JP6742693B2 - 非真空プロセスで製造可能な無機光電変換装置 - Google Patents

非真空プロセスで製造可能な無機光電変換装置 Download PDF

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Description

本発明は、無機化合物からなる光吸収層を備えながらも、非真空プロセスで製造可能な光電変換装置に関する。
近年、安全で環境に対しよりクリーンであり、より安価なエネルギーが求められている。その一つとしてクリーンな発電技術である太陽光発電が注目を浴びており、新エネルギーとなりうる低価格太陽電池の開発は急務である。太陽光エネルギーは無尽蔵で、化石燃料のような枯渇の心配がなく、また、COを増やす事もない。しかし、シリコン系や化合物系等、現在市販されている多くの太陽電池は、真空プロセスであるCVD、スパッタリング等を使用するために設備費がかさみ、さらなる低価格化が困難となっている。そこで、真空プロセス製膜のみに依拠せず、簡便に製造可能な太陽電池の開発が求められている。
一方、近年、ハロゲン化有機アンモニウムとハロゲン化鉛との混合により得られる化合物を太陽電池の光吸収層に利用した例が報告されている(例えば非特許文献1)。この種の光吸収層を備えた太陽電池は、真空プロセスを要することなく簡便に製造できるのみならず、比較的高い変換効率の達成も可能であることから、急速に開発が進められている。
Scientific Reports 2, Article number: 591, 2012
ハロゲン化有機アンモニウムとハロゲン化鉛との混合により得られる化合物は、上記のように光吸収層として優れた性質を示すものの、有機成分を含んでおり、これが安定性に悪影響を及ぼしていると考えられる。
安定性という観点からは、光吸収層は、無機材料のみから構成されていることが望ましい。ところが、従来の無機材料を光吸収層とした太陽電池(シリコン系、化合物系等)を製造する場合、真空プロセスを要し、簡便に製造することができなかった。
そこで、本発明は、無機化合物からなる光吸収層を備えながらも、非真空プロセスで製造可能である光電変換装置を提供することを目的とする。
上記目的に鑑み鋭意検討した結果、本発明者等は、MPbX(但し、Mは第4周期以上のアルカリ金属原子を示し、Xはハロゲン原子を示す)を光吸収層とすることにより、光電変換が可能であることを見出した。そして、このような光吸収層は、真空プロセス製膜のみに依拠せず、簡便に製造可能であった。これらの知見に基づいて、本発明者等は、さらに研究を重ね、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記の態様を包含する。
項1. 光エネルギーを電気エネルギーに変換する光電変換装置であって、
MPbX(但し、Mは第4周期以上のアルカリ金属原子を示し、Xはハロゲン原子を示す)からなる光吸収層を備える、光電変換装置。
項2. 前記Mが、カリウム原子、ルビジウム原子、セシウム原子、又はフランシウム原子である、項1に記載の光電変換装置。
項3. 前記Mがセシウム原子である、項1又は2に記載の光電変換装置。
項4. 前記Xが塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子よりなる群から選択される少なくとも1種のハロゲン原子である、項1〜3のいずれかに記載の光電変換装置。
項5. 前記Xが臭素原子である、項1〜4のいずれかに記載の光電変換装置。
項6. 前記光吸収層の下に、さらに、透光性の電子輸送材料を含む電子輸送層を備える、項1〜5のいずれかに記載の光電変換装置。
項7. 前記電子輸送層が、多孔質電子輸送層又は緻密電子輸送層である、項6に記載の光電変換装置。
項8. 前記電子輸送層が、前記光吸収層の下に備えられた多孔質電子輸送層、及び該多孔質電子輸送層の下に備えられた緻密電子輸送層からなる、項6に記載の光電変換装置。
項9. 前記透光性の電子輸送材料が、TiO、WO、ZnO、Nb及びSrTiOよりなる群から選ばれる少なくとも1種である、項6〜8のいずれかに記載の光電変換装置。
項10. 前記電子輸送層の下に、さらに、第一電極層である透光性導電層を備える、項6〜9のいずれかに記載の光電変換装置。
