JP2020016254A - 油圧式オートテンショナ - Google Patents
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Abstract
【課題】油圧式オートテンショナの内部の作動油が外部へにじみ出ることを防止する。【解決手段】上端が開口し下端が閉塞したシリンダ2と、シリンダ2に上下に移動可能に挿入されたロッド3と、ロッド3の上部に設けられたばね座4と、シリンダ2の下部とばね座4との間に組み込まれロッド3を上方に付勢するリターンスプリング5と、ロッド3に負荷される下向きの力をシリンダ2の内部の作動油で緩衝する油圧ダンパ機構6と、ロッド3の移動に伴ってロッド3又はロッド3と一体に移動する部材20に摺接するようにシリンダ2の上端開口の内周に取り付けられた環状のオイルシール30と、オイルシール30の下部に配置されオイルシール30への作動油の付着を抑制する環状のセパレータ35とを備える油圧式オートテンショナ1とした。【選択図】図1
Description
この発明は、オルタネータやウォータポンプ、エアコンディショナのコンプレッサ等の自動車補機を駆動するベルトの張力調整用に用いられる油圧式オートテンショナに関する。
エンジンのクランクシャフトの回転をオルタネータ等の各種の自動車補機に伝えるベルト伝動装置においては、図10に示すように、ベルト51の弛み側に軸52を中心にして揺動可能なプーリアーム53を設け、そのプーリアーム53に油圧式オートテンショナAの調整力を付与して、プーリアーム53の揺動側端部に支持された回転可能なテンションプーリ54がベルト51を押圧する方向にプーリアーム53を付勢し、ベルト51の張力を一定に保持するようにしている。
この種のベルト伝動装置に組み込まれる油圧式オートテンショナAとして、例えば、特許文献1、2に記載のものが従来から知られている。
特許文献1、2に記載の油圧式オートテンショナは、上端が開口し下端が閉塞したシリンダと、そのシリンダに上下に移動可能に挿入されたロッドと、ロッドの上部に設けられたばね座と、シリンダの下部とばね座との間に組み込まれロッドを上方に付勢するリターンスプリング等を備えている。ベルトの張力が変動すると、そのベルトの張力とリターンスプリングの付勢力がつりあう位置までロッドが移動して補機ベルトの張力変動を吸収する。
また、この油圧式オートテンショナは、シリンダの上端開口の内周に取り付けられ、ロッドの移動に伴ってそのロッドと一体に移動する部材であるスプリングカバーの外周部、又は、ロッドの外周部に摺接する環状のオイルシールと、ベルトからロッドに負荷される下向きの力を、シリンダの内部の作動油で緩衝する油圧ダンパ機構とを備え、オイルシールによって、油圧ダンパ機構の作動油をシリンダ内に密封している。
上記の油圧式オートテンショナは、シリンダの上端開口の内周に取り付けたオイルシールで、シリンダ内の作動油を密封している。ところが、長期にわたって油圧式オートテンショナを使用したときに、油圧式オートテンショナから微量の作動油がにじみ漏れ、そのにじみ漏れが継続することで、作動油が補機ベルトや周辺部品に付着する場合があることが判明した。作動油が補機ベルトや周辺部品に付着すると、補機ベルトの滑りや周辺部品の動作不良の原因となる。
そこで、本願の発明者が、油圧式オートテンショナから微量の作動油がにじみ漏れる原因を調査したところ、自動車の補機ベルトの張力変動に応じてロッドが上下に移動するとき、ロッドの移動に伴うオイルシールの摺接部分で作動油の掻き出し作用が生じ、その掻き出し作用によって作動油が油圧式オートテンショナからにじみ漏れる現象が起きていることを見出した。
特に、近年、車両の低燃費化を図るため、補機ベルトの低フリクション化が求められており、これに伴い、補機ベルトの張力も低く設定される傾向にある。その一方で、補機ベルトで駆動される補機の負荷は、増加する傾向にある。そのため、補機ベルトの振幅が大きくなりやすく、油圧式オートテンショナの伸縮ストロークも大きくなる傾向にあり、オイルシールの摺接部分で作動油の掻き出し作用が生じやすくなっている。
そこで、この発明の課題は、油圧式オートテンショナの内部の作動油が外部へにじみ出ることを防止することである。
