JP2021095519A - 導電性組成物 - Google Patents

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Akira Yamazaki
明 山嵜
早希 仲野
Saki NAKANO
早希 仲野
隆浩 森
Takahiro Mori
隆浩 森
直子 山田
Naoko Yamada
直子 山田
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Abstract

【課題】加熱処理してもガスの発生を抑制できる導電性組成物の提供。【解決手段】酸性基を有する導電性ポリマーと、塩基性化合物と、溶剤とを含む導電性組成物であって、前記塩基性化合物の含有量が、前記導電性ポリマー100質量部に対して50質量部以上である導電性組成物。前記導電性組成物は、荷電粒子線描画時の帯電防止用として好適である。【選択図】なし

Description

本発明は、導電性組成物に関する。
電子線やイオン線等の荷電粒子線を用いたパターン形成技術は、光リソグラフィーの次世代技術として期待されている。荷電粒子線を用いる場合、生産性向上にはレジスト層の感度向上が重要である。
従って、露光部分又は荷電粒子線が照射された部分に酸を発生させ、続いてポストエクスポージャーベーク(PEB)処理と呼ばれる加熱処理により架橋反応又は分解反応を促進させる、高感度な化学増幅型レジストの使用が主流となっている。
また、近年、半導体デバイスの微細化の流れに伴い、数nmオーダーでのレジスト形状の管理も要求されるようになってきている。
ところで、荷電粒子線を用いるパターン形成方法においては、特に基板が絶縁性の場合、基板の帯電(チャージアップ)によって発生する電界が原因で、荷電粒子線の軌道が曲げられ、所望のパターンが得られにくいという課題がある。
この課題を解決する手段として、導電性ポリマーを含む導電性組成物をレジスト層の表面に塗布して導電膜を形成し、前記導電膜でレジスト層の表面を被覆する技術が有効であることが既に知られている。
導電性ポリマーとして、ドープされたポリアニリンが知られている。
ポリアニリンの製造方法として、トリメチルアミンやピリジン等の塩基性化合物の存在下で、スルホン酸基やカルボキシ基などの酸性基で置換されたアニリン(酸性基置換アニリン)を酸化剤により重合する方法が提案されている(例えば特許文献1参照。)。
従来、酸性基置換アニリンは、それ単独では重合しにくく、高分子量化が困難とされていたが、塩基性化合物を含む溶液中で重合する方法によれば、高分子量の重合体の製造が可能である。しかも、この方法で得られたポリアニリンは、酸性からアルカリ性のいずれの水溶液にも優れた溶解性を示す。
塩基性化合物の存在下で酸性基置換アニリンを重合する方法では、ポリアニリンや、未反応のモノマー、副反応の併発に伴うオリゴマー中の酸性基の一部が、塩基性化合物と塩を形成しやすい。
しかし、塩基性化合物が、その塩基強度等の物性上、ポリアニリンの酸性基を安定して中和できないことから、ポリアニリンの酸性基部は加水分解等を受けやすく、不安定であり、酸性基が脱離することがある。特に、ポリアニリンに熱が加わると酸性基が脱離したり、ポリアニリン自体が分解したりしやすくなる傾向にある。そのため、レジスト層上にポリアニリンを塗布した後、加熱処理して導電膜を形成する際に、ポリアニリンの分解物や脱離した酸性基等に由来する揮発ガスが発生する場合がある。
そこで、塩基性化合物の存在下で酸性基置換アニリンを酸化剤により重合して得られたポリアニリンをイオン交換法、電気透析法などにより脱塩処理して塩基性化合物等を除去した後に、新たに強塩基な塩基性化合物を添加する方法が提案されている(例えば特許文献2参照。)。
特開平7−324132号公報 特開2011−219680号公報
特許文献2に記載の方法によれば、新たに添加した塩基性化合物がポリアニリンの酸性基の一部と安定した塩を形成するため、ポリアニリンの酸性基部分を安定化することができ、ポリアニリンの分解やポリアニリンからの酸性基の脱離を抑制できる。よって、ポリアニリンの分解物や脱離した酸性基等に由来する揮発ガスの発生を抑制できるものの、さらなるガスの発生を抑制することが求められている。
本発明は、加熱処理してもガスの発生を抑制できる導電性組成物を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
[1] 酸性基を有する導電性ポリマーと、塩基性化合物と、溶剤とを含む導電性組成物であって、
前記塩基性化合物の含有量が、前記導電性ポリマー100質量部に対して50質量部以上である、導電性組成物。
[2] 前記導電性ポリマーが下記一般式(5)で表される単位を有する、[1]の導電性組成物。
Figure 2021095519
式(5)中、R18〜R21は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐鎖のアルコキシ基、酸性基、ヒドロキシ基、ニトロ基、又はハロゲン原子を表し、R18〜R21のうちの少なくとも1つは酸性基又はその塩である。
[3] 荷電粒子線描画時の帯電防止用である、[1]又は[2]の導電性組成物。
本発明によれば、加熱処理してもガスの発生を抑制できる導電性組成物を提供できる。
以下、本発明を詳細に説明する。以下の実施の形態は、本発明を説明するための単なる例示であって、本発明をこの実施の形態にのみ限定することは意図されない。本発明は、その趣旨を逸脱しない限り、様々な態様で実施することが可能である。
なお、本発明において「導電性」とは、1×1011Ω/□以下の表面抵抗値を有することである。表面抵抗値は、一定の電流を流した場合の電極間の電位差より求められる。
また、本明細書において「溶解性」とは、単なる水、塩基及び塩基性塩の少なくとも一方を含む水、酸を含む水、水と水溶性有機溶媒との混合物のうちの1つ以上の溶媒10g(液温25℃)に、0.1g以上均一に溶解することを意味する。また、「水溶性」とは、上記溶解性に関して、水に対する溶解性のことを意味する。
また、本明細書において、「末端疎水性基」の「末端」とは、ポリマーを構成する繰り返し単位以外の部位を意味する。
また、本明細書において「質量平均分子量」とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によって測定される質量平均分子量(ポリスチレンスルホン酸ナトリウム換算)である。
[導電性組成物]
本発明の導電性組成物は、以下に示す導電性ポリマー(A)と、塩基性化合物(B)と、溶剤(C)とを含む。導電性組成物は、必要に応じて界面活性剤(D)及び任意成分の1つ以上を含んでいてもよい。
<導電性ポリマー(A)>
導電性ポリマー(A)は、酸性基を有する。導電性ポリマー(A)が酸性基を有していれば、水溶性が高まる。その結果、導電性ポリマー(A)を含む導電性組成物の塗布性が高まり、均一な厚さの導電膜が得られやすくなる。
導電性ポリマー(A)としては、分子内にスルホン酸基、及びカルボキシ基からなる群より選択される少なくとも1つの基を有していれば、本発明の効果を有する限り特に限定されず、公知の導電性ポリマーを用いることができる。例えば、特開昭61−197633号公報、特開昭63−39916号公報、特開平1−301714号公報、特開平5−504153号公報、特開平5−503953号公報、特開平4−32848号公報、特開平4−328181号公報、特開平6−145386号公報、特開平6−56987号公報、特開平5−226238号公報、特開平5−178989号公報、特開平6−293828号公報、特開平7−118524号公報、特開平6−32845号公報、特開平6−87949号公報、特開平6−256516号公報、特開平7−41756号公報、特開平7−48436号公報、特開平4−268331号公報、特開2014−65898号公報等に示された導電性ポリマーなどが、溶解性の観点から好ましい。