項11. 前記透光性導電層が、フッ素ドープ錫酸化物、インジウム錫酸化物、ガリウムドープ亜鉛酸化物、アルミドープ亜鉛酸化物、及びニオブドープチタン酸化物よりなる群から選ばれる少なくとも1種からなる層である、項10に記載の光電変換装置。
項12. 前記透光性導電層の下に、さらに、透光性基板を備える、項10又は11に記載の光電変換装置。
項13. 前記光吸収層の上に、さらに、ホール輸送層を備える、項1〜12のいずれかに記載の光電変換装置。
項14. 前記ホール輸送層が、有機ホール輸送材、CuSCN、セレン、沃化物、コバルト錯体、鉄錯体、MoO、及びNiOよりなる群から選ばれる少なくとも1種からなる層である、項13に記載の光電変換装置。
項15. 前記ホール輸送層の上に、さらに、第二電極層を備える、項13又は14に記載の光電変換装置。
項16. 前記第二電極層は、カーボン、金、タングステン、モリブデン及びチタンよりなる群から選ばれる少なくとも1種からなる層である、項15に記載の光電変換装置。
光吸収層として、MPbX(但し、Mは第4周期以上のアルカリ金属原子を示し、Xはハロゲン原子を示す)を採用することにより、無機化合物からなる光吸収層を備えながらも、非真空プロセスで製造可能である光電変換装置を提供することができる。
1.光電変換装置
本発明の光電変換装置は、MPbX(但し、Mは第4周期以上のアルカリ金属原子を示し、Xはハロゲン原子を示す)からなる光吸収層を備える。これにより、無機化合物からなる光吸収層を備えながらも、非真空プロセスで製造可能である光電変換装置を提供することができる。以下、MPbXを「アルカリ金属−鉛−ハロゲン化物」と表記することもある。
<1−1.光吸収層>
光吸収層は、単層でも複層でもよい。複層の場合は、各層全てが、アルカリ金属−鉛−ハロゲン化物からなる層であってもよいし、少なくとも1層が、アルカリ金属−鉛−ハロゲン化物からなる層であってもよい。
Mで示される第4周期以上のアルカリ金属原子としては、具体的にはカリウム原子、ルビジウム原子、セシウム原子、フランシウム原子等が挙げられる。これらの中でも、入手しやすさ等の観点から、カリウム原子、セシウム原子等が好ましい。また、セシウム原子は、イオン半径が比較的大きく、電化密度も比較的低いので、電荷又はイオンの移動をより容易にすると考えられるので、好ましい。
Xで示されるハロゲン原子としては、具体的には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。これらの中でも、ペロブスカイト化合物を形成しやすく、光電変換効率や常温(25℃等)における光電変換効率維持率をより維持できるという観点から、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が好ましく、臭素原子、ヨウ素原子等がより好ましく、臭素原子がさらに好ましい。また、臭素原子は、イオン半径が比較的大きく、電化密度も比較的低いので、電荷又はイオンの移動をより容易にすると考えられるので、好ましい。これらのハロゲン原子は、MPbX中に2種以上含まれていてもよいが、1種のみが含まれていることが好ましい。
従来、ハロゲン化有機アンモニウムとハロゲン化鉛との混合により得られる化合物(非特許文献1等)を光吸収層として用いる場合、ハロゲン原子としては主にヨウ素原子が用いられていたが、この場合には、耐腐食性に改善の余地があると考えられる。本発明においては、ハロゲン原子として臭素原子を用いることにより、耐腐食性をさらに向上させることができる。
本発明において、アルカリ金属−鉛−ハロゲン化物は、金属イオンがドープされたものであってもよい。この場合のドープされている金属イオンは、アルカリ金属−鉛−ハロゲン化物を構成する金属と価数が1個又は2個異なる金属のイオンであり、アルカリ金属−鉛−ハロゲン化物のバンドギャップを、光を吸収しやすい、バンドギャップが1.4〜2.5eV程度に調整できる金属イオンであれば特に制限はない。
詳細には、価数の観点から、周期表の11〜15族に属する金属のイオンが好ましく、銀イオン、銅イオン、インジウムイオン、スズイオン、亜鉛イオン、アンチモンイオン等が好ましく、銀イオン、銅イオン、インジウムイオン等がより好ましく、銀イオンがさらに好ましい。これらの金属イオンは、アルカリ金属−鉛−ハロゲン化物に1種のみがドープされていてもよいし、2種以上がドープされていてもよい。
