JP2020109803A - 静電チャック - Google Patents

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Abstract

【課題】静電チャックを構成する板状部材とベース部材との分離の際に、板状部材やベース部材に変形、汚れ、傷、コンタミネーション等が発生することを抑制することができる静電チャックを提供する。【解決手段】静電チャックは、第1の方向に略直交する第1の表面と、第1の表面とは反対側の第2の表面とを有する板状部材と、第3の表面を有し、第3の表面が板状部材の第2の表面側に位置するように配置されたベース部材と、板状部材とベース部材との間に配置され、かつ、樹脂材料により形成された接合部とを備え、板状部材の第1の表面上に対象物を保持する静電チャックである。静電チャックは、さらに、板状部材とベース部材との間に配置され、かつ、第1の方向視において、接合部に重なるように配置された内側部と、内側部に連続し、かつ、第1の方向視において、板状部材の外側に位置する外側部とを有するワイヤ部を備える。【選択図】図3

Description

本明細書に開示される技術は、静電チャックに関する。
例えば半導体を製造する際にウェハを保持するために、静電チャックが用いられる。静電チャックは、例えばセラミックス製の板状部材と、例えば金属製のベース部材と、板状部材とベース部材とを接合する接合部と、板状部材の内部に設けられたチャック電極とを備えており、チャック電極に電圧が印加されることにより発生する静電引力を利用して、板状部材の第1の表面(吸着面)にウェハを吸着して保持する。
静電チャックに保持されたウェハに対する各処理(成膜、エッチング等)は、例えば、プラズマイオンをウェハに引き込むことにより行われている。このプラズマイオンの発生は、例えば、プラズマイオン発生用の高周波電源を静電チャックの外部に配置された電極とベース部材とに接続し、高周波電圧をかけて、処理ガスをプラズマ化することにより行われる。
静電チャックでは、長期間の使用等により、接合部の劣化や板状部材の摩耗等が発生する場合がある。このような場合に、接着されている板状部材とベース部材とを分離し、板状部材とベース部材との少なくとも一方を再利用して静電チャックを新たに製造する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。従来、板状部材とベース部材との分離は、金属刃やワイヤソー等を用いて接着層を削り取る方法や、静電チャックを高温(例えば、200〜400℃)になるまで加熱して接合部に含まれる接着剤を熱分解させる方法等により行われている。
特開2007−129142号公報
上述した金属刃やワイヤソー等を用いて接合部を削り取る方法では、例えば、板状部材とベース部材との間の切断部分に金属刃やワイヤソー等を位置合わせすることが必要となり、当該位置合わせや切断の際に板状部材やベース部材の側面を傷つけるおそれがある。また、板状部材とベース部材との間の内部において所望の部分を切断することが困難である。また、削り取りの際に発生する屑によってコンタミネーションが発生するおそれもある。このようなことから、板状部材やベース部材の再利用に支障となるおそれがある。また、上述した静電チャックを加熱して接合部に含まれる接着剤を熱分解させる方法では、熱によって板状部材やベース部材が変形したり、有機物等の燃焼による汚れが発生したりして、やはり板状部材やベース部材の再利用に支障となるおそれがある。
本明細書では、上述した課題を解決することが可能な技術を開示する。
本明細書に開示される技術は、例えば、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本明細書に開示される静電チャックは、第1の方向に略直交する第1の表面と、前記第1の表面とは反対側の第2の表面と、を有する板状部材と、第3の表面を有し、前記第3の表面が前記板状部材の前記第2の表面側に位置するように配置されたベース部材と、前記板状部材と前記ベース部材との間に配置され、かつ、樹脂材料により形成された接合部と、を備え、前記板状部材の前記第1の表面上に対象物を保持する静電チャックにおいて、前記板状部材と前記ベース部材との間に配置され、かつ、前記第1の方向視において、前記接合部に重なるように配置された内側部と、前記内側部に連続し、かつ、前記第1の方向視において、前記板状部材の外側に位置する外側部と、を有するワイヤ部、を備える。
本静電チャックでは、ワイヤ部の外側部に外力を加えることにより、板状部材とベース部材との間の内部において、内側部を移動させることができる。これにより、内側部が移動する部分において、板状部材とベース部材とを分離することができる。このように、本静電チャックでは、板状部材とベース部材との間の一部において両部材を分離することができるため、当該一部において両部材を分離していない場合に比べ、その後、比較的小さい力で両部材を完全に分離することができる。このため、静電チャックを構成する板状部材とベース部材とを分離するための工程として、接合部に含まれる接着剤の分解温度まで、静電チャックを加熱する工程等を必要とせず、板状部材やベース部材の熱による変形等を抑制することができる。また、本静電チャックによれば、内側部が予め板状部材とベース部材との間に配置されているため、板状部材とベース部材との間における所望の切断部分にワイヤ部を位置合わせすることが不要であり、当該位置合わせや切断の際に板状部材やベース部材の側面を傷つけることを抑制することができる。また、本静電チャックによれば、板状部材とベース部材との間の内部において、板状部材とベース部材とを分離することが可能である。このため、当該分離の際に生じる接合部の屑が、静電チャックの外部へ散逸することを抑制し、ひいては、コンタミネーションの発生を抑制することができる。
(2)上記静電チャックにおいて、前記板状部材に配置された電極と、前記電極に電気的に接続される少なくとも1つの給電端子と、を備え、前記第1の方向視において、前記少なくとも1つの給電端子は、前記ワイヤ部の前記内側部と、前記接合部の外縁とにより画定される2つの領域の内の一方にのみ配置されている構成としてもよい。本静電チャックによれば、上記2つの領域の内の他方、すなわち、上記2つの領域の内の給電端子が配置されていない領域において内側部を移動させることにより、給電端子に干渉することなく、板状部材とベース部材との間を分離することができる。
