JP2007288011A - ポリイミド配線板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属膜とポリイミドとの密着性が良好なポリイミド配線板の製造方法、および微細ピッチ配線の形成が可能なポリイミド配線板の製造方法を提供すること。
【解決手段】ポリイミドフィルムに改質層を形成する改質工程;改質層に金属イオンを吸着させる吸着工程;および吸着した金属イオンをプラズマ処理または電子ビーム照射処理により還元させる還元工程;を含んでなるポリイミド配線板の製造方法。前記改質工程前記吸着工程;吸着した金属イオンを還元させる還元工程;改質層上に形成された金属膜にフォトレジスト材料を適用した後、フォトリソグラフィを実施して、金属膜を選択的に露出させるフォト工程;金属膜を給電膜として用いて電解めっきを行い、前記金属膜の露出部に導体層を析出させる電解めっき工程;フォトレジストを除去して金属膜を露出させるレジスト除去工程;および導体層をマスクとして用い、レジスト除去工程で露出した金属膜をエッチング除去するエッチング工程;を含むポリイミド配線板の製造方法。
【選択図】図9

Description

本発明は、基材としてポリイミドを用いた配線板の製造方法に関するものである。
近年、携帯電話などの携帯型電子機器に対して、高機能化とともに小型化が要求されてきており、電子部品を搭載して回路形成を行う基板として、フレキシブル配線基板(FPC、Flexible Printed Circuit)の使用頻度が高まっている。FPCは可撓性を有するため、自在に折り曲げることで小型化が進む筐体内部に収納することができ、そのことで高密度実装が可能となるためである。一方、FPCは、以前から液晶パネルの周辺部品を搭載するために使われており、特に近年の大型化した液晶パネルの需要の高まりにより、市場からより多くの数量のFPCが要求されてきている。この際には、言うまでもなく、信頼性が高く、できるだけ低コストのFPC材料が求められている。FPCの基材としては、耐熱性、電気絶縁性、機械的強度に優れるポリイミド樹脂が広く用いられている。
ポリイミド樹脂を用いたFPCに配線を形成して配線板とする工程は、ポリイミドフィルムの全面にCu箔を貼り付けたCCL(Copper Clad Laminate)から開始される。その貼り付け方法によりCCLは、いわゆる3層CCL、2層CCLという2つの分類に分かれる。
3層CCLはポリイミドとCu箔とが接着剤を介して密着しているのに対して、2層CCLは両者が接着剤を介さずに直接的に密着した構造を有する。いくらポリイミド基材が耐熱性や電気特性に優れているとはいえ、3層CCLの場合には、基板としての性能が接着剤の物性に大きく依存してしまうため、電気的信頼性や、耐繰り返し曲げ性のような機械的信頼性上は2層CCLの方が優れる。しかしながら、2層CCLの場合には、接着剤を用いることなくポリイミドとCu箔とを高い信頼性で密着させておくことが困難であるため、様々の技術開発が推進されてきている。
2層CCLの製造手法として、直接めっき法、スパッタ法、ラミネート法、キャスティング法などが知られているが、直接めっき法による方法を以下に説明する。直接めっき法は、KOHやNaOHなどのアルカリ溶液を、ポリイミドフィルム表面に塗布して、ポリイミド分子中のイミド環を開環してカルボキシル基を形成させる改質工程と、そのポリイミドフィルムを金属イオン含有水溶液で処理して、カルボキシル基に金属イオンを配位させて金属塩を形成する金属イオン吸着工程と、この金属塩を還元する還元工程とを含み、そうして得られる金属薄膜をめっき給電膜として電解めっきを行って、所望の厚さのCu箔を得る方法である(例えば、特許文献1)。この方法で得られた金属膜は、その一部がポリイミド基材表面の微細な凹凸に埋め込まれるようにして析出するため、高い密着性が得られるとされている。
そのような直接めっき法において、還元工程の方法としては、還元剤を含む水溶液でポリイミド基材の表面を処理する方法や、還元ガス雰囲気下で加熱処理する手法が行われている。前者は、例えば、水素化ホウ素ナトリウムや、次亜リン酸ナトリウム、ジメチルアミンボラン等の水溶液に、ポリイミドフィルムを浸漬して実施される。また、後者は、水素ガス気流中にポリイミドフィルムを加熱しながら放置して実施される。
しかしながら、還元工程において、還元剤を含む水溶液にポリイミドフィルムを浸漬する手法を採った場合、還元剤と金属イオンとの接触はポリイミドフィルム表面でしか起こらない。吸着工程までの工程により、ポリイミドフィルムの表面付近には吸着した金属イオンが数μmオーダーの深さまで存在しているが、還元剤からの電子等、反応種の供給がポリイミドの最表面でしか行われないため、フィルム最表面でしか金属イオンからの金属核析出が起こらない。このため、ポリイミドとの密着性が悪い金属薄膜が形成されてしまう。ポリイミドフィルムはその時点で改質処理がなされているとはいえ、還元剤水溶液の浸透深さが限られている。よって、ポリイミドとの密着性が良い金属箔を得ようとすると、予め物理的にポリイミドフィルム表面を粗化しておくなどの処理が必要になる。特に、水素化ホウ素ナトリウム水溶液を用いた場合には、反応速度が速く、室温で常に水素ガスが発生して還元剤としての能力が劣化していくため、この還元工程用の副資材として用いるには工程管理が難しいという問題がある。また、発生する水素ガスに可燃性があるために、その適切な排気方法にも準備が必要である。生産管理上の問題に関しては、次亜リン酸ナトリウム、ジメチルアミンボランを使用した場合でも同様であり、液の劣化具合を適切にモニタリングして、安定して還元工程を実施できるような管理手法が必要である。
還元工程に還元性ガス中放置を用いた場合、還元性ガスとしては水素ガスが代表的である。しかし水素ガスを用いる場合には、ガスに可燃性があるため、使用設備や配管には厳重な管理が必要である。また、ジボランガスを用いた場合には、高い引火性を有するため同様の課題がある。いずれにしても、設備の設置や安全な運用に多大なコストを要するという問題がある。
また還元工程において電磁線照射を行う技術も報告されている(特許文献2)。しかしながら、そのような技術においても、基板と金属膜との密着性はやはり十分ではなかった。
一方、CCLを配線板に加工するためには配線のパターニングが必要であるが、その方法としては、いわゆるサブトラクティブ法が従来から行われてきていた。しかし、この手法では、配線パターンの微細化に対応しづらいという問題が指摘されてきている。サブトラクティブ法では、CCLのCu箔から配線パターンとしての不要部分をエッチング除去して製作される。金属箔のエッチングは通常、等方的に進行するために、深さ方向とともに水平方向にもエッチングが進む。よって、配線ピッチの微細化が進み、Cu箔厚さに近い配線幅が要求されてくると、このサイドエッチング現象のために正常な配線パターン形成が困難になってくる。
これに対応するために、アディティブ法による配線形成方法が実施されている。特許文献1には、直接めっき法において、ポリイミドフィルムの表面を選択的にアルカリ溶液で処理して改質を行って、上記一連の工程により選択的に金属膜を得、最終的に電解めっきにより配線パターンを得る方法が開示されている。ポリイミドフィルム上で選択的な改質を行うため、例えば、ポリイミドフィルム上の配線不要箇所を予めフォトレジスト被膜のパターニングで覆った上、ポリイミドフィルム全体をアルカリ溶液に浸す方法や、アルカリ溶液をインクジェット等の手法により、ポリイミドフィルム上に選択的に吐出させて改質する方法などが行われている。
