JP6763936B2 - 水路形成用ブロックおよび水路構造 - Google Patents

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本発明は、自然界に存在する水路と同様の機能を有し、かつ水路構造の施工が容易な水路形成用ブロックおよびそれを用いてなる水路構造に関する。
従来から、水路を流れる水を周囲の土壌中に浸透させて排水する浸透排水型の側溝ブロックが知られている。
具体的には、例えば、特開2005−9279号公報に開示される「穴あきの排水側溝及び溜枡」(特許文献1)、特開平9−4039号公報に開示される「雨水浸透型側溝用ブロック」(特許文献2)、特開平7−252869号公報に開示される「透水性U字溝」(特許文献3)、実願昭63−79886号(実開平2−5479号)のマイクロフィルム「地下水還元用側溝体」(特許文献4)などが知られている。
その一方で、上述のような特許文献1乃至特許文献4のそれぞれに開示されているような浸透排水型の側溝ブロックでは、通常、側溝ブロックの外側面側の土中においても、側溝ブロック内の水の流動方向と同じ方向に水が流動することが知られている。
また、側溝ブロックを構成するコンクリートは、通常、透水性を有しない。このため、側溝ブロックを流れる水量が増加している状況では、側溝ブロックの外側面側の領域における水の流動量も増加する。したがって、豪雨等により側溝ブロック内の水の流量が増えた場合に側溝ブロックの外側面上において洗堀が起こり、最悪の場合、側溝ブロックが地上に裸出してしまう恐れがあった。
このような事情に対処可能な先行技術としては、例えば、特許文献5が挙げられる。
特許文献5には「浸透性水路」という名称で、浸透式水路部材の周囲に浸透層を備えることで、排水・保水能力を向上させた浸透性水路に関する発明が開示されている。
特許文献5に開示される浸透性水路は、一対の側壁を含む複数の壁で構成されて外部との間で排水及び給水のできる透水口を備えた浸透式水路部材と、浸透式水路部材の外部に設けられて透水口から排水される水を浸透させる浸透層とを備えた浸透性水路において、浸透層が、透水性袋体に粒状体を入れて該粒状体の動きを拘束してなる嚢部材を多数積んで又は並べて構成されたことを特徴とするものである。
上記構成の特許文献5に開示される発明によれば、浸透式水路部材と浸透層との間で繰り返される浸透水の流出入による浸透層の圧密・圧縮等を防止し、地盤沈下を抑制することで、浸透性水路の損傷を防ぐことができる。
さらに、特許文献5に開示される発明によれば、浸透式水路部材の断面積を大きくしなくても、浸透式水路部材と浸透層の排水・保水能力をあわせて考えることで、必要とされる排水・保水能力を確保することができる。この結果、浸透式水路部材の製造上の手間及びコストを軽減することができる。
なお、本願発明者は、本発明とは直接的には関連しないが過去に、特開2000−54344号公報(特許文献6)、特開2004−324398号公報(特許文献7)、特開2014−20013号公報(特許文献8)、特開2015−135024号公報(特許文献9)、及び、特開2018−21342(特許文献10)を発明している。
特開2005−9279号公報 特開平9−4039号公報 特開平7−252869号公報 実願昭63−79886号(実開平2−5479号)のマイクロフィルム 特開2005−76206号公報 特開2000−54344号公報 特開2004−324398号公報 特開2014−20013号公報 特開2015−135024号公報 特開2018−21342号公報
上述のような特許文献5に開示される発明の場合は、浸透式水路部材の外側面に粒状体を収容する透水性袋体を密着させることが難しいため、浸透式水路部材中を流れる水を、浸透式水路部材の水平方向にスムーズに分散させることができない可能性があった。
また、特許文献5に開示される発明の場合は、粒状体を収容する透水性袋体の時間の経過に伴う劣化が不可避である。
このため、経時変化に伴って粒状体を収容する透水性袋体が劣化して破損した場合は、浸透式水路部材の外側において洗堀が生じるおそれがあった。この場合、浸透式水路部材とその周囲の粒状体との物理的なつながりが断たれてしまい、結果として浸透式水路部材が目的とする機能を発揮しなくなる懸念があった。
したがって、特許文献5に開示される発明の場合は、一旦形成された水路においてその機能を恒久的に発揮させることが難しいという課題があった。
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものであり、施工が容易で、水路の外側面側で洗堀が起こるのを防止でき、かつ水路の外側面側を流動する水の流速を低減することができ、しかも恒久的に使用することができる水路形成用ブロック及びそれを用いてなる水路構造を提供することにある。
上記目的を達成するため第1の発明である水路形成用ブロックは、明渠又は暗渠として用いられる水路構造を形成するためのブロックであって、平板状の一対の側壁と、この側壁の平面方向に分散した状態で配され、側壁を貫通して形成されている複数の通水孔と、一対の側壁の間に介設されて一対の側壁を連結する少なくとも2本の連結材と、側壁及び/又は連結材から、ブロックの外側でかつ鉛直方向に突設されている少なくとも2つの突起と、を備え、側壁と連結材とは剛接合されており、少なくとも側壁及び連結材は、鉄筋コンクリート以上の剛性を有している、ことを特徴とするものである。
上記構成の第1の発明において、側壁は、形成しようとしている水路の左右側面上にそれぞれ立設されて、この水路の擁壁として作用する。
また、側壁に形成されている通水孔は、水路の左右に配される土中から水路の中空部側又はその逆方向に自由に水を移動させるという作用を有する。
さらに、連結材は、一対の側壁の間に介設されて、一対の側壁の支持部材、及び、スペーサーとして作用する。加えて、連結材は、その空隙に水路の底側に配される底面形成材(粒状体、砕石、砂礫等)収容保持するという作用を有する。また、連結材は、この底面形成材の下流側への流動を妨げるという作用を有する。
