JP7274285B2 - 動物用排泄物処理剤 - Google Patents
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また、パルプ、木粉、又は紙粉をベントナイトに混合すると、尿と触れた際に尿の吸収速度(以下、「吸尿速度」とも記載する)が低下する傾向や凝集固化物の崩れにくさである凝集性(固化性)が低下する傾向にある。吸尿速度が低下すると、トイレ砂の容器と尿が接触して汚染し、容器から悪臭が生じる原因となり得る。固化性が低下すると、凝集固化物が崩壊して取り除きにくくなる場合がある。加えて、凝集固化物の崩壊により、悪臭が生じる場合がある。
即ち、本発明者らは、下記の〔1〕~〔5〕を提供する。
〔1〕(A1)成分:ベントナイト、(B1)成分:トウモロコシ芯粉、及び(C)成分:結着剤、を含む混合物の成形物である動物用排泄物処理剤。
〔2〕前記成形物が、押出成形物である上記〔1〕に記載の動物用排泄物処理剤。
〔3〕前記(C)成分が、水溶性多糖類及び水溶性セルロースエーテル類からなる群から選択される少なくとも1種である上記〔1〕又は〔2〕に記載の動物用排泄物処理剤。
〔4〕前記混合物が、(A2)成分:ゼオライト、をさらに含む上記〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の動物用排泄物処理剤。
〔5〕前記混合物が、(B2)成分:木粉、をさらに含む上記〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の動物用排泄物処理剤。
なお、本明細書中、「混合物」とは、本発明を構成する各成分が均質ないし略均質に混合された集合物をいう。
本発明の動物用排泄物処理剤は、(A1)成分:ベントナイト、(B1)成分:トウモロコシ芯粉、及び(C)成分:結着剤、を含む混合物の成形物である。
(A1)成分を用いることにより、混合物を成形しやすい。加えて、崩れにくい凝集固化物を形成し得る。(B1)成分を用いることにより、本発明の動物用排泄物処理剤を軽量化し得る。(C)成分を用いることにより、凝集固化物が団子状に固化し得る。そのため、より崩れにくい凝集固化物を形成し得る。加えて、混合物の成形性を向上し得る。
トウモロコシ芯粉は、水を吸収しても膨潤し難い。そのため、本発明の動物用排泄物処理剤の(B1)成分は、尿を吸収した際、(A1)成分や(C)成分の結着作用に干渉しないと推察される。従って、吸尿性に優れ、崩れにくい団子状の凝集固化物を形成する。一方、軽量化を目的としたパルプ等の成分では、水を吸収して膨潤する。そのため、尿を吸収した際、パルプ等の成分が膨潤することにより、(A1)成分や(C)成分の結着作用を阻害する。その結果、吸尿性は低下し、崩れやすい凝集固化物を形成すると推察される。
混合物は、(A1)成分、(B1)成分、及び(C)成分、を含む。(B1)成分を含む混合物とすることで、軽量でありつつ、強固で崩れにくい成形物とし得る。また、上記の推察の通り、崩れにくい凝集固化物を形成する。
また、本発明の動物用排泄物処理剤は、混合物の成形物であり、混合物の押出成形物であることが好ましい。
本発明の動物用排泄物処理剤は混合物の成形物なので、サンプルの任意の部分での各成分の組成は、いずれもサンプル全体の成分の組成とほぼ等しい。そのため、本発明の動物用排泄物処理剤は、コア粒子を他の成分で被覆して製法したものとは明確に異なる。
本明細書中、嵩密度は、後述の実施例の測定方法で測定した値である。
(A1)成分は、ベントナイトである。ベントナイトは、モンモリロナイトを主要成分とする粘土であり、SiO4四面体層-AlO6八面体層-SiO4四面体層から成る三層構造が数枚積層した構造をとる。この三層構造の層間に、K、Na等のアルカリ金属、Ca等のアルカリ土類金属の陽イオン;水素イオン;水素イオンに配位している水分子が存在する。そして、前記層間に存在する陽イオンに水が水和し、膨潤性や固化性を発揮する。このような膨潤性や固化性は、アルカリ金属イオン、特にナトリウムイオンの量が多いほど、高くなる。
(B1)成分は、トウモロコシ芯粉である。トウモロコシ芯粉とは、トウモロコシの実を取った後に残る穂軸を乾燥し、粉砕・整粒したものである。化粧品原料基準外成分規格にもトウモロコシ穂軸粒として収載されている。トウモロコシ芯粉は、通常、洗浄剤等に配合し、スクラブ剤として使用される。このトウモロコシ芯粉は、通常、白色~茶褐色、赤褐色で無臭或いはわずかに特有のにおいを有する粒状物であり、その粒径は所望のものが得られる。
トウモロコシ芯粉の粒径は、対応する目開きの篩により篩い分けることにより測定した値である。
(C)成分としては、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、キサンタンガム、カゼインナトリウム、アラビアゴム、グアガム、タマリンドシードガム等の水溶性多糖類;カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の水溶性セルロースエーテル類;各種でんぷん等が挙げられる。中でも、水溶性多糖類、水溶性セルロースエーテル類が好ましく、グアガム、カルボキシメチルセルロースがより好ましい。
