JP2020101202A - 油圧式オートテンショナ - Google Patents
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Abstract
【課題】油圧式オートテンショナの内部の作動油が外部へにじみ出ることを防止する。【解決手段】上端が開口し下端が閉塞したシリンダ2と、シリンダ2に上下に移動可能に挿入されたロッド3と、ロッド3の上部に設けられたばね座4と、シリンダ2の下部とばね座4との間に組み込まれロッド3を上方に付勢するリターンスプリング5と、ロッド3に負荷される下向きの力をシリンダ2の内部の作動油で緩衝する油圧ダンパ機構6と、ばね座4に設けられリターンスプリング5の上部を覆う筒状のスプリングカバー20と、シリンダ2の上端開口の内周に取り付けられた環状のオイルシール30とを備える。スプリングカバー20の下部の外周部に環状のオイルカバー7が嵌合され、オイルカバー7の外周部がシリンダ2の内周部に対して径方向の隙間をもって配置される。【選択図】図1
Description
この発明は、自動車補機を駆動するベルトの張力調整用に用いられる油圧式オートテンショナに関する。
エンジンのクランクシャフトの回転をオルタネータ等の各種の自動車補機に伝えるベルト伝動装置においては、図9に示すように、ベルト51の弛み側に軸52を中心にして揺動可能なプーリアーム53を設け、そのプーリアーム53に油圧式オートテンショナAの調整力を付与して、プーリアーム53の揺動側端部に支持された回転可能なテンションプーリ54がベルト51を押圧する方向にプーリアーム53を付勢し、ベルト51の張力を一定に保持するようにしている。
この種のベルト伝動装置に組み込まれる油圧式オートテンショナAとして、例えば、特許文献1に記載のものが従来から知られている。
特許文献1に記載の油圧式オートテンショナは、上端が開口し下端が閉塞したシリンダと、そのシリンダに上下に移動可能に挿入されたロッドと、ロッドの上部に設けられたばね座と、シリンダの下部とばね座との間に組み込まれロッドを上方に付勢するリターンスプリング等を備えている。ベルトの張力が変動すると、そのベルトの張力とリターンスプリングの付勢力がつりあう位置までロッドが移動して補機ベルトの張力変動を吸収する。
また、この油圧式オートテンショナは、シリンダの上端開口の内周に取り付けられて、ロッドと一体に移動する部材であるスプリングカバーの外周部に摺接する環状のオイルシールと、ベルトからロッドに負荷される下向きの力を、シリンダの内部の作動油で緩衝する油圧ダンパ機構とを備えている。
上記の油圧式オートテンショナは、シリンダの上端開口の内周に取り付けたオイルシールで、シリンダ内の作動油を密封している。しかし、油圧式オートテンショナを過酷な条件で長期にわたって使用したとき、シリンダから微量の作動油がにじみ漏れることで、作動油が補機ベルト又は周辺部品に付着する場合があることが判明した。作動油が付着すると、補機ベルトの滑り又は周辺部品の動作不良の原因となる。
ここで、特許文献1に記載の油圧式オートテンショナでは、オイルシールの内周に形成されたオイルリップ及びダストリップと、相手側部材であるスプリングカバーの外周とが、締め代をもって接触している。このため、油圧式オートテンショナの伸縮時には、それらの接触部が摺動を繰り返すこととなる。したがって、接触部での摩耗の進行により、オイルシールによる密閉性が低下し、シリンダからの作動油の漏洩が増加する可能性がある。
このとき、オイルシールの内周に形成された各リップが、微量の作動油を掻き出すことによって摩耗を抑制することが可能である。しかし、その掻き出しが蓄積すると、オイルシールの上部に作動油が溜まってしまい、作動油が外部へにじみ出る可能性がある。
