JP2021066773A - 組成物、硬化物及び硬化物の製造方法 - Google Patents

組成物、硬化物及び硬化物の製造方法 Download PDF

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和彦 松土
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智志 渡辺
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Takuya Matsumoto
拓也 松本
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泰延 大野
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Abstract

【課題】本発明は、感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れた組成物を提供することを主目的とする。【解決手段】非芳香族エポキシ化合物と、光酸発生剤と、ベンゾカルバゾール系増感剤と、を含む組成物を提供するものである。上記ベンゾカルバゾール系増感剤の含有量は、上記光酸発生剤100質量部に対して、10質量部以上200質量部以下であることが好ましい。また、上記非芳香族エポキシ化合物が、脂肪族エポキシ化合物及び脂環式エポキシ化合物から選択される少なくとも1つの化合物を含むことも好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れた組成物に関するものである。
カチオン硬化性組成物は、インキ、塗料、各種コーティング剤、接着剤、光学部材等の分野において用いられている。このような硬化性組成物の改良に関して、種々の報告がなされている。
また、カチオン硬化性組成物は、感度向上の観点から、増感剤を併用する場合がある。カチオン硬化性組成物に用いられる増感剤としては、アントラセン系増感剤等が知られている(特許文献1)。
特開2008−257199号公報
しかしながら、特許文献1のカチオン硬化性組成物は、保存安定性が不十分となる場合があるという不具合がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れた組成物を提供することを主目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、カチオン硬化性成分として、非芳香族エポキシ化合物を増感剤と併用する場合に、増感剤として、特定構造の化合物を用いることで、感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れたものとなることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、非芳香族エポキシ化合物と、光酸発生剤と、ベンゾカルバゾール系増感剤と、を含む組成物を提供するものである。
本発明の組成物は、非芳香族エポキシ化合物と特定構造の増感剤とを組み合わせて用いることで、感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れたものとなる。
本発明においては、上記ベンゾカルバゾール系増感剤が、下記一般式(3−1)、(3−2)及び(3−3)で表される化合物から選択される少なくとも1つの化合物を含むことが好ましい。上記特定構造のベンゾカルバゾール系増感剤を用いることで、上記組成物は感度、接着力及び保存安定性のバランスにより優れたものとなるからである。
Figure 2021066773
(式中、R325は、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、ビニル基、炭素原子数6〜20のアリール基又はこれらの基を組み合わせた基を表す。
326、R327、R328、R329、R330、R331、R332、R333、R334及びR335は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、シアノ基、水酸基又はカルボキシル基を表す。)
Figure 2021066773
(式中、R345は、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、ビニル基、炭素原子数6〜20のアリール基又はこれらの基を組み合わせた基を表す。
346、R347、R348、R349、R350、R351、R352、R353、R354及びR355は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、シアノ基、水酸基又はカルボキシル基を表す。)
Figure 2021066773
(式中、R365は、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、ビニル基、炭素原子数6〜20のアリール基又はこれらの基を組み合わせた基を表す。
366、R367、R368、R369、R370、R371、R372、R373、R374及びR375は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、シアノ基、水酸基又はカルボキシル基を表す。)
本発明においては、上記ベンゾカルバゾール系増感剤の含有量が、上記光酸発生剤100質量部に対して、10質量部以上200質量部以下であることが好ましい。上記組成物は、感度、接着力及び保存安定性のバランスにより優れたものとなるからである。
本発明においては、上記非芳香族エポキシ化合物が、脂肪族エポキシ化合物及び脂環式エポキシ化合物から選択される少なくとも1つの化合物を含むことが好ましい。感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れるとの効果をより効果的に発揮可能となるからである。
本発明においては、上記非芳香族エポキシ化合物の含有量が、上記組成物の固形分100質量部中、20質量部以上であることが好ましい。上記組成物は、感度、接着力及び保存安定性のバランスにより優れたものとなるからである。
本発明においては、上記組成物が、接着用であることが好ましい。上記組成物の、感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れるとの効果を効果的に発揮できるからである。
本発明は、上述の組成物の硬化物を提供するものである。
本発明の硬化物は、上述の組成物の硬化物であることで、例えば、紫外光透過率の低い光学部材に対しても優れた接着力を発揮できる。
本発明は、上述の組成物を硬化する硬化工程を有する硬化物の製造方法を提供するものである。
本発明の硬化物の製造方法は、上記硬化工程が上述の組成物を用いるものであるため、例えば、紫外光透過率の低い光学部材に対しても優れた接着力を発揮する硬化物の形成が容易となる。
本発明は、感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れた組成物を提供できるという効果を奏する。
本発明は、組成物、その硬化物及び硬化物の製造方法に関するものである。
以下、本発明の組成物、硬化物及び硬化物の製造方法について詳細に説明する。
A.組成物
まず、本発明の組成物について説明する。
本発明の組成物は、非芳香族エポキシ化合物と、光酸発生剤と、ベンゾカルバゾール系増感剤と、を含むことを特徴とするものである。
本発明によれば、非芳香族エポキシ化合物と、光酸発生剤と、特定構造の増感剤とを組み合わせて用いることで、感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れた組成物となる。
特定構造のエポキシ化合物と、光酸発生剤と、特定構造の増感剤とを併用することで、感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れたものとなる理由は、以下のように推察される。
ベンゾカルバゾール系増感剤に用いられるベンゾカルバゾール構造を有する化合物は、アントラセン系増感剤に用いられるアントラセン構造を有する化合物と比較して、骨格が非対称構造であるため、凝集性が低いものとなる。また、このような構造により、ベンゾカルバゾール系増感剤は、非芳香族エポキシ化合物との間の凝集も抑制できる。その結果、上記組成物は、優れた保存安定性を発揮するのである。
また、ベンゾカルバゾール系増感剤は、光酸発生剤の増感効果に優れ、非芳香族エポキシ化合物同士の硬化反応を効果的に開始できる。
さらに、非芳香族エポキシ化合物を含むことで、接着力に優れたものとなる。
このようなことから、ベンゾカルバゾール系増感剤を、非芳香族エポキシ化合物及び光酸発生剤と組み合わせて用いた場合には、感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れたものとなるのである。
上記組成物は、感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れることから、例えば、シクロオレフィン系ポリマー等の紫外線透過性の高い材料からなる、紫外光透過率の高い光学部材と接着する場合に限らず、トリアセチルセルロース(TAC)等の紫外線透過性の低い材料からなる、紫外光透過率の低い光学部材に対しても優れた接着力を発揮できる。
また、上記組成物は、保存安定性に優れることで、使用時にろ過処理された場合でも成分の含有量の変化が少ない。このため、同一特性の硬化物を得ることが容易となる。
さらに、上記組成物は、例えば、i線(365nm)等の吸収性に優れ、優れた増感効果を発揮しつつ、420nm以上の可視光線の透過率に優れるため、上記組成物は、例えば、透明性が要求される光学部材同士の接着剤として有用である。
本発明の組成物は、非芳香族エポキシ化合物、光酸発生剤及びベンゾカルバゾール系増感剤を含むものである。
以下、本発明の組成物の各成分について説明する。
1.非芳香族エポキシ化合物
本発明で用いる非芳香族エポキシ化合物は、エポキシ基を有し、芳香族環を含まないものであればよく、例えば、脂肪族エポキシ化合物及び脂環式エポキシ化合物が挙げられる。
なお、エポキシ化合物は、エポキシ基を含むもの全てが該当するものとすることができる。例えば、エポキシ基及びオキセタン基の両者を含む化合物は、エポキシ化合物に該当するものとすることができる。また、エポキシ基及びエチレン性不飽和基等のラジカル重合性基の両者を含む化合物もエポキシ化合物に該当するものとすることができる。
(1)脂肪族エポキシ化合物
脂肪族エポキシ化合物は、エポキシ基を有し、シクロアルケンオキサイド構造及び芳香環を有しない化合物である。
脂肪族エポキシ化合物の具体例としては、脂肪族アルコール又はそのアルキレンオキサイド付加物のグリシジルエーテル化物、アルキルカルボン酸のグリシジルエステル等の単官能エポキシ化合物や、脂肪族多価アルコール又はそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル化物、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル等の多官能エポキシ化合物が挙げられる。
脂肪族エポキシ化合物としては、グリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレートのビニル重合により合成したホモポリマー;グリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレートとその他のビニルモノマーとのビニル重合により合成したコポリマー等が挙げられる。
脂肪族エポキシ化合物の代表的な化合物としては、アリルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、C12〜13混合アルキルグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ソルビトールのテトラグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールのヘキサグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル等の、多価アルコールのグリシジルエーテル;プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン等の脂肪族多価アルコールに1種又は2種以上のアルキレンオキサイドを付加することによって得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル化物;脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステル等が挙げられる。さらに、脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテルや高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシ化大豆油、エポキシ化ポリブタジエン等が挙げられる。
脂肪族アルコール又はそのアルキレンオキサイド付加物のグリシジルエーテル化物、脂肪族多価アルコール又はそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル化物としては、少なくとも1個のシクロアルキル環を有するアルコールのグリシジルエーテルが挙げられる。
少なくとも1個のシクロアルキル環を有するアルコールのグリシジルエーテルとしては、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル等の芳香族エポキシ化合物の水素添加物が挙げられる。
上記脂肪族エポキシ化合物としては、脂肪族アルコール又はそのアルキレンオキサイド付加物のグリシジルエーテル化物、脂肪族多価アルコール又はそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル化物が好ましく、例えば、下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。上記化合物であることで、上記組成物は、感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れたものとなるからである。
Figure 2021066773
(式中、Xは、炭素原子数1〜20の、直鎖若しくは分岐の、又はシクロアルキル環を有する炭化水素基を表し、
上記炭化水素基中のメチレン基の1つ又は2つ以上は、−O−で置換されていてもよく、上記炭化水素基中の水素原子の1つ又は2つ以上は、水酸基で置換されていてもよい。
n1は、1〜2の整数を表す。)
で表される炭素原子数1〜20の直鎖又は分岐の炭化水素基としては、炭素原子数1〜20の直鎖又は分岐のアルキル基から水素原子を「n1−1」個除いた基が挙げられる。
上記炭素原子数1〜20の直鎖又は分岐のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、アミル基、イソアミル基、t−アミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、t−オクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、イコシル基等が挙げられる。
n1が2である場合の上記炭素原子数1〜20の直鎖又は分岐の炭化水素基としては、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基等のアルキレン基が挙げられる。
で表される炭素原子数1〜20のシクロアルキル環を有する炭化水素基としては、炭素原子数3〜20のシクロアルキル環を有するアルキル基から水素原子を「n1−1」個除いた基が挙げられる。
ここで、「炭素原子数3〜20」は、シクロアルキル環の炭素原子数を規定するのではなく、「シクロアルキル環を有するアルキル基」全体の炭素原子数を規定するものである。
炭素原子数3〜20のシクロアルキル環を有するアルキル基としては、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、炭素原子数4〜20のシクロアルキルアルキル基等が挙げられる。
上記炭素原子数3〜20のシクロアルキル基とは、3〜20の炭素原子を有する、飽和単環式又は飽和多環式アルキル基を意味する。例えば、上記シクロアルキル基としては、シクロヘキシル環等の単環式炭化水素環、ノルボルナン環等の架橋炭化水素環等のシクロアルキル環から水素原子を1つ除いた基又はシクロアルキル環から水素原子を1つ除いた基の環中の水素原子の1つ又は2つ以上を直鎖又は分岐のアルキル基で置換した基である、単環式炭化水素基、架橋炭化水素環基等が挙げられる。
