JP6013087B2 - 油圧式オートテンショナ - Google Patents

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Description

この発明は、オルタネータやウォータポンプ、エアコンのコンプレッサ等の自動車補機を駆動するベルトの張力調整用に用いられる、油圧式オートテンショナに関するものである。
エンジンのクランクシャフトの回転を、各種の自動車補機に伝えるベルト伝導装置においては、図7に示すように、ベルト41の緩み側に支点軸42を中心にして揺動可能なプーリアーム43を設けている。そのプーリアーム43に油圧式オートテンショナAの調整力を付与して、プーリアーム43の揺動側端部に支持されたテンションプーリ44がベルト41を押圧する方向にプーリアーム43を付勢し、ベルト41の張力を一定に保持するようにしている。
上記のようなベルト伝導装置に使用される油圧式オートテンショナAとして、例えば、特許文献1に記載されたものが従来から知られている。この油圧式オートテンショナAにおいては、作動油が充填された底付きシリンダの内底面から立ち上がるスリーブ内にロッドの下部をスライド自在に装入してスリーブ内に圧力室を形成し、ロッドの上部に設けられたばね座とシリンダの底面間にリターンスプリングを組込んでロッドとシリンダを伸長する方向に付勢している。
また、ばね座の外周とシリンダの上部外周に弾性を有するベローズの両端部を嵌合してシリンダとスリーブ間に密閉されたリザーバ室を形成している。そのリザーバ室下部と圧力室とを通路で連通し、その通路にチェックバルブを設けている。ベルト41からテンションプーリ44及びプーリアーム43を介して油圧式オートテンショナAにシリンダとロッドを収縮させる方向への押し込み力が負荷された際に、チェックバルブを閉じ、圧力室内に封入された作動油をスリーブの内径面とロッドの外径面との間に形成された微小すきまに流動させ、その流動時の作動油の粘性抵抗により、圧力室内に油圧ダンパ力を発生させて、上記押し込み力を緩衝するようにしている。
ところで、従来の油圧式オートテンショナAにおいては、上記のように、ベルト41からロッドに負荷される押し込み力により、圧力室内に封入された作動油を、スリーブの内径面とロッドの外径面との間に形成された微小すきまに流動させ、その流動により、圧力室内に発生する油圧ダンパ力によって、上記押し込み力を緩衝する構成であり、上記油圧ダンパ力と押し込み力はほぼ比例関係にある。このため、押し込み力が大きくなるにつれて、油圧ダンパ力も大きいものとなる。
このため、ベルトが過張力になるのを防止できず、ベルトの耐久性を低下させるという問題もある。
そのような問題点を解決するため、特許文献2は、ロッドに圧力室とリザーバ室とを連通する通路を設け、その通路にリリーフバルブを組み込んで、圧力室内の圧力がリリーフバルブの設定圧を超えた際、そのリリーフバルブを開放させて、圧力室内の圧力をリザーバ室内に逃がし、圧力室内の圧力がリリーフバルブの設定圧を超えることがないようにして、ベルトが過張力になるのを防止することができるようにした油圧式オートテンショナを提案している。
特表2000−504395号公報 特開2009−191863号公報
ところで、上記特許文献2に記載された油圧式オートテンショナにおいては、チェックバルブとリリーフバルブの二つのバルブを必要とするため、部品点数が多くなって油圧式オートテンショナの組立てに手間がかかり、しかも、ロッドには圧力室とリザーバ室とを連通する通路を加工する必要があるため、コストが高く、そのコストを低減する上において改善すべき点が残されている。
そこで、この発明は、ベルトが過張力になるのを防止するとともに、部品点数が少なく、簡単な構成でコストの安い油圧式オートテンショナとすることを課題とする。