なお、本発明において、「ドープ」とは、アルカリ金属−鉛−ハロゲン化物を調製してから金属イオンを注入することのみならず、アルカリ金属−鉛−ハロゲン化物を調製する前の原料の段階で、ドープされる金属の化合物を添加することも含む概念である。
また、これらの金属のドープ量は、アルカリ金属−鉛−ハロゲン化物のバンドギャップを、光を吸収しやすい、バンドギャップが1.4〜2.5eV程度に調整できる範囲であれば特に制限はない。具体的には、これらの金属のドープ量は、1〜4置換又は無置換アンモニウム金属ハロゲン化物を構成する金属1モルに対して0.01〜0.5モル程度が好ましく、0.05〜0.2モル程度がより好ましい。
光吸収層を形成するアルカリ金属−鉛−ハロゲン化物の構造は、ペロブスカイト構造であることが好ましい。
光吸収層の厚みは、過度に厚膜化すると欠陥や剥離による性能劣化が発生しやすいという観点から、0.5〜10000nmが好ましく、0.5〜10nmがより好ましい。光吸収層が複層の場合は、光吸収層の合計の厚みが上記範囲内であることが好ましい。
次に光吸収層の形成方法について、説明する。
アルカリ金属−鉛−ハロゲン化物からなる光吸収層は、公知の方法に従って成膜することができる。
アルカリ金属−鉛−ハロゲン化物において、金属イオンがドープされていない場合については、例えば、ハロゲン化水素酸、PbX、及びMXを混合して、得られた沈殿(アルカリ金属−鉛−ハロゲン化物)を溶媒に溶かし、電子輸送層上に成膜(例えばスピンコーティング法等)し、乾燥させることによって、電子輸送層上に、アルカリ金属−鉛−ハロゲン化物からなる光吸収層を形成することができる。このように、本発明の光吸収層は、非真空プロセスにより、より簡便に製造することができる。
使用される溶媒は、アルカリ金属−鉛−ハロゲン化物を溶解することができる限り特に制限はないが、極性溶媒が好ましく、具体的には、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、イソプロパノール等が挙げられ、ジメチルスルホキシドが好ましい。
混合溶液を電子輸送層上に成膜する方法は特に制限されず、スピンコーティング、スクリーン印刷、ロールコーティング、ディップコーティング、スプレー、ナイフコーティング、バーコーティング、ダイコーティング、カーテンコーティング等が挙げられるが、膜厚、成膜性等の観点から、スピンコーティングが好ましい。
なお、スピンコーティング法の条件は、所望の膜厚に応じて、適宜設定することができる。
乾燥の条件は特に制限はないが、余分な溶媒を除去できる程度とすることが好ましい。
アルカリ金属−鉛−ハロゲン化物において、金属イオンがドープされている場合についても、上記と同様に成膜することができる。例えば、インジウムイオンがドープされたアルカリ金属−鉛−ハロゲン化物を成膜する場合を例に取ると、PbX及びInXを、PbとInとのモル比が上記ドープ量の範囲内になるように調整した混合溶液Aを、電子輸送層上に成膜(例えばスピンコーティング法等)し、第1乾燥させた後に、MXの溶液B中に浸漬させ、その後第2乾燥させることによって電子輸送層上に、インジウムイオンがドープされたアルカリ金属−鉛−ハロゲン化物膜を形成することができる。
混合溶液Aに使用される溶媒は、PbX及びInXを溶解することができる限り特に制限はないが、極性溶媒が好ましく、具体的には、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、イソプロパノール等が挙げられ、N,N−ジメチルホルムアミドが好ましい。
混合溶液Aを調製する際の温度及び時間は特に制限はない。例えば、温度は0〜80℃とすることができ、時間は0.01〜50時間とすることができる。
混合溶液Aを電子輸送層上に成膜する方法は特に制限されず、スピンコーティング、スクリーン印刷、ロールコーティング、ディップコーティング、スプレー、ナイフコーティング、バーコーティング、ダイコーティング、カーテンコーティング等が挙げられるが、膜厚、成膜性等の観点から、スピンコーティングが好ましい。
なお、スピンコーティング法の条件は、所望の膜厚に応じて、適宜設定することができる。
