JP2020132704A - 熱可塑性樹脂組成物およびそれを成形してなる成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】成形安定性、機械強度の安定性、寸法安定性および放熱性に優れる成形品を得ることのできる熱可塑性樹脂組成物を提供すること。【解決手段】(A)熱可塑性樹脂100重量部に対し、(B)充填材を10〜300重量部、および(C)下記一般式(1)で表される化合物を0.1〜10重量部含有する熱可塑性樹脂組成物。【化1】上記一般式(1)中、R1、R2はそれぞれ同一でも異なってもよく、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、メトキシ基またはメチル基である。M1、M2は、それぞれ同一でも異なってもよく、炭素数1〜5の炭化水素基を示す。また、nは1〜10の整数を示す。【選択図】なし
Description
本発明は、熱可塑性樹脂組成物およびそれを成形してなる成形品に関するものである。
熱可塑性樹脂は、優れた耐熱性、機械特性、成形性などを有することから、射出成形用途を中心として、各種自動車部品、電気・電子部品などの用途に広く使用されている。
近年、自動車や電気・電子機器の高機能化・高性能化に伴い、各部品の小型化や軽量化が進んでいる。一方、電圧の大容量化や高速大容量の情報処理により、各部品の発熱量は増加の一途をたどり、装置内部で温度が上昇し、誤動作を引き起こす可能性が高まっている。これらに対応するため、樹脂成形品には高い放熱性が求められる。加えて、部品の小型化が進むと、形状のばらつきによる影響を受けやすくなるため、高度な寸法安定性や、機械強度のばらつきの小さな材料が求められている。また、前記特性の低下を抑制するため成形安定性に優れる材料が求められている。
これに対して、熱可塑性樹脂の寸法安定性を改善する方法としては、充填材を配合する方法が一般的であり、熱可塑性樹脂にガラスフレークを含有する方法(例えば、特許文献1)が提案されている。また、熱可塑性樹脂の放熱性を改善する方法としては、ポリアミド樹脂に熱伝導性充填材と特定の化合物を含有する方法(例えば、特許文献2)、ポリアミド樹脂に、ガラス繊維、熱伝導性フィラー及びポリアミドエラストマーを含む方法(例えば、特許文献3)が提案されている。また、2種類以上の樹脂に導電性ナノフィラーと官能基を有する化合物を配合する方法(例えば、特許文献4)が提案されている。
しかしながら特許文献1に記載の樹脂組成物では、寸法安定性の改善が不十分であり、充填材の分散不良による機械強度のばらつきおよび成形安定性に大きい課題があった。また、特許2〜4に記載の樹脂組成物では、熱伝導性充填材を高含有するため、充填材の分散不良による寸法安定性の悪化や機械強度のばらつきおよび成形安定性などに課題があり、放熱性が不十分であった。これらの技術的課題に鑑み、本発明は、熱可塑性樹脂の成形安定性を改善するとともに成形品の機械強度のばらつきを抑制(機械強度の安定性)に加え、寸法安定性と放熱性に優れる熱可塑性樹脂組成物及びそれを成形してなる成形品を提供することを目的とするものである。
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、熱可塑性樹脂に充填剤および特定の官能基含有化合物を含有してなる熱可塑性樹脂が、成形安定性、機械強度の安定性、寸法安定性および放熱性に優れることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、本発明の実施形態は、以下に挙げる構成の少なくとも一部を含み得る。
[1](A)熱可塑性樹脂100重量部に対し、(B)充填材を10〜300重量部、および(C)下記一般式(1)で表される化合物を0.1〜10重量部含有する熱可塑性樹脂組成物。
上記一般式(1)中、R1、R2はそれぞれ同一でも異なってもよく、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、メトキシ基、またはメチル基である。M1、M2は、それぞれ同一でも異なってもよく、炭素数1〜5の炭化水素基を示す。また、nは1〜10の整数を示す。
[2]前記一般式(1)中のR1およびR2がアミノ基である[1]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[3]前記一般式(1)中のnが1〜3の整数である、[1]または[2]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[4](B)充填材が熱伝導率5W/m・K以上の充填材を含む[1]〜[3]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
[5][1]〜[4]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品。
[2]前記一般式(1)中のR1およびR2がアミノ基である[1]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[3]前記一般式(1)中のnが1〜3の整数である、[1]または[2]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[4](B)充填材が熱伝導率5W/m・K以上の充填材を含む[1]〜[3]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
[5][1]〜[4]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品。
本発明によって、成形安定性、機械強度の安定性、寸法安定性および放熱性に優れる熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。また、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、優れた成形安定性、機械強度の安定性、寸法安定性および放熱性を有するため、自動車部品、電気・電子部品などに有用である。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。本発明の実施形態の熱可塑性樹脂組成物は、(A)熱可塑性樹脂と、(B)充填材と、(C)上記一般式(1)で表される構造の化合物(以下、(C)化合物と記載する場合もある)を含有する。(A)熱可塑性樹脂を含有することで機械強度などの機械特性に優れた成形品を得ることができる。また(B)充填材を本発明の範囲で含有することで機械強度の安定性、寸法安定性および放熱性に優れた成形品を得ることができる。また、(C)化合物を本発明の範囲で含有することで(A)熱可塑性樹脂と(B)充填材の界面に偏在することで(B)充填材の分散性が向上し、機械強度の安定性、寸法安定性および放熱性に優れた成形品を得ることができる。また、(C)化合物を含有することで(A)熱可塑性樹脂と(B)充填材の密着性が向上し、組成物中の空隙を抑制でき、成形機シリンダーへの充填性が向上する。
以下、各成分について説明する。
本発明の(A)熱可塑性樹脂は、熱可塑性を示す樹脂であればよく、例えば、ポリアミド、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミド、スチレン系樹脂、フッ素樹脂、ポリオキシメチレン、塩化ビニル、オレフィン系樹脂、ポリアミドエラストマー、ポリアクリレート、ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリーレンサルファイド、セルロース誘導体、液晶性樹脂およびこれらの変性樹脂などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
