方法が挙げられる。
一例として、前記高分子化合物の乳化液は、たとえば、窒素などの不活性ガス雰囲気下において、好ましくは25℃以上90℃以下、より好ましくは30℃以上80℃以下で、たとえば初期の有機溶媒量の80質量%以上95質量%以下程度が除去されるまで、加熱されることにより、有機溶媒が除去される。これにより、水系媒体から有機溶媒が除去されて、前記高分子化合物の粒子が水系媒体中に分散された前記高分子化合物の粒子の分散液が調製される。
前記高分子化合物の粒子の分散液中の前記高分子化合物の粒子の質量平均粒径は、90nm以上1200nm以下であることが好ましい。上記質量平均粒径は、前記高分子化合物を有機溶媒に配合したときの粘度、前記高分子化合物の溶液と水系媒体との配合割合、前記高分子化合物の乳化液を調製するときの分散機の攪拌速度などを適宜調節することにより、上記範囲内に設定することができる。前記高分子化合物の粒子の分散液中の前記高分子化合物の粒子の質量平均粒径は、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子株式会社製)を用いて測定することができる。
<有機溶媒>
本工程で用いられる有機溶媒は、一般式(1)で表される高分子化合物を溶解させることができれば、特に制限されず使用することができる。具体的には、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ヘキサン、ヘプタンなどの飽和炭化水素類、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素類が挙げられる。
このような有機溶媒は、単独でもまたは2種以上混合しても用いることができる。これら有機溶媒の中でも、ケトン類、ハロゲン化炭化水素類が好ましく、メチルエチルケトン、ジクロロメタンがより好ましい。
<水系媒体>
本工程で用いられる水系媒体は、水、または水を主成分として、アルコール類、グリコール類などの水溶性溶媒や、界面活性剤、分散剤などの任意成分が配合されている水系媒体などが挙げられる。水系媒体は、好ましくは水と界面活性剤とを混合したものが用いられる。
界面活性剤としては、たとえば、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤などが挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、たとえば、ドデシルアンモニウムクロライド、ドデシルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルピリジニウムクロライド、ドデシルピリジニウムブロマイド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイドなどが挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、たとえば、ステアリン酸ナトリウム、ドデカン酸ナトリウムなどの脂肪酸石けん、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウムなどが挙げられる。また、ノニオン性界面活性剤としては、たとえば、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンヘキサデシルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートエーテル、モノデカノイルショ糖などが挙げられる。
このような界面活性剤は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。界面活性剤の中では、好ましくはアニオン性界面活性剤、より好ましくはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが使用される。
界面活性剤の添加量は、水系媒体100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上10質量部以下、より好ましくは0.04質量部以上1質量部以下である。
(1C)着色剤粒子分散液調製工程
この着色剤粒子分散液調製工程は、着色剤を水系媒体中に微粒子状に分散させて着色剤粒子の分散液を調製する工程である。
着色剤の分散は、機械的エネルギーを利用して行うことができる。分散液中の着色剤粒子の個数基準のメジアン径は、10〜300nmであることが好ましく、50〜200nmであることがより好ましい。着色剤粒子の個数基準のメジアン径は、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子株式会社製)を用いて測定することができる。
(2)会合工程から(6)外添剤添加工程までの工程については、従来公知の種々の方法に従って行うことができる。
なお、(2)会合工程において使用される凝集剤は、特に限定されるものではないが、金属塩から選択されるものが好適に使用される。金属塩としては、たとえばナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属の塩等の一価の金属塩;カルシウム、マグネシウム、マンガン、銅などの二価の金属塩;鉄、アルミニウムなどの三価の金属塩などが挙げられる。具体的な金属塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガンなどを挙げることができ、これらの中で、より少量で凝集を進めることができることから、二価の金属塩を用いることが特に好ましい。これらは単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
[現像剤]
本発明に係るトナーは、たとえば磁性体を含有させて一成分磁性トナーとして使用する場合、いわゆるキャリアと混合して二成分現像剤として使用する場合、非磁性トナーを単独で使用する場合などが考えられ、いずれも好適に使用することができる。
上記磁性体としては、たとえば、マグネタイト、γ−ヘマタイト、または各種フェライトなどを使用することができる。
二成分現像剤に含まれるキャリアとしては、鉄、鋼、ニッケル、コバルト、フェライト、マグネタイトなどの金属、それらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金などの従来公知の材料からなる磁性粒子を用いることができる。
