JP5824496B2 - 低発塵性ペット用排尿処理材 - Google Patents

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本発明はペット用排尿処理材に関するものであり、より詳細には、発塵抑制能に優れ、特に経時により発塵抑制能が劣化しにくい低発塵性ペット用排尿処理材とその製造方法に関する。
従前から、ペットの排尿処理に用いられるペット用排尿処理材(猫砂、トイレ砂等とも呼ばれる)というものが知られており、これは排尿用トレイ等のペット用トイレ容器に敷き詰められて使用されるものである。このようなペット用排尿処理材が敷き詰められたトイレでペットが排尿すると尿は排尿処理材に吸収され、飼い主は尿を吸収した使用済み箇所のみをスコップ等で取り除いて減った分を順次補って使用される。ペット用排尿処理材の原材料や構成は商品毎に多種多様であるが、代表的なものとしては、粘土原料のもの、木材原料のもの、紙原料のもの、などがあり、必要とされる性質としては、吸水性、凝集固化性、脱臭性、消臭性等がある。
さて、数十年程度前までは、ペット用のトイレは土間等の多少汚れても大丈夫な箇所に置かれることが多かったが、近年では住宅事情の変遷によりマンションやアパート等の集合住宅が増えることでペットを室内飼いをする人も増えており、必然的にペット用トイレも室内に置かれることが増加している。このようにペット用トイレが室内に置かれるようになったことで、ペット用排尿処理材をペット用トイレ容器に移し容れる際に包装袋から舞う微粉がトイレ容器の周囲に散らばることによる衛生面の問題や、散らばった微粉を人やペットが吸うことによる健康面の問題等にも注目が集まり、従前はペット用排尿処理材においてそれほど重要視されなかった発塵抑制効果も求められるようになってきている。
微粉の発生の程度はペット用排尿処理材の形状や原料によっても異なるが、ある程度の大きさを有する造粒物やフレーク状のものであっても、輸送時の振動や衝撃等によりその一部が欠けたり崩れたりするなどして包装袋内に粉末化した製品が混ざることがままある。商品の搬送は様々な業者の手を経るものであるから、搬送工程での扱いを改善することで微粉の発生を抑制することは現実的に困難である。
このような発塵抑制効果に着目した発明として、特許文献1には水膨潤性粘土鉱物から形成された粒状成型体の表面を、ポリアルキレングリコール、パラフィンワックス、高級脂肪酸等で処理することで、該粒状成型体の粉化防止性を改善した技術が示されている。また特許文献2には、ベントナイト粘土粉末にポリ四フッ化エチレンを噴霧し、ガーゴム等の結合材を混入することで、粉塵を立ち難くした動物用寝床材料が示されている。また特許文献3には、石炭灰、木粉、粘土等のいずれかを含む造粒物に、セルロース、吸水性高分子粉末、繊維状体、石膏等を塗すことで造粒物を飛散しにくくする技術が示されている。
特開2006−42798号公報 米国特許5826543号公報 特開2005−211018号公報
しかしながら、本願発明者等の先願発明である引用文献1に記載された発明では、最近の追加実験で、粉化はある程度抑制されるものの経時により発塵量が増加する傾向があることがわかり、衛生面や健康面に関する要望を十分に満足させるものではなかった。また、引用文献2に記載された発明では、粉塵立ちは抑えられるもののペット用排尿処理材としての性能が十分に保持されているとは言えず、加えて、用いる粉塵防止剤(PTFE)が高価なために費用対効果(B/C)の面でもあまり優れているとは言えなかった。また、引用文献3に記載された発明では、造粒物の飛散についてはある程度考慮されているものの、粉立ちについて全く検証されていなかった。
本発明はこのような問題点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、優れた発塵抑制機能を有するペット用排尿処理材、及びその製造方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的とするところは、発塵抑制機能の耐経時劣化性が付与されたペット用排尿処理材及びその製造方法を提供することにある。
また本発明の他の目的とするところは、ペット用排尿処理材に用いられる発塵抑制剤を提供することにある。
本発明の他の目的並びに作用効果については、以下の記述を参照することにより、当業者であれば容易に理解されるであろう。
本願発明者らは、本商品の供給者の立場から現在乃至将来的ニーズに応え、顧客の満足度を一層高めるべく、ペット用排尿処理材に要求される重要な発塵抑制性能において更なる改良に努め、本発明に到った。
すなわち、本発明に係るペット用排尿処理材は、排尿処理材基材を発塵抑制剤で表面処理してなり、前記発塵抑制剤は、少なくとも、ケイ酸ナトリウム(ケイ酸ソーダ)と、グリセリンと、ジオール型またはトリオール型のポリプロピレングリコールとを含むものである。
そして、このような構成によれば、使用時のペット用排尿処理材からの発塵を大幅に抑制でき、発塵防止能に優れたペット用排尿処理材が得られる。さらにケイ酸ナトリウム等のアルカリ物質は、有機物被膜によるベントナイトの膨潤性を低下させることなく、ベントナイト本来の膨潤性能を保持できる。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記発塵抑制剤は、発塵抑制剤100重量部あたり、前記ケイ酸ナトリウムを5〜25重量部の範囲で、前記グリセリンを30〜70重量部の範囲で、前記ジオール型またはトリオール型のポリプロピレングリコールを5〜40重量部の範囲で含み、且つ、前記発塵抑制剤は、前記排尿処理材基材100重量部に対して0.1〜2重量部の範囲で用いることが好ましい。
なお、ここで各発塵抑制剤原料の配合量はそれぞれ純度100%とした場合の数値であり、例えばケイ酸ナトリウムとして純度50%のものを用いるのであれば配合量は10〜50重量部となるし、25%濃度のケイ酸ナトリウム水溶液を用いるのであれば配合量は20〜100重量部となる。
そしてこのような構成によれば、発塵抑制剤の排尿処理材基材内部への浸透をコントロールして排尿処理材基材の表面部分に発塵抑制剤の各成分を保持滞留させることができ、これにより、排尿処理材基材からの発塵が効率的に抑制される。
また、本発明の好ましい実施の形態においては、前記発塵抑制剤は、さらに、ゴム系ラテックスを含むものとしてもよい。
このような構成によれば、発塵防止能を有することに加えて、経時によってその発塵防止能が劣化しにくく、長期に亘って高い発塵抑制能が保たれるペット用排尿処理材を提供することができる。
また発塵抑制剤にゴム系ラテックスを加える場合には、発塵抑制剤100重量部あたり、前記ケイ酸ナトリウムを4〜25重量部の範囲で、前記グリセリンを25〜68重量部の範囲で、前記ジオール型またはトリオール型のポリプロピレングリコールを4〜39重量部の範囲で、前記ゴム系ラテックスを3〜20重量部の範囲で含み、且つ、前記発塵抑制剤は、前記排尿処理材基材100重量部に対して0.1〜2重量部の範囲で用いることが好ましい。
このような構成によれば、ゴム系ラテックスによる柔軟性を有する被膜により発塵抑制剤中の各成分の排尿処理材基材内部への浸透が更に抑制される。加えて、柔軟性を有する被膜によりペット用排尿処理材の表面が覆われるため、製造工程中での摩擦や流通過程での振動による粉塵発生も軽減される。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記排尿処理材基材は、(1)天然のベントナイト、または該ベントナイトをアルカリ処理した活性ベントナイトからなる粘土質系原料、(2)木粉または微細チップ等の木材由来素材からなる木質系原料、(3)廃紙または廃パルプ等の紙材由来素材からなる紙質系原料、の(1)〜(3)の群から選ばれた1以上の原料を成型して得られたものであってもよい。