導電性ポリマー(A)としては、具体的には、α位若しくはβ位が、スルホン酸基、及びカルボキシ基からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されたフェニレンビニレン、ビニレン、チエニレン、ピロリレン、フェニレン、イミノフェニレン、イソチアナフテン、フリレン、及びカルバゾリレンからなる群から選ばれた少なくとも1種を繰り返し単位として含む、π共役系導電性ポリマーが挙げられる。
また、前記π共役系導電性ポリマーがイミノフェニレン、及びカルバゾリレンからなる群から選ばれた少なくとも1種の繰り返し単位を含む場合は、前記繰り返し単位の窒素原子上に、スルホン酸基、及びカルボキシ基からなる群より選択される少なくとも1つの基を有する、又はスルホン酸基、及びカルボキシ基からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されたアルキル基、若しくはエーテル結合を含むアルキル基を前記窒素原子上に有する導電性ポリマーが挙げられる。
この中でも、導電性や溶解性の観点から、β位がスルホン酸基、及びカルボキシ基からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されたチエニレン、ピロリレン、イミノフェニレン、フェニレンビニレン、カルバゾリレン、及びイソチアナフテンからなる群から選ばれた少なくとも1種をモノマーユニット(単位)として有する導電性ポリマーが好ましく用いられる。
導電性ポリマー(A)は、高い導電性や溶解性を発現できる観点から、下記一般式(1)〜(4)で表される単位からなる群より選ばれた1種以上のモノマーユニットを、導電性ポリマーを構成する全単位(100mol%)中に20〜100mol%含有する導電性ポリマーが好ましい。
Figure 2021095519
Figure 2021095519
Figure 2021095519
Figure 2021095519
式(1)〜(4)中、Xは硫黄原子、又は窒素原子を表し、R〜R15は各々独立に、水素原子、炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐鎖のアルコキシ基、酸性基、ヒドロキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子(−F、−Cl、−Br又はI)、−N(R16、−NHCOR16、−SR16、−OCOR16、−COOR16、−COR16、−CHO、又は−CNを表す。R16は炭素数1〜24のアルキル基、炭素数6〜24のアリール基、又は炭素数7〜24のアラルキル基を表す。
ただし、一般式(1)のR、Rのうちの少なくとも1つ、一般式(2)のR〜Rのうちの少なくとも1つ、一般式(3)のR〜R10のうちの少なくとも1つ、一般式(4)のR11〜R15のうちの少なくとも1つは、それぞれ酸性基又はその塩である。
ここで、「酸性基」とは、スルホン酸基(スルホ基)又はカルボン酸基(カルボキシ基)を意味する。
スルホン酸基は、酸の状態(−SOH)で含まれていてもよく、イオンの状態(−SO )で含まれていてもよい。さらに、スルホン酸基には、スルホン酸基を有する置換基(−R17SOH)も含まれる。
一方、カルボン酸基は、酸の状態(−COOH)で含まれていてもよく、イオンの状態(−COO)で含まれていてもよい。さらに、カルボン酸基には、カルボン酸基を有する置換基(−R17COOH)も含まれる。
前記R17は炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基、炭素数6〜24の直鎖若しくは分岐鎖のアリーレン基、又は炭素数7〜24の直鎖若しくは分岐鎖のアラルキレン基を表す。
酸性基の塩としては、スルホン酸基又はカルボン酸基のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、又は置換アンモニウム塩などが挙げられる。
アルカリ金属塩としては、例えば、硫酸リチウム、炭酸リチウム、水酸化リチウム、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、硫酸カリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム及びこれらの骨格を有する誘導体などが挙げられる。
アルカリ土類金属塩としては、例えばマグネシウム塩、カルシウム塩などが挙げられる。
置換アンモニウム塩としては、例えば脂肪族アンモニウム塩、飽和脂環式アンモニウム塩、不飽和脂環式アンモニウム塩などが挙げられる。
脂肪族アンモニウム塩としては、例えば、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、メチルエチルアンモニウム、ジエチルメチルアンモニウム、ジメチルエチルアンモニウム、プロピルアンモニウム、ジプロピルアンモニウム、イソプロピルアンモニウム、ジイソプロピルアンモニウム、ブチルアンモニウム、ジブチルアンモニウム、メチルプロピルアンモニウム、エチルプロピルアンモニウム、メチルイソプロピルアンモニウム、エチルイソプロピルアンモニウム、メチルブチルアンモニウム、エチルブチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラメチロールアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラn−ブチルアンモニウム、テトラsec−ブチルアンモニウム、テトラt−ブチルアンモニウムなどが挙げられる。
飽和脂環式アンモニウム塩としては、例えば、ピペリジニウム、ピロリジニウム、モルホリニウム、ピペラジニウム及びこれらの骨格を有する誘導体などが挙げられる。
不飽和脂環式アンモニウム塩としては、例えば、ピリジニウム、α−ピコリニウム、β−ピコリニウム、γ−ピコリニウム、キノリニウム、イソキノリニウム、ピロリニウム、及びこれらの骨格を有する誘導体などが挙げられる。
導電性ポリマー(A)としては、高い導電性を発現できる観点から、上記一般式(4)で表される単位を有することが好ましく、その中でも特に、溶解性にも優れる観点から、下記一般式(5)で表されるモノマーユニットを有することがより好ましい。
Figure 2021095519
式(5)中、R18〜R21は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐鎖のアルコキシ基、酸性基、ヒドロキシ基、ニトロ基、又はハロゲン原子(−F、−Cl、−Br又はI)を表す。また、R18〜R21のうちの少なくとも1つは酸性基又はその塩である。
前記一般式(5)で表される単位としては、製造が容易な点で、R18〜R21のうち、いずれか1つが炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基であり、他のいずれか1つがスルホン酸基であり、残りが水素であるものが好ましい。
導電性ポリマー(A)は、pHに関係なく水及び有機溶媒への溶解性に優れる観点から、該導電性ポリマー(A)を構成する全単位(100mol%)のうち、前記一般式(5)で表される単位を10〜100mol%含有することが好ましく、50〜100mol%含有することがより好ましく、100mol%含有することが特に好ましい。
