JP2020104835A - 空気吹出装置 - Google Patents

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Yasuhiro Takeuchi
康浩 武内
悦郎 吉野
Etsuro Yoshino
悦郎 吉野
秀隆 野本
Hidetaka Nomoto
秀隆 野本
雅晴 酒井
Masaharu Sakai
雅晴 酒井
潤 山岡
Jun Yamaoka
潤 山岡
達哉 吉田
Tatsuya Yoshida
達哉 吉田
侑児 岡村
Yuji Okamura
侑児 岡村
小松原 祐介
Yusuke Komatsubara
祐介 小松原
康彦 新美
Yasuhiko Niimi
康彦 新美
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Abstract

【課題】ダクト部から吹き出す作動気流の到達距離を長くすることが可能な空気吹出装置を提供する。【解決手段】空気吹出装置50は、気流が通過する主流路510を形成するとともに、主流路510の下流側に位置する部位に作動気流となる気流を吹き出す扁平形状の主孔512が開口するダクト部51を備える。ダクト部51には、空気流れ上流側から下流側に向かって主流路510の流路高さを縮小する絞り部515が設けられるとともに、主流路510を幅方向DRwに分割する第1仕切部材52および第2仕切部材53が配置されている。主流路510は、第1仕切部材52および第2仕切部材53によって、一対のサイド流路510A、510B、センタ流路510Cに分割されている。第1仕切部材52および第2仕切部材53は、センタ流路510Cの流路幅が空気流れ上流側から下流側に向かって縮小されるようにダクト部51に配置されている。【選択図】図2

Description

本開示は、気流を吹き出す吹出部を備える空気吹出装置に関する。
従来、空気吹出ダクト内に、流路幅が一様な主流路とその外側の副流路とに仕切る仕切り板を設け、主流路の流路幅を所定の範囲に設定することで、吹き出す気流の到達距離を長くする空調装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2008−185313号公報
本発明者らは、空気吹出口の開口形状を扁平形状とすることを検討している。本発明者らの検討によると、扁平形状の空気吹出口では、空気吹出口の長手方向に比べて、空気吹出口の短手方向へ気流が拡散し易いことで、吹き出す気流の到達距離を長くすることが困難となることが判った。なお、特許文献1には、空気吹出口の開口形状について特に定められておらず、特許文献1には上記の知見について何ら記載されていない。
本開示は、ダクト部から吹き出す作動気流の到達距離を長くすることが可能な空気吹出装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、
空気吹出装置であって、
気流が通過する主流路(510)を形成するとともに、主流路の下流側に位置する部位に作動気流となる気流を吹き出す扁平形状の主孔(512)が開口するダクト部(51)を備え、
主流路における主孔の開口の短手方向の大きさを流路高さとし、主流路における主孔の開口の長手方向の大きさを流路幅としたとき、
ダクト部には、空気流れ上流側から下流側に向かって主流路の流路高さを縮小する絞り部(515)が設けられるとともに、主流路を長手方向に分割する複数の仕切部材(52、53)が配置されており、
主流路は、複数の仕切部材によって、長手方向の両側に位置する一対のサイド流路(510A、510B)、一対のサイド流路に挟まれる少なくとも1つのセンタ流路(510C)に分割されており、
複数の仕切部材は、センタ流路の流路幅が空気流れ上流側から下流側に向かって縮小されるようにダクト部に配置されている。
ダクト部に対して主流路の流路高さを縮小する絞り部が設けられた構成では、ダクト部に対して絞り部が設けられていない構成に比べて、主孔の開口の短手方向における作動気流の風速分布が均一化される。作動気流の風速分布が均一化されると、作動気流の速度境界層が作動気流の中心から離れ易くなるので、作動気流の吹出時に、主孔の開口の短手方向への作動気流の拡散が抑制される。
また、複数の仕切部材によってセンタ流路の流路幅が空気流れ上流側から下流側に向かって縮小された構成では、センタ流路に気流が流れ易くなるとともに、センタ流路を介して吹き出される気流が一対のサイド流路に比べて高速化される。
これにより、センタ流路では、作動気流の風速分布が短手方向に拡がりを有する凸状の分布となり、作動気流の速度境界層が作動気流の中心から離れ易くなるので、作動気流の吹出時に、主孔の開口の短手方向への作動気流の拡散が抑制される。
上述の構成を含む本開示の空気吹出装置は、作動気流の吹出時に、主孔の開口の短手方向への拡散が抑制されるので、空気吹出口として扁平形状の主孔を採用したしても、作動気流の到達距離を長くすることが可能となる。
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
第1実施形態に係る空気吹出装置の適用対象となる車両用空調装置の概略構成図である。 第1実施形態に係る空気吹出装置の模式的な斜視図である。 第1実施形態に係る空気吹出装置の模式的な正面図である。 図3のIV−IV断面図である。 図3のV−V断面図である。 比較例に係る空気吹出装置における作動気流の流れ方を説明するための説明図である。 第1実施形態に係る空気吹出装置の流路幅に沿った方向の作動気流の流れ方を説明するための説明図である。 第1実施形態に係る空気吹出装置のサイド流路から吹き出される作動気流の流れ方を説明するための説明図である。 第1実施形態に係る空気吹出装置のセンタ流路から吹き出される作動気流の流れ方を説明するための説明図である。 第1実施形態に係る空気吹出装置のセンタ流路から吹き出される作動気流の風速分布を説明するための説明図である。 第1実施形態に係る空気吹出装置における主孔からの距離と空気到達率との関係を説明するための説明図である。 第1実施形態に係る空気吹出装置において主孔から所定距離下流となる位置での空気到達率を説明するための説明図である。 第1実施形態の第1変形例となる空気吹出装置の断面図である。 第1実施形態の第1変形例となる空気吹出装置の流路幅に沿った方向の作動気流の流れ方を説明するための説明図である。 第1実施形態の第2変形例となる空気吹出装置の断面図である。 第2実施形態に係る空気吹出装置における上流主流路の流路面積が大きくなっている状態を示す模式的な断面図である。 第2実施形態に係る空気吹出装置における上流主流路の流路面積が小さくなっている状態を示す模式的な断面図である。 上流主流路の流路面積と主孔から吹き出す気流の主流の流速との関係を説明するための説明図である。 第2実施形態の比較例となる空気吹出装置における主孔から吹き出される気流を説明するための説明図である。 第2実施形態に係る空気吹出装置の主孔から吹き出される気流を説明するための説明図である。 第2実施形態に係る空気吹出装置の主孔から吹き出される気流の流速分布を説明するための説明図である。 第3実施形態に係る空気吹出装置における上流主流路の流路面積が大きくなっている状態を示す模式的な断面図である。 第3実施形態に係る空気吹出装置における上流主流路の流路面積が小さくなっている状態を示す模式的な断面図である。 第4実施形態に係る空気吹出装置における上流主流路の流路面積が大きくなっている状態を示す模式的な断面図である。 第4実施形態に係る空気吹出装置における上流主流路の流路面積が小さくなっている状態を示す模式的な断面図である。 第4実施形態に係る空気吹出装置で用いられる押圧部を説明するための説明図である。 第4実施形態の変形例となる空気吹出装置における上流主流路の流路面積が大きい状態を説明するための模式図である。 第4実施形態の変形例となる空気吹出装置における上流主流路の流路面積が小さい状態を説明するための模式図である。 第5実施形態に係る空気吹出装置における上流主流路の流路面積が大きい状態を説明するための模式図である。 第5実施形態に係る空気吹出装置における上流主流路の流路面積が小さい状態を説明するための模式図である。 図29のXXXI−XXXI断面図である。 第6実施形態に係る空気吹出装置の模式的な断面図である。 第6実施形態に係る空気吹出装置に用いられる渦発生体を示す模式的な斜視図である。 第7実施形態に係る空気吹出装置の一部を示す模式的な断面図である。 第7実施形態に係る空気吹出装置の模式的な正面図である。
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態において、先行する実施形態で説明した事項と同一もしくは均等である部分には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する場合がある。また、実施形態において、構成要素の一部だけを説明している場合、構成要素の他の部分に関しては、先行する実施形態において説明した構成要素を適用することができる。以下の実施形態は、特に組み合わせに支障が生じない範囲であれば、特に明示していない場合であっても、各実施形態同士を部分的に組み合わせることができる。
(第1実施形態)
