JP2021017519A - 導電性組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】塗布性を維持しつつ、レジスト層上に形成して荷電粒子線を用いたパターン形成した際に、パターニング不良が起こりにくい塗膜を形成できる導電性組成物の提供。【解決手段】本発明の導電性組成物は導電性ポリマー(A)と水溶性ポリマー(B)と溶剤(C)とを含み、水溶性ポリマー(B)を抽出した試験溶液を、高速液体クロマトグラフ質量分析計を用いて測定したときの、下記式(I)で求める面積比が0.2以下である。面積比=Y/X ・・・(I)式(I)中、Xは全イオン電流クロマトグラムから、分子量(M)が900以下の化合物に由来するイオンを用いて抽出イオンクロマトグラムを作成したときのピーク面積値の総和であり、Yは全イオン電流クロマトグラムから、分子量(M)が900以下の化合物のうち、下記式(1)で表される化合物に由来するイオンを用いて抽出イオンクロマトグラムを作成したときのピーク面積値の総和である。[化1]【選択図】なし

Description

本発明は、導電性組成物に関する。
電子線やイオン線等の荷電粒子線を用いたパターン形成技術は、光リソグラフィーの次世代技術として期待されている。
荷電粒子線を用いる場合、生産性向上には、レジストの感度向上が重要である。従って、露光部分もしくは荷電粒子線が照射された部分に酸を発生させ、続いてポストエクスポージャーベーク(PEB)処理と呼ばれる加熱処理により架橋反応又は分解反応を促進させる、高感度な化学増幅型レジストの使用が主流となっている。
ところで、荷電粒子線を用いるパターン形成方法においては、特に基板が絶縁性の場合、基板の帯電(チャージアップ)によって発生する電界が原因で、荷電粒子線の軌道が曲げられ、所望のパターンが得られにくいという課題がある。
この課題を解決する手段として、導電性ポリマーを含む導電性組成物をレジスト層の表面に塗布して塗膜(導電膜)を形成し、前記塗膜でレジスト層の表面を被覆してレジスト層に帯電防止機能を付与する技術が有効であることが既に知られている。
一般的に、導電性ポリマーを含む導電性組成物を、半導体の電子線リソグラフィー工程の帯電防止剤として適用する場合、導電性組成物の塗布性と、基材及び基材上に塗布されたレジスト等の積層物への影響とは、トレードオフの関係にある。
例えば、導電性組成物の塗布性を向上させるために、界面活性剤等の添加物を添加した場合、界面活性剤がレジスト特性に悪影響を及ぼし、所定のパターンを得ることができないという問題がある。
このような問題に対し、特許文献1には、塗布性等に優れる導電性組成物として、含窒素官能基及び末端疎水性基を有する水溶性ポリマーを含む導電性組成物が提案されている。
一方、上述した導電性組成物に異物が含まれていると電子線描画後のパターンの欠陥等の問題(パターニング不良)がある。そのため、導電性組成物をフィルターにより精密濾過されるが、特許文献1の導電性組成物では、精密濾過の際にフィルターの詰まりが発生し、フィルターを頻繁に交換しなくてはならないという課題がある。
このような問題に対し、特許文献2には、導電性組成物の精密濾過時のフィルター交換頻度を落とすために改良された導電性組成物として、水溶性ポリマー由来の化合物のうち、分子量が600以下の化合物の割合を低減した導電性組成物が提案されている。
特開2002−226721号公報 国際公開第2018/147318号
しかしながら、特許文献1、2に記載の導電性組成物には未だ改善の余地があり、塗布性を維持しつつ、パターニング不良の発生をより抑制することが求められる。
本発明は、塗布性を維持しつつ、レジスト層上に形成して荷電粒子線を用いたパターン形成した際に、パターニング不良が起こりにくい塗膜を形成できる導電性組成物を提供することを目的とする。
本発明は以下の態様を有する。
[1]導電性ポリマー(A)と、前記導電性ポリマー(A)以外の水溶性ポリマー(B)と、溶剤(C)とを含む導電性組成物であって、
前記導電性組成物からn−ブタノールにて前記水溶性ポリマー(B)を抽出した試験溶液を、高速液体クロマトグラフ質量分析計を用いて測定したときの、下記式(I)で求める面積比が0.2以下である、導電性組成物。
面積比=Y/X ・・・(I)
(式(I)中、Xは、全イオン電流クロマトグラムから、分子量(M)が900以下の化合物に由来するイオンを用いて抽出イオンクロマトグラムを作成したときのピーク面積値の総和であり、Yは、全イオン電流クロマトグラムから、分子量(M)が900以下の化合物のうち、下記一般式(1)で表される化合物に由来するイオンを用いて抽出イオンクロマトグラムを作成したときのピーク面積値の総和である。)
Figure 2021017519
式(1)中、Rは水素原子又は炭素数6〜20の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基を表し、Rは水素原子又はアルキルチオ基を表し、Rは親水性基を表し、Rは水素原子又はメチル基を表し、Zは単結合、−S−又は−S(=O)−を表し、pは1〜50の数である。ただし、R及びRが同時に水素原子であることはない。
本発明によれば、塗布性を維持しつつ、レジスト層上に形成して荷電粒子線を用いたパターン形成した際に、パターニング不良が起こりにくい塗膜を形成できる導電性組成物を提供できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本発明において「導電性」とは、1×1010Ω・cm以下の体積抵抗値を有することである。体積抵抗値は、一定の電流を流した場合の電極間の電位差より求められる表面抵抗値及び該表面抵抗値の測定に用いた塗膜の膜厚より求められる。
また、本明細書において「溶解性」とは、単なる水、塩基及び塩基性塩の少なくとも一方を含む水、酸を含む水、水と水溶性有機溶媒との混合物のうちの1つ以上に、10g(液温25℃)に、0.1g以上均一に溶解することを意味する。
また、本発明において「水溶性」とは、前記溶解性に関して、水に対する溶解性のことを意味する。
また、本明細書において、「末端疎水性基」の「末端」とは、分子末端又はポリマーを構成する繰り返し単位以外の部位を意味する。
また、本明細書において「質量平均分子量」とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によって測定される質量平均分子量(ポリスチレンスルホン酸ナトリウム換算又はポリエチレングリコール換算)である。
「導電性組成物」
本発明の第一の態様の導電性組成物は、以下に示す導電性ポリマー(A)と、前記導電性ポリマー(A)以外の水溶性ポリマー(B)と、溶剤(C)とを含有する。導電性組成物は、必要に応じて、以下に示す高分子化合物(D)、塩基性化合物(E)や任意成分を含んでいてもよい。
<導電性ポリマー(A)>
導電性ポリマー(A)としては、例えば、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリチオフェンビニレン、ポリテルロフェン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアニリン、ポリアセン、ポリアセチレンなどが挙げられる。
これら中でも、導電性に優れる観点から、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリンが好ましい。
ポリピロールを構成する単量体(原料モノマー)の具体例としては、例えばピロール、N−メチルピロール、3−メチルピロール、3−エチルピロール、3−n−プロピルピロール、3−ブチルピロール、3−オクチルピロール、3−デシルピロール、3−ドデシルピロール、3,4−ジメチルピロール、3,4−ジブチルピロール、3−カルボキシピロール、3−メチル−4−カルボキシピロール、3−メチル−4−カルボキシエチルピロール、3−メチル−4−カルボキシブチルピロール、3−ヒドロキシピロール、3−メトキシピロール、3−エトキシピロール、3−ブトキシピロール、3−ヘキシルオキシピロール、3−メチル−4−ヘキシルオキシピロールなどが挙げられる。