上記課題を解決するために、この発明は、上端が開口し下端が閉塞したシリンダと、前記シリンダに上下に移動可能に挿入されたロッドと、前記ロッドの上部に設けられたばね座と、前記シリンダの下部と前記ばね座との間に組み込まれ前記ロッドを上方に付勢するリターンスプリングと、前記ロッドに負荷される下向きの力を前記シリンダの内部の作動油で緩衝する油圧ダンパ機構と、前記ロッドの移動に伴って前記ロッド又は前記ロッドと一体に移動する部材に摺接するように前記シリンダの上端開口の内周に取り付けられた環状のオイルシールと、前記オイルシールの下部に配置され前記オイルシールへの作動油の付着を抑制する環状のセパレータと、を備える油圧式オートテンショナを採用した。
ここで、前記オイルシールは前記ロッド又は前記ロッドと一体に移動する部材の外周に摺接するシールリップを備え、前記シールリップと前記セパレータの上面との間に隙間が設定されている構成を採用することができる。
これらの各態様において、前記セパレータと前記ロッド又は前記ロッドと一体に移動する部材の外周との間に隙間が設定されている構成を採用することができる。
これらの各態様において、前記オイルシール及び前記セパレータは、前記シリンダの内周に形成されたシール嵌合面に圧入される構成を採用することができる。
このとき、前記セパレータは、前記シール嵌合面の下端に形成された段部に当接する構成を採用することができる。
また、前記オイルシールは、前記シリンダの内周に形成されたシール嵌合面に圧入される外筒部を有し、前記セパレータは前記外筒部の内周に圧入される構成を採用することができる。
これらの各態様において、前記セパレータの上面に溝が形成されている構成を採用することができる。
この発明は、オイルシールの下部にオイルシールへの作動油の付着を抑制する環状のセパレータを備えたので、内部の作動油が外部へにじみ出ることを防止することができる。
以下、この発明の第一の実施形態に係る補機用の油圧式オートテンショナ1を、図1〜3に基づいて説明する。
図1に示すように、第一の実施形態の油圧式オートテンショナ1は、上端が開口し下端が閉塞したシリンダ2と、シリンダ2に上下に移動可能に挿入されたロッド3と、ロッド3の上部に設けられたばね座4と、シリンダ2の下部とばね座4との間に組み込まれ、ばね座4を介してロッド3を上方に付勢するリターンスプリング5とを備えている。
油圧式オートテンショナ1は、ロッド3に負荷される下向きの力をシリンダ2の内部の作動油で緩衝する油圧ダンパ機構6と、ロッド3の移動に伴って、ロッド3と一体に移動する部材であるスプリングカバー20の外周に摺接するように、シリンダ2の上端開口の内周に取り付けられた環状のオイルシール30とを備えている。
シリンダ2は、アルミニウム合金を素材とし、冷間鍛造により成形されている。シリンダ2の下端部には、下部連結片2aが一体に設けられている。
下部連結片2aは、一側面から他側面に貫通する軸挿入孔2bを有している。軸挿入孔2b内に筒状の下部連結軸9と、下部連結軸9を回動可能に支持する滑り軸受10が組み込まれている。下部連結軸9に挿通されたボルト11がエンジンブロックEにねじ結合されて、下部連結軸9が固定されている。この下部連結軸9を中心として、シリンダ2がエンジンブロックEに回動可能に連結されている。
また、シリンダ2は、底面部12に形成されたスリーブ嵌合凹部13を有し、スリーブ嵌合凹部13内に鋼製のスリーブ14の下端部が圧入により嵌め合わされている。スリーブ14は、シリンダ2内に同軸状に挿入されており、その下端部内にチェックバルブ15が圧入により固定されている。スリーブ14とスリーブ嵌合凹部13との嵌合面間に油通路16が形成されている。
スリーブ14は、その内部にロッド3の下部が上下方向に摺動可能に挿入される状態となっている。ロッド3の挿入により、スリーブ14内に圧力室17が形成される。圧力室17は作動油で満たされており、ロッド3のうちシリンダ2に対して外部に位置する上端部は、ばね座4に固定されている。
ロッド3とスリーブ14の上部との摺動面間にリーク隙間18が形成されている。リーク隙間18の大きさは、微小であり、ロッド3の外周の円筒面とスリーブ14の内周の円筒面の半径差で0.015〜0.080mmの範囲に設定されている。
ばね座4は、樹脂の成形品からなり、リターンスプリング5の上端部を受ける上面部19と、上面部19から上方に突出する上部連結片4aと、上面部19からリターンスプリング5の上部を覆う円筒状の前記スプリングカバー20と、シリンダ2の上部を覆う円筒状のダストカバー21とを有している。ばね座4は、スプリングカバー20等とともに、ロッド3と一体に軸方向へ移動する。
上部連結片4aは、一側面から他側面に貫通する軸挿入孔4bを有し、プーリアーム53(図10参照)に対して回動可能に連結されている。その連結構造は、下部連結片2aと同様である。スプリングカバー20とダストカバー21とは、ばね座4の上面部19に対して、それぞれ同軸状に配置されている。