特に、近年、車両の低燃費化を図るため、補機ベルトの低フリクション化が求められていることから、補機ベルトの張力も低く設定される傾向にある。その一方で、補機ベルトで駆動される補機の負荷は、増加する傾向にある。このため、補機ベルトの振幅が大きくなりやすく、油圧式オートテンショナの伸縮ストロークも大きくなる傾向にあり、オイルシールの摺接部分で作動油の掻き出し作用が生じやすくなっている。
この発明が解決しようとする課題は、油圧式オートテンショナの内部の作動油が外部へにじみ出ることを防止することである。
上記課題を解決するため、この発明では、上端が開口し、下端が閉塞したシリンダと、前記シリンダに上下に移動可能に挿入されたロッドと、前記ロッドの上部に設けられたばね座と、前記シリンダ内の下部と前記ばね座との間に組み込まれ、前記ロッドを上方に付勢するリターンスプリングと、前記ロッドに負荷される下向きの力を前記シリンダの内部の作動油で緩衝する油圧ダンパ機構と、前記ばね座に設けられ、前記リターンスプリングの上部を覆う筒状のスプリングカバーと、前記ロッドの移動に伴って前記スプリングカバーの外周部に摺接するように前記シリンダの上端開口の内周に取り付けられる環状のオイルシールと、を備える油圧式オートテンショナにおいて、前記スプリングカバーはその下部が前記シリンダの内周部と径方向に対向するものであり、前記スプリングカバーの下部の外周部には環状のオイルカバーが嵌合していて、前記オイルカバーは可撓性を有し、その外周部が前記シリンダの内周部に対して径方向の隙間をもって配置されているものである構成を採用することができる。
この構成によると、スプリングカバーとシリンダとの間を通り上方に移動するシリンダ内の作動油は、そのほとんどがオイルカバーに付着して、シリンダ内へ戻される。このため、スプリングカバーのうち、オイルカバーの上方に位置する部分の外周部への作動油の付着量が抑制される。
前記スプリングカバーは、その下部の外周部に円筒面をなす小径嵌合面を有し、前記オイルシールが前記小径嵌合面の外側に位置する状態で、前記オイルカバーが前記オイルシールにより前記小径嵌合面へ押圧されている構成を採用することができる。
この構成では、オイルシールが小径嵌合面の外側に位置する状態では、オイルカバーが、オイルシールにより小径嵌合面へ押圧されているので、オイルシールとオイルカバーとの間の密封性を維持することができる。
前記オイルカバーの内周部が前記スプリングカバーの下縁部の外周部に嵌合されている構成を採用することができる。この構成のオイルカバーによって、オイルシールに向かって移動するシリンダ内の作動油の量を抑制することができる。
前記構成において、前記オイルカバーがその外周部に周方向に間隔をおいて設けられる複数の切り欠きを有する構成を採用することができる。この構成のオイルカバーの外周部はオイルシールに押圧されると、切り欠きを埋めるように周方向に広がって弾性変形するので、径方向に波打つ状態となり難い。
前記ばね座は、前記シリンダの外周部と径方向に対向するダストカバーを有し、前記ダストカバーは、前記ばね座に対して着脱可能に嵌合するものであり、前記ばね座の前記ダストカバーとの嵌合面は前記オイルシールが挿通可能となっている構成を採用することができる。
この構成では、ばね座のダストカバーとの嵌合面を通して、上方からオイルシールをスプリングカバーの外周部へ嵌合することができる。
前記オイルカバーは、前記シリンダの内周部へ向うに従って下方に延び出す状態となっている構成を採用することができる。この構成のオイルカバーでは、これに付着した作動油が自重により垂れて、シリンダ内に戻り易くなる。
この発明の油圧式オートテンショナにおいては、スプリングカバーの下部の外周部に嵌合されるオイルカバーの存在により、作動油は、シリンダの内部からオイルシールとスプリングカバーとの間への移動が抑制され、油圧式オートテンショナからの作動油のにじみ漏れを防止することができる。
以下、この発明の第一実施形態に係る補機用の油圧式オートテンショナ1を図1〜図5に基づいて説明する。
