JP2020136571A - ペロブスカイト型太陽電池およびその製造方法 - Google Patents

ペロブスカイト型太陽電池およびその製造方法 Download PDF

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竜也 近藤
健治 町田
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Abstract

【課題】高い光電変換効率を有し、かつ安定した発光性能が得られるペロブスカイト型太陽電池を提供する。【解決手段】少なくとも正極と、正孔輸送層と、正孔輸送層の上に積層されたペロブスカイト結晶を含む光電変換層と、負極を備えたペロブスカイト型太陽電池であって、正孔輸送層は、3位と4位に置換基を有するチオフェンから成る群から選択された少なくとも一種のモノマーから構成されたポリマーと、該ポリマーに対するドーパントとして、ボロジサリチル酸及びボロジサリチル酸塩から成る群から選択された少なくとも一種の化合物である非スルホン酸系有機化合物を含む導電性ポリマー層からなる。【選択図】図1

Description

本発明は、高い変換効率を有し、かつ、安定した発光性能が得られるペロブスカイト型太陽電池に関する。
安全で環境に対しよりクリーンなエネルギーが求められている。クリーンな発電技術として太陽光発電が注目を浴びている。
新しいタイプの太陽電池として、ABXで示されるペロブスカイト型結晶構造をもつ化合物を光吸収材料として光電変換層に用いたペロブスカイト型太陽電池の研究開発が進められている。ペロブスカイト型太陽電池は、例えば、特許文献1に開示されている。ペロブスカイト型太陽電池は、例えば、負極表面にブロッキング層、電子輸送層、光電変換層としてのペロブスカイト層、正孔輸送層、正極から構成される。正孔輸送層を構成する材料としては、例えば、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)とポリエチレンスルホン酸(PSS)からなるドーパントからなる水溶性導電性高分子インクが用いられている。
特開2016−092293号公報
近年、ペロブスカイト型太陽電池は、光電変換効率が改善されているが、光電変換効率の更なる高効率化及び高い安定性が求められている。
本発明者らは、正孔輸送層の構成材料として、特定の材料を用いることにより、ペロブスカイト型太陽電池の光電変換効率が向上し、かつ、高い安定性を示すことを見出した。
したがって、本発明はまず、少なくとも正極と、正孔輸送層と、該正孔輸送層の上に積層されたペロブスカイト結晶を含む光電変換層と、負極を備えたペロブスカイト型太陽電池であって、前記正孔輸送層が、3位と4位に置換基を有するチオフェンから成る群から選択された少なくとも一種のモノマーから構成されたポリマーと、該ポリマーに対するドーパントとして、ボロジサリチル酸及びボロジサリチル酸塩から成る群から選択された少なくとも一種の化合物である非スルホン酸系有機化合物を含むことを特徴とするペロブスカイト型太陽電池を提供する。
また、本発明のペロブスカイト型太陽電池は、前記ポリマーが、3,4−エチレンジオキシチオフェンにより構成されているのが好ましい。
また、本発明のペロブスカイト型太陽電池は、前記正孔輸送層の膜厚が100nm以下であることが好ましい。
本発明はまた、上述した本発明のペロブスカイト型太陽電池を製造する方法であって、3位と4位に置換基を有するチオフェンから成る群から選択された少なくとも一種のモノマーから構成されたモノマーと、該モノマーに対するドーパントとして、ボロジサリチル酸及びボロジサリチル酸塩から成る群から選択された少なくとも一種の化合物である非スルホン酸系有機化合物からなる重合液を得る調整工程、前記重合液に、少なくとも表面に導電性部分を有する基板を導入し、電解重合を行うことにより、前記モノマーの重合により得られた導電性ポリマー層を前記基板の導電性部分の上に形成する正孔輸送層形成工程、
前記正孔輸送層の上にペロブスカイト結晶を生成して光電変換層を形成する工程と、を含むことを特徴とするペロブスカイト型太陽電池の製造方法に関する。
ペロブスカイト型太陽電池の構成を模式的に示す図である。 実施例と比較例の正孔輸送層表面についてのSEM写真である。
本発明のペロブスカイト型太陽電池は、正極と負極との間に正孔輸送層と光電変換層とを少なくとも有する。最も簡単な構造のペロブスカイト型太陽電池は、図1に模式的に示されている、基板2の表面に正極3、正孔輸送層4、光電変換層5、電子輸送層6、負極7がこの順番で積層された構造を有するペロブスカイト型太陽電池1である。しかしながら、本発明のペロブスカイト型太陽電池は、正極と負極との間に、正孔輸送層と光電変換層に加えて、電子ブロック層等の公知のペロブスカイト型太陽電池に含まれている層を含んでいても良い。なお、このような構造を所謂、逆型ペロブスカイト構造という。以下、各構成要素について説明する。
本発明のペロブスカイト型太陽電池は、基板2上に正極3と、3位と4位に置換基を有するチオフェンから成る群から選択された少なくとも一種のモノマーから構成されたポリマーと、前記ポリマーに対するドーパントとして、ボロジサリチル酸及びボロジサリチル酸塩から成る群から選択された少なくとも一種の化合物である非スルホン酸系有機化合物を含み前記正極3上に設けられた正孔輸送層4と、ペロブスカイト化合物を含み正孔輸送層4上に設けられた光電変換層5と、光電変換層5上に設けられた電子輸送層6と、電子輸送層6上に設けられた負極7と、を具備するペロブスカイト型太陽電池である。このような構成により、高い光電変換効率を備えるペロブスカイト型太陽電池が得られる。
