JP2020109369A - ヨウ素イオン及びヨウ素酸イオンの吸着剤及びその除去方法 - Google Patents

ヨウ素イオン及びヨウ素酸イオンの吸着剤及びその除去方法 Download PDF

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Abstract

【課題】汚染水又は汚染水溶液中に含まれるヨウ素イオン及びヨウ素酸イオンを同時に吸着除去できる吸着剤並びに吸着塔に当該吸着剤を充填して汚染水又は汚染水溶液を通水する方法により、ヨウ素イオン及びヨウ素酸イオンを効率よく除去する方法を提供すること。【解決手段】錫化合物、鉛化合物、銅化合物、鉄化合物、銀化合物からなる群より選ばれた少なくとも一種又は二種以上を含む化合物が担体に担持された吸着剤であって、平均粒径が0.3mm以上1.5mm以下の粒子状に成形されたヨウ素イオン及びヨウ素酸イオンの吸着剤並びにこれを用いたヨウ素イオン及びヨウ素酸イオンの除去方法【選択図】なし

Description

本発明は汚染水又は海水成分を含む汚染水溶液中に存在するヨウ素イオン(I)及びヨウ素酸イオン(IO )を除去する吸着剤及びその除去方法に関する。
原子力発電所で事故が発生した場合、原子炉で汚染された汚染水には放射性ヨウ素化合物、放射性セシウム、放射性ストロンチウムを始め様々な汚染物質(放射性物質)が含まれている。例えば東日本大震災に伴う福島第一発電所事故の場合のように、炉外に海水成分も含む汚染水溶液が漏れ出したような時には、放射性物質を除去し浄化することが求められる。
前記放射性物質の内、放射性ヨウ素や放射性ヨウ素化合物は、環境中ではヨウ化物イオン(ヨウ素イオン)やヨウ素酸イオンという化学形態で存在しているが、これ等の放射性物質を除去し浄化する方法として種々の提案がなされている。
特許文献1には、ヨウ素を銀が担持された高分子素材を具備する除去フィルターが開示されている。特許文献2には、ヨウ素酸イオンに還元剤を作用させ、ポリアミン系キレート性置換基を持つイオン交換体吸着体により吸着・除去させることが開示されている。特許文献3には、水酸化セリウム(IV)からなるヨウ素酸イオン吸着剤が開示されている。特許文献4には、オキソ酸化合物を、形成された酸化セリウム担持活性炭に吸着させることが開示されている。特許文献5には、ポリフッ化ビニリデン等の高分子樹脂とセリウム等の含水希土類元素酸化物とを含むヨウ素化合物やヨウ素酸イオンの吸着剤が開示されている。特許文献6には、活性炭に、セリウムの原子価が3価と4価の状態の水酸化セリウムを添着するヨウ素イオンとヨウ素酸イオンの吸着剤が開示されている。特許文献7には、鉄含有化合物、チタン含有化合物、及びジルコニウム含有化合物からなるヨウ素酸イオン補足剤(無機イオン交換体)が開示されているが、前記化合物を担体に担持することは開示されていない。特許文献8には、水酸化セリウム(IV)を含む、放射性アンチモン、放射性ヨウ素及び放射性ルテニウムの吸着剤が開示されている。特許文献9には、銀含有バインダレスゼオライト成形体からなる吸着剤による放射性ヨウ素含有流体の処理方法が開示されている。
しかし、特許文献1の高分子素材の除去フィルターは、容積当たりの銀担持量が少なく、大量の放射性汚染水を処理するのには向いていない。特許文献2については、ヨウ素酸イオンを、還元剤を用いて検出不能になるまで還元することは困難であり、還元処理管理に難がある。特許文献3乃至6及び8では、ヨウ素イオンやヨウ素酸イオンの除去に関しては、セリウム化合物等を用いる提案が開示されており、また、特許文献5、6、9では、ヨウ素イオンやヨウ素酸イオンの除去は銀化合物を用いる種々の提案が開示されているが、いずれもヨウ素酸イオンの吸着能力の点で改善が求められる。特許文献7のヨウ素酸イオン補足剤である無機イオン交換体は一般的にpH依存性が高く、調整条件によりイオン交換特性が変化するという問題点がある。