本発明の(A)熱可塑性樹脂は、熱可塑性を示す樹脂であればよく、例えば、ポリアミド、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミド、スチレン系樹脂、フッ素樹脂、ポリオキシメチレン、塩化ビニル、オレフィン系樹脂、ポリアミドエラストマー、ポリアクリレート、ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリーレンサルファイド、セルロース誘導体、液晶性樹脂およびこれらの変性樹脂などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
これらの熱可塑性樹脂の中でも、ポリアミド、ポリエステル、スチレン系樹脂、ポリカーボネート、ポリアリーレンサルファイド、およびポリフェニレンエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、(B)充填材との接着性の観点より、より好ましくはポリアミド、ポリエステル、ポリアリーレンサルファイドであり、さらに好ましくはポリアミドである。これらの(A)熱可塑性樹脂は(B)充填材との接着性に優れることから、成形品の寸法安定性が向上するとともに、(C)化合物との相溶性が良好であるため、機械強度の安定性にも優れる。
ポリアミドの具体的な例としては、例えば、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリペンタメチレンアジパミド(ナイロン56)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリテトラメチレンセバカミド(ナイロン410)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリドデカンアミド(ナイロン12)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンアジパミドコポリマー(ナイロン6/66)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン6/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン6T/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリドデカンアミドコポリマー(ナイロン6T/12)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T/6I)、ポリキシリレンアジパミド(ナイロンXD6)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリ−2−メチルペンタメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン6T/M5T)、ポリノナメチレンテレフタルアミド(ナイロン9T)およびこれらの共重合体などが挙げられる。これらを2種以上配合してもよい。
これらポリアミド樹脂の重合度には特に制限がないが、樹脂濃度0.01g/mlの98%濃硫酸溶液中、25℃で測定した相対粘度(ηr)が1.5〜5.0の範囲であることが好ましい。相対粘度が1.5以上であれば、強度と靭性のバランスに優れ、機械強度の安定性をより向上させることができる。相対粘度は、1.6以上がより好ましく、1.7以上がさらに好ましい。一方、相対粘度が5.0以下であれば、成形安定性に優れる。成形加工時の成形機シリンダーへの充填性などが安定することから、機械強度の安定性をより向上させることができる。相対粘度は、3.0以下がより好ましく、2.2以下がさらに好ましい。
これらポリアミド樹脂の末端基量の比(アミノ末端基量/カルボキシル末端基量)は特に制限はないが、機械強度のばらつきを抑制でき、放熱性に優れる観点で1.0以上が好ましい。末端基量の比が1.0以上であれば機械強度の安定性および放熱性をより向上できる。末端基量の比は、1.1以上がより好ましく、1.2以上が特に好ましい。また、末端基量の比は、溶融混錬時の熱劣化を抑制し、機械強度のばらつきを抑制できる観点から20以下が好ましい。末端基量の比が20以下であれば機械強度の安定性をより向上できる。末端基量の比は15以下がより好ましく、10以下がより好ましい。
ポリエステルとしては、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体とジオールまたはそのエステル形成性誘導体の残基を主構造単位とする重合体または共重合体が好ましい。中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリプロピレンイソフタレート/テレフタレート、ポリブチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート/ナフタレート、ポリブチレンテレフタレート/ナフタレートなどの芳香族ポリエステルが特に好ましく、ポリブチレンテレフタレートが最も好ましい。これらを2種以上含有してもよい。これらのポリエステルにおいては、全ジカルボン酸残基に対するテレフタル酸残基の割合が30モル%以上であることが好ましく、40モル%以上であることがさらに好ましい。
また、ポリエステルは、ヒドロキシカルボン酸あるいはそのエステル形成性誘導体およびラクトンから選択された一種以上の残基を含有していてもよい。ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、グリコール酸、乳酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、o−ヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸などが挙げられる。ラクトンとしては、例えば、カプロラクトン、バレロラクトン、プロピオラクトン、ウンデカラクトン、1,5−オキセパン−2−オンなどが挙げられる。これらの残基を構造単位とする重合体または共重合体としては、例えば、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリグリコール酸/乳酸、ポリヒドロキシ酪酸/β−ヒドロキシ酪酸/β−ヒドロキシ吉草酸などの脂肪族ポリエステル樹脂が挙げられる。
ポリアリーレンサルファイドとしては、例えば、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルフィドケトン、これらのランダム共重合体、ブロック共重合体などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
ポリアリーレンサルファイドは、特公昭45−3368号公報に記載される、比較的分子量の小さな重合体を得る方法、特公昭52−12240号公報や特開昭61−7332号公報に記載される、比較的分子量の大きな重合体を得る方法などの通常公知の方法によって製造することができる。得られたポリアリーレンサルファイドを、加熱による架橋/高分子量化、窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下での熱処理、有機溶媒、熱水、酸水溶液などによる洗浄、酸無水物、アミン、イソシアネート、官能基含有ジスルフィド化合物などの官能基含有化合物による活性化などの種々の処理を施した上で使用することも、もちろん可能である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物において、(A)熱可塑性樹脂100重量部に対して、(B)充填剤を、10〜300重量部含有することを特徴とする。(B)充填材としては、例えば、繊維状充填材、非繊維状充填材を挙げることができる。これらの充填材は2種類以上併用しても良い。