<基板2>
本発明で用いられる基板2は、ペロブスカイト型太陽電池において、太陽光(光)が入射する側に配置され、ペロブスカイト型太陽電池の光電変換効率の観点から、透明基板2が好ましい。基板2としては、その材料、形状、構造、厚み、硬度等については公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、ガラス、透明プラスチック板、透明プラスチックフィルム、無機物透明結晶体等が挙げられる。なお、ここでいう「透明」とは、実質的に透明であればよい。
<正極3>
基板2の表面には、正極3が設けられる。正極3としては、その材料、形状、構造、厚み、導電性等については公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、フッ素添加酸化スズ(FTO)やスズ添加酸化インジウム(ITO)等の透明電極材料からなる薄膜が挙げられる。特に、FTOやITO等の透明電極は、導電性を有すると共に、基板2の透明性を阻害しない観点から好ましい。
<正孔輸送層4>
基板2の表面には、正孔輸送層4が設けられる。本発明の正孔輸送層4は、3位と4位に置換基を有するチオフェンから成る群から選択された少なくとも一種のモノマーから構成されたモノマーと、前記モノマーに対するドーパントとして、ボロジサリチル酸及びボロジサリチル酸塩から成る群から選択された少なくとも一種の化合物である非スルホン酸系有機化合物を含む重合液を電解重合することにより形成される。
<電解重合用重合液>
電解重合用重合液の溶媒としては、所望量のモノマー及び支持電解質を溶解することができ電解重合に悪影響を及ぼさない溶媒を特に限定なく使用することができる。例としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、アセトニトリル、ブチロニトリル、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、γ−ブチロラクトン、酢酸メチル、酢酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ニトロメタン、ニトロベンゼン、スルホラン、ジメチルスルホランが挙げられる。これらの溶媒は、単独で使用しても良く、2種以上を混合して使用しても良い。水を溶媒全体の80質量%以上の量で含む溶媒、特に水のみからなる溶媒を使用すると、緻密で安定な電解重合膜が得られるため好ましい。
電解重合用重合液に含まれるモノマーとしては、3位と4位に置換基を有するチオフェンから成る群から選択された少なくとも一種のモノマーを特に限定なく使用することができる。チオフェン環の3位と4位の置換基は、3位と4位の炭素と共に環を形成していても良い。使用可能なモノマーの例としては、3−メチルチオフェン、3−エチルチオフェン等の3−アルキルチオフェン、3,4−ジメチルチオフェン、3,4−ジエチルチオフェン等の3,4−ジアルキルチオフェン、3−メトキシチオフェン、3−エトキシチオフェン等の3−アルコキシチオフェン、3,4−ジメトキシチオフェン、3,4−ジエトキシチオフェン等の3,4−ジアルコキシチオフェン、3,4−メチレンジオキシチオフェン、3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDOT)、3,4−(1,2−プロピレンジオキシ)チオフェン等の3,4−アルキレンジオキシチオフェン、3,4−メチレンオキシチアチオフェン、3,4−エチレンオキシチアチオフェン、3,4−(1,2−プロピレンオキシチア)チオフェン等の3,4−アルキレンオキシチアチオフェン、3,4−メチレンジチアチオフェン、3,4−エチレンジチアチオフェン、3,4−(1,2−プロピレンジチア)チオフェン等の3,4−アルキレンジチアチオフェン、チエノ[3,4−b]チオフェン、イソプロピルチエノ[3,4−b]チオフェン、t−ブチル−チエノ[3,4−b]チオフェン等のアルキルチエノ[3,4−b]チオフェン、を挙げることができる。モノマーとして、単独の化合物を使用しても良く、2種以上の化合物を混合して使用しても良い。特に、EDOTは、高いレドックス活性を示し、耐熱性にも優れたPEDOTを与えるため好ましい。
電解重合用重合液に含まれる支持電解質としては、ボロジサリチル酸及びボロジサリチル酸塩から成る群から選択された少なくとも一種の化合物である非スルホン酸系有機化合物が用いられる。特に、ボロジサリチル酸、ボロジサリチル酸塩を好ましく使用することができる。
塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、エチルアンモニウム塩、ブチルアンモニウム塩などのアルキルアンモニウム塩、ジエチルアンモニウム塩、ジブチルアンモニウム塩などのジアルキルアンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、トリブチルアンモニウム塩などのトリアルキルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩などのテトラアルキルアンモニウム塩を例示することができる。これらの支持電解質は、特に耐熱性に優れた導電性ポリマー層を与える。
