JP2014231594A - ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物および成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】流動性に優れ、含フッ素エチレン共重合体との密着性および耐加水分解性に優れ、吸水性の低い成形品を得ることのできるポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】ポリエチレンテレフタレート樹脂(A)とポリエーテルアミドエラストマー(B)を配合してなるポリエチレンテレフタレート樹脂組成物。
【選択図】なし
【解決手段】ポリエチレンテレフタレート樹脂(A)とポリエーテルアミドエラストマー(B)を配合してなるポリエチレンテレフタレート樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、ポリエチレンテレフタレート樹脂とポリエーテルアミドエラストマーを配合してなるポリエチレンテレフタレート樹脂組成物およびそれを成形してなる成形品に関するものである。
ポリエチレンテレフタレート樹脂は、機械特性、熱特性、耐薬品性、電気特性および成形性に優れ、様々な用途に用いられている。しかしながら、ポリエチレンテレフタレート樹脂は加水分解により機械特性が低下するため、長期にわたって使用する場合、あるいは湿気のある状態で使用する場合においては、加水分解性を抑制すべく様々な検討がなされてきた。
末端封鎖剤によりCOO末端基濃度を下げて耐加水分解性を改善する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、本技術は、初期の耐加水分解性には優れているが、長期にわたり高い耐加水分解性を維持することは困難である課題があった。さらに、架橋成分をコンパウンドするため、不均一に反応して微小なゲル状異物が生成しやすく、流動性に課題があり、各種成形品やフィルム、繊維用途に用いるには不向きであった。また、ポリエチレンテレフタレート樹脂と他樹脂を混合することにより耐加水分解性を改善する検討においては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂とポリプロピレンテレフタレート樹脂を配合し、耐加水分解性を向上させる技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、本技術により、耐加水分解性に対して一定の効果は認められるものの、まだ十分とは言えず、さらなる改良が望まれていた。
一方、耐加水分解性に優れた樹脂組成物として、熱可塑性樹脂とポリエーテルアミドエラストマーからなる樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、熱可塑性樹脂としてポリエチレンテレフタレート樹脂を用いた樹脂組成物の例は一切示されていなかった。
また、離型性、耐食性、非粘着性等に優れた樹脂組成物として、ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂と含フッ素重合体との積層体が提案されている(例えば、特許文献4参照)。しかしながら、熱可塑性樹脂と含フッ素重合体との接着力が弱いことから、長期間の使用により剥離する課題があり、含フッ素重合体との密着性に優れたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物が求められている。
また、生産性および帯電防止性に優れた樹脂組成物として、熱可塑性樹脂とポリエーテルエステルアミドを含有してなる熱可塑性樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献5参照)。
特許文献3において熱可塑性樹脂として用いられるポリアミド樹脂に対して、ポリエチレンテレフタレート樹脂は吸水性が低く、寸法安定性に優れているが、より加水分解しやすい性質を有する。このため、耐加水分解性の低いポリエチレンテレフタレート樹脂を含む樹脂組成物において、耐加水分解性の改良技術が強く求められている。また、本発明者らの検討によれば、特許文献5記載の熱可塑性樹脂組成物により、耐加水分解性やフッ素系樹脂との密着性に対して一定の効果は認められるものの、まだ十分とは言えず、さらなる改良が望まれていた。
本発明は、流動性に優れ、含フッ素エチレン共重合体との密着性および耐加水分解性に優れ、吸水性の低い成形品を得ることのできるポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を提供することを課題とする。
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を有するものである。
(1)ポリエチレンテレフタレート樹脂(A)とポリエーテルアミドエラストマー(B)を配合してなるポリエチレンテレフタレート樹脂組成物、
(2)前記ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を成形してなる成形品の、121℃、100%RHの水蒸気下における40時間のプレッシャークッカー処理前後の引張強度保持率が70%以上となる(1)に記載のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物、
(3)含フッ素エチレン共重合体と240℃で熱接着して得られる複合成形品のT型剥離強度が1N/cm以上となる(1)〜(2)のいずれか1項に記載のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物、
(4)(1)〜(3)いずれかに記載のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を成形してなる成形品、
(5)成形品がフィルム、シートまたは繊維である(4)に記載の成形品。
(1)ポリエチレンテレフタレート樹脂(A)とポリエーテルアミドエラストマー(B)を配合してなるポリエチレンテレフタレート樹脂組成物、
(2)前記ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を成形してなる成形品の、121℃、100%RHの水蒸気下における40時間のプレッシャークッカー処理前後の引張強度保持率が70%以上となる(1)に記載のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物、
(3)含フッ素エチレン共重合体と240℃で熱接着して得られる複合成形品のT型剥離強度が1N/cm以上となる(1)〜(2)のいずれか1項に記載のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物、
