JP2020100775A - 導電性組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
従って、露光部分又は荷電粒子線が照射された部分に酸を発生させ、続いてポストエクスポージャーベーク(PEB)処理と呼ばれる加熱処理により架橋反応又は分解反応を促進させる、高感度な化学増幅型レジストの使用が主流となっている。
また、近年、半導体デバイスの微細化の流れに伴い、数nmオーダーでのレジスト形状の管理も要求されるようになってきている。
この課題を解決する手段として、導電性ポリマーを含む導電性組成物をレジスト層の表面に塗布して導電膜を形成し、前記導電膜でレジスト層の表面を被覆する技術が有効であることが既に知られている。
例えば、特許文献1には、酸性基を有する導電性ポリマーと、含窒素官能基及び末端疎水性基を有する水溶性ポリマーと、溶剤とを含む導電性組成物が開示されている。
本発明は、レジスト層上に形成して荷電粒子線を用いたパターン形成した際に、パターニング不良が起こりにくい導電膜を形成できる導電性組成物を提供することを目的とする。
しかし、濾過後の導電性組成物を用いてもパターニング不良が起こることから、本発明者は鋭意研究を行なった結果、濾過に用いるフィルタの二次側、すなわち濾液がフィルタから出ていく面に付着していたフィルタ由来物質が、導電性組成物がフィルタを通過するときに濾液に混入し、成膜時にフィルタ由来物質が異物として導電膜に現れ、パターニング不良の要因となることを突き止めた。特にナイロン製のフィルタ由来物質であるナイロン、ポリエチレン製のフィルタ由来物質であるポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン製のフィルタ由来物質であるポリテトラフルオロエチレンが、パターニング不良に影響することを突き止めた。そこで、導電性組成物中のこれらフィルタ由来物質の量を低減することで、パターニング不良を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
[1] 酸性基を有する導電性ポリマーと、溶剤とを含む導電性組成物であって、
前記導電性組成物の総質量に対して、ナイロン、ポリエチレン及びポリテトラフルオロエチレンの含有量がそれぞれ10質量ppm以下である、導電性組成物。
[2] 前記導電性ポリマーが下記一般式(5)で表される単位を有する、[1]の導電性組成物。
また、本明細書において「溶解性」とは、単なる水、塩基及び塩基性塩の少なくとも一方を含む水、酸を含む水、水と水溶性有機溶媒との混合物のうち、10g(液温25℃)に、0.1g以上均一に溶解することを意味する。また、「水溶性」とは、上記溶解性に関して、水に対する溶解性のことを意味する。
また、本明細書において、「末端疎水性基」の「末端」とは、ポリマーを構成する繰り返し単位以外の部位を意味する。
また、本明細書において「質量平均分子量」とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によって測定される質量平均分子量(ポリスチレンスルホン酸ナトリウム換算)である。
また、本明細書において、濾過サンプルがフィルタに最初に触れる面を「フィルタの一次側」といい、濾液がフィルタから出ていく面を「フィルタの二次側」という。
本発明の導電性組成物は、以下に示す導電性ポリマー(A)と、溶剤(B)とを含む。導電性組成物は、必要に応じて塩基性化合物(C)、界面活性剤(D)などを含んでいてもよい。
本発明の導電性ポリマー(A)は、酸性基を有する。導電性ポリマー(A)が酸性基を有していれば、水溶性が高まる。その結果、導電性ポリマー(A)を含む導電性組成物の塗布性が高まり、均一な厚さの塗膜が得られやすくなる。
導電性ポリマー(A)としては、分子内にスルホン酸基、及びカルボキシ基からなる群より選択される少なくとも1つの基を有していれば、本発明の効果を有する限り特に限定されず、公知の導電性ポリマーを用いることができる。例えば、特開昭61−197633号公報、特開昭63−39916号公報、特開平1−301714号公報、特開平5−504153号公報、特開平5−503953号公報、特開平4−32848号公報、特開平4−328181号公報、特開平6−145386号公報、特開平6−56987号公報、特開平5−226238号公報、特開平5−178989号公報、特開平6−293828号公報、特開平7−118524号公報、特開平6−32845号公報、特開平6−87949号公報、特開平6−256516号公報、特開平7−41756号公報、特開平7−48436号公報、特開平4−268331号公報、特開2014−65898号公報等に示された導電性ポリマーなどが、溶解性の観点から好ましい。