また、ボロジサリチル酸及び/又はボロジサリチル酸塩は、特に平滑な表面を有する導電性ポリマー層を与える。但し、ボロジサリチル酸及び/又はボロジサリチル酸塩を支持電解質として使用する場合には、電解重合の直前に液に添加するか、或いは、ボロジサリチル酸イオンの加水分解を抑制する作用を有するニトロベンゼン及びニトロベンゼン誘導体から成る群から選択された安定化剤と併用する。上記安定化剤は、単独の化合物であっても良く、2種以上の化合物であっても良い。ニトロベンゼン誘導体としては、ニトロフェノール、ニトロベンジルアルコール、ニトロ安息香酸、ジニトロ安息香酸、ジニトロベンゼン、ニトロアニソール、ニトロアセトフェノンを例示することができ、o−ニトロフェノール、m−ニトロフェノール、p−ニトロフェノール、及びこれらの混合物が好ましい。支持電解質は、単独の化合物を使用しても良く、2種以上の化合物を使用しても良く、重合液に対する飽和溶解量以下の濃度で且つ電解重合のために充分な電流が得られる量で使用され、好ましくは10mM以上の濃度で使用される。水を多く含む溶媒、好ましくは水のみから成る溶媒中で、3位と4位に置換基を有するチオフェンモノマー、好ましくは、EDOTを電解重合するときに、ボロジサリチル酸及びその塩を用いると、熱安定性に優れた正孔輸送層4が形成されるため好ましい。
<電解重合用重合液の調製方法>
重合液の調製は、モノマーの含有量に応じて、以下のような方法により行う。モノマーが飽和溶解量以下の量である場合には、重合液製造用の容器に、溶媒としての水、モノマーとしての3位と4位に置換基を有するチオフェン、及び上述した特定の支持電解質を導入し、手作業により或いは機械的な攪拌手段を使用して各成分を溶媒に溶解させることにより、重合液を調製する。モノマーが飽和溶解量を超える量である場合には、すなわち、重合液製造用の容器に、水リッチ溶媒、モノマーとしての3位と4位に置換基を有するチオフェン、及び上述した特定範囲の支持電解質を導入して攪拌・均一化した後静置するとモノマーが相分離する場合には、液に超音波照射を施して相分離したモノマーを重合液中に油滴として分散させることにより重合液を調製することができる。水溶媒に飽和溶解量を超える量のモノマーを添加した液に超音波照射を施してモノマーを油滴として分散させ、次いで得られた液に支持電解質を添加することにより、本発明の重合液を得ることもできる。重合液における各成分が安定であれば、調製時の温度に制限は無い。
本発明の重合液には、水溶媒、3位と4位に置換基を有するチオフェンから選択されたモノマー、及び上記特定範囲の支持電解質に加えて、本発明に悪影響を与えない範囲内で他の添加物が含まれていても良い。好適な添加物として、水溶性のノニオン界面活性剤が挙げられる。モノマーがノニオン界面活性剤のミセル中に濃縮されるため、速やかに電解重合が進行し、高電導度を示すポリマーが得られる。その上、ノニオン界面活性剤自体はイオン化せず、上記特定範囲の支持電解質のアニオンによるポリマーへのドーピングを阻害することが無い。そのため、電解重合により得られる導電性ポリマーの耐熱性が低下することがない。
ノニオン界面活性剤としては、公知の水溶性のノニオン界面活性剤を特に限定無く使用することができる。例としては、ポリアルキレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンベンジルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレン付加アルキルフェノールホルムアルデヒド縮合物、ポリオキシアルキレン付加スチリルフェノールホルムアルデヒド縮合物、ポリオキシアルキレン付加ベンジルフェノールホルムアルデヒド縮合物、アルキンジオール、ポリオキシアルキレン付加アルキンジオール、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンひまし油、ポリオキシアルキレン硬化ひまし油、ポリグリセリンアルキルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステルなどが挙げられる。これらは単独で使用しても良く、2種以上を混合して使用しても良い。また、例えば2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのような分散効果が高いアルキンジオールと他のノニオン界面活性剤、好ましくは、ポリオキシエチレン(9)ノニルフェニルエーテル分岐型のようなポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルとの組み合わせを重合液において使用すると、重合液におけるモノマーの含有量を大幅に増加させることができるため好ましい。
ノニオン界面活性剤を併用する場合には、重合液製造用の容器に、水溶媒、モノマー、上記特定範囲の支持電解質、及びノニオン界面活性剤を導入し、手作業により或いは機械的な攪拌手段を使用して或いは超音波を照射して各成分を水溶媒に溶解させることにより、重合液を調製する。また、重合液製造用の容器に、水リッチ溶媒、モノマー、及びノニオン界面活性剤を導入して、各成分を水溶媒に溶解させた液を調製した後、電解重合直前に、この液に上記特定範囲の支持電解質を添加して溶解させても良い。