(3)上記静電チャックにおいて、前記第1の方向視において、前記板状部材の中心は、前記2つの領域の内の他方に位置している構成としてもよい。本静電チャックによれば、上記2つの領域の内の他方において内側部を移動させることにより、給電端子に干渉することなく、さらには、板状部材とベース部材との分離が困難な部分である、第1の方向視において、板状部材の中心を含む部分において板状部材とベース部材との間を分離することができる。
(4)上記静電チャックにおいて、第1の方向視において、前記接合部の外縁によって囲まれた領域における面積に対する、前記2つの領域の内の他方における面積の比は、7割以上である構成としてもよい。本静電チャックによれば、板状部材とベース部材との間においてより広範囲に分離することができる。
(5)上記静電チャックにおいて、複数の前記ワイヤ部、を備える構成としてもよい。本静電チャックでは、板状部材とベース部材との間の内部において、複数のワイヤ部が有する内側部のそれぞれを移動させることができる。これにより、本静電チャックによれば、板状部材とベース部材との間の内部における、所望の複数の部分において両部材を分離することができる。
(6)上記静電チャックにおいて、前記内側部の長さと前記外側部の長さとの合計は、前記接合部の外縁の長さ以上である構成としてもよい。本静電チャックによれば、第1の方向視において、板状部材とベース部材との間においてより広範囲に配置することができ、ひいては、板状部材とベース部材との間においてより広範囲に分離することができる。
(7)上記静電チャックにおいて、前記ワイヤ部の引張強度は、前記接合部の引張強度より大きい構成としてもよい。本静電チャックによれば、ワイヤ部によって、板状部材とベース部材との間に存在する接合部を効率的に切断することができる。
(8)上記静電チャックにおいて、前記ワイヤ部は、樹脂材料により形成されている構成としてもよい。本静電チャックによれば、金属材料により形成されている場合に比べ、板状部材とベース部材との間を切断する際に、両部材を傷つけることを抑制することができる。また、本静電チャックでは、ワイヤ部が接合部と同様に樹脂材料により形成されているため、ワイヤ部の熱伝導率が接合部の熱伝導率と近い。このため、本静電チャックによれば、ワイヤ部を備えることによって、接合部における熱伝導性のばらつきが生じることを抑制することができる。また、本静電チャックによれば、ワイヤ部が金属材料により形成されている場合に比べ、静電チャックの使用時における良好な耐プラズマ性を確保することができる。
(9)上記静電チャックにおいて、前記外側部を覆う保護部材、を備える構成としてもよい。本静電チャックによれば、静電チャックの使用時において、外側部が静電チャックに固定され、かつ、静電チャックの外部へ露出しないため、良好な取扱性を確保することができる。
なお、本明細書に開示される技術は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、静電チャックおよびその製造方法等の形態で実現することが可能である。
第1実施形態における静電チャック100の外観構成を概略的に示す斜視図である。 第1実施形態における静電チャック100のXZ断面構成を概略的に示す説明図である。 第1実施形態における静電チャック100のXY断面構成を概略的に示す説明図である。 第1実施形態における静電チャック100の一部分(図2および図3のX1部)のXZ断面構成を概略的に示す説明図である。 第2実施形態における静電チャック100aのXY断面構成を概略的に示す説明図である。
A.本実施形態:
A−1.静電チャック100の構成:
図1は、本実施形態における静電チャック100の外観構成を概略的に示す斜視図であり、図2は、本実施形態における静電チャック100のXZ断面構成を概略的に示す説明図であり、図3は、本実施形態における静電チャック100のXY断面構成を概略的に示す説明図である。図2には、図3のII−IIの位置における静電チャック100のXZ断面構成が示されている。図3には、図2のIII−IIIの位置における静電チャック100のXY断面構成が示されている。各図には、方向を特定するための互いに直交するXYZ軸が示されている。本明細書では、便宜的に、Z軸正方向を上方向といい、Z軸負方向を下方向というものとするが、静電チャック100は実際にはそのような向きとは異なる向きで設置されてもよい。
静電チャック100は、対象物(例えば半導体ウェハW)を静電引力により吸着して保持する装置であり、例えば半導体製造装置の真空チャンバー内でウェハW(以下、「ウェハW」という)を固定するために使用される。静電チャック100は、所定の配列方向(本実施形態では上下方向(Z軸方向))に並べて配置された板状部材10およびベース部材20を備える。板状部材10とベース部材20とは、板状部材10の下面S2(図2参照)とベース部材20の上面S3とが、後述する接合部30を挟んで上記配列方向に対向するように配置される。すなわち、ベース部材20は、ベース部材20の上面S3が板状部材10の下面S2側に位置するように配置される。
板状部材10は、上述した配列方向(Z軸方向)に略直交する略円形平面状の上面(以下、「吸着面」という)S1を有する部材であり、例えばセラミックス(例えば、アルミナや窒化アルミニウム等)により形成されている。板状部材10の直径は例えば50mm〜500mm程度(通常は200mm〜350mm程度)であり、板状部材10の厚さは例えば1mm〜10mm程度である。板状部材10の吸着面S1は、特許請求の範囲における第1の表面に相当し、板状部材10の下面S2は、特許請求の範囲における第2の表面に相当し、Z軸方向は、特許請求の範囲における第1の方向に相当する。また、本明細書では、Z軸方向に直交する方向を「面方向」ともいう。
図2に示すように、板状部材10の内部には、導電性材料(例えば、タングステン、モリブデン、白金等)により形成されたチャック電極40が配置されている。Z軸方向視でのチャック電極40の形状は、例えば略円形である。チャック電極40に電源(図示せず)から電圧が印加されると、静電引力が発生し、この静電引力によってウェハWが板状部材10の吸着面S1に吸着固定される。
板状部材10の内部には、また、導電性材料(例えば、タングステン、モリブデン、白金等)を含む抵抗発熱体により構成されたヒータ電極50が配置されている。ヒータ電極50に電源(図示せず)から電圧が印加されると、ヒータ電極50が発熱することによって板状部材10が温められ、板状部材10の吸着面S1に保持されたウェハWが温められる。これにより、ウェハWの温度分布の制御が実現される。