(4)(1)〜(3)いずれかに記載のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を成形してなる成形品、
(5)成形品がフィルム、シートまたは繊維である(4)に記載の成形品。
本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は、流動性に優れ、これを用いて含フッ素エチレン共重合体との密着性および耐加水分解性に優れ、吸水性の低い成形品を提供することができる。本発明の成形品は、含フッ素エチレン共重合体との密着性および耐加水分解性に優れる特徴を活かして、各種成形品や、フィルム、シート、繊維等に有用に展開することが可能となる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物(以下、樹脂組成物という場合がある)は、ポリエチレンテレフタレート樹脂(A)とポリエーテルアミドエラストマー(B)を配合してなる。ポリエチレンテレフタレート樹脂(A)は、耐熱性、耐薬品性、耐寒性、電気絶縁性、低吸水性、水素ガスバリア性等に優れる特徴があり、各種成形品や、フィルム、シート、繊維等に使用されている。しかし、耐加水分解性、含フッ素エチレン共重合体との密着性が低い課題があった。本発明の樹脂組成物は、ポリエチレンテレフタレート樹脂(A)とポリエーテルアミドエラストマー(B)を配合することにより、ポリエチレンテレフタレート樹脂(A)の優れた特徴を維持しながら、課題であった耐加水分解性、含フッ素エチレン共重合体との密着性を向上させることができる。
本発明でいうポリエチレンテレフタレート樹脂(A)とは、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分と、エチレングリコールを主成分とするジオール成分とを重縮合して得られる、主鎖にエステル結合を有する高分子量の熱可塑性ポリエステル樹脂を指す。ここで、主成分とは、ジカルボン酸成分総量またはジオール総量中、80モル%以上を占める成分を指す。ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸の他に、例えば、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、シュウ酸などの脂肪族ジカルボン酸などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。ジオール成分としては、エチレングリコールの他に、例えば、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、デカメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオールなどの脂肪族ジオール、分子量400〜6000のポリエチレングリコール、ポリ−1,3−プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどの長鎖グリコールなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
また、ポリエチレンテレフタレート樹脂(A)は、o−クロロフェノール溶媒を用いて25℃で測定した固有粘度が0.36〜1.60の範囲にあることが好ましい。ポリエチレンテレフタレート樹脂(A)の固有粘度が0.36以上であれば、成形品の衝撃強度を向上させることができる。0.45以上がより好ましい。一方、ポリエチレンテレフタレート樹脂(A)の固有粘度が1.60以下であれば、樹脂組成物の成形性を向上させることができる。1.15以下がより好ましい。ポリエチレンテレフタレート樹脂(A)を2種以上配合する場合、複数のポリエチレンテレフタレート樹脂(A)全体の固有粘度が上記範囲にあることが好ましい。
本発明でいうポリエーテルアミドエラストマー(B)とは、ポリアミドブロックとポリエーテルブロックを有するエラストマーを指す。主鎖中にエステル結合を含まないことが好ましく、成形品の加水分解を抑制することができる。ポリエーテルアミドエラストマー(B)は、ポリエーテルジアミン化合物、ジカルボン酸化合物およびポリアミド形成性モノマーを重合することにより得ることができる。
ポリエーテルジアミン化合物としては、下記一般式(1)で表されるトリブロックエーテルジアミン化合物が好ましい。これらを2種以上用いてもよい。
上記一般式(1)中、xは1〜20の範囲、yは4〜50の範囲、zは1〜20の範囲を表す。xは1〜12の範囲がより好ましく、yは8〜30の範囲がより好ましく、zは1〜12の範囲がより好ましい。
ジカルボン酸化合物としては、下記一般式(2)で表される化合物が好ましい。これらを2種以上用いてもよい。
上記一般式(2)中、R1は炭化水素鎖を含む連結基を表し、mは0または1を表す。R1の炭素原子数は1〜12が好ましく、4〜10がより好ましい。
上記一般式(2)で表されるジカルボン酸化合物としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの炭素数2〜25の直鎖脂肪族ジカルボン酸、トリグリセリドの分留により得られる不飽和脂肪酸を二量化した炭素数2〜500の二量化脂肪族ジカルボン酸(ダイマー酸)やこれらの水素添加物(水添ダイマー酸)などの脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸などを挙げることができる。
ポリアミド形成性モノマーとしては、例えば、アミノカルボン酸化合物、ラクタム化合物、ジアミンとジカルボン酸との反応物またはそれらの塩などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。これらの中でも、下記一般式(3)で表されるアミノカルボン酸化合物または(4)で表されるラクタム化合物が好ましい。
上記一般式(3)中、R2は炭化水素鎖を含む連結基を表す。R2の炭素原子数は2〜20が好ましく、5〜11がより好ましい。上記一般式(4)中、R3は炭化水素鎖を含む連結基を表す。R3の炭素原子数は3〜20が好ましく、5〜11がより好ましい。
上記一般式(3)で表されるアミノカルボン酸化合物としては、例えば、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、8−アミノオクタン酸、10−アミノカプリン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸などの炭素数5〜20の脂肪族ω−アミノカルボン酸などを挙げることができる。
上記一般式(4)で表されるラクタム化合物としては、例えば、ε−カプロラクタム、ω−エナントラクタム、ω−ウンデカラクタム、ω−ドデカラクタム、2−ピロリドンなどの炭素数5〜20の脂肪族ラクタムなどを挙げることができる。
