JP2020117633A - 炭素材料前駆体及びそれを用いた炭素材料の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】酸等の添加成分を配合しなくても、高い耐炎化収率、高い炭化収率及び高い耐炎化・炭化の総収率を有する、アクリルアミド系共重合体からなる炭素材料前駆体を提供すること。【解決手段】アクリルアミド系モノマー単位40〜99.8モル%とシアン化ビニル系モノマー単位0.1〜35モル%と不飽和カルボン酸系モノマー単位0.1〜25モル%とを含有するアクリルアミド/シアン化ビニル/不飽和カルボン酸系共重合体からなることを特徴とする炭素材料前駆体。【選択図】なし

Description

本発明は、炭素材料前駆体及びそれを用いた炭素材料の製造方法に関し、より詳しくは、アクリルアミド系共重合体からなる炭素材料前駆体及びそれを用いた炭素材料の製造方法に関する。
炭素材料の1種である炭素繊維の製造方法としては、従来から、ポリアクリロニトリルを紡糸して得られる炭素繊維前駆体に耐炎化処理を施した後、炭化処理を施す方法が主として採用されている(例えば、特公昭37−4405号公報(特許文献1)、特開2015−74844号公報(特許文献2)、特開2016−40419号公報(特許文献3)、特開2016−113726号公報(特許文献4))。この方法に用いられるポリアクリロニトリルは安価な汎用溶媒に溶解しにくいため、重合や紡糸の際に、ジメチルスルホキシドやN,N−ジメチルアセトアミド等の高価な溶媒を使用する必要があり、炭素繊維の製造コストが高くなるという問題があった。
また、特開2013−103992号公報(特許文献5)には、アクリロニトリル単位96〜97.5質量部と、アクリルアミド単位2.5〜4質量部と、カルボン酸含有ビニルモノマー0.01〜0.5質量部とからなるポリアクリロニトリル系共重合体からなる炭素材料前駆体繊維が記載されている。このポリアクリロニトリル系共重合体は、ポリマーの水溶性に寄与するアクリルアミド単位やカルボン酸含有ビニルモノマー単位を含有するものの、これらの含有量が少ないため、水には不溶であり、重合や成形加工の際に、N,N−ジメチルアセトアミド等の高価な溶媒を使用する必要があり、炭素繊維の製造コストが高くなるという問題があった。
さらに、ポリアクリロニトリルやその共重合体に加熱処理を施すと、急激な発熱が起こり、ポリアクリロニトリルやその共重合体の熱分解が加速されるため、炭素材料(炭素繊維)の収率が低くなるという問題があった。このため、ポリアクリロニトリルやその共重合体を用いて炭素材料(炭素繊維)を製造する場合には、耐炎化処理や炭化処理の昇温過程において、急激な発熱が発生しないように、長時間をかけて徐々に昇温する必要があった。
一方、アクリルアミド単位を多く含有するアクリルアミド系ポリマーは水溶性のポリマーであり、重合や成形加工(フィルム化、シート化、紡糸等)の際に、安価で環境負荷の小さい水を溶媒として使用することができるため、炭素材料の製造コストの削減が期待される。特開2018−90791号公報(特許文献6)には、アクリルアミド系ポリマーと、酸及びその塩からなる群から選択される少なくとも1種の添加成分とを含有する炭素材料前駆体が記載されている。この炭素材料前駆体においては、炭化収率を向上させるために、酸及びその塩からなる群から選択される少なくとも1種の添加成分が配合されている。このような酸等の添加成分を配合した炭素材料前駆体に耐炎化処理及び炭化処理を施した場合、得られる炭素材料に微量の前記添加成分が残存する場合があった。このため、酸等の添加成分を含まない炭素材料を効率的に得る方法の開発が期待されている。
特公昭37−4405号公報 特開2015−74844号公報 特開2016−40419号公報 特開2016−113726号公報 特開2013−103992号公報 特開2018−90791号公報
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、酸等の添加成分を配合しなくても、高い耐炎化収率、高い炭化収率及び高い耐炎化・炭化の総収率を有する、アクリルアミド系共重合体からなる炭素材料前駆体及びそれを用いた炭素材料の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、アクリルアミド系モノマー単位とシアン化ビニル系モノマー単位と不飽和カルボン酸系モノマー単位とを特定の割合で含有するアクリルアミド/シアン化ビニル/不飽和カルボン酸系共重合体を用いることによって、酸等の添加成分を配合しなくても、高い耐炎化収率、高い炭化収率及び高い耐炎化・炭化の総収率を有する炭素材料前駆体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の炭素材料前駆体は、アクリルアミド系モノマー単位40〜99.8モル%とシアン化ビニル系モノマー単位0.1〜35モル%と不飽和カルボン酸系モノマー単位0.1〜25モル%とを含有するアクリルアミド/シアン化ビニル/不飽和カルボン酸系共重合体からなることを特徴とするものである。
このような炭素材料前駆体においては、前記シアン化ビニル系モノマー単位に対する前記不飽和カルボン酸系モノマー単位のモル比(不飽和カルボン酸系モノマー単位/シアン化ビニル系モノマー単位)が0.01/1〜1/1であることが好ましい。
また、本発明の炭素材料の製造方法は、前記本発明の炭素材料前駆体に耐炎化処理を施し、次いで、炭化処理を施すことを特徴とする方法である。