ポリチオフェンを構成する単量体(原料モノマー)の具体例としては、例えばチオフェン、3−メチルチオフェン、3−エチルチオフェン、3−プロピルチオフェン、3−ブチルチオフェン、3−ヘキシルチオフェン、3−ヘプチルチオフェン、3−オクチルチオフェン、3−デシルチオフェン、3−ドデシルチオフェン、3−オクタデシルチオフェン、3−ブロモチオフェン、3−クロロチオフェン、3−ヨードチオフェン、3−シアノチオフェン、3−フェニルチオフェン、3,4−ジメチルチオフェン、3,4−ジブチルチオフェン、3−ヒドロキシチオフェン、3−メトキシチオフェン、3−エトキシチオフェン、3−ブトキシチオフェン、3−ヘキシルオキシチオフェン、3−ヘプチルオキシチオフェン、3−オクチルオキシチオフェン、3−デシルオキシチオフェン、3−ドデシルオキシチオフェン、3−オクタデシルオキシチオフェン、3,4−ジヒドロキシチオフェン、3,4−ジメトキシチオフェン、3,4−ジエトキシチオフェン、3,4−ジプロポキシチオフェン、3,4−ジブトキシチオフェン、3,4−ジヘキシルオキシチオフェン、3,4−ジヘプチルオキシチオフェン、3,4−ジオクチルオキシチオフェン、3,4−ジデシルオキシチオフェン、3,4−ジドデシルオキシチオフェン、3,4−エチレンジオキシチオフェン、3,4−プロピレンジオキシチオフェン、3,4−ブチレンジオキシチオフェン、3−メチル−4−メトキシチオフェン、3−メチル−4−エトキシチオフェン、3−カルボキシチオフェン、3−メチル−4−カルボキシチオフェン、3−メチル−4−カルボキシエチルチオフェン、3−メチル−4−カルボキシブチルチオフェン、6−(2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イル)ヘキサン−1−スルホン酸、6−(2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イル)ヘキサン−1−スルホン酸ナトリウム、6−(2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イル)ヘキサン−1−スルホン酸リチウム、6−(2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イル)ヘキサン−1−スルホン酸カリウム、8−(2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イル)オクタン−1−スルホン酸、8−(2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イル)オクタン−1−スルホン酸ナトリウム、8−(2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イル)オクタン−1−スルホン酸カリウム、3−[(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−[1,4]ジオキシン−2−イル)メトキシ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、3−[(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−[1,4]ジオキシン−2−イル)メトキシ]−1−プロパンスルホン酸カリウム、3−[(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−[1,4]ジオキシン−2−イル)メトキシ]−1−メチル−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、3−[(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−[1,4]ジオキシン−2−イル)メトキシ]−1−エチル−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、3−[(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−[1,4]ジオキシン−2−イル)メトキシ]−1−プロピル−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、3−[(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−[1,4]ジオキシン−2−イル)メトキシ]−1−ブチル−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、3−[(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−[1,4]ジオキシン−2−イル)メトキシ]−1−ペンチル−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、3−[(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−[1,4]ジオキシン−2−イル)メトキシ]−1−ヘキシル−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、3−[(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−[1,4]ジオキシン−2−イル)メトキシ]−1−イソプロピル−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、3−[(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−[1,4]ジオキシン−2−イル)メトキシ]−1−イソブチル−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、3−[(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−[1,4]ジオキシン−2−イル)メトキシ]−1−イソペンチル−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、3−[(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−[1,4]ジオキシン−2−イル)メトキシ]−1−フルオロ−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、3−[(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−[1,4]ジオキシン−2−イル)メトキシ]−1−メチル−1−プロパンスルホン酸カリウム、3−[(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−[1,4]ジオキシン−2−イル)メトキシ]−1−メチル−1−プロパンスルホン酸、3−[(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−[1,4]ジオキシン−2−イル)メトキシ]−1−メチル−1−プロパンスルホン酸アンモニウム、3−[(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−[1,4]ジオキシン−2−イル)メトキシ]−2−メチル−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、3−[(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−[1,4]ジオキシン−2−イル)メトキシ]−1−メチル−1−プロパンスルホン酸トリエチルアンモニウム、4−[(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−[1,4]ジオキシン−2−イル)メトキシ]−1−ブタンスルホン酸ナトリウム、4−[(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−[1,4]ジオキシン−2−イル)メトキシ]−1−ブタンスルホン酸カリウム、4−[(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−[1,4]ジオキシン−2−イル)メトキシ]−1−メチル−1−ブタンスルホン酸ナトリウム、4−[(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−[1,4]ジオキシン−2−イル)メトキシ]−1−メチル−1−ブタンスルホン酸カリウム、4−[(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−[1,4]ジオキシン−2−イル)メトキシ]−1−フルオロ−1−ブタンスルホン酸ナトリウム、及び4−[(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−[1,4]ジオキシン−2−イル)メトキシ]−1−フルオロ−1−ブタンスルホン酸カリウムなどが挙げられる。