図1に示すように、油圧式オートテンショナ1は、上端が開口し下端が閉塞したシリンダ2と、シリンダ2に上下に移動可能に挿入されたロッド3と、ロッド3の上部に設けられたばね座4と、シリンダ2の下部とばね座4との間に組み込まれてばね座4を介してロッド3を上方に付勢するリターンスプリング5と、ばね座4に設けられてリターンスプリング5の上部を覆う筒状のスプリングカバー20と、を備えている。
シリンダ2は、アルミニウム合金を素材とし、冷間鍛造により成形されている。シリンダ2の下端部には、下部連結片2aが一体に設けられている。
下部連結片2aは、一側面から他側面に貫通する軸挿入孔2bを有している。軸挿入孔2b内に筒状の下部連結軸9と、下部連結軸9を回動可能に支持する滑り軸受10が組み込まれている。下部連結軸9は、ボルト11によって、エンジンブロックEに固定されている。この下部連結軸9を中心として、シリンダ2がエンジンブロックEに回動可能に連結されている。
また、シリンダ2は、底面部12に形成されたスリーブ嵌合凹部13を有している。スリーブ嵌合凹部13内には、鋼製のスリーブ14の下端部が挿入されている。スリーブ14とスリーブ嵌合凹部13との嵌合面間には、油通路16が形成されている。スリーブ14は、シリンダ2と同軸状に挿入されていて、スリーブ14の下端部内にチェックバルブ15が圧入されている。
スリーブ14は、その内部にロッド3の下部が上下方向に摺動可能に挿入される状態となっている。ロッド3の挿入により、スリーブ14内に圧力室17が形成される。圧力室17は作動油で満たされており、ロッド3のうちシリンダ2に対して外部に位置する上端部は、ばね座4に固定されている。
ロッド3とスリーブ14の上部との摺動面間にリーク隙間18が形成されている。リーク隙間18の大きさは微小であり、ロッド3の外周の円筒面とスリーブ14の内周の円筒面の半径差で0.005〜0.100mmの範囲に設定されている。
ばね座4は樹脂の成形品からなり、リターンスプリング5の上端部を受ける上面部19と、上面部19から上方に突出する上部連結片4aと、上面部19からリターンスプリング5の上部を覆う円筒状のスプリングカバー20と、シリンダ2の上部を覆う円筒状のダストカバー21とを有している。ばね座4は、スプリングカバー20及びダストカバー21と共に、ロッド3と一体に軸方向へ移動する。
上部連結片4aは、プーリアーム53に対して回動可能に連結されている。その連結構造は、下部連結片2aと同様である。スプリングカバー20とダストカバー21とは、ばね座4の上面部19に対して、それぞれ同軸状に配置されている。
ばね座4の上面部19は、スプリングカバー20の上方にダストカバー21が着脱可能に嵌合するカバー嵌合面19aを有している。カバー嵌合面19aは円筒面であり、カラー29の上部と同じ外径寸法を有している。カバー嵌合面19aには周溝19bが形成されている。
図2に示すように、ダストカバー21は、上面部19のカバー嵌合面19aに嵌合する環状のボス部21aと、ボス部21aの外周部から下方に延び出す円筒状のカバー部21bとを有している。
ボス部21aは、カバー嵌合面19aと径方向に対向し、カバー嵌合面19aの外径寸法と同じ内径寸法の内周部を有している。ボス部21aの内周部には、周溝19bに嵌合する突条21cが形成されている。カバー部21bは、ボス部21aと一体に形成されており、カバー部21bの下部がシリンダ2の外周部に対して径方向に対向している。
ボス部21aの突条21cが上面部19の周溝19b内に嵌合することで、ダストカバー21はばね座4の上面部19に着脱可能に嵌合するものである。
リターンスプリング5は、シリンダ2の内径寸法よりも小さい外径寸法を有するコイルばねであり、スリーブ14の外周に装着されている。リターンスプリング5は、下端がシリンダ2の底面部12で支持され、上端がばね座4の上面部19を上方へ押圧するものである。
