JP2020120654A - ペット用排尿処理材 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた発塵抑制機能を有し、搬送等により衝撃を受けた場合でも発塵抑制能が低下しにくいペット用排尿処理材を提供する。【解決手段】排尿処理材基材の表面に表面処理剤としての発塵抑制剤を有するペット用排尿処理材であって、発塵抑制剤は、少なくとも、ポリアルキレングリコールと、カルボン酸とを含み、カルボン酸はジカルボン酸、又はトリカルボン酸であることを特徴とする。【選択図】図5

Description

本発明はペット用排尿処理材に関するものであり、より詳細には、発塵抑制能に優れ、搬送等で衝撃を受けた場合でも発塵抑制能が低下しにくいペット用排尿処理材とその製造方法に関する。
従前から、ペットの排尿処理に用いられるペット用排尿処理材(猫砂、トイレ砂等とも呼ばれる)というものが知られており、これは排尿用トレイ等のペット用トイレ容器に敷き詰められて使用されるものである。このようなペット用排尿処理材が敷き詰められたトイレでペットが排尿すると尿は排尿処理材に吸収され、飼い主は尿を吸収した使用済み箇所のみをスコップ等で取り除いて減った分を順次補って使用される。ペット用排尿処理材の原材料や構成は商品毎に多種多様であるが、代表的なものとしては、粘土原料のもの、木材原料のもの、紙原料のもの、などがあり、必要とされる性質としては、吸水性、凝集固化性、脱臭性、消臭性等がある。
さて、数十年程度前までは、ペット用のトイレは土間等の多少汚れても大丈夫な箇所に置かれることが多かったが、近年では住宅事情の変遷によりマンションやアパート等の集合住宅が増えることでペットを室内飼いする人も増えており、必然的にペット用トイレも室内に置かれることが増加している。このようにペット用トイレが室内に置かれるようになったことで、ペット用排尿処理材をペット用トイレ容器に移し容れる際に包装袋から舞う微粉がトイレ容器の周囲に散らばることによる衛生面の問題や、散らばった微粉を人やペットが吸うことによる健康面の問題等にも注目が集まり、従前はペット用排尿処理材においてそれほど重要視されなかった発塵抑制効果も求められるようになってきている。
ペット用排尿処理材の原料としては、従来より
(1)天然のベントナイト、または該ベントナイトを原料とし、アルカリ成分を含んだ活性ベントナイトからなる粘土質系原料、
(2)木粉(おが屑)または木片(微細チップ)等の木材由来素材からなる木質系原料、 (3)再生紙または再生パルプ等の紙材由来素材からなる紙質系原料、
等が知られており、これらに加えて近年では、
(4)おから等の大豆やとうもろこし等由来の植物繊維質系原料、
を利用したものが増えており、ペット用排尿処理材はこれら(1)〜(4)のいずれかを主原料とした基材から成るものが多い。
そしてこれらの基材は、
(1)を主原料とする(A)粘土質系基材、
(2)〜(4)のいずれかを主原料とする(B)植物由来のセルロース質系基材、
の2種類に大別され、本発明の発塵抑制処理が対象とする排尿処理材基材も、この(A)または(B)の分類の何れかに属する基材である。
微粉の発生の程度はペット用排尿処理材の形状や原料によっても異なるが、ある程度の大きさを有する造粒物やフレーク状のものであっても、輸送時の振動や衝撃等によりその一部が欠けたり崩れたりするなどして包装袋内に粉末化した製品が混ざることがままある。商品の搬送は様々な業者の手を経るものであるから、搬送工程での扱いを改善することで微粉の発生を抑制することは現実的に困難である。
このような発塵抑制効果に着目した発明として、特許文献1には水膨潤性粘土鉱物から形成された粒状成型体の表面を、ポリアルキレングリコール、パラフィンワックス、高級脂肪酸等で処理することで、該粒状成型体の粉化防止性を改善した技術が示されている。また特許文献2には、石炭灰、木粉、粘土等のいずれかを含む造粒物に、セルロース、吸水性高分子粉末、繊維状体、石膏等を塗すことで造粒物を飛散しにくくする技術が示されている。また特許文献3には、排尿処理材基材の表面を、ケイ酸ナトリウムと、グリセリンと、ジオール型またはトリオール型のポリプロピレングリコールとを含む発塵抑制剤で表面処理する技術が示されている。
特開2006−42798号公報 特開2005−211018号公報 特開2015−84727号公報
しかしながら、引用文献1〜3に記載された発明では製造直後の状態での粉立ち等はある程度抑制されるものの、ペット用排尿処理材が衝撃を受けた場合に発塵抑制能が著しく低下することがあった。すなわち、ペット用排尿処理材は製造後に袋詰めされて倉庫や販売店等に搬送されるが、搬送時の振動や、購入された後に袋が保管場所に投げ置かれる等の衝撃により、実際に家庭で使用される際には発塵抑制能が低下していることがあった。
本発明はこのような問題点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、優れた発塵抑制機能を有し、搬送等により衝撃を受けた場合でも発塵抑制能が低下しにくいペット用排尿処理材を提供することにある。
また、本発明の他の目的とするところは、上述の性能を有するペット用排尿処理材の製造方法を提供することにある。
また本発明の他の目的とするところは、ペット用排尿処理材に用いられる発塵抑制剤を提供することにある。
本発明の他の目的並びに作用効果については、以下の記述を参照することにより、当業者であれば容易に理解されるであろう。
本願発明者らは、本商品の供給者の立場から現在乃至将来的ニーズに応え、顧客の満足度を一層高めるべく、ペット用排尿処理材に要求される重要な発塵抑制性能において更なる改良に努め、本発明に到った。
すなわち、本発明に係るペット用排尿処理材は、排尿処理材基材の表面に表面処理剤としての発塵抑制剤を有し、前記発塵抑制剤は、少なくとも、ポリアルキレングリコールと、カルボン酸とを含み、前記カルボン酸はジカルボン酸、又はトリカルボン酸であることを特徴とする。