本開示の第1実施形態について図1〜図12に基づいて説明する。図1に示すように、空気吹出装置50は、車両の空調を行う室内空調ユニット1とダクト30を介して接続される。
室内空調ユニット1は、車室内の最前部に位置するインストルメントパネルの内側に配置される。室内空調ユニット1は、外殻を形成するケース2を有している。ケース2の内側には、車室内へ向かって空気を送風する空気通路が構成されている。
ケース2の空気通路の最上流部には、内気導入口3および外気導入口4を有する内外気切替箱5が配置されている。内外気切替箱5には、内外気切替ドア6が回転自在に配置されている。内外気切替ドア6は、内気導入口3より車室内空気を導入する内気モードと外気導入口4より車室外空気を導入する外気モードとを切り替えるものである。内外気切替ドア6は、図示しないサーボモータによって駆動される。
内外気切替箱5の下流側には、車室内に向かう空気流を発生させる電動式の送風機8が配置されている。送風機8は、遠心式の送風ファン8aと、この送風ファン8aを駆動するモータ8bと、を有している。
送風機8の下流側には、ケース2内を流れる空気を冷却する蒸発器9が配置されている。蒸発器9は、送風機8の送風空気を冷却する冷房用熱交換器である。蒸発器9は、周知の蒸気圧縮式冷凍サイクルを構成する要素の一つである。
一方、室内空調ユニット1において、蒸発器9の下流側には、ケース2内を流れる空気を加熱するヒータコア15が配置されている。ヒータコア15は、車両エンジンの温水を熱源として、蒸発器9通過後の冷たい空気を加熱する暖房用熱交換器である。ヒータコア15の側方には、バイパス通路16が形成され、バイパス通路16をヒータコア15のバイパス空気が流れる。
蒸発器9とヒータコア15との間には、エアミックスドア17が回転自在に配置されている。エアミックスドア17は、図示しないサーボモータにより駆動されて、その開度が連続的に調整可能になっている。エアミックスドア17の開度によりヒータコア15を通る温風量と、バイパス通路16を通過してヒータコア15をバイパスする冷風量との割合が調節される。これにより、車室内に吹き出す空気の温度が調整される。
ケース2の空気通路の最下流部には、車両の前面窓ガラスに向けて空調風を吹き出すデフロスタ吹出口19、乗員の顔部に向けて空調風を吹き出すフェイス吹出口20および乗員の足元部に向けて空調風を吹き出すフット吹出口21が設けられている。
これら吹出口19〜21の上流部にはデフロスタドア22、フェイスドア23およびフットドア24が回転自在に配置されている。これらのドア22〜24は、図示しないリンク機構を介して共通のサーボモータによって開閉操作される。
ところで、近年、インストルメントパネルは、車室内の拡大や意匠性の観点で車両上下方向において薄型化が要求されている。また、インストルメントパネルは、車両幅方向の中央部分や車両前後方向において乗員に相対する部分に車両の運転状態を示す各種情報を報知するための大型の情報機器が設置される傾向がある。
これらにより、室内空調ユニット1では、空気吹出口を薄幅にする等の対策が必要となるが、空気吹出口を薄幅にすると、空気吹出口の下流に生ずる横渦によって、空気吹出口から吹き出す気流のコア部の崩壊が早まり、車室内における気流の到達距離が短くなる。
そこで、本実施形態の室内空調ユニット1は、ケース2に設けられたフェイス吹出口20に、ダクト30を介して、気流の到達距離を向上させるための空気吹出装置50を接続している。室内空調ユニット1で温度調整された空気は、ケース2からダクト30を通って空気吹出装置50から車室内に送風される。
以下、空気吹出装置50の構成について図2〜図5を用いて説明する。図2に示すように、空気吹出装置50は、ダクト部51、第1仕切部材52、および第2仕切部材53を有している。ダクト部51、第1仕切部材52、および第2仕切部材53は、樹脂により構成されている。図示しないが、ダクト部51には、図1に示した室内空調ユニット1が接続されている。
ダクト部51は、気流が通過する主流路510を形成する流路形成部材である。ダクト部51は、断面が矩形となる角筒形状になっている。ダクト部51は、空気流れ上流側に位置する部位に主流路510に空調風を導入する導入孔511が開口している。
また、ダクト部51は、空気流れ下流側に位置する部位に作動気流となる気流を吹き出す主孔512が形成されている。主孔512は、車室内に作動気流が吹き出されるように、その開口方向が設定されている。なお、開口方向は、主孔512を形成する縁部を含む面の法線方向である。
図3に示すように、主孔512の開口形状は、扁平形状になっている。具体的には、主孔512の開口形状は、所定の間隔をあけて対向する一対の長縁部512a、512bと、一対の長縁部512a、512b同士を接続する一対の短縁部512c、512dを有する矩形状になっている。なお、一対の短縁部512c、512dは、一対の長縁部512a、512bよりも対向する間隔が大きくなっている。
本実施形態では、主孔512の開口の長手方向を幅方向DRwと呼び、主孔512の開口の短手方向を高さ方向DRhと呼ぶことがある。また、本実施形態では、主流路510における高さ方向DRhにおける大きさを流路高さと呼び、主流路510における幅方向DRwにおける大きさを流路幅と呼ぶことがある。なお、主孔512の開口の長手方向は、主孔512における一対の長縁部512a、512bが延びる方向である。また、主孔512の開口の短手方向は、主孔512における一対の短縁部512c、512dが延びる方向である。
図4に示すように、ダクト部51には、上流側平坦部513、下流側平坦部514、および絞り部515が設けられている。上流側平坦部513および下流側平坦部514は、ダクト部51の内側において、流路高さが一定の大きさに維持された部位である。絞り部515は、空気流れ上流側から下流側に向かって主流路510の流路高さが縮小された部位である。絞り部515は、上流側平坦部513と下流側平坦部514との間に設定されている。絞り部515は、主孔512付近で縮流が生ずるように、主流路510における導入孔511よりも主孔512に近い位置に設定されている。絞り部515は、上流側平坦部513と連なる部位および下流側平坦部514と連なる部位が丸みを有するように湾曲した曲面形状になっている。
図5に示すように、ダクト部51には、主流路510を主孔512の開口の長手方向(すなわち、幅方向DRw)に分割する複数の仕切部材として第1仕切部材52および第2仕切部材53が配置されている。
第1仕切部材52および第2仕切部材53は、平板状の部材で構成されている。第1仕切部材52および第2仕切部材53は、空気流れ下流側の下流側端部522、532が、主孔512の開口位置よりも空気流れ上流側に位置付けられている。具体的には、第1仕切部材52および第2仕切部材53は、その上流側端部521、531が上流側平坦部513の上流端よりも下流に位置付けられ、下流側端部522、532が絞り部515の下流端よりも上流に位置付けられている。
主流路510は、第1仕切部材52および第2仕切部材53によって幅方向DRwの両側に位置する一対のサイド流路510A、510B、一対のサイド流路510A、510Bに挟まれるセンタ流路510Cに分割されている。ダクト部51の導入孔511を介して主流路510に導入された空気は、主流路510で整流された後、一対のサイド流路510A、510B、センタ流路510Cに分岐して流れる。
第1仕切部材52および第2仕切部材53は、センタ流路510Cの流路幅が空気流れ上流側から下流側に向かって縮小されるように配置されている。具体的には、第1仕切部材52および第2仕切部材53は、下流側端部522、532同士の間隔が上流側端部521、531同士の間隔よりも小さくなるように配置されている。これにより、センタ流路510Cから吹き出される気流は、一対のサイド流路510A、510Bから吹き出される気流よりも速度が速くなる。
また、ダクト部51には、主孔512に連なる部位に流路幅を空気流れ下流側に向かって拡大する幅拡大部516が設けられている。幅拡大部516は、絞り部515の下流側であって、下流側平坦部514を構成する部位に形成されている。
ここで、幅拡大部516によって主流路510の流路幅が極端に大きくなると、幅拡大部516を構成する壁面から気流が剥離し、主孔512付近に生ずる乱れが大きくなってしまう虞がある。このため、幅拡大部516は、主孔512の開口方向に対する壁面の傾きが7°以下に設定されていることが望ましい。
次に、空気吹出装置50の空気の流れについて説明する。まず、本実施形態の空気吹出装置50の比較例となる空気吹出装置CEにおける空気の流れについて図6を参照して説明する。比較例の空気吹出装置CEは、本実施形態の空気吹出装置50と異なり、第1仕切部材52、第2仕切部材53、絞り部515、幅拡大部516が設けられておらず、主流路510の流路面積が一定となっている。
室内空調ユニット1の送風機8が作動を開始すると、室内空調ユニット1からダクト30を介して空気吹出装置CEに温度調整された空気が導入される。比較例の空気吹出装置CEでは、図6に示すように、ダクト部51に導入された空気が、主流路510を通過した後、主孔512から吹き出される。そして、主孔512から吹き出された作動気流は、外部の静止流体との速度差によって高さ方向DRhに拡散することで、作動気流の到達距離が短くなってしまう。
