JP2020122375A - 法面形成用ブロックおよび法面構造 - Google Patents
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Abstract
Description
具体的には、例えば、特開2017−145681号公報(特許文献1)の「擁壁及びその構築方法」、特開2006−037365号公報(特許文献2)の「擁壁用ブロック及び擁壁」、特開2002−327444号公報(特許文献3)の「土留用コンクリートブロック」、特開2002−227224号公報(特許文献4)の「土留用コンクリートブロックの設置法」、特開2001−348890号公報(特許文献5)の「擁壁ブロック」、及び、特開2000−096586号公報(特許文献6)の「開口部隠ぺい用中空ブロック体及びそのブロック体の組積方法」等が知られている。
なお、本願発明者は、過去に本発明と同じ技術分野に属する発明として、特開2000−54344号公報(特許文献7)、特開2004−324398号公報(特許文献8)、特開2014−20013号公報(特許文献9)、特開2015−135024号公報(特許文献10)、特開2018−21342(特許文献11)を発明している。
また、特許文献1乃至6に開示されるような法面形成用ブロックを用いる場合は、個々の法面形成用ブロックが嵩張るため、多数の法面形成用ブロックを予め製造して備蓄しておくことは現実的でなかった。このため、特許文献1乃至6に開示されるような法面形成用ブロックを、災害発生時等の緊急時に、法面の復旧手段として利用することが難しかった。
上記構成の第1の発明において、表面ブロック及び背面ブロックの平板体はともに、厚板状をなし、かつその厚み方向に水を透過させる第2のスリット及び/又は透水孔を備えている。このため、表面ブロック及び背面ブロックの平板体はともに、その厚み方向における水の流動を可能にしつつ、法面が背面側から表面側へ崩れ落ちることがないように土砂等を保持するという作用を有する。また、連結ブロックにおける本体部は、表面ブロックと背面ブロックとの間に介設されることで、表面ブロックと背面ブロックを所望の間隔を開けた状態で立設しておくためのスペーサーとして作用する。また、本体部に設けられる鉤状部は、表面ブロック又は背面ブロックの、第1のスリット又は挿脱孔に掛着されて、表面ブロック又は背面ブロックと連結ブロックを、着脱可能に連結するという作用を有する。さらに、本体部に突設又は一体に設けられる支持部は、連結ブロックを用いて表面ブロック及び背面ブロックを一体化する際に、立設されている表面ブロック又は背面ブロックが傾く、あるいは、倒れるのを防ぐという作用を有する。したがって、連結ブロックは、表面ブロック及び背面ブロックを分離可能に固定して一体化するという作用を有する。
さらに、第1の発明である法面形成用ブロックを構成する表面ブロック、背面ブロック及び連結部ブロックがともに、鉄筋コンクリート以上の剛性を有していることで、それぞれのブロックに土木建築用の構造物としての十分な強度及び耐久性を付与するという作用を有する。
なお、表面ブロック及び背面ブロックにおいて、第1のスリット又は挿脱孔は、第2のスリットや透水孔と同様に、平板体の厚み方向への水の出入りを自由にするという作用を有している。なお、第1の発明における表面ブロック,背面ブロックに形成される第1のスリット又は挿脱孔が、第2のスリットや透水孔の機能を兼ねる場合は、表面ブロック,背面ブロックには、第1のスリット又は挿脱孔のみを形成してもよい。
上記構成の第2の発明は、上述の第1の発明と同じ作用に加えて、連結ブロックと、表面ブロック又は背面ブロックの近接部分に形成される空隙は、表面ブロック又は背面ブロックへの連結ブロックの着脱を可能にするという作用を有する。
さらに、隙間部材は、連結ブロックと、表面ブロック又は背面ブロック、の近接部分に形成される空隙を埋めて、第2の発明である法面形成用ブロックの使用時に、連結ブロックと、表面ブロック又は背面ブロックが、互いに位置ずれを起こすのを妨げるという作用を有する。この結果、第2の発明である法面形成用ブロックにおいて、表面ブロック又は背面ブロックと、連結ブロックとの接続部分が剛接合されることで、第2の発明全体がラーメン構造をなし、これにより、その強度及び剛性を向上させるという作用を有する。
上記構成の第3の発明は、上述の第1の発明又は第2の発明と同じ作用を有する。また、第3の発明では、設置面上に載置される複数の法面形成用ブロックを、隣り合う表面ブロック同士、及び、隣り合う背面ブロック同士を互いに近付けながら、しかも、鉛直上方側から見た法面形成用ブロック群の様子が、直列状でかつ湾曲している場合に、隣り合う背面ブロック同士の干渉を防いで、表面ブロック同士の隙間を極力小さくするという作用を有する。
つまり、第3の発明によれば、1種類の法面形成用ブロックを用いて、平面状の法面と、湾曲面状の法面の両方を支障なく形成可能にするという作用を有する。
上記構成の第4の発明は、上述の第1乃至第3のそれぞれの発明と同じ作用に加えて、係合用切欠きは、法面形成用ブロックを鉛直方向に積み重ねる際に、鉛直上下方向に隣接する法面形成用ブロックを互いに係止して固定するという作用を有する。
上記構成の第5の発明において、法面形成用ブロックは、上述の第1乃至第4の発明のそれぞれと同じ作用を有する。また、埋設用土は、法面形成用ブロックにおける連結ブロック及び背面ブロックを埋設するという作用を有する。さらに、固形物が、この固形物に隣接する第1のスリット又は挿脱孔又は第2のスリット又は透水孔又は表面ブロック同士の隙間に差し込み可能であるが通過することはできないよう構成されていることで、第5の発明である法面構造の背面側から表面側に水が流動する際に、この水とともに固形物が、第1のスリット又は挿脱孔又は第2のスリット又は透水孔又は表面ブロック同士の隙間から、法面構造の表面側に移動するのを妨げるという作用を有する。
さらに、固形物は、法面構造の表面側から背面側への及びその逆方向への水の流動を可能にしつつ、法面構造の背面側から表面側に水が流動する際に、埋設用土が法面構造の表面側に流出するのを妨げるという作用も有する。
上記構成の第6の発明は、上述の第5の発明と同じ作用を有する。また、第6の発明において粒状物層は、法面構造の背面側から表面側に水が流動する際に、埋設用土が法面構造の表面側に流出するのを妨げるフィルターとして作用する。
この場合、粒状物層は、固形物群と比較して、より目の細かいフィルターとして作用する。
