JP2020136574A - 金属微細構造体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】煩雑な処理を必要とすることなく板状部材における金属構造体の微細化を容易に実現すること。【解決手段】金属微細構造体の製造方法は、電子ビームEBの照射条件を決める条件決定ステップS10と、金属塩を溶解させたポリアミック酸樹脂のレジスト層を含む板状部材101を形成する形成ステップS20と、板状部材101に所定の照射パターンで電子ビームEBを照射する照射ステップS30と、板状部材101のポリアミック酸樹脂のレジスト層の一部をアルカリ溶液によって除去する除去ステップS40と、を有する。【選択図】図2

Description

本発明は、板状部材において金属微細構造体を作製する金属微細構造体の製造方法に関する。
板状の部材に金属の微細な構造体を作製する技術が検討されている。例えば、本願の発明者らは、レーザ光を利用して板状部材に金属微細構体を作製する技術を開発した(特許文献1参照)。この技術では、金属塩を溶解させたポリアミック酸を含む板状部材を準備し、当該板状部材に対してレーザ光を照射する。このレーザ光が照射された部分において、金属が析出する。
特開2017−162984号公報
例えば、半導体素子における回路パターンの微細化などのように、金属微細構造体のさらなる微細化が望まれている。
そこで、本発明は、板状部材に設けられる金属構造体のさらなる微細化を容易に実現する金属微細構造体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一形態は、金属微細構造体の製造方法であって、金属塩を溶解させたポリアミック酸を含む板状部材を形成する形成ステップと、板状部材に設定された所定の照射パターンに沿って電子ビームを照射する照射ステップと、板状部材の一部を除去する除去ステップと、を有する。
上記形態の金属微細構造体の製造方法によれば、金属塩を溶解させたポリアミック酸を含む板状部材に所定の照射パターンで電子ビームが照射される。その結果、照射パターンに対応して金属が析出するので、照射パターンに対応した金属微細構造体が形成される。その後、板状部材の一部が除去される。以上のステップにより、フォトマスクの配置等の煩雑な処理を必要とすることなく板状部材に金属微細構造体を形成することができる。さらに、電子ビームは、例えばレーザ光よりも微細な領域に照射することが可能である。従って、金属の析出にレーザ光を用いる場合に比べて、析出される金属構造をさらに微細化することができる。
上記の製造方法の照射ステップは、所定の照射パターンに沿って電子ビームの照射を2回以上おこなってもよい。この複数回の照射によれば、金属微細構造体を安定して析出させることができる。
上記の製造方法は、照射ステップの前に、照射ステップにおける照射条件を決定する条件決定ステップをさらに有し、条件決定ステップは、照射パターンに照射する電子の総数を決定するステップと、照射パターンに沿う照射回数を決定するステップと、電子の総数と照射回数とを利用して、電子ビームの照射位置を移動させる速度を決定するステップと、を含んでもよい。これらのステップによれば、金属微細構造体を安定して析出させるための照射条件を得ることができる。
上記の製造方法の除去ステップでは、アルカリ性溶液を用いることにより金属塩を析出した後のポリアミック酸を含む板状部材の一部を除去してもよい。このステップによれば、板状部材の一部を容易に除去することができる。
上記の製造方法は、除去ステップの後に実施される加熱ステップをさらに有してもよい。このステップによれば、析出させた金属のアニール処理を行うことができる。
本発明の一形態に係る金属微細構造体の製造方法は、煩雑な処理を必要とすることなく板状部材における金属構造体のさらなる微細化を容易に実現することができる。