<電解重合の方法>
上述の調整工程により得られた重合液を用いて電解重合により、基板2の正極の上に正孔輸送層4を形成する。
電解重合は、定電位法、定電流法、電位掃引法のいずれかの方法により行なわれる。電位法による場合には、モノマーの種類に依存するが、飽和カロメル電極に対して1.0〜1.5Vの電位が好適であり、定電流法による場合には、モノマーの種類に依存するが、1〜10000μA/cmの電流値が好適であり、電位掃引法による場合には、モノマーの種類に依存するが、飽和カロメル電極に対して0〜1.5Vの範囲を5〜200mV/秒の速度で掃引するのが好適である。
電解重合により、上述した特定の非スルホン酸系有機支持電解質のアニオンをドーパントとして含む正孔輸送層4が正極3の導電性部分の上に形成される。
得られる正孔輸送層4の密度は、1.15〜1.80g/cmの範囲である。正孔輸送層4の密度が1.15g/cm未満であると、耐熱性が急激に低下し、密度が1.80g/cmを超える正孔輸送層4の製造は困難である。耐熱性に優れた正孔輸送層4の密度は、好ましくは1.20〜1.80g/cmの範囲、特に好ましくは1.60〜1.80g/cmの範囲である。また、柔軟性を有するペロブスカイト型太陽電池用電極体を得る場合には、正孔輸送層4の密度が高すぎると正孔輸送層4が固くなって柔軟性に乏しくなるため、正孔輸送層4の密度が1.75g/cm以下であるのが好ましく、1.70g/cm以下であるのが特に好ましい。
正孔輸送層4の厚みは、一般的には、10nm以上であるが、100nm以下が好ましく、70nm以下であるのがより好ましい。正孔輸送層4の膜厚が厚くなると、光の透過性が低下する。また、内部抵抗が増加して、印加電圧が増加するため、短絡電流や開放電圧の低下が起こり、光電変換効率が低下する。重合温度には厳密な制限がないが、一般的には10〜60℃の範囲である。
重合時間は重合液の組成や電解重合条件に依存して変化するが、一般的には0.6秒〜2時間、好ましくは1〜10分の範囲である。
また、正極3として透明基板2を使用する場合には、光電変換層5に十分量の光を照射するために、透明基板2と正孔輸送層4の両方を透過する光の透過率が約70%以上、好ましくは約80%以上であるのが好ましい。
電解重合後の正孔輸送層4を水、エタノール等で洗浄し、乾燥することにより、耐熱性に優れた正孔輸送層4が基板2上に密着性良く形成されたペロブスカイト型太陽電池用電極体を得ることができる。
得られたペロブスカイト型太陽電池用電極体の正孔輸送層4は、従来のドーパントとして、ポリエチレンスルホン酸を用いて形成した正孔輸送層4と比較して、空気中の水分に安定であり、正孔輸送層4の含水量が低い。そのため、ペロブスカイト型太陽電池の製造過程において光電変換層5を構成するペロブスカイト結晶の粒子の生成への影響が少なく、高効率のペロブスカイト型太陽電池が得られる。
<光電変換層5>
本発明においては、正孔輸送層4上に、光電変換層5を形成する。光電変換層5は、ペロブスカイト結晶を含んでいれば特に限定されない。ペロブスカイト結晶は、ペロブスカイト化合物を有していれば特に限定されず、公知のものであってよい。ペロブスカイト化合物は一種のセラミック酸化物であり、以下の一般式にて表される。
ABX・・・一般式
上記Aは一価のカチオンである。有機分子カチオンあるいはアルカリ金属カチオン(カリウムやセシウム、ルビジウム等)などが挙げられる。上記Aは有機分子であり、具体的には例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、エチルメチルアミン、メチルプロピルアミン、ブチルメチルアミン、メチルペンチルアミン、ヘキシルメチルアミン、エチルプロピルアミン、エチルブチルアミン、ホルムアミジン、グアニジン、イミダゾール、アゾール、ピロール、アジリジン、アジリン、アゼチジン、アゼト、アゾール、イミダゾリン、カルバゾール及びこれらのイオン(例えば、メチルアンモニウム(CH3NH3)等)、及び、フェネチルアンモニウム等が挙げられる。なかでも、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ホルムアミジン及びこれらのイオン、及び、フェネチルアンモニウムが好ましく、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ホルムアミジン及びこれらのイオンがより好ましい。これらを単独で用いてもよいし、2つ以上を含んでいても良い。
上記Bは二価のカチオンである。遷移金属などが挙げられる。上記Bは金属原子であり、具体的には例えば、鉛(Pb)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)、チタン(Ti)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銀(Ag)、銅(Cu)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、インジウム(In)、アルミニウム(Al)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、ユーロピウム(Eu)等が挙げられる。これらを単独で用いてもよいし、2つ以上を含んでいても良い。