しかも、第1の発明である法面形成用ブロックを構成する表面ブロック、背面ブロック及び連結ブロックはいずれも、その立体形状がシンプルでかつ嵩張らないため、その製造、収納及び保管が容易である。
このため、第1の発明である法面形成用ブロックを予め製造して備蓄しておくことができるので、必要な場合に直ちに使用することができる。
この場合、自然災害等の発生により、緊急に法面を補修する必要がある場合に、備蓄された法面形成用ブロックの各パーツ(表面ブロック、背面ブロック及び連結ブロック)を用いて、迅速に復旧作業に着手することができる。あるいは、第1の発明である法面形成用ブロックは、各パーツがいずれもシンプルな立体形状を有しているため、自然災害等の発生後でも、容易に量産できるというメリットを有している。
また、第1の発明である法面形成用ブロックによれば、表面ブロック、背面ブロック及び連結ブロックの外形サイズを所望に変更することで、組立後の法面形成用ブロックの外形サイズについても所望に変更することができる。この場合、外形サイズの異なる法面形成用ブロックを製造するために、新たに型枠を準備するのに要するコストを低減することができる。
よって、第1の発明によれば、法面形成用ブロック自体を分解してコンパクトな状態で保管及び収納することができ、様々なサイズに対する汎用性が高く、しかもその製造コストを廉価にできる法面形成用ブロックを提供することができる。
よって、第2の発明によれば、法面形成用ブロックを複数のパーツに分解可能に構成する場合でも、法面形成用ブロックを一体ものとして構成する場合と同様に、優れた強度及び剛性を有する法面形成用ブロックを提供することができる。
よって、第3の発明によれば、形成しようとする法面の形態に対する汎用性の高い法面形成用ブロックを提供することができる。
また、上述の通り第3の発明によれば、形成しようとする法面が平面状でも曲面状でも、1種類の法面形成用ブロックを準備すればよいので、法面形成用ブロックの生産性を向上させることができる。
このため、第3の発明によれば、法面形成用ブロックの製造コストを廉価にできるので、その法面形成用ブロックを用いて法面を形成する場合の施工費用も廉価にできる。
さらに、第4の発明によれば、鉛直方向に隣接して配される正面ブロック同士が互いに連係した状態になる。この結果、第4の発明である法面形成用ブロックを用いて法面を形成することで、この法面において正面ブロック同士が互いに連係していない場合に比べて、法面の背面側からの法面を崩壊させるような外力が作用した際に、法面が崩壊するのを好適に防止することができる。
したがって、第4の発明を用いることで、係合用切欠きを備えていない法面形成用ブロックを用いる場合と比較して、より強固で安定性に優れた法面を形成することができるという効果を有する。
また、第5の発明である法面構造では、法面の背面側から表面側に向かって、あるいは、その逆方向に自由に水を出入りさせることができる。
このことはすなわち、第5の発明によれば、法面の表面側に存在する水を、法面の内部の土中に浸透排水することができるとともに、法面の内部の土中に存在する過剰な水を、法面の表面側に排水することができることを意味している。
そして、特に前者の場合は、第5の発明である法面構造が特に河川の護岸をなす場合に、必要に応じて河水を護岸の内部の土中に排出することができる。このため、第5の発明により河川の護岸を形成する場合は、集中豪雨等により多量の雨水が河川に流入した際に、その雨水の一部を護岸から直接周囲に排水して、急激な水位の上昇を抑制することができる。
また、特に後者の場合は、集中豪雨等により法面の内部の土中に多量の雨水が浸透した場合に、この浸透水の一部を第5の発明である法面構造を介してその表面側に排出することができる。この結果、第5の発明の背面側の浸透水が法面の表面側に流動しようとする際に生じる土圧により、法面が崩壊するのを抑制できる。
したがって、第5の発明によれば、集中豪雨時に、河水の水位の上昇が起こり難い河川の護岸や、法面の背面側の土圧により法面の崩壊が起こり難い法面構造を提供することができる。
さらに、第5の発明によれば、表面ブロックと埋設用土の間に介設される固形物群がフィルターとして機能する。この結果、第5の発明である法面構造の背面側から表面側に向かって水が流動する際に、この水とともに埋設用土の一部が法面構造の表面側に流出するのを抑制できる。加えて、第5の発明である法面構造を、河川の護岸として用いる場合、この法面構造が水没する部分では、固形物群が法面の保護材として作用して、その背面側の埋設用土が洗堀されるのを防止することができる。
加えて、第5の発明によれば、法面の表面が起伏に富んだ状態になるので、法面構造の表面を流れる河水の流速低減効果を有する。さらに、第5の発明では、万一、増水した河川において人が流されてしまった場合に、流された人がその手や足をかけるための手がかりや足場として法面構造の表面を利用できる。あるいは、第5の発明である法面構造に、人を救助するためのロープ等を結び付けて、人命救助を行うこともできる。
よって、第5の発明によれば、法面自体の保護効果に加えて、法面の周辺における治水効果を有し、さらに人命救助の際の補助具としても用いることができる法面構造を提供することができる。
加えて、第6の発明では、固形物群と埋設用土の間に介設される粒状物層は、固形物群よりもさらに目の細かいフィルターとして機能する。この結果、第6の発明である法面構造の背面側から表面側に水が流動する際に、この水とともに埋設用土の一部が法面構造の表面側に流出するのを一層確実に防止することができる。
図1は、本発明の実施例1に係る法面形成用ブロックの斜視図である。また、図2は、同法面形成用ブロックにおける表面ブロックの斜視図である。さらに、図3は、同水法面形成用ブロックにおける背面ブロックの斜視図である。そして、図4は同法面形成用ブロックにおける連結ブロックの斜視図である。
実施例1に係る法面形成用ブロック1Aは、図1に示すように、法面を形成するために用いられ、鉄筋コンクリート以上の剛性を有する立体的なブロックである。
このような実施例1に係る法面形成用ブロック1Aは、法面を形成した際に法面の表面をなす平板状の表面ブロック2(図2を参照)と、この表面ブロックに対向して配置される平板状の背面ブロック3(図3を参照)と、表面ブロック2及び背面ブロック3のそれぞれに掛着してこれらを分解可能に連結する連結ブロック4(図4を参照)の3種類のブロックにより構成されている。