繊維状充填材の具体例としては、ガラス繊維、PAN(ポリアクリロニトリル)系またはピッチ系の炭素繊維、芳香族ポリアミド繊維などの有機繊維、石膏繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、ジルコニア繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、酸化チタン繊維、炭化珪素繊維、ロックウール、チタン酸カリウムウィスカー、酸化亜鉛ウィスカー、炭酸カルシウムウィスカー、ワラステナイトウィスカー、硼酸アルミウィスカー、窒化珪素ウィスカーなどの繊維状またはウィスカー状充填材が挙げられる。繊維状充填材としては、機械強度などの観点からガラス繊維、炭素繊維が特に好ましい。
また、ガラス繊維の種類は、一般に樹脂の強化用に用いるものであれば特に限定はなく、例えば、長繊維タイプや短繊維タイプのチョップドストランド、ミルドファイバーなどから選択して用いることができる。また、ガラス繊維は、エチレン/酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂により被膜あるいは集束されていてもよい。さらに、ガラス繊維の断面は、円形、扁平状のひょうたん型、まゆ型、長円型、楕円型、矩形またはこれらの類似品など限定されるものではない。成形品の特有の反りを低減する観点から、扁平状の繊維が長径/短径の比が1.5以上のものが好ましく、2.0以上のものがさらに好ましく、10以下のものが好ましく、6.0以下のものがさらに好ましい。長径/短径の比が1.5未満では断面を扁平状にした効果が少なく、10より大きいものはガラス繊維自体の製造が困難である。
非繊維状充填材の具体例としては、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ワラステナイト、カオリン、タルク、バーミキュライト、マイカ、非結晶性シリカ、結晶性シリカ、炭酸カルシウム、微粉ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、酸化ケイ素、フッ素テニオライト、燐酸ジルコニウム、燐酸チタニウム、ドロマイト、硼酸亜鉛、硼酸亜鉛水和物、硼酸カルシウム、硼酸カルシウム水和物、酸化亜鉛、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸カルシウム亜鉛、錫酸亜鉛、ヒドロキシ錫酸亜鉛、メタスズ酸、酸化スズ、酸化スズ塩、硫化亜鉛、酸化第二鉄、硫化イオウ、酸化第一錫、酸化第二スズ、ホウ酸アンモニウム、オクタモリブデン酸アンモニウム、タングステン酸の金属塩、タングステンとメタロイドとの複合酸化物酸、ジルコニウム系化合物、黒鉛、膨潤性黒鉛、酸化チタン、スメクタイト系粘土鉱物(モンモリロナイト、ヘクトライト)、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムと酸化アルミニウムの混合物、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素およびカーボンナノチューブなどが挙げられる。非繊維充填材としては、機械強度や寸法安定性などの観点からガラスフレーク、タルク、マイカなどが好ましい。
非繊維状充填材の平均粒径は、0.1〜100μmが好ましい。充填材の平均粒径を100μm以下とすることで、機械強度の安定性、寸法安定性および放熱性をより向上させることができる。平均粒径は、50μm以下がより好ましく、30μm以下がさらに好ましい。充填材の平均粒径を0.1μm以上とすることで寸法安定性および放熱性をより向上させることができる。平均粒径は0.3μm以上がより好ましく、0.5μm以上がさらに好ましく、1.0μm以上が最も好ましい。ここで平均粒径は、例えば、レーザー回折散乱法によって測定することができる。具体的には、レーザー回折散乱法により、横軸に粒子径を縦軸に頻度(質量)をとってプロットし、該頻度の累積質量の総和を100%とした時に累積質量が50%となる粒子径(D50)として測定することができる。
本発明に用いられる充填材は、例えば、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシランなどのビニルシラン化合物、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシシラン化合物、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノシラン化合物、ステアリン酸、オレイン酸、モンタン酸、ステアリルアルコールなどの長鎖脂肪酸または長鎖脂肪族アルコールなどの公知の表面処理が施されていてもよい。公知の表面処理が施された(B)充填材は、(C)化合物と併用することで分散性がより向上し、成形安定性、機械強度の安定性、寸法安定性および放熱性により優れる。
また、(B)充填材は、放熱性向上の観点より、熱伝導率5W/m・K以上の充填材であることが好ましく、機械強度のばらつきと放熱性のバランスの観点から熱伝導率5W/m・K以上の充填材と熱伝導率5W/m・K未満の充填材を併用することがより好ましい。
熱伝導率5W/m・K以上の充填材と熱伝導率5W/m・K未満の充填材の比は、機械強度のばらつきと放熱性のバランスの観点から熱伝導率5W/m・K以上の充填材/熱伝導率5W/m・K未満の充填材=1/99〜99/1重量%が好ましい。充填材の比が1/99〜99/1重量%であれば機械強度のばらつきと放熱性のバランスに優れる。10/90〜90/10重量%がより好ましく、20/80〜80/20重量%がさらに好ましい。
前記(B)充填材のうち、熱伝導率5W/m・K以上の充填材としては、タルク(5〜10W/m・K)、結晶性シリカ(10W/m・K)、水酸化マグネシウム(8W/m・K)、酸化アルミニウム(36W/m・K)、酸化マグネシウム(60W/m・K)、酸化亜鉛(25W/m・K)、炭酸マグネシウム(15W/m・K)、炭化ケイ素(160W/m・K)、窒化アルミニウム(170W/m・K)、窒化ホウ素(210W/m・K)、窒化ケイ素(40W/m・K)、炭素繊維やカーボンナノチューブなどのカーボン(10〜数百W/m・K)、黒鉛(10〜数百W/m・K)などの無機充填材が挙げられる。
中でも、(A)熱可塑性樹脂に配合した際の熱伝導率の観点から、窒化ホウ素、黒鉛、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、タルク、水酸化マグネシウムがより好ましい。さらに好ましくは、タルクおよび水酸化マグネシウムである。
(B)充填材の合計含有量は、(A)熱可塑性樹脂100重量部に対して、10〜300重量部(10重量部以上300重量部以下)である。(B)充填材の含有量が10重量部未満であると、樹脂組成物中の強度ムラも大きくなり、機械強度の安定性が低下するうえ、寸法安定性および放熱性が低下する。(B)充填材の含有量は、20重量部以上がより好ましく、30重量部以上がさらに好ましい。
一方、(B)充填材の含有量が、300重量部を越えると、生産性、成形安定性、靭性低下に伴う機械強度のばらつきが大きくなる。(B)充填材の含有量は、250重量部以下が好ましく、200重量部以下がより好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物において、(A)熱可塑性樹脂100重量部に対して、さらに(C)上記一般式(1)で表される構造の化合物を、0.1〜10重量部含有することを特徴とする。
上記一般式(1)中、R1、R2はそれぞれ同一でも異なってもよく、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、メトキシ基またはメチル基である。M1、M2は、それぞれ同一でも異なってもよく、炭素数1〜5の炭化水素基を示す。また、nは1〜10の整数を示す。