また、第1の発明である水路形成用ブロックを用いて水路構造を形成した場合、水は水路形成用ブロックの中空部及びその周囲を流動することになる。したがって、第1の発明である水路形成用ブロックの連結材は、水路における水の流れを遮るように配されることになる。このため、連結材は、第1の発明を用いて水路構造を形成した場合に、その中空部の底側を流れる水の抵抗体として作用し、その流速を低減するという作用を有する。
なお、第1の発明では、側壁が複数の通水孔を備えていることで、側壁の表面の平坦性が損なわれる。このため、第1の発明を用いて水路構造を形成した場合に、側壁の表面を流動する水の流速も低減される。
このように第1の発明によれば、水路形成用ブロックの表面において流速が好適に低減されることで、第1の発明を用いて水路構造を形成した場合に、水路形成用ブロックの表面(特に、外側面側)で洗堀が起こるのを抑制するという作用を有する。
そして、第1の発明において、少なくとも側壁及び連結材が鉄筋コンクリート以上の剛性を有し、かつ、側壁と連結材とが剛接合されていることで、第1の発明を恒久的に使用するのに十分耐えうる強度を付与するという作用を有する。
さらに、突起は、第1の発明を土中に埋設する際のアンカーとして作用する。加えて、突起は、第1の発明を用いて水路構造を形成した場合に、連結材の周囲を流れる水の抵抗体としても作用する。よって、突起は、第1の発明を用いて水路構造を形成した場合に、連結材の周囲を流れる水の流速を低減させるという作用を有する。
第2の発明である水路形成用ブロックは、上述の第1の発明であって、任意の通水孔において、側壁の内側面開口の占有面積Sは、側壁の外側面開口の占有面積Sよりも小さいことを特徴とするものである。
上記構成の第2の発明は、上述の第1の発明による作用と同じ作用に加えて、側壁に形成されている通水孔の外側面開口からの侵入する物体(土砂等)を、内側面開口側に通過し難くするという作用を有する。これにより、第2の発明を用いて新たな水路構造を形成した場合に、通水部(水路形成用ブロックの中空部内)への土砂等の流入を抑制するという作用を有する。
第3の発明である水路形成用ブロックは、上述の第1又は第2の発明であって、通水孔同士の間隔の最小値は、側壁の厚さの最小値以上であり、連結材は、その水平方向における厚さの最小値が、側壁の厚さの最小値以上であり、その鉛直方向における高さの最小値が、側壁の厚さの最小値の1.25倍以上である、ことを特徴とするものである。
上記構成の第3の発明は、上述の第1又は第2の発明による作用と同じ作用に加えて、通水孔同士の間隔、及び、連結材の幅方向及び厚み方向のサイズを上記のように特定することで、水路形成用ブロックを構成する構造部材の水平方向及び鉛直方向の強度のバランスを調整するという作用を有する。つまり、第3の発明によれば、水路形成用ブロックの水平方向及び鉛直方向のいずれにおいても目的とする強度を有する状態になる。
また、第3の発明では、連結材の鉛直方向の厚みが、側壁の厚みの最小値の1.25倍以上に設定することで、水路形成用ブロックの中空部の底側に配される底面形成材の保持効果(流動を妨げる効果)を高めるという作用を有する。
さらに、第3の発明では、連結材は、水の流れを遮るように配置されるため、連結材の鉛直方向の厚みが大きくなるにつれ、連結材の周囲を流れる水の流速を低減する効果が高くなる。
この結果、第3の発明によれば、上述の第1又は第2の発明と比較して、水路形成用ブロックの連結材側の周囲において洗堀が起こるのをより確実に防止するという作用を有する。
第4の発明である水路構造は、地面を掘削してなる溝と、連結材を鉛直下方側に配した状態で溝の中空部内に収容される第1乃至第3のいずれかの発明である水路形成用ブロックと、溝の内壁と水路形成用ブロックの側壁との間に介設されている固形物群と、を備え、水路形成用ブロックの通水孔に隣接して配されている固形物は、通水孔内に差し込み可能であるが、通水孔を通過することはできない、ことを特徴とするものである。
この第4の発明は、第1乃至第3のそれぞれの発明(水路形成用ブロック)を用いて形成した明渠を物の発明として特定したものである。
上記構成の第4の発明において溝は、水路形成用ブロック(第1乃至第3のいずれかの発明)をその中空部に収容するという作用を有する。また、水路形成用ブロックは、第1乃至第3のそれぞれの発明による作用と同じ作用を有する。さらに、溝の内壁と、水路形成用ブロックの通水孔の間に介設されている固形物は、溝の周囲の土中の水を水路形成用ブロック内に又はその逆方向に移動させるための流路として作用する。また、固形物は、溝の内壁に水路形成用ブロックを固定するためのアンカーとしても作用する。
さらに、第4の発明では、通水孔に固形物が差し込まれることによっても側壁の外側面の平坦性が損なわれる。この結果、第4の発明では、通水孔を備えることで側壁の平坦性が損なわれること、及び、この通水孔に固形物が差し込まれること、の両者により側壁の外側面の平坦性が損なわれて、側壁の外側面上における流速の低減作用がより確実に発揮される。この結果、第4の発明である水路形成用ブロックにおける側壁の外側面の洗堀が抑制される。
加えて、固形物群は、溝の周囲の土砂が、水路形成用ブロックの中空部内に流入するのを防ぐフィルターとして作用する。さらに、固形物は、水路形成用ブロックの外側面側を流動する水の抵抗体として作用し、その流速を低減させるという作用を有する。
したがって、第4の発明によれば、水路形成用ブロックの中空部内とその外側面側の両方を通水部として利用可能にするとともに、水路形成用ブロックの中空部内を流れる水の流速よりも、水路形成用ブロックの外側面側を流れる水の流速を常にかつ確実に遅くするという作用を有する。
さらに、第4の発明では、水路形成用ブロックの外側面側において洗堀が起こり難いため、水路形成用ブロックとそれを収容する溝の内壁との間に物理的な分断が生じるのを妨げるという作用を有する。よって、時間の経過に伴って第4の発明における通水性が損なわれ難い水路構造を提供するという作用を有する。