ポリアニリンを構成する単量体(原料モノマー)の具体例としては、例えばアニリン、2−メチルアニリン、3−イソブチルアニリン、2−メトキシアニリン、2−エトキシアニリン、2−アニリンスルホン酸、3−アニリンスルホン酸などが挙げられる。
導電性ポリマー(A)は、水溶性又は水分散性を有していることが好ましい。導電性ポリマー(A)が水溶性又は水分散性を有していれば、導電性組成物の塗布性が高まり、均一な厚さの塗膜が得られやすくなる。
また、導電性ポリマー(A)は、酸性基を有していることが好ましい。導電性ポリマー(A)が酸性基を有していれば、水溶性が高まる。
酸性基を有する導電性ポリマーとしては、分子内にスルホン酸基、及びカルボキシ基からなる群より選択される少なくとも1つの基を有していれば、本発明の効果を有する限り特に限定されないが、例えば、特開昭61−197633号公報、特開昭63−39916号公報、特開平1−301714号公報、特開平5−504153号公報、特開平5−503953号公報、特開平4−32848号公報、特開平4−328181号公報、特開平6−145386号公報、特開平6−56987号公報、特開平5−226238号公報、特開平5−178989号公報、特開平6−293828号公報、特開平7−118524号公報、特開平6−32845号公報、特開平6−87949号公報、特開平6−256516号公報、特開平7−41756号公報、特開平7−48436号公報、特開平4−268331号公報、特開2014−65898号公報等に示された導電性ポリマーなどが、溶解性の観点から好ましい。
酸性基を有する導電性ポリマーとしては、具体的には、α位若しくはβ位が、スルホン酸基、及びカルボキシ基からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されたフェニレンビニレン、ビニレン、チエニレン、ピロリレン、フェニレン、イミノフェニレン、イソチアナフテン、フリレン、及びカルバゾリレンからなる群から選ばれた少なくとも1種を繰り返し単位として含む、π共役系導電性ポリマーが挙げられる。
また、前記π共役系導電性ポリマーがイミノフェニレン、及びカルバゾリレンからなる群から選ばれた少なくとも1種の繰り返し単位を含む場合は、前記繰り返し単位の窒素原子上に、スルホン酸基、及びカルボキシ基からなる群より選択される少なくとも1つの基を有する、又はスルホン酸基、及びカルボキシ基からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されたアルキル基、若しくはエーテル結合を含むアルキル基を前記窒素原子上に有する導電性ポリマーが挙げられる。
この中でも、導電性や溶解性の観点から、β位がスルホン酸基、及びカルボキシ基からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されたチエニレン、ピロリレン、イミノフェニレン、フェニレンビニレン、カルバゾリレン、及びイソチアナフテンからなる群から選ばれた少なくとも1種をモノマーユニット(単位)として有する導電性ポリマーが好ましく用いられる。
導電性ポリマー(A)は、導電性や溶解性の観点から下記一般式(3)〜(6)で表される単位からなる群より選択される少なくとも1種のモノマーユニットを有することが好ましい。
Figure 2021017519
Figure 2021017519
Figure 2021017519
Figure 2021017519
式(3)〜(6)中、Xは硫黄原子、又は窒素原子を表し、R10〜R24は各々独立に、水素原子、炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐鎖のアルコキシ基、酸性基、ヒドロキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子(−F、−Cl、−Br又はI)、−N(R25、−NHCOR25、−SR25、−OCOR25、−COOR25、−COR25、−CHO、又は−CNを表す。R25は炭素数1〜24のアルキル基、炭素数6〜24のアリール基、又は炭素数7〜24のアラルキル基を表す。
ただし、一般式(3)のR10、R11のうちの少なくとも一つ、一般式(4)のR12〜R15のうちの少なくとも一つ、一般式(5)のR16〜R19のうちの少なくとも一つ、一般式(6)のR20〜R24のうちの少なくとも一つは、それぞれ酸性基又はその塩である。
ここで、「酸性基」とは、スルホン酸基(スルホ基)又はカルボン酸基(カルボキシ基)を意味する。
スルホン酸基は、酸の状態(−SOH)で含まれていてもよく、イオンの状態(−SO )で含まれていてもよい。さらに、スルホン酸基には、スルホン酸基を有する置換基(−R26SOH)も含まれる。
一方、カルボン酸基は、酸の状態(−COOH)で含まれていてもよく、イオンの状態(−COO)で含まれていてもよい。さらに、カルボン酸基には、カルボン酸基を有する置換基(−R26COOH)も含まれる。
前記R26は炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基、炭素数6〜24の直鎖若しくは分岐鎖のアリーレン基、又は炭素数7〜24の直鎖若しくは分岐鎖のアラルキレン基を表す。
酸性基の塩としては、スルホン酸基又はカルボン酸基のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、又は置換アンモニウム塩などが挙げられる。
アルカリ金属塩としては、例えば、硫酸リチウム、炭酸リチウム、水酸化リチウム、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、硫酸カリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム及びこれらの骨格を有する誘導体などが挙げられる。
アルカリ土類金属塩としては、例えばマグネシウム塩、カルシウム塩などが挙げられる。
置換アンモニウム塩としては、例えば脂肪族アンモニウム塩、飽和脂環式アンモニウム塩、不飽和脂環式アンモニウム塩などが挙げられる。
脂肪族アンモニウム塩としては、例えば、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、メチルエチルアンモニウム、ジエチルメチルアンモニウム、ジメチルエチルアンモニウム、プロピルアンモニウム、ジプロピルアンモニウム、イソプロピルアンモニウム、ジイソプロピルアンモニウム、ブチルアンモニウム、ジブチルアンモニウム、メチルプロピルアンモニウム、エチルプロピルアンモニウム、メチルイソプロピルアンモニウム、エチルイソプロピルアンモニウム、メチルブチルアンモニウム、エチルブチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラメチロールアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラn−ブチルアンモニウム、テトラsec−ブチルアンモニウム、テトラt−ブチルアンモニウムなどが挙げられる。
飽和脂環式アンモニウム塩としては、例えば、ピペリジニウム、ピロリジニウム、モルホリニウム、ピペラジニウム及びこれらの骨格を有する誘導体などが挙げられる。
不飽和脂環式アンモニウム塩としては、例えば、ピリジニウム、α−ピコリニウム、β−ピコリニウム、γ−ピコリニウム、キノリニウム、イソキノリニウム、ピロリニウム、及びこれらの骨格を有する誘導体などが挙げられる。
導電性ポリマー(A)としては、高い導電性を発現できる観点から、前記一般式(6)で表される単位を有することが好ましく、その中でも特に、溶解性にも優れる観点から、下記一般式(7)で表されるモノマーユニットを有することがより好ましい。
Figure 2021017519
式(7)中、R27〜R30は各々独立に、水素原子、炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐鎖のアルコキシ基、酸性基、ヒドロキシ基、ニトロ基、又はハロゲン原子(−F、−Cl、−Br又はI)を表す。また、R27〜R30のうちの少なくとも一つは酸性基又はその塩である。
前記一般式(7)で表される単位としては、製造が容易な点で、R27〜R30のうち、いずれか1つが炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基であり、他のいずれか一つがスルホン酸基であり、残りが水素であるものが好ましい。