キャリアとしては、磁性粒子の表面を樹脂等の被覆剤で被覆したコートキャリアであってもよいし、バインダー樹脂中に磁性体粉末を分散させた樹脂分散型キャリアであってもよい。被覆用の樹脂としては、特に限定はないが、たとえば、オレフィン樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、スチレンアクリル樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂またはフッ素樹脂などが用いられる。また、樹脂分散型キャリア粒子を構成するための樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、たとえば、アクリル樹脂、スチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂などを使用することができる。
キャリアの体積基準のメジアン径は、20〜100μmであることが好ましく、25〜80μmであることがより好ましい。キャリアの体積基準のメジアン径は、代表的には湿式分散機を備えたレーザー回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパテック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
トナーのキャリアに対する混合量は、トナーとキャリアとの合計質量を100質量%として、2〜10質量%であることが好ましい。
[画像形成方法]
本発明のトナーは、電子写真方式の公知の種々の画像形成方法において用いることができる。たとえば、モノクロの画像形成方法やフルカラーの画像形成方法に用いることができる。フルカラーの画像形成方法では、イエロー、マゼンタ、シアン、およびブラックの各々に係る4種類のカラー現像装置と、1つの感光体とにより構成される4サイクル方式の画像形成方法や、各色に係るカラー現像装置および感光体を有する画像形成ユニットを、それぞれ色別に搭載するタンデム方式の画像形成方法など、いずれの画像形成方法にも適用することができる。
すなわち、本発明の一実施形態による画像形成方法は、1)記録媒体上に本発明のトナーからなるトナー像を形成する工程と、2)前記トナー像に光を照射して、前記トナー像を軟化させる工程とを含む。
1)の工程について
本工程では、本発明のトナーからなるトナー像を、記録媒体上に形成する。
(記録媒体)
記録媒体は、トナー画像を保持するための部材である。記録媒体の例としては、普通紙、上質紙、アート紙、コート紙などの塗工された印刷用紙、市販の和紙やはがき用紙、OHP用または包装材用の樹脂フィルム、および布などが挙げられる。
記録媒体は、所定の大きさを有するシート状(枚葉状)であってもよいし、トナー像が定着された後にロール状に巻き取られる長尺状であってもよい。
トナー像の形成は、後述するように、例えば感光体上のトナー像を記録媒体上に転写することにより行うことができる。
2)の工程について
本工程では、形成されたトナー像に光を照射してトナー像を軟化させる。これにより記録媒体上にトナー像を接着させることができる。
照射する光の波長は、トナー中の前記高分子化合物による光熱変換などにより、トナー像を十分に軟化させうる程度であれば特に制限されないが、好ましくは280nm以上480nm以下である。上記範囲であればトナー像をより効率的に軟化させることができる。また、光の照射量は、同様の観点から、好ましくは0.1〜200J/cm2、より好ましくは0.1〜100J/cm2、さらに好ましくは0.1〜50J/cm2である。
光の照射は、後述するように、例えば発光ダイオード(LED)やレーザー光源などの光源を用いて行うことができる。
2)の工程の後、必要に応じて、3)軟化させたトナー像を加圧する工程をさらに行ってもよい。
3)の工程について
本工程では、軟化させたトナー像を加圧する。
記録媒体上のトナー像を加圧する際の圧力は、特に限定されないが、0.01〜5.0MPaであることが好ましく、0.05〜1.0MPaであることがより好ましい。圧力を0.01MPa以上とすることで、トナー像の変形量を大きくしうるため、トナー像と記録用紙Sとの接触面積が増加し、画像の定着性をさらに高めやすい。また、圧力を5.0MPa以下とすることで、加圧時のショックノイズを抑制できる。
当該加圧工程は、光照射し、トナー像を軟化させる工程(前述の2)の工程)の前または同時に行ってもよいが、光照射した後に行うほうが、あらかじめ軟化した状態のトナー像に加圧することができ、この結果、画像の定着性がより向上するため好ましい。
また、加圧する工程において、軟化させたトナー像をさらに加熱してもよい。すなわち、加圧工程は、トナー像を加熱しながら行ってもよい。
トナー像の加熱温度(加熱時のトナー像の表面温度)は、トナーのガラス転移温度をTgとしたとき、(Tg+20)〜(Tg+100)℃であることが好ましく、(Tg+25)〜(Tg+80)℃であることがより好ましい。トナー像の表面温度が(Tg+20)℃以上であれば、加圧によってトナー像を変形させやすく、(Tg+100)℃以下であれば、ホットオフセットを抑制しやすい。なお、ホットオフセットとは、定着工程において、ローラーなどの加圧部材にトナーの一部が転移してしまい、トナー層が分断してしまう現象をいう。
また、2)の工程の前に、必要に応じて4)予めトナー像を加熱する工程をさらに行ってもよい。このように、2)の工程の前に4)予めトナー像を加熱する工程をさらに行うことで、本発明の高分子化合物の光に対する感受性をより高めることができる。それにより、高分子であっても光に対する感受性は損なわれにくいため、光照射によるトナー像の溶融または軟化を促進しやすい。
本発明の画像形成方法は、例えば以下の画像形成装置を用いることにより行うことができる。
図1は、本発明の一実施形態による画像形成方法で用いられる画像形成装置100を示す概略構成図である。ただし、本発明に用いられる画像形成装置としては、下記の形態および図示例に限定されるものではない。図1には、モノクロの画像形成装置100の例を示すが、カラーの画像形成装置にも本発明を適用することができる。
画像形成装置100は、記録媒体としての記録用紙Sに画像を形成する装置であって、
画像読取装置71および自動原稿送り装置72を備え、用紙搬送系7により搬送される記
録用紙Sに対し画像形成部10、照射部40、および圧着部9により画像形成を行う。
また、記録媒体として、画像形成装置100では記録用紙Sを用いているが、画像形成を行う対象とされる媒体は、用紙以外でもよい。