特許3647667号公報 特開2012−250198号公報 特許5793230号公報 特許6131450号公報 特許6238932号公報 特許6379382号公報 特開2016−123902号公報 特開2017−116407号公報 国際公開第2017/146130号
そこで、原子力発電所から排出される汚染水又は汚染水溶液に含まれる放射性ヨウ素化合物、すなわちヨウ素イオン及びヨウ素酸イオンを同時に効率よく除去処理可能な吸着剤並びに除去方法の提供が望まれている。
したがって、本発明の目的は、汚染水又は汚染水溶液中に含まれるヨウ素イオン及びヨウ素酸イオンを同時に吸着・除去できる吸着剤を提供すること並びに吸着塔に吸着剤を充填して汚染水又は汚染水溶液を通水する方法により、ヨウ素イオン及びヨウ素酸イオンを効率よく除去することができるヨウ素イオン及びヨウ素酸イオンの除去方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討した結果、錫化合物、鉛化合物、銅化合物、鉄化合物、銀化合物より選ばれた少なくとも一種又は二種以上を含む化合物が担体に担持された吸着剤を用いることにより、ヨウ素イオン及びヨウ素酸イオンを同時に吸着・除去できることを見出した。また、当該吸着剤を充填した吸着塔に特定の通水条件にて汚染水又は汚染水溶液を通水することによって、ヨウ素イオン及びヨウ素酸イオンを効率よく除去できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、以下の態様を含む。
[1]錫化合物、鉛化合物、銅化合物、鉄化合物、銀化合物からなる群より選ばれた少なくとも一種又は二種以上を含む化合物が担体に担持された吸着剤であって、平均粒径が0.3mm以上1.5mm以下の粒子状に成形されたヨウ素イオン及びヨウ素酸イオンの吸着剤。
[2]担体に担持された前記化合物が塩化物である吸着剤であって、空気雰囲気下で焼成された酸化物吸着剤及び/又は還元剤で還元された還元物吸着剤である[1]に記載のヨウ素イオン及びヨウ素酸イオンの吸着剤。
[3]前記化合物の担持率が、金属元素で総量が40wt%以下である[1]又は[2]に記載のヨウ素イオン及びヨウ素酸イオンの吸着剤。
[4]前記の担体が天然ゼオライト、合成ゼオライト、アルミナ、酸化チタン及びシリカから選ばれるいずれかである[1]乃至[3]のいずれかに記載のヨウ素イオン及びヨウ素酸イオンの吸着剤。
[5]前記吸着剤の比表面積が10m/g以上、細孔容積が0.02cm/g以上である[1]乃至[4]のいずれかに記載のヨウ素イオン及びヨウ素酸イオンの吸着剤。
[6]前記還元物吸着剤の還元剤として、水素ガス、ヒドラジン又はシュウ酸を使用する[1]乃至[5]のいずれかに記載のヨウ素イオン及びヨウ素酸イオンの吸着剤。
[7]前記吸着剤の強度が0.5N以上であり、且つ、汚染水中又は海水成分を含む汚染水溶液中で少なくとも35日以上前記強度を有する[1]乃至[6]のいずれかに記載のヨウ素イオン及びヨウ素酸イオンの吸着剤。
[8][1]乃至[7]のいずれかに記載の吸着剤により、汚染水中又は海水成分を含む汚染水溶液中に存在するヨウ素イオン及びヨウ素酸イオンを除去するヨウ素イオン及びヨウ素酸イオンの除去方法。
[9]前記吸着剤を充填した吸着塔における前記汚染水又は汚染水溶液の通水空間速度(SV)が、10h−1以上60h−1以下である[8]に記載のヨウ素イオン及びヨウ素酸イオンの除去方法。
[10]前記の海水成分を含む汚染水溶液が、少なくともNaイオン、Kイオン、Caイオン、Mgイオン及び塩素イオンを含み、そのイオン総量が0.40wt%以下である[8]又は[9]に記載のヨウ素イオン及びヨウ素酸イオンの除去方法。