また、導電性ポリマー(A)は、導電性に優れる観点で、前記一般式(5)で表される単位を1分子中に10以上含有することが好ましい。
また、導電性ポリマー(A)において、溶解性がより向上する観点から、ポリマー中の芳香環の総数に対する、酸性基が結合した芳香環の数は、50%以上であることが好ましく、70%以上がより好ましく、80%以上がさらに好ましく、90%以上が特に好ましく、100%が最も好ましい。
ポリマー中の芳香環の総数に対する、酸性基が結合した芳香環の数は、導電性ポリマー(A)製造時の、モノマーの仕込み比から算出した値のことを指す。
また、導電性ポリマー(A)において、モノマーユニットの芳香環上の酸性基以外の置換基は、モノマーへの反応性付与の観点から電子供与性基が好ましく、具体的には、炭素数1〜24のアルキル基、炭素数1〜24のアルコキシ基、ハロゲン基(−F、−Cl、−Br又はI)等が好ましく、このうち、電子供与性の観点から、炭素数1〜24のアルコキシ基であることが最も好ましい。
さらに、導電性ポリマー(A)は、前記一般式(5)で表される単位以外の構成単位として、溶解性、導電性及び性状に影響を及ぼさない限り、置換又は無置換のアニリン、チオフェン、ピロール、フェニレン、ビニレン、二価の不飽和基、二価の飽和基からなる群より選ばれる1種以上の単位を含んでいてもよい。
導電性ポリマー(A)としては、高い導電性と溶解性を発現できる観点から、下記一般式(6)で表される構造を有する化合物であることが好ましく、下記一般式(6)で表される構造を有する化合物の中でも、ポリ(2−スルホ−5−メトキシ−1,4−イミノフェニレン)が特に好ましい。
Figure 2021095519
式(6)中、R22〜R37は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐鎖のアルコキシ基、酸性基、ヒドロキシ基、ニトロ基、又はハロゲン原子(−F、−Cl、−Br又はI)を表す。また、R22〜R37のうち少なくとも1つは酸性基又はその塩である。また、nは重合度を示す。本発明においては、nは5〜2500の整数であることが好ましい。
導電性ポリマー(A)に含有される酸性基は、導電性向上の観点から少なくともその一部が遊離酸型であることが望ましい。
導電性ポリマー(A)の質量平均分子量は、GPCのポリスチレンスルホン酸ナトリウム換算で、導電性、溶解性及び成膜性の観点から、1000〜100万が好ましく、1500〜80万がより好ましく、2000〜50万がさらに好ましく、2000〜10万が特に好ましい。導電性ポリマー(A)の質量平均分子量が1000未満の場合、溶解性には優れるものの、導電性及び成膜性が不足する場合がある。一方、質量平均分子量が100万を超える場合、導電性には優れるものの、溶解性が不充分な場合がある。
ここで、「成膜性」とは、ハジキ等が無い均一な膜となる性質のことを指し、ガラス上へのスピンコート等の方法で評価することができる。
導電性ポリマー(A)は、例えば重合溶媒及び酸化剤の存在下、導電性ポリマー(A)の原料モノマーを重合することで得られる。
以下に、導電性ポリマー(A)の製造方法の一例について説明する。
(導電性ポリマー(A)の製造方法)
本実施形態の導電性ポリマー(A)の製造方法は、重合溶媒及び酸化剤の存在下、導電性ポリマー(A)の原料モノマーを重合する工程(重合工程)を含む。また本実施形態の導電性ポリマー(A)の製造方法は、重合工程で得られた反応生成物を精製する工程(精製工程)を含んでいてもよい。
<<重合工程>>
重合工程は、重合溶媒及び酸化剤の存在下、導電性ポリマー(A)の原料モノマーを重合する工程である。
原料モノマーの具体例としては、上述したモノマーユニットの由来となる重合性単量体が挙げられ、具体的には酸性基置換アニリン、そのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩及び置換アンモニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
酸性基置換アニリンとしては、例えば酸性基としてスルホン酸基を有するスルホン酸基置換アニリンが挙げられる。
スルホン酸基置換アニリンとして代表的なものは、アミノベンゼンスルホン酸類であり、具体的にはo−,m−,p−アミノベンゼンスルホン酸、アニリン−2,6−ジスルホン酸、アニリン−2,5−ジスルホン酸、アニリン−3,5−ジスルホン酸、アニリン−2,4−ジスルホン酸、アニリン−3,4−ジスルホン酸などが好ましく用いられる。
アミノベンゼンスルホン酸類以外のスルホン酸基置換アニリンとしては、例えばメチルアミノベンゼンスルホン酸、エチルアミノベンゼンスルホン酸、n−プロピルアミノベンゼンスルホン酸、iso−プロピルアミノベンゼンスルホン酸、n−ブチルアミノベンゼンスルホン酸、sec−ブチルアミノベンゼンスルホン酸、t−ブチルアミノベンゼンスルホン酸等のアルキル基置換アミノベンゼンスルホン酸類;メトキシアミノベンゼンスルホン酸、エトキシアミノベンゼンスルホン酸、プロポキシアミノベンゼンスルホン酸等のアルコキシ基置換アミノベンゼンスルホン酸類;ヒドロキシ基置換アミノベンゼンスルホン酸類;ニトロ基置換アミノベンゼンスルホン酸類;フルオロアミノベンゼンスルホン酸、クロロアミノベンゼンスルホン酸、ブロムアミノベンゼンスルホン酸等のハロゲン置換アミノベンゼンスルホン酸類などを挙げることができる。
これらの中では、導電性や溶解性に特に優れる導電性ポリマー(A)が得られる点で、アルキル基置換アミノベンゼンスルホン酸類、アルコキシ基置換アミノベンゼンスルホン酸類、ヒドロキシ基置換アミノベンゼンスルホン酸類、又はハロゲン置換アミノベンゼンスルホン酸類が好ましく、製造が容易な点で、アルコキシ基置換アミノベンゼンスルホン酸類、そのアルカリ金属塩、アンモニウム塩及び置換アンモニウム塩が特に好ましい。
これらのスルホン酸基置換アニリンは、いずれか1種を単独で用いてもよいし、2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
重合溶媒としては、水、有機溶媒、水と有機溶媒との混合溶媒などが挙げられる。
水としては、水道水、イオン交換水、純水、蒸留水などが挙げられる。
有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、プロピルアルコール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、エチルイソブチルケトン等のケトン類;エチレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル等のエチレングリコール類;プロピレングリコール、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル等のプロピレングリコール類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン等のピロリドン類などが挙げられる。
重合溶媒としては、水、又は水と有機溶媒との混合溶媒が好ましい。
なお、重合溶媒として水と有機溶媒との混合溶媒を用いる場合、これらの質量比(水/有機溶媒)は1/100〜100/1であることが好ましく、2/100〜100/2であることがより好ましい。
酸化剤としては、標準電極電位が0.6V以上である酸化剤であれば限定はないが、例えばペルオキソ二硫酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸カリウム等のペルオキソ二硫酸類;過酸化水素などが挙げられる。
これらの酸化剤は、いずれか1種を単独で用いてもよいし、2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