しかしながら、そのようなアディティブ法では、電解めっき工程において給電膜が既にパターニングされているために、給電膜への電気エネルギーの供給電極の位置が、配線板の品種によってまちまちになるという問題がある。電解めっきに用いるめっき装置の電極位置の汎用性に欠き、装置管理コストがかかるという問題がある。
さらには、ポリイミドフィルム上へのアルカリ溶液の選択的処理の手法に対しても課題がある。すなわち、特許文献1に開示されているパターニングされたフォトレジストによる選択的処理を用いようとすると、そのフォトレジスト材料にアルカリ溶液への高い耐性が求められる。しかし、本工程に用いるアルカリ溶液は、pHが9〜11程度の強アルカリを示すためにフォトレジスト材料自体もアルカリ溶液に侵されて剥離などの問題が発生することが多く、材料の選択肢がかなり狭められるという問題がある。これは、この工程が、化学的に比較的安定なポリイミドフィルムの分子鎖を切断するという目的で行われるため、強アルカリを使用するということに起因しており、本質的な問題である。また、インクジェット方式を用いてアルカリ溶液をポリイミドフィルム上に選択的に吐出する場合には、インクジェット装置の各部材を強アルカリに耐えうる材質を用いる必要性はいうまでもなく、選択吐出したアルカリ溶液がポリイミドフィルム上でだれないようにする技術が必要となる。ポリイミド表面の改質処理の実施には、液とポリイミドとが適度に濡れる必要があるが、過度に濡れ広がると微細配線の形成が行えないという問題がある。アルカリ溶液とポリイミドフィルムとの適切な濡れ性制御という、工程管理上の新たなパラメータが発生し、管理手法の確立が必要になる。
特開2005−45236号公報 特開2002−192648号公報
本発明は第1発明および第2発明からなる。
第1発明は、金属膜とポリイミドとの密着性が良好であり、かつ安全で安定的な生産が可能なポリイミド配線板の製造方法を提供することを目的とする。
第2発明は、微細ピッチ配線の形成が可能で、かつ安全で安定的な生産が可能なポリイミド配線板の製造方法を提供することを目的とする。
第1発明は、
ポリイミドフィルムをアルカリ溶液で処理して改質層を形成する改質工程;
前記ポリイミドフィルムを金属イオン含有溶液で処理して、該溶液に含有される金属イオンを改質層に吸着させる吸着工程;および
前記ポリイミドフィルムを還元処理することにより、前記吸着した金属イオンを還元させて、改質層上に金属膜を形成する還元工程;
を含んでなり、
前記還元処理がプラズマ処理または電子ビーム照射処理であることを特徴とするポリイミド配線板の製造方法に関する。
第2発明は、
ポリイミドフィルムをアルカリ溶液で処理して改質層を形成する改質工程;
前記ポリイミドフィルムを金属イオン含有溶液で処理して、該溶液に含有される金属イオンを改質層に吸着させる吸着工程;
前記ポリイミドフィルムを還元処理することにより、前記吸着した金属イオンを還元させて、改質層上に金属膜を形成する還元工程;
前記改質層上に形成された金属膜にフォトレジスト材料を適用した後、フォトリソグラフィを実施して、前記金属膜を選択的に露出させるフォト工程;
前記金属膜を給電膜として用いて電解めっきを行い、前記金属膜の露出部に導体層を析出させる電解めっき工程;
前記フォトレジストを除去して金属膜を露出させるレジスト除去工程;および
前記導体層をマスクとして用い、前記レジスト除去工程で露出した金属膜をエッチング除去するエッチング工程;
を含むことを特徴とするポリイミド配線板の製造方法に関する。
第1発明のポリイミド配線板の製造方法によれば、金属膜とポリイミド基材との密着性に優れた配線板を、高い生産性かつ安全性で得ることができる。しかも生産上の管理項目を減らすことができ、高いスループット(処理量)で安全に生産することができるため、ポリイミドFPCの低コスト化や高信頼性に大いに貢献することができる。特に配線のパターニングを特定のフォト工程、電解めっき工程、レジスト除去工程およびエッチング工程により行うと、より微細なピッチの配線を容易に形成できるという効果がさらに得られる。
第2発明のポリイミド配線板の製造方法によれば、微細ピッチ配線を高い生産性かつ安全性で形成できる。しかも生産上の管理項目を減らすことができ、高いスループット(処理量)で安全に生産することができるため、ポリイミドFPCの低コスト化や高信頼性に大いに貢献することができる。
さらに本製造方法によれば、直接めっき法で析出される金属膜は、比較的粗い表面を有しているので、析出後に引き続き行うフォト工程において、レジスト材料との密着性に優れている。よって、密着性の観点で、レジスト材料の制約を受けることがない。そのため高精細なパターン形成可能な材料を用いることができ、配線の微細ピッチ化を実現することができる。
また特に、直接めっき法で金属膜を析出させた場合、ポリイミドフィルムの表面付近には工程の最初に形成した改質層が残ることが多い。改質層が残っていると配線板としての信頼性低下の懸念要因となる。しかし、本製造方法におけるフォト工程等で加熱を行うと、その際同時に、改質層の再ポリイミド化を進めることができる。よって、改質層の再ポリイミド化による信頼性向上を達成することができる。
第1発明および第2発明を図1〜図8を参照して説明する。
図1は、第1発明および第2発明に係るポリイミド配線板の製造方法の製造フロー図の一例である。
図2〜図8は、第1発明および第2発明に係るポリイミド配線板の製造工程を説明するためのポリイミドフィルムの概略断面図の一例である。
(第1発明)
まず第1発明の第1実施形態について説明する。
第1発明の第1実施形態に係るポリイミド配線板の製造方法は以下に示す工程を含むものである;
ポリイミドフィルムをアルカリ溶液で処理して改質層を形成する改質工程;
前記ポリイミドフィルムを金属イオン含有溶液で処理して、該溶液に含有される金属イオンを改質層に吸着させる吸着工程;および
前記ポリイミドフィルムを還元処理することにより、前記吸着した金属イオンを還元させて、改質層上に金属膜を形成する還元工程。
・改質工程
本工程では、ポリイミドフィルムをアルカリ溶液で処理して改質層を形成する。詳しくは図2に示すようなポリイミドフィルム1をアルカリ溶液に浸漬することで、図3に示すように両面に改質層104を形成されたポリイミドフィルムを得、その後、水洗する。この工程により、フィルム表面におけるポリイミド分子のイミド環が加水分解によって開環し、カルボキシル基が生成すると同時に、カルボキシル基の水素イオンがアルカリ溶液中の金属イオンと置換され、改質層が形成される。例えば、化学式(1)で表されるポリイミドは、KOH水溶液で処理される場合、加水分解による開環によって生成したカルボキシル基の水素イオンがカリウムイオンと置換されて化学式(2)で表される構造を有するようになる。
Figure 2007288011
アルカリ溶液はポリイミドのイミド環を開環できる限り特に制限されるものではなく、例えば、K、Na等のアルカリ金属の水酸化物を含有する水溶液、Mg、Ca等のアルカリ土類金属の水酸化物を含有する水溶液等が使用可能である。アルカリ溶液に含有され、本工程で水素イオンと置換する金属イオンを以下、金属イオンAと呼ぶものとする。
ポリイミドフィルムとしてはポリイミドからなっている限り、特に制限されず、可撓性を有するものから剛性を有するものまで、いかなるポリイミドフィルムも使用可能であるが、フレキシブル配線板を製造する観点からは、厚み10〜200μmの可撓性を有するものが好ましく使用される。
ポリイミドフィルムは市販のものを使用することができ、例えば、アピカル(R)(カネカ製)、カプトン(R)(東レデュポン製)、ユーピレックス(R)(宇部興産製)等として入手可能である。