これに対して、本実施形態の空気吹出装置50では、図7に示すように、ダクト部51に導入された空気が、ダクト部51の内側に設定された一対のサイド流路510A、510B、およびセンタ流路510Cに分岐して流れる。センタ流路510Cは、第1仕切部材52および第2仕切部材53によって流路幅が空気流れ下流側に向かって縮小されている。
このため、センタ流路510Cを流れる空気は、一対のサイド流路510A、510Bから吹き出される空気よりも速度が速くなる。そして、センタ流路510Cを流れる空気は、高速化された状態で主孔512から吹き出される。
また、一対のサイド流路510A、510Bを流れる空気は、センタ流路510Cを流れる空気よりも遅い速度で主孔512に向かって流れた後、主孔512から吹き出される。この際、一対のサイド流路510A、510Bを流れる空気は、幅拡大部516によって、主孔512の開口の長手方向(すなわち、幅方向DRw)の中心線CLwから離れるように流れる。
これによると、ダクト部51の外側における静止流体の巻き込みが、主孔512の開口の中心線CLwから離れた位置で発生し易くなる。すなわち、ダクト部51の外側における静止流体との速度差によって生ずる横渦Vtが、センタ流路510Cから離れた位置で発生し易くなる。なお、横渦は、渦心が気流の流れ方向に直交する渦である。
これによると、一対のサイド流路510A、510Bを流れる気流が犠牲となるものの、センタ流路510Cから吹き出される作動気流の流速の減衰が抑制されるので、作動気流の到達距離を長くすることができる。
加えて、本実施形態の空気吹出装置50は、ダクト部51に対して主流路510の流路高さを縮小する絞り部515が設けられている。このため、比較例の如く、ダクト部に対して絞り部515が設けられていない構成に比べて、主孔512の開口の短手方向(高さ方向DRh)における作動気流の風速分布が均一化される。
作動気流の風速分布が均一化されると、作動気流の速度境界層が主流路510における高さ方向DRhの中心線CLhから離れる。このため、図8および図9に示すように、作動気流の吹出時に、主孔512の開口の短手方向(高さ方向DRh)への作動気流の拡散が抑制される。
特に、本実施形態の空気吹出装置50は、センタ流路510Cを介して吹き出される気流が一対のサイド流路510A、510Bに比べて高速化される。これにより、センタ流路510Cでの作動気流の風速分布は、図10の実線で示すように、仕切部材52、53で主流路510が分割されていない空気吹出装置50での風速分布に比べて、高さ方向DRhに拡がりを有する凸状の分布となる。作動気流の風速分布が高さ方向DRhに拡がると、作動気流の速度境界層が作動気流の高さ方向DRhの中心線CLhから離れ易くなるので、作動気流の吹出時に、高さ方向DRhへの作動気流の拡散が抑制される。なお、図10では、仕切部材52、53で主流路510が分割されていない空気吹出装置50での風速分布を破線で示している。
ここで、図11は、比較例の空気吹出装置CEおよび本実施形態の空気吹出装置50における主孔512との距離と空気到達率Arとの関係を比較した図である。図10に示す縦軸は、空気到達率Arを表している。空気到達率Arは、主孔512から所定距離下流となる位置での作動気流の最大風速Vmaxを主孔512における作動気流の平均風速Vaveで除したものである(すなわち、Ar=Vmax/Vave)。また、図12は、比較例の空気吹出装置CEおよび本実施形態の空気吹出装置50で主孔512から700mm下流となる位置での空気到達率Arを比較した図である。
図11および図12によれば、本実施形態の空気吹出装置50は、比較例の空気吹出装置CEに比べて、主孔512から大きく離れた位置でも空気到達率Arが低下し難いことが確認された。具体的には、主孔512から700mm離れた位置での空気到達率Arは、比較例の空気吹出装置CEで約0.42であったが、本実施形態の空気吹出装置50で約0.60まで向上している。このように、本実施形態の空気吹出装置50は、比較例の空気吹出装置CEと比較して、空気吹出装置50から吹き出される空気をより遠方まで到達させることが可能である。
以上説明した空気吹出装置50は、ダクト部51に対して主流路510の流路高さを縮小する絞り部515が設けられている。これによると、ダクト部51に対して絞り部515が設けられていない構成に比べて、主孔512の開口の短手方向における作動気流の風速分布が均一化されるので、主孔512の開口の短手方向への作動気流の拡散が抑制される。
また、空気吹出装置50は、第1仕切部材52および第2仕切部材53によってセンタ流路510Cの流路幅が空気流れ上流側から下流側に向かって縮小されている。これによれば、センタ流路510Cに気流が流れ易くなるとともに、センタ流路510Cを介して吹き出される気流が一対のサイド流路510A、510Bに比べて高速化される。
これにより、センタ流路510Cでは、作動気流の風速分布が高さ方向DRhに拡がりを有する凸状の分布となり、作動気流の速度境界層が作動気流の中心から離れ易くなるので、作動気流の吹出時に、高さ方向DRhへの作動気流の拡散が抑制される。
このように、本実施形態の空気吹出装置50は、作動気流の吹出時に高さ方向DRhへの拡散が抑制されるので、空気吹出口として扁平形状の主孔512を採用したしても、作動気流の到達距離を長くすることが可能となる。
さらに、ダクト部51には、主孔512に連なる部位に流路幅を空気流れ下流側に向けて拡大する幅拡大部516が設けられている。このように、幅拡大部516が設けられた構成では、ダクト部51おける主孔512に連なる部位に沿って流れる気流が、主孔512の開口の長手方向の中心線CLwから離れるように流れる。これによると、ダクト部51外側における静止流体の巻き込みが主孔512の開口の中心側から離れた位置で発生し易くなり、主孔512の開口の中心側を流れる気流の流速の減衰を抑制することができるので、作動気流の到達距離を長くすることが可能となる。
また、第1仕切部材52および第2仕切部材53は、空気流れ下流側の下流側端部522、532が、主孔512の開口位置よりも空気流れ上流側に位置付けられている。これによると、主孔512から吹き出された気流が第1仕切部材52および第2仕切部材53によって乱れないので、第1仕切部材52および第2仕切部材53による作動気流の流速の減衰を充分に抑えることができる。また、第1仕切部材52および第2仕切部材53によって主孔512の開口面積が小さくならない。
(第1変形例)
上述の実施形態では、第1仕切部材52および第2仕切部材53が平板状の部材で構成されているものを例示したが、これに限定されない。第1仕切部材52および第2仕切部材53は、主流路510における気流の流れ方向に対して交差するように配置されているので、第1仕切部材52および第2仕切部材53の表面で気流が剥離し、主孔512付近に生ずる乱れが大きくなってしまう虞がある。
このため、第1仕切部材52および第2仕切部材53は、主流路510を流れる気流の流れ方向に沿った断面形状が流線型形状になっていることが望ましい。特に、第1仕切部材52および第2仕切部材53は、図13に示すように、空力特性に優れた翼型で構成されていることが望ましい。すなわち、各仕切部材52、53は、空気流れ上流側の上流側端部521、531が鋭利な曲面状となり、空気流れ下流側に位置する下流側端部522、532が上流側端部521、531に比べて丸みを有する曲面状になっていることが望ましい。
具体的には、第1仕切部材52および第2仕切部材53は、互いに対向する内側壁面523、533が直線状に構成されている。第1仕切部材52の内側壁面523および第2仕切部材53の内側壁面533は、センタ流路510Cを形成するものであるため、空気流れ下流側に向かって互いに近付くように延びている。また、第1仕切部材52の外側壁面524および第2仕切部材53の外側壁面534は、上流側端部521、531側が直線状に延びているものの下流側端部522、532側が内側壁面523、533に徐々に近づくように湾曲している。
これによると、図14に示すように、第1仕切部材52および第2仕切部材53の表面での気流の剥離が抑えられるので、第1仕切部材52および第2仕切部材53の追加に伴う主孔512付近に生ずる乱れの発生を抑制することができる。このことは、作動気流の到達距離を長くする上で有効である。
(第2変形例)
上述の実施形態では、ダクト部51における主孔512に連なる部位に幅拡大部516が設けられたものを例示したが、これに限定されない。例えば、図15に示すように、ダクト部51には、幅拡大部516の代わりに、流路高さを空気流れ下流側に向けて拡大する高さ拡大部517が設けられていてもよい。なお、高さ拡大部517については、絞り部515と重複しないように、絞り部515の空気流れ下流側であって、主孔512に連なる部位に設ける必要がある。
このように、ダクト部51に対して高さ拡大部517が設けられた構成では、ダクト部51おける主孔512に連なる部位に沿って流れる気流が、主孔512の開口の短手方向の中心線CLhから離れるように流れる。これによると、ダクト部51外側における静止流体の巻き込みが主孔512の開口の中心側から離れた位置で発生し易くなり、主孔512の開口の中心側を流れる気流の流速の減衰を抑制することができるので、作動気流の到達距離を長くすることが可能となる。