重合工程は、重合溶媒及び酸化剤に加えて、塩基性反応助剤の存在下で原料モノマーを重合してもよい。
塩基性反応助剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の無機塩基;アンモニア;メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチルメチルアミン、エチルジメチルアミン、ジエチルメチルアミン等の脂式アミン類;環式飽和アミン類;ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、キノリン等の環式不飽和アミン類などが挙げられる。
これらの中では、無機塩基、脂式アミン類、環式不飽和アミン類が好ましく、環式不飽和アミン類がより好ましい。
これらの塩基性反応助剤は、いずれか1種を単独で用いてもよいし、2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
重合の方法としては、例えば、酸化剤溶液中に原料モノマー溶液を滴下する方法、原料モノマー溶液に酸化剤溶液を滴下する方法、反応容器等に原料モノマー溶液と、酸化剤溶液を同時に滴下する方法などが挙げられる。原料モノマー溶液には、必要に応じて塩基性反応助剤が含まれていてもよい。
酸化剤溶液及び原料モノマー溶液の溶媒としては、上述した重合溶媒を用いることができる。
重合反応の反応温度は、50℃以下が好ましく、−15〜30℃がより好ましく、−10〜20℃がさらに好ましい。重合反応の反応温度が50℃以下、特に30℃以下であれば、副反応の進行や、生成する導電性ポリマー(A)の主鎖の酸化還元構造の変化による導電性の低下を抑止できる。重合反応の反応温度が−15℃以上であれば、十分な反応速度を維持し、反応時間を短縮できる。
重合工程により、反応生成物である導電性ポリマー(A)が重合溶媒に溶解または沈殿した状態で得られる。
反応生成物が重合溶媒に溶解している場合は、重合溶媒を留去して反応生成物を得る。
反応生成物が重合溶媒に沈殿している場合は、遠心分離器等の濾過器により重合溶媒を濾別して反応生成物を得る。
反応生成物には、未反応の原料モノマー、副反応の併発に伴うオリゴマー、酸性物質(導電性ポリマー(A)から脱離した遊離の酸性基や、酸化剤の分解物である硫酸イオンなど)、塩基性物質(塩基性反応助剤や、酸化剤の分解物であるアンモニウムイオンなど)等の低分子量成分が含まれている場合がある。これら低分子量成分は不純物であり、導電性を阻害する要因となる。
よって、反応生成物を精製して低分子量成分を除去することが好ましい。
<<精製工程>>
精製工程は、重合工程で得られた反応生成物を精製する工程である。
反応生成物を精製する方法としては、洗浄溶媒を用いた洗浄法、膜濾過法、イオン交換法、加熱処理による不純物の除去、中和析出などあらゆる方法を用いることができる。これらの中でも、純度の高い導電性ポリマー(A)を容易に得ることができる観点から、洗浄法、イオン交換法が有効である。特に、原料モノマー、オリゴマー、酸性物質などを効率よく除去できる観点では、洗浄法が好ましい。導電性ポリマー(A)の酸性基と塩を形成した状態で存在する塩基性物質などを効率よく除去できる観点では、イオン交換法が好ましい。精製工程では、洗浄法とイオン交換法とを組み合わせて用いてもよい。
洗浄溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、2−ブタノール、3−ブタノール、t−ブタノール、1−ペンタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−ペンタノール、n−ヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチルブチノール、ベンジルアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール等のアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メトキシメトキシエタノール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、グリセリルモノアセテート等の多価アルコール誘導体;アセトン;アセトニトリル;N,N−ジメチルホルムアミド;N−メチルピロリドン;ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。これらの中でも、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、アセトニトリルが効果的である。
洗浄後の反応生成物、すなわち洗浄後の導電性ポリマー(A)を乾燥すれば、固体状の導電性ポリマー(A)が得られる。
イオン交換法としては、陽イオン交換樹脂や陰イオン交換樹脂等のイオン交換樹脂を用いたカラム式、バッチ式の処理;電気透析法などが挙げられる。
なお、反応生成物が重合溶媒に溶解している場合は、溶解した状態のままイオン交換樹脂と接触させればよい。反応生成物の濃度が濃い場合は、水性媒体で希釈してもよい。
反応生成物が重合溶媒に沈殿している場合は、重合溶媒を濾別した後に、反応生成物を所望の固形分濃度になるように水性媒体に溶解させ、ポリマー溶液としてからイオン交換樹脂に接触させることが好ましい。
洗浄後の反応生成物をイオン交換処理する場合は、洗浄後の反応生成物を所望の固形分濃度になるように水性媒体に溶解させ、ポリマー溶液としてからイオン交換樹脂に接触させることが好ましい。
水性媒体としては、後述する溶剤(C)と同様のものが挙げられる。
ポリマー溶液中の導電性ポリマー(A)の濃度としては、工業性や精製効率の観点から、0.1〜20質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましい。
イオン交換樹脂を用いたイオン交換法の場合、イオン交換樹脂に対する試料液の量は、例えば固形分濃度5質量%のポリマー溶液の場合、イオン交換樹脂に対して10倍の容積までが好ましく、5倍の容積までがより好ましい。陽イオン交換樹脂としては、例えばオルガノ株式会社製の「アンバーライトIR−120B」などが挙げられる。陰イオン交換樹脂としては、例えばオルガノ株式会社製の「アンバーライトIRA410」などが挙げられる。
イオン交換処理後の導電性ポリマー(A)は、重合溶媒又は水性媒体に溶解した状態である。従って、エバポレータなどで重合溶媒又は水性媒体を全て除去すれば固体状の導電性ポリマー(A)が得られるが、導電性ポリマー(A)は重合溶媒又は水性媒体に溶解した状態のまま導電性組成物の製造に用いてもよい。
導電性ポリマー(A)の含有量は、導電性組成物の総質量に対して、0.1〜5質量%が好ましく、0.2〜3質量%がより好ましく、0.5〜2質量%がさらに好ましい。
また、導電性ポリマー(A)の含有量は、導電性組成物の固形分の総質量に対して、50〜66.7質量%が好ましく、50〜65質量%がより好ましい。なお、導電性組成物の固形分は、導電性組成物から溶剤(C)を除いた残分である。
導電性ポリマー(A)の含有量が上記範囲内であれば、導電性組成物の塗布性と、導電性組成物より形成される導電膜の導電性のバランスにより優れる。
<塩基性化合物(B)>