そして、このような構成によれば、優れた発塵抑制能を有し、搬送等により衝撃を受けた場合でも発塵抑制能が低下しにくいペット用排尿処理材が得られる。このような効果が得られる理由は定かではないが、カルボン酸とポリアルキレングリコールを併用することで、ポリアルキレングリコールの重合鎖末端のヒドロキシ基(−OH)または重合鎖内部のエーテル結合(−O−)と、カルボン酸のカルボキシ基またはヒドロキシカルボン酸等の各種水酸基(−OH)が水素結合を、場合によってはエステル結合を行い、この発塵抑制剤で排尿処理材基材に表面処理を施すことで図3(b)に示されるような状態になるものと推測される。このため、カルボン酸とポリアルキレングリコールが結合または会合することでポリアルキレングリコール単体の場合と比べてより密に排尿処理材基材の表面が覆われ、衝撃が与えられて欠けが生じた場合でも発塵抑制剤により保持されるものと考えられる。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記ポリアルキレングリコールは、ポリエチレングリコールであることが望ましい。
このような構成によれば、ポリアルキレングリコールとしてポリエチレングリコールを採用したことにより、水やカルボン酸と分離せずに混和することができる。また、分子量あたりの炭素鎖の長さが他のポリアルキレングリコールよりも長く、排尿処理基材を広範囲で包み込むことができるためであると考えられる。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記カルボン酸が、トリカルボン酸であることが望ましい。
このような構成によれば、カルボン酸としてトリカルボン酸を採用したことにより、1分子あたりに存在するカルボキシ基が3つと多く、該カルボキシ基由来の水素またはプロトン(HまたはH+)がより効率的にポリアルキレングリコール分子の酸素原子(O)と水素結合(―OH…O―)することができる。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記トリカルボン酸は、クエン酸であることが望ましい。
このような構成によれば、トリカルボン酸の中でも特に発塵抑制効果の高いクエン酸を採用することにより、より高い発塵抑制能が得られる。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記排尿処理材基材は、
(A)天然のベントナイト、または該ベントナイトを原料とし、アルカリ成分を含んだ活性ベントナイトからなる粘土質系原料、
(B)おから、パルプ、木粉等の植物由来のセルロース質系原料、
の(A)と(B)のいずれかまたは双方の原料を含むことが望ましい。
このような排尿処理材基材を用いれば、本発明に係る発塵抑制剤による発塵抑制効果が高く、発塵抑制機能に優れたペット用排尿処理材が得られる。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記発塵抑制剤は、前記ポリアルキレングリコールを15〜45重量パーセントの濃度で、前記クエン酸を15〜70重量パーセントの濃度で、且つ、前記ポリアルキレングリコールと前記クエン酸を重量比で2:1乃至1:4の割合で含有しており、
前記排尿処理材基材が、(A)天然のベントナイト、または該ベントナイトを原料とし、アルカリ成分を含んだ活性ベントナイトからなる粘土質系原料である場合には前記排尿処理材基材100重量部に対して0.1〜1重量部の範囲で用いられ、
前記排尿処理材基材が(B)おから、パルプ、木粉等の植物由来のセルロース質系原料である場合には、前記排尿処理材基材100重量部に対して0.1重量部以上の範囲で用いられることが望ましい。
このような構成によれば、発塵抑制剤中の各成分の配合割合が適切な範囲であり、また排尿処理材基材に対する使用量も適切な範囲であるため、優れた発塵抑制能が得られることに加えて、ペット用排尿処理材としての機能も損なわれず好ましい。
また、本願発明は、ペット用排尿処理材用の発塵抑制剤に関する発明としても捉えることができる。
本発明に係るペット用排尿処理材用の発塵抑制剤は、ペット用排尿処理材基材に用いられるものであって、100重量部あたり、ポリアルキレングリコールを15〜45重量パーセントの濃度で、カルボン酸を15〜70重量パーセントの濃度で、且つ、前記ポリアルキレングリコールと前記カルボン酸を重量比で2:1乃至1:4の割合で含有し、前記カルボン酸はジカルボン酸、又はトリカルボン酸であり、前記ペット用排尿処理材基材100重量部に対して0.1重量部以上用いられることを特徴とする。
このような構成の発塵抑制剤で排尿処理材基材の表面処理を行うことで、完成品であるペット用排尿処理材に発塵抑制能を付与することができ、搬送等によりペット用排尿処理材に衝撃が与えられた場合であっても発塵抑制能が低下しにくい。
また、本願発明は、ペット用排尿処理材の製造方法としても捉えることができる。
本発明に係るペット用排尿処理材の製造方法は、
排尿処理材基材を用意するステップと、
発塵抑制剤を用意するステップと、
前記排尿処理材基材の表面を前記発塵抑制剤で表面処理するステップを有し、
前記排尿処理材基材は、
(A)天然のベントナイト、または該ベントナイトを原料とし、アルカリ成分を含んだ活性ベントナイトからなる粘土質系原料、
(B)おから、パルプ、木粉等の植物由来のセルロース質系原料、
の(A)と(B)のいずれかまたは双方の原料を含むものであり、
前記発塵抑制剤は、少なくとも、ポリアルキレングリコールと、カルボン酸とを含み、
前記カルボン酸はジカルボン酸、若しくはトリカルボン酸であることを特徴とする。
そして、このような構成によれば、優れた発塵抑制能を有するペット用排尿処理材を効率的に製造することができる。