本発明によれば、汚染水又は海水成分を含む汚染水溶液中に存在するヨウ素イオン及びヨウ素酸イオンを除去するに際して、錫化合物、鉛化合物、銅化合物、鉄化合物、銀化合物の少なくとも一種又は二種以上を含む化合物が担体に担持された吸着剤を用いて前記汚染水又は汚染水溶液と接触させることにより、当該ヨウ素イオン及びヨウ素酸イオンを同時に効率よく除去できる。
本発明は、汚染水又は海水成分を含む汚染水溶液中に存在するヨウ素イオン及びヨウ素酸イオンを除去するに際して用いられる吸着剤であって、錫化合物、鉛化合物、銅化合物、鉄化合物、銀化合物からなる群より選ばれた少なくとも一種又は二種以上を含む化合物が担体に担持され、その平均粒径が0.3mm以上1.5mm以下の粒子状に成形されたヨウ素イオン及びヨウ素酸イオンの吸着剤を提供する。
前記化合物は錫化合物、鉛化合物、銅化合物、鉄化合物、銀化合物より選ばれた少なくとも一種の化合物であってもよく、例えば鉄化合物と銀化合物の組み合わせのような二種以上の複合系でもよい。
前記化合物は、水に溶解し易い塩化物、硝酸塩、酢酸塩、硫酸塩が好ましく、担体としては天然ゼオライト、合成ゼオライト、アルミナ、酸化チタン、シリカから選ばれるいずれかの担体が好ましい。
これらの市販の担体の粒径は多くが1.6mm以上あり、1.6mm以上の粒径の担体では吸着塔に充填した場合、空隙率が大きくなり、また0.3mm以下ではフィルターの詰まりや溶液を通水した場合に圧損が大きくなり好ましくないので、当該担体の平均粒径は0.3mm以上1.5mm以下、望ましくは0.3〜0.8mmとする必要がある。前記平均粒子径の測定は、例えばJISZ8801に規定する公称目開きが1.5mm以下、特に0.71mm以下0.3mm以上の篩を用いることが好ましい。
また、前記担体は破砕等の手段により前記の平均粒径とし、比表面積が10m/g以上で細孔容積が0.02cm/g以上がよい。
これらの担体に前記の化合物を担持する方法としては、浸漬法、イオン交換法が望ましく、一例としては、例えば塩化鉄(III)を水に均一の溶解した金属イオン水溶液に、前記の担体を添加して吸液させる方法、蒸発乾固する方法あるいはイオン交換法等を示すことができる。
ヨウ素イオン及びヨウ素酸イオンを同時の効率よく吸着する化合物としては、錫化合物、鉛化合物、銅化合物、鉄化合物、銀化合物より選ばれた少なくとも一種の化合物が挙げられるが、ヨウ素イオンをより効率よく吸着する化合物としては、銀化合物、鉄化合物、錫化合物、銅化合物が好ましく、ヨウ素酸イオンをより効率よく吸着する化合物としては鉛化合物、鉄化合物、錫化合物、銅化合物が好ましい。これらを踏まえて当該前者の化合物の少なくとも一種と当該前者の化合物と異なる当該後者の化合物の少なくとも一種を二種以上添加した複合系の化合物が担持された担体を含む吸着剤を用いてヨウ素イオンとヨウ素酸イオンを同時により効率よく吸着させことができる。
前記化合物を担体に担持する量としては、金属元素単位で総量が、40wt%以下が好ましく、40wt%を超えると化合物が水に溶解できずに均一溶液を調整することが困難であり、また比表面積、細孔容積の低下を招き、その結果吸着能力が低下して好ましくなく、最低でも総量が2wt%以上は担持されることが好ましい。
このようにして調整された担体に担持された吸着剤は、空気雰囲気下で、280℃以上で焼成された酸化物吸着剤及び/又は還元剤として希釈水素ガスを用いて200℃以上で還元された吸着剤、室温以上80℃以下でヒドラジン水溶液又はシュウ酸水溶液で還元された還元吸着剤が好ましい。
このようにして調整された吸着剤、比表面積が10m/g以上、細孔容積が0.02cm/g以上の物性値を有する。比表面積が10m/g未満及び細孔容積が0.02cm/g未満では汚染物質イオンの吸着能力が低下して好ましくなく、比表面積、細孔容積は大きいほどよい。