導電性組成物が特定量の塩基性化合物(B)を含むことにより、塩基性化合物(B)が導電性ポリマー(A)中の酸性基へ効率良く作用し、導電性ポリマー(A)の安定性を高めることが可能になると考えられる。ここで、導電性ポリマー(A)中の酸性基に効率よく作用するとは、導電性ポリマー(A)の安定した中和が可能となり、導電性ポリマー(A)の酸性基と塩基性化合物(B)とで安定した塩を形成することを意味する。すなわち、導電性ポリマー(A)は塩基性化合物(B)で中和されている。その結果、導電性組成物中での加水分解による導電性ポリマー(A)の酸性基の不安定化を抑制でき、酸性基が脱離しにくくなる。加えて、導電性ポリマー(A)の酸性基と塩基性化合物(B)とで安定した塩を形成することで、導電性ポリマー(A)自体の分解も抑制できる。
塩基性化合物(B)としては、塩基性を有する化合物であれば特に限定されないが、例えば、下記の第4級アンモニウム化合物(b−1)、塩基性化合物(b−2)、塩基性化合物(b−3)、塩基性化合物(b−4)などが挙げられる。
第4級アンモニウム化合物(b−1):窒素原子に結合する4つの置換基のうちの少なくとも1つが炭素数1以上の炭化水素基である第4級アンモニウム化合物。
塩基性化合物(b−2):1つ以上の窒素原子を有する塩基性化合物(ただし、第4級アンモニウム化合物(b−1)及び塩基性化合物(b−3)を除く。)。
塩基性化合物(b−3):同一分子内に塩基性基と2つ以上のヒドロキシ基とを有し、かつ30℃以上の融点を有する塩基性化合物。
塩基性化合物(b−4):無機塩基。
第4級アンモニウム化合物(b−1)において、4つの置換基が結合する窒素原子は、第4級アンモニウムイオンの窒素原子である。
第4級アンモニウム化合物(b−1)において、第4級アンモニウムイオンの窒素原子に結合する炭化水素基としては、アルキル基、アラルキル基、アリール基などが挙げられる。
第4級アンモニウム化合物(b−1)としては、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラペンチルアンモニウム、水酸化テトラヘキシルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウムなどが挙げられる。
塩基性化合物(b−2)としては、例えば、アンモニア、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、4−ジメチルアミノメチルピリジン、3,4−ビス(ジメチルアミノ)ピリジン、ピコリン、トリエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、4−ジメチルアミノメチルピリジン、3,4−ビス(ジメチルアミノ)ピリジン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン(DBN)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)、1−(3−アミノプロピル)−2−ピロリドン、N−(3−アミノプロピル)−ε−カプロラクタム及びそれらの誘導体などが挙げられる。
塩基性化合物(b−3)において、塩基性基としては、例えば、アレニウス塩基、ブレンステッド塩基、ルイス塩基等で定義される塩基性基が挙げられる。具体的には、アンモニア等が挙げられる。ヒドロキシ基は、−OHの状態であってもよいし、保護基で保護された状態であってもよい。保護基としては、例えば、アセチル基;トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基等のシリル基;メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエトキシメチル基等のアセタール型保護基;ベンゾイル基;アルコキシド基などが挙げられる。
塩基性化合物(b−3)としては、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−[N−トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸などが挙げられる。
塩基性化合物(b−4)としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどが挙げられる。
これら塩基性化合物(B)は、いずれか1種を単独で用いてもよいし、2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
塩基性化合物(B)の25℃における酸解離定数(pKa)は4以上が好ましく、5以上がより好ましい。塩基性化合物(B)のpKaが4以上であれば、導電性ポリマー(A)の酸性基と塩基性化合物(B)とで、より安定した塩を形成でき、酸性基がより脱離しにくくなると共に、導電性ポリマー(A)自体の分解もより抑制できる。
なお、pKaは「化学便覧 基礎編II」(日本化学会編、丸善、昭和41.9.25発行)に記載されている数値である。
25℃におけるpKaが4以上である塩基性化合物(B)としては、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1−(3−アミノプロピル)−2−ピロリドン、N−(3−アミノプロピル)−ε−カプロラクタム、水酸化リチウム、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、4−ジメチルアミノメチルピリジン、3,4−ビス(ジメチルアミノ)ピリジンなどが挙げられる。これらの中でも、レジスト層へ影響しにくい観点から、水酸化テトラブチルアンモニウム、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネンが好ましい。
塩基性化合物(B)の分子量は特に制限されないが、立体障害による影響を考慮すると300以下が好ましく、260以下がより好ましい。特に塩基性化合物(B)の分子量が260以下であれば、導電性ポリマー(A)の酸性基とより安定して塩を形成できる。
塩基性化合物(B)の分子量の下限値については特に制限されないが、通常は、17程度である。
塩基性化合物(B)の含有量は、導電性ポリマー(A)100質量部に対して50質量部以上であり、50質量部超が好ましく、55質量部以上がより好ましく、60質量部以上がさらに好ましい。塩基性化合物(B)の含有量が50質量部以上であれば、導電性ポリマー(A)の酸性基と充分に塩を形成でき、酸性基が脱離しにくくなると共に、導電性ポリマー(A)自体の分解も抑制できるため、加熱処理してもガスの発生を抑制できる。
<溶剤(C)>
溶剤(C)としては、導電性ポリマー(A)及び塩基性化合物(B)や、後述する界面活性剤(D)を溶解することができる溶剤であれば、本発明の効果を有する限り特に限定はされないが、水、有機溶剤、水と有機溶剤との混合溶剤が挙げられる。
水としては、導電性ポリマー(A)の製造方法の説明において先に例示した重合溶媒のうちの水が挙げられる。
有機溶剤としては、導電性ポリマー(A)の製造方法の説明において先に例示した重合溶媒のうちの有機溶媒が挙げられる。
溶剤(C)として、水と有機溶剤との混合溶剤を用いる場合、これらの質量比(水/有機溶剤)は1/100〜100/1であることが好ましく、2/100〜100/2であることがより好ましい。
溶剤(C)の含有量は、導電性組成物の総質量に対して、1〜99.85質量%が好ましく、10〜99.5質量%がより好ましく、50〜99.5質量%がさらに好ましい。溶剤(C)の含有量が上記範囲内であれば、塗布性がより向上する。
なお、導電性ポリマー(A)を、イオン交換法により精製して重合溶媒又は水性媒体に溶解した状態(以下、この状態の導電性ポリマー(A)を「導電性ポリマー溶液」ともいう。)で用いる場合、導電性ポリマー溶液由来の重合溶媒又は水性媒体も導電性組成物中の溶剤(C)の含有量に含まれる。
<界面活性剤(D)>
導電性組成物は、界面活性剤(D)を含んでいてもよい。