自動原稿送り装置72の原稿台上に載置された原稿dは、画像読取装置71の走査露光装置の光学系により走査露光されてイメージセンサーCCDに読み込まれる。イメージセンサーCCDにより光電変換されたアナログ信号は、画像処理部20において、アナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮処理等が行われた後、画像形成部10の露光器3に入力される。
用紙搬送系7は、複数のトレイ16、複数の給紙部11、搬送ローラー12、搬送ベルト13等を備えている。トレイ16は、決められたサイズの記録用紙Sをそれぞれ収容しており、制御部90からの指示に応じて定められたトレイ16の給紙部11を作動させ、記録用紙Sを供給する。搬送ローラー12は、給紙部11によってトレイ16から送り出された記録用紙Sまたは手差し給紙部15から搬入された記録用紙Sを画像形成部10へ搬送する。
画像形成部10は、感光体1の周りに、感光体1の回転方向に沿って、帯電器2、露光器3、現像部4、転写部5およびクリーニング部8がこの順番に配置されて構成されている。
像担持体である感光体1は、表面に光導電層の形成された像担持体であり、図示しない駆動装置により図1中の矢印方向に回転可能に構成されている。感光体1の近傍には、画像形成装置100内の温度や湿度を検知する温湿度計17が設けられている。
帯電器2は、感光体1の表面に均一に電荷を与え、感光体1の表面を一様に帯電させる
。露光器3は、レーザーダイオード等のビーム発光源を備え、帯電された感光体1の表面
にビーム光を照射することで照射部分の電荷を消失させ、感光体1上に画像データに応じ
た静電潜像を形成する。現像部4は、内部に収容されるトナーを感光体1に供給して、感
光体1表面上に静電潜像に基づくトナー像を作像する。
転写部5は、記録用紙Sを介して感光体1と対向し、トナー像を記録用紙Sに転写する。クリーニング部8は、ブレード85を備える。ブレード85により、感光体1表面をクリーニングして感光体1の表面に残留した現像剤を除去する。
トナー像が転写された記録用紙Sは、搬送ベルト13により圧着部9へ搬送される。圧着部9は、任意に設置されるものであり、トナー像が転写された記録用紙Sに対し、加圧部材91および92によって圧力のみまたは熱および圧力を加えて定着処理を施し、これにより記録用紙S上に画像を定着させる。画像が定着された記録用紙Sは、搬送ローラーによって排紙部14に搬送され、排紙部14から機外へ排出される。
また、画像形成装置100は用紙反転部24を備えており、加熱定着処理がなされた記録用紙Sを排紙部14の手前で用紙反転部24に搬送し、表裏を反転して排出するか、または表裏を反転した記録用紙Sを再度画像形成部10に搬送し記録用紙Sの両面に画像形成を行うことを可能としている。
<照射部>
図2は、画像形成装置100における照射部40の概略構成図である。
本発明の一実施形態による画像形成装置100は、照射部40を備える。照射部40は、記録用紙S上に形成されたトナー像に光を照射する。照射部40を構成する装置の例としては、発光ダイオード(LED)、レーザー光源などが挙げられる。
照射部40はトナー像を保持する記録用紙Sにおける感光体側の第1面に向かって光を照射するものであり、感光体1と転写部(転写ローラー)5とにニップされた記録用紙S面に対して感光体側に配置されている。
照射部40は、感光体1と転写部5とのニップ位置に対して、用紙搬送方向下流側、かつ圧着部9に対して用紙搬送方向上流側に配置されている。
本発明の一実施形態による画像形成方法によれば、帯電器2により感光体1に一様な電位を付与して帯電させた後、原画像データに基づいて露光器3により照射した光束で感光体1上を走査し、静電潜像を形成する。次に現像部4により本発明のトナーを含む現像剤を感光体1上に供給する。
感光体1の表面に担持されたトナー像が、感光体1の回転によって転写部5の位置に至るタイミングに合わせて、トレイ16から記録用紙Sを画像形成部10に搬送すると、転写部5に印加される転写バイアスにより、感光体1上のトナー像が、転写部5と感光体1とにニップされた記録用紙S上に転写される。
また、転写部5は、加圧部材を兼ねており、感光体1から記録用紙Sにトナー像を転写させることができながら、トナー像に含まれる前記高分子化合物を確実に記録用紙Sに密着させることができる。
トナー像が記録用紙Sに転写された後に、クリーニング部8のブレード85は、感光体1表面に残留する現像剤を除去する。
トナー像が転写された記録用紙Sが搬送ベルト13により圧着部9に搬送される過程において、照射部40は、記録用紙S上に転写されたトナー像に対して光を照射する。照射部40により記録用紙Sの第1面上のトナー像に向かって光を照射することにより、トナー像をより確実に溶融させることができ、トナー像の記録用紙Sに対する定着性を向上させることができる。
トナー像が保持された記録用紙Sが、搬送ベルト13により圧着部9に至ると、加圧部材91および92が、トナー像を記録用紙Sの第1面に圧着する。圧着部9により定着処理が施される前に、トナー像が照射部40による光照射により軟化するため、記録用紙Sに対する画像圧着の省エネルギー化を図ることができる。
トナー像を加圧する際の圧力は、前述の通りである。なお、該加圧工程は、光を照射して、トナー像を軟化させる工程の前または同時に行ってもよい、後に行ってもよい。あらかじめ軟化した状態のトナー像に加圧することができ、画像強度を高めやすい観点では、加圧工程は、光照射後に行うほうが好ましい。
また、加圧部材91は、記録用紙Sが加圧部材91および92の間を通過する際に、記録用紙S上のトナー像を加熱することができる。光照射によって軟化したトナー像は、この加熱によりさらに軟化され、その結果、トナー像の記録用紙Sへの定着性がより向上する。
トナー像の加熱温度は、前述の通りである。トナー像の加熱温度(トナー像の表面温度)は、非接触温度センサーにて測定することができる。具体的には、たとえば、加圧部材から記録媒体が排出される位置に非接触温度センサーを設置して、記録媒体上のトナー像の表面温度を測定すればよい。
加圧部材91および92によって圧着されたトナー像は、固化されて記録用紙S上に定着される。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[重合体1の合成]
<アゾベンゼン誘導体モノマー1の合成>