第5の発明である水路構造は、地面を掘削して形成された載置面上に配設される第1乃至第3のいずれかの発明である水路形成用ブロックと、水路形成用ブロックを埋設する埋設用土と、水路形成用ブロックと埋設用土との間に介設されている固形物群と、を備え、水路形成用ブロックの、通水孔又は連結材同士の空隙、に隣接して配されている固形物は、通水孔内又は空隙に差し込み可能であるが、通水孔又は空隙を通過することはできない、ことを特徴とするものである。
この第5の発明は、第1乃至第3のそれぞれの発明(水路形成用ブロック)を用いて形成した暗渠を物の発明として特定したものである。
上記構成の第5の発明において、載置面は水路形成用ブロック(第1乃至第3のいずれかの発明)の支持基盤として作用する。また、水路形成用ブロックは、第1乃至第3のそれぞれの発明による作用と同じ作用を有する。
また、埋設用土と、水路形成用ブロックの通水孔又は連結材同士の空隙の間に介設される固形物は、特に埋設用土に水路形成用ブロックを掛止するためのアンカーとして作用する。
さらに、第5の発明では、水路形成用ブロックが通水孔や連結材同士の空隙を備えることでその外側面上の平坦性が損なわれること、並びに、これら通水孔及び連結材同士の空隙に固形物が差し込まれて水路形成用ブロックの外側面の平坦性が損なわれること、が組み合わされて水路形成用ブロックの外側面上における水の流動性が低減される。この結果、第5の発明である水路形成用ブロックにおける外側面上の洗堀が抑制される。
加えて、固形物群は、水路形成用ブロックの周囲の埋設用土が、水路形成用ブロックの中空部内に流入するのを防ぐためのフィルターとしても作用する。
さらに、固形物は、水路形成用ブロックの外側面側上を流動する水の抵抗として作用し、その流速を低減させるという作用を有する。
したがって、第5の発明によれば、水路形成用ブロックの中空部内とその外側面側の両方を一体的な水路として機能させるとともに、その際に水路形成用ブロックとその周囲に配される埋設用土との間に物理的な分断が生じるのを妨げるという作用を有する。
第6の発明である水路構造は、上述の第4又は第5の発明であって、溝の内壁、又は、埋設用土と、固形物群との間に介設され、固形物群の平均粒径よりも小さい平均粒径を有する粒状物からなる粒状物層を備えていることを特徴とするものである。
上記構成の第6の発明は、上述の第4又は第5の発明による作用と同じ作用を有する。加えて、第6の発明は、溝の内壁、又は、埋設用土と、固形物群との間に介設される粒状物層は、溝の内壁を構成する土砂等、又は、埋設用土が、固形物群の隙間に流入するのを妨げるフィルターとして作用する。
この結果、第6の発明では、上述の第4又は第5の発明と比較して、溝の内壁を構成する土砂、又は、埋設用土が、水路形成用ブロックの中空部内に流入するのを一層確実に防止するという作用を有する。
上述のような第1の発明によれば、水路形成用ブロックの中空部内及びその外側面側の両方を通水部として使用することができ、かつ通水時に水路形成用ブロックの外側面上を流れる水の流速を確実に低減することができ、さらに通水時に水路形成用ブロックの外側面上において洗堀が生じ難い水路形成用ブロックを提供することができる。
よって、第1の発明を用いて水路構造を形成した場合は、水路形成用ブロックの中空部内の容積を超える量の水を流すことができ、かつ周囲の土壌と水路形成用ブロックとの物理的な接続状態を維持し続けることができる水路構造を提供することができる。
よって、第1の発明によれば、浸透排水型の水路として恒久的に使用できる水路構造を提供することができる。
第2の発明によれば、上述のような第1の発明による効果と同じ効果を有する。加えて、第2の発明は、第1の発明と比較して、水路形成用ブロックの外側に配される土砂や砂礫等が、水路形成用ブロックの中空部内に流入するのを一層確実に防止することができる。
よって、第2の発明である水路形成用ブロックを用いて水路構造を形成した場合に、水路形成用ブロックの外側面側からの流入物によって、水路形成用ブロックの中空部内の通水性が低下するのを好適に抑制することができる。
よって、第2の発明によれば、通水時に外部から流入する土砂等による詰まりが生じ難い水路構造を提供することができる。この結果、第2の発明による水路構造の通水時のメンテナンスの手間及びコストを軽減することができる。
第3の発明によれば、上述の第1又は第2の発明による効果と同じ効果に加えて、水路形成用ブロックにおける側壁及び連結材の、水平方向及び鉛直方向のサイズをともに側壁の厚みの最小値以上に設定することで、水路形成用ブロックに十分な強度を付与することができる。
また、第3の発明では、連結材の鉛直方向厚み(成)を、側壁の厚みと比較して大きく設定することで、第3の発明を用いてなる水路構造において連結材同士の空隙に収容される底面形成材の保持効果を高めることができる。
また、第3の発明では、水路形成用ブロックの中空部内及び外側面上の両方において水が流動する。このため、第3の発明では、連結材の鉛直方向厚み(成)を、側壁の厚みよりも大きく設定することで、水路形成用ブロックの連結材の周囲いにおける水流の流速低減効果を高めることができる。
この結果、第3の発明を用いて水路構造を形成した場合に、通水部の鉛直下方側の洗堀を好適に防止することができる。
したがって、第3の発明によれば、通水時に周囲の土壌(特に鉛直方向)との物理的接続状態を一層確実に維持し続けることができ、かつ長期間にわたって通水機能の低下が起こり難い水路構造を提供することができる。
第4の発明によれば、水路形成用ブロックの中空部内とその外側面側の両方を通水部として利用することができる水路構造を提供することができる。加えて、第4の発明では、水路形成用ブロックとその周囲の土壌との物理的な接触状態の分断が起こり難い。このため、集中豪雨等により急激な水位の上昇が起きた場合でも、水路構造の通水性を維持することができ、かつ、水路形成用ブロックの中空部内の容積を超える水も支障なく流動させることができる。
また、第4の発明では、時間の経過に伴って水路形成用ブロックとその周囲に配される固形物群との間、さらにその周囲に配される土壌との間に、強固な係合関係が形成され、これにより第4の発明が一層破損し難くなる。
したがって、第4の発明は、その使用期間が長くなるほど、その構造的安定性が高まり、これにより恒久的な使用が可能になる。