上記単環式炭化水素基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、メチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基、トリメチルシクロヘキシル基、テトラメチルシクロヘキシル基、ペンタメチルシクロヘキシル基、エチルシクロヘキシル基及びメチルシクロヘプチル基等が挙げられる。
上記架橋炭化水素環基としては、ビシクロ[2.1.1]ヘキシル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基、ビシクロ[4.3.1]デシル基、ビシクロ[3.3.1]ノニル基、ボルニル基、ボルネニル基、ノルボルニル基、ノルボルネニル基、6,6−ジメチルビシクロ[3.1.1]ヘプチル基、トリシクロブチル基、アダマンチル基が挙げられる。
上記炭素原子数4〜20のシクロアルキルアルキル基としては、上記シクロアルキル基と、上記直鎖又は分岐の鎖状アルキル基とを組み合わせた基が挙げられる。例えば、直鎖又は分岐の鎖状アルキル基中の水素原子の1つ又は2つ以上が、上記シクロアルキル基により置換された基、直鎖又は分岐の鎖状アルキル基中のメチレン基の1つ又は2つ以上が、上記シクロアルキル基から水素原子を1つ除いた基により置換された基等が挙げられる。具体的には、直鎖又は分岐の鎖状アルキル基の水素原子が、シクロアルキル基により置換された4〜30の炭素原子を有する基としては、シクロプロピルメチル基、シクロブチルメチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘプチルメチル基、シクロオクチルメチル基、シクロノニルメチル基、シクロデシルメチル基、2−シクロブチルエチル基、2−シクロペンチルエチル基、2−シクロヘキシルエチル基、2−シクロヘプチルエチル基、2−シクロオクチルエチル基、2−シクロノニルエチル基、2−シクロデシルエチル基、3−シクロブチルプロピル基、3−シクロペンチルプロピル基、3−シクロヘキシルプロピル基、3−シクロヘプチルプロピル基、3−シクロオクチルプロピル基、3−シクロノニルプロピル基、3−シクロデシルプロピル基、4−シクロブチルブチル基、4−シクロペンチルブチル基、4−シクロヘキシルブチル基、4−シクロヘプチルブチル基、4−シクロオクチルブチル基、4−シクロノニルブチル基、4−シクロデシルブチル基、3−3−アダマンチルプロピル基及びデカハイドロナフチルプロピル基等が挙げられ、炭素原子数4〜10のシクロアルキルアルキル基としては、例えば、シクロプロピルメチル基、シクロブチルメチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘプチルメチル基、シクロオクチルメチル基、シクロノニルメチル基、2−シクロブチルエチル基、2−シクロペンチルエチル基、2−シクロヘキシルエチル基、2−シクロヘプチルエチル基、2−シクロオクチルエチル基、3−シクロブチルプロピル基、3−シクロペンチルプロピル基、3−シクロヘキシルプロピル基、3−シクロヘプチルプロピル基、4−シクロブチルブチル基、4−シクロペンチルブチル基及び4−シクロヘキシルブチル基等が挙げられる。
本発明において、基の炭素原子数は、基中の水素原子が置換基で置換されている場合、その置換後の基の炭素原子数を意味する。例えば、炭素原子数1〜20のアルキル基の水素原子が置換されている場合、炭素原子数1〜20とは、水素原子が置換された後の炭素原子数を指し、水素原子が置換される前の炭素原子数を指すのではない。
また、本発明において所定の炭素原子数の基中のメチレン基が二価の基で置き換えられた基に係る炭素原子数は、置換後の基の炭素原子数を意味する。例えば、本明細書中、炭素原子数1〜20のアルキル基中のメチレン基が二価の基で置き換えられた基の炭素原子数は、1〜20を満たすものとする。
で表される炭素原子数1〜20の直鎖若しくは分岐の炭化水素基としては、炭素原子数3〜20の直鎖又は分岐の炭化水素基であることが好ましく、炭素原子数3〜10の直鎖又は分岐の炭化水素基であることがより好ましく、炭素原子数4〜8の直鎖又は分岐の炭化水素基であることが特に好ましい。上記組成物は、接着力に特に優れたものとなるからである。
で表される炭素原子数1〜20のシクロアルキル環を有する炭化水素基としては、炭素原子数3〜20のシクロアルキル環を有する炭化水素基であることが好ましく、炭素原子数5〜20のシクロアルキル環を有する炭化水素基であることがより好ましく、炭素原子数8〜15のシクロアルキル環を有する炭化水素基であることが特に好ましい。上記組成物は、接着力に特に優れたものとなるからである。
で表されるシクロアルキル環を有する炭化水素基としては、架橋炭化水素環を有することが好ましく、トリシクロデカン環を有することがより好ましい。上記組成物は、接着力に特に優れたものとなるからである。
n1は、1〜2の整数であるが、2であることが好ましい。上記組成物は、接着力に特に優れたものとなるからである。
が炭素原子数1〜20の直鎖若しくは分岐の炭化水素基である脂肪族エポキシ化合物としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル又は1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等が挙げられる。
が炭素原子数1〜20のシクロアルキル環を有する炭化水素基である脂肪族エポキシ化合物としては、トリシクロデカンジメタノールジグリシジルエーテル等が挙げられる。
脂肪族エポキシ化合物としては、エポキシ基を含む構成単位を繰り返し単位として有する脂肪族エポキシポリマーも挙げられる。このような脂肪族エポキシポリマーとしては、下記一般式(I)で表される構成単位(以下、「構成単位I」と称する場合がある。)及び下記一般式(II)で表される構成単位(以下、「構成単位II」と称する場合がある。)を含むものが挙げられ、これらの構成単位の少なくとも一方を含むものが好ましい。上記脂肪族エポキシ化合物がこのような構造を有することで、上記組成物は、接着力に特に優れたものとなるからである。
Figure 2021066773
(式中、R1aは、水素原子又は炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分岐のアルキル基を表し、
sは、1〜6の整数を表す。
*は、結合箇所を表す。)
Figure 2021066773
(式中、R2a−1は、水素原子又はメチル基を表し、
2a−2は、水素原子又は炭素原子数1〜6の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、
tは、1〜6の整数を表す。
*は、結合箇所を表す。)
一般式(I)中のR1a及び一般式(II)中のR2a−2で表される炭素原子数1〜6の直鎖又は分岐のアルキル基としては、上記一般式(1)中のXで表される直鎖又は分岐のアルキル基のうち、所定の炭素原子数のものが挙げられる。
一般式(I)中のR1aは、水素原子又は炭素原子数1〜3の直鎖若しくは分岐のアルキル基であることが好ましく、水素原子又はメチル基であることがより好ましく、特に、水素原子であることが好ましい。上記組成物は、接着力に特に優れたものとなるからである。
一般式(I)中の、sは、1〜6の整数であるが、1〜3の整数であることが好ましく、1〜2の整数であることがより好ましく、特に、1であることが好ましい。上記組成物は、接着力に特に優れたものとなるからである。
一般式(II)中のR2a−1は、メチル基であることが好ましい。このような構造を有することで、上記組成物は、接着力に特に優れたものとなるからである。
一般式(II)中のR2a−2は、水素原子又は炭素原子数1〜3の直鎖若しくは分岐のアルキル基であることが好ましく、水素原子又はメチル基であることがより好ましく、特に、水素原子であることが好ましい。上記組成物は、接着力に特に優れたものとなるからである。
一般式(II)中の、tは、1〜6の整数であるが、1〜3の整数であることが好ましく、1〜2の整数であることがより好ましく、特に、1であることが好ましい。上記組成物は、接着力に特に優れたものとなるからである。
上記脂肪族エポキシポリマーは、構成単位I及び構成単位IIの少なくとも一方を有するものであることが好ましいが、構成単位IIを有するものであることがより好ましい。上記組成物は、接着力に特に優れたものとなるからである。
構成単位IIの含有量は、所望の接着力等を発揮できるものであればよいが、例えば、構成単位I及び構成単位IIの合計100質量部中、50質量部以上であることが好ましく、70質量部以上であることがより好ましく、特に90質量部以上であることが好ましく、なかでも特に100質量部であることが好ましい。上記組成物は、接着力に特に優れたものとなるからである。
構成単位I及び構成単位IIの合計の含有量は、所望の接着力等を発揮できるものであればよいが、例えば、脂肪族エポキシポリマー100質量部中、5質量部以上であることが好ましく、10質量部以上70質量部以下であることがより好ましく、特に20質量部以上40質量部以下であることが好ましい。上記組成物は、接着力に特に優れたものとなるからである。
上記脂肪族エポキシポリマーにおいて、構成単位I及び構成単位II以外の構成単位を形成可能な単量体としては、シクロアルケンオキサイド構造及び芳香族環を有しない化合物であればよく、好ましいものとして、例えば、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート等が挙げられる。上記組成物は、接着力に特に優れたものとなるからである。
アルキルアクリレート及びアルキルメタクリレートとしては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、n−ヘキシルアクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等が挙げられる。
脂肪族エポキシポリマーの重量平均分子量としては、所望の密着性等が得られるものであればよく、例えば、1,000超100,000以下であることが好ましく、3,000以上50,000以下であることがより好ましく、特に、4,000以上30,000以下であることが好ましく、なかでも特に、5,000以上20,000以下であることが好ましい。重量平均分子量がこのような範囲であることで、上記組成物は、接着力に特に優れたものとなるからである。
重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレン換算値として求めることができる。重量平均分子量Mwは、例えば、日本分光製のGPC(LC−2000plusシリーズ)を用い、溶出溶剤をテトラヒドロフランとし、校正曲線用ポリスチレンスタンダードをMw1110000、707000、397000、189000、98900、37200、13700、9490、5430、3120、1010、589(東ソー製 TSKgel標準ポリスチレン)とし、測定カラムをKF−804、KF−803、KF−802(昭和電工製)として測定して得ることができる。また、測定温度は40℃とすることができ、流速は1.0mL/分とすることができる。
脂肪族エポキシ化合物としては、市販品のものを用いることができ、例えば、デナコールEX−121、デナコールEX−171、デナコールEX−192、デナコールEX−211、デナコールEX−212、デナコールEX−313、デナコールEX−314、デナコールEX−321、デナコールEX−411、デナコールEX−421、デナコールEX−512、デナコールEX−521、デナコールEX−611、デナコールEX−612、デナコールEX−614、デナコールEX−622、デナコールEX−810、デナコールEX−811、デナコールEX−850、デナコールEX−851、デナコールEX−821、デナコールEX−830、デナコールEX−832、デナコールEX−841、デナコールEX−861、デナコールEX−911、デナコールEX−941、デナコールEX−920、デナコールEX−931(ナガセケムテックス製);エポライトM−1230、エポライト40E、エポライト100E、エポライト200E、エポライト400E、エポライト70P、エポライト200P、エポライト400P、エポライト1500NP、エポライト1600、エポライト80MF、エポライト100MF(共栄社化学製)、アデカグリシロールED−503、アデカグリシロールED−503G、アデカグリシロールED−506、アデカグリシロールED−523T、アデカレジンEP−4088S、KRM−532P(ADEKA製)、四日市合成製2EH等が挙げられる。
本発明においては、接着力に優れた硬化物を得ることが容易であるとの観点からは、上記脂肪族エポキシ化合物が、シクロアルキル環を有する化合物を含むことが好ましく、例えば、上記一般式(1)で表される化合物において、Xがシクロアルキル環を有する炭化水素基である化合物を含むことが好ましい。上記組成物は、感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れたものとなるからである。
(2)脂環式エポキシ化合物
脂環式エポキシ化合物は、シクロアルケンオキサイド構造を有し、芳香族環を有しない化合物である。
シクロアルケンオキサイド構造は、シクロヘキセン環含有化合物やシクロペンテン環含有化合物を酸化剤でエポキシ化することによって得られる、シクロヘキセンオキサイド構造やシクロペンテンオキサイド構造のように、脂肪族環とエポキシ環とが環構造の一部を共有する構造である。
上記脂環式エポキシ化合物としては、下記一般式(2)で表される化合物のような、2以上のエポキシシクロアルキル基を有する化合物が好ましい。このような化合物を含むことで、上記組成物は、硬化速度に優れたものとなるからである。
Figure 2021066773
(式中、Xは、直接結合又は1以上の原子を有する二価の連結基を表す。)
で表される連結基としては、例えば、二価の炭化水素基、炭素−炭素二重結合の一部又は全部がエポキシ化されたアルケニレン基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、カーボネート基、アミド基、及びこれらが複数連結した基等が挙げられる。
上記二価の炭化水素基としては、炭素原子数1〜20の直鎖若しくは分岐の、又はシクロアルキル環を有するアルキレン基が挙げられる。
上記炭素原子数1〜20の直鎖若しくは分岐のアルキレン基としては、炭素原子数1〜20の直鎖又は分岐のアルキル基から水素原子を1つ除いた基が挙げられる。
このような炭素原子数1〜20の直鎖又は分岐のアルキル基としては、上記一般式(1)中のXで表される直鎖又は分岐のアルキル基と同様の基が挙げられる。
上記炭素原子数1〜20の直鎖若しくは分岐のアルキレン基としては、具体的には、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基等が挙げられる。
上記炭素原子数1〜20のシクロアルキル環を有するアルキレン基としては、炭素原子数1〜20のシクロアルキル環を有するアルキル基から水素原子を1つ除いた基が挙げられる。
このような炭素原子数1〜20のシクロアルキル環を有するアルキル基としては、上記一般式(1)中のXで表されるシクロアルキル環を有するアルキル基と同様の基が挙げられる。
上記炭素原子数1〜20のシクロアルキル環を有するアルキレン基としては、具体的には、例えば、1,2−シクロペンチレン基、1,3−シクロペンチレン基、シクロペンチリデン基、1,2−シクロヘキシレン基、1,3−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキシレン基、シクロヘキシリデン基等のシクロアルキレン基(シクロアルキリデン基を含む)等が挙げられる。
上記炭素−炭素二重結合の一部又は全部がエポキシ化されたアルケニレン基(以下、「エポキシ化アルケニレン基」と称する場合がある。)におけるアルケニレン基としては、炭素原子数2〜20の直鎖又は分岐のアルキレン基中のエチレン基(−CH−CH−)を、不飽和基(−CH=CH−)に置き換えた基が挙げられる。
上記アルキレン基としては、上記直鎖若しくは分岐の、又はシクロアルキル環を有する炭素原子数1〜20のアルキレン基が挙げられる。
上記炭素−炭素二重結合の一部又は全部がエポキシ化されたアルケニレン基としては、具体的には、ビニレン基、プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、ブタジエニレン基、ペンテニレン基、ヘキセニレン基、ヘプテニレン基、オクテニレン基等の炭素原子数2〜8の直鎖又は分岐のアルケニレン基等が挙げられる。