リターンスプリング5は、シリンダ2の内径寸法よりも小さい外径寸法を有するコイルばねであり、スリーブ14の外周に装着されている。リターンスプリング5は、下端がシリンダ2の底面部12で支持され、上端がばね座4の上面部19を上方へ押圧するものである。
図2に示すように、シリンダ2の上端部には、円筒面であるシール嵌合面22が形成されている。シール嵌合面22は、シリンダ2のうち、シール嵌合面22よりも下方の部分における内周面よりも、相対的に大きい内径寸法を有している。このシール嵌合面22にオイルシール30が締め代をもって嵌合している。また、シール嵌合面22の下端には、内径側へ向く段部23が形成されている。
オイルシール30は、シール嵌合面22に圧入される円筒状の外筒部34と、スプリングカバー20の外周に弾性接触する内筒部31と、外筒部34及び内筒部31とを上部で連結する連結部33とが、弾性体によって一体に形成されたものである。また、外筒部34及び連結部33は、その内部に一体成形された金属製の芯金32が埋め込まれている。
オイルシール30を構成する弾性体は、耐摩耗性および耐熱性に優れた弾性を有する合成ゴムからなる。合成ゴムとして、例えば、ニトリルゴム、140℃耐熱ニトリルゴム、水素添加ニトリルゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴムを挙げることができ、そのうち、アクリルゴムおよびフッ素ゴムが特に好ましい。
内筒部31は、その下部に、内筒部31の内周面31cから内径側へ向かって突出するシールリップ31aを備えている。この実施形態のシールリップ31aは、大小二つの凸部からなり、そのうち、相対的に大きい凸部は内筒部31の下端よりも僅かに上方に位置し、相対的に小さい凸部はその上方に位置している。
また、内筒部31は、その上部に、内筒部31の内周面31cから内向きに突出するダストリップ31bを有している。ダストリップ31bは、その先端縁部が外筒部34および連結部33の上部よりも上方に位置するものである。
内筒部31の下部の外周部には、ガータスプリング36が取り付けられている。このガータスプリング36の弾性力により、内筒部31がスプリングカバー20の外周部に締め付けられている。このガータスプリング36の締め付けにより、内筒部31及びシールリップ31a、ダストリップ31bが、スプリングカバー20の外周面に対し全周にわたって弾性接触する。これにより、オイルシール30は、内筒部31及びシールリップ31a、ダストリップ31bが、ロッド3の軸方向移動に伴って、スプリングカバー20の外周に摺接するようになっている。なお、この実施形態では、スプリングカバー20はその外周に補強用の筒状のカラー29を備えているので、内筒部31及びシールリップ31a、ダストリップ31bは、カラー29の外周に摺接する。
オイルシール30の下部には、オイルシール30への作動油の付着を抑制する環状のセパレータ35が配置されている。セパレータ35は、シール嵌合面22に圧入されるとともに、そのシール嵌合面22の下端の段部23に当接することで支持されている。また、この実施形態では、セパレータ35は、オイルシール30の外筒部34の下端と、段部23の上面との間に挟まれて支持されているので、その支持がより強固である。
この実施形態のセパレータ35は、図3に示すように、環状の板状部材で構成されている。セパレータ35は、平面視円形の外縁35aと、その外縁35aと同心にある平面視円形の内縁35bとの間が、フラットな板状部35cとなったドーナツ状の形状である。セパレータ35の素材として、この実施形態では金属を採用しているが、セパレータ35の素材は、金属に限らず、樹脂やその他の素材であってもよい。
オイルシール30のシリンダ2の上端部への嵌合によって、図1に示すように、シリンダ2とスリーブ14との間に密封されたリザーバ室25が形成されている。リザーバ室25には、空気と作動油が上下二層に収容されている。
リザーバ室25と圧力室17は油通路16で連通している。油通路16の圧力室17側の端部に配置されたチェックバルブ15は、圧力室17内の圧力がリザーバ室25内の圧力よりも高くなると油通路16を閉鎖するようになっている。すなわち、チェックバルブ15は、油通路16のリザーバ室25側から圧力室17側への作動油の流れのみを許容するようになっている。