上記の課題を解決するために、この発明は、内部に作動油が充填されたシリンダの内底面にスリーブ嵌合孔を設け、そのスリーブ嵌合孔内に下端部が嵌合されたスリーブ内にロッドの下端部を摺動自在に挿入してスリーブ内に圧力室を形成し、前記ロッドの上部に設けられたばね座と前記シリンダの内底面間に、前記シリンダと前記ロッドを伸張する方向に付勢するリターンスプリングを組込み、前記シリンダの上部開口を閉塞して、そのシリンダと前記スリーブ間にリザーバ室を設け、前記スリーブ嵌合孔と前記スリーブの下端部との嵌合面間に前記圧力室と前記リザーバ室とを連通する通路を設け、前記スリーブの下端部内には前記圧力室の圧力が前記リザーバ室の圧力より高くなると通路を閉じるチェックバルブを設けた油圧式オートテンショナにおいて、前記チェックバルブを構成するバルブシートがバルブ嵌合孔内にスライド可能に嵌合され、前記バルブ嵌合孔と前記バルブシートの嵌合面間に密封部材を配置した構成を採用した。
上記の構成からなる油圧式オートテンショナにおいては、シリンダの下部をエンジンブロックに揺動自在に連結し、ロッドの上部に設けられたばね座を、例えば、図7に示すようなプーリアームに回動自在に連結して、ベルトの張力を調整する。
上記のような油圧式オートテンショナの使用状態において、ベルトの張力が増大し、ロッドに押し込み力が負荷されると、圧力室内の圧力が高くなるため、チェックバルブが閉鎖し、圧力室内の作動油がスリーブとロッドの嵌合面間に形成されたリーク隙間からリザーバ室内にリークする。そのリーク時の作動油の粘性抵抗により、圧力室内に油圧ダンパ力が発生し、その油圧ダンパ力によって、ロッドに負荷される上記押込み力が緩衝される。
このとき、圧力室内の圧力がさらに高くなると、チェックバルブの全体が下降して、圧力室内の空間の体積が増加する。チェックバルブを構成するバルブシートが、バルブ嵌合孔内にスライド可能に嵌合されているからである。このとき、圧力室内に発生する油圧ダンパ力が、空間の体積増加により緩和される。したがって、ベルトが過張力になるようなことはなく、ベルトの耐久性の低下を抑制することができる。このため、部品点数が少なく、簡単な構成のコストの安い油圧式オートテンショナとすることができる。
また、従来の油圧式オートテンショナでは、ベルトからの高周波の入力、すなわち、ロッドに作用する高周波の伸縮方向への動きに対し、そのレスポンスが充分でないという問題があったが、上記のように、バルブシートがスライドする構成とすることで、高周波のロッドの動きに対しても、油圧ダンパ効果を適切に発揮することができる。
また、バルブ嵌合孔とバルブシートの嵌合面間に密封部材を設けたことにより、従来の油圧式オートテンショナの問題点であった圧力室からのオイル漏れを、より確実に抑えることができる。
ここで、前記密封部材としては、例えば、バルブシートの外周に沿って取付けられるOリングである構成を採用することができる。また、他の構成としては、前記密封部材として、前記バルブシートの外周に沿って取付けられる樹脂リングである構成を採用することができる。樹脂リングであれば、バルブシートが動く際における嵌合面の抵抗が低くなるように設定しやすい。
さらに、前記密封部材は、環状部材の周方向少なくとも1箇所に切れ目を設けたカットリングである構成を採用することができる。カットリングは、周方向に沿って連続しない部分があるので、その連続しない部分の隙間(周方向への隙間)が拡大縮小することで全体の外径が変化する。このため、装着が容易である。
また、カットリングであれば、圧力室やリザーバ室の温度が高温になった際に、密封部材が外径側へ膨張しやすい構成とすることができる。これにより、高温時の液密性を高めることができる。なお、温度と膨張の程度については、使用する作動油の粘度や、密封部材の素材に応じて適宜設定できる。
このように、密封部材としてカットリングを用いることにより、嵌合面の抵抗をさらに抑えることができるとともに、高温時の液密性を高めることも可能である。