このような排尿処理材基材を用いれば、本発明に係る発塵抑制剤による発塵抑制効果が高く、発塵抑制機能に優れたペット用排尿処理材が得られる。
また、本発明に係るペット用排尿処理材の別の実施形態は、天然のベントナイト、または該ベントナイトをアルカリ処理した活性ベントナイトからなる粘土質系原料である排尿処理材基材を発塵抑制剤で表面処理してなるものである。ここで、前記発塵抑制剤は、少なくとも、ケイ酸ナトリウムと、グリセリンと、ジオール型またはトリオール型のポリプロピレングリコールとを含むものであり、前記発塵抑制剤100重量部あたり、前記ケイ酸ナトリウムを5〜20重量部の範囲で、前記グリセリンを30〜70重量部の範囲で、前記ジオール型またはトリオール型のポリプロピレングリコールを5〜40重量部の範囲で含み、且つ、前記発塵抑制剤は、前記排尿処理材基材100重量部に対して0.1〜2重量部の範囲で用いられることを特徴とする。
このような構成によれば、ケイ酸ナトリウム等の無機系の発塵抑制剤原料は、有機系の原料とは異なり有機物被膜によりベントナイトの膨潤性を低下させることがないため、使用しても膨潤性の低下に繋がらず、ベントナイト本来の膨潤性能を保持できる。また、ペット用排尿処理材として必要な吸水性や固化性を満足しながらも発塵抑制能に優れ、経時によっても発塵抑制能が低下しにくい粘土系原料のペット用排尿処理材となる。
また、本発明の異なる実施の形態としては、天然のベントナイト、または該ベントナイトをアルカリ処理した活性ベントナイトからなる粘土質系原料である排尿処理材基材を発塵抑制剤で表面処理してなるペット用排尿処理材であって、前記発塵抑制剤は、少なくとも、ケイ酸ナトリウムと、グリセリンと、ジオール型またはトリオール型のポリプロピレングリコールと、ゴム系ラテックスとを含むものであり、前記発塵抑制剤100重量部あたり、前記ケイ酸ナトリウムを3〜20重量部の範囲で、前記グリセリンを25〜68重量部の範囲で、前記ジオール型またはトリオール型のポリプロピレングリコールを4〜39重量部の範囲で、前記ゴム系ラテックスを3〜20重量部の範囲で含み、且つ、前記発塵抑制剤は、前記排尿処理材基材100重量部に対して0.1〜2重量部の範囲で用いられることを特徴とする。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記ゴム系ラテックスは、スチレン・ブタジエン系ラテックス、若しくはメタクリル酸エステル・ブタジエン系ラテックスのいずれか1種以上であってもよい。
このような構成によれば、スチレン・ブタジエン系ラテックス、及びメタクリル酸エステル・ブタジエン系ラテックスは他成分との相溶性が良いため均質な発塵抑制剤が得られやすく、該発塵抑制剤で表面処理を施したペット用排尿処理材も均質な発塵抑制機能が得られる。
また、本願発明は、ペット用排尿処理材の製造方法としても捉えることができる。
本発明に係るペット用排尿処理材の製造方法は、排尿処理材基材を用意するステップと、発塵抑制剤を用意するステップと、前記排尿処理材基材の表面を前記発塵抑制剤で表面処理するステップとを有する。ここで、前記排尿処理材基材は、(1)天然のベントナイト、または該ベントナイトをアルカリ処理した活性ベントナイトからなる粘土質系原料、(2)木粉または微細チップ等の木材由来素材からなる木質系原料、(3)廃紙または廃パルプ等の紙材由来素材からなる紙質系原料、の(1)〜(3)の群から選ばれた1以上の原料を成型して得られたものである。また、前記発塵抑制剤は、少なくとも、ケイ酸ナトリウムと、グリセリンと、ジオール型またはトリオール型のポリプロピレングリコールとを含むものである。
そして、このような構成によれば、発塵抑制機能を有するペット用排尿処理材を効率的に製造することができる。
また、本願発明は、ペット用排尿処理材用の発塵抑制剤に関する発明としても捉えることができる。
本発明に係るペット用排尿処理材用の発塵抑制剤は、排尿処理材基材の表面処理に用いられるものであって、少なくとも、ケイ酸ナトリウムと、グリセリンと、ジオール型またはトリオール型のポリプロピレングリコールとを含み、前記ケイ酸ナトリウムを5〜25重量部の範囲で、前記グリセリンを30〜70重量部の範囲で、前記ジオール型またはトリオール型のポリプロピレングリコールを5〜40重量部の範囲で用いて、前記排尿処理材基材100重量部に対して0.1〜2重量部の範囲で用いられる。
このような構成の発塵抑制剤で排尿処理材基材の表面処理を行うことで、完成品であるペット用排尿処理材に発塵抑制能を付与することができ、しかも経時によっても発塵抑制能が低下しにくい。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記発塵抑制剤はさらに、ゴム系ラテックスを含み、前記ケイ酸ナトリウムを4〜25重量部の範囲で、前記グリセリンを25〜68重量部の範囲で、前記ジオール型またはトリオール型のポリプロピレングリコールを4〜39重量部の範囲で、前記ゴム系ラテックスを、3〜20重量部の範囲で含み、且つ、前記排尿処理材基材100重量部に対して0.1〜2重量部の範囲で用いられるものであってもよい。
このような構成によれば、より発塵抑制能が高く、しかも発塵抑制能が経時劣化し難い発塵抑制剤が得られる。
本発明のペット用排尿処理材は、発塵抑制剤により優れた発塵抑制能が付与され、しかも該発塵抑制能が経時劣化し難いものであるため、室内での使用時にも排尿処理材から細かい粉塵が落ちたりせず、掃除等の手間が過剰にかからず衛生面でも好ましい。
また、本発明に係る発塵抑制剤によれば、該発塵抑制剤で排尿処理材基材の表面処理を行うことで、ペット用排尿処理材に優れた発塵抑制能を付与することができ、しかも該発塵抑制能が経時劣化し難く商品として好ましいものである。
実施例1における発塵抑制剤混合液の配合割合を示す図表(その1)である。 実施例1における発塵抑制剤混合液の配合割合を示す図表(その2)である。 実施例1により得られたペット用排尿処理材の発塵抑制効果を示す図表(その1)である。 実施例1により得られたペット用排尿処理材の発塵抑制効果を示す図表(その2)である。 実施例1により得られたペット用排尿処理材の発塵抑制効果を示す図表(その3)である。 実施例2における発塵抑制剤混合液の配合割合を示す図表(その1)である。 実施例2における発塵抑制剤混合液の配合割合を示す図表(その2)である。 実施例2により得られたペット用排尿処理材の発塵抑制効果を示す図表(その1)である。 実施例2により得られたペット用排尿処理材の発塵抑制効果を示す図表(その2)である。 実施例2により得られたペット用排尿処理材の発塵抑制効果を示す図表(その3)である。 実施例2により得られたペット用排尿処理材の発塵抑制効果を示す図表(その4)である。 実施例2により得られたペット用排尿処理材の発塵抑制効果を示す図表(その5)である。 実施例3における発塵抑制剤混合液の配合割合を示す図表である。 実施例3により得られたペット用排尿処理材の発塵抑制効果を示す図表である。 各比較例における発塵抑制剤混合液の配合割合を示す図表(その1)である。 各比較例における発塵抑制剤混合液の配合割合を示す図表(その2)である。 各比較例により得られたペット用排尿処理材の発塵抑制効果を示す図表(その1)である。 各比較例により得られたペット用排尿処理材の発塵抑制効果を示す図表(その2)である。 各比較例により得られたペット用排尿処理材の発塵抑制効果を示す図表(その3)である。 比較例により得られたペット用排尿処理材における発塵抑制能の劣化を示す図表である。 実施例により得られたペット用排尿処理材の各種物性を示す図表(その1)である。 実施例により得られたペット用排尿処理材の各種物性を示す図表(その2)である。 比較例により得られたペット用排尿処理材の各種物性を示す図表(その1)である。 比較例により得られたペット用排尿処理材の各種物性を示す図表(その2)である。