図1は、実施形態に係る金属微細構造体形成装置を示す概略構成図である。 図2は、金属微細構造体の製造方法の工程図である。 図3の(a)部〜(c)部は、金属微細構造体の製造方法の主要な工程を示す図である。 図4の(a)部〜(e)部は、1回の電子ビームの照射によって金属微細構造体が形成される様子を模式的に示す図である。 図5の(a)部〜(e)部は、3回の電子ビームの照射によって金属微細構造体が形成される様子を模式的に示す図である。 図6の(a)部は、1回の電子ビームの照射によって形成された金属微細構造体を示す図である。図6の(b)部は、3回の電子ビームの照射によって形成された金属微細構造体を示す図である。 図7の(a)部は、実験例1で作製したアニール処理前の金属微細構造体の写真である。図7の(b)部は、実験例1で作製したアニール処理後の金属微細構造体の写真である。
以下、図面を参照しつつ本発明の一形態に係る金属微細構造体の製造方法の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
[金属微細構造体形成装置の構成]
まず、図1を参照して、実施形態に係る金属微細構造体形成装置1の構成を説明する。金属微細構造体形成装置1は、電子ビームEBの照射による直接的な微細金属パターニングを行う。この金属微細構造体形成装置1によって製造される金属微細構造体は、例えば、プラズモニックデバイスやメタサーフェスに利用できる。金属微細構造体形成装置1は、板状部材101に金属微細構造体200を作製する。板状部材101は、基板102とレジスト層103とを含む。基板102は、ガラス、シリコン、PET、ポリイミド等を材料とする平板状の部材である。
金属微細構造体形成装置1は、電子線描画装置である。金属微細構造体形成装置1は、主要な構成要素として、チャンバ2と、制御装置3と、電子銃4と、ビーム制御器6と、ステージ7と、を有する。金属微細構造体形成装置1は、必要に応じて、そのほかの構成要素を備えてよい。
チャンバ2は、電子銃4等を収容する収容空間を形成する。この収容空間は、減圧環境である。制御装置3は、電子銃4及びビーム制御器6の動作を制御する。制御装置3は、電子銃4及びビーム制御器6に接続されており、これらに対して制御信号を提供する。電子銃4は、電子ビームEBを発生する。電子銃4として、例えば、熱電子電界放出型の装置を採用してよい。また、電子銃4は、電流量と、加速電圧と、を制御可能である。ここでいう電流量とは、放出される電子数ということもできる。ビーム制御器6は、電子ビームEBを収束させて焦点調整を行う。また、ビーム制御器6は、静電偏向又は電磁偏向などの原理により、電子ビームEBを偏向させる。その結果、電子ビームEBの焦点位置を変更することができる。ステージ7は、板状部材101を支持する。ステージ7は、水平方向に移動可能とされてもよい。
[金属微細構造体の製造方法]
次に、図2及び図3参照しながら上記の金属微細構造体形成装置1を用いた金属微細構造体の製造方法について説明する。金属微細構造体の製造方法は、電子ビームEBの照射による金属パターニングを原理とする。この製造方法では、ポリアミック酸と金属イオンとを混合したレジスト層103を用いる。ポリアミック酸は、カルボキシル基を有し、金属イオンと結合する。また、ポリアミック酸は、電子ビームEBの照射時に晒される高真空環境に耐性を有する。金属微細構造体の製造方法は、主要なステップとして、条件決定ステップS10と、形成ステップS20と、照射ステップS30と、除去ステップS40と、加熱ステップS50と、を有する。
まず、第1の工程として条件決定ステップS10を行う。この条件決定ステップS10では、電子ビームEBの実電流量(C)と、スキャン回数(N)と、スキャン速度(V)と、を決定する。
金属微細構造体の形成に要する電流量は、金属微細構造体に応じておおむね決めることができる。この電流量は、単位面積あたりに提供される電子の数(トータルドーズ量)ということもできる。そこで、金属微細構造体の形状に基づいて、必要な電流量(以下、「合計電流量(A)」という)を得る(ステップS11)。
次に、スキャン回数(N)を設定する(ステップS12)。スキャン回数(N)として、1以上の整数が選択される(N≧1)。例えば、スキャン回数(N)は、1回としてもよいし(N=1)、10回としてもよい(N=10)。このスキャン回数(N)だけ電子ビームEBを照射した結果、照射パターンP上に合計電流量(A)が提供されればよい。
