JP2017079622A - ペット用排泄物処理材 - Google Patents
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例えば、特許文献1には、トレイを多孔質部材によって上下に区画し、該多孔質部材の上に、いわゆる猫砂を敷設すると共に下方の床面に尿吸収体を敷設して、猫砂と吸尿部材とが混合しないようにしたペットの糞尿処理用床が記載されている。猫砂をその下に配する尿吸収体と分離することで、猫砂の配置部分に尿が滞留して悪臭を放散することを防止できるとともに、猫砂又は尿吸収体のみの交換を可能として経済性も向上させることができる。
本発明のペット用排泄物処理材の製造方法によれば、そのようなペット用排泄物処理材を効率よく製造することができる。
本発明のペット用排泄物処理システムによれば、ペット用排泄物処理材による悪臭の消臭効果が一層確実に奏されるとともに、排泄物の処理に要する手間を一層軽減することができる。
本発明のペット用排泄物処理材(以下、単に排泄物処理材ともいう)は、植物由来の素材の粉砕物、合成樹脂及びワックスを含み、所定の形状に成形された成形物からなる。
排泄物処理材の形状の一例を図1に示す。図1に示す排泄物処理材1は、軸方向の長さが、直径よりもやや大きな円柱状の形状をしている。
従来、木質材料を原料とした粒状の排泄物処理材は、その多くがペレタイザーにより円筒状に成形したものが多かったが、本発明の排泄物処理材は、構成成分として合成樹脂及びワックスを含み、ワックスが液化することにより原料混合物の流動性が向上するため、エクストルーダー等の押し出し成形機による成形を容易に行うことができる。そのため、エクストルーダー等の押し出し成形機の出口に設けたダイ(口金)の出口部分の断面形状を適宜の形状とすることで、ダイから押し出される方向を軸方向とする柱又は筒状の排泄物処理材であって、該軸方向の直交する断面形状が任意の形状の排泄物処理材を容易に製造可能である。筒状の排泄物処理材は、ダイ(口金)にセンターピースを設置することにより製造可能である。
排泄物処理材は、中空としたり、断面形状を非円形、より好ましくは星形にすることで、更に表面積を増すことができ、消臭効果を一層向上させることができる。
また、本発明の排泄物処理材は、空隙率が高いことによって嵩密度が小さくなるため、それ自体や、それを簀の子上に載せたペット用排泄物処理システム等の持ち運びが容易となる。なお、空隙率の上限値を50%以下とした理由は、以下の通りである。例えば猫用に使用した場合、猫は排泄行動の後に自分の排泄物を埋める習性があり、周囲にある排泄物処理材を掻くことがある。この際空隙率が50%を超えていると排泄物処理材の単位体積当たりの重さが軽すぎて飛び散る量が多くなるためである。
また排泄物処理材は、中空としたり、断面形状を非円形、より好ましくは星形にすることで、更に表面積を増すことができ、消臭効果を一層向上させることができる。
本発明の排泄物処理材は、液と接触した後にも崩壊しない程度の十分な保形性を有するため、吸尿や液と接触した後においても吸尿前の形態がほぼ維持される。そのため、崩壊する排泄物処理材に比べて、その取り替えが容易になる。また、吸尿の度に取り替える必要が無いので経済的である。更に、排泄物処理材は、吸水性が低いので、その表面に尿が残存しにくく悪臭の発生を防ぐことができる。
底面に目開2.8mmのネットを配した直径80mm、高さ100mmの円筒内に前記成形物を70g入れ、その質量を測定する。該成形物を該円筒ごと25℃±3℃の水に5秒間浸漬させる。水から引き上げた後、前記成形物を前記円筒ごと吸収シート〔キムタオル(商品名、クレシア社製、坪量30g/m2)〕の上に20秒間載置する。次いで、別に用意された前記円筒と同型の円筒に前記成形物を移し替え、この移し替えの操作を交互に合計で50回繰り返す。この操作中に生じる微粉を採集し該微粉を105℃で30分乾燥させた後その質量を測定する。測定された質量(g)を70で除し、更に100を乗じた値を排泄物処理材の微粉生成率(%)とする。また、前記成形物を前記円筒ごと前記吸収シートに20秒間載置した後、濡れた前記成形物の入った前記円筒の質量を測定する。測定された質量から、水に浸漬させる前に予め測定しておいた前記成形物及び前記円筒の合計質量を差し引き、前記成形物の吸水量を求める。該吸水量(g)を70で除し、更に100を乗じた値を排泄物処理材の吸水率(%)とする。