また、前記π共役系導電性ポリマーがイミノフェニレン、及びガルバゾリレンからなる群から選ばれた少なくとも1種の繰り返し単位を含む場合は、前記繰り返し単位の窒素原子上に、スルホン酸基、及びカルボキシ基からなる群より選択される少なくとも1つの基を有する、又はスルホン酸基、及びカルボキシ基からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されたアルキル基、若しくはエーテル結合を含むアルキル基を前記窒素原子上に有する導電性ポリマーが挙げられる。
この中でも、導電性や溶解性の観点から、β位がスルホン酸基、及びカルボキシ基からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されたチエニレン、ピロリレン、イミノフェニレン、フェニレンビニレン、カルバゾリレン、及びイソチアナフテンからなる群から選ばれた少なくとも1種をモノマーユニット(単位)として有する導電性ポリマーが好ましく用いられる。
ただし、一般式(1)のR1、R2のうちの少なくとも1つ、一般式(2)のR3〜R6のうちの少なくとも1つ、一般式(3)のR7〜R10のうちの少なくとも1つ、一般式(4)のR11〜R15のうちの少なくとも1つは、それぞれ酸性基又はその塩である。
スルホン酸基は、酸の状態(−SO3H)で含まれていてもよく、イオンの状態(−SO3 −)で含まれていてもよい。さらに、スルホン酸基には、スルホン酸基を有する置換基(−R17SO3H)も含まれる。
一方、カルボン酸基は、酸の状態(−COOH)で含まれていてもよく、イオンの状態(−COO−)で含まれていてもよい。さらに、カルボン酸基には、カルボン酸基を有する置換基(−R17COOH)も含まれる。
前記R17は炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基、炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐鎖のアリーレン基、又は炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐鎖のアラルキレン基を表す。
アルカリ金属塩としては、例えば、硫酸リチウム、炭酸リチウム、水酸化リチウム、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、硫酸カリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム及びこれらの骨格を有する誘導体などが挙げられる。
アルカリ土類金属塩としては、例えばマグネシウム塩、カルシウム塩などが挙げられる。
置換アンモニウム塩としては、例えば脂肪族アンモニウム塩、飽和脂環式アンモニウム塩、不飽和脂環式アンモニウム塩などが挙げられる。
脂肪族アンモニウム塩としては、例えば、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、メチルエチルアンモニウム、ジエチルメチルアンモニウム、ジメチルエチルアンモニウム、プロピルアンモニウム、ジプロピルアンモニウム、イソプロピルアンモニウム、ジイソプロピルアンモニウム、ブチルアンモニウム、ジブチルアンモニウム、メチルプロピルアンモニウム、エチルプロピルアンモニウム、メチルイソプロピルアンモニウム、エチルイソプロピルアンモニウム、メチルブチルアンモニウム、エチルブチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラメチロールアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラn−ブチルアンモニウム、テトラsec−ブチルアンモニウム、テトラt−ブチルアンモニウムなどが挙げられる。
飽和脂環式アンモニウム塩としては、例えば、ピペリジニウム、ピロリジニウム、モルホリニウム、ピペラジニウム及びこれらの骨格を有する誘導体などが挙げられる。
不飽和脂環式アンモニウム塩としては、例えば、ピリジニウム、α−ピコリニウム、β−ピコリニウム、γ−ピコリニウム、キノリニウム、イソキノリニウム、ピロリニウム、及びこれらの骨格を有する誘導体などが挙げられる。