なお、本発明の炭素材料前駆体が、酸等の添加成分を配合しなくても、高い耐炎化収率、高い炭化収率及び高い耐炎化・炭化の総収率を示す理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、本発明の炭素材料前駆体においては、不飽和カルボン酸系モノマー単位が存在することによって、耐炎化処理時に、隣接する不飽和カルボン酸系モノマー単位とアクリルアミド系モノマー単位との間及び隣接する不飽和カルボン酸系モノマー単位同士の間で分子内環化反応が起こり、ポリマー鎖に環状構造が導入されて耐熱性が向上し、また、このような環状構造によってポリマー鎖の末端からの連鎖的な熱分解が抑制されることにより、熱安定性が向上し、さらに、耐炎化処理時や炭化処理時に分子間の架橋反応が進行し、炭素材料が形成しやすいため、耐炎化収率や炭化収率、耐炎化・炭化の総収率が向上すると推察される。また、不飽和カルボン酸系モノマー単位が環化反応の触媒として作用するため、酸等の添加成分を配合しなくても、耐炎化収率や炭化収率、耐炎化・炭化の総収率が向上すると推察される。
本発明によれば、酸等の添加成分を配合しなくても、高い耐炎化収率、高い炭化収率及び高い耐炎化・炭化の総収率を有する、アクリルアミド系共重合体からなる炭素材料前駆体を得ることが可能となる。また、このような本発明の炭素材料前駆体を用いることによって、効率よく炭素材料を製造することが可能となる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
〔炭素材料前駆体〕
先ず、本発明の炭素材料前駆体について説明する。本発明の炭素材料前駆体は、アクリルアミド系モノマー単位40〜99.8モル%とシアン化ビニル系モノマー単位0.1〜35モル%と不飽和カルボン酸系モノマー単位0.1〜25モル%とを含有するアクリルアミド/シアン化ビニル/不飽和カルボン酸系共重合体からなり、炭素材料の製造に用いられる前駆体材料である。
(アクリルアミド/シアン化ビニル/不飽和カルボン酸系共重合体)
本発明に用いられるアクリルアミド/シアン化ビニル/不飽和カルボン酸系共重合体は、全モノマー単位100モル%に対して、アクリルアミド系モノマー単位を40〜99.8モル%の割合で含有するものである。アクリルアミド系モノマー単位の含有量が前記下限未満になると、アクリルアミド/シアン化ビニル/不飽和カルボン酸系共重合体が後述する水性溶媒又は水系混合溶媒に溶解しにくくなる。他方、アクリルアミド系モノマー単位の含有量が前記上限を超えると、高い耐炎化収率、高い炭化収率及び高い耐炎化・炭化の総収率を有する炭素材料前駆体が得られない。また、前記共重合体の水性溶媒又は水系混合溶媒に対する可溶性の観点から、アクリルアミド系モノマー単位の含有量の下限としては、50モル%以上が好ましく、60モル%以上がより好ましく、70モル%以上が特に好ましい。さらに、炭素材料前駆体の耐炎化収率や炭化収率、耐炎化・炭化の総収率が向上するという観点から、アクリルアミド系モノマー単位の含有量の上限としては、99モル%以下が好ましく、97モル%以下がより好ましく、95モル%以下が更に好ましく、90モル%以下が特に好ましい。
また、前記アクリルアミド/シアン化ビニル/不飽和カルボン酸系共重合体は、全モノマー単位100モル%に対して、シアン化ビニル系モノマー単位を0.1〜35モル%の割合で含有するものである。シアン化ビニル系モノマー単位の含有量が前記下限未満になると、炭素材料前駆体の成形加工性が低下する。他方、シアン化ビニル系モノマー単位の含有量が前記上限を超えると、アクリルアミド/シアン化ビニル/不飽和カルボン酸系共重合体が後述する水性溶媒又は水系混合溶媒に溶解しにくくなる。また、炭素材料前駆体の成形加工性が向上するという観点から、シアン化ビニル系モノマー単位の含有量の下限としては、1モル%以上が好ましく、5モル%以上がより好ましく、10モル%以上が更に好ましく、15モル%以上が特に好ましい。さらに、前記共重合体の水性溶媒又は水系混合溶媒に対する可溶性の観点から、シアン化ビニル系モノマー単位の含有量の上限としては、30モル%以下が好ましく、25モル%以下がより好ましい。
さらに、前記アクリルアミド/シアン化ビニル/不飽和カルボン酸系共重合体は、全モノマー単位100モル%に対して、不飽和カルボン酸系モノマー単位を0.1〜25モル%の割合で含有するものである。不飽和カルボン酸系モノマー単位の含有量が前記下限未満になると、高い耐炎化収率、高い炭化収率及び高い耐炎化・炭化の総収率を有する炭素材料前駆体が得られない。他方、不飽和カルボン酸系モノマー単位の含有量が前記上限を超えると、炭素材料前駆体の成形加工性が低下する。また、炭素材料前駆体の耐炎化収率や炭化収率、耐炎化・炭化の総収率が向上するという観点から、不飽和カルボン酸系モノマー単位の含有量の下限としては、0.2モル%以上が好ましく、1モル%以上がより好ましく、2モル%以上が特に好ましい。さらに、炭素材料前駆体の成形加工性に優れるという観点から、不飽和カルボン酸系モノマー単位の含有量の上限としては、20モル%以下が好ましく、10モル%以下がより好ましく、5モル%以下が特に好ましい。
また、前記アクリルアミド/シアン化ビニル/不飽和カルボン酸系共重合体においては、シアン化ビニル系モノマー単位に対する不飽和カルボン酸系モノマー単位のモル比(不飽和カルボン酸系モノマー単位/シアン化ビニル系モノマー単位)が0.01/1〜1/1であることが好ましく、0.02/1〜0.6/1であることがより好ましく、0.05/1〜0.5/1であることが特に好ましい。不飽和カルボン酸系モノマー単位/シアン化ビニル系モノマー単位が前記下限未満になると、耐炎化・炭化の総収率が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、炭素材料前駆体の成形加工性が低下する傾向にある。