本発明のペット用排尿処理材は、優れた発塵抑制能を有し、搬送等により衝撃を受けた場合でも発塵抑制能が低下しにくいものである。また、ポリアルキレングリコールとカルボン酸の配合割合を適切な範囲とすることで、優れた発塵抑制能に加え、ペット用排尿処理材としての性能も優れたものとなる。
ペット用排尿処理材の一実施形態を示す図である。 ポリアルキレングリコールとカルボン酸の構造の一例を示す図である。 本発明の係る発塵抑制剤の作用機序を示す概念図である。 実施例1における発塵量の比較結果を示すグラフ(その1)である。 衝撃試験による発塵量の変化を示すグラフである。 実施例1における固化性試験の結果を示す図(その1)である。 実施例1における発塵量の比較結果を示すグラフ(その2)である。 実施例1における発塵量及び発塵抑制率を示すグラフである。 実施例1における固化性試験の結果を示す図(その2)である。 実施例1における固化性試験の結果を示す図(その3)である。 実施例及び比較例の配合割合を示す図表(その1)である。 実施例2における発塵量及び発塵抑制率を示すグラフである。 実施例及び比較例の配合割合を示す図表(その2)である。 実施例3における発塵量及び発塵抑制率を示すグラフである。 実施例4における発塵量及び発塵抑制率を示すグラフである。
以下において、本発明に係るペット用排尿処理材の好適な実施形態を詳細に説明する。
先にも述べたように、本発明に係るペット用排尿処理材は、排尿処理材用基材を発塵抑制剤で表面処理してなるものである。
[発塵抑制剤]
先ずはじめに、発塵抑制剤について説明を行う。本発明において用いる発塵抑制剤は、少なくとも、ポリアルキレングリコールと、カルボン酸とを含むものである。
本発明で用いることができるポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。その中でもポリエチレングリコール(以降、PEGと称することがある)が好ましい。ポリエチレングリコールは、水と分離することがなく、発塵抑制剤を吹き付ける際に扱いが容易であることに加え、他のポリアルキレングリコールと比較して、同重量あたりの分子鎖が長くなることも期待できる。また、発明者等が様々な平均分子量のポリエチレングリコールで試験を行ったものの発塵量に大きな差異は認められなかったことから、本発明においてポリエチレングリコールの分子量は発塵量の抑制にほとんど影響しないものと考えられる。
ポリアルキレングリコールの配合量としては、発塵抑制剤100重量部あたり15〜45重量部の範囲で用いることが好ましく、25〜35重量部の範囲であればより好ましい。ポリアルキレングリコールを上述の範囲で配合することで、カルボン酸と結合しやすくなり、ポリアルキレングリコールとカルボン酸の複合体が形成されやすくなることが期待できる。
次に、本発明で用いることができるカルボン酸としては、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、マレイン酸、シュウ酸、アコニット酸等が挙げられ、その中でもトリカルボン酸でありより多くのポリアルキレングリコールと結合することが期待できるという理由からクエン酸、アコニット酸が好ましい。
本発明者等の検証によれば、カルボン酸であってもすべてのカルボン酸がポリアルキレングリコールと併用した際に高い発塵抑制能に寄与するわけではなく、むしろ一部のカルボン酸については発塵抑制剤を使用しなかった場合よりも発塵量を増加させることもある。このような差異は、カルボン酸の価数の違いに起因するものではないかと考えられる。
例えばモノカルボン酸である酢酸はポリアルキレングリコールと併用しても発塵抑制能が得られず、むしろ発塵抑制剤を使用しなかった場合よりも発塵量が増加する場合もある。これは、分子が小さいモノカルボン酸をポリアルキレングリコールと併用した場合にはモノカルボン酸が網目の補強に寄与しないのみならず、乾燥後に何らかの理由で粒状物の表層部分が剥離し易くなって粉塵の増加に繋がっているのではないかと推測される。
一方、ジカルボン酸とポリアルキレングリコールを併用した場合には、用いるカルボン酸によって多少の差異はあるものの、ポリアルキレングリコール単体使用と同程度かカルボン酸の種類によってはポリアルキレングリコールの単体使用よりもやや優れた発塵抑制能が得られる。
更に、トリカルボン酸とポリアルキレングリコールを併用した場合には、ポリアルキレングリコール単体使用よりも高い発塵抑制能が得られる。これは一分子あたりに3つのカルボキシ基を持つことによりポリアルキレングリコールとより複雑に絡まり、発塵を抑制するためであると考えられる。
本発明においてカルボン酸の配合量としては、発塵抑制剤100重量部あたり15〜70重量部の範囲で用いることが好ましく、30〜45重量部の範囲であればより好ましい。該カルボン酸を上述の範囲で配合することで、ポリアルキレングリコールと結合しやすくなり、ポリアルキレングリコールとカルボン酸の複合体が形成されやすくなることが期待できる。
また、本発明において発塵抑制剤の添加は、発塵抑制剤を排尿処理材基材の原料に練り込むよりも、排尿処理材基剤の表面に吹き付ける等の発塵抑制剤を排尿処理材基材の表面に偏在させることが出来る方法で行うことが好ましい。
[排尿処理材用基材]
次に、排尿処理材用基材について説明を行う。本発明のペット用排尿処理材に用いる排尿処理材基材としては、発塵のおそれがある様々なタイプの排尿処理材基材を用いることができ、具体的には、(A)天然のベントナイト、または該ベントナイトを原料とし、アルカリ成分を含んだ活性ベントナイトからなる粘土質系原料、(B)おから、パルプ、木粉等の植物由来のセルロース質系原料、等の原料を成型して得られた排尿処理材基材を用いることができる。