ベース部材20は、例えば板状部材10と同径の、または、板状部材10より径が大きい円形平面の板状部材であり、例えば金属(アルミニウムやアルミニウム合金等)により形成されている。ベース部材20の直径は、例えば220mm〜550mm程度(通常は220mm〜350mm)であり、ベース部材20の厚さは例えば20mm〜40mm程度である。ベース部材20の上面S3は、特許請求の範囲における第3の表面に相当する。
ベース部材20は、板状部材10の下面S2とベース部材20の上面S3との間に配置された接合部30によって、板状部材10に接合されている。接合部30の厚さは、例えば0.1mm〜1.5mm程度である。接合部30は、樹脂材料(接着材料)により形成されている。なお、本明細書において、「樹脂材料により形成されている」とは、接合部30が樹脂材料を主成分として含んでいることを意味する。また、本明細書において、「主成分」とは、体積含有率が50vol%より大きい成分を意味する。接合部30を形成する樹脂材料としては、シリコーン樹脂やフッ素樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等の種々の樹脂材料を用いることができるが、耐熱性が高く、かつ、柔軟性が良好である観点から、シリコーン樹脂やアクリル樹脂を用いることが好ましい。また、接合部30は、樹脂材料に加えて、例えばセラミックス粉末等の充填材(フィラー)を含んでいてもよい。また、本実施形態において、接合部30の引張強度は、例えば、0.5MPa以上である。なお、引張強度の値は、後述の評価手法を用いて算出することができる。また、接合部30を介した板状部材10とベース部材20との間の伝熱(熱引き)を良好とする観点から、接合部30を形成する樹脂材料の熱伝導率は、0.3W/m・K以上であることが好ましい。また、静電チャック100は、板状部材10とベース部材20との間にワイヤ部60を備えている。本実施形態において、ワイヤ部60は、接合部30の内部に配置されている(図3参照)。ワイヤ部60を含む接合部30の周辺の構成については、後に詳述する。
ベース部材20の内部には冷媒流路21が形成されている。冷媒流路21に冷媒(例えば、フッ素系不活性液体や水等)が流されると、ベース部材20が冷却され、接合部30を介したベース部材20と板状部材10との間の伝熱(熱引き)により板状部材10が冷却され、板状部材10の吸着面S1に保持されたウェハWが冷却される。これにより、ウェハWの温度分布の制御が実現される。
A−2.チャック電極40およびヒータ電極50への給電のための構成:
次に、図2を用いて、チャック電極40およびヒータ電極50への給電のための構成について説明する。静電チャック100は、ヒータ電極50への給電のための構成を備えている。すなわち、図2に示すように、静電チャック100には、ベース部材20の下面S4から板状部材10の内部に至るヒータ電極用端子用孔150が形成されている。ヒータ電極用端子用孔150は、ベース部材20を上下方向に貫通する貫通孔25と、接合部30を上下方向に貫通する貫通孔35と、板状部材10の下面S2側に形成された凹部15とが、互いに連通することにより構成された一体の孔である。本実施形態では、ヒータ電極用端子用孔150を構成する貫通孔25,35は、断面(面方向に平行な断面)が円形状の孔である。
板状部材10におけるヒータ電極用端子用孔150を構成する凹部15の底面には、ヒータ電極用ビア51を介してヒータ電極50と電気的に接続されたヒータ電極用電極パッド52が配置されている。ヒータ電極用電極パッド52およびヒータ電極用ビア51は、導電性材料(例えば、タングステン、モリブデン、白金等)により形成されている。なお、ヒータ電極用電極パッド52は、厚さ方向(Z軸方向)の全体が板状部材10から露出している。ただし、ヒータ電極用電極パッド52の下面が板状部材10から露出している限りにおいて、ヒータ電極用電極パッド52における厚さ方向の一部分または全体が、板状部材10に埋設されていてもよい。
ヒータ電極用端子用孔150内には、Z軸方向に延びる柱状のヒータ電極用給電端子54が配置されている。本実施形態では、ヒータ電極用給電端子54のXY断面(面方向に平行な断面)は、円形である。ヒータ電極用給電端子54の上端は、ヒータ電極用電極パッド52と隙間を介して対向しており、ヒータ電極用給電端子54は、例えば、ヒータ電極側ろう付け部(図示せず)によってヒータ電極用電極パッド52に接合されている。
ヒータ電極50への給電のための構成は上述の通りである。静電チャック100の使用時には、電源(図示しない。)から、ヒータ電極用給電端子54、ヒータ電極用電極パッド52およびヒータ電極用ビア51を介してヒータ電極50に至る導通経路を介して、ヒータ電極50に電圧が印加される。これにより、ヒータ電極50が発熱する。
なお、チャック電極40への給電のための構成も、ヒータ電極50への給電のための構成と同様である。すなわち、図2に示すように、静電チャック100には、ベース部材20の下面S4から板状部材10の内部に至るチャック電極用端子用孔140が形成されている。チャック電極用端子用孔140は、ベース部材20を上下方向に貫通する貫通孔24と、接合部30を上下方向に貫通する貫通孔34と、板状部材10の下面S2側に形成された凹部14とが、互いに連通することにより構成された一体の孔である。また、板状部材10におけるチャック電極用端子用孔140を構成する凹部14の底面には、チャック電極用ビア41を介してチャック電極40と電気的に接続されたチャック電極用電極パッド42が配置されている。チャック電極用電極パッド42およびチャック電極用ビア41の構成については、ヒータ電極用電極パッド52およびヒータ電極用ビア51と同様であるため、説明を省略する。チャック電極用端子用孔140内には、Z軸方向に延びる柱状かつ金属製のチャック電極用給電端子44が配置されている。
静電チャック100の使用時には、電源(図示しない。)から、チャック電極用給電端子44、チャック電極用電極パッド42およびチャック電極用ビア41を介してチャック電極40に至る導通経路を介して、チャック電極40に電圧が印加される。これにより、ウェハWを吸着面S1に吸着固定するための静電引力が発生する。
チャック電極用電極パッド42およびヒータ電極用電極パッド52は、特許請求の範囲における電極に相当し、チャック電極用給電端子44およびヒータ電極用給電端子54は、特許請求の範囲における給電端子に相当する。以下、チャック電極用電極パッド42とヒータ電極用電極パッド52とをまとめて電極パッド42,52ということがあり、チャック電極用給電端子44とヒータ電極用給電端子54とをまとめて給電端子44,54ということがあり、チャック電極用端子用孔140とヒータ電極用端子用孔150とをまとめて端子用孔140,150ということがある。