上記Xは一価のアニオンである。上記Xはハロゲン原子又はカルコゲン原子であり、例えば、弗素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)、硫黄(S)、セレン(Se)等が挙げられる。これらを単独で用いてもよいし、2つ以上を含んでいても良い。
光電変換層5の形成方法としては、特に限定されないが、無機物とペロブスカイト前駆体となる有機物を溶媒に溶解あるいは、分散した溶液を正孔輸送層4上に塗布、乾燥することで形成する一段階析出法、あるいは、無機物を溶解あるいは分散した溶液を正孔輸送層4上に塗布した後、ペロブスカイト前駆体となる有機物を溶媒に溶解した溶液を塗布し、加熱してペロブスカイト化合物を形成する二段階析出法、蒸着法、ALD(原子層堆積)法などのいずれを採用してもよい。
正孔輸送層4上に塗布する方法としては、浸漬法、スピンコート法、スプレー法、ディップ法、ローラ法、エアーナイフ法等を用いることができる。
<電子輸送層6>
本発明においては、ペロブスカイト化合物によりなる光電変換層5上に、電子輸送層6を形成する。この電子輸送層6は、光電変換層5で発生した電子を負極7へと移送する機能を有する。電子輸送層6は、前記機能を阻害しない限り特に限定されず、公知の電子輸送層6であってよい。電子輸送層6の構成材料としては、例えば、無機物の場合、ガリウム、亜鉛、ニオブ、スズ、チタン、バナジウム、インジウム、タングステン、タンタル、ジルコニウム、モリブデン、マンガン、鉄、銅、ニッケル、イリジウム、ロジウム、クロム、ルテニウムまたはこれらの酸化物、α型酸化ガリウム、β型酸化ガリウム、IGZO等の酸化物半導体、GaN等の窒化物半導体、SiC等のケイ素含有半導体、また、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、ニオブ酸ストロンチウムのようなペロブスカイト、あるいはこれらの複合酸化物または酸化物混合物、CdS、CdSe、TiC、Si3N4、SiC、BNのような各種金属化合物等の1種または2種以上の組み合わせなども使用することができる。また、有機物の場合、フラーレンもしくはその誘導体(例えば、フェニル−C61−酪酸メチルエステル([60]PCBM)、フェニル−C61−酪酸n−ブチルエステル([60]PCBnB)、フェニル−C61−酪酸イソブチルエステル([60]PCBiB)、フェニル−C61−酪酸n−ヘキシルエステル([60]PCBH)、フェニル−C61−酪酸n−オクチルエステル([60]PCBO)、ジフェニル−C62−ビス(酪酸メチルエステル)(ビス[60]PCBM)、フェニル−C71−酪酸メチルエステル([70]PCBM)、フェニル−C85−酪酸メチルエステル([84]PCBM)、チエニル−C61−酪酸メチルエステル([60]ThCBM)、C60ピロリジントリス酸、C60ピロリジントリス酸エチルエステル、N−メチルフラロピロリジン(MP−C60)、(1,2−メタノフラーレンC60)−61−カルボン酸、(1,2−メタノフラーレンC60)−61−カルボン酸t−ブチルエステル)、オクタアザポルフィリン等、p型有機半導体化合物の水素原子をフッ素原子に置換したパーフルオロ体(例えば、パーフルオロペンタセンやパーフルオロフタロシアニン)、ナフタレンテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸無水物、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド等の芳香族カルボン酸無水物やそのイミド化物を骨格として含む高分子化合物等を挙げることができる。
電子輸送層6の形成手段は、特に限定されず、公知の手段を適用できる。例えば、ミストCVD法、スパッタ法、CVD法(気相成長法)、SPD法(スプレー熱分解堆積法)、蒸着法、ALD(原子層堆積)法、塗布法(例えばディッピング、滴下、ドクターブレード、インクジェット、スピンコート、刷毛塗り、スプレー塗装、ロールコーター、エアーナイフコート、カーテンコート、ワイヤーバーコート、グラビアコート、インクジェット塗布等)などが挙げられる。
<負極7>
本発明においては、電子輸送層6上に、負極7を形成する。
負極7の構成材料としては、特に制限されず、亜鉛、白金、金、銀、銅、アルミニウム等の金属、SnO、CdO、ZnO、CTO系等の金属酸化物などが挙げられる。
負極7の形成手段は、特に限定されず、公知の手段であってよい。例えば、貼り合わせ、ミストCVD法、スパッタ法、CVD法(気相成長法)、SPD法(スプレー熱分解堆積法)、蒸着法、ALD(原子層堆積)法、塗布法(例えばディッピング、滴下、ドクターブレード、インクジェット、スピンコート、刷毛塗り、スプレー塗装、ロールコーター、エアーナイフコート、カーテンコート、ワイヤーバーコート、グラビアコート、インクジェット塗布等)などが挙げられる。
<その他>
ペロブスカイト型太陽電池の構造において、電子輸送層6と負極7との間に電子ブロック層を形成してもよい。
