JP2020125435A - 組成物、その硬化物、および硬化物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスに優れた硬化物が得られる組成物、その硬化物、および硬化物の製造方法を提供する。【解決手段】カチオン重合性化合物と、芳香族アルコールと、酸発生剤と、を有する組成物であり、カチオン重合性化合物は、脂肪族エポキシ化合物および脂環式エポキシ化合物のうち少なくとも一方を含むことが好ましく、カチオン重合性化合物が、脂肪族エポキシ化合物および脂環式エポキシ化合物の両者を含むことがより好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、組成物、その硬化物、および硬化物の製造方法に関し、詳しくは、初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスに優れた硬化物が得られる組成物、その硬化物、および硬化物の製造方法に関する。
カチオン硬化性組成物は、インキ、塗料、各種コーティング剤、接着剤、光学部材等の分野において用いられている。このような、硬化性組成物の改良に関して、種々の報告がなされている。
例えば、特許文献1では、低粘度で、硬化性に優れ、各種プラスチックフィルムまたはシートへの接着力および無色透明性にも優れたプラスチックフィルム等用活性エネルギー線硬化型接着剤組成物が提案されている。また、特許文献2では、低粘度で、硬化性に優れ、塗工・硬化時の雰囲気湿度が高くとも各種プラスチックフィルム等への接着力に優れ、無色透明性にも優れたプラスチックフィルム等用活性エネルギー線硬化型接着剤組成物が提案されている。さらに、特許文献3では、塗工環境の湿度が高くても、硬化性に優れ、一定時間経過後の接着力、耐久性および耐湿熱試験終了後の接着力が良好であり、低粘度である光硬化性接着剤が提案されている。さらにまた、特許文献4では、偏光子および保護フィルムに対する接着性が良好であるとともに、耐熱性に優れ、偏光子におけるクラックの発生を抑制することができる偏光板用接着剤が提案されている。
特開2015−034188号公報 特開2015−057467号公報 特開2015−143352号公報 特開2016−018163号公報
しかしながら、特許文献1〜4に記載される接着剤は、所望の密着力が得られるまでに長時間を要し、所望の密着力が得られる前に応力等が加わることで、剥離の不具合が生じる場合がある。
そこで、本発明の目的は、初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスに優れた硬化物が得られる組成物、その硬化物、および硬化物の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、カチオン重合性化合物と酸発生剤とを含む組成物に対して、さらに、芳香族アルコールを含有させること初期硬化速度を向上させることができ、上記課題を解消することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の組成物は、カチオン重合性化合物と、芳香族アルコールと、酸発生剤と、を含有することを特徴とするものである。
本発明の組成物においては、前記カチオン重合性化合物は、脂肪族エポキシ化合物および脂環式エポキシ化合物のうち少なくとも一方を含むことが好ましく、脂肪族エポキシ化合物および脂環式エポキシ化合物の両者を含むことが、より好ましい。また、本発明の組成物においては、前記脂肪族エポキシ化合物および前記脂環式エポキシ化合物の合計量が、前記カチオン重合性化合物100質量部に対して35質量部以上であることが好ましい。さらに、本発明の組成物においては、前記カチオン重合性化合物は、ビニルエーテル化合物を含むことが好ましい。さらにまた、本発明の組成物においては、前記芳香族アルコールは、第1級アルコールまたは第2級アルコールであることが好ましい。また、本発明の組成物においては、前記芳香族アルコールの含有量は、前記カチオン重合性化合物、前記芳香族アルコール、および前記酸発生剤の合計量100質量部中、2質量部以上20質量部以下であることが好ましい。さらに、本発明の組成物においては、さらに、ラジカル重合性化合物を含むことが好ましい。さらにまた、本発明の組成物においては、前記ラジカル重合性化合物は、水酸基を有するアクリレートまたはメタクリレートであることが好ましい。本発明の組成物は、接着剤として好適に用いることができる。
本発明の硬化物は、本発明の組成物からなることを特徴とするものである。
本発明の硬化物の製造方法は、本発明の組成物を硬化する硬化工程を有することを特徴とするものである。
本発明によれば、初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスに優れた硬化物が得られる組成物、その硬化物、および硬化物の製造方法を提供することができる。
以下、本発明の組成物、その硬化物、および硬化物の製造方法について詳細に説明する。
[1.組成物]
本発明の組成物は、カチオン重合性化合物と、芳香族アルコールと、酸発生剤と、を有する。カチオン重合性化合物、芳香族アルコールおよび酸発生剤を併用することで、本発明の組成物は、初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスに優れた硬化物が得られるものとなる。なお、カチオン重合性化合物、芳香族アルコールおよび酸発生剤を併用することで、上述のような効果を奏する理由については、明確ではないが、以下のように推察される。
すなわち、カチオン重合性化合物と芳香族アルコールとを併用した場合、芳香族アルコールが有する水酸基の構造およびそれにより奏するエポキシ基の反応促進の効果により、カチオン重合性化合物同士、カチオン重合性化合物および芳香族アルコールの初期硬化速度を効果的に向上することができる。また、その結果、初期密着力も効果的に向上することができるのである。また、カチオン重合性化合物および芳香族アルコールは、酸の存在下で反応が容易に進行し、水酸基を有する重合体を得ることができる。このような水酸基を有する重合体は、例えば、被着体表面の極性基との間で水素結合を形成すること等が可能となる。その結果、本発明の組成物の硬化物は、被接着物との密着力に優れたものとなる。以上のことから、カチオン重合性化合物、芳香族アルコールおよび酸発生剤を併用することで、本発明の組成物は、硬化物が得られるものとなるのである。
また、このような初期硬化速度、初期密着性および密着性に優れたものとなるとの効果により、例えば、酸発生剤の添加量の低減が容易となる。また、本発明の組成物を用いて形成された硬化物内における未反応のカチオン重合性基の残存量を低減することができ、例えば、残存するカチオン重合性基と、被着体に存在する他の原子との反応を抑制することが可能となる。
なお、初期密着性とは、組成物を用いて硬化物を形成した直後の密着力の程度をいうものであり、例えば、硬化処理開始から10分後の密着力で評価することができる。また、その後の密着性とは、硬化物の密着性が安定化した後の密着力の程度をいうものであり、例えば、硬化処理後、24時間所定の条件下で静置した後の密着力で評価することができる。また、初期硬化速度は、硬化処理開始からの硬化反応の進行の速さを示すものであり、例えば、硬化反応に伴う単位時間当たりの発熱量(硬化処理開始からピークトップまでに観察される発熱量/硬化処理開始からピークトップまでに要した時間)で評価することができる。なお、発熱量の測定方法としては、光化学反応熱熱量計(光DSC)を用いて測定する方法を挙げることができる。
以下、本発明の組成物に係る成分について、詳細に説明する。
<1−1.カチオン重合性化合物>
カチオン重合性化合物とは、カチオン重合性基を有する化合物であり、活性エネルギー線の照射または加熱により活性化した酸発生剤により高分子化または架橋反応を起こす化合物である。例えば、エポキシ化合物、オキセタン化合物、ビニルエーテル化合物、環状エーテル化合物、環状ラクトン化合物、環状アセタール化合物、環状チオエーテル化合物、スピロオルトエステル化合物、ビニル化合物等が使用でき、これらの1種または2種以上を使用することができる。これらのなかでも、密着力に優れた組成物を得るとの観点から、カチオン重合性化合物は、エポキシ化合物、オキセタン化合物およびビニルエーテル化合物の少なくとも1種を含むことが好ましく、特に、エポキシ化合物を含むことが好ましい。カチオン重合性化合物として、これらの化合物を用いることで、本発明の組成物は、初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスに優れたものとなる。
エポキシ化合物は、エポキシ構造を含むもの全てが該当する。例えば、エポキシ構造およびオキセタン構造の両者を含む化合物は、エポキシ化合物に該当する。このようなエポキシ化合物としては、例えば、脂肪族エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、芳香族エポキシ化合物等を挙げることができる。ここで、脂環式エポキシ化合物とは、エポキシシクロアルキル基を有する化合物を意味し、単に脂肪族環を有する化合物は、脂肪族エポキシ基に分類される。本発明の組成物においては、カチオン重合性化合物としては、脂肪族エポキシ化合物および脂環式エポキシ化合物の少なくとも一方が含まれていることが好ましく、両者を含むことがより好ましい。これにより、本発明の効果を良好に得ることができる。
<脂肪族エポキシ化合物>
脂肪族エポキシ化合物とは、脂肪族エポキシ基を有する化合物である。本発明の組成物においては、脂肪族エポキシ化合物は、後述の脂環式エポキシ化合物や芳香族エポキシ化合物に分類されないエポキシ化合物を指す。また、本発明の組成物において、芳香族エポキシ化合物とは、芳香環を含むエポキシ化合物を意味し、脂環式エポキシ化合物とは、上述のとおり、エポキシシクロアルキル基を有する化合物を意味し、単に脂肪族環を有する化合物は、脂肪族エポキシ基に分類される。また、脂環式エポキシ化合物は、芳香環を含まない化合物である。
脂肪族エポキシ化合物の分子量としては、50以上100,000以下の範囲であるものが好ましく、100以上50,000以下の範囲であるものがより好ましく、150以上20,000以下の範囲であるものが特に好ましい。分子量がかかる範囲内であることで、本発明の組成物は、初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスに優れた硬化物が得られるものとなるからである。
脂肪族エポキシ化合物の具体例としては、脂肪族アルコールのグリシジルエーテル化物、アルキルカルボン酸のグリシジルエステル等の単官能エポキシ化合物や、脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル化物、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル等の多官能エポキシ化合物が挙げられる。
脂肪族エポキシ化合物の代表的な化合物としては、アリルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、C12〜13混合アルキルグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ソルビトールのテトラグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールのヘキサグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル等の多価アルコールのグリシジルエーテル、またプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン等の脂肪族多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイドを付加することによって得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル化物、脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステルが挙げられる。さらに、脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテルや高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシ化大豆油、エポキシ化ポリブタジエン等が挙げられる。
脂肪族エポキシ化合物としての多官能エポキシ化合物に用いられる、脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル化物としては、脂肪族ジオールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のジグリシジルエーテル化物を好ましく用いることができ、なかでも、下記一般式(1)で表される化合物を好ましく用いることができる。かかる化合物を用いることで、本発明の組成物は、より初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスに優れた硬化物を形成可能となるからである。
Figure 2020125435
一般式(1)中、Yは、二価の炭化水素基を示す。Yに用いられる二価の炭化水素基としては、例えば、直鎖、分岐またはシクロアルキル環を有する炭素原子数1〜20のアルキレン基が挙げられる。また、炭素原子数1〜20のアルキレン基のメチレン基の1つまたは2つ以上は、−O−で置換されていてもよい。
炭素原子数1〜20のアルキレン基としては、炭素原子数1〜20の直鎖、分岐のアルキル基から水素原子を1つ除いた基を用いることができる。
炭素原子数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、アミル、イソアミル、t−アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、t−オクチル、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、イコシル等の直鎖または分岐のアルキル基が挙げられる。
シクロアルキル基を有するアルキル基としては、単環式炭化水素基、架橋炭化水素環基等を挙げることができる。
単環式炭化水素環基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、メチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基、トリメチルシクロヘキシル基、テトラメチルシクロヘキシル基、ペンタメチルシクロヘキシル基、エチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘプチル基等を挙げることができ、中でも、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基が挙げられる。
架橋炭化水素環基としては、ビシクロ[2.1.1]ヘキシル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基、ビシクロ[4.3.1]デシル基、ビシクロ[3.3.1]ノニル基、ボルニル基、ボルネニル基、ノルボルニル基、ノルボルネニル基、6,6−ジメチルビシクロ[3.1.1]ヘプチル基、トリシクロブチル基、アダマンチル基が挙げられる。
シクロアルキル環を有するアルキル基としては、シクロアルキル基と、直鎖または分岐のアルキル基とを組み合わせた基を挙げることができる。例えば、直鎖または分岐のアルキル基中の水素原子の1つまたは2つ以上が、シクロアルキル基で置換された基、直鎖また他は分岐のアルキル基中のメチレン基の1つまたは2つ以上が、シクロアルキル基から水素原子を1つ除いた基で置換された基、シクロアルキル基の水素原子の1つまたは2つ以上が、直鎖または分岐のアルキル基で置換された基等が挙げられる。
本発明の組成物において、基の炭素原子数は、基中の水素原子が置換基で置換されている場合、その置換後の基の炭素原子数を意味する。例えば、炭素原子数1〜20のアルキル基の水素原子が置換されている場合、炭素原子数1〜20とは、水素原子が置換された後の炭素原子数を指し、水素原子が置換される前の炭素原子数を指すのではない。また、本発明の組成物において所定の炭素原子数の基中のメチレン基が二価の基で置き換えられた基に係る炭素原子数は、置換前の基の炭素原子数を意味する。例えば、本明細書中、炭素原子数1〜20のアルキル基中のメチレン基が二価の基で置き換えられた基の炭素原子数は、1〜20とする。
本発明の組成物においては、Yは、直鎖または分岐を有する基であることが好ましい。かかる構造を有することで、本発明の組成物は、より初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスに優れた硬化物を形成可能となるからである。本発明の組成物においては、Yは、炭素原子数1〜10の直鎖または分岐のアルキレン基であることが好ましく、炭素原子数2〜8の直鎖または分岐のアルキレン基であることがより好ましく、特に、炭素原子数3〜7の直鎖または分岐のアルキレン基であることがさらに好ましく、炭素原子数4〜6の直鎖または分岐のアルキレン基であることが特に好ましく、なかでも、分岐を有し、−O−でメチレン基が置換されていない無置換のアルキレン基であることが好ましい。かかる構造を有することで、本発明の組成物は、より初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスに優れた硬化物を形成可能となるからである。
一般式(1)で表される脂肪族ジオールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のジグリシジルエーテル化物としては、具体的には、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメチロールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、1,9−ノナンジオールジグリシジルエーテル等が挙げられ、中でも、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルが好ましく、特に、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルが好ましい。このような脂肪族エポキシ化合物を用いることで、本発明の効果を特に良好に得ることができるからである。