図3に示すように、本実施形態において、静電チャック100には、1つのチャック電極用給電端子44(チャック電極用端子用孔140)と、7つのヒータ電極用給電端子54(ヒータ電極用端子用孔150)との合計8つの給電端子44,54(端子用孔140,150)が備えられている。また、本実施形態において、これら8つの給電端子44,54(端子用孔140,150)は、Z軸方向視において、接合部30の外周付近において、周方向に配置されている。より詳細には、給電端子44,54は、Z軸方向視において、接合部30の中心POと、給電端子44,54の中心との距離Lrが、接合部30における半径Rの2分の1以上の長さとなる位置に配置されている。また、接合部30の半径Rと距離Lrとの差(すなわち、「吸着面S1の半径R−距離Lr」)は、例えば、75mm以下であることが好ましい。
A−3.接合部30の周辺の詳細構成:
次に、接合部30の周辺の詳細構成について説明する。図4は、本実施形態の静電チャック100の接合部30の周辺部(図2および図3におけるX1部)のXZ断面構成を拡大して示す説明図である。
上述したように、本実施形態の静電チャック100は、接合部30の内部に1つのワイヤ部60を備えている。図3に示すように、本実施形態において、ワイヤ部60は、1つの内側部601と、内側部601に連続する2つの外側部603とを有している。内側部601は、Z軸方向視において、接合部30に重なるように配置された部分であり、外側部603は、Z軸方向視において、板状部材10の外側に位置する部分である。このように、ワイヤ部60は、内側部601と2つの外側部603とから構成される1本の線形状の部材である。
本実施形態において、ワイヤ部60は、良好な熱伝導性および良好な耐プラズマ性を確保し、かつ、ワイヤ部60の破片が生じた際にウェハWや半導体製造装置、プラズマ等への影響が小さい観点から、樹脂材料により形成されている。また、本実施形態において、ワイヤ部60の引張強度は、接合部30の引張強度より大きく、より詳細には、接合部30の引張強度に対して、2割以上大きいことが好ましい。ワイヤ部60の引張強度は、より好ましくは、0.6MPa以上、特に好ましくは、1MPa以上である。また、本実施形態において、ワイヤ部60の断面形状(ワイヤ部60の長手方向に直交する方向における断面形状)は、略円形である。本実施形態において、ワイヤ部60の断面における直径は、板状部材10とベース部材20との接着性を確保する観点から、例えば、接合部30の厚みに対して3分の1以下であることが好ましい。また、ワイヤ部60の強度を確保する観点から、ワイヤ部60の断面における直径は、100μm以上であることが好ましい。より詳細には、ワイヤ部60の断面における直径は、10μm以上、150μm以下であることが好ましい。
図3に示すように、本実施形態において、ワイヤ部60の内の内側部601は、Z軸方向視において、外側部603に連続する部分以外の部分において、略円形状に配置されている。本実施形態において、内側部601は、Z軸方向視の接合部30において、端子用孔140,150より中心PO側、かつ、端子用孔140,150に近接して配置されている。より詳細には、Z軸方向視において、内側部601と端子用孔140,150の外縁との間の最短距離W1(図4参照)は、3mm以上、15mm以下である。本実施形態において、接合部30のXY断面は、内側部601によって仕切られた外側の領域である外側領域R1と、内側の領域である内側領域R2とを含んでいる。本実施形態において、外側領域R1は、接合部30の外縁と内側部601とによって囲まれた領域であって、全ての給電端子44,54が位置している領域である。一方、内側領域R2は、接合部30の外縁と内側部601とによって囲まれた領域であって、接合部30の中心POが位置し、かつ、いずれの給電端子44,54も位置していない領域である。すなわち、Z軸方向視において、全ての給電端子44,54は、ワイヤ部60の内側部601と、接合部30の外縁とにより画定される2つの領域(外側領域R1および内側領域R2)の内の一方である外側領域R1にのみ配置されている。また、Z軸方向視において、板状部材10の中心POは、上記2つの領域(外側領域R1および内側領域R2)の内の他方である内側領域R2に位置している。本実施形態において、Z軸方向視において、外側領域R1と内側領域R2とから構成される接合部30全体の面積に対する、給電端子44,54が位置していない領域である内側領域R2の面積の比は7割以上であることが好ましい。外側領域R1は、特許請求の範囲における「2つの領域の内の一方」に相当し、内側領域R2は、特許請求の範囲における「2つの領域の内の他方」に相当する。
また、本実施形態において、ワイヤ部60の長さ、すなわち、内側部601の長さLiと外側部603の長さLoとの合計(Li+Lo×2)は、接合部30の外縁の長さLb以上である。後述する板状部材10とベース部材20とを分離する際の操作性が良好であり、また、接合部30(すなわち、板状部材10とベース部材20との間)を広範囲において分離可能とする観点から、ワイヤ部60の長さ(Li+Lo×2)は、接合部30の外縁の長さLbより50mm以上長いことが好ましい。また、外側部603の長さLoは、上記分離の際の操作性の観点から、それぞれ、25mm以上であることが好ましい。また、2つの外側部603間の距離であって、接合部30の外縁に沿った距離D0は、作業性の観点から、450mm以下である。
また、図4に示すように、本実施形態において、ワイヤ部60の内の内側部601は、Z軸方向において、接合部30の中央に配置されている。すなわち、Z軸方向において、板状部材10の下面S2と内側部601との間の距離D1と、ベース部材20の上面S3と内側部601との間の距離D2とは、同じ距離である。
A−4.静電チャック100の分離方法:
次に、本実施形態における静電チャック100の分離方法を説明する。静電チャック100の分離方法は、静電チャック100において接着されている板状部材10とベース部材20とを分離する方法である。まず、静電チャック100を固定する。次いで、ワイヤ部60の2つの外側部603をそれぞれ把持し、当該把持した2つの外側部603を図3に示す矢印方向へ向かって引っ張る。すなわち、2つの外側部603を同じ方向へ引っ張ることによって、内側部601が給電端子44,54に干渉することなく、静電チャック100の外部へ取り出すことが可能な方向へ外側部603を引っ張る。これにより、接合部30の内部の内の内側部601が通過した部分(すなわち、内側領域R2)において、接合部30を破壊することができる。その後、静電チャック100の板状部材10とベース部材20とをそれぞれ固定し、例えば、両者に振動を加えたり、両者を反対の方向へ回転させたりすることにより、板状部材10とベース部材20とを分離する。