配線板の両面を電気的に接続するビアが必要な場合には、改質工程の実施前に予めポリイミドフィルム1にドリル加工などの穴あけ加工により貫通ビアを形成していてもよい。改質工程および後述の金属イオン吸着工程の実施により、貫通ビアの内壁にも、金属膜として析出する金属イオンが吸着するために、ポリイミドフィルム両面に金属膜を形成する工程が完了すると同時にビア内壁にも金属膜が形成され、効率が良い。
次の工程に進む際にはポリイミドフィルムの乾燥を防ぐことが望ましい。乾燥を実施した場合にはポリイミドフィルム表面に亀裂が生じることがある。このことから、ポリイミドフィルムの湿潤を保った状態で次工程に進む。
・金属イオン吸着工程
本工程では、図3に示すような改質層104を形成されたポリイミドフィルムを金属イオン含有溶液で処理して、該溶液に含有される金属イオンを改質層に吸着させる。詳しくは、改質層104を有するポリイミドフィルムを、金属イオン含有溶液に浸漬して、改質層中の金属イオンAを、当該金属イオン含有溶液中の金属イオンと置換させ、水洗する。
金属イオン含有溶液中に含まれる金属イオンは後述の工程で還元されて改質層表面に金属膜として析出するものであり、改質工程で置換させた金属イオンAよりイオン化傾向の小さいものであれば特に制限されない。ここで、水素よりイオン化傾向が小さい金属の場合、金属膜析出後、長時間放置しておくと金属元素が再度イオン化してポリイミド中に溶け込むことがある。この観点では、水素よりイオン化傾向が大きい金属を用いる方が望ましい。本工程で使用される金属イオン含有溶液として、例えば、Cu,Ni,Co、Ag、Pd、Feなどの金属塩の水溶液が挙げられる。具体的には、例えば、CuSO水溶液、NiSO水溶液、CoSO水溶液、AgNO水溶液、PdSO水溶液、NiCl水溶液、FeCl水溶液などが使用可能である。素材として汎用性(廉価性)、配線板の長期信頼性をより向上させる(ポリイミドへの再溶解を防止する)観点からは、Niイオンを含有する水溶液を使用することが好ましい。金属イオン含有溶液に含有され、本工程で金属イオンAと置換する金属イオンを以下、金属イオンBと呼ぶものとする。
本工程の前に、ポリイミドフィルムをイソプロピルアルコールなどの有機溶剤を用いて洗浄を行ってもよい。その場合には、ポリイミドフィルムの表面に付着している難水溶性のアミン、ポリイミド原料、もしくは改質工程によりポリイミド分子から分離した低分子量不純物などが除去できるため、本工程でポリイミドフィルムを浸漬する金属イオン含有溶液のpHを変化させないという利点がある。
・金属イオン還元工程
本工程では、改質層中に金属イオンBを有するポリイミドフィルムを還元処理することにより、金属イオンBを還元させて、図4に示すように、改質層104上に金属膜4を形成する。詳しくは、ポリイミドフィルムの水洗と乾燥を行った後、還元処理によって金属イオンBを析出させ、改質層104の上に金属膜4を形成する。
第1発明において還元処理としてはプラズマ処理または電子ビーム照射処理を行う。
プラズマ処理はプラズマ中にポリイミドフィルム1をさらすことで実施する。詳しくはプラズマを生成する電極間にポリイミドフィルムを載置したり、または当該電極間をポリイミドフィルムに所定の速度で搬送・通過させたりすることによって、ポリイミドフィルムの全面を処理するようにする。プラズマを発生させる雰囲気は当該プラズマ処理によって金属イオンBの還元が可能な限り特に制限されず、プラズマ中において特に水素ラジカル、もしくは水素イオン及び電子を発生させる得る雰囲気が好ましい。そのような好ましい雰囲気として例えば、水素ガス、HOガス、空気等が挙げられる。これらのガスを原料としたプラズマには、少なくとも電子、水素イオン、水素ラジカルなどの還元性反応種が存在するため、例えば、以下の反応式に従って金属イオンB(下記式中、M)の還元が有効に行われるものと考えられる。なお、これ以降の化学式においては、ポリイミド分子に関しては、反応に関与する化学式(2)において点線枠で図示した部分のみを抜き出して示す。
COO + H → COOH + M
COO + H + e → COOH + M
プラズマ処理における還元性反応種はガス状であるために、他の還元処理、例えば、還元剤水溶液を用いた還元処理よりも、ポリイミドフィルム表面からより深い位置まで浸透できる。その結果、より奥深い位置からの金属核の析出が行えるので、ポリイミドと金属膜とがナノレベルで噛み合った構造が実現でき、金属膜とポリイミドとの密着性が向上するものと考えられる。金属膜のさらに上に金属配線(導体層)が形成されても金属膜とポリイミドとの優れた密着性は確保される。
プラズマ還元処理をより効率よく行い、配線板のより安定的な生産を達成する観点からは、水素ガスを用いたプラズマ処理を行うことが好ましい。さらに、安全性の観点からは、希ガスにより希薄化した水素ガスを用いたプラズマ処理を行うことが好ましい。例えば、3%水素/97%アルゴンの混合ガスをプロセスガスとして用いてプラズマ処理を行うと、当該ガスが不燃性であるため、装置管理や生産管理が容易となる。上記組成以外には、水素が4%未満であって、残りが希ガスの組成であると、同様に不燃性を示すために望ましい。なお、水素を4%以上含むガスであっても、配管や排気方法に可燃性ガスとしての特別な配慮を実施しているのであれば、そのようなガスを用いても良い。
プラズマの生成方法としては、チャンバにガスを導入し、真空ポンプで排気しながら高周波放電を起こす、いわゆる減圧プラズマ処理の手法を用いる。その場合には、プラズマ発生のプロセスマージン(プロセスウィンドウ)が比較的広いために、生産プロセスとしては安定しているという利点がある。
真空ポンプで排気することなく、大気圧下でプラズマ生成を行う大気圧プラズマ処理の手法を用いても良い。この手法を用いる場合には、真空チャンバ等の真空系設備の設置が不要になるという利点のほか、真空引き/大気開放の時間も不要になるため、生産のスループットが向上するという利点を有する。
プラズマを生成する放電はプロセスウィンドウが広いことや、装置の汎用性の観点から高周波放電が好ましいが、コロナ放電またはグロー放電であってもよい。
プラズマ処理の処理条件は金属膜とポリイミドとの優れた密着性を確保できる限り特に制限されないが、例えば、高周波放電によるプラズマ処理の場合、周波数は1kHz〜20MHzが、電力は100〜5000Wが、処理時間は1分〜60分が好適である。
電子ビーム照射処理はポリイミドフィルムに電子ビームを直接的に照射することで実施する。詳しくは、電子ビームの照射は局所的に行われるので、照射装置またはポリイミドフィルムの少なくとも一方を相対的に動かすことによってポリイミドフィルムの全面を照射するようにする。電子ビームはポリイミドフィルム表面から打ち込まれて、内部に直接的に電子を供給し、金属イオンの還元作用を発揮する。そのため、ポリイミドフィルム内部の数μmオーダーの深さに存在する金属イオンBに直接的に電子を供給し、還元させることができ、ポリイミド内部からの金属核析出が行える。その結果、ポリイミドと金属膜とがナノレベルで噛み合った構造が実現でき、金属膜とポリイミドとの密着性が向上するものと考えられる。金属膜のさらに上に金属配線(導体層)が形成されても金属膜とポリイミドとの優れた密着性は確保される。
電子ビームを照射することにより行われる金属イオンB(下記式中、M)の還元は、例えば、以下の反応式に基づくものと考えられる。
COO + e → COO + M