前記アクリルアミド系モノマーとしては、例えば、アクリルアミド;N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−n−ブチルアクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド等のN−アルキルアクリルアミド;N−シクロヘキシルアクリルアミド等のN−シクロアルキルアクリルアミド;N,N−ジメチルアクリルアミド等のジアルキルアクリルアミド;ジメチルアミノエチルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド等のジアルキルアミノアルキルアクリルアミド;N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド、N−(ヒドロキシエチル)アクリルアミド等のヒドロキシアルキルアクリルアミド;N−フェニルアクリルアミド等のN−アリールアクリルアミド;ジアセトンアクリルアミド;N,N’−メチレンビスアクリルアミド等のN,N’−アルキレンビスアクリルアミド;メタクリルアミド;N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−n−ブチルメタクリルアミド、N−tert−ブチルメタクリルアミド等のN−アルキルメタクリルアミド;N−シクロヘキシルメタクリルアミド等のN−シクロアルキルメタクリルアミド;N,N−ジメチルメタクリルアミド等のジアルキルメタクリルアミド;ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド等のジアルキルアミノアルキルメタクリルアミド;N−(ヒドロキシメチル)メタクリルアミド、N−(ヒドロキシエチル)メタクリルアミド等のヒドロキシアルキルメタクリルアミド;N−フェニルメタクリルアミド等のN−アリールメタクリルアミド;ジアセトンメタクリルアミド;N,N’−メチレンビスメタクリルアミド等のN,N’−アルキレンビスメタクリルアミドが挙げられる。これらのアクリルアミド系モノマーは1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。また、これらのアクリルアミド系モノマーの中でも、水性溶媒又は水系混合溶媒への溶解性が高いという観点から、アクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、ジアルキルアクリルアミド、メタクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド、ジアルキルメタクリルアミドが好ましく、アクリルアミドが特に好ましい。
前記シアン化ビニル系モノマーとしては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、2−ヒドロキシエチルアクリロニトリル、クロロアクリロニトリル、クロロメタクリロニトリル、メトキシアクリロニトリル、メトキシメタクリロニトリルが挙げられる。これらのシアン化ビニル系モノマーは1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。また、これらのシアン化ビニル系モノマーの中でも、炭素材料前駆体の耐炎化収率や炭化収率、耐炎化・炭化の総収率が向上するという観点から、アクリロニトリルが好ましい。
前記不飽和カルボン酸系モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸等の不飽和カルボン酸及びその塩;マレイン酸無水物、イタコン酸無水物等の不飽和カルボン酸無水物が挙げられる。これらの不飽和カルボン酸系モノマーは1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。また、これらの不飽和カルボン酸系モノマーの中でも、耐炎化・炭化の総収率が向上するという観点から、アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、マレイン酸無水物が好ましい。
また、本発明に用いられるアクリルアミド/シアン化ビニル/不飽和カルボン酸系共重合体においては、本発明の効果を損なわない範囲において、アクリルアミド系モノマー単位、シアン化ビニル系モノマー単位及び不飽和カルボン酸系モノマー単位以外の他の重合性モノマー単位が含まれていてもよい。このような他の重合性モノマー単位の含有量としては、アクリルアミド/シアン化ビニル/不飽和カルボン酸系共重合体の全モノマー単位100モル%に対して、20モル%以下が好ましく、10モル%以下がより好ましく、5モル%以下が更に好ましく、2モル%以下が特に好ましく、1モル%以下が最も好ましい。前記他の重合性モノマーとしては、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等の不飽和カルボン酸エステル;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル系モノマー;塩化ビニル、ビニルアルコール等のシアン化ビニル系モノマー以外のビニル系モノマー;エチレン、プロピレン等のオレフィン系モノマーが挙げられる。
また、本発明に用いられるアクリルアミド/シアン化ビニル/不飽和カルボン酸系共重合体の重量平均分子量の上限としては、特に制限はないが、通常500万以下であり、炭素材料前駆体の成形加工性の観点から、200万以下が好ましく、100万以下がより好ましく、50万以下が更に好ましく、30万以下がまた更に好ましく、20万以下が特に好ましく、13万以下がまた特に好ましく、10万以下が最も好ましい。また、アクリルアミド/シアン化ビニル/不飽和カルボン酸系共重合体の重量平均分子量の下限としては、特に制限はないが、通常1万以上であり、炭素材料前駆体の強度の観点から、2万以上が好ましく、3万以上がより好ましく、4万以上が特に好ましい。なお、前記アクリルアミド/シアン化ビニル/不飽和カルボン酸系共重合体の重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定されるものである。