ジアミンとジカルボン酸との反応物またはそれらの塩において、ジアミンとしては、例えば、脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン、芳香族ジアミン、これらの誘導体などを挙げることができる。ジカルボン酸としては、脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、これらの誘導体などを挙げることができる。特に、脂肪族ジアミンおよび/またはその誘導体と、脂肪族ジカルボン酸および/またはその誘導体とを組み合わせることにより、低比重で、引張り伸びが大きく、耐衝撃性に優れ、溶融成形性が良好なポリエーテルアミドエラストマーを得ることができる。
脂肪族ジアミンの具体例としては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、3−メチルペンタメチレンジアミンなどの炭素数2〜20の脂肪族ジアミンを挙げることができる。
脂肪族ジカルボン酸の具体例としては、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸を挙げることができる。
ジアミンとジカルボン酸との反応物またはそれらの塩において、ジアミンとジカルボン酸とのモル比(ジアミン/ジカルボン酸)は、0.9〜1.1の範囲が好ましく、容易に高分子量化することができる。ジアミンとジカルボン酸とのモル比(ジアミン/ジカルボン酸)は0.93以上がより好ましく、0.95以上がさらに好ましく、0.97以上がさらに好ましい。一方、1.07以下がより好ましく、1.05以下がさらに好ましく、1.03以下がさらに好ましい。
ポリエーテルアミドエラストマー(B)を構成する全成分に対する、ポリエーテルジアミン化合物の割合は、2〜87重量%が好ましい。ポリエーテルアミドエラストマーを構成する全成分に対するポリエーテルジアミン化合物の割合が2重量%以上であれば、エラストマーとしての特性が十分に発現され、成形品の靭性を向上させることができる。7重量%以上がより好ましい。一方、ポリエーテルアミドエラストマーを構成する全成分に対するポリエーテルジアミン化合物の割合が87重量%以下であれば、ポリアミドに特徴的な優れた力学的強度が発現され、成形品の強度を向上させることができる。78重量%以下がより好ましい。
また、ポリエーテルアミドエラストマー(B)を構成する全成分に対する、ポリアミド形成性モノマーの割合は、10〜95重量%が好ましい。ポリエーテルアミドエラストマーを構成する全成分に対するポリアミド形成性モノマーの割合が10重量%以上であれば、ポリアミド構造の高い結晶性により、成形品の強度、弾性率などの機械特性を向上させることができる。15重量%以上がより好ましい。一方、ポリエーテルアミドエラストマーを構成する全成分に対するポリアミド形成性モノマーの割合が95重量%以下であれば、成形品のゴム弾性や柔軟性などのエラストマーとしての機能、性能をより向上させることができる。
ポリエーテルアミドエラストマー(B)は、前述のポリエーテルジアミン化合物、ジカルボン酸化合物およびポリアミド形成性モノマーに加え、必要に応じてその他の成分を重合してもよい。
ポリエーテルアミドエラストマー(B)の硬度(ショアD)は、15〜70の範囲が好ましい。硬度(ショアD)が15以上であれば、成形品の剛性を向上させることができる。18以上がより好ましく、20以上がより好ましく、25以上がさらに好ましい。一方、硬度(ショアD)が70以下であれば、成形品の靭性を向上させることができる。なお、本発明において、硬度(ショアD)は、JIS K6253−1997に準拠して測定することができる。
ポリエーテルアミドエラストマー(B)の相対粘度(ηr)は、1.2〜2.0の範囲にあることが好ましい。なお、本発明において、相対粘度は、0.5質量/容量%メタクレゾール溶液を用いて、25℃で測定した値をいう。
ポリエーテルアミドエラストマー(B)の製造方法としては、例えば、前記トリブロックポリエーテルジアミン化合物、ジカルボン酸化合物、ポリアミド形成性モノマーおよび必要に応じてその他の成分を、加圧および/または常圧下で溶融重合し、必要に応じさらに減圧下で溶融重合する方法を挙げることができる。トリブロックポリエーテルジアミン化合物、ジカルボン酸化合物およびポリアミド形成性モノマーを同時に重合してもよいし、ポリアミド形成性モノマーとジカルボン酸化合物を先に重合させ、ついで、トリブロックポリエーテルジアミン化合物を重合してもよい。
ポリエーテルアミドエラストマー(B)の製造において、原料を仕込む方法は、特に制限はないが、トリブロックポリエーテルジアミン化合物とジカルボン酸化合物は、トリブロックポリエーテルジアミン化合物のアミノ基とジカルボン酸のカルボキシ基がほぼ等モルになるように仕込むことが好ましい。
重合温度は、150〜300℃が好ましい。重合温度が150℃以上であれば、重合反応を効率よく進行させることができる。160℃以上がより好ましく、180℃以上がさらに好ましい。一方、重合温度が300℃以下であれば、熱分解が抑えられ、良好な物性のポリエーテルアミドエラストマー(B)を得ることができる。280℃以下がより好ましく、250℃以下がさらに好ましい。
ポリエーテルアミドエラストマー(B)は、ポリアミド形成性モノマーとしてアミノカルボン酸を使用する場合、常圧溶融重合または常圧溶融重合とそれに続く減圧溶融重合により製造することができる。一方、ポリアミド形成性モノマーとしてラクタム化合物、またはジアミンとジカルボン酸との反応物またはそれらの塩を用いる場合には、適量の水を共存させ、0.1〜5MPaの加圧下での溶融重合とそれに続く常圧溶融重合および/または減圧溶融重合により製造することができる。
重合時間は、通常0.5〜30時間である。重合時間が0.5時間以上であれば、重合度を高め、前述の相対粘度を有するポリエーテルアミドエラストマー(B)を容易に得ることができる。一方、重合時間が30時間以下であれば、熱分解による着色などが抑えられ、所望の物性を有するポリエーテルアミドエラストマー(B)を得ることができる。
ポリエーテルアミドエラストマー(B)の製造は、回分式でも、連続式でも実施することができる。また、重合装置としては、バッチ式反応釜、一槽式ないし多槽式の連続反応装置、管状連続反応装置などを挙げることができる。これらを2種以上組みあわせてもよい。
ポリエーテルアミドエラストマー(B)を製造する際に、必要に応じて、ラウリルアミン、ステアリルアミンなどのモノアミン、ヘキサメチレンジアミン、メタキシリレンジアミンなどのジアミン、酢酸、安息香酸、ステアリン酸などのモノカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などのジカルボン酸などを添加してもよく、分子量を所望の範囲に調節したり、成形加工時の溶融粘度をより安定化することができる。これらを2種以上添加してもよい。これらの添加量は、得られるポリエーテルアミドエラストマー(B)の特性を阻害しない範囲とすることが好ましい。