油圧ダンパ機構6は、鋼製のスリーブ14と、スリーブ14内の圧力室17と、スリーブ14とシリンダ2の間に形成されるリザーバ室25と、圧力室17とリザーバ室25の間を連通する油通路16と、チェックバルブ15と、リーク隙間18とから構成されており、ロッド3に負荷される下向きの力を圧力室17内の作動油で緩衝するようになっている。
この実施形態に係る油圧式オートテンショナ1は上記の構成からなり、図10に示す補機駆動用のベルト51の張力調整に際しては、シリンダ2の下部連結片2aを図1に示すようにエンジンブロックEに連結し、且つ、ばね座4に設けられた上部連結片4aをプーリアーム53に連結して、そのプーリアーム53に調整力を付与する。
このようなベルト51の張力調整状態において、補機の負荷変動等によってベルト51の張力が変化し、ベルト51の張力が弱くなると、リターンスプリング5の付勢力によりスリーブ14から突出する方向にロッド3が移動し、ベルト51の弛みを吸収する。このとき、圧力室17の容積が拡大するので、チェックバルブ15が開き、リザーバ室25内の作動油が油通路16を通って圧力室17に流入する。
一方、ベルト51の張力が大きくなると、そのベルト51の張力によって、スリーブ14内に押し込まれる方向にロッド3が移動し、ベルト51の緊張を吸収する。このとき、圧力室17の容積が縮小するので、チェックバルブ15が閉じ、圧力室17内の作動油がリーク隙間18を通って流出し、その作動油の粘性抵抗によってダンパ作用を生じる。
ところで、上記の油圧式オートテンショナ1は、シリンダ2の上端開口の内周に取り付けたオイルシール30で、シリンダ2内の作動油を密封している。ここで、ベルト51の張力変動に応じてロッド3が上下に移動するとき、ロッド3の移動に伴うオイルシール30の摺接部分(オイルシール30とスプリングカバー20との接触部分)で作動油の掻き出し作用が生じることがある。
特に、近年の車両の低燃費化の要請から、ベルト51の低フリクション化が求められており、これに伴い、ベルト51の張力も低く設定される傾向にある。その一方で、ベルト51で駆動される補機の負荷は増加する傾向にある。このため、ベルト51の振幅が大きくなりやすく、油圧式オートテンショナ1の伸縮ストロークも大きくなる傾向にあり、オイルシール30の摺接部分で作動油の掻き出し作用が生じやすくなっている。
この問題に対し、この油圧式オートテンショナ1は、オイルシール30の下部にセパレータ35を配置したことにより、仮に、ロッド3の大振幅での軸方向進退が継続して、リザーバ室25内でオイルと空気が攪拌されるような状態となっても、セパレータ35によりオイルシール30とスプリングカバー20との摺接部分に、作動油がかかりにくくなっている。摺接部分への作動油の付着が少なくなるため、作動油がオイルシール30の掻き出しによって外部へ漏れ出すことを防止することができる。
特に、オイルシール30とスプリングカバー20との摺接部分のうち、オイルシール30の下端付近に位置するシールリップ部31aに対して、常に作動油がかかりにくい状態とできることから、スプリングカバー20の外周、すなわち、カラー29の外周での作動油の掻き出し防止の効果が期待できる。
また、オイルシール30の内筒部31の下端とセパレータ35の上面との間には、図2に示すように、隙間(符号w1参照)が設定されている。このため、シールリップ31aとセパレータ35の上面との間にも、軸方向への隙間が介在している状態である。この軸方向への隙間の介在により、オイルシール30のシールリップ31a付近に対して、作動油がかかることを防止しやすくなる。
また、図2に示すように、セパレータ35の内縁35bと、スプリングカバー20の外周、すなわち、カラー29の外周との間にも、半径方向への隙間(符号w2参照)が設定されている。この隙間は、全周に亘って連続的に設けられていることが望ましい。この半径方向への隙間の介在により、部品の組付け誤差による接触によって、セパレータ35がスプリングカバー20に擦れて、スプリングカバー20の外周にキズがつくことを防止することができる。また、オイルシール30とセパレータ35との間の空間に作動油が入った場合でも、その半径方向への隙間から作動油が下方に移動するので、シールリップ31a付近への作動油の滞留を防止することができる。セパレータ35の最内径縁である内縁35bは、ガータスプリング36よりも内径側に位置し、更には芯金32のうち内筒部31に埋め込まれている部分32aの内縁よりも内径側に位置している。
この実施形態では、セパレータ35を板状部材で構成しているが、この例に限定されず、セパレータ35の形状は、オイルシール30付近への作動油の付着を抑制するものであれば自由に設定できる。このため、セパレータ35は、板状部材以外にも、ある程度の厚さ(軸方向厚さ)を有するブロック状部材で構成してもよい。