一般式(1)で表される脂肪族ジオールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のジグリシジルエーテル化物のうち、Yがシクロアルキル環を含むものとしては、例えば、水素添加ビスフェノールのジオールのジグリシジルエーテル化物としては、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAFジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールBジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールCジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールEジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールGジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールMジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールSジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールPジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールTMCジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールZジグリシジルエーテル、ビス[4−(グリシジルオキシ)シクロヘキシル]エーテル、4,4’−ビシクロヘキサノールジグリシジルエーテル等も挙げられ、特に、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテルが好ましい。このような脂肪族エポキシ化合物を用いることで、本発明の効果をより効果的に得ることができるからである。
脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル化物の含有量としては、所望の初期硬化速度等が得られるものであればよく、例えば、組成物100質量部中に、20質量部以上80質量部以下であることが好ましく、なかでも、30質量部以上70質量部以下であることが好ましく、特に、40質量部以上65質量部以下であることが好ましい。脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル化物の含有量をかかる範囲とすることで、本発明の組成物は、より初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスに優れた硬化物を形成可能となるからである。
脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル化物の含有量としては、所望の密着性等が得られるものであればよく、例えば、脂肪族エポキシ化合物の合計100質量部中に、40質量部以上であることが好ましく、なかでも、60質量部以上95質量部以下であることが好ましく、特に、70質量部以上90質量部以下であることが好ましい。脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル化物の含有量をかかる範囲とすることで、本発明の組成物は、より初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスに優れた硬化物を形成可能となるからである。
また、脂肪族エポキシ化合物としての単官能エポキシ化合物または多官能エポキシ化合物としては、脂肪族アルコールのグリシジルエーテル化物、アルキルカルボン酸のグリシジルエステル、脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル化物、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル等のエポキシ化合物以外に、エポキシ基を含む構成単位を繰り返し単位として有する脂肪族エポキシポリマーも好ましく用いることができる。このような化合物を用いることで、本発明の組成物は、より初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスに優れた硬化物を形成可能となるからである。
このような脂肪族エポキシポリマーとしては、例えば、エチレン性不飽和結合を有する化合物を単重合または共重合した構造を主鎖構造として有する化合物(脂肪族エポキシポリマー)を好ましく用いることができる。かかるポリマーの構造が上述の構造を有することで、本発明の組成物は、より初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスに優れた硬化物を形成可能となるからである。
このような脂肪族エポキシポリマーとしては、例えば、下記一般式(I)で表される構成単位(以下、「構成単位I」と称する場合がある。)および下記一般式(II)で表される構成単位(以下、「構成単位II」と称する場合がある。)の少なくとも一方を有するもの(以下、脂肪族エポキシポリマーa)を好ましく用いることができる。本発明の組成物は、より初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスに優れた硬化物を形成可能となるからである。
Figure 2020125435
ここで、一般式(I)中、Xは、炭素原子数1〜9のアルキル基、炭素原子数1〜9のアルコキシ基もしくは炭素原子数6〜10の脂環式炭化水素基であり、これらの基中の水素原子の1つまたは2つ以上が、エポキシ基で置換されたものである。なお、*は結合手を表す。
Figure 2020125435
一般式(II)中、Rは、水素原子、メチル基またはハロゲン原子を表し、Xは、炭素原子数1〜9のアルキル基もしくは炭素原子数6〜10の脂環式炭化水素基であり、これらの基中の水素原子の1つまたは2つ以上が、エポキシ基で置換されたものである。なお、*は結合手を表す。
一般式(I)中のXに用いられる、エポキシ基で水素原子が置換される炭素原子数1〜9のアルキル基としては、一般式(1)中のYに用いられるアルキレン基を構成可能な炭素原子数1〜20のアルキル基のうち、炭素原子数が1〜9のものが挙げられる。
一般式(I)中のXに用いられる、エポキシ基で水素原子が置換される炭素原子数1〜9のアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、iso−プロピルオキシ、ブチルオキシ、sec−ブチルオキシ、tert−ブチルオキシ、iso−ブチルオキシ、アミルオキシ、iso−アミルオキシ、tert−アミルオキシ、ヘキシルオキシ、2−ヘキシルオキシ、3−ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、4−メチルシクロヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、2−ヘプチルオキシ、3−ヘプチルオキシ、iso−ヘプチルオキシ、tert−ヘプチルオキシが挙げられる。
一般式(I)中のXに用いられる、エポキシ基で水素原子が置換される炭素原子数6〜10の脂環式炭化水素基としては、シクロへキシル、メチルシクロヘキシル、ノルボルニル、ビシクロペンチル、ビシクロオクチル、トリメチルビシクロヘプチル、トリシクロオクチル、トリシクロデカニル、スピロオクチル、スピロビシクロペンチル、アダマンチル、イソボルニル等が挙げられる。
一般式(I)中のXとしては、炭素原子数1〜9のアルコキシ基であり、そのアルコキシ基の水素原子の1つまたは2つ以上がエポキシ基で置換されたものであることが好ましく、なかでも、炭素原子数1〜4のアルコキシ基であり、そのアルコキシ基の水素原子の1つがエポキシ基で置換されたものであることが好ましい。かかる構造を有することで、本発明の組成物は、より初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスに優れた硬化物を形成可能となるからである。
一般式(I)で表される構成単位としては、例えば、下記一般式(I−1)で表される構成単位(以下、「構成単位I−1」と称する場合がある。Xがアルコキシ基であり、アルコキシ基の水素原子の1つがエポキシ基で置換されたもの)を好ましく用いることができる。かかる構造を有することで、本発明の組成物は、より初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスに優れた硬化物を形成可能となるからである。
Figure 2020125435
一般式(I-1)中、Rは、水素原子または炭素原子数1〜6のアルキル基を表し、sは、1〜6の整数である。
一般式(I−1)中のRに用いられる炭素原子数1〜6のアルキル基としては、一般式(I)で用いられるXに用いられるもののうち、炭素原子数1〜6のものを用いることができる。
一般式(I-1)中のRは、水素原子または炭素原子数1〜3のアルキル基であることが好ましく、なかでも、水素原子またはメチル基であることが好ましく、特に、水素原子であることが好ましい。これにより、本発明の組成物は、より初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスに優れた硬化物を形成可能となるからである。
一般式(II)において、Xに用いられるエポキシ基で置換される、炭素原子数1〜9のアルキル基および炭素原子数6〜10の脂環式炭化水素基については、一般式(I)中のXに用いられるものと同様の基を用いることができる。
一般式(II)中のRは、メチル基であることが好ましい。かかる構造を有することで、本発明の組成物は、より初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスに優れた硬化物を形成可能となるからである。
一般式(II)中のXとしては、炭素原子数1〜9のアルキル基であり、そのアルキル基の水素原子の1つまたは2つ以上がエポキシ基で置換されたものであることが好ましく、なかでも、炭素原子数1〜4のアルキル基であり、そのアルキル基の水素原子の1つがエポキシ基で置換されたものであることが好ましい。かかる構造を有することで、本発明の組成物は、より初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスに優れた硬化物を形成可能となるからである。
構成単位(II)としては、下記一般式(II−1)で表されるもの(以下、「構成単位II−1」と称する場合がある。Xがアルキル基であり、アルキル基の水素原子の1つがエポキシ基で置換されたもの)を好ましく用いることができる。本発明の組成物は、より初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスに優れた硬化物を形成可能となるからである。
Figure 2020125435
一般式(II−1)中、Rは、一般式(II)と同じであり、Rは、水素原子または炭素原子数1〜6のアルキル基を表し、tは、1〜6の整数である。
一般式(II−1)中のRに用いられる炭素原子数1〜6のアルキル基としては、一般式(I)で用いられるXに用いられるもののうち、炭素原子数1〜6の炭素原子数のものを用いることができる。
一般式(II)において、Rで表されるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
一般式(II−1)中のRは、水素原子または炭素原子数1〜3のアルキル基であることが好ましく、なかでも、水素原子またはメチル基であることが好ましく、特に、水素原子であることが好ましい。かかる構造を有することで、本発明の組成物は、より初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスに優れた硬化物を形成可能となるからである。
一般式(II−1)中の、tは、1〜6の整数であるが、1〜3の整数であることが好ましく、なかでも、1〜2の整数であることが好ましく、特に、1であることが好ましい。かかる構成とすることで、本発明の組成物は、より初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスに優れた硬化物を形成可能となるからである。
脂肪族エポキシポリマーaは、構成単位Iおよび構成単位IIの少なくとも一方を有するものであるが、なかでも、構成単位IIを有するものであることが好ましい。
構成単位IIの含有量は、所望の密着性等を発揮できるものであればよいが、例えば、構成単位Iおよび構成単位IIの合計100質量部中に、50質量部以上であることが好ましく、なかでも70質量部以上であることが好ましく、特に90質量部以上であることが好ましく、なかでも特に100質量部であることが好ましい。構成単位IIの含有量をかかる範囲とすることで、本発明の組成物は、より初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスに優れた硬化物を形成可能となるからである。
構成単位Iおよび構成単位IIの合計の含有量としては、所望の密着性等を発揮できるものであればよいが、例えば、脂肪族エポキシポリマーaの100質量部中に、5質量部以上であることが好ましく、なかでも、10質量部以上70質量部以下であることが好ましく、20質量部以上40質量部以下であることが好ましい。構成単位Iおよび構成単位IIの合計の含有量をかかる範囲とすることで、本発明の組成物は、より初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスに優れた硬化物を形成可能となるからである。
脂肪族エポキシポリマーaは、構成単位Iおよび構成単位IIの少なくとも一方を有するものであるが、必要に応じて、その他の構成単位を含むものであってもよい。このようなその他の構成単位を形成可能な単量体としては、芳香族環およびエポキシシクロアルキル基を有しないものであればよく、例えば、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート等を好ましく用いることができる。かかる構造を有することで、本発明の組成物は、より初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスに優れた硬化物を形成可能となるからである。
アルキルアクリレートおよびアルキルメタクリレートとしては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、n−ヘキシルアクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等が挙げられる。
本発明においては、アルキルアクリレートおよびアルキルメタクリレートとしては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレートであることが好ましく、なかでも、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレートであることが好ましく、特に、メチルメタクリレートであることが好ましい。かかる構造を有することで、本発明の組成物は、より初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスに優れた硬化物を形成可能となるからである。
アルキルアクリレートおよびアルキルメタクリレートの合計の含有量としては、所望の密着性等を発揮できるものであればよいが、例えば、脂肪族エポキシポリマーaの100質量部中に、20質量部以上であることが好ましく、なかでも、30質量部以上90質量部以下であることが好ましく、60質量部以上80質量部以下であることが好ましい。アルキルアクリレートおよびアルキルメタクリレートの合計の含有量をかかる範囲とすることで、本発明の組成物は、より初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスに優れた硬化物を形成可能となるからである。
脂肪族エポキシポリマーの重量平均分子量としては、所望の密着性等が得られるものであればよく、例えば、1,000超100,000以下であることが好ましく、なかでも、3,000以上50,000以下であることが好ましく、特に、4,000以上30,000以下であることが好ましく、なかでも特に、5,000以上20,000以下であることが好ましい。脂肪族エポキシポリマーの重量平均分子量をかかる範囲とすることで、本発明の組成物は、より初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスに優れた硬化物を形成可能となるからである。
本発明の組成物においては、重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレン換算値として求めることができる。重量平均分子量Mwは、例えば、日本分光(株)製のGPC(LC−2000plusシリーズ)を用い、溶出溶剤をテトラヒドロフランとし、校正曲線用ポリスチレンスタンダードをMw1110000、707000、397000、189000、98900、37200、13700、9490、5430、3120、1010、589(東ソー(株)社製 TSKgel標準ポリスチレン)とし、測定カラムをKF−804、KF−803、KF−802(昭和電工(株)製)として測定して得ることができる。また、測定温度は40℃とすることができ、流速は1.0mL/分とすることができる。
脂肪族エポキシポリマーの含有量としては、所望の密着性等が得られるものであればよく、例えば、組成物100質量部中に、1質量部以上40質量部以下であることが好ましく、なかでも、3質量部以上30質量部以下であることが好ましく、特に、5質量部以上20質量部以下であることが好ましい。脂肪族エポキシポリマーの含有量をかかる範囲とすることで、本発明の組成物は、より初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスに優れた硬化物を形成可能となるからである。
脂肪族エポキシポリマーの含有量としては、所望の密着性等が得られるものであればよく、例えば、脂肪族エポキシ化合物の合計100質量部中に、5質量部以上50質量部以下であることが好ましく、なかでも、10質量部以上40質量部以下であることが好ましく、特に、15質量部以上30質量部以下であることが好ましい。脂肪族エポキシポリマーの含有量をかかる範囲とすることで、本発明の組成物は、より初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスに優れた硬化物を形成可能となるからである。
脂肪族エポキシ化合物としては、多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のグリシジルエーテル、脂肪族エポキシポリマー等を含むことが好ましく、中でも、脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテルを含むことが好ましく、特に、脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル化物および脂肪族エポキシポリマーの両者を含むことが好ましく、中でも特に、脂肪族ジオールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のジグリシジルエーテル化物および脂肪族エポキシポリマーの両者を含むことが好ましい。これらの化合物を用いることで、本発明の組成物は、より初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスに優れた硬化物を形成可能となるからである。また、粘度、塗工性および反応性が向上するからである。