電子ビーム照射処理の処理条件は金属膜とポリイミドとの優れた密着性を確保できる限り特に制限されないが、ポリイミドフィルム内部の数μmオーダーの深さに電子を供給できる程度の加速電圧を採用することが好ましい。そのような加速電圧として、例えば、5〜30kVが好適である。また照射時間は通常、1分〜60分が好適である。
還元処理としてプラズマ処理または電子ビーム照射処理のいずれの処理を行う場合であっても、水分を含有した雰囲気下で処理すると、還元処理がより促進されるために望ましい。プラズマ中や、電子ビーム照射チャンバーの中では、水分子が電離した電子、水素ガス、水素ラジカルが存在するために、還元処理をより促進することができるためである。特に、電子ビーム照射の場合には、電子の照射に伴うポリイミドフィルムのチャージアップ現象を抑制するという効果も発揮する。
還元工程は、1回の処理で片面の還元が終了するため、両面に配線を有する基板の場合は2度の処理を実施する。
以上の改質工程〜金属イオン還元工程を1回ずつ行うと、通常は100〜500nmの厚みの金属膜が形成可能である。各工程において所定の処理を2回以上繰り返して行うことによって、金属膜をさらに厚くすることができる。
第1発明の第1実施形態において金属膜4を形成した後は、通常、配線のパターニングを行う。パターニングは、金属膜4から配線パターンとしての不要部分をエッチング除去する公知のサブトラクティブ法に基づいて行えばよい。公知のサブトラクティブ法の一例として、例えば、金属膜4の配線領域にレジストパターンを形成し、金属膜の露出部(非配線領域)をエッチング除去する方法等が挙げられる。
そのようなパターニングを行った場合のように、配線パターンの配線部は上記金属イオン還元工程で得られた金属膜1層のみからなっていてもよいが、後述の第2実施形態で行うパターニング法によって得られるように、金属膜の上にさらに別の金属膜(導体層)が形成された積層体からなっていてもよい。
第1発明の第2実施形態においては、第1実施形態と同様の方法により改質工程、金属イオン吸着工程および金属イオン還元工程を行って金属膜4を形成した後、以下に示す特定のパターニング法により配線のパターニングを行う。
特定のパターニング法とは、以下の工程を含むものである;
前記改質層上に形成された金属膜にフォトレジスト材料を適用した後、フォトリソグラフィを実施して、前記金属膜を選択的に露出させるフォト工程;
前記金属膜を給電膜として用いて電解めっきを行い、前記金属膜の露出部に導体層を析出させる電解めっき工程;
前記フォトレジストを除去して金属膜を露出させるレジスト除去工程;および
前記導体層をマスクとして用い、前記レジスト除去工程で露出した金属膜をエッチング除去するエッチング工程。
・フォト工程
本工程では、図4に示すような改質層104上に形成された金属膜4に、フォトレジスト材料を適用した後、フォトリソグラフィを実施して、前記金属膜を選択的に露出させる。その結果として、図5に示すようなレジストパターン5が形成され、金属膜4が露出する部分が配線領域となる。
フォトリソグラフィ法とは、感光性のフォトレジストに露光・現像を行って所定のレジストパターンを形成する方法である。例えば、特定波長の光に対して架橋反応(硬化)を起こす感光性樹脂からなるフォトレジストにおける不要部分、すなわち非配線領域を露光し、フォトレジストの非露光部分をエッチングによって除去することによって現像を行い、レジストパターンを形成することができる。
フォトレジスト材料としては特に限定されることなく、市販されている様々な材料を用いることができる。例えば、ノボラック樹脂を主成分とし、感光剤、乳酸エチル、酢酸ノルマルブチルなどの溶剤を含有する液状ポジレジストを使用することができる。そのような液状ポジレジストは例えば、市販のOFPR(東京応化製)として入手可能である。
液状ポジレジストを用いる場合、まず、ポリイミドフィルムをスピンコータに載置し、液状ポジレジストを滴下または塗布して、回転させた後、ホットプレートで加熱(プリベーク工程)し、3〜4μm厚程度のレジスト膜を得る。次に、露光を行った後、約3%のTMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)に1分間浸漬して現像を行い水洗する。現像の際は、TMAH浸漬と水洗とを2〜3回繰返すことで、高精細パターンの形成を確実に行うことができる。その場合には、TMAHの浸漬時間の合計が1分程度になるように条件設定する。その後、ホットプレートで再度、加熱(ポストベーク工程)し、レジストパターン部の樹脂硬化を行う。この結果、1μm幅のレジストパターンを形成できるので、高精細の配線パターンを形成できる。プリベーク工程やポストベーク工程で加熱を行うと、改質工程により改質したポリイミド層の再ポリイミド化を同時に行うことができるので、配線板の信頼性が向上する。
フォトレジスト材料としてフォトレジストフィルムを貼付してもよい。フォトレジスト材料としては特に限定することなく、市販されている様々な材料を用いることができる。例えば、旭化成製SUNFORT(R) ASG−253を用いる場合には、市販のフィルムラミネータを用いて、110℃で加熱しながら、0.4MPa程度の圧力でポリイミドフィルム上に貼り付けを行う。現像に際しては、炭酸ナトリウム水溶液を用いて、非露光部分の除去を行うことができる。
フォト工程はポリイミドフィルム片面の金属膜に対して実施してもよいし、連続して両面の金属膜に対して実施してもよい。
・電解めっき工程(電気めっき工程)
本工程では、前記金属膜4を給電膜として用いて電解めっきを行い、図6に示すように、前記金属膜の露出部に導体層(めっき膜)6を析出させる。金属膜4を給電膜として用い、しかも金属膜4上の非配線領域にはフォトレジストが存在するため、配線領域としての露出部のみに導体層6が選択的に析出する。電解めっき工程はポリイミドフィルム両面の金属膜露出部に対して同時に実施できる。
電解めっき液中に含まれる金属イオンは本工程で金属膜4の露出部に導体層6として析出するものであり、導体層が導電性を有する限り特に制限されないが、金属膜4を構成する金属イオンBよりイオン化傾向の小さいものが好ましい。後述のエッチング工程において金属膜4の露出部のみを有効に除去し易いためである。電解めっき液は、Cuをめっきする場合は、硫酸塩浴やスルファミン浴などが挙げられる。NiやCoをめっきする場合は、硫酸塩浴などが挙げられる。Ag、Auやそれらの合金をめっきする場合には、シアン系浴などが挙げられる。Feをめっきする場合は、硫酸塩浴や塩酸塩浴などが挙げられる。電解めっき液に含有され、本工程で導体層として析出する金属イオンを以下、金属イオンCと呼ぶものとする。
必要な厚さの導体層6を析出させた後は、ポリイミドフィルム1を電解めっき液から取り出し、水洗を行う。金属膜4は、ポリイミドフィルム全面に形成されているため、本工程で、電解めっきの給電用電極はフィルム上のどの位置に設定しても良い。すなわち任意の位置のめっきレジストパターンを突き破って給電用電極(図示しない)を設置することができる。また配線板の品種に依存することなく給電用電極の位置を固定化できるという効果を奏する。導体層6は通常、5〜20μm程度の厚みで形成される。
・レジスト除去工程
本工程では、図6に示すようにフォトレジスト(レジストパターン)5および導体層6を有するポリイミドフィルムから、フォトレジスト5を除去して、図7に示すように金属膜4を露出させる。例えば、剥離液に浸漬し、フォトレジスト5を剥離または溶解すればよい。具体的には、例えば上記の旭化成製フィルムレジストを用いた場合には、2〜3%程度の水酸化ナトリウムか水酸化カリウムの水溶液、もしくは、有機アミン系の剥離液を用いてレジストの除去を行うことができる。また例えば、いわゆるノボラック系樹脂を主成分とする液状レジストの場合には、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートやアルキルベンゼンスルホン酸などの有機溶剤を含む剥離液を用いることができる。