また、吸着剤の強度は0.5N以上の圧壊強度を有することが好ましい。0.5N未満では強度が不足し通水下で崩れやすく粉末になりやすく好ましくない。より好ましくは、1N以上の強度を有する吸着剤がよい。また、吸着剤は海水成分を含み汚染水溶液流通下、または水流通下で35日以上の強度を有し粉末状にならないことが実用的である。崩れて粉末状になればフィルターの詰まりや差圧を招き、好ましくない。
また、本発明は、前記のように調整された吸着剤を使用して汚染水中又は海水成分を含む汚染水溶液中のヨウ素イオン及びヨウ素酸イオンを除去する方法を提供する。
すなわち、前記吸着剤を吸着塔に充填して、ヨウ素イオン及びヨウ素酸イオンを含有する海水成分を殆ど含まない汚染水又はヨウ素イオン及びヨウ素酸イオンを含有する海水成分を含む汚染水溶液を通水空間速度(SV)が10h−1以上60h−1以下、好ましくは10h−1以上45h−1以下で通水する。通水空間速度が10h−1未満では処理量が少なく実用的でなく、60h−1を超えると通水時に差圧が大きく、またヨウ素イオン及びヨウ素酸イオンの除去効率が低下して好ましくない。
前記の海水成分を含む汚染水溶液が少なくともNaイオン、Kイオン、Caイオン、Mgイオン及び塩素イオンを含み、そのイオン総量が0.40wt%以下であることが好ましく、0.40wt%を超えると例えばCaイオン等の影響を受け汚染物質の吸着能力が低下して好ましくなく、より好ましくはこれらの成分が殆ど含まれない水がよい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例等により何ら制約されるものではない。
吸着剤の金属元素含有率(量)、比表面積、細孔容積、吸着剤の吸着率(量)及び強度は下記の機器を使用して測定した。
1.評価方法
(1)吸着剤の金属元素の含有率(量)分析
蛍光X線、(株)リガク製 NEX−CG
(2)比表面積及び細孔容積の測定
MicrotracBEL社 BELSORP−miniII
(3)ヨウ素イオン及びヨウ素酸イオンの吸着率(量)分析
(a)イオンクロマトグラフィ―(IC)
(株)島津製作所製 SCL−10A VP システム
分離カラム 島津製作所製 IC−A3
(b)誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP−MS)
アジレント・テクノロジー(株)製 Agilent 7700x
(4)吸着剤の圧壊強度測定
(株)島津製作所 オートグラフ AG―X
の各評価装置を用いて実施した。
2.試験水の調整
海水成分を含まない汚染水と海水成分を含む汚染水溶液をそれぞれ試験水1と試験水2、3として調整した。
[試験水1]海水成分を含まない汚染水
1Lのメスフラスコにヨウ素イオン源としてヨウ化カリウム(KI:富士和光純薬)を入れ、次いでヨウ素酸イオン源としてヨウ素酸カリウム(KIO:富士和光純薬)を入れ、これに精製水(古河薬品工業製)でメスアップし、攪拌子を入れて均一溶液を得た。この溶液の一部を採取してメスフラスコに入れて希釈し、ヨウ素イオン及びヨウ素酸イオンを前記のIC(検出下限値:5wtppm)で分析した結果を下記に示す。
ヨウ素イオン(I) :3210wtppm
ヨウ素酸イオン(IO ):3230wtppm
[試験水2]海水成分を含む汚染水溶液
1Lのメスフラスコに海水成分としてNaイオンとしてNaOH、CaイオンとしてCaCl、MgイオンとしてMgCl、HCOイオンとしてNaHCO、塩素(Cl)イオンとしてHClを添加して海水成分を調整した。各イオンの計算値を下記に示す。
Na:104wtppm、Mg:30wtppm、Ca:43wtppm、
HCO:75wtppm、Cl:350wtppm
この溶液にヨウ素イオンとしてヨウ化カリウム(KI)を入れ、ヨウ素酸イオンとしてヨウ素酸カリウム(KIO)を入れ、攪拌して海水成分を含む汚染水溶液を調整した(Kイオンは約1500wtppm)。この溶液の一部を採取してメスフラスコに入れて希釈して、ヨウ素イオン及びヨウ素酸イオンを前記のICで分析した結果を下記に示す。