以下において、本発明に係るペット用排尿処理材の好適な実施形態を詳細に説明する。
先にも述べたように、本発明に係るペット用排尿処理材は、排尿処理材用基材を発塵抑制剤で表面処理してなるものである。
<発塵抑制剤>
先ずはじめに、発塵抑制剤について説明を行う。本発明において用いる発塵抑制剤は、少なくとも、ケイ酸ナトリウムと、グリセリンと、ジオール型またはトリオール型のポリプロピレングリコールとを含むものであり、好ましくはこれらに加えてゴム系ラテックスを含むものである。
本願発明者等は本発明に先駆けて、上記4種の発塵抑制剤原料を2種ずつ組み合わせた場合の発塵抑制能について検証を行った。具体的には、上記4種から2種を選んで作られた発塵抑制剤を粘土系原料からなる造粒物の表面に吹き付けて、吹き付けから1時間後、24時間後、72時間後における粉塵濃度の測定を行ったものである。その結果、吹き付けから1時間後の測定においては幾つかの組合せで良好な発塵抑制能が認められたが、24時間後、72時間後の測定においてはいずれの組合せでも発塵量が著しく増加しており、実用に耐えうるものではなかった。それぞれの組合せによる発塵抑制能についての簡単な評価を以下にまとめる。なお以下において、PPGはポリプロピレングリコール、PEGはポリエチレングリコールの略記である。
ケイ酸ナトリウム+グリセリン:吹き付け初期においてはある程度の発塵抑制能が認められるものの、経時による発塵抑制能の劣化が顕著である
ケイ酸ナトリウム+PPG:吹き付け数時間後までの発塵抑制能は顕著であるが、その後ケイ酸ナトリウムが排尿処理材表面で粉末化して剥離し、発塵抑制能が消える。効果なし
ケイ酸ナトリウム+PEG:ケイ酸ナトリウムがゲル化し、排尿処理材基材への塗工が困難である
ケイ酸ナトリウム+ゴム系ラテックス:ケイ酸ナトリウムが排尿処理材表面で粉末化して剥離し、発塵抑制能が消える。効果なし
グリセリン+PPG:排尿処理材表面の粉化が促進されて粉塵が発生する。効果なし
グリセリン+ゴム系ラテックス:吹き付け初期においてはある程度の発塵抑制能が認められるものの、経時による発塵抑制能の劣化が顕著である
PPG+ゴム系ラテックス:吹き付け初期においてはある程度の発塵抑制能が認められるものの、経時による発塵抑制能の劣化が顕著である
これに対して、上記4種の発塵抑制剤原料中の3種を組み合わせた発塵抑制剤、及び4種すべてを組み合わせた発塵抑制剤では、吹き付け初期(1時間後)、24時間後、72時間後のいずれにおいても、2種を組み合わせた発塵抑制剤よりも高い発塵抑制能が得られ、これらの検証から、本願発明者等は、十分な発塵抑制能を得るためには上記4種の原料のうち少なくとも3種以上を用いる必要があることを知見した。また、ゴム系ラテックスを添加した例では経時による発塵抑制能の低下が起こりにくく、経時による発塵抑制能の低下を抑えるためにはゴム系ラテックスの使用が特に有効であることも見出した。なお、多数の発塵抑制能を持つ物質のうち上述の4種を選択したのは、相溶性が良い、等が理由である。
なお、ここで言う相溶性は、一般に高分子化学の分野で用いる意味とは少し異なり、必ずしも分子レベルで完全に混じり合って溶液相を形成することではなく、ゲル化や所謂ラテックスショックなどによる不均質相の生成がなく均質な混合相(懸濁液相)を形成し得る性質を意味している。
本願発明者等の知見によれば、ケイ酸ナトリウム以外の3種の発塵抑制剤原料で発塵抑制剤を調製した場合には、粉塵防止効果に劣り、経時劣化の抑制能も低下する傾向にある。これに対して発塵抑制剤にケイ酸ナトリウムを加えると、ケイ酸ナトリウムのアルカリモル比の高さからアルカリ度の高い溶液となり、また固形分濃度も高いものとなる。加えて、ゴム系ラテックスを加えた場合に親水性のゴム被膜が形成されて発塵抑制能が向上し、ベントナイト等の粘土系の排尿処理材基材を用いた場合に発塵抑制剤による膨潤性低下が起こりにくい。
本発明において用いるケイ酸ナトリウムとしては、メタケイ酸ナトリウム、オルトケイ酸ナトリウム、1号ケイ酸ナトリウム、2号ケイ酸ナトリウム、3号ケイ酸ナトリウム、4号ケイ酸ナトリウム、5号ケイ酸ナトリウム、等の一般的なケイ酸ナトリウムを1種または2種以上用いることができるが、発塵防止効果や溶解し易さの面からメタケイ酸ナトリウムが最も好ましい。
ケイ酸ナトリウムの配合量としては、発塵抑制剤100重量部あたり5〜25重量部の範囲であることが好ましく、10〜20重量部の範囲であればより好ましい。また、発塵抑制剤基剤として、天然のベントナイト、または該ベントナイトをアルカリ処理した活性ベントナイトからなる粘土質系原料である場合には、発塵抑制剤100重量部あたり5〜20重量部の範囲であることが好ましい。ケイ酸ナトリウムを上述の範囲で添加することで、他成分と混ざりゲルを生じさせたりせず、適度な浸透性の発塵抑制剤が得られる。
次に、本発明にて用いるグリセリンについて説明する。グリセリンはケイ酸ナトリウムに対して貧溶媒して働くため、グリセリンとケイ酸ナトリウムを併用することでケイ酸ナトリウムを高粘度化させ、排尿処理材基材内部へのケイ酸ナトリウムの浸透を阻害する。また、グリセリンを排尿処理材基材表面に存在させることで、微粉末の固着能が向上して発塵抑制機能に寄与する。
本発明において用いるグリセリンとしては、動物性グリセリン、植物性グリセリン、合成系グリセリンのいずれでも良いが純度の高いものが望ましく、純度が85%以上であればより好ましい。
グリセリンの配合量としては、発塵抑制剤100重量部あたり30〜70重量部の範囲であることが好ましく、40〜60重量部の範囲であればより好ましい。グリセリンを上述の範囲で添加することで、浸透性と粘度のバランスが良い発塵抑制剤が得られる。
次いで、ポリプロピレングリコールについて説明する。ポリプロピレングリコールは他3種の成分との相性が良いため混ぜたときにゲル化を起こすことがなく、またグリセリンの親水性のコントロールに寄与するため、発塵抑制剤に添加することで排尿処理材基材への発塵抑制剤の浸透を抑える。
本発明においてポリプロピレングリコールとしてはジオール型またはトリオール型のポリプロピレングリコールを用い、中でも平均分子量1000〜4000のポリプロピレングリコールであればより好ましい。平均分子量が1000〜4000のポリプロピレングリコールを用いることで、発塵抑制剤の浸透性及び粘性を好適な範囲に調整しやすくなる。また、純度の高い試薬を用いると、同量の発塵抑制剤であっても含まれる成分の濃度が高くなるため、少ない量の発塵抑制剤で高い効果が得られやすくなり好ましい。
ジオール型またはトリオール型のポリプロピレングリコールの配合量としては、5〜40重量部の範囲で用いることが好ましく、10〜30重量部の範囲であればより好ましい。ポリプロピレングリコールを上述の範囲で添加することで、各原料が均質に混ざり、発塵抑制能の経時劣化も起こりにくい発塵抑制剤とすることができる。
次に、ゴム系ラテックスについて説明する。ゴム系ラテックスを他3種の成分と混合することにより得られた発塵抑制剤は排尿処理材基材の表面を柔らかい被膜で覆い、これにより移送時等の衝撃を防ぎ、また発塵抑制能の経時劣化低減にも寄与する。
発明者等の知見によれば、ケイ酸ナトリウム、グリセリン、ポリプロピレングリコールの3成分からなる発塵抑制剤であっても、発塵抑制剤自体の使用量を増加させることで経時による発塵抑制能の劣化をある程度防ぐことはできるが、発塵抑制剤の添加量を多くし過ぎると排尿処理材としての吸尿性能や膨潤固化性能に悪影響を与えることがあり、またコストも増大する。
本発明においてゴム系ラテックスは造膜性を得る目的で用いるものであるが、ゴム系ラテックス以外の造膜性物質についても検討するために、ゴム系ラテックスの代わりに酢酸ビニルエマルジョン、ポリビニルアルコールについても他の3成分と混合して発塵抑制剤原料としての適性を検討した。その結果、酢酸ビニルエマルジョン、ポリビニルアルコールのいずれについても他の3成分との相溶性が悪く、実用に向かないものであった。