剥離液への浸漬を行うことにより、レジスト除去工程はポリイミドフィルム両面のフォトレジストに対して同時に実施できる。
・エッチング工程
本工程では、導体層6をマスクとして用い、図8に示すように、前記レジスト除去工程で露出した金属膜4をエッチング除去する。詳しくは、図7に示すようなレジストを除去したポリイミドフィルムをエッチング液に浸し、金属膜4の露出部を除去し、改質層104の配線領域にのみ金属膜4および導体層6を残存させる。この結果、ポリイミドフィルムの両面に任意の微細ピッチ配線パターンを形成することができる。
エッチング液は金属膜4の金属および導体層6の金属に依存して決定され、エッチング液として金属膜4は除去するが導体層6は除去しない選択性を有するものを用いることが好ましいが、金属膜4さえエッチング除去できる液であれば、導体層6との選択性がなくても構わない。金属層4と導体層6との間には1桁程度の厚さの差があるために、エッチング時間の調整により、導体層6を完全に除去することなく、金属層4を完全除去することは可能であるからである。
例えば、金属膜4がNiからなり、導体層6がCuからなる場合、エッチング液はFeCl水溶液、HNO、またはHNOを含む酸が使用できる。特にHNOの場合は、Niを溶解できるが、Cuを溶解しないため、特に望ましい。
また例えば、金属膜4がCuからなり、導体層6もCuからなる場合には、FeCl、CuCl、(NHなどの水溶液、アンモニア水などが使用できる。
また例えば、金属膜4がAgからなる場合には、エッチング液はHNO、HSOとHの混合液、Fe(NO水溶液などが使用できる。
また例えば、金属膜4がFeからなる場合には、エッチング液はHNOなどが使用できる。
また例えば、金属膜4がPdからなる場合には、エッチング液はNHI水溶液などが使用できる。
上記までの工程で、片面に配線パターンが形成されたポリイミドフィルムが完成している場合は、他方の面に対しても還元工程以降の工程を実施して、両面への配線パターン形成を終えることができる。
第2実施形態では、第1実施形態で得られる金属膜とポリイミドとの密着性向上等の効果だけでなく、以下の効果(1)〜(5)も得られる。
効果(1);
従来のサブトラクティブ法では、ポリイミドフィルム全面に配線に必要な厚さ(典型的には5〜20μm程度)の金属膜を形成した後、その上に配線パターンが必要な箇所だけにレジストパターンを形成し、レジストパターンの開口部をエッチング除去する。通常、除去すべき金属膜の厚さと同量程度に、レジストパターン直下の金属膜の水平方向にもエッチングが進むため、配線パターンの微細化には向かない。しかし本方法では、ポリイミドフィルム全面に形成した薄い金属膜上に、配線パターンが必要な箇所を除いてレジストパターンを形成し、レジストパターンの開口部だけに電解めっき膜を、配線に必要な厚さ(典型的には5〜20μm程度)形成する。その後、電解めっき膜よりも非常に薄い(典型的には0.1〜0.5μm程度の)金属膜をエッチング除去するので、配線パターンの微細化に有利であり、サブトラクティブ法で問題となるサイドエッチング現象は起こりえない。
効果(2);
本方法では上記パターニング法を実施するため、改質工程においてアディティブ法によりポリイミドフィルム表面における配線領域を、フォトレジスト材料やインクジェット装置を用いて選択的にアルカリ溶液で処理する必要はない。そのため、改質工程で選択的にアルカリ溶液を付与するときに必要となるフォトレジスト材料等の選択の困難性を排することができる。
効果(3);
本方法では電解めっきの給電膜としての金属膜がポリイミドフィルム全面に存在することから、電解めっき装置の電極位置も配線板の品種間で共通化することができるので、生産効率が向上し、電解めっき装置の汎用性も高めることができる。
効果(4);
本方法によれば、直接めっき法で形成された金属膜に対して上記パターニング法を実施し、そのような金属膜は比較的粗い表面を有しているので、フォト工程において形成されるレジストパターンと金属膜との密着性に優れている。そのため、密着性の観点で、レジスト材料の制約を受けることがない。よって高精細なパターン形成可能なレジスト材料を用いることができ、レジストパターンが非常に微細であっても他の工程で剥離することがないので、配線の微細ピッチ化を実現できる。詳しくは、直接めっき法で得られる金属膜の粒子径は100nm〜500nm程度であり、例えばスパッタ法などで得られる粒子径の10nmオーダーに比較すると粗い。また、金属粒子は、直接めっき法ではポリイミドフィルム膜面及び膜内部から還元析出され、上方向に成長していくため、縦長形状となる。ポリイミドフィルム膜外部から元素が供給されていくスパッタ法などに比較すると大きな違いである。この結果、本方法ではレジスト材料と金属膜との密着性が優れる。例えば、旭化成製レジストは、一般的な基板の配線パターン形成レジストであるが、10μm幅程度の配線を形成することが一般的に限界である。しかしながら、直接めっき法で得られる金属膜はレジスト材料との密着性に優れるため、レジスト材料の選択性が広い。そのため、レジスト材料供給前に行う金属膜の粗化処理などを実施することなく、剥離し難い高精細なレジストパターンを形成できるので、1μmオーダーの配線形成が可能である。そのような高精細なパターン形成可能なレジスト材料として、例えば、フォテックRY−3310(日立化成社製)、OFPR(東京応化製)、AZ(AZエレクトロニックマテリアルズ社製)等が使用可能である。
効果(5);
直接めっき法で金属膜を析出させた場合、ポリイミドフィルムの表面付近には工程の最初に形成した改質層が残ることが多い。改質層が残っていると配線板としての信頼性低下の懸念要因となる。しかし、本方法においてフォト工程等において加熱を行うと、改質層の再ポリイミド化を進めることができる。その結果、改質層の再ポリイミド化による信頼性向上を達成することができる。
第1実施形態および第2実施形態いずれの実施形態においても、配線パターンを形成した後は、通常、配線パターンが形成されたポリイミドフィルムに対して、カバーレイを形成するカバーレイ形成工程、配線パターンの端子部分にAuめっきなどの表面処理を行う端子部表面処理工程、および得られた大面積のシート状基板を所定寸法に分割する基板分割工程などを実施して、ポリイミド配線板を完成させる。
・カバーレイ形成工程
カバーレイは、上記までの工程で形成された配線パターンを機械的に保護するとともに、外部との絶縁を図る目的のものである。配線パターンと外部との接続にはんだ付けを行う場合には、はんだが濡れてはいけない領域を規定するために形成するため、ソルダーレジストとも呼ばれる。
カバーレイ形成工程で用いる材料や方法については、特に限定されることなく、市販の材料や方法を用いることができる。フィルム状のものや液状のものがあり、それらを適宜使用すればよい。
例えば、日立化成製レイテックFR−5638を用いることができる。このフィルムをポリイミドフィルム全面に貼り付け、フォトリソグラフィにより不要箇所を除去する。この際、カバーレイを除去した箇所が、端子部となる。この操作を両面に対して実施する。
・端子部表面処理工程
引き続き、配線パターンの外部端子となる場所について、端子の表面処理を行う。例えば、はんだ付け用の端子を形成する場合、Ni膜とAu膜の形成を引き続いて行う。市販の無電解Niめっき浴に浸漬して5μm程度の厚さのNi膜を形成した後、市販の無電解Auめっき浴に浸漬して0.5μm程度の厚さを有するAu膜を形成する。
