JP2019099591A - 炭素材料前駆体組成物及びそれを用いた炭素材料の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ビニルアルコール系ポリマーを含有し、高い炭化収率を有する炭素材料前駆体組成物及びそれを用いた炭素材料の製造方法を提供すること。【解決手段】ビニルアルコール系ポリマーと、リン酸、ポリリン酸、ホウ酸、ポリホウ酸、及びこれらの塩からなる群から選択される少なくとも1種の添加成分とを含有することを特徴とする炭素材料前駆体組成物、並びに、前記炭素材料前駆体組成物に、必要に応じて耐炎化処理を施した後、炭化処理を施すことを特徴とする炭素材料の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、炭素材料前駆体組成物及びそれを用いた炭素材料の製造方法に関する。
炭素材料の1種である炭素繊維の製造方法としては、従来から、ポリアクリロニトリルを紡糸して得られる炭素繊維前駆体に耐炎化処理を施した後、炭化処理を施す方法が主として採用されている(例えば、特公昭37−4405号公報(特許文献1)、特開2015−74844号公報(特許文献2)、特開2016−40419号公報(特許文献3)、特開2016−113726号公報(特許文献4))。この方法に用いられるポリアクリロニトリルは安価な汎用溶媒に溶解しにくいため、重合や紡糸の際に、ジメチルスルホキシドやN,N−ジメチルアセトアミド等の高価な溶媒を使用する必要があり、炭素繊維の製造コストが高くなるという問題があった。
一方、ポリビニルアルコールは一般的にはポリアクリロニトリルより安価であり、また、通常、水溶性を示すことから、重合や成形加工(フィルム化、シート化、紡糸)の際に、安価で環境負荷の小さい水を溶媒として使用することができるため、炭素材料の製造コストの削減が期待される。しかしながら、ポリビニルアルコールからなる炭素材料前駆体を窒素雰囲気下、500℃で加熱すると、質量が7%程度まで減少し、炭化収率が低いという問題があった。
そこで、ポリビニルアルコールからなる炭素材料前駆体の炭化収率を向上させるために、特開2003−128407号公報(特許文献5)及び特開2004−339627号公報(特許文献6)には、ポリビニルアルコールをヨウ素化処理した後、不活性ガス雰囲気中で高温熱処理することにより炭素材料を製造する方法が提案されている。また、特開2012−67432号公報(特許文献7)には、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子物質の水溶液に硫酸や硝酸等の架橋剤を添加した後、紡糸し、得られた繊維を炭素化及び/又は黒鉛化して炭素繊維を製造する方法が提案されている。
特公昭37−4405号公報 特開2015−74844号公報 特開2016−40419号公報 特開2016−113726号公報 特開2003−128407号公報 特開2004−339627号公報 特開2012−67432号公報
しかしながら、特許文献5〜6に記載の方法において高い炭化収率で炭素材料を製造するためには、長時間(例えば、50〜120時間)の熱処理が必要であり、しかも、ポリビニルアルコールよりも高価なヨウ素を多量に(ポリビニルアルコールの数倍以上の量を)使用する必要があるため、製造コストが非常に高くなるという問題があった。さらに、特許文献5〜6に記載の方法においては、加熱時に強い刺激臭を有し、強酸であるヨウ化水素が多量に生成するため、より安全で環境負荷の小さい方法が求められていた。また、特許文献7に記載の方法においては、炭化収率が必ずしも十分に高いものではなかった。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、ビニルアルコール系ポリマーを含有し、高い炭化収率を有する炭素材料前駆体組成物及びそれを用いた炭素材料の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、ビニルアルコール系ポリマーにリン酸、ポリリン酸、ホウ酸、ポリホウ酸、及びこれらの塩からなる群から選択される少なくとも1種の添加成分を添加することによって、ビニルアルコール系ポリマーを含有する炭素材料前駆体組成物の炭化収率が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の炭素材料前駆体組成物は、ビニルアルコール系ポリマーと、リン酸、ポリリン酸、ホウ酸、ポリホウ酸、及びこれらの塩からなる群から選択される少なくとも1種の添加成分とを含有することを特徴とすることを特徴とするものである。このような本発明の炭素材料前駆体組成物において、前記添加成分の含有量は前記ビニルアルコール系ポリマー100質量部に対して20〜60質量部であることが好ましい。