次に、1回の照射によって板状部材101に提供される単位電流量(B)を得る(ステップS13)。例えば、合計電流量(A)が10であり、スキャン回数(N)が1であるとすると、単位電流量(B)は、10である(A/N=10/1=10)。なお、ここでいう合計電流量(A)の「10」とは、説明の都合上用いる便宜的な数値であり、絶対的な電流量を示すものではない。また、合計電流量(A)が10であり、スキャン回数(N)が10であるとすると、単位電流量(B)は、1である(A/N=10/10=1)。つまり、単位電流量(B)は、合計電流量(A)と等しいこともあり得るし、合計電流量(A)と異なり合計電流量(A)よりも小さいこともあり得る。
次に、単位電流量(B)を照射するためのスキャン速度(V)を得る(ステップS14)。本実施形態では、電子銃4から出射される電子ビームEBの電流量(以下「実電流量(C)」とよぶ)は、スキャン回数(N)によらず、一定とする。その一方、1回の照射によって板状部材101に提供する単位電流量(B)は、スキャン速度(V)によって制御する。例えば、スキャン速度を速くすると、単位電流量(B)は小さくなる。逆に、スキャン速度(V)を遅くすると、単位電流量(B)は大きくなる。例えば、スキャン回数(N)を1としたとき、スキャン速度(V)は、1である。また、スキャン回数(N)を10としたとき、スキャン速度(V)は、0.1である。
なお、スキャン速度(V)を一定とし、実電流量(C)をスキャン回数(N)ごとに変更してもよい。また、条件決定ステップS10は、照射ステップS30の前に実施されればよい。従って、条件決定ステップS10は、形成ステップS20の後であって、照射ステップS30の前に実施してもよい。
次に、第2の工程として形成ステップS20を行う(図3の(a)部参照)。第2の工程では、板状部材101を形成する。板状部材101は、金属塩を溶解させたポリイミドの前駆体であるポリアミック酸を材料として含む。まず、基板102を準備する。この基板102は、ガラス、シリコン、PET、ポリイミド等を材料とする板状の材料を用いてよい。次に、基板102の主面にレジスト層103としてのポリアミック酸樹脂を塗布する。ポリアミック酸樹脂の塗布には、スピンコートを用いてもよい。また、ポリアミック酸樹脂の膜厚は、40nm程度としてもよい。なお、基板102として、ポリアミック酸樹脂自体が平板状に形成されたものを準備してもよい。次に、ポリアミック酸樹脂が塗布された板状部材101を、ホットプレート等にて所定温度および所定時間だけプリベークする。プリベークの条件は、例えば、処理温度が80°Cであり、処理時間が10分間であるとしてよい。プリベークによってポリアミック酸樹脂が低温で加熱される。その結果、金属イオンにポリアミック酸の中で流動性を持たせることができる。
ポリアミック酸樹脂は、まず、公知の方法を用いて、酸無水物とジアミンとを有機溶媒に溶解させる。その後、重合反応させることにより得られる。例えば、酸無水物としてピロメリト酸二無水物、ジアミンとして4,4’−オキシジアニリン、有機溶媒として1−メチル−2−ピロリドンを用いてよい。しかし、これらとは異なる材料を用いてもよく、これらには限定されない。
ポリアミック酸樹脂に金属塩を溶解させるとき、ポリアミック酸樹脂と金属化合物とを含有する塗布液を基板上に塗布してもよい。また、ポリアミック酸樹脂を含有する塗布液を基板上に塗布してから金属塩を含む溶液を含浸させてもよい。レジスト層103に溶解される金属塩としては、硝酸銀のような硝酸塩のほか、塩酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、あるいはクエン酸塩などが用いられる。また、金属塩を組成する金属としては、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、錫(Sn)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)等が挙げられる。さらに、板状部材101に含まれるポリアミック酸としては、イミド化後のポリイミドが、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリイミドエステル、ポリエーテルイミド、ポリシロキサンイミド等の構造中にイミド基を有するポリマーからなる耐熱性樹脂であるものの中から選択されてよい。板状部材101に含まれるポリアミック酸は、下記の化学式(1)に示される。

[式中、nは任意の整数を意味する。]