・基板分割工程
引き続き、基板分割工程を行う。これは、工程を実施するワークサイズに対して製品となる基板サイズが異なる場合に必要となる。例えば、工程を実施するワークの周辺部にはハンドリングのために余分な領域が設けられている。この部分の除去を行う。
具体的には、ここまでの工程を実施したポリイミドフィルムを金型に設置して、打ち抜き加工を行う。こうすることによって、両面ポリイミド配線板を形成できる。
(第2発明)
第2発明に係るポリイミド配線板の製造方法は直接めっき法を採用するものであり、詳しくは以下に示す工程を含むものである;
ポリイミドフィルムをアルカリ溶液で処理して改質層を形成する改質工程;
前記ポリイミドフィルムを金属イオン含有溶液で処理して、該溶液に含有される金属イオンを改質層に吸着させる吸着工程;
前記ポリイミドフィルムを還元処理することにより、前記吸着した金属イオンを還元させて、改質層上に金属膜を形成する還元工程;
前記改質層上に形成された金属膜にフォトレジスト材料を適用した後、フォトリソグラフィを実施して、前記金属膜を選択的に露出させるフォト工程;
前記金属膜を給電膜として用いて電解めっきを行い、前記金属膜の露出部に導体層を析出させる電解めっき工程;
前記フォトレジストを除去して金属膜を露出させるレジスト除去工程;および
前記導体層をマスクとして用い、前記レジスト除去工程で露出した金属膜をエッチング除去するエッチング工程。
第2発明における改質工程および金属イオン吸着工程はそれぞれ第1発明の第1実施形態で説明した改質工程および金属イオン吸着工程と同様である。
第2発明における金属イオン還元工程は、第1発明における金属イオン還元工程と同様であってよいが、金属イオン吸着工程で吸着された金属イオンを還元して、表面に金属膜を析出・形成できる限り特に制限されるものではない。例えば、金属イオン吸着工程で得られたポリイミドフィルムを、(1)還元剤を含む水溶液で処理する方法、(2)還元性ガス雰囲気下で加熱処理する方法、(3)電磁線照射する方法等が挙げられる。
(1)の方法では、水素化ホウ素ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム、ジメチルアミンボラン等の水溶液に、ポリイミドフィルムを浸漬する。
(2)の方法では、水素ガス気流中にポリイミドフィルムを加熱しながら放置する。
(3)の方法では、例えば、紫外線領域の波長の電磁波を照射する。具体的には、第1発明で説明したものと同様の金属イオンを吸着させたポリイミドに、さらにTiOなどの光触媒特性を有する材料を供給した後に電磁波を照射する。もしくは、Ag、Pdなどの貴金属イオンを吸着させたポリイミドに対しては、光触媒特性を有する材料を別途塗布しなくても、直接電磁波を照射することで、金属膜を析出させることができる。例えばPdを析出させる場合、前記第1発明と同様の改質工程を実施後、Pd塩水溶液に浸漬してPdイオンを吸着させる。その後、254nmを中心波長にもつ低圧水銀ランプを用いて5分間程度の電磁波照射により、Pd膜の析出を実施できる。
第2発明において改質工程〜金属イオン還元工程を1回ずつ行うと、通常は100〜500nmの厚みの金属膜が形成可能である。各工程において所定の処理を2回以上繰り返して行うことによって、金属膜をさらに厚くすることができる。
第2発明におけるフォト工程、電解めっき工程、レジスト除去工程およびエッチング工程はそれぞれ第1発明の第2実施形態で説明したフォト工程、電解めっき工程、レジスト除去工程およびエッチング工程と同様である。
第2発明では、第1発明の第2実施形態で得られる前記効果(1)〜(5)と同様の効果が得られる。
第2発明において配線パターンを形成した後は、通常、第1発明においてと同様のカバーレイ形成工程、端子部表面処理工程、および基板分割工程などを実施して、ポリイミド配線板を完成させる。
本発明によるポリイミド配線板の製造方法について、実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
被めっき物として、100μm厚のポリイミドフィルム1(カネカ製;アピカル(R)NPI)を用いた。
(改質工程)
まず、ポリイミドフィルム1を50℃のKOH水溶液に5分間浸漬し、2分間の水洗を行うという改質工程を実施した。この際、KOH水溶液は、5M(5mol/l)の濃度に設定した。得られたポリイミドフィルム1は表面の湿潤を保った状態で次工程に送った。この工程により、ポリイミドフィルム1の両面についてポリイミド分子中のイミド環の加水分解が行われ、ポリイミド表面の改質層(図3中、104)には、カルボキシル基の水素イオンがカリウムイオンに置換されてなる、カリウム塩形態のカルボキシル基が形成された。
(金属イオン吸着工程)
次に30℃のNiSO水溶液にポリイミドフィルム1を5分間浸漬し、5分間の水洗を行うという吸着工程を実施した。この際、NiSO水溶液は0.1Mの濃度に設定した。この工程により、改質層104(図3中、104)のカリウム塩形態のカルボキシル基におけるカリウムイオンがニッケルイオンに置換される反応が進行し、ニッケル塩形態のカルボキシル基が形成された。
以上の工程により、ポリイミドフィルムの両面に表面から5μm程度の深さまで、ポリイミド分子にニッケル塩形態のカルボキシル基を導入した構造が実現した。
(金属イオン還元工程)
次に、水洗したポリイミドフィルム1を乾燥させ、プラズマ処理装置に設置した。プラズマ処理装置は平行平板型の一般的なものを使用した。プラズマ処理装置を図9に示す。これは、対向した平行平板電極61間を真空ポンプ63で減圧しながら、ガスボンベ62により供給されるプロセスガスで満たし、その電極61間に高周波電力をかけることで発生するプラズマを利用して処理するものである。このような装置60を用いて、還元工程を実施した。プラズマ処理装置には、アルゴン(97%)/水素(3%)の混合ガスが接続されている。
詳しくはポリイミドフィルムをチャンバ内の下部電極に設置し、油回転ポンプで排気した後、上記混合ガスを導入した。チャンバ内部にアルゴン/水素混合ガスを30sccm導入し、真空度の安定を確認した後、高周波電源(13.56MHz)を入れ、放電を行った。放電は、1kWの電力印加により行った。30分の処理により、厚み0.1μmのニッケル膜(図4中、4)の析出が見られた。プラズマ処理装置のチャンバ内ではプラズマが生成し、その中には、ガス状のAr分子、H分子とともに、それらの分子から解離した電子やイオン、化学的に活性なラジカルが存在している。これらのうち、電子、水素ラジカル、水素イオンの作用により、ポリイミドフィルム中のニッケルイオンが還元されてニッケル膜として析出したと考えられる。
そのような金属イオン還元工程をポリイミドフィルム両面に対して実施した。
この後、前記と同様の金属イオン吸着工程および金属イオン還元工程を実施することを2回行い、厚み0.3μm程度のニッケル膜を得た。
<実施例2>
実施例1と同様の方法により、改質工程および金属イオン吸着工程を実施し、以下の金属イオン還元工程を行った。
(金属イオン還元工程)