A−5.静電チャック100の製造方法:
本実施形態の静電チャック100の製造方法は、例えば以下の通りである。まず、公知の方法により、板状部材10を作製する。例えば、セラミックスグリーンシートを複数枚作製し、所定のセラミックスグリーンシートに所定の加工を行う。所定の加工としては、例えば、チャック電極40やヒータ電極50等の形成のためのメタライズペーストの印刷、各種ビアの形成のための孔空けおよびメタライズペーストの充填、端子用孔140,150を構成する凹部14,15等の孔空け等が挙げられる。これらのセラミックスグリーンシートを積層して熱圧着し、切断等の加工を行うことにより、セラミックスグリーンシートの積層体を作製する。作製されたセラミックスグリーンシートの積層体を焼成することにより、セラミックス焼成体である板状部材10を作製する。また、公知の方法により、ベース部材20を作製する。
また、接合部30を形成するためのシート状接着剤を作製する。具体的には、液状の樹脂材料に充填材を加えて作製したペーストを、例えば離型シート上に膜状に塗布した後、所定の硬化処理によって半硬化させることにより、シート状接着剤を作製する。作製されたシート状接着剤に対して、例えば打ち抜き加工を行うことにより、シート状接着剤の形状を所望の形状(例えば、略円形)にし、さらに、凹部14,15等の孔空けを行う。このようなシート状接着剤を2枚準備する。準備された2枚のシート状接着剤の内の一方の上面に対して、市販のワイヤ部60(例えば、株式会社松謙社製、ケブラー糸(ケブラー(登録商標)製糸))を配置する。より詳しくは、図3に示すように、Z軸方向において、接合部30内の内側部601が、給電端子44,54(端子用孔140,150)より内側となるよう、シート状接着剤に対して内側部601を配置する。その後、当該ワイヤ部60が配置されたシート状接着剤に対して、ワイヤ部60を挟むように、かつ、Z軸方向において、凹部14,15等の位置が一致するように、シート状接着剤の内の他方を積層する。このようにして、シート状接着剤を作製する。
その後、シート状接着剤を用いて、板状部材10とベース部材20とを接合する。具体的には、板状部材10とベース部材20との一方の表面(接合面)にシート状接着剤を配置し、板状部材10とベース部材20とをシート状接着剤を介して貼り合わせ、シート状接着剤を硬化させる硬化処理を行うことにより、接合部30を形成する。主として以上の工程により、本実施形態の静電チャック100が製造される。
A−6.引張強度の評価手法:
本実施形態において、上述の引張強度の値は以下の手法により算出した。公知の引張試験機(例えば、島津製作所製オートグラフ(AG−IS))を使用し、引張試験(50mm/分で実施)での、接合部30およびワイヤ部60の引張強度を測定した。接合部30およびワイヤ部60について、測定のための各試験片は、次のように作製した。接合部30の試験片は、上述のように作製した接着シートを100℃で10時間硬化させた後、さらに、150℃で50時間硬化させ、幅10mm×長さ70mm×厚さ0.35mmの短冊状に切り出すことにより試験片を作製した。また、ワイヤ部60の試験片は、ワイヤ部60を100mmの長さに切り取ることにより作製した。引張強度は、当該試験片(接合部30およびワイヤ部60)が破断するまで引っ張り、そのときの最大点試験力を試験片の断面積(幅10mm×厚さ0.35mm)で除すことで算出した。
A−7.第1実施形態の効果:
以上説明したように、本実施形態の静電チャック100は、Z軸方向に略直交する吸着面S1と、吸着面S1とは反対側の下面S2とを有する板状部材10と、上面S3を有し、上面S3が板状部材10の下面S2側に位置するように配置されたベース部材20と、板状部材10とベース部材20との間に配置され、かつ、樹脂材料により形成された接合部30と、を備え、板状部材10の吸着面S1上に対象物(ウェハW)を保持する静電チャック100である。また、本実施形態の静電チャック100は、内側部601と外側部603とを有するワイヤ部60を備えている。内側部601は、ワイヤ部60の内の、板状部材10とベース部材20との間に配置され、かつ、Z軸方向視において、接合部30に重なるように配置された部分である。外側部603は、ワイヤ部60の内の、内側部601に連続し、かつ、Z軸方向視において、板状部材10の外側に位置する部分である。
本実施形態の静電チャック100では、上記構成を採用しているため、ワイヤ部60の外側部603に外力を加えることにより、板状部材10とベース部材20との間の内部(本実施形態において、接合部30の内部)において、内側部601を移動させることができる。これにより、内側部601が移動する部分(本実施形態において、接合部30の内側領域R2)において、板状部材10とベース部材20とを分離することができる。このように、本実施形態の静電チャック100では、板状部材10とベース部材20との間の一部において両部材を分離することができるため、当該一部において両部材を分離していない場合に比べ、その後、比較的小さい力で両部材を完全に分離することができる。このため、静電チャック100を構成する板状部材10とベース部材20とを分離するための工程として、接合部30に含まれる接着剤の分解温度まで、静電チャック100を加熱する工程等を必要とせず、板状部材10やベース部材20の熱による変形等を抑制することができる。また、本実施形態の静電チャック100によれば、内側部601が予め板状部材10とベース部材20との間に配置されているため、板状部材10とベース部材20との間における所望の切断部分にワイヤ部60を位置合わせすることが不要であり、当該位置合わせや切断の際に板状部材10やベース部材20の側面を傷つけることを抑制することができる。また、本実施形態の静電チャック100によれば、板状部材10とベース部材20との間の内部において、板状部材10とベース部材20とを分離することが可能である。このため、当該分離の際に生じる接合部30の屑が、静電チャック100の外部へ散逸することを抑制し、ひいては、コンタミネーションの発生を抑制することができる。
また、本実施形態の静電チャック100は、板状部材10に配置された電極パッド42,52と、電極パッド42,52に電気的に接続される8つの給電端子44,54とを備え、これら8つの給電端子44,54は、Z軸方向視において、ワイヤ部60の内側部601と、接合部30の外縁とにより画定される2つの領域(外側領域R1および内側領域R2)の内の一方である外側領域R1にのみ配置されている。このため、本実施形態の静電チャック100によれば、上記2つの領域(外側領域R1および内側領域R2)の内の内側領域R2、すなわち、給電端子44,54が配置されていない領域において内側部601を移動させることにより、給電端子44,54に干渉することなく、板状部材10とベース部材20との間を分離することができる。