なお、本変形例では、幅拡大部516の代わりに高さ拡大部517が設けられているダクト部51を例示したが、これに限定されない。ダクト部51は、幅拡大部516および高さ拡大部517それぞれが設けられていてもよい。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、図16〜図21を参照して説明する。本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について主に説明する。
図16および図17に示すように、ダクト部51は、第1仕切部材52および第2仕切部材53が配置される下流ダクト部51A、および第1仕切部材52および第2仕切部材53よりも上流側に位置する上流ダクト部51Bを有している。
下流ダクト部51Aの内側には、第1仕切部材52および第2仕切部材53が配置されている。下流ダクト部51Aの内側には、第1仕切部材52および第2仕切部材53によって一対のサイド流路510A、510Bおよびセンタ流路510Cが形成されている。そして、下流ダクト部51Aは、第1仕切部材52および第2仕切部材53よりも下流側に位置する部位に主孔512が開口している。下流ダクト部51Aは、第1実施形態で説明したダクト部51と同様に構成される。
上流ダクト部51Bの内側には、一対のサイド流路510A、510Bおよびセンタ流路510Cに気流を導く上流主流路510Dが形成されている。上流主流路510Dは、主流路510において第1仕切部材52および第2仕切部材53よりも上流側に位置する流路である。そして、上流ダクト部51Bは、上流側に位置する部位に導入孔511が開口している。
上流ダクト部51Bの内側には、上流主流路510Dの流路面積を可変させる流路可変機器60が設けられている。本実施形態では、流路可変機器60が気流を脈動流として主孔512から吹き出すための脈動流発生装置を構成している。
上流ダクト部51Bは、流路可変機器60によって流路面積が可変される流路可変部位54を有している。流路可変部位54は、主孔512よりも導入孔511の近くに設定されている。
流路可変機器60は、上流主流路510Dの流路面積を調整するためのスライドドア61、およびスライドドア61を駆動する駆動部62、ドア制御部100を備えている。流路可変機器60は、駆動部62がダクト部51の外側に設置されている。
スライドドア61は、単一のドア部611を有している。ドア部611は、板状に構成され、その板面が主流路510の中心線CLと交差する方向に変位可能に配置されている。
スライドドア61は、ドア部611の大部分が上流主流路510Dの外側に位置する第1の姿勢、およびドア部611の大部分が上流主流路510Dの内側に位置する第2の姿勢に設定可能に構成されている。
上流主流路510Dは、スライドドア61が第1の姿勢になると流路面積が最大となり、スライドドア61が第2の姿勢になるとドア部611によって一部が塞がれることで流路面積が小さくなる。なお、第1の姿勢は、上流主流路510Dの流路面積をスライドドア61によって制限しない非制限姿勢である。また、第2の姿勢は、上流主流路510Dの流路面積をスライドドア61によって制限する制限姿勢である。
駆動部62は、スライドドア61の姿勢を変化させるためのものである。本実施形態の駆動部62は、上流主流路510Dの流路面積が周期的に変化するように、スライドドア61の姿勢を変化させる。具体的には、駆動部62は、上流主流路510Dの流路面積が主孔512の開口面積よりも大きくなる状態と主孔512の開口面積よりも小さくなる状態とが交互に繰り返されるように、スライドドア61の姿勢を変化させる。
駆動部62は、ステッピングモータ等の電動アクチュエータ、電動アクチュエータの回転出力をスライドドア61の直線運動に変換させる直動変換機器を含んで構成されている。直動変換機器は、例えば、ラックアンドピニオンを含んで構成される。駆動部62は、ドア制御部100からの制御信号に応じて制御される。
ここで、ドア制御部100は、プロセッサ、メモリを含むコンピュータとその周辺回路とで構成されている。ドア制御部100は、メモリに記憶されたプログラムに基づいて各種演算、処理を行い、出力側に接続された駆動部62を制御する。ドア制御部100のメモリは、非遷移的実体的記憶媒体で構成されている。
ドア制御部100は、室内空調ユニット1の構成機器を制御する図示しないエアコンECUと別体で構成されている。なお、ドア制御部100は、エアコンECUの一部として構成されていてもよい。
ドア制御部100は、図18の上段に示すように、上流主流路510Dの流路面積が周期的に変化するように駆動部62を制御する。すなわち、ドア制御部100は、スライドドア61の姿勢が非制限姿勢および制限姿勢に周期的に切り替わるように駆動部62を制御する。なお、ドア制御部100は、スライドドア61の姿勢を切り替える切替周期が例えば0.1〜2秒程度となるように駆動部62を制御する。
これにより、主孔512から吹き出される気流は、図18の下段に示すように、その主流の流速(例えば、平均流速)が周期的に変化する。なお、主流は、主孔512の開口面に直交する開口方向に向かう流れである。
上流ダクト部51Bは、図16および図17に示すように、流路可変機器60のスライドドア61よりも下流側に気流の流速分布を均一化させるための整流構造70が設けられている。整流構造70は、上流ダクト部51Bの流路可変部位54の下流に設けられている。
本実施形態の整流構造70は、上流ダクト部51Bに設けられた縮小部位71によって構成されている。縮小部位71は、流路可変部位54の下流において上流主流路510Dの流路面積を下流側に向けて縮小させる部位である。縮小部位71は、下流側の流路面積が主孔512の開口面積と略同等となり、上流側の流路面積が主孔512の開口面積よりも大きくなっている。具体的には、縮小部位71は、第1仕切部材52および第2仕切部材53に近づくにつれて断面積が連続的に小さくなっている。縮小部位71は、最大となる流路面積と最小となる流路面積との比が、例えば、7対2となるように設定されている。
このように構成される上流ダクト部51Bは、流路可変部位54の下流に縮小部位71が設けられていることで、流路可変部位54を通過した気流が縮小部位71で縮流され、当該縮流によって整流される。
次に、空気吹出装置50の作動について説明する。室内空調ユニット1の送風機8が作動を開始すると、室内空調ユニット1から空気吹出装置50に温度調整された空気が導入される。空気吹出装置50に導入された空気は、ダクト部51を介して主孔512から車室内へ吹き出される。
ここで、図19は、本実施形態の空気吹出装置50の比較例となる空気吹出装置CEの吹出口ADから吹き出される気流を説明するための説明図である。なお、比較例の空気吹出装置CEは、空気流路の流路断面が一定となる筒状のダクト部DPで構成され、吹出口ADから気流が定常流として吹き出される。定常流は、流速の変化が殆どない流れである。
図19に示すように、比較例の空気吹出装置CEから気流が吹き出されると、当該気流と静止した空気(すなわち、静止流体)との間で摩擦が生じ、気流のコアとなる主流の周囲に、無数の横渦Vtが発生する。なお、横渦Vtは、気流の主流に直交する方向を軸方向とする渦である。
具体的には、吹出口ADの下流には、千鳥状に列をなすように、互いに反対回りの横渦Vtが交互に発生する。このような渦が主流の周囲に発生すると、主流と渦との干渉によって吹出口ADの下流に蛇行した流れ(すなわち、蛇行流)が形成される。吹出口ADの下流に蛇行流が形成されると、気流の拡散が促進されることで、吹出口ADから吹き出す気流の到達距離が著しく短くなってしまう。
これに対して、本実施形態の空気吹出装置50は、気流が脈動流となって主孔512から吹き出されるように、流路可変機器60によって上流主流路510Dの流路面積が周期的に変更される。
空気吹出装置50は、流路可変機器60によって上流主流路510Dの流路面積が主孔512よりも大きい状態になると、図16に示すように、流路可変部位54の内側を通過した気流が縮小部位71にて整流される。縮小部位71にて整流された気流は、下流ダクト部51Aを介して主孔512から車室内へ吹き出される。
ここで、上流主流路510Dには、縮小部位71が設けられている。このため、縮小部位71から一対のサイド流路510A、510Bおよびセンタ流路510Cに至るまでに縮流が生ずる。これにより、上流主流路510Dでは、その中心線CL付近と上流主流路510Dを形成する内面付近との間の流速差が小さくなる。この結果、一対のサイド流路510A、510Bおよびセンタ流路510Cには、トップハット型の流速分布を有する気流が流入する。なお、上流主流路510Dを形成する内面付近で気流の流速が大きくなる理由としては、上流主流路510Dを形成する内面の曲率の作用によって壁面に沿う気流に遠心力が働くことが挙げられる。なお、縮流は、流路断面が縮小されることで気流の流路壁面付近の流速と主流の流速との差が小さくなる現象である。
この状態から流路可変機器60によって上流主流路510Dの流路面積が小さい状態になると、空気吹出装置50は、図17に示すように、流路面積の減少およびスライドドア61が通風抵抗となり、流路可変部位54の内側を通過する気流の流速が低下する。