ペロブスカイト型太陽電池は、光電変換層5に太陽光(光)を当てて励起状態を作ることで生じた電子を負極7に取り出し、正孔を正極3に取り出して、それぞれ外部の回路につなげて電流を取り出す発電手法である。しかし、負極7に輸送された電子が再び光電変換層5に戻ろうとする場合がある。電子が光電変換層5に戻るような現象が発生すると、光電変換率が低下するおそれがある。それを防止するため、電子が負極7から光電変換層5に戻るのを防ぐことを目的に電子ブロック層を形成してもよい。
電子ブロック層を構成する材料としては、特に限定されず、公知の手段を適用できる。例えば、1,3−ビス(4−tert−ブチルフェニル−1,3,4−オキサジアゾリル)フェニレン(OXD−7)等のオキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、バソクプロイン、バソフェナントロリン、及びこれらの誘導体、トリアゾール化合物、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム錯体、ビス(4−メチル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、シロール化合物、ポルフィリン系化合物、DCM(4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(4−(ジメチルアミノスチリル))−4Hピラン)等のスチリル系化合物、ナフタレンテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸無水物、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド等のn型半導体材料、酸化チタン、酸化亜鉛及び酸化ガリウム等のn型無機酸化物、並びに、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム及びフッ化セシウム等のアルカリ金属フッ化物が挙げられる。
<効果>
本発明のペロブスカイト型太陽電池は、正孔輸送層4として、3位と4位に置換基を有するチオフェンから成る群から選択された少なくとも一種のモノマーから構成されたポリマーと、前記ポリマーに対するドーパントとして、ボロジサリチル酸及びボロジサリチル酸塩から成る群から選択された少なくとも一種の化合物である非スルホン酸系有機化合物を含む。そのため、正孔輸送層4として、3位と4位に置換基を有するチオフェンから成る群から選択された少なくとも一種のモノマーから構成されたポリマーと、前記ポリマーに対するドーパントとして、ポリエチレンスルホン酸を用いた場合と比べ、光電変換効率が高効率化する。
ポリエチレンスルホン酸を用いた場合、ポリエチレンスルホン酸が備える吸湿性によって、光電変換層5の形成前に正孔輸送層4を乾燥しても、その後の工程で、ポリエチレンスルホン酸が水分を吸収する。光電変換層5を構成するペロブスカイト化合物は、水分によって粒子が分解する性質を有している。そのため、光電変換層5に隣接する正孔輸送層4の水分含有量によって、ペロブスカイト結晶の生成に影響を与えると考えられる。
本発明においては、ドーパントとして、ボロジサリチル酸及びボロジサリチル酸塩から成る群から選択された少なくとも一種の化合物である非スルホン酸系有機化合物を用いることで、正孔輸送層4の含水量を低減させることに成功した。水分の影響を受けないペロブスカイト粒子は、ドーパントとしてポリエチレンスルホン酸を用いる場合に比べ、粒子を大きい状態で形成が可能となり、光電変換効率が上昇したと考えられる。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明は以下の実施例に限定されない。
(1)含水量の測定
(実施例1)
本発明に係る正孔輸送層の含水量を計測するために、実施例1を次のように作製した。
ガラス基板の片面にフッ素添加酸化スズ(FTO)を真空蒸着によって形成し、薄い透明電極とした。
次に、ガラス容器に蒸留水100mLを導入し、この液にEDOT210μl(濃度20mM)、及びボロジサリチル酸アンモニウム2.8g(濃度80mM)を添加して攪拌し、全てのEDOTが溶解した重合液を得た。得られた重合液に、FTO電極を作用極として、SUSメッシュを対極として、それぞれ導入し、0.5mA/cmの条件で定電流電解重合を約40分間行なった。重合後の作用極を水で洗浄した後、常温で乾燥させた。その後、乾燥した正孔輸送層を正極から剥離させ、さらに120℃で10分間乾燥させて、粉末状の正孔輸送層材料を作製した。
(比較例1)
ガラス基板の片面にフッ素添加酸化スズ(FTO)を真空蒸着によって形成し、薄い透明電極とした。
次に、ガラス容器に蒸留水100mLを導入し、この液にEDOT210μl(濃度20mM)、及びポリエチレンスルホン酸(PSS)8.16g(濃度80mM)を添加して攪拌し、全てのEDOTが溶解した重合液を得た。得られた重合液に、FTO電極を作用極として、SUSメッシュを対極として、それぞれ導入し、0.5mA/cmの条件で定電流電解重合を約40分間行なった。重合後の作用極を水で洗浄した後、常温で乾燥させた。その後、乾燥した正孔輸送層を正極から剥離させ、さらに120℃で10分間乾燥させて、粉末状の正孔輸送層材料を作製した。
(比較例2)
ガラス基板の片面にフッ素添加酸化スズ(FTO)を真空蒸着によって形成し、薄い透明電極とした。
次に、市販のPEDOTとポリスチレンスルホン酸イオンとの複合体の粒子を含む水溶性分散液を蒸発させた。その後、120℃で10分間乾燥させて、粉末状の正孔輸送層材料を作製した。