さらに、第4の発明では、その周囲からの又はその逆方向への水の出入りが自由であるため、増水時に第4の発明である水路構造に集まった水の一部を周囲の土壌中に排出しながら、第4の発明の流路方向に水を流動させることができる。
この結果、第4の発明である水路構造の施工面積を増やすことで、その下流側に配される河川における急激な水位の上昇を緩和することができる。よって、第4の発明は治水技術としても有用である。
また、第4の発明では、水路形成用ブロックの中空部内を、起伏に富んだ状態にできるため、水性生物の生息場所として最適である。この結果、第4の発明によれば、自然環境の保全にも寄与することができる。
第5の発明によれば、水路形成用ブロックの中空部内とその外側面側の両方を通水部として利用することができる水路構造を提供することができる。加えて、第5の発明では、水路形成用ブロックとその周囲の土壌との物理的な接触状態の分断が起こり難い。このため、集中豪雨等により急激な水位の上昇が起きた場合でも、水路構造の通水性を維持することができ、かつ、水路形成用ブロックの中空部内の容積を超える水も支障なく流動させることができる。
また、第5の発明では、時間の経過に伴って水路形成用ブロックとその周囲に配される固形物群との間、さらにその周囲に配される土壌との間に、強固な係合関係が形成され、これにより第4の発明が一層破損し難くなる。
したがって、第4の発明は、その使用期間が長くなるほど、その構造的安定性が高まり、これにより恒久的な使用が可能になる。
さらに、第5の発明では、その周囲からの又はその逆方向への水の出入りが自由であるため、増水時に第5の発明である水路構造に集まった水の一部を周囲の土壌中に排出しながら、第5の発明の流路方向に水を流動させることができる。
この結果、第5の発明である水路構造の施工面積を増やすことで、その下流側に配される河川における急激な水位の上昇を緩和することができる。よって、第5の発明は治水技術としても有用である。
さらに、第5の発明によれば、自然に形成される水路のように周囲の埋設用土(土壌)の浸食を抑制できるので、時間の経過に伴う流路の変化が起こらない。したがって、第5の発明によれば、水路の形成位置及び規模をそのまま維持し続けることができるという効果も有する。
第6の発明によれば、第4又は第5の発明による効果と同じ効果を有する。また、第6の発明は、第4又は第5の発明と比較して、水路形成用ブロック外側に配される土壌、又は、埋設用土が、水路形成用ブロックの中空部内に流入するのを一層確実に防ぐことができる。
この結果、第6の発明によれば、外部から流入する土砂や砂礫等、又は、埋設用土による詰まりを発生し難くすることができる。
したがって、第6の発明によれば、水路の維持管理に要する手間やコストを低減することができるという効果を有する。
本発明の実施形態に係る水路形成用ブロックを鉛直上方側から見た斜視図である。 本発明の実施形態に係る水路形成用ブロックを鉛直下方側から見た斜視図である。 (a)本発明の実施形態に係る水路形成用ブロックの平面図であり、(b)同水路形成用ブロックの正面図(背面図)であり、(c)同水路形成用ブロックの底面図であり、(d)同水路形成用ブロックの側面図である。 本発明の実施例1に係る水路構造(明渠)の鉛直方向断面図である。 図4に示す水路構造(明渠)の断面図の模式図である。 本発明の実施形態に係る水路形成用ブロックの断面図である。 本発明の実施例2に係る水路構造(暗渠)の鉛直方向断面図である。
本発明の実施形態に係る水路形成用ブロックおよびそれを用いてなる水路構造について図1乃至図7を参照しながら説明する。
図1は本発明の実施形態に係る水路形成用ブロックを鉛直上方側から見た斜視図である。また、図2は本発明の実施形態に係る水路形成用ブロックを鉛直下方側から見た斜視図である。さらに、図3(a)は本発明の実施形態に係る水路形成用ブロックの平面図であり、(b)は同水路形成用ブロックの正面図(背面図)であり、(c)は同水路形成用ブロックの底面図であり、(d)同水路形成用ブロックの側面図である。
本実施形態に係る水路形成用ブロック1は、図1乃至図3に示すように、例えば鉄筋コンクリート以上の剛性を有している材質からなり、明渠又は暗渠として用いられる水路構造を形成するために用いられるブロックである。
このような本実施形態に係る水路形成用ブロック1は、例えば、図1乃至図3に示すように、平板状の一対の側壁2と、この側壁2の平面方向に分散した状態で配され、かつこの側壁2を貫通して形成されている複数の通水孔3と、一対の側壁2の間に介設されて一対の側壁2を連結する少なくとも2本の連結材4と、側壁2の端面から水路形成用ブロック1の外側でかつ鉛直方向に突設されている少なくとも2つの突起6と、を備えてなるものである。
また、上述のような本実施形態に係る水路形成用ブロック1において、側壁2と連結材4とは剛接合されている。つまり、側壁2と連結材4はラーメン構造を形成している。
さらに、一対の側壁2の間に介設される少なくとも2本の連結材4同士の間には空隙5が形成されている。
なお、本実施形態に係る水路形成用ブロック1において、突起6は水路形成用ブロック1を設置する際に、主にアンカーとして機能するものであり、支持用の脚部ではない。このため、突起6は、水路形成用ブロック1の外側でかつ鉛直方向の面の任意の位置に、より望ましくは、水路形成用ブロック1の外側でかつ鉛直方向の面において互に離れた位置に、少なくとも2つの突起6を備えていればよい。なお、本実施形態に係る突起6により水路形成用ブロック1を自立させることができなくとも特に問題はない。
また、図1乃至図3では、突起6が、側壁2の端面から水路形成用ブロック1の外側でかつ鉛直方向に突設される場合を例に挙げて説明しているが、この突起6は、連結材4に2つ以上突設されていてもよいし、側壁2の端面及び連結材4の両者に2つ以上の突起6が突設されていてもよい。
さらに、後段において説明する図7に示すように、本実施形態に係る水路形成用ブロック1を、その連結材4を鉛直上方側に配して用いる場合は、水路形成用ブロック1の外側で、かつ鉛直方向で、かつ連結材4が配されない側の側壁2の端面に突起6を突設してもよい(図示せず)。この場合も突起6は、水路形成用ブロック1を、その周囲の埋設用土13や、載置面15に固定するためのアンカーとして作用する。