また、原料として粘土質系原料を用いる場合には、天然のベントナイト、または該ベントナイトをアルカリ処理した活性ベントナイトからなるものが用いられる。該粘土質原料を構成する天然ベントナイトや活性ベントナイトは、天然原料から製せられたものであることと、敢えて吸水性や凝集固化性をより発現できるといった面からも、おのずと天然のCa型スメクタイトを原料とすることが多く、またその方が好ましいことが多い。ここでCa型スメクタイトとは、一般的にスメクタイト系粘土鉱床の中位層に存在する粘土鉱物であり、スメクタイト構造の層間に交換性陽イオンであるCaイオン、Mgイオン等が多く存在している粘土のことである。この様なCa型スメクタイトを主原料とする排尿処理材基材は、吸水性や凝集固化性といった性質に優れている反面、脆く欠けやすいという問題がある。本発明の発塵抑制剤で表面処理を行うことで、このような脆い原材料からなる排尿処理材基材であっても発塵を抑制することができる。
粘土質系原料を採用する場合のペット用排尿処理材の形状の一実施形態が図1に示されている。この例においてペット用排尿処理材は、断面の直径R1は2〜4mm、長さR2は4〜7mmである。
次に、本発明に係るペット用排尿処理材の製造方法の一例について説明する。発塵抑制剤については、ポリアルキレングリコールとしてポリエチレングリコール、カルボン酸としてクエン酸を用い、水100gに対して、ポリエチレングリコール100gとクエン酸50〜100gを加えて70℃程度で加熱しながら混合し、ポリエチレングリコールとクエン酸が水に溶解して均一になった時点で発塵抑制剤が得られる。得られた液状の発塵抑制剤を排尿処理材基材の表面に吹き付けることで、本発明に係るペット用排尿処理材が得られる。
ペット用排尿処理材の吹き付け量としては、排尿処理材基材が粘土質系原料である場合には排尿処理材基材100重量部に対して発塵抑制剤溶液を0.1〜1gの範囲で用いることが好ましく、排尿処理材基材が植物由来のセルロース質系原料である場合には排尿処理材基材100重量部に対して発塵抑制剤溶液を0.1重量部以上の範囲で用いることが好ましい。これは、粘土質系原料の排尿処理材の場合、固化性が重要視されている為、固化性を阻害しない範囲での使用が好ましい。その反面、植物由来のセルロース質系原料は粘土質系原料ほど固化性が重要視されていなかったり、元々固化性を有していないものが一般的であり、吹き付け量が増えた場合でも固化性等への影響がほとんど見られない為、吹き付け量を増やして発塵抑制効果を持たせることが可能である。なお、ここでいう吹き付け量には水分の重量も含まれる。
[表面処理の工程について]
次に、本発明において、排尿処理材基材を発塵抑制剤で表面処理する工程について説明する。発塵抑制剤による表面処理としては、排尿処理材基材に液状の発塵抑制剤を吹き付けてのち、ケースに入れて振り混ぜる、等の一般的な塗工方法を適宜用いることができるが、排尿処理材基材の表面に発塵抑制剤を満遍なく付着させるという観点から、容器に入れた排尿処理材基材全体を振り混ぜながら、其処へ液状の発塵抑制剤を滴下し、または吹き付けて、必要に応じて適当な容器に移し入れて振動乃至回転により均質に処理する方法が好ましい。一例としては、所定の容器に入れた排尿処理材基材を振り混ぜながら所定量の発塵抑制剤の混合液を滴加し、密閉した後に、該容器をすばやく回転架台に乗せて約30〜200rpm程度の回転速度で30秒〜5分程度回転させることで、排尿処理材基材の表面を適量の発塵抑制剤で塗工することが出来る。
次に、本発明に係る発塵抑制剤の作用機序を図2〜図3を参照して説明する。図2(a)にはクエン酸の構造式が、図2(b)にはポリエチレングリコールの構造式がそれぞれ示されている。また、図3(a)にはポリエチレングリコールのみで表面処理を行った場合の模式図が、図3(b)ポリエチレングリコールとクエン酸を併用した発塵抑制剤で表面処理を行った場合の模式図が示されている。なお、図3において折線で表されているのはポリエチレングリコール、灰色の三角形で表されているのはクエン酸である。
図3(a)のように排尿処理材基材の表面にポリアルキレングリコールで表面処理を施すことで発塵が抑制されるのは、ポリアルキレングリコールが排尿処理材基材の表面を編み目のように覆うことで粉落ちがある程度抑制されるからだと考えられる。その一方で、この状態のペット用排尿処理材に衝撃が与えられるなどして排尿処理材基材自体が欠けた場合には、ポリアルキレングリコール単体では保持力が十分ではないため発塵が抑えきれなかったり、表面が剥離することでより直接的に発塵抑制能が低下したりする。
一方、本発明に係る発塵抑制剤は、本願発明者等の知見によれば、ポリアルキレングリコールとカルボン酸を併用して加熱することで、一例として、ポリアルキレングリコールのヒドロキシ基とカルボン酸のカルボキシ基が水素結合を、場合によってはエステル結合を行い、この発塵抑制剤で排尿処理材基材に表面処理を施すことで、図3(b)に示されるような状態になるものと推測される。カルボン酸とポリアルキレングリコールが結合または会合することでポリアルキレングリコール単体の場合と比べてより密に排尿処理材基材の表面が覆われ、衝撃が与えられて欠けが生じた場合でも発塵抑制剤により保持されるものと考えられる。
先にも述べたように、本発明に係るペット用排尿処理材は、製造直後の発塵量が少ないことに加えて、衝撃を与えた後の発塵抑制能の低下も少ないことを特徴とするものである。これら双方を評価するために、本発明においては発塵量と発塵量の変化量とを見ることとした。
本発明において、発塵量の測定方法については後述するが、発塵量が100cpm以下であれば、殆どの人に粉塵の発生が感じられず、発塵量が100〜300cpm程度であれば、殆どの人にとって粉塵が気にならないレベルであり、発塵量が300〜500cpm程度であれば、多少の粉塵が感じられるレベルである。従って、本発明においては、ペット用排尿処理材の発塵量は300cpm以下であることが好ましく、100cpm以下であればより好ましい。一般的なサイズのペット用トイレを使用している場合には、ペット用排尿処理材の1回あたりの補充量は100〜250g程度が一般的であるから、1kg当たりの発塵量が400cpm以下であれば補充時の発塵量は100cpm以下となり、殆どの人に粉塵の発生が感じられないレベルであると考えられる。