第1乾燥の条件は特に制限はないが、余分な溶媒を除去できる程度とすることが好ましい。
溶液Bに使用される溶媒は、MXを溶解することができる限り特に制限はないが、極性溶媒が好ましく、具体的には、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、イソプロパノール等が挙げられ、イソプロパノ−ルが好ましい。
電子輸送層上に成膜したPbX−InXを溶液Bに浸漬させる際の条件もインジウムイオンがドープされたアルカリ金属−鉛−ハロゲン化物膜を形成できる限り特に制限はなく、例えば、温度は0〜80℃とすることができ、時間は0.01〜50秒とすることができる。
第2乾燥の条件は特に制限はないが、余分な溶媒を除去できる程度とすることが好ましい。
ここでは、アルカリ金属−鉛−ハロゲン化物からなる光吸収層の製造方法について一例を示したが、これに限定されることはなく、様々な組成及び条件で作製することができる。
<1−2.電子輸送層>
本発明では、上記光吸収層の下に、さらに透光性の電子輸送材料を含む電子輸送層が備えられていることが好ましい。
電子輸送層は、多孔質電子輸送層、又は緻密電子輸送層であってもよいし、多孔質電子輸送層及び緻密電子輸送層からなる層であってもよい。後者の場合、電子輸送層は、上記光吸収層の下に備えられた多孔質電子輸送層、及び該多孔質電子輸送層の下に備えられた緻密電子輸送層からなることが好ましい。
<1−2−1.多孔質電子輸送層>
多孔質電子輸送層は、多孔質構造を有している。多孔質構造とは、特に制限されるわけではないが、粒状体、線状体(線状体:針状、チューブ状、柱状等)等が集合して、全体として多孔質な性質を有していることが好ましい。また、細孔サイズはナノスケールであることが好ましい。多孔質構造を有することにより、ナノスケールであるため、光吸収層の活性表面積を著しく増加させ、光電変換効率を向上させるとともに、電子収集に優れる多孔質電子輸送層とすることができる。
多孔質電子輸送層は、透光性の多孔質電子輸送材料を含む層(透光性の多孔質電子輸送材料からなる層)とすることが好ましい。透光性の多孔質電子輸送材料としては、特に制限されないが、具体的には、酸化チタン(TiO等)、酸化タングステン(WO、WO、W等)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ニオブ(Nb等)、酸化タンタル(Ta等)、酸化イットリウム(Y等)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO等)等の一種又は二種以上を採用できる。なお、半導体を使用する場合には、ドナーがドープされていてもよい。これにより、多孔質電子輸送層が、光吸収層に導入するための窓層となり、且つ、光吸収層から得られた電力をより効率よく取り出すことができる。透光性の多孔質電子輸送材料として酸化チタン(TiO等)を採用する場合には、結晶形態はアナターゼ型が好ましい。
多孔質電子輸送層の厚みは、10〜2000nm程度が好ましく、20〜1500nm程度がより好ましい。電子輸送層の厚みを上記範囲内とすることにより、より確実に且つ、光吸収層からの電子を収集することができる。
上記説明した多孔質電子輸送層を、例えばスクリーン印刷法等の非真空プロセスにより形成すれば、より簡便に本発明の光電変換装置を製造することが可能である。また、大面積化が容易で品質が安定するという利点も有する。
<1−2−2.緻密電子輸送層>
緻密電子輸送層は、透光性の電子輸送材料を含む層(特に透光性の電子輸送材料をからなる層)とすることが好ましい。透光性の電子輸送材料としては、特に制限されないが、具体的には、酸化チタン(TiO等)、酸化タングステン(WO、WO、W等)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ニオブ(Nb等)、酸化タンタル(Ta等)、酸化イットリウム(Y等)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO等)等の一種又は二種以上を採用できる。なお、半導体を使用する場合には、ドナーがドープされていてもよい。これにより、多孔質電子輸送層からのリークをより抑制することができる。透光性の電子輸送材料として酸化チタン(TiO等)を採用する場合には、結晶形態はアナターゼ型が好ましい。