また、流路可変機器60によって上流主流路510Dの流路面積を小さくすると、流路可変部位54の下流にて気流の流速分布に偏りが生ずる。具体的には、流路可変部位54の下流では、スライドドア61の板面の下流で気流の流速が低下し、スライドドア61の端部付近で気流の流速が増加する。
一方、流路可変部位54の下流には、縮小部位71が設けられている。このため、縮小部位71から一対のサイド流路510A、510Bおよびセンタ流路510Cに至るまでに縮流が生ずる。これにより、上流主流路510Dでは、その中心線CL付近と上流主流路510Dを形成する内面付近との間の流速差が小さくなる。この結果、一対のサイド流路510A、510Bおよびセンタ流路510Cには、トップハット型の流速分布を有する気流が流入する。
このように構成される空気吹出装置50は、気流が脈動流となって主孔512から吹き出される。この際、主孔512の下流には、図20に示すように、先行気流AFpの後から間欠的に後方流AFbが供給される。
具体的には、図21に示すように、主孔512から吹き出す気流が脈動流となると、主孔512の下流での横渦Vtが生ずる位置、大きさ等が変化する。また、主孔512の下流に生ずる横渦Vtの連続性が途切れ易くなる。これにより、横渦Vtの発達が抑制されるとともに、主孔512の下流に千鳥状の渦列が形成され難くなるので、主孔512の下流で気流が蛇行した流れとなることが抑制される。
その他の構成は、第1実施形態と同様である。本実施形態の空気吹出装置50は、第1実施形態と共通の構成を備えており、第1実施形態と共通の構成から奏される作用効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
加えて、本実施形態の空気吹出装置50は、上流主流路510Dに流路可変機器60が設けられている。これによると、流路可変機器60によって上流主流路510Dの流路面積を可変させると、気流が主孔512から脈動流となって吹き出される。主孔512から吹き出す気流が脈動流となると、主孔512の下流での横渦が生ずる位置、横渦の大きさ等が変化する。このため、主孔512の下流に千鳥状の渦列が形成され難くなり、主孔512の下流で気流が蛇行した流れとなることが抑制される。したがって、本実施形態の空気吹出装置50によれば、主孔512から吹き出す気流の到達距離を長くすることが可能となる。
また、空気吹出装置50は、上流主流路510Dにおける流路可変部位54の下流側に、気流の流速分布を均一化させるための整流構造70が設けられている。これによると、流路可変機器60によって上流主流路510Dに生ずる流速分布に偏りが、整流構造70によって均一化される。このため、一対のサイド流路510A、510Bおよびセンタ流路510Cに流れる気流が安定する。この結果、センタ流路510Cに気流が流れ易くなるとともに、センタ流路510Cを介して吹き出される気流が一対のサイド流路510A、510Bに比べて高速化される。
具体的には、整流構造70が上流ダクト部51Bに設けられた縮小部位71を含んで構成されている。これによると、縮小部位71を通過する気流が縮流となることで、主流の中心付近と上流ダクト部51Bの内面付近との流速差が小さくなり、上流ダクト部51Bの内面付近に形成される速度境界層の厚みを薄くすることができる。この結果、一対のサイド流路510A、510Bおよびセンタ流路510Cには、安定した流速分布を有する気流が流入する。
また、本実施形態の如く、空気吹出装置50で脈動流を発生させる構造は、送風機8を間欠的に作動させて脈動流を発生させる場合に比べて応答性に優れている。すなわち、本実施形態の空気吹出装置50によれば、送風機8を間欠的に作動させて脈動流を発生させるものに比べて、適切に脈動流を発生させることができる。
(第2実施形態の変形例)
上述の第2実施形態では、空気吹出装置50として、スライドドア61を含む流路可変機器60と、縮小部位71を含む整流構造70とを組み合せたものを例示したが、これに限定されない。空気吹出装置50は、例えば、流路可変機器60および整流構造70の一方が、第2実施形態以外に示されるもので構成されていてもよい。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について、図22、図23を参照して説明する。本実施形態では、第2実施形態と異なる部分について主に説明する。
図22および図23に示すように、流路可変機器60は、両開き型のスライドドアで構成される両開きドア63を有している。本実施形態の両開きドア63は、一対のドア部631、632を有する。
一対のドア部631、632は、上流主流路510Dを挟んで互いに対向するように配置されている。具体的には、一対のドア部631、632は、板状に構成され、その板面が主流路510の中心線CLと交差する方向に変位可能に配置されている。
両開きドア63は、一対のドア部631、632が主流路510の中心線CLから離れる第1の姿勢、および一対のドア部631、632が主流路510の中心線CLに近づく第2の姿勢に設定可能に構成されている。
上流主流路510Dは、両開きドア63が第1の姿勢になると、図22に示すように流路面積が最大となる。また、上流主流路510Dは、両開きドア63が第2の姿勢になると、図23に示すように両開きドア63の板面によって一部が塞がれることで流路面積が小さくなる。なお、第1の姿勢は、上流主流路510Dの流路面積を両開きドア63によって制限しない非制限姿勢である。また、第2の姿勢は、上流主流路510Dの流路面積を両開きドア63によって制限する制限姿勢である。
加えて、上流ダクト部51Bには、流路可変部位54の下流に、上流主流路510Dを横断するフィン72が複数配置されている。複数のフィン72は、それぞれ板状に構成されるとともに、互いの板面が並行となるように上流主流路510Dに配置されている。
このように構成される上流ダクト部51Bは、上流主流路510Dに流入した気流が複数のフィン72によって整流された後、下流ダクト部51Aを介して主孔512から吹き出される。これにより、一対のサイド流路510A、510Bおよびセンタ流路510Cには、安定した流速分布を有する気流が流入する。
その他の構成は、第2実施形態と同様である。本実施形態の空気吹出装置50は、第2実施形態と同様の構成を備えている。このため、第2実施形態と当該同様の構成から奏される作用効果を第2実施形態と同様に得ることができる。
特に、本実施形態の空気吹出装置50は、整流構造70が複数のフィン72で構成されている。これによると、流路可変部位54を通過した気流が複数のフィン72で整流される。このため、一対のサイド流路510A、510Bおよびセンタ流路510Cに対して、安定した流速分布を有する気流を流入させることができる。
(第3実施形態の変形例)
上述の第3実施形態では、空気吹出装置50として、両開きドア63を含む流路可変機器60と、複数のフィン72を含む整流構造70とを組み合せたものを例示したが、これに限定されない。空気吹出装置50は、例えば、流路可変機器60および整流構造70の一方が、第3実施形態以外に示されるもので構成されていてもよい。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について、図24〜図26を参照して説明する。本実施形態では、第2実施形態と異なる部分について主に説明する。
図24および図25に示すように、上流ダクト部51Bは、流路可変機器60にて流路面積が可変される流路可変部位54が、外部からの力が作用した際に変形するように構成されている。すなわち、流路可変部位54は、伸縮性を有する材料(例えば、ゴム材料)で構成されている。
流路可変機器60は、流路可変部位54を変形させることで、上流主流路510Dの流路面積を可変させる構造になっている。本実施形態の流路可変機器60は、流路可変部位54の内面の少なくとも一部が上流主流路510Dの中心に近づくように流路可変部位54を変形させる構造になっている。具体的には、流路可変機器60は、流路可変部位54を変形させる変形部材64を有する。
変形部材64は、流路可変部位54に対して外力を付与するための一対の押圧部641、642を有する。一対の押圧部641、642は、図26に示すように、鈍角を有する略三角形状の部材である。一対の押圧部641、642は、鈍角となる頂部Pmが流路可変部位54を挟んで互いに対向するように配置されている。
一対の押圧部641、642は、上流側に位置する上流側角部Psでの角度θαが20°以下となり、且つ、下流側に位置する下流側角部Peでの角度θβが3.5°以下となる形状となっている。ここで、角度θαは、上流主流路510Dの中心線CLと上流側角部Psおよび頂部Pmを結ぶ仮想線Lαとのなす角度である。また、角度θβは、上流主流路510Dの中心線CLと頂部Pmおよび下流側角部Peを結ぶ仮想線Lαとのなす角度である。
本実施形態の一対の押圧部641、642は、上流側角部Psの角度θαが下流側角部Peの角度θβよりも大きくなっている。なお、一対の押圧部641、642は、例えば、上流側角部Psの角度θαが下流側角部Peの角度θβと同程度の大きさになっていてもよい。
変形部材64は、一対の押圧部641、642の頂部Pmが上流主流路510Dの中心線CLから離れる第1の姿勢、および一対の押圧部641、642の頂部Pmが上流主流路510Dの中心線CLに近づく第2の姿勢に設定可能に構成されている。