これらの各構成において、前記バルブシートを前記バルブ嵌合孔の上部に設けたシート面に向けて付勢する弾性部材を備えた構成を採用することができる。このように、弾性部材の付勢力に抗してバルブシートがシート面から離反する構成とすることで、油圧ダンパ効果をより適切に設定できる。特に、高周波のロッドの動きに対する油圧ダンパ効果をより適切に発揮することができる。
前記弾性部材は、前記スリーブの下端をカシメることによって前記バルブ嵌合孔内に固定されている構成を採用することができる。また、他の構成としては、前記弾性部材は、前記スリーブの下端にキャップを圧入することによって前記バルブ嵌合孔内に固定されている構成を採用することができる。さらに、他の構成としては、前記弾性部材は、前記スリーブの下端に止め輪を嵌合することによって前記バルブ嵌合孔内に固定されている構成を採用することができる。
なお、チェックバルブのバルブシートをシート面に向けて付勢する弾性部材としては、例えば、圧縮コイルばね、ウェーブワッシャ、ばね座金のいずれかを採用することができる。
この発明においては、上記のように、ベルトからロッドに押込み力が負荷されて圧力室内の圧力が上昇すると、チェックバルブの全体が下降して圧力室内の空間の体積が増加する。このとき、圧力室内に発生する油圧ダンパ力が、空間の体積増加により緩和される。したがって、ベルトが過張力になるようなことはなく、ベルトの耐久性の低下を抑制することができる。
また、バルブ嵌合孔とバルブシートの嵌合面間に密封部材を設けたことにより、従来の油圧式オートテンショナの問題点であった圧力室からのオイル漏れを、より確実に抑えることができる。
さらに、弾性部材の付勢力に抗してバルブシートがシート面から離反する構成とすることで、油圧ダンパ効果をより適切に発揮することができる。
この発明に係る油圧式オートテンショナの実施の形態を示す縦断面図 図1のチェックバルブの組込み部を拡大して示す断面図 図2のチェックバルブがリリーフバルブとして機能し、下降して圧力室の体積が増加した状態を示す断面図 他の実施形態を示し、(a)は密封部材の平面図、(b)はチェックバルブの組込み部を拡大して示す断面図 さらに他の実施形態を示し、(a)は密封部材の平面図、(b)はチェックバルブの組込み部を拡大して示す断面図 さらに他の実施形態を示し、(a)は密封部材の平面図、(b)はチェックバルブの組込み部を拡大して示す断面図 補機駆動用ベルトの張力調整装置を示す正面図
以下、この発明の実施の形態を図面に基いて説明する。図1に示すように、シリンダ1は下部が閉塞し、その閉塞端部にエンジンブロックBに回転自在に連結される連結片2が設けられている。
シリンダ1の内底面には、そのシリンダ1の内径より小径のスリーブ嵌合孔3が設けられ、そのスリーブ嵌合孔3内にスリーブ4の下端部が圧入されている。スリーブ4内にはロッド5の下部がスライド自在に挿入され、そのロッド5の挿入によって、スリーブ4内に圧力室6が設けられている。
ロッド5のシリンダ1の外部に位置する上端部にはばね座7が固定され、そのばね座7とシリンダ1の底面間に組込まれたリターンスプリング8は、シリンダ1とロッド5が相対的に伸張する方向に付勢している。
ばね座7の上端には、プーリアーム43(図7参照)に対して連結される連結片9が設けられている。また、ばね座7には、リターンスプリング8の上部を覆う内筒部10と、シリンダ1の上部外周を覆う外筒部11とが同軸状に設けられている。
シリンダ1の上側開口部内にはオイルシール等の弾性シール12が取付けられ、その弾性シール12の内周は内筒部10の外周面に弾性接触して、シリンダ1の上側開口を閉塞し、シリンダ1の内部に充填された作動油の外部への漏洩を防止している。
上記弾性シール12の取付けにより、シリンダ1とスリーブ4との間に密閉されたリザーバ室13が形成される。リザーバ室13と圧力室6は、スリーブ嵌合孔3とスリーブ4の嵌合面間に形成された通路14で連通可能である。