ただし、この発明のセパレータ35には、ロッド3を支持したりロッド3の軸方向移動を案内したりする機能は必要ない。このため、セパレータ35には、必ずしも部材の厚さは求められない。したがって、セパレータ35を板状部材、特に、薄板とすることにより、部材の軽量化やオイルシール30を配置する内部空間確保への設計上の自由度を高めることができる。また、セパレータ35を板状部材、特に、薄板とすることにより、セパレータ35をシリンダ2に圧入固定しやすくなり、さらに、オイルシール30を上方から挿入することによって、セパレータ35を上方から押さえて(幅抑え)固定することも容易となる。
また、セパレータ35は、例えば、図9(a)の変形例に示すように、その上面に溝(スリット)35fを備えた構成としてもよい。セパレータ35の上面に溝35fを備えたことにより、セパレータ35の上方に入り込んだ作動油が、その溝35f内に誘導されやすくなる。溝35f内の作動油は速やかに内径側へ移動して、スプリングカバー20の外周との間の隙間から排出されるので、オイルシール30を配置した空間に作動油が滞留しにくくなるという効果が期待できる。
溝35fの平面視における形状や、その設置数は自由に設定できるが、この図9(a)に示すように、放射状に複数設けることが望ましい。また、その溝35fは、セパレータ35の内縁35bに至っていることが、作動油の円滑な排出を促す上で望ましい。
さらに、溝35fの断面形状は、この図9(a)に示すように、フラットな底面と、その底面の幅方向両端から立ち上がる平面状の側面を備えた矩形の断面としてもよいし、それ以外にも、例えば、円弧状の内面を有する溝35fとしてもよい。
この発明の第二の実施形態の油圧式オートテンショナ1の要部を、図4及び図5に示す。第二の実施形態の油圧式オートテンショナ1は、第一の実施形態におけるセパレータ35の形状を変更したものである。
第二の実施形態のセパレータ35は、図5に示すように、環状の板状部材で構成されるとともに、その平面視円形の外縁35aと、その外縁35aと同心にある平面視円形の内縁35bとの間が、傾斜した板状部35cとなっているドーナツ状の形状である。
板状部35cは、外縁35aから内径側へ向かうにつれて下り勾配に傾斜し、その後、最も内径寄りの部分を反転部35dとして、その反転部35dで傾斜の向きを変え、その後、外径側へ向かうにつれて下り勾配に傾斜して内縁35bに至っている。セパレータ35の最内径縁である反転部35dの内径縁は、芯金32のうち内筒部31に埋め込まれている部分32aの内縁よりも内径側に位置している。
板状部35cを傾斜させたことにより、作動油をその傾斜に沿って円滑に排出することができる。また、板状部35cの途中に反転部35dを設けたことにより、部品の組付け誤差による接触によって、スプリングカバー20の外周にキズがつくことを、さらに確実に防止することができる。これは、スプリングカバー20の外周に、滑らかに湾曲する反転部35dが対向しているからである。また、排出される作動油は、反転部35dから内縁35bへと伝って移動するので、作動油をスプリングカバー20の外周から早期に遠ざけることができる。なお、この実施形態のセパレータ35においても、例えば、図9(b)に示すように、セパレータ35の上面に溝35fを設けることができる。
この発明の第三の実施形態の油圧式オートテンショナ1を図6〜図8に示す。
第三の実施形態の油圧式オートテンショナ1は、その基本的な機能は第一、第二の実施形態と同様であるので、その同様な部分については説明を省略し、その構造上の相違点、セパレータ35の相違点等を中心に説明する。
第三の実施形態の油圧式オートテンショナ1は、油圧ダンパ機構6の構成として、図6に示すように、シリンダ2内に嵌め込まれた鋼製のスリーブ14と、スリーブ14内に上下に摺動可能に挿入されたプランジャ24とを備えている。圧力室17は、プランジャ24の下側に形成され、リザーバ室25は、プランジャ24の上側に形成されている。また、油圧ダンパ機構6の構成として、油圧式オートテンショナ1は、圧力室17とリザーバ室25の間を連通する油通路16と、油通路16のリザーバ室25側から圧力室17側への作動油の流れのみを許容するチェックバルブ15と、プランジャ24とスリーブ14の摺動面間に形成されたリーク隙間18とを備えている。