ポリエーテルアミドエラストマー(B)を製造する際に、必要に応じて、リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、亜リン酸、次亜リン酸、およびこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などの無機系リン化合物を触媒として添加することができる。これらを2種以上添加してもよい。亜リン酸、次亜リン酸、およびこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などの無機系リン化合物は、触媒として作用することに加え、耐熱剤としても作用する。これら触媒の添加量は、通常、仕込み原料に対して50〜3000ppmである。
本発明におけるポリエーテルアミドエラストマー(B)の例としては、市販品として、“UBESTA”(登録商標)XPA 9040X1、同9040F1、同9048X1、同9048F1、同9055X1、同9055F1、同9063X1、同9063F1、同9068X1、同9068F1、同9040X2、同9048X2、同9040F2、同9048F2、同9068TF1、同9063TF1、同9055TF1、同9048TF1(いずれも宇部興産(株)製)などを挙げることができる。
本発明の樹脂組成物におけるポリエチレンテレフタレート樹脂(A)とポリエーテルアミドエラストマー(B)との配合量には特に制限がないが、ポリエチレンテレフタレート樹脂(A)とポリエーテルアミドエラストマー(B)との配合量の比は、(A)/(B)=99/1〜5/95(重量比)の範囲が好ましく、(A)/(B)=99/1〜10/90(重量比)の範囲がより好ましく、(A)/(B)=99/1〜15/85(重量比)の範囲がさらに好ましい。(A)/(B)=99/1〜5/95(重量比)の範囲とすることで、靭性と剛性のバランスに優れる成形品を得ることができる。
本発明の樹脂組成物には、その特性を損なわない範囲で、必要に応じて、前記(A)および(B)以外のその他の成分を配合しても構わない。その他の成分としては、例えば、充填材、ポリエチレンテレフタレート樹脂(A)以外の熱可塑性樹脂類、ゴム類、各種添加剤類を挙げることができる。
例えば、充填材を配合することにより、成形品の強度および寸法安定性等を向上させることができる。充填材の形状は、繊維状であっても非繊維状であってもよく、繊維状充填材と非繊維状充填材を組み合わせて用いてもよい。繊維状充填材としては、例えば、ガラス繊維、ガラスミルドファイバー、炭素繊維、チタン酸カリウムウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、硼酸アルミニウムウィスカ、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維などが挙げられる。非繊維状充填材としては、例えば、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、カオリン、マイカ、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、アスベスト、タルク、アルミナシリケートなどの珪酸塩、アルミナ、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄などの金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの金属炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの金属硫酸塩、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウムなどの金属水酸化物、ガラスビーズ、セラミックビーズ、窒化ホウ素および炭化珪素など剤が挙げられ、これらは中空であってもよい。また、これら繊維状および/または非繊維状充填材を、カップリング剤で予備処理して使用することは、より優れた機械特性を得る意味において好ましい。カップリング剤としては、例えば、イソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物などが挙げられる。
熱可塑性樹脂類としては、例えば、ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂(A)を除くポリエステル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリスルホン樹脂、四フッ化ポリエチレン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリチオエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂やABS樹脂等のスチレン系樹脂、ポリアルキレンオキサイド樹脂等が挙げられる。かかる熱可塑性樹脂類を2種以上配合することも可能である。
ゴム類としては、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエンのランダム共重合体およびブロック共重合体、該ブロック共重合体の水素添加物、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ブタジエン−イソプレン共重合体などのジエン系ゴム、エチレン−プロピレンのランダム共重合体およびブロック共重合体、エチレン−ブテンのランダム共重合体およびブロック共重合体、エチレンとα−オレフィンとの共重合体、エチレン−アクリル酸、エチレン−メタクリル酸などのエチレン−不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル、エチレン−メタクリル酸エステルなどのエチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体、不飽和カルボン酸の一部が金属塩である、エチレン−アクリル酸−アクリル酸金属塩、エチレン−メタクリル酸−メタクリル酸金属塩などのエチレン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸金属塩共重合体、アクリル酸エステル−ブタジエン共重合体ブチルアクリレート−ブタジエン共重合体などのアクリル系弾性重合体、エチレン−酢酸ビニルなどのエチレンと脂肪酸ビニルとの共重合体、エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン共重合体、エチレン−プロピレン−ヘキサジエン共重合体などのエチレン−プロピレン非共役ジエン3元共重合体、ブチレン−イソプレン共重合体、塩素化ポリエチレンおよびそれらの変性物などが好ましい例として挙げられる。かかるゴム類を2種以上配合することも可能である。