300mlの3頭コルベンにおいて、亜硝酸ナトリウム6.44g(0.933mol)を水20mlに溶解させて、内温が0℃となるまで冷却した。これに、p−トルイジン5g(0.047mol)と0.2Nの塩酸水溶液23gを、内温が5℃以下でゆっくり滴下した。滴下後、内温を保ちながら30分間攪拌した。
得られた溶液に、フェノール5.71g(0.06mol)、水酸化ナトリウム2.43g(0.06mol)および炭酸ナトリウム6.43g(0.06mol)を水20mlに溶かした溶液を、内温5℃以下を保ちながらゆっくり滴下し、黄色結晶を析出させた。滴下終了後、内温を保ちながら30分間攪拌した後、ろ過し、冷水で洗浄して、オレンジ色の結晶を得た。これを乾燥させた後、シリカゲルカラム(酢酸エチル/へプタン=1/4)にて精製して、9.7g(収率97.9%)の目的物1(4−(p−トルイルジアゼニル)フェノール)を得た。
200mlの4頭コルベンにおいて、得られた目的物1(4−(p−トルイルジアゼニル)フェノール)5g(0.024mol)を、ジメチルホルムアミド(DMF)25mlに溶解させた。これに、炭酸カリウム4.88g(0.035mol)を加え、30℃に保ちながら30分間攪拌した。これに、ヨウ化カリウム10.2mg(0.06mmol)、6−クロロ−1−ヘキサノール3.54g(0.026mol)を添加し、110℃で3時間反応させた。これを、室温まで冷却し、650gの氷に添加した後、ろ過した。結晶を水400mlに分散させ、一晩攪拌して洗浄し、ろ過して乾燥させた。
エタノールにて再結晶を行い、6.41g(収率87.1%)のオレンジ色の結晶として目的物2(6−(4−(p−トルイルアゼニル)フェノキシ)ヘキサン−1−オール)を得た。
100mlの4頭フラスコに、得られた目的物2(6−(4−(p−トルイルアゼニル)フェノキシ)ヘキサン−1−オール)3g(0.001mol)、トリエチルアミン1.34ml(0.001mol)およびジクロロメタン30mlを投入した。この時、原料は分散状態であった。内温を0℃に保ちながら、アクリル酸クロライド1.04g(0.011mol)をジクロロメタン10mlに溶かした溶液を、内温を0〜5℃を保ちながら滴下した。滴下していくと、原料は溶解した。
滴下終了後、反応液を室温に戻して攪拌を5時間行った。反応終了後、ジクロロメタンを濃縮して除去し、酢酸エチルに溶解して、希塩酸、炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水にて洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムにて乾燥させた後、濃縮した。得られたオレンジ色の結晶をシリカゲルカラム(酢酸エチル/へプタン=1/5)にて精製し、2.87g(収率51.4%)のアゾベンゼン誘導体モノマー1を得た。
<マクロ開始剤1の合成>
100mlのナスフラスコにおいて、2,2’−ビピリジル230mg(1.47mmol)を入れ、窒素雰囲気下のグローブボックス内でさらにCu(I)Br95mg(0.66mmol)、スチレン15g(144mmol)、2−ブロモイソ酪酸エチル35mg(0.18mmol)を加えて密閉した。これを100℃のオイルバスで加熱攪拌した。その後、テトラヒドロフランを適量加え、中性アルミナカラムに通した。これをメタノールで再沈殿・遠心分離して精製し、マクロ開始剤1を得た。得られたマクロ開始剤1の数平均分子量(B Mn)をGPC法で測定したところ1500であった。
<重合体1の合成>
100mlのナスフラスコにおいて、上記で得られたアゾベンゼン誘導体モノマー1 15g(41mmol)、およびマクロ開始剤1 47mg(0.18mol)を入れ、窒素雰囲気下のグローブボックス内でさらにCu(I)Cl 29mg(0.29mmol)、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン136mg(0.59mmol)、溶媒としてのアニソール4.9g(41.1mmol)を加えて密閉した。そして、80℃のオイルバスで加熱攪拌した。その後、クロロホルムを適量加え、塩基性アルミナカラムに通した。これをメタノールで再沈殿・遠心分離して精製し、重合体1を得た。得られた重合体1の全数平均分子量MnをGPC法で測定したところ3500であった。
[重合体2の合成]
<マクロ開始剤2の合成>
<マクロ開始剤1の合成>において、2−ブロモイソ酪酸エチルを等モルのα,α’−ジブロモ−p−キシレンに変更した以外は同様な方法でマクロ開始剤2を得た。
<重合体2の合成>
<重合体1の合成>において、マクロ開始剤1をマクロ開始剤2に変更した以外は同様な方法で重合体2を得た。
[重合体3の合成]
<マクロ開始剤3の合成>
<マクロ開始剤1の合成>において、2−ブロモイソ酪酸エチルをエチレンビス(2−ブロモイソ酪酸)(ethylene bis(2−bromoisobutyrate))に変更し、2,2’−ビピリジルを1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミンに変更し、スチレンをアゾベンゼン誘導体モノマー1に変更し、さらにアニソールを加えた以外は同様な方法でマクロ開始剤3を得た。
<重合体3の合成>
<重合体1の合成>において、マクロ開始剤1をマクロ開始剤3に変更し、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミンを2,2’−ビピリジルに変更し、アゾベンゼン誘導体モノマー1をスチレンに変更し、アニソールを除いたこと以外は同様な方法で重合体3を得た。
[重合体4の合成]
<マクロ開始剤4の合成>
<マクロ開始剤1の合成>において、2−ブロモイソ酪酸エチルを1,1,1−トリス(2−ブロモイソブチリルオキシメチル)エタンに変更したこと以外は同様な方法でマクロ開始剤4を得た。
<重合体4の合成>
<重合体1の合成>において、マクロ開始剤1をマクロ開始剤4に変更した以外は同様な方法で重合体4を得た。
[重合体5の合成]
<マクロ開始剤5の合成>
<マクロ開始剤3の合成>において、エチレンビス(2−ブロモイソ酪酸)(ethylene bis(2−bromoisobutyrate))を1,1,1−トリス(2−ブロモイソブチリルオキシメチル)エタンに変更した以外は同様な方法でマクロ開始剤5を得た。
<重合体5の合成>
<重合体3の合成>において、マクロ開始剤3をマクロ開始剤5に変更した以外は同様な方法で重合体5を得た。
[重合体6の合成]
<マクロ開始剤6の合成>
<マクロ開始剤1の合成>において、2−ブロモイソ酪酸エチルをペンタエリスリトールテトラキス(2−ブロモイソブチレート)に変更した以外は同様な方法でマクロ開始剤6を得た。
<重合体6の合成>
<重合体1の合成>において、マクロ開始剤1をマクロ開始剤6に変更した以外は同様な方法で重合体6を得た。
[重合体7の合成]
<マクロ開始剤7の合成>
<マクロ開始剤3の合成>において、エチレンビス(2−ブロモイソ酪酸)をペンタエリスリトールテトラキス(2−ブロモイソブチレート)に変更した以外は同様な方法でマクロ開始剤7を得た。
<重合体7の合成>
<重合体3の合成>において、マクロ開始剤3をマクロ開始剤7に変更した以外は同様な方法で重合体7を得た。
[重合体8の合成]
<アゾベンゼン誘導体モノマー2の合成>
<アゾベンゼン誘導体モノマー1の合成>において、アクリル酸クロライドをメタクリル酸クロライドに変更した以外はアゾベンゼン誘導体モノマー1と同様の方法でアゾベンゼン誘導体モノマー2を得た。
<重合体8の合成>
<重合体2の合成>において、アゾベンゼン誘導体モノマー1をアゾベンゼン誘導体モノマー2に変更した以外は同様な方法で重合体8を得た。
[重合体9の合成]
<アゾベンゼン誘導体モノマー3の合成>
<アゾベンゼン誘導体モノマー1の合成>において、フェノールを6−フェニル−1−ヘキサノールに変更し、目的物2を得るための合成をなくした以外はアゾベンゼン誘導体モノマー1と同様の方法でアゾベンゼン誘導体モノマー3を得た。
<重合体9の合成>
<重合体2の合成>において、アゾベンゼン誘導体モノマー1をアゾベンゼン誘導体モノマー3に変更した以外は同様な方法で重合体9を得た。
[重合体10の合成]
<アゾベンゼン誘導体4モノマーの合成>
<アゾベンゼン誘導体モノマー1の合成>において、6−クロロ−1−ヘキサノールを6−クロロ−1−オクタノールに変更した以外はアゾベンゼン誘導体モノマー1と同様の方法でアゾベンゼン誘導体モノマー4を得た。
<重合体10の合成>
<重合体2の合成>において、アゾベンゼン誘導体モノマー1をアゾベンゼン誘導体モノマー4に変更した以外は同様な方法で重合体10を得た。
[重合体11の合成]
<アゾベンゼン誘導体モノマー5の合成>
<アゾベンゼン誘導体モノマー1の合成>において、p−トルイジンを3−アミノフェノールに変更し、フェノールをトルエンに変更した以外はアゾベンゼン誘導体モノマー1と同様の方法でアゾベンゼン誘導体モノマー5を得た。
<重合体11の合成>
<重合体2の合成>において、アゾベンゼン誘導体モノマー1をアゾベンゼン誘導体モノマー5に変更した以外は同様な方法で重合体11を得た。
[重合体12の合成]
<アゾベンゼン誘導体モノマー6の合成>
<アゾベンゼン誘導体モノマー1の合成>において、p−トルイジンを2−アミノフェノールに変更し、フェノールをトルエンに変更した以外はアゾベンゼン誘導体モノマー1と同様の方法でアゾベンゼン誘導体モノマー6を得た。
<重合体12の合成>
<重合体2の合成>において、アゾベンゼン誘導体モノマー1をアゾベンゼン誘導体モノマー6に変更した以外は同様な方法で重合体12を得た。
[重合体13の合成]
<アゾベンゼン誘導体モノマー7の合成>
<アゾベンゼン誘導体モノマー1の合成>において、フェノールをo−クレゾールに変更した以外はアゾベンゼン誘導体モノマー1と同様の方法でアゾベンゼン誘導体モノマー7を得た。
<重合体13の合成>
<重合体2の合成>において、アゾベンゼン誘導体モノマー1をアゾベンゼン誘導体モノマー7に変更した以外は同様な方法で重合体13を得た。
[重合体14の合成]
<アゾベンゼン誘導体モノマー8の合成>
<アゾベンゼン誘導体モノマー1の合成>において、p−トルイジンをm−トルイジンに変更した以外はアゾベンゼン誘導体モノマー1と同様の方法でアゾベンゼン誘導体モノマー8を得た。
<重合体14の合成>
<重合体2の合成>において、アゾベンゼン誘導体モノマー1をアゾベンゼン誘導体モノマー8に変更した以外は同様な方法で重合体14を得た。
[重合体15の合成]
<アゾベンゼン誘導体モノマー9の合成>
<アゾベンゼン誘導体モノマー1の合成>において、p−トルイジンをo−トルイジンに変更した以外はアゾベンゼン誘導体モノマー1と同様の方法でアゾベンゼン誘導体モノマー9を得た。
<重合体15の合成>
<重合体2の合成>において、アゾベンゼン誘導体モノマー1をアゾベンゼン誘導体モノマー9に変更した以外は同様な方法で重合体15を得た。
[重合体16の合成]
<アゾベンゼン誘導体モノマー10の合成>
<アゾベンゼン誘導体モノマー1の合成>において、p−トルイジンをアニリンに変更した以外はアゾベンゼン誘導体モノマー1と同様の方法でアゾベンゼン誘導体モノマー10を得た。
<重合体16の合成>
<重合体2の合成>において、アゾベンゼン誘導体モノマー1をアゾベンゼン誘導体モノマー10に変更した以外は同様な方法で重合体16を得た。
[重合体17の合成]
<アゾベンゼン誘導体モノマー11の合成>
<アゾベンゼン誘導体モノマー1の合成>において、p−トルイジンを4−エチルアニリンに変更した以外はアゾベンゼン誘導体モノマー1と同様の方法でアゾベンゼン誘導体モノマー11を得た。
<重合体17の合成>
<重合体2の合成>において、アゾベンゼン誘導体モノマー1をアゾベンゼン誘導体モノマー11に変更した以外は同様な方法で重合体17を得た。
[重合体18の合成]
<アゾベンゼン誘導体モノマー12の合成>
<アゾベンゼン誘導体モノマー1の合成>において、p−トルイジンを4−へキシルアニリンに変更した以外はアゾベンゼン誘導体モノマー1と同様の方法でアゾベンゼン誘導体モノマー12を得た。
<重合体18の合成>
<重合体2の合成>において、アゾベンゼン誘導体モノマー1をアゾベンゼン誘導体モノマー12に変更した以外は同様な方法で重合体18を得た。
[重合体19の合成]
<アゾベンゼン誘導体モノマー13の合成>
<アゾベンゼン誘導体モノマー1の合成>において、p−トルイジンを4−メトキシアニリンに変更した以外はアゾベンゼン誘導体モノマー1と同様の方法でアゾベンゼン誘導体モノマー13を得た。
<重合体19の合成>
<重合体2の合成>において、アゾベンゼン誘導体モノマー1をアゾベンゼン誘導体モノマー13に変更した以外は同様な方法で重合体19を得た。
[重合体20の合成]
<アゾベンゼン誘導体モノマー14の合成>
<アゾベンゼン誘導体モノマー1の合成>において、p−トルイジンを4−ニトロアニリンに変更した以外はアゾベンゼン誘導体モノマー1と同様の方法でアゾベンゼン誘導体モノマー14を得た。