さらに、本発明に用いられるアクリルアミド/シアン化ビニル/不飽和カルボン酸系共重合体は、水性溶媒(水、アルコール等、及びこれらの混合溶媒)及び水系混合溶媒(前記水性溶媒と有機溶媒(テトラヒドロフラン等)との混合溶媒)のうちの少なくとも一方に可溶なものであることが好ましい。これにより、炭素材料前駆体を成形する際には、前記水性溶媒又は前記水系混合溶媒を用いた乾式成形(乾式紡糸)、乾湿式成形(乾湿式紡糸)、湿式成形(湿式紡糸)、又はエレクトロスピニングが可能となり、低コストで安全に炭素材料を製造することが可能となる。また、後述する炭素材料前駆体組成物を製造する際に、前記水性溶媒又は前記水系混合溶媒を用いた湿式混合が可能となり、アクリルアミド/シアン化ビニル/不飽和カルボン酸系共重合体と後述する添加成分とを均一かつ低コストで安全に混合することが可能となる。さらに、得られた炭素材料前駆体組成物を成形する際には、前記水性溶媒又は前記水系混合溶媒を用いた乾式成形(乾式紡糸)、乾湿式成形(乾湿式紡糸)、湿式成形(湿式紡糸)、又はエレクトロスピニングが可能となり、低コストで安全に炭素材料を製造することが可能となる。なお、前記水系混合溶媒中の有機溶媒の含有量としては、前記水性溶媒に不溶又は難溶なアクリルアミド/シアン化ビニル/不飽和カルボン酸系共重合体が有機溶媒を混合することによって溶解する量であれば特に制限はない。また、このようなアクリルアミド/シアン化ビニル/不飽和カルボン酸系共重合体の中でも、より低コストで安全に、炭素材料前駆体を成形したり、炭素材料前駆体組成物や炭素材料を製造することが可能となるという観点から、前記水性溶媒に可溶なアクリルアミド/シアン化ビニル/不飽和カルボン酸系共重合体が好ましく、水に可溶な(水溶性の)アクリルアミド/シアン化ビニル/不飽和カルボン酸系共重合体がより好ましい。
このようなアクリルアミド/シアン化ビニル/不飽和カルボン酸系共重合体からなる本発明の炭素材料前駆体を製造する方法としては、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、リビングラジカル重合等の公知の重合反応を、溶液重合、懸濁重合、沈殿重合、分散重合、乳化重合(例えば、逆相乳化重合)等の重合方法によって行う方法を採用することができる。前記重合反応の中でも、炭素材料前駆体を低コストで製造できるという観点から、ラジカル重合が好ましい。また、溶液重合を採用する場合、溶媒としては、原料のモノマー及び得られるアクリルアミド/シアン化ビニル/不飽和カルボン酸系共重合体が溶解するものを使用することが好ましく、低コストで安全に製造できるという観点から、前記水性溶媒(水、アルコール等、及びこれらの混合溶媒等)又は前記水系混合溶媒(前記水性溶媒と有機溶媒(テトラヒドロフラン等)との混合溶媒)を使用することがより好ましく、前記水性溶媒を使用することが特に好ましく、水を使用することが最も好ましい。
前記ラジカル重合においては、重合開始剤として、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の従来公知のラジカル重合開始剤を使用することができるが、溶媒として前記水性溶媒又は前記水系混合溶媒を使用する場合には、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の前記水性溶媒又は前記水系混合溶媒(好ましくは前記水性溶媒、より好ましくは水)に可溶なラジカル重合開始剤が好ましい。また、炭素材料前駆体の成形加工性の向上と、アクリルアミド/シアン化ビニル/不飽和カルボン酸系共重合体の前記水性溶媒又は前記水系混合溶媒に対する溶解性の向上という観点から、前記重合開始剤に代えて又は加えて、テトラメチルエチレンジアミン等の従来公知の重合促進剤やn−ドデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン等の分子量調節剤を用いることが好ましく、前記前記重合開始剤と前記重合促進剤とを併用することが好ましく、過硫酸アンモニウムとテトラメチルエチレンジアミンとを併用することが特に好ましい。
重合開始剤を添加する際の温度としては特に制限はないが、炭素材料前駆体の成形加工性の向上という観点から、35℃以上が好ましく、40℃以上がより好ましく、45℃以上が更に好ましく、50℃以上が特に好ましく、55℃以上が最も好ましい。また、前記重合反応の温度としては特に制限はないが、前記共重合体の前記水性溶媒又は前記水系混合溶媒に対する溶解性の向上という観点から、50℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましく、70℃以上が最も好ましい。
〔炭素材料前駆体組成物〕
本発明の炭素材料前駆体は、高い耐炎化収率、高い炭化収率及び高い耐炎化・炭化の総収率を示すため、酸等の添加成分を配合せずに、そのまま炭素材料の製造に使用することが可能であるが、耐炎化収率や炭化収率、耐炎化・炭化の総収率が更に向上するという観点から、本発明の炭素材料前駆体に、酸及びその塩からなる群から選択される少なくとも1種の添加成分を配合して炭素材料前駆体組成物を調製し、この炭素材料前駆体組成物を炭素材料の製造に使用してもよい。
このような炭素材料前駆体組成物において、前記添加成分の含有量としては、耐炎化収率や炭化収率、耐炎化・炭化の総収率がより向上するという観点から、前記炭素材料前駆体100質量部に対して0.1〜100質量部が好ましく、0.2〜50質量部がより好ましく、0.5〜30質量部が更に好ましく、1〜20質量部が特に好ましい。