第2の工程によって得られた板状部材101は、下記化学式(2)に示すように、ポリアミック酸と金属塩との間のイオン交換による反応によって、ポリアミック酸の中のカルボキシル基に金属イオンが結合して存在する。
−CO → −CO Ag …(2)
上記化学式(2)は、金属塩として硝酸銀を用いた反応の例を示す。そして、第2の工程中のプリベークによって、ポリアミック酸樹脂の全体にわたってカルボキシル基に結合した金属イオンが分散する。
次に、第3の工程として照射ステップS30を行う(図3の(b)部参照)。このステップS30では、金属微細構造体形成装置1を用いて板状部材101において金属を析出させる。まず、板状部材101をステージ7に搭載する。次に、制御装置3は、条件決定ステップS10の結果である駆動条件(実電流量(C))に基づいて制御信号を生成する。そして、制御装置3は、当該制御信号を電子銃4に提供する。この制御信号は、少なくとも電子ビームEBの実電流量(C)を制御する信号を含む。
次に、制御装置3は、条件決定ステップS10の結果である駆動条件(スキャン速度)と、照射パターンPと、に基づいて、制御信号を生成する。そして、制御装置3は、当該制御信号をビーム制御器6に提供する。この制御信号は、電子ビームEBの照射パターンPに関する信号と、照射パターンPに沿うスキャン速度(V)に関する信号と、を含む。以上の工程により、電子ビームEBの照射が行われる。板状部材101に電子ビームEBが照射されると、レジスト層103における金属(銀)が析出し、照射パターンPに対応したパターンで金属微細構造体200が形成される。
なお、制御装置3による制御により、電子銃4をオン/オフさせて電子ビームを間欠的に板状部材101に照射させることもできる。これにより、直線パターン、ドットパターン等の様々な照射パターンPで板状部材101に電子ビームEBを照射させることができ、この照射パターンPを3次元的な様々な形状のパターンに設定することもできる。
次に、第4の工程として除去ステップS40を行う(図3の(c)部参照)。第4の工程では、板状部材101に残留するレジスト層103を除去する。具体的には、まず、板状部材101にアルカリ性の溶液を含浸する。その結果、板状部材101上のレジスト層103が除去される。
そして、第5の工程として加熱ステップS50を行う。第5の工程では、レジスト層103が除去された板状部材101をオーブン内で高温(例えば300°C)で加熱する。この加熱処理によれば、粒子的に析出していた銀が結合し、連続的なパターンが得られる。つまり、第5の工程は、アニール処理であるともいえる。
ところで、従来、金属微細構造体の製造にあっては、電子線リソグラフィと金属蒸着とを利用したリフトオフ法が主流であった。しかし、この方法では、狭ピッチ構造の作製が困難である。また、金属の蒸着時に高い指向性が要求される。さらに、濡れ性の高い金属には不向きであるといった課題があった。
上記実施形態の金属微細構造体の製造方法によれば、金属塩を溶解させたポリアミック酸を含む板状部材101に所定の照射パターンPで電子ビームEBが照射される。その結果、照射パターンPに対応して金属が析出するので、照射パターンPに対応した金属微細構造体200が形成される。その後、板状部材101の一部であるレジスト層103が除去される。以上のステップにより、フォトマスクの配置等の煩雑な処理を必要とすることなく板状部材101に金属微細構造体200を形成することができる。さらに、電子ビームEBは、例えばレーザ光よりも微細な領域に照射することが可能である。従って、金属の析出にレーザ光を用いる場合に比べて、析出される金属構造をさらに微細化することができる。例えば、板状部材101の基材上に形成される金属微細構造体を線幅が10nm程度まで細線化することができる。
要するに、金属微細構造体の製造方法は、金属イオンを溶解したポリイミド前駆体を基板上に成膜し、電子ビームEBを照射することにより照射域のみに還元反応を生じさせる。この反応によって、金属を局所的に析出させる。金属微細構造体の製造方法によれば、100nm程度の超微細なパターンを形成することも可能である。例えば、電子ビームEBに代えて、レーザ光を用いる場合に比べて、微細な構造が得られると共に金属純度の高い構造を得ることができる。また、金属微細構造体の製造方法は、真空蒸着を必要としない無蒸着プロセスである。つまり、電子ビームEBの照射によって、直接に金属をパターニングするワンステッププロセスである。