脂肪族エポキシ化合物として、脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル化物および脂肪族エポキシポリマーの両者を含む場合には、脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル化物の含有量は、脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル化物および脂肪族エポキシポリマーの合計100質量部中に、40質量部以上であることが好ましく、なかでも、60質量部以上95質量部以下であることが好ましく、特に、70質量部以上90質量部以下であることが好ましい。脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル化物の含有量をかかる範囲とすることで、本発明の組成物は、より初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスに優れた硬化物を形成可能となるからである。
本発明の組成物において、脂肪族エポキシ化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。例えば、脂肪族エポキシ化合物として、比較的低分子量のものと比較的高分子量のものとを併用することで、感度を高めることができるとともに、組成物の粘度やガラス転移温度Tg等の物性を適切に調節することができるものとなり、より取扱い性に優れた組成物とすることができ、好ましい。
この場合の低分子量の脂肪族エポキシ化合物としては、例えば、分子量が50以上1,000以下の範囲であるものが好ましく、100以上500以下の範囲であるものがより好ましい。また、高分子量の脂肪族エポキシ化合物としては、例えば、分子量が1,000を超100,000以下の範囲であるものが好ましく、1,500以上50,000以下の範囲であるものがより好ましく、2,000以上30,000以下であることがより好ましく、2,000以上20,000以下であることがより好ましい。さらに、低分子量の脂肪族エポキシ化合物と高分子量の脂肪族エポキシ化合物とを併用する場合の低分子量化合物の含有量としては、これらを併用することによる効果を良好に得るとの観点から、脂肪族エポキシ化合物100質量部中に、40質量部以上であることが好ましく、なかでも、60質量部以上95質量部以下であることが好ましく、特に、70質量部以上90質量部以下であることが好ましい。低分子量化合物の含有量をかかる範囲とすることで、本発明の組成物は、より初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスに優れた硬化物を形成可能となるからである。なお、高分子量の脂肪族エポキシ化合物の分子量は、化合物が重合体である場合には、重量平均分子量(Mw)をいう。また、重量平均分子量の測定方法については、脂肪族エポキシポリマーの重量平均分子量の測定方法と同様とすることができる。
脂肪族エポキシ化合物としては、市販品のものを用いてもよく、例えば、デナコールEX−121、デナコールEX−171、デナコールEX−192、デナコールEX−211、デナコールEX−212、デナコールEX−313、デナコールEX−314、デナコールEX−321、デナコールEX−411、デナコールEX−421、デナコールEX−512、デナコールEX−521、デナコールEX−611、デナコールEX−612、デナコールEX−614、デナコールEX−622、デナコールEX−810、デナコールEX−811、デナコールEX−850、デナコールEX−851、デナコールEX−821、デナコールEX−830、デナコールEX−832、デナコールEX−841、デナコールEX−861、デナコールEX−911、デナコールEX−941、デナコールEX−920、デナコールEX−931(ナガセケムテックス社製);エポライトM−1230、エポライト40E、エポライト100E、エポライト200E、エポライト400E、エポライト70P、エポライト200P、エポライト400P、エポライト1500NP、エポライト1600、エポライト80MF、エポライト100MF(共栄社化学社製)、アデカグリシロールED−503、アデカグリシロールED−503G、アデカグリシロールED−506、アデカグリシロールED−523T、アデカレジンEP−4088S、KRM−532P、KRM−140(ADEKA社製)、四日市合成社製2EH等が挙げられる。
脂肪族エポキシ化合物の含有量としては、初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスにより優れたものとする観点から、例えば、脂肪族エポキシ化合物の含有量は、カチオン重合性化合物、芳香族アルコール、および酸発生剤の合計100質量部に対して20質量部以上90質量部以下であることが好ましく、40質量部以上85質量部以下であることがより好ましく、55質量部以上75質量部以下が特に好ましい。
また、脂肪族エポキシ化合物の含有量は、初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスにより優れたものとする観点からカチオン重合性化合物100質量部中に20質量部以上であることが好ましく、40質量部以上90質量部以下であることがより好ましく、60質量部以上85質量部未満であることが特に好ましい。
また、脂肪族エポキシ化合物の含有量は、初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスにより優れたものとする観点から、本発明の組成物の固形分100質量部中に20質量部以上90質量部以下であることが好ましく、40質量部以上85質量部以下であることがより好ましく、55質量部以上75質量部以下であることがさらに好ましい。なお、本発明の組成物においては、固形分とは、溶剤以外の全ての成分を含むものをいう。
また、脂肪族エポキシ化合物の含有量は、初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスにより優れたものとする観点から、本発明の組成物100質量部中に20質量部以上90質量部以下であることが好ましく、40質量部以上85質量部以下であることがより好ましく、55質量部以上75質量部以下であることがさらに好ましい。
<脂環式エポキシ化合物>
脂環式エポキシ化合物は、少なくとも1個のエポキシシクロアルキル基を有する化合物であり、単に脂肪族環を有する化合物は、脂環式エポキシ化合物には該当せず、脂肪族エポキシ基に分類される。エポキシシクロアルキル基は、エポキシ基とシクロアルキル基とが、環構造の一部を共有する構造を有する基である。なお、本発明の組成物においては、エポキシシクロアルキル基および芳香族環の両者を含むものは、脂環式エポキシ化合物に該当するものとする。
脂環式エポキシ化合物としては、エポキシシクロアルキル基を2以上有する化合物(脂環式エポキシ化合物1)、エポキシシクロアルキル基と、オキシラニル基と、を有する化合物(脂環式エポキシ化合物2)等を挙げることができる。本発明の組成物においては、なかでも、脂環式エポキシ化合物が、脂環式エポキシ化合物1を含むことが好ましい。かかる組成とすることにより、本発明の組成物は、より初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスに優れた硬化物を形成可能となるからである。
脂環式エポキシ化合物1としては、エポキシシクロアルキル基を2以上有するモノであればよく、例えば、下記一般式(2)で表される化合物を好ましく用いることができる。
Figure 2020125435
一般式(2)中、Xは、単結合または連結基(1以上の原子を有する二価の基)を示す。
に用いられる連結基としては、例えば、二価の炭化水素基、炭素−炭素二重結合の一部または全部がエポキシ化されたアルケニレン基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、カーボネート基、アミド基、および、これらが複数個連結した基等が挙げられる。
二価の炭化水素基としては、炭素原子数1〜20の直鎖、分岐またはシクロアルキル環を有するアルキレン基が挙げられる。
に用いられる直鎖、分岐またはシクロアルキル環を有する炭素原子数1〜20のアルキレン基としては、一般式(1)に用いられるYで表される直鎖若しくは分岐の炭素原子数1〜20のアルキレン基と同様の基を用いることができる。
炭素−炭素二重結合の一部または全部がエポキシ化されたアルケニレン基(以下、「エポキシ化アルケニレン基」と称する場合がある。)におけるアルケニレン基としては、例えば、ビニレン基、プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、ブタジエニレン基、ペンテニレン基、ヘキセニレン基、ヘプテニレン基、オクテニレン基等の炭素原子数2〜8の直鎖または分岐鎖状のアルケニレン基等が挙げられる。
一般式(2)においては、Xが連結基であることが好ましく、中でも、Xが二価の炭化水素基、エステル結合、または、これらが連結した基であることが好ましく、特に、Xが二価の炭化水素基とエステル結合とが連結した基であることが好ましい。このような化合物を用いることで、本発明の効果をより効果的に得ることができるからである。
また、一般式(2)においては、Xに用いられる二価の炭化水素基が、炭素原子数1〜18の直鎖または分岐鎖状のアルキレン基であることが好ましく、なかでも、炭素原子数1〜8の直鎖または分岐鎖状のアルキレン基であることが好ましく、特に、炭素原子数1〜5の直鎖のアルキレン基であることが好ましく、なかでも特に、炭素原子数1〜3の直鎖のアルキレン基であることが好ましい。炭素原子数がかかる範囲内であることで、本発明の効果をより良好に発揮できるからである。
一般式(2)で表される化合物としては、具体的には、3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、(3,4,3’,4’−ジエポキシ)ビシクロヘキシル、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、1,2−エポキシ−1,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)エタン、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)プロパン、1,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)エタン等を挙げることができ、中でも、3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートが好ましい。このような化合物を用いることで、本発明の効果を特に効果的に得ることができるからである。
脂環式エポキシ化合物2としては、エポキシシクロアルキル基と、オキシラニル基と、を有するものであればよく、例えば、下記一般式(3)〜(5)で表されるエポキシシクロアルキル基と、オキシラニル基と、を有する化合物等を好ましく用いることができる。
Figure 2020125435
Figure 2020125435
Figure 2020125435
一般式(3)中、R11およびR12は、それぞれ独立に、水素原子または炭素原子数1〜20の直鎖、分岐またはシクロアルキル環を有するアルキル基を表す。ここで、R11が上記アルキル基の場合、シクロアルキル環に結合する位置は1位〜6位の任意の位置である。また、Lは、直接結合、−O−、または、炭素原子数1〜6のアルキレン基を表し、Lに用いられる炭素原子数1〜6のアルキレン基の水素原子の1つまたは2つ以上は、水酸基で置換されていてもよい。さらに、Lに用いられる炭素原子数1〜6のアルキレン基のメチレン基の1つまたは2つ以上は、−O−で置き換わっていてもよい。
一般式(4)中、R21およびR22は、それぞれ独立に、水素原子または炭素原子数1〜20の直鎖、分岐またはシクロアルキル環を有するアルキル基を表す。ここで、R21が上記アルキル基の場合、シクロアルキル環に結合する位置は1位〜6位の任意の位置である。また、Lは、直接結合、−O−、または、炭素原子数1〜6のアルキレン基を表し、Lに用いられる炭素原子数1〜6のアルキレン基の水素原子の1つまたは2つ以上は、水酸基で置換されていてもよい。さらに、Lに用いられる炭素原子数1〜6のアルキレン基のメチレン基の1つまたは2つ以上は、−O−で置き換わっていてもよい。
一般式(5)中、R31およびR32は、それぞれ独立に、水素原子または炭素原子数1〜20の直鎖、分岐またはシクロアルキル環を有するアルキル基を表す。ここで、R31が上記アルキル基の場合、シクロアルキル環に結合する位置は1位〜5位の任意の位置である。また、Lは、直接結合、−O−、または、炭素原子数1〜6のアルキレン基を表し、Lに用いられる炭素原子数1〜6のアルキレン基の水素原子の1つまたは2つ以上は、水酸基で置換されていてもよい。さらに、Lに用いられる炭素原子数1〜6のアルキレン基のメチレン基の1つまたは2つ以上は、−O−で置き換わっていてもよい。
11、R12、R21、R22、R31およびR32(以下、R11等と称する場合がある。)に用いられる炭素原子数1〜20の直鎖、分岐またはシクロアルキル環を有するアルキル基としては、一般式(1)中のYに用いられるアルキレン基を構成可能な炭素原子数1〜20のアルキル基と同様の基を用いることができる。
〜Lに用いられる炭素原子数1〜6のアルキレン基としては、一般式(1)中のYに用いられるアルキレン基を構成可能な炭素原子数1〜20のアルキル基のうち、炭素原子数1〜6のものから水素原子を1つ除いた基が挙げられる。
一般式(3)においては、R11が水素原子であって、R12が水素原子または炭素原子数1〜6のアルキル基であることが好ましく、中でも、R11が水素原子であって、R12が水素原子または炭素原子数1〜3のアルキル基であることが好ましく、特に、R11が水素原子であって、R12が水素原子またはメチル基であることが好ましい。このような化合物を用いることで、本発明の効果をより効果的に得ることができるからである。
一般式(3)においては、Lが、直接結合または炭素原子数1〜6のアルキレン基であることが好ましく、中でも、直接結合または炭素原子数1〜3のアルキレン基であることが好ましく、特に、直接結合であることが好ましい。このような化合物を用いることで、本発明の効果をより効果的に得ることができるからである。
一般式(3)で表される化合物としては、具体的には、ビニルシクロヘキセンジオキシド、リモネンジオキシド、3−(2−メチルオキシラン―2−イル)−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン等を挙げることができ、中でも、ビニルシクロヘキセンジオキシド、リモネンジオキシドを用いることが好ましい。このような化合物を用いることで、本発明の効果を特に効果的に得ることができるからである。
脂環式エポキシ化合物としては、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキシル−3,4−エポキシ−1−メチルヘキサンカルボキシレート、6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、プロパン−2,2−ジイル−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロパン、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、1−エポキシエチル−3,4−エポキシシクロヘキサン、1,2−エポキシ−2−エポキシエチルシクロヘキサン、7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン,ポリ[オキシ−(1−オキソ−1,6−ヘキサンジイル)]誘導体、ヘキサン二酸ビス[(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−イル)メチル]、α−ピネンオキシド、リモネンジオキシド等が挙げられる。
脂環式エポキシ化合物としては、市販品のものを用いることができ、例えば、セロキサイド2021P、セロキサイド2081、セロキサイド2000、セロキサイド3000、サイクロマーM100(ダイセル社製);CYRACURE UVR−6128(ダウ・ケミカル社製)等が挙げられる。
脂環式エポキシ化合物1の含有量としては、所望の初期硬化性等が得られるものであればよく、例えば、組成物100質量部中に、5質量部以上60質量部以下であることが好ましく、なかでも、10質量部以上50質量部以下であることが好ましく、特に、15質量部以上35質量部以下であることが好ましい。脂環式エポキシ化合物1の含有量をかかる範囲とすることで、本発明の組成物は、より初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスに優れた硬化物を形成可能となるからである。
脂環式エポキシ化合物1の含有量としては、所望の初期硬化性等が得られるものであればよく、例えば、カチオン重合性化合物100質量部中に、5質量部以上60質量部以下
であることが好ましく、なかでも、10質量部以上50質量部以下であることが好ましく、特に、15質量部以上35質量部以下であることが好ましい。脂環式エポキシ化合物1の含有量をかかる範囲とすることで、本発明の組成物は、初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスにより優れた硬化物を形成可能となるからである。
脂環式エポキシ化合物2の含有量としては、所望の初期硬化性等が得られるものであればよく、例えば、組成物100質量部中に、5質量部以上60質量部以下であることが好ましく、なかでも、10質量部以上50質量部以下であることが好ましく、特に、15質量部以上35質量部以下であることが好ましい。脂環式エポキシ化合物2の含有量をかかる範囲とすることで、本発明の組成物は、より初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスに優れた硬化物を形成可能となるからである。
脂環式エポキシ化合物2の含有量としては、所望の初期硬化性等が得られるものであればよく、例えば、カチオン重合性化合物100質量部中に、5質量部以上60質量部以下
であることが好ましく、なかでも、10質量部以上50質量部以下であることが好ましく、特に、15質量部以上35質量部以下であることが好ましい。脂環式エポキシ化合物2の含有量をかかる範囲とすることで、本発明の組成物は、初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスにより優れた硬化物を形成可能となるからである。
脂環式エポキシ化合物の含有量としては、初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスにより優れたものとする観点から、脂環式エポキシ化合物の含有量が、カチオン重合性化合物、芳香族アルコール、および酸発生剤の合計100質量部に対して5質量部以上70質量部以下が好ましく、10量部以上50質量部以下であることがより好ましく、12質量部以上30質量部以下がさらに好ましく、15質量部以上25質量部以下が特に好ましい。
また、脂環式エポキシ化合物の含有量は、初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスにより優れたものとする観点から、カチオン重合性化合物100質量部中に5質量部以上60質量部以下であることが好ましく、10質量部以上50質量部以下であることがより好ましく、15質量部以上35質量部以下であることがさらに好ましい。