本発明において用いるゴム系ラテックスとしては、天然ゴム、スチレン・ブタジエン系ラテックス(SBR)、メタクリル酸エステル・ブタジエン系ラテックス(MBR)、等の一般的なゴム系高分子物質を用いることができるが、他成分との相溶性、汎用性、といった理由から、SBR及びMBR系ラテックスを用いることが最も好ましい。
ゴム系ラテックスの配合量としては、発塵抑制剤100重量部あたり3〜20重量部の範囲であることが好ましく、7〜15の範囲であればより好ましい。ゴム系ラテックスの配合量が15重量部を上回っても発塵抑制剤の経時劣化の抑制には大きな変化は見られず、その一方で他3種の配合割合が相対的に低下することにより全体としての粉塵防止効果は低下する傾向にある。
本発明において、発塵抑制剤がゴム系ラテックスを含まない場合には、発塵抑制剤100重量部あたり、ケイ酸ナトリウムを5〜25重量部の範囲で、グリセリンを30〜70重量部の範囲で、ジオール型またはトリオール型のポリプロピレングリコールを5〜40重量部の範囲で用いる。各原料をこの範囲で用いることにより、初期発塵防止能に高い効果が得られ、また経時発塵防止能についてもある程度の効果が見られる。
一方、発塵抑制剤がゴム系ラテックスを含む場合には、発塵抑制剤100重量部あたり、ケイ酸ナトリウムを4〜25重量部の範囲で用い、グリセリンを25〜68重量部の範囲で用い、ジオール型またはトリオール型のポリプロピレングリコールを4〜39重量部の範囲で用い、ゴム系ラテックスを、3〜20重量部の範囲で用いる。各原料をこの範囲で用いることにより、初期発塵防止能への高い効果に加えて、経時発塵防止能についても高い効果が得られる。
本発明において、発塵抑制剤は、排尿処理材基材100重量部に対して0.1〜2重量部の範囲で用いることが好ましく、0.2〜1重量部の範囲であればより好ましい。上述の範囲で発塵抑制剤を用いることで、ペット用排尿処理材としての吸水性等は損なわずに、十分な発塵抑制能が得られる。
なお、この発塵抑制剤の重量には溶媒となる水等の重量も含まれているが、3成分系(ゴム系ラテックスを含まない)の発塵抑制剤である場合には、発塵抑制剤中の発塵抑制剤原料の占める割合は80%以上であることが望ましく、4成分系(ゴム系ラテックスを含む)の発塵抑制剤である場合には、発塵抑制剤中の発塵抑制剤原料の占める割合は70%以上であることが望ましい。
<排尿処理材用基材>
次に、排尿処理材用基材について説明を行う。本発明のペット用排尿処理材に用いる排尿処理材基材としては、発塵のおそれがある様々なタイプの排尿処理材基材を用いることができ、具体的には、(1)天然のベントナイト、または該ベントナイトをアルカリ処理した活性ベントナイトからなる粘土質系原料、(2)木粉または微細チップ等の木材由来素材からなる木質系原料、(3)廃紙または廃パルプ等の紙材由来素材からなる紙質系原料、等の原料を成型して得られた排尿処理材基材を用いることができる。
また、原料として粘土質系原料を用いる場合には、天然のベントナイト、または該ベントナイトをアルカリ処理した活性ベントナイトからなるものの中でも、吸水性や凝集固化性といった面からCa型スメクタイトを多く含むものが好ましい。ここでCa型スメクタイトとは、一般的にスメクタイト系粘土鉱床の中位層に存在する粘土鉱物であり、スメクタイト構造の層間に交換性陽イオンであるCaイオン(Mgイオン)が多く存在している粘土のことである。この様なCa型スメクタイトを主原料とする排尿処理材基材は、吸水性や凝集固化性といった性質に優れている反面、脆く欠けやすいという問題がある。本発明の発塵抑制剤で表面処理を行うことで、このような脆い原材料からなる排尿処理材基材であっても発塵を抑制することができる。
<表面処理の工程について>
次に、本発明において、排尿処理材基材を発塵抑制剤で表面処理する工程について説明する。発塵抑制剤による表面処理としては、排尿処理材基材に液状の発塵抑制剤を吹き付けてのち、ケースに入れて振り混ぜる、等の一般的な塗工方法を適宜用いることができるが、排尿処理材基材の表面に発塵抑制剤を満遍なく付着させるという観点から、容器に入れた排尿処理材基材全体を振り混ぜながら、其処へ液状の発塵抑制剤を滴下し、または吹き付けて、必要に応じて適当な容器に移し入れて振動乃至回転により均質に処理する方法が好ましい。一例としては、所定の容器に入れた排尿処理材基材を振り混ぜながら所定量の発塵抑制剤の混合液を滴加し、密閉した後に、該容器をすばやく回転架台に乗せて約30〜200rpm程度の回転速度で30秒〜5分程度回転させることで、排尿処理材基材の表面を適量の発塵抑制剤で塗工することが出来る。
先にも述べたように、本発明に係るペット用排尿処理材は、製造直後の発塵量が少ないことに加えて、経時による発塵抑制作用の劣化も少ないことを特徴とするものである。これら双方を評価するために、本発明においては発塵量と発塵量の変化量とを見ることとした。
本発明において、発塵量Dの測定方法については後述するが、発塵量Dが100cpm以下であれば、殆どの人に粉塵の発生が感じられず、発塵量Dが100〜300cpm程度であれば、殆どの人にとって粉塵が気にならないレベルであり、発塵量Dが300〜500cpm程度であれば、多少の粉塵が感じられるレベルである。従って、本発明においては、ペット用排尿処理材の発塵量Dは300cpm以下であることが好ましく、100cpm以下であればより好ましい。
また、本発明に係るペット用排尿処理材においては、経時による発塵抑制能の変化は下記式(1)による発塵抑制指数Iにて評価し、表面処理からX日後の発塵抑制指数をIXと表す。即ち、I01は表面処理から1日後の発塵抑制指数であり、I90は表面処理から90日後の発塵抑制指数である。なお、ここで、DBは未処理物の発塵量を示す。
X=(1−DX/DB)×100 ・・・式(1)
即ち、上記式(1)により得られる発塵抑制指数IXはX日後における発塵抑制の割合を示し、IXが60であれば未処理時の発塵量のうち60%が抑制されX日目における発塵量は未処理物発塵量DBの40%の値であることを意味し、IXが20であればX日目の発塵量は未処理物発塵量DBの80%の値であることを意味する。
本発明においては、表面処理を行ってから1日後の発塵抑制指数(I01)が20以上であることが好ましく、50以上であればより好ましく、70以上であれば特に好ましい。また、表面処理を行ってから90日後の発塵抑制指数(I90)は、10以上であることが好ましく、30以上であればより好ましく、50以上であれば特に好ましい。発塵抑制指数I01が上述の範囲であれば発塵抑制剤吹き付け直後において高い発塵抑制能が得られ、また発塵抑制指数I90が上述の範囲であれば経時によって発塵抑制能が低下しにくいと言える。
<ペット用排尿処理材として機能>
先にも述べたように本発明に係るペット用排尿処理材は発塵抑制を主目的としたものであるが、その一方で吸水能(吸尿能)、固化強度、脱臭能、消臭能といったペット用排尿処理材としての基本的な性能も満たすように構成されている。
ここでペット用排尿処理材の固化強度とは吸尿後の固化塊状物の強度を意味し、固化強度が高ければ吸尿後に固化塊状物を取り除くときに自壊したりせず、またこの際に誤って床等に取り落としてもそのままの形状が維持されるため、吸尿後の固化塊状物を衛生的に取り除ける。また、ペット用排尿処理材の吸尿能が高ければ、少ない量のペット用排尿処理材で尿を吸収することができるため1回あたりの使用量が減り経済的に好ましい。
更に、脱臭能や消臭能が高ければ、糞尿による悪臭がペット用排尿処理材により脱臭乃至消臭されることで排泄後であっても悪臭が留まりにくくなるため、室内飼いをしている場合などは特に重要である。