緻密電子輸送層の厚みは、1〜100nm程度が好ましく、5〜50nm程度がより好ましい。電子輸送層の厚みを上記範囲内とすることにより、より確実にリーク電流を抑制することができる。
上記説明した電子輸送層を、例えばスプレー法等の非真空プロセスにより形成すれば、より簡便に本発明の光電変換装置を製造することが可能である。また、大面積化が容易で品質が安定するという利点も有する。
スプレー法で緻密電子輸送層を形成する場合には、噴霧表面が室温〜700℃程度、好ましくは300〜500℃程度に調整された基材(好ましくは後述の透光性導電層)に、所定の透光性の電子輸送材料を含む原料溶液を、空気中で噴霧することが好ましい。透光性の電子輸送材料として酸化チタン(TiO等)を使用する場合には、上記温度範囲内に調整することで、酸化チタン(TiO等)の結晶性を向上させ、絡電流密度Jsc及び開放電圧Vocを改善できるため、光電変換効率を向上させることができる。
<1−3.第一電極層:透光性導電層>
本発明では、透光性導電層は、上記多孔質電子輸送層の下に形成されることが好ましい。なお、緻密電子輸送層を形成する場合には、透光性導電層は、緻密電子輸送層の下に形成されることが好ましい。
透光性導電層は、例えば、透明導電性酸化物を含む層(特に透明導電性酸化物からなる層)とすることが好ましい。透明導電性酸化物としては、例えば、フッ素ドープ錫酸化物(FTO)、インジウム錫酸化物(ITO)、ガリウムドープ亜鉛酸化物(GZO)、アルミドープ亜鉛酸化物(AZO)、ニオブドープチタン酸化物(TNO)等の一種又は二種以上を採用できる。これにより、透光性導電層が、光吸収層に導入するための窓層となり、且つ、光吸収層から得られた電力を効率よく取り出すことができる。
透光性導電層の厚みは、0.01〜10.0μm程度が好ましく、0.3〜1.0μm程度がより好ましい。透光性導電層の厚みを上記範囲内とすることにより、シート抵抗を低減し、結果として光電変換装置のシリーズ抵抗を低減できるため、フィルファクター特性を維持できる。
<1−4.透光性基板>
本発明では、上記透光性基板は、上記透光性導電層の下に形成されることが好ましい。
透光性基板としては、特に制限されないが、例えば、ガラス、プラスチック等から構成することが好ましい。これにより、光を光吸収層に導入するための窓層になり得る。
透光性基板の厚みは、特に限定されないが、0.1〜5.0mm程度とすることが好ましい。
例えば、インジウム錫酸化物(ITO)膜付きガラス、フッ素ドープ錫酸化物(FTO)膜付きガラス等の透明導電膜付き基板を、透光性基板及び透光性導電層とすることも可能である。
<1−5.ホール輸送層>
本発明の光電変換装置において、光吸収層の上に、さらにホール輸送層を備えることが好ましい。
ホール輸送層に使用される材料としては、例えば、有機ホール輸送材、CuSCN、セレン、ヨウ化銅(CuI)等の沃化物、層状コバルト酸化物等のコバルト錯体、酸化モリブデン(MoO等)、酸化ニッケル(NiO等)、4CuBr・3S(C)等が挙げられる。
沃化物としては、例えば、ヨウ化銅(CuI)等が挙げられる。層状コバルト酸化物としては、例えば、ACoO(A=Li、Na、K、Ca、Sr,Ba;0≦X≦1)等が挙げられる。また、有機ホール輸送材としては、例えば、ポリ−3−ヘキシルチオフェン(P3HT)、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)等のポリチオフェン誘導体、2,2’,7,7’−テトラキス−(N,N−ジ−p−メトキシフェニルアミン)−9,9’−スピロビフルオレン(spiro−MeO−TAD)等のフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール等のカルバゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、ジフェニルアミン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアニリン誘導体等が挙げられる。