<重合体20の合成>
<重合体2の合成>において、アゾベンゼン誘導体モノマー1をアゾベンゼン誘導体モノマー14に変更した以外は同様な方法で重合体20を得た。
[重合体21の合成]
<アゾベンゼン誘導体モノマー15の合成>
<アゾベンゼン誘導体モノマー1の合成>において、p−トルイジンを4’−アミノアセトフェノンに変更した以外はアゾベンゼン誘導体モノマー1と同様の方法でアゾベンゼン誘導体モノマー15を得た。
<重合体21の合成>
<重合体2の合成>において、アゾベンゼン誘導体モノマー1をアゾベンゼン誘導体モノマー15に変更した以外は同様な方法で重合体21を得た。
[重合体22の合成]
<アゾベンゼン誘導体モノマー16の合成>
<アゾベンゼン誘導体モノマー1の合成>において、p−トルイジンを4−アミノ安息香酸メチルに変更した以外はアゾベンゼン誘導体モノマー1と同様の方法でアゾベンゼン誘導体モノマー16を得た。
<重合体22の合成>
<重合体2の合成>において、アゾベンゼン誘導体モノマー1をアゾベンゼン誘導体モノマー16に変更した以外は同様な方法で重合体22を得た。
[重合体23の合成]
<アゾベンゼン誘導体モノマー17の合成>
<アゾベンゼン誘導体モノマー1の合成>において、p−トルイジンを3−メチル−4−へキシルアニリンに変更した以外はアゾベンゼン誘導体モノマー1と同様の方法でアゾベンゼン誘導体モノマー17を得た。
<重合体23の合成>
<重合体2の合成>において、アゾベンゼン誘導体モノマー1をアゾベンゼン誘導体モノマー17に変更した以外は同様な方法で重合体23を得た。
[重合体24の合成]
<マクロ開始剤8の合成>
<マクロ開始剤2の合成>において、スチレンをn−ブチルアクリレートに変更した以外は同様な方法でマクロ開始剤8を得た。
<重合体24の合成>
<重合体1の合成>において、マクロ開始剤1をマクロ開始剤8に変更した以外は同様な方法で重合体24を得た。
[重合体25の合成]
<マクロ開始剤9の合成>
<マクロ開始剤2の合成>において、スチレンをn−ブチルメタクリレートに変更した以外は同様な方法でマクロ開始剤9を得た。
<重合体25の合成>
<重合体1の合成>において、マクロ開始剤1をマクロ開始剤9に変更した以外は同様な方法で重合体25を得た。
[重合体26の合成]
<マクロ開始剤10の合成>
<マクロ開始剤2の合成>において、スチレンを1−ペンテンに変更した以外は同様な方法でマクロ開始剤10を得た。
<重合体26の合成>
<重合体1の合成>において、マクロ開始剤1をマクロ開始剤10に変更した以外は同様な方法で重合体26を得た。
[重合体27の合成]
<マクロ開始剤11の合成>
<マクロ開始剤2の合成>において、スチレンを、スチレン:n−ブチルアクリレートのモル比が5:5となる混合物に変更したこと以外は同様な方法でマクロ開始剤11を得た。
<重合体27の合成>
<重合体1の合成>において、マクロ開始剤1をマクロ開始剤11に変更した以外は同様な方法で重合体27を得た。
得られた重合体1〜27の構造および数平均分子量(全数平均分子量、重合体ブロックAの数平均分子量、重合体ブロックBの数平均分子量)を、表1に示す。なお、表1において、重合体ブロックAは、下記式(2)で表される化合物に由来する構造単位を含み、式(2)中、X1〜X3のいずれか1つは重合性基を有する基Yであり、前記重合性基を有する基Yは、下記(ii)または(iii)で表される基である。
<比較化合物>
特開2014−191078号公報の段落「0217」〜「0227」に記載の方法で、以下の比較化合物1(数平均分子量Mn:2870)を得た。
上記で得られた重合体1〜27の全数平均分子量、マクロ開始剤の数平均分子量および比較化合物1の数平均分子量は、以下の方法で測定した。また、マクロ開始剤の数平均分子量を重合体ブロックAまたはBの数平均分子量として、ブロック構造ごとに、重合体の全数平均分子量から(マクロ開始剤の数平均分子量×ブロック数)を差し引くことで他方の重合体ブロックの合計の数平均分子量(他方の重合体ブロックの数平均分子量×ブロック数)を得た。結果を下記表1に示す。表1中、Mnは重合体の全数平均分子量、A Mnは重合体ブロックAの合計の数平均分子量、B Mnは重合体ブロックBの合計の数平均分子量をそれぞれ表す。
(数平均分子量Mn)
重合体1〜27および比較化合物1の数平均分子量Mnは、GPC法により測定した。具体的には、装置「HLC−8120GPC」(東ソー株式会社製)およびカラム「TSKguardcolumn+TSKgelSuperHZ−M3連」(東ソー株式会社製)を用い、カラム温度を40℃に保持しながら、キャリア溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を流速0.2mL/分で流した。測定試料は、濃度1mg/mlになるようにテトラヒドロフランに溶解させた。当該溶液の調製は、超音波分散機を用いて、室温にて5分間処理を行うことにより行った。次いで、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターで処理して試料溶液を得、この試料溶液10μLを上記のキャリア溶媒と共に装置内に注入し、屈折率検出器(RI検出器)を用いて検出した。単分散のポリスチレン標準粒子を用いて作成された検量線に基づいて、測定試料の分子量分布を算出した。上記検量線測定用のポリスチレンとしては10点用いた。
上記で得られた重合体のガラス転移温度(Tg)を以下の方法で測定した。
(ガラス転移温度(Tg))
重合体のガラス転移温度(Tg)は日立ハイテクサイエンス社製のDSC7000Xにて測定した。具体的には、重合体約3mgを小数点以下2桁まで精秤し、アルミニウム製パンに封入して、セットした。リファレンスは、空のアルミニウム製パンを使用した。昇温速度10℃/分にて0℃から200℃まで昇温する第1昇温過程;降温速度10℃/分にて200℃から0℃まで冷却する冷却過程;および昇温速度10℃/分にて0℃から200℃まで昇温する第2昇温過程をこの順に経る測定条件とした。そして、第2昇温過程におけるデータを基に解析を行った。第1の吸熱ピークの立ち上がり前のベースラインの延長線と、第1の吸熱ピークの立ち上がり部分からピーク頂点までの間における最大傾斜を示す接線との交点の値をガラス転移温度とした。
上記で得られた重合体2のガラス転移温度(Tg)は、58.9℃であった。
[トナーの作製]
[トナー1の調製]