前記酸としては、リン酸、ポリリン酸、ホウ酸、ポリホウ酸、硫酸、硝酸、炭酸、塩酸等の無機酸、シュウ酸、クエン酸、スルホン酸、酢酸等の有機酸が挙げられる。また、このような酸の塩としては、金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩)、アンモニウム塩、アミン塩等が挙げられ、アンモニウム塩、アミン塩が好ましく、アンモニウム塩がより好ましい。特に、これらの添加成分のうち、得られる炭素材料前駆体の耐炎化収率や炭化収率、耐炎化・炭化の総収率が更に向上するという観点から、リン酸、ポリリン酸、ホウ酸、ポリホウ酸、硫酸、及びこれらのアンモニウム塩が好ましく、リン酸、ポリリン酸、及びこれらのアンモニウム塩が特に好ましい。
前記添加成分は、前記水性溶媒及び前記水系混合溶媒のうちの少なくとも一方(より好ましくは前記水性溶媒、特に好ましくは水)に可溶なものであることが好ましい。これにより、炭素材料前駆体組成物を製造する際に、前記水性溶媒又は前記水系混合溶媒を用いた湿式混合が可能となり、前記アクリルアミド/シアン化ビニル/不飽和カルボン酸系共重合体と前記添加成分とを均一かつ低コストで安全に混合することが可能となる。また、得られた炭素材料前駆体組成物を成形する際には、前記水性溶媒又は前記水系混合溶媒を用いた乾式成形(乾式紡糸)、乾湿式成形(乾湿式紡糸)、湿式成形(湿式紡糸)、又はエレクトロスピニングが可能となり、低コストで安全に炭素材料を製造することが可能となる。
このような炭素材料前駆体組成物を製造する方法としては、溶融状態の前記炭素材料前駆体に前記添加成分を直接混合する方法(溶融混合)、前記炭素材料前駆体と前記添加成分とをドライブレンドする方法(乾式混合)、前記添加成分を含有する水性溶液又は水系混合溶液、或いは前記炭素材料前駆体は完全溶解していないが前記添加成分は溶解している溶液に所望の形状(例えば、フィルム状、シート状、繊維状)に成形した前記炭素材料前駆体を浸漬したり、通過させたりする方法等を採用することも可能であるが、使用する前記炭素材料前駆体及び前記添加成分が前記水性溶媒又は前記水系混合溶媒に可溶な場合には、前記炭素材料前駆体と前記添加成分とを均一に混合することができるという観点から、前記炭素材料前駆体と前記添加成分とを前記水性溶媒又は前記水系混合溶媒中で混合する方法(湿式混合)が好ましい。また、湿式混合としては、前記炭素材料前駆体の製造に際し、前述の重合を前記水性溶媒中又は前記水系混合溶媒中で行った場合に、重合後等に前記添加成分を混合する方法も採用することができる。さらに、得られる溶液から前記溶媒を除去することによって炭素材料前駆体組成物を回収し、これを後述する炭素材料の製造に用いることができるほか、前記溶媒を除去することなく、得られる溶液をそのまま後述する炭素材料の製造に用いることもできる。また、前記湿式混合においては、より低コストで安全に炭素材料前駆体組成物を製造できるという観点から、溶媒として前記水性溶媒を使用することが好ましく、水を使用することがより好ましい。さらに、前記溶媒を除去する方法としては特に制限はなく、減圧留去、再沈殿、熱風乾燥、真空乾燥、凍結乾燥等の公知の方法のうちの少なくとも1つの方法を採用することができる。
〔炭素材料の製造方法〕
次に、本発明の炭素材料の製造方法について説明する。本発明の炭素材料の製造方法としては、前記炭素材料前駆体又は前記炭素材料前駆体組成物に、直接炭化処理を施すことも可能であるが、高収率で炭素材料が得られるという観点から、耐炎化処理を施し、次いで、炭化処理を施すことが好ましい。
本発明の炭素材料の好ましい製造方法においては、先ず、前記炭素材料前駆体又は前記炭素材料前駆体組成物に酸化性雰囲気下(例えば、空気中)で加熱処理を施す(耐炎化処理)。本発明の炭素材料前駆体は、アクリルアミド/シアン化ビニル/不飽和カルボン酸系共重合体からなるものであり、耐炎化処理によって熱分解されにくく、また、アクリルアミド/シアン化ビニル/不飽和カルボン酸系共重合体の構造が耐炎化処理によって耐熱性の高い構造に変換されるため、高い耐炎化収率を示す。さらに、耐炎化処理が施された炭素材料前駆体(耐炎化物)は、耐熱性の高い構造を有しているため、高い炭化収率を示す。特に、前記炭素材料前駆体組成物においては、添加成分である酸やその塩の触媒作用により、アクリルアミド/シアン化ビニル/不飽和カルボン酸系共重合体の脱アンモニア反応や脱水反応が促進されるため、分子内に環状構造(イミド環構造)が形成されやすく、アクリルアミド/シアン化ビニル/不飽和カルボン酸系共重合体の構造が耐熱性の高い構造に変換されやすいため、炭素材料前駆体の耐炎化収率や耐炎化物の炭化収率、耐炎化・炭化の総収率が更に高くなる。
このような耐炎化処理における加熱温度としては、150〜500℃が好ましく、200〜450℃がより好ましく、耐熱性の高い構造に効率的に変換し、耐炎化・炭化の総収率が高くなるという観点から、280〜420℃が更に好ましく、300〜410℃がまた更に好ましく、310〜400℃が特に好ましく、320〜390℃が最も好ましい。耐炎化処理における加熱温度が前記上限を超えると、生成する耐炎化物が熱分解される傾向にあり、他方、前記下限未満になると、アクリルアミド/シアン化ビニル/不飽和カルボン酸系共重合体の脱アンモニア反応や脱水反応が促進されず、分子内に環状構造(イミド環構造)が形成されにくいため、生成する耐炎化物の耐熱性が低く、炭素材料前駆体の耐炎化収率や耐炎化物の炭化収率、耐炎化・炭化の総収率が低下する傾向にある。また、耐炎化処理における加熱時間としては特に制限はなく、長時間(例えば1時間超)の加熱も可能であるが、コスト低減の観点から1〜60分間が好ましい。