各種添加剤類としては、好ましくは、結晶核剤、着色防止剤、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミンなどの酸化防止剤、エチレンビスステアリルアミドや高級脂肪酸エステルなどの離型剤、可塑剤、熱安定剤、滑剤、紫外線防止剤、着色剤、難燃剤、発泡剤などが挙げられる。
本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は、該樹脂組成物を成形してなる成形品の、121℃、100%RHの水蒸気下における40時間のプレッシャークッカー処理前後の引張強度保持率が70%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましく、80%以上がさらに好ましい。かかる引張強度保持率は、耐加水分解性を表す指標であり、保持率が高いほど加水分解しにくい(耐加水分解性に優れる)ことを示す。引張強度保持率が70%以上であれば、耐加水分解性により優れ各種成形品やフィルム、シート、繊維として長期間使用しても割れや切れが生じにくい。上記特性を有する成形品は、前述の本発明の樹脂組成物を用いることにより得ることができる。
なお、本発明において、引張強度保持率は、次の方法により求めることができる。まず、樹脂組成物から、金型温度30℃、射出成形機バレル温度280℃、保圧12秒、冷却時間60秒の成形条件で、1/8インチASTM1号ダンベル試験片を射出成形する。得られた1/8インチASTM1号ダンベル試験片について、ASTM D638に準拠して、オリエンテック社製UTA−2.5Tを用いて、23℃、50%RHの雰囲気下にて、試料標点間距離100mm、引張速度10mm/分の条件で引張強度をサンプル数n=3で測定し、その平均値をプレッシャークッカー処理前の引張強度とする。一方、1/8インチASTM1号ダンベル試験片を、121℃、100%RHの水蒸気下において40時間プレッシャークッカー処理する。プレッシャークッカー処理後の1/8インチASTM1号ダンベル試験片について、同様に引張強度をサンプル数n=3で測定し、その平均値をプレッシャークッカー処理後の引張強度とする。下記数式(1)より引張強度保持率を求めることができる。
本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は、該樹脂組成物と、含フッ素エチレン共重合体とを240℃で熱接着して得られる複合成形品のT型剥離強度が1N/cm以上であることが好ましく、1.5N/cm以上がより好ましい。ここで、T型剥離強度の測定に用いる含フッ素エチレン共重合体とは、“ネオフロン”(登録商標)EFEP RP−5000(ダイキン工業(株)製)である。かかるT型剥離強度は、含フッ素エチレン共重合体との密着性を表す指標であり、含フッ素エチレン共重合体の代表例として選択した“ネオフロン”EFEP RP−5000とのT型剥離強度が高いほど、含フッ素エチレン共重合体との密着性に優れるといえる。このため、T型剥離強度が1N/cm以上であると、長期使用時にも剥がれにくく、高い耐バリア性、耐薬品性、耐久性、耐熱性を必要とする多層チューブやフィルムのような積層体、モノフィラメント等の繊維に好適に用いることができる。上記特性を有する成形品は、前述の本発明の樹脂組成物を用いることにより得ることができる。
なお、本発明において、T型剥離強度は、次の方法により求めることができる。まず、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物のペレットを用いて、熱プレス温度280℃、熱プレス荷重100kg/cm2、熱プレス時間1分の条件で熱プレスを行い、その後、冷えた金型に挟むことで冷却し、厚み1mmのフィルムを作製する。次に、含フッ素エチレン共重合体“ネオフロン”EFEP RP−5000のペレットを用いて、熱プレス温度240℃、熱プレス荷重100kg/cm2、熱プレス時間2分の条件で熱プレスを行い、その後、冷えた金型に挟むことで冷却し、厚み1mmのフィルムを作製する。得られたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物フィルムと含フッ素エチレン共重合体フィルムをそれぞれ幅1cm、長さ6cmに切り出し、この切り出したポリエチレンテレフタレート樹脂組成物フィルムと含フッ素エチレン共重合体フィルムを重ね合わせ、長さ5cm部分まで熱プレスに挟み、熱プレス温度240℃、熱プレス荷重15kg/cm2、熱プレス時間5秒の条件で熱接着し、T型剥離強度用試験片を作製する。
作製したT型剥離強度用試験片を用いて、熱接着していないポリエチレンテレフタレート樹脂組成物フィルムと含フッ素エチレン共重合体フィルムの端部をT字型になるように広げ、広げたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物フィルムと含フッ素エチレン共重合体フィルムの端部をチャック間10mmに設定した引張試験機(オリエンテック社製テンシロンUTA−4)の上部のチャックと下部のチャックにそれぞれ挟み、温度23℃、湿度50%の環境下において、上下方向に300mm/分の引張速度で引っ張り、T字型に引き裂いた時の力P1(N)、接着幅1cmから、下記数式(2)よりT型剥離強度を求めることができる。
本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は、該樹脂組成物を成形してなる成形品の吸水率が、3%以下であることが好ましい。かかる吸水率が3%以下であると、寸法安定性を向上させることができる。上記特性を有する成形品は、前述の本発明の樹脂組成物を用いることにより得ることができる。
なお、本発明において、吸水率は、次の方法により求めることができる。まず、樹脂組成物から、金型温度30℃、射出成形機バレル温度280℃、保圧12秒、冷却時間60秒の成形条件で、1/8インチASTM1号ダンベル試験片を射出成形する。得られた1/8インチASTM1号ダンベル試験片について、ISO62に準拠して、23℃の水中にて飽和させ、浸漬前後の試験片の重量を測定することにより、吸水率を求めることができる。