また、本発明の炭素材料の製造方法は、前記本発明の炭素材料前駆体組成物に炭化処理を施すことを特徴とする。さらに、本発明の炭素材料の製造方法においては、炭化処理の前に、本発明の炭素材料前駆体組成物に前記耐炎化処理を施すことが好ましい。
なお、本発明の炭素材料前駆体組成物が高い炭化収率を有する理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、本発明の炭素材料前駆体組成物を加熱すると、リン酸、ホウ酸、及びこれらの塩からはポリリン酸やポリホウ酸が生成し、ポリリン酸、ポリホウ酸及びこれらの塩は更に重縮合化する。このようにして生成したポリリン酸、ポリホウ酸、及びこれらの重縮合化物は、ビニルアルコール系ポリマーとの非共有結合性の相互作用によりビニルアルコール系ポリマーの耐熱性及び難燃性を向上させ、ビニルアルコール系ポリマーの主鎖の炭素成分の熱分解を抑制すると推察される。その結果、本発明の炭素材料前駆体組成物においては、ビニルアルコール系ポリマーが、炭素含有量を高く保持したまま、炭化物に変換されるため、炭化収率が高くなると推察される。
本発明によれば、ビニルアルコール系ポリマーを含有し、高い炭化収率を有する炭素材料前駆体組成物を得ることが可能となる。また、このような本発明の炭素材料前駆体組成物を用いることによって、低コストで安全に炭素材料を製造することが可能となる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
〔炭素材料前駆体組成物〕
先ず、本発明の炭素材料前駆体組成物について説明する。本発明の炭素材料前駆体組成物は、ビニルアルコール系ポリマー(炭素材料前駆体)と、リン酸、ポリリン酸、ホウ酸、ポリホウ酸、及びこれらの塩からなる群から選択される少なくとも1種の添加成分とを含有するものである。前記ビニルアルコール系ポリマーに前記添加成分を添加することによって、炭素材料前駆体組成物の炭化収率が向上する。
(ビニルアルコール系ポリマー)
本発明に用いられるビニルアルコール系ポリマーとしては特に制限はないが、水性溶媒(水、アルコール等、及びこれらの混合溶媒)及び水系混合溶媒(前記水性溶媒と有機溶媒(テトラヒドロフラン等)との混合溶媒)のうちの少なくとも一方に可溶なものが好ましい。これにより、炭素材料前駆体組成物を製造する際に、前記水性溶媒又は前記水系混合溶媒を用いた湿式混合が可能となり、ビニルアルコール系ポリマーと前記添加成分とを均一かつ低コストで安全に混合することが可能となる。また、得られた炭素材料前駆体組成物を成形する際には、前記水性溶媒又は前記水系混合溶媒を用いた成形加工(フィルム化、シート化、紡糸)が可能となり、低コストで安全に炭素材料を製造することが可能となる。
このようなビニルアルコール系ポリマーとしては、少なくともビニルモノマー及び/又はその塩(ナトリウム塩等)に由来するモノマー単位(以下、単に「ビニルアルコール単位」という)を含有するものであれば、ビニルアルコール及び/又はその塩の単独重合体(ポリビニルアルコール)であっても、ビニルアルコール及び/又はその塩と他のモノマーとの共重合体(ビニルアルコール単位と他のモノマー単位とを含むポリマー)であってもよいが、ビニルアルコール系ポリマーが前記水性溶媒及び前記水系混合溶媒のうちの少なくとも一方(好ましくは前記水性溶媒、より好ましくは水)に溶解しやすくなるという観点から、ビニルアルコール単位を50mol%以上含有するものが好ましく、ビニルアルコール単位を60mol%以上含有するものがより好ましく、ビニルアルコール単位を70mol%以上含有するものが更に好ましく、ビニルアルコール単位を80mol%以上含有するものが特に好ましく、ビニルアルコール及び/又はその塩の単独重合体が最も好ましい。