導電性組成物が界面活性剤(D)を含んでいれば、導電性組成物を基材やレジスト層の表面に塗布する際の塗布性が向上する。
界面活性剤としては、陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン系界面活性剤などが挙げられる。これらの界面活性剤は、いずれか1種を単独で用いてもよいし、2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
陰イオン系界面活性剤としては、例えば、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、オクタン酸ナトリウム、デカン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ペルフルオロノナン酸、N−ラウロイルサルコシンナトリウム、ココイルグルタミン酸ナトリウム、アルファスルホ脂肪酸メチルエステル塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェノールスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリルリン酸、ラウリルリン酸ナトリウム、ラウリルリン酸カリウムなどが挙げられる。
陽イオン系界面活性剤としては、例えば、塩化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、塩化ドデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化オクチルトリメチルアンモニウム、塩化デシルトリメチルアンモニウム、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム、塩化テトラデシルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化アルキルトリメチルアンモニウム、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、臭化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、モノメチルアミン塩酸塩、ジメチルアミン塩酸塩、トリメチルアミン塩酸塩、塩化ブチルピリジニウム、塩化ドデシルピリジニウム、塩化セチルピリジニウム などが挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ドデシルアミノメチルジメチルスルホプロピルベタイン、オクタデシルアミノメチルジメチルスルホプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸カリウム、ラウロイルメチル−β−アラニン、ラウリルジメチルアミン−N−オキシド、オレイルジメチルアミンN−オキシドなどが挙げられる。
非イオン系界面活性剤としては、例えば、ラウリン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ペンタエチレングリコールモノドデシルエーテル、オクタエチレングリコールモノドデシルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、オクチルフェノールエトキシレート、ノニルフェノールエトキシレート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヘキシタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルポリエチレングリコール、ラウリン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、オクチルグルコシド、デシルグルコシド、ラウリルグルコシド、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコールなどが挙げられる。
非イオン系界面活性剤として、上述した以外にも、含窒素官能基及び末端疎水性基を有する水溶性ポリマーを用いてもよい。この水溶性ポリマーは従来の界面活性剤とは異なり、含窒素官能基を有する主鎖部分(親水性部分)と、末端の疎水性基部分とによって界面活性能を有し、塗布性の向上効果が高い。よって、他の界面活性剤を併用しなくても、優れた塗布性を導電性組成物に付与できる。しかも、この水溶性ポリマーは酸や塩基を含まないうえ、加水分解により副生成物が生じにくいことから、レジスト層等への悪影響が特に少ない。
含窒素官能基としては、溶解性の観点から、アミド基が好ましい。
末端疎水性基としては、例えばアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アラルキルチオ基、アリールチオ基、一級又は二級のアルキルアミノ基、アラルキルアミノ基、アリールアミノ基などが挙げられる。これらの中でも、アルキルチオ基、アラルキルチオ基、アリールチオ基が好ましい。
末端疎水性基の炭素数は、7〜100が好ましく、7〜50がより好ましく、10〜30が特に好ましい。
水溶性ポリマー中の末端疎水性基の数は特に制限されない。また、同一分子内に末端疎水性基を2つ以上有する場合、末端疎水性基は同じ種類であってもよいし、異なる種類であってもよい。
水溶性ポリマーとしては、含窒素官能基を有するビニルモノマーのホモポリマー、又は含窒素官能基を有するビニルモノマーと、含窒素官能基を有さないビニルモノマー(その他のビニルモノマー)とのコポリマーを主鎖構造とし、かつ、ポリマーを構成する繰り返し単位以外の部位に疎水性基を有する化合物が好ましい。
含窒素官能基を有するビニルモノマーとしては、アクリルアミド及びその誘導体、含窒素官能基を有する複素環状モノマー等が挙げられ、その中でもアミド結合を持つものが好ましい。具体的には、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、t−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N−ビニル−N−メチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等が挙げられる。これらの中でも、溶解性の観点から、アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等が特に好ましい。
その他のビニルモノマーとしては、含窒素官能基を有するビニルモノマーを共重合可能であれば特に制限されないが、例えば、スチレン、アクリル酸、酢酸ビニル、長鎖α−オレフィンなどが挙げられる。
水溶性ポリマーへの末端疎水性基の導入方法としては特に制限されないが、通常、ビニル重合時の連鎖移動剤を選択することにより導入するのが簡便で好ましい。この場合、連鎖移動剤としてはアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルキルチオ基、アラルキルチオ基、アリールチオ基等の疎水性基を含む基が、得られる重合体の末端に導入されるものであれば特に限定はされない。例えば、末端疎水性基としてアルキルチオ基、アラルキルチオ基、又はアリールチオ基を有する水溶性ポリマーを得る場合は、これらの末端疎水性基に対応する疎水性基を有する連鎖移動剤、具体的にはチオール、ジスルフィド、チオエーテルなどを用いてビニル重合することが好ましい。
水溶性ポリマーの主鎖部分は水溶性であり、含窒素官能基を有する。主鎖部分の単位数(重合度)は、1分子中に2〜1000が好ましく、2〜100がより好ましく、2〜50が特に好ましい。含窒素官能基を有する主鎖部分の単位数が大きすぎる場合は、界面活性能が低下する傾向がある。