本発明の熱可塑性樹脂組成物において、(C)上記一般式(1)で表される構造の化合物は(A)熱可塑性樹脂と(B)充填材の界面に偏在することで(B)充填材の分散性をより向上させる。(B)充填材の分散性がより向上することで機械強度の安定性、寸法安定性および放熱性がより向上する。また、(C)化合物を含有することで(A)熱可塑性樹脂と(B)充填材の密着性が向上し、組成物中の空隙を抑制でき、成形機シリンダーへの充填性が向上し、成形安定性が向上する。成形安定性が向上することで成形圧力や成形サイクル時間などの成形条件のばらつきが小さくなり、成形品の機械強度の安定性、寸法安定性がより向上する。
(C)上記一般式(1)で表される構造の化合物のR1、R2としては、それぞれ同一でも異なってもよく、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、メトキシ基またはメチル基である。(B)充填材との反応性の観点から好ましくは、水酸基またはアミノ基が好ましく、さらに好ましくは、アミノ基である。
(C)上記一般式(1)で表される構造の化合物のM1、M2としては、それぞれ同一でも異なってもよく、炭素数1〜5の炭化水素基を示す。M1、M2の炭素数が1以上であると(C)化合物の入手性やコスト、生産性、成形安定性に優れる。(B)充填材との反応性や化合物の入手性の観点からM1、M2の炭素数は、5以下であり、好ましくは炭素数4以下であり、より好ましくは炭素数2以下である。
(C)上記一般式(1)で表される構造の化合物のnは1〜10の整数を示す。nが1未満であると製造時に多量にガスが発生し、製造が困難であったり(生産性低下)、成形機シリンダーへの充填性低下により、成形安定性が低下する。nが1以上であると製造時のガスが抑制でき、生産性、成形安定性に優れる。一方、nが10を超える場合、(B)充填材との反応性が低下し、(B)充填材の分散が不十分となり、機械強度の安定性、寸法安定性および放熱性が低下する。また、(B)との反応性が低下したことで(B)充填材表面への偏在化が不十分となり、成形安定性が低下する。(B)充填材との反応性の観点からnは、好ましくは7以下であり、より好ましくは5以下であり、さらに好ましくは3以下である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物において、(C)化合物の特に好ましい化合物としては、例えば、ビス(3−アミノプロピル)エーテル、エチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテルが挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物において、(C)化合物の含有量は、(A)熱可塑性樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部(0.1重量部以上10重量部以下)である。(C)化合物の含有量が0.1重量部未満であると(B)充填材の分散性が悪化し、成形安定性、機械強度の安定性、寸法安定性および放熱性が低下する。(C)化合物の含有量は0.25重量部以上が好ましく、0.5重量部以上がより好ましく、1重量部以上がさらに好ましい。また、(C)化合物の含有量が10重量部を超えた場合、製造時に多量にガスが発生し、製造が困難であったり(生産性低下)、成形機シリンダーへの充填性低下により、成形安定性が低下する。(C)化合物の含有量は、7重量部以下が好ましく、5重量部以下がより好ましく、3重量部以下がさらに好ましい。
さらに、本発明の実施形態の熱可塑性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、目的に応じて各種添加剤を含有することが可能である。各種添加剤の具体例としては、酸化防止剤や熱安定剤、イソシアネート系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物などのカップリング剤、ポリアルキレンオキサイドオリゴマ系化合物、チオエーテル系化合物、エステル系化合物などの可塑剤、モンタン酸ワックス類、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸アルミ等の金属石鹸、エチレンジアミン・ステアリン酸・セバシン酸重縮合物、シリコーン系化合物などの離型剤、滑剤、紫外線防止剤、着色剤、難燃剤、耐衝撃改良剤、発泡剤などを挙げることができる。これら添加剤を含有する場合、その含有量は、熱可塑性樹脂の特徴を十分に活かすため、熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して10重量部以下が好ましく、1重量部以下がより好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、例えば、前記(A)〜(C)および必要に応じてその他成分を溶融混練することにより得ることができる。溶融混練には公知の方法を用いることができる。たとえば、バンバリーミキサー、ゴムロール機、ニーダー、単軸もしくは二軸押出機などを用い、溶融混練して樹脂組成物とすることができる。中でも生産性の観点から、二軸押出機が好ましい。
かくして得られる熱可塑性樹脂組成物は、公知の方法で各種成形品を得ることができる。成形方法としては、例えば、射出成形、射出圧縮成形、押出成形、圧縮成形、中空成形、カレンダ成形、ブロー成形、真空成形、発泡成形などが可能であり、糸状、ペレット状、板状、フィルム又はシート状、パイプ状、中空状、箱状等の形状に成形することができる。
本発明の実施形態の熱可塑性樹脂組成物およびその成形品は、その優れた特性を活かし、自動車部品、電気・電子部品、建築部材、各種容器など各種用途に利用することができる。本発明の実施形態の熱可塑性樹脂組成物およびその成形品は、とりわけ、寸法安定性及び機械強度の安定性、放熱性、成形安定性が要求される自動車電装部品、電気・電子部品用途に好ましく用いられる。具体的には、本発明の実施形態の熱可塑性樹脂組成物およびその成形品は、エンジンカバー、エアインテークパイプ、タイミングベルトカバー、インテークマニホールド、フィラーキャップ、スロットルボディ、クーリングファンなどの自動車エンジン周辺部品、ラジエータータンクのトップおよびベース、オイルパン、ブレーキ配管、燃料配管用チューブ、廃ガス系統部品などの自動車アンダーフード部品、ギア、アクチュエーター、ベアリングリテーナー、ベアリングケージ、チェーンガイド、チェーンテンショナなどの自動車ギア部品、シフトレバーブラケット、ステアリングロックブラケット、キーシリンダー、ドアインナーハンドル、ドアハンドルカウル、室内ミラーブラケット、エアコンスイッチ、インストルメンタルパネル、コンソールボックス、グローブボックス、ステアリングホイール、トリムなどの自動車内装部品、フロントフェンダー、リアフェンダー、フューエルリッド、ドアパネル、ドアミラーステイ、テールゲートパネル、ライセンスガーニッシュ、ルーフレール、エンジンマウントブラケット、リアガーニッシュ、リアスポイラー、トランクリッド、ロッカーモール、モール、ランプハウジング、フロントグリル、マッドガード、サイドバンパーなどの自動車外装部品、コネクタやワイヤーハーネスコネクタ、モーター部品、ランプソケット、センサー車載スイッチ、コンビネーションスイッチなどの自動車電装部品、電気・電子部品としては、例えば、発電機、電動機、変圧器、変流器、電圧調整器、整流器、抵抗器、インバーター、継電器、電力用接点、開閉器、遮断機、スイッチ、ナイフスイッチ、他極ロッド、モーターケース、ノートパソコンハウジングおよび内部部品、CRTディスプレーハウジングおよび内部部品、プリンターハウジングおよび内部部品、携帯電話、モバイルパソコン、ハンドヘルド型モバイルなどの携帯端末ハウジングおよび内部部品、ICやLED対応ハウジング、コンデンサー座板、ヒューズホルダー、各種ギヤ、各種ケース、キャビネットなどの電気部品、コネクタ、SMT対応のコネクタ、カードコネクタ、ジャック、コイル、コイルボビン、センサー、LEDランプ、ソケット、リレー、リレーケース、リフレクター、小型スイッチ、電源部品、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップシャーシ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント基板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、SiパワーモジュールやSiCパワーモジュール、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、モーターブラッシュホルダー、トランス部材、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品などの電子部品などに好ましく用いられる。
[参考例]
(1)相対粘度
参考例により得られたポリアミド樹脂のペレットを98%硫酸に溶解して樹脂濃度0.01g/mlの98%硫酸溶液を作製した。得られた硫酸溶液を用いて、25℃でオストワルド式粘度計を用いて、相対粘度を測定した。
(2)アミノ末端基量
参考例により得られたポリアミド樹脂のペレット約0.5gを精秤し、フェノール・エタノール混合溶媒(体積比83.5:16.5)25mlに溶解した後、0.02塩酸水溶液を用いて滴定し、アミノ末端基量を測定した。
(3)カルボキシル末端基量
参考例により得られたポリアミド樹脂のペレット約0.5gを精秤し、ベンジルアルコール20mlを加えて190℃で溶解した後、0.02N水酸化カリウム・エタノール溶液を用いて滴定し、カルボキシル末端基量を測定した。
(1)相対粘度
参考例により得られたポリアミド樹脂のペレットを98%硫酸に溶解して樹脂濃度0.01g/mlの98%硫酸溶液を作製した。得られた硫酸溶液を用いて、25℃でオストワルド式粘度計を用いて、相対粘度を測定した。
(2)アミノ末端基量
参考例により得られたポリアミド樹脂のペレット約0.5gを精秤し、フェノール・エタノール混合溶媒(体積比83.5:16.5)25mlに溶解した後、0.02塩酸水溶液を用いて滴定し、アミノ末端基量を測定した。
(3)カルボキシル末端基量
参考例により得られたポリアミド樹脂のペレット約0.5gを精秤し、ベンジルアルコール20mlを加えて190℃で溶解した後、0.02N水酸化カリウム・エタノール溶液を用いて滴定し、カルボキシル末端基量を測定した。
<参考例1>
ε−カプロラクタム700g、ヘキサメチレンジアミン(東京化成工業(株))2.58g、イオン交換水175gを撹拌翼付きの内容積が3Lの圧力容器に仕込んで窒素置換した後、窒素で缶内圧力を0.049MPaに加圧した。この圧力容器を密閉したまま、ヒーター温度を260℃に設定して加熱を開始した。缶内圧力が1.0MPaに到達した後、水分を系外へ放出させながら缶内圧力1.0MPaに保持し、缶内温度が250℃になるまで昇温した。缶内温度が250℃に到達した後、ヒーターの設定温度を245℃に変更し、1時間かけて常圧となるよう缶内圧力を調節した(常圧到達時の缶内温度:245℃)。続けて、缶内に窒素を流しながら(窒素フロー)90分間保持した。圧力容器底部の吐出口から内容物をガット状にして取り出し、ペレタイズすることによりナイロン6を得た。得られたナイロン6中のカプロラクタムモノマーおよびオリゴマーを除去するため98℃のイオン交換水10Lで10時間熱水抽出した。熱水抽出後、80℃で24時間以上真空乾燥した後、前記(1)〜(3)の評価を行ったところ、相対粘度=2.1、末端基量の比(アミノ末端基量/カルボキシル末端基量)=1.3であった。
ε−カプロラクタム700g、ヘキサメチレンジアミン(東京化成工業(株))2.58g、イオン交換水175gを撹拌翼付きの内容積が3Lの圧力容器に仕込んで窒素置換した後、窒素で缶内圧力を0.049MPaに加圧した。この圧力容器を密閉したまま、ヒーター温度を260℃に設定して加熱を開始した。缶内圧力が1.0MPaに到達した後、水分を系外へ放出させながら缶内圧力1.0MPaに保持し、缶内温度が250℃になるまで昇温した。缶内温度が250℃に到達した後、ヒーターの設定温度を245℃に変更し、1時間かけて常圧となるよう缶内圧力を調節した(常圧到達時の缶内温度:245℃)。続けて、缶内に窒素を流しながら(窒素フロー)90分間保持した。圧力容器底部の吐出口から内容物をガット状にして取り出し、ペレタイズすることによりナイロン6を得た。得られたナイロン6中のカプロラクタムモノマーおよびオリゴマーを除去するため98℃のイオン交換水10Lで10時間熱水抽出した。熱水抽出後、80℃で24時間以上真空乾燥した後、前記(1)〜(3)の評価を行ったところ、相対粘度=2.1、末端基量の比(アミノ末端基量/カルボキシル末端基量)=1.3であった。
<参考例2>
ε−カプロラクタム700g、安息香酸(東京化成工業(株))4.9g、イオン交換水175gを撹拌翼付きの内容積が3Lの圧力容器に仕込んで窒素置換した後、窒素で缶内圧力を0.049MPaに加圧した。この圧力容器を密閉したまま、ヒーター温度を260℃に設定して加熱を開始した。缶内圧力が1.0MPaに到達した後、水分を系外へ放出させながら缶内圧力1.0MPaに保持し、缶内温度が250℃になるまで昇温した。缶内温度が250℃に到達した後、ヒーターの設定温度を245℃に変更し、1時間かけて常圧となるよう缶内圧力を調節した(常圧到達時の缶内温度:245℃)。続けて、缶内に窒素を流しながら(窒素フロー)90分間保持した。圧力容器底部の吐出口から内容物をガット状にして取り出し、ペレタイズすることによりナイロン6を得た。得られたナイロン6中のカプロラクタムモノマーおよびオリゴマーを除去するため98℃のイオン交換水10Lで10時間熱水抽出した。熱水抽出後、80℃で24時間以上真空乾燥した後、前記(1)〜(3)の評価を行ったところ、相対粘度=2.2、末端基量の比(アミノ末端基量/カルボキシル末端基量)=0.4であった。
ε−カプロラクタム700g、安息香酸(東京化成工業(株))4.9g、イオン交換水175gを撹拌翼付きの内容積が3Lの圧力容器に仕込んで窒素置換した後、窒素で缶内圧力を0.049MPaに加圧した。この圧力容器を密閉したまま、ヒーター温度を260℃に設定して加熱を開始した。缶内圧力が1.0MPaに到達した後、水分を系外へ放出させながら缶内圧力1.0MPaに保持し、缶内温度が250℃になるまで昇温した。缶内温度が250℃に到達した後、ヒーターの設定温度を245℃に変更し、1時間かけて常圧となるよう缶内圧力を調節した(常圧到達時の缶内温度:245℃)。続けて、缶内に窒素を流しながら(窒素フロー)90分間保持した。圧力容器底部の吐出口から内容物をガット状にして取り出し、ペレタイズすることによりナイロン6を得た。得られたナイロン6中のカプロラクタムモノマーおよびオリゴマーを除去するため98℃のイオン交換水10Lで10時間熱水抽出した。熱水抽出後、80℃で24時間以上真空乾燥した後、前記(1)〜(3)の評価を行ったところ、相対粘度=2.2、末端基量の比(アミノ末端基量/カルボキシル末端基量)=0.4であった。
<参考例3>