本発明において、発塵抑制剤は、粘土質系原料である場合には排尿処理材基材100重量部に対して0.1〜1重量部の範囲で用いることが好ましく、0.2〜1重量部の範囲であればより好ましい。上述の範囲で発塵抑制剤を用いることで、ペット用排尿処理材としての吸尿固化性等は損なわれずに、十分な発塵抑制能が得られる。
一方、排尿処理材基材が植物のセルロース質系原料である場合には排尿処理材基材100重量部に対して発塵抑制剤溶液を0.1重量部以上の範囲で用いることが好ましく、0.1〜2重量部の範囲であればより好ましい。これは、植物由来のセルロース質系原料は嵩比重が軽く、排尿処理材基材100重量部での容積が大きくなってしまう為に十分な効果を得るには粘土質系原料よりも多めに吹き付けることが好ましいためである。
[ペット用排尿処理材として基本性能]
先にも述べたように本発明に係るペット用排尿処理材は発塵抑制を主目的としたものであるが、その一方で吸水能(吸尿能)、固化強度、といったペット用排尿処理材としての基本的な性能も満たすように構成されている。
ここでペット用排尿処理材の固化強度とは吸尿後の固化塊状物の強度を意味し、固化強度が高ければ吸尿後に固化塊状物を取り除くときに自壊したりせず、またこの際に誤って床等に取り落としてもそのままの形状が維持されるため、吸尿後の固化塊状物を衛生的に取り除ける。更に、ペット用排尿処理材の吸水能が高ければ、少ない量のペット用排尿処理材で速やかに尿を吸収することができるため下方に流れにくいことに加え、1回あたりの使用量が減り経済的にも好ましい。
以下において本発明の実施例について述べるが、本発明は以下の構成に限定されるものではない。
[排尿処理材基材の製造]
新潟県新発田市所在のサブベントナイト鉱床から採掘したジオクタヘドラル型スメクタイト系粘土を原料とし、必要に応じて水を添加し、水分含有率が33%の粗砕物を得た。150℃乾物換算で10kgの該粗砕物と活性ベントナイト化剤の炭酸ナトリウム粉末をNaCOとして300g(=5.7当量)を同一ポリエチレン製袋に入れてよく振り混ぜてから、孔径10mmの成形板の付いた単軸式横型押出造粒機に3回かけて混合・捏和する。該粗造粒物を孔径3mmの成形板の付いたデスクペレッター(回転ロール式縦型押出造粒機)を用いて造粒し、回転式小型乾燥炉により170℃で乾燥し、解砕機と篩分機にかけて自己接着性を有する排尿処理材基材を得た。
[発塵抑制剤の製造]
水100gに対して、ポリアルキレングリコールとしてポリエチレングリコール100g(三洋化成工業株式会社製:業務用ポリエチレングリコール−4000s)、カルボン酸としてクエン酸100g(富士フィルム和光純薬株式会社 和光特級 くえん酸)を加え、70℃程度まで加熱しながら混合することで液状の発塵抑制剤が得られた。
[ペット用排尿処理材の製造]
内容積が約3000mLのプラスチック製ネジ蓋付広口ポット(円筒型容器)に排尿処理材基材を1kg入れ、全体を振り混ぜながら、発塵抑制剤溶液1.78gを滴加した後、すばやくポットミル回転架台に載せて回転速度100rpmで1分間回転させることによって実施例1−1に係るペット用排尿処理材が得られた。
次に、実施例1−1において一部の配合を変更することで、実施例1−2〜1−5、及び比較例1−5に係るペット用排尿処理材を得た。これらに係る配合割合は図11(a)に示されている。
[発塵量の測定:1分後測定]
各実施例及び比較例によるペット用排尿処理材について、発塵抑制剤を吹き付けた後一晩以上放置して発塵抑制剤を馴染ませたものを3kgを用意して試料とする。内部に円形平底のバットを設置し、粉塵計と連結させた高さ約45cm、縦約35cm、横約35cmの、木製の自製粉塵測定用準密閉容器と、底部に直径5cmの手動開閉式円孔を設けた丸底型容器とを用意し、丸底型容器に試料1kgを移し入れ、自製粉塵測定用準密閉容器内で丸底型容器の底部円孔を開いて試料全量を円形平底のバットまで30〜40cmの距離を自然落下させた後、自製粉塵測定用準密閉容器を閉じる。そのまま1分間静置後、粉塵計(光散乱方式、デジタル粉塵測定機LD−5D、柴田科学(株)製)にて自製粉塵測定用準密閉容器内部の雰囲気を1分間吸引して得られた粉塵量(単位:cpm)を測定する。この測定を3回行い、その平均値を発塵量(cpm)とした。なお、ここでの粉塵量は厳密には粉塵質の散乱光量(cpm値)を表したものであるが、粉塵質の散乱光量は空気中に浮遊している粉塵濃度(mg/m3)に比例するものであることから、これをもって各試料の発塵性を表す発塵量(cpm/kg)とした。なお、後述の「直後測定」では落下後の1分間静置を行わずに即座に粉塵量の測定を行う。
[発塵抑制率]
各実施例及び比較例のペット用排尿処理材による発塵量が、ブランク試料に相当する比較例1−5の発塵量と比べてどの程度減少しているかを表す発塵抑制率I(%)は以下の式で示される。なお、ここで、DXは対象となる試料の発塵量、DBは未処理物(比較例5)の発塵量を示す。
I=(DB−DX/DB)×100 ・・・式(1)
即ち、上記式(1)により得られる発塵抑制率が発塵抑制の割合を示し、Iが60であれば、未処理時の発塵量のうち60%が抑制されており当該試料の発塵量は未処理物発塵量DBの40%の値であることを意味する。
[衝撃試験]
各実施例及び比較例に係るペット用排尿処理材を試料とし、それぞれ3kgずつ市販のポリエチレン袋(縦280mm×横200mm×厚み0.04mm)に入れ、ポリエチレン袋の口を手で押さえて袋中のペット用排尿処理材がすべて満遍なく擦り合い移動するように袋を1回転させ、これを1回転衝撃とする。それぞれの試料について、回転衝撃開始前に前述の方法で発塵量の測定を行ってから試料をポリエチレン袋に入れる。その後、回転衝撃回数10回で試料1kgを取り出して同様に発塵量の測定を行い、測定後に試料をポリエチレン袋に戻して更に回転衝撃を行い、合計回転衝撃回数10回、45回、130回、315回でそれぞれ試料の取り出しと発塵量の測定を行った。