水溶性ポリマー中の主鎖部分と、末端疎水性基部分(例えばアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルキルチオ基、アラルキルチオ基、アリールチオ基などの部分)との分子量比(主鎖部分の質量平均分子量/末端疎水性基部分の質量平均分子量)は、0.3〜170であることが好ましい。
界面活性剤(D)としては、上述した中でもレジスト層への影響が少ない点で、非イオン系界面活性剤が好ましく、その中でも特に含窒素官能基及び末端疎水性基を有する水溶性ポリマーが好ましい。
界面活性剤(D)の含有量は、導電性ポリマー(A)と塩基性化合物(B)と界面活性剤(D)の合計を100質量部としたときに、5〜80質量部が好ましく、10〜70質量部がより好ましく、10〜60質量部がさらに好ましい。界面活性剤(D)の含有量が上記範囲内であれば、導電性組成物のレジスト層への塗布性がより向上する。
<任意成分>
導電性組成物は、必要に応じて、導電性ポリマー(A)、塩基性化合物(B)、溶剤(C)及び界面活性剤(D)以外の成分(任意成分)を含んでいてもよい。
任意成分としては、例えば高分子化合物(導電性ポリマー(A)、塩基性化合物(B)及び界面活性剤(D)を除く)、添加剤などが挙げられる。
高分子化合物としては、例えばポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール誘導体類及びその変性体、デンプン及びその変性体(酸化デンプン、リン酸エステル化デンプン、カチオン化デンプン等)、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース及びこれらの塩等)、ポリアクリルアミド、ポリ(N−t−ブチルアクリルアミド)、ポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸等のポリアクリルアミド類、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸(塩)、ポリエチレングリコール、水溶性アルキド樹脂、水溶性メラミン樹脂、水溶性尿素樹脂、水溶性フェノール樹脂、水溶性エポキシ樹脂、水溶性ポリブタジエン樹脂、水溶性アクリル樹脂、水溶性ウレタン樹脂、水溶性アクリルスチレン共重合体樹脂、水溶性酢酸ビニルアクリル共重合体樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、水溶性スチレンマレイン酸共重合樹脂、水溶性フッ素樹脂及びこれらの共重合体が挙げられる。
添加剤としては、例えば顔料、消泡剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱性向上剤、レベリング剤、たれ防止剤、艶消し剤、防腐剤などが挙げられる。
<物性>
導電性組成物は、下記条件Xを満たすことが好ましい。
条件X:ZS/ZRが17以下である。
ただし、前記ZSは、前記導電性ポリマー(A)の固形分濃度が0.6質量%となるように前記導電性組成物を水で希釈した測定溶液について、分光蛍光光度計を用いて励起波長230nmで蛍光スペクトルを測定したときの、波長320〜420nmの領域における蛍光強度の最大値である。
前記ZRは、水について、分光蛍光光度計を用いて励起波長350nmで蛍光スペクトルを測定したときの、波長380〜420nmの領域におけるラマン散乱強度の最大値である。
波長320〜420nmの領域における蛍光強度の最大値(ZS)は、分光蛍光光度計を用いて具体的には以下のようにして測定される。
導電性ポリマー(A)の固形分濃度が0.6質量%になるように導電性組成物を水で希釈した測定溶液を表面蛍光測定用セル(三角セル)に入れ、下記測定条件1で分光蛍光光度計を用いて蛍光スペクトルを取得する。取得した蛍光スペクトルを、別途、分光蛍光光度計用ローダミンBを用いて求めた装置関数で補正する。補正した蛍光スペクトルについて、波長320〜420nmの領域の最大ピーク高さから測定溶液の蛍光強度の最大値(ZS)を求める。
(測定条件1)
・励起波長:230nm
・蛍光測定波長:250〜450nm
・バンド幅:励起側10nm、蛍光側5nm
・レスポンス:2sec
・走査速度:100nm/min
波長380〜420nmの領域におけるラマン散乱強度の最大値(ZR)は、分光蛍光光度計を用いて具体的には以下のようにして測定される。
水を表面蛍光測定用セル(三角セル)に入れ、下記測定条件2で分光蛍光光度計を用いて蛍光スペクトルを取得する。取得した蛍光スペクトルを、別途、分光蛍光光度計用ローダミンBを用いて求めた装置関数で補正する。補正した蛍光スペクトルについて、波長380〜420nmの領域の最大ピーク高さから水のラマン散乱強度の最大値(ZR)を求める。
(測定条件2)
・励起波長:350nm
・蛍光測定波長:350〜450nm
・バンド幅:励起側10nm、蛍光側5nm
・レスポンス:2sec
・走査速度:100nm/min
励起波長230nmで蛍光スペクトルを測定したときに、波長320〜420nmの領域における現れるピークは、主にガス発生の要因成分となる蛍光物質(低分子量成分)由来のピークである。ZS/ZRが17以下であれば、導電性組成物に含まれる、ガス発生の要因成分となる蛍光物質の割合が充分に低減されているので、導電性組成物を加熱処理してもガスの発生を抑制できる。
なお、ZS/ZRが小さいほど、導電性組成物に含まれる、ガス発生の要因成分となる蛍光物質の割合が少ない。従って、ZS/ZRは小さくなるほど好ましく、具体的には、ZS/ZRは14以下が好ましく、11以下がより好ましく、0がさらに好ましい。すなわち、ZS/ZRは0〜17が好ましく、0〜14がより好ましく、0〜11がさらに好ましい。
<導電性組成物の製造方法>
導電性組成物は、上述した導電性ポリマー(A)、塩基性化合物(B)及び溶剤(C)と、必要に応じて界面活性剤(D)及び任意成分の1つ以上とを混合することで得られる。
上述した導電性ポリマー(A)の製造方法により製造した、洗浄後の導電性ポリマー(A)は固体状であることから、固体状の導電性ポリマー(A)と、塩基性化合物(B)と、溶剤(C)と、必要に応じて界面活性剤(D)及び任意成分の1つ以上とを混合して、導電性組成物とすればよい。
なお、洗浄後にイオン交換法によりさらに精製した導電性ポリマー(A)を用いる場合、イオン交換処理後の導電性ポリマー(A)は、上述したように導電性ポリマー溶液の状態で得られる。そのため、この導電性ポリマー溶液に塩基性化合物(B)と、必要に応じて界面活性剤(D)及び任意成分の1つ以上とを添加して導電性組成物としてもよいし、溶剤(C)でさらに希釈してもよい。
<作用効果>
以上説明した本発明の導電性組成物は、導電性ポリマー(A)と、特定量の塩基性化合物(B)と、溶剤(C)とを含む。導電性ポリマー(A)中の酸性基の一部は、塩基性化合物(B)と安定した塩を形成しているため、導電性ポリマー(A)から脱離しにくく、導電性ポリマー(A)自体も分解しにくい。よって、例えばレジスト層上に本発明により得られる導電性ポリマーを含む導電性組成物を塗布した後、加熱処理して導電膜を形成しても、導電性ポリマー(A)の分解物や脱離した酸性基等に由来する揮発ガスの発生を抑制できる。
<用途>
本発明の導電性組成物は、荷電粒子線描画時の帯電防止用として好適である。具体的には、本発明の導電性組成物を、化学増幅型レジストを用いた荷電粒子線によるパターン形成法のレジスト層の表面に塗布して導電膜を形成する。こうして形成された導電膜がレジスト層の帯電防止膜となる。