スプリングカバー20は、その下部がシリンダ2の内周部と径方向に対向するものである。スプリングカバー20は、その外周部を構成する円筒状のカラー29を有している。カラー29は、スプリングカバー20を補強するものである。なお、スプリングカバー20は、カラー29を有していなくてもよい。
図2に示すように、カラー29は、その下部に小径嵌合面8を有している。小径嵌合面8は、カラー29のうち小径嵌合面8よりも上方に位置する部分における外周面よりも、相対的に小さい外径寸法を有している。
小径嵌合面8には、環状のオイルカバー7の内周部7aが嵌合している。オイルカバー7は可撓性を有し、シリンダ2の内周部へ向かうに従って下方に延び出す状態に形成されている。なお、この実施形態のカラー29は、小径嵌合面8を有していなくてもよい。
油圧式オートテンショナ1は、油圧ダンパ機構6と、オイルシール30と、オイルカバー7と、を更に備えている。油圧ダンパ機構6は、ロッド3に負荷される下向きの力をシリンダ2の内部の作動油で緩衝する。オイルシール30は環状であり、ロッド3と共に移動する部材であるスプリングカバー20(ここでは、カラー29)の外周に摺接するように、シリンダ2の上端開口の内周に取り付けられている。オイルカバー7は環状であり、スプリングカバー20の下部に嵌合される。
油圧ダンパ機構6は、鋼製のスリーブ14と、スリーブ14内の圧力室17と、スリーブ14とシリンダ2の間に形成されるリザーバ室25と、圧力室17とリザーバ室25の間を連通する油通路16と、チェックバルブ15と、リーク隙間18とから構成されており、ロッド3に負荷される下向きの力を圧力室17内の作動油で緩衝するようになっている。
オイルシール30は、シリンダ2のシール嵌合面22に締め代をもって嵌合している。オイルシール30は、シール嵌合面22に圧入される円筒状の外筒部34と、スプリングカバー20の外周に弾性接触する内筒部31と、外筒部34及び内筒部31とを上部で連結する連結部33とが、弾性体によって一体に形成されたものである。また、外筒部34及び連結部33の内部には、一体成形された金属製の芯金32が埋め込まれている。
オイルシール30を構成する弾性体は、耐摩耗性および耐熱性に優れた弾性を有する合成ゴムからなる。合成ゴムとしては、例えば、ニトリルゴム、140℃耐熱ニトリルゴム、水素添加ニトリルゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム等が好ましい。
内筒部31は、その下部に、内筒部31の内周面から内径側へ向かって突出するオイルリップ35を備えている。オイルリップ35は、上下方向に沿って並列する二つの凸部35a、35bから構成されている。
また、内筒部31は、その上部に、内筒部31の内周面から内向きに突出するダストリップ31aを有している。ダストリップ31aは、その先端縁部が外筒部34および連結部33の上部よりも上方に位置するものである。
内筒部31の下部の外周部には、ガータスプリング36が取り付けられている。ガータスプリング36の弾性力により、内筒部31がスプリングカバー20の外周部に締め付けられている。これにより、オイルリップ35及びダストリップ31aが、スプリングカバー20のカラー29の外周面に対し全周にわたって弾性接触している。
オイルシール30のシリンダ2の上端部への嵌合によって、図1に示すように、シリンダ2とスリーブ14との間に密封されたリザーバ室25が形成されている。リザーバ室25には、空気と作動油が上下2層に収容されている。オイルリップ35及びダストリップ31aは、カラー29の外周面に弾性接触して、シリンダ2の上側開口を閉塞している。
リザーバ室25と圧力室17は油通路16で連通している。油通路16の圧力室17側の端部に配置されたチェックバルブ15は、圧力室17内の圧力がリザーバ室25内の圧力よりも高くなると油通路16を閉鎖するようになっている。すなわち、チェックバルブ15は、油通路16のリザーバ室25側から圧力室17側への作動油の流れのみを許容するようになっている。