次に、本発明の樹脂組成物の製造方法について説明する。本発明の樹脂組成物の製造方法には特に制限はなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂(A)とポリエーテルアミドエラストマー(B)および必要に応じてその他成分を一括混練する方法、いずれかを溶融した後に残る成分を混練する方法などが挙げられる。混練装置としては、例えば、バンバリーミキサー、ロール、押出機等の公知の混練装置を採用することができる。本発明の樹脂組成物にゴム類、各種添加剤類を配合する場合、これらを任意の段階で配合することができる。例えば、二軸押出機により本発明の樹脂組成物を製造する場合、ポリエチレンテレフタレート樹脂(A)とポリエーテルアミドエラストマー(B)を配合する際に同時に配合する方法や、ポリエチレンテレフタレート樹脂(A)とポリエーテルアミドエラストマー(B)を溶融混練中にサイドフィード等の手法により配合する方法や、予めポリエチレンテレフタレート樹脂(A)とポリエーテルアミドエラストマー(B)を溶融混練した後に配合する方法や、始めに、ポリエチレンテレフタレート樹脂(A)またはポリエーテルアミドエラストマー(B)に配合して溶融混練後、残りのポリエチレンテレフタレート樹脂(A)またはポリエーテルアミドエラストマー(B)を配合する方法などが挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、任意の方法により成形して成形品を得ることが可能であり、成形形状は、任意の形状が可能である。成形方法としては、例えば、押出成形、射出成形、中空成形、カレンダ成形、圧縮成形、真空成形、発泡成形、ブロー成形、回転成形等が挙げられる。成形形状としては、例えば、ペレット状、板状、繊維状、ストランド状、フィルムまたはシート状、パイプ状、中空状、箱状等の形状が挙げられる。
本発明の成形品は、121℃、100%RHの水蒸気下における40時間のプレッシャークッカー処理前後の引張強度保持率が70%以上であることが好ましい。なお、成形品の引張強度保持率は、成形品から1/8インチASTM1号ダンベル試験片を切り出し、前述の方法によりプレッシャークッカー処理および引張強度の測定を行うことにより、前述の数式(1)から求めることができる。
本発明の成形品は、含フッ素エチレン共重合体と240℃で熱接着して得られる複合成形品のT型剥離強度が1N/cm以上であることが好ましい。なお、複合成形品のT型剥離強度は、成形品から厚み1mmの厚み1mm、幅1cm、長さ6cmの試験片を切り出し、含フッ素エチレン共重合体“ネオフロン”EFEP RP−5000のフィルムから切り出した厚み1mm、幅1cm、長さ6cmの試験片と重ね合わせ、長さ5cm部分まで熱プレスに挟み、熱プレス温度240℃、熱プレス荷重15kg/cm2、熱プレス時間5秒の条件で熱接着して得られるT型剥離強度用試験片を用いて、前述の方法によりT字型に引き裂いた時の力P1(N)、接着幅1cmにより、前述の下記数式(2)から求めることができる。
本発明の成形体は、コネクター、コイルをはじめとして、センサー、LEDランプ、ソケット、抵抗器、リレーケース、小型スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント基板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品等に代表される電子部品;発電機、電動機、変圧器、変流器、電圧調整器、整流器、インバーター、継電器、電力用接点、開閉器、遮断機、ナイフスイッチ、他極ロッド、電気部品キャビネットなどの電気機器部品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザーディスク(登録商標)・コンパクトディスク、DVD等の音声・映像機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品等に代表される家庭、事務電気製品部品;オフィスコンピューター関連部品、電話器関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、モーター部品、ライター、タイプライターなどに代表される機械関連部品;顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計等に代表される光学機器・精密機械関連部品;オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター,ICレギュレーター、ライトディヤー用ポテンシオメーターベース、排気ガスバルブ等の各種バルブ、燃料関係・冷却系・ブレーキ系・ワイパー系・排気系・吸気系各種パイプ・ホース・チューブ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、水素輸送用パイプ、水素ガス用ホース、水素貯蔵用タンク、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、ブレーキパットウェアーセンサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、ブレーキパッド摩耗センサー、電池周辺部品、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンベイン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビューター、スタータースイッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウォッシャーノズル、エアコンパネルスイッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ワイヤーハーネスコネクター、SMJコネクター、PCBコネクター、ドアグロメットコネクター、ヒューズ用コネクター等の各種コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケース、トルクコントロールレバー、安全ベルト部品、レジスターブレード、ウオッシャーレバー、ウインドレギュレーターハンドル、ウインドレギュレーターハンドルのノブ、パッシングライトレバー、サンバイザーブラケット、インストルメントパネル、エアバッグ周辺部品、ドアパッド、ピラー、コンソールボックス、各種モーターハウジング、ルーフレール、フェンダー、ガーニッシュ、バンパー、ドアパネル、ルーフパネル、フードパネル、トランクリッド、ドアミラーステー、スポイラー、フードルーバー、ホイールカバー、ホイールキャップ、グリルエプロンカバーフレーム、ランプベゼル、ドアハンドル、ドアモール、リアフィニッシャー、ワイパー等の自動車・車両関連部品等に好適に使用される。