図1,4に示すように、実施例1に係る連結ブロック4は、表面ブロック2(図2を参照)と背面ブロック3(図3を参照)の間に介設される本体部4aと、この本体部4aの長手方向端部側のそれぞれに設けられて表面ブロック2又は背面ブロック3に掛着する鉤状部4bと、本体部4aに突設又は一体に設けられて表面ブロック2又は背面ブロック3の立設状態を維持する支持部4c2を備えてなるものである。
なお、図1では、表面ブロック2及び背面ブロック3からなる一組を、2つの連結ブロック4により一体に連結する場合を例に挙げて説明しているが、連結ブロック4の掛着位置を、表面ブロック2及び背面ブロック3の水平方向中央にする場合は(図示せず)、1つの連結ブロック4により一組の表面ブロック2及び背面ブロック3を連結することができる。
より具体的には、実施例1に係る連結ブロック4は、図4に示すように、例えば本体部4aの中心軸方向の両端部のそれぞれに、鉤状部4bを一組ずつ備えていてもよい(任意選択構成要素)。つまり、実施例1に係る連結ブロック4において鉤状部4bは、本体部4aの中心軸を中心にして線対称をなすように2対設けられている。
この場合、一組の表面ブロック2及び背面ブロック3を2つの連結ブロック4を用いて一体に連結する際に用いる連結ブロック4の立体形状を1種類にすることができる。
つまり、図4において紙面左側に示す連結ブロック4を、その本体部4aの中心軸を支点にして180°時計回り方向に回転させたものが、図4の紙面右側に示す連結ブロック4である。
このように図4に示す形態の連結ブロック4を用いる場合は、連結ブロック4の製造に必要な型枠も1種類のみでよいので、その生産性を向上させることができる。
なお、先の図1において紙面右側と左側に配される連結ブロック4,4を、それぞれ異なる立体形状としてもよい。
この場合は、連結ブロックを製造するのに必要な型枠が2種類必要になるため、その生産性がやや低下するものの、連結ブロック4の立体形状をシンプルにして軽量化することができる。また、先の図1において紙面右側と左側に配される連結ブロック4,4を、それぞれ異なる立体形状にする場合でも、法面形成用ブロック1A自体の機能としては特に遜色がない。
なお、連結ブロック4の鉤状部4bと、表面ブロック2又は背面ブロック3が、嵌合構造を形成するなどしてしっかりと固定されている場合や、連結ブロック4の表面ブロック2又は背面ブロック3における掛着部分において、本体部4aをその中心軸を支点にしてその周方向に回動させることができないほどこれらの隙間が小さい場合は、連結ブロック4における支持部4c1を省略することもできる。
そして、実施例1に係る連結ブロック4の支持部4c2は、表面ブロック2又は背面ブロック3を支えてその立設状態を維持するという作用を有している。
さらに、連結ブロック4が支持部4c2を備えていない場合は、表面ブロック2又は背面ブロック3と連結ブロック4の掛着部を支点にして、本体部4aを水平方向に回動させるような力が作用した際に、表面ブロック2又は背面ブロック3から連結ブロック4が外れてしまうという懸念がある。
これに対して、実施例1に係る連結ブロック4が支持部4c2を備える場合は、鉤状部4bを支点にして、本体部4aを水平方向に回転させるような力が作用した場合でも、このような回動動作を支持部4c2により妨げることができる。この結果、背面ブロック3又は表面ブロック2から連結ブロック4が外れるのを防止することができる。
なお、実施例1に係る連結ブロック4において、支持部4c2が必須の構成要素であるのに対し、支持部4c1は鉤状部4bと表面ブロック2又は背面ブロック3の連結状態に応じて必要に応じて設けられる任意選択構成要素である。
図2に示すように、実施例1に係る表面ブロック2は、厚板状の平板体2eと、この平板体2eを切り欠いてなり、上述の連結ブロック4の鉤状部4bを挿脱させるための第1のスリット2aと、平板体2eの厚み方向に水を透過させる第2のスリット2b1及び/又は透水孔2b2を備えてなるものである。
また、実施例1に係る背面ブロック3は、図3に示すように、上述の図2に示す表面ブロック2における平板体2eを平板体3aに置換してなるものである。
つまり、実施例1に係る法面形成用ブロック1Aにおいて、表面ブロック2と背面ブロック3は同じ構成要素を備えている。なお、表面ブロック2と背面ブロック3は、図2,3に示すように同一の形態であってもよいし、第1のスリット2a以外の第2のスリット2b1や透水孔2b2のサイズ、形成位置、あるいは数を変更した別形態としてもよい(例えば、後段における実施例2を参照)。ただし、後者の場合でも、連結ブロック4を取設する必要性から、平板体2e及び平板体3aにおける第1のスリット2aの形成位置は対応させておく必要がある。
すなわち、表面ブロック2と背面ブロック3を互いに対向させて設置面P1上に立設して、表面ブロック2の表面側から背面ブロック3を透視した際に、つまり、図1中において法面形成用ブロック1Aを紙面手前側から奥側に透視した際に、平板体2eにおける第1のスリット2aの形成位置と、平板体3aにおける第1のスリット2aの形成位置とが一致(重なっている)必要がある。
なお、後段において説明するが、実施例1に係る法面形成用ブロック1Aにおいて、背面ブロック3の平面方向における外形寸法を、表面ブロック2の平面方向における外形寸法よりも小さくする場合は、背面ブロック3に形成される第1のスリット2aと表面ブロック2に形成される第1のスリット2aの幅を統一し、かつそれぞれの第1のスリット2aの長さ(深さ)を変えることで、表面ブロック2の表面側から背面ブロック3を透視した際に、平板体2eにおける第1のスリット2aの形成位置と、平板体3aにおける第1のスリット2aの形成位置を重ねることができる。
また、実施例1に係る表面ブロック2,背面ブロック3のそれぞれにおける第1のスリット2aは、連結ブロック4の挿脱を可能にするという作用を有する。
なお、第1のスリット2aに挿入された連結ブロック4の鉤状部4bを支えておく必要がある。このため、表面ブロック2,背面ブロック3のそれぞれに連結ブロック4の鉤状部4bを掛着した際に、第1のスリット2aは、鉤状部4bの直下に必ず平板体2e,3aの肉厚部分が存在している必要がある。
なお、本実施形態では第1のスリット2aを水平方向に形成する場合(実施例1を参照)と、鉛直上方側から下方側に向かって形成する場合(後段における実施例2を参照)を例に挙げて説明している。他方、これ以外にも、第1のスリット2aは、平板体2e,3aを平面視した場合に、平板体2e,3aの側辺又は上辺から、鉛直下方側に向かう斜め方向に形成してもよい(図示せず)。