上記ホール輸送層の材料の中でも、より高い変換効率を発揮できるという観点から、有機ホール輸送材が好ましい。
一方、上記ホール輸送層の材料の中でも、光吸収層が無機化合物である本発明の光電変換装置において、光電変換装置全体を無機化合物で構成できるという観点からは、CuSCN、セレン、ヨウ化銅(CuI)等の沃化物、層状コバルト酸化物等のコバルト錯体、酸化モリブデン(MoO等)、酸化ニッケル(NiO等)、4CuBr・3S(C)等が好ましい。これらを用いることにより、光電変換装置全体の安定性をより向上させることが可能になる。
ホール輸送層においては、必要に応じて、上記材料と共に、適切な添加剤が加えられていてもよい。添加剤としては、例えば、テトラブチルピリジン、リチウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、トリス(2−(1H−ピラゾール−1−イル)−4−tert−ブチルピリジン)コバルト(III) ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド等が挙げられる。
ホール輸送層の厚みは、特に制限されないが、0.01〜10μm程度が好ましい。
上記したホール輸送層も、メッキ法、スプレー法、ディップ法(ホール輸送層を形成するための材料の溶液(溶媒はn−プロピルスルフィド等の有機溶媒)を滴下して表面を均す操作を繰り返す)等の非真空プロセスにより形成することが好ましい。
<1−6.第二電極層>
本発明では、ホール輸送層の上に、第二電極層を備えることが好ましい。
第二電極層を構成する材料としては、特に制限されないが、例えば、カーボン、金、白金、パラジウム、ロジウム、タングステン、モリブデン、タンタル、チタン、ニオビウム、インジウム錫酸化物、フッ素ドープ錫酸化物、アルミドープ亜鉛酸化物、及びガリウムドープ亜鉛酸化物等が好ましい。また、金、白金、パラジウム、ロジウム、タングステン、モリブデン、タンタル、チタン、ニオビウム等の金属の合金等も好ましく用いられる。
第二電極層の厚みは、特に制限されないが、0.01〜2.0μm程度とすることが好ましい。
2.光電変換装置の用途
本発明の光電変換装置を、発電手段として用い、発電手段の発電電力を負荷へ供給するように成した構成とすることで、様々な用途に適用可能である。具体的には、本発明の光電変換装置を、本発明の光電変換装置から出力された直流電流を交流電流に変換するインバータ装置、電気モーター、照明装置等の負荷等を有する構成の光電変換装置とすることができる。その用途としては、例えば、建築物の屋根、壁面等に設置される太陽電池等として使用することができる。
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、本実施例において、スラッシュ(/)で区切られた構造は、その順に有することを意味しており、例えば、実施例1の< glass / F-doped SnO2 / bl-TiO2 / m-TiO2 / CsPbBr3 / spiro-OMe-TAD / Au >構造は、glass、F-doped SnO2、bl-TiO2、m-TiO2、CsPbBr3、spiro-OMe-TAD、Auが下から順に層形成されていることを意味する。実施例2〜3においても同様である。なお、bl-TiO2はTiO2の緻密層を示し、m-TiO2はmesoporous- TiO2(TiO2の多孔質層)を示す。
実施例1
3次元太陽電池のセル構造として、< glass / F-doped SnO2 / bl-TiO2 / m-TiO2 / CsPbBr3 / spiro-OMe-TAD / Au >構造の太陽電池を作製した。具体的には下記のとおりに行った。
予め、臭化水素酸(47.0-49.0%、和光純試薬工業株式会社) 15 mL、CsBr 2.5g、及びPbBr2 4 gを混合し、1日間撹拌した後、得られた沈殿をジエチルエーテルで3回洗浄し、エバポレーターで乾固した。得られた粉体であるCsPbBr3 0.3 gをDMSO 1 mLに溶解させた。
F-doped SnO2ガラス基板(FTO付きガラス基板)にbl-TiO2膜を大気中、450 ℃のホットプレート上でスプレー熱分解法(SPD法)により製膜し約30 nmの膜を得た。さらに、室温で、この膜上に、スピンコート法によりm-TiO2膜を約0.1μm製