は、二価の連結基であることが好ましく、二価の炭化水素基、エステル結合、又はこれらが複数連結した基であることがより好ましく、特に、二価の炭化水素基とエステル結合とが連結した基であることが好ましい。上記組成物は、感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れるとともに、硬化速度に優れたものとなるからである。
また、Xで表される二価の炭化水素基が、炭素原子数1〜18の直鎖又は分岐のアルキル基から水素原子を1つ除いたアルキレン基であることが好ましく、炭素原子数1〜8の直鎖又は分岐のアルキル基から水素原子を1つ除いたアルキレン基であることがより好ましく、炭素原子数1〜5の直鎖のアルキル基から水素原子を1つ除いたアルキレン基であることが更に好ましく、特に、炭素原子数1〜3の直鎖のアルキル基から水素原子を1つ除いたアルキレン基であることが好ましい。上記炭素原子数が上述の範囲内であることで、上記組成物は、感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れるとともに、硬化速度に優れたものとなるからである。
上記脂環式エポキシ化合物として、より具体的には、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキシル−3,4−エポキシ−1−メチルヘキサンカルボキシレート、6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、1−エポキシエチル−3,4−エポキシシクロヘキサン、1,2−エポキシ−2−エポキシエチルシクロヘキサン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート等が挙げられる。
上記脂環式エポキシ化合物としては、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート及び3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキシル−3,4−エポキシ−1−メチルヘキサンカルボキシレート等が好ましい。このような化合物を含むことで、上記組成物は、感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れるとともに、硬化速度に優れたものとなるからである。
上記脂環式エポキシ化合物として好適に使用できる市販品としては、例えば、特許第6103653号公報等に記載されたものが挙げられる。
(3)非芳香族エポキシ化合物
非芳香族エポキシ化合物の含有量は、所望の感度、接着力及び保存安定性が得られるものであればよく、例えば、上記組成物の固形分100質量部中、20質量部以上であることが好ましく、25質量部以上であることがより好ましい。上記組成物は、感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れたものとなるからである。
本発明においては、上記組成物が、硬化性成分としてラジカル重合性成分を含まない場合、非芳香族エポキシ化合物の含有量が、上記組成物の固形分100質量部中、30質量部以上98質量部以下であることが好ましく、50質量部以上95質量部以下であることがより好ましく、特に70質量部以上90質量部以下であることが好ましい。上記組成物は、感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れるとともに、硬化速度に優れたものとなるからである。
本発明においては、上記組成物が、硬化性成分としてラジカル重合性成分を含む場合、非芳香族エポキシ化合物の含有量が、上記組成物の固形分100質量部中、25質量部以上60質量部以下であることが好ましく、30質量部以上50質量部以下であることがより好ましく、特に30質量部以上40質量部以下であることが好ましい。上記組成物は、感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れたものとなるからである。
本発明において、非芳香族エポキシ化合物は、脂肪族エポキシ化合物及び脂環式エポキシ化合物の少なくとも一方を含むことが好ましく、脂環式エポキシ化合物を含むことがより好ましく、特に脂肪族エポキシ化合物及び脂環式エポキシ化合物の両者を含むことが好ましい。上記組成物は、感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れるとともに、硬化速度に優れたものとなるからである。特に、上記組成物が、硬化性成分としてラジカル重合性成分を含まない場合に、感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れるとともに、硬化速度に優れたものとなるからである。
また、脂環式エポキシ化合物のような反応性の高い化合物を含む場合、品質変化抑制の観点から、低温保存(冷蔵保存又は冷凍保存等)される場合がある。上記組成物は、保存安定性に優れるため、このような低温保存時に、組成物の固形分の析出、凝集等の少ないものとすることができる。このように、脂環式エポキシ化合物を含むことで、上記組成物は、感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れるとの効果をより効果的に発揮できる。
脂肪族エポキシ化合物の含有量は、非芳香族エポキシ化合物100質量部中、5質量部以上90質量部以下であることが好ましく、10質量部以上70質量部以下であることがより好ましく、特に20質量部以上50質量部以下であることが好ましい。上記組成物は、感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れるとともに、硬化速度に優れたものとなるからである。特に、上記組成物が、硬化性成分としてラジカル重合性成分を含まない場合に、感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れるとともに、硬化速度に優れたものとなるからである。
本発明においては、非芳香族エポキシ化合物が、脂肪族エポキシ化合物を含むことも好ましい。上記組成物は、感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れるとともに、硬化速度に優れたものとなるからである。特に、上記組成物が、硬化性成分としてラジカル重合性成分を含む場合に、感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れるとともに、硬化速度に優れたものとなるからである。
上記脂肪族エポキシ化合物の含有量としては、非芳香族エポキシ化合物100質量部中、10質量部以上であることが好ましく、30質量部以上であることが好ましく、50質量部以上であることが好ましく、70質量部以上であることが好ましく、90質量部以上であることが好ましく、100質量部であることが好ましい。上記組成物は、感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れたものとなるからである。特に、上記組成物が、硬化性成分としてラジカル重合性成分を含む場合に、感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れるとともに、硬化速度に優れたものとなるからである。
2.ベンゾカルバゾール系増感剤
本発明で用いるベンゾカルバゾール系増感剤は、ベンゾカルバゾール骨格を有し、光酸発生剤と共に用いることで、光酸発生剤からの酸の発生効率を向上できる化合物であればよい。
このようなベンゾカルバゾール化合物としては、好ましいものとして、例えば、下記一般式(3−1)〜(3−3)で表される化合物が挙げられる。上記組成物は、感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れたものとなるからである。
本発明においては、上記ベンゾカルバゾール化合物が、一般式(3−1)又は(3−3)で表される化合物であることが好ましく、特に、一般式(3−1)で表される化合物であることが好ましい。上記組成物は、感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れたものとなるからである。
Figure 2021066773
(式中、R325は、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、ビニル基、炭素原子数6〜20のアリール基又はこれらの基を組み合わせた基を表す。
326、R327、R328、R329、R330、R331、R332、R333、R334及びR335は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、シアノ基、水酸基又はカルボキシル基を表す。)
Figure 2021066773
(式中、R345は、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、ビニル基、炭素原子数6〜20のアリール基又はこれらの基を組み合わせた基を表す。
346、R347、R348、R349、R350、R351、R352、R353、R354及びR355は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、シアノ基、水酸基又はカルボキシル基を表す。)
Figure 2021066773
(式中、R365は、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、ビニル基、炭素原子数6〜20のアリール基又はこれらの基を組み合わせた基を表す。
366、R367、R368、R369、R370、R371、R372、R373、R374及びR375は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、シアノ基、水酸基又はカルボキシル基を表す。)
326、R327、R328、R329、R330、R331、R332、R333、R334、R335、R346、R347、R348、R349、R350、R351、R352、R353、R354、R355、R366、R367、R368、R369、R370、R371、R372、R373、R374及びR375で表されるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
325、R326、R327、R328、R329、R330、R331、R332、R333、R334、R335、R345、R346、R347、R348、R349、R350、R351、R352、R353、R354、R355、R365、R366、R367、R368、R369、R370、R371、R372、R373、R374及びR375で表される炭素原子数1〜10のアルキル基としては、上記「1.非芳香族エポキシ化合物」の項に記載の、一般式(1)中のXで表される直鎖若しくは分岐のアルキル基又はシクロアルキル環を有するアルキル基として挙げたもののうち、所定の炭素原子数を満たすものが挙げられる。
325、R326、R327、R328、R329、R330、R331、R332、R333、R334、R335、R345、R346、R347、R348、R349、R350、R351、R352、R353、R354、R355、R365、R366、R367、R368、R369、R370、R371、R372、R373、R374及びR375で表される炭素原子数6〜20のアリール基としては、炭素原子数6以上20以下のものが挙げられ、例えば、芳香族炭化水素環から水素原子を1つ除いた基又はその基に含まれる芳香族炭化水素環中の水素原子が直鎖若しくは分岐の、又はシクロアルキル環を有するアルキル基により置換された基とすることができ、より具体的には、上記アリール基としては、単環芳香族炭化水素環から水素原子を1つ除いた基又はその基に含まれる芳香族炭化水素環中の水素原子が直鎖若しくは分岐の、又はシクロアルキル環を有するアルキル基により置換された基である単環芳香族炭化水素基、単環芳香族炭化水素環が縮合した縮合芳香族炭化水素環から水素原子を1つ除いた基又はその基に含まれる芳香族炭化水素環中の水素原子が直鎖若しくは分岐の、又はシクロアルキル環を有するアルキル基により置換された基である縮合環芳香族炭化水素基、単環芳香族炭化水素環及び縮合芳香族炭化水素環が、単結合又はカルボニル基等の連結基を介して結合した集合芳香族炭化水素環から水素原子を1つ除いた基又はその基に含まれる芳香族炭化水素環中の水素原子が直鎖若しくは分岐の、又はシクロアルキル環を有するアルキル基により置換された基である環集合芳香族炭化水素基等が挙げられる。
上記芳香族炭化水素環中の水素原子を置換する直鎖若しくは分岐の、又はシクロアルキル環を有するアルキル基としては、上記「1.非芳香族エポキシ化合物」の項に記載の、一般式(1)中のXで表される直鎖若しくは分岐のアルキル基又はシクロアルキル環を有するアルキル基として挙げたもののうち、所定の炭素原子数を満たすものが挙げられる。
上記単環芳香族炭化水素基としては、炭素原子数6〜20のものが好ましく、具体的にはフェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,4−キシリル基、p−クメニル基、メシチル基等が挙げられる。
上記縮合環芳香族炭化水素基としては、炭素原子数10〜20のものが好ましく、具体的には1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アンスリル基、2−アンスリル基、5−アンスリル基、1−フェナンスリル基、9−フェナンスリル基、1−アセナフチル基、2−アズレニル基、1−ピレニル基、2−トリフェニレル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、1−ペリレニル基、2−ペリレニル基、3−ペリレニル基、2−トレフェニレニル基、2−インデニル基、1−アセナフチレニル基、2−ナフタセニル基、2−ペンタセニル基等が挙げられる。
上記環集合芳香族炭化水素基としては、炭素原子数12〜20の者が好ましく、具体的にはo−ビフェニリル基、m−ビフェニリル基、p−ビフェニリル基、テルフェニリル基、7−(2−ナフチル)−2−ナフチル基等が挙げられる。
325、R345及びR365で表される炭素原子数1〜10のアルキル基、ビニル基及び炭素原子数6〜20のアリール基を組み合わせた基としては、これらの基から選択される2種類以上の基を組み合わせた基が挙げられ、例えば、炭素原子数1〜10のアルキル基中の水素原子の1つ又は2つ以上を、炭素原子数6〜20のアリール基で置換した基等が挙げられる。上記組み合わせた基としては、炭素原子数1〜5のアルキル基中の水素原子の1つを、炭素原子数6〜12のアリール基で置換した基であることが好ましく、特に、炭素原子数1〜5のアルキル基中の水素原子の1つを、炭素原子数6〜12のアリール基で置換した基であることが好ましく、なかでも特に、炭素原子数1〜3のアルキル基中の水素原子の1つを、フェニル基で置換した基であることが好ましい。上記組成物は、感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れたものとなるからである。
このようなベンゾカルバゾール化合物としては、例えば、下記式(1)〜(30)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2021066773
Figure 2021066773
Figure 2021066773
本発明においては、一般式(3−1)〜(3−3)で表されるベンゾカルバゾール化合物の中でも、ベンゾカルバゾール環の窒素原子に結合する基であるR325、R345及びR365が、炭素原子数1〜10のアルキル基、又は、炭素原子数1〜10のアルキル基、ビニル基及び炭素原子数6〜20のアリール基から選択される2種類以上の基を組み合わせた基であることが好ましく、炭素原子数1〜10のアルキル基であることがより好ましく、特に炭素原子数3〜10の分岐のアルキル基であることが好ましい。置換基が、このような官能基であることで、上記組成物は、感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れたものとなるからである。
本発明においては、R326、R327、R328、R329、R330、R331、R332、R333、R334、R335、R346、R347、R348、R349、R350、R351、R352、R353、R354、R355、R366、R367、R368、R369、R370、R371、R372、R373、R374及びR375が、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。このような基又は原子であることで、上記組成物は、感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れたものとなるからである。