上流主流路510Dは、変形部材64が第1の姿勢になると、図24に示すように流路面積が最大となる。また、上流主流路510Dは、変形部材64が第2の姿勢になると、図25に示すように一対の押圧部641、642の頂部Pmが上流主流路510Dの中心線CLに近づくことで流路面積が小さくなる。なお、第1の姿勢は、上流主流路510Dの流路面積を変形部材64によって制限しない非制限姿勢である。また、第2の姿勢は、上流主流路510Dの流路面積を変形部材64によって制限する制限姿勢である。
ここで、流路可変部位54には、上流主流路510Dの流路面積が縮小されると、図25に示すように、上流主流路510Dの流路面積が連続的に小さくなる縮小傾斜部541、上流主流路510Dの流路面積が連続的に大きくなる拡大傾斜部542が形成される。また、流路可変部位54には、縮小傾斜部541および拡大傾斜部542の間に上流主流路510Dの流路面積が最小となる流路喉部543が形成される。拡大傾斜部542は、上流ダクト部51Bにおける縮小傾斜部541および流路喉部543の下流に形成される。
このように、本実施形態の流路可変機器60は、上流主流路510Dの流路面積を縮小する際に、縮小傾斜部541と拡大傾斜部542との間に流路喉部543が形成されるように、上流主流路510Dの流路面積を可変させる構造になっている。
次に、空気吹出装置50の作動について説明する。室内空調ユニット1の送風機8が作動を開始すると、室内空調ユニット1から空気吹出装置50に温度調整された空気が導入される。空気吹出装置50に導入された空気は、ダクト部51を介して主孔512から車室内へ吹き出される。空気吹出装置50は、上流主流路510Dの流路面積が周期的に変更される構造になっているので、主孔512から気流が脈動流となって吹き出される。
ここで、流路可変機器60によって上流主流路510Dの流路面積が縮小されると、上流ダクト部51Bには、縮小傾斜部541、流路喉部543、および拡大傾斜部542が形成される。これによると、流路可変機器60によって上流主流路510Dの流路面積を可変させる際に、縮小傾斜部541から流路喉部543に向かう気流が縮流となる。このため、主流の中心付近と上流ダクト部51Bの内面付近との流速差が小さくなり、上流ダクト部51Bの内面付近に形成される速度境界層の厚みを薄くすることができる。
加えて、流路可変機器60によって上流主流路510Dの流路面積を可変させる際に、拡大傾斜部542が形成される。これによると、上流ダクト部51Bの内側の壁面形状に応じて気流の速度境界層も上流主流路510Dの中心付近から離れるように形成され易くなる。これらにより、一対のサイド流路510A、510Bおよびセンタ流路510Cに対して、安定した流速分布を有する気流を流入させることができる。
その他の構成は、第2実施形態と同様である。本実施形態の空気吹出装置50は、第2実施形態と同様の構成を備えている。このため、第2実施形態と当該同様の構成から奏される作用効果を第2実施形態と同様に得ることができる。
特に、本実施形態の空気吹出装置50は、流路可変機器60によって上流主流路510Dの流路面積が縮小される際に、上流主流路510Dを流れる気流が、縮小傾斜部541、流路喉部543、および拡大傾斜部542によって整流される構造になっている。これによると、上流ダクト部51Bに対して専用の整流構造70を設けることなく、上流主流路510Dを流れる気流を整流させることができる。
加えて、本実施形態の空気吹出装置50は、流路可変機器60が、流路可変部位54の内面の少なくとも一部が上流主流路510Dの中心線CLに近づくように流路可変部位54を変形させる構造になっている。これによると、流路可変部位54の下流にて気流の流速分布に偏りが生じ難くなる。これにより、一対のサイド流路510A、510Bおよびセンタ流路510Cに対して、安定した流速分布を有する気流を流入させることができる。
(第4実施形態の変形例)
上述の第4実施形態では、流路可変部位54が略三角形状の一対の押圧部641、642で押圧されるものを例示したが、これに限定されない。空気吹出装置50は、例えば、図27および図28に示すように、流路可変部位54が先端に円弧面をする一対の押圧部643、644で押圧される構成になっていてもよい。
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について、図29〜図31を参照して説明する。本実施形態では、第2実施形態と異なる部分について主に説明する。
図29および図30に示すように、流路可変機器60は、上流主流路510Dの流路面積を調整するための調整ドア65を備えている。調整ドア65は、板状に形成されたドア部651、およびドア部651の一端部に連結されたドアシャフト652を有する片持ち型の回動式ドアで構成されている。調整ドア65は、ドア部651の板面が上流主流路510Dに延在方向に平行に延びる第1の姿勢、およびドア部651の板面が上流主流路510Dに延在方向に交差する第2の姿勢に設定可能に構成されている。
上流主流路510Dは、調整ドア65が第1の姿勢になると、図29に示すように流路面積が最大となる。また、上流主流路510Dは、調整ドア65が第2の姿勢になると、図30に示すように調整ドア65によって一部が塞がれることで流路面積が小さくなる。
上流ダクト部51Bには、流路可変部位54の下流に渦発生体73が配置されている。渦発生体73は、主孔512の下流に発生する横渦とは渦の回転方向および渦軸の方向を含む渦特性が異なる補助渦Vaを発生させる構造になっている。
図31に示すように、渦発生体73は、上流ダクト部51Bの内側に設けられたセレーション部731で構成されている。セレーション部731は、上流ダクト部51Bの内側の一部に設けられている。なお、セレーション部731は、上流ダクト部51Bの内側の全周に設けられていてもよい。
具体的には、セレーション部731は、所定の間隔をあけて配置された四角形状の複数の凸部731aを有している。複数の凸部731aは、上流ダクト部51Bの内側から上流主流路510Dの中心線CLに向かって突き出ている。
このように構成される上流ダクト部51Bは、上流ダクト部51Bの内側に渦発生体73が設けられているので、渦発生体73の周囲を気流が通過する際に、渦の回転方向および渦軸の方向の少なくとも一方が横渦とは異なる補助渦Vaが発生する。
このような構造では、補助渦Vaによって上流ダクト部51Bの内側を流れる気流が整流されるので、上流ダクト部51Bの内側に形成される速度境界層の厚みを薄くすることができる。本実施形態では、渦発生体73が整流構造70を構成している。
その他の構成は、第2実施形態と同様である。本実施形態の空気吹出装置50は、第2実施形態と同様の構成を備えている。このため、第2実施形態と当該同様の構成から奏される作用効果を第2実施形態と同様に得ることができる。
特に、本実施形態では、整流構造70として渦発生体73が設けられていることで、流路可変部位54の下流にて気流の流速分布に偏りが生じ難くなる。これにより、一対のサイド流路510A、510Bおよびセンタ流路510Cに対して、安定した流速分布を有する気流を流入させることができる。
(第5実施形態の変形例)
上述の第5実施形態では、セレーション部731として、四角形状の複数の凸部731aを有するものを例示したが、これに限定されない。セレーション部731は、例えば、円弧形状の複数の凸部を有するもの、円弧状の凸部および凹部が交互に並んで配置される凹凸部を有するもの、三角形状の複数の凸部を有するもので構成されていてもよい。
また、上述の第5実施形態では、空気吹出装置50として、調整ドア65を含む流路可変機器60と、渦発生体73を含む整流構造70とを組み合せたものを例示したが、これに限定されない。空気吹出装置50は、例えば、流路可変機器60および整流構造70の一方が、第5実施形態以外に示されるもので構成されていてもよい。このことは、第6実施形態でも同様である。
(第6実施形態)
次に、第6実施形態について、図32、図33を参照して説明する。本実施形態では、第5実施形態と異なる部分について主に説明する。
図32に示すように、渦発生体73は、上流ダクト部51Bの内側において所定の間隔をあけて配置された複数のブロック体732で構成されている。複数のブロック体732は、上流ダクト部51Bの内側の一部に設けられている。なお、複数のブロック体732は、上流ダクト部51Bの内側の全周に設けられていてもよい。
複数のブロック体732は、上流ダクト部51Bの内側から上流主流路510Dに向かって突き出ている。具体的には、複数のブロック体732は、主孔512の開口方向に交差する方向に突き出ている。
図33に示すように、ブロック体732は、上流主流路510Dの中心側に位置する本体部732a、および本体部732aを支持する棒状の支持部732bを有している。具体的には、本体部732aは、正面から見た形状が円形状となり、且つ、側方から見た形状が四角形状となる部材で構成されている。また、支持部732bは、上流ダクト部51Bの内側に固定されている。
その他の構成は、第5実施形態と同様である。本実施形態の空気吹出装置50は、第5実施形態と当該同様の構成から奏される作用効果を第5実施形態と同様に得ることができる。
(第6実施形態の変形例)