図3に示すように、オイルカバー7は、その外周部に周方向に間隔をおいて設けられる複数(ここでは、4つ)の切り欠き7bを有している。それぞれの切り欠き7bは、径方向外側に向かうに従い周方向の幅寸法が広くなるV字状に形成されている。
図2及び4に示すように、オイルカバー7の内周部7aは、小径嵌合面8の上端部に締め代をもって嵌合している。オイルカバー7の外周部は、シリンダ2の内周部に対して径方向の隙間をもって配置され、カラー29の下縁部よりも上方に位置している。
また、オイルカバー7は、カラー29の上部の外周部の外径寸法と小径嵌合面8の外径寸法との差の半分となる厚みを有している。なお、オイルカバー7は、オイルシール30が小径嵌合面8の外側に位置する状態で、オイルシール30によりオイルカバー7が小径嵌合面8へ押圧されるものであればよく、その厚みは、本実施形態の大きさに限られない。
オイルカバー7の材質は、可撓性を有するものであればよく、例えば、後述するオイルシール30を構成する弾性体と同じものを使用することができる。
この実施形態に係る油圧式オートテンショナ1は上記の構成からなり、その組み立て方法を図面に基づいて説明する。まず、図6(a)に示すように、ばね座4の上面部19にロッド3を装着し、スプリングカバー20のカラー29の小径嵌合面8にオイルカバー7を嵌合する。このとき、ばね座4の上面部19に対して、ダストカバー21は取り外されている状態となっている。
次に、スプリングカバー20のカラー29の外周部にオイルシール30を嵌合し、オイルシール30をオイルカバー7の上方に配置する。
続いて、シリンダ2に対して、チェックバルブ15を取り付けたスリーブ14およびリターンスプリング5を装着し、シリンダ2内に必要量の作動油を注入する。このシリンダ2に対して、上方からばね座4のロッド3をスリーブ14内に挿入する。この挿入状態では、リターンスプリング5により、ばね座4がシリンダ2に支持される。
ばね座4がシリンダ2に支持される状態で、図6(b)に示すように、オイルシール30をシリンダ2のシール嵌合面22内に装着する。最後に、ばね座4の上面部19のカバー嵌合面19aの周溝19bに、ダストカバー21のボス部21aを嵌合することにより、ばね座4にダストカバー21を嵌合する。
このように組み立てられる油圧式オートテンショナ1は、図9に示す補機駆動用のベルト51の張力調整に際しては、シリンダ2の下部連結片2aを図1に示すようにエンジンブロックEに連結し、且つ、ばね座4に設けられた上部連結片4aをプーリアーム53に連結して、そのプーリアーム53に調整力を付与する。
このようなベルト51の張力調整状態において、補機の負荷変動等によってベルト51の張力が変化し、ベルト51の張力が弱くなると、リターンスプリング5の付勢力によりスリーブ14から突出する方向にロッド3が移動し、ベルト51の弛みを吸収する。このとき、圧力室17の容積が拡大するので、チェックバルブ15が開き、リザーバ室25内の作動油が油通路16を通って圧力室17に流入する。
一方、ベルト51の張力が大きくなると、そのベルト51の張力によって、スリーブ14内に押し込まれる方向にロッド3が移動し、ベルト51の緊張を吸収する。このとき、圧力室17の容積が縮小するので、チェックバルブ15が閉じ、圧力室17内の作動油がリーク隙間18を通って流出し、その作動油の粘性抵抗によってダンパ作用を生じる。
ところで、ベルト51の張力変動に応じてロッド3が上下に移動するとき、ロッド3の移動に伴うオイルシール30の摺接部分(オイルシール30とスプリングカバー20との接触部分)で、作動油の掻き出し作用が生じることがある。
特に、近年の車両の低燃費化の要請から、ベルト51の低フリクション化が求められているため、ベルト51の張力も低く設定される傾向にある。その一方で、ベルト51で駆動される補機の負荷は増加する傾向にある。このため、ベルト51の振幅が大きくなりやすく、油圧式オートテンショナ1の伸縮ストロークも大きくなる傾向にあり、オイルシール30の摺接部分で作動油の掻き出し作用が生じやすくなっている。