重合体1を、ハンマーミルにて粒径が1mm以下となるように粗粉砕し、次いで、高圧気体を用いた衝突式気流粉砕機を用いて微粉砕して、粉砕物を得た。次に、クラッシール(高効率精密気流分級機、株式会社セイシン企業製)を用いて微粉および粗粉を同時に分級除去し、トナー母体粒子を得た。
得られたトナー母体粒子に、疎水性シリカ(数平均一次粒径:12nm)1質量%、および疎水性チタニア(数平均一次粒径:20nm)0.3質量%を添加し、ヘンシェルミキサー(登録商標)を用いて混合することにより、トナー1を得た。
[トナー2〜27の調製]
重合体1を、重合体2〜27にそれぞれ変更した以外はトナー1の調製と同様にして、それぞれトナー2〜27を得た。
[トナー28の調製]
<重合体粒子分散液1の調製>
ジクロロメタン80質量部と、上記で調製した重合体2を20質量部とを、50℃で加熱しながら混合攪拌し、重合体2を含む溶液を得た。得られた溶液100質量部に、50℃に温めた蒸留水99.5質量部と、20質量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液0.5質量部との混合液を添加した。その後、シャフトジェネレーター18Fを備えるホモジナイザー(ハイドルフ社製)により16000rpmで20分間攪拌して乳化させ、重合体2の乳化液を得た。
得られた乳化液をセパラブルフラスコへ投入し、窒素を気相中へ送気しながら40℃で90分間加熱攪拌して有機溶媒を除去して、重合体粒子分散液1を得た。重合体粒子分散液1中の重合体粒子の粒径を、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子株式会社製)を用いて測定したところ、質量平均粒径で189nmであった。
<スチレンアクリル樹脂粒子分散液の調製>
(第1段重合)
攪拌装置、温度センサー、冷却管、および窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ドデシル硫酸ナトリウム8質量部をイオン交換水3000質量部に溶解させた溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの攪拌速度で攪拌しながら、内温を80℃に昇温させた。昇温後、過硫酸カリウム10質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた溶液を添加し、再度液温を80℃とし、スチレン480質量部、n−ブチルアクリレート250質量部、メタクリル酸68.0質量部、およびn−オクチル−3−メルカプトプロピオネート16.0質量部よりなる重合性単量体溶液を1時間かけて滴下後、80℃にて2時間加熱、攪拌することにより重合を行い、スチレンアクリル樹脂粒子(1a)を含有するスチレンアクリル樹脂粒子分散液(1A)を調製した。
(第2段重合)
攪拌装置、温度センサー、冷却管、および窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム7質量部をイオン交換水800質量部に溶解させた溶液を仕込み、98℃に加熱後、上記で得られたスチレンアクリル樹脂粒子分散液(1A)260質量部、スチレン245質量部、n−ブチルアクリレート120質量部、n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート1.5質量部、離型剤であるパラフィンワックス「HNP−11」(日本精蝋株式会社製)67質量部を90℃にて溶解させた重合性単量体溶液を添加し、循環経路を有する機械式分散機「CREARMIX(登録商標)」(エム・テクニック株式会社製)により1時間混合分散させ、乳化粒子(油滴)を含む分散液を調製した。次いで、この分散液に、過硫酸カリウム6質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を82℃にて1時間にわたって加熱攪拌することにより重合を行い、スチレンアクリル樹脂粒子(1b)を含むスチレンアクリル樹脂粒子分散液(1B)を調製した。
(第3段重合)
得られたスチレンアクリル樹脂粒子分散液(1B)に、過硫酸カリウム11質量部をイオン交換水400質量部に溶解させた溶液を添加し、次いで、82℃の温度条件下で、スチレン435質量部、n−ブチルアクリレート130質量部、メタクリル酸33質量部およびn−オクチル−3−メルカプトプロピオネート8質量部からなる重合性単量体溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたって加熱攪拌することにより重合を行った後、28℃まで冷却しスチレンアクリル樹脂1を含有するスチレンアクリル樹脂粒子分散液1を得た。また、スチレンアクリル樹脂1のガラス転移温度(Tg)を測定したところ、45℃であった。
<トナー28の作製>
上記で作製した重合体粒子分散液1を固形分換算で576質量部、スチレンアクリル樹脂粒子分散液1を固形分換算で144質量部(重合体:スチレンアクリル樹脂=80:20質量比)、およびイオン交換水900質量部を、攪拌装置、温度センサー、および冷却管を装着した反応装置に投入した。容器内の温度を30℃に保持して、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10に調整した。
次に、塩化マグネシウム・6水和物2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を攪拌下、10分間かけて滴下した後、昇温を開始し、この系を60分間かけて70℃まで昇温し、70℃を保持したまま粒子成長反応を継続した。この状態で「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター株式会社製)にて会合粒子の粒径を測定し、体積基準のメジアン径(D50)が6.5μmになった時点で、塩化ナトリウム190質量部をイオン交換水760質量部に溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させた。70℃で1時間攪拌した後、さらに昇温を行い、75℃の状態で加熱攪拌することにより、粒子の融着を進行させた。その後、30℃まで冷却することにより、トナー母体粒子の分散液を得た。
得られたトナー母体粒子の分散液を、遠心分離機で固液分離し、トナー母体粒子のウェットケーキを形成した。該ウェットケーキを、遠心分離機で濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで35℃のイオン交換水で洗浄し、その後「フラッシュジェットドライヤー(株式会社セイシン企業製)」に移し、水分量が0.5質量%になるまで乾燥して、トナー母体粒子を作製した。