また、本実施形態の静電チャック100では、Z軸方向視において、板状部材10の中心POは、2つの領域(外側領域R1および内側領域R2)の内の他方である内側領域R2に位置している。このため、本実施形態の静電チャック100によれば、上記2つの領域(外側領域R1および内側領域R2)の内の内側領域R2において内側部601を移動させることにより、給電端子44,54に干渉することなく、さらには、板状部材10とベース部材20との分離が困難な部分である、Z軸方向視において、接合部30(板状部材10)の中心POを含む部分において板状部材10とベース部材20との間を分離することができる。
また、本実施形態の静電チャック100では、Z軸方向視において、接合部30の外縁によって囲まれた領域における面積に対する、2つの領域(外側領域R1および内側領域R2)の内の他方である内側領域R2における面積の比は、7割以上である。このため、本実施形態の静電チャック100によれば、板状部材10とベース部材20との間においてより広範囲に分離することができる。
また、本実施形態の静電チャック100では、内側部601の長さLiと外側部603の長さ(Lo×2)との合計は、接合部30の外縁の長さLb以上である。このため、本実施形態の静電チャック100によれば、Z軸方向視において、板状部材10とベース部材20との間においてより広範囲に配置することができ、ひいては、板状部材10とベース部材20との間においてより広範囲に分離することができる。
また、本実施形態の静電チャック100では、ワイヤ部60の引張強度は、接合部30の引張強度より大きい。このため、本実施形態の静電チャック100によれば、ワイヤ部60によって、板状部材10とベース部材20との間に存在する接合部30を効率的に切断することができる。
また、本実施形態の静電チャック100では、ワイヤ部60は、樹脂材料により形成されている。このため、本実施形態の静電チャック100によれば、金属材料により形成されている場合に比べ、板状部材10とベース部材20との間を切断する際に、両部材を傷つけることを抑制することができる。また、本実施形態の静電チャック100では、ワイヤ部60が接合部30と同様に樹脂材料により形成されているため、ワイヤ部60の熱伝導率が接合部30の熱伝導率と近い。このため、本実施形態の静電チャック100によれば、ワイヤ部60を備えることによって、接合部30における熱伝導性のばらつきが生じることを抑制することができる。また、本実施形態の静電チャック100によれば、ワイヤ部60が金属材料により形成されている場合に比べ、静電チャック100の使用時における良好な耐プラズマ性を確保することができる。
B.第2実施形態:
B−1.静電チャック100aの構成:
図5は、第2実施形態の静電チャック100aにおけるXY断面構成を概略的に示す説明図である。図5には、上述した図3の断面に相当する第2実施形態の静電チャック100aのXY断面構成が示されている。以下では、第2実施形態の静電チャック100aの構成の内、上述した第1実施形態の静電チャック100の構成と同一の構成については、同一の符号を付すことによってその説明を適宜省略する。
図5に示すように、第2実施形態の静電チャック100aの構成は、上述した第1実施形態の静電チャック100の構成と比較して、給電端子44,54(および端子用孔140,150)の位置、および、ワイヤ部60の個数および配置が異なっている。具体的には、第2実施形態の静電チャック100aには、1つのチャック電極用給電端子44(チャック電極用端子用孔140)と、3つのヒータ電極用給電端子54(ヒータ電極用端子用孔150)との合計4つの給電端子44,54(端子用孔140,150)が備えられている。また、第2実施形態の静電チャック100aでは、4つの給電端子44,54が、Z軸方向視で、接合部30aの中央付近に配置されている。
また、第2実施形態の静電チャック100aでは、接合部30aの内部に2つのワイヤ部60a,60bが配置されている。図5に示すように、本実施形態において、ワイヤ部60a,60bは、それぞれ、1つの内側部601a,601bと、内側部601a,601bに連続する2つの外側部603a,603bとを有している。内側部601a,601bは、第1実施形態の内側部601と同様に、Z軸方向視において、接合部30aに重なるように配置された部分であり、外側部603a,603bは、Z軸方向視において、板状部材10の外側に位置する部分である。このように、ワイヤ部60a,60bは、それぞれ、内側部601a,601bと2つの外側部603a,603bとから構成される1本の線形状の部材である。
本実施形態において、ワイヤ部60a,60bは、第1実施形態のワイヤ部60と同様に、樹脂材料により形成されている。また、ワイヤ部60a,60bの引張強度、ワイヤ部60a,60bを形成する樹脂材料の熱伝導率、および、ワイヤ部60a,60bの断面形状および断面における直径についても、ワイヤ部60と同様である。すなわち、ワイヤ部60a,60bの引張強度は、接合部30aの引張強度より大きく、ワイヤ部60a,60bを形成する樹脂材料の熱伝導率は、接合部30aを形成する樹脂材料の熱伝導率と同等であることが好ましい。また、ワイヤ部60a,60bの断面形状は略円形であり、断面における直径は、例えば、10μm以上、150μm以下であることが好ましい。
図5に示すように、本実施形態において、ワイヤ部60a,60bは、Z軸方向視での接合部30aにおいて、互いに異なる領域を分離し、かつ、接合部30aをより広範囲において分離可能なように配置されている。より詳細には、ワイヤ部60a,60bの内の内側部601a,601bは、接合部30aの中央付近(すなわち、給電端子44,54(端子用孔140,150)が存在する部分)以外の部分において、接合部30aの径方向に略一致する直線上に互いに交わることなく、かつ、近接して配置されている。一方、内側部601a,601bは、接合部30aの中央付近においては、4つの給電端子44,54(端子用孔140,150)を取り囲む端子領域Aの外縁に沿って配置されている。より詳細には、内側部601aは、端子領域Aの外縁の一部に沿って配置される一方、内側部601bは、端子領域Aの外縁の上記一部以外の部分に沿って配置されている。