しかし、この発明では、スプリングカバー20のカラー29の下部の外周部に小径嵌合面8が設けられ、小径嵌合面8にオイルカバー7が嵌合されている。このオイルカバー7は、シリンダ2の内周部へ向かうに従って下方に延び出す状態に形成されている。
ロッド3の上下動に伴って、スプリングカバー20のカラー29とシリンダ2との間を通りオイルシール30へ向かって上方に移動するシリンダ2内の作動油は、そのほとんどがオイルカバー7の内面に付着して、シリンダ2内へ戻される。
このため、カラー29の外周部のうち、オイルカバー7の上方に位置する部分への作動油の付着量が抑制され、作動油がオイルシール30のスプリングカバー20との摺動部分から外部へにじみ出ることを防止できる。
この発明では、オイルカバー7は、カラー29の上部の外径寸法と小径嵌合面8の外径寸法との差の半分となる厚みを有している。このため、オイルシール30が小径嵌合面8の外側に位置する状態で、オイルシール30によりオイルカバー7が小径嵌合面8へ押圧される。この押圧によって、オイルシール30が小径嵌合面8の外側に位置する状態でも、オイルシール30とオイルカバー7との間で密封性が確保される。
さらに、オイルカバー7は、その外周部に周方向に間隔をおいて設けられる複数の切り欠き7bを有している。切り欠き7bを有するオイルカバー7の外周部は、オイルシール30によって押圧されると、切り欠き7bの周方向幅を小さくするように周方向に広がって弾性変形するので、径方向に波打つ状態となり難い。
なお、この実施形態の油圧式オートテンショナ1では、スプリングカバー20の外周部にカラー29を備えるものを例示したが、スプリングカバー20は、必ずしもカラー29を備えている必要なく、カラー29を備えていないものであってもよい。この場合、スプリングカバー20は、その外周部の下部に小径嵌合面を有しており、その小径嵌合面がスプリングカバー20のうち、当該小径嵌合面よりも上方に位置する部分における外周面よりも、相対的に小さい外径寸法を有していればよい。
この発明の第二実施形態に係る油圧式オートテンショナ1を図7に示す。第二実施形態において、スプリングカバー20のカラー29は、その外周部の下縁部に小径段部24を有し、小径段部24にオイルカバー7の内周部7aが嵌合している点で、上述の第一実施形態と相違する。その他の構成において、第一実施形態と同一部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
この実施形態の小径段部24は、カラー29の外周部うちの小径段部24よりも上方の部分に対して径方向内向きに凹んで形成されている。小径段部24にオイルカバー7の内周部7aが嵌合することで、オイルカバー7は、シリンダ2の内周部へ向かうに従って下方に延び出す状態となる。
オイルカバー7の存在により、カラー29の外周部のうち、オイルカバー7の上方に位置する部分への作動油の付着量が抑制され、作動油がオイルシール30のスプリングカバー20との摺動部分から外部へにじみ出ることを防止できる。
なお、この発明の第二実施形態に係る油圧式オートテンショナ1では、カラー29の小径段部24に内周部7aが嵌合し、シリンダ2の内周部へ向かうに従って下方に延び出す状態となるオイルカバー7を例示したが、例えば、図8に示すように、オイルカバー7をシリンダ2の内周部へ向かって径方向外向きに延び出す状態としてもよい。
この状態でカラー29の小径段部24に嵌合するオイルカバー7により、第二実施形態の場合と同様に、カラー29の外周部のうち、オイルカバー7の上方に位置する部分への作動油の付着量が抑制され、作動油がオイルシール30のスプリングカバー20との摺動部分から外部へにじみ出ることを防止できる。
1 油圧式オートテンショナ