通路14は、図2に示すように、スリーブ嵌合孔3の底面に形成された平面視十字形の放射溝14aと、スリーブ嵌合孔3の内径面に形成されて放射溝14aのそれぞれ外側端に連通する4本の軸方向溝14bからなっている。この通路14の配置は、求められる仕様等に応じて適宜設定できる。
また、図2に示すように、スリーブ4の下端部内には環状突出部15と、その環状突出部15を上側壁とするバルブ嵌合孔16が設けられ、そのバルブ嵌合孔16の上側壁に平坦なシート面17が設けられている。
図2では、環状突出部15の形成により、その下方にバルブ嵌合孔16を形成したが、上記環状突出部を省略し、内径面が円筒状とされたスリーブ4の下端部内に大径孔を形成し、その大径孔をバルブ嵌合孔としてもよい。
バルブ嵌合孔16内には、チェックバルブ20と、弾性部材30とが組み込まれている。チェックバルブ20は、バルブシート21と、そのバルブシート21の上面中央部に突設された円柱状の突出部22の上面からバルブシート21の下面に貫通する弁孔23を圧力室6側から開閉する球形の弁体24と、上記突出部22に下端の開口部が圧入されて弁体24の開閉量を規制するリテーナ25とからなっており、上記リテーナ25には通油窓26が形成されている。
チェックバルブ20は、バルブシート21がバルブ嵌合孔16内においてスライド可能に嵌合されて組込まれ、その下方に組み込まれた弾性部材30により上向きに付勢されて上面外周部がシート面17に密着している。
チェックバルブ20は、圧力室6内の圧力がリザーバ室13内の圧力より高くなると、弁体24が弁孔23を閉鎖するようになっている。また、チェックバルブ20は、圧力室6内の圧力が弾性部材30の弾性力を超えると、全体が下降して、バルブシート21がシート面17から離反するようになっている。
このように、バルブ嵌合孔16内にチェックバルブ20のバルブシート21が、上下方向にスライド可能に嵌合している。また、そのバルブシート21は、シート面17に向けて弾性部材30によって付勢されている。
また、バルブ嵌合孔16とバルブシート21の嵌合面間に、圧力室6側の空間とリザーバ室13側の空間とを液密に仕切る密封部材27を配置している。
この実施形態では、密封部材27として、図2及び図3に示すように、バルブシート21の外周に沿って取付けられるゴム製の環状部材からなるOリングを採用している。Oリングは、バルブシート21の外周に沿って全周に形成された溝に嵌合し、そのバルブシート21に固定されている。
ただし、この密封部材27として、バルブシート21の外周に沿って取付けられる樹脂リングを採用してもよい。樹脂リングであれば、バルブシート21が動く際における嵌合面の抵抗が低くなるように設定しやすい。
さらに、この密封部材27としては、例えば、図5や図6に示すように、環状部材の周方向1箇所に切れ目を設けたカットリングを採用することができる。カットリングは、周方向に沿って連続しない部分があるので、その連続しない部分の隙間(周方向への隙間)が拡大縮小することで全体の外径が変化しやすい。このため、バルブシート21への装着が容易である。
また、カットリングであれば、圧力室6やリザーバ室13の温度が高温になった際に、密封部材27が外径側へ膨張しやすい構成とすることができる。これにより、高温時の液密性を高めることができる。なお、温度と膨張の程度については、使用する作動油の粘度や、密封部材の素材に応じて適宜設定できる。
このように、密封部材27としてカットリングを用いることにより、嵌合面の抵抗をさらに抑えることができるとともに、高温時の液密性を高めることも可能である。
また、この実施形態では、図2及び図3に示すように、弾性部材30が、スリーブ4の下端をカシメることによって、バルブ嵌合孔16内に固定されている。図中の符号31は、そのカシメ部を示す。