また、本発明の成形品は、含フッ素エチレン共重合体との密着性および耐加水分解性に優れる特徴を活かして、各種成形品や、フィルム、シート、繊維等に好適に用いることができる。フィルムおよびシート用途としては、例えば、包装用フィルムおよびシート、自動車部材用フィルムおよびシート、工業用フィルムおよびシート、農業・土木用フィルムおよびシート、医療用フィルムおよびシート、電気・電子機器部材用フィルムおよびシート、生活雑貨用フィルムおよびシート等が挙げられる。繊維としては、長繊維、短繊維、モノフィラメント、捲縮加工糸等のいずれでもよく、繊維用途としては、例えば、ユニフォーム、ワーキングウェア、スポーツウェア、Tシャツ等の衣料用、ネット、ロープ、スパンボンド、研磨ブラシ、工業ブラシ、フィルター、抄紙網等の一般資材・産業資材・工業資材用、毛布、布団側地、カーテン等の寝装・インテリア用品用、歯ブラシ、ボディブラシ、眼鏡フレーム、傘、カバー、買い物袋、風呂敷等の生活雑貨用、テニスやバトミントンのガット等のスポーツラケット関連用品等が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明の効果をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。各実施例および比較例における評価は、次の方法で行った。
(1)流動性:下限圧
各実施例および比較例により得られたペレットから、住友重機械工業(株)製射出成形機(SG−75H−MIV)を用いて、金型温度30℃、保圧12秒、冷却時間60秒の成形条件で、1/8インチASTM1号ダンベル試験片を射出成形した際の成形下限圧を流動性の指標とした。
各実施例および比較例により得られたペレットから、住友重機械工業(株)製射出成形機(SG−75H−MIV)を用いて、金型温度30℃、保圧12秒、冷却時間60秒の成形条件で、1/8インチASTM1号ダンベル試験片を射出成形した際の成形下限圧を流動性の指標とした。
(2)耐加水分解性:引張強度保持率
各実施例および比較例により得られたペレットから、住友重機械工業(株)製射出成形機(SG−75H−MIV)を用いて、金型温度30℃、保圧12秒、冷却時間60秒の成形条件で、1/8インチASTM1号ダンベル試験片を射出成形した。なお、射出成形機の温度は、ホッパ下から先端に向かって、270℃−275℃−280℃−280℃に設定した。
各実施例および比較例により得られたペレットから、住友重機械工業(株)製射出成形機(SG−75H−MIV)を用いて、金型温度30℃、保圧12秒、冷却時間60秒の成形条件で、1/8インチASTM1号ダンベル試験片を射出成形した。なお、射出成形機の温度は、ホッパ下から先端に向かって、270℃−275℃−280℃−280℃に設定した。
得られた1/8インチASTM1号ダンベル試験片について、ASTM D638に準拠して、オリエンテック社製UTA−2.5Tを用いて、23℃、50%RHの雰囲気下にて、試料標点間距離100mm、引張速度10mm/分の条件で引張強度をサンプル数n=3で測定し、その平均値をプレッシャークッカー処理前の引張強度とした。一方、1/8インチASTM1号ダンベル試験片を、121℃、100%RHの水蒸気下において40時間プレッシャークッカー処理した。プレッシャークッカー処理後の1/8インチASTM1号ダンベル試験片について、同様に引張強度をサンプル数n=3で測定し、その平均値をプレッシャークッカー処理後の引張強度とした。下記数式(1)より引張強度保持率を求めた。
(3)耐衝撃性:Izod衝撃強度
各実施例および比較例により得られたペレットを用いて、ASTM D256に従い23℃にて耐衝撃性(ノッチ付きIzod衝撃強度)を測定した。7本測定した平均値をIzod衝撃強度とした。
各実施例および比較例により得られたペレットを用いて、ASTM D256に従い23℃にて耐衝撃性(ノッチ付きIzod衝撃強度)を測定した。7本測定した平均値をIzod衝撃強度とした。
(4)含フッ素エチレン共重合体との密着性:T型剥離強度
各実施例および比較例により得られたペレットを用いて、熱プレス温度280℃、熱プレス荷重100kg/cm2、熱プレス時間1分の条件で熱プレスを行い、その後、冷えた金型に挟むことで冷却し、厚み1mmのフィルムを作製した。次に、含フッ素エチレン共重合体“ネオフロン”EFEP RP−5000のペレットを用いて、熱プレス温度240℃、熱プレス荷重100kg/cm2、熱プレス時間2分の条件で熱プレスを行い、その後、冷えた金型に挟むことで冷却し、厚み1mmのフィルムを作製した。得られたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物フィルムと含フッ素エチレン共重合体フィルムをそれぞれ幅1cm、長さ6cmに切り出し、この切り出したポリエチレンテレフタレート樹脂組成物フィルムと含フッ素エチレン共重合体フィルムを重ね合わせ、長さ5cm部分まで熱プレスに挟み、熱プレス温度240℃、熱プレス荷重15kg/cm2、熱プレス時間5秒の条件で熱接着し、T型剥離強度用試験片を作製した。
各実施例および比較例により得られたペレットを用いて、熱プレス温度280℃、熱プレス荷重100kg/cm2、熱プレス時間1分の条件で熱プレスを行い、その後、冷えた金型に挟むことで冷却し、厚み1mmのフィルムを作製した。次に、含フッ素エチレン共重合体“ネオフロン”EFEP RP−5000のペレットを用いて、熱プレス温度240℃、熱プレス荷重100kg/cm2、熱プレス時間2分の条件で熱プレスを行い、その後、冷えた金型に挟むことで冷却し、厚み1mmのフィルムを作製した。得られたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物フィルムと含フッ素エチレン共重合体フィルムをそれぞれ幅1cm、長さ6cmに切り出し、この切り出したポリエチレンテレフタレート樹脂組成物フィルムと含フッ素エチレン共重合体フィルムを重ね合わせ、長さ5cm部分まで熱プレスに挟み、熱プレス温度240℃、熱プレス荷重15kg/cm2、熱プレス時間5秒の条件で熱接着し、T型剥離強度用試験片を作製した。
作製したT型剥離強度用試験片を用いて、熱接着していないポリエチレンテレフタレート樹脂組成物フィルムと含フッ素エチレン共重合体フィルムの端部をT字型になるように広げ、広げたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物フィルムと含フッ素エチレン共重合体フィルムの端部をチャック間10mmに設定した引張試験機(オリエンテック社製テンシロンUTA−4)の上部のチャックと下部のチャックにそれぞれ挟み、温度23℃、湿度50%の環境下において、上下方向に300mm/分の引張速度で引っ張り、T字型に引き裂いた時の力P1(N)、接着幅1cmから、下記数式(2)よりT型剥離強度を求めた。
(5)吸水率
各実施例および比較例により得られたペレットから、住友重機械工業(株)製射出成形機(SG−75H−MIV)を用いて、金型温度30℃、保圧12秒、冷却時間60秒の成形条件で、1/8インチASTM1号ダンベル試験片を射出成形した。なお、射出成形機の温度は、ホッパ下から先端に向かって、270℃−275℃−280℃−280℃に設定した。
各実施例および比較例により得られたペレットから、住友重機械工業(株)製射出成形機(SG−75H−MIV)を用いて、金型温度30℃、保圧12秒、冷却時間60秒の成形条件で、1/8インチASTM1号ダンベル試験片を射出成形した。なお、射出成形機の温度は、ホッパ下から先端に向かって、270℃−275℃−280℃−280℃に設定した。