また、脂環式エポキシ化合物の含有量は、初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスにより優れたものとする観点から、本発明の組成物の固形分100質量部中に5質量部以上60質量部以下であることが好ましく、10質量部以上50質量部以下であることがより好ましく、15質量部以上35質量部以下であることがさらに好ましい。
本発明の組成物においては、上述のとおり、カチオン重合性化合物として、脂肪族エポキシ化合物および脂環式エポキシ化合物の両者を含むことがより好ましい。この場合、初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスにより優れたものとする観点から、脂肪族エポキシ化合物および脂環式エポキシ化合物の含有量の合計が、カチオン重合性化合物、芳香族アルコール、および酸発生剤の合計100質量部に対して35質量部以上であることが好ましく、なかでも、40質量部以上であることが好ましく、特に、50質量部以上99質量部以下であることが好ましく、60質量部以上98質量部以下がより好ましく、70質量部以上97質量部以下がさらに好ましく、80質量部以上96質量部以下が特に好ましい。
また、脂肪族エポキシ化合物および脂環式エポキシ化合物の含有量の合計は、初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスにより優れたものとする観点から、カチオン重合性化合物100質量部中に、35質量部以上であることが好ましく、40質量部以上であることが好ましく、特に、50質量部以上99質量部以下であることが好ましく、60質量部以上98質量部以下がより好ましく、70質量部以上97質量部以下がさらに好ましく、85質量部以上96質量部以下が特に好ましい。
また、脂肪族エポキシ化合物および脂環式エポキシ化合物の含有量の合計は、初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスにより優れたものとする観点から、本発明の組成物の固形分100質量部中に、35質量部以上であることが好ましく、40質量部以上であることが好ましく、特に、50質量部以上99質量部以下が好ましく、60質量部以上98質量部以下がより好ましく、80質量部以上96質量部以下がより好ましい。
また、脂肪族エポキシ化合物および脂環式エポキシ化合物の含有量の合計は、初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスにより優れたものとする観点から、本発明の組成物100質量部中に、35質量部以上であることが好ましく、40質量部以上であることが好ましく、特に、50質量部以上99質量部以下が好ましく、60質量部以上98質量部以下がより好ましく、80質量部以上96質量部以下がより好ましい。
<芳香族エポキシ化合物>
芳香族エポキシ化合物は、エポキシ基および芳香環を有する化合物を指す。
芳香族エポキシ化合物の具体例としては、フェノール、クレゾール、ブチルフェノール等、少なくとも1個の芳香族環を有する1価フェノールまたは、そのアルキレンオキサイド付加物のモノ/ポリグリシジルエーテル化物、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールE、または、これらにさらにアルキレンオキサイドを付加した化合物のグリシジルエーテル化物やフェノールノボラック型エポキシ化合物;レゾルシノールやハイドロキノン、カテコール等の2個以上のフェノール性水酸基を有する芳香族化合物のグリシジルエーテル;ベンゼンジメタノールやベンゼンジエタノール、ベンゼンジブタノール等のアルコール性水酸基を2個以上有する芳香族化合物のポリグリシジルエーテル化物;フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸等の2個以上のカルボン酸を有する多塩基酸芳香族化合物のポリグリシジルエステル、安息香酸やトルイル酸、ナフトエ酸等の安息香酸類のポリグリシジルエステル、安息香酸のグリシジルエステル、スチレンオキサイドまたはジビニルベンゼンのエポキシ化物等が挙げられる。中でも、フェノール類のポリグリシジルエーテル、アルコール性水酸基を2個以上有する芳香族化合物のポリグリシジルエーテル化物、多価フェノール類のポリグリシジルエーテル化物、安息香酸類のポリグリシジルエステル、多塩基酸類のポリグリシジルエステルの群から選ばれる少なくとも一種を含有することが、組成物の低粘度化の観点から好ましい。芳香族エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールE型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物が、密着力に優れるため好ましい。
芳香族エポキシ化合物としては、市販品のものを用いることができ、例えば、デナコールEX−145、デナコールEX−146、デナコールEX−147、デナコールEX−201、デナコールEX−203、デナコールEX−711、デナコールEX−721、オンコートEX−1020、オンコートEX−1030、オンコートEX−1040、オンコートEX−1050、オンコートEX−1051、オンコートEX−1010、オンコートEX−1011、オンコート1012(ナガセケムテックス社製);オグソールPG−100、オグソールEG−200、オグソールEG−210、オグソールEG−250(大阪ガスケミカル社製);HP4032、HP4032D、HP4700(DIC社製);ESN−475V(新日鉄住金化学社製);エピコートYX8800(三菱化学社製);マープルーフG−0105SA、マープルーフG−0130SP(日油社製);エピクロンN−665、エピクロンHP−7200(DIC社製);EOCN−1020、EOCN−102S、EOCN−103S、EOCN−104S、XD−1000、NC−3000、EPPN−501H、EPPN−501HY、EPPN−502H、NC−7000L(日本化薬社製);アデカレジンEP−4000、アデカレジンEP−4005、アデカレジンEP−4100、アデカレジンEP−4901、アデカレジンEP−3300E、アデカレジンEP−3950S、KRM−430、KRM−501(ADEKA社製);TECHMORE VG−3101L(プリンテック社製)等が挙げられる。
また、芳香族エポキシ化合物の含有量は、初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスの観点から、カチオン重合性化合物100質量部中に30質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましく、5質量部以下がさらに好ましい。
<オキセタン化合物>
本発明の組成物においては、オキセタン化合物とは、オキセタン構造を有し、エポキシ構造を含まないものとする。
オキセタン化合物としては、3,7−ビス(3−オキセタニル)−5−オキサ−ノナン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,2−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エタン、1,3−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン、エチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、1,4−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ブタン、1,6−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ヘキサン、3−エチル−3−(3−エチル−3−オキセタニルメチルオキシメチル)オキセタン、キシリレンビスオキセタン等の二官能オキセタン化合物、3−エチル−3−[(フェノキシ)メチル]オキセタン、3−エチル−3−(ヘキシロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(ヒドロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(クロロメチル)オキセタン等の一官能オキセタン化合物等が挙げられ、二官能オキセタン化合物が好ましい。これにより、本発明の組成物は、より初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスに優れた硬化物を形成可能となるからである。
オキセタン化合物としては、カチオン重合性モノマーを主成分とする市販品のものを用いることができ、例えば、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル(丸善石油化学社製);アロンオキセタンOXT−121、OXT−221、EXOH、POX、OXA、OXT−101、OXT−211、OXT−212(東亞合成社製)、エタナコールOXBP、OXTP(宇部興産社製)等が挙げられる。
また、オキセタン化合物の含有量は、初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスにより優れたものとする観点から、カチオン重合性化合物100質量部中に30質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましく、5質量部以下がさらに好ましい。
<ビニルエーテル化合物>
ビニルエーテル化合物は、ビニルエーテル基を有し、エポキシ基等の環状エーテル基を有しないものである。ビニルエーテル化合物としては、具体的には、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、n−ドデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、1,6−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,6−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル等が挙げられる。
本発明の組成物においては、なかでも、ビニルエーテル化合物が、水酸基を有するヒドロキシビニルエーテルであることが好ましく、なかでも、下記一般式(6)で表される化合物であることが好ましい。水酸基およびビニルエーテル基の両者が、カチオン重合性化合物、芳香族アルコールと反応することが可能となる結果、本発明の組成物は、より初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスに優れた硬化物を形成可能となるからである。
CH=CH−O−A−OH (6)
ここで、一般式(6)中、Aは、炭素原子数1〜20の直鎖、分岐またはシクロアルキル環を有するアルキレン基を表す。
一般式(6)中のAに用いられる炭素原子数1〜20の直鎖、分岐またはシクロアルキル環を有するアルキレン基としては、一般式(1)に用いられるYとして用いられる基と同様の基を用いることができる。
本発明の組成物においては、一般式(6)中のAが、炭素原子数1〜10の直鎖、分岐またはシクロアルキル環を有するアルキレン基であることが好ましく、なかでも、炭素原子数2〜5の直鎖または分岐のアルキレン基であることが好ましく、特に、炭素原子数3〜4の直鎖のアルキレン基であることが好ましい。一般式(6)中のAが上述の構造であることで、本発明の組成物は、より初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスに優れた硬化物を形成可能となるからである。
ビニルエーテル化合物の含有量としては、初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスにより優れたものとする観点から、カチオン重合性化合物、芳香族アルコール、および酸発生剤の合計100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下が好ましく、2質量部以上15質量部以下がより好ましく、3質量部以上10質量部以下がより好ましい。
また、ビニルエーテル化合物の含有量は、初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスにより優れたものとする観点から、カチオン重合性化合物100質量部中に1質量部以上20質量部以下が好ましく、2質量部以上15質量部以下がより好ましく、3質量部以上10質量部以下がより好ましい。
また、ビニルエーテル化合物の含有量は、初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスにより優れたものとする観点から、本発明の組成物の固形分100質量部中に1質量部以上20質量部以下であることが好ましく、2質量部以上15質量部以下がより好ましく、3質量部以上10質量部以下がより好ましい。
<その他>
本発明の組成物においては、カチオン重合性化合物として、チイラン化合物、チエタン化合物等のその他の化合物も用いることもできる。このような、カチオン重合性化合物として用いることができるその他の化合物、環状ラクトン化合物、環状アセタール化合物、環状チオエーテル化合物、スピロオルトエステル化合物およびエチレン性不飽和化合物等のビニル化合物等については、特許第6103653号公報等に記載の内容と同様とすることができる。
カチオン重合性化合物は、本発明の組成物の塗工容易性、初期硬化速度等の観点からは、低分子量化合物を含むことが好ましい。また、低分子量化合物は、組成物中への分散性または溶解性等に優れるため、透明性に優れた硬化物を得ることができるからである。また、カチオン重合性化合物は、組成物の初期密着力等の観点からは、高分子量化合物を含むことも好ましい。特に、本発明の組成物においては、カチオン重合性化合物は、組成物の塗工容易性、初期硬化速度、初期密着力のバランスの観点からは、低分子量化合物および高分子量化合物の両者を含むことが好ましい。さらに、高分子量化合物は、低分子量化合物と共に用いられることで、本発明の組成物中への分散または溶解性が向上し、透明性に優れた硬化物を得ることができる。
低分子量化合物の分子量および高分子量化合物の分子量については、それぞれ上述した、低分子量の脂肪族エポキシ化合物および高分子量の脂肪族エポキシ化合物と同様とすることができる。
低分子量化合物の含有量は、所望の初期硬化速度および初期密着力が得られるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、密着力および透明性等のバランスの観点から、適宜調整されるものである。低分子量化合物の含有量については、具体的には、カチオン重合性化合物100質量部中に、50質量部以上99質量部以下とすることができ、70質量部以上98質量部以下であることが好ましく、なかでも、80質量部以上95質量部以下であることが好ましい。低分子量化合物の含有量をかかる範囲とすることで、本発明の組成物は、初期硬化速度および初期密着力に優れたものとなるからであり、特に密着力に優れると共に透明性に優れた硬化物を形成可能となるからである。
カチオン重合性化合物の含有量は、初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスにより優れたものとする観点から、本発明の組成物の固形分100質量部中に、50質量部以上であることが好ましく、70質量部以上であることが好ましく、特に、80質量部以上99質量部以下が好ましく、85質量部以上98質量部以下がより好ましい。
カチオン重合性化合物の含有量は、初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスにより優れたものとする観点から、本発明の組成物100質量部中に、50質量部以上であることが好ましく、70質量部以上であることが好ましく、特に、80質量部以上99質量部以下が好ましく、85質量部以上98質量部以下がより好ましい。
<1−2.芳香族アルコール>
本発明の組成物において、芳香族アルコールとは、芳香族環を有しているアルコールである。本発明の組成物は、この芳香族アルコールにより、優れた初期硬化速度および初期密着性を発揮することができる。
芳香族アルコールは、アルコール性水酸基を有するものであればよく、第1級アルコール、第2級アルコールおよび第3級アルコールのいずれも用いることができる。本発明の組成物においては、なかでも、芳香族アルコールは、第1級アルコールまたは第2級アルコールであることが好ましく、特に、第1級アルコールであることが好ましい。第1級アルコールまたは第2級アルコールを用いることで、本発明の組成物は、初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスにより優れたものとなるからである。
芳香族環としては特に限定はなく、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素環や炭素原子数2〜20の芳香族複素環を挙げることができる。
芳香族炭化水素環としては、環構造を形成する原子が全て炭素原子であるものであればよく、単環であっても縮合環であってもよく、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環等およびこれらの縮合環が挙げられる。
芳香族複素環としては、環構造を形成する原子に炭素原子以外の原子を含むものであればよく、単環であっても縮合環であってもよく、例えば、フラン環、ベンゾフラン環、ジベンゾフラン環、チオフェン環等が挙げられる。
芳香族環としては、環構造の合計数が2以上である場合、芳香環同士が縮合した縮合環を含むものに限定されず、ビフェニル、ベンゾフェノン等のように芳香環が二価の結合基により結合した構造を含むものであってもよい。
本発明の組成物においては、芳香族環が、芳香族炭化水素環であることが好ましく、特に、炭素原子数6〜10の芳香族炭化水素環であることがより好ましく、炭素原子数6の芳香族炭化水素環、すなわち、ベンゼン環であることが好ましい。芳香族環が上述の環構造を有することで、本発明の組成物は、初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスにより優れたものとなるからである。
本発明の組成物においては、芳香族アルコールが有するアルコール性水酸基の数は、1〜5が好ましく、1〜3がより好ましく、1〜2がさらに好ましく、1が最も好ましい。アルコール性水酸基の数がかかる範囲であることで、本発明の組成物は、初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスにより優れたものとなるからである。
また、分子量は90以上300以下であることが好ましく、95以上200以下であることが好ましく、100以上180以下であることが好ましく、特に、105以上160以下であることが好ましい。芳香族アルコールの分子量が上述の範囲であることで、本発明の組成物は、初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスにより優れたものとなるからである。