2 シリンダ
3 ロッド
4 ばね座
5 リターンスプリング
6 油圧ダンパ機構
7 オイルカバー
7a 内周部
7b 切り欠き
8 小径嵌合面
14 スリーブ
15 チェックバルブ
19 上面部
19a カバー嵌合面
20 スプリングカバー
21 ダストカバー
24 小径段部
29 カラー
30 オイルシール
31a ダストリップ
35 オイルリップ
51 ベルト
52 軸
53 プーリアーム
54 テンションプーリ
E エンジンブロック
2 シリンダ
3 ロッド
4 ばね座
5 リターンスプリング
6 油圧ダンパ機構
7 オイルカバー
7a 内周部
7b 切り欠き
8 小径嵌合面
14 スリーブ
15 チェックバルブ
19 上面部
19a カバー嵌合面
20 スプリングカバー
21 ダストカバー
24 小径段部
29 カラー
30 オイルシール
31a ダストリップ
35 オイルリップ
51 ベルト
52 軸
53 プーリアーム
54 テンションプーリ
E エンジンブロック
Claims (5)
- 上端が開口し、下端が閉塞したシリンダ(2)と、前記シリンダ(2)に上下に移動可能に挿入されたロッド(3)と、前記ロッド(3)の上部に設けられたばね座(4)と、前記シリンダ(2)内の下部と前記ばね座(4)との間に組み込まれ、前記ロッド(3)を上方に付勢するリターンスプリング(5)と、前記ロッド(3)に負荷される下向きの力を前記シリンダ(2)の内部の作動油で緩衝する油圧ダンパ機構(6)と、前記ばね座(4)に設けられ、前記リターンスプリング(5)の上部を覆う筒状のスプリングカバー(20)と、前記ロッド(3)の移動に伴って前記スプリングカバー(20)の外周部に摺接するように前記シリンダ(2)の上端開口の内周に取り付けられる環状のオイルシール(30)と、を備える油圧式オートテンショナにおいて、
前記スプリングカバー(20)は、その下部が前記シリンダ(2)の内周部と径方向に対向するものであり、
前記スプリングカバー(20)の下部の外周部には、環状のオイルカバー(7)が嵌合していて、
前記オイルカバー(7)は可撓性を有し、その外周部が前記シリンダ(2)の内周部に対して径方向の隙間をもって配置されていることを特徴とする油圧式オートテンショナ。 - 前記スプリングカバー(20)は、その下部の外周部に円筒面をなす小径嵌合面(8)を有し、前記オイルシール(30)が前記小径嵌合面(8)の外側に位置する状態で、前記オイルカバー(7)が前記オイルシール(30)により前記小径嵌合面(8)へ押圧されていることを特徴とする請求項1に記載の油圧式オートテンショナ。
- 前記オイルカバー(7)の内周部(7a)が前記スプリングカバー(20)の下縁部の外周部に嵌合されていることを特徴とする請求項1に記載の油圧式オートテンショナ。
- 前記オイルカバー(7)がその外周部に周方向に間隔をおいて設けられる複数の切り欠き(7b)を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の油圧式オートテンショナ。
- 前記ばね座(4)は、前記シリンダ(2)の外周部と径方向に対向するダストカバー(21)を有し、前記ダストカバー(21)は、前記ばね座(4)に対して着脱可能に嵌合するものであり、前記ばね座(4)の前記ダストカバー(21)との嵌合面(19a)は前記オイルシール(30)が挿通可能となっていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の油圧式オートテンショナ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2018238227A JP2020101202A (ja) | 2018-12-20 | 2018-12-20 | 油圧式オートテンショナ |
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