金属微細構造体の製造方法は、次世代光学デバイスとして注目されているメタサーフェス、メタマテリアルの課題であった金属微細構造体を作製する技術に適用することができる。金属微細構造体の製造方法は、新規な光学デバイスの研究開発に飛躍的な進展をもたらすことが期待でき、電子線レジストが普及しているように金属含有レジストという材料開発が進み、次第に普及していくと予想される。金属微細構造体の製造方法は、真空蒸着を必要とせず、これまでの技術では製造が困難であった狭ピッチ金属ナノ構造や、メタサーフェスに要求される金属ナノギャップ構造を容易に製造することができる。
上記の製造方法の照射ステップは、所定の照射パターンPに沿って電子ビームの照射を1回だけ行ってもよい。図4の(a)部〜(d)部は、1回の照射を行った場合に、金属微細構造体300が形成される様子を模式的に示す。まず、板状部材101に電子ビームEBが照射されると、金属イオンが析出し、析出核301が形成される(図4の(a)部参照)。スキャン回数(N)が1回であるとき、スキャン速度(V)は小さい。その結果、析出核301は周囲の銀イオン310を取り込みながら次第に成長し、成長核302となる。そして、別の場所に新たな析出核301が形成される(図4の(b)参照)。このような析出核301の形成と、その後に引き続き生じる析出核301の成長と、が照射パターンPに沿って連続して生じる。その結果、照射パターンPに沿って複数の成長核302が形成される(図4の(c)部参照)。そして、電子ビームEBの照射が終了した後に、アニール処理を行うことにより、それぞれの成長核302が良好に結合され、金属微細構造体300が得られる(図4の(d)部参照)。
上記の製造方法の照射ステップS30は、所定の照射パターンPに沿って電子ビームの照射を2回以上行ってもよい。図5の(a)部〜(d)部は、3回の照射を行った場合に、金属微細構造体400が形成される様子を模式的に示す。まず、板状部材101に対して1回目の電子ビームEBの照射を行う(図5の(a)部参照)。スキャン回数(N)が2回以上(例えば3回)であるとき、スキャン速度(V)は、スキャン回数(N)が1回であるときより速い。そうすると、照射パターンP及びその近傍には、複数の析出核401が形成される。しかし、析出核401が形成されると、電子ビームEBは速やかに次の領域に移動する。従って、スキャン回数(N)が1回であるときのように、1回の照射中に析出核401の成長は生じにくい。次に、2回目の電子ビームEBの照射を行う(図5の(b)部参照)。その結果、新たな複数の析出核401が形成される。さらに、1回目の電子ビームEBの照射で形成された析出核401は、わずかに成長して成長核402となる。3回目以降の電子ビームEBの照射においても同様の現象が生じる(図5の(c)部参照)。つまり、2回目以降の電子ビームEBの照射では、析出核401の形成と、析出核401の成長と、が生じる。そして、電子ビームEBの照射が終了した後に、アニール処理を行うことにより、それぞれの成長核402が良好に結合される。
電子ビームEBの照射を複数回行った場合、形成される成長核402の数は、電子ビームEBの照射が1回である場合よりも多くなる。そうすると、形成される金属微細構造体400は、緻密である。緻密な構造を有する金属微細構造体400は、例えば、表面積が大きくなる。従って、アニール処理による結合度合いを高めることができる。さらに、基材に対する結合力が高まることも期待できる。従って、所望の形状を有する金属微細構造体200を安定して形成することが可能になる。
上記の製造方法は、照射ステップS30の前に、照射ステップS30における照射条件を決定する条件決定ステップS10をさらに有する。条件決定ステップS10は、照射パターンPに照射する電子の総数を決定するステップ(S11)と、照射パターンPに沿う照射回数を決定するステップ(S12)と、電子の総数と照射回数とを利用して、電子ビームの照射位置を移動させる速度を決定するステップ(S13、S14)と、を含む。これらのステップによれば、金属微細構造体100を安定して析出させるための照射条件を確実に得ることができる。