導電性ポリマー(A)において、溶解性が非常に良好となる観点から、ポリマー中の芳香環の総数に対する、酸性基が結合した芳香環の数は、50%以上であることが好ましく、70%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましく、100%が最も好ましい。
ポリマー中の芳香環の総数に対する、酸性基が結合した芳香環の数は、導電性ポリマー(A)製造時の、モノマーの仕込み比から算出した値のことを指す。
また、導電性ポリマー(A)において、モノマーユニットの芳香環上の酸性基以外の置換基は、モノマーへの反応性付与の観点から電子供与性基が好ましく、具体的には、炭素数1〜24のアルキル基、炭素数1〜24のアルコキシ基、ハロゲン基(−F、−Cl、−Br又はI)等が好ましく、このうち、電子供与性の観点から、炭素数1〜24のアルコキシ基であることが最も好ましい。
導電性ポリマー(A)としては、高い導電性と溶解性を発現できる観点から、下記一般式(8)で表される構造を有する化合物であることが好ましく、下記一般式(8)で表される構造を有する化合物の中でも、スルホン酸基を有するポリアニリン、すなわちポリアリニンスルホン酸がより好ましく、ポリ(2−スルホ−5−メトキシ−1,4−イミノフェニレン)が特に好ましい。
Figure 2021017519
式(8)中、R31〜R46は各々独立に、水素原子、炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐鎖のアルコキシ基、酸性基、ヒドロキシ基、ニトロ基、又はハロゲン原子(−F、−Cl、−Br又はI)を表す。また、R31〜R46のうち少なくとも一つは酸性基又はその塩である。また、nは重合度を示す。本発明においては、nは5〜2500の整数であることが好ましい。
導電性ポリマー(A)に含有される酸性基は、導電性向上の観点から少なくともその一部が遊離酸型であることが望ましい。
導電性ポリマー(A)の質量平均分子量は、GPCのポリスチレンスルホン酸ナトリウム換算で、導電性、溶解性及び成膜性の観点から、1000〜100万が好ましく、1500〜80万がより好ましく、2000〜50万がさらに好ましく、2000〜10万が特に好ましい。導電性ポリマー(A)の質量平均分子量が1000未満の場合、溶解性には優れるものの、導電性、及び成膜性が不足する場合がある。一方、質量平均分子量が100万を超える場合、導電性には優れるものの、溶解性が不充分な場合がある。
ここで、「成膜性」とは、ハジキ等が無い均一な膜となる性質のことを指し、ガラス上へのスピンコート等の方法で評価することができる。
導電性ポリマー(A)の製造方法としては、公知の方法を用いることができ、本発明の効果を有する限り特に限定はされない。
具体的には、前述のいずれかのモノマーユニットを有する重合性単量体(原料モノマー)を化学酸化法、電解酸化法などの各種合成法により重合する方法等が挙げられる。このような方法としては、例えば特開平7−196791号公報、特開平7−324132号公報に記載の合成法などを適用することができる。
以下に、導電性ポリマー(A)の製造方法の一例について説明する。
導電性ポリマー(A)は、例えば原料モノマーを塩基性反応助剤の存在下、酸化剤を用いて重合することで得られる。
塩基性反応助剤としては、例えば無機塩基(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等)、アンモニア、脂式アミン類、環式飽和アミン類、環式不飽和アミン類(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等)などが挙げられる。
酸化剤としては、例えばペルオキソ二硫酸類(ペルオキソ二硫酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸カリウム等)、過酸化水素などが挙げられる。
重合の方法としては、例えば、酸化剤溶液中に原料モノマーと塩基性反応助剤の混合溶液を滴下する方法、原料モノマーと塩基性反応助剤の混合溶液に酸化剤溶液を滴下する方法、反応容器等に原料モノマーと塩基性反応助剤の混合溶液と、酸化剤溶液を同時に滴下する方法などが挙げられる。
重合後は、通常、遠心分離器等の濾過器により溶媒を濾別する。さらに、必要に応じて濾過物を洗浄液により洗浄した後、乾燥させて、導電性ポリマー(A)を得る。
このようにして得られる導電性ポリマー(A)には、原料モノマー(未反応のモノマー)、副反応の併発に伴うオリゴマー、酸化剤、塩基性反応助剤等の低分子量体が含まれている場合がある。これら低分子量体は導電性を阻害する要因となる。
よって、導電性ポリマー(A)を精製して低分子量体を除去することが好ましい。
導電性ポリマー(A)の精製方法としては特に限定されず、イオン交換法、プロトン酸溶液中での酸洗浄、加熱処理による除去、中和析出などあらゆる方法を用いることができるが、純度の高い導電性ポリマー(A)を容易に得ることができる観点から、イオン交換法が特に有効である。
イオン交換法としては、陽イオン交換樹脂や陰イオン交換樹脂等のイオン交換樹脂を用いたカラム式、バッチ式の処理;電気透析法などが挙げられる。
なお、イオン交換法で導電性ポリマー(A)を精製する場合は、重合で得られた反応混合物を所望の固形分濃度になるように水性媒体に溶解させ、ポリマー溶液としてからイオン交換樹脂に接触させることが好ましい。
水性媒体としては、水、有機溶剤、水と有機溶剤との混合溶剤が挙げられる。有機溶剤としては、後述する溶剤(E)と同様のものが挙げられる。
ポリマー溶液中の導電性ポリマー(A)の濃度としては、工業性や精製効率の観点から、0.1〜20質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましい。
導電性ポリマー(A)の含有量は、導電性組成物の総質量に対して、0.1〜5質量%が好ましく、0.2〜3質量%がより好ましく、0.5〜2質量%がさらに好ましい。
また、導電性ポリマー(A)の含有量は、導電性組成物の固形分の総質量に対して、50〜99.9質量%が好ましい。なお、導電性組成物の固形分は、導電性組成物から溶剤(C)を除いた残分である。
導電性ポリマー(A)の含有量が上記範囲内であれば、導電性組成物の塗布性と、該導電性組成物より形成される塗膜の導電性のバランスにより優れる。
<水溶性ポリマー(B)>
水溶性ポリマー(B)は、前記導電性ポリマー(A)以外のポリマーである。
水溶性ポリマー(B)は、界面活性能を発現しやすく、しかもレジストへの影響を抑制しやすい観点から、分子内に含窒素官能基等の親水性基及び末端疎水性基を有することが好ましい。
親水性基としては、溶解性の観点から、アミド基が好ましい。
末端疎水性基の炭素数は、4以上が好ましく、8以上がより好ましい。また、末端疎水性基の炭素数は、100以下が好ましい。
末端疎水性基としては、疎水性基内にアルキル鎖、アラルキル鎖、又はアリール鎖を含むものが好ましく、溶解性や界面活性能の観点から、炭素数4〜100のアルキル鎖、炭素数4〜100のアラルキル鎖、及び炭素数4〜100のアリール鎖からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。これらアルキル鎖、アラルキル鎖及びアリール鎖の炭素数は、それぞれ4〜70が好ましく、8〜30がより好ましい。
このような末端疎水性基としては、具体的に、アルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アラルキルチオ基、アリールチオ基、一級又は二級のアルキルアミノ基、アラルキルアミノ基、アリールアミノ基等が挙げられる。これらの中でも、溶解性や界面活性能の観点から、アルキルチオ基、アラルキルチオ基、アリールチオ基が好ましく、アルキルチオ基が特に好ましい。
水溶性ポリマー(B)としては、アミド結合を有するビニルモノマーのホモポリマー、又はアミド結合を有するビニルモノマーと、アミド結合を有さないビニルモノマー(その他のビニルモノマー)とのコポリマーを主鎖構造とし、かつ、ポリマーを構成する繰り返し単位以外の部位に疎水性基を有する化合物が好ましい。
アミド結合を有するビニルモノマーとしては、アクリルアミド及びその誘導体、N−ビニルラクタム等が挙げられる。具体的には、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、t−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N−ビニル−N−メチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等が挙げられる。これらの中でも、溶解性の観点から、アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等が特に好ましい。