なお、2つの本実施形態に係る水路形成用ブロック1の中空部を互いに対向させて筒状の構造物を形成して用いる場合は、水路形成用ブロック1を設置した場合に、鉛直方向側に配される面に突起6を設けておくことが望ましい。
これは、突起6が水平方向に突設されていると、水路形成用ブロック1の左右側面側への固形物8の配設作業が煩雑になるためである。
本実施形態に係る水路形成用ブロック1の作用効果を説明するにあたり、まず、本発明の実施例1に係る水路構造(明渠)について図4及び図5を参照しながら説明する。
図4は本発明の実施例1に係る水路構造(明渠)をその流路を遮る方向から見た鉛直方向断面図である。また、図5は先の図4に示す水路構造(明渠)の鉛直方向断面図の模式図である。なお、図1乃至図3に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
実施例1に係る水路構造7(明渠7A)は主に、図4に示すように、地面を掘削してなる溝9と、この溝9の中空部内に収容される水路形成用ブロック1と、溝9の内壁9aと水路形成用ブロック1の側壁2との間に介設されている固形物8群とを備えてなるものである。
さらに、図4に示すような実施例1に係る水路構造7では、水路形成用ブロック1の通水孔3に隣接して配される固形物8として特に、通水孔3内に差し込み可能であるものの、その通水孔3を通過することはできない外径サイズを有するものが用いられている。
加えて、上述のような実施例1に係る水路構造7では、水路形成用ブロック1における連結材4同士の空隙5にも複数の固形物8が収容されている。よって、図4に示す実施例1に係る水路構造7では、連結材4同士の空隙5に収容されている複数の固形物8が水路構造7の底面形成材である。
本実施形態に係る水路形成用ブロック1では、先の図1乃至図3に示すように、側壁2の平面方向に複数の通水孔3が分散した状態で形成されるとともに、その底面側には複数本の連結材4が平行に配設されている。このため、水路形成用ブロック1全体としては遮水性を有しておらず、その中空部内への水の出入りは自由である(図5を参照)。
すなわち、実施例1に係る水路構造7では、図5中に矢印で示すように、溝9の周囲の土壌中に保持される水が、固形物8及び水路形成用ブロック1の通水孔3を介して水路形成用ブロック1の中空部内に浸入する。さらに、実施例1に係る水路構造7では、水路形成用ブロック1の中空部内の水が、通水孔3及び固形物8を介して溝9の周囲の土壌中に分散される。
さらに、実施例1に係る水路構造7では、水路形成用ブロック1の中空部内及びその外側面側上(主に固形物8が配される領域)の両方が通水部として機能する。
つまり、実施例1に係る水路構造7において水路形成用ブロック1は遮水壁ではなく、通水部において流れの早い領域と遅い領域とを区分けするための構造物である。
また、実施例1に係る水路構造7では、水路形成用ブロック1の中空部内を流れる水の流速は、水路形成用ブロック1の外側面上を流れる水の流速よりも早い。これは、実施例1に係る水路構造7において、水路形成用ブロック1の外側面上に配される固形物8群が、流動する水の抵抗体として作用するためである。
そして、実施例1に係る水路構造7では、その構造上、水路形成用ブロック1の外側面上においても水が流動するので、この水の流動に伴って固形物8群が移動することがないよう工夫する必要がある。
このような事情に鑑み、実施例1に係る水路構造7では、水路形成用ブロック1の側壁2に形成される通水孔3に隣接して配設される固形物8を、通水孔3に差込可能でかつ、通水孔3を通過することができないものに特定している。さらに、通水孔3に隣接して配される固形物8の外形寸法は、通水孔3に差し込んだ際に、通水孔3からはみ出るサイズであることが望ましい。
この場合、通水孔3に差し込まれた固形物8が、その周囲の固形物8と係合構造を形成し、結果として、溝9の内壁9aと水路形成用ブロック1の外側面の間に介設される固形物8群の移動を妨げることができる。そして、通水孔3に差し込まれた固形物8は、本実施形態に係る水路形成用ブロック1の移動を妨げるアンカーとしても作用する。
加えて、通水孔3に差し込まれた固形物8は、水路形成用ブロック1の外側面側を流れる水の流速の低減させるための抵抗体として作用する。
したがって、実施例1に係る水路構造7によれば、水路形成用ブロック1の外側面側において洗堀が起こるのを防止することができる。
この結果、実施例1に係る水路構造7を流れる水の水量が多い場合でも、水路形成用ブロック1の外側面側を流れる水によって水路形成用ブロック1が剥き出になるようなことがなく、その周囲の土壌の物理的なつながりを維持し続けることができる。
さらに、実施例1に係る水路構造7では、水路形成用ブロック1における連結材4が、水路構造7における水の流路を遮るように配され、しかもこの連結材4同士の空隙5に固形物8群が収容されている。このため、実施例1に係る水路構造7では、通水時に固形物8が流路の下流側に移動するのを防止できる上、連結材4自体及びその空隙5内に収容される複数の固形物8により、連結材4の周囲を流れる水の流速を低減させることができる。
したがって、実施例1に係る水路構造7では、水路形成用ブロック1の中空部内の底、及び、連結材4の鉛直下方側の面上において洗堀が生じるのを好適に防止できる。
さらに、実施例1に係る水路構造7では、水路形成用ブロック1の周囲に配される固形物8群からなる層の厚さを適宜調整することで、実施例1に係る水路構造7を流れる水の流量を所望に変更することができる。よって、実施例1に係る水路構造7によれば、流量に対する汎用性の高い水路構造を提供することができる。
しかも、水路形成用ブロック1の中空部の底では、流速が低減された状態で水が流動し続けるため水性生物の生育場所として最適な環境になる。
よって、実施例1に係る水路構造7は、排水路又は通水路として使用できるだけでなく、水路の周囲の生態系の保全にも寄与することができる。
さらに、実施例1に係る水路構造7では、図4,5に示すように、溝9の内壁9aと固形物8群との間に介設され、かつ固形物8群の平均粒径よりも小さい平均粒径を有する粒状物からなる粒状物層10を備えていてもよい(任意選択構成要素)。