ナイロン66塩700g、ヘキサメチレンジアミン(東京化成工業(株))2.58g、イオン交換水467gを撹拌翼付きの内容積が3Lの圧力容器に仕込んで窒素置換した後、窒素で缶内圧力を0.049MPaに加圧した。この圧力容器を密閉したまま、ヒーター温度を295℃に設定して加熱を開始した。50分後に、缶内温度は223℃、缶内圧力は1.715MPaに到達した。ヒーター温度を280℃に変更して、放圧弁を操作して水分を系外へ留出させながら、缶内圧力を1.715MPaで1時間10分保持した。このとき缶内温度は250℃に到達した。続いて、1時間かけて缶内圧力をゼロにした。このとき、缶内温度は276℃であった。さらに、−0.021MPaの減圧下で15分保持することにより、缶内温度は280℃に到達した。圧力容器底部の吐出口から内容物をガット状にして取り出し、ペレタイズすることによりナイロン66を得た。得られたナイロン66を80℃で24時間以上真空乾燥した後、前記(1)〜(3)の評価を行ったところ、相対粘度=1.9、末端基量の比(アミノ末端基量/カルボキシル末端基量)=1.4であった。
ナイロン66塩700g、ヘキサメチレンジアミン(東京化成工業(株))2.58g、イオン交換水467gを撹拌翼付きの内容積が3Lの圧力容器に仕込んで窒素置換した後、窒素で缶内圧力を0.049MPaに加圧した。この圧力容器を密閉したまま、ヒーター温度を295℃に設定して加熱を開始した。50分後に、缶内温度は223℃、缶内圧力は1.715MPaに到達した。ヒーター温度を280℃に変更して、放圧弁を操作して水分を系外へ留出させながら、缶内圧力を1.715MPaで1時間10分保持した。このとき缶内温度は250℃に到達した。続いて、1時間かけて缶内圧力をゼロにした。このとき、缶内温度は276℃であった。さらに、−0.021MPaの減圧下で15分保持することにより、缶内温度は280℃に到達した。圧力容器底部の吐出口から内容物をガット状にして取り出し、ペレタイズすることによりナイロン66を得た。得られたナイロン66を80℃で24時間以上真空乾燥した後、前記(1)〜(3)の評価を行ったところ、相対粘度=1.9、末端基量の比(アミノ末端基量/カルボキシル末端基量)=1.4であった。
<参考例4>
ナイロン66塩700g、アジピン酸(東京化成工業(株))3.82g、イオン交換水467gを撹拌翼付きの内容積が3Lの圧力容器に仕込んで窒素置換した後、窒素で缶内圧力を0.049MPaに加圧した。この圧力容器を密閉したまま、ヒーター温度を295℃に設定して加熱を開始した。50分後に、缶内温度は223℃、缶内圧力は1.715MPaに到達した。ヒーター温度を280℃に変更して、放圧弁を操作して水分を系外へ留出させながら、缶内圧力を1.715MPaで1時間10分保持した。このとき缶内温度は250℃に到達した。続いて、1時間かけて缶内圧力をゼロにした。このとき、缶内温度は276℃であった。さらに、−0.021MPaの減圧下で15分保持することにより、缶内温度は280℃に到達した。圧力容器底部の吐出口から内容物をガット状にして取り出し、ペレタイズすることによりナイロン66を得た。得られたナイロン66を80℃で24時間以上真空乾燥した後、前記(1)〜(3)の評価を行ったところ、相対粘度=1.9、末端基量の比(アミノ末端基量/カルボキシル末端基量)=0.4であった。
ナイロン66塩700g、アジピン酸(東京化成工業(株))3.82g、イオン交換水467gを撹拌翼付きの内容積が3Lの圧力容器に仕込んで窒素置換した後、窒素で缶内圧力を0.049MPaに加圧した。この圧力容器を密閉したまま、ヒーター温度を295℃に設定して加熱を開始した。50分後に、缶内温度は223℃、缶内圧力は1.715MPaに到達した。ヒーター温度を280℃に変更して、放圧弁を操作して水分を系外へ留出させながら、缶内圧力を1.715MPaで1時間10分保持した。このとき缶内温度は250℃に到達した。続いて、1時間かけて缶内圧力をゼロにした。このとき、缶内温度は276℃であった。さらに、−0.021MPaの減圧下で15分保持することにより、缶内温度は280℃に到達した。圧力容器底部の吐出口から内容物をガット状にして取り出し、ペレタイズすることによりナイロン66を得た。得られたナイロン66を80℃で24時間以上真空乾燥した後、前記(1)〜(3)の評価を行ったところ、相対粘度=1.9、末端基量の比(アミノ末端基量/カルボキシル末端基量)=0.4であった。
<参考例5>
ナイロン410塩700g、テトラメチレンジアミン(関東化学(株))9.56g、イオン交換水700gを撹拌翼付きの内容積が3Lの圧力容器に仕込んで窒素置換した後、窒素で缶内圧力を0.5kg/cm2に加圧した。この圧力容器を密閉したまま、ヒーター温度を270℃に設定して加熱を開始した。28分後に、缶内温度は116℃、缶内圧力は3.0kg/cm2に到達した。放圧弁を操作して水分を系外へ留出させながら、缶内圧力を3.0kg/cm2で1時間42分保持した。このとき缶内温度は245℃に到達した。放圧を開始して、水を留出させながら、5分かけて缶内圧力をゼロにした。このとき、缶内温度は251℃であった。窒素フロー下で、2時間保持することにより、缶内温度は270℃に到達した。圧力容器底部の吐出口から内容物をガット状にして取り出し、ペレタイズすることによりナイロン410を得た。得られたナイロン410を80℃で24時間以上真空乾燥した後、前記(1)〜(3)の評価を行ったところ、相対粘度=2.2、末端基量の比(アミノ末端基量/カルボキシル末端基量)=1.3であった。
ナイロン410塩700g、テトラメチレンジアミン(関東化学(株))9.56g、イオン交換水700gを撹拌翼付きの内容積が3Lの圧力容器に仕込んで窒素置換した後、窒素で缶内圧力を0.5kg/cm2に加圧した。この圧力容器を密閉したまま、ヒーター温度を270℃に設定して加熱を開始した。28分後に、缶内温度は116℃、缶内圧力は3.0kg/cm2に到達した。放圧弁を操作して水分を系外へ留出させながら、缶内圧力を3.0kg/cm2で1時間42分保持した。このとき缶内温度は245℃に到達した。放圧を開始して、水を留出させながら、5分かけて缶内圧力をゼロにした。このとき、缶内温度は251℃であった。窒素フロー下で、2時間保持することにより、缶内温度は270℃に到達した。圧力容器底部の吐出口から内容物をガット状にして取り出し、ペレタイズすることによりナイロン410を得た。得られたナイロン410を80℃で24時間以上真空乾燥した後、前記(1)〜(3)の評価を行ったところ、相対粘度=2.2、末端基量の比(アミノ末端基量/カルボキシル末端基量)=1.3であった。
<参考例6>
特許文献2(特開2016−147919号公報)に記載の方法でジペンタエリスリトール(広栄化学工業(株)製、分子量/1分子中の官能基数42)100重量部に対して、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製“EPPN”(登録商標)201)10重量部を予備混合した後、池貝製PCM30型2軸押出機を用いて、シリンダー温度200℃、スクリュー回転数100rpmの条件で3.5分間溶融混練し、ホットカッターによりペレット化した。得られたペレットを再度押出機に供給し、再溶融混練工程を1回行い、水酸基および/またはアミノ基と、エポキシ基および/またはカルボジイミド基とを有し、1分子中の水酸基およびアミノ基の数の和が、1分子中のエポキシ基およびカルボジイミド基の数の和よりも多い化合物を得た。
特許文献2(特開2016−147919号公報)に記載の方法でジペンタエリスリトール(広栄化学工業(株)製、分子量/1分子中の官能基数42)100重量部に対して、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製“EPPN”(登録商標)201)10重量部を予備混合した後、池貝製PCM30型2軸押出機を用いて、シリンダー温度200℃、スクリュー回転数100rpmの条件で3.5分間溶融混練し、ホットカッターによりペレット化した。得られたペレットを再度押出機に供給し、再溶融混練工程を1回行い、水酸基および/またはアミノ基と、エポキシ基および/またはカルボジイミド基とを有し、1分子中の水酸基およびアミノ基の数の和が、1分子中のエポキシ基およびカルボジイミド基の数の和よりも多い化合物を得た。