水溶性ポリマー(B)の末端疎水性基の導入方法は、本発明の効果を有する限り特に限定されないが、ビニル重合時の連鎖移動剤を選択することにより導入する方法が、簡便で好ましい。
例えば、分子内に含窒素官能基及び炭素数4以上の末端疎水性基を有する水溶性ポリマー(B)は、アミド結合を有するビニルモノマーと必要に応じて他のビニルモノマーとを、重合開始剤及び炭素数4以上の連鎖移動剤の存在下で重合して製造することができる。
この場合、連鎖移動剤としては、上述の末端疎水性基を導入することのできるものであれば、本発明の効果を有する限り特に限定はされないが、好ましい末端疎水性基であるアルキルチオ基、アラルキルチオ基、アリールチオ基等を容易に得ることができる、チオール、ジスルフィド、チオエーテルなどを好ましく用いることができる。
水溶性ポリマー(B)の主鎖構造部分の繰り返し単位、すなわち、上述のアミド結合を有するビニルモノマーの重合度は、前記水溶性ポリマー(B)の溶解性の観点から、2〜100000が好ましく、2〜1000がより好ましく、3〜200が特に好ましい。
また、界面活性能の観点から、前記水溶性ポリマー(B)の、主鎖構造部分の分子量(以下、「水溶性部分の分子量」と言うこともある)と末端疎水性部分の分子量(以下、「疎水性部分の分子量」と言うこともある)の比、すなわち、(水溶性部分の分子量)/(疎水性部分の分子量)は、1〜1500であることが好ましく、3〜1000であることがより好ましい。ここで、「水溶性部分の分子量」、及び「疎水性部分の分子量」は、得られた水溶性ポリマー(B)の質量平均分子量と、主鎖構造部分を構成するモノマーと、末端疎水性部分を構成する連鎖移動剤の仕込み比から算出することができる。
このような水溶性ポリマー(B)としては、下記一般式(1)で表される化合物(以下、「化合物(1)」ともいう。)、下記一般式(2)で表される化合物(以下、「化合物(2)」ともいう。)、及びこれらの混合物などが挙げられる。化合物(1)の中でも、分子量(M)が900を超える化合物が好ましい。化合物(2)の分子量については特に限定されない。
Figure 2021017519
Figure 2021017519
式(1)中、Rは水素原子又は炭素数6〜20の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基を表し、Rは水素原子又はアルキルチオ基を表し、Rは親水性基を表し、Rは水素原子又はメチル基を表し、Zは単結合、−S−又は−S(=O)−を表し、pは1〜50の数である。ただし、R及びRが同時に水素原子であることはない。
式(2)中、R及びRは各々独立に、メチル基又はエチル基を表し、Rは水素原子又はアルキルチオ基を表し、Rは親水性基を表し、Rは水素原子又はメチル基を表し、Zはシアノ基又はヒドロキシ基を表し、qは1〜50の数である。
におけるアルキル基としては、例えばヘキシル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、ラウリル基、ドデシル基、トリデシル基、ステアリル基、イソボルニル基等が挙げられる。
及びRにおけるアルキルチオ基をとしては、炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基に硫黄原子が結合した基が挙げられ、具体的には、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、デシルチオ基、ウンデシルチオ基、ドデシルチオ基、テトラデカンチオ基、ヘキサデカンチオ基、エイコサンチオ基などを挙げることができる。
及びRは親水性基である。親水性基は、水溶性ポリマー(B)の原料モノマーである水溶性ビニル単量体由来である。
ここで、水溶性ビニル単量体とは、水と任意の割合で混合可能なビニル単量体を示す。このような水溶性ビニル単量体としては、N−ビニルピロリドン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N−ビニルホルムアミド等が挙げられる。
化合物(1)としては、例えば下記一般式(11)で表される化合物(以下、「化合物(11)」ともいう。)などが挙げられる。
Figure 2021017519
式(11)中、Rは水素原子又は炭素数6〜20の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基を表し、Rは水素原子又はアルキルチオ基を表し、Zは単結合、−S−又は−S(=O)−を表し、pは1〜50の数であり、rは1〜5の数である。ただし、R及びRが同時に水素原子であることはない。
化合物(2)としては、例えば下記一般式(21)で表される化合物(以下、「化合物(21)」ともいう。)などが挙げられる。
Figure 2021017519
式(21)中、R及びRは各々独立に、メチル基又はエチル基を表し、Rは水素原子又はアルキルチオ基を表し、Zはシアノ基又はヒドロキシ基を表し、qは1〜50の数であり、sは1〜5の数である。
水溶性ポリマー(B)の質量平均分子量は、GPCのポリエチレングリコール換算で、100〜100万であることが好ましく、100〜10万であることがより好ましく、600以上2000未満であることがさらに好ましく、600〜1800であることが特に好ましく、900〜1800であることが最も好ましい。水溶性ポリマー(B)の質量平均分子量が100以上であれば、塗布性が向上する。一方、水溶性ポリマー(B)の質量平均分子量が100万以下であれば、水溶性が高まる。特に、水溶性ポリマー(B)の質量平均分子量が600以上2000未満であれば、実用的な水への溶解性と塗布性のバランスに優れる。
導電性組成物からn−ブタノールにて水溶性ポリマー(B)を抽出した試験溶液を、高速液体クロマトグラフ質量分析計を用いて測定したときの、下記式(I)で求める面積比は、0.2以下である。
面積比=Y/X ・・・(I)
(式(I)中、Xは、全イオン電流クロマトグラムから、分子量(M)が900以下の化合物に由来するイオンを用いて抽出イオンクロマトグラムを作成したときのピーク面積値の総和であり、Yは、全イオン電流クロマトグラムから、分子量(M)が900以下の化合物のうち、前記一般式(1)で表される化合物に由来するイオンを用いて抽出イオンクロマトグラムを作成したときのピーク面積値の総和である。)
化合物(1)は、分子内に末端疎水性基及び親水性基を有し、界面活性能を発現しやすい。そのため、導電性組成物が化合物(1)を含んでいれば、塗布性が向上する。しかし、化合物(1)のうち、分子量(M)が900以下の化合物は、ディフェクト要因成分であると考えられる。導電性組成物にディフェクト要因成分が含まれていると、成膜時にその成分が凝集して異物として塗膜に現れ、パターニング不良が起こりやすくなる。
前記式(I)より求められる面積比が0.2以下であれば、分子量(M)が900以下の化合物(1)の割合が充分に低減されているので、成膜時に異物が発生しにくくなり、荷電粒子線を用いたパターン形成した際に、パターニング不良が起こりにくい。加えて、導電性組成物の塗布性を良好に維持できる。
前記式(I)で求められる面積比は小さいほど好ましく、0が最も好ましい。
水溶性ポリマー(B)の抽出には、n−ブタノールを用いる。n−ブタノールを用いることで、抽出処理される導電性組成物に含まれる導電性ポリマー(A)を溶解せず、かつ水溶性ポリマー(B)を溶解することが可能である。
なお、n−ブタノールに代えて、酢酸ブチル、メチルイソブチルケトン等の溶剤のSP値が6〜15、より好ましくは7〜13の有機溶媒を用いることも可能である。
前記分子量(M)が900以下の化合物のうち、化合物(1)以外の化合物としては、分子量(M)が900以下の化合物(2)が挙げられる。化合物(2)は分子量(M)が900以下であっても、パターニング不良の要因にはなりにくく、また、塗布性の低下には影響しにくい化合物である。
導電性組成物からn−ブタノールにて水溶性ポリマー(B)を抽出した試験溶液を、高速液体クロマトグラフ質量分析計を用いて測定したときの、下記式(II)で求める面積比は、0.2以下であることが好ましい。下記式(II)で求められる面積比は小さいほど好ましく、0が最も好ましい。
面積比=Y/(X1+Y) ・・・(II)
(式(II)中、X1は、全イオン電流クロマトグラムから、分子量(M)が900以下の化合物のうち、前記一般式(2)で表される化合物に由来するイオンを用いて抽出イオンクロマトグラムを作成したときのピーク面積値の総和であり、Yは、全イオン電流クロマトグラムから、分子量(M)が900以下の化合物のうち、前記一般式(1)で表される化合物に由来するイオンを用いて抽出イオンクロマトグラムを作成したときのピーク面積値の総和である。)