上記ベンゾカルバゾール系増感剤の最大吸収波長は、所望の接着力及び保存安定性を得られるものであれば特に限定されるものではない。
最大吸収波長は、例えば、300nm以上500nm以下の範囲で、310nm以上370nm以下であることが好ましく、310nm以上340nm以下であることがより好ましく、特に、310nm以上335nm以下であることが好ましく、なかでも特に、315nm以上330nm以下であることが好ましい。上記組成物は、感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れたものとなるからである。また、上記組成物は、可視光の吸収が少ないものとなり、透明性の高い硬化物を得ることが容易となるからである。
また、最大吸収波長は、300nm以上500nm以下の範囲で、上記組成物に用いられる光酸発生剤の最大吸収波長よりも長い波長であることが好ましい。
最大吸収波長の測定方法は、最大吸収波長を精度良く測定できる方法であれば問題はなく、例えば、下記の方法を用いることができる。
(a−1)溶剤に測定対象を溶解し、評価用溶液を調製する。
(a−2)次いで、評価用溶液を、石英セル(光路長10mm、厚み1.25mm)に充填し、分光光度計(例えば、日本分光製可視紫外吸光度計V−670等)を用いて透過率を測定する。
なお、評価用溶液の濃度は、最大吸収波長が正確に確認できる濃度であれば問題はなく、例えば、最大吸収波長となる波長における透過率が5%程度(例えば、3%以上7%以下)となるように調整することができる。
溶剤としては、測定対象を溶解可能であり、最大吸収波長のシフトが少ない等、各測定対象の透過スペクトルを精度よく測定可能ものであれば問題はなく、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルを用いることができる。また、プロピレングリコールモノメチルエーテルに溶解しない測定対象については、他の溶剤を用いることができる。
評価用溶液の透過スペクトルは、予め溶剤単体での透過スペクトルを測定し、評価用溶液の透過スペクトルから溶剤の透過スペクトルを差し引いて補正したものを用いる。
上記ベンゾカルバゾール系増感剤の含有量は、上記組成物が所望の接着力及び保存安定性を有するものとなればよく、例えば、上記光酸発生剤100質量部に対して、10質量部以上200質量部以下であることが好ましく、20質量部以上150質量部以下であることがより好ましく、特に50質量部以上100質量部以下であることが好ましい。上記組成物は、感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れるとともに、硬化速度に優れたものとなるからである。また、上記組成物は、可視光の吸収が少ないものとなり、透明性の高い硬化物を得ることが容易となるからである。
なお、光酸発生剤の市販品の中には、光酸発生剤を溶剤中に分散又は溶解した形態のものがある。本発明において、光酸発生剤の含有量の計算をする場合には、光酸発生剤を分散等する溶剤を除いた含有量、すなわち、光酸発生剤の固形分の含有量をいう。以下、増感剤中増感剤の含有量、組成物の固形分中の含有量等についても、同様に、光酸発生剤の固形分を基準に求められるものである。
上記ベンゾカルバゾール系増感剤の含有量は、上記組成物が所望の接着力及び保存安定性を有するものとなればよく、例えば、上記組成物の固形分100質量部中、0.05質量部以上4質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上3質量部以下であることがより好ましく、特に0.1質量部以上2.5質量部以下であることが好ましい。増感剤の含有量がこのような範囲であることで、上記組成物は、感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れたものとなるからである。
なお、上記組成物の固形分とは、溶剤以外の全ての成分を含むものである。
3.光酸発生剤
本発明における光酸発生剤は、可視光線、紫外線、X線、電子線、高周波のような活性エネルギー線(以下、単に「エネルギー線」ともいう)照射により酸を発生させることが可能な化合物である。
なお、上記光酸発生剤は、上述の非芳香族エポキシ化合物及びベンゾカルバゾール系増感剤以外の成分として含まれるものである。
上記光酸発生剤としては、オニウム塩である複塩又はその誘導体、あるいはオキシムスルホネート化合物、ハロゲン含有化合物、ジアゾケトン化合物、スルホン化合物、スルホン酸化合物、ジアゾメタン化合物、ニトロベンジル化合物、ベンゾイントシレート化合物、鉄アレーン錯体、アセトフェノン誘導体化合物等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して使用することができる。本発明においては、光酸発生剤が、オニウム塩である複塩又はその誘導体であることが好ましい。このような光酸発生剤であることで、上記組成物は、感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れたものとなるからである。
オニウム塩である複塩又はその誘導体としては、例えば、下記一般式(i)で表される陽イオンと陰イオンの塩が挙げられる。
[A]m+[B]m− (i)
ここで、陽イオン[A]m+はオニウムであり、その構造は、例えば、下記一般式で表すことができる。
[(R10Q]m+ (ii)
上記一般式(ii)中、R10は炭素原子数が1〜60であり、炭素原子以外の原子をいくつ含んでいても構わない有機基を表す。
aは1〜5の整数を表す。
a個のR10は各々独立で、同一でも異なっていても構わない。
a個のR10のうち、少なくとも1つが、芳香環を有する上記有機基を表す。
QはS、N、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O、I、Br、Cl、F及びN=Nからなる群から選ばれる原子又は原子団を表す。また、陽イオン[A]m+中のQの原子価をqとしたとき、m=a−qなる関係が成り立つことが必要である。ただし、N=Nは原子価0として扱う。
また、陰イオン[B]m−は、ハロゲン化物錯体であることが好ましく、その構造は、例えば、下記一般式(iii)で表すことができる。
[LXm− (iii)
上記一般式(iii)中、Lはハロゲン化物錯体の中心原子である金属又は半金属(Metalloid)を表し、B、P、As、Sb、Fe、Sn、Bi、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn又はCoである。
Xはハロゲン原子を表す。
bは3〜7の整数を表す。また、陰イオン[B]m−中のLの原子価をpとしたとき、m=b−pなる関係が成り立つことが必要である。
上記一般式(iii)の陰イオン[LXm−の具体例としては、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[(CB]、テトラフルオロボレート(BF、ヘキサフルオロホスフェート(PF、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF、ヘキサフルオロアルセネート(AsF、ヘキサクロロアンチモネート(SbCl、トリス(ペンタフルオロメチル)トリフルオロリン酸イオン(FAPアニオン)等が挙げられる。
また、陰イオン[B]m−は、下記一般式(iv)で表される構造であってもよい。
[LXb−1(OH)]m− (iv)
ここで、L、X及びbは上記と同様である。
また、その他の陰イオンとしては、過塩素酸イオン(ClO、トリフルオロメチル亜硫酸イオン(CFSO、フルオロスルホン酸イオン(FSO、トルエンスルホン酸陰イオン、トリニトロベンゼンスルホン酸陰イオン、カンファースルフォネート、ノナフロロブタンスルフォネート、ヘキサデカフロロオクタンスルフォネート、テトラアリールボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
本発明においては、このようなオニウム塩の中でも、下記の(イ)〜(ハ)の芳香族オニウム塩を使用することが特に有効である。これらの中から、その1種を単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
(イ)フェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、4−メトキシフェニルジアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−メチルフェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート等のアリールジアゾニウム塩
(ロ)ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジ(4−メチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、トリルクミルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等のジアリールヨードニウム塩
(ハ)下記群I又は群IIで表されるスルホニウムカチオンとヘキサフルオロアンチモンイオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートイオン等のスルホニウム塩
Figure 2021066773
Figure 2021066773
また、その他の光酸発生剤としては、(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)〔(1,2,3,4,5,6−η)−(1−メチルエチル)ベンゼン〕−アイアン−ヘキサフルオロホスフェート等の鉄−アレーン錯体や、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム、トリス(エチルアセトナトアセタト)アルミニウム、トリス(サリチルアルデヒダト)アルミニウム等のアルミニウム錯体とトリフェニルシラノール等のシラノール類との混合物等も挙げられる。
これらの中でも、実用面と光感度の観点から、光酸発生剤としては、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩及び鉄−アレーン錯体が好ましく、下記一般式(4)で表される芳香族スルホニウム塩が、感度の点からより好ましい。光酸発生剤が上記芳香族スルホニウム塩であることで、上記組成物は、感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れたものとなるからである。この理由は明確ではないが、このような構造を有することで、増感剤併用の効果をより効果的に得られるためと推測される。
Figure 2021066773
(式中、R421、R422、R423、R424、R425、R426、R427、R428、R429及びR430は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換の炭素原子数1〜10のアルキル基、置換若しくは無置換の炭素原子数1〜10のアルコキシ基又は炭素原子数2〜10のエステル基を表し、
431、R432、R433及びR434は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は置換若しくは無置換の炭素原子数1〜10のアルキル基を表し、
435は、水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換の炭素原子数1〜10のアルキル基又は下記化学式(A)〜(C)より選択されるいずれかの置換基を表し、
Anq−はq価の陰イオンを表し、
pは電荷を中性にする係数を表す。)
Figure 2021066773
(式中、R521、R522、R523、R524、R525、R526、R527、R528、R529、R530、R531、R532、R533、R534、R536、R537、R538、R539、R545、R546、R547、R548及びR549は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換の炭素原子数1〜10のアルキル基、置換若しくは無置換の炭素原子数1〜10のアルコキシ基又は炭素原子数2〜10のエステル基を表し、
540、R541、R542、R543及びR544は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は置換若しくは無置換の炭素原子数1〜10のアルキル基を表し、
*は、一般式(4)中のSとの結合位置を表す。)
421、R422、R423、R424、R425、R426、R427、R428、R429、R430、R431、R432、R433、R434、R435、R521、R522、R523、R524、R525、R526、R527、R528、R529、R530、R531、R532、R533、R534、R536、R537、R538、R539、R540、R541、R542、R543、R544、R545、R546、R547、R548及びR549で表されるハロゲン原子は、上記「2.ベンゾカルバゾール系増感剤」の項に記載の、一般式(3−1)中のR326で表されるハロゲン原子と同様である。
421、R422、R423、R424、R425、R426、R427、R428、R429、R430、R431、R432、R433、R434、R435、R521、R522、R523、R524、R525、R526、R527、R528、R529、R530、R531、R532、R533、R534、R536、R537、R538、R539、R540、R541、R542、R543、R544、R545、R546、R547、R548及びR549で表される、置換若しくは無置換の炭素原子数1〜10のアルキル基としては、直鎖又は分岐のアルキル基、上記直鎖又は分岐のアルキル基中のメチレン基及び水素原子の少なくとも一方が置換された基が挙げられる。
上記直鎖又は分岐のアルキル基としては、上記「1.非芳香族エポキシ化合物」の項に記載の、一般式(1)中のXで表される直鎖又は分岐のアルキル基として挙げたもののうち、所定の炭素原子数を満たすものが挙げられる。
上記アルキル基中のメチレン基の1つ以上を置換する2価の基としては、所望の酸発生能が得られるものであればよく、例えば、下記群1で表される2価の基(なお、上記群1で表される2価の基は隣り合わない。)が挙げられる。
上記アルキル基中の水素原子の1つ以上を置換する基としては、ハロゲン原子、水素原子等が挙げられる。
群1:−O−、−S−、−NR−、−NR−(C=O)−O−、−CO−、−(C=O)−O−、−O−(C=O)−、−O−(C=O)−O−、−SiR
は水素原子又は炭素原子数1〜10の直鎖又は分岐のアルキル基を表す。
なお、炭素原子数1〜10の直鎖又は分岐のアルキル基としては、上記「1.非芳香族エポキシ化合物」の項に記載の、一般式(1)中のXで表される直鎖又は分岐のアルキル基として挙げたもののうち、所定の炭素原子数を満たすものが挙げられる。
このようなR421等で表される置換若しくは無置換のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、s−ブチル、t−ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、t−アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、エチルオクチル、2−メトキシエチル、3−メトキシプロピル、4−メトキシブチル、2−ブトキシエチル、メトキシエトキシエチル、メトキシエトキシエトキシエチル、3−メトキシブチル、2−メチルチオエチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ブロモメチル、ジブロモメチル、トリブロモメチル、ジフルオロエチル、トリクロロエチル、ジクロロジフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ノナフルオロブチル、デカフルオロペンチル、トリデカフルオロヘキシル、ペンタデカフルオロヘプチル、ヘプタデカフルオロオクチル、メトキシメチル、1,2−エポキシエチル、メトキシエチル、メトキシエトキシメチル、メチルチオメチル、エトキシエチル、ブトキシメチル、t−ブチルチオメチル、4−ペンテニルオキシメチル、トリクロロエトキシメチル、ビス(2−クロロエトキシ)メチル、メトキシシクロヘキシル、1−(2−クロロエトキシ)エチル、1−メチル−1−メトキシエチル、エチルジチオエチル、トリメチルシリルエチル、t−ブチルジメチルシリルオキシメチル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル、t−ブトキシカルボニルメチル、エチルオキシカルボニルメチル、エチルカルボニルメチル、t−ブトキシカルボニルメチル、アクリロイルオキシエチル、メタクリロイルオキシエチル、2−メチル−2−アダマンチルオキシカルボニルメチル、アセチルエチル、2−メトキシ−1−プロペニル、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、1−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシブチル、4−ヒドロキシブチル、1,2−ジヒドロキシエチル等が挙げられる。