このような芳香族アルコールとしては、下記一般式(7)で表されるものが好ましい。かかる芳香族アルコールを用いることで、本発明の組成物は、初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスにより優れたものとなるからであり、特に密着力に優れると共に透明性に優れた硬化物を形成可能となるからである。
Figure 2020125435
ここで、一般式(7)中、芳香族環Arは炭素原子数6〜20の置換基を有してもよいp価の芳香族炭化水素環または炭素原子数2〜20の置換基を有してもよいp価の芳香族複素環であり、Bは一般式(8)で表される基(pが2以上の場合は、それぞれのBは同一であっても異なるものであってもよい。)であり、Yは炭素原子数1〜20の直鎖、分岐またはシクロアルキル環を有するアルキル基からq個の水素原子を除いた基である。また、pは1〜6を表し、qは1〜10を表す。
に用いられる炭素原子数1〜20の直鎖、分岐またはシクロアルキル環を有するアルキル基としては、一般式(1)に用いられるYで表される直鎖若しくは分岐の、またはシクロアルキル環を有する炭素原子数1〜20のアルキレン基と同様の基を用いることができる。
芳香族環Arに用いられる炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素環および炭素原子数2〜20の芳香族複素環としては、上述の芳香族アルコールに用いることができる芳香族環として挙げたものと同様とすることができる。また、芳香族環Arは、置換基B以外の置換基を有していてもよい。
かかる置換基としては、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10の直鎖、分岐またはシクロアルキル環を有するアルキル基であり、芳香族環Arの水素原子の1つまたは2つ以上を置換する置換基のメチレン基の1つまたは2つ以上は、−O−、−CO−、−CO−O−、−S−、等で置換されていてもよい。
なお、芳香族環Arの置換基B以外の置換基に用いられる炭素原子数1〜10の直鎖、分岐またはシクロアルキル環を有するアルキル基としては、一般式(1)に用いられるYで表される直鎖若しくは分岐の、またはシクロアルキル環を有する炭素原子数1〜20のアルキレン基のうち、炭素原子数1〜10のものを用いることができる。
としては、炭素原子数1〜20の直鎖、分岐またはシクロアルキル環を有するアルキル基からq個の水素原子を除いた基であることが好ましく、その炭素原子数は1〜10が好ましく、炭素原子数1〜5がより好ましく、炭素原子数1〜3がさらに好ましい。かかる構造の芳香族アルコールを用いることで、本発明の組成物は、初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスにより優れたものとなるからであり、特に密着力に優れると共に透明性に優れた硬化物を形成可能となるからである。
芳香族環Arは、置換基B以外に置換基を有してもよいが、置換基B以外の置換基を有しない無置換のもの、または、芳香族環Arの水素原子の1つまたは2つ以上がアルキル基またはアルコキシ基で置換されたものであることが好ましい。かかる構造であることで、本発明の組成物は、初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスにより優れたものとなるからであり、特に密着力に優れると共に透明性に優れた硬化物を形成可能となるからである。
芳香族環Arの置換基として用いられるアルキル基としては、炭素原子数1〜10のアルキル基がより好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基がより好ましく、特に好ましくは炭素原子数3〜5の分岐のアルキル基である。かかる置換基を用いることで、本発明の組成物は、初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスにより優れたものとなるからであり、特に密着力に優れると共に透明性に優れた硬化物を形成可能となるからである。
芳香族環Arの置換基として用いられるアルコキシ基(アルキル基の末端が−O−で置換されたものとして)としては、炭素原子数1〜10のアルコキシ基がより好ましく、炭素原子数1〜5のアルコキシ基がさらに好ましく、炭素原子数1〜3のアルコキシ基が特に好ましい。置換基の数は1〜3が好ましく、1〜2がより好ましく、1が特に好ましい。かかる構造の芳香族アルコールを用いることで、本発明の組成物は、初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスにより優れたものとなるからであり、特に密着力に優れると共に透明性に優れた硬化物を形成可能となるからである。
芳香族環Arの水素原子の1つまたは2つ以上を置換する置換基の結合位置としては、置換基Bの結合数、すなわち、pが1である場合には、置換基Bの結合位置に対して、メタ位またはパラ位であることが好ましい。例えば、置換基としてアルキル基を有する場合には、アルキル基の結合位置がメタ位であるもの、置換基としてアルコキシ基を有する場合には、アルコキシ基の結合位置がパラ位であるもの等を好ましく用いることができる。かかる構造の芳香族アルコールを用いることで、本発明の組成物は、初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスにより優れたものとなるからであり、特に密着力に優れると共に透明性に優れた硬化物を形成可能となるからである。
pは、芳香族環Arに結合する一般式(8)で表される置換基Bの数を表し、1〜6であればよいが、1〜3であることが好ましく、なかでも1〜2であることが好ましく、特に、1であることが好ましい。qは連結基Yに結合する水酸基の数を表し、1〜10であればよいが、1〜5であることが好ましく、なかでも、1〜3であることが好ましく、特に、1であることが好ましい。かかる置換基を用いることで、本発明の組成物は、初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスにより優れたものとなるからであり、特に密着力に優れると共に透明性に優れた硬化物を形成可能となるからである。
pおよびqが、かかる範囲であることで、本発明の組成物は、初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスにより優れたものとなるからであり、特に密着力に優れると共に透明性に優れた硬化物を形成可能となるからである。
本発明の組成物に用いることができる芳香族アルコールとしては、例えば、ベンジルアルコール、2−クロロベンジルアルコール、3−クロロベンジルアルコール、4−クロロベンジルアルコール、2−ブロモベンジルアルコール、3−ブロモベンジルアルコール、4−ブロモベンジルアルコール、2−ヨードベンジルアルコール、3−ヨードベンジルアルコール、4−ヨードベンジルアルコール、ジクロロベンジルアルコール等のハロゲン化ベンジルアルコール;2−メチルベンジルアルコール、3−メチルベンジルアルコール、4−メチルベンジルアルコール、ジメチルベンジルアルコール、3,4,5−トリメチルベンジルアルコール、4−エチルベンジルアルコール、4−イソプロピルベンジルアルコール、4−ブチルベンジルアルコール、4−tert−ブチルベンジルアルコール等のアルキル置換ベンジルアルコール;ジメトキシベンジルアルコール、2−エトキシベンジルアルコール、3−エトキシベンジルアルコール、4−エトキシベンジルアルコール、4−ブトキシベンジルアルコール、2−メトキシベンジルアルコール、3−メトキシベンジルアルコール、4−メトキシベンジルアルコール等のアルコキシ置換ベンジルアルコール;フェネチルアルコール、ベンゾイン、フェニルプロパノール等を挙げることができる。これらは、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物においては、芳香族アルコールの含有量は、初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスの観点から、カチオン重合性化合物、芳香族アルコール、および酸発生剤の合計100質量部に対して、2質量部以上20質量部以下が好ましい。2質量部未満では、上記効果を十分に得ることができない場合があり、一方、20質量部を超えると硬化性成分が少なくなり、十分な密着性が得られなくなる場合がある。2質量部以上15質量部以下がより好ましく、3質量部以上10質量部以下がさらに好ましく、4質量部以上8質量部以下が特に好ましい。本発明の組成物は、より初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスに優れた硬化物を形成可能となるからである。
また、芳香族アルコールの含有量は、初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスの観点から、カチオン重合性化合物100質量部に対して、2質量部以上15質量部以下であることが好ましく、3質量部以上10質量部以下であることがより好ましく、4質量部以上8質量部以下であることがさらに好ましい。
また、芳香族アルコールの含有量は、初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスの観点から、本発明の組成物の固形分100質量部中に2質量部以上15質量部以下が好ましく、3質量部以上10質量部以下がより好ましく、4質量部以上8以下がより好ましい。
また、芳香族アルコールの含有量は、初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスの観点から、本発明の組成物100質量部中に2質量部以上15質量部以下が好ましく、3質量部以上10質量部以下がより好ましく、4質量部以上8以下がより好ましい。
<1−3.酸発生剤>
本発明の組成物に用いられる酸発生剤は、可視光線、紫外線、X線、電子線、高周波のような活性エネルギー線(以下、単に「エネルギー線」とも称する。)照射により酸を発生させることが可能な化合物(以下、単に「光酸発生剤」とも称する。)、または加熱により酸を発生させることが可能な化合物(以下、単に「熱酸発生剤」とも称する。)である。
本発明の組成物には、光酸発生剤および熱酸発生剤のいずれも用いることができるが、感度の観点からは、光酸発生剤であることが好ましい。このような酸発生剤としては、例えば、オニウム塩、ナフタルイミドスルホネート化合物、オキシムスルホネート化合物、スルホニルイミド化合物、スルホン酸エステル等が挙げられ、中でも、本発明の効果をより良好に得る上で、オニウム塩およびナフタルイミドスルホネート化合物が好ましい。
オニウム塩である複塩またはその誘導体としては、例えば、下記一般式(9)で表される陽イオンと陰イオンの塩を挙げることができる。
[A]m+[B]m− (9)
ここで、陽イオン[A]m+はオニウムであることが好ましく、その構造は、例えば、下記一般式(10)で表すことができる。
[(RQ]m+ (10)
ここで、Rは炭素原子数が1〜60であり、炭素原子以外の原子をいくつ含んでいても構わない有機基である。aは1〜5の整数である。a個のRは各々独立で、同一でも異なっていても構わない。また、a個のRは、少なくとも1つが、芳香環を有する上記有機基である。QはS,N,Se,Te,P,As,Sb,Bi,O,I,Br,Cl,F,N=Nからなる群から選ばれる原子あるいは原子団である。また、陽イオン[A]m+中のQの原子価をqとしたとき、m=a−qなる関係が成り立つことが必要である。ただし、N=Nは原子価0として扱う。
また、陰イオン[B]m−は、ハロゲン化物錯体であることが好ましく、その構造は、例えば、下記一般式(11)で表すことができる。
[LXm− (11)
ここで、Lはハロゲン化物錯体の中心原子である金属または半金属(Metalloid)であり、B,P,As,Sb,Fe,Sn,Bi,Al,Ca,In,Ti,Zn,Sc,V,Cr,Mn,Co等である。Xはハロゲン原子である。bは3〜7の整数である。また、陰イオン[B]m−中のLの原子価をpとしたとき、m=b−pなる関係が成り立つことが必要である。
一般式(11)の陰イオン[LXm−の具体例としては、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[(CB]、テトラフルオロボレート(BF、ヘキサフルオロホスフェート(PF、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF、ヘキサフルオロアルセネート(AsF、ヘキサクロロアンチモネート(SbCl、トリス(ペンタフルオロメチル)トリフルオロリン酸イオン(FAPアニオン)等を挙げることができる。
また、陰イオン[B]m−は、下記一般式(12)で表される構造のものも好ましく用いることができる。
[LXb−1(OH)]m− (12)
ここで、L,X,bは上記と同様である。また、その他用いることのできる陰イオンとしては、過塩素酸イオン(ClO、トリフルオロメチル亜硫酸イオン(CFSO、フルオロスルホン酸イオン(FSO、トルエンスルホン酸陰イオン、トリニトロベンゼンスルホン酸陰イオン、カンファースルフォネート、ノナフロロブタンスルフォネート、ヘキサデカフロロオクタンスルフォネート、テトラアリールボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等を挙げることができる。
本発明の組成物では、このようなオニウム塩の中でも、下記の(a)〜(c)の芳香族オニウム塩を使用することが特に有効である。これらの中から、その1種を単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
(a)フェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、4−メトキシフェニルジアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−メチルフェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート等のアリールジアゾニウム塩
(b)ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジ(4−メチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、トリルクミルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等のジアリールヨードニウム塩
(c)下記群Iまたは群IIで表されるスルホニウムカチオンとヘキサフルオロアンチモンイオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートイオン等のスルホニウム塩
<群I>
Figure 2020125435
<群II>
Figure 2020125435
また、その他好ましいものとしては、(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)〔(1,2,3,4,5,6−η)−(1−メチルエチル)ベンゼン〕−アイアン−ヘキサフルオロホスフェート等の鉄−アレーン錯体や、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム、トリス(エチルアセトナトアセタト)アルミニウム、トリス(サリチルアルデヒダト)アルミニウム等のアルミニウム錯体とトリフェニルシラノール等のシラノール類との混合物等も挙げることができる。
これらの中でも、実用面と光感度の観点から、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、鉄−アレーン錯体を用いることが好ましく、下記一般式(13)で表される芳香族スルホニウム塩が、感度の点からさらに好ましい。また、本発明の組成物は、硬化速度および密着力に優れたものとなるからである。
Figure 2020125435
ここで、一般式(5)中、R101、R102、R103、R104、R105、R106、R107、R108、R109およびR110は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基または炭素原子数2〜10のエステル基を表し、R111、R112、R113およびR114は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭素原子数1〜10のアルキル基を表し、R115は、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基または下記化学式(A)〜(C)より選択されるいずれかの置換基を表し、Anq−はq価の陰イオンを表し、pは電荷を中性にする係数を表す。
Figure 2020125435
ここで、化学式(A)〜(C)中、R121、R122、R123、R144、R125、R126、R127、R128、R129、R130、R131、R132、R133、R134、R136、R137、R138、R139、R140、R141、R142、R143およびR144は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基または炭素原子数2〜10のエステル基を表し、R145、R146、R147、R148およびR149は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭素原子数1〜10のアルキル基を表し、*は、一般式(13)中のSとの結合位置を表す。
101、R102、R103、R104、R105、R106、R107、R108、R109、R110、R111、R112、R113、R114、R115、R121、R122、R123、R124、R125、R126、R127、R128、R129、R130、R131、R132、R133、R134、R136、R137、R138、R139、R140、R141、R142、R143、R144、R145、R146、R147、R148およびR149で表されるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