前記式(I)で求められる面積比及び前記式(II)で求められる面積比は、水溶性ポリマー(B)の製造において導電性ポリマー(B)を精製したり、導電性組成物を精製したりすることで制御できる。
以下に、水溶性ポリマー(B)の製造方法の一例について説明する。
水溶性ポリマー(B)は、例えば溶剤中、重合開始剤の存在下で、水溶性ビニル単量体を重合することで得られる。
水溶性ビニル単量体としては、化合物(1)及び化合物(2)の説明において先に例示した水溶性ビニル単量体が挙げられる。例えば、水溶性ビニル単量体としてN−ビニルピロリドンを用いれば、化合物(11)(ただし、前記一般式(11)中のrが1である。)と、化合物(21)(ただし、前記一般式(21)中のsが1である。)とを含む水溶性ポリマー(B)が得られる。
水溶性ビニル単量体の重合に用いる溶剤は、下記条件1を満たすことが好ましい。
条件1:50℃における溶剤に対するアクリル酸メチルの連鎖移動定数が0.001を超える。
条件1を満たす溶剤(以下、「溶剤(C2)」ともいう。)としては、例えばイソプロピルアルコール、ジフェニルアミン、N,N−ジメチルアニリン、トリエチルアミン、トリブチルホスフィン、ニトロトルエン、ニトロアニリン、ニトロベンゼン、ニトロフェノール等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
水溶性ビニル単量体の重合には、条件1を満たさない溶剤(以下、「溶剤(C3)」ともいう。)を溶剤(C2)と併用してもよい。
溶剤(C3)とは、50℃における溶剤(C3)に対するアクリル酸メチルの連鎖移動定数が0.001以下の溶剤である。このような溶剤(C3)としては、例えば酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、アセトン、メタノール、エタノール、ブタノール、トルエン、酢酸ブチル、メチルエチルケトン等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
溶剤(C2)と溶剤(C3)とを併用する場合、溶剤(C2)と溶剤(C3)との比率は体積比で、溶剤(C2):溶剤(C3)=1:0.01〜1:1が好ましく、1:0.05〜1:0.8がより好ましく、1:0.1〜1:0.5がさらに好ましい。
水溶性ビニル単量体の重合に用いる重合開始剤としては、アゾビスメチルブチロニトリルや、末端疎水性基を有する重合開始剤を用いることができる。
末端疎水性基を有する重合開始剤としては、炭素数6〜20の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基を有し、シアノ基及びヒドロキシ基を有さないものが挙げられ、具体的には、ジラウロイルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上述したように、前記一般式(1)及び前記一般式(11)中のpの値、前記一般式(2)及び前記一般式(21)中のqの値は、重合開始剤と水溶性ビニル単量体の比率(モル比)により制御できる。重合開始剤と水溶性ビニル単量体の比率は、pの値やqの値が1〜50となる範囲であれば特に制限されないが、例えばモル比で重合開始剤:水溶性ビニル単量体=0.001:1〜0.5:1が好ましく、0.01:1〜0.1:1がより好ましい。
水溶性ビニル単量体の重合は、末端疎水性基を有する連鎖移動剤の存在下で行われてもよい。
このような連鎖移動剤としては、炭素数6〜20の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基を有し、シアノ基及びヒドロキシ基を有さないものが挙げられ、具体的には、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、2−エチルヘキシルメルカプタン、n−オクタデシルメルカプタン等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
連鎖移動剤と水溶性ビニル単量体の比率は、特に制限されないが、例えばモル比で連鎖移動剤:水溶性ビニル単量体=0.001:1〜0.1:1が好ましく、0.01:1〜0.05:1がより好ましい。
重合温度は、50〜200℃が好ましく、60〜150℃がより好ましい。
重合時間は、1〜10時間が好ましく、3〜8時間がより好ましい。
重合反応後は、溶剤(C2)を除去することで、水溶性ポリマー(B)が得られる。溶剤(C3)を併用している場合は、溶剤(C3)も除去する。
また、得られた水溶性ポリマー(B)を精製してもよい。精製方法としては、フィルターによる濾過、再沈殿、吸着剤との接触、溶媒による洗浄などの方法が挙げられる。これらの方法の2つ以上を組み合わせて水溶性ポリマー(B)を精製してもよい。
フィルターの材質としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、表面修飾されたポリエチレンなどが挙げられる。
再沈殿により水溶性ポリマー(B)を精製する場合、水溶性ポリマー(B)を良溶媒に溶解させて水溶性ポリマー溶液とし、前記水溶性ポリマー溶液を貧溶媒に添加して沈殿物を生成させる。
吸着剤としては、オクタデシル基修飾シリカ、活性炭等の疎水性物質などが挙げられる。
洗浄に用いる溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の炭化水素系溶媒、エチルエーテル、プロピルエーテルなどのエーテル系溶媒などが挙げられる。
水溶性ポリマー(B)の含有量は、導電性ポリマー(A)100質量部に対して5〜200質量部が好ましく、10〜100質量部がより好ましい。このように、水溶性ポリマー(B)の量を調整し、前述の導電性ポリマー(A)と組み合わせることにより、良好な塗布性を有し、しかも基材に塗布されたレジスト等の積層物への影響が少ない塗膜を形成することができる。
<溶剤(C)>
溶剤(C)としては、導電性ポリマー(A)及び水溶性ポリマー(B)を溶解することができる溶剤であれば、本発明の効果を有する限り特に限定はされないが、水、又は水と有機溶剤との混合溶剤が挙げられる。なお、本明細書において、導電性組成物に含まれる溶剤(C)を「溶剤(C1)」ともいう。
有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、プロピルアルコール、ブタノール等のアルコール類、アセトン、エチルイソブチルケトン等のケトン類、エチレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル等のエチレングリコール類、プロピレングリコール、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル等のプロピレングリコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン等のピロリドン類などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
溶剤(C)として、水と有機溶剤との混合溶剤を用いる場合、これらの質量比(水/有機溶剤)は1/100〜100/1であることが好ましく、2/100〜100/2であることがより好ましい。
溶剤(C)の含有量は、導電性組成物の総質量に対して、1〜99.5質量%が好ましく、10〜99.5質量%がより好ましく、50〜99.5質量%がさらに好ましい。溶剤(C)の含有量が上記範囲内であれば、塗布性が向上する。
<高分子化合物(D)>
導電性組成物は、塗膜強度や表面平滑性をより向上させる目的で、必要に応じて、高分子化合物(D)を含んでもよい。
高分子化合物(D)としては、具体的には、ポリビニールホルマール、ポリビニールブチラール等のポリビニルアルコール誘導体類、ポリアクリルアミド、ポリ(N−t−ブチルアクリルアミド)、ポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸等のポリアクリルアミド類、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸類、水溶性アルキド樹脂、水溶性メラミン樹脂、水溶性尿素樹脂、水溶性フェノール樹脂、水溶性エポキシ樹脂、水溶性ポリブタジエン樹脂、水溶性アクリル樹脂、水溶性ウレタン樹脂、水溶性アクリルスチレン共重合体樹脂、水溶性酢酸ビニルアクリル共重合体樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、水溶性スチレンマレイン酸共重合樹脂、水溶性フッ素樹脂及びこれらの共重合体が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<塩基性化合物(E)>