上記の方法によって得られた粉末の質量減少率をTG−DTA測定により算出した。
具体的には、実施例1、比較例1及び2の粉末8mgを、室温から100℃まで5℃/分の昇温レートで上昇させ、50℃、100℃のときの質量のデータを得た。30℃のときの質量を基準に100℃のときの質量との変化率を下記表1に示す。実施例1は、50℃のときと100℃のときで質量に変化がない。一方で、比較例1および比較例2については、30℃のときと比較して100℃のときの質量が減少している。これは、測定前の状態から、測定時までの間に正孔輸送材料が大気中の水分を吸収したことを示す。すなわち、30℃のときに測定した質量は、乾燥させてから測定時までに大気中から吸収した水分を含む数値である。そして、100℃においてその吸収した水分が蒸発したことによって質量が減少したと考えられる。このことから、比較例1および比較例2の正孔輸送層材料は、水分を吸収しやすい材質であるといえる。一方、実施例1は、30℃における質量と100℃における質量に変化がない。このことは、乾燥させてから測定時までに大気中から水分を吸収していないことを示唆し、実施例1に係る正孔輸送層材料は、水分を吸収しにくい材質であることを示している。
(2)セルの特性評価
(実施例2)
本発明に係るセルの光電変換特性を評価するために、実施例2を次のように作製した。
<正極の形成>
ガラス基板の片面にフッ素添加酸化スズ(FTO)を真空蒸着によって形成し、薄い透明電極とした。
<正孔輸送層の形成>
ガラス容器に蒸留水100mLを導入し、この液にEDOT210μl(濃度20mM)、及びボロジサリチル酸アンモニウム2.8g(濃度80mM)を添加して攪拌し、全てのEDOTが溶解した重合液を得た。得られた重合液に、FTO電極を作用極として、SUSメッシュを対極として、それぞれ導入し、0.05mA/cmの条件で定電流電解重合を約2分間行なった。重合後の作用極を水で洗浄した後、120℃で10分間乾燥し、FTO電極上に厚さ35nmの正孔輸送層を形成した。
<光電変換層の形成>
よう化鉛(PbI)322.7mg(1M)をジメチルスルホキシド(DMSO)とジメチルホルムアミド(DMF)で希釈して、3000rpmの回転数で3秒間スピンコートを行い、更に3000rpmの回転数で30秒間スピンコートを行い、正孔輸送層上に塗布した。その後、メチルアミンよう化水素酸塩(MAI)をイソプロピレンアルコール(IPA)で希釈して、3000rpmの回転数で3秒間スピンコートを行い、更に3000rpmの回転数で30秒間スピンコートを行い、PbIの上に塗布した後、100℃で10分間乾燥し、正孔輸送層上に厚さ200〜300nmの光電変換層を形成した。前記乾燥により、よう化鉛(PbI)とメチルアミンよう化水素酸塩(MAI)が反応し、ペロブスカイト化合物であるMAPbIが生成される。
<電子輸送層の形成>
[6,6]−フェニル−C61−酪酸メチル(PCBM)をクロロベンゼン(CB)で希釈して、2000rpmの回転数で2秒間スピンコートを行い、更に2000rpmの回転数で45秒間スピンコートを行い、光電変換層上に塗布し、厚さ50nmの電子輸送層を形成した。
<電子ブロック層の形成>
バソクプロイン(BCP)をイソプロピレンアルコール(IPA)で希釈して、6000rpmの回転数で6秒間スピンコートを行い、更に6000rpmの回転数で15秒間スピンコートを行い、電子輸送層上に厚さ10nmの電子ブロック層を形成した。
<負極の形成>
銀を電子ブロック層上に真空蒸着して、厚さ100nmの負極を形成した。
(比較例3)
正孔輸送層の形成を次の方法に変更した点以外は、実施例2と同様にペロブスカイト型太陽電池を作製した。すなわち、ガラス容器に蒸留水100mLを導入し、この液にEDOT210μl(濃度20mM)、及びポリスチレンスルホン酸(PSS)8.16g(濃度80mM)を添加して攪拌し、全てのEDOTが溶解した重合液を得た。得られた重合液に、FTO電極を作用極として、SUSメッシュを対極として、それぞれ導入し、0.05mA/cmの条件で定電流電解重合を約2分間行なった。重合後の作用極を水で洗浄した後、120℃で10分間乾燥し、FTO電極上に厚さ35nmの正孔輸送層を形成した。
(比較例4)
正孔輸送層の形成を次の方法に変更した点以外は、実施例2と同様にペロブスカイト型太陽電池を作製した。すなわち、市販のPEDOTとポリスチレンスルホン酸イオンとの複合体の粒子を含む水溶性分散液を、FTO電極上に5000rpmの回転数で5秒間スピンコートを行い、更に5000rpmの回転数で25秒間スピンコートを行い、次いで120℃で10分間乾燥させ、FTO電極上に厚さ50nmの正孔輸送層を形成した。
(a)光電変換層表面のSEM像
図1(a)に実施例2において得られた光電変換層のSEM(×50.0k)像を示し、図1(b)に比較例3において得られた光電変換層のSEM(×50.0k)像を示し、図1(c)に比較例4において得られた光電変換層のSEM(×50.0k)像を示す。それぞれの光電変換層の表面をSEMで観察すると、光電変換層を構成するペロブスカイト化合物の粒子径は、実施例2が比較例3や比較例4より大きいことが分かる。なお、それぞれの光電変換層の表面のSEM画像を基にペロブスカイト化合物の粒子径を測定すると、実施例2においては200〜300nm、比較例3や比較例4は100〜200nmであった。測定方法は、それぞれのSEM画像からランダムに粒径を20個選別し、その粒径を測った上で、平均を算出し、粒径とした。