421、R422、R423、R424、R425、R426、R427、R428、R429、R430、R521、R522、R523、R524、R525、R526、R527、R528、R529、R530、R531、R532、R533、R534、R536、R537、R538、R539、R545、R546、R547、R548及びR549で表される置換若しくは無置換の炭素原子数1〜10のアルコキシ基としては、アルキル基の結合箇所側末端のメチレン基に−O−が結合した基が挙げられる。上記アルコキシ基を構成するアルキル基としては、上記R421等で表される置換若しくは無置換のアルキル基と同様である。
このようなR421等で表される置換若しくは無置換のアルコキシ基としては、具体的には、メトキシ、エトキシ、プロピルオキ、イソプロピルオキシ、ブチルオキシ、s−ブチルオキシ、t−ブチルオキシ、イソブチルオキシ、ペンチルオキシ、イソアミルオキシ、t−アミルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロヘキシルメチルオキシ、テトラヒドロフラニルオキシ、テトラヒドロピラニルオキシ、2−メトキシエチルオキシ、3−メトキシプロピルオキシ、4−メトキシブチルオキシ、2−ブトキシエチルオキシ、メトキシエトキシエチルオキシ、メトキシエトキシエトキシエチルオキシ、3−メトキシブチルオキシ、2−メチルチオエチルオキシ、トリフルオロメチルオキシ等が挙げられる。
421、R422、R423、R424、R425、R426、R427、R428、R429、R430、R521、R522、R523、R524、R525、R526、R527、R528、R529、R530、R531、R532、R533、R534、R536、R537、R538、R539、R545、R546、R547、R548及びR549で表される炭素原子数2〜10のエステル基としては、結合箇所側末端にエステル結合(−CO−O−又は−O−CO−)を有する基であればよく、アルキル基の結合箇所側末端のメチレン基にエステル結合が結合した基が挙げられる。上記エステル基を構成するアルキル基は、上記R421等で表される置換若しくは無置換のアルキル基と同様である。
このようなR421等で表されるエステル基としては、具体的には、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、フェノキシカルボニル、アセトキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、クロロアセチルオキシ、ジクロロアセチルオキシ、トリクロロアセチルオキシ、トリフルオロアセチルオキシ、t−ブチルカルボニルオキシ、メトキシアセチルオキシ、ベンゾイルオキシ等が挙げられる。
一般式(4)中のpAnq−で表されるq価のアニオンとしては、上述の陰イオン[B]m−として挙げたもののうち、所定の価数のアニオンが挙げられる。
pAnq−で表されるq価のアニオンとしては、例えば、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[(CB]、テトラフルオロボレート(BF、ヘキサフルオロホスフェート(PF、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF、ヘキサフルオロアルセネート(AsF、ヘキサクロロアンチモネート(SbCl、トリス(ペンタフルオロメチル)トリフルオロリン酸イオン(FAPアニオン)、過塩素酸イオン(ClO、トリフルオロメチル亜硫酸イオン(CFSO、フルオロスルホン酸イオン(FSO、トルエンスルホン酸陰イオン、トリニトロベンゼンスルホン酸陰イオン、カンファースルフォネート、ノナフロロブタンスルフォネート、ヘキサデカフロロオクタンスルフォネート、テトラアリールボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
本発明においては、R435が、化学式(A)〜(C)より選択されるものであることが好ましく、化学式(A)又は(C)より選択されるものであることがより好ましい。R435が上述の構造を有することにより、感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れたものとなるからである。本発明においては、光酸発生剤の分散安定性の観点からは、R435が化学式(C)であることが好ましい。一方、接着力及び保存安定性により優れたものとする観点からは、R435が化学式(A)であることが好ましい。感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れたものとする観点からは、光酸発生剤は、R435が化学式(A)であるものと、化学式(C)であるものの両者を含むことが好ましい。
光酸発生剤が、R435が化学式(A)であるものと、化学式(C)であるものの両者を含む場合、R435が化学式(A)であるもの含有量は、化学式(C)であるもの100質量部に対して、10質量部以上200質量部以下が好ましく、25質量部以上200質量部以下であることがより好ましく、特に50質量部以上200質量部以下であることが好ましく、80質量部以上120質量部以下であることが最も好ましい。このような範囲の含有量であることで、感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れたものとなるからである。
421、R422、R423、R424、R425、R426、R427、R428、R429、R430、R431、R432、R433及びR434は、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基又は炭素原子数2〜10のエステル基であるが、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基であることが好ましく、特に、水素原子であることが好ましい。このような官能基であることで、上記組成物は、感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れたものとなるからである。また、このような光酸発生剤が合成容易なものとなるからである。
521、R522、R523、R524、R525、R526、R527、R528、R529、R530、R531、R532、R533、R534、R536、R537、R538、R539、R540、R541、R542、R543、R544、R545、R546、R547、R548及びR549は、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基又は炭素原子数1〜10のアルコキシ基であることが好ましく、特に、水素原子であることが好ましい。このような官能基であることで、上記組成物は、感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れたものとなるからである。また、このような光酸発生剤が合成容易なものとなるからである。
光酸発生剤の含有量は、所望の接着力及び保存安定性を得られるものであればよく、例えば、上記組成物の固形分100質量部中、0.1質量部以上10質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上8質量部以下であることがより好ましく、特に、1.0質量部以上5質量部以下であることが好ましく、なかでも特に、1.2質量部以上4質量部以下であることが好ましい。上記含有量が上述の範囲内であることで、上記組成物は、感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れたものとなるからである。
4.その他のカチオン重合性成分
本発明の組成物は、非芳香族エポキシ化合物以外のカチオン重合性成分(以下、その他のカチオン重合性成分と称する場合がある。)を含むことができる。
なお、カチオン重合性成分を構成するカチオン重合性化合物は、カチオン重合性基を有するものは全て該当するものとする。したがって、カチオン重合性基及びラジカル重合性基の両者を含むものも、カチオン重合性化合物に該当するものとする。
上記その他のカチオン重合性成分としては、芳香族エポキシ化合物、オキセタン化合物、ビニルエーテル化合物、環状ラクトン化合物、環状アセタール化合物、環状チオエーテル化合物、スピロオルトエステル化合物等が挙げられる。
本発明においては、その他のカチオン重合性成分として、芳香族エポキシ化合物、オキセタン化合物、ビニルエーテル化合物等を含むことが好ましい。塗工性、硬化速度等の調整が容易だからである。
(1)芳香族エポキシ化合物
芳香族エポキシ化合物は、芳香族環を有し、シクロアルケンオキサイド構造を有しない化合物である。
芳香族エポキシ化合物の具体例としては、フェノール、クレゾール、ブチルフェノール等の少なくとも1個の芳香族環を有する1価フェノール、及びそのアルキレンオキサイド付加物のモノ/ポリグリシジルエーテル化物、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、及びこれらにさらにアルキレンオキサイドを付加した化合物のグリシジルエーテル化物、フェノールノボラック型エポキシ化合物;レゾルシノール、ハイドロキノン及びカテコール等の2個以上のフェノール性水酸基を有する芳香族化合物のグリシジルエーテル;ベンゼンジメタノール、ベンゼンジエタノール、ベンゼンジブタノール等のアルコール性水酸基を2個以上有する芳香族化合物のポリグリシジルエーテル化物;フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸等の2個以上のカルボン酸を有する多塩基酸芳香族化合物のポリグリシジルエステル、安息香酸、トルイル酸、ナフトエ酸等の安息香酸類のポリグリシジルエステル、安息香酸のグリシジルエステル、スチレンオキサイド、ジビニルベンゼンのエポキシ化物等が挙げられる。中でも、フェノール類のポリグリシジルエーテル、アルコール性水酸基を2個以上有する芳香族化合物のポリグリシジルエーテル化物、多価フェノール類のポリグリシジルエーテル化物、安息香酸類のポリグリシジルエステル、及び多塩基酸類のポリグリシジルエステルの群から選ばれる少なくとも一種を含有することが、組成物の低粘度化の観点から好ましい。芳香族エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールE型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物が、接着力に優れるため好ましい。
芳香族エポキシ化合物としては、下記一般式(13)で表される化合物が好ましい。感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れたものとすることが容易だからである。また、上記組成物は、塗工性等にも優れたものとなるからである。
Figure 2021066773
(式中、X13は、炭素原子数6〜20の芳香環含有基を表し、炭素原子数6〜20の芳香環含有基中のメチレン基の1つ又は2つ以上は、−O−で置換されていてもよく、炭素原子数6〜20の芳香環含有基中の水素原子の1つ又は2つ以上は、水酸基で置換されていてもよい。n13は、1〜10の整数を表す。)
炭素原子数6〜20の芳香環含有基としては、一価の炭素原子数1〜20の芳香環含有基から水素原子を「n13−1」個除いた基が挙げられる。
13で表される一価の炭素原子数1〜20の芳香環含有基としては、芳香族炭化水素環を含み、複素環を含まない炭化水素基であればよく、例えば、炭素原子数6〜20のアリール基が挙げられる。
上記炭素原子数6〜20のアリール基は、上記「2.ベンゾカルバゾール系増感剤」の項に記載の、一般式(3−1)中のR326で表される炭素原子数6〜20のアリール基と同様である。
13で表される芳香環含有基としては、アリール基と、直鎖又は分岐のアルキル基とを組み合わせた基も挙げられる。例えば、直鎖又は分岐のアルキル基中の水素原子の1つ又は2つ以上が、アリール基で置換された基、直鎖又は分岐のアルキル基中のメチレン基の1つ又は2つ以上が、アリール基から水素原子を1つ除いた基で置換された基等が挙げられる。
また、アリール基と組み合わせて用いられる、直鎖又は分岐のアルキル基としては、上記「1.非芳香族エポキシ化合物」の項に記載の、一般式(1)中のXで表される直鎖又は分岐のアルキル基として挙げたもののうち、所定の炭素原子数を満たすものが挙げられる。
n13は、1〜4の整数であることが好ましく、2〜3の整数であることがより好ましく、特に2であることが好ましい。
13は、炭素原子数6〜20の直鎖又は分岐のアルキル基中のメチレン基の1つ又は2つ以上が、アリール基から水素原子を1つ除いた基で置換された基であることが好ましく、炭素原子数13〜18の直鎖又は分岐のアルキル基中のメチレン基の1つ又は2つ以上が、アリール基から水素原子を1つ除いた基で置換された基であることが好ましく、n13が2である場合、下記一般式(13−1)で表される基であることが好ましい。感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れたものとすることが容易だからである。また、上記組成物は、塗工性等にも優れたものとなるからである。
Figure 2021066773
(式中、R13a−1及びR13a−2は、水素原子又は炭素原子数1〜20の直鎖若しくは分岐のアルキル基を表し、*は、結合箇所を表す。)
炭素原子数1〜20の直鎖又は分岐のアルキル基は、上記「1.非芳香族エポキシ化合物」の項に記載の、一般式(1)中のXで表される炭素原子数1〜20の直鎖又は分岐のアルキル基と同様である。
13a−1及びR13a−2は、水素原子又は炭素原子数1〜5の直鎖のアルキル基であることが好ましく、炭素原子数1〜3の直鎖のアルキル基であることがより好ましい。感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れたものとすることが容易だからである。また、上記組成物は、塗工性等にも優れたものとなるからである。
芳香族エポキシ化合物としては、市販品のものを用いることができ、例えば、デナコールEX−121、デナコールEX−145、デナコールEX−146、デナコールEX−147、デナコールEX−201、デナコールEX−203、デナコールEX−711、デナコールEX−721、オンコートEX−1020、オンコートEX−1030、オンコートEX−1040、オンコートEX−1050、オンコートEX−1051、オンコートEX−1010、オンコートEX−1011、オンコート1012(ナガセケムテックス製);オグソールPG−100、オグソールEG−200、オグソールEG−210、オグソールEG−250(大阪ガスケミカル製);HP4032、HP4032D、HP4700(DIC製);ESN−475V(新日鉄住金化学製);エピコートYX8800(三菱化学製);マープルーフG−0105SA、マープルーフG−0130SP(日油製);エピクロンN−665、エピクロンHP−7200(DIC製);EOCN−1020、EOCN−102S、EOCN−103S、EOCN−104S、XD−1000、NC−3000、EPPN−501H、EPPN−501HY、EPPN−502H、NC−7000L(日本化薬製);アデカレジンEP−4000、アデカレジンEP−4005、アデカレジンEP−4100、アデカレジンEP−4901、アデカレジンEP−3300E、アデカレジンEP−3950S、KRM−430(ADEKA製);TECHMORE VG−3101L(プリンテック製)等が挙げられる。
芳香族エポキシ化合物の含有量は、所望の接着力及び保存安定性を得られるものであればよく、例えば、カチオン重合性成分100質量部中、10質量部以上80質量部以下であることが好ましく、20質量部以上70質量部以下であることがより好ましく、特に30質量部以上60質量部以下であることが好ましい。上記含有量が上述の範囲内であることで、感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れたものとすることが容易だからである。
なお、カチオン重合性成分100質量部とは、非芳香族エポキシ化合物及びその他のカチオン重合性成分の合計の含有量を100質量部とした場合を表すものである。