導電性組成物には、必要に応じて塩基性化合物(E)を含んでいてもよい。この塩基性化合物(E)は導電性ポリマー(A)が酸性基を有する場合、この酸性基と塩を形成し、中和する効果がある。中和により、レジストへの影響を抑制することができる。
塩基性化合物(E)としては特に限定はされないが、導電性ポリマー(A)が酸性基を有する場合、この酸性基と塩を形成しやすく、酸性基を安定化して塗膜からの酸性物質のレジストパターンへの影響を抑制する効果に優れる点から、下記の4級アンモニウム化合物(e−1)、塩基性化合物(e−2)、塩基性化合物(e−3)などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
第4級アンモニウム化合物(e−1):窒素原子に結合する4つの置換基のうちの少なくとも1つが炭素数1以上の炭化水素基である第4級アンモニウム化合物。
塩基性化合物(e−2):1つ以上の窒素原子を有する塩基性化合物(ただし、第4級アンモニウム化合物(e−1)及び塩基性化合物(e−3)を除く。)。
塩基性化合物(e−3):同一分子内に塩基性基と2つ以上のヒドロキシ基とを有し、かつ30℃以上の融点を有する塩基性化合物。
第4級アンモニウム化合物(e−1)において、4つの置換基が結合する窒素原子は、第4級アンモニウムイオンの窒素原子である。
第4級アンモニウム化合物(e−1)において、第4級アンモニウムイオンの窒素原子に結合する炭化水素基としては、アルキル基、アラルキル基、アリール基等が挙げられる。
第4級アンモニウム化合物(e−1)としては、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラペンチルアンモニウム、水酸化テトラヘキシルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。
塩基性化合物(e−2)としては、例えば、アンモニア、ピリジン、ピコリン、トリエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、4−ジメチルアミノメチルピリジン、3,4−ビス(ジメチルアミノ)ピリジン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン(DBN)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)、1−(3−アミノプロピル)−2−ピロリドン、及びそれらの誘導体等が挙げられる。
塩基性化合物(e−3)において、塩基性基としては、例えば、アレニウス塩基、ブレンステッド塩基、ルイス塩基等で定義される塩基性基が挙げられる。具体的には、アンモニア等が挙げられる。ヒドロキシ基は、−OHの状態であってもよいし、保護基で保護された状態であってもよい。保護基としては、例えば、アセチル基;トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基等のシリル基;メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエトキシメチル基等のアセタール型保護基;ベンゾイル基;アルコキシド基などが挙げられる。
塩基性化合物(e−3)としては、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−[N−トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸などが挙げられる。
<任意成分>
導電性組成物は、必要に応じて、顔料、消泡剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱性向上剤、レベリング剤、たれ防止剤、艶消し剤、防腐剤等の各種添加剤を含んでもよい。
なお、導電性組成物中の導電性ポリマー(A)、水溶性ポリマー(B)及び溶剤(C)の含有量の合計が、導電性組成物の総質量に対して100質量%を超えないものとする。導電性組成物が高分子化合物(D)、塩基性化合物(E)及び任意成分の少なくとも1つを含有する場合、導電性組成物中の導電性ポリマー(A)、水溶性ポリマー(B)、溶剤(C)、高分子化合物(D)、塩基性化合物(E)及び任意成分の含有量の合計が、導電性組成物の総質量に対して100質量%を超えないものとする。
また、導電性組成物に含まれる全ての成分の含有量の合計が、100質量%となるものとする。
<製造方法>
導電性組成物は、上述した導電性ポリマー(A)、水溶性ポリマー(B)及び溶剤(C)と、必要に応じて高分子化合物(D)、塩基性化合物(E)及び任意成分の少なくとも1つ以上とを混合することで得られる。
得られた混合物からn−ブタノールにて水溶性ポリマー(B)を抽出した試験溶液を、高速液体クロマトグラフ質量分析計を用いて測定したときの、前記式(I)で求められる面積比が0.2以下であれば、混合物をそのまま導電性組成物として用いる。面積比が0.2を超えるようであれば、面積比が0.2以下となるように混合物を精製する。
混合物の精製方法としては、フィルターによる濾過が好適である。上述した化合物(1)のうち、分子量(M)が900以下の化合物はフィルターで除去されやく、前記式(I)で求められる面積比が0.2以下である導電性組成物が容易に得られる。
フィルターの材質としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、表面修飾されたポリエチレン、ナイロン、ポリイミドなどが挙げられる。
通液速度は、100mL/hr〜50L/hrが好ましく、200mL/hr〜30L/minがより好ましい。通液速度が上記下限値以上であれば、実用的なろ過速度を示す。通液速度が上記下限値以上であれば、不純物の除去性能に優れる。
混合物の固形分濃度は、混合物の総質量に対して0.1〜5質量%が好ましく、0.2〜4質量%がより好ましい。なお、混合物の固形分は、混合物から溶剤(C)を除いた残分である。
<作用効果>
以上説明した本発明の導電性組成物は、上述した導電性ポリマー(A)と、水溶性ポリマー(B)と、溶剤(C)とを含み、前記式(I)より求められる面積比が0.2以下であるので、成膜時に異物が発生しにくい。よって、本発明の導電性組成物を用いてレジスト層上に塗膜を形成して、荷電粒子線を用いたパターン形成した際に、パターニング不良が起こりにくい。加えて、本発明の導電性組成物では、塗布性を良好に維持できる。
<用途>
本発明の導電性組成物は、荷電粒子線描画時の帯電防止用として好適である。具体的には、本発明の導電性組成物を、化学増幅型レジストを用いた荷電粒子線によるパターン形成法のレジスト層の表面に塗布して塗膜を形成する。こうして形成された塗膜がレジスト層の帯電防止膜となる。
また、上述した以外にも、本発明の導電性組成物は、例えばコンデンサ、透明電極、半導体等の材料として使用することもできる。
以下、本発明を実施例により更に詳しく説明するが、以下の実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
なお、実施例及び比較例における各種測定・評価方法は以下の通りである。
「測定・評価方法」
<高速液体クロマトグラフ質量分析計(LC−MS)測定>
導電性組成物2mlに1mlのn−ブタノールを加え、振とう抽出して二層分離した後、上澄みのn−ブタノール層を分取した。分取したn−ブタノール層を試験溶液として用い、以下のLC−MS測定条件にて測定した。
(LC−MS測定条件)
・装置:LC/1200シリーズ、質量分析計/6220A 飛行時間型質量分析計(Agilent Technologies社製)
・カラム:CAPCELL PAK C18 AQ(3μm、2.0×250mm)(株式会社資生堂製)
・溶離液A:0.1%ギ酸含有水
・溶離液B:0.1%ギ酸含有アセトニトリル/イソプロピルアルコール=1/1(v/v)
・グラジエント溶離条件:リニアグラジエント 0分(溶離液A/溶離液B=98/2)−55分(溶離液A/溶離液B=0/100)−75分(溶離液A/溶離液B=0/100)
・流速:0.2mL/分
・測定温度:40℃
・試料注入量:5μL
(質量分析)
・イオン化法:ESI
・極性:正イオン
・キャピラリー電圧:3500V
・フラグメンター電圧:150V
・ネブライザー圧力:50psig
・乾燥ガス温度:350℃
・乾燥ガス流量:10L/分