上述のように、平板体2e,3aを平面視した場合に、平板体2e,3aの側辺又は上辺から、鉛直下方側に向かう斜め方向に第1のスリット2aを形成する場合は、この第1のスリット2aに連結ブロック4の鉤状部4bを掛着した際に、本体部4aの中心軸を支点にした回動動作を抑制することができる。したがって、平板体2e,3aを平面視した場合に、平板体2e,3aの側辺又は上辺から、鉛直下方側に向かう斜め方向に第1のスリット2aを形成する場合は、連結ブロック4が支持部4c1を備えている必要性はない。
いずれの場合も、表面ブロック2,背面ブロック3が第1のスリット2aのみを備える場合に比べて、鉤状部4bの着脱容易性が低下するものの、実施例1に係る法面形成用ブロック1A自体の機能としては特に遜色はない。
さらに、表面ブロック2,背面ブロック3のそれぞれに形成される第1のスリット2aの一部又は全てを挿脱孔に置換する場合は、この挿脱孔における鉤状部4bとの接触部分に嵌合用凹部2cを備えていてもよい。この場合も、挿脱孔に連結ブロック4の鉤状部4bを掛着する際に、表面ブロック2,背面ブロック3と連結ブロック4の接続部分により複雑な嵌合構造が形成されるため、挿脱孔から連結ブロック4の鉤状部4bを外れ難くすることができる。
図5は本発明の実施例1に係る法面形成用ブロックの組立て途中の状態を示す斜視図である。なお、図1乃至図4に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
実施例1に係る法面形成用ブロック1Aを組立てるには、まず、設置面P1上に表面ブロック2及び背面ブロック3を対向させた状態で、かつ起立状態となるように立設する(ステップS1;図5を参照)。
この時、設置面P1上に立設された表面ブロック2と背面ブロック3を、表面ブロック2の正面側(図5中の符号Fで示す方向)から見た場合に、表面ブロック2に形成されている第1のスリット2a又は挿脱孔(図示せず)と、背面ブロック3に形成されている第1のスリット2a又は挿脱孔(図示せず)が重なるように、それぞれ配置する必要がある。
なお、必要であれば、表面ブロック2や背面ブロック3を所望の状態で支持するための図示しない治具等を用いてもよい。
また、図5において紙面右側に開口を有する第1のスリット2a,2aにも同様にして、先の図4の紙面右側に位置する状態の連結ブロック4を、図5中の符号C2で示す方向からスライドして嵌設する(ステップS2)。
なお、第1のスリット2a(又は図示しない挿脱孔)が嵌合用凹部2cを備えている場合は、第1のスリット2a(又は挿脱孔)と連結ブロック4の鉤状部4bの接触部分により複雑な嵌合構造を形成することができるので、表面ブロック2,背面ブロック3と連結ブロック4の連結状態を強固にすることができる。
なお、実施例1に係る法面形成用ブロック1Aを組立てた後に分解することは想定していないが、何らかの理由により法面形成用ブロック1Aを用いてなる法面構造を改修又は撤去する必要が場合は、上述のステップS1,S2の手順を逆に行うことで、法面形成用ブロック1Aを容易に分解することができる。
また、実施例1に係る法面形成用ブロック1Aを組立てる際に、連結ブロック4をクレーン等で吊下げながら第1のスリット2aへの嵌設作業を行うことで、法面形成用ブロック1Aの組立作業を安全かつスムーズに行うことができる。
この結果、実施例1に係る法面形成用ブロック1Aの生産性を向上できる上、前もって各パーツを製造しておき所望数量を備蓄しておくことができるというメリットも有する。この結果、自然災害時等の発生時に、実施例1に係る法面形成用ブロック1Aを用いて法面の形成及び補修作業を迅速に行うことができる。
また、実施例1に係る法面形成用ブロック1Aは、その組立作業が極めて容易であるため、作業者の熟練度によらず、均質な品質の法面形成用ブロック1Aを容易に量産することができる。
より具体的には、実施例1に係る法面形成用ブロック1Aにおいて、例えば表面ブロック2と背面ブロック3との間がより離間したものが必要な場合は、本体部4aの長さがより長い連結ブロック4を製造して用いればよい。
また、実施例1に係る法面形成用ブロック1Aにおいて、例えば表面ブロック2及び背面ブロック3の鉛直方向高さがより大きいものが必要な場合は、より大きなサイズの表面ブロック2及び背面ブロック3を製造して用いればよい。
図6は先の図1中のA−A線矢視断面図である。また、図7は先の図1中のB−B線矢視断面図である。なお、図1乃至図5に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
上述のようにステップS1,S2により法面形成用ブロック1Aを組立てた後はクレーン等の重機を用いないと、法面形成用ブロック1Aから連結ブロック4を容易には取り外せない。このため、この状態の実施例1に係る法面形成用ブロック1Aを用いて法面を形成しても何ら問題はない。
その一方で、法面形成用ブロック1Aは、その組立作業を容易にすべく、表面ブロック2又は背面ブロック3と連結ブロック4の本体部4aとの間、及び、表面ブロック2又は背面ブロック3と連結ブロック4の支持部4c2との間、にそれぞれ空隙を有している。なお、この空隙が大きいほど法面形成用ブロック1Aの組立てが容易になる反面、この空隙が大きいほど組立後の法面形成用ブロック1Aの剛性及び安定性が低下するという課題が生じる。
このような事情に鑑み、実施例1に係る法面形成用ブロック1Aでは、図6,7に示すように、表面ブロック2又は背面ブロック3と連結ブロック4の本体部4aとの間に形成される空隙、及び、表面ブロック2又は背面ブロック3と連結ブロック4の支持部4c2との間に形成される空隙、に隙間埋材5(隙間埋材5a,5b)を備えていてもよい(任意選択構成要素)。
なお、本明細書において隙間埋材5a,5b、並びに、後段の実施例2における隙間埋材5cを総称する場合は、単に隙間埋材5と記載する。また、隙間埋材5a,5bは、同一形態のものを使用できるが、図6,7では、法面形成用ブロック1Aにおけるそれぞれの隙間の位置を区別するために、隙間埋材5の押入位置に応じて異なる符号(隙間埋材5a,5c)を付している。なお、後段の実施例2に示す隙間埋材5cについても同様である。
より具体的には、法面形成用ブロック1Aの表面ブロック2、背面ブロック3及び連結ブロック4が鉄筋コンクリートからなる場合、隙間埋材5はその厚み方向断面が略くさび状をなす合成樹脂体又は硬質ゴムにより構成するとよい。