また、導電性ポリマー(A)は、導電性に優れる観点で、前記一般式(5)で表される単位を1分子中に10以上含有することが好ましい。
ポリマー中の芳香環の総数に対する、酸性基が結合した芳香環の数は、導電性ポリマー(A)製造時の、モノマーの仕込み比から算出した値のことを指す。
ここで、「成膜性」とは、ハジキ等が無い均一な膜となる性質のことを指し、ガラス上へのスピンコート等の方法で評価することができる。
以下に、導電性ポリマー(A)の製造方法の一例について説明する。
本実施形態の導電性ポリマー(A)の製造方法は、重合溶媒及び酸化剤の存在下、導電性ポリマー(A)の原料モノマーを重合する工程(重合工程)を含む。また本実施形態の導電性ポリマー(A)の製造方法は、重合工程で得られた反応生成物を精製する工程(精製工程)を含んでいてもよい。
重合工程は、重合溶媒及び酸化剤の存在下、導電性ポリマー(A)の原料モノマーを重合する工程である。
原料モノマーの具体例としては、上述したモノマーユニットの由来となる重合性単量体が挙げられ、具体的には酸性基置換アニリン、そのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩及び置換アンモニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
酸性基置換アニリンとしては、例えば酸性基としてスルホン酸基を有するスルホン酸基置換アニリンが挙げられる。
スルホン基置換アニリンとして代表的なものは、アミノベンゼンスルホン酸類であり、具体的にはo−,m−,p−アミノベンゼンスルホン酸、アニリン−2,6−ジスルホン酸、アニリン−2,5−ジスルホン酸、アニリン−3,5−ジスルホン酸、アニリン−2,4−ジスルホン酸、アニリン−3,4−ジスルホン酸などが好ましく用いられる。
これらの中では、導電性や溶解性に特に優れる導電性ポリマー(A)が得られる点で、アルキル基置換アミノベンゼンスルホン酸類、アルコキシ基置換アミノベンゼンスルホン酸類、ヒドロキシ基置換アミノベンゼンスルホン酸類、又はハロゲン置換アミノベンゼンスルホン酸類が好ましく、製造が容易な点で、アルコキシ基置換アミノベンゼンスルホン酸類、そのアルカリ金属塩、アンモニウム塩及び置換アンモニウム塩が特に好ましい。
これらのスルホン酸基置換アニリンは、いずれか1種を単独で用いてもよいし、2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
重合溶媒としては、水、又は水と有機溶媒との混合溶媒が好ましい。
これらの酸化剤は、いずれか1種を単独で用いてもよいし、2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
塩基性反応助剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の無機塩基;アンモニア;メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチルメチルアミン、エチルジメチルアミン、ジエチルメチルアミン等の脂式アミン類;環式飽和アミン類;ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、キノリン等の環式不飽和アミン類などが挙げられる。
これらの中では、無機塩基、脂式アミン類、環式不飽和アミン類が好ましく、環式不飽和アミン類がより好ましい。
これらの塩基性反応助剤は、いずれか1種を単独で用いてもよいし、2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
酸化剤溶液及び原料モノマー溶液の溶媒としては、上述した重合溶媒を用いることができる。
反応生成物が重合溶媒に溶解している場合は、重合溶媒を留去して反応生成物を得る。
反応生成物が重合溶媒に沈殿している場合は、遠心分離器等の濾過器により重合溶媒を濾別して反応生成物を得る。
よって、反応生成物を精製して低分子量成分を除去することが好ましい。
精製工程は、重合工程で得られた反応生成物を精製する工程である。
反応生成物を精製する方法としては、洗浄溶媒を用いた洗浄法、膜濾過法、イオン交換法、加熱処理による不純物の除去、中和析出などあらゆる方法を用いることができる。これらの中でも、純度の高い導電性ポリマー(A)を容易に得ることができる観点から、洗浄法、イオン交換法が有効である。特に、原料モノマー、オリゴマー、酸性物質などを効率よく除去できる観点では、洗浄法が好ましい。導電性ポリマー(A)の酸性基と塩を形成した状態で存在する塩基性物質などを効率よく除去できる観点では、イオン交換法が好ましい。精製工程では、洗浄法とイオン交換法とを組み合わせて用いてもよい。