101、R102、R103、R104、R105、R106、R107、R108、R109、R110、R111、R112、R113、R114、R115、R121、R122、R123、R124、R125、R126、R127、R128、R129、R130、R131、R132、R133、R134、R136、R137、R138、R139、R140、R141、R142、R143、R144、R145、R146、R147、R148およびR149で表される炭素原子数1〜10のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、s−ブチル、t−ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、t−アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、エチルオクチル、2−メトキシエチル、3−メトキシプロピル、4−メトキシブチル、2−ブトキシエチル、メトキシエトキシエチル、メトキシエトキシエトキシエチル、3−メトキシブチル、2−メチルチオエチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ブロモメチル、ジブロモメチル、トリブロモメチル、ジフルオロエチル、トリクロロエチル、ジクロロジフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ノナフルオロブチル、デカフルオロペンチル、トリデカフルオロヘキシル、ペンタデカフルオロヘプチル、ヘプタデカフルオロオクチル、メトキシメチル、1,2−エポキシエチル、メトキシエチル、メトキシエトキシメチル、メチルチオメチル、エトキシエチル、ブトキシメチル、t−ブチルチオメチル、4−ペンテニルオキシメチル、トリクロロエトキシメチル、ビス(2−クロロエトキシ)メチル、メトキシシクロヘキシル、1−(2−クロロエトキシ)エチル、1−メチル−1−メトキシエチル、エチルジチオエチル、トリメチルシリルエチル、t−ブチルジメチルシリルオキシメチル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル、t−ブトキシカルボニルメチル、エチルオキシカルボニルメチル、エチルカルボニルメチル、t−ブトキシカルボニルメチル、アクリロイルオキシエチル、メタクリロイルオキシエチル、2−メチル−2−アダマンチルオキシカルボニルメチル、アセチルエチル、2−メトキシ−1−プロペニル、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、1−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシブチル、4−ヒドロキシブチル、1,2−ジヒドロキシエチル等が挙げられる。
101、R102、R103、R104、R105、R106、R107、R108、R109、R110、R121、R122、R123、R124、R125、R126、R127、R128、R129、R130、R131、R132、R133、R134、R136、R137、R138、R139、R140、R141、R142、R143およびR144で表される炭素原子数1〜10のアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、ブチルオキシ、s−ブチルオキシ、t−ブチルオキシ、イソブチルオキシ、ペンチルオキシ、イソアミルオキシ、t−アミルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロヘキシルメチルオキシ、テトラヒドロフラニルオキシ、テトラヒドロピラニルオキシ、2−メトキシエチルオキシ、3−メトキシプロピルオキシ、4−メトキシブチルオキシ、2−ブトキシエチルオキシ、メトキシエトキシエチルオキシ、メトキシエトキシエトキシエチルオキシ、3−メトキシブチルオキシ、2−メチルチオエチルオキシ、トリフルオロメチルオキシ等が挙げられる。
101、R102、R103、R104、R105、R106、R107、R108、R109、R110、R121、R122、R123、R124、R125、R126、R127、R128、R129、R130、R131、R132、R133、R134、R136、R137、R138、R139、R140、R141、R142、R143およびR144で表される炭素原子数2〜10のエステル基としては、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、フェノキシカルボニル、アセトキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、クロロアセチルオキシ、ジクロロアセチルオキシ、トリクロロアセチルオキシ、トリフルオロアセチルオキシ、t−ブチルカルボニルオキシ、メトキシアセチルオキシ、ベンゾイルオキシ等が挙げられる。
一般式(1)中のpAnq−で表されるq価のアニオンとしては、上述の陰イオン[B]m−として挙げたもののうち、所定の価数のアニオンを用いることができる。
本発明の組成物においては、R115が、化学式(A)〜(C)より選択されるものであることが好ましく、なかでも、化学式(A)または(C)より選択されるものであることが好ましい。R115が上述の構造を有することにより、硬化速度および密着力に優れたものとなるからである。本発明の組成物においては、酸発生剤の分散安定性の観点からは、R115が化学式(C)であるものであることが好ましい。一方、硬化速度および密着力により優れたものとする観点からは、R115が化学式(A)であるものであることが好ましい。本発明の組成物において、硬化速度および密着力に優れたものとする観点からは、酸発生剤は、R115が化学式(A)であるものと、化学式(C)であるものとの両者を含むことが好ましい。
酸発生剤は、R115が化学式(A)であるものと、化学式(C)であるものとの両者を含む場合、R115が化学式(A)であるもの含有量は、化学式(C)であるもの100質量部に対して、10質量部以上200質量部以下とすることができ、なかでも、50質量部以上、200質量部以下であることが好ましく、80質量部以上120質量部以下であることが好ましい。含有量をかかる範囲とすることで、硬化速度および密着力に優れたものとなるからである。
101、R102、R103、R104、R105、R106、R107、R108、R109、R110、R111、R112、R113およびR114は、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基または炭素原子数2〜10のエステル基であるが、なかでも、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基であることが好ましく、特に、水素原子であることが好ましい。上述の官能基であることで、本発明の組成物は、硬化速度および密着力に優れたものとなるからである。また、このような酸発生剤が合成容易なものとなるからである。
121、R122、R123、R124、R125、R126、R127、R128、R129、R130、R131、R132、R133、R134、R136、R137、R138、R139、R140、R141、R142、R143、R144、R145、R146、R147、R148およびR149は、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基であることが好ましく、特に、水素原子であることが好ましい。上述の官能基であることで、本発明の組成物は、硬化速度および密着力に優れたものとなる。また、このような酸発生剤は合成が容易であるという利点も有している。
また、ナフタルイミドスルホネート化合物としては、下記一般式(14)で表されるものが、実用面と光感度の観点から好ましい。
Figure 2020125435
一般式(14)中、R41は、炭素原子数1〜18の脂肪族炭化水素基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数7〜20のアリールアルキル基、アシル基で置換された炭素原子数7〜20のアリール基、炭素原子数3〜12の脂環式炭化水素基または10−カンファーイル基を表す。
脂肪族炭化水素基、アリール基、アリールアルキル基および脂環式炭化水素基は、置換基を有しないか、ハロゲン原子、炭素原子数1〜4のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜18のアルコキシ基および炭素原子数1〜18のアルキルチオ基から選ばれる基で置換される。
42、R43、R44、R45、R46およびR47は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、水酸基、ニトロ基、カルボキシル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜40のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数7〜20のアリールアルキル基または炭素原子数2〜20の複素環含有基を表す。
一般式(14)中のR41に用いられる炭素原子数1〜18の脂肪族炭化水素基としては、アルケニル基、アルキル基、アルキル基中のメチレン基が脂環式炭化水素基で置換された基、アルキル基中のメチレン基のプロトンが脂環式炭化水素基で置換された基またはアルキル基の末端に脂環式炭化水素基が存在する基が挙げられる。
41に用いられるアルケニル基としては、アリル、2−メチル−2−プロペニルが挙げられる。
41に用いられるアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第2ブチル、第3ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、第3アミル、ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、へプチル、2−へプチル、3−へプチル、イソへプチル、第3へプチル、オクチル、イソオクチル、第3オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、イソノニル、デシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシルが挙げられる。
41に用いられる脂環式炭化水素基としては、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル等が挙げられる。
一般式(14)中のR41、R42、R43、R44、R45、R46およびR47に用いられる炭素原子数6〜20のアリール基としては、例えば、フェニル、ナフチル、2−メチルフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、4−ビニルフェニル、3−イソプロピルフェニル、4−イソプロピルフェニル、4−ブチルフェニル、4−イソブチルフェニル、4−第三ブチルフェニル、4−ヘキシルフェニル、4−シクロヘキシルフェニル、4−オクチルフェニル、4−(2−エチルヘキシル)フェニル、2,3−ジメチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、3,4−ジメチルフェニル、3,5−ジメチルフェニル、2,4−ジ第3ブチルフェニル、2,5−ジ第3ブチルフェニル、2,6−ジ−第3ブチルフェニル、2,4−ジ第3ペンチルフェニル、2,5−ジ第3アミルフェニル、2,5−ジ第3オクチルフェニル、シクロヘキシルフェニル、ビフェニル、2,4,5−トリメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2,4,6−トリイソプロピルフェニル等が挙げられる。
一般式(14)中のR41、R42、R43、R44、R45、R46およびR47に用いられる炭素原子数7〜20のアリールアルキル基としては、例えば、べンジル、フェネチル、2−フェニルプロパン−2−イル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、スチリル、シンナミル等が挙げられる。
一般式(14)中のR41に用いられるアシル基で置換された炭素原子数7〜20のアリール基としては、例えば、アセチルフェニル基、アセチルナフチル基、ベンゾイルフェニル基、1−アントラキノリル基、2−アントラキノリル基等が挙げられる。
一般式(14)中のR41に用いられる炭素原子数3〜12の脂環式炭化水素基としては、例えば、これを構成するシクロアルカン名で例示すると、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロへプタン、シクロオクタン、シクロデカン、ビシクロ[2.1.1]ヘキサン、ビシクロ[2.2.1]へプタン、ビシクロ[3.2.1]オクタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、アダマンタンが挙げられる。
一般式(14)中のR42、R43、R44、R45、R46およびR47に用いられる置換基を有していてもよい炭素原子数1〜40のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、iso−プロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、iso−ブチル、アミル、iso−アミル、tert−アミル、シクロペンチル、ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、ヘプチル、2−ヘプチル、3−ヘプチル、iso−ヘプチル、tert−ヘプチル、1−オクチル、iso−オクチル、tert−オクチル、アダマンチル等が挙げられる。
一般式(14)中のR42、R43、R44、R45、R46およびR47に用いられる炭素原子数2〜20の複素環含有基としては、例えば、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピペリジン環、ピラン環、ピラゾリン環、トリアジン環、ピロリン環、キノリン環、イソキノリン環、イミダゾリン環、ベンゾイミダゾリン環、トリアゾリン環、フラン環、ベンゾフラン環、チアジアゾリン環、チアゾリン環、ベンゾチアゾリン環、チオフェン環、オキサゾリン環、ベンゾオキサゾリン環、イソチアゾリン環、イソオキサゾリン環、インドール環、ピロリジン環、ピペリドン環、ジオキサン環等の複素環とメチレン鎖を組み合わせた基が挙げられる。
置換基として用いられるハロゲン原子としては、塩素、臭素、ヨウ素、フッ素が挙げられる。
置換基として用いられる炭素原子数1〜4のハロゲン化アルキル基としては、トリフルオロメチル基等が挙げられる。
置換基として用いられる炭素原子数1〜18のアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、第3ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、へプチルオキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、ウンデシルオキシ、ドデシルオキシ、トリデシルオキシ、テトラデシルオキシ、ペンタデシルオキシ、ヘキサデシルオキシ、へプタデシルオキシ、オクタデシルオキシ等が挙げられる。
置換基として用いられる炭素原子数1〜18のアルキルチオ基としては、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、第2ブチルチオ、第3ブチルチオ、イソブチルチオ、アミルチオ、イソアミルチオ、第3アミルチオ、ヘキシルチオ、へプチルチオ、イソへプチルチオ、第3へプロチルチオ、オクチルチオ、イソオクチルチオ、第3オクチルチオ、2ーエチルヘキシルチオ、ノニルチオ、デシルチオ、ウンデシルチオ、ドデシルチオ、トリデシルチオ、テトラデシルチオ、ペンタデシルチオ、ヘキサデシルチオ、へプタデシルチオ、オクタデシルチオ等が挙げられる。
オキシムスルホネート化合物としては、一般式(15)で表されるものが、実用面と光感度の観点から好ましい。
Figure 2020125435
一般式(15)中、R51は、炭素原子数1〜18の脂肪族炭化水素基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数7〜20のアリールアルキル基、アシル基で置換された炭素原子数7〜20のアリール基、炭素原子数3〜12の脂環式炭化水素基または10−カンファーイル基を表す。
脂肪族炭化水素基、アリール基、アリールアルキル基および脂環式炭化水素基は、置換基を有しないか、ハロゲン原子、炭素原子数1〜4のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜18のアルコキシ基および炭素原子数1〜18のアルキルチオ基から選ばれる基で置換される。
52およびR53は、シアノ基、カルボキシル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜40のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数7〜20のアリールアルキル基または炭素原子数2〜20の複素環含有基を表す。
52およびR53は、互いに連結して五員環の複素環を形成していてもよい。
一般式(15)中のR51に用いられる炭素原子数1〜18の脂肪族炭化水素基は、R41に用いられるものと同様のものを用いることができる。
一般式(15)中のR51、R52およびR53に用いられる炭素原子数6〜20のアリール基は、R41等に用いられるものと同様のものを用いることができる。
一般式(15)中のR51、R52およびR53に用いられる炭素原子数7〜20のアリールアルキル基は、R41等に用いられるものと同様のものを用いることができる。
一般式(15)中のR51に用いられるアシル基で置換された炭素原子数7〜20のアリール基は、R41に用いられるものと同様のものを用いることができる。
一般式(15)中のR51に用いられる炭素原子数3〜12の脂環式炭化水素基は、R41に用いられるものと同様のものを用いることができる。
一般式(15)中のR52およびR53に用いられる置換基を有していてもよい炭素原子数1〜40のアルキル基は、R42等に用いられるものと同様のものを用いることができる。
一般式(15)中のR52およびR53に用いられる炭素原子数2〜20の複素環含有基は、R42等に用いられるものと同様のものを用いることができる。
一般式(15)中のR52およびR53が形成していてもよい五員環の複素環としては、フラン環、チオフェン環、ピロール環、ピロリジン環、ピラゾリジン環、ピラゾール環、イミダゾール環、イミダゾリジン環、オキサゾール環、イソキサゾール環、イソオキサゾリジン環、チアゾール環、イソチアゾール環、イソチアゾリジン環等が挙げられる。
置換基として用いられるハロゲン原子、炭素原子数1〜4のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜18のアルコキシ基および炭素原子数1〜18のアルキルチオ基としては、一般式(14)におけるものと同様のものを用いることができる。
本発明の組成物においては、酸発生剤の含有量としては、所望の初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスが得られるものであればよく、例えば、本発明の組成物の固形分100質量部中に、0.1質量部以上5質量部以下が好ましく、0.5質量部以上4質量部以下がより好ましく、0.6質量部以上2.5質量部以下がさらに好ましく、0.7質量部以上1.5質量部以下であることが特に好ましい。含有量をかかる範囲とすることで、本発明の組成物は、初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスに優れたものとなる。
また、酸発生剤の含有量は、硬化速度および密着力に優れると共に、塗布対象の腐食を抑制するとの観点からは、本発明の組成物の固形分100質量部中に0.1質量部以上2.5質量部以下が好ましく、0.5質量部以上1.5質量部以下がより好ましく、0.7質量部以上1.2質量部以下がさらに好ましく、2.0質量部以下であることが特に好ましい。