ヨウ素イオン(I) :3110wtppm
ヨウ素酸イオン(IO ):3210wtppm
[試験水3]海水成分を含む汚染水溶液
20Lのポリタンクに海水成分としてNaイオンとしてNaOH、CaイオンとしてCaCl、MgイオンとしてMgCl、HCOイオンとしてNaHCO、塩素(Cl)イオンとしてHClを添加して海水成分を調整した。各イオンの計算値を下記に示す。
Na:104wtppm、Mg:30wtppm、Ca:43wtppm、
HCO:75wtppm、Cl:350wtppm
この溶液にヨウ素イオンとしてヨウ化カリウム(KI)を入れ、次いでヨウ素酸イオンとしてヨウ素酸カリウム(KIO)を入れ、攪拌して海水成分を含む汚染水溶液を調整した。この溶液の一部を採取して、ヨウ素イオン及びヨウ素酸イオンを前記のICP−MASで分析した。結果を下記に示す。
ヨウ素イオン(I) :2.1wtppm
ヨウ素酸イオン(IO ) :2.0wtppm
3.吸着剤の調整方法
以下に吸着剤の調整方法の例を示す。
(1)担体
担体として、天然ゼオライトとして新東北化学工業(株)製の破砕品(平均粒子径0.3〜0.8mm)、合成ゼオライトとしてユニオン昭和(株)製のMS−5Aの破砕品(平均粒子径0.3〜0.8mm)、同じくユニオン昭和(株)製のMS−13Xの破砕品(平均粒子径0.3〜0.8mm)、酸化チタン造粒品として呉羽油脂工業(株)製のビーズ(平均粒子径0.5mm)、アルミナとして日揮ユニバーサル(株)製のNST−3の破砕品(平均粒子径0.3〜0.8mm)を用いた。
(2)吸着剤の調整
[吸着剤1]塩化鉄(FeCl・6HO:富士F和光純薬)5.046gを精製水14mlに溶解し、攪拌、均一溶液を得た。この溶液に前記の担体の天然ゼオライト10.424gを投入し、時々攪拌しながら溶液を吸収させた後、120℃の温度で8時間乾燥させた(塩担持型吸着剤)。この塩担持型吸着剤を半々に分割して一方を電気炉焼成管に充填して、空気流通下で350℃の温度で24時間焼成して酸化物吸着剤を得た(吸着剤1−1)。もう一方を電気炉焼成管に充填して5%水素/窒素希釈ガス流通下で350℃の温度で8時間還元し、窒素ガスで室温まで温度を低下させて還元物吸着剤を得た(吸着剤1−2)。それぞれ金属元素の担持率を前記の蛍光X線で測定したところ、9.2wt%であった。
[吸着剤2]塩化鉄(FeCl・6HO)9.85gを精製水11mlに溶解し、攪拌、均一溶液を得た。この溶液に前記の担体の合成ゼオライト(MS−5A)6.78gを投入し、時々攪拌しながら溶液を吸収させた後、120℃の温度で8時間乾燥させた(塩担持吸着剤)。この塩担持型吸着剤を半々に分割して一方を電気炉焼成管に充填して、空気流通下で350℃の温度で24時間焼成して酸化物吸着剤を得た(吸着剤2−1)。もう一方を、30%ヒドラジン水溶液を用いて室温で還元し、170℃で8時間、窒素気流中で乾燥し還元吸着剤を得た(吸着剤2−2)。それぞれ金属元素の担持率を蛍光X線で測定したところ、19.6wt%であった。
[吸着剤3〜吸着剤7]化合物としては塩化錫(SnCl・5HO)、硝酸鉛(Pb(NO、硝酸銅(Cu(NO・3HO)、硝酸銀(AgNO)を用いて前記のような操作を実施して夫々の酸化物吸着剤、還元物吸着剤を得た。前記の操作を変更したのは、金属担持率、担体、還元剤である。
[比較例吸着剤]比較例として、塩化亜鉛(ZnCl)、硝酸ニッケル(Ni(NO・6HO)を用いて、前記の操作で吸着剤を調整した。
調整した各吸着剤の金属担持率等を表1に示す。
Figure 2020109369
表1において金属担持率は前記の蛍光X線を用いて測定した。単位は重量%である。
[複合元素系吸着剤]