膜し、大気中500℃で30分間焼成することで、3次元チタニア電極を得た。
室温にて、この電極の上に、上記調製したCsPbBr3溶液をスピンコーティングすることにより成膜し、120 ℃で60分間加熱乾燥し、放冷し、CsPbBr3層形成3次元チタニア電極を得た。
次に、65℃のホットプレート上で、上記電極のCsPbBr3層の上に、spiro-OMe-TAD 72.3 mg、テトラブチルピリジン 28.8 μL、リチウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドのアセトニトリル溶液(520 mg/mL)17.5 μL、及びトリス(2−(1H−ピラゾール−1−イル)−4−tert−ブチルピリジン)コバルト(III) ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(300 mg/mL) 29 μLを、1 mLのクロロベンゼンに溶解した溶液を、スピンコーティング(4000 rpm で30秒間回転)することによりホール輸送層(spiro-OMe-TAD層)を形成した。さらに、この上に、Au背面電極(第二電極層)を蒸着法により製膜し目的の太陽電池を得た。
実施例2
3次元太陽電池のセル構造として、< glass / F-dopedSnO2 / bl-TiO2 / m-TiO2 / CsPbBr3 / CuSCN / Au >構造の太陽電池を作製した。具体的には、 spiro-OMe-TADを含むクロロベンゼン溶液の代わりに、6mgのCuSCNを1 mLのプロピルサルファイドに溶解した溶液を用いて、ドクターブレード法でCuSCN層を積層した以外は、実施例1と同様に行った。
実施例3
3次元太陽電池のセル構造として、< glass / F-doped SnO2 / bl-TiO2/ CsPbBr3 / CuSCN / Au >構造の太陽電池を作製した。具体的には、m-TiO2膜を製膜しない以外は、実施例1と同様に行った。
試験例
実施例1〜3の太陽電池について、AM1.5のソーラーシミュレータの光(100mW/cm−2)を照射し、光電特性の測定を行った。結果を表1に示す。
Figure 0006742693

Claims (6)

  1. 光エネルギーを電気エネルギーに変換する光電変換装置であって、
    CsPbBr を含む、溶液乾燥膜からなる光吸収層を備え、
    前記光吸収層の下に、さらに、透光性の電子輸送材料を含む電子輸送層を備え、
    前記電子輸送層の下に、さらに、第一電極層である透光性導電層を備え、
    前記光吸収層の上に、さらに、ホール輸送層を備え、
    前記電子輸送層が、前記光吸収層の下に備えられた多孔質電子輸送層、及び該多孔質電子輸送層の下に備えられた緻密電子輸送層を含み、且つ
    前記ホール輸送層が、2,2’,7,7’−テトラキス−(N,N−ジ−p−メトキシフェニルアミン)−9,9’−スピロビフルオレンを含む層である
    、光電変換装置。
  2. 前記透光性の電子輸送材料が、TiO、WO、ZnO、Nb及びSrTiOよりなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項に記載の光電変換装置。
  3. 前記透光性導電層が、フッ素ドープ錫酸化物、インジウム錫酸化物、ガリウムドープ亜鉛酸化物、アルミドープ亜鉛酸化物、及びニオブドープチタン酸化物よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含む層である、請求項1又は2に記載の光電変換装置。
  4. 前記透光性導電層の下に、さらに、透光性基板を備える、請求項1〜のいずれかに記載の光電変換装置。
  5. 前記ホール輸送層の上に、さらに、第二電極層を備える、請求項1〜のいずれかに記載の光電変換装置。
  6. 前記第二電極層は、カーボン、金、タングステン、モリブデン及びチタンよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含む層である、請求項に記載の光電変換装置。
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