なお、酸発生剤の市販品では、酸発生剤を溶剤中に分散または溶解した形態のものがある。本発明の組成物において、酸発生剤の含有量の計算をする場合には、酸発生剤を分散等する溶剤を除いた含有量、すなわち、酸発生剤の固形分の含有量をいう。以下、カチオン重合性化合物に対する酸発生剤の含有量、酸発生剤に対する増感剤の含有量等についても、同様に、酸発生剤の固形分を基準に求められるものである。
本発明の組成物において、酸発生剤の含有量は、カチオン重合性化合物100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下が好ましく、0.3質量部以上5質量部以下であることがより好ましく、0.5質量部以上3質量部以下であることがさらに好ましく、0.7質量部以上2質量部以下であることが特に好ましい。酸発生剤の含有量をかかる範囲とすることで、本発明の組成物は、初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスにより優れたものとなる。
<1−4.ラジカル重合性化合物>
本発明の組成物は、ラジカル重合性化合物を含有していてもよい。本発明の組成物は、ラジカル重合性化合物を併用することで、硬化性を向上させることができる。ラジカル重合性化合物としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基等のエチレン性不飽和基を有する化合物を用いることができる。これらラジカル重合性化合物は、エチレン性不飽和基を1つ以上有する化合物を用いることができ、エチレン性不飽和基を1つ有する単官能化合物、エチレン性不飽和基を2以上有する多官能化合物のいずれも用いることができる。
このようなラジカル重合性化合物としては、例えば、不飽和脂肪族炭化水素、不飽和多塩基酸、不飽和一塩基酸および多価アルコールまたは多価フェノールのエステル、不飽和多塩基酸の酸無水物、不飽和一塩基酸および多価アミンのアミド、不飽和アルデヒド、不飽和芳香族化合物、不飽和ケトン、ビニルエーテル、不飽和イミド、インデン類、脂肪族共役ジエン類、重合体分子鎖の末端にモノアクリロイル基やメタアクリロイル基を有するマクロモノマー類、ビニルクロリド、ビニリデンクロリド、ジビニルスクシナート、ジアリルフタラート、トリアリルホスファート、トリアリルイソシアヌラート、ビニルチオエーテル、ビニルイミダゾール、ビニルオキサゾリン、ビニルカルバゾール、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、水酸基含有ビニルモノマーおよびポリイソシアネート化合物のビニルウレタン化合物、水酸基含有ビニルモノマーおよびエポキシ化合物のビニルエポキシ化合物、水酸基含有多官能アクリレートと他官能イソシアネートの反応物、水酸基含有多官能アクリレートと二塩基酸無水物の反応物である酸価を有する多官能アクリレート等が挙げられる。
また、ラジカル重合性化合物として、多官能アクリレート化合物、多官能メタクリレート化合物、水酸基を有するアクリレート化合物またはメタクリレート化合物等も用いることができる。
本発明の組成物においては、特に、硬化性が向上するとの観点から、多官能アクリレート化合物、多官能メタクリレート化合物、水酸基を有するアクリレート化合物またはメタクリレート化合物を好適に用いることができる。多官能であることで、架橋密度の高い硬化物を形成することができ、その結果、密着性等に優れた硬化物を得ることができるからである。また、水酸基を有することで、カチオン重合性化合物および芳香族アルコールが水酸基を有する重合体を得ることで得られる被接着物との密着力と同様の理由により、密着力に優れたものとなるからである。なかでも本発明においては、ラジカル重合性化合物として、水酸基を有するアクリレート化合物またはメタクリレート化合物を好ましく用いることができる。初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスにより優れたものとなるからである。
水酸基を有するアクリレート化合物および水酸基を有するメタクリレート化合物としては、モノマーまたはオリゴマー等の低分子量の材料が使用され、具体的には分子量100〜1000の範囲、好ましくは分子量110〜700の範囲のものを用いることができる。
水酸基を有するアクリレート化合物および水酸基を有するメタクリレート化合物の具体的例としては、単官能であっても、多官能であってもよく、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシエチルメタクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等が挙げられる。水酸基を有するアクリレート化合物および水酸基を有するメタクリレート化合物は1種単独で使用してもよく、または2種以上を併用してもよい。
市販品としてはアロニックスM−5700(東亞合成社製)、4HBA、2HEA、CHDMMA(以上、日本化成社製)、BHEA、HPA、HEMA、HPMA(以上、日本触媒社製)、ライトエステルHO、ライトエステルHOP、ライトエステルHOA(以上、共栄社化学社製)等が挙げられる。
このうち、特に2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレートが好ましく用いられる。また、粘度調整の容易さ等から単官能アクリレート化合物および単官能メタクリレート化合物が好ましく用いられる。
水酸基を有するアクリレート化合物および水酸基を有するメタクリレート化合物の含有量は、初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスにより優れたものとする観点から、カチオン重合性化合物、芳香族アルコール、酸発生剤、およびラジカル重合性化合物の合計100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下が好ましく、5質量部以上15質量部以下であることがより好ましい。
また、水酸基を有するアクリレート化合物および水酸基を有するメタクリレート化合物の含有量は、初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスにより優れたものとする観点から、本発明の組成物の固形分100質量部中に1質量部以上20質量部以下が好ましく、5質量部以上15質量部以下がより好ましい。
多官能アクリレート化合物および多官能メタクリレート化合物としては、2〜6官能のアクリレート化合物および2〜6官能のメタクリレート化合物を好適に用いることができる、特に好ましくは、2官能アクリレート化合物および2官能メタクリレート化合物である。2〜6官能のものを用いることで、本発明の組成物は、初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスにより優れたものとなるからである。
2官能アクリレート化合物および2官能メタクリレート化合物の具体例としては、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート等のジオールのジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールにエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドの少なくとも何れか1種を付加して得たジオールのジアクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート等のグリコールのジアクリレート、ビスフェノールA EO(エチレンオキサイド)付加物ジアクリレート、ビスフェノールA PO(プロピレンオキサイド)付加物ジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、水素添加ジシクロペンタジエニルジアクリレート、シクロヘキシルジアクリレート等の環状構造を有するジアクリレート化合物等の、水酸基を有しない多官能アクリレートおよび水酸基を有しない多官能メタクリレート等が挙げられる。多官能(メタ)アクリレート化合物は1種単独で使用してもよく、または2種以上を併用してもよい。
市販されているものとしては、ライトアクリレート1,6HX−A、1,9ND−A、3EG−A、4EG−A、(共栄社化学社製)、HDDA、1,9−NDA、DPGDA、TPGDA(ダイセル・サイテック社製)、ビスコート#195、#230、#230D、#260、#310HP、#335HP、#700HV、(大阪有機化学工業社製)、アロニックスM−208、M−211B、M−220、M−225、M−240、M−270(東亞合成社製)等が挙げられる。
これらの中でも、粘度および相溶性の観点から、炭素原子数4〜12のアルキル鎖を有するジオールのジアクリレート、特に1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレートが好ましい。
多官能アクリレート化合物および多官能メタクリレート化合物の含有量は、初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスにより優れたものとする観点から、カチオン重合性化合物、芳香族アルコール、酸発生剤、およびラジカル重合性化合物の合計100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下が好ましく、5質量部以上15質量部以下であることがより好ましい。
また、本発明の組成物においては、多官能アクリレート化合物および多官能メタクリレート化合物の含有量は、初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスにより優れたものとする観点から、本発明の組成物の固形分100質量部中に1質量部以上20質量部以下が好ましく、5質量部以上15質量部以下がより好ましい。
本発明の組成物においては、ラジカル重合性化合物の含有量は、初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスにより優れたものとする観点から、本発明の組成物の固形分100質量部中に1質量部以上20質量部以下が好ましく、5質量部以上15質量部以下がより好ましい。
また、本発明の組成物においては、ラジカル重合性化合物の含有量は、初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスにより優れたものとする観点から、本発明の組成物100質量部中に1質量部以上20質量部以下が好ましく、5質量部以上15質量部以下がより好ましい。
<1−5.ラジカル重合開始剤>
本発明の組成物は、カチオン重合性化合物、芳香族アルコール、および酸発生剤を含むものであるが、本発明の組成物がラジカル重合性化合物を含有する場合、ラジカル重合開始剤を含んでいてもよい。ラジカル重合性化合物の重合が容易となるからである。ラジカル重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤および熱ラジカル重合開始剤のいずれも用いることができるが、硬化速度等に優れる等の観点からは、光ラジカル重合開始剤であることが好ましい。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテルおよびベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインブチルエーテル等のベンゾイン類;ベンジルジメチルケタール等のベンジルケタール類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ベンジル−1−ジメチルアミノ−1−(4’−モルホリノベンゾイル)プロパン、2−モルホリル−2−(4’−メチルメルカプト)ベンゾイルプロパン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1−ヒドロキシ−1−ベンゾイルシクロヘキサン、2−ヒドロキシ−2−ベンゾイルプロパン、2−ヒドロキシ−2−(4’−イソプロピル)ベンゾイルプロパン、N,N−ジメチルアミノアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、4−ブチルベンゾイルトリクロロメタン、4−フェノキシベンゾイルジクロロメタン等のアセトフェノン類;2−メチルアントラキノン、1−クロロアントラキノンおよび2−アミルアントラキノン等のアントラキノン類;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントンおよび2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーズケトンおよび4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド等のオキサイド類;3−(2−メチル−2−モルホリノプロピオニル)−9−メチルカルバゾール等のカルバゾール類;ベンジル、ベンゾイル蟻酸メチル等のα−ジカルボニル類;特開2000−80068号公報、特開2001−233842号公報、特開2005−97141号公報、特表2006−516246号公報、特許第3860170号公報、特許第3798008号公報、WO2006/018973号公報、特開2011−132215号公報、WO2015/152153号公報に記載の化合物等のオキシムエステル類;p−メトキシフェニル−2,4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ナフチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−ブトキシスチリル)−s−トリアジン等のトリアジン類;過酸化ベンゾイル、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、エチルアントラキノン、1,7−ビス(9’−アクリジニル)ヘプタン、チオキサントン、1−クロル−4−プロポキシチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンゾフェノン、フェニルビフェニルケトン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、2−(p−ブトキシスチリル)−5−トリクロロメチル−1,3,4−オキサジアゾール、9−フェニルアクリジン、9,10−ジメチルベンズフェナジン、ベンゾフェノン/ミヒラーズケトン、ヘキサアリールビイミダゾール/メルカプトベンズイミダゾール、チオキサントン/アミン等が挙げられる。
熱ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブチルバレレート、ジクミルパーオキサイド等の過酸化物類;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物類;テトラメチルチラウムジスルフィド等が挙げられる。
ラジカル重合開始剤の含有量としては、密着力に優れた組成物を得られるものであればよい。例えば、ラジカル重合性化合物100質量部に対して、1質量部以上50質量部以下が好ましく、5質量部以上30質量部以下がより好ましく、15質量部以上25質量部以下がさらに好ましい。ラジカル重合開始剤の含有量をかかる範囲とすることで、本発明の組成物は、密着力に優れたものとなる。
ラジカル重合開始剤の含有量としては、密着力に優れた組成物を得られるものであればよい。例えば、固形分全量100質量部に対して、0.01質量部以上20質量部以下が好ましく、0.1質量部以上10質量部以下がより好ましく、0.5質量部以上5質量部以下がさらに好ましく、1質量部以上3質量部以下が特に好ましい。ラジカル重合開始剤の含有量をかかる範囲とすることで、本発明の組成物は、密着力に優れたものとなる。
<1−6.溶剤>
本発明の組成物は、必要に応じて、上記各成分を溶解または分散可能な溶剤を含んでもよい。溶剤としては、25℃、大気圧下で液状であり、組成物の各成分を分散または溶解可能なものである。また、溶剤は、カチオン重合性化合物、芳香族アルコール、および酸発生剤等と反応しないものである。したがって、例えば、カチオン重合性化合物に分類されるものは、25℃、大気圧下で液状であっても、本発明の組成物においては、溶剤に該当しない。
このような溶剤としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネートおよびジエチルカーボネート等のカーボネート類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノン等のケトン類;エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコールおよびジプロピレングリコールモノアセテートのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテルまたはモノフェニルエーテル等の多価アルコール類およびその誘導体;ジオキサンのような環式エーテル類;蟻酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ピルビン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート等のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;γ−カプロラクトン、δ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、ジメチル−ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−バレロラクトン、およびγ−ブチロラクトン等のラクトン類等が挙げられ、これらの溶媒は1種または2種以上の混合溶媒として使用することができる。溶剤の中でも、多価アルコール類の誘導体、ラクトン類、カーボネート類であることが好ましく、特に、カーボネート類であることが好ましく、なかでも特に、プロピレンカーボネートであることが好ましい。有機溶剤としてこれらを用いることで、本発明の組成物は、初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランス優れたものとなるからである。
本発明の組成物においては、溶剤の含有量としては、本発明の組成物を接着剤として使用容易とする観点からは、本発明の組成物100質量部中、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましく、1質量部以下がさらに好ましく、0質量部が最も好ましい。
<1−7.その他の成分>
本発明の組成物は、カチオン重合性化合物、芳香族アルコール、および酸発生剤を必須成分とし、必要に応じて上述のラジカル重合性化合物、ラジカル重合開始剤、溶剤等を有するものであるが、さらに必要に応じてその他の成分を含むものであってもよい。
その他の成分としては、例えば、必要に応じて、チオール化合物、無機フィラー、有機フィラー、顔料、シランカップリング剤、染料等の着色剤、光増感剤、消泡剤、増粘剤、チクソ剤、界面活性剤、レベリング剤、難燃剤、可塑剤、安定剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、静電防止剤、流動調整剤および密着促進剤等の各種樹脂添加物等を含むことができる。