排泄物処理材の構成材料の一つである植物由来の素材としては、木本及び草本の何れを用いることもできる。これらの粉砕物としては、例えば木本の粉砕物(木質又は樹皮の粉砕物)、種子油残査、穀物外皮粉砕物、草本粉砕物などが挙げられる。特に、成形性および消臭効果の点から、木本の粉砕物、特にスギ科、マツ科又はヒノキ科などの針葉樹の粉砕物を用いることが好ましい。粉砕物の大きさは、0.01mm以上2mm以下、特に0.05mm以上1mm以下であることが好ましい。
本発明における合成樹脂は、併用するワックスよりも融点が高く、常温(25℃)で蝋状ではない固体である。
天然系ワックスとしては、石油由来ワックス、鉱物系ワックス、植物系ワックス、動物系ワックスが代表的である。石油由来ワックスとしては、パラフィンワックス(融点が40〜70℃程度)、マイクロクリスタリンワックス(融点が60〜90℃)等が挙げられる。鉱物系ワックスとしては、モンタンワックス等が挙げられる。植物系ワックスとしては、カルバナワックス、木蝋等が挙げられ、動物系ワックスとしては、蜜蝋(ビーズワックス)等が挙げられる。
合成樹脂系ワックスとしては、ポリエチレンワックスや、ポリプロピレンワックスが挙げられる。
これらのワックスは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのワックスのなかでも、安価で容易に入手可能なことから天然系ワックスを用いることが好ましく、特にパラフィンワックス、又はマイクロクリスタリンワックスを用いることが好ましい。
また、合成樹脂とワックスとの配合比(前者:後者)は質量比で、1:3〜3:1であることが好ましく、2:3〜3:2であることが更に好ましい。
エクストルーダー23を用いて排泄物処理材を製造する場合、合成樹脂としては、メルトフローレート(以下、MFRという)が、2〜200g/10分、特に10〜100g/10分のものを用いることが、エクストルーダー23により成形する際に成形体に表面荒れが生じないようにする観点から、好ましい。MFRは、190℃のMFRであり、JIS K7210−1999(ISO1133−1997)に従い測定される。
また合成樹脂は、疎水性のものを用いることが好ましい。
ワックスの融点は、排泄物処理材の液接触後の保形性を高める観点から、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上であり、またエクストルーダー等の押し出し成形時に、原料混合物の流動性を高めて成形性を向上させる観点から、好ましくは90℃以下、より好ましくは80℃以下である。このような観点から、ワックスの融点は、好ましくは40℃以上90℃以下、より好ましくは50℃以上80℃以下である。融点は、DSC法による吸熱ピークの温度である。
(1)バレル温度は、木粉、バインダー及びワックス等の原材料に、互いが均一に混合混練され、流動性を高める必要があることから、バインダー及びワックスの融点より高いことと、木粉等の焦げ等により褐変しないこととから、80〜130℃程度が望ましい。
(2)この際のバレル先端圧力は、木粉の空隙構造をなるべく維持したまま押出し軸に垂直な断面形状を所望の形状に固定するため、0.5〜4.0MPa程度が望ましい。バレル先端圧力がこの範囲に保たれるように、単位時間当たりの原料供給量と押出し量とをフィードスクリューやメインスクリュー回転数及びダイスの押出し軸に垂直な断面の面積や形状で調整する。
また、本発明の排泄物処理材は、特に猫用の排泄物処理材として有用であるが、これ以外のペット、例えば犬等の小動物用の排泄物処理材として用いることもできる。
〔実施例1〜3及び比較例1〜6〕
植物由来の素材の粉砕物としての唐松の大鋸屑、合成樹脂及びパラフィンワックスを、表1又は表2に示す割合で混合し、エクストルーダー(押し出し口:直径6mmの円形)を用いて円柱状の成形物(排泄物処理材)を成形した。実施例1〜3及び比較例1〜5においては、エクストルーダーの温度は70〜100℃とし、エクストルーダーのバレル先端部における圧力は1MPaとした。なお、比較例6については、エクストルーダーに代えて、ペレタイザーを用いて成形した。
合成樹脂としては、MFRが異なる下記の2種類を用いた。
合成樹脂A:粉末エチレン酢酸ビニルコポリマー(日本ユニカー社製PES410、粒径20メッシュパス、MFR2.2)