なお、反応生成物が重合溶媒に溶解している場合は、溶解した状態のままイオン交換樹脂と接触させればよい。反応生成物の濃度が濃い場合は、水性媒体で希釈してもよい。
反応生成物が重合溶媒に沈殿している場合は、重合溶媒を濾別した後に、反応生成物を所望の固形分濃度になるように水性媒体に溶解させ、ポリマー溶液としてからイオン交換樹脂に接触させることが好ましい。
洗浄後の反応生成物をイオン交換処理する場合は、洗浄後の反応生成物を所望の固形分濃度になるように水性媒体に溶解させ、ポリマー溶液としてからイオン交換樹脂に接触させることが好ましい。
水性媒体としては、後述する溶剤(B)と同様のものが挙げられる。
ポリマー溶液中の導電性ポリマー(A)の濃度としては、工業性や精製効率の観点から、0.1〜20質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましい。
また、導電性ポリマー(A)の含有量は、導電性組成物の固形分の総質量に対して、50〜100質量%が好ましく、80〜100質量%がより好ましく、95〜100質量%がさらに好ましい。なお、導電性組成物の固形分は、導電性組成物から溶剤(B)を除いた残分である。
導電性ポリマー(A)の含有量が上記範囲内であれば、導電性組成物の塗布性と、導電性組成物より形成される塗膜の導電性のバランスにより優れる。
溶剤(B)としては、導電性ポリマー(A)と、後述の塩基性化合物(C)及び界面活性剤(D)を溶解することができる溶剤であれば、本発明の効果を有する限り特に限定はされないが、水、有機溶剤、水と有機溶剤との混合溶剤が挙げられる。
水としては、水道水、イオン交換水、純水、超純水、蒸留水などが挙げられる。
有機溶剤としては、導電性ポリマー(A)の製造方法の説明において先に例示した重合溶媒のうちの有機溶媒が挙げられる。
溶剤(B)として、水と有機溶剤との混合溶剤を用いる場合、これらの質量比(水/有機溶剤)は1/100〜100/1であることが好ましく、2/100〜100/2であることがより好ましい。
なお、導電性ポリマー(A)を、イオン交換法により精製して重合溶媒又は水性媒体に溶解した状態(以下、この状態の導電性ポリマー(A)を「導電性ポリマー溶液」ともいう。)で用いる場合、導電性ポリマー溶液由来の重合溶媒又は水性媒体も導電性組成物中の溶剤(B)の含有量に含まれる。
導電性組成物は、塩基性化合物(C)を含んでいてもよい。
導電性組成物が塩基性化合物(C)を含んでいれば、導電性ポリマー(A)の安定性を高めることが可能になると考えられる。
第4級アンモニウム塩(c−1):窒素原子に結合する4つの置換基のうちの少なくとも1つが炭素数3以上の炭化水素基である第4級アンモニウム化合物。
塩基性化合物(c−2):1つ以上の窒素原子を有する塩基性化合物(ただし、第4級アンモニウム塩(c−1)及び塩基性化合物(c−3)を除く。)。
塩基性化合物(c−3):同一分子内に塩基性基と2つ以上のヒドロキシ基とを有し、かつ30℃以上の融点を有する塩基性化合物。
第4級アンモニウム化合物(c−1)において、第4級アンモニウムイオンの窒素原子に結合する炭化水素基としては、アルキル基、アラルキル基、アリール基などが挙げられる。
第4級アンモニウム化合物(c−1)としては、例えば、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラペンチルアンモニウム、水酸化テトラヘキシルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウムなどが挙げられる。
塩基性化合物(c−3)としては、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−[N−トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸などが挙げられる。
これらの中でも、導電性ポリマー(A)の酸性基と塩を形成しやすい点から、第4級アンモニウム塩(c−1)及び塩基性化合物(c−2)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