ペロブスカイト化合物の粒子径の違いは、光電変換層の下に形成された正孔輸送層の水分量の違いと考えられる。ペロブスカイト化合物粒子は、よう化鉛(PbI)とメチルアミンよう化水素酸塩(MAI)との反応によって生成されるが、その過程で、水分によって、生成されたペロブスカイト化合物粒子が分解され、一つ一つの粒子径が小さくなると考えられる。実施例1と比較例1および比較例2で確認したように、正孔輸送層は、ドーパントとしてボロジサリチル酸アンモニウムを用いて形成した正孔輸送層は、ドーパントとしてポリスチレンスルホン酸を用いて形成した正孔輸送層より含水量が顕著に少ない。この含水量の顕著な違いにより、正孔輸送層と隣接する光電変換層を構成するペロブスカイト化合物の粒子径にも顕著な効果が現れたと考えられる。
(b)光電変換特性の測定
実施例2と比較例3及び4で作製したセルについて、ソーラシュミレーターで照射強度1SUN(100,000lx)の条件の光を照射して、電流−電圧特性を測定する。得られた電流−電圧曲線から、短絡電流密度(Jsc)、開放電圧(Voc)、曲線因子(FF)、光電変換効率(η)といった光電変換特性を求めた。
短絡電流密度(Jsc)は、太陽電池素子に光照射した際の電圧が0Vのときの単位面積あたりの電流値(mA/cm)を表す。開放電圧(Voc)は、電流が流れていないときの電圧の値(V)を表す。フィルファクター(FF)は曲線因子であり、太陽電池素子の最大出力を、短絡電流密度Jscと開放電圧Vocとの積で割った値である。すなわちFFは1に近いほどよい。光電変換効率(η(%))は、下記一般式から求められる。
光電変換効率η=Jsc×Voc×FF
各特性は、セル完成後の初期とその後アルゴンガス雰囲気かつ遮光条件下で保存をして7日目に同様の条件で、測定し、算出した結果を下記表2に示す。
表2に示すように、実施例2のペロブスカイト型太陽電池は、比較例3や比較例4のペロブスカイト太陽電池と比べて顕著に高いことがわかった。ペロブスカイト型太陽電池の光電変換効率は、ペロブスカイト化合物の結晶粒径の大きさに影響を受けると考えられる。すなわち、ペロブスカイト化合物の結晶粒径が大きい方が、光電変換効率が高くなると考えられる。実施例1と比較例1および比較例2で確認したように、正孔輸送層は、ドーパントとしてボロジサリチル酸アンモニウムを用いて形成した正孔輸送層は、ドーパントとしてポリスチレンスルホン酸を用いて形成した正孔輸送層より含水量が顕著に少ない。この含水量の顕著な違いにより、正孔輸送層と隣接する光電変換層を構成するペロブスカイト化合物の粒子径にも顕著な効果が現れたと考えられる。
また、実施例2のペロブスカイト型太陽電池は、放置7日目であっても、4%を超える光電変換効率があり、比較例3や比較例4のペロブスカイト型太陽電池と比べて安定性が顕著に高いことがわかった。また、初期の光電変換効率と放置7日目の光電変換効率との維持率を比較した場合、比較例3が47.6%、比較例4が54.4%であるのに対し、実施例2では70.0%と顕著に高いことがわかった。これも正孔輸送層の含水量の違いと考えられ、含水量が多い比較例3や比較例4は時間とともに光電変換層が劣化するため安定性に乏しいが、含水量が少ない実施例2は光電変換層の劣化が小さいため高い安定性を有していると考えられる。
1 ペロブスカイト型太陽電池
2 基板
3 正極
4 正孔輸送層
5 光電変換層
6 電子輸送層
7 負極

Claims (4)

  1. 少なくとも正極と、
    正孔輸送層と、
    該正孔輸送層の上に積層されたペロブスカイト結晶を含む光電変換層と、
    負極と、
    を備えたペロブスカイト型太陽電池であって、
    前記正孔輸送層が、3位と4位に置換基を有するチオフェンから成る群から選択された少なくとも一種のモノマーから構成されたポリマーと、
    該ポリマーに対するドーパントとして、ボロジサリチル酸及びボロジサリチル酸塩から成る群から選択された少なくとも一種の化合物である非スルホン酸系有機化合物を含む
    ことを特徴とするペロブスカイト型太陽電池。
  2. 前記ポリマーが、3,4−エチレンジオキシチオフェンであることを特徴とする請求項1のペロブスカイト型太陽電池。
  3. 前記正孔輸送層の膜厚が100nm以下である、請求項1または2に記載のペロブスカイト型太陽電池。
  4. 3位と4位に置換基を有するチオフェンから成る群から選択された少なくとも一種のモノマーから構成されたモノマーと、該モノマーに対するドーパントとして、ボロジサリチル酸及びボロジサリチル酸塩から成る群から選択された少なくとも一種の化合物である非スルホン酸系有機化合物からなる重合液を得る調整工程、
    前記重合液に、少なくとも表面に導電性部分を有する基板を導入し、電解重合を行うことにより、前記モノマーの重合により得られた導電性ポリマー層を前記基板の導電性部分の上に形成する正孔輸送層形成工程、
    前記正孔輸送層の上にペロブスカイト結晶を生成して光電変換層を形成する工程と、
    を含むことを特徴とするペロブスカイト型太陽電池の製造方法。
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