前記他のモノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、ピバリン酸ビニル等のカルボン酸ビニル;アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−(ヒドロキシメチル)メタクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド等のアクリルアミド系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、2−ヒドロキシエチルアクリロニトリル、クロロアクリロニトリル、クロロメタクリロニトリル、メトキシアクリロニトリル、メトキシメタクリロニトリル等のシアン化ビニル系モノマー;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸及びその塩;アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル等の不飽和カルボン酸エステル;無水マレイン酸、イタコン酸無水物等の不飽和カルボン酸無水物;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル系モノマー;エチレン、プロピレン等のオレフィン系モノマー;塩化ビニル、ビニルアミン、スルホン酸含有モノマーが挙げられる。これらの他のモノマーは1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。また、これらの他のモノマーの中でも、前記水性溶媒及び前記水系混合溶媒のうちの少なくとも一方(好ましくは前記水性溶媒、より好ましくは水)に対する溶解性が向上するという観点から、アクリルアミド系モノマー、不飽和カルボン酸及びその塩が好ましい。
(添加成分)
本発明に用いられる添加成分は、リン酸、ポリリン酸、ホウ酸、ポリホウ酸、及びこれらの塩からなる群から選択される少なくとも1種である。このような添加成分の中でも、前記水性溶媒及び前記水系混合溶媒のうちの少なくとも一方(好ましくは前記水性溶媒、より好ましくは水)に可溶なものが好ましい。これにより、炭素材料前駆体組成物を製造する際に、前記水性溶媒又は前記水系混合溶媒を用いた湿式混合が可能となり、ビニルアルコール系ポリマーと前記添加成分とを均一かつ低コストで安全に混合することが可能となる。また、得られた炭素材料前駆体組成物を成形する際には、前記水性溶媒又は前記水系混合溶媒を用いた成形加工(フィルム化、シート化、紡糸)が可能となり、低コストで安全に炭素材料を製造することが可能となる。
前記ポリリン酸は、複数のリン酸の脱水縮合物であり、少数のリン酸の脱水縮合物である二リン酸(ピロリン酸)、三リン酸、四リン酸等を含む。また、前記ポリホウ酸は、複数のホウ酸の脱水縮合物であり、少数のホウ酸の脱水縮合物である二ホウ酸、三ホウ酸、四ホウ酸等を含む。さらに、前記塩としては、金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩)、アンモニウム塩、アミン塩等が挙げられ、アンモニウム塩、アミン塩が好ましく、アンモニウム塩がより好ましい。特に、これらの添加成分のうち、得られる炭素材料前駆体組成物の炭化収率が更に向上するという観点から、リン酸、ポリリン酸、リン酸のアンモニウム塩、ポリリン酸のアンモニウム塩が好ましい。
<炭素材料前駆体組成物>
本発明の炭素材料前駆体組成物は、前記ビニルアルコール系ポリマー(炭素材料前駆体)と前記添加成分とを含有するものである。このような炭素材料前駆体組成物において、前記添加成分の含有量の下限としては特に制限はないが、炭素材料前駆体組成物の炭化収率がより向上するという観点から、前記ビニルアルコール系ポリマー100質量部に対して1質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましく、20質量部以上が更に好ましく、22質量部以上が特に好ましく、30質量部以上が最も好ましい。また、前記添加成分の含有量の上限としては特に制限はないが、前記ビニルアルコール系ポリマー100質量部に対して100質量部以下が好ましく、90質量部以下がより好ましく、80質量部以下が更に好ましく、70質量部以下が特に好ましく、60質量部以下が最も好ましい。
このような本発明の炭素材料前駆体組成物は、溶融した前記ビニルアルコール系ポリマーに前記添加成分を直接混合(溶融混合)することによって製造したり、前記ビニルアルコール系ポリマーと前記添加成分とをドライブレンド(乾式混合)することによって製造したりすることも可能であるが、使用する前記ビニルアルコール系ポリマー及び前記添加成分が前記水性溶媒及び前記水系混合溶媒のうちの少なくとも一方(好ましくは前記水性溶媒、より好ましくは水)に可溶なものである場合には、前記ビニルアルコール系ポリマー及び前記添加成分を前記水性溶媒又は前記水系混合溶媒に溶解(湿式混合)し、得られる溶液から前記溶媒を除去することによって製造することが好ましい。