導電性組成物は、界面活性剤(D)を含んでいてもよい。
導電性組成物が界面活性剤(D)を含んでいれば、導電性組成物を基材やレジスト層の表面に塗布する際の塗布性が向上する。
界面活性剤としては、陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン系界面活性剤などが挙げられる。これらの界面活性剤は、いずれか1種を単独で用いてもよいし、2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
末端疎水性基としては、例えばアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アラルキルチオ基、アリールチオ基、一級又は二級のアルキルアミノ基、アラルキルアミノ基、アリールアミノ基などが挙げられる。これらの中でも、アルキルチオ基、アラルキルチオ基、アリールチオ基が好ましい。
末端疎水性基の炭素数は、3〜100が好ましく、5〜50がより好ましく、7〜30が特に好ましい。
水溶性ポリマー中の末端疎水性基の数は特に制限されない。また、同一分子内に末端疎水性基を2つ以上有する場合、末端疎水性基は同じ種類であってもよいし、異なる種類であってもよい。
含窒素官能基を有するビニルモノマーとしては、アクリルアミド及びその誘導体、含窒素官能基を有する複素環状モノマー等が挙げられ、その中でもアミド結合を持つものが好ましい。具体的には、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、t−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N−ビニル−N−メチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等が挙げられる。これらの中でも、溶解性の観点から、アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等が特に好ましい。
その他のビニルモノマーとしては、含窒素官能基を有するビニルモノマーを共重合可能であれば特に制限されないが、例えば、スチレン、アクリル酸、酢酸ビニル、長鎖α−オレフィンなどが挙げられる。
水溶性ポリマー中の主鎖部分と、末端疎水性基部分(例えばアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルキルチオ基、アラルキルチオ基、アリールチオ基などの部分)との分子量比(主鎖部分の質量平均分子量/末端疎水性基部分の質量平均分子量)は、0.3〜170であることが好ましい。
導電性組成物は、必要に応じて、導電性ポリマー(A)、溶剤(B)、塩基性化合物(C)及び界面活性剤(D)以外の成分(任意成分)を含んでいてもよい。
任意成分としては、例えば高分子化合物(導電性ポリマー(A)、塩基性化合物(C)及び界面活性剤(D)を除く)、添加剤などが挙げられる。
添加剤としては、例えば顔料、消泡剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱性向上剤、レベリング剤、たれ防止剤、艶消し剤、防腐剤などが挙げられる。
導電性組成物は、上述した導電性ポリマー(A)及び溶剤(B)と、必要に応じて塩基性化合物(C)、界面活性剤(D)及び任意成分の1つ以上とを混合することで得られる。こうして得られた導電性組成物に異物が含まれていると荷電粒子線描画後のパターニング不良の原因となるため、フィルタで異物を取り除くことが好ましい。
すなわち、導電性組成物の製造方法は、導電性ポリマー(A)と溶剤(B)とを含む混合物(M)を濾過する工程(濾過工程)を有する。混合物(M)には、必要に応じて塩基性化合物(C)、界面活性剤(D)及び任意成分の1つ以上が含まれていてもよい。
ここで、濾過前の導電性組成物に含まれる異物とは、例えば空気中に舞うパーティクル、各種摩擦物から発生するパーティクル、導電性組成物を構成する成分に含まれていたパーティクルなどが挙げられる。
イオン交換処理後の導電性ポリマー(A)を用いる場合、イオン交換処理後の導電性ポリマー(A)は、上述したように導電性ポリマー溶液の状態で得られる。そのため、この導電性ポリマー溶液をそのまま混合物(M)として用いてもよいし、溶剤(B)でさらに希釈してもよい。また、必要に応じて、導電性ポリマー溶液に塩基性化合物(C)、界面活性剤(D)及び任意成分の1つ以上を添加して、混合物(M)としてもよい。