[疑似尿水溶液の調製]
出願人は、ペット用排尿処理材の猫尿に対する挙動を試験するために猫尿中の電解質成分を模した疑似尿水溶液を先に考案しており、このような疑似尿水溶液は次の手順で作成される。5Lのビーカーに2kgの脱イオン水を入れ、撹拌しながら、各々別々に秤取した以下の7種の試薬を順次加え入れて溶解する。
1_CaCl2・2H2O(=147.01;≧99%):0.22g
2_MgCl2・6H2O(=203.30;≧97%):2.83g
3_KCl(=74.55;≧99%):27.11g
4_NaCl(=58.44;≧99%):3.54g
5_Na2SO4(=142.04;≧99%):17.22g
6_NaHCO3(=84.01;≧99.5%):17.73g
7_NaH2PO4・2H2O(=155.99;≧99%):37.82g
次いで、更に脱イオン水を加えて全量を3kgとなし、さらに撹拌して均質な溶液とすることで、疑似尿水溶液を得た。得られた疑似尿水溶液のpHを測定すると、pH:6.0〜6.5(20〜30℃)であった。
[固化性試験]
500mlビーカーに各ペット用排尿処理材試料を充填して摺り切った後、1%食塩水20ml、若しくは疑似尿水溶液20mlを、充填層上面より1cmの高さからシリンジで10秒間かけて滴下する。そのまま30分静置した後に、充填層からペット用排尿処理材の吸水固化物を取り出して、その固化形状や固化長(注下方向に対する固化物の長さ)などを目視と写真撮影をして、固化性に関する適性について観察を行う。本試験においては、固化物の取り出しにおいて崩壊したりせず、吸水性に優れて固化長が短いものは固化性に優れていると判断される。一方、吸水性に劣ることで固化長が長くなり容器の底部にまで達するようなものは固化性に劣ると判断される。
[比較試験1:従来例との比較]
始めに、従来の発塵抑制剤と本発明に係る発塵抑制剤の効果を比べるために発塵量と固化性能の比較試験を行った。図4には実施例1における発塵量の比較結果を示すグラフ(その1)が、図5には衝撃試験による発塵量の比較結果を示すグラフが、図6には実施例1における固化性試験の結果(その1)が、それぞれ示されている。
実施例1−1,1−2、比較例1−1,1−5について発塵量の測定を行ったところ、図4に示されるように、実施例1は482ppm、実施例2は579ppm、比較例1は759ppm、比較例5は970ppmであった。ポリエチレングリコール単体を発塵抑制剤として使用した比較例1は従来例に相当するが、比較例1−1はブランク試料である比較例5と比べて発塵量が約22%減少したのに対して、本発明に係る実施例1−1,1−2はそれぞれ50%減少、40%減少と発塵抑制能が大きく向上している。実施例1−1,1−2のいずれも比較例1−1より高い発塵抑制能を示したが、クエン酸の配合量が多い実施例1−1の方がより高い発塵抑制能を有していた。
実施例1−1は比較例1−1よりもポリエチレングリコールの配合量が少ないにも拘わらず、実施例1−1は比較例1−1よりも明確に発塵抑制能が優れている。このことから、ポリアルキレングリコールとカルボン酸を併用することで、ポリアルキレングリコール単体での使用よりも発塵抑制能が向上することが明らかである。
また、実施例1−1、比較例1−1、比較例1−5の試料について衝撃試験を行った結果が図5に示されている。なお、いずれの試料についても撹拌回数が10〜45回の状態での発塵量が初期状態よりも低下しているが、これは静電気の影響により粉塵がポリエチレン袋に残留したことが原因だと考えられる。
発塵抑制剤による処理を行っていない比較例1−5は衝撃が与えられる前の状態でも発塵量が多く、回転衝撃により衝撃が与えられた後はより発塵量が増加している。また、発塵抑制剤としてポリエチレングリコールのみを用いた比較例1−1では、初期状態では比較例1−5よりも発塵量が少ないものの、回転衝撃回数の増加に伴って徐々に発塵量が増加し、回転衝撃回数315回の状態では比較例1−5とほとんど差のない結果となっている。これは、回転衝撃によりペット用排尿処理材が欠けただけではなく、発塵抑制剤で処理された表面部分が剥落するなどして発塵抑制能が損なわれたことによるものと考えられる。一方、ポリエチレングリコールとクエン酸を併用した実施例1−1では、回転衝撃回数45回と130回との間で発塵量にほとんど差が見られず、撹拌回数315回の状態でも比較例1−1,1−5と比べて明確に発塵量が少ない。これは、ポリエチレングリコールとクエン酸を併用することでペット用排尿処理材の表面がより広く強固に保持されたため、衝撃が与えられても剥落する割合が少なかったものと考えられる。
次いで、図6には実施例1−1,1−2、比較例1−1,1−5について固化性試験を行った結果が示されている。ペット用排尿処理材の吸水力が十分であれば、接触した尿をペット用排尿処理材が速やかに吸収するため尿がペット用トイレの下方まで流れず固化物の固化長が短くなる。逆にペット用排尿処理材の吸水力が十分でないと、吸水されなかった尿がどんどんと下方に流れて固化長が長くなり、場合によってはペット用トイレの底面まで到達して衛生面からも好ましくない。図6から明らかなように、本発明に係る実施例1−1,1−2のペット用排尿処理材の固化長は比較例1−1,1−5の固化長と同程度で形状もまとまっており、本発明に係るペット用排尿処理材は吸水力と固化性の点でも優れていることがわかる。
[比較試験2:吹き付け量の検討]
次に、発塵抑制剤の適切な使用量を検討するために、様々な吹き付け量で発塵量と固化性能の比較を行った。図7には実施例1における発塵量の比較結果を示すグラフ(その2)が、図9,10には実施例1における固化性試験の結果(その2,3)が、それぞれ示されている。