そして、図6,7に示すように、実施例1に係る法面形成用ブロック1Aが、表面ブロック2又は背面ブロック3の第1のスリット2aと連結ブロック4の本体部4aとの間に形成される空隙、及び、表面ブロック2又は背面ブロック3と連結ブロック4の支持部4c2との間に形成される空隙、に隙間埋材5を備える場合は、組立後の法面形成用ブロック1Aにおいて、表面ブロック2及び背面ブロック3の表面に対する、連結ブロック4の本体部4aの中心軸のなす角度を確実に略直角にすることができる。
この場合、実施例1に係る法面形成用ブロック1Aにおいて表面ブロック2又は背面ブロック3と連結ブロック4の接続部が剛接合されることになり、この結果、実施例1に係る法面形成用ブロック1A全体がラーメン構造をなす。
これにより、実施例1に係る法面形成用ブロック1Aが隙間埋材5を備えない場合と比較して、法面形成用ブロック1A自体の強度及び剛性を大幅に向上させることができる。
加えて、背面ブロック3と連結ブロック4の支持部4c2との間に形成される空隙に、図1中の符号Eで示す方向に隙間埋材5bを押入すればよい。
また、実施例1に係る法面形成用ブロック1Aを、背面ブロック3側から見た場合の外観は、図1中における表面ブロック2を背面ブロック3に、背面ブロック3を表面ブロック2にそれぞれ置換したものと同じである。
したがって、法面形成用ブロック1Aにおける表面ブロック2と連結ブロック4の本体部4aとの間に形成される空隙には、隙間埋材5aを、また、表面ブロック2と連結ブロック4の支持部4c2との間に形成される空隙には隙間埋材5bを押入すればよい。
図8は、本発明の実施例1に係る法面形成用ブロックを設置面上に載置した状態の斜視図である。なお、図1乃至図7に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
実施例1に係る法面形成用ブロック1Aを用いて法面構造を形成する場合、図8に示すように、まず設置面P1上に直列状に法面形成用ブロック1Aを並べる必要がある。
その一方で、実施例1に係る法面形成用ブロック1Aを用いて形成される法面は、図8に示すような平面状をなす場合以外にも、例えば河川の法面のように曲面状をなす場合(図示せず)も想定される。
この場合は、実施例1に係る法面形成用ブロック1Aを直列状に並べる際に、鉛直上方側から見た法面形成用ブロック1A群が曲線を描くように配置する必要がある。
つまり、曲線を描くように直列状に法面形成用ブロック1Aを並べると、隣り合う背面ブロック3同士が干渉してしまうために、表面ブロック2同士の隙間6aが大きくなってしまうのである。
また、設置面P1上に法面形成用ブロック1Aを直列状に配置した際に、表面ブロック2同士の間に形成される隙間6aが大きいと、この隙間6aから法面構造の表面側に向かって土砂が流出し易くなり、実施例1に係る法面形成用ブロック1Aによる法面の保護効果が十分に発揮され難くなる。
これに対して、図7に示すように、実施例1に係る法面形成用ブロック1Aを、その鉛直上方側から見た際に、背面ブロックの水平方向長さG1が、表面ブロックの水平方向長さG2よりも小さくなるよう構成しておくことで、曲線を描くように複数の法面形成用ブロック1Aを直列状に並べた際に、表面ブロック2同士の間に形成される隙間6aを相対的に小さくできるという効果を有する。
この場合、表面ブロック2同士の隙間6aの背面側に石組みを設ける代わりに、この隙間6aを通過することができない程度大きさの固形物7(後段における図9を参照)を配置するだけで、法面形成用ブロック1Aの背面側の土砂の一部がこの隙間6aから流出するのを好適に防ぐことができる。
したがって、実施例1に係る法面形成用ブロック1Aにおける表面ブロック2及び背面ブロック3の水平方向長さを図7に示すように設定することで、法面形成用ブロック1Aを用いて形成される法面が、平面状をなす場合でも、曲面状をなす場合でも、その施工を容易にできるというメリットを有する。
この場合、実施例1に係る法面形成用ブロック1Aの製造に必要な型枠を1種類にできるので、法面形成用ブロック1Aの生産性を向上させることができる。
また、廉価に製造された法面形成用ブロック1Aを用いて法面構造を形成できるので、法面構造の施工コストを廉価にできるというメリットも有する。
その方法として、法面形成用ブロック1Aを設置する設置面P1をわずかに傾斜させておいてもよい。
あるいは、実施例1に係る法面形成用ブロック1Aにおける背面ブロック3の平面方向における外形寸法を、表面ブロック2の平面方向の外形寸法も小さくしておくことで、水平な設置面P1上に実施例1に係る法面形成用ブロック1Aを載置した際に、表面ブロック2の正面側の平面が僅かに鉛直上方側を向いて傾いた状態にすることができる。
すなわち、実施例1に係る法面形成用ブロック1Aでは、背面ブロック3の水平方向長さG1を表面ブロック2の水平方向長さG2よりも小さくすることに加えて、背面ブロック3の鉛直方向長さを表面ブロック2の鉛直方向長さよりも小さく設定しておいてもよい(任意選択構成要素)。
この場合、実施例1に係る法面形成用ブロック1Aを、水平な、あるいは、法面形成用ブロック1Aの背面側に向かって僅かに傾斜(下降)させた設置面P1に並べて法面構造を形成する場合に、その安定性を高めることができるというメリットを有する。
図9本発明の実施例1に係る法面形成用ブロックを用いてなる法面構造の鉛直方向断面図である。なお、図1乃至図8に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
実施例1に係る法面構造10Aは、上述のような実施例1に係る法面形成用ブロック1Aを用いてなるものである。
より具体的には、実施例1に係る法面構造10Aは、図9に示すように、設置面P1〜P3上において、隣り合う表面ブロック2同士及び背面ブロック3同士の間に隙間6a,6b(図8を参照)を形成しながら直列状に配される法面形成用ブロック1Aと、この法面形成用ブロック1Aにおける連結ブロック4及び背面ブロック3を埋設する埋設用土9と、表面ブロック2の背面と埋設用土9の間に介設される固形物7群を備えてなるものである。
さらに、上述の実施例1に係る法面構造10Aにおいて固形物7は、この固形物7に隣接する第1のスリット2a又は挿脱孔(図示せず)又は第2のスリット2b1又は透水孔2b2又は表面ブロック2同士の隙間6aに差し込み可能であるが通過することはできないような外形寸法を有している。
また、埋設用土9は、土や砂礫のみで構成する必要はなく、表面ブロック2と背面ブロック3の間や、連結ブロック4同士の間に収容できる程度の外形寸法を有するものであれば砕石や岩石、あるいは廃棄コンクリートの破砕物等を含んでいてもよい。