ナイロンとしては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612などが挙げられる。
フィルタの孔径は、精密濾過の場合は5〜100nmが好ましい。
(i)濾過の前に、フィルタを洗浄する。
(ii)濾液を初留分と本留分とに分け、本留分を導電性組成物として回収する。
(iii)混合物(M)を循環濾過する。
フィルタの洗浄に用いられる洗浄液としては、例えば導電性組成物に含まれる溶剤(B)と同様の溶剤などが挙げられる。
フィルタの洗浄は、フィルタを洗浄した後の洗浄液中のフィルタ由来物質の含有量が、洗浄液の総質量に対して10質量ppm以下になるまで行うことが好ましい。
洗浄済みのフィルタを用いて混合物(M)を濾過し、濾液を導電性組成物として回収する。
濾液の初留分は廃棄してもよいし、初留分をさらに濾過してもよい。初留分を濾過する場合、混合物(M)に混ぜて濾過してもよいし、混合物(M)の濾過の後に、同じフィルタを用いて濾過してもよい。
循環濾過は、濾液中のフィルタ由来物質の含有量が、濾液の総質量に対して10質量ppm以下になるまで行う。
循環濾過後の濾液を導電性組成物として回収する。
導電性組成物中のナイロン、ポリエチレン及びポリテトラフルオロエチレンの含有量は少ないほど好ましい。
例えば、洗浄液、濾液、導電性組成物などの測定サンプル中のナイロンの含有量を測定する場合は、まず、ナイロン製以外のフィルタ(例えばポリエチレン製やポリテトラフルオロエチレン製のフィルタ)を用いて測定サンプルを濾過する。次いで、残渣を元素分析し、窒素元素の含有量から測定サンプル中のナイロンの含有量を定性分析する。
測定サンプル中のポリエチレンの含有量を測定する場合は、まず、ポリエチレン製以外のフィルタ(例えばナイロン製やポリテトラフルオロエチレン製のフィルタ)を用いて測定サンプルを濾過する。次いで、残渣の重量を測定した後に赤外吸収スペクトルにて構造を特定し、含有量から測定サンプル中のポリエチレンの含有量を定量分析する。
測定サンプル中のポリテトラフルオロエチレンの含有量を測定する場合は、まず、ポリテトラフルオロエチレン製以外のフィルタ(例えばナイロン製やポリエチレン製のフィルタ)を用いて測定サンプルを濾過する。次いで、残渣の重量を測定した後に元素分析しフッ素元素の含有量から測定サンプル中のポリテトラフルオロエチレンの含有量を定性分析する。
なお、フィルタ由来物質以外の異物の含有量は、液中パーティクルカウンターにより求められる。
上述したように、フィルタで濾過した後の導電性組成物にフィルタ由来物質が含まれていると、成膜時にフィルタ由来物質が異物として導電膜に現れ、異物が発生した導電膜では、荷電粒子線による描画後にラインの断線等の問題が生じ、パターニング不良が起こることがある。
しかし、本発明の導電性組成物であれば、フィルタ由来物質、具体的にはナイロン、ポリエチレン及びポリテトラフルオロエチレンの含有量が、導電性組成物の総質量に対してそれぞれ10質量ppm以下であり、充分に低減されている。しかも、本発明の導電性組成物は濾過されているので、フィルタ由来物質以外の異物も充分に除去されている。よって、本発明の導電性組成物であれば、これらフィルタ由来物質やそれ以外の異物が少ない導電膜を形成できる。
よって、本発明の導電性組成物を用いてレジスト層上に導電膜を形成して、荷電粒子線を用いたパターン形成した際に、パターニング不良が起こりにくい。
また、本発明の導電性組成物は既にフィルタで濾過されているので、使用前に改めて濾過する必要がない。
本発明の導電性組成物は、荷電粒子線描画時の帯電防止用として好適である。具体的には、本発明の導電性組成物を、化学増幅型レジストを用いた荷電粒子線によるパターン形成法のレジスト層の表面に塗布して導電膜を形成する。こうして形成された導電膜がレジスト層の帯電防止膜となる。
また、上述した以外にも、本発明の導電性組成物は、例えばコンデンサ、透明電極、半導体等の材料として使用することもできる。
なお、実施例及び比較例における各種測定・評価方法は以下の通りである。
<ナイロンの含有量の測定>
ポリエチレン製のフィルタを用いて導電性組成物を濾過した。次いで、残渣を高周波誘導結合プラズマ質量分析計(ICP−MS− Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometer:Agilent Technologies製7500cs)を用いて元素分析し、窒素元素の含有量から測定サンプル中のナイロンの含有量を定性分析した。