本実施形態において、一方のワイヤ部60aの内側部601aは、接合部30aのXY断面を、外側領域R3と内側領域R4とに仕切っている。外側領域R3は、給電端子44,54が位置する側の領域であり、内側領域R4は外側領域R3の他方の領域であり、いずれの給電端子44,54も位置していない領域である。すなわち、Z軸方向視において、全ての給電端子44,54は、ワイヤ部60aの内側部601aと、接合部30aの外縁とにより画定される2つの領域(外側領域R3および内側領域R4)の内の一方である外側領域R3にのみ配置されている。他方のワイヤ部60bの内側部601bについても、上記一方のワイヤ部60aの内側部601aと同様に、接合部30aのXY断面を、外側領域と内側領域とに仕切っている(図示せず)。このように、Z軸方向視において、内側部601aにおける内側領域R2と、内側部601bにおける内側領域とは重複しておらず、また、接合部30aのXY断面の内の端子領域Aを除く部分の内の大部分は、内側部601a,601bの両内側領域によって占められている。これにより、ワイヤ部60a,60bは、Z軸方向視での接合部30aにおいて、互いに異なる領域を分離し、かつ、接合部30aをより広範囲において分離することができる。外側領域R3は、特許請求の範囲における「2つの領域の内の一方」に相当し、内側領域R4は、特許請求の範囲における「2つの領域の内の他方」に相当する。
また、本実施形態において、ワイヤ部60aの長さ、すなわち、内側部601aの長さと外側部603aの長さとの合計は、接合部30aの直径の長さ以上である。板状部材10とベース部材20とを分離する際の操作性が良好であり、また、接合部30a(すなわち、板状部材10とベース部材20との間)を広範囲において分離可能とする観点から、ワイヤ部60aの長さは、接合部30aの直径の長さより50mm以上長いことが好ましい。また、外側部603aの長さは、第1実施形態における外側部603と同様に、上記分離の際の操作性の観点から、それぞれ、25mm以上であることが好ましい。
なお、本実施形態においても、第1実施形態のワイヤ部60と同様に、ワイヤ部60a,60bの内の内側部601a,601bは、Z軸方向において、接合部30aの中央に配置されている。
上記静電チャック100aは、ワイヤ部60a,60bを上述のように配置する点で、第1実施形態の静電チャック100の製造方法と異なるが、その他については、静電チャック100と同様に製造することができる。
B−2.静電チャック100aの分離方法:
次に、本実施形態における静電チャック100aの分離方法を説明する。静電チャック100aの分離方法は、第1実施形態の静電チャック100の分離方法と同様に、静電チャック100aにおいて接着されている板状部材10とベース部材20とを分離する方法である。まず、静電チャック100を固定する。次いで、ワイヤ部60aの2つの外側部603aをそれぞれ把持し、当該把持した2つの外側部603aを図5に示す矢印X方向へ向かって引っ張る。これにより、接合部30aの内部の内の内側部601aが通過した部分(すなわち、内側領域R4)において、接合部30aを破壊することができる。次いで、ワイヤ部60aと同様に、ワイヤ部60bの2つの外側部603bをそれぞれ把持し、当該把持した2つの外側部603bを図5に示す矢印Y方向へ向かって引っ張る。これにより、接合部30aの内部の内の内側部601bが通過した部分(すなわち、内側領域)において、接合部30aを破壊することができる。その後、静電チャック100aの板状部材10とベース部材20とをそれぞれ固定し、例えば、両者に振動を加えたり、両者を反対の方向へ回転させたりすることにより、板状部材10とベース部材20とを分離する。
B−3.第2実施形態の効果:
以上説明したように、本実施形態の静電チャック100aは、2つのワイヤ部60a,60bを備えている。このため、本実施形態の静電チャック100aでは、板状部材10とベース部材20との間の内部(本実施形態において、接合部30aの内部)において、内側部601a,601bのそれぞれを移動させることができる。これにより、本実施形態の静電チャック100aによれば、第1実施形態の静電チャック100が奏する効果に加えて、板状部材10とベース部材20との間の内部(本実施形態において、接合部30aの内部)における、所望の2つの部分において両部材を分離することができる。
C.変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
上記第1実施形態の静電チャック100では、ワイヤ部60の内の内側部601が、Z軸方向において、接合部30の中央に配置されているが、これに限定されない。例えば、Z軸方向における接合部30の中央より上側または下側に配置されていてもよい。また、内側部601は、接合部30の内部に配置される構成に限定されず、板状部材10の下面S2と接合部30の上面との間、または、ベース部材20の上面S3と接合部30の下面との間に配置されていてもよい。上記第2実施形態の静電チャック100aにおけるワイヤ部60a,60bの内側部601a,601bについても、上記と同様の構成を採用することができる。また、上記第2実施形態の静電チャック100aにおけるワイヤ部60a,60bの内側部601a,601bは、Z軸方向において、互いに同じ位置に配置されているが、これに限定されず、両者がZ軸方向において異なる位置に配置されていてもよい。このような構成において、Z軸方向視における接合部30aにおいて、ワイヤ部60aによる内側領域R4とワイヤ部60bによる内側領域とが重複していてもよい。
上記第1実施形態および第2実施形態の静電チャック100,100aは、ベース部材20の下面S4から板状部材10の吸着面S1にわたって上下方向に延びるガス流路孔およびリフトピン挿通孔、ベース部材20の下面S4から板状部材10の下面S2にわたって上下方向に延びる温度センサ用孔等の孔が備えられていてもよい。当該ガス流路孔は、例えば、板状部材10とウェハWとの間の伝熱性を高めてウェハWの温度分布の制御性をさらに高めるため、板状部材10の吸着面S1とウェハWの表面との間に存在する空間に不活性ガス(例えば、ヘリウムガス)を供給するための孔である。また、リフトピン挿通孔は、板状部材10の吸着面S1上に保持されたウェハWを押し上げて吸着面S1から離間させるためのリフトピンを挿通するための孔である。また、温度センサ用孔は、板状部材10の内部温度を検知するため温度センサ(例えば、熱電対等)を収容するための孔である。さらに、上記第1実施形態および第2実施形態の静電チャック100,100aにおいて、上記孔が備えられ、かつ、当該孔の一部を構成する接合部30,30aおける孔の周囲に、静電チャック100,100aの周囲に存在するプラズマから接合部30,30aを保護するための保護部材(例えば、Oリング)が備えられていてもよい。このような構成を採用する場合には、接合部30,30aの外縁と、ワイヤ部60,60a,60bの内側部601,601a,601bとによって画定される内側領域R2,R4内に、上記保護部材が含まれないように、内側部601,601a,601bを配置することが好ましい。板状部材10とベース部材20との分離の際に、内側部601,601a,601bが、上記保護部材に干渉することを防止するためである。