ペットの糞尿に由来する種々の悪臭ガスのうち、尿から最も多く発生する臭気成分はアンモニアであり、尿の主成分である尿素に種々の細菌や酵母由来のウレアーゼ(加水分解酵素)が作用して発生するものである。また、尿に起因する臭気成分の一つであり、オスネコの尿中に特に多く含まれる一種のフェロモン用物質である3−メルカプト−3−メチル−1−ブタノール(3MMB)が最近発見されており、この3MMBの特異臭は人間にとって著しい悪臭となっている。更に、糞から発生する悪臭ガスとしては、エチルメルカプタン、硫化水素、インドール、スカトールなどが知られている。
したがって、ペット用排尿処理材においては、塩基性臭気に分類される窒素(N)系悪臭ガス(アンモニア、インドール、スカトール、等)に対する脱臭能、及び、酸性臭気に分類される硫黄(S)系悪臭ガス(3MMB、エチルメルカプタン、硫化水素、等)に対する脱臭能が求められることとなり、ペット用排尿処理材に窒素系悪臭ガス及び硫黄系悪臭ガスに対する脱臭能を付与することで、尿や便由来の悪臭は相当程度抑えられるものと考えられる。
なお、本願発明者等の先願発明である特願2007−166771号(特開2009−86号)には、猫尿から発生する数種のフェニリン誘導体(フェロモン候補物質)が発生し、これが著しい悪臭の元となっており、特に下記式:
HS・C(CH3)・CH2・CH2・OH
で表される3−メルカプト−3−メチル−1−ブタノールが、質量ともに代表的悪臭物質と考えられている旨が記載されている。
また、同文献においては、該フェロモン物質の代用物質(疑似フェロモン)として一般の試薬として入手しやすい下記式:
HS・CH2・CH2・OH
で表される2−メルカプトエタノールを用い、擬似フェロモン脱臭能の官能テストを行っている。
以下において本発明の実施例について述べるが、本発明は以下の構成に限定されるものではない。
[排尿処理材基材]
本実施例においては、表面処理により発塵抑制機能を付与する排尿処理材基材として、国内で一般に製造されているもののうち、粘土質系、木質系、紙質系の製造品や市販品を用いた。
粘土質系:B−1(黒崎白土工業(株)製造品)
木質系: W−1(A社市販品)、W−2(B社市販品)
紙質系: P−1(C社市販品)、P−2(D社市販品)
[発塵抑制剤原料]
本実施例においては、発塵抑制剤の原料として次の薬剤を用いた。
成分(1):ケイ酸ナトリウム
SS−1(工業用メタケイ酸ナトリウム)
SS−2(工業用1号ケイ酸ナトリウム)
SS−3(工業用オルソケイ酸ナトリウム)
SS−4(工業用3号ケイ酸ナトリウム)
成分(2):グリセリン
GC−1(試薬一級グリセリン)
成分(3):ポリプロピレングリコール
PPG−1(試薬一級ポリプロピレングリコール<ジオール型>3000)
PPG−2(試薬一級ポリプロピレングリコール<ジオール型>1000)
PPG−3(試薬一級ポリプロピレングリコール<トリオール型>4000)
成分(4):ゴム系ラテックス
RL−1(工業用SBRラテックス)
RL−2(工業用天然ゴムラテックス)
RL−3(工業用MBRラテックス)
[ペット用排尿処理材の製造]
各実施例においては、内容積が約3000mLのプラスチック製ネジ蓋付広口ポット(円筒型容器)に所定の排尿処理材基材を1kg入れ、全体を振り混ぜながら、所定量(0〜10g)の発塵抑制剤の混合液を滴加した後、すばやくポットミル回転架台に載せて回転速度100rpmで1分間回転させることによって表面処理を行なう。
[実施例1]実施例1−1〜実施例1−11
成分(1)であるケイ酸ナトリウムとしてはSS−1、SS−2、SS−4のうちのいずれかを、成分(2)であるグリセリンとしてはGC−1を、成分(3)であるポリプロピレングリコールとしてはPPG−1、PPG−2、PPG−3のうちのいずれかを用い、これらの発塵抑制剤原料を図1,2に示された割合で混合することで実施例1にて用いる発塵抑制剤を調製した。なお、ここで各発塵抑制剤原料の配合部数を合わせても100重量部に満たないのは、発塵抑制剤混合液100重量部中には各発塵抑制剤原料の他に水も含まれているからであり、この点については他の実施例及び比較例においても同様である。
次いで、粘土質系の排尿処理材基材であるB−1:100重量部に対して、図1,2に示された3成分系の各発塵抑制剤を、それぞれ0.2、0.3、0.5、1.0重量部ずつ用いて、排尿処理材基材の表面処理を行い、本発明に係るペット用排尿処理材を得た。本実施例にて得られたペット用排尿処理材の発塵量D、発塵抑制指数I、及び発塵抑制能の評価結果が図3〜5に示されている。
[実施例2]実施例2−1〜実施例2−19
成分(1)であるケイ酸ナトリウムとしてはSS−1、SS−2、SS−3のうちのいずれかを、成分(2)であるグリセリンとしてはGC−1を、成分(3)であるポリプロピレングリコールとしてはPG−1を、成分(4)であるゴム系ラテックスとしてはRL−1、RL−2、RL−3のうちのいずれかを用い、これらの発塵抑制剤原料を図6,7に示された割合で混合することで実施例2にて用いる発塵抑制剤を調製した。
次いで、粘土質系の排尿処理材基材であるB−1:100重量部に対して、図6,7に示された4成分系の各発塵抑制剤を、それぞれ0.2、0.3、0.5、1.0重量部ずつ用いて排尿処理材基材の表面処理を行い、本発明に係るペット用排尿処理材を得た。本実施例にて得られたペット用排尿処理材の発塵量D、発塵抑制指数I、及び発塵抑制能の評価結果が図8〜12に示されている。
[実施例3]実施例3−1〜実施例3−4
成分(1)であるケイ酸ナトリウムとしてはSS−1を、成分(2)であるグリセリンとしてはGC−1を、成分(3)であるポリプロピレングリコールとしてはPPG−1を、成分(4)であるゴム系ラテックスとしてはRL−1を用い、これらの発塵抑制剤原料を図13に示された割合で混合することで実施例3にて用いる発塵抑制剤を調製した。
次いで、木質系の排尿処理材基材であるW−1、同W−2、及び紙質系の排尿処理材基材であるP−1、同P−2のそれぞれ100重量部に対して、図13に示された4成分系の発塵抑制剤を、それぞれ0.3、1.0重量部ずつ用いて、排尿処理材基材の表面処理を行い、本発明に係るペット用排尿処理材を得た。本実施例にて得られたペット用排尿処理材の発塵量D、発塵抑制指数I、及び発塵抑制能の評価結果が図14に示されている。
[比較例1]比較例1−1〜比較例1−9
成分(1)であるケイ酸ナトリウムとしてはSS−1、SS−2、SS−4のうちのいずれかを、成分(2)であるグリセリンとしてはGC−1を、成分(3)であるポリプロピレングリコールとしてはPPG−1、PPG−2のうちのいずれかを用い、これらの発塵抑制剤原料を図15に示された割合で混合することで比較例1にて用いる発塵抑制剤を調製した。
次いで、粘土質系の排尿処理材基材であるB−1:100重量部に対して、図15に示された2成分系の発塵抑制剤を、それぞれ0(比較例1−1)、0.5、1.0重量部ずつ用いて排尿処理材基材の表面処理を行い、比較例1に係るペット用排尿処理材を得た。本比較例にて得られたペット用排尿処理材の発塵量D、発塵抑制指数I、及び発塵抑制能の評価結果が図17に示されている。また、比較例1−1は全ての発塵抑制剤原料の使用量を0としたブランクサンプルである。
[比較例2]比較例2−1〜比較例2−7
成分(1)であるケイ酸ナトリウムとしてはSS−1、SS−2のうちのいずれかを、成分(2)であるグリセリンとしてはGC−1を、成分(3)であるポリプロピレングリコールとしてはPPG−1を用い、これらの中から選ばれた1成分または2成分と、成分(4)であるゴム系ラテックスRL−1とを図15に示された割合で混合することで比較例2にて用いる発塵抑制剤が得られた。
次いで、粘土質系の排尿処理材基材であるB−1:100重量部に対して、図15に示された2〜3成分系の発塵抑制剤を、それぞれ0.3、0.5、1.0重量部ずつ用いて排尿処理材基材の表面処理を行い、比較例2に係るペット用排尿処理材を得た。本比較例にて得られたペット用排尿処理材の発塵量D、発塵抑制指数I、及び発塵抑制能の評価結果が図18に示されている。