なお、本分析計における検出限界値は0.01質量ppmである。
液中パーティクルカウンターにて溶液中のパーティクル(粒子径5μm以上)の含有量を測定した。
基材としてガラス基材上に導電性組成物を2.0mL滴下し、基材表面全体を覆うように、スピンコーターにて2000rpm×60秒間の条件で回転塗布して塗膜を形成した後、ホットプレートにて80℃で2分間加熱処理を行い、基材上に膜厚約30nmの導電膜を形成して導電体を得た。
ハイレスタUX−MCP−HT800(株式会社三菱ケミカルアナリテック製)を用い2端子法(電極間距離20mm)にて、導電膜の表面抵抗値[Ω/□]を測定した。
2−アミノアニソール−4−スルホン酸100mmolに、ピリジン100mmolと水100mLを添加して、モノマー溶液を得た。
得られたモノマー溶液に、ペルオキソ二硫酸アンモニウム100mmolの水溶液(酸化剤溶液)を10℃で滴下した。滴下終了後、25℃で15時間さらに攪拌した後、35℃まで昇温してさらに2時間撹拌して、反応生成物が沈殿した反応液を得た。
得られた反応液を遠心濾過器にて濾過し、沈殿物(反応生成物)を回収して、1Lのメタノールにて反応生成物を洗浄した後に乾燥させた。乾燥後の反応生成物20gを、超純水980gに溶解させ、固形分濃度2質量%の導電性ポリマー溶液(A1−1)を1000g得た。
得られた導電性ポリマー溶液(A1−1)を混合物(M1)とし、加圧濾過装置を用いて、0.05MPaの一定圧力下で、混合物(M1)をフィルタに1L通液させ、全ての濾液を導電性組成物として回収した。
フィルタとしては、孔径が10nmであるナイロン製のフィルタ(Ny−10nm)を超純水で洗浄したものを用いた。フィルタの洗浄は、フィルタを洗浄した後の洗浄液(超純水)中のナイロンの含有量が、洗浄液の総質量に対して10質量ppm以下になるまで行った。
得られた導電性組成物について、フィルタ由来物質であるナイロンと、フィルタ由来物質以外の異物の含有量を測定した。また、導電性を評価した。これらの結果を表1に示す。
実施例1と同様にして混合物(M1)を得た。
得られた混合物(M1)を未洗浄のナイロン製のフィルタ(Ny−10nm)に1L通液させた。濾過開始から0.5mL通液させた後の濾液を本留分とし、これを導電性組成物として回収した。
得られた導電性組成物について、フィルタ由来物質であるナイロンの含有量と、フィルタ由来物質以外の異物を測定した。また、導電性を評価した。これらの結果を表1に示す。
実施例1と同様にして混合物(M1)を得た。
得られた混合物(M1)を未洗浄のナイロン製のフィルタ(Ny−10nm)に1L通液させた。全ての濾液を再度同じフィルタに通液させ循環濾過を行った。2回濾過を行った後の全ての濾液を導電性組成物として回収した。
得られた導電性組成物について、フィルタ由来物質であるナイロンと、フィルタ由来物質以外の異物の含有量を測定した。また、導電性を評価した。これらの結果を表1に示す。
実施例1と同様にして混合物(M1)を得た。
得られた混合物(M1)を未洗浄のナイロン製のフィルタ(Ny−10nm)に1L通液させ、全ての濾液を導電性組成物として回収した。
得られた導電性組成物について、フィルタ由来物質であるナイロンと、フィルタ由来物質以外の異物の含有量を測定した。また、導電性を評価した。これらの結果を表1に示す。
一方、比較例1で得られた導電性組成物はフィルタ由来物質であるナイロンの含有量が多かった。よって、レジスト層上に導電膜を形成して、荷電粒子線を用いたパターン形成した際に、パターニング不良が起こりやすい。
なお、実施例1〜3および比較例1では、導電性組成物の製造においてナイロン製のフィルタを用いている。よって、濾液にナイロン以外のフィルタ由来物質、具体的にはポリエチレンおよびポリテトラフルオロエチレンは混入せず、各例で得られた導電性組成物中のナイロン以外のフィルタ由来物質、具体的にはポリエチレンおよびポリテトラフルオロエチレンの含有量は、検出限界以下である。
Claims (3)
- 酸性基を有する導電性ポリマーと、溶剤とを含む導電性組成物であって、
前記導電性組成物の総質量に対して、ナイロン、ポリエチレン及びポリテトラフルオロエチレンの含有量がそれぞれ10質量ppm以下である、導電性組成物。 - 荷電粒子線描画時の帯電防止用である、請求項1又は2に記載の導電性組成物。
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