次に、このようにして耐炎化処理が施された炭素材料前駆体(耐炎化物)又はそれを含有する組成物に、不活性雰囲気下(窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス中)、前記耐炎化処理における加熱温度よりも高い温度で加熱処理を施す(炭化処理)。これにより、耐炎化物が炭化し、所望の炭素材料が得られる。このような炭化処理における加熱温度としては500℃以上が好ましく、1000℃以上がより好ましい。また、加熱温度の上限としては3000℃以下が好ましく、2500℃以下がより好ましい。さらに、炭化処理における加熱時間としては特に制限はないが、1〜60分間が好ましく、1〜30分間がより好ましい。また、前記炭化処理においては、例えば、先に1000℃未満の温度で加熱処理を行った後、1000℃以上の温度で加熱処理を行うといったように、複数回の加熱処理を行うこともできる。なお、本発明の炭素材料の製造方法においては、前記耐炎化処理を施さずに、このような炭化処理を、本発明の炭素材料前駆体又は炭素材料前駆体組成物に直接施すことも可能であるが、炭素材料の総収率が高くなるという観点から、耐炎化処理を施した後、炭化処理を施すことが好ましい。また、本発明にかかる「炭化処理」には、一般的に、不活性ガス雰囲気下、2000〜3000℃で加熱することによって行われる「黒鉛化」を含んでいてもよい。
また、本発明の炭素材料の製造方法においては、耐炎化処理の前に(耐炎化処理を施さなかった場合には炭化処理の前に)、使用する炭素材料前駆体又は炭素材料前駆体組成物を予め所望の形状(例えば、フィルム状、シート状、繊維状)に成形加工することが好ましい。このとき、炭素材料前駆体又は炭素材料前駆体組成物をそのまま加圧成形したり、溶融状態の炭素材料前駆体又は炭素材料前駆体組成物を用いて溶融成形(例えば、溶融キャスト成形、溶融押出成形、射出成形、溶融紡糸、スパンボンド、メルトブローン、遠心紡糸)してもよいが、前記炭素材料前駆体又は前記炭素材料前駆体組成物が前記水性溶媒又は前記水系混合溶媒に可溶な場合には、成形加工性が高まるという観点から、前記炭素材料前駆体又は前記炭素材料前駆体組成物を前記水性溶媒又は前記水系混合溶媒に溶解し、得られた水性溶液又は水系混合溶液を用いて成形すること、或いは、前述の重合後の炭素材料前駆体の溶液又は前述の湿式混合で得られる炭素材料前駆体組成物の溶液をそのまま若しくは所望の濃度に調整した後、成形すること、が好ましい。このような成形方法としては、溶液キャスト成形、湿式成形、乾式紡糸、湿式紡糸、乾湿式紡糸、ゲル紡糸、フラッシュ紡糸、又はエレクトロスピニングを行うことが好ましい。これにより、所望の形状の炭素材料前駆体又は炭素材料前駆体組成物を低コストで安全に製造することができる。また、より低コストで安全に炭素材料を製造することができるという観点から、溶媒として前記水性溶媒を使用することがより好ましく、水を使用することが特に好ましい。このように予め所望の形状に成形加工した炭素材料前駆体又は炭素材料前駆体組成物を用いることによって、所望の形状の炭素材料(例えば、炭素フィルム、炭素シート、炭素繊維)を製造することができる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
アクリルアミド(AAm)16.82g(237mmol)、アクリロニトリル(AN)4.30g(81.1mmol)、アクリル酸(AAc)0.468g(6.50mmol)及びテトラメチルエチレンジアミン0.940g(8.09mmol)をイオン交換水(116.4ml)に溶解し、メカニカルスターラーを用いて200rpmで攪拌した。窒素雰囲気下、35℃に加熱かつ200rpmで攪拌しながら、得られた水溶液に過硫酸アンモニウム0.740g(3.24mmol)をイオン交換水(5.76ml)に溶解した水溶液を滴下した後、溶液温度70℃で150分間重合反応を行った。その後、30分間かけて溶液温度を90℃に昇温し、この溶液温度で60分間重合反応を継続した。得られた水溶液を室温まで放冷した後、メタノール中に投入して共重合物を析出させ、これを回収して100℃で12時間真空乾燥させ、さらに120℃で3時間真空乾燥させることにより、水溶性のアクリルアミド/アクリロニトリル/アクリル酸共重合体(AAm/AN/AAc共重合体)からなる炭素材料前駆体を得た。
(実施例2)
アクリルアミド(AAm)26.88g(378mmol)、アクリロニトリル(AN)7.17g(135mmol)、アクリル酸(AAc)1.95g(27.0mmol)及びテトラメチルエチレンジアミン1.57g(13.5mmol)をイオン交換水(194ml)に溶解し、メカニカルスターラーを用いて200rpmで攪拌した。窒素雰囲気下、35℃に加熱かつ200rpmで攪拌しながら、得られた水溶液に過硫酸アンモニウム1.23g(5.41mmol)をイオン交換水(9.60ml)に溶解した水溶液を滴下した後、溶液温度70℃で150分間重合反応を行った。その後、30分間かけて溶液温度を90℃に昇温し、この溶液温度で60分間重合反応を継続した。得られた水溶液を室温まで放冷した後、メタノール中に投入して共重合物を析出させ、これを回収して100℃で12時間真空乾燥させ、さらに120℃で3時間真空乾燥させることにより、水溶性のアクリルアミド/アクリロニトリル/アクリル酸共重合体(AAm/AN/AAc共重合体)からなる炭素材料前駆体を得た。
(実施例3)