実施例1−1,1−3〜1−7、比較例1−1〜1−5について発塵量の測定を行ったところ、図7に示される結果が得られた。先にも述べたようにポリエチレングリコールの配合量が比較例1−1よりも少ない実施例1−1の方が優れた発塵抑制能を有するが、吹き付け量が比較例1−1の1/2量の0.89gである実施例3についても比較例1−1より優れた発塵抑制能を有している。また、吹き付け量が0.45gである比較例1−2についても、比較例1−1に近い発塵抑制能が得られている。このことから、ポリアルキレングリコールとクエン酸を併用することで、ポリアルキレングリコールの単体使用時の半分程度の使用量でも同程度の発塵抑制能が得られることがわかる。
また、吹き付け量を増加させた場合の発塵抑制能の変化については、発塵抑制剤7.12gを吹き付けた実施例1−6までは発塵抑制能の向上が見られたものの、それ以上の吹き付け量では発塵抑制能は頭打ちとなった。
次いで、図9,10には実施例1−1,1−3〜1−7、比較例1−1〜1−5について固化性試験を行った結果が示されている。発塵抑制剤3.56gを吹き付けた実施例1−4までは固化長に大きな違いは見られなかったもののそれ以上の吹き付け量では徐々に固化長が増大し、比較例1−3,1−4では水分がビーカーの底まで到達していた。水分が底まで流れ落ちる比較例1−3,1−4については、固化性の点からペット用排尿処理材として好ましくないと考えられる。比較試験1−2の結果から、活性ベントナイト等からなる粘土質系基材において実用的な発塵抑制剤の吹き付け量の範囲は、ペット用排尿処理材100重量部に対して0.1〜1重量部程度だと考えられる。
[比較試験3:発塵抑制剤濃度の検討]
次に、発塵抑制剤の適切なカルボン酸、ポリエチレングリコール、水の配合割合を検討するために、様々な配合割合で粉塵量の比較を行った。図8には実施例1における発塵量及び発塵抑制率を示すグラフが示されている。
実施例1−8〜1−11、比較例1−1、1−5について発塵量の測定を行ったところ、図8に示される結果が得られた。実施例1−8〜1−11のすべてが、ポリエチレングリコール単体を吹き付けた比較例1−1よりも優れた発塵抑制能を有していた。そのため、発塵抑制剤100重量部あたり、ポリアルキレングリコールは15〜45重量部の範囲で、カルボン酸は15〜70重量部の範囲で好適に用いることができると考えられる。
特に、発塵抑制剤100重量部あたり、ポリエチレングリコールを35重量部、クエン酸を30重量部配合された実施例1−9と発塵抑制剤100重量部あたり、ポリエチレングリコールを25重量部、クエン酸を45重量部配合された実施例1−10は実施例1−8と実施例1−11と比較しても優れた発塵抑制能を有していた。そのため、発塵抑制剤100重量部あたり、ポリアルキレングリコールは25〜35重量部の範囲で、カルボン酸は30〜45重量部の範囲で用いることで、より優れた防塵抑制能を有することが考えられる。
次に、カルボン酸の種類について検討を行う。実施例1−1において一部の配合を変更することで、実施例2−1〜2−6、及び比較例2−1〜2−2に係るペット用排尿処理材が得られた。これらに係る配合割合が図11(b)に、実施例2における発塵量と発塵抑制率を示すグラフが図12に、それぞれ示されている。
図12の結果から明らかなように、PEG+酒石酸(実施例2−2)、PEG+マレイン酸(実施例2−3)、PEG+シュウ酸(実施例2−4)の例ではPEGのみの場合(比較例2−1)と同程度の発塵抑制能が得られ、PEG+クエン酸(実施例2−1)、アコニット酸(実施例2−6)の例ではPEGのみの場合よりも高い発塵抑制能が得られた。その一方で、PEG+酢酸(実施例2−5)の例では発塵抑制剤を添加しなかった比較例2−2よりも発塵量が増加する結果となった。
以上の結果から、ポリアルキレングリコールとカルボン酸を併用しても、カルボン酸の種類によっては十分な発塵抑制能が得られないことがわかった。トリカルボン酸であるクエン酸やアコニット酸とPEGを併用した場合にはPEG単体使用よりも高い発塵抑制能が得られ、ジカルボン酸である酒石酸、マレイン酸、シュウ酸をPEGと併用した場合にはPEG単体と同程度乃至やや高い発塵抑制能が得られ、モノカルボン酸である酢酸とPEGを併用した場合には、発塵抑制剤を使用しない比較例2−2よりも発塵量が増加した。これらの結果から、本発明において発塵抑制剤に用いるカルボン酸としては、トリカルボン酸、及びジカルボン酸が好ましいことがわかった。
次に、植物由来原料であるおから製の基材を用いた場合の発塵抑制効果について検討を行う。なお本実施例で使用したおから製のペット用排尿処理材は、吸尿しても固化せずに使用後にトイレに流す形態のものである。
[ペット用排尿処理材の製造]
おから製ペット用排尿処理材(おからの猫砂グリーン 常陸化工株式会社製)を90℃に設定した乾燥機で一晩乾燥させた後、ペット用排尿処理材1kgに対して所定量の発塵抑制剤(図13(a)参照)を表面に吹き付けることで実施例3−1〜3−6、及び比較例3−1に係るペット用排尿処理材が得られた。これらに係る配合割合が図13(a)に、実施例3における発塵量と発塵抑制率を示すグラフが図14に、それぞれ示されている。
なお実施例3と後述の実施例4においては、発塵量の測定を行う際に前述の「1分後測定」に加えて「直後測定」も行った。これは、おから製の基材やパルプ製の基材を用いた実施例3,4では、粘土製の基材を用いた実施例1,2と比較して粉塵が舞い上がっている時間が短いために、1分間の静置を行うと計測の際には粉塵がほぼ治まっており差が付きにくかったためである。