油通路16は、プランジャ24の内部を上下に貫通して形成されている。チェックバルブ15は、油通路16の圧力室17側の端部に配置されている。プランジャ24は、圧力室17に組み込まれたプランジャスプリング26で上方に付勢されている。プランジャ24はロッド3の下端を支持しており、ロッド3が上下に移動するとき、そのロッド3と一体にプランジャ24が上下に移動するようになっている。
ロッド3のシリンダ2内への挿入部分の外周には、ウェアリング27が取り付けられている。ウェアリング27は、ロッド3の位置がシリンダ2の中心からずれないようにシリンダ2の内周で案内されている。ウェアリング27には、作動油を通過させる貫通孔28が設けられている。
ロッド3の上端に固定されたばね座4は、上部連結片4aの下端外周に形成されたフランジ状の上面部19を有し、その上面部19でリターンスプリング5の上端を受けている。また、ばね座4は、上面部19から下方に延びる円筒状のダストカバー21を有している。ダストカバー21は、シリンダ2の上部の外周を覆う状態に形成されている。リターンスプリング5は、シリンダ2及びダストカバー21の外径よりも大きい内径をもつ円筒コイルばねであり、このリターンスプリング5が、シリンダ2及びダストカバー21の外径側に同軸に配置されている。
シリンダ2の上端開口の内周には、スリーブ14と嵌合する面と同じ内径を有する円筒状のシール嵌合面22が形成され、そのシール嵌合面22にオイルシール30が締め代をもって嵌合している。
オイルシール30は、図7に示すように、シール嵌合面22に圧入される円筒状の外筒部34と、外筒部34の上部に設けられる径方向内向きの連結部33と、連結部33の内周部に設けられる内筒部31とを備えている。内筒部31は、シールリップ31a及びダストリップ31bを備えている。ダストリップ31bは、その先端縁部が外筒部34および連結部33の上端とほぼ同じ高さにある。オイルシール30は、シリンダ2の上端開口のシール嵌合面22に圧入した止め輪37で上方への移動が規制されている。
オイルシール30の下方に、オイルシール30への作動油の付着を抑制する環状のセパレータ35を配置している。セパレータ35は、図8に示すように、環状の板状部材で構成されるとともに、フラットな板状部35cの外周に筒状部35eが立ち上がっている。筒状部35eの平面視円形の外縁35aと、板状部35cの平面視円形の内縁35bとは互いに同心であり、セパレータ35は全体としてカップ状を成している。この筒状部35eの外縁35aが、オイルシール30の外筒部34の内周に圧入されている。オイルシール30は、内筒部31及びシールリップ31a、ダストリップ31bが、ロッド3の軸方向移動に伴って、そのロッド3の外周に摺接するようになっている。
また、図7に示すように、オイルシール30の内筒部31の下端とセパレータ35の上面との間には、隙間(符号w1参照)が設定されている。このため、シールリップ31aとセパレータ35の上面との間にも、軸方向への隙間が介在している状態である。この軸方向への隙間の介在により、オイルシール30のシールリップ31a付近に対して、作動油がかかることを防止しやすくなる。
また、セパレータ35の内縁35bと、ロッド3の外周との間にも、半径方向への隙間(符号w2参照)が設定されている。この隙間は、全周に亘って連続的に設けられていることが望ましい。この半径方向への隙間の介在により、部品の組付け誤差による接触によって、セパレータ35がロッド3に擦れて、ロッド3の外周にキズがつくことを防止することができる。また、オイルシール30とセパレータ35との間の空間に作動油が入った場合でも、その半径方向への隙間から作動油が下方に移動するので、シールリップ31a付近への作動油の滞留を防止することができる。また、例えば、図9(c)に示すように、セパレータ35の上面に溝35fを設けることもできる。
この第三の実施形態のセパレータ35は、オイルシール30の外筒部34の内周に圧入されているが、これを、第一の実施形態、第二の実施形態のように、シール嵌合面22に直接圧入する構成としてもよい。このとき、セパレータ35を、オイルシール30の外筒部34の下端と、段部23の上面との間に挟んで支持することもできる。また、逆に、第一の実施形態、第二の実施形態の油圧式オートテンショナ1において、セパレータ35を、第三の実施形態のように、オイルシール30の外筒部34の内周に圧入する構成としてもよい。
また、第一の実施形態、第二の実施形態の油圧式オートテンショナ1において、第三の実施形態のカップ状のセパレータ35を採用してもよい。逆に、第三の実施形態において、第一の実施形態、第二の実施形態の各形態からなるセパレータ35を採用してもよい。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 油圧式オートテンショナ