また、前記湿式混合において、前記ビニルアルコール系ポリマーの溶解性が向上するという観点から、前記水性溶媒又は前記水系混合溶媒を50℃以上(より好ましくは60℃以上、特に好ましくは80℃以上)に加熱することが好ましい。これにより、前記ビニルアルコール系ポリマーと前記添加成分とを均一かつ低コストで安全に混合することができる。また、前記湿式混合においては、より低コストで安全に炭素材料前駆体組成物を製造できるという観点から、溶媒として前記水性溶媒を使用することがより好ましく、水を使用することが特に好ましい。さらに、前記溶媒を除去する方法としては特に制限はなく、熱風乾燥、真空乾燥、凍結乾燥等の公知の乾燥方法を採用することができるが、設備が簡便であるという観点から、熱風乾燥が好ましい。
〔炭素材料の製造方法〕
次に、本発明の炭素材料の製造方法について説明する。本発明の炭素材料の製造方法は、前記本発明の炭素材料前駆体組成物に、必要に応じて耐炎化処理を施した後、炭化処理を施す方法である。
本発明の炭素材料の製造方法においては、本発明の炭素材料前駆体組成物に不活性雰囲気下(窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス中)、500℃以上の温度で加熱処理を施す(炭化処理)。これにより、炭素材料前駆体組成物中の前記ビニルアルコール系ポリマー(炭素材料前駆体)が炭化し、所望の炭素材料が得られる。このような炭化処理における加熱温度としては500℃以上であれば特に制限はないが、1000℃以上が好ましい。また、加熱温度の上限としては3000℃以下が好ましく、2500℃以下がより好ましい。さらに、炭化処理における加熱時間としては特に制限はないが、1〜60分間が好ましく、1〜30分間がより好ましい。
また、本発明の炭素材料の製造方法においては、前記炭化処理の前に、必要に応じて、本発明の炭素材料前駆体組成物に酸化性雰囲気下(例えば、空気中)で加熱処理(耐炎化処理)を施すことが好ましい。これにより、炭素材料前駆体組成物中の前記添加成分が作用して、炭素材料前駆体組成物中の前記ビニルアルコール系ポリマーの耐熱性が向上する。このような耐炎化処理における加熱温度としては500℃以下が好ましく、150〜400℃がより好ましい。また、耐炎化処理における加熱時間としては特に制限はないが、1分間〜12時間が好ましく、1〜60分間がより好ましい。
さらに、本発明の炭素材料の製造方法においては、炭化処理の前(耐炎化処理を施す場合にはその前)に、使用する炭素材料前駆体組成物を予め所望の形状(例えば、フィルム状、シート状、繊維状)に成形加工することが好ましい。このとき、炭素材料前駆体組成物をそのまま加圧成形したり、溶融状態の炭素材料前駆体組成物を用いて溶融成形(例えば、溶融キャスト成形、溶融押出成形、射出成形、溶融紡糸)してもよいが、本発明の炭素材料前駆体組成物を構成する前記ビニルアルコール系ポリマー及び前記添加成分が前記水性溶媒及び前記水系混合溶媒のうちの少なくとも一方(好ましくは前記水性溶媒、より好ましくは水)に可溶なものである場合には、前記炭素材料前駆体組成物を前記水性溶媒又は前記水系混合溶媒に溶解し、得られた溶液を用いて成形加工(フィルム化、シート化、紡糸)することが好ましい。これにより、所望の形状の炭素材料前駆体組成物を低コストで安全に製造することができる。また、より低コストで安全に炭素材料を製造することができるという観点から、溶媒として前記水性溶媒を使用することがより好ましく、水を使用することが特に好ましい。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
ポリビニルアルコール(PVA、和光純薬工業株式会社製ポリビニルアルコール500、完全けん化型)を濃度が10質量%となるように水に溶解した。得られたPVA水溶液を90℃に加熱した後、前記PVA100質量部に対して5質量部のリン酸を添加した。得られたリン酸含有PVA水溶液から減圧蒸留により水を除去し、得られた固体成分を真空乾燥して、PVAとリン酸とを含有する炭素材料前駆体組成物を得た。
(実施例2)
リン酸の代わりにリン酸水素二アンモニウム5質量部を用いた以外は実施例1と同様にして、PVAとリン酸水素二アンモニウムとを含有する炭素材料前駆体組成物を得た。
(実施例3)
リン酸の添加量を前記PVA100質量部に対して10質量部に変更した以外は実施例1と同様にして、PVAとリン酸とを含有する炭素材料前駆体組成物を得た。
(実施例4)
リン酸水素二アンモニウムの添加量を前記PVA100質量部に対して10質量部に変更した以外は実施例2と同様にして、PVAとリン酸水素二アンモニウムとを含有する炭素材料前駆体組成物を得た。