本発明をさらに具体的に説明するために、以下、実施例および比較例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[(A)熱可塑性樹脂]
<A−1>参考例1で得られたナイロン6樹脂(アミノ末端基量/カルボキシル末端基量の比=1.3)。(以下、PA6と略す場合もある。)
<A−2>ポリブチレンテレフタレート樹脂(東レ(株)製“トレコン”(登録商標)1401X06)。(以下、PBTと略す場合もある。)
<A−3>ポリフェニレンスルフィド樹脂(東レ(株)製“トレリナ”(登録商標)A900)。(以下、PPSと略す場合もある。)
<A−4>参考例2で得られたナイロン6樹脂(アミノ末端基量/カルボキシル末端基量の比=0.4)。(以下、PA6と略す場合もある。)
<A−5>参考例3で得られたナイロン66樹脂(アミノ末端基量/カルボキシル末端基量の比=1.4)。(以下、PA66と略す場合もある。)
<A−6>参考例4で得られたナイロン66樹脂(アミノ末端基量/カルボキシル末端基量の比=0.4)。(以下、PA66と略す場合もある。)
<A−7>参考例5で得られたナイロン410樹脂(アミノ末端基量/カルボキシル末端基量の比=1.3)(以下、PA410と略す場合もある。)
<A−1>参考例1で得られたナイロン6樹脂(アミノ末端基量/カルボキシル末端基量の比=1.3)。(以下、PA6と略す場合もある。)
<A−2>ポリブチレンテレフタレート樹脂(東レ(株)製“トレコン”(登録商標)1401X06)。(以下、PBTと略す場合もある。)
<A−3>ポリフェニレンスルフィド樹脂(東レ(株)製“トレリナ”(登録商標)A900)。(以下、PPSと略す場合もある。)
<A−4>参考例2で得られたナイロン6樹脂(アミノ末端基量/カルボキシル末端基量の比=0.4)。(以下、PA6と略す場合もある。)
<A−5>参考例3で得られたナイロン66樹脂(アミノ末端基量/カルボキシル末端基量の比=1.4)。(以下、PA66と略す場合もある。)
<A−6>参考例4で得られたナイロン66樹脂(アミノ末端基量/カルボキシル末端基量の比=0.4)。(以下、PA66と略す場合もある。)
<A−7>参考例5で得られたナイロン410樹脂(アミノ末端基量/カルボキシル末端基量の比=1.3)(以下、PA410と略す場合もある。)
[(B)充填材]
<B−1>ガラス繊維(日本電気硝子(株)製、T−717H、熱伝導率:1W/m・K)(以下、GFと略す場合もある。)
<B−2>ガラスフレーク(日本板硝子(株)製、REFG−315、熱伝導率:1W/m・K)(以下、GFLと略す場合もある。)
<B−3>マイカ(ヤマグチマイカ(株)製、“ミカレット”(登録商標)21PU、熱伝導率:0.7W/m・K)
[熱伝導率5W/m・K以上の(B)充填材]
<B−4>水酸化マグネシウム(協和化学工業(株)製、“キスマ”(登録商標)5E、熱伝導率:8W/m・K)
<B−5>タルク(日本タルク(株)製、“ミクロンエース”(登録商標)P−6、熱伝導率:5W/m・K)
<B−1>ガラス繊維(日本電気硝子(株)製、T−717H、熱伝導率:1W/m・K)(以下、GFと略す場合もある。)
<B−2>ガラスフレーク(日本板硝子(株)製、REFG−315、熱伝導率:1W/m・K)(以下、GFLと略す場合もある。)
<B−3>マイカ(ヤマグチマイカ(株)製、“ミカレット”(登録商標)21PU、熱伝導率:0.7W/m・K)
[熱伝導率5W/m・K以上の(B)充填材]
<B−4>水酸化マグネシウム(協和化学工業(株)製、“キスマ”(登録商標)5E、熱伝導率:8W/m・K)
<B−5>タルク(日本タルク(株)製、“ミクロンエース”(登録商標)P−6、熱伝導率:5W/m・K)
[(C)化合物]
<C−1>下記一般式(2)で表される化合物(東京化成工業(株)製、ビス(3−アミノプロピル)エーテル)
<C−1>下記一般式(2)で表される化合物(東京化成工業(株)製、ビス(3−アミノプロピル)エーテル)
[成形安定性(成形機シリンダーへの充填性)]
各実施例および比較例で得られた熱可塑性樹脂組成物のペレットを80℃で12時間減圧乾燥し、射出成形機(住友重機械工業(株)製SG75H−MIV)を用いて、シリンダー温度:成分(A)の融点+25℃、金型温度:PA6、PA66、PA410、PBTは80℃、PPSは130℃、保圧時間/冷却時間:10/10秒、スクリュー回転数:70rpm、射出速度:50mm/秒、保圧速度:40mm/秒、保圧:射出時のピーク圧力×0.5MPaの条件で射出成形することにより、ISO3167タイプA試験片を作製した。なお、射出と保圧の切り替え位置は、金型末端部に樹脂が充填した位置とした。
各実施例および比較例で得られた熱可塑性樹脂組成物のペレットを80℃で12時間減圧乾燥し、射出成形機(住友重機械工業(株)製SG75H−MIV)を用いて、シリンダー温度:成分(A)の融点+25℃、金型温度:PA6、PA66、PA410、PBTは80℃、PPSは130℃、保圧時間/冷却時間:10/10秒、スクリュー回転数:70rpm、射出速度:50mm/秒、保圧速度:40mm/秒、保圧:射出時のピーク圧力×0.5MPaの条件で射出成形することにより、ISO3167タイプA試験片を作製した。なお、射出と保圧の切り替え位置は、金型末端部に樹脂が充填した位置とした。
前記の条件でISO3167タイプA試験片を30サイクル成形し、各サイクルの保圧完了時のクッション量を測定した。測定したクッション量の最大値と最小値の差(最大値−最小値)を算出し、クッション量のばらつきとした。クッション量のばらつきが小さいほど成形安定性に優れる。
[機械強度の安定性(引張強度のばらつき)]
各実施例および比較例で得られた熱可塑性樹脂組成物のペレットを80℃で12時間減圧乾燥し、射出成形機(住友重機械工業(株)製SG75H−DUZ)を用いて、シリンダー温度:成分(A)の融点+25℃、金型温度:PA6、PA66、PA410、PBTは80℃、PPSは130℃、保圧時間/冷却時間:10/10秒、スクリュー回転数:70rpm、射出速度:50mm/秒、保圧速度:40mm/秒、保圧:射出時のピーク圧力×0.5MPaの条件で射出成形することにより、ISO3167タイプA試験片を作製した。なお、射出と保圧の切り替え位置は、金型末端部に樹脂が充填した位置とした。
各実施例および比較例で得られた熱可塑性樹脂組成物のペレットを80℃で12時間減圧乾燥し、射出成形機(住友重機械工業(株)製SG75H−DUZ)を用いて、シリンダー温度:成分(A)の融点+25℃、金型温度:PA6、PA66、PA410、PBTは80℃、PPSは130℃、保圧時間/冷却時間:10/10秒、スクリュー回転数:70rpm、射出速度:50mm/秒、保圧速度:40mm/秒、保圧:射出時のピーク圧力×0.5MPaの条件で射出成形することにより、ISO3167タイプA試験片を作製した。なお、射出と保圧の切り替え位置は、金型末端部に樹脂が充填した位置とした。
この試験片について、ISO527に従い、オートグラフAG−50kNX((株)島津製作所)を用い、23℃で引張試験を行った。10回測定を行い、10回測定した引張強度の最大値と最小値の差(最大値−最小値)を算出し、引張強度のばらつきとした。引張強度のばらつきが小さいほど機械強度の安定性に優れることを示す。
[寸法安定性(成形収縮率)]