このため、例えば実施例1に係る法面構造10Aを河川の護岸として用いる場合は、河水の一部を常時、埋設用土9内に浸透排水することができる。この場合、護岸として法面構造10Aを備えた河川の流域で集中豪雨等が起きた場合でも、河水の急激な水位上昇を抑制することができる。
あるいは、河川の水域で集中豪雨等が起きた場合、地面に浸透した雨水は、埋設用土9内を表面ブロック2側に向かって流動する。そして、護岸としての法面構造10Aでは、埋設用土9内の浸透水を表面ブロック2から河川に速やかに排出することができるので、法面構造10Aの背面側の土圧が浸透水により急激に上昇して法面構造10Aが崩壊するのを好適に防止することができる。
この場合、実施例1に係る法面構造10Aと植物の根茎が複雑に絡み合って、法面の強度を一層向上させることができ、しかも、この効果は実施例1に係る法面構造10Aが存在する限り恒久的に発揮される。
また、実施例1に係る法面構造10Aの法面が起伏に富んでいるために、このような法面構造10Aを河川の護岸として用いることで、河川の増水によって万一、人が流されてしまった場合に、表面ブロック2は、河川に流された人が手や足をかけるための手がかりや足場として利用することができるという効果も有する。
この場合、設置面P1上に法面形成用ブロック1Aを複数段積み重ねて法面構造10Aを形成する場合に、任意の段上に積層される法面形成用ブロック1Aの鉛直方向の位置決めを容易にできるという効果を有する。
この結果、係合用切欠き2dを備える法面形成用ブロック1Aを用いることで、施工者の熟練度によらず略均質で、かつ1段当たりの鉛直方向高さにばらつきがない法面構造10Aを形成することができる。
さらに、実施例1に係る法面構造10Aを構成する法面形成用ブロック1Aが係合用切欠き2dを備えている場合は、法面構造10Aの埋設用土9側から表面ブロック2側に向かって法面構造10Aを崩壊させるような力が作用した場合に、鉛直上方側に配される法面形成用ブロック1Aの法面側への移動を、その直下に配される法面形成用ブロック1Aにより規制することができる。
よって、係合用切欠き2dを備えた法面形成用ブロック1Aを用いて実施例1に係る法面構造10Aを形成する場合は、法面構造全体の強度や耐久性を向上させることができるという効果を有する。
設置面P1上に法面構造10Aを形成するには、まず設置面P1上において、先のステップS1,S2を繰り返しながら、複数の法面形成用ブロック1Aを直列状に配置する(ステップS3)。
この後、設置面P1上に配置された法面形成用ブロック1A群における個々の表面ブロック2の背面側から、第1のスリット2a、挿脱孔(図示せず)、第2のスリット2b1、透水孔2b2及び表面ブロック2同士の隙間6aのそれぞれを塞ぐように固形物7を配置しつつ、その背面側に埋設用土9を投入して、固形物7群の背面側、連結ブロック4及び背面ブロック3を埋設用土9中に埋設して、その上面を均して新たな設置面P2とする(ステップS4)。
この後は、上述のステップS3及びステップS4のセットを所望回数だけ繰り返すことで所望段数の法面構造10Aを形成することができる。
このとき、法面構造10Aを構成する法面形成用ブロック1Aが係合用切欠き2dを備えている場合は、この係合用切欠き2dの位置に到達するまで埋設用土9を投入し続ければよいので、効率良く法面構造10Aの形成作業を行うことができる。
この場合、図示しない粒状物層は、固形物7群と埋設用土9の間おいて、より目の細かいフィルターとして機能する。
このように実施例1に係る法面構造10Aが粒状物層を備える場合は、その埋設用土9内を、背面ブロックから表面ブロック2に向かって水が流動する際に、表面ブロック2の正面側に、埋設用土9を構成する土砂の一部が流出するのを一層確実に防止することができる。
この結果、施工後に法面構造10Bの正面側への土砂の流出が一層起こり難い、より信頼性の高い法面構造を形成することができる。
なお、粒状物層を形成する粒状物は、固形物7と同様の材質のものを支障なく使用することができる。
図10は本発明の実施例1の変形例に係る法面形成用ブロック及びそれを用いてなる法面構造の鉛直方向断面図である。図1乃至図9に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
先の実施例1に係る法面形成用ブロック1Aでは、表面ブロック2,背面ブロック3が第2のスリット2b1,透水孔2b2を単に備えているという点のみが特定されているが、表面ブロック2における第2のスリット2b1,透水孔2b2はさらに、以下に示すような特徴を備えていてもよい。すなわち、実施例1の変形例に係る法面形成用ブロック1A´は、図10に示すように、表面ブロック2´に形成される第2のスリット2b1,透水孔2b2において、背面ブロック3´と対向する側の面、すなわち、法面形成用ブロック1A´を組立てた際に連結ブロック4の本体部4aが配設される側の面に形成される第2のスリット2b1,透水孔2b2の開口部の占有面積Sa1が、その反対側の面、すなわち、法面形成用ブロック1A´を組立てた際に連結ブロック4の鉤状部4bが配設される側の面に形成される第2のスリット2b1,透水孔2b2の開口部の占有面積Sa2よりも大きくなるよう構成してもよい(任意選択構成要素)。なお、図10では第2のスリット2b1の様子のみが示されているが、透水孔2b2も同様の構成を備えている。
この場合、第2のスリット2b1,透水孔2b2内にその一部が入り込んだ固形物7を、法面形成用ブロック1A´を地中内に固定するアンカーとして機能させることができる。
この結果、第2のスリット2b1,透水孔2b2の開口部が、法面側に向かって狭まっていない法面形成用ブロック1A(図1を参照)を用いる場合に比べて、法面構造10A´自体の外力に対する抗力を向上させることができる。
なお、表面ブロック2´において第2のスリット2b1の開口部の占有面積Sa1,Sa2はそれぞれ、表面ブロック2´において連結ブロック4の本体部4aが配される側の面又はその反対側の面に形成される第2のスリット2b1の開口部の外形線、及び、表面ブロック2´自体の外形線により仕切られてなる領域の面積を指し示すこととする。