2 シリンダ
3 ロッド
4 ばね座
5 リターンスプリング
6 油圧ダンパ機構
20 スプリングカバー(ロッドと一体に移動する部材)
22 シール嵌合面
23 段部
30 オイルシール
31a シールリップ
34 外筒部
35 セパレータ
35f 溝
2 シリンダ
3 ロッド
4 ばね座
5 リターンスプリング
6 油圧ダンパ機構
20 スプリングカバー(ロッドと一体に移動する部材)
22 シール嵌合面
23 段部
30 オイルシール
31a シールリップ
34 外筒部
35 セパレータ
35f 溝
Claims (7)
- 上端が開口し下端が閉塞したシリンダ(2)と、
前記シリンダ(2)に上下に移動可能に挿入されたロッド(3)と、
前記ロッド(3)の上部に設けられたばね座(4)と、
前記シリンダ(2)の下部と前記ばね座(4)との間に組み込まれ前記ロッド(3)を上方に付勢するリターンスプリング(5)と、
前記ロッド(3)に負荷される下向きの力を前記シリンダ(2)の内部の作動油で緩衝する油圧ダンパ機構(6)と、
前記ロッド(3)の移動に伴って前記ロッド(3)又は前記ロッド(3)と一体に移動する部材(20)に摺接するように前記シリンダ(2)の上端開口の内周に取り付けられた環状のオイルシール(30)と、
前記オイルシール(30)の下部に配置され前記オイルシール(30)への作動油の付着を抑制する環状のセパレータ(35)と、
を備える油圧式オートテンショナ。 - 前記オイルシール(30)は前記ロッド(3)又は前記ロッド(3)と一体に移動する部材(20)の外周に摺接するシールリップ(31a)を備え、
前記シールリップ(31a)と前記セパレータ(35)の上面との間に隙間が設定されている請求項1に記載の油圧式オートテンショナ。 - 前記セパレータ(35)と前記ロッド(3)又は前記ロッド(3)と一体に移動する部材(20)の外周との間に隙間が設定されている請求項1又は2に記載の油圧式オートテンショナ。
- 前記オイルシール(30)及び前記セパレータ(35)は、前記シリンダ(2)の内周に形成されたシール嵌合面(22)に圧入される請求項1乃至3のいずれか一つに記載の油圧式オートテンショナ。
- 前記セパレータ(35)は、前記シール嵌合面(22)の下端に形成された段部(23)に当接する請求項4に記載の油圧式オートテンショナ。
- 前記オイルシール(30)は、前記シリンダ(2)の内周に形成されたシール嵌合面(22)に圧入される外筒部(34)を有し、
前記セパレータ(35)は前記外筒部(34)の内周に圧入される請求項1乃至3のいずれか一つに記載の油圧式オートテンショナ。 - 前記セパレータ(35)の上面に溝(35f)が形成されている請求項1乃至6のいずれか一つに記載の油圧式オートテンショナ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018137755A JP2020016254A (ja) | 2018-07-23 | 2018-07-23 | 油圧式オートテンショナ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2018137755A JP2020016254A (ja) | 2018-07-23 | 2018-07-23 | 油圧式オートテンショナ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2020016254A true JP2020016254A (ja) | 2020-01-30 |
Family
ID=69580115
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2018137755A Pending JP2020016254A (ja) | 2018-07-23 | 2018-07-23 | 油圧式オートテンショナ |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2020016254A (ja) |
-
2018
- 2018-07-23 JP JP2018137755A patent/JP2020016254A/ja active Pending
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