[比較例3]比較例3−1〜比較例3−8
木質系の排尿処理材W−1、同W−2、及び紙質系の排尿処理材P−1、同P−2について、発塵抑制剤未使用のものをそれぞれ比較例3−1〜比較例3−4に係るペット用排尿処理材とした。また、特許文献1で使用されたポリエチレングリコール(PEG4000S)を用いて濃度45%の水溶液になるように調整し、これを発塵抑制剤として図16に示した各排尿処理材基材にそれぞれ0.6、2.0重量部ずつ用いて排尿処理材基材の表面処理を行い、比較例3−5〜比較例3−8に係るペット用排尿処理材とした。本比較例にて得られたペット用排尿処理材の発塵量D、発塵抑制指数I、及び発塵抑制能の評価結果が図19に示されている。
ここで、各実施例、及び各比較例により得られたペット用排尿処理材については、発塵抑制能のみではなく、防臭性乃至脱臭性、固化性能といったペット用排尿処理材としての基本性能も満たしているかを確認するために、幾つかの実施例及び比較例について防臭脱臭性能、脱臭性能、及び固化性能を測定乃至評価した結果が図21〜24に示されている。なお、発塵量、発塵抑制指数、発塵抑制能、防臭脱臭性能、脱臭性能、及び固化性能の測定方法、及び評価基準はそれぞれ以下の通りである。
〈発塵量:D〉
内部に円形平底のバットを設置し、粉塵計と連結させた高さ約45cm、縦約35cm、横約35cmの、木製の自製粉塵測定用準密閉容器と、底部に直径5cmの手動開閉式円孔を設けた丸底型容器とを用意し、丸底型容器に試料1kgを移し入れ、自製粉塵測定用準密閉容器内で丸底型容器の底部円孔を開いて試料全量を円形平底のバットまで30〜40cmの距離を自然落下させた後、自製粉塵測定用準密閉容器を閉じる。そのまま1分間静置後、粉塵計(光散乱方式、デジタル粉塵測定機LD−5D、柴田科学(株)製)にて自製粉塵測定用準密閉容器内部の雰囲気を1分間吸引して得られた粉塵量(単位:cpm)を測定する。なお、ここでの粉塵量は厳密には粉塵質の散乱光量(cpm値)を表したものであるが、粉塵質の散乱光量は空気中に浮遊している粉塵濃度(mg/m3)に比例するものであることから、これをもって試料の発塵性を表す発塵量D(cpm)とした。
試料として各排尿処理材基材を用い、上述の発塵量の測定方法に従い測定したものを表面未処理物の発塵量:DB(cpm)とした。
〈粉塵量の測定方法〉
次に、各実施例及び比較例に係るペット用排尿処理材をそれぞれ2kgずつ取り分け、1kgずつ市販のチャック付ポリエチレン袋(I−4、縦280mm×横200mm×厚み0.04mm)2袋に分包し、常温下、室内に静置保存して、1袋の試料は1日(24時間)経過後に、もう1袋の試料は90日(3ヶ月)経過後に、それぞれの発塵性を、上述の発塵量の測定方法に従い測定することによって表面処理物のX日経過後の発塵量:DX(cpm)を求める。即ち、D01は表面処理から1日後の発塵量であり、D90は表面処理から90日後の発塵量である。
〈発塵抑制指数:I〉
上述の発塵量に基づいて、下記式(1)により各実施例及び比較例によるペット用排尿処理材試料の発塵抑制指数Iを求める。
X=(1−DX/DB)×100 ・・・式(1)
ここでIXはX日経過後の発塵抑制指数を意味し、DX(cpm)に、それぞれ、D01、D90を代入すれば、該表面処理物の1日(24時間)後、及び90日(3ヶ月)経過後における発塵抑制指数:I01、I90が得られる。
〈発塵抑制能〉
各実施例及び比較例にて得られたペット用排尿処理材について、上述の発塵抑制指数I01及びI90の値を用いて以下の基準で発塵抑制能の総合評価を行った。評価の高い方から順に条件に合致するかの比較を行い、I01及びI90の双方が条件を満たした段階をそれぞれのペット用排尿処理材の発塵抑制能の総合評価とした。例えば、とある試料のI01が75、I90が42であれば、I01は◎の基準を満たすが、I90は◎の基準を満たさず○に該当するため、この試料の総合評価は○となる。
◎: I01≧70、かつI90≧50
○: I01≧50、かつI90≧30
△: I01≧20、かつI90≧10
×: I01<19、またはI90<9
〈抗酵素防臭脱臭能の評価〉
本実施例においては、防臭脱臭性能の評価を行うために、以下の方法で抗酵素防臭脱臭能の官能テストを行った。ペット用排尿処理材試料100gを容量1800mlのガラス瓶に秤量し、ゴム製注入口の付いた蓋で密栓する。次に、尿成分液である1.5%尿素溶液10mlと、酵素成分液である0.05%ウレアーゼ溶液(ナタ豆由来、試験当日調製)4mlとを素早く混合し、この混合溶液をシリンジで前述のガラス瓶に注入する。次いで、試料に前記混合溶液を加えたガラス瓶を25℃に設定された恒温器に入れて1時間静置した後、ガラス瓶を恒温器の外に取り出して蓋を開けて5人のパネラーがその臭いを嗅ぎ、下記の5段階の基準に基づいて抗酵素防臭脱臭能の評価を行った。
5:5人のパネラー全員がアンモニア臭を感じなかった。
4:5人のパネラー全員がアンモニア臭を殆ど感じないか、微かに感じる程度で
不快感はなかった。
3:5人のパネラー中2人以下が弱いアンモニア臭を感じたが、
他の人は殆ど臭気を感じなかった。
2:5人のパネラー中3人以上がアンモニア臭により不快感を示した。
1:5人のパネラー全員がアンモニアの強い刺激臭により不快感を示した。
〈擬似フェロモン脱臭能の評価〉
本実施例においては、以下の方法で擬似フェロモン脱臭能の評価を行った。先ず、ペット用排尿処理材試料100gを容量1800mlのガラス瓶に秤量し、ゴム製注入口の付いた蓋で密栓する。次に、2−メルカプトエタノール0.0627W/V%エタノール溶液1mlをシリンジで前述のガラス瓶に注入する。次いで、試料と溶液を加えたガラス瓶を室温で30分間静置した後、蓋を開けて5人のパネラーがその臭いを嗅ぎ、下記の5段階の基準に基づいて擬似フェロモン脱臭能の評価を行った。
5:5人のパネラー全員が2−メルカプトエタノール臭を感じなかった。
4:5人のパネラー全員が2−メルカプトエタノール臭を殆ど感じないか、
微かに感じる程度で不快感はなかった。
3:5人のパネラー中2人以下が弱い2−メルカプトエタノール臭を感じたが、
他の人は殆ど臭気を感じなかった。
2:5人のパネラー中3人以上が弱い2−メルカプトエタノール臭を感じたが、
他の人は殆ど臭気を感じなかった。
1:5人のパネラー全員が強い2−メルカプトエタノール臭を感じた。
本願の実施例において、ペット用排尿処理材の固化性に関する評価は、固化長及び固化強度の測定結果に基づいて行う。固化長及び固化強度の測定方法は以下の通りである。
〈固化長の測定方法〉
ペット用排尿処理材試料1kgを深さが15cm以上となるように容器に充填し、この充填層上面より1cmの高さから、1%食塩水7mlを10秒間で注下する。そのまま30分静置した後に、充填層からペット用排尿処理材の食塩水吸水固化物を取り出して注下方向に対して縦方向(深さ方向)の長さを測り、固化長(mm)とした。
〈固化強度の評価〉
前記固化長測定後のペット用排尿処理材の食塩水吸収固化物を用いて、該固化物に手や指で圧力を加えたり、0.5〜1m程度の高さから落下させたりした際の状態を観察し、下記4段階の基準に基づいて固化強度の評価を行った。
◎:手や指により圧力を加えても容易には崩れず、また、0.5〜1mの高さから
自然落下させても殆ど破壊されなかった。
○:手や指により圧力を加えても容易には崩れず、また、0.5〜1mの高さから
自然落下させても一部が破壊される程度で大部分は破壊されなかった。
△:手や指により圧力を加えると容易に崩れ、0.5m以下の高さからの自然落下
でも破壊が生じた。
×:殆ど、或いは全く固化しておらず、固化強度の評価が行えなかった。