(2)オキセタン化合物
オキセタン化合物は、オキセタン構造を有し、エポキシ構造を有しない化合物である。
オキセタン化合物としては、3,7−ビス(3−オキセタニル)−5−オキサ−ノナン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,2−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エタン、1,3−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン、エチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、1,4−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ブタン、1,6−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ヘキサン、3−エチル−3−(3−エチル−3−オキセタニルメチルオキシメチル)オキセタン、キシリレンビスオキセタン等の二官能オキセタン化合物、3−エチル−3−[(フェノキシ)メチル]オキセタン、3−エチル−3−(ヘキシロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(ヒドロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(クロロメチル)オキセタン等の一官能オキセタン化合物等が挙げられ、一官能脂肪族オキセタン化合物が、粘度及び反応性の点から好ましい。これらは1種単独あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
オキセタン化合物の市販品としては、例えば、アロンオキセタンOXT−121、OXT−221、EXOH、POX、OXA、OXT−101、OXT−211、OXT−212(東亞合成製)、エタナコールOXBP、OXTP、HBOX、OXIPA(宇部興産製)等が挙げられる。
オキセタン化合物の含有量は、所望の接着力及び保存安定性を得られるものであればよく、例えば、カチオン重合性成分100質量部中、5質量部以上70質量部以下であることが好ましく、10質量部以上50質量部以下であることがより好ましく、特に15質量部以上30質量部以下であることが好ましい。上記含有量が上述の範囲内であることで、感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れたものとすることが容易だからである。
(3)ビニルエーテル化合物
ビニルエーテル化合物は、ビニルエーテル構造を有し、エポキシ構造を有しない化合物である。
ビニルエーテル化合物としては、例えば、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、n−ドデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、1,6−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,6−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル等が挙げられる。
ビニルエーテル化合物の市販品としては、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル(丸善石油化学製)が挙げられる。
ビニルエーテル化合物の含有量は、所望の接着力及び保存安定性を得られるものであればよく、例えば、カチオン重合性成分100質量部中、1質量部以上50質量部以下であることが好ましく、2質量部以上40質量部以下であることがより好ましく、特に3質量部以上20質量部以下であることが好ましい。上記含有量が上述の範囲内であることで、感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れたものとすることが容易だからである。
(4)その他のカチオン重合性成分
上記その他のカチオン重合性成分の含有量としては、所望の接着力及び保存安定性を得られるものであればよく、上記組成物の固形分100質量部中、1質量部以上70質量部以下であることが好ましく、5質量部以上50質量部以下であることがより好ましく、特に10質量部以上40質量部以下であることが好ましい。上記含有量が上述の範囲内であることで、上記組成物は、塗工性等の調整が容易なものとなるからである。
上記その他のカチオン重合性成分及び非芳香族エポキシ化合物の合計の含有量、すなわち、カチオン重合性成分全体の含有量は、例えば、上記組成物の固形分100質量部中、50質量部以上とすることができ、70質量部以上99.5質量部以下であることが好ましく、80質量部以上99.0質量部以下であることがより好ましく、90質量部以上98.5質量部以下であることが更に好ましく、特に95質量部以上98.0質量部以下であることが好ましい。上記含有量が上述の範囲内であることで、上記組成物は、感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れたものとなるからである。特に、上記組成物が、硬化性成分としてラジカル重合性成分を含まない場合に、感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れたものとすることが容易だからである。
上記カチオン重合性成分全体の含有量は、上記組成物の固形分100質量部中、10質量部以上90質量部以下であることが好ましく、20質量部以上80質量部以下であることが好ましく、30質量部以上70質量部以下であることが好ましい。上記組成物は、感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れたものとなるからである。特に、上記組成物が、硬化性成分としてラジカル重合性成分を含む場合に、感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れたものとすることが容易だからである。
5.その他の増感剤
本発明の組成物は、ベンゾカルバゾール系増感剤以外の増感剤(以下、その他の増感剤と称する場合がある。)を含むことができる。
上記その他の増感剤としては、ベンゾカルバゾール構造を有しないものである。
また、上記その他の増感剤は、上記非芳香族エポキシ化合物、光酸発生剤、その他のカチオン重合性成分以外の化合物である。
このようなその他の増感剤としては、アントラセン系化合物、ナフタレン系化合物、カルバゾール誘導体、ベンゾイン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、チオキサントン誘導体等が挙げられる。
アントラセン系化合物としては、アントラセン構造を有する化合物であればよく、例えば下記一般式(5)で表されるものが挙げられる。
Figure 2021066773
(式中、R500及びR501は、各々独立に炭素原子数1〜6のアルキル基又は炭素原子数2〜12のアルコキシアルキル基を表し、R502は水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。)
500、R501及びR502で表される炭素原子数1〜6のアルキル基としては、上記「3.光酸発生剤」の項に記載の、一般式(4)中のR421で表される炭素原子数1〜10のアルキルのうち、所定の炭素原子数を満たすものが挙げられる。
500及びR501で表される炭素原子数2〜12のアルコキシアルキル基としては、メトキシメチル、メトキシエチル、メトキシプロピル、エトキシエチル、メトキシブチル、エトキシプロピル、プロポキシエチル、メトキシペンチル、エトキシブチル、プロポキシプロピル、ブトキシエチル、ペントキシエチル、ブトキシプロピル、ヘキソキシエチル、ペントキシプロピル等が挙げられる。
一般式(5)で表されるアントラセン系化合物の具体例を挙げると、次のような化合物がある。
9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセン、9,10−ジイソプロポキシアントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン、9,10−ジペンチルオキシアントラセン、9,10−ジヘキシルオキシアントラセン、9,10−ビス(2−メトキシエトキシ)アントラセン、9,10−ビス(2−エトキシエトキシ)アントラセン、9,10−ビス(2−ブトキシエトキシ)アントラセン、9,10−ビス(3−ブトキシプロポキシ)アントラセン、2−メチル−または2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、2−メチル−または2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセン、2−メチル−または2−エチル−9,10−ジプロポキシアントラセン、2−メチル−または2−エチル−9,10−ジイソプロポキシアントラセン、2−メチル−または2−エチル−9,10−ジブトキシアントラセン、2−メチル−または2−エチル−9,10−ジペンチルオキシアントラセン、2−メチル−または2−エチル−9,10−ジヘキシルオキシアントラセン等。
ナフタレン系化合物としては、ナフタレン構造を有する化合物であればよく、例えば、下記一般式(6)で表されるものが挙げられる。
Figure 2021066773
一般式(6)中、R601及びR602は各々独立に炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。
601及びR602で表される炭素原子数1〜6のアルキル基としては、上記「3.光酸発生剤」の項に記載の、一般式(4)中のR421で表される炭素原子数1〜10のアルキルのうち、所定の炭素原子数を満たすものが挙げられる。
一般式(6)で表されるナフタレン系化合物の具体例を挙げると、次のような化合物がある。
4−メトキシ−1−ナフトール、4−エトキシ−1−ナフトール、4−プロポキシ−1−ナフトール、4−ブトキシ−1−ナフトール、4−ヘキシルオキシ−1−ナフトール、1,4−ジメトキシナフタレン、1−エトキシ−4−メトキシナフタレン、1,4−ジエトキシナフタレン、1,4−ジプロポキシナフタレン、1,4−ジブトキシナフタレン等。
カルバゾール誘導体としては、カルバゾール構造を有する化合物であればよく、例えば、以下の一般式(7)で表されるものが挙げられる。
Figure 2021066773
(式中、R716は水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、ビニル基又は炭素原子数6〜20のアリール基を表す。R717、R718、R719、R720、R721、R722、R723及びR724は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、シアノ基、水酸基又はカルボキシル基を表す。)
716、R717、R718、R719、R720、R721、R722、R723及びR724で表されるハロゲン原子及び炭素原子数6〜20のアリール基は、上記「2.ベンゾカルバゾール系増感剤」の項に記載の、一般式(3−1)中のR326等で表されるハロゲン原子及び炭素原子数6〜20のアリール基と同様である。
716、R717、R718、R719、R720、R721、R722、R723及びR724で表される炭素原子数1〜10のアルキル基及び炭素原子数1〜10のアルコキシ基は、上記「3.光酸発生剤」の項に記載の、一般式(4)中のR421で表される炭素原子数1〜10のアルキル基及び炭素原子数1〜10のアルコキシ基と同様である。
ベンゾイン誘導体としては、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン等が挙げられる。
ベンゾフェノン誘導体としては、ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられる。
チオキサントン誘導体としては、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等が挙げられる。
本発明においては、その他の増感剤の最大吸収波長は、所望の硬化速度等を得られるものであれば特に限定されるものではない。最大吸収波長としては、例えば、300nm以上500nm以下の範囲で、310nm以上370nm以下であることが好ましく、310nm以上340nm以下であることがより好ましく、310nm以上335nm以下であることが更に好ましく、特に315nm以上330nm以下であることが好ましい。上記組成物は、感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れたものとなるからである。また、上記組成物は、可視光の吸収が少ないものとなり、透明性の高い硬化物を得ることが容易となる。このため、上記組成物は、光学部材等に有用となるからである。
上記その他の増感剤の含有量は、所望の感度、接着力及び保存安定性が得られるものであればよく、上記組成物の固形分100質量部中、3質量部以下であることが好ましく、1質量部以下であることがより好ましく、0.01質量部以下であることが更に好ましく、特に0質量部であること、すなわち、上記その他の増感剤を含まないことが好ましい。
6.ラジカル重合性成分
本発明の組成物は、更にラジカル重合性成分を含むことができる。
ラジカル重合性成分は、カチオン重合性化合物と比較して硬化速度に優れるため、ラジカル重合性成分同士を早期に硬化することで位置精度に優れた接着が容易となり、形状安定性に優れた部材の形成が容易となる。
また、ラジカル重合性成分のような反応性の高い化合物を含む場合、品質変化抑制の観点から、低温保存(冷蔵保存又は冷凍保存等)される場合がある。上記組成物は、保存安定性に優れるため、このような低温保存時に、含有成分の析出、凝集等の少ないものとすることができる。このように、ラジカル重合性成分を含むことで、上記組成物は、感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れるとの効果をより効果的に発揮できる。
ラジカル重合性成分としては、アクリロイル基、メタクリロイル基等のエチレン性不飽和基を有する化合物(以下、単にラジカル重合性化合物と称する場合がある。)の1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ラジカル重合性化合物としては、エチレン性不飽和基を1つ有する単官能化合物、エチレン性不飽和基を2以上有する多官能化合物が挙げられる。このようなラジカル重合性化合物としては、例えば、国際公開2016/136752号、特開2016−210849号公報、特開2016−176009号公報等にラジカル重合性化合物として記載される化合物が挙げられる。
ラジカル重合性成分としては、脂肪族環及び芳香族環を含まない脂肪族ラジカル重合性化合物及び脂肪族環を含む脂環式ラジカル重合性化合物が好ましい。上記組成物は、接着力により優れたものとなるからである。
脂肪族ラジカル重合性化合物としては、下記一般式(14)で表される化合物が好ましい。硬化速度に優れたものとすることが容易となるからである。
Figure 2021066773
(式中、R1401は、水素原子又はメチル基を表し、X14は、炭素原子数1〜20の直鎖又は分岐の炭化水素基を表す。炭素原子数1〜20の直鎖又は分岐の炭化水素基中のメチレン基の1つ又は2つ以上は、−O−で置換されていてもよく、炭素原子数1〜20の直鎖又は分岐の炭化水素基中の水素原子の1つ又は2つ以上は、水酸基で置換されていてもよい。n14は、1〜10の整数を表す。)
炭素原子数1〜20の直鎖又は分岐の炭化水素基を有する炭化水素基としては、炭素原子数1〜20の直鎖又は分岐のアルキル基から水素原子を「n14−1」個除いた基が挙げられる。
14で表される炭素原子数1〜20の直鎖又は分岐のアルキル基は、上記「1.非芳香族エポキシ化合物」の項に記載の、一般式(1)中のXで表される直鎖又は分岐のアルキル基と同様である。
n14は、1〜4の整数であることが好ましく、1〜3の整数であることがより好ましく、特に1〜2であることが好ましい。このような構造であることで、上記組成物は、硬化速度に優れる等の効果をより効果的に発揮可能となるからである。
14は、炭素原子数2〜10の直鎖又は分岐の炭化水素基又は該炭化水素基中の水素原子の1つ又は2つ以上が、水酸基で置換された基であることが好ましく、炭素原子数3〜8の直鎖の炭化水素基又は該炭化水素基中の水素原子の1つ又は2つ以上が、水酸基で置換された基であることがより好ましく、特に炭素原子数4〜6の直鎖の炭化水素基又は該炭化水素基中の水素原子の1つ又は2つ以上が、水酸基で置換された基であることが好ましい。このような構造であることで、上記組成物は、硬化速度に優れる等の効果をより効果的に発揮可能となるからである。