水洗したポリイミドフィルム1を乾燥させ、大気圧プラズマ装置に設置した。大気圧プラズマ装置を図10に示す。これは、対向した電極71間をガスボンベ72から供給されるプロセスガスで満たし、その電極71間に高電圧をかけることで発生する大気圧プラズマを利用して被処理物の表面を処理するものである。このような装置70を用いて、還元工程を実施した。このとき、印加する高電圧の周波数は30kHz、放電電圧は8kVとした。プロセスガスの組成は、アルゴン(97%)/水素(3%)とし、装置70内部を充満させるガスの供給量および排出量を30l/分とした。この場合には、ポリイミドフィルムをチャンバ内部で固定しておく必要はなく、装置70内部を順次搬送していく方式で構わない。ポリイミドフィルムの搬送速度を0.1cm/分とすることで、厚み0.3μmのニッケル膜(図4中、4)の析出が観察された。このとき、電極71の搬送方向長さは5cmであった。
そのような金属イオン還元工程をポリイミドフィルム両面に対して実施した。
<実施例3>
実施例1と同様の方法により、改質工程および金属イオン吸着工程を実施し、以下の金属イオン還元工程を行った。
(金属イオン還元工程)
水洗したポリイミドフィルム1を乾燥させ、電子ビーム照射装置に設置した。電子ビーム照射装置の概略図を図11に示す。図11において、81はタングステンフィラメントであり加熱することで熱電子を発生する。発生した熱電子は、フィラメント81より電位が低く設定されているウェーネルト82で一旦収束し、フィラメント81より高い電位に設定されたアノード86によって加速される。このようにして電子線80は、オリフィス83を経て、ステージ上に設置されたポリイミドフィルム1に到達する。なお、電子線は経路周辺部に設置されているコンデンサレンズ(図示せず)により収束されるとともに、照射位置の微調整も行うことができる。また、装置内部は、電子銃室84と試料室85に分断されており、それぞれ別々の真空度にも設定できるよう、油回転ポンプ、油拡散ポンプ(ともに図示せず)と接続されている。
詳しくは試料室85にポリイミドフィルム1を設置し、フィルム全面をスキャンすることで、片面全面においてニッケルイオンの還元を行った。タングステンフィラメントを適度に加熱して熱電子を発生した後、アノードとフィラメント間の電位差(加速電圧)を10kVに設定し、電子を照射した。このとき、電子銃室84は高真空が必要であり10−3Paの真空度に設定されるが、試料室85は真空度を落とし、100Paの真空度に設定し、電子が照射される試料室の雰囲気は大気中の水分を含有した状態にしておく。電子線の照射により、ポリイミド中のニッケルイオンに直接的に電子を供給するとともに、周辺部に水分子から電離した水素イオン、電子を存在させておくことで、金属イオンの還元を促進することができる。ここでは、上記条件下で、5cm四方のフィルムに対して、50分の処理により、厚み0.1μmのニッケル膜(図4中、4)の析出を行うことができた。
そのような金属イオン還元工程をポリイミドフィルム両面に対して実施した。
<実施例4>
金属イオン吸着工程においてNiSO水溶液の代わりに5mol/L濃度のCuSO水溶液を用いたこと以外、実施例1と同様の方法により、形質工程、金属イオン吸着工程および金属イオン還元工程を実施した。厚み0.3μmのCu膜の析出が観察された。
<参考例1>
実施例1と同様の方法により、改質工程および金属イオン吸着工程を実施し、以下の金属イオン還元工程を行った。
(金属イオン還元工程)
引き続き、ポリイミドフィルムを30℃のNaBH水溶液(0.005M)に30分間浸漬し、さらに5分間の水洗を行った。この時点で、改質層に存在するカルボン酸ニッケル塩のニッケルイオンが還元されてニッケルが析出し、改質層の表面にニッケル膜が形成された。このときニッケル膜の厚さは0.2μm程度であった。
<参考例2>
金属イオン吸着工程でCuSO水溶液を使用し、Cuイオンの吸着を行ったこと以外、実施例1と同様の方法により、改質工程および金属イオン吸着工程を実施した。その後、以下の金属イオン還元工程を行った。
(金属イオン還元工程)
まず、TiOコロイド粒子の吸着処理を行う。3重量%のTiOコロイド溶液中に10分間の浸漬を行い、ポリイミド表面にTiOコロイド粒子の吸着を行った。
その後、254nmを中心波長にもつ低圧水銀ランプを用いて5分間の紫外線照射を行って、Cu膜の析出を行った。これにより、0.1μm厚程度のCu膜を得ることができた。
そのような金属イオン還元工程をポリイミドフィルム両面に対して実施した。
<評価A>
実施例1〜4および参考例1〜2においてニッケル膜またはCu膜等の金属膜(図4中、4)が析出したポリイミドフィルム1を用いて以下の工程により配線パターンの形成を両面で行い、後述の項目について評価した。
(フォト工程)
ポリイミドフィルム1の両面に、厚さ25μmのドライフィルムレジストをホットロール式ラミネータAL−70(旭化成製)により貼り付け、露光、現像を行って、めっきレジストパターン(図5中、5)を形成した。
貼り付け工程においては、上記のラミネータを用い、115℃に加熱した上で、0.4MPaの圧力を印加し、2m/分の速度でドライフィルムレジストSUNFORT(R) ASG−253(旭化成製)の貼付を行った。
露光工程においては、4.5kW水銀ショートアークランプHMW−801(オーク製作所製)を用いて、80mJ/cmの露光を実施した。
現像工程においては、1%のNaCO水溶液を用い、28℃にて30秒程度のスプレー照射を実施した後、水洗を行った。
以上の工程により、25μm幅のレジストパターンを形成した。レジストパターンの幅とはレジストパターンにおける配線領域としての露出部の幅である。
以上の工程で、片面のフォト工程が終わるため、その後他面に対しても同様の工程を実施して、両面のレジストパターン形成を終えた。
(電解めっき工程)
次に、ポリイミドフィルム1を銅の電解めっき液(日本エレクトロプレイティング・エンジニヤース株式会社製;ミクロファブCu200商標(R))に浸漬し、金属膜4を給電層として銅の電解めっきを行い、導体層6(図6中、6)を約20μmの厚さで析出させた。このとき、めっき温度28℃、電流密度2A/dmとし、50分間の電解めっきを行った。
(レジスト除去工程)
次に、ポリイミドフィルム1の表面に2重量%、50℃のNaOH水溶液をスプレー塗布して、めっきレジスト5を剥離し(図7参照)、その後で、5分間の水洗を行った。この工程は2回繰り返し、ポリイミドフィルム1の両面のめっきレジスト5を剥離した。
(エッチング工程)
次に、ポリイミドフィルム1を銅のエッチング液(35g/L、60℃の塩化鉄(III)[第二](FeCl)水溶液)に1分間浸漬し、導体層6が形成されていない領域の金属膜4を除去した(図7および図8参照)。この後、5分間の水洗を行った。
(カバーレイ形成工程および端子部表面処理工程)
この後、ポリイミドフィルム1の導体層6が形成された面にカバーレイを形成し、導体層6のランド部にあたる部分にAuフラッシュめっきなどの表面処理を行った。
(基板分割工程)
さらに、配線基板ごとの形状に打ち抜く工程を行って、ポリイミド配線板を作製した。
以下の評価では、エッチング工程直後のポリイミドフィルムを用いた。
・密着性
ポリイミドフィルムについて、JIS C 6471の方法に則り、Cu箔の90°方向引き剥がし試験を実施した。
実施例1〜4で得られたポリイミドフィルムを用いたものはいずれも、25℃において1.0kN/m以上、240℃において0.7kN/m以上の数値を示し、良好な結果を得た。
参考例1〜2で得られたポリイミドフィルムを用いたものはいずれも、25℃において0.5kN/m以下、240℃において0.1kN/m以下の数値を示し、配線板としての使用に耐えるものではなかった。
・微細パターン配線
ポリイミドフィルムを電子顕微鏡により観察した。
実施例1〜4および参考例1〜2で得られたポリイミドフィルムを用いたものはいずれも、フォト工程で形成しためっきレジストパターンと同様の配線パターンが形成されていた。
<評価B>