得られた1/8インチASTM1号ダンベル試験片について、ISO62に準拠し23℃の水中にて飽和させ、浸漬前後の試験片の重量から吸水率を求めた。
各実施例および比較例に用いた原料と略号を以下に示す。
PET:ポリエチレンテレフタレート樹脂「三井PET J125」(三井化学(株)製、o−クロロフェノール溶媒を用いて25℃で測定した固有粘度0.8)
PA6:ポリアミド6樹脂「“アミラン”(登録商標)CM1001」(東レ(株)製)
TPA1:ポリエーテルアミドエラストマー「“UBESTA”(登録商標)XPA9040X1」(宇部興産(株)製、硬度(ショアD)40)
TPA2:ポリエーテルアミドエラストマー「“UBESTA”(登録商標)XPA9063X1」(宇部興産(株)製、硬度(ショアD)70)
TPA3:ポリエーテルエステルアミドエラストマー「“Pebax”(登録商標)4033SP01」(アルケマ社製、硬度(ショアD)42)
PPT:ポリプロピレンテレフタレート樹脂「“コルテラ”(登録商標)CP509211」(シェルケミカルズ社製)
3官能以上の架橋成分:オキシエチレントリメチロールプロパン(分子量266、1官能基当たりのアルキレンオキシド(エチレンオキシド)単位数1)「TMP−30U」(日本乳化剤(株)製)
3官能以上の末端封止剤:バーサティック酸グリシジルエステル(エポキシ含有量4.06mol/kg)「カージュラー E10P」(ジャパンエポキシレジン(株)製)
含フッ素エチレン共重合体:テトラフルオロエチレン(TFE)−ヘキサフルオロプロピレン(HFP)−エチレン共重合体「“ネオフロン”(登録商標)EFEP RP−5000」(ダイキン工業(株)製)
PET:ポリエチレンテレフタレート樹脂「三井PET J125」(三井化学(株)製、o−クロロフェノール溶媒を用いて25℃で測定した固有粘度0.8)
PA6:ポリアミド6樹脂「“アミラン”(登録商標)CM1001」(東レ(株)製)
TPA1:ポリエーテルアミドエラストマー「“UBESTA”(登録商標)XPA9040X1」(宇部興産(株)製、硬度(ショアD)40)
TPA2:ポリエーテルアミドエラストマー「“UBESTA”(登録商標)XPA9063X1」(宇部興産(株)製、硬度(ショアD)70)
TPA3:ポリエーテルエステルアミドエラストマー「“Pebax”(登録商標)4033SP01」(アルケマ社製、硬度(ショアD)42)
PPT:ポリプロピレンテレフタレート樹脂「“コルテラ”(登録商標)CP509211」(シェルケミカルズ社製)
3官能以上の架橋成分:オキシエチレントリメチロールプロパン(分子量266、1官能基当たりのアルキレンオキシド(エチレンオキシド)単位数1)「TMP−30U」(日本乳化剤(株)製)
3官能以上の末端封止剤:バーサティック酸グリシジルエステル(エポキシ含有量4.06mol/kg)「カージュラー E10P」(ジャパンエポキシレジン(株)製)
含フッ素エチレン共重合体:テトラフルオロエチレン(TFE)−ヘキサフルオロプロピレン(HFP)−エチレン共重合体「“ネオフロン”(登録商標)EFEP RP−5000」(ダイキン工業(株)製)
[実施例1〜6、比較例1〜6]
表1記載の各原料を、シリンダー温度を280℃に設定し、ニーディングゾーンを2つ設けたスクリューアレンジとし、スクリュー回転数200rpmとした2軸スクリュー押出機(JSW社製TEX30XSSST)(L/D=45.5(尚ここでのLは原料供給口から吐出口までの長さである。))に供給して溶融混練し、ダイから吐出したガットを5℃に温調した水を満たした冷却バス中を20秒間かけて通過させることで急冷し構造を固定した後、ストランドカッターでペレタイズしペレットを得た。得られたペレットを用いて、前述の方法により評価した結果を表1に記載した。
表1記載の各原料を、シリンダー温度を280℃に設定し、ニーディングゾーンを2つ設けたスクリューアレンジとし、スクリュー回転数200rpmとした2軸スクリュー押出機(JSW社製TEX30XSSST)(L/D=45.5(尚ここでのLは原料供給口から吐出口までの長さである。))に供給して溶融混練し、ダイから吐出したガットを5℃に温調した水を満たした冷却バス中を20秒間かけて通過させることで急冷し構造を固定した後、ストランドカッターでペレタイズしペレットを得た。得られたペレットを用いて、前述の方法により評価した結果を表1に記載した。
以上の結果から、ポリエチレンテレフタレート樹脂(A)とポリエーテルアミドエラストマー(B)を配合して得られたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は流動性に優れ、かかる樹脂組成物を成形して得られる成形品は、121℃、100%RHの水蒸気下における40時間のプレッシャークッカー処理前後の引張強度保持率が70%以上となり耐加水分解性に優れ、吸水性が低減され、耐衝撃性、さらには含フッ素エチレン共重合体との密着性にも優れることがわかる。
本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物および成形品は、流動性に優れ、さらには含フッ素エチレン共重合体との密着性および耐加水分解性に優れ、吸水性の低い成形品を得ることができる。本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を成形してなる成形品は、これらの特性を活かして各種用途に広く用いることができ、特に、各種成形品やフィルム、シート、繊維として好適に用いることができる。
Claims (5)
- ポリエチレンテレフタレート樹脂(A)とポリエーテルアミドエラストマー(B)を配合してなるポリエチレンテレフタレート樹脂組成物。
- 前記ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を成形してなる成形品の、121℃、100%RHの水蒸気下における40時間のプレッシャークッカー処理前後の引張強度保持率が70%以上となる請求項1に記載のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物。
- 含フッ素エチレン共重合体と240℃で熱接着して得られる複合成形品のT型剥離強度が1N/cm以上となる請求項1〜2のいずれか1項に記載のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物。
- 請求項1〜3いずれかに記載のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を成形してなる成形品。
- 成形品がフィルム、シートまたは繊維である請求項4に記載の成形品。
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