[吸着剤8]硝酸銀(AgNO)0.329gを精製水14mlに溶解し、これに硝酸鉛(Pb(NO)を5.010g加えて攪拌、均一溶液を得た。この溶液に前記の担体MS−5Aを10.451g加えて、時々攪拌しながら溶液を吸収させた後、120℃の温度で8時間乾燥させた。これを半々に分割して一方を電気炉焼成管に充填し、空気流通下で350℃の温度で24時間焼成して酸化物吸着剤を得た(吸着剤8−1)。もう一方を電気炉焼成管に充填して5%水素/窒素希釈ガス流通下で350℃の温度で8時間還元し、窒素ガスで室温まで温度を低下させて還元物吸着剤を得た(吸着剤8−2)。
[吸着剤9]硝酸銀(AgNO)1.44gを精製水14mlに溶解し、これに硝酸鉄(Fe(NO・9HO:富士和光純薬)を19.86g加えて均一溶液を得た。この溶液に前記の担体MS−5Aを9.150g加えて、時々攪拌しながら溶液を吸収させた後、120℃で8時間乾燥させた。これを半々に分割して一方を電気炉焼成管に充填して、空気流通下で350℃の温度で24時間焼成して酸化物吸着剤を得た(吸着剤9−1)。 もう一方を電気炉焼成管に充填して5%水素/窒素希釈ガス流通下で350℃の温度で8時間還元し、窒素ガスで室温まで温度を低下させて還元物吸着剤を得た(吸着剤9−2)。
調整した複合元素系吸着剤の金属担持率等を表2に示す。
Figure 2020109369
表2において金属担持率は前記の蛍光X線を用いて測定した。単位は重量%である。
比表面積、細孔容積は前記の測定装置を用いて測定した結果、吸着剤1−1が比表面積:12.2m/g、細孔容積:0.04cm/g、吸着剤2−1が比表面積:71m/g、細孔容積:0.05m/g、吸着剤3−1が比表面積:172m/g、細孔容積が0.13cm/g、吸着剤7−1が比表面積:165m/g,細孔容積:0.14cm/g、吸着剤8−1が比表面積:86m/g、細孔容積:0.07cm/g、と調整したすべての吸着剤の比表面積が10m/g以上、細孔容積が0.02cm/g以上あった。
また、強度は吸着剤1−1が強度3.8N、吸着剤2−1が4.1N、吸着剤3−1が4.0N、吸着剤7−1が3.8N、吸着剤8−1が3.9Nと調整したすべての吸着剤が0.5N以上であった。
[実施例1]
前記の[試験水1]50mlに吸着剤を1g加えて、室温で時々攪拌しながら24時間、48時間毎にサンプリングを行い、ヨウ素イオン(I)、ヨウ素酸イオン(IO )を分析し吸着率を測定した。数値は夫々、分析での測定値(wtppm)で、吸着率は((初期濃度―48時間分析値)/初期濃度)で重量%である。分析はICで実施し結果を表3に示す。
Figure 2020109369
表3の結果より、鉄化合物、鉛化合物、錫化合物、銅化合物、銀化合物は汚染水中のヨウ素イオン(I)及びヨウ素酸イオン(IO )を同時に吸着した。一方、比較例1の亜鉛化合物はヨウ素イオン(I)及びヨウ素酸イオン(IO )を殆ど吸着しなかった。
[実施例2]
前記の[試験水2]50mlに吸着剤を1g加えて、室温で時々攪拌しながら24時間、48時間毎にサンプリングを行い、ヨウ素イオンとヨウ素酸イオンを分析し吸着率を測定した。数値は夫々、分析での数値(wtppm)で、吸着率は((初期濃度―48時間後分析値)/初期濃度)で重量%である。分析はICで実施し結果を表4に示す。
Figure 2020109369
表4の結果より、鉄化合物、鉛化合物、錫化合物、銅化合物、銀化合物は汚染水溶液中のヨウ素イオン(I)及びヨウ素酸イオン(IO )を同時に吸着した。一方、比較例2のニッケル化合物はヨウ素イオン(I)及びヨウ素酸イオン(IO )を殆ど吸着しなかった。
[実施例3]
前記の[試験水2]50mlに[複合元素系吸着剤]を1g加えて、室温で時々攪拌しながら24時間、48時間後にサンプリングを行い、ヨウ素イオン(I)、ヨウ素酸イオンを(IO )分析し吸着率を測定した。結果を表5に示す。数値、吸着率は[実施例2]と同様である。
Figure 2020109369