また、他の構成としては、例えば、図4に示すように、弾性部材30が、スリーブ4の下端にキャップ28を圧入することによって、バルブ嵌合孔16内に固定されている構成を採用することができる。さらに、他の構成としては、例えば、図5に示すように、弾性部材30が、スリーブ4の下端に止め輪29を嵌合することによって、バルブ嵌合孔16内に固定されている構成を採用することができる。
なお、チェックバルブ20のバルブシート21を、シート面17に向けて付勢する弾性部材30としては、図2〜図5の各実施形態のように圧縮コイルばねを用いてもよいし、それ以外にも、例えば、図6に示すように、ウェーブワッシャやばね座金を採用することができる。図6では、そのウェーブワッシャやばね座金からなる弾性部材30は、スリーブ4の下端にキャップ28を圧入することによって、バルブ嵌合孔16内に固定されている。
実施形態で示す油圧式オートテンショナAは上記の構成からなり、図7に示す補機駆動用ベルト41の張力調整に際しては、シリンダ1の閉塞端に設けた連結片2を図1に示すエンジンブロックBに連結し、かつ、ばね座7の連結片9をプーリアーム43に連結して、そのプーリアーム43に調整力を付与する。
上記のようなベルト41の張力調整状態において、補機の負荷変動等によってベルト41の張力が変化し、ベルト41の張力が弱くなると、リターンスプリング8の押圧によりシリンダ1とロッド5が伸張する方向に相対移動してベルト41の弛みが吸収される。
ここで、シリンダ1とロッド5が伸張する方向に相対移動するとき、圧力室6内の圧力はリザーバ室13内の圧力より低くなるため、チェックバルブ20の弁体24が弁孔23を開放する。このため、リザーバ室13内の作動油は通路14から弁孔23を通って圧力室6内にスムーズに流れ、シリンダ1とロッド5は伸張する方向にスムーズに相対移動してベルト41の弛みを直ちに吸収する。
一方、ベルト41の張力が強くなると、ベルト41から油圧式オートテンショナAのシリンダ1とロッド5を収縮させる方向の押込み力が負荷される。このとき、圧力室6内の圧力はリザーバ室13内の圧力より高くなるため、チェックバルブ20の弁体24は、図2に示すように、弁孔23を閉鎖する。
また、圧力室6内の作動油は,スリーブ4の内径面とロッド5の外径面間に形成された微小なリーク隙間18に流れてリザーバ室13内に流入する。このリーク隙間18に流れる作動油の粘性抵抗によって圧力室6内に油圧ダンパ力が発生し、その油圧ダンパ力によって、油圧式オートテンショナAに負荷される上記押込み力が緩衝される。シリンダ1とロッド5は、押込み力とリターンスプリング8の弾性力とが釣り合う位置まで収縮する方向にゆっくりと相対移動する。
ここで、ベルト41の張力が強く、圧力室6内の圧力がさらに高くなり、その圧力が弾性部材30の弾性力を超えると、図3に示すように、チェックバルブ20の全体が弾性部材30の弾性に抗して下降し、バルブシート21がシート面17から離反して、圧力室6内の空間の体積が増加する。このとき、圧力室6内に発生する油圧ダンパ力が、弾性部材30の弾性力と、空間の体積増加により緩和される。したがって、ベルトが過張力になるようなことはなく、ベルトの耐久性の低下を抑制することができる。
また、このように、弾性部材30の付勢力に抗してバルブシート21が、シート面17から離反する構成とすることで、高周波のロッド5の動きに対しても、油圧ダンパ効果を適切に発揮することができる。
また、バルブ嵌合孔16とバルブシートの嵌合面間に密封部材27を設けたことにより、従来の油圧式オートテンショナの問題点であった圧力室6からのオイル漏れを、より確実に抑えることができる。
これらの実施形態においては、上述のように、圧力室6内の圧力が弾性部材30の弾性力より高くなると、チェックバルブ20が下降して、バルブシート21がシート面17から離反し、圧力室内の空間の体積が増加する。このとき、圧力室内に発生する油圧ダンパ力が、弾性部材の弾性力と、空間の体積増加により緩和される。したがって、ベルトが過張力になるようなことはなく、ベルトの耐久性の低下を抑制することができる。このため、