上述の第6実施形態では、ブロック体732として、円盤状の本体部732aを有するものを例示したが、これに限定されない。ブロック体732は、例えば、球体の本体部を有するもの、八面体の本体部を有するもの、六面体の本体部を有するもので構成されていてもよい。
(第7実施形態)
次に、第7実施形態について、図34、図35を参照して説明する。本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について主に説明する。
図34および図35に示すように、ダクト部51は、主孔512に連なる部位が、外壁部55と内壁部56とを有する二重管構造になっている。
外壁部55は、ダクト部51の外殻の一部を構成するものである。外壁部55は、内壁部56との間に略一定の隙間が形成されるように、内壁部56に対応する形状になっている。内壁部56は、主流路510および主孔512を形成するものであり、外壁部55の内側に配置されている。
外壁部55と内壁部56との間には、主流路510を流れる気流と並走するように気流を流す補助流路57が形成されている。補助流路57には、主流路510を流れる気流の一部が流入する。
外壁部55および内壁部56は、連結壁部58によって互いに連結されている。連結壁部58は、主孔512を形成する下流側の端部に設けられている。連結壁部58は、主孔512を囲む穴周縁部である。
連結壁部58には、主孔512の下流に発生する横渦とは渦の回転方向および渦軸の方向を含む渦特性が異なる補助渦Vaを吹き出す補助吹出口59が設けられている。補助吹出口59は、主孔512に比べて小さい開口形状になっている。補助吹出口59は、主孔512を囲むように連結壁部58に対して複数設けられている。
具体的には、補助吹出口59は、連結壁部58の全体に一定の間隔をあけて並んで形成されている。補助吹出口59の開口形状は、円形状である。なお、補助吹出口59は、連結壁部58の一部に形成されていてもよい。また、補助吹出口59の開口形状は、円形状以外の形状になっていてもよい。
このように構成されるダクト部51は、補助流路57が設けられている。このため、主流路510を流れる気流の一部が補助流路57に流れる。補助流路57を流れる気流は補助吹出口59から吹き出される。この際、渦の回転方向および渦軸の方向の少なくとも一方が横渦とは異なる補助渦Vaが発生する。これによると、主孔512の下流で補助渦Vaが横渦に衝突することで、横渦を乱すことができる。加えて、補助渦Vaが横渦に衝突することで横渦の発達を抑制することができる。
その他の構成は、第1実施形態と同様である。本実施形態の空気吹出装置50は、第1実施形態と同様の構成を備えている。このため、第1実施形態と当該同様の構成から奏される作用効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
特に、本実施形態では、補助吹出口59が設けられており、主孔512の下流で補助渦Vaが横渦に衝突することで、横渦を乱すことができる。加えて、補助渦Vaが横渦に衝突することで横渦の発達を抑制することができる。このため、主孔512の下流に千鳥状の渦列が形成され難くなり、主孔512の下流で気流が蛇行した流れとなることが抑制される。
(他の実施形態)
以上、本開示の代表的な実施形態について説明したが、本開示は、上述の実施形態に限定されることなく、例えば、以下のように種々変形可能である。
上述の実施形態では、主孔512の開口形状が矩形状になっているものを例示したが、これに限定されない。主孔512は、例えば、円弧および直線を結合した形状からなる長円形状、曲率半径の大きい円弧および曲率半径の小さい円弧を結合した曲線形状からなる楕円形状、直線を結合した六角形等の多角形状、角部が丸められた長方形状等の形状になっていてもよい。また、主孔512を構成する一対の長縁部512a、512bおよび一対の短縁部512c、512dは、その形状が直線や円弧に限定されず、直線や円弧に凹凸が形成された形状になっていてもよい。
上述の実施形態では、第1仕切部材52および第2仕切部材53によって、主流路510が一対のサイド流路510A、510Bおよびセンタ流路510Cといった3つの流路に分割されたものを例示したが、これに限定されない。主流路510は、例えば、3つ以上の仕切部材によって、4つ以上の流路に分割されていてもよい。この場合、幅方向DRwの両側に位置する流路が一対のサイド流路を構成し、一対のサイド流路に挟まれる複数の流路がセンタ流路を構成する。
上述の実施形態では、ダクト部51に対して幅拡大部516が設けられたものを例示したが、これに限定されない。ダクト部51には、幅拡大部516が設けられていなくてもよい。
上述の実施形態では、ダクト部51に上流側平坦部513、下流側平坦部514、および絞り部515が設けられているものを例示したが、これに限定されない。ダクト部51は、例えば、上流側平坦部513および下流側平坦部514のうち一方が省略されていてもよい。
上述の実施形態では、各仕切部材52、53の上流側端部521、531が上流側平坦部513の上流端よりも下流に位置付けられ、下流側端部522、532が絞り部515の下流端よりも上流に位置付けられているものを例示したが、これに限定されない。各仕切部材52、53は、例えば、上流側端部521、531が上流側平坦部513の上流端よりも上流側に位置付けられていてもよい。また、各仕切部材52、53は、下流側端部522、532が絞り部515の下流端よりも下流に位置付けられていてもよい。
上述の実施形態では、流路可変機器60によって上流主流路510Dの流路面積を可変させることで気流を脈動流として主孔512から吹き出すものを例示したが、これに限定されない。空気吹出装置50は、例えば、送風機8を間欠的に動作させることで、気流を脈動流として主孔512から吹き出すように構成されていてもよい。この場合、送風機8が脈動流発生装置を構成する。
上述の実施形態では、室内空調ユニット1の空気吹出口に本開示の空気吹出装置50を適用するものを例示したが、これに限定されない。本開示の空気吹出装置50は、車両等の移動体に限らず、家庭用等の設置型の空調ユニットの空気吹出口等にも広く適用可能である。また、本開示の空気吹出装置50は、室内を空調する空調ユニットに限らず、例えば、室内を加湿する加湿機器の空気吹出口や、発熱体等の温度を調整する温調風を吹き出す温調機器の空気吹出口にも適用可能である。
上述の実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
上述の実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されない。
上述の実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されない。
(まとめ)
上述の実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、空気吹出装置は、ダクト部に、空気流れ上流側から下流側に向かって主流路の流路高さを縮小する絞り部が設けられるとともに、主流路を長手方向に分割する複数の仕切部材が配置されている。主流路は、複数の仕切部材によって、長手方向の両側に位置する一対のサイド流路、一対のサイド流路に挟まれる少なくとも1つのセンタ流路に分割されている。複数の仕切部材は、センタ流路の流路幅が空気流れ上流側から下流側に向かって縮小されるようにダクト部に配置されている。
第2の観点によれば、空気吹出装置は、ダクト部における絞り部の空気流れ下流側であって主孔に連なる部位に流路高さを空気流れ下流側に向けて拡大する高さ拡大部が設けられている。このように、高さ拡大部が設けられた構成では、ダクト部おける主孔に連なる部位に沿って流れる気流が、主孔の開口の短手方向の中心側から離れるように流れる。これによると、ダクト部外側における静止流体の巻き込みが主孔の開口の中心側から離れた位置で発生し易くなり、主孔の開口の中心側を流れる気流の流速の減衰を抑制することができるので、作動気流の到達距離を長くすることが可能となる。
第3の観点によれば、空気吹出装置は、ダクト部における主孔に連なる部位に流路幅を空気流れ下流側に向けて拡大する幅拡大部が設けられている。このように、幅拡大部が設けられた構成では、ダクト部おける主孔に連なる部位に沿って流れる気流が、主孔の開口の長手方向の中心側から離れるように流れる。これによると、ダクト部外側における静止流体の巻き込みが主孔の開口の中心側から離れた位置で発生し易くなり、主孔の開口の中心側を流れる気流の流速の減衰を抑制することができるので、作動気流の到達距離を長くすることが可能となる。
第4の観点によれば、空気吹出装置は、複数の仕切部材が、主流路を流れる気流の流れ方向に沿った断面形状が流線型形状となっている。これによると、複数の仕切部材を流線型形状とすれば、仕切部材表面での気流の剥離が抑制されるので、複数の仕切部材の追加に伴う気流の乱れを充分に抑制することができる。このことは、作動気流の到達距離を長くする上で有効である。
第5の観点によれば、空気吹出装置は、複数の仕切部材における空気流れ下流側の下流側端部が、主孔の開口位置よりも空気流れ上流側に位置付けられている。これによると、主孔から吹き出された気流が複数の仕切部材によって乱れないので、複数の仕切部材による作動気流の流速の減衰を充分に抑えることができる。また、仕切部材によって主孔の開口面積が小さくならない。