脂肪族ラジカル重合性化合物としては、メチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート等の単官能アクリレート又は単官能メタクリレート;1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能アクリレート又は多官能メタクリレートが挙げられる。
また、脂肪族ラジカル重合性化合物の具体例としては、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等の水酸基を有するアクリレート又はメタクリレートが挙げられる。
脂環式ラジカル重合性化合物としては、下記一般式(15)で表される化合物が好ましい。このような化合物であることで、上記組成物は、硬化速度に優れる等の効果をより効果的に発揮可能となるからである。
Figure 2021066773
(式中、R1501は、水素原子又はメチル基を表し、X15は、炭素原子数1〜20のシクロアルキル環を有する炭化水素基を表す。炭素原子数1〜20のシクロアルキル環を有する炭化水素基中のメチレン基の1つ又は2つ以上は、−O−で置換されていてもよく、炭素原子数1〜20のシクロアルキル環を有する炭化水素基中の水素原子の1つ又は2つ以上は、水酸基で置換されていてもよい。n15は、1〜10の整数を表す。)
炭素原子数1〜20のシクロアルキル環を有する炭化水素基を有する炭化水素基としては、炭素原子数1〜20のシクロアルキル環を有するアルキル基から水素原子を「n15−1」個除いた基が挙げられる。
n15は、1〜4の整数であることが好ましく、1〜3の整数であることがより好ましく、特に1〜2であることが好ましい。このような構造であることで、上記組成物は、硬化速度に優れる等の効果をより効果的に発揮可能となるからである。
15は、炭素原子数3〜20のシクロアルキル環を有する炭化水素基であることが好ましく、なかでも、炭素原子数5〜18のシクロアルキル環を有する炭化水素基であることが好ましく、なかでも、炭素原子数8〜15のシクロアルキル環を有する炭化水素基であることが好ましい。上記組成物は、硬化速度に優れる等の効果をより効果的に発揮可能となるからである。
また、X15で表されるシクロアルキル環を有する炭化水素基としては、架橋炭化水素環基を有することが好ましく、トリシクロデカン基を有することがより好ましい。上記組成物は、硬化速度に優れる等の効果をより効果的に発揮可能となるからである。また、接着力に優れたものとなるからである。
脂環式ラジカル重合性化合物としては、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート等の単環式炭化水素環を有するアクリレート又はメタクリレート;イソボルニルアクリレート、アダマンチルメタクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、トリシクロデカンアクリレート及びトリシクロデカンメタクリレート等の架橋炭化水素環をアクリレート又はメタクリレートが挙げられる。
ラジカル重合性成分の含有量は、所望の接着力及び保存安定性を得られるものであればよく、例えば、上記組成物の固形分100質量部中、20質量部以上80質量部以下であることが好ましく、30質量部以上70質量部以下であることがより好ましく、特に40質量部以上60質量部以下であることが好ましい。含有量がこのような範囲であることで、上記組成物は、感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れたものとなるからである。
7.ラジカル重合開始剤
本発明の組成物は、ラジカル重合性成分と共にラジカル重合開始剤を含むことができる。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、国際公開第2018/012383号公報等に記載のアセトフェノン系化合物、ベンジル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物及びオキシムエステル系化合物の光ラジカル重合開始剤、アゾ系化合物、過酸化物及び過硫酸塩等の熱ラジカル重合開始剤、特開2016−210849号公報に記載の光ラジカル重合開始剤等が挙げられる。
ラジカル重合開始剤の含有量は、所望の硬化性が得られるものであればよく、例えば、ラジカル重合性成分100質量部に対して、0.1質量部以上30質量部以下であることが好ましく、1質量部以上20質量部以下であることがより好ましい。ラジカル重合開始剤の含有量が上述の範囲であることで、硬化速度等に優れたものとすることが容易だからである。
8.溶剤
本発明の組成物は、溶剤を含むことができる。
上記溶剤は、組成物中の各成分を分散又は溶解可能なものである。また、溶剤は、光酸発生剤により重合しないものである。
また、常温(25℃)大気圧下で液状であっても、「1.非芳香族エポキシ化合物」の項に記載される非芳香族エポキシ化合物、「2.ベンゾカルバゾール系増感剤」の項に記載のベンゾカルバゾール系増感剤、「3.光酸発生剤」の項に記載の光酸発生剤、「4.その他のカチオン重合性成分」の項に記載のカチオン重合性成分、「5.その他の増感剤」の項に記載のその他の増感剤、「6.ラジカル重合性成分」の項に記載のラジカル重合性成分、「7.ラジカル重合開始剤」の項に記載のラジカル重合開始剤は、溶剤には含まれない。
このような溶剤としては、水、有機溶剤のいずれも用いることができるが、有機溶剤が好ましい。有機溶剤の含有量は、所望の接着力及び保存安定性が得られるものであればよく、溶剤100質量部中、80質量部以上であることが好ましく、90質量部以上であることがより好ましく、95質量部以上であることが更に好ましく、特に100質量部、すなわち、溶剤として有機溶剤のみを含むことが好ましい。含有量がこのような範囲であることで、上記組成物は、感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れたものとなるからである。
有機溶剤としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート及びジエチルカーボネート等のカーボネート類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノン等のケトン類;エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコール及びジプロピレングリコールモノアセテートのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル又はモノフェニルエーテル等の多価アルコール類及びその誘導体;ジオキサン等の環式エーテル類;蟻酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ピルビン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート等のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;γ−カプロラクトン、δ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、ジメチル−ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−バレロラクトン及びγ−ブチロラクトン等のラクトン類等が挙げられ、これらの溶媒は1種又は2種以上の混合溶媒として使用することができる。これらの有機溶剤の中でも、多価アルコール類の誘導体、ラクトン類、カーボネート類が好ましく、カーボネート類がより好ましく、特にプロピレンカーボネートが好ましい。このような有機溶剤であることで、上記組成物は、感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れたものとなるからである。
有機溶剤の分子量は、感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れたものとなる観点からは、50以上300以下であることが好ましく、80以上200以下であることがより好ましく、特に90以上150以下であることが好ましい。
有機溶剤の沸点は、硬化物からの揮散の少ないものとする観点からは、100℃以上350℃以下であることが好ましく、130℃以300℃以下であることがより好ましく、200℃以上300℃以下であることが更に好ましく、特に200℃以上250℃以下であることが好ましい。
溶剤の含有量は、所望の接着力及び保存安定性が得られるものであればよく、光酸発生剤100質量部に対して、200質量部以下であることが好ましく、150質量部以下であることがより好ましく、特に120質量部以下であることが好ましい。含有量がこのような範囲であることで、上記組成物は、感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れたものとなるからである。
溶剤の含有量は、所望の光酸発生剤の分散安定性と接着力及び保存安定性とが得られるものであればよく、上記組成物100質量部中、10質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上7質量部以下であることがより好ましく、0.7質量部以上5質量部以下であることが更に好ましく、特に1質量部以上4質量部以下であることが好ましい。含有量がこのような範囲であることで、上記組成物は、感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れたものとなるからである。
9.組成物
本発明の組成物は、非芳香族エポキシ化合物、光酸発生剤及びベンゾカルバゾール系増感剤を含むものであり、更に必要に応じて、その他のカチオン重合性成分、その他の増感剤、ラジカル重合性成分、ラジカル重合開始剤及び溶剤を含むものであるが、これら以外のその他の成分も含むことができる。
その他の成分としては、無機フィラー、有機フィラー、顔料、シランカップリング剤、染料等の着色剤、光増感剤、消泡剤、増粘剤、チクソ剤、界面活性剤、レベリング剤、難燃剤、可塑剤、安定剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、静電防止剤、流動調整剤及び接着促進剤等の各種添加物等が挙げられる。その他の成分は必要に応じて添加すればよく、それらの合計の含有量は、組成物の固形分100質量部中、30質量部以下が好ましい。
本発明の組成物の製造方法としては、上記各成分を均一に混合できる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、非芳香族エポキシ化合物に対して、ベンゾカルバゾール系増感剤、光酸発生剤及び溶剤を添加して混合する方法が挙げられる。なお、混合方法については、公知の混合装置を用いる方法を採用でき、例えば、3本ロール、サンドミル、ボールミル等を用いる方法が挙げられる。
本発明の組成物の硬化方法は、光酸発生剤の種類に応じて適宜設定されるものである。硬化方法としては、エネルギー線照射処理を行う方法であることが好ましい。感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れるとの効果をより効果的に発揮できるからである。
エネルギー線としては、可視光線、紫外線、電子線、X線、放射線、高周波等を挙げることができ、紫外線が経済的に最も好ましい。紫外線の光源としては、紫外線レーザー、水銀ランプ、キセノンレーザ、メタルハライドランプ等が挙げられる。また、本発明の組成物は、LED光源により硬化させることが可能である。LED光源からのエネルギー線としては、紫外線が挙げられる。LED光源からのエネルギー線の波長としては、350nm〜405nmが挙げられる。エネルギー線及びエネルギー線への暴露時間は、国際公開2013/172145号公報等に記載の内容と同様とすることができる。
エネルギー線の照射量に特に制限はなく、組成物の組成によって適宜決定することができる。上記照射量は、組成物中の成分の劣化防止の観点から、照射量は100mJ/cm〜2000mJ/cmが好ましい。
上記硬化方法としては、エネルギー線照射処理と加熱処理とを併用する方法も好ましく、特にエネルギー線照射処理後に加熱処理(ポストベーク処理)を行うことが好ましい。接着力に優れた硬化物の形成が容易となるからである。
上記加熱処理の条件としては、例えば、70℃〜250℃で1〜100分とすることができる。
本発明の組成物の用途としては、硬化物を形成して使用する用途であれば特に限定されるものではなく、光学フィルム、接着剤、メガネ、撮像用レンズに代表される光学材料、塗料、コーティング剤、ライニング剤、インキ、高屈折材料、水溶性材料、半導体・ディスプレイ・MEMS・医療機器用レジスト、液状レジスト、印刷版、絶縁ワニス、絶縁シート、積層板、プリント基盤、半導体装置用・LEDパッケージ用・液晶注入口用・有機EL用・光素子用・電気絶縁用・電子部品用・分離膜用等の封止剤、成形材料、パテ、ガラス繊維含浸剤、目止め剤、半導体用・太陽電池用等のパッシベーション膜、層間絶縁膜、保護膜、カラーフィルタの保護膜、スペーサー、DNA分離チップ、マイクロリアクター、ナノバイオデバイス、ハードディスク用記録材料、固体撮像素子、発光ダイオード、有機発光デバイス、ルミネセントフィルム、蛍光フィルム、アクチュエーター、ホログラム、プラズモンデバイス、偏光板、偏光フィルム、位相差フィルム、液晶表示装置のバックライトに使用されるプリズムレンズシート、プロジェクションテレビ等のスクリーンに使用されるフレネルレンズシート、レンチキュラーレンズシート等のレンズシートのレンズ部、又はこのようなシートを用いたバックライト等、マイクロレンズ等の光学レンズ、光学素子、光コネクター、光導波路、光学的造形用注型剤等が挙げられる。
本発明の組成物は、感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れるとの効果をより効果的に発揮できる観点から、接着剤に用いられることが好ましい。接着剤の具体的な用途としては、メガネや撮像用レンズに代表される光学材料、積層板やプリント基盤に代表される電子材料用途、ヘッドアップディスプレイやカーナビゲーションに代表される車載用機器及び有機ELや液晶に代表されるディスプレイパネル等が挙げられる。なかでも、透明性が要求される用途に用いられることが好ましく、特に、光学材料、車載用機器、ディスプレイパネル等に用いられる光学部材同士の接着用に用いられることが好ましい。
車載用機器、ディスプレイパネル等に含まれる光学部材としては、可視光透過性を有するものが挙げられ、例えば、カラーフィルタ、カバー層、タッチパネル、透明電極層、偏光板等が挙げられる。また、上記光学部材としては、偏光子及び保護フィルム等の偏光板の構成部材等も挙げられる。
接着剤により接着される被着体は、無機材料及び有機材料のいずれも用いることができる。
有機材料としては、例えば、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース等のセルロースエステル;ポリアミド;ポリイミド;ポリウレタン;エポキシ樹脂;ポリカーボネート;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリスチレン;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリテトラフルオロエチレン、シクロオレフィンポリマー等のポリオレフィン;ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル等のビニル化合物;ポリメチルメタクリレート、ポリアクリル酸エステル等のアクリル系樹脂;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルケトン;ポリエーテルイミド;ポリオキシエチレン、ノルボルネン樹脂等の高分子材料が挙げられる。
また、無機材料としては、例えば、ソーダガラス及び石英ガラス等のガラス、金属、金属酸化物等が挙げられる。
本発明の組成物の用途は、紫外光透過率の低い光学部材の接着用であることがより好ましい。上記組成物は、感度及び接着力に優れるとの効果をより効果的に発揮でき、例えば、紫外光透過率の低い光学部材越しにエネルギー線照射される場合でも、優れた接着力を発揮できるからである。
紫外光透過率の低い光学部材としては、可視光の透過性を有し、紫外線(280nm以上380nm)の透過率が低いものであればよい。