得られたトナー母体粒子に、疎水性シリカ(数平均一次粒径:12nm)1質量%、および疎水性チタニア(数平均一次粒径:20nm)0.3質量%を添加し、ヘンシェルミキサー(登録商標)を用いて混合することにより、トナー28を得た。
[トナー29の調製]
<ポリエステル樹脂粒子分散液1の調製>
窒素導入管、脱水管、攪拌器、および熱電対を備えた容量10リットルの四つ口フラスコに、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物524質量部、テレフタル酸105質量部、フマル酸69質量部、およびオクチル酸スズ(エステル化触媒)2質量部を投入し、温度230℃で8時間の重縮合反応を行った。さらに、8kPaで1時間重縮合反応を継続後、160℃に冷却し、ポリエステル樹脂1を得た。ポリエステル樹脂1 100質量部を、「ランデルミル 形式:RM」(株式会社徳寿工作所製)で粉砕し、予め作製した0.26質量%のドデシル硫酸ナトリウム水溶液638質量部と混合し、攪拌しながら超音波ホモジナイザー「US−150T」(株式会社日本精機製作所製)を用いて、V−LEVEL、300μAで30分間超音波分散し、ポリエステル樹脂粒子分散液1を得た。また、ポリエステル樹脂1のガラス転移温度(Tg)を測定したところ、42℃であった。
<トナー29の作製>
<トナー28の作製>において、スチレンアクリル樹脂粒子分散液1をポリエステル樹脂粒子分散液1に変更した以外は同様な方法でトナー29を作製した。
[トナー30の調製]
<トナー1の作製>において、重合体1を比較化合物1に変更した以外は同様な方法でトナー30を作製した。
[トナー31の調製]
<比較化合物分散液の調製>
<重合体粒子分散液1の調製>において、重合体2を、比較化合物1に変更した以外は同様に比較化合物分散液を得た。
<トナー31の作製>
<トナー28の作製>において重合体粒子分散液1を比較化合物分散液に変更した以外は同様な方法でトナー31を作製した。
[現像剤の作製]
上記作製したトナー1〜31について、シクロヘキサンメタクリレートとメチルメタクリレートとの共重合体樹脂(モノマー質量比1:1)で被覆した体積平均粒径が30μmのフェライトキャリア粒子を、トナー粒子濃度が6質量%となるように混合し、現像剤1〜31を得た。混合は、V型混合機を用いて30分間行った。
[評価:定着性試験]
定着性試験は、上記で得られた現像剤1〜31を用いて、常温常湿環境下(温度20℃、湿度50%RH)で行った。一方に現像剤、他方に記録媒体としてのグロスコート紙(坪量:128g/m2)を設置した一対の平行平板(アルミ)電極間に、現像剤を磁力によって摺動させながら配置し、電極間ギャップが0.5mm、DCバイアスとACバイアスとはトナー付着量4g/m2となる条件でトナーを現像させ、上記グロスコート紙の表面にトナー層を形成し、各定着装置にて定着した印刷物を用いて行った。この印刷物の1cm角のトナー画像を、「JKワイパー(登録商標)」(日本製紙クレシア株式会社製)で35kPaの圧力をかけて10回こすり、画像の定着率を評価した。定着率70%以上を合格とした。なお、画像の定着率とは、印刷後の画像およびこすった後の画像の反射濃度を、蛍光分光濃度計「FD−7」(コニカミノルタ株式会社製)で測定し、こすった後のベタ画像の反射濃度を、印刷後のベタ画像の反射濃度で除した値を百分率で表した数値である。
定着装置は、図2に示す装置を適宜改変して構成された下記3種の定着装置を用いた。
No.1:図2の圧着部9がなく、照射部40から照射される紫外光の波長は365nmであり(光源:発光波長が365nm±10nmのLED光源)、照射量は12J/cm2である;
No.2:図2の圧着部9があり、加圧部材91の温度は20℃であり、加圧時の圧力は0.2MPaである。照射部40の光源および照射量はNo.1と同様である;
No.3:図2の圧着部9があり、加圧部材91の温度は80℃であり、加圧時の圧力は0.2MPaである。照射部40の光源および照射量はNo.1と同様である。
各トナーの構成、定着装置の種類および評価結果を下記表1、2に示す。
表1、2に示されるように、アゾベンゼン誘導体に由来する構造単位を含む重合体ブロックAと、熱可塑性樹脂の重合体ブロックBとを有するブロック共重合体である重合体1〜27を有するトナーを用いた実施例1〜31では、トナー画像の定着性試験において70%以上の優れた定着率を示す。これに対して、上記の重合体を含まないトナーを用いた比較例1、2では、光照射による定着法を用いた場合に十分な定着性が得られない。
中でも、実施例1〜7の比較から、A−B−Aの構造(2A−B)を有する重合体、またはB−A−B(A−2B)の構造を有する重合体を用いるとトナー画像の定着率がより改善される。
重合性基としては、(ii)、(iii)のいずれの重合性基を有する基を導入した場合も良好な結果が得られたが、特に(iii)の重合性基を有する基を用いるとトナー画像の定着率がより改善される(実施例2と9の対比)。
重合性基を有する基は、式(2)のX1、X2、X3のいずれの位置に導入した場合も良好な結果が得られたが、特に式(2)のX1の位置に導入するとトナー画像の定着率がより改善される(実施例2、11、12の対比)。
上記に加えてさらに、アゾベンゼン誘導体が式(4)を満たすことが特に好ましい(実施例2、16〜19と実施例13〜15、20〜23との対比)。
また、実施例2、16〜19の結果から、式(4)において、R3が水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、または炭素原子数1〜8のアルコキシ基のいずれであっても良好な結果が得られるが、重合体ブロックAの合計の数平均分子量、重合体ブロックBの合計の数平均分子量、重合体の全数平均分子量がいずれも所定の範囲である実施例2、16、18、19ではより定着性に優れる傾向がみられた。
また、重合体だけでなく、結着樹脂をトナーにさらに含有させることができる(実施例28、29)。結着樹脂をさらに用いた場合も同様に良好な定着率が得られることが確認された。上記重合体を用いることで、結着樹脂の含有比率が少なくても良好な定着率が得られうる。
さらに、光照射により軟化させたトナー像を加圧する工程をさらに含む実施例30、31、加圧する工程において軟化させたトナー像をさらに加熱する実施例31では、定着性がさらに向上した。