アクリルアミド(AAm)24.96g(351mmol)、アクリロニトリル(AN)7.17g(135mmol)、アクリル酸(AAc)3.89g(54.0mmol)及びテトラメチルエチレンジアミン1.57g(13.5mmol)をイオン交換水(194ml)に溶解し、メカニカルスターラーを用いて200rpmで攪拌した。窒素雰囲気下、35℃に加熱かつ200rpmで攪拌しながら、得られた水溶液に過硫酸アンモニウム1.23g(5.41mmol)をイオン交換水(9.60ml)に溶解した水溶液を滴下した後、溶液温度70℃で150分間重合反応を行った。その後、30分間かけて溶液温度を90℃に昇温し、この溶液温度で60分間重合反応を継続した。得られた水溶液を室温まで放冷した後、メタノール中に投入して共重合物を析出させ、これを回収して100℃で12時間真空乾燥させ、さらに120℃で3時間真空乾燥させることにより、水溶性のアクリルアミド/アクリロニトリル/アクリル酸共重合体(AAm/AN/AAc共重合体)からなる炭素材料前駆体を得た。
(比較例1)
アクリルアミド(AAm)8.52g(120mmol)をイオン交換水(190ml)に溶解し、マグネティックスターラーを用いて800rpmで攪拌した。得られた水溶液に重合開始剤として4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)336mg(1.20mmol)を添加し、窒素雰囲気下、溶液温度70℃で180分間重合反応を行った。得られた水溶液を室温まで放冷した後、メタノール中に投入して共重合物を析出させ、これを回収して100℃で12時間真空乾燥させ、さらに120℃で3時間真空乾燥させることにより、水溶性のポリアクリルアミド(PAAm)からなる炭素材料前駆体を得た。
(比較例2)
アクリルアミド(AAm)96.0g(1.35mol)、アクリロニトリル(AN)23.9g(0.45mol)及びテトラメチルエチレンジアミン6.75ml(0.045mol)をイオン交換水(470.6ml)に溶解し、メカニカルスターラーを用いて200rpmで攪拌した。窒素雰囲気下、45℃に加熱かつ200rpmで攪拌しながら、得られた水溶液に過硫酸アンモニウム2.52g(0.11mol)をイオン交換水(9.40ml)に溶解した水溶液を滴下した後、溶液温度78℃で120分間重合反応を行った。その後、30分間かけて溶液温度を90℃に昇温し、この溶液温度で60分間重合反応を継続した。得られた水溶液を室温まで放冷した後、メタノール中に投入して共重合物を析出させ、これを回収して100℃で12時間真空乾燥させ、さらに120℃で3時間真空乾燥させることにより、水溶性のアクリルアミド/アクリロニトリル共重合体(AAm/AN共重合体)からなる炭素材料前駆体を得た。
(比較例3)
アクリルアミド(AAm)16.82g(237mmol)、アクリロニトリル(AN)4.30g(81.1mmol)、アクリル酸メチル(MA)0.560g(6.50mmol)及びテトラメチルエチレンジアミン0.940g(8.09mmol)をイオン交換水(116.4ml)に添加し、メカニカルスターラーを用いて200rpmで攪拌した。窒素雰囲気下、35℃に加熱かつ200rpmで攪拌しながら、得られた水溶液に過硫酸アンモニウム0.741g(3.25mmol)をイオン交換水(5.76ml)に溶解した水溶液を滴下した後、溶液温度70℃で150分間重合反応を行った。その後、30分間かけて溶液温度を90℃に昇温し、この溶液温度で60分間重合反応を継続した。得られた水溶液を室温まで放冷した後、メタノール中に投入して共重合物を析出させ、これを回収して100℃で12時間真空乾燥させ、さらに120℃で3時間真空乾燥させることにより、水溶性のアクリルアミド/アクリロニトリル/アクリル酸メチル共重合体(AAm/AN/MA共重合体)からなる炭素材料前駆体を得た。
<共重合体の組成比の測定>
得られた炭素材料前駆体を構成するAAm/AN/AAc共重合体(実施例1〜3)、AAm/AN共重合体(比較例2)又はAAm/AN/MA共重合体(比較例3)をそれぞれ重水に溶解(重水に不溶な場合には重水素化ジメチルスルホキシドに溶解)し、得られた各溶液について、室温、周波数100MHzの条件で13C−NMR測定を行った。得られた13C−NMRスペクトルにおいて、約177ppm〜約182ppmに現れる、アクリルアミドのカルボニル基の炭素に由来するピークと、約121ppm〜約122ppmに現れる、アクリロニトリルのシアノ基の炭素に由来するピークと、約179ppm〜約182ppmに現れる、アクリル酸のカルボニル基の炭素に由来するピークと、約176ppm〜約179ppmに現れる、アクリル酸メチルのカルボニル基の炭素に由来するピークとの積分強度比に基づいて、AAm/AN/AAc共重合体中のアクリルアミド(AAm)単位及びアクリル酸(AAc)単位のアクリロニトリル(AN)単位に対するモル比((AAm+AAc)/AN)、AAm/AN共重合体中のアクリルアミド(AAm)単位とアクリロニトリル(AN)単位とのモル比(AAm/AN)及びAAm/AN/MA共重合体中のアクリルアミド(AAm)単位とアクリロニトリル(AN)単位とアクリル酸メチル(MA)単位とのモル比(AAm/AN/MA)を算出した。さらに、AAm/AN/AAc共重合体については、赤外分光分析(IR)を行った。得られたIRスペクトルにおいて、約1678cm−1に現れるアクリルアミドに由来するピークと、約2239cm−1に現れるアクリロニトリルに由来するピークと、約1715cm−1に現れるアクリル酸に由来するピークとの強度比に基づいて、AAm/AN/AAc共重合体中のアクリルアミド(AAm)単位とアクリル酸(AAc)単位とのモル比(AAm/AAc)を算出し、前記(AAm+AAc)/ANと前記AAm/AAcとからAAm/AN/AAc共重合体中のアクリルアミド(AAm)単位とアクリロニトリル(AN)単位とアクリル酸(AAc)単位とのモル比(AAm/AN/AAc)を求めた。それらの結果を表1に示す。
<重量平均分子量Mwの測定>