合成樹脂B:エチレンエチルアクリレートコポリマー(日本ユニカー社製NUC6070、MFR250)
パラフィンワックスとしては、融点が異なる下記の2種類を用いた。
パラフィン140F:日本精蝋社製、融点61℃
パラフィン115F:日本精蝋社製、融点47℃
容器内径85mm、容器内側の高さ176mm(容積1リットル)のステンレス製容器に排泄物処理材成形体を溢れるまで入れ、擦り切った後に重さを測定し、ステンレス製容器のみの重さを差引して排泄物処理材成形体のみの重さを計算した。この重さとステンレス製容器の容量から嵩密度を計算した。
空隙率は、排泄物処理材の見掛け密度と真密度を求め、以下の式から求めた。
空隙率(%)=〔1−(見掛け密度/真密度)〕 ×100
見掛け密度は、排泄物処理材の質量と水中置換法で求めた体積から求め、真密度は、原材料の密度と配合割合から計算した。
具体的には、見掛け密度は、サンプラテック製1000mlメスシリンダーに25℃の水を約300ml入れ、小数点以下1桁まで読み取った後に排泄物処理材約70gを電子天秤で小数点以下1桁まで測定し、メスシリンダーに静かに入れ、その後メスシリンダー内の水の体積を小数点以下1桁まで読み取り、排泄物処理材を入れる前の体積を差引きして排泄物処理材の見掛け体積とした。あらかじめ測定した重量をこの見掛け体積で除して見掛け密度を計算した。原材料の密度は、木粉では一般的に使われている1.5g/cm3を用い、合成樹脂とワックスはメーカーによる測定値を用いた。
実施例1〜3、比較例3,4及び6で得られた成形物を、図1に示すペット用排泄物処理システム10における猫砂として用い、その消臭性能を以下の方法で評価した。結果を表1及び表2に併せて示した。尚、ペット用排泄物処理システム10における尿吸収体3としては、パルプを主体とする汚液吸収基材に、抗菌性を有する界面活性剤と、バインダーと、水とを混合して得られた混合物を成形してなるものを用いた。具体的には、尿吸収体3は、木質ファイバー成形体:〔配合組成(質量比):グラウンドパルプ:コーンスターチ:水=100:10:70〕に、両性界面活性剤(「アンヒトール20N」花王(株)社製)を0.2質量%(対木質ファイバー成形体)混合し、板状に成形した後、熱プレス処理を施し予備的に脱水させ、次いで乾燥機で乾燥させて製造した。
3人のモニターを使い、使用期間は1週間とした。使用期間中における尿臭の強さを以下の5段階で官能評価し、これらの平均値を消臭効果(悪臭抑消)の尺度とした。
〔評価基準〕
1:全く臭わない
2:かすかに臭う
3:明らかに臭う
4:やや強く臭う
5:強く臭う
数値は、その値が小さいほど、消臭効果が高いことを示す。
実施例1〜3、比較例3,4及び6で得られた成形物について、液接触後の保形性を、前述した微粉生成率を測定して評価した。これらの結果を表1及び表2に併せて示した。
2 トレー
3 尿吸収体
4 簀の子
10 ペット用排泄物処理システム
23 エクストルーダー(押し出し機)
25 スクリュー
Claims (7)
- 植物由来の素材の粉砕物を50〜80質量%、合成樹脂を10〜40質量%、及びワックスを10〜40質量%含み、所定の形状の成形物からなり、空隙率が30〜50%である、ペット用排泄物処理材。
- 前記成形物の断面形状が非円形である、請求項1記載のペット用排泄物処理材
- 前記成形物の嵩密度が、0.1〜0.6g/cm3である、請求項1又は2記載のペット用排泄物処理材
- 請求項1記載のペット用排泄物処理材の製造方法であって、
植物由来の素材の粉砕物50〜80質量%、合成樹脂10〜40質量%及びワックス10〜40質量%を含む混合物を、押し出し機を用いて所定形状に成形するペット用排泄物処理材の製造方法。 - 前記合成樹脂としてメルトフローレート(MFR)が2〜100g/10分のものを用いる、請求項4記載のペット用排泄物処理材の製造方法。
- 前記ワックスとして融点が50〜70℃のものを用いる、請求項4又は5記載のペット用排泄物処理材の製造方法。
- 簀の子と、該簀の子の下方に敷設される板状又はシート状の尿吸収体と、該簀の子上に敷設される請求項1記載のペット用排泄物処理材とを有するペット用排泄物処理システム。
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