この場合、粒状物層10がフィルターとして機能して、溝9の周囲の土壌中の水が水路形成用ブロック1の中空部内に流入する際に、この土壌の一部が、固形物8群の隙間を通って水路形成用ブロック1の中空部内に侵入するのを防ぐという効果を有する。
さらに、このような粒状物層10を備えた実施例1に係る水路構造7では、粒状物層10内においても水を流動させることができる。なお、粒状物層10内を流れる水の流速は、固形物8群内を流れる水の流速よりも遅くなる。
つまり、実施例1に係る水路構造7では、水路形成用ブロック1の中空部からの距離が遠いほど、そこを流れる水の流速が遅くなる。
したがって、実施例1に係る水路構造7では、固形物8群に加えて、粒状物層10を備えることによっても実施例1に係る水路構造7を流れる水の流量を増加させることができる。
ここで、図6を参照しながら本実施形態に係る水路形成用ブロック1の細部構造についてより詳細に説明する。
図6は本発明の実施形態に係る水路形成用ブロックの断面図である。より具体的には、図6は先の図2中のA−A線矢視断面図である。なお、図1乃至図5に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図6に示すように、本実施形態に係る水路形成用ブロック1では、側壁2に形成される任意の通水孔3において、側壁2の内側面開口3aの占有面積Sを、側壁2の外側面開口3bの占有面積Sよりも小さくなるよう構成してもよい(任意選択構成要素)。
この場合、水路形成用ブロック1の外側から、外側面開口3bへの固形物8の差し込みを容易にすることができる。加えて、通水孔3に差し込まれた固形物8を、内側面開口3aから水路形成用ブロック1の中空部側に通過し難くすることができるという効果も発揮される。
したがって、側壁2における内側面開口3a及び外側面開口3bを上述のように特定することで、実施例1に係る水路形成用ブロック1を用いて水路構造7を形成する際に、側壁2の外側に固形物8を配置する作業を容易にすることができる。
なお、側壁2における内側面開口3a及び外側面開口3bの平面形状は特に特定されないが、固形物8の差し込みに支障がない形状であればどのような形状でもよい。
また、任意の通水孔3における内側面開口3aと外側面開口3bの平面形状は、相似にしておくとよい(任意選択構成要素)。この場合、実施例1に係る水路形成用ブロック1を成型する際に、通水孔3の形成を容易にできるというメリットがある。
さらに、通水孔3を備えた側壁2の外観は格子状でもよい(任意選択構成要素)。この場合、側壁2の全域において水路形成用ブロック1の中空部内への水の出入りを確実、かつ、スムーズにすることができる。
さらに、図6に示すように、本実施形態に係る水路形成用ブロック1では、通水孔3同士の間隔、より具体的には、隣り合う通水孔3の開口縁と開口縁の間隔、の最小値Q、連結材4の水平方向における厚さの最小値U(先の図3(a)を参照)、及び、連結材4の鉛直方向における厚さの最小値R(先の図6を参照)の全てを、側壁2の厚さの最小値P以上に設定しておいてもよい(任意選択構成要素)。
この場合、水路形成用ブロック1の水平方向及び鉛直方向における強度を均一化することができる。この場合、通水孔3内に強く固形物8が押し込まれた場合に、水路形成用ブロック1が破損するのを回避することができる。
加えて、本実施形態に係る水路形成用ブロック1において上述のようなQ、U、Rの値の特定に加えて、図6に示すように、連結材4の鉛直方向における厚さの最小値Rを、側壁2の厚さの最小値Pの1.25倍以上に設定してもよい(任意選択構成要素)。
この場合、水路形成用ブロック1において、連結材4,4同士の空隙5の鉛直方向における深さを深くすることができる。この場合、連結材4による底面形成材(例えば、固形物8等)の保持効果を一層高めることができる。
また、本実施形態に係る水路形成用ブロック1では、連結材4は水の流れを遮るように配置される。さらに、先にも述べたように実施例1に係る水路構造7では、水路形成用ブロック1の外側面上も通水部として機能する。このため、連結材4の鉛直方向における厚みRの最小値が大きいほど、連結材4の周囲を流れる水の流速を低減する効果が発揮され易くなる。
よって、連結材4の鉛直方向における厚さの最小値Rを、側壁2の厚さの最小値Pの1.25倍以上に設定しておくことで、実施例1に係る水路構造7における流速の低減効果と、水路形成用ブロック1の中空部の底側における洗堀を防止する効果を一層確実に発揮させることができる。したがって、実施例1に係る水路構造7の通水時に、水路形成用ブロック1の外側面上において洗堀が起こるなどにより、その通水性に不具合が生じるのを防止することができる。
さらに、図6に示すように、本実施形態に係る水路形成用ブロック1における突起6の鉛直方向長さTは、側壁2の厚みの最小値Pの少なくとも0.8倍以上であればよい。この突起6も、水路形成用ブロック1の外側面側を流れる水の抵抗体として作用する。このため、突起6の鉛直方向長さTが長い方が、水路形成用ブロック1の外側面側を流れる水の流速の低減には有利である。その一方で、突起6の鉛直方向長さTが必要以上に長いと、水路形成用ブロック1の施工性が低下する。このため、突起6の鉛直方向長さTは、突起6に隣接して配される少数の固形物8と係合関係を形成できる程度であれば十分である。つまり、突起6の鉛直方向長さTは、側壁2の厚みの最小値Pの0.8倍以上でもよいが、固形物8群の平均粒径を大きく超えた値である必要はない。
ただし、実施例1に係る水路構造7を流れる水の量を増やす目的で、連結材4の鉛直下方側に配される固形物8群の厚さを大きく設定する必要がある場合は、突起6の鉛直方向長さを上述の値を超えるように設定してもよい。
なお、本実施形態に係る水路形成用ブロック1の中空部の鉛直方向深さDや水平方向幅Wは、実施例1に係る水路構造7の使用目的に応じて適宜設定すればよい(図6を参照)。
なお、本実施の形態に係る水路形成用ブロック1を鉄筋コンクリートにより構成する場合、側壁2の厚みの最小値Pは120mm以上であることが好ましい。