実施例1〜4および参考例1〜2においてニッケル膜またはCu膜等の金属膜(図4中、4)が析出したポリイミドフィルム1を用いて以下の工程により配線パターンの形成を両面で行い、微細パターン配線について評価した。
フォト工程においてドライフィルムレジストとしてフォテックRY−3310(日立化成社製)を用いて5μm幅のレジストパターンを形成したこと以外、評価Aにおいてと同様の方法により、フォト工程、電解めっき工程、レジスト除去工程、およびエッチング工程を実施した。
得られたポリイミドフィルムを、評価Aにおける微細パターン配線の評価方法と同様の方法により評価したところ、いずれのポリイミドフィルムにおいても、フォト工程で形成しためっきレジストパターンと同様の配線パターンが形成されていた。
<評価C>
実施例1〜4および参考例1〜2においてニッケル膜またはCu膜等の金属膜(図4中、4)が析出したポリイミドフィルム1を用いて以下の工程により配線パターンの形成を両面で行い、微細パターン配線について評価した。
(フォト工程)
ポリイミドフィルムをスピンコータに載置し、液状ポジレジストを滴下した。次いで800rpmで30秒、続いて3000rpmで3分間回転させた。その後、100℃設定のホットプレートで1分間保持(プリベーク工程)し、その結果、3〜4μm厚程度のレジスト膜を得た。液状ポジレジストはノボラック樹脂を主成分とし、他に感光剤と、乳酸エチル、酢酸ノルマルブチルなどの溶剤で粘度を調整したポジレジスト(東京応化製;OFPR)を用いた。
次に露光機に設置して、1000mJ/cm程度の露光量で露光を行った後、3%のTMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)に20秒間浸漬して現像を行い、水洗した。TMAH浸漬と水洗とをさらに2回繰返した。
その後、140℃設定のホットプレートに3分放置するポストベーク工程により、レジストパターン部の樹脂硬化を行った。この結果、1μm幅のレジストパターンを形成した。
以上の工程で、片面のフォト工程が終わるため、その後他面に対しても同様の工程を実施して、両面のレジストパターン形成を終えた。
(電解めっき工程、レジスト除去工程、およびエッチング工程)
その後、評価Aにおいてと同様の方法により、電解めっき工程、レジスト除去工程、およびエッチング工程を実施した。
得られたポリイミドフィルムを、評価Aにおける微細パターン配線の評価方法と同様の方法により評価したところ、いずれのポリイミドフィルムにおいても、フォト工程で形成しためっきレジストパターンと同様の配線パターンが形成されていた。
本発明の方法はポリイミドを基板とした配線板、特にフレキシブルポリイミド配線板の製造に利用可能である。特に両面に配線パターンを形成した両面フレキシブルポリイミド配線板を複数枚積層した多層フレキシブル配線板や、両面フレキシブルポリイミド配線板をガラスエポキシ基板などの硬質基板に積層したリジッド−フレキシブル配線板の製造などの製造にも広く利用可能である。
本発明によるポリイミド配線板の製造工程を示すフロー図である。 本発明によるポリイミド配線板の製造工程を説明する概略断面図である。 本発明によるポリイミド配線板の製造工程(改質工程)を説明する概略断面図である。 本発明によるポリイミド配線板の製造工程(金属イオン還元工程)を説明する概略断面図である。 本発明によるポリイミド配線板の製造工程(フォト工程)を説明する概略断面図である。 本発明によるポリイミド配線板の製造工程(電解めっき工程)を説明する概略断面図である。 本発明によるポリイミド配線板の製造工程(レジスト除去工程)を説明する概略断面図である。 本発明によるポリイミド配線板の製造工程(エッチング工程)を説明する概略断面図である。 本発明によるポリイミド配線板の製造に用いるプラズマ処理装置を説明する概略図である。 本発明によるポリイミド配線板の製造に用いる大気圧プラズマ装置を説明する概略図である。 本発明によるポリイミド配線板の製造に用いる電子ビーム照射装置を説明する概略図である。
符号の説明
1:ポリイミドフィルム、4:金属膜、5:めっきレジストパターン、6:導体層、60:減圧プラズマ装置、61:平行平板電極、62:ガスボンベ、63:真空ポンプ、70:大気圧プラズマ装置、71:対向電極、72:ガスボンベ、80:電子ビーム、81:タングステンフィラメント、82:ウェーネルト、83:オリフィス、84:電子銃室、85:試料室、86:アノード、104:改質層。

Claims (7)

  1. ポリイミドフィルムをアルカリ溶液で処理して改質層を形成する改質工程;
    前記ポリイミドフィルムを金属イオン含有溶液で処理して、該溶液に含有される金属イオンを改質層に吸着させる吸着工程;および
    前記ポリイミドフィルムを還元処理することにより、前記吸着した金属イオンを還元させて、改質層上に金属膜を形成する還元工程;
    を含んでなり、
    前記還元処理がプラズマ処理または電子ビーム照射処理であることを特徴とするポリイミド配線板の製造方法。
  2. 前記還元処理が水素ガスを用いたプラズマ処理であることを特徴とする請求項1に記載のポリイミド配線板の製造方法。
  3. 前記還元処理が希ガスにより希薄化した水素ガスを用いたプラズマ処理であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリイミド配線板の製造方法。
  4. 前記還元処理が減圧プラズマ処理または大気圧プラズマ処理であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリイミド配線板の製造方法。
  5. 前記還元処理が水分を含有した雰囲気下で実施されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリイミド配線板の製造方法。
  6. 前記改質層上に形成された金属膜にフォトレジスト材料を適用した後、フォトリソグラフィを実施して、前記金属膜を選択的に露出させるフォト工程;
    前記金属膜を給電膜として用いて電解めっきを行い、前記金属膜の露出部に導体層を析出させる電解めっき工程;
    前記フォトレジストを除去して金属膜を露出させるレジスト除去工程;および
    前記導体層をマスクとして用い、前記レジスト除去工程で露出した金属膜をエッチング除去するエッチング工程;
    をさらに含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポリイミド配線板の製造方法。
  7. ポリイミドフィルムをアルカリ溶液で処理して改質層を形成する改質工程;
    前記ポリイミドフィルムを金属イオン含有溶液で処理して、該溶液に含有される金属イオンを改質層に吸着させる吸着工程;
    前記ポリイミドフィルムを還元処理することにより、前記吸着した金属イオンを還元させて、改質層上に金属膜を形成する還元工程;
    前記改質層上に形成された金属膜にフォトレジスト材料を適用した後、フォトリソグラフィを実施して、前記金属膜を選択的に露出させるフォト工程;
    前記金属膜を給電膜として用いて電解めっきを行い、前記金属膜の露出部に導体層を析出させる電解めっき工程;
    前記フォトレジストを除去して金属膜を露出させるレジスト除去工程;および
    前記導体層をマスクとして用い、前記レジスト除去工程で露出した金属膜をエッチング除去するエッチング工程;
    を含むことを特徴とするポリイミド配線板の製造方法。


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