本発明における紫外光透過率の低い光学部材としては、波長280mnの光透過率が、50%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましく、10%以下であることが更に好ましく、特に1%以下であることが好ましい。上記組成物の感度及び接着力に優れるとの効果を効果的に発揮できるからである。
本発明における紫外光透過率の低い光学部材としては、波長340nmの光透過率が、50%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましく、10%以下であることが更に好ましく、特に1%以下であることが好ましい。上記組成物の感度及び接着力に優れるとの効果を効果的に発揮できるからである。
本発明における紫外光透過率の低い光学部材としては、波長400nmの光透過率が、1%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましく、30%以上であることが更に好ましく、特に50%以上であることが好ましい。感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れるとの効果を効果的に発揮できるからである。
なお、紫外光透過率の低い光学部材の光透過率は、通常、上記組成物が接着剤として用いられる場合、上記組成物の硬化物の厚み方向をいうものである。より具体的には、上記組成物の硬化物を挟持する2種類の部材間距離が最短となる方向の光透過率をいうものである。
B.硬化物
次に、本発明の硬化物について説明する。
本発明の硬化物は、上記本発明の組成物の硬化物である。
本発明によれば、上述の組成物の硬化物であることで、例えば、紫外光透過率の低い光学部材に対しても優れた接着力を発揮できる。
なお、上記組成物については、「A.組成物」の項に記載の内容と同様なので、ここでの説明は省略する。
上記硬化物は、上記本発明の組成物の硬化物であり、非芳香族エポキシ化合物の重合物を含むものである。非芳香族エポキシ化合物の重合物の含有量は、「A.組成物」の項に記載の非芳香族エポキシ化合物の含有量と同様である。
上記硬化物の平面視形状、厚み等については、硬化物の用途等に応じて適宜設定することができる。
上記硬化物の製造方法としては、上記組成物の硬化物を所望の形状となるように形成できる方法であれば特に限定されるものではない。このような製造方法については、後述する「C.硬化物の製造方法」の項に記載の内容と同様なので、ここでの説明は省略する。
本発明の硬化物の用途等については、「A.組成物」の項に記載の内容と同様である。
C.硬化物の製造方法
次に、本発明の硬化物の製造方法について説明する。
本発明の硬化物の製造方法は、上記組成物を硬化する硬化工程を有することを特徴とするものである。
本発明によれば、上記硬化工程が上述の組成物を用いるものであるため、例えば、紫外光透過率の低い光学部材に対しても優れた接着力を発揮する硬化物の形成が容易となる。
1.硬化する工程
硬化する工程は、上記組成物を硬化する工程である。上記組成物の硬化方法としては、組成物に含まれる光酸発生剤等の開始剤の種類等に応じて適宜設定することができる。このような硬化方法については、「A.組成物」の項に記載の内容と同様である。
本工程においては、上記硬化方法が、紫外光透過率の低い光学部材側から、エネルギー線を照射する方法であることが好ましい。紫外光透過率の低い光学部材越しにエネルギー線を照射した場合でも、優れた接着力を発揮できるとの本発明の効果をより効果的に発揮できるからである。
また、上記組成物は、「A.組成物」の項に記載の内容と同様なので、ここでの説明は省略する。
2.その他の工程
本発明の硬化物の製造方法は、必要に応じてその他の工程を有するものであってもよい。このような工程としては、上述の硬化する工程の前に上記組成物を基材上に塗布する工程等が挙げられる。上記組成物を塗布する方法としては、スピンコーター、ロールコーター、バーコーター、ダイコーター、カーテンコーター、各種の印刷、浸漬等の公知の方法を用いることができる。
基材としては、硬化物の用途等に応じて適宜設定することができ、ソーダガラス、石英ガラス、半導体基板、金属、紙、プラスチック等を含むものが挙げられる。また、硬化物は、基材上で形成された後、基材から剥離して用いても、基材から他の被着体に転写して用いてもよい。
その他の工程としては、上記組成物を基材上に塗布する工程後に、組成物の塗膜中の溶剤を除去するための加熱処理であるプリベーク工程も挙げられる。
上記プリベーク工程における加熱条件としては、組成物中の溶剤を除去できるものであればよく、例えば、70℃以上150℃以下で30秒〜300秒間とすることができる。
3.硬化物
本発明の製造方法により製造される硬化物及び用途等については、「B.硬化物」の項に記載の内容と同様である。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例等を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1〜36及び比較例1〜7]
下記表1〜表5に記載の配合割合に従って、非芳香族エポキシ化合物、光酸発生剤、ベンゾカルバゾール系増感剤、その他のカチオン重合性成分、その他の増感剤、ラジカル重合性成分及びラジカル重合開始剤を配合して組成物を得た。各成分は以下の材料を用いた。なお、表中の配合量は、各成分の質量部を表す。
(非芳香族エポキシ化合物)
A1:脂環式エポキシ化合物(下記式(A1)で表される化合物 低分子量化合物、上記一般式(2)で表される化合物)
B1:脂肪族エポキシ化合物(下記式(B1)で表される化合物 低分子量化合物、上記一般式(1)で表される化合物)
B2:脂肪族エポキシ化合物(下記式(B2)で表される化合物 低分子量化合物、上記一般式(1)で表される化合物)
B3:脂肪族エポキシ化合物(下記式(B3)で表される化合物 低分子量化合物、上記一般式(1)で表される化合物)
B4:脂肪族エポキシ化合物(下記式(B4a)及び(B4b)で表される構成単位を含む化合物(式(B4a)及び(B4b)中の*は、結合箇所を表す。) 高分子量化合物、重量平均分子量8000、上記一般式(I)で表される構成単位を有する脂肪族エポキシポリマー(メチルメタクリレート70質量部とグリシジルメタクリレート30質量部との共重合体))
B5:脂肪族エポキシ化合物(下記式(B5)で表される化合物 低分子量化合物、上記一般式(1)で表される化合物)
Figure 2021066773
(その他のカチオン重合性成分)
C1:芳香族エポキシ化合物(下記式(C1)で表される化合物 低分子量化合物、上記一般式(13)で表される化合物)
C2:芳香族エポキシ化合物(下記式(C2)で表される化合物 低分子量化合物、上記一般式(13)で表される化合物)
D1:オキセタン化合物(下記式(D1)で表される化合物 低分子量化合物)
E1:ビニルエーテル化合物(下記式(E1)で表される化合物 日本カーバイド製4−ヒドロキシブチル ビニルエーテル(HBVE) 低分子量化合物)
Figure 2021066773
(ラジカル重合性成分)
F1:脂肪族ラジカル重合性化合物(下記式(F1)で表される化合物 低分子量化合物、上記一般式(14)で表される化合物)
F2:脂環式ラジカル重合性化合物(下記式(F2)で表される化合物 低分子量化合物、上記一般式(15)で表される化合物)
F3:脂肪族ラジカル重合性化合物(下記式(F3)で表される化合物 低分子量化合物、上記一般式(14)で表される化合物)
Figure 2021066773
(光酸発生剤)
G1:下記式(G1)で表される化合物のプロピレンカーボネート50質量%溶液
G2:下記式(G2)で表される化合物のプロピレンカーボネート50質量%溶液
Figure 2021066773
(増感剤)
H1:ベンゾカルバゾール系増感剤(下記式(H1)で表される化合物、上記一般式(3−1)で表される化合物、最大吸収波長360nm)
I1:ナフタレン系増感剤(下記式(I1)で表される化合物、その他の増感剤、上記一般式(6)で表される化合物、最大吸収波長318nm)
I2:アントラセン系化合物(下記式(I2)で表される化合物、その他の増感剤、上記一般式(5)で表される化合物、最大吸収波長383nm)
Figure 2021066773
(ラジカル重合開始剤)
J1:イルガキュア184(下記式(J1)で表されるアセトフェノン系化合物)
Figure 2021066773
[評価]
得られた各組成物につき、接着力、保存安定性、感度、基材溶解性及び透明性を、下記の手順に従って評価した。
1.接着力
実施例及び比較例の組成物を、硬化後の厚みが3μmとなるように、一枚のPMMAフィルム(住友化学製 テクノロイ125S001)にそれぞれ塗布した後、もう一枚のコロナ放電処理を施したCOPフィルム(シクロオレフィンポリマー、日本ゼオン製 ゼオノアフィルム14−060)とラミネーターを用いて貼り合わせ、無電極紫外光ランプを用いて1000mJ/cmに相当する光をCOPフィルム越しに照射し、組成物を硬化した。30℃、50%RH、大気圧条件下で24時間静置した後に、2.5cm幅に切り出して評価用サンプルを得た。
接着力評価は、引張試験機FTN1−13A(アイコーエンジニアリング製)を用い、25℃で、評価用サンプルのPMMAフィルムを90°方向に引っ張って剥がし、PMMAフィルムがCOPフィルムから剥離する際の最大強度を測定し、下記基準で評価した。結果を下記表1〜表5に示す。
◎:COP又はPMMAとの接着力が2.0N/2.5cm以上
○:COP又はPMMAとの接着力が1.5N/2.5cm以上2.0N/2.5cm未満
△:COP又はPMMAとの接着力が1.0N/2.5cm以上1.5N/2.5cm未満
×:COP又はPMMAとの接着力が1.0N/2.5cm未満
なお、剥離強度が大きいほど、接着力に優れると判断できる。
2.保存安定性
実施例及び比較例の組成物を、アセトンで洗浄して十分に乾燥させた20mLのバイアル瓶に10g秤量し、5℃の環境下に48時間静置した。
次いで、組成物を25℃の環境下に12時間静置して、組成物の温度を25℃に調整し、評価用組成物を得た。
評価用組成物を製膜して、得られた膜を光学顕微鏡で観察し、最大長さが50μm以上の異物の数を1cm×1cmの範囲で確認し、下記基準で評価した。結果を表1〜表5に示す。
○:異物数が5カウント以下
△:異物数が5カウント超20カウント未満
×:異物数が20カウント以上
なお、異物の数が少ないほど、保存安定性に優れると判断できる。
3.感度評価1
実施例及び比較例の各組成物を、ガラス基板上にワイヤーバーコーターを用いて膜厚約30μmとなるよう塗工し、TACフィルム(富士フィルム製 FT−TD60)越しに無電極紫外光ランプを用いて積算光量1000mJ/cmに相当する光を照射し、組成物を硬化した。露光後にタックフリーとなるまでの時間を硬化時間とし、下記基準で評価した。結果を下記表1〜表5に示す。
なお、TACフィルム(FT−TD60)は、厚み方向の280nmの光透過率が0.3%、320nmの光透過率が0.0%、340nmの光透過率が0.0%、400nmの光透過率が63.4%であった。
◎:10秒未満
〇:10秒以上20秒未満
△:20秒以上60秒未満
×:60秒以上
なお、硬化時間が短いほど、感度に優れることを意味する。
4.感度評価2
TACフィルムの代わりに、PETフィルム(東洋紡製 コスモシャインA−4300)を用いた以外は、「3.感度評価1」と同様にして、感度評価を行った。結果を下記表1〜表5に示す。
なお、PETフィルム(A−4300)は、厚み方向の280nmの光透過率が0.0%、320nmの光透過率が32,5%、340nmの光透過率が80.7%、400nmの光透過率が89.0%であった。
5.感度評価3
TACフィルムの代わりに、COPフィルム(シクロオレフィンポリマー、日本ゼオン製 ゼオノアフィルム14−060)を用いた以外は、「3.感度評価1」と同様にして、感度評価を行った。結果を下記表1〜表5に示した。
なお、COPフィルム(14−060)は、厚み方向の280nmの光透過率が66.2%、320nmの光透過率が89.9%、340nmの光透過率が90.3%、400nmの光透過率が90.9%であった。
6.基材溶解性
PMMAフィルム(住友化学製 テクノロイ125S001)を10mm×40mmの大きさに裁断した後、実施例及び比較例の組成物20gに、23℃の温度で2日間浸漬した。2日後、PMMAフィルムを取り出し、ベンコットンで位相差フィルムに付着している組成物を拭き取り、重量を測定した。組成物への浸漬前のフィルム重量と浸漬後のフィルム重量から、下記式によりそのフィルムの重量減少を求め、下記基準で評価した。結果を下記表1〜表5に示す。
重量減少(%)={(浸漬前のフィルム重量−浸漬後のフィルム重量)/浸漬前のフィルム重量}×100
○:浸漬後の重量減少が5%未満
△:浸漬後の重量減少が5%以上
なお、重量減少が少ないほど、基材溶解性が低いと判断できる。
7.透明性評価
実施例及び比較例について、JIS K 0071に準拠してAPHA(ハーゼン単位色数)を測定し、下記基準で評価を行った。結果を下記表1〜表5に示す。
<評価基準>
○:APHAで40以上100未満
△:APHAで100以上
なお、APHAの値が小さいほど、透明性に優れると判断できる。
Figure 2021066773
Figure 2021066773
Figure 2021066773
Figure 2021066773
Figure 2021066773
[まとめ]
表1〜表5より、実施例の組成物は、感度、接着力及び保存安定性のバランスに優れることが確認できた。特に、紫外光透過率の低い部材を通して光を照射した場合であっても、優れた感度を示すことが確認できた。

Claims (8)

  1. 非芳香族エポキシ化合物と、
    光酸発生剤と、
    ベンゾカルバゾール系増感剤と、を含む組成物。
  2. 前記ベンゾカルバゾール系増感剤が、下記一般式(3−1)、(3−2)及び(3−3)で表される化合物から選択される少なくとも1つの化合物を含む請求項1に記載の組成物。
    Figure 2021066773
    (式中、R325は、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、ビニル基、炭素原子数6〜20のアリール基又はこれらの基を組み合わせた基を表す。
    326、R327、R328、R329、R330、R331、R332、R333、R334及びR335は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、シアノ基、水酸基又はカルボキシル基を表す。)
    Figure 2021066773
    (式中、R345は、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、ビニル基、炭素原子数6〜20のアリール基又はこれらの基を組み合わせた基を表す。
    346、R347、R348、R349、R350、R351、R352、R353、R354及びR355は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、シアノ基、水酸基又はカルボキシル基を表す。)
    Figure 2021066773
    (式中、R365は、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、ビニル基、炭素原子数6〜20のアリール基又はこれらの基を組み合わせた基を表す。
    366、R367、R368、R369、R370、R371、R372、R373、R374及びR375は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、シアノ基、水酸基又はカルボキシル基を表す。)
  3. 前記ベンゾカルバゾール系増感剤の含有量が、前記光酸発生剤100質量部に対して、10質量部以上200質量部以下である請求項1又は請求項2に記載の組成物。
  4. 前記非芳香族エポキシ化合物が、脂肪族エポキシ化合物及び脂環式エポキシ化合物から選択される少なくとも1つの化合物を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
  5. 前記非芳香族エポキシ化合物の含有量が、前記組成物の固形分100質量部中、20質量部以上である請求項1〜4のいずれかの1項に記載の組成物。
  6. 前記組成物が、接着用である請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物を用いて形成された硬化物。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物を硬化する硬化工程を有する硬化物の製造方法。
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