本願発明者等は、発塵抑制剤を用いなかった際の発塵量の変化を見るために、比較例1−1、および比較例3−1〜比較例3−4とした各種排尿処理材基材毎の発塵抑制剤未使用試料について、初期発塵量:DB(cpm)と、未処理のまま90日経過した後の発塵量:D90(cpm)を測定した結果が図20に示されている。同図に示された結果からは明らかなように、発塵抑制剤で表面処理を行わなかった場合には、各排尿処理材基材の発塵量は90日間で20乃至33%増加していることがわかる。即ち、各実施例及び比較例で得られたペット用排尿処理材については、これよりも発塵量が低下していれば、一定の発塵抑制効果があるものと考えられる。
実施例1−1〜11により得られたペット用排尿処理材は、粘土質系の排尿処理材基材を3成分系の発塵抑制剤で表面処理したものである。これらの例では1日後の発塵抑制指数I01については発塵抑制剤の添加量が少ない例でもそこそこ良好な結果が得られているが、その一方で90日後の発塵抑制指数I90については実用に耐えうるレベルではあるものの発塵抑制能の低下がそれなりに見られ、特に発塵抑制剤の添加量が少ない例でその傾向は顕著である。
なお、実施例1において、90日後の時点で発塵量D90が300cpm以下であったのは、実施例1−1、1−3、1−4、1−7、1−8、1−9、1−10の、1.0重量部を添加した試料のみであった。
また、実施例1−1、1−3、1−7、1−8については、ペット用排尿処理材としての各種評価も行った(図21参照)。発塵抑制剤の使用量が多い例ではやや脱臭性や防臭性、固化強度の低下が見られるものの、いずれの例についても十分に実用に供し得る脱臭性、防臭性、固化強度を有していた。
実施例2−1〜19により得られたペット用排尿処理材は、粘土質系の排尿処理材基材を4成分系の発塵抑制剤で表面処理したものである。これらの例では1日後の発塵抑制指数I01、90日後の発塵抑制指数I90のいずれついても非常に良好な結果である。特に発塵抑制剤の添加量が0.5重量部以上の例ではI90が90を超えているものも幾つかあり、ある程度の時間経過後であっても非常に高い発塵抑制能が維持されていることが見て取れる。実施例1と2の結果の比較から、ゴム系ラテックスは特に経時における発塵抑制能に高い効果があることがわかる。
なお、実施例2においては、殆どの試料が90日後の時点で発塵量Dが300cpm以下と好ましいものであり、特に実施例2−1、2−3、2−4、2−6、2−7、2−11、2−16、2−17、2−18、2−19については、0.2〜1.0重量部のすべての添加量の試料について90日後の発塵量D90が300cpm以下であった。
また、実施例2−1、2−4、2−8、2−11、2−14、2−16、2−18については、ペット用排尿処理材としての各種評価も行った(図21,22参照)。3成分系の場合よりも脱臭性乃至防臭性についてやや低い傾向が見られるものの、十分に実用に供し得る脱臭性、防臭性、固化強度を有していた。
実施例3−1〜4により得られたペット用排尿処理材は、木質系又は紙質系の排尿処理材基材を4成分系の発塵抑制剤で表面処理したものである。これらの例では、発塵抑制剤の添加量が少ない例においては実用に耐えうるだけの発塵抑制効果は認められるものの、1日後の発塵抑制指数I01、90日後の発塵抑制指数I90のいずれについても実施例1,2と比べて低めの値であった。その一方で、発塵抑制剤の添加量が高い例においては、I01、I90のいずれについても高い効果が見られる。ゴム系ラテックスが添加されているにも関わらず実施例2の例よりも発塵抑制指数が低めなのは、発塵抑制剤基材の種類の違いによるものと考えられる。
なお、実施例3においては、発塵抑制剤を1.0重量部添加した場合にはいずれの排尿処理材基材を用いたペット用排尿処理材であっても、90日後の発塵量D90が300cpm以下に抑制されていた。
また、実施例3−1〜4については、ペット用排尿処理材としての各種評価も行った(図22参照)。粘土質系の排尿処理材基材を使った実施例1,2の場合と比べて脱臭性及び防臭性の面で著しく劣り、また固化強度も弱いものであった。
なお、ここで紙質系ペット用排尿処理材は、粘土質系ペット用排尿処理材、及び木質系ペット用排尿処理材と比べて未処理時の発塵量DBが非常に低い値となっているが、発塵時の様子を目視で観察したところでは他2種と比べて発塵量が著しく少ないというわけでもなかった。これは、紙質系ペット用排尿処理材より生じる繊維由来の塵は、塵同士が集まってある程度の大きさの毛玉状になるために測定器に塵が吸入され難く、結果として塵の飛散が激しいにも関わらず測定値には現れなかったものと考えられる。
比較例1−1〜9により得られたペット用排尿処理材は、粘土質系の排尿処理材基材を、基本の3成分系から1種を外した2成分系の発塵抑制剤で表面処理したものである。これらの例では、3成分系の発塵抑制剤を用いた実施例1と比べて全般的に発塵抑制効果が低く、特に比較例1−6、1−8では経時による発塵量I90が未処理時の発塵量DBを超えており、90日経過時点では発塵抑制効果が殆ど残っていないものと考えられる。また、比較例1−9の例についてはD01、D90のいずれもが未処理時の発塵量DBを大きく上回っているが、これは発塵抑制剤が排尿処理材基材の表面で粉化したことにより発塵抑制剤未使用時よりも発塵量が増加したものと考えられる。また、1−2の例では発塵抑制剤の使用量を増やすことである程度の発塵抑制効果が得られているものの、3成分系の発塵抑制剤を用いた実施例1と比べると実施例1の同使用量のものよりも効果は低く、コスト面でやや劣るものと考えられる。
なお、比較例1により得られたペット用排尿処理材の中には、1日後の発塵量D01が300cpmを下回っている試料は幾つかあったが、90日後の発塵量D90が300cpmを下回っている試料は一つもなかった。
また、比較例1−1、1−2、1−5、1−9については、ペット用排尿処理材としての各種評価も行った(図23参照)。比較例1−2では脱臭性及び防臭性についてやや劣る傾向が見られたが、これは2種の発塵抑制剤原料で十分な発塵抑制能を得るためにケイ酸ナトリウムの添加量を増やしたことに起因するものと考えられる。また、同様の理由でポリプロピレングリコールの添加量が多い比較例1−5、1−9においては、脱臭能、防臭能、固化強度のいずれについても劣るものとなり、特に固化強度についてはかなりの劣化が認められた。
比較例2−1〜7により得られたペット用排尿処理材は、粘土質系の排尿処理材基材を、4成分系から1〜2種を外した2〜3成分系の発塵抑制剤で表面処理したものである。ケイ酸ナトリウムとゴム系ラテックスを用いた比較例2−1、2−2、及びグリセリンとゴム系ラテックスを用いた比較例2−3では、殆ど発塵抑制能が認められなかった。その一方で、ポリプロピレングリコールとゴム系ラテックスを用いた比較例2−4と、ゴム系ラテックスを含む3成分系の2−5〜8では、発塵抑制剤の使用量を増やすことである程度の発塵抑制能が認められた。
なお、比較例2により得られたペット用排尿処理材の中では、比較例2−5〜2−7の添加量が多い幾つかの試料が、90日後の発塵量D90が300cpm以下であった。
しかしながら、比較例2−1、2−3、2−4、2−5、2−7についてペット用排尿処理材としての各種評価を行ったところ(図23参照)、比較例2−1については脱臭性及び防臭性についてやや劣り、また他の4例については脱臭性、防臭性、固化性のいずれについても劣るものであった。これは、少ない種類の発塵抑制剤原料で所望の発塵抑制能を得るために各成分の配合量を増加させたことが一因ではないかと考えられる。
比較例3−5〜8により得られたペット用排尿処理材は、木質系又は紙質系の排尿処理材基材を、従前よりペット用排尿処理材に発塵抑制剤として使用されているポリエチレングリコールで表面処理したものである。これらの例では、発塵抑制剤の添加量が少ない例においては実用に耐えうるだけの発塵抑制効果が認められなかった。その一方で、発塵抑制剤の添加量が高い例においては、ある程度の発塵抑制効果が認められた。
なお、比較例3により得られたペット用排尿処理材の中では、比較例3−7、3−8による試料が、90日後の発塵量D90が300cpm以下であった。