部品点数が少なく、簡単な構成のコストの安い油圧式オートテンショナとすることができる。
また、これらの実施形態では、密封部材27をバルブシート21に取付けたが、密封部材27は、バルブ嵌合孔16とバルブシート21の嵌合面間に配置されていればよく、圧力室6側とリザーバ室13側とを液密に仕切るものであれば、例えば、バルブ嵌合孔16側に取付けてもよい。
1 シリンダ
2,9 連結片
3 スリーブ嵌合孔
4 スリーブ
5 ロッド
6 圧力室
7 ばね座
8 リターンスプリング
10 内筒部
11 外筒部
12 弾性シール
13 リザーバ室
14 通路
15 環状突出部
16 バルブ嵌合孔
17 シート面
18 リーク隙間
20 チェックバルブ
21 バルブシート
22 突出部
23 弁孔
24 弁体
25 リテーナ
26 通油窓
27 密封部材
28 キャップ
29 止め輪
30 弾性部材
31 カシメ部

Claims (9)

  1. 内部に作動油が充填されたシリンダ(1)の内底面にスリーブ嵌合孔(3)を設け、そのスリーブ嵌合孔(3)内に下端部が嵌合されたスリーブ(4)内にロッド(5)の下端部を摺動自在に挿入してスリーブ(4)内に圧力室(6)を形成し、前記ロッド(5)の上部に設けられたばね座(7)と前記シリンダ(1)の内底面間に、前記シリンダ(1)と前記ロッド(5)を伸張する方向に付勢するリターンスプリング(8)を組込み、前記シリンダ(1)の上部開口を閉塞して、そのシリンダ(1)と前記スリーブ(4)間にリザーバ室(13)を設け、前記スリーブ嵌合孔(3)と前記スリーブ(4)の下端部との嵌合面間に前記圧力室(6)と前記リザーバ室(13)とを連通する通路(14)を設け、前記スリーブ(4)の下端部内には前記圧力室(6)の圧力が前記リザーバ室(13)の圧力より高くなると通路を閉じるチェックバルブ(20)を設けた油圧式オートテンショナにおいて、
    前記チェックバルブ(20)を構成するバルブシート(21)がバルブ嵌合孔(16)内にスライド可能に嵌合され、前記バルブ嵌合孔(16)と前記バルブシート(21)の嵌合面間に密封部材(27)を配置したことを特徴とする油圧式オートテンショナ。
  2. 前記密封部材(27)は、前記バルブシート(21)の外周に沿って取付けられるOリングであることを特徴とする請求項1に記載の油圧式オートテンショナ。
  3. 前記密封部材(27)は、前記バルブシート(21)の外周に沿って取付けられる樹脂リングであることを特徴とする請求項1に記載の油圧式オートテンショナ。
  4. 前記密封部材(27)は、環状部材の周方向少なくとも1箇所に切れ目を設けたカットリングであることを特徴とする請求項2又は3に記載の油圧式オートテンショナ。
  5. 前記バルブシート(21)を前記バルブ嵌合孔(16)の上部に設けたシート面(17)に向けて付勢する弾性部材(30)を備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載の油圧式オートテンショナ。
  6. 前記弾性部材(30)は、前記スリーブ(4)の下端のカシメ部によって前記バルブ嵌合孔(16)内に固定されていることを特徴とする請求項5に記載の油圧式オートテンショナ。
  7. 前記弾性部材(30)は、前記スリーブ(4)の下端に圧入固定されたキャップ(28)よって前記バルブ嵌合孔(16)内に固定されていることを特徴とする請求項5に記載の油圧式オートテンショナ。
  8. 前記弾性部材(30)は、前記スリーブ(4)の下端に嵌合固定された止め輪(29)よって前記バルブ嵌合孔(16)内に固定されていることを特徴とする請求項5に記載の油圧式オートテンショナ。
  9. 前記弾性部材(30)は、圧縮コイルばね、ウェーブワッシャ、ばね座金の中から選択される一つであることを特徴とする請求項5に記載の油圧式オートテンショナ。
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