より具体的には、実施例1の変形例に係る法面形成用ブロック1A´の背面ブロック3´に形成される第2のスリット2b1,透水孔2b2は、表面ブロック2´と対向する側の面、すなわち、法面形成用ブロック1A´を組立てた際に連結ブロック4の本体部4aが配設される側の面に形成される第2のスリット2b1,透水孔2b2の開口部の占有面積Sb1が、その反対側の面、すなわち、法面形成用ブロック1A´を組立てた際に連結ブロック4の鉤状部4bが配設される側の面に形成される第2のスリット2b1,透水孔2b2の開口部の占有面積Sb2よりも大きくなるよう構成してもよい(任意選択構成要素)。
この場合、例えば図10に示すように、表面ブロック2´と背面ブロック3´の間の全域に固形物7を満たして法面構造10A´を形成する場合に、表面ブロック2´及び背面ブロック3´に形成される第2のスリット2b1,透水孔2b2内に固形物7を入り込み易くするとともに、法面構造10A´の表面側(法面側)及び背面側(図10において埋設用土9が配設される側)に固形物7を通り抜け難くすることができるという効果を有する。
なお、背面ブロック3´における第2のスリット2b1の開口部の占有面積Sb1,Sb2はそれぞれ、背面ブロック3´において本体部4aが配される側の面又はその反対側の面に形成される第2のスリット2b1の開口部の外形線、及び、背面ブロック3自体の外形線により仕切られてなる領域の面積を指し示すこととする。
なお、図10に示すような実施例1の変形例に係る法面構造10A´は、先の図1に示す法面形成用ブロック1Aを用いて形成することもできる。つまり、先の図9に示す法面構造10Aにおいて、表面ブロック2及び背面ブロック3の間の全域に固形物7を収容してもよい。
先の図1に示す法面形成用ブロック1Aを用いて法面構造10A´を形成する場合は、法面形成用ブロック1A´を用いる場合に比べて、表面ブロック2,背面ブロック3における第2のスリット2b1,透水孔2b2内に固形物7がやや入り込み難くなるため、上述のような固形物7による法面形成用ブロック1Aのアンカー効果がやや発揮され難くなるものの、法面構造自体の機能としては何ら遜色がない。
この場合、実施例1の変形例に係る法面構造10A´において粒状物層が固形物7群からなるものよりもさらに目の細かいフィルターとして機能することで、法面の表面側への土砂の流出を好適に防止することができる。
はじめに、実施例2に係る法面形成用ブロックを構成する各パーツについて説明する。
図11は本発明の実施例2に係る法面形成用ブロックの斜視図である。また、図12は本発明の実施例2に係る法面形成用ブロックの組立前の状態を示す斜視図である。なお、図1乃至図10に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
先の実施例1に係る法面形成用ブロック1A,1A´では、表面ブロック2,背面ブロック3の左右側辺側に第1のスリット2aを形成して、この第1のスリット2aに連結ブロック4を水平方向にスライド移動させて架設している。
これに対して実施例2に係る法面形成用ブロック1Bでは、図11,12に示すように、表面ブロック2´´,背面ブロック3´´の鉛直上方側に第1のスリット2aが形成しておき、このような表面ブロック2´´,背面ブロック3´´に連結ブロック4´を鉛直上方側から下降させて架設するよう構成されてなるものである。
この場合、連結ブロック4´の本体部4aを、その中心軸を基軸に、本体部4aの周方向に回動させるような力が作用しても、鉤状部4bの左右方向に存在する壁面(第1のスリット2a内側面)により本体部4の回動を妨げることができる。
さらに、連結ブロック4´の本体部4aを、鉤状部4bを支点にして水平方向に回動させるような力が作用しても、鉤状部4bの左右方向に存在する壁面(第1のスリット2a内側面)により本体部4の回動を妨げることができる。
したがって、実施例2に係る法面形成用ブロック1Bのように表面ブロック2´´,背面ブロック3´´の鉛直上方側の辺に第1のスリット2aを備える場合は、実施例2に係る連結ブロック4´は、先の実施例1に係る連結ブロック4のように、本体部4aの意図しない回動を防止する目的での支持部4c1及び支持部4c2を備えている必要がない。
他方、実施例2に係る法面形成用ブロック1Bにおいても、表面ブロック2´´,背面ブロック3´´を連結ブロック4´により連結して組立てる場合や、組立後に表面ブロック2´´,背面ブロック3´´の転倒を防止する必要がある。
このため、実施例2に係る連結ブロック4´は、鉤状部4bの近傍に支持部4c3を備えている。そして、このような連結ブロック4´によれば、鉤状部4bの頭部と支持部4c3の間に、表面ブロック2´´又は背面ブロック3´´の厚み部分を挟持することができる。
この場合、表面ブロック2´´及び背面ブロック3´´を連結ブロック4´で連結して一体化した場合に、支持部4c3により表面ブロック´又は背面ブロック3´を支えてその起立状態を維持することができる。
なお、図11及び図12では、実施例2に係る連結ブロック4´の本体部4aと一体に支持部4c3が形成されている場合を例に挙げて説明しているが、先の実施例1に係る連結ブロック4における支持部4c2と同様に、連結ブロック4´の本体部4aに支持部4c3を突設してもよい(図示せず、任意選択構成要素)。
この場合、図11,12に示す連結ブロック4´と比較して、本体部4aの鉛直方向厚みが相対的に小さくなるので、連結ブロックの強度がやや低下するものの、実施例2に係る連結ブロック4´よりも相対的に重量を小さくできるので、その取扱いを容易にできるというメリットを有する。
よって、実施例2に係る法面形成用ブロック1Bの場合も、先の実施例1に係る法面形成用ブロック1Aの場合と同様に、表面ブロック2´´、背面ブロック3´´及び連結ブロック4´を用いて簡単に法面形成用ブロック1Bを組立てることができる。
図13は本発明の実施例2に係る法面形成用ブロックを用いてなる法面構造の鉛直方向断面図である。なお、図1乃至図12に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図13に示すように、実施例2に係る法面構造10Bは、先の図9に示す実施例1に係る法面構造10Aと比較して、法面形成用ブロックを構成する個々のパーツの立体形状が異なっている以外は、法面構造10Aの鉛直方向における断面、及び、その施工手順は同じである。
また、実施例2に係る法面構造10Bによる作用効果も、実施例1に係る法面構造10Aと同じである。
このため、実施例2に係る法面形成用ブロック1Bを用いて法面構造10Bを形成する場合は、先の実施例1に係る法面構造10A,1A´の場合のように、表面ブロック2´´の鉛直上方側の辺に沿って係合用切欠き2dを形成すると、係合用切欠き2dが形成された部分の表面ブロック2´´の強度が低下するという懸念がある。