さらに、複数回の電子ビームEBの照射によれば、さらに別の良好な効果を得ることができる。図6の(a)部は、1回の電子ビームEBの照射により得られる金属微細構造体300を模式的に示す。図6の(b)部は、3回の電子ビームEBの照射により得られる金属微細構造体400を模式的に示す。板状部材101に電子ビームEBを照射すると、板状部材101において電子が散乱する現象が生じる。
例えば、図6の(a)部に示すように、1回の電子ビームEBの照射の場合、照射ポイントNに提供される時間当たりのエネルギ量が多くなる。そうすると、電子Eが散乱する散乱領域ES1が比較的広くなる。この散乱領域ES1では、意図しない銀イオンの析出核301が形成される可能性がある。この意図しない析出核301は、金属微細構造体300の形状精度を低下させるおそれがある。
一方、図6の(b)部に示すように、3回の電子ビームEBの照射の場合、照射ポイントNに提供される時間当たりのエネルギ量は少なくなる。そうすると、電子Eが散乱する散乱領域ES2が比較的狭くなる。従って、意図しない銀イオンの析出核401が形成される領域を狭くすることができる。その結果、金属微細構造体400の形状精度の低下が抑制される。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形態様を採用することができる。
<実験例>[金属微細構造体の作製例]
以下、実施形態に係る金属微細構造体の第2の製造方法によって製造された銀の金属微細構造体の観察結果を示す。
図7の(a)部及び(b)部は、照射する電子ビームEBの実電流量(C)を40pAに設定して板状部材101に形成された金属微細構造体500の観察結果を示している。電子ビームEBの照射パターンPは、スキャン速度(V)を2.5msec/nmとし、スキャン回数を10回とした。その結果、線幅が100nmであり、直径が200nmであるC型の金属微細構造体500を形成することが確認できた。特に、金属微細構造体500において、隙間501は、意図して形成したものであり、その隙間501の長さは、30nmである。つまり、実施形態の製造方法によれば、ナノスケールの構造を形成できることが確認できた。さらに、アニール処理(300℃、2時間)を行うことにより、図7の(b)部に示すように、核が互いに一体化されている様子を確認することもできた。
1…金属微細構造体形成装置、2…チャンバ、3…制御装置、4…電子銃、6…ビーム制御器、7…ステージ、101…板状部材、102…基板、103…レジスト層、200…金属微細構造体、EB…電子ビーム、S10…条件決定ステップ、S20…形成ステップ、S30…照射ステップ、S40…除去ステップ、S50…加熱ステップ、P…照射パターン。

Claims (5)

  1. 金属微細構造体を作製する金属微細構造体の製造方法であって、
    金属塩を溶解させたポリアミック酸を含む板状部材を形成する形成ステップと、
    前記板状部材に設定された所定の照射パターンに沿って電子ビームを照射する照射ステップと、
    前記板状部材の一部を除去する除去ステップと、を有する金属微細構造体の製造方法。
  2. 前記照射ステップは、前記所定の照射パターンに沿って前記電子ビームの照射を2回以上行う、請求項1に記載の金属微細構造体の製造方法。
  3. 前記照射ステップの前に、前記照射ステップにおける照射条件を決定する条件決定ステップをさらに有し、
    前記条件決定ステップは、
    前記照射パターンに照射する電子の総数を決定するステップと、
    前記照射パターンに沿う照射回数を決定するステップと、
    前記電子の総数と前記照射回数とを利用して、前記電子ビームの照射位置を移動させる速度を決定するステップと、を含む、請求項2に記載の金属微細構造体の製造方法。
  4. 前記除去ステップでは、アルカリ性溶液を用いることにより前記金属塩を析出した後のポリアミック酸を含む前記板状部材の一部を除去する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の金属微細構造体の製造方法。
  5. 前記除去ステップの後に実施される加熱ステップをさらに有する、請求項4に記載の金属微細構造体の製造方法。
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