第6の観点によれば、主流路は、複数の仕切部材よりも上流側に位置する上流主流路を含んでいる。そして、上流主流路には、気流を脈動流として主孔から吹き出すための脈動流発生装置が設けられている。なお、「脈動流」とは、周期的または不定期な変動を伴う流動のことである。「脈動流」には、流れる方向が一定となる流動に限らず、流れる方向が逆転する流動も含まれる。
主孔から吹き出す気流が脈動流となると、主孔の下流での横渦が生ずる位置、大きさ等が変化する。このため、主孔の下流に千鳥状の渦列が形成され難くなり、主孔の下流で気流が蛇行した流れとなることが抑制される。したがって、本観点の空気吹出装置によれば、主孔から吹き出す気流の到達距離を長くすることが可能となる。
第7の観点によれば、脈動流発生装置は、上流主流路の流路面積を可変させる流路可変機器を有している。これによると、流路可変機器によって上流主流路の流路面積を可変させることで、気流を主孔から脈動流として吹き出すことができる。
第8の観点によれば、流路可変機器は、上流主流路の流路面積を縮小する際に、縮小傾斜部と拡大傾斜部との間に上流主流路の流路面積が最小となる流路喉部が形成されるように、上流主流路の流路面積を可変させる構造になっている。
これによると、流路可変機器によって上流主流路の流路面積を可変させる際に、縮小傾斜部から流路喉部に向かう気流が縮流となる。このため、主流の中心付近とダクト部の内面付近との流速差が小さくなり、ダクト部の内面付近に形成される速度境界層の厚みを薄くすることができる。加えて、流路可変機器によって主流路の流路面積を可変させる際に、拡大傾斜部が形成される。これによると、ダクト部の内側の壁面形状に応じて気流の速度境界層も主孔の中心線から離れるように形成され易くなる。これらによれば、安定した気流を一対のサイド流路およびセンタ流路に流すことができる。このことは、主孔から吹き出す気流の到達距離の向上に寄与する。
第9の観点によれば、ダクト部は、流路可変機器にて流路面積が可変される流路可変部位が伸縮性を有する材料で構成されている。流路可変機器は、上流主流路の流路面積を縮小する際に、上流主流路の中心線に近づくように流路可変機器にて流路面積が可変される流路可変部位の少なくとも一部を変形させる構造になっている。
このように、流路可変機器が、流路可変部位の内面の少なくとも一部が主流路の中心線に近づくように流路可変部位を変形させる構造になっていれば、流路可変部位の下流にて気流の流速分布に偏りが生じ難くなる。これにより、安定した気流を一対のサイド流路およびセンタ流路に流すことができる。
第10の観点によれば、脈動流発生装置と複数の仕切部材との間には、上流主流路を通過する気流を整流させる整流構造が設けられている。
流路可変機器によって上流主流路の流路面積を可変させると、脈動流発生装置の下流にて気流の流速分布に偏りが生じ易くなる。流速分布に偏りが生ずると、ダクト部の内側を流れる気流が安定せず、主孔から吹き出す気流の到達距離が短くなってしまう虞がある。
これに対して、脈動流発生装置と複数の仕切部材との間に整流構造が設けられていれば、安定した気流を一対のサイド流路およびセンタ流路に流すことができる。
第11の観点によれば、整流構造は、上流主流路の流路面積を下流側に向けて縮小させる縮小部位を含んで構成されている。これによると、縮小部位を流れる気流が縮流となることで、主流の中心付近とダクト部の内面付近との流速差が小さくなり、ダクト部の内面付近に形成される速度境界層の厚みを薄くすることができる。この結果、安定した気流を一対のサイド流路およびセンタ流路に流すことができる。
第12の観点によれば、整流構造は、ダクト部の内側に配置される渦発生体を含んで構成されている。渦発生体は、主孔の下流に発生する横渦とは渦の回転方向および渦軸の方向を含む渦特性が異なる補助渦を発生させる構造になっている。
これによると、渦発生体の周囲を気流が通過する際に、渦の回転方向および渦軸の方向の少なくとも一方が横渦とは異なる補助渦が発生する。このような構造では、補助渦によってダクト部の内側を流れる気流が整流されるので、ダクト部の内側に形成される速度境界層の厚みを薄くすることができる。これにより、安定した気流を一対のサイド流路およびセンタ流路に流すことができる。なお、渦特性とは、渦の回転方向、渦軸の向き、渦の流れ速度、流体の粘性、渦の半径等を含む渦の流れ状態を示すものである。
第13の観点によれば、ダクト部には、主孔の下流に発生する横渦とは渦の回転方向および渦軸の方向を含む渦特性が異なる補助渦を吹き出す補助吹出口が設けられている。これによると、主孔の下流で補助渦が横渦に衝突することで、横渦を乱すことができる。加えて、補助渦が横渦に衝突することで横渦の発達を抑制することができる。このため、主孔の下流に千鳥状の渦列が形成され難くなり、主孔の下流で気流が蛇行した流れとなることが抑制される。
51 ダクト部
510 主流路
510A、510B 一対のサイド流路
510C センタ流路
512 主孔
515 絞り部
52 第1仕切部材
53 第2仕切部材

Claims (13)

  1. 空気吹出装置であって、
    気流が通過する主流路(510)を形成するとともに、前記主流路の下流側に位置する部位に作動気流となる気流を吹き出す扁平形状の主孔(512)が開口するダクト部(51)を備え、
    前記主流路における前記主孔の開口の短手方向の大きさを流路高さとし、前記主流路における前記主孔の開口の長手方向の大きさを流路幅としたとき、
    前記ダクト部には、空気流れ上流側から下流側に向かって前記主流路の前記流路高さを縮小する絞り部(515)が設けられるとともに、前記主流路を前記長手方向に分割する複数の仕切部材(52、53)が配置されており、
    前記主流路は、前記複数の仕切部材によって、前記長手方向の両側に位置する一対のサイド流路(510A、510B)、前記一対のサイド流路に挟まれる少なくとも1つのセンタ流路(510C)に分割されており、
    前記複数の仕切部材は、前記センタ流路の前記流路幅が空気流れ上流側から下流側に向かって縮小されるように前記ダクト部に配置されている空気吹出装置。
  2. 前記ダクト部には、前記絞り部の空気流れ下流側であって前記主孔に連なる部位に前記流路高さを空気流れ下流側に向けて拡大する高さ拡大部(517)が設けられている請求項1に記載の空気吹出装置。
  3. 前記ダクト部には、前記主孔に連なる部位に前記流路幅を空気流れ下流側に向けて拡大する幅拡大部(516)が設けられている請求項1または2に記載の空気吹出装置。
  4. 前記複数の仕切部材は、前記主流路を流れる気流の流れ方向に沿った断面形状が流線型形状となっている請求項1ないし3のいずれか1つに記載の空気吹出装置。
  5. 前記複数の仕切部材は、空気流れ下流側の下流側端部(522、532)が、前記主孔の開口位置よりも空気流れ上流側に位置付けられている請求項1ないし4のいずれか1つに記載の空気吹出装置。
  6. 前記主流路は、前記複数の仕切部材よりも上流側に位置する上流主流路(510D)を含んでおり、
    前記上流主流路には、気流を脈動流として前記主孔から吹き出すための脈動流発生装置(60)が設けられている請求項1ないし5のいずれか1つに記載の空気吹出装置。
  7. 前記脈動流発生装置は、前記上流主流路の流路面積を可変させる流路可変機器(60)を有している請求項6に記載の空気吹出装置。
  8. 前記流路可変機器は、前記上流主流路の流路面積を縮小する際に、前記上流主流路の流路面積が連続的に小さくなる縮小傾斜部(541)と前記上流主流路の流路面積が連続的に大きくなる拡大傾斜部(542)との間に前記上流主流路の流路面積が最小となる流路喉部(543)が形成されるように、前記上流主流路の流路面積を可変させる構造になっている請求項7に記載の空気吹出装置。
  9. 前記ダクト部は、前記流路可変機器にて流路面積が可変される流路可変部位(54)が伸縮性を有する材料で構成されており、
    前記流路可変機器は、前記上流主流路の流路面積を縮小する際に、前記上流主流路の中心線に近づくように前記流路可変機器にて流路面積が可変される流路可変部位の少なくとも一部を変形させる構造になっている請求項7または8に記載の空気吹出装置。
  10. 前記脈動流発生装置と前記複数の仕切部材との間には、前記上流主流路を通過する気流を整流させる整流構造(70)が設けられている請求項6ないし9のいずれか1つに記載の空気吹出装置。
  11. 前記整流構造は、前記上流主流路の流路面積を下流側に向けて縮小させる縮小部位(71)を含んで構成されている請求項10に記載の空気吹出装置。
  12. 前記整流構造は、前記ダクト部の内側に配置される渦発生体(73)を含んで構成されており、
    前記渦発生体は、前記主孔の下流に発生する横渦とは渦の回転方向および渦軸の方向を含む渦特性が異なる補助渦を発生させる構造になっている請求項10に記載の空気吹出装置。
  13. 前記ダクト部には、前記主孔の下流に発生する横渦とは渦の回転方向および渦軸の方向を含む渦特性が異なる補助渦を吹き出す補助吹出口(59)が設けられている請求項1ないし12のいずれか1つに記載の空気吹出装置。
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