得られた全イオン電流クロマトグラムから、各化合物に由来するイオンを用いて抽出イオンクロマトグラムを作成し、それぞれピーク面積値を求めた。分子量(M)が900以下の化合物に由来するピークの面積値の総和を(X)、分子量(M)が900以下の化合物のうち、化合物(1)に由来するピークの面積値の総和を(Y)とし、面積比=Y/Xを算出した。
<導電性の評価>
基材として4インチのシリコンウエハ上に導電性組成物を1.3mL滴下し、基材表面全体を覆うように、スピンコーターにて2000rpm×60秒間の条件で回転塗布した後、ホットプレートにて80℃で2分間加熱処理を行い、基材上に膜厚約20nmの塗膜を形成した。
ハイレスタUX−MCP−HT800(株式会社三菱ケミカルアナリテック製)を用い2端子法(電極間距離20mm)にて、塗膜の表面抵抗値[Ω/□]を測定した。
<塗布性の評価>
4インチのシリコンウエハ上に導電性組成物を1mL滴下し、スピンコーターにて塗布した。目視で塗布状態を観察し、下記の基準で塗布性を判定した。Aを合格とする。
A:ウエハにムラなく塗布できている。
B:ウエハに塗布できているが、ムラが有る。
<異物発生の評価>
導電性の評価と同様にして基材上に塗膜を形成した。
得られた塗膜について、目視観察により異物の有無を確認し、下記の評価基準にて異物発生を評価した。Aを合格とする。
A:塗膜上に異物を確認できない。
B:塗膜上に異物を確認できる。
「導電性ポリマー(A)の製造」
<製造例1:導電性ポリマー(a−1)の製造>
2−アミノアニソール−4−スルホン酸100mmolを、4mol/Lのアンモニア水溶液に25℃で溶解し、モノマー溶液を得た。得られたモノマー溶液に、ペルオキソ二硫酸アンモニウム100mmolの水溶液を滴下した。滴下終了後、25℃で12時間さらに攪拌溶解して、導電性ポリマーを含む反応混合物を得た。その後、前記反応混合物から導電性ポリマーを遠心濾過器にて濾別した。得られた導電性ポリマーをメタノールにて洗浄した後、乾燥させ、粉末状の導電性ポリマー(a−1)15gを得た。
導電性ポリマー(a−1)を0.2mol/Lのアンモニア水に溶解し、導電性ポリマー溶液を調製した。得られた導電性ポリマー溶液を用いて塗膜の表面抵抗値を測定した。塗膜の膜厚に表面抵抗値を乗じて体積抵抗率を求めたところ、9.0Ω・cmであった。
「水溶性ポリマー(B)の製造」
<製造例2:水溶性ポリマー(b−1)の製造>
水溶性ビニル単量体としてN−ビニルピロリドン55g(0.49mol)、重合開始剤としてアゾビスメチルブチロニトリル3g(15.60mmol)、連鎖移動剤としてn−ドデシルメルカプタン1g(4.94mmol)を、溶剤(C2)としてイソプロピルアルコール100mLに攪拌溶解して反応溶液を得た。その後、溶剤(C2)として予め80℃に加熱しておいたイソプロピルアルコール100mL中に、前記反応溶液を1mL/minの滴下速度で滴下し、滴下重合を行った。滴下重合は、イソプロピルアルコールの温度を80℃に保ちながら行われた。滴下終了後、80℃で更に2時間熟成した後、放冷した。その後、減圧濃縮を行い、濃縮物をアセトン30mLに溶解させ、水溶性ポリマー溶液を得た。得られた水溶性ポリマー溶液を1000mLのn−ヘキサンに添加して白色沈殿物を生成させ、得られた沈殿物を濾別した。得られた水溶性ポリマーをn−ヘキサンにて洗浄した後、乾燥させ、粉末状の水溶性ポリマー(b−1)45gを得た。
なお、50℃におけるイソプロピルアルコールに対するアクリル酸メチルの連鎖移動定数は0.0013である。
得られた水溶性ポリマー(b−1)について分析を行ったところ、下記一般式(11−1)で表される化合物(11)と、下記一般式(21−1)で表される化合物(21)と、下記一般式(21−2)で表される化合物(21)との混合物であった。これらの質量比は、化合物(11):化合物(21)=10:90であった。
水溶性ポリマー(b−1)の質量平均分子量は1100であった。
また、水溶性ポリマー(b−1)0.1質量部を水100質量部に溶解させて表面張力を測定したところ、56mN/mであった。
Figure 2021017519
Figure 2021017519
Figure 2021017519
「実施例1」
導電性ポリマー(a−1)0.5質量部と、水溶性ポリマー(b−1)0.2質量部(導電性ポリマー(a−1)100質量部に対して40質量部に相当)と、水91.3質量部と、イソプロピルアルコール(IPA)8質量部とを混合し、固形分濃度0.7質量%の混合物を調製した。
得られた混合物2Lをポリエチレン製のカプセルフィルターで濾過し、濾液を導電性組成物として回収した。
得られた導電性組成物をについて、面積比(Y/X)を求めた。また、導電性、塗布性及び異物発生の評価を行った。結果を表1に示す。
「実施例2」
実施例1で用いたカプセルフィルターで、さらに混合物2Lを濾過し、濾液を導電性組成物として回収した。カプセルフィルターを通過した混合物の合計量は4Lである。
得られた導電性組成物をについて、面積比(Y/X)を求めた。また、導電性、塗布性及び異物発生の評価を行った。結果を表1に示す。
「実施例3」
実施例2で用いたカプセルフィルターで、さらに混合物2Lを濾過し、濾液を導電性組成物として回収した。カプセルフィルターを通過した混合物の合計量は6Lである。
得られた導電性組成物をについて、面積比(Y/X)を求めた。また、導電性、塗布性及び異物発生の評価を行った。結果を表1に示す。
「比較例1」
実施例3で用いたカプセルフィルターで、さらに混合物2Lを濾過し、濾液を導電性組成物として回収した。カプセルフィルターを通過した混合物の合計量は8Lである。
得られた導電性組成物をについて、面積比(Y/X)を求めた。また、導電性、塗布性及び異物発生の評価を行った。結果を表1に示す。
「比較例2」
比較例1で用いたカプセルフィルターで、さらに混合物2Lを濾過し、濾液を導電性組成物として回収した。カプセルフィルターを通過した混合物の合計量は10Lである。
得られた導電性組成物をについて、面積比(Y/X)を求めた。また、導電性、塗布性及び異物発生の評価を行った。結果を表1に示す。
「比較例3」
実施例1と同様にして混合物を調製し、得られた混合物を導電性組成物とした。
得られた導電性組成物をについて、面積比(Y/X)を求めた。また、導電性、塗布性及び異物発生の評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2021017519
表1から明らかなように、実施例1〜3で得られた導電性組成物は、導電性及び塗布性に優れていた。また、これら導電性組成物は、分子量(M)が900以下である化合物(1)が充分に低減されており、塗膜上に異物を確認できなかった。よって、レジスト層上に塗膜を形成して、荷電粒子線を用いたパターン形成した際に、パターニング不良が起こりにくい。
一方、比較例1〜3で得られた導電性組成物の場合、各実施例に比べて分子量(M)が900以下である化合物(1)が多く含まれており、塗膜上に異物が確認された。
本発明の導電性組成物は、塗布性を維持しつつ、レジスト層上に形成して荷電粒子線を用いたパターン形成した際に、パターニング不良が起こりにくい塗膜を形成でき、次世代プロセスの半導体デバイスにも適用可能な帯電防止剤として有用である。

Claims (1)

  1. 導電性ポリマー(A)と、前記導電性ポリマー(A)以外の水溶性ポリマー(B)と、溶剤(C)とを含む導電性組成物であって、
    前記導電性組成物からn−ブタノールにて前記水溶性ポリマー(B)を抽出した試験溶液を、高速液体クロマトグラフ質量分析計を用いて測定したときの、下記式(I)で求める面積比が0.2以下である、導電性組成物。
    面積比=Y/X ・・・(I)
    (式(I)中、Xは、全イオン電流クロマトグラムから、分子量(M)が900以下の化合物に由来するイオンを用いて抽出イオンクロマトグラムを作成したときのピーク面積値の総和であり、Yは、全イオン電流クロマトグラムから、分子量(M)が900以下の化合物のうち、下記一般式(1)で表される化合物に由来するイオンを用いて抽出イオンクロマトグラムを作成したときのピーク面積値の総和である。)
    Figure 2021017519
    (式(1)中、Rは水素原子又は炭素数6〜20の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基を表し、Rは水素原子又はアルキルチオ基を表し、Rは親水性基を表し、Rは水素原子又はメチル基を表し、Zは単結合、−S−又は−S(=O)−を表し、pは1〜50の数である。ただし、R及びRが同時に水素原子であることはない。)
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