得られた炭素材料前駆体を構成するAAm/AN/AAc共重合体(実施例1〜3)、PAAm(比較例1)、AAm/AN共重合体(比較例2)及びAAm/AN/MA共重合体(比較例3)の重量平均分子量Mwを、ゲル浸透クロマトグラフィー(東ソー株式会社製「HLC−8220GPC」)を用いて下記の条件で測定した。その結果を表1に示す。
〔測定条件〕
カラム:TSKgel GMPWXL×2本+TSKgel G2500PWXL×1本。
溶離液:100mM硝酸ナトリウム水溶液/アセトニトリル=80/20。
溶離液流量:1.0ml/min。
カラム温度:40℃。
分子量標準物質:標準ポリエチレンオキシド/標準ポリエチレングリコール。
検出器:示差屈折率検出器。
<耐炎化収率の測定>
実施例及び比較例で得られた炭素材料前駆体をそれぞれ1〜2mg秤量し、示差熱天秤(株式会社リガク製「TG8120」)を用いて、空気流量500ml/minの空気雰囲気下、昇温速度10℃/minで室温から350℃まで加熱し、350℃で10分間保持(耐炎化処理)して炭素材料前駆体の耐炎化物を得た。耐炎化処理前後の炭素材料前駆体の質量保持率(炭素材料前駆体の耐炎化収率)を、真空乾燥後に炭素材料前駆体に吸着した水の影響を考慮し、150℃における炭素材料前駆体の質量を基準として、下記式:
炭素材料前駆体の耐炎化収率[%]=M350/M150×100
〔M350:空気雰囲気下、350℃で10分間加熱した後の炭素材料前駆体(耐炎化物)の質量、M150:150℃における炭素材料前駆体の質量〕
により求めた。その結果を表1に示す。
<炭化収率の測定>
前記炭素材料前駆体の耐炎化物を示差熱天秤(株式会社リガク製「TG8120」)を用いて、窒素流量500ml/minの窒素雰囲気下、昇温速度20℃/minで室温から1150℃まで加熱(炭化処理)して炭素材料を得た。1000℃まで加熱したときの耐炎化物の質量保持率(1000℃における耐炎化物の炭化収率)を、耐炎化物に吸着した水の影響を考慮し、150℃における耐炎化物の質量を基準として、下記式:
耐炎化物の炭化収率[%]=M1000/M150×100
〔M1000:窒素雰囲気下、1000℃まで加熱した後の耐炎化物(炭素材料)の質量、M150:150℃における耐炎化物の質量〕
により求めた。その結果を表1に示す。
<耐炎化・炭化の総収率の算出>
実施例及び比較例で得られた炭素材料前駆体の耐炎化・炭化の総収率を、下記式:
耐炎化・炭化の総収率[%]=(耐炎化収率/100)×(炭化収率/100)×100
により求めた。その結果を表1に示す。
表1に示した結果から明らかなように、アクリルアミド(AAm)に、アクリロニトリル(AN)とアクリル酸(AAc)とを共重合させること(実施例1〜3)によって、アクリルアミド(AAm)を単独重合させた場合(比較例1)に比べて、炭素材料前駆体の耐炎化収率が高くなり、また、アクリルアミド(AAm)に、アクリロニトリル(AN)を共重合させた場合(比較例2)又はアクリロニトリル(AN)とアクリル酸メチル(MA)とを共重合させた場合(比較例3)に比べて、耐炎化物の炭化収率が高くなり、それらの結果、AAm/AN/AAc共重合体からなる炭素材料前駆体(実施例1〜3)は、PAAmからなる炭素材料前駆体(比較例1)、AAm/AN共重合体からなる炭素材料前駆体(比較例2)及びAAm/AN/MA共重合体からなる炭素材料前駆体(比較例3)に比べて、耐炎化・炭化の総収率が向上することがわかった。
一方、アクリルアミド(AAm)に、アクリロニトリル(AN)を共重合させた場合(比較例2)又はアクリロニトリル(AN)とアクリル酸メチル(MA)とを共重合させた場合(比較例3)には、アクリルアミド(AAm)を単独重合させた場合(比較例1)に比べて、炭素材料前駆体の耐炎化収率は高くなるものの、耐炎化物の炭化収率が大きく低下することがわかった。
また、アクリルアミド(AAm)にアクリロニトリル(AN)を共重合させた場合(比較例2)には、アクリルアミド(AAm)を単独重合させた場合(比較例1)に比べて、重量平均分子量が低下しており、炭素材料前駆体の成形加工性が向上することがわかった。このような重量平均分子量の低下は、アクリルアミド(AAm)にアクリロニトリル(AN)とアクリル酸(AAc)とを共重合させた場合(実施例1〜3)にも見られ、アクリルアミド(AAm)にアクリル酸(AAc)を共重合させる場合にもアクリロニトリル(AN)を更に共重合させることによって、炭素材料前駆体の成形加工性を確保できることが確認された。
以上説明したように、本発明によれば、酸等の添加成分を配合しなくても、高い耐炎化収率、高い炭化収率及び高い耐炎化・炭化の総収率を有する、アクリルアミド系共重合体からなる炭素材料前駆体を得ることが可能となる。
したがって、本発明の炭素材料の製造方法は、使用する炭素材料前駆体が高い耐炎化収率、高い炭化収率及び高い耐炎化・炭化の総収率を有するため、低コストで効率よく安定して炭素材料を製造することが可能な方法として有用である。

Claims (3)

  1. アクリルアミド系モノマー単位40〜99.8モル%とシアン化ビニル系モノマー単位0.1〜35モル%と不飽和カルボン酸系モノマー単位0.1〜25モル%とを含有するアクリルアミド/シアン化ビニル/不飽和カルボン酸系共重合体からなることを特徴とする炭素材料前駆体。
  2. 前記シアン化ビニル系モノマー単位に対する前記不飽和カルボン酸系モノマー単位のモル比(不飽和カルボン酸系モノマー単位/シアン化ビニル系モノマー単位)が0.01/1〜1/1であることを特徴とする請求項1に記載の炭素材料前駆体。
  3. 請求項1又は2に記載の炭素材料前駆体に耐炎化処理を施し、次いで、炭化処理を施すことを特徴とする炭素材料の製造方法。
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