また、側壁2の厚みの最小値Pが上記値を超えて大きい場合でも特に問題はないが、側壁2の厚みの最小値Pが大きいほど、水路形成用ブロック1の重量が大きくなるので、水路形成用ブロック1の施工性が低下する。
また、本実施の形態に係る水路形成用ブロック1は、鉄筋コンクリートと同等の強度及び耐久性を有するものであれば、鉄筋コンクリート以外の材質を採用することもできる。
最後に、図7を参照しながら、本実施形態に係る水路形成用ブロック1を用いてなる他の水路構造(暗渠)について説明する。
図7は本発明の実施例2に係る水路構造(暗渠)をその流路を遮る方向から見た鉛直方向断面図である。なお、図1乃至図6に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
実施例2に係る水路構造7(暗渠7B)は、図7に示すように、地面を掘削して形成された載置面15上に、連結材4を鉛直上方側に配した状態で配設される本実施形態に係る水路形成用ブロック1と、この水路形成用ブロック1を埋設する埋設用土13と、水路形成用ブロック1と埋設用土13との間に介設されている固形物8群と、を備えてなるものである。
さらに、実施例2に係る水路構造7では、水路形成用ブロック1の通水孔3又は連結材4同士の空隙5に隣接して配されている固形物8は、通水孔3内又は連結材4同士の空隙5に差し込み可能であるが、通水孔3又は空隙5を通過することはできないサイズのものが用いられている。
上述のような実施例2に係る水路構造7(暗渠7B)では、実施例1に係る水路構造7(明渠7A)とは異なり、水路形成用ブロック1の連結材4同士の間に形成される空隙5が、水路形成用ブロック1の側壁2に形成される通水孔3と同じ作用・効果を奏する。
したがって、例えば先の実施例1に係る水路構造7(明渠7A)に用いた水路形成用ブロック1と同一寸法の水路形成用ブロック1を用いて実施例2に係る水路構造7(暗渠7B)を形成する場合は、通水孔3と隣接して配される固形物8よりも外形寸法が大きい固形物8を、連結材4同士の空隙5に隣接する位置に配置する必要がある(図7を参照)。
このような実施例2に係る水路構造7(暗渠7B)による作用効果は、先の実施例1に係る水路構造7(明渠7A)と実質的には同じである。また、先の実施例1に係る水路構造7(明渠7A)が、水路形成用ブロック1の中空部を地表面に開放した状態で設置されるのに対し、実施例2に係る水路構造7(暗渠7B)は、水路形成用ブロック1全体が地中に埋設されるものであり、両者は地中における水路形成用ブロック1の配設位置が異なっている。
このため、実施例2に係る水路構造7(暗渠7B)では、先の実施例1に係る水路構造7(明渠7A)と比較して、水性生物の生育場所を提供するという効果や、周囲の自然環境を保全するという効果は発揮され難くなる。
その一方で、実施例2に係る水路構造7(暗渠7B)の場合は、例えば湿地体の地中に設置することにより、その土壌中の水分を外部にスムーズに排出することが可能になる。この結果、実施例2に係る水路構造7(暗渠7B)によれば、例えば湿地を耕作地として使用することが可能になる。
また、山の谷合に実施例2に係る水路構造7(暗渠7B)を設置することで、谷合に集まった雨水を地表ではなく、地中を流動させて排水することができる。この場合、山の谷合において土砂崩れが発生するリスクを低減することができる。
また、実施例2に係る水路構造7が形成される載置面15は通常、不透水性を有する硬い地盤等であり、容易には浸食されない。このため、実施例2に係る水路構造7において、水路形成用ブロック1を載置面15上に単に載置する場合でも、経時変化に伴って通水部16の底の洗堀が進行して、水路構造7自体が鉛直下方側に向かって崩壊するような不具合は生じない。
他方、載置面15が軟弱で、実施例2に係る水路構造7における通水部16の底で洗堀が起こる可能性がある場合は、通水部16の底に予め固形物8群を敷設するなどしてから水路構造7(暗渠7B)を形成すればよい。
あるいは、2つの本実施形態に係る水路形成用ブロック1の中空側を互いに対向させてなる筒状の構造物を、直列状に配設して管状の通水部16を形成し、さらにこの管状の通水部16(水路形成用ブロック1群)外周の全域を被覆するように固形物8群からなる層を設けて水路構造7(図示せず)を形成してもよい。
この場合は、水路形成用ブロック1の外側面側の全域(特に固形物8群が配置される領域)を通水部16として利用できるので、流量の大きい暗渠7Bを形成することができる。
さらに、図7では、実施例2に係る水路構造7(暗渠7B)を地中に1本のみ配設する場合を例に挙げて説明しているが、地中に実施例2に係る水路構造7(暗渠7B)を複数本並設してもよい(図示せず)。この場合は、筒状に配した水路形成用ブロック1群からなる通水部16を、所望の本数だけ固形物8群を介しながら並設すればよい(図示せず)。
このように、実施例2に係る水路構造7(暗渠7B)を、地中において互いに近接させながら並設する場合は、流量の大きな暗渠7Bを、地中内形成される空隙の容積を少なくしながら形成することができる。これにより、地震等の自然災害が起きた場合でも、実施例2に係る水路構造7(暗渠7B)を損壊し難くすることができるという効果を有する。
さらに、実施例2に係る水路構造7(暗渠7B)では、図7に示すように、固形物8群と埋設用土13の間に、固形物8群の平均粒径よりも小さい平均粒径を有する粒状体からなる粒状物層10を備えていてもよい。
この場合、実施例1に係る水路構造7(明渠7A)の場合と同様に、粒状物層10がフィルターとして機能して、水路構造7の通水部16に埋設用土13が流入するのを抑制することができる。この結果、実施例2に係る水路構造7(暗渠7B)の通水部16が、その周囲からの流入物により詰まる等の不具合を起こすリスクを低減することができる。
したがって、実施例2に係る水路構造7(暗渠7B)によれば、メンテナンスが容易で、恒久的な使用に耐える水路構造7を提供することができる。