チオール化合物としては、例えば、特開2016−102185号公報に記載のチオール化合物を用いることができる。
紫外線吸収剤および酸化防止剤としては、フェノール性水酸基が保護基で保護され、加熱等により保護基を脱離することで、紫外線吸収剤または酸化防止剤としての機能が発現する潜在性添加剤も用いることができる。このような潜在性添加剤としては、例えば、WO2017/170465号公報に記載の潜在性添加剤を挙げることができる。
これらのその他の成分の合計の含有量は、カチオン重合性化合物、芳香族アルコール、および酸発生剤の合計100質量部に対して、30質量部以下が好ましい。
<1−8.組成物の製造方法>
本発明の組成物の製造方法としては、各成分を均一に混合できる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、公知の混合方法を用いることができる。混合方法については、公知の混合装置を用いる方法を採用でき、例えば、3本ロール、サンドミル、ボールミル等を用いる方法を用いることができる。
<1−9.用途>
本発明の組成物の用途としては、初期硬化速度、初期密着性および密着性が要求される硬化物を形成して使用する用途であれば特に限定されるものではなく、光学フィルム、接着剤、メガネ、撮像用レンズに代表される光学材料、塗料、コーティング剤、ライニング剤、インキ、高屈折材料、水溶性材料、半導体・ディスプレイ・MEMS・医療機器用レジスト、液状レジスト、印刷版、絶縁ワニス、絶縁シート、積層板、プリント基盤、半導体装置用・LEDパッケージ用・液晶注入口用・有機EL用・光素子用・電気絶縁用・電子部品用・分離膜用等の封止剤、成形材料、パテ、ガラス繊維含浸剤、目止め剤、半導体用・太陽電池用等のパッシベーション膜、層間絶縁膜、保護膜、カラーフィルターの保護膜、スペーサー、DNA分離チップ、マイクロリアクター、ナノバイオデバイス、ハードディスク用記録材料、固体撮像素子、発光ダイオード、有機発光デバイス、ルミネセントフィルム、蛍光フィルム、アクチュエーター、ホログラム、プラズモンデバイス、偏光板、偏光フィルム、位相差フィルム、液晶表示装置のバックライトに使用されるプリズムレンズシート、プロジェクションテレビ等のスクリーンに使用されるフレネルレンズシート、レンチキュラーレンズシート等のレンズシートのレンズ部、またはこのようなシートを用いたバックライト等、マイクロレンズ等の光学レンズ、光学素子、光コネクター、光導波路、光学的造形用注型剤等を挙げることができる。本発明の組成物においては、なかでも、用途が、接着剤であることが好ましい。本発明の組成物の特徴を効果的に発揮できるからである。
本発明の組成物を接着剤として用いる場合、被接着物および本発明の組成物の硬化物を含む部材が形成される被形成物の材質としては、有機材料および無機材料のいずれであってもよい。
有機材料としては、例えば、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース等のセルロースエステル;ポリアミド、ポリイミド;ポリウレタン;エポキシ樹脂;ポリカーボネート;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリスチレン;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリテトラフルオロエチレン、シクロオレフィンポリマー等のポリオレフィン;ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル等のビニル化合物;ポリメチルメタクリレート、ポリアクリル酸エステル等のアクリル系樹脂;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルケトン;ポリエーテルイミド;ポリオキシエチレン、ノルボルネン樹脂;液晶材料等の高分子材料等を挙げることができる。
無機材料としては、例えば、ソーダガラスおよび石英ガラス等のガラス、鉄、銅、アルミニウム、ステンレス等の金属、その酸化物(金属酸化物)等を挙げることができる。
本発明の組成物は、例えば、カレンダー、ロール、Tダイ押出、インフレーション等の製膜法によりシート状に製膜することができる。接着の際には、例えば、シート状の接着剤の一方の面を被接着物に貼付した後、加熱または光照射を行って、被接着物に貼付されたシート状接着剤の他方の面を他の被接着物に貼付けることにより、使用することができる。また、シート状の接着剤の一方の面を被接着物に貼付した後、被接着物に貼付されたシート状接着剤の他方の面を他の被接着物に貼付けしてから、加熱または光照射を行ってもよい。
[2.硬化物]
本発明の硬化物は、本発明の組成物からなるものであり、カチオン重合性化合物に由来する構造単位を含む重合体を有するものである。本発明の硬化物の形状については、用途等に応じて適宜設定することができる。なお、本発明の硬化物の用途等については、「1.組成物」の項に記載の内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。また、本発明の組成物については、「A.組成物」の項に記載の内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。さらに、本発明の硬化物の製造方法については、カチオン重合性化合物同士を重合し、組成物を硬化できる方法であればよく、例えば、後述する「3.硬化物の製造方法」の項に記載の内容と同様とすることができる。
[3.硬化物の製造方法]
次に、本発明の硬化物の製造方法について説明する。
本発明の硬化物の製造方法は、本発明の組成物を硬化する硬化工程を有する。本発明の硬化物の製造方法によれば、本発明の組成物が上述の成分を含むものであるため、密着力に優れた硬化物を容易に得ることができる。以下、本発明の硬化物の製造方法に含まれる各工程について説明する。
<3−1.硬化工程>
硬化工程とは、本発明の組成物を硬化する工程である。本工程における本発明の組成物を硬化する方法としては、カチオン重合性化合物に由来する構造単位を含む重合体を形成できる方法であればよい。
このような方法としては、例えば、本発明の組成物として、酸発生剤から酸を発生し、その酸によりカチオン重合性化合物同士を重合する方法を用いることができる。酸発生剤から酸を発生する方法としては、酸発生剤の種類等に応じて異なるものであるが、例えば、加熱または光照射を行う方法とすることができ、加熱および光照射の双方を組み合わせてもよい。
本工程において、酸発生剤から酸を発生するために用いられる光照射の光源としては、例えば、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、水銀蒸気アーク灯、キセノンアーク灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、蛍光灯、タングステンランプ、エキシマーランプ、殺菌灯、発光ダイオード、CRT光源等から得られる2000オングストロームから7000オングストロームの波長を有する電磁波エネルギーや電子線、X線、放射線等の高エネルギー線を利用することができる。好ましくは、波長300〜450nmの光を発光する超高圧水銀ランプ、水銀蒸気アーク灯、カーボンアーク灯、キセノンアーク灯等が挙げられる。また、本発明の組成物はLED光源を照射により硬化させることが可能である。LED光源からのエネルギー線としては、紫外線が挙げられる。LED光源からのエネルギー線の波長としては、350nm〜405nmが挙げられる。
照射される光としては、レーザー光を用いてもよい。露光光源にレーザー光を用いることにより、マスクを用いずに、コンピューター等のデジタル情報から直接画像を形成するレーザー直接描画法が、生産性のみならず、解像性や位置精度等の向上も図れることから有用であり、そのレーザー光としては、340〜430nmの波長の光が好適に使用されるが、エキシマーレーザー、窒素レーザー、アルゴンイオンレーザー、ヘリウムカドミウムレーザー、ヘリウムネオンレーザー、クリプトンイオンレーザー、各種半導体レーザーおよびYAGレーザー等の可視から赤外領域の光を発するものも用いられる。これらのレーザーを使用する場合には、可視から赤外の当該領域を吸収する増感色素が加えられる。また、ハーフトーンマスクを使用して用いることもできる。エネルギー線を照射する工程の後、室温で一晩または40℃以上100℃以下で1分間以上10分間以下にて熱養生して、硬化を確実にすることが好ましい。
光照射強度は、組成物の組成によって適宜決定され、特に限定されないが、酸発生剤の活性化に有効な波長領域の照射強度が0.1mW/cm以上6000mW/cm以下であることが好ましい。照射強度が0.1mW/cm以上である場合、反応時間が長くなりすぎず、6000mW/cm2以下である場合、光源から輻射される熱および組成物の硬化時の発熱によるエポキシ樹脂の黄変を生じるおそれが少ない。光照射時間は、硬化させる組成物の組成ごとに制御されるものであって特に限定されないが、照射強度と照射時間との積として表される積算光量が10mJ/cm以上10000mJ/cm以下となるように設定されることが好ましい。組成物に対する積算光量が10mJ/cm以上である場合、酸発生剤由来の活性種を十分量発生させて硬化反応をより確実に進行させることができ、10000mJ/cm以下である場合、照射時間が長くなりすぎず、良好な生産性を維持できる。
本工程において、酸発生剤から酸を発生するために用いられる加熱処理の条件としては、本発明の組成物を安定的に硬化できるものであればよく、60℃以上、好ましくは100℃以上300℃以下とすることができる。加熱時間としては、10秒〜3時間程度とすることができる。
本発明の硬化物の製造方法においては、重合方法の種類は、1種類のみを含むものであってもよく、2種類以上を含むものであってもよい。
<3−2.その他の工程>
本発明の硬化物の製造方法は、必要に応じてその他の工程を有するものであってもよい。このような工程としては、硬化工程後に、硬化物を加熱処理するポストベーク工程、硬化工程前に、本発明の組成物を加熱処理して、本発明の組成物中の溶剤を除去するプリベーク工程、硬化工程前に、本発明の組成物の塗膜を形成する塗膜形成工程、本発明の組成物の硬化物を形成する被接着物への表面処理工程等を挙げることができる。
塗膜形成工程で、本発明の組成物を塗布する方法としては、スピンコーター、ロールコーター、バーコーター、ダイコーター、カーテンコーター、各種の印刷、浸漬等の公知の方法を用いることができる。なお、塗膜は、基材上に形成することができる。
基材としては、硬化物の用途等に応じて適宜設定することができ、上記「1.組成物」の項に記載の硬化物が形成される対象等を挙げることができる。また、本発明の硬化物は、基材上で形成された後、基材から剥離して用いても、基材から他の被着体に転写して用いてもよい。
プリベーク工程における加熱条件としては、本発明の組成物中の溶剤を除去できるものであればよく、例えば、70℃以上150℃以下で30秒〜300秒間とすることができる。
ポストベーク工程における加熱条件としては、硬化工程により得られた硬化物の強度等を向上できるものであればよく、例えば、200℃以上250℃以下で20分間〜90分間とすることができる。本発明の組成物の硬化物は、密着力により優れたものとなるからである。
表面処理工程で、組成物の硬化物を形成する被接着物への表面処理の方法としては、表面処理被接着物に対するコロナ放電処理、火炎処理、高周波処理、紫外線処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理等が挙げられる。
本発明の組成物、その硬化物および硬化物の製造方法は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1〜6に示す組成の組成物を調製し、下記の条件にしたがって初期硬化速度、初期密着力およびその後の密着力の評価を行った。なお、表中の数値は、質量部を表す。
[密着力]
実施例および比較例で得られた各組成物を、硬化後の厚みが3μmとなるように、一枚のPMMAフィルム(住友化学(株)製テクノロイ125S001)にそれぞれ塗布した後、もう一枚のコロナ放電処理を施したCOP(シクロオレフィンポリマー、日本ゼオン(株)製:品番ゼオノアフィルム14−060)フィルムとラミネーターを用いて貼り合わせ、メタルハライドランプを用いて1000mJ/cmに相当する光をCOPフィルム越しに照射し、組成物を硬化した。その後、30℃、50%RH、大気圧条件下で24時間静置した後に、2.5cm幅に切り出して評価用サンプルAとし、90°ピール試験を行った。
90°ピール試験は、25℃条件下、評価用サンプルを引っ張り試験機FTN1−13A(アイコーエンジニアリング社製)でCOPフィルムを90°方向に引っ張って剥がし、COPフィルムがPMMAフィルムから剥離する際の最大強度を接着力として測定することで得た。評価は下記基準で行った。結果を下記表1〜6に示す。なお、最大強度が大きい程密着力に優れると判断できる。
++:2N以上である。
+:1N以上2N未満である。
−:1N未満である。
[初期密着力]
30℃、50%RH、大気圧条件下で24時間静置する処置を行わなかった以外は、密着力の評価と同様の手順で評価サンプルを作製した。次いで、この評価サンプルを2.5cm幅に切り出して密着力評価用の評価サンプルBとした。この評価サンプルBを、メタルハライドランプによる光照射完了から10分静置後に、密着力の評価と同様の90°ピール試験を行い、COPフィルムがPMMAフィルムから剥離する際の最大強度を接着力として測定することで得た。評価は下記基準で行った。結果を下記表1〜6に示す。なお、最大強度が大きい程密着力に優れると判断できる。
++:1N以上である。
+:0.5N以上1N未満である。
−:0.5N未満である。
[初期硬化速度]
実施例および比較例で得られた各組成物を光化学反応熱熱量計(光DSC、(株)日立ハイテクサイエンス社製DSC−7000X)を用い、光照射時の初期発熱量を測定して硬化性評価とした。試料は各10mg、光照射の条件は、室温(25℃)で365nmの光源を用いて50mWで200mJ照射し、その際に観察される発熱量から初期硬化速度を算出した。初期硬化速度の算出方法は、発熱量を、横軸時間min、縦軸μWでプロットし、UV照射開始時からピークトップまでの傾き(μW/min)を測定することで得た。なお、傾きが大きい程初期硬化速度が速いと判断できる。
++:初期硬化速度(傾き(μW/min))が5×10以上である。
+:初期硬化速度(傾き(μW/min))が4×10以上5×10未満である。
−:初期硬化速度(傾き(μW/min))が4×10未満である。
Figure 2020125435
Figure 2020125435
Figure 2020125435
Figure 2020125435
Figure 2020125435
Figure 2020125435
A1:脂肪族エポキシ化合物(一般式(1)で表される化合物(低分子量化合物))
Figure 2020125435
A2:脂肪族エポキシ化合物(一般式(1)で表される化合物(低分子量化合物))
Figure 2020125435
A3:脂肪族エポキシ化合物(脂肪族エポキシポリマーa(メチルメタクリレート70質量部とグリシジルメタクリレート30質量部との共重合体、重量平均分子量Mw15000)、高分子量化合物))
Figure 2020125435
A4:脂環式エポキシ化合物(セロキサイド2021P(ダイセル社製、一般式(2)で表される化合物、低分子量化合物))
Figure 2020125435
A5:脂環式エポキシ化合物(セロキサイド3000(ダイセル社製、一般式(3)で表される化合物、低分子量化合物))
Figure 2020125435
A6:オキセタン化合物(OXT−221(東亞合成社製、二官能オキセタン化合物))
Figure 2020125435
A7:芳香族エポキシ化合物(1価フェノールのアルキレンオキサイド付加物のモノグリシジルエーテル化物(低分子量化合物))
Figure 2020125435
A8:芳香族エポキシ化合物(ビスフェノールA型エポキシ化合物(低分子量化合物))
Figure 2020125435
A9:4−ヒドロキシブチルビニルエーテル
Figure 2020125435
B1:ベンジルアルコール
Figure 2020125435
B2:4−イソプロピルベンジルアルコール
Figure 2020125435
B3:2−メトキシベンジルアルコール
Figure 2020125435
B4:フェネチルアルコール
Figure 2020125435
B5:フェニルプロパノール
Figure 2020125435
C1:トリプロピレングリコール
Figure 2020125435
C2:ジプロピレングリコール
Figure 2020125435
C3:2,2−ジメチル−1−プロパノール
Figure 2020125435
D1:1,6−ヘキサンジオールアクリレート
Figure 2020125435
D2:4−ヒドロキシブチルアクリレート
Figure 2020125435
E1:ET−2201(増感剤)
Figure 2020125435
F1:東レダウコーニング社製SH−29 Paint additive(レベリング剤)
G1:酸発生剤(芳香族スルホニウム塩、下記2種類の化合物の混合物の50質量%プロピレンカーボネート溶液)
Figure 2020125435
G2:LUNA200(DKSHジャパン社製)
表1〜6より、本発明の組成物は、初期硬化速度、初期密着性およびその後の密着性のバランスに優れた硬化物を得ることができることがわかる。

Claims (12)

  1. カチオン重合性化合物と、芳香族アルコールと、酸発生剤と、を含有することを特徴とする組成物。
  2. 前記カチオン重合性化合物が、脂肪族エポキシ化合物および脂環式エポキシ化合物のうち少なくとも一方を含む請求項1記載の組成物。
  3. 前記カチオン重合性化合物が、脂肪族エポキシ化合物および脂環式エポキシ化合物の両者を含む請求項2記載の組成物。
  4. 前記脂肪族エポキシ化合物および前記脂環式エポキシ化合物の合計量が、前記カチオン重合性化合物100質量部に対して35質量部以上である請求項3記載の組成物。
  5. 前記カチオン重合性化合物が、ビニルエーテル化合物を含む請求項1〜4のうちいずれか一項記載の組成物。
  6. 前記芳香族アルコールが、第1級アルコールまたは第2級アルコールである請求項1〜5のうちいずれか一項記載の組成物。
  7. 前記芳香族アルコールの含有量が、前記カチオン重合性化合物、前記芳香族アルコール、および前記酸発生剤の合計量100質量部中、2質量部以上20質量部以下である請求項1〜6のうちいずれか一項記載の組成物。
  8. さらに、ラジカル重合性化合物を含む請求項1〜7のうちいずれか一項記載の組成物。
  9. 前記ラジカル重合性化合物が、水酸基を有するアクリレートまたはメタクリレートである請求項8記載の組成物。
  10. 接着剤用である請求項1〜9のうちいずれか一項記載の組成物。
  11. 請求項1〜10のうちいずれか一項記載の組成物からなることを特徴とする硬化物。
  12. 請求項1〜10のうちいずれか一項記載の組成物を硬化する硬化工程を有することを特徴とする硬化物の製造方法。
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