(実施例5)
リン酸水素二アンモニウムの添加量を前記PVA100質量部に対して20質量部に変更した以外は実施例2と同様にして、PVAとリン酸水素二アンモニウムとを含有する炭素材料前駆体組成物を得た。
(実施例6)
リン酸の添加量を前記PVA100質量部に対して25質量部に変更した以外は実施例1と同様にして、PVAとリン酸とを含有する炭素材料前駆体組成物を得た。
(実施例7)
リン酸水素二アンモニウムの添加量を前記PVA100質量部に対して25質量部に変更した以外は実施例2と同様にして、PVAとリン酸水素二アンモニウムとを含有する炭素材料前駆体組成物を得た。
(実施例8)
リン酸の代わりにポリリン酸25質量部を用いた以外は実施例1と同様にして、PVAとポリリン酸とを含有する炭素材料前駆体組成物を得た。
(実施例9)
リン酸水素二アンモニウムの添加量を前記PVA100質量部に対して33質量部に変更した以外は実施例2と同様にして、PVAとリン酸水素二アンモニウムとを含有する炭素材料前駆体組成物を得た。
(実施例10)
リン酸水素二アンモニウムの添加量を前記PVA100質量部に対して50質量部に変更した以外は実施例2と同様にして、PVAとリン酸水素二アンモニウムとを含有する炭素材料前駆体組成物を得た。
(実施例11)
リン酸の代わりにホウ酸10質量部を用いた以外は実施例1と同様にして、PVAとホウ酸とを含有する炭素材料前駆体組成物を得た。
(実施例12)
ホウ酸の添加量を前記PVA100質量部に対して33質量部に変更した以外は実施例11と同様にして、PVAとホウ酸とを含有する炭素材料前駆体組成物を得た。
(比較例1)
前記ポリビニルアルコールを炭素材料前駆体としてそのまま使用した。
(比較例2)
リン酸の代わりに硫酸10質量部を用いた以外は実施例1と同様にして、PVAと硫酸とを含有する炭素材料前駆体組成物を得た。
(比較例3)
リン酸の代わりに硝酸10質量部を用いた以外は実施例1と同様にして、PVAと硝酸とを含有する炭素材料前駆体組成物を得た。
<炭化収率の測定>
実施例及び比較例で得られた各炭素材料前駆体組成物(比較例1についてはPVA)3mgを80℃で12時間真空乾燥して残存する水を除去した後、示差熱天秤(株式会社リガク製「TG8120」)を用いて、流量200ml/minの窒素気流中、昇温速度10℃/minで室温から500℃まで加熱した。500℃における炭素材料前駆体組成物の炭化収率を、室温における炭素材料前駆体組成物の質量を基準として、下記式:
炭化収率[%]=M500/M×100
〔M500:500℃における炭素材料前駆体組成物の質量、M:室温における炭素材料前駆体組成物の質量〕
により求めた。その結果を表1に示す。
表1に示した結果から明らかなように、ビニルアルコール系ポリマーにリン酸等の特定の添加成分を添加することによって、炭素材料前駆体組成物の炭化収率が向上し、さらに、硫酸又は硝酸を添加した場合に比べても、炭素材料前駆体組成物の炭化収率が向上することが確認された。
(製造例1)
実施例9で得られた炭素材料前駆体組成物に、空気中、200℃で30分間の加熱処理(耐炎化処理)を施して耐炎化炭素材料前駆体を得た。この耐炎化炭素材料前駆体に、窒素ガス雰囲気下、1000℃で10分間の加熱処理(炭化処理)を施して炭素材料を得た。
以上説明したように、本発明によれば、ビニルアルコール系ポリマーを含有し、高い炭化収率を有する炭素材料前駆体組成物を得ることが可能となる。
したがって、本発明の炭素材料の製造方法は、低コストで安全に炭素材料を製造することができる方法として有用である。

Claims (4)

  1. ビニルアルコール系ポリマーと、リン酸、ポリリン酸、ホウ酸、ポリホウ酸、及びこれらの塩からなる群から選択される少なくとも1種の添加成分とを含有することを特徴とする炭素材料前駆体組成物。
  2. 前記添加成分の含有量が前記ビニルアルコール系ポリマー100質量部に対して20〜60質量部であることを特徴とする請求項1に記載の炭素材料前駆体組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の炭素材料前駆体組成物に炭化処理を施すことを特徴とする炭素材料の製造方法。
  4. 前記炭化処理の前に、前記炭素材料前駆体組成物に耐炎化処理を施すこと特徴とする請求項3に記載の炭素材料の製造方法。
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