各実施例および比較例で得られた熱可塑性樹脂組成物のペレットを80℃で12時間減圧乾燥し、射出成形機(住友重機械工業(株)製SG75H−DUZ)を用いて、シリンダー温度:成分(A)の融点+25℃、金型温度:PA6、PA66、PA410、PBTは80℃、PPSは130℃、保圧時間/冷却時間:10/10秒、スクリュー回転数:70rpm、射出速度:50mm/秒、保圧速度:40mm/秒、保圧:射出時のピーク圧力×0.5MPaの条件で射出成形することにより、角板成形品(80mm×80mm×厚み3mm、フィルムゲート)を作製した。なお、射出と保圧の切り替え位置は、金型末端部に樹脂が充填した位置とした。
各実施例および比較例で得られた熱可塑性樹脂組成物のペレットを80℃で12時間減圧乾燥し、射出成形機(住友重機械工業(株)製SG75H−DUZ)を用いて、シリンダー温度:成分(A)の融点+25℃、金型温度:PA6、PA66、PA410、PBTは80℃、PPSは130℃、保圧時間/冷却時間:10/10秒、スクリュー回転数:70rpm、射出速度:50mm/秒、保圧速度:40mm/秒、保圧:射出時のピーク圧力×0.5MPaの条件で射出成形することにより、角板成形品(80mm×80mm×厚み3mm、フィルムゲート)を作製した。なお、射出と保圧の切り替え位置は、金型末端部に樹脂が充填した位置とした。
この成形品のゲート部から末端部方向40mmのTD方向(樹脂の流動方向に対し、垂直方向)の寸法を万能投影機V−12((株)ニコン)を用い、測定した。得られた、成形品の寸法と金型寸法から成形収縮率を算出した((金型寸法−成形品の寸法)/金型寸法×100=成形収縮率)。同様に5枚の成形品の成形収縮率を算出し、平均値を成形収縮率とした。成形収縮率の値が小さいほど寸法安定性に優れることを示す。
[放熱性(熱伝導率向上率)]
各実施例および比較例で得られた熱可塑性樹脂組成物のペレットを80℃で12時間減圧乾燥し、射出成形機(住友重機械工業(株)製SG75H−DUZ)を用いて、シリンダー温度:成分(A)の融点+25℃、金型温度:PA6、PA66、PA410、PBTは80℃、PPSは130℃、保圧時間/冷却時間:10/10秒、スクリュー回転数:70rpm、射出速度:50mm/秒、保圧速度:40mm/秒、保圧:射出時のピーク圧力×0.5MPaの条件で射出成形することにより、角板成形品(80mm×80mm×厚み3mm、フィルムゲート)を作製した。なお、射出と保圧の切り替え位置は、金型末端部に樹脂が充填した位置とした。
各実施例および比較例で得られた熱可塑性樹脂組成物のペレットを80℃で12時間減圧乾燥し、射出成形機(住友重機械工業(株)製SG75H−DUZ)を用いて、シリンダー温度:成分(A)の融点+25℃、金型温度:PA6、PA66、PA410、PBTは80℃、PPSは130℃、保圧時間/冷却時間:10/10秒、スクリュー回転数:70rpm、射出速度:50mm/秒、保圧速度:40mm/秒、保圧:射出時のピーク圧力×0.5MPaの条件で射出成形することにより、角板成形品(80mm×80mm×厚み3mm、フィルムゲート)を作製した。なお、射出と保圧の切り替え位置は、金型末端部に樹脂が充填した位置とした。
この成形品の中央部を20mm×20mm角となるように切削した。切削した、20mm×20mm×厚み3mmの成形品を熱流計法熱伝導率測定装置(リガク株式会社製GH−1S)を用い、測定温度:80℃、温度差:24℃、安定性判断時間:10分、安定性判断温度幅:±0.2℃の条件で熱伝導率を測定した。また、(C)化合物を含有しない樹脂組成物の熱伝導率を0とした時の熱伝導率向上率(((C)化合物を含有する樹脂組成物−(C)化合物を含有しない樹脂組成物)/(C)化合物を含有しない樹脂組成物×100=熱伝導率向上率(%))を算出した。熱伝導率向上率が高いほど、放熱性に優れることを示す。
[実施例1〜23、比較例1〜25]
表1〜5に示す(A)熱可塑性樹脂、(B)充填材、(C)化合物をシリンダー設定温度:熱可塑性樹脂の融点+30℃、スクリュー回転数:200rpmに設定した(株)日本製鋼所製TEX30型2軸押出機(L/D=45)のメインフィーダーから2軸押出機に供給し、溶融混練した。なお、(B)充填材のうち、繊維状充填材であるガラス繊維は、繊維の折損を抑制し、機械強度を向上させるためサイドフィーダーから2軸押出機に供給した。
表1〜5に示す(A)熱可塑性樹脂、(B)充填材、(C)化合物をシリンダー設定温度:熱可塑性樹脂の融点+30℃、スクリュー回転数:200rpmに設定した(株)日本製鋼所製TEX30型2軸押出機(L/D=45)のメインフィーダーから2軸押出機に供給し、溶融混練した。なお、(B)充填材のうち、繊維状充填材であるガラス繊維は、繊維の折損を抑制し、機械強度を向上させるためサイドフィーダーから2軸押出機に供給した。
ダイから吐出されるガットを即座に水浴にて冷却し、ストランドカッターによりペレット化した。
各実施例および比較例の評価結果を表1〜5に示す。
実施例1〜5と比較例1〜3より、(C)化合物を本発明の範囲で含有させることで(B)充填材の分散性が向上し、成形安定性、機械強度の安定性、寸法安定性および放熱性に優れた。
特に実施例1〜5より、(C)化合物を好ましい範囲で含有させることで成形安定性、機械強度の安定性、寸法安定性および放熱性により優れた。
一方、(C)化合物の含有量が本発明の範囲未満である比較例1〜2は、(A)熱可塑性樹脂と(B)充填材の界面への偏在が不十分となり、成形安定性、機械強度の安定性、寸法安定性および放熱性が低下した。また、(C)化合物を本発明の範囲を超える範囲で含有させた比較例3は、製造時に多量にガスが発生したためにペレット化できず、製造困難であった。
実施例3、6〜9と比較例4〜8より、本発明の(C)化合物を含有することで成形安定性、機械強度の安定性、寸法安定性および放熱性に優れた。
特に実施例3、6〜9より、好ましい構造の(C)化合物を含有することで成形安定性、機械強度の安定性、寸法安定性および放熱性により優れた。
一方、本発明の(C)化合物ではない化合物を含有した比較例4〜8は、(A)熱可塑性樹脂と(B)充填材の界面への偏在が不十分であるため成形安定性、機械強度の安定性、寸法安定性および放熱性が低下した。
実施例10〜13と比較例9〜12より、本発明の各種(B)充填材を用いた場合においても成形安定性、機械強度の安定性、寸法安定性および放熱性に優れた。また、熱伝導率5W/m・K以上の(B)充填材を用いた、実施例12、13は放熱性により優れた。
実施例14〜19と比較例13〜18より、本発明の各種(A)熱可塑性樹脂を用いた場合においても成形安定性、機械強度の安定性、寸法安定性および放熱性に優れた。
また、実施例3、16〜19より、(A)熱可塑性樹脂として用いたポリアミド樹脂の末端基量の比(アミノ末端基量/カルボキシル末端基量)をより好ましい範囲とすることで機械強度の安定性および放熱性がより向上した。
実施例3、20〜23と比較例20、25より、(B)充填材を本発明の範囲で含有させることで成形安定性、機械強度の安定性、寸法安定性および放熱性に優れた。
一方、(B)充填材を本発明の範囲未満で含有する比較例20は、機械強度の安定性、寸法安定性および放熱性が低下した。また、(B)充填材を本発明の範囲を超える範囲で含有させた比較例24は、靭性が大幅に低下したため製造が困難であった。
Claims (5)
- 前記一般式(1)中のR1およびR2がアミノ基である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記一般式(1)中のnが1〜3の整数である、請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- (B)充填材が熱伝導率5W/m・K以上の充填材を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品。
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