図14に示された結果から明らかなように、本発明に係る発塵抑制剤を用いることでおから製のペット用排尿処理材についても発塵の抑制効果が得られた。また添加量については、8g(実施例3−3)までは添加量に比例して発塵抑制能も向上するが、それ以降は緩やかな上昇に留まり、16g(実施例3−5)でほぼ頭打ちとなる。なお、発塵量の測定後に1%食塩水20mlと前述の疑似尿水溶液20mlとでそれぞれ吸水性について確認を行ったところ、いずれの水溶液についても2〜20gの全ての添加量で発塵抑制剤を使用しなかった比較例3−1と同等の吸水性が確認された。
次に、廃紙由来である再生パルプを原料とするパルプ製の基材を用いた場合の発塵抑制効果について検討を行う。なお本実施例で使用したパルプ製のペット用排尿処理材は、吸尿後に固化する形態のものである。
[ペット用排尿処理材の製造]
パルプ製ペット用排尿処理材(デオサンド複数ねこ用紙砂 ユニ・チャーム株式会社製)を90℃に設定した乾燥機で一晩乾燥させた後、ペット用排尿処理材1kgに対して所定量の発塵抑制剤(図13(b)参照)を表面に吹き付けることで実施例4−1〜4−6、及び比較例4−1に係るペット用排尿処理材が得られた。これらに係る配合割合が図13(b)に、実施例4における発塵量と発塵抑制率を示すグラフが図15に、それぞれ示されている。またパルプ製ペット用排尿処理材は嵩比重が軽く容器の大きさとの兼ね合いで1kg分の測定が困難であったため、500gでの発塵量を測定した。
図15に示された結果から明らかなように、本発明に係る発塵抑制剤を用いることでパルプ製のペット用排尿処理材についても発塵の抑制効果が得られた。また添加量については、2〜8g(実施例4−1〜4−3)までは発塵抑制能に明確な差異は認められないが、12g(実施例4−4)以上の添加量では徐々に発塵抑制能が向上し、20g(実施例4−6)が最も効果が高かった。なお、発塵量の測定後に1%食塩水20mlと前述の疑似尿水溶液20mlとでそれぞれ吸水性及び固化性について確認を行ったところ、いずれの水溶液についても2〜20gの全ての添加量で発塵抑制剤を使用しなかった比較例4−1と同等の吸水性及び固化性が確認された。
以上説明したように、本発明に係るペット用排尿処理材は、発塵が抑制されながらもペット用排尿処理材に求められる吸水固化性等の性質は損なわれず、従前と同様の効果が期待できるものである。
加えて、搬送などによりペット用排尿処理材に衝撃が与えられた場合であっても発塵抑制能の低下が少なく、優れた発塵抑制能が期待できるものである。

Claims (8)

  1. 排尿処理材基材の表面に表面処理剤としての発塵抑制剤を有するペット用排尿処理材であって、
    前記発塵抑制剤は、少なくとも、ポリアルキレングリコールと、カルボン酸とを含み、
    前記カルボン酸はジカルボン酸、又はトリカルボン酸であることを特徴とする、ペット用排尿処理材。
  2. 前記ポリアルキレングリコールが、ポリエチレングリコールであることを特徴とする、請求項1に記載のペット用排尿処理材。
  3. 前記カルボン酸が、トリカルボン酸であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のペット用排尿処理材。
  4. 前記トリカルボン酸が、クエン酸であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のペット用排尿処理材。
  5. 前記排尿処理材基材は、
    (A)天然のベントナイト、または該ベントナイトを原料とし、アルカリ成分を含んだ活性ベントナイトからなる粘土質系原料、
    (B)おから、パルプ、木粉等の植物由来のセルロース質系原料、
    の(A)と(B)の何れかまたは双方の原料を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のペット用排尿処理材。
  6. 前記発塵抑制剤は、前記ポリアルキレングリコールを15〜45重量パーセントの濃度で、前記クエン酸を15〜70重量パーセントの濃度で、且つ、該ポリアルキレングリコールと該クエン酸を重量比で2:1乃至1:4の割合で含有しており、
    前記排尿処理材基材が(A)天然のベントナイト、または該ベントナイトを原料とし、アルカリ成分を含んだ活性ベントナイトからなる粘土質系原料である場合には、前記排尿処理材基材100重量部に対して0.1〜1重量部の範囲で用いられ、
    前記排尿処理材基材が(B)おから、パルプ、木粉等の植物由来のセルロース質系原料である場合には、前記排尿処理材基材100重量部に対して0.1重量部以上の範囲で用いられることを特徴とする請求項5に記載のペット用排尿処理材。
  7. ペット用排尿処理材基材に用いられる発塵抑制剤であって、ポリアルキレングリコールを15〜45重量パーセントの濃度で、カルボン酸を15〜70重量パーセントの濃度で、且つ、前記ポリアルキレングリコールと前記カルボン酸を重量比で2:1乃至1:4の割合で含有し、前記カルボン酸はジカルボン酸、又はトリカルボン酸であり、前記ペット用排尿処理材基材100重量部に対して0.1重量部以上の範囲で用いられることを特徴とする発塵抑制剤。
  8. 排尿処理材基材を用意するステップと、
    発塵抑制剤を用意するステップと、
    前記排尿処理材基材の表面を前記発塵抑制剤で表面処理するステップを有し、
    前記排尿処理材基材は、
    (A)天然のベントナイト、または該ベントナイトを原料とし、アルカリ成分を含んだ活性ベントナイトからなる粘土質系原料、
    (B)おから、パルプ、木粉等の植物由来のセルロース質系原料、
    の(A)と(B)の何れかまたは双方の原料を含むものであり、
    前記発塵抑制剤は、少なくとも、ポリアルキレングリコールと、カルボン酸とを含み、
    前記カルボン酸はジカルボン酸、又はトリカルボン酸であることを特徴とする、ペット用排尿処理材の製造方法。
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