上記第1実施形態の静電チャック100は、ワイヤ部60の外側部603を覆う保護部材を備えていてもよい。保護部材は、Z軸方向視で、板状部材10の外側に位置する部材であり、その一部が接合部30に連続している部材である。保護部材を形成する材料としては、テフロン(登録商標)製ゴムリング等を用いることが好ましい。このような構成を採用すれば、静電チャック100の使用時において、外側部603が静電チャック100に固定され、かつ、静電チャック100の外部へ露出しないため、良好な取扱性を確保することができる。上記第2実施形態の静電チャック100aにおけるワイヤ部60a,60bの外側部603a,603bについても、上記と同様に保護部材を備えていてもよい。
上記第2実施形態の静電チャック100aにおいて、2つのワイヤ部60a,60bが備えられているが、これに限定されず、3つ以上のワイヤ部が備えられていてもよい。ただし、複数のワイヤ部同士が交差しないよう配置することが好ましい。
上記第2実施形態の静電チャック100aにおいて、板状部材10とベース部材20とを分離する際に、一方のワイヤ部60aによる分離の後、他方のワイヤ部60bによる分離を行ったが、これに限定されず、両方のワイヤ部60a,60bによる分離を同時に行ってもよい。
上記実施形態では、板状部材10の内部にヒータ電極50が配置されているが、必ずしも板状部材10の内部にヒータ電極50が配置されている必要はない。また、上記実施形態では、ベース部材20に冷媒流路21が形成されているが、必ずしもベース部材20に冷媒流路21が形成されている必要はない。
上記実施形態では、板状部材10の内部に1つのチャック電極40が設けられた単極方式が採用されているが、板状部材10の内部に一対のチャック電極40が設けられた双極方式が採用されてもよい。
10:板状部材 14:凹部 15:凹部 20:ベース部材 21:冷媒流路 24:貫通孔 25:貫通孔 30:接合部 30a:接合部 34:貫通孔 35:貫通孔 40:チャック電極 41:チャック電極用ビア 42:チャック電極用電極パッド 44:チャック電極用給電端子 50:ヒータ電極 51:ヒータ電極用ビア 52:ヒータ電極用電極パッド 54:ヒータ電極用給電端子 60:ワイヤ部 60a:ワイヤ部 60b:ワイヤ部 100:静電チャック 100a:静電チャック 140:チャック電極用端子用孔 150:ヒータ電極用端子用孔 601:内側部 601a:内側部 601b:内側部 603:外側部 603a:外側部 603b:外側部 A:端子領域 D0:距離 D1:距離 D2:距離 Lb:長さ Li:長さ Lo:長さ Lr:距離 PO:中心 R1:外側領域 R2:内側領域 R3:外側領域 R4:内側領域 R:半径 S1:吸着面 S2:下面 S3:上面 S4:下面 W1:最短距離 W:半導体ウェハ

Claims (9)

  1. 第1の方向に略直交する第1の表面と、前記第1の表面とは反対側の第2の表面と、を有する板状部材と、
    第3の表面を有し、前記第3の表面が前記板状部材の前記第2の表面側に位置するように配置されたベース部材と、
    前記板状部材と前記ベース部材との間に配置され、かつ、樹脂材料により形成された接合部と、
    を備え、前記板状部材の前記第1の表面上に対象物を保持する静電チャックにおいて、
    前記板状部材と前記ベース部材との間に配置され、かつ、前記第1の方向視において、前記接合部に重なるように配置された内側部と、前記内側部に連続し、かつ、前記第1の方向視において、前記板状部材の外側に位置する外側部と、を有するワイヤ部、を備える、
    ことを特徴とする静電チャック。
  2. 請求項1に記載の静電チャックにおいて、
    前記板状部材に配置された電極と、
    前記電極に電気的に接続される少なくとも1つの給電端子と、を備え、
    前記第1の方向視において、前記少なくとも1つの給電端子は、前記ワイヤ部の前記内側部と、前記接合部の外縁とにより画定される2つの領域の内の一方にのみ配置されている、
    ことを特徴とする静電チャック。
  3. 請求項2に記載の静電チャックにおいて、
    前記第1の方向視において、前記板状部材の中心は、前記2つの領域の内の他方に位置している、
    ことを特徴とする静電チャック。
  4. 請求項2または請求項3に記載の静電チャックにおいて、
    第1の方向視において、前記接合部の外縁によって囲まれた領域における面積に対する、前記2つの領域の内の他方における面積の比は、7割以上である、
    ことを特徴とする静電チャック。
  5. 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の静電チャックにおいて、
    複数の前記ワイヤ部、を備える、
    ことを特徴とする静電チャック。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の静電チャックにおいて、
    前記内側部の長さと前記外側部の長さとの合計は、前記接合部の外縁の長さ以上である、
    ことを特徴とする静電チャック。
  7. 請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の静電チャックにおいて、
    前記ワイヤ部の引張強度は、前記接合部の引張強度より大きい、
    ことを特徴とする静電チャック。
  8. 請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の静電チャックにおいて、
    前記ワイヤ部は、樹脂材料により形成されている、
    ことを特徴とする静電チャック。
  9. 請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の静電チャックにおいて、
    前記外側部を覆う保護部材、を備える、
    ことを特徴とする静電チャック。
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