なお、実施例1,2に係る水路構造7を施工する場合は、従来公知の側溝又は浸透排水型の側溝を設置する場合のように、水路形成用ブロック1の端面同士を隙間なく並べる必要がない。つまり、実施例1,2に係る水路構造7を施工する場合で、かつ水路形成用ブロック1を直列状に配置する場合は、隣り合う水路形成用ブロック1の端面同士の間に隙間を有していてもよい。この場合、隣り合う水路形成用ブロック1の端面同士の間に隙間に、この隙間に差し込み可能であるが、この隙間を通過することができないサイズの固形物8を差し込んでおけばよい。これにより、水路形成用ブロック1同士の隙間から、水路形成用ブロック1の中空部内に、溝9の周囲の土壌や埋設用土13が流入するのを好適に防ぐことができる。
このことは、実施例1,2に係る水路構造7を例えば急斜地に施工する際に、隣り合う水路形成用ブロック1の端面同士を厳密に対向させる必要がないことを意味している。
さらに、特に実施例1,2に係る水路構造7を例えば急斜地に施工する場合、隣り合う水路形成用ブロック1の端面同士の間に意図的に段差を形成しておいてもよい(任意選択構成要素)。この場合は、水路構造7においてより流速が早い通水部(例えば通水部16)に、その流速を低減させるような抵抗体が所望間隔毎に形成されることになるので、通水部を流動する水の流速低減効果が期待できる。
さらに、実施例1,2に係る水路構造7において、固形物8としては主に砕石を想定しているが、砕石の代用品として、例えば破砕した廃棄コンクリート等を分級したもののように、長期間にわたりその形状を保持し続けることができる固形物を使用することができる。
以上説明したように本発明は、水路形成用ブロックの内側と外側の両方を通水部として使用することができ、その使用時に水路形成用ブロックの底側や外側面上において洗堀が起こらず、しかも、水性生物の生息に適した水路を形成することができる水路形成用ブロックおよびそれを用いてなる水路構造であり、農業、土木、灌漑設備、防災技術等に関する分野において利用可能である。
1…水路形成用ブロック 2…側壁 3…通水孔 3a…内側面開口 3b…外側面開口 4…連結材 5…空隙 6…突起 7…水路構造 7A…明渠 7B…暗渠 8…固形物 9…溝 9a…内壁 10…粒状物層 11…水 12…不透水層 13…埋設用土 14…不透水層 15…載置面 16…通水部

Claims (6)

  1. 地面を掘削してなる溝の中空部内に収容される水路形成用ブロックと、
    個々の固形物からなり、前記溝の内壁と前記水路形成用ブロックの間に介設されている固形物群と、を備え、
    前記水路形成用ブロックは、
    平板状の一対の側壁と、
    前記側壁の平面方向に分散した状態で配され、前記側壁を貫通して形成されている複数の通水孔と、
    一対の前記側壁の間に介設されて一対の前記側壁を連結するとともに、前記側壁に剛接合されている少なくとも2本の連結材と、
    前記側壁及び/又は前記連結材から、前記水路形成用ブロックの外側でかつ鉛直方向に突設されている少なくとも2つの突起と、を備え、
    前記水路形成用ブロックの前記通水孔に隣接して配されている前記固形物の外形寸法は、前記固形物が前記通水孔に進入した際に前記通水孔からはみ出るサイズであり、
    前記水路形成用ブロックと前記溝の前記内壁は、前記固形物群を介して係合し
    前記連結材同士の空隙に前記固形物が収容されていることを特徴とする水路構造。
  2. 地面を掘削して形成された載置面上に配設される水路形成用ブロックと、
    前記水路形成用ブロックを埋設する埋設用土と、
    個々の固形物からなり、前記水路形成用ブロックと前記埋設用土との間に介設されている固形物群と、を備え、
    前記水路形成用ブロックは、
    平板状の一対の側壁と、
    前記側壁の平面方向に分散した状態で配され、前記側壁を貫通して形成されている複数の通水孔と、
    一対の前記側壁の間に介設されて一対の前記側壁を連結するとともに、前記側壁に剛接合されている少なくとも2本の連結材と、
    前記側壁及び/又は前記連結材から、前記水路形成用ブロックの外側でかつ鉛直方向に突設されている少なくとも2つの突起と、を備え、
    前記水路形成用ブロックの前記通水孔に隣接して配されている前記固形物の外形寸法は、前記固形物が前記通水孔に進入した際に前記通水孔からはみ出るサイズであり、
    前記水路形成用ブロックの前記連結材同士の空隙に隣接して配されている前記固形物の外形寸法は、前記固形物が前記連結材同士の前記空隙に進入した際に前記連結材同士の前記空隙からはみ出るサイズであり、
    前記水路形成用ブロックと前記埋設用土は、前記固形物群を介して係合し
    前記連結材の前記空隙に前記固形物が収容されていることを特徴とする水路構造。
  3. 前記水路形成用ブロックに代えて、前記水路形成用ブロックが前記固形物群を介しながら複数条並設されてなる水路形成用ブロック群を備えていることを特徴とする請求項2に記載の水路構造。
  4. 前記固形物群とその周囲の土壌の間に介設され、前記固形物群の平均粒径よりも小さい平均粒径を有する粒状物からなる粒状物層を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の水路構造。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の水路構造に用いられる前記水路形成用ブロックであって、
    任意の前記通水孔において、前記側壁の内側面開口の占有面積Sは、前記側壁の外側面開口の占有面積Sよりも小さいことを特徴とする水路形成用ブロック。
  6. 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の水路構造に用いられる前記水路形成用ブロックであって、
    前記水路形成用ブロックは、鉄筋コンクリート製であり、
    前記側壁の厚さは120mm以上であり、
    前記通水孔同士の間隔は120mm以上であり、
    前記連結材は、
    その水平方向における厚さが120mm以上であり、
    その鉛直方向における高さが150mm以上であることを特徴とする水路形成用ブロック。
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