また、上述した以外にも、本発明の導電性組成物は、例えばコンデンサ、透明電極、半導体等の材料として使用することもできる。
以下、本発明を実施例により更に詳しく説明するが、以下の実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
[測定・評価方法]
<導電性の評価>
基材としてガラス基材上に導電性組成物を2.0mL滴下し、基材表面全体を覆うように、スピンコーターにて2000rpm×60秒間の条件で回転塗布して塗膜を形成した後、ホットプレートにて80℃で2分間加熱処理を行い、基材上に膜厚約30nmの導電膜を形成して導電体を得た。
ハイレスタUX−MCP−HT800(株式会社三菱ケミカルアナリテック製)を用い2端子法(電極間距離20mm)にて、導電膜の表面抵抗値[Ω/□]を測定した。
<蛍光強度の測定>
まず、導電性ポリマー(A)の固形分濃度が0.6質量%になるように導電性組成物を水で希釈した測定溶液を表面蛍光測定用セル(三角セル)に入れ、下記測定条件1で分光蛍光光度計を用いて蛍光スペクトルを取得した。取得した蛍光スペクトルを、別途、分光蛍光光度計用ローダミンBを用いて求めた装置関数で補正した。補正した蛍光スペクトルについて、波長320〜420nmの領域の最大ピーク高さから測定溶液の蛍光強度の最大値(ZS)を求めた。
(測定条件1)
・測定装置:分光蛍光光度計(日本分光株式会社製、「FP−6500」)
・励起波長:230nm
・蛍光測定波長:250〜450nm
・バンド幅:励起側10nm、蛍光側5nm
・レスポンス:2sec
・走査速度:100nm/min
ついで、水を表面蛍光測定用セル(三角セル)に入れ、下記測定条件2で分光蛍光光度計を用いて蛍光スペクトルを取得した。取得した蛍光スペクトルを、別途、分光蛍光光度計用ローダミンBを用いて求めた装置関数で補正した。補正した蛍光スペクトルについて、波長380〜420nmの領域の最大ピーク高さから水のラマン散乱強度の最大値(ZR)を求めた。
(測定条件2)
・励起波長:350nm
・蛍光測定波長:350〜450nm
・バンド幅:励起側10nm、蛍光側5nm
・レスポンス:2sec
・走査速度:100nm/min
ZSをZRで除することでZS/ZRを求め、下記評価基準によりガスの発生を評価した。ZS/ZRの値が小さいほどガスほど、導電性組成物を加熱処理したときにガスが発生しにくいことを意味する。
A:ZS/ZR≦17
B:ZS/ZR>17
[実施例1]
<導電性ポリマー(A)の製造>
2−アミノアニソール−4−スルホン酸100mmolに、ピリジン100mmolと水100mLを添加して、モノマー溶液を得た。
得られたモノマー溶液に、ペルオキソ二硫酸アンモニウム100mmolの水溶液(酸化剤溶液)を10℃で滴下した。滴下終了後、25℃で15時間さらに攪拌した後、35℃まで昇温してさらに2時間撹拌して、反応生成物が沈殿した反応液を得た(重合工程)。
得られた反応液を遠心濾過器にて濾過し、沈殿物(反応生成物)を回収して、1Lのメタノールにて反応生成物を洗浄した後に乾燥させた。乾燥後の反応生成物20gを、純水980gに溶解させ、固形分濃度2質量%の導電性ポリマー溶液(A1−1)を1000g得た。
超純水により洗浄した陽イオン交換樹脂(オルガノ株式会社製、「アンバーライトIR−120B」)500mLをカラムに充填した。
このカラムに、導電性ポリマー溶液(A1−1)1000gを、50mL/分(SV=6)の速度で通過させて、塩基性物質等が除去された導電性ポリマー溶液(A1−2)を900g得た。
次に、超純水により洗浄した陰イオン交換樹脂(オルガノ株式会社製、「アンバーライトIRA410」)500mLをカラムに充填した。
このカラムに、導電性ポリマー溶液(A1−2)900gを、50mL/分(SV=6)の速度で通過させて、塩基性物質等が除去された導電性ポリマー溶液(A1−3)を800g得た。
この導電性ポリマー溶液(A1−3)についてイオンクロマトグラフィにより組成分析を行なったところ、残存モノマーは80%以上、硫酸イオンは99%以上、塩基性物質は99%以上除去されていた。また、加熱残分を測定した結果、2.0質量%であった。すなわち、導電性ポリマー溶液(A1−3)の固形分濃度は2.0質量%である。
なお、1スベルドラップ(SV)は 1×10/s(1GL/s)と定義される。
<導電性組成物の調製>
導電性ポリマー溶液(A1−3)25質量部(固形分換算で0.5質量部)と、水酸化テトラブチルアンモニウム(pKa=10以上、沸点=200℃超、分子量=259.48)0.45質量部と、水74.55質量部とを混合し、導電性組成物を得た。導電性組成物の総質量に対する、導電性ポリマー(A)、塩基性化合物(B)及び溶剤(C)の含有量を表1に示す。
得られた導電性組成物について、導電性を評価し、蛍光強度を測定した。これらの結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1と同様にして導電性ポリマー溶液(A1−3)を製造した。
導電性ポリマー溶液(A1−3)25質量部(固形分換算で0.5質量部)と、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン(pKa=10以上、沸点=200℃超、分子量=124.18)0.25質量部と、水74.75質量部とを混合し、導電性組成物を得た。導電性組成物に含まれる導電性ポリマー(A)、塩基性化合物(B)及び溶剤(C)の含有量を表1に示す。
得られた導電性組成物について、導電性を評価し、蛍光強度を測定した。これらの結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1と同様にして導電性ポリマー溶液(A1−3)を製造した。
導電性ポリマー溶液(A1−3)25質量部(固形分換算で0.5質量部)と、水酸化テトラブチルアンモニウム0.13質量部と、水74.87質量部とを混合し、導電性組成物を得た。導電性組成物に含まれる導電性ポリマー(A)、塩基性化合物(B)及び溶剤(C)の含有量を表1に示す。
得られた導電性組成物について、導電性を評価し、蛍光強度を測定した。これらの結果を表1に示す。
Figure 2021095519
表1中の略号は以下の通りである。
・TBAH:水酸化テトラブチルアンモニウム
・DBN:1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン
表1から明らかなように、各実施例で得られた導電性組成物は、比較例1で得られた導電性組成物よりもZS/ZRの値が小さく、加熱処理してもガスが発生しにくい。
本発明の導電性組成物は、加熱処理してもガスの発生を抑制でき、荷電粒子線描画時の帯電防止用として有用である。

Claims (3)

  1. 酸性基を有する導電性ポリマーと、塩基性化合物と、溶剤とを含む導電性組成物であって、
    前記塩基性化合物の含有量が、前記導電性ポリマー100質量部に対して50質量部以上である、導電性組成物。
  2. 前記導電性ポリマーが下記一般式(5)で表される単位を有する、請求項1に記載の導電性組成物。
    Figure 2021095519
    式(5)中、R18〜R21は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐鎖のアルコキシ基、酸性基、ヒドロキシ基、ニトロ基、又はハロゲン原子を表し、R18〜R21のうちの少なくとも1つは酸性基又はその塩である。
  3. 荷電粒子線描画時の帯電防止用である、請求項1又は2に記載の導電性組成物。
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