表5の結果より、複合元素系吸着剤(銀―鉛系、銀―鉄系)は、汚染水溶液中のヨウ素イオン(I)及びヨウ素酸イオン(IO )を同時に吸着し、且ついずれのイオンに対しても90%台半ば以上の高い吸着率を示し、より効率よく吸着できることを示した。
[実施例4]
吸着塔として中圧ガラスカラム内径10mm×長さ200mm(東京理化器械製)を用いて、これに吸着剤(8−1)を5ml充填(層高:7.0cm)し、送液ポンプとしてペリスタポンプ(アトー科学機器製)を用いて、ダウンフローで前記の[試験水3]を75ml/hrの流速で供給(通水空間速度は15h−1)しカラム出口より時間毎にサンプリングし、前記のICP−MS(検出下限値:0.01wtppm)で分析した。結果を表6に示す。
Figure 2020109369
これ以降、前記試験水を水に切れ替えて75ml/hrで960時間(40日)まで流通した。時々流量を測定した結果、流量は75ml±3mlの範囲内で安定していた。960時間後にカラムより吸着剤を取り出し、110℃で24時間乾燥後、強度を測定したところ、1.5Nの結果であった。したがって、本発明に係る吸着剤が実用的に使用できる十分な圧壊強度を有していることが示された。
表6の結果より、本発明に係るヨウ素イオン(I)及びヨウ素酸イオン(IO )の除去方法、即ち本発明に係る吸着剤を充填した吸着塔に汚染水溶液[試験水3]を、通水空間速度(SV)を15h−1で通水した結果、長時間にわたり効率よく当該イオンが除去されていることが示された。

Claims (10)

  1. 錫化合物、鉛化合物、銅化合物、鉄化合物、銀化合物からなる群より選ばれた少なくとも一種又は二種以上を含む化合物が担体に担持された吸着剤であって、平均粒径が0.3mm以上1.5mm以下の粒子状に成形されたヨウ素イオン及びヨウ素酸イオンの吸着剤。
  2. 担体に担持された前記化合物が塩化物である吸着剤であって、空気雰囲気下で焼成された酸化物吸着剤及び/又は還元剤で還元された還元物吸着剤である請求項1に記載のヨウ素イオン及びヨウ素酸イオンの吸着剤。
  3. 前記化合物の担持率が、金属元素で総量が40wt%以下である請求項1又は2に記載のヨウ素イオン及びヨウ素酸イオンの吸着剤。
  4. 前記の担体が天然ゼオライト、合成ゼオライト、アルミナ、酸化チタン及びシリカから選ばれるいずれかである請求項1乃至3のいずれかに記載のヨウ素イオン及びヨウ素酸イオンの吸着剤。
  5. 前記吸着剤の比表面積が10m/g以上、細孔容積が0.02cm/g以上である請求項1乃至4のいずれかに記載のヨウ素イオン及びヨウ素酸イオンの吸着剤。
  6. 前記還元物吸着剤の還元剤として、水素ガス、ヒドラジン又はシュウ酸を使用する請求項1乃至5のいずれかに記載のヨウ素イオン及びヨウ素酸イオンの吸着剤。
  7. 前記吸着剤の強度が0.5N以上であり、且つ、汚染水中又は海水成分を含む汚染水溶液中で少なくとも35日以上前記強度を有する請求項1乃至6のいずれかに記載のヨウ素イオン及びヨウ素酸イオンの吸着剤。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載の吸着剤により、汚染水中又は海水成分を含む汚染水溶液中に存在するヨウ素イオン及びヨウ素酸イオンを除去するヨウ素イオン及びヨウ素酸イオンの除去方法。
  9. 前記吸着剤を充填した吸着塔における前記汚染水又は汚染水溶液の通水空間速度(SV)が、10h−1以上60h−1以下である請求項8に記載のヨウ素イオン及びヨウ素酸イオンの除去方法。
  10. 前記の海水成分を含む汚染水溶液が、少なくともNaイオン、Kイオン、Caイオン、Mgイオン及び塩素イオンを含み、そのイオン総量が0.40wt%以下である請求項8又は9に記載のヨウ素イオン及びヨウ素酸イオンの除去方法。

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