水溶性多糖類と水溶性セルロースエーテル類を組合せて用いると、数ヶ月~数年の長期保存したときでも動物用排泄物処理剤の凝集固化性の低下を抑制することができる。この場合、比率(水溶性多糖類/水溶性セルロースエーテル類)は、3/1~8/1が好ましい。特にグアガムとカルボキシメチルセルロースを組合せて用いことが好ましく、この場合も比率(グアガム/カルボキシメチルセルロース)は、3/1~8/1が好ましい。
なお、本明細書中、「凝集固化性」とは、吸尿性と凝集固化物の固化性の両性質を包括する性質をいう。
本発明の動物用排泄物処理剤は、本発明の効果を阻害しない限り、他の公知の任意成分を使用してもよい。
任意成分としては、香料;活性炭;有機酸等の消臭機能を有する基材;ゼオライト、ケイソウ土、シリカゲル、タルク、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、硫酸アルミニウム、硫酸銅、硝酸銀等の無機材料;紙粉、木粉、パルプ等が挙げられる。中でも、ゼオライト、木粉を用いることが好ましい。
以下、(A)成分の表記は、(A2)成分を使用しない場合は、(A1)成分の含有量のみを意味する。(A2)成分を使用する場合は、(A1)成分と(A2)成分の合計の含有量を意味する。
以下、(B)成分の表記は、(B2)成分を使用しない場合は、(B1)成分の含有量のみを意味する。(B2)成分を使用する場合は、(B1)成分と(B2)成分の合計の含有量を意味する。
本発明の動物用排泄物処理剤中の(A)成分の含有量は、26~49質量%が好ましく、30~45質量%がより好ましく、34~45質量%がさらに好ましい。26質量%以上であると、混合物を成形しやすい。加えて、崩れにくい凝集固化物を形成し得る。49質量%以下であると、軽量化を図り得る。
上記の各成分の混合は、粉体混合で行ってもよく、水等の液体成分を添加して行ってもよい。成形性(ペレットの形を整えやすい)の点で、混合時に水を添加することが好ましい。
嵩密度の値が小さいほど、動物用排泄物処理剤が軽量である。
造粒物の粉化性(重量%)=篩を通過した試料重量/ポットミルに投入した試料重量×100
保持率(重量%)=落とした後の固まりの重量/落とす前の固まりの重量×100
保持率の値が大きいほど、崩れにくい凝集固化物といえる。また、長さは短い方が、吸尿速度が速いといえる。さらに、嵩密度が同程度にも関わらず、固まりの重量が軽いということは、吸尿に要する動物用排泄物処理剤の使用量が少ないこと、即ち吸尿能力に優れることを意味する。
表1に示す組成の実施例1~6及び比較例1~3の動物用排泄物処理剤を調製した。より詳細には、表1に示す配合量の各成分に、水25部を加えた後、リボンミキサーにより混合して混合物を調製した。調製した混合物を押出成形機により押出成形して各動物用排泄物処理剤を調製した。各動物用排泄物処理剤について、上記方法で嵩密度、粉化性試験、及び固化性試験を行った。結果を併せて表1に示す。但し、表1中、各成分の数字は配合量(部)である。
なお、ベントナイトは、粒径200メッシュの天然ベントナイトを使用した。ゼオライトは、粒径200メッシュの天然ゼオライトを使用した。トウモロコシ芯粉は、粒径60メッシュのトウモロコシ芯を使用した。木粉は、杉、松、ポプラのおが屑を使用した。紙粉は、白色紙粉を使用した。
これに対し、比較例1の動物用排泄物処理剤は、嵩密度が0.18g/mLであり、粉化性試験が10.2重量%と、崩れやすい成形物であった。そのため、使用時の飛散による汚れ等が懸念される。また、比較例2,3の動物用排泄物処理剤は、保持率がそれぞれ65.2%、34.3%と、凝集固化物が崩れやすいものであった。
また、比較例2の固化性試験の重量は56.7gであった。一方、同程度の嵩密度の値を有する実施例1、5の固化性試験の重量は、それぞれ33.5g、39.8gであった。即ち、実施例1、5の動物用排泄物処理剤は、比較例2の動物用排泄物処理剤に比べて、吸尿能力に優れるといえる。
Claims (4)
- (A1)成分:ベントナイトであるか、又は(A1)成分:ベントナイト及び(A2)成分:ゼオライトである(A)成分、
(B1)成分:トウモロコシ芯粉及び(B2)成分:木粉である(B)成分、及び
(C)成分:結着剤、を含む混合物の成形物であり、
(A)成分の含有量が26~49質量%であり、
(B)成分の含有量が43~60質量%であり、
(C)成分の含有量が6~10質量%であり、
(B1)成分の含有量の(B2)成分の含有量に対する比率((B1)/(B2))が、5~8である、
動物用排泄物処理剤。 - 前記成形物が、押出成形物である請求項1に記載の動物用排泄物処理剤。
- 前記(C)成分が、水溶性多糖類及び水溶性セルロースエーテル類からなる群から選択される少なくとも1種である請求項1又は2に記載の動物用排泄物処理剤。
- (A)成分が(A1)成分:ベントナイト及び(A2)成分:ゼオライトであり、
(A1)成分の含有量の(A2)成分の含有量に対する比率((A1)/(A2))が、3/2~3/1である、請求項1~3のいずれか1項に記載の動物用排泄物処理剤。
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