また、比較例3−5〜8については、ペット用排尿処理材としての各種評価も行った(図24参照)。粘土質系の排尿処理材基材を使った例と比べて脱臭性及び防臭性の面で著しく劣り、また固化強度も弱いものであった。
以上の実施例の結果より明らかなように、本発明の発塵抑制剤で表面処理を行うことで、粘土質系、木質系、紙質系のいずれの排尿処理材基材についても発塵量の低下が認められた。
発塵抑制剤で表面処理を行った直後においては、3成分系、4成分系のいずれの発塵抑制剤で処理した場合であっても高い発塵抑制効果が得られるが、経時による発塵抑制能の低下については4成分系の発塵抑制剤の方が少なく、4成分系の発塵抑制剤は長期に亘って高い発塵抑制能が維持されることが認められた。3成分系の発塵抑制剤でもの使用量を増やすことで経時による発塵抑制能の劣化を遅らせることは可能であるが、発塵抑制剤の使用量を増やすとペット用排尿処理材としての基本的な性能が損なわれやすくなるため、同程度の発塵抑制能を得るためであれば4成分系の発塵抑制剤を用いた方が好ましいと考えられる。
木質系、紙質系の排尿処理材基材については、4成分系の発塵抑制剤で表面処理を行うことで高い発塵抑制効果が得られたが、その一方でペット用排尿処理材としての基本的な性能への影響が認められた。
以上説明したように、本発明に係るペット用排尿処理材は、発塵が抑制されながらもペット用排尿処理材に求められる吸水性等の性質は損なわれず、従前と同様の効果が期待できるものである。
加えて、経時における発塵抑制能の劣化も少なく、長期に亘って発塵抑制能が期待できるものである。

Claims (11)

  1. 排尿処理材基材の表面に表面処理剤としての発塵抑制剤を有するペット用排尿処理材であって、
    前記発塵抑制剤は、少なくとも、ケイ酸ナトリウムと、グリセリンと、ジオール型またはトリオール型のポリプロピレングリコールとを含むものであることを特徴とする、ペット用排尿処理材。
  2. 前記発塵抑制剤は、前記発塵抑制剤100重量部あたり、
    前記ケイ酸ナトリウムを5〜25重量部の範囲で、
    前記グリセリンを30〜70重量部の範囲で、
    前記ジオール型またはトリオール型のポリプロピレングリコールを5〜40重量部の範囲で含み、且つ、
    前記発塵抑制剤は、前記排尿処理材基材100重量部に対して0.1〜2重量部の範囲で含まれることを特徴とする、請求項1に記載のペット用排尿処理材。
  3. 前記発塵抑制剤は、さらに、ゴム系ラテックスを含むものであることを特徴とする、請求項1又は2に記載のペット用排尿処理材。
  4. 前記発塵抑制剤は、前記発塵抑制剤100重量部あたり、
    前記ケイ酸ナトリウムを4〜25重量部の範囲で、
    前記グリセリンを25〜68重量部の範囲で、
    前記ジオール型またはトリオール型のポリプロピレングリコールを4〜39重量部の範囲で、
    前記ゴム系ラテックスを3〜20重量部の範囲で含み、且つ、
    前記発塵抑制剤は、前記排尿処理材基材100重量部に対して0.1〜2重量部の範囲で含まれることを特徴とする、請求項3に記載のペット用排尿処理材。
  5. 排尿処理材基材は、
    (1)天然のベントナイト、または該ベントナイトを原料とし、アルカリ成分を含んだ活性ベントナイトからなる粘土質系原料、
    (2)木粉または微細チップ等の木材由来素材からなる木質系原料、
    (3)廃紙または廃パルプ等の紙材由来素材からなる紙質系原料、
    の(1)〜(3)の群から選ばれた1以上の原料を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のペット用排尿処理材。
  6. 天然のベントナイト、または該ベントナイトを原料とし、アルカリ成分を含んだ活性ベントナイトからなる粘土質系原料である排尿処理材基材の表面に表面処理剤としての発塵抑制剤を有するペット用排尿処理材であって、
    前記発塵抑制剤は、少なくとも、ケイ酸ナトリウムと、グリセリンと、ジオール型またはトリオール型のポリプロピレングリコールとを含むものであり、
    前記発塵抑制剤100重量部あたり、
    前記ケイ酸ナトリウムを5〜20重量部の範囲で、
    前記グリセリンを30〜70重量部の範囲で、
    前記ジオール型またはトリオール型のポリプロピレングリコールを5〜40重量部の範囲で含み、且つ、
    前記発塵抑制剤は、前記排尿処理材基材100重量部に対して0.1〜2重量部の範囲で含まれることを特徴とする、ペット用排尿処理材。
  7. 天然のベントナイト、または該ベントナイトを原料とし、アルカリ成分を含んだ活性ベントナイトからなる粘土質系原料である排尿処理材基材の表面に表面処理剤としての発塵抑制剤を有するペット用排尿処理材であって、
    前記発塵抑制剤は、少なくとも、ケイ酸ナトリウムと、グリセリンと、ジオール型またはトリオール型のポリプロピレングリコールと、ゴム系ラテックスとを含むものであり、
    前記発塵抑制剤100重量部あたり、
    前記ケイ酸ナトリウムを3〜20重量部の範囲で、
    前記グリセリンを25〜68重量部の範囲で、
    前記ジオール型またはトリオール型のポリプロピレングリコールを4〜39重量部の範囲で、
    前記ゴム系ラテックスを3〜20重量部の範囲で含み、且つ、
    前記発塵抑制剤は、前記排尿処理材基材100重量部に対して0.1〜2重量部の範囲で含まれることを特徴とする、ペット用排尿処理材。
  8. 前記ゴム系ラテックスは、スチレン・ブタジエン系ラテックス、若しくはメタクリル酸エステル・ブタジエン系ラテックスのいずれか1種以上であることを特徴とする請求項4又は7に記載のペット用排尿処理材。
  9. 排尿処理材基材を用意するステップと、
    発塵抑制剤を用意するステップと、
    前記排尿処理材基材の表面を前記発塵抑制剤で表面処理するステップとを有し、
    前記排尿処理材基材は、
    (1)天然のベントナイト、または該ベントナイトをアルカリ処理した活性ベントナイトからなる粘土質系原料、
    (2)木粉または微細チップ等の木材由来素材からなる木質系原料、
    (3)廃紙または廃パルプ等の紙材由来素材からなる紙質系原料、
    の(1)〜(3)の群から選ばれた1以上の原料を成型して得られたものであり、
    前記発塵抑制剤は、少なくとも、ケイ酸ナトリウムと、グリセリンと、ジオール型またはトリオール型のポリプロピレングリコールとを含むものであることを特徴とする、ペット用排尿処理材の製造方法。
  10. 排尿処理材基材の表面処理に用いられる発塵抑制剤であって、
    少なくとも、ケイ酸ナトリウムと、グリセリンと、ジオール型またはトリオール型のポリプロピレングリコールとを含み、
    前記ケイ酸ソーダを5〜25重量部の範囲で、
    前記グリセリンを30〜70重量部の範囲で、
    前記ジオール型またはトリオール型のポリプロピレングリコールを5〜40重量部の範囲で含み、且つ、
    前記排尿処理材基材100重量部に対して0.1〜2重量部の範囲で用いられることを特徴とする、ペット用排尿処理材用の発塵抑制剤。
  11. さらに、ゴム系ラテックスを含み、
    前記ケイ酸ナトリウムを4〜25重量部の範囲で、
    前記グリセリンを25〜68重量部の範囲で、
    前記ジオール型またはトリオール型のポリプロピレングリコールを4〜39重量部の範囲で、
    前記ゴム系ラテックスを3〜20重量部の範囲で含み、且つ、
    前記排尿処理材基材100重量部に対して0.1〜2重量部の範囲で用いられることを特徴とする、請求項10に記載のペット用排尿処理材用の発塵抑制剤。
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