このような事情に鑑み、実施例2に係る法面形成用ブロック1Bでは、図11乃至図13に示すように、この法面形成用ブロック1Bを平面視した場合の、表面ブロック2´´の鉛直下方側の辺の全域を直線状にするとともに、この直線部分の背面側(背面ブロック3´´が配設される側の面)に係合用切欠き2dを形成しておいてもよい(任意選択構成要素)。
この場合、図13に示すように、法面形成用ブロック1B群を備えた層を複数層積層して法面構造10Bを形成する場合に、鉛直方向に隣接する法面形成用ブロック1B同士を係合させることができる。
この結果、実施例1に係る法面構造10A,1A´の場合と同様に、実施例2に係る法面構造10Bにおいても法面形成用ブロック1Bの背面側から法面構造10Bを押し崩すような力が作用した際の法面構造10Bの抗力を高めることができる。
したがって、実施例2に係る法面構造10Bの場合も、施工者の熟練度によらず各段の高さの精度を略一定にしながら法面構造10Bを形成することができる。
この場合、表面ブロック2´´又は背面ブロック3´´と連結ブロック4´との接触部分における連結状態を強固にできるというメリットを有する。
そして、上述のように実施例2に係る法面形成用ブロック1Bが隙間埋材5cを備える場合は、表面ブロック2´´又は背面ブロック3´´と連結ブロック4´との連結部分が剛接合されることになる。この結果、法面形成用ブロック1B全体がラーメン構造をなし、隙間埋材5cを備えない場合に比べて、実施例2に係る法面形成用ブロック1Bの剛性及び強度を向上させることができる。
さらに、このような実施例2に係る法面形成用ブロック1Bを用いることで、法面構造10Bの強度も向上させることができる。
この場合、実施例2に係る法面形成用ブロック1Bを用いてなる法面構造10Bにおいても先の法面構造10A´と同様の効果、すなわち、固形物7による法面形成用ブロック1Bの優れたアンカー効果を発揮させることができる。
また、実施例2に係る法面構造10Bにおいて表面ブロック2´´及び背面ブロック3´´の間の全域に固形物7を収容する場合で、かつ、固形物7として、例えばその平均粒径が100mm〜250mmの範囲内であるものを、より望ましくはその平均粒径が150mm〜200mmの範囲内であるものを用いることで、固形物7の入手を容易にしつつ、法面構造10B´からの排水性及び法面構造10B´への透水性を良好にでき、さらに法面構造10B´からの土砂の流出が少なく、しかもその施工作業、特に、固形物7群の配設に石組の技術を要しない施工性に優れた法面構造を提供することができる。
したがって、表面ブロック2´,2´´及び背面ブロック3´,3´´が第2のスリット2b1や透水孔2b2を第1のスリット2aとは別に備えていなくとも、本発明に係る法面形成用ブロック1A,1Bからなる法面構造10A,10Bは、目的とする機能を十分に発揮することができる。
ただし、本発明に係る法面形成用ブロック1A,1Bにおいて上述のように表面ブロック2´,2´´及び背面ブロック3´,3´´が第2のスリット2b1や透水孔2b2を備えていない場合は、降雨量が少ない比較的乾燥した地域での利用に適している。
上述のように本発明に係る法面形成用ブロック1A,1Bにおいて表面ブロック2´,2´´及び背面ブロック3´,3´´に形成される第1のスリット2aが、が第2のスリット2b1や透水孔2b2の機能を兼ねる場合は、背面ブロック3´,3´´の立体形状をよりシンプルにできるので、その製造を容易にできるというメリットを有する。
Claims (6)
- 法面を形成するために用いられる法面形成用ブロックであって、
前記法面の表面をなす平板状の表面ブロックと、
前記表面ブロックに対向して配置される平板状の背面ブロックと、
前記表面ブロック及び前記背面ブロックのそれぞれに掛着してこれらを分解可能に連結する連結ブロックと、を備え、
前記連結ブロックは、前記表面ブロック及び前記背面ブロックに架設される本体部と、この本体部の長手方向端部側のそれぞれに設けられて前記表面ブロック又は前記背面ブロックに掛着する鉤状部と、前記本体部に突設又は一体に設けられて前記表面ブロック又は前記背面ブロックの立設状態を維持する支持部と、を備え、
前記表面ブロック及び前記背面ブロックは、厚板状の平板体と、この平板体を切り欠いてなり前記鉤状部を挿脱させる第1のスリット又は挿脱孔と、前記平板体の厚み方向に水を透過させる第2のスリット及び/又は透水孔と、を備え、
前記表面ブロック、前記背面ブロック及び前記連結ブロックはいずれも、鉄筋コンクリート以上の剛性を有していることを特徴とする法面形成用ブロック。 - 前記連結ブロックと、前記表面ブロック又は前記背面ブロックと、の近接部分に形成される空隙は、空隙埋材を備えていることを特徴とする請求項1に記載の法面形成用ブロック。
- 前記法面形成用ブロックを鉛直上方側から見た場合に、前記背面ブロックの水平方向長さは、前記表面ブロックの水平方向長さよりも小さいことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の法面形成用ブロック。
- 前記表面ブロックは、設置面上に載置した際に鉛直上方側又は鉛直下方側に配される辺に沿って、前記法面形成用ブロックを鉛直方向に積み重ねる際に、鉛直方向に隣接する前記法面形成用ブロック同士を互いに係止するための係合用切欠きを備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の法面形成用ブロック。
- 設置面上において隣り合う、前記表面ブロック同士及び前記背面ブロック同士、の間に隙間を形成しながら直列状に配される請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の法面形成用ブロックと、
前記法面形成用ブロックにおける前記連結ブロック及び前記背面ブロックを埋設する埋設用土と、
前記表面ブロックの背面と前記埋設用土の間に介設される固形物群と、を備え、
前記固形物は、この固形物に隣接する前記第1のスリット又は前記挿脱孔又は前記第2のスリット又は前記透水孔又は前記表面ブロック同士の前記隙間に差し込み可能であるが通過することはできない、ことを特徴とする法面構造。 - 前記固形物群と前記埋設用土の間に介設され、前記固形物群の平均粒径よりも小さい平均粒径を有する粒状物からなる粒状物層